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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】タブレット入力補助具
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20221111BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
G06F3/041
G06F1/16 312J
G06F1/16 312K
G06F1/16 312G
G06F1/16 312E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018221812
(22)【出願日】2018-11-28
(65)【公開番号】P2020087059
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-10-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100163212
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100156535
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 麗
【審査官】酒井 優一
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-295724(JP,A)
【文献】特開2016-194951(JP,A)
【文献】特開昭56-157515(JP,A)
【文献】特開平06-095771(JP,A)
【文献】特開2004-341514(JP,A)
【文献】特開平06-318271(JP,A)
【文献】特開2016-160335(JP,A)
【文献】特開2012-055543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電容量式のタッチパネルを上方に向けた状態でタブレットが設置され通電性を有する設置部と、
前記設置部の前方側かつ上方に設けられる手置き部とを備え
前記設置部は、該設置部の底部に前記タブレットの背面に直接接触可能に配置され通電性を有するタブレット側接触部を備え、
前記手置き部は、利用者の手に接触可能に配置され通電性を有する利用者側接触部を備え、
前記タブレット側接触部と前記利用者側接触部とは、接続材により電気的に接続されており、
前記利用者の手刀部が前記利用者側接触部に接触したときに、前記利用者または該利用者の利用するタッチペンが前記タッチパネルに触れることで生じた微小電流が前記タブレット、前記タブレット側接触部、前記接続材、利用者側接触部、前記利用者の順に流されることを特徴とするタブレット入力補助具。
【請求項2】
前記タブレット側接触部は平板状であることを特徴とする請求項に記載のタブレット入力補助具。
【請求項3】
前記利用者側接触部は、左右方向に延設されていることを特徴とする請求項またはに記載のタブレット入力補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タブレットが装着されるタブレット入力補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
会計時にクレジットカードを使用するにあたって、クレジットカードの利用者が本人であることを店舗側が確認するためにサインを求められることがある。このような場面でサインする際に、タッチパネルにタッチペンや指を用いてサインする書込入力器が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に示される書込入力器は、タッチペンと、デジタイザ(タッチパネル)と、を有し、カウンターやテーブルの天板上に載置された状態で、デジタイザ上でタッチペンを操作してサインすることによって、デジタイザ上に液晶等によりサインを表示可能であるとともに、そのサインの情報を保存することで店舗側がサインを受理可能となっている。
【0004】
ところで、最近では、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」と記載)を用いたPCPOS(point of sales)の代わりに、取回しが良く、直感的な操作が可能なタブレットを用いたタブレットPOSが広がりつつある。このようなタブレットPOSは、上述したようなサインを求める場面において、特許文献1に示される端末装置のように、タッチパネル上でタッチペンや指を動かしてサインを受理することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平5-94465号公報(第3,4頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
タブレットPOSにあっては、耐久性や操作性に優れることから一般に静電容量方式のタッチパネルが用いられているものの、周囲の静電気等の影響でタッチパネル表面の電流が乱れる虞があり、タッチペンや指を動かした際に発生する電位差が正確に認識されず、正確にサインすることができないという問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、タブレットに安定して入力することを可能とするタブレット入力補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明のタブレット入力補助具は、
静電容量式のタッチパネルを上方に向けた状態でタブレットが設置され通電性を有する設置部と、
前記設置部の前方側かつ上方に設けられる手置き部とを備え
前記設置部は、該設置部の底部に前記タブレットの背面に直接接触可能に配置され通電性を有するタブレット側接触部を備え、
前記手置き部は、利用者の手に接触可能に配置され通電性を有する利用者側接触部を備え、
前記タブレット側接触部と前記利用者側接触部とは、接続材により電気的に接続されており、
前記利用者の手刀部が前記利用者側接触部に接触したときに、前記利用者または該利用者の利用するタッチペンが前記タッチパネルに触れることで生じた微小電流が前記タブレット、前記タブレット側接触部、前記接続材、利用者側接触部、前記利用者の順に流されることを特徴としている。
この特徴によれば、手置き部に手を載せることによって、入力する際にタブレットにタッチペンや指以外の部分が接触することを防止できるばかりでなく、タッチペンや指がタッチパネルに触れることで生じた微小電流は、タブレット、設置部、接続材、手置き部、利用者の順に流されるため、タッチパネル表面の電流が安定する。これらにより、タッチペンや指を動かした際に発生する電位差が正確に認識されるようになり、安定して入力を行うことができる。
【0010】
前記タブレット側接触部は平板状でることを特徴としている。
この特徴によれば、設置部に置かれたタブレットを確実にタブレット側接触部に当接させることができる。
【0011】
前記利用者側接触部は、左右方向に延設されていることを特徴としている。
この特徴によれば、入力に伴って手が左右方向に移動しても、利用者側接触部を確実に利用者に接触させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例1におけるタブレットが装着されたタブレット入力補助具を示す斜視図である。
図2】タブレット入力補助具を示す上面図である。
図3】(a)はタブレット入力補助具を側面から見た一部破断図、(b)は同じく側断面図、(c)は(b)におけるスナップ近傍の構造を示す要部拡大図である。
図4】(a)は設置部にタブレットを後方側から設置する形態を示す概略図、(b)は設置部にタブレットを右方側から設置する形態を示す概略図、(c)は大きいサイズのタブレットを設置部に設置する形態を示す概略図である。
図5】ブレット入力補助具に装着されたタブレットを用いてサインを行う形態を示す側断面図である。
【実施例1】
【0013】
実施例1に係るタブレット入力補助具につき、図1から図5を参照して説明する。
【0014】
図1に示されるように、本発明の実施例に係るタブレット入力補助具10は、タブレット1が装着されるものである。ここでいうタブレット1は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等で使用されるタブレットPOSであり、会計処理ばかりでなく、タブレット1の静電容量方式のタッチパネル2にタッチペン3でサインされることで、クレジットカードでの支払いに対するサインの受理を行うことができる。タブレット入力補助具10は、クレジットカード利用者に対してサインを求める際に使用されるものである。
【0015】
図1図3を参照して、タブレット入力補助具10は、タブレット1が載置される本体20と、本体20に固定されたカバー30と、から主に構成されている。
【0016】
先ず、本体20について説明する。図2図3を参照して、本体20は、ABS樹脂で形成された本体側基礎部材21と、本体側基礎部材21の上面部に取付けられた平板状のアルミ板25と、ABS樹脂で形成され本体側基礎部材21に取付けられたスナップ26と、シート状に形成されスナップ26の上面に貼着された銅テープ27と、から構成されている。
【0017】
本体側基礎部材21は、底板部21Aと、底板部21Aの両側面に配置される側板部21Bと、が一体成形されている。底板部21Aは、略前後方向に延びる前端部21gと、側面視前端部21gの後端部から後方に向かうほど高くなるように直線状に延びる平板状の傾斜板部21eと、を備えており、前端部21gに上下方向に貫通する貫通孔21aが形成され、傾斜板部21eに上下方向に貫通する貫通孔21bが形成されている。尚、図2においては、説明の便宜上、貫通孔21a,21bを2点鎖線で示している。
【0018】
前端部21gにおける貫通孔21aの前端縁には、上方に立ち上がる立上部21cが形成されている。また、傾斜板部21eにおける貫通孔21bの前端縁には、上方に立ち上がる立上部21dが形成されている。尚、図示しないが、前方側の立上部21cは、貫通孔21aの左右幅と同一幅で形成されており、後方側の立上部21dは、底板部21Aの左右幅と同一幅で形成されている。さらに尚、後方側の立上部21dは、前方側の立上部21dよりも上下方向に長くなっている。
【0019】
また、傾斜板部21eの後端縁には鉤部21fが設けられている。詳しくは、鉤部21fは、傾斜板部21eの後端縁から下方に延びる延設部21kと、延設部21kの下端部から前方側に延びる爪部21mと、から構成されている。尚、立上部21cの下面、及び鉤部21f(爪部21m)の下面にはゴム製の滑り止め用シート28が貼着されている。
【0020】
側板部21Bは、前端部分が前端部21g及び立上部21c,21dが側方から見えないように形成されるとともに、後端部分が傾斜板部21eと鉤部21fとが側方から見えないように形成されている。尚、側板部21Bの後端部分は、その下面が傾斜板部21eと平行となるように形成されているので、側方から傾斜板部21eと鉤部21fとで囲まれた空間に指先等を挿入可能となっている。また、傾斜板部21eの左端縁には、上端縁が立上部21dの上端部から傾斜板部21eの後端部まで直線状に延びる壁部21Cが立設されている。
【0021】
傾斜板部21eの上面には、断面視上向きコ字形状且つ上面視矩形状の凹部21hが形成されており、前述したアルミ板25は、凹部21h内に設置されている。凹部21hの深さは、アルミ板25の厚みよりも浅く形成されているので、凹部21h内に設置された状態においてアルミ板25の上面側が凹部21hよりも上方に張り出すようになっている(特に図3(b)拡大部参照)。
【0022】
すなわち、本体20には、立上部21c、傾斜板部21e、アルミ板25、壁部21Cにより画成された設置部23が形成されている。傾斜板部21e及びアルミ板25は、設置部23の底部を構成しており、設置部23は、後方側及び右方側に開放されており、左方側は壁部21Cにより閉塞されている。尚、立上部21cの背面側(設置部23側)及び壁部21Cの右側面(設置部23側)には、弾性を有するとともに高摩擦部材である例えばゴム等の緩衝部材29a,29bがそれぞれ固着されている。
【0023】
スナップ26は、その後端部26aが傾斜板部21eにおける貫通孔21b側の上端縁に形成された段部21jに載置されており、段部21jとアルミ板25とにより上下方向に狭持されている。また、スナップ26は、後端部26aから貫通孔21bを通って立上部21dの下方まで延びる中間部26bと、中間部26bの前端から立上部21c,21dを繋ぐように下向きU字状に延びる前端部26cと、を備えている。また、前端部26cは、立上部21cの上端縁に係止される爪部26dを有している。これら後端部26a、中間部26b、前端部26cの上面には、シート状の銅テープ27が貼着されている。
【0024】
次に、カバー30について説明する。図1図3を参照して、カバー30は、ABS樹脂で形成されたカバー側基礎部材31と、カバー側基礎部材31に組み合わされる横長円柱状のアルミ棒35と、から主に構成されている。
【0025】
カバー側基礎部材31は、本体20における前端部21gの前端から立上部21dまで前後方向に延び、且つ左右の側板部21Bの前端部分に渡って左右方向に延びる上面視略矩形の板状を成し、前端部21g、立上部21d、左右の側板部21Bにより囲われた空間(本体側基礎部材21の前端部21gの上部空間)を上方から被覆するように設置されている。カバー側基礎部材31は、その上面が本体20における傾斜板部21eと略平行に配置され、前方から後方に向かうほどに高さが増すように構成されている。
【0026】
カバー側基礎部材31には、その前端側において厚み方向に凹むように設けられる断面視U字状の溝部32と、溝部32よりも後端側において左右方向に長く厚み方向に貫通した平面視横長矩形状のスリット33とが形成されており、スリット33よりも後端側において設置部23側に突出する庇部34が備えられている。尚、カバー側基礎部材31における溝部32よりも後端側の部分は、利用者がサインするときに手を載せる手置き部31Aとして機能している。
【0027】
次に、タブレット入力補助具10の組立てについて説明する。先ず、スナップ26の後端部26aを、貫通孔21bの下方から通して本体側基礎部材21の段部21jに配置するとともに、スナップ26の前端部26cを立上部21c,21dとの間(貫通孔21a)に圧入し、爪部26dを立上部21cの上端縁に係止させる。これにより、スナップ26を本体側基礎部材21に取付けることができる。尚、スナップ26を本体側基礎部材21から取外す際には、爪部26dを後方側へと押し下げることによって容易に取外すことができる。
【0028】
次いで、アルミ板25を本体側基礎部材21の凹部21hに嵌合させ両面テープで固定する。本体側基礎部材21の凹部21hに固定されたアルミ板25は、スナップ26に貼着されている銅テープ27に面当接している。スナップ26の後端部26aの厚みと銅テープ27の厚みとの和は、段部21jの深さよりも僅かに大きくなっており、スナップ26の後端部26aが凹部21h側に張り出すため、スナップ26の後端部26aに貼着されている銅テープ27に確実にアルミ板25が確実に接触するようになっている。
【0029】
次いで、スナップ26の前端部26cの上部にアルミ棒35を載置するとともに、カバー側基礎部材31を本体側基礎部材21の前端部分を上方から閉塞するように固定する。これにより、アルミ棒35の上端部分がスリット33を貫通しカバー30よりも上方に露出するとともに、カバー側基礎部材31とスナップ26の前端部26cとによりアルミ棒35が上下に狭持されて固定される。尚、スナップ26の前端部26cは、下向きU字状に湾曲して形成されているので、スナップ26の前端部26cとカバー側基礎部材31とによりアルミ棒35を上下に狭持したときに、弾性変形され、その弾性復元力によりアルミ棒35を強固にカバー側基礎部材31に押し付けることができる。これにより、アルミ棒35は、スナップ26の前端部26cとカバー側基礎部材31とにより狭持された状態において、スナップ26に貼着されている銅テープ27に確実に接触する。
【0030】
次いで、タブレット入力補助具10の設置部23にタブレット1を設置する形態を図4に基づいて説明する。
【0031】
図4(a)に示されるように、タブレット入力補助具10の設置部23は、後方側が開放されているので、設置部23に対して後方側からタブレット1をスライドさせることができる。設置部23に対して後方側からスライドされるタブレット1の前端部は、立上部21c、アルミ板25、庇部34により囲まれた空間(図3参照)内に挿入されて装着するとともに、立上部21cの背面に固着された緩衝部材29aに接触して前後方向の位置決めがされる(図5参照)。このように、タブレット1の前端部が立上部21cに対して緩衝部材29aを介して接触するので、タブレット1や立上部21cが接触により破損することが防止される。
【0032】
また、タブレット1の左端部をタブレット入力補助具10の壁部21Cに沿って配置することにより、タブレット1の左右方向の位置決めがされる。尚、このときも、タブレット1と壁部21Cとの間に、壁部21Cの右側面に固着された緩衝部材29bが介在するため、タブレット1や壁部21Cの破損を防止できる。また、タブレット1がタブレット入力補助具10の設置部23に設置された状態にあっては、タブレット1と該タブレット1に接触する緩衝部材29a,29bとの摩擦力により、タブレット1が後方側または右方側にずれることが抑制される。
【0033】
また、図4(b)に示されるように、タブレット入力補助具10の設置部23は、右方側にも開放されているので、設置部23に対して右方側からタブレット1をスライドさせることができる。設置部23に対して右方側からスライドされるタブレット1の左端部は、緩衝部材29bに接触して左右方向の位置決めがされる。また、タブレット1前端部を立上部21cに沿って配置することにより、タブレット1前端部が立上部21c、アルミ板25、庇部34により囲まれた空間(図3参照)内に挿入されるとともに、タブレット1の前後方向の位置決めがされる(図5参照)。
【0034】
尚、設置部23に対して右後方側から斜め方向にタブレット1をスライドさせて設置するようにしてもよい。また、タブレット1をタブレット入力補助具10から取外す際には、後方側、右方側、もしくは、斜め右後方側にタブレット1をスライドさせて取外せばよい。
【0035】
このように、設置部23に対して後方側、右方側、もしくは、斜め右後方側からタブレット1を容易に着脱できるとともに、立上部21cや壁部21Cを利用してタブレット1の装着時の位置決めを行うことができる。
【0036】
また、図4(c)に示されるように、タブレット入力補助具10の設置部23は、後方側及び右方側に開放されているので、例えば、タブレット1よりもサイズの大きいタブレット1’の後方側及び右方側を設置部23の外側に飛び出させて設置することができる。このように、タブレット入力補助具10は、複数種類のサイズのタブレットを設置できるので汎用性が高い。
【0037】
次いで、タブレット入力補助具10に装着されたタブレット1を用いてサインを行う形態を図5に基づいて説明する。
【0038】
タブレット入力補助具10に装着されたタブレット1を用いてサインを行う際には、前述した手置き部31Aに利用者の手が載置される。具体的には、タブレット入力補助具10の設置部23に設置されたタブレット1のタッチパネル2よりも上方に位置する手置き部31Aに手を載せてサインすることができる。これにより、手置き部31Aに手の手刀部がガイドされるとともに、タッチパネル2にタッチペン3以外の部分が接触することが防止され、タブレット1へ容易に入力をすることができるようになる。
【0039】
また、手置き部31Aに利用者の手が載置されたときには、手の手刀部がアルミ棒35に接触する。このアルミ棒35は、スナップ26の上面に貼着された銅テープ27を介してアルミ板25に接触されており、アルミ板25の上面には、タブレット1が載置されている。すなわち、手置き部31Aには通電性を有するアルミ棒35(利用者側接触部)が配置され、設置部23には通電性を有するアルミ板25(タブレット側接触部)が配置され、アルミ棒35とアルミ板25とは、通電性を有する銅テープ27(接続材)により電気的に接続されている。これによれば、利用者の手刀部がアルミ棒35に接触したときに、タブレット1周辺に存在する静電気等の微弱電流がアルミ板25、銅テープ27、アルミ棒35、利用者の順に流されるとともに、タッチペン3がタッチパネル2に触れることで生じた微小電流がタブレット1、アルミ板25、銅テープ27、アルミ棒35、利用者の順に流されるので、タッチパネル2表面の電流が安定し、タッチペン3を動かした際に発生するタッチパネル2上の電位差が正確に認識されるようになり、安定して入力を行うことができる。
【0040】
また、アルミ板25は、タブレット1の背面に直接接触しているので、確実に微弱電流を利用者に流すことができ、タッチパネル2上の電位差が正確に認識されるようになる。また、タブレット側接触部として平板状のアルミ板25を用いており、アルミ板25は、設置部23の底部に配置されているので、設置部23に載置されたタブレット1を確実にアルミ板25に面接触させることができるとともに、設置部23に載置されたタブレット1の安定性も確保できる。
【0041】
また、アルミ板25は、該アルミ板25の厚みよりも浅く形成された凹部21hに配置されており、凹部21h内に設置された状態においてアルミ板25の上面側が凹部21hよりも上方に張り出すようになっているので、タブレット1を確実にアルミ板25に面接触させることができる。
【0042】
また、スナップ26の後端部26aの厚みと銅テープ27の厚みとの和は、段部21jの深さよりも僅かに大きくなっており、スナップ26の後端部26aが凹部21h側に張り出すとともに、スナップ26の後端部26aは、傾斜板部21eの段部21jとアルミ板25とにより上下方向に狭持されるため、スナップ26の後端部26aに貼着されている銅テープ27に確実にアルミ板25が確実に接触するようになっている。
【0043】
また、スナップ26の前端部26cは、下向きU字状に湾曲して形成されているので、スナップ26の前端部26cとカバー側基礎部材31とによりアルミ棒35を上下に狭持したときに、弾性変形され、その弾性復元力によりアルミ棒35を強固にカバー側基礎部材31に押し付けることができる。これにより、アルミ棒35と銅テープ27とが確実に接触した状態とすることができる。このように、タブレット1、アルミ板25、銅テープ27、アルミ棒35が確実に電気的に接続される。
【0044】
また、アルミ棒35は、左右方向に延設されている。これによれば、サイン時に入力に伴って利用者の手が左右方向に移動しても、アルミ棒35に接触した状態を保持できるので、サイン時には、常にタッチパネル2表面の電流が安定した状態とすることができる。
【0045】
また、アルミ棒35は、面状を成すカバー30よりも上方へ突出しているため、タッチパネル2への入力時には、利用者の手刀部とカバー30との接触面積が小さくなるとともに、該アルミ棒35は円柱状を成しているため、平板状のアルミ棒に接触する場合に比べて、利用者の手刀部とアルミ棒35との接触面積も小さくなり、利用者の手を左右に動かしたときに手置き部31Aとの間に生じる摩擦力を小さくすることができる。また、アルミ棒35は、設置部23に設置されたタブレット1のタッチパネル2の上下端縁と略平行に左右方向に延びているので、アルミ棒35に沿って利用者の手をスライドさせれば、タッチパネル2の入力を左右方向に正確に行うことができる。尚、アルミ棒35は、利用者の手刀部のスライドを円滑に行うために、鏡面仕上げ等の加工が施されていることが好ましい。
【0046】
また、手置き部31Aは、設置部23の一部を覆う庇部34を有しているので、タブレット1のタッチパネル2に近い位置まで手を載せてサインすることができ、タブレット1への入力がしやすい。
【0047】
また、手置き部31Aは、設置部23の底部を構成する傾斜板部21e及びアルミ板25と略平行に配置され、前方から後方に向かうほどに高さが増している。このように、タブレット1はタブレット入力補助具10に対し後端側が高くなるように傾斜して配置されるため、タブレット入力補助具10を机の天板F上に配置したときに、タブレット1のタッチパネル2が前方側の利用者から視やすくなるとともに、タッチパネル2に対して手置き部31Aが略平行に配置されることからサインが容易となる。
【0048】
また、設置部23の後端部から下方に延出する鉤部21fを有している。これによれば、傾斜板部21eの板厚を後方側に向かうにつれて厚くしなくても、後端側が高くなるように傾斜させることができる。また、タブレット入力補助具10を机の天板F上に配置したときに、傾斜板部21eと天板Fとの間に隙間が生じるため、傾斜板部21eと天板Fとの隙間に指先を入れてタブレット入力補助具10を簡便に持ち上げることができる。
【0049】
尚、本実施例では、タッチパネル2にタッチペン3でサインを行う形態を例に挙げ説明しているが、タブレット1がタブレット入力補助具10に装着された状態においてタッチパネル2を指で操作することもできる。この場合であっても、手置き部31Aにより指以外の部分(例えば、手刀部等)がタッチパネル2に接触することが防止されるとともに、指がタッチパネル2に触れることで生じた微小電流がタブレット1、アルミ板25、銅テープ27、アルミ棒35、利用者の順に流されるので、タッチパネル2表面の電流が安定する。
【0050】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0051】
例えば、前記実施例では、タブレット1を装着したタブレット入力補助具10を机の天板Fに載置してサインを行う形態を例示したが、タブレット1を装着したタブレット入力補助具10を持ち上げた状態でサインを行うようにしてもよい。この場合であっても、手置き部31Aと傾斜板部21e及びアルミ板25とが略平行に配置されているので、サインがしやすい。
【0052】
また、前記実施例では、設置部23の底部を構成する傾斜板部21eが後方に向かうほどに高くなるように傾斜する形態を例示したが、設置部23の底部は略水平に配置されていてもよいし、後方に向かうほど低くなるように傾斜していてもよい。これらの場合であっても、手置き部31Aと設置部23の底部とが略平行に配置されることが好ましい。
【0053】
また、前記実施例では、設置部23の後方側及び右方側が開放されている形態を例示したが、設置部23の左方側も開放されていてもよい。また、設置部23の後方側、右方側、左方側のうち少なくとも1つが開放されていればよい。
【0054】
また、前記実施例では、緩衝部材29a,29bが弾性を有する高摩擦部材により構成される形態を例示したが、緩衝部材は少なくとも弾性を有していればよく、例えば、フッ素樹脂などの低摩擦部材を用い、低摩擦部材上を滑らせることで設置部23へのタブレット1の着脱を簡便に行うようにしてもよい。
【0055】
また、前記実施例では、設置部23を構成するアルミ板25と、手置き部31Aを構成するアルミ棒35と、アルミ板25とアルミ棒35とを接続する接続材としての銅テープ27と、により微弱電流が流れる回路を構成する形態を例示したが、設置部、手置き部、接続材は導電性を有していればその素材を自由に変更することができる。例えば、設置部、手置き部、接続材がすべて同一素材(例えばアルミ等)により構成されていてもよい。
【0056】
また、前記実施例では、タブレット側接触部として平板状のアルミ板25を用い、アルミ板25とタブレット1とが面接触する形態を例示したが、上方に突出する凸状部を少なくとも1つ有するタブレット側接触部を用い、タブレット側接触部とタブレット1とが点接触または線接触するようにしてもよい。
【0057】
また、前記実施例では、アルミ板25が設置部23の一部を構成し、アルミ棒35が手置き部31Aの一部を構成する形態を例示したが、設置部23全体や手置き部31A全体が通電性を有する部材、例えば導電性樹脂により構成されていてもよい。
【0058】
また、前記実施例のタブレット入力補助具10は、会計処理やサインの受理を行うタブレットPOSであるタブレット1が装着される形態を例示したが、タブレット入力補助具に装着されるタブレットは、会計処理やサインの受理等の機能を有さないタブレットPOS以外のタブレットであってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1,1’ タブレット
2 タッチパネル
3 タッチペン
4 タブレット収納箱
10 タブレット入力補助具
21C 壁部
21e 傾斜板部(設置部の底部)
21f 鉤部
23 設置部
25 アルミ板(タブレット側接触部)
27 銅テープ(接続材)
31A 手置き部
34 庇部
35 アルミ棒35(利用者側接触部)
図1
図2
図3
図4
図5