(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】開閉装置の修復方法及び開閉装置
(51)【国際特許分類】
E06B 1/56 20060101AFI20221111BHJP
E06B 9/17 20060101ALI20221111BHJP
E06B 9/02 20060101ALI20221111BHJP
E06B 9/11 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
E06B1/56 A
E06B9/17 W
E06B9/02 A
E06B9/11 A
(21)【出願番号】P 2019003321
(22)【出願日】2019-01-11
【審査請求日】2021-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】水原 一也
(72)【発明者】
【氏名】本庄 俊章
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 正博
(72)【発明者】
【氏名】野末 嵩博
(72)【発明者】
【氏名】田中 剛史
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-126992(JP,A)
【文献】実開昭57-027085(JP,U)
【文献】特開2013-053418(JP,A)
【文献】特開昭58-164885(JP,A)
【文献】実開昭60-048594(JP,U)
【文献】特開2008-150812(JP,A)
【文献】特開2007-285004(JP,A)
【文献】実開昭54-075541(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/56
E06B 9/02
E06B 9/06-9/18
E06B 9/56-9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体と、閉鎖状態の前記開閉体の周囲側で外部に露出する外装部材とを備えた開閉装置について修復を行う開閉装置の修復方法において、
前記外装部材の表面を、前記外装部材の露出面形状のカバー部材により覆う工程を含
み、
前記外装部材は、前記開閉体をその開放方向側で収納する収納ケースであって、該収納ケースの表面に開閉体幅方向へわたる凹溝が設けられ、
前記カバー部材は、後側へ折り曲げられた折片部を有する上側カバー部材と、後側へ折り曲げられた凹片部を有する下側カバー部材とを備え、
前記工程では、
前記上側カバー部材は、前記折片部を前記収納ケースの前記凹溝に嵌め合わせて位置決めされ、
前記下側カバー部材は、前記凹片部が前記収納ケースの前記凹溝に嵌め合わせられることを特徴とする開閉装置の修復方法。
【請求項2】
前記工程では、前記カバー部材の少なくとも一部分を折り曲げて、この折り曲げ部分を前記外装部材に嵌め合わせることを特徴とする請求項
1記載の開閉装置の修復方法。
【請求項3】
空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体と、閉鎖状態の前記開閉体の周囲側で外部に露出する外装部材とを備えた開閉装置において、
前記外装部材の表面が、前記外装部材の露出面形状にならう形状のカバー部材により覆われて
おり、
前記外装部材は、前記開閉体をその開放方向側で収納する収納ケースであって、該収納ケースの表面に開閉体幅方向へわたる凹溝が設けられ、
前記カバー部材は、後側へ折り曲げられた折片部を有する上側カバー部材と、後側へ折り曲げられた凹片部を有する下側カバー部材とを備え、
前記上側カバー部材は、前記折片部を前記収納ケースの前記凹溝に嵌め合わせて位置決めされており、
前記下側カバー部材は、前記凹片部が前記収納ケースの前記凹溝に嵌め合わせられていることを特徴とする開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーバーヘッドドアを含むシャッター装置、ロールスクリーン、ブラインド、オーニング装置、門扉、ゲート、スライディングウォール装置等、スライドする開閉体により空間を仕切るようにした開閉装置、特にシャッター装置として好適な開閉装置を修復するようにした開閉装置の修復方法及び開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、例えば特許文献1に記載されるように、空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体と、前記開閉体を閉鎖方向へ案内するガイドレールと、前記開閉体をその開放方向側で収納する収納ケースと、閉鎖された前記開閉体を閉鎖方向側で受ける下枠とを備えた窓用シャッター装置がある。
このような窓用シャッター装置では、ガイドレールや、収納ケース、下枠等、外部に露出する外装部材について、その一部分が、建物の外壁の裏側に埋め込まれ、シール材の充填等により外壁端部との隙間が水密に塞がれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-31635号公報(
図2参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術のように外部に露出する外装部材を備えたシャッター装置では、例えば、強風時の飛来物等との接触により、前記外装部材に変形や摩耗等の損傷を生じる場合がある。このような場合、前記外装部材を交換する必要があるが、既設の前記外装部材を取り外すためには、前記外装部材の一部分に被せられた外壁を破壊しシール材を取り除く必要がある。さらに、外装部材を新規のものに交換した後に、外壁及びシール材の施工が必要になる。このため、その作業時間及び材料コスト等の増大を招くおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体と、閉鎖状態の前記開閉体の周囲側で外部に露出する外装部材とを備えた開閉装置について修復を行う開閉装置の修復方法において、前記外装部材の表面を、前記外装部材の露出面形状のカバー部材により覆う工程を含み、前記外装部材は、前記開閉体をその開放方向側で収納する収納ケースであって、該収納ケースの表面に開閉体幅方向へわたる凹溝が設けられ、前記カバー部材は、後側へ折り曲げられた折片部を有する上側カバー部材と、後側へ折り曲げられた凹片部を有する下側カバー部材とを備え、前記工程では、前記上側カバー部材は、前記折片部を前記収納ケースの前記凹溝に嵌め合わせて位置決めされ、前記下側カバー部材は、前記凹片部が前記収納ケースの前記凹溝に嵌め合わせられることを特徴とする開閉装置の修復方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、既設の外装部材を交換することなく容易に覆い隠すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る開閉装置の修復方法の一例を示す斜視図である。
【
図2】同修復方法を収納ケースに適用した開閉装置の縦断面図である。
【
図3】同修復方法を適用した下枠の一例を示す縦断面図であり、(a)は修復直前の状態、(b)は修復後の状態を示す。
【
図4】既設ガイドレールから開閉体を外そうとしている状態を示す横断面図である。
【
図5】既設ガイドレールに修復用ガイドレール及びカバー部材を装着しようとしている状態を示す横断面図である。
【
図6】既設ガイドレールに修復用ガイドレール及びカバー部材を装着し、開閉体を嵌め合わせた状態を示す横断面図である。
【
図7】同修復方法により修復された開閉装置の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施の形態では、以下の特徴を開示している。
第一の特徴は、空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体と、閉鎖状態の前記開閉体の周囲側で外部に露出する外装部材とを備えた開閉装置について修復を行う開閉装置の修復方法において、前記外装部材の表面を、前記外装部材の露出面形状のカバー部材により覆う工程を含む(
図1~
図6参照)。
この構成によれば、外装部材に変形や摩耗等の損傷を生じている場合でも、この外装部材を、交換することなくカバー部材によって覆い隠すことができる。
【0009】
第二の特徴は、前記外装部材が、前記開閉体をその開放方向側で収納する収納ケースである(
図1及び
図2参照)。
【0010】
第三の特徴は、より作業性を向上するために、前記収納ケースの表面に開閉体幅方向へわたる凹溝が設けられ、前記工程では、前記カバー部材を前記凹溝に嵌め合わせる(
図1及び
図2参照)。
【0011】
第四の特徴は、前記外装部材が、全閉状態の開閉体の閉鎖方向端部に対向する下枠である(
図1及び
図3参照)。
【0012】
第五の特徴は、前記外装部材が、前記開閉体を閉鎖方向へ案内する既設ガイドレールである(
図1及び
図4~
図6参照)。
【0013】
第六の特徴として、前記工程には、開閉体を閉鎖方向へ案内する修復用ガイドレールを前記既設ガイドレールに装着する工程と、前記カバー部材によって前記既設ガイドレールおよび前記修復用ガイドレールの露出面を覆う工程とを含む(
図4~
図6参照)。
【0014】
第七の特徴として、カバー部材と外装部材の一体性を向上する等ために、前記工程では、前記カバー部材の少なくとも一部分を折り曲げて、この折り曲げ部分を前記外装部材に嵌め合わせる(
図3参照)。
【0015】
第八の特徴は、空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体と、閉鎖状態の前記開閉体の周囲側で外部に露出する外装部材とを備えた開閉装置において、前記外装部材の表面が、前記外装部材の露出面形状にならう形状のカバー部材により覆われている(
図7参照)。
この構成によれば、外装部材に変形や摩耗等の損傷を生じている場合でも、この外装部材をカバー部材によって覆い隠すことができる。
【0016】
<具体的実施態様>
次に、上記特徴を有する具体的な実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明において、「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態の開閉体の厚さ方向を意味する。また、「開閉体幅方向」とは、開閉体の開閉方向と略直交する方向であって、開閉体の厚さ方向ではない方向を意味する。また、「開閉体開閉方向」とは、開閉体が空間を仕切ったり開放したりするためにスライドする方向を意味する。
また、以下の説明では、開閉体厚さ方向において、屋外側を前、屋内側を後と表現する場合がある。
【0017】
本実施の形態の修復方法では、閉鎖状態の開閉体10の周囲側で外部に露出する外装部材を備えた開閉装置について、その修復をする。
ここで、前記外装部材は、本実施の形態の一例によれば、収納ケース31、カバー部材60、既設ガイドレール20等である。
【0018】
開閉装置1は、空間を仕切るように下方へ閉鎖動作する開閉体10と、開閉体10の幅方向の端部を凹状に囲んで閉鎖方向へ案内する左右の既設ガイドレール20,20と、開閉体10をその開放方向側で収納する収納部30と、全閉状態の開閉体10の閉鎖方向端部に対向する下枠40とを具備する(
図1参照)。
この開閉装置1は、構造物開口部の窓サッシSの屋外側に位置するように、構造物壁面に固定されて窓用シャッター装置を構成する(
図2参照)。
【0019】
図1中、符号W1、W2は、横方向へスライドして開閉する窓である。
符号d1は収納部30の収納ケース31に形成された損傷、符号d2は既設ガイドレール20に形成された損傷、d3は下枠40に形成された損傷である。
なお、損傷d1,d2,d3は、例えば強風時の飛来物等との接触により形成されたものであり、この損傷には、凹みや、欠け、摩耗、塗装剥がれ等を含む。
【0020】
開閉体10は、横長略矩形状の磁性金属板を曲げ加工してなるスラット11aを、上下に隣接するスラット11a,11a間で回動するように複数連接することで、開閉体本体11を構成し、この開閉体本体11の下側の端部に、下枠40に当接させるための座板部材12(水切り又は幅木と呼称される場合もある。)を、開閉体幅方向にわたって接続している。
この開閉体10の幅方向の端部には、必要に応じて、開閉体厚み方向へ突出してガイドレール内から抜けないように係合する抜止め部材13(
図4参照)が設けられる。
【0021】
既設ガイドレール20は、開閉体10を開閉方向へ案内する部材であり、開閉体10の幅方向の両側各々で、収納部30と下枠40との間にわたって略鉛直状に設けられる。
より詳細に説明すれば、この既設ガイドレール20は、
図4に横断面形状を示すように、開閉体10の幅方向の端部を凹状に囲んで上下方向へ案内するガイド本体部21と、このガイド本体部21の後方側(
図4の上方側)に設けられて不動部位(例えば、構造物壁面x2やサッシ等)に止着される止着柱部22とを一体的に有し、上下方向へ連続している。
【0022】
収納部30は、収納ケース31内に、開閉体10をその開方方向側で巻き取ったり繰り出したりする巻取軸32(
図2参照)や、この巻取軸32を電動で回転させる開閉機33等を収納している。
【0023】
収納ケース31は、巻取軸32の上側を開閉体幅方向へわたって覆う上側部材31aと、同巻取軸32の下側を開閉体幅方向へわたって覆う下側部材31bと、これら上側部材31a及び下側部材31bの幅方向の両端部をそれぞれを覆う側面部材31cとから横長箱状に形成され(
図1参照)、その下端部に、開閉体10を遊挿する横長の開口Aを有する。
【0024】
上側部材31aは、
図2に示すように、開閉体幅方向へ連続する縦断面略逆L字状の部材であり、その天壁部の後側の端部に、上方へ折り曲げられた形状の止着片部31a1を有し、前壁部の下端側には、後側へ折り曲げられた凹片部31a2を有する。
【0025】
止着片部31a1は、外壁x1の裏側の構造物壁面x2(例えば下地部材や骨材等の表面)に止着されている。
外壁x1の端部と上側部材31a上面の間は、シール材等により水密処理が施されている。
【0026】
下側部材31bは、開閉体幅方向へ連続する縦断面略L字状の部材であり、その前壁部の上端側に後側へ折り曲げられた凹片部31b1を有し、同前壁部の下端側に後側へ曲げられた下壁部31b2を有し、この下壁部31b2よりも後側に開口Aを確保している(
図2参照)。
【0027】
これら上側部材31aと下側部材31bは、凹片部31a2,31b1を重ね合わせるようにし、着脱可能な止着具(例えばネジやボルト等)によって接続される。
そして、重ね合わせられた凹片部31a2,31b1は、収納ケース31の表面に横幅方向へ連続する長尺な凹溝Gを構成する。
【0028】
また、下枠40は、左右の既設ガイドレール20,20の下端部間にわたって設けられた長尺状の部材である。
この下枠40は、
図3に示すように、手前側で上方へ立ち上がって開閉体幅方向へ連続する立上り片部41と、後側の端部から上方へ立ち上がって開閉体幅方向へ連続する止着片部42と、これら立上り片部41と止着片部42の間で屋外側へ向かって下り傾斜する傾斜面部43と、傾斜面部43と立上り片部41の間に位置する凹溝部44とを有する。
【0029】
止着片部42は、外壁x1の裏側の構造物壁面x2(例えば下地材等の表面)に止着されている。
外壁x1の端部と傾斜面部43下面の間は、シール材等により水密処理が施されている。
【0030】
本実施の形態の修復方法の一例では、上述した部材のうち、収納ケース31、及び下枠40、既設ガイドレール20等の外装部材について、その屋外側に露出する表面を、それぞれの露出面形状のカバー部材により覆うようにしている。
以下に、各外装部材に対応するカバー部材と、該カバー部材を用いた修復方法について詳細に説明する。
【0031】
外装部材としての収納ケース31は、
図1及び
図2に示すように、上側カバー部材51と、下側カバー部材52とによって覆われる。
【0032】
上側カバー部材51は、開閉体幅方向へ連続する縦断面略逆L字状の部材であり、その前壁部の下端側に、後側へ折り曲げられた折片部51aを有する(
図1及び
図2参照)。
この上側カバー部材51は、
図1及び
図2に示すように、損傷d1等を隠すようにして、収納ケース31の上側部材31aに重ね合わせられ、ネジやボルト、リベット等の止着具(図示せず)によって固定される。
この際、上側カバー部材51は、折片部51aを収納ケース31の凹溝Gに嵌め合わせて位置決めされ、その天壁部の後側の端部51bを、構造物の外壁x1よりも外側(
図2によれば左側)に配置する。したがって、上側カバー部材51の装着作業に伴って構造物の外壁x1を外す必要はない。
【0033】
また、下側カバー部材52は、開閉体幅方向へ連続する縦断面略L字状の部材であり、その前壁部の上端側に後側へ折り曲げられた凹片部52aを有し、同前壁部の下端側に後側へ曲げられた縦断面凹状の下壁部52bを有する(
図1及び
図2参照)。
この下側カバー部材52は、収納ケース31の下側部材31bにおける図示しない傷や汚れ、塗装剥がれ等を覆うようにして、下側部材31bに重ね合わせられる。この際、凹片部52aが凹溝Gに嵌め合わせられ、凹状の下壁部52bが、下側部材31bの下壁部31b2に嵌め合わせられる。
そして、この下側カバー部材52は、止着具53(例えば、ネジやボルト、リベット等)によって固定される。
【0034】
なお、下側部材31bに傷等がない場合には、下側カバー部材52の装着を省くことも可能である。また、他の修復方法としては、下側カバー部材52を装着するのに換えて、既存の下側部材31bを新規の下側部材31bに交換するようにしてもよい。
【0035】
また、外装部材としての下枠40は、
図1及び
図3に示すように、カバー部材60によって覆われる。カバー部材60は、その一部分を折り曲げて、下枠40に嵌め合わせられる。
詳細に説明すれば、このカバー部材60は、下枠40の上側露出面の形状に沿うように、後側で下枠40の止着片部42に沿う立上り片部61と、立上り片部61の下端から前方へ下り傾斜する傾斜面部62と、この傾斜面部62の更に前側に接続された凹溝部63と、この凹溝部63の前端に接続された折曲片部64とを一体に有する縦断面形状であって、開閉体幅方向へわたって長尺状に連続している。
このカバー部材60は、左右の既設ガイドレール20,20間に嵌り合うように、左右の既設ガイドレール20,20間の長さに横幅寸法が設定されている。
【0036】
折曲片部64は、凹溝部63の前端壁63aの上端から前方斜め下側へ傾斜する平板状に形成される。この折曲片部64が前端壁63a上端から前方斜め下側へ突出する長さは、下枠40前端の立上り片部41の上下高さに対し、略同等又は若干大きい長さに設定される。
この折曲片部64は、立上り片部61、傾斜面部62、凹溝部63を、それぞれ、下枠40の止着片部42、傾斜面部43、凹溝部44に重ね合わせ、
図3(b)に示すように、折曲片部64が折り曲げられ、この折曲片部64の内側部分が、下枠40前端の立上り片部41に嵌め合わせられる。そして、この折曲片部64は、要部が止着具(例えばネジやボルト、リベット等)によって下枠40に止着される。
【0037】
また、既設ガイドレール20を修復する工程には、既存の開閉体10を取り外す第一の工程(
図4参照)と、既設ガイドレール20に修復用ガイドレール70を固定する第二の工程(
図5上半部参照)と、既設ガイドレール20及び修復用ガイドレール70の露出面をカバー部材80によって覆う第三の工程(
図5下半部参照)と、幅寸法の異なる修復用開閉体10’を修復用ガイドレール70によって開閉方向へ案内されるように装着する第四の工程(
図6参照)とを含む。
【0038】
前記第一の工程では、既存の開閉体10を巻取軸32に巻き取るようにして既設ガイドレール20から抜き出す。
【0039】
前記第二の工程では、修復用ガイドレール70が、既設ガイドレール20の内側面(
図5によれば、ガイド本体部21の右端面)に沿って上下方向へわたって装着される。
【0040】
修復用ガイドレール70は、既設ガイドレール20のガイド本体部21と略同形状であって修復用開閉体10’を開閉方向へ案内するガイド本体部71と、このガイド本体部71の既設ガイドレール20側の端部から突出する止着片部72とを一体に有する。
【0041】
止着片部72は、上下方向へ連続する略板状に形成され、ガイド本体部21の開口からガイド本体部21内へ挿入され、止着具73(例えば、ネジやボルト、リベット等)によって、ガイド本体部21の内面に止着される。
この止着片部72の他例としては、上下方向において部分的に設けられた態様とすることも可能である。
【0042】
次に、第三の工程では、左側と右側の各々において、既設ガイドレール20及び修復用ガイドレール70の前方側の端面と側方側の端面とを、上下方向にわたって、カバー部材80によって覆う(
図5参照)。
カバー部材80は、既設ガイドレール20及び修復用ガイドレール70の屋外側の露出面を覆う横断面略L字状の部材であり、上下方向へ連続している。このカバー部材80は、既設ガイドレール20及び修復用ガイドレール70に対し、リベット等の止着具74(
図6参照)によって止着される。
このカバー部材80の後端部80aは、構造物の外壁x1よりも屋外側に位置する。したがって、カバー部材80の装着作業に伴って構造物の外壁x1を外す必要はない。
【0043】
次に、第四の工程では、既存の開閉体10を巻付けた巻取軸32が、修復用開閉体10’を巻き付けた巻取軸(図示せず)に交換される。
【0044】
修復用開閉体10’は、上記した既設の開閉体10と略同構造の開閉体であり、横幅が狭くなった左右の修復用ガイドレール70,70に嵌り合うように、幅寸法(詳細には開閉体本体11の幅寸法)が、開閉体10よりも小さく設定される。
【0045】
そして、交換された巻取軸から修復用開閉体10’が繰り出される。この修復用開閉体10’の幅方向端部側は、閉鎖動作に伴い、修復用ガイドレール70内に挿入される(
図6参照)。
【0046】
なお、上記第四の工程では、必要に応じて、巻取軸32を支持する軸受ブラケット(図示せず)や、開閉機33等も、新しいものに交換するようにしてもよい。
また、他例としては、巻取軸32を交換せずに、開閉体10のみを修復用開閉体10’に交換する態様とすることも可能である。
また、上記第四の工程は、上記第一の工程の直後、又は上記第二工程の直後に行うことも可能である。
【0047】
そして、上記第一~第四の工程によれば、ガイドレールが、既設の開閉体10を開閉体開閉方向へ案内する既設ガイドレール20と、修復用開閉体10’を開閉体開閉方向へ案内する修復用ガイドレール70とからなる開閉装置1’が得られる。
そして、この開閉装置1’は、損傷d1,d2,d3を有する外装部材(具体的には、収納ケース31、カバー部材60、既設ガイドレール20等)の表面が、それぞれ、各外装部材の露出面形状にならう外面形状のカバー部材51,52,60,80によって覆われる(
図7参照)。
【0048】
よって、上述した修復方法によれば、構造物の外壁x1やパッキン等を外したり壊したりすることなく、各種カバー部材51,52,60,80を装着して、損傷d1,d2,d3等を覆い隠すことができ、その作業性が良好である。
【0049】
特に、下枠40用のカバー部材60は、その一部分が折り曲げられて下枠40に嵌り合うため、当該カバー部材60の加工性や装着作業性が良好な上、既設の下枠40との一体性にも優れている。
【0050】
また、既設ガイドレール20が変形等の損傷d2により機能を損ねてしまった場合でも、この既設ガイドレール20を交換することなく修復用ガイドレール70を装着して、この修復用ガイドレール70によってガイドレールとしての機能を発揮することができる。
【0051】
また、各種カバー部材51,52,60,80の色や模様等を既設のものと違うものにして、外装部材の色や模様等を容易に変更することもできる。
【0052】
なお、上記実施の形態によれば、下枠40用のカバー部材60について、その一部分である折曲片部64が、折り曲げられるようにしたが、他例としては、収納ケース31用のカバー部材51,52、又は既設ガイドレール用のカバー部材80等、他のカバー部材について、その一部が折り曲げられて対応する外装部材に嵌り合うようにしてもよい。
【0053】
また、上記実施の形態によれば、既設ガイドレール20及び修復用ガイドレール70をカバー部材80によって覆うようにしたが、他例として、損傷d2を有する既設ガイドレール20の機能に問題がない場合等には、修復用ガイドレール70を用いずに、損傷d2を有する既設ガイドレール20をカバー部材によって覆うだけの態様とすることも可能である。
【0054】
また、上記実施の形態によれば、修復用ガイドレール70の止着片部72を既設ガイドレール20内に止着するようにしたが、他例としては、修復用ガイドレール70を既設ガイドレール20の外面に止着する態様や、修復用ガイドレール70を既設ガイドレール20に対し嵌合固定する態様とすることも可能である。
【0055】
また、上記実施の形態によれば、既設ガイドレール20の内側面に沿って修復用ガイドレール70を設けたが、他例としては、既設ガイドレール20の開閉体厚さ方向側に修復用ガイドレールを設けるようにすることも可能である。この他例では、開閉体10の幅方向の寸法を変えないで済むため、既存の開閉体10を用いることが可能である。
【0056】
また、上記実施の形態によれば、各種カバー部材51,52,60,80を、対応する外装部材の略全長にわたるように形成したが、前記カバー部材の他例としては、対応する外装部材の一部分を覆う構成とすることも可能であり、この場合、少なくとも損傷部分を全て覆うようにする。
【0057】
また、本発明は上述した実施態様に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0058】
1,1’:開閉装置
10:開閉体
10’:修復用開閉体
20:既設ガイドレール(外装部材)
30:収納部
31:収納ケース(外装部材)
40:下枠(外装部材)
51:上側カバー部材
52:下側カバー部材
60:カバー部材
70:修復用ガイドレール
80:カバー部材
d1,d2,d3:損傷
G:凹溝