(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】イオン発生装置
(51)【国際特許分類】
H01T 19/04 20060101AFI20221111BHJP
H01T 23/00 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
H01T19/04
H01T23/00
(21)【出願番号】P 2019063776
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】山田 慶太郎
(72)【発明者】
【氏名】花井 孝広
(72)【発明者】
【氏名】白橋 佑典
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-050197(JP,A)
【文献】特開2016-131144(JP,A)
【文献】特開2010-020908(JP,A)
【文献】特開2003-086330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01T 7/00 - 23/00
H05F 1/00 - 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺旋状に流れる螺旋風を送る送風部と、
前記送風部の下流に配置される放電電極と、
前記螺旋風を前記放電電極へ案内するガイド面と
を備
え、
前記ガイド面は、前記ガイド面に当たった前記螺旋風から反射風を生成し、
前記反射風は、前記ガイド面に沿いつつ前記放電電極側へ流れ、
前記ガイド面の面積は、前記放電電極に供給される前記反射風の風量に応じた大きさを有する、イオン発生装置。
【請求項2】
前記ガイド面は、前記放電電極から前記送風部側に離間した場所に配置され、前記螺旋風の中心軸に対して平行な面である、請求項1に記載のイオン発生装置。
【請求項3】
前記ガイド面は、前記放電電極から前記送風部側に離間した場所に配置され、前記螺旋風の中心軸に垂直な方向に対して鋭角に傾斜する面である、請求項1に記載のイオン発生装置。
【請求項4】
前記放電電極は、第1放電電極と、第2放電電極とを含み、
前記第1放電電極と前記第2放電電極とは、前記中心軸を介して互いに離間しており、
前記ガイド面は、
前記第1放電電極から前記送風部側に離間した場所に配置される第1ガイド面と、
前記第2放電電極から前記送風部側に離間した場所に配置される第2ガイド面とを含み、
前記第1ガイド面と前記第2ガイド面とが、互いに反対側を向く、請求項2
又は請求項3に記載のイオン発生装置。
【請求項5】
前記第1放電電極と前記中心軸との距離の方が、前記第2放電電極と前記中心軸との距離よりも長く、
前記第1ガイド面の面積の方が、前記第2ガイド面の面積よりも大きい、
請求項4に記載のイオン発生装置。
【請求項6】
螺旋状に流れる螺旋風を送る送風部と、
前記送風部の下流に配置される放電電極と、
前記螺旋風を前記放電電極へ案内するガイド面と
を備え、
前記ガイド面は、前記放電電極から前記送風部側に離間した場所に配置され、前記螺旋風の中心軸に対して平行な面であり、
前記ガイド面は、前記ガイド面に当たった前記螺旋風から反射風を生成し、
前記反射風は、前記ガイド面に沿いつつ前記放電電極側へ流れ、
前記ガイド面の面積は、前記放電電極に供給される前記反射風の風量に応じた大きさを有する、イオン発生装置。
【請求項7】
螺旋状に流れる螺旋風を送る送風部と、
前記送風部の下流に配置される放電電極と、
前記螺旋風を前記放電電極へ案内するガイド面と
を備え、
前記ガイド面は、前記放電電極から前記送風部側に離間した場所に配置され、前記螺旋風の中心軸に垂直な方向に対して鋭角に傾斜する面である、
前記ガイド面は、前記ガイド面に当たった前記螺旋風から反射風を生成し、
前記反射風は、前記ガイド面に沿いつつ前記放電電極側へ流れ、
前記ガイド面の面積は、前記放電電極に供給される前記反射風の風量に応じた大きさを有する、イオン発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のイオン発生装置は、電極と、送風機と、外筐とを含む。電極及び送風機は、外筐の内部に配置される。外筐には、送気口かが形成される。電極は、イオンを発生する。送風機は、電極で発生されたイオンを空気流により搬送する。イオンは、送気口から排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、送風機から螺旋状に風が流れる場合、風が電極を通らずに電極の周りを螺旋状に旋回することで、電極を通る風量が少なくなる可能性がある。電極を通る風量が少なくなると、送気口から排出されるイオンの量、すなわち、イオンの発生量が低下する可能性がある。
【0005】
本発明は、イオンの発生量が低下することを抑制できるイオン発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の第1局面によれば、イオン発生装置は、送風部と、放電電極と、ガイド面とを備える。送風部は、螺旋状に流れる螺旋風を送る。放電電極は、前記送風部の下流に配置される。ガイド面は、前記螺旋風を前記放電電極へ案内する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のイオン発生装置によれば、イオンの発生量が低下することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係るイオン発生装置の側面図である。
【
図3】送風部とイオン供給部とを示す正面図である。
【
図5】イオン発生素子の回路構成の一例を示す図である。
【
図6】イオン供給部の動作の第1例を示す斜視図である。
【
図7】イオン供給部の動作の第2例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0010】
図1及び
図2を参照して、本発明の実施形態に係るイオン発生装置100について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るイオン発生装置100の側面図である。
図2は、イオン発生装置100の断面図である。
【0011】
図1及び
図2に示すように、イオン発生装置100は、筐体1を備える。筐体1は、中空の部材である。筐体1は、例えば、樹脂により形成される中空の部材である。
【0012】
筐体1は、第1筐体10と、第2筐体20とを含む。第1筐体10には、第2筐体20が着脱自在に取り付けられる。第2筐体20は、第1筐体10の外側に位置する。第1筐体10に第2筐体20が取り付けられることで、第1筐体10の一部が第2筐体20によって覆われる。なお、第1筐体10と第2筐体20とは、一体の部材でもよい。
【0013】
筐体1は、把持部3をさらに含む。把持部3は、筐体1の外面の一部を凹ませた形状を有する。ユーザーは、把持部3を把持してイオン発生装置100を持ち運ぶ。
【0014】
筐体1には、吸気口Aが形成される。吸気口Aは、筐体1の内部Mと外部とを連通する。吸気口Aは、筐体1の下部12に形成される。
【0015】
筐体1には、吹出口Bがさらに形成される。吹出口Bは、筐体1の内部Mと外部とを連通する。吹出口Bは、筐体1の上部11に形成される。
【0016】
図4に示すように、イオン発生装置100は、発光部4と、浄化部5と、送風部6とをさらに備える。
【0017】
発光部4、浄化部5、及び送風部6は、筐体1の内部Mに配置される。
【0018】
発光部4は、浄化部5に向けて光を照射する。発光部4は、例えば、LEDのような光源を含む。
【0019】
浄化部5は、空気を浄化する。浄化部5は、発光部4の上方に配置される。浄化部5は、例えば、光触媒フィルターを含む。光触媒フィルターに含まれる光触媒は、発光部4から光を照射されることで触媒作用を生成する。その結果、空気が浄化部5の光触媒フィルターを通過する際、空気中の臭い成分が分解される。臭い成分は、例えば、アンモニア、メチルメルカプタン、トリメチルアミン、及び/又は、ノネナール等である。
【0020】
浄化部5は、物理吸着型フィルター、及び/又は、化学吸着型フィルターを含み、物理吸着型フィルター、及び/又は、化学吸着型フィルターによって臭い成分を吸着してもよい。光触媒フィルターが用いられない場合、イオン発生装置100は発光部4を備えてなくてもよい。
【0021】
また、本実施形態では、浄化部5は、空気の浄化の第1例として、空気中の臭い成分を低減させる。しかし、本発明はこれに限定されない。浄化部5は、空気の浄化の第2例として、空気中の塵埃を低減させてもよい。この場合、浄化部5は、例えば、HEPAフィルターを含む。
【0022】
筐体1の内部Mには、風路Nが形成される。本実施形態では、風路Nは、上下方向に沿って延びる。風路Nは、吸気口Aと吹出口Bとに連通する。風路N上には、浄化部5と、送風部6とが配置される。
【0023】
送風部6は、風(空気の流れ)を生成する。送風部6は、例えば、ファン6a(
図3参照)と、ファン6aを回転させる駆動源を含む。駆動源は、例えば、モータを含む。
【0024】
イオン発生装置100は、イオン供給部7をさらに備える。イオン供給部7は、筐体1の内部Mに配置される。イオン供給部7は、風路N上に配置される。イオン供給部7は、送風部6の下流に配置される。イオン供給部7は、風路Nを流れる風にイオンを供給する。イオンは、例えば、正イオン、及び負イオンのうちの少なくとも1つのイオンを含む。
【0025】
イオン発生装置100は、整流部8と、ルーバー9とをさらに備える。整流部8及びルーバー9は、筐体1の内部Mに配置される。整流部8及びルーバー9は、風路N上に配置される。
【0026】
整流部8は、送風部6により送られる風をガイドする。整流部8は、イオン供給部7の下流に配置される。整流部8は、筐体1に固定される。
【0027】
ルーバー9は、整流部8から流れる風をガイドする。ルーバー9は、整流部8の下流に配置される。ルーバー9は、風路N上において、吹出口Bの直前に配置される。
【0028】
ルーバー9は、筐体1に回転可能に取り付けられる。筐体1に対するルーバー9の回転角度が変更されることで、吹出口Bから排出される風の排出方向Hが変更される。
【0029】
イオン発生装置100は、記憶部S1と、制御部S2とをさらに備える。
【0030】
記憶部S1は、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)のような主記憶装置(例えば、半導体メモリー)を含み、補助記憶装置(例えば、ハードディスクドライブ)をさらに含んでもよい。主記憶装置及び/又は補助記憶装置は、制御部S2によって実行される種々のコンピュータープログラムを記憶する。
【0031】
制御部S2は、CPU(Central Processing Unit)及びMPU(Micro Processing Unit)のようなプロセッサーを含む。制御部S2は、イオン発生装置100の各要素を制御する。
【0032】
図2を参照して、風路Nを通じた風の流れについて説明する。
【0033】
図2に示すように、送風部6が稼働することで、筐体1の外部から吸気口Aを介して筐体1の内部Mに風が流入する。筐体1の内部Mに流入した風は、浄化部5及びイオン供給部7の順番に、筐体1の内部Mを流れる。浄化部5及びイオン供給部7を流れる風は、浄化部5を通過する際に浄化され、イオン供給部7を通過する際にイオンを供給される。浄化部5及びイオン供給部7を通過した風は、整流部8を通過した後、ルーバー9の回転角度に応じた方向に向かって吹出口Bから排出される。その結果、浄化されると共にイオンを供給された風が、吹出口Bから排出される。本実施形態では、送風部6が稼働することは、送風部6の駆動源であるモータがファン6a(
図3参照)を回転させることを示す。
【0034】
なお、イオン発生装置100は、浄化部5とイオン供給部7との両方を含んでいる必要がなく、浄化部5及びイオン供給部7のうちの少なくともイオン供給部7を含んでいればよい。
【0035】
次に、
図3から
図5を参照して、送風部6とイオン供給部7とについてさらに説明する。
図3は、送風部6とイオン供給部7とを示す正面図である。
図4は、イオン供給部7の底面図である。
【0036】
図3及び
図4に示すように、送風部6は、ファン6aを回転させることによって、螺旋風F1を生成する。螺旋風F1は、送風部6からイオン供給部7に向かって螺旋状に流れる風である。螺旋風F1は、浄化部5を通過後の空気、すなわち、浄化部5により浄化された空気を含む。
【0037】
螺旋風F1は、中心軸Zを中心にして、螺旋状に流れる。中心軸Zは、送風部6からイオン供給部7に向かって延びる軸である。本実施形態では、中心軸Zは、送風部6とイオン供給部7とを通りつつ、上下方向に沿って延びる。
【0038】
本実施形態では、送風部6は、上方に螺旋風F1を送る。送風部6の上方には、イオン供給部7が配置される。
【0039】
イオン供給部7は、筐体71と、第1放電電極72と、第2放電電極73と、第1ガイド板74と、第2ガイド板75とを含む。
【0040】
筐体71は、例えば、絶縁性の樹脂で形成されている。筐体71には、第1放電電極72及び第2放電電極73の各々が取り付けられる。
【0041】
第1放電電極72及び第2放電電極73の各々は、針状の電極である。第1放電電極72及び第2放電電極73の各々は、例えば、導電性を有する金属で形成される。第1放電電極72は、放電することにより正イオンを放出する。第2放電電極73は、放電することにより負イオンを放出する。
【0042】
第1放電電極72及び第2放電電極73の各々は、筐体71の前面71aから突出する。第1放電電極72と第2放電電極73とは、左右方向に沿って互いに離間している。第1放電電極72と第2放電電極73との間には、中心軸Zが位置する。
【0043】
第1ガイド板74及び第2ガイド板75の各々は、板状の部材である。第1ガイド板74及び第2ガイド板75の各々は、例えば、樹脂により形成される。第1ガイド板74及び第2ガイド板75の各々は、筐体71に設けられる。第1ガイド板74及び第2ガイド板75の各々は、筐体71と一体の部材でもよく、筐体71とは別体の部材でもよい。
【0044】
第1ガイド板74は、第1ガイド面74aを含む。第1ガイド面74aは、上下方向に対して平行な平面である。第1ガイド面74aは、第1放電電極72の下方に配置される。第1ガイド面74aは、第1放電電極72から送風部6側に離間した場所に配置される。第1ガイド面74aは、螺旋風F1の風路上に位置する。第1ガイド面74aは、前方を向いている。
【0045】
第2ガイド板75は、第2ガイド面75aを含む。第2ガイド面75aは、上下方向に対して平行な平面である。第2ガイド面75aは、第2放電電極73の下方に配置される。第2ガイド面75aは、第2放電電極73から送風部6側に離間した場所に配置される。第2ガイド面75aは、螺旋風F1の風路上に位置する。第2ガイド面75aは、後方を向いている。第2ガイド面75aは、第1ガイド面74aに対して反対側を向いている。
【0046】
第1ガイド面74aと第2ガイド面75aとは、左右方向に沿って互いに離間している。第1ガイド面74aと第2ガイド面75aとの間は、中心軸Zが位置する。
【0047】
図4に示すように、第1放電電極72と第1ガイド面74aとは、互いに同じ向き(前向き)に配置される。前後方向の位置において、第1ガイド面74aは、第1放電電極72の基部72aと略同じ位置、又は、基部72aよりも僅かに後方に配置される。
【0048】
第2放電電極73と第2ガイド面75aとは、互いに逆向きに配置される。第2放電電極73は前向きに配置され、第2ガイド面75aは後向きに配置される。前後方向の位置において、第2ガイド面75aは、第2放電電極73の先端部73bと略同じ位置、又は、先端部73bよりも僅かに前方に配置される。イオン供給部7を上下方向に見たとき、第2ガイド面75aは、第2放電電極73の先端部73bと対向するように配置される。
【0049】
図3及び
図4に示すように、イオン供給部7は、第1側壁部76と、第2側壁部77と、第3側壁部79とをさらに含む。
【0050】
第1側壁部76は、筐体1に設けられる。第1側壁部76は、第1放電電極72を側方から覆う壁状の部材である。第1側壁部76は、上下方向に沿って延びつつ、筐体1から前方に突出する形状を有する。第1側壁部76は、第1放電電極72に対して側方から対向する。第1側壁部76は、第1放電電極72よりも中心軸Zから離間している。
【0051】
第2側壁部77は、筐体1に設けられる。第2側壁部77は、第2放電電極73を側方から覆う壁状の部材である。第2側壁部77は、上下方向に沿って延びつつ、筐体1から前方に突出する形状を有する。第2側壁部77は、第2放電電極73に対して側方から対向する。第2側壁部77は、第2放電電極73よりも中心軸Zから離間している。また、第2側壁部77は、第2ガイド板75に連なる。
【0052】
第3側壁部79は、筐体1に設けられる。第3側壁部79は、第2ガイド板75に連なる。第3側壁部79と第2側壁部77との間に第2ガイド板75が位置する。
【0053】
イオン供給部7は、イオン発生素子78をさらに含む。
【0054】
イオン発生素子78は、第1放電電極72及び第2放電電極73の各々からイオンを放出させる。イオン発生素子78は、筐体71に収容される。イオン発生素子78には、第1放電電極72及び第2放電電極73の各々が接続される。
【0055】
図5を参照して、イオン発生素子78について説明する。
図5は、イオン発生素子78の回路構成の一例を示す図である。
【0056】
図5に示すように、イオン発生素子78は、第1ランド78aと、コンデンサ78bと、昇圧トランス78cと、トランジスタ78dと、第1ダイオード78eと、第2ダイオード78fと、第1誘導電極78gと、第2誘導電極78hとを有する。イオン発生素子78は、回路基板に設けられる。
【0057】
コンデンサ78bは、第1ランド78aを介して供給される駆動電圧に基づいて一時的に充電を行なう。そして、コンデンサ78bは、駆動電圧を昇圧トランス78cに供給する。
【0058】
昇圧トランス78cは、一次巻線781と二次巻線782とを含む。昇圧トランス78cは、コンデンサ78bから供給された駆動電圧を昇圧する。そして、昇圧トランス78cは、駆動電圧を第1放電電極72と第2放電電極73とに印加する。
【0059】
トランジスタ78dは、昇圧トランス78cを制御する。トランジスタ78dは、例えば、パッケージ化されたMOSトランジスタを含む。
【0060】
第1ダイオード78eは、電流を整流する。第1ダイオード78eのアノードが昇圧トランス78cの二次巻線782に接続されている。第1ダイオード78eのカソードが第1放電電極72に接続されている。
【0061】
第2ダイオード78fは、電流を整流する。第2ダイオード78fのアノードが第2放電電極73に接続されている。第2ダイオード78fのカソードが昇圧トランス78cの二次巻線782に接続されている。
【0062】
第1誘導電極78gは、第1放電電極72の近傍に配置される。第1誘導電極78gは、第1放電電極72で放電が生じるように誘導する。第2誘導電極78hは、第2放電電極73の近傍に配置される。第2誘導電極78hは、第2放電電極73にて放電が生じるように誘電する。
【0063】
コンデンサ78bが繰り返し充放電を行い、さらに、コンデンサ78bの充放電に同期させてトランジスタ78dのオン/オフ動作が切り替えられることにより、昇圧トランス78cの一次巻線781にインパルス電圧が発生する。その結果、昇圧トランス78cの二次巻線782に正の高電圧パルスと負の高電圧パルスとが交互に発生する。
【0064】
二次巻線782で発生した正の高電圧パルスは、第1ダイオード78eを介して第1放電電極72に印加される。二次巻線782で発生した負の高電圧パルスは、第2ダイオード78fを介して第2放電電極73に印加される。従って、第1放電電極72でコロナ放電が発生する。その結果、第1放電電極72から正イオンが放出される。また、第2放電電極73でコロナ放電が発生する。その結果、第2放電電極73から負イオンが放出される。
【0065】
コロナ放電によって生じた正イオンは、空気中の水分と結合する。そして、水分と結合した正イオンは、H+(H2O)を含み、電荷が正のクラスタイオンを形成する。また、コロナ放電によって生じた負イオンは、空気中の水分と結合する。そして、負イオンは、O2
-(H2O)を含み、電荷が負のクラスタイオンを形成する。なお、第1放電電極72及び第2放電電極73の各々に印加される電圧及びパルス周期が変更されることによって、第1放電電極72及び第2放電電極73の各々から発生するイオンの量が調整される。イオンの量は、言い換えれば、イオンの濃度を示す。
【0066】
図2及び
図6を参照して、イオン供給部7の動作の第1例について説明する。
図6は、イオン供給部7の動作の第1例を示す斜視図である。
【0067】
図6は、螺旋風F11を示す。螺旋風F11は、送風部6から送られた螺旋風F1(
図3参照)のうちの一部である。
【0068】
図2及び
図6に示すように、螺旋風F11は、送風部6から送られると、中心軸Zを中心に、イオン供給部7側へ螺旋状に流れる。そして、螺旋風F11は、第1ガイド面74aに前方から当たる。螺旋風F11は、第1ガイド面74aに当たることで流れ方向を変更されて、反射風F21になる。螺旋風F11は、第1ガイド面74aに沿いつつ第1放電電極72側へ流れる。すなわち、第1ガイド面74aは、螺旋状に流れる螺旋風F11を、略ストレートに流れる反射風F21に変更する。反射風F21が第1放電電極72を通過する際、反射風F21の気流中に第1放電電極72から正イオンが放出される。その結果、反射風F21は、正イオンを含んだ状態で、整流部8とルーバー9とを通過した後、吹出口Bから筐体1の外部へ排出される。
【0069】
以上、
図2及び
図6を参照して説明したように、平面である第1ガイド面74aは、螺旋風F11を第1放電電極72へ案内する。従って、第1ガイド面74aに当たった螺旋風F11(反射風F21)を、第1ガイド面74aに沿わせて第1放電電極72側に移動させることができるので、第1放電電極72に対して反射風F21を効果的に流すことができる。その結果、正イオンの発生量(吹出口Bから排出される正イオンの量)が低下することを抑制できる。
【0070】
次に、
図2及び
図7を参照して、イオン供給部7の動作の第2例について説明する。
図7は、イオン供給部7の動作の第2例を示す斜視図である。
【0071】
図7は、螺旋風F12を示す。螺旋風F12は、送風部6から送られた螺旋風F1(
図3参照)のうちの他の一部である。
【0072】
図2及び
図7に示すように、螺旋風F12は、送風部6から送られると、中心軸Zを中心に、イオン供給部7側へ螺旋状に流れる。そして、螺旋風F12は、第2ガイド面75aに後方から当たる。螺旋風F12は、第2ガイド面75aに当たることで流れ方向を変更されて、反射風F22になる。反射風F22は、第2ガイド面75aに沿いつつ第2放電電極73側へ流れる。すなわち、第2ガイド面75aは、螺旋状に流れる螺旋風F12を、略ストレートに流れる反射風F22に変更する。反射風F22は、第2放電電極73を通過する際、第2放電電極73から負イオンを放出される。その結果、反射風F22は、負イオンを含んだ状態で、整流部8とルーバー9とを通過した後、吹出口Bから筐体1の外部へ排出される。
【0073】
以上、
図2及び
図7を参照して説明したように、平面である第2ガイド面75aは、螺旋風F12を第2放電電極73へ案内する。従って、第2ガイド面75aに当たった螺旋風F12(反射風F22)を、第2ガイド面75aに沿わせて第2放電電極73側に移動させることができるので、第2放電電極73に対して反射風F22を効果的に流すことができる。その結果、負イオンの発生量(吹出口Bから排出される負イオンの量)が低下することを抑制できる。また、第2ガイド面75aの側方が第2側壁部77と第3側壁部79とで囲まれるので、螺旋風F12を第2ガイド面75aへ効果的に導くことができると共に、反射風F22を第2放電電極73へ効果的に導くことができる。
【0074】
次に、
図3、及び
図6~
図8を参照して、イオン供給部7についてさらに説明する。
図8は、イオン供給部7の正面図である。
【0075】
図3、及び
図6~
図8に示すように、第1ガイド面74aの面積V1は、第1放電電極72に供給される反射風F21の風量に応じた大きさを有する。第1ガイド面74aの面積V1が大きくなる程、第1ガイド面74aにより第1放電電極72に供給される反射風F21の風量が多くなる。
【0076】
第2ガイド面75aの面積V2は、第2放電電極73に供給される反射風F22の風量に応じた大きさを有する。第2ガイド面75aの面積V2が大きくなる程、第2ガイド面75aにより第2放電電極73に供給される反射風F22の風量が多くなる。
【0077】
本実施形態では、第1ガイド面74aの面積V1の方が、第2ガイド面75aの面積V2よりも大きい(S1>S2)。
【0078】
また、本実施形態では、第1放電電極72から中心軸Zまでの距離D1の方が、第2放電電極73から中心軸Zまでの距離D2よりも長い(D1>D2)。言い換えれば、第1放電電極72の方が第2放電電極73よりも、送風部6から離間している。
【0079】
距離D1の方が距離D2よりも長くなる場合、一般に、第1放電電極72に供給される反射風F21の風量の方が、第2放電電極73に供給される反射風F22の風量よりも少なくなる。しかし、第1ガイド面74aの面積V1を第2ガイド面75aの面積V2よりも大きくすることで、第1放電電極72に供給される反射風F21の風量と、第2放電電極73に供給される反射風F22の風量との間に差が生じることを抑制できる。その結果、第1放電電極72から反射風F21に供給される正イオンの量と、第2放電電極73から反射風F22に供給される負イオンの量との間に差が生じることを抑制できるので、正イオンと負イオンとをバランスよく生成することができる。
【0080】
また、第1放電電極72と第2放電電極73との各々の構成を変更すること無く、第1ガイド面74aの面積V1と、第2ガイド面75aの面積V2との比率を変更するだけで、イオン発生装置100から発生される正イオンと負イオンとのバランスを整えることができる。その結果、イオン発生装置100から発生される正イオンと負イオンとのバランスを容易に整えることができる。
【0081】
また、第1ガイド板74及び第2ガイド板75の各々が、変形可能な構造(例えば、伸縮可能な構造)を有しており、第1ガイド板74及び第2ガイド板75の各々が変形されることで、第1ガイド面74aの面積V1と、第2ガイド面75aの面積V2との各々が変更されてもよい。その結果、正イオンと負イオンとのバランス調整をより容易に行うことができる。
【0082】
以上、図面(
図1~
図8)を参照しながら本発明の実施形態について説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である(例えば、(1)~(2))。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の個数等は、図面作成の都合から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0083】
(1)本実施形態では、イオン発生装置100は、第1放電電極72と、第2放電電極73とを備えており、正イオンと負イオンとを発生する。しかし、本発明はこれに限定されない。イオン発生装置100は、第1放電電極72と、第2放電電極73とのうちのいずれかの電極を備えており、正イオンと負イオンとのうちのいずれかのイオンを発生してもよい。すなわち、イオン発生装置100は、第1ガイド面74aと第2ガイド面75aとのうちのいずれかのガイド面を備えていてもよい。
【0084】
また、イオン発生装置100は、3つ以上の放電電極と、3つ以上のガイド面とを備えていてもよい。
【0085】
また、イオン発生装置100が発生するイオンの種類は特に限定されない。イオン発生装置100は、例えば、ナノイー(登録商標)を発生してもよい。
【0086】
(2)
図9を参照して、イオン供給部7の変形例について説明する。
図9は、イオン供給部7の変形例を示す模式図である。
図9において、第2放電電極73及び第2ガイド面75aの図は省略する。
【0087】
図9に示すように、イオン供給部7の変形例では、前後方向(中心軸Zに対して垂直な方向)に対する第1ガイド面74aの傾斜角度θが鋭角になる。この場合、第1ガイド面74aの上端よりも下端の方が前側(上流側)に位置する。この場合、第1ガイド面74aは、第1ガイド面74aに当たった螺旋風F11を、平面(傾斜面)である第1ガイド面74aに沿わせて流すことで、略ストレートに流れる反射風F21に変更することができる。その結果、第1放電電極72に対して反射風F21を効果的に流すことができる。また、第1ガイド面74aが鋭角に傾斜することで、第1ガイド面74aは、反射風F21の圧力損失を抑制しつつ、第1放電電極72へ反射風F21をガイドできる。
【0088】
なお、前後方向に対する第1ガイド面74aの傾斜角度θと同様に、前後方向に対する第2ガイド面75a(
図7参照)の傾斜角度が鋭角であってもよい。この場合、第2ガイド面75aの上端よりも下端の方が後側(上流側)に位置する。この場合、第2ガイド面75aは、第2ガイド面75aに当たった螺旋風F12を、平面(傾斜面)である第2ガイド面75aに沿わせて流すことで、略ストレートに流れる反射風F22に変更することができる。その結果、第2放電電極73に対して反射風F22を効果的に流すことができる。また、第2ガイド面75aが鋭角に傾斜することで、第2ガイド面75aは、反射風F22の圧力損失を抑制しつつ、第2放電電極73へ反射風F22をガイドできる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、イオン発生装置の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0090】
6 送風部
72 第1放電電極
73 第2放電電極
74a 第1ガイド面
75a 第2ガイド面
100 イオン発生装置
F1,F11、F12 螺旋風