(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】電子装置、そのような電子装置を備えた光ガスセンサー及びそのような電子装置を用いて放射線源の電力を制御する方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/01 20060101AFI20221111BHJP
G01N 21/61 20060101ALI20221111BHJP
G01N 21/3504 20140101ALI20221111BHJP
【FI】
G01N21/01 D
G01N21/61
G01N21/3504
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019065663
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2021-10-22
(32)【優先日】2018-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】597035104
【氏名又は名称】エー・ウント・エー・エレクトロニック・ゲゼルシヤフト・ミト・ベシユレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ヴァイルグーニ
(72)【発明者】
【氏名】フェデリコ・フィロソーミ
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-292320(JP,A)
【文献】特開2008-145106(JP,A)
【文献】特開2001-357982(JP,A)
【文献】特開平02-123694(JP,A)
【文献】特開2002-042732(JP,A)
【文献】特開平06-022541(JP,A)
【文献】特開平11-283781(JP,A)
【文献】特開平11-006813(JP,A)
【文献】国際公開第2005/071825(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0078532(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0265807(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0088111(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00 - G01N 37/00
H05B 31/00 - H05B 47/29
G01B 1/00 - G01B 21/32
G01J 1/00 - G01J 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線源(62)と、パルス継続時間(t
P)の間スイッチオン状態で放射線源(62)を動作させるために放射線源(62)のためのランプ電圧(v
LP)を提供するように構成されている制御式電圧変換器(3)とを備え、この電圧変換器(3)が、ランプ電圧(v
LP)を制御して、この電圧変換器(3)のフィードバック端子(FB)における基準電圧(v
FB)をほぼ一定に維持するように構成される、電子装置(1)
であって、
このフィードバック端子(FB)と接続されている電圧源(DAC)が設けられていて、
予め定義された時間推移を有する、時間に依存する制御電圧(v
DAC)を提供するように、及び、放射線源(62)の電力がパルス継続時間(t
P)の少なくとも90%の間
に最大で25%だけ一定の電力値(P
LP)と異なるように、この電圧変換器(3)が、この制御電圧(v
DAC)の予め定義された時間推移に応じて、ランプ電圧(v
LP)の時間推移を与えるように、それによりフィードバック端子(FB)を介してこの電圧変換器(3)の制御に作用するように、電圧源(DAC)が構成されてい
て、
前記の電圧源(DAC)が、デジタル・アナログ変換器(DAC)を有し、前記の時間に依存する制御電圧(v
DAC
)が、このデジタル・アナログ変換器(DAC)の出力電圧であることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子装置(1)において、
パルス継続時間(t
P)のスタート時に発生可能である、前記の電圧変換器(3)の入力電流(i
in)のスイッチオンサージ電流の値が、パルス継続時間(t
P)の間の平均された電圧変換器(3)の入力電流(i
in)の1.25倍よりも小さいか、或いは等しいことを特徴とする電子装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電子装置(1)において、
前記のパルス継続時間(t
P)が50ms~500msの範囲内に有ることを特徴とする電子装置。
【請求項4】
請求項
1~3のいずれか1項に記載の電子装置(1)において、
第一の抵抗(R
1)と第二の抵抗(R
2)から成る直列回路を有する分圧器を備え、この分圧器が、
第一の抵抗(R
1)の側で放射線源(62)と接続され、
第二の抵抗(R
2)の側で本電子装置(1)のアース端子(15)と接続され、
前記のフィードバック端子(FB)が、この分圧器の第一の抵抗(R
1)と第二の抵抗(R
2)の間の領域において、この分圧器と接続されることを特徴とする電子装置。
【請求項5】
請求項
1~4のいずれか1項に記載の電子装置(1)において、
前記の電圧源(DAC)が、第三の抵抗(R
3)を介してフィードバック端子(FB)と接続されることを特徴とする電子装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の電子装置(1)において、
前記の電圧源(DAC)が、第三の抵抗(R
3)を介して、第一の抵抗(R
1)と第二の抵抗(R
2)の間の領域において前記の分圧器と接続されることを特徴とする電子装置。
【請求項7】
請求項
1~6のいずれか1項に記載の電子装置(1)において、
前記の放射線源(62)の電気抵抗(R
LP)が正の温度係数(α)を有することを特徴とする電子装置。
【請求項8】
光ガスセンサー(6)において、
この光ガスセンサー(6)が請求項
1~7のいずれか1項に記載の電子装置(1)を備えることを特徴とする光ガスセンサー。
【請求項9】
放射線源(62)の電力を制御する方法において、
請求項
4に記載の電子装置(1)を準備する工程と、
パルス継続時間(t
P)の間スイッチオン状態で放射線源(62)を動作させる工程と、
放射線源(62)の電力がパルス継続時間(t
P)の少なくとも90%の間
に最大で20%だけ一定の電力値(P
LP)と異なるように、時間に依存する制御電圧(v
DAC)を提供する工程と、を有することを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項
9に記載の方法において、
前記の制御電圧(v
DAC)の時間推移が周囲温度(T
amb)に応じて決定されることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項
9又は
10に記載の方法において、
前記の制御電圧(v
DAC)の時間推移が放射線源(62)の熱抵抗(R
th)及び/又は放射線源(62)の熱容量(C
th)に応じて決定されることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項
9~11のいずれか1項に記載の方法において、
請求項4に記載の電子装置(1)が準備されることと、
前記の制御電圧(v
DAC)が、パルス継続時間(t
P)の間
に最大で20%だけ次の式
【数1】
ここで、
P
LP:所与の一定の電力値
R
LP,25℃:25℃における放射線源(62)の電気抵抗
α:放射線源(62)の温度係数
R
th:放射線源(62)の熱抵抗
C
th:放射線源(62)の熱容量
T
amb:周囲温度
により決定される時間推移と異なることとを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項
9~12のいずれか1項に記載の方法において、
本方法が電流を測定すること無く実施されることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項
9~13のいずれか1項に記載の方法において、
本方法がランプ電圧(v
LP)を測定すること無く及び/又は放射線源(62)の電力を測定すること無く実施されることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置及びそのような電子装置を備えた光ガスセンサーに関する。更に、本発明は、そのような電子装置を用いて放射線源の電力を制御する方法に関する。この場合、本発明による装置及び本発明による方法は、特に、光ガスセンサーにおける赤外線放射線源と関連して使用することができる。
【背景技術】
【0002】
光ガスセンサーは、多くの場合、例えば、白熱電球の形の赤外線放射線源を有し、その熱放射線は、測定室内に収容されたガスに照射される。このガスは、所定の波長における熱放射線の一部を吸収する。そして、検出器、例えば、フォトダイオードは、少なくとも測定室を通過した熱放射線の部分を検出して、それに応じた信号(例えば、フォトダイオードの場合、光電流)を供給し、その信号から、測定室内のガス濃度を決定することができる。
【0003】
そのような測定のために、放射線源は、通常、例えば、100msであるとすることができる所定のパルス継続時間の間スイッチオンされて、光線パルスを発生させる。その場合、パルス継続時間のスタート時に比較的大きなスイッチオンサージ電流が発生する可能性が有る。それは、特に、PTC挙動を有する放射線源で、即ち、正の温度係数(positive temperature coefficient)を有する放射線源で起こる。それは、低い温度(例えば、スイッチオン時点での室温)の時の放射線源の電気抵抗が、より高い温度の時(例えば、スイッチオンから暫く経過した後)よりも低いことを意味する。光ガスセンサーで使用される放射線源は、通常そのようなPTC挙動を有する。
【0004】
白熱電球では、このPTC挙動のために、本来の動作電流を、例えば、8~10倍上回るような望ましくないスイッチオンサージ電流が発生する可能性が有る。それらのスイッチオンサージ電流は、ガスセンサーの電源から供給しなければならず、従って、システムの設計時に考慮しなければならない。例えば、バス動作式システムの場合、それによって、比較的大きな(そして、高価な)エネルギーバッファを必要とする可能性が有る。バッテリー動作式システムでは、大きなスイッチオンサージ電流によって、バッテリーの寿命が低下する可能性が有る。従って、スイッチオンサージ電流を出来る限り小さくすることが、光ガスセンサーの使用者にとっての選択基準であるとともに、それに対応して製造業者にとっての重要な設計目標である。考えられる理想的な場合には、例えば、スイッチオンサージ電流が殆ど検知されないこと、即ち、電流の推移が四角形であり、パルス継続時間の間の電流消費がほぼ一定であることが望ましい。
【0005】
幾つかの商業的に入手可能な二酸化炭素センサーでは、スイッチオンサージ電流を低減するために、直列抵抗が使用されている。しかし、その比較的安価な解決策の欠点は、直列抵抗がパルス継続時間全体の間放射線源に対して直列に接続され、そのため、持続的にエネルギーが消費されることである。確かに、この直列抵抗を大きく選定する程、スイッチオンサージ電流が小さくなるが、放射線源が放射のために有効に提供するエネルギーも少なくなる。
【0006】
市場で入手できる別の二酸化炭素センサーは、電流が一定である放射線源の動作を実現し、それによって、原理的にサージ電流を発生させない。その解決策の欠点は、放射線源に対する電圧が当初は比較的低いが、時間と共に高い割合で上昇することである。それによって、選択可能な最大電流又はパルス継続時間が制限され、その理由は、さもなければ放射線源に対する電圧が電源を飽和させてしまうからである。更に、電流が一定である動作の場合、放射線源の電圧が、そのため電力が顕著な温度依存性を有する。更に、電圧が一定である動作と異なり、高い低温度抵抗が電流を低下させ、そのため、回路が自己制御性を示さなくなるので、電流が一定である動作によって、放射線源の劣化効果、即ち、放射線源の寿命の間における低温度抵抗の上昇が増幅される。
【0007】
特許文献1には、例えば、FTIR分光計(フーリエ変換赤外線分光計)のIR放射器
などの抵抗性負荷に一定の電力を印加することが提案されている。特許文献2にも、ガスセンサーのIR光源に一定の電力を供給することが規定されている。両方の場合に、電力を制御するために、電流センサーと(アナログ)マルチプレクサが必要である。
【0008】
特許文献3には、寿命の間に電力がほぼ一定である放射線源の動作が提案されており、そのために、電圧源と放射線源の間に相応の抵抗を接続している。しかし、その場合に、放射線源の動的な挙動が考慮されていない。
【0009】
前記の従来技術で周知の解決策は、放射線源のPTC挙動のために、依然としてスイッチオン時にサージ電流が発生する可能性が有る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許公開第2016/0172855号明細書
【文献】米国特許第5,095,270号明細書
【文献】米国特許第6,023,069号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記に鑑みて、本発明の課題は、例えば、光ガスセンサーにおいて、回路技術的に比較的小さい負担で放射線源のスイッチオンサージ電流を防止又は低減できる電子装置及び方法を提供することである。更に、そのような特性を有する光ガスセンサーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本課題を解決するために、独立請求項に基づく放射線源の電力を制御する電子装置、光ガスセンサー及び方法を提案する。幾つかの実施例の特徴は、従属請求項に記載されている。従属請求項の特徴は、明示的に何らかの異なる特徴が記載されていない限り、更に別の実施構成を実現するために、互いに組み合わせることができる。この場合、以下において述べる電子装置の特徴は、光ガスセンサーでも相応に実現することができ、その逆も可能である。同様に、本方法の特徴は、電子装置及び/又は光ガスセンサーの特徴に反映させることができ、その逆も可能である。
【0013】
第一の観点では、電子装置は、放射線源と制御式電圧変換器を備える。この放射線源は、特に、赤外線放射線源であるとすることができる。例えば、放射線源は、白熱電球又は薄膜放射器である。この電圧変換器は、放射線源のためのランプ電圧を提供して、パルス継続時間の間スイッチオン状態で放射線源を動作させるように構成される。この電圧変換器は、ランプ電圧を制御して、この電圧変換器のフィードバック端子における基準電圧がほぼ一定に維持されるように構成される。この電子装置は、更に、フィードバック端子と接続された電圧源を備え、この電圧源は、予め定義された時間推移を有する時間に依存する制御電圧を提供し、それによって、フィードバック端子を介して電圧変換器の制御に作用するように構成されて、この電圧変換器は、放射線源の電力がパルス継続時間の少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、それどころか少なくとも99%など)の間高々25%(例えば、高々20%、高々10%又は高々5%など)だけ一定の電力値と異なるように、制御電圧の予め定義された時間推移に応じてランプ電圧の時間推移を与える。有利な実施構成では、放射線源の電力がパルス継続時間全体の間高々25%(例えば、高々20%、高々10%又は高々5%など)だけ一定の電力値と異なると規定することができる。
【0014】
本出願の範囲内では、一つの電子部品が別の電子部品と「接続」されるとの記載は、それら二つの電子部品の間に低インピーダンスの電子接続部が存在することを意味する。
【0015】
更に、以下において、「地気(アース)」とは、基準電位を提供する構造部であると理解する。しかし、その電位は、必ずしも地電位である必要はない。
【0016】
以下において、「ランプ」、「ランプ電流」、「ランプ電力」、「ランプ抵抗」等に関して述べる場合、それらは、それぞれ放射線源の、或いは放射線源における放射線源の種類に依存しない電気的な変数であると理解する。
【0017】
放射線源は、例えば、赤外線放射線源であるとすることができる。特に、放射線源は、PTC挙動を有することができる、即ち、放射線源の電気抵抗が正の温度係数を有するとすることができる。そのような放射線源の例は、白熱電球又は薄膜放射器である。
【0018】
本発明の第二の観点は、本発明の第一の観点に基づく電子装置を備えた光ガスセンサーに関する。
【0019】
第三の観点は、本発明の第一の観点に基づく電子装置を準備する工程と、パルス継続時間の間スイッチオン状態で放射線源を動作させる工程と、放射線源の電力が、パルス継続時間の少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、それどころか少なくとも99%など)の間高々25%(例えば、高々20%、高々10%又は高々5%など)だけ一定の電力値と異なるように、時間に依存する制御電圧を提供する工程とを有する、放射線源の電力を制御する方法を規定する。それどころか、有利な実施構成では、放射線源の電力がパルス継続時間全体の間高々25%(例えば、高々20%、高々10%又は高々5%など)だけ一定の電力値と異なると規定することができる。
【0020】
以下において、前記の三つの観点の全てに関連して述べる。
【0021】
本発明は、放射線源の動的な挙動を知り、それを考慮して、パルス継続時間の間ほぼ一定の電力で放射線源を動作させることによって、放射線源においてスイッチオンサージ電流を低減できる、それどころか完全に防止できるとの考えを出発点とする。この場合、電力は、調整されるのではなく、時間に依存する好適な制御電圧によって制御される。
【0022】
この場合、制御電圧の時間推移は、例えば、放射線源の電気特性及び/又は温度特性を考慮して、事前に、即ち、予め定義される。言い換えると、制御電圧の時間推移は、例えば、放射線源における実際の(測定された)電気変数、例えば、ランプ電流、ランプ電圧又はランプ電力などに依存しない。その点に限って、ランプ電力の調整は行なわれず、そのため、この放射線源の電力を制御する方法は、ランプ電流又はランプ電圧を測定すること無く実施することができる。それに対応して、この電子装置は、放射線源における電流センサー又は電圧センサーを無くすことができる。しかし、制御電圧の時間推移は、例えば、(放射線源を含む)電子装置の電気特性値及び/又は温度特性値及び/又は周囲温度などの事前に(パルス継続時間のスタート前に)既知であるパラメータに依存して決定することができる。例えば、制御電圧の時間推移は、放射線源の熱抵抗及び/又は熱容量に依存して決定することができる。
【0023】
一つの実施構成では、制御電圧の時間推移は、パルス継続時間のスタート時に発生する可能性の有る、電圧変換器の入力電流のスイッチオンサージ電流の値がパルス継続時間の間におけるこの入力電流の平均値の1.25倍以下であるように選定される。
【0024】
有利には、スイッチオンサージ電流の値が、値的に入力電流のパルス継続時間の間の平均値の1.2倍以下、1.1倍以下、それどころか1.05倍以下であるとすることができる。
【0025】
一つの変化形態では、この電子装置は、第一の抵抗と第二の抵抗から成る直列回路を有する分圧器を備える。この場合、分圧器は、第一の抵抗の側で放射線源と接続される。例えば、この分圧器は、そのようにして、第一の抵抗の側でランプ電圧を取り出すことができる。それと同時に、この分圧器は、更に、第一の抵抗の側で電圧変換器の出力端子と接続することができる。この分圧器は、第二の抵抗の側で電子装置のアース端子と接続される。言い換えると、この分圧器は、電子装置の所定の動作時に、第二の抵抗の側でアース電位と繋ぐことができる。フィードバック端子は、この分圧器の第一の抵抗と第二の抵抗の間の領域において、この分圧器と接続される。即ち、フィードバック端子は、第一と第二の抵抗の間の電位を取り出す。
【0026】
更に、一つの実施構成では、電圧源は、例えば、第三の抵抗を介して、電圧変換器のフィードバック端子と接続することができる。更に、この電圧源は、例えば、第三の抵抗を介して、第一の抵抗と第二の抵抗の間の領域において、分圧器と接続することができる。
【0027】
この電圧源がデジタル・アナログ変換器、特に、バッファ付デジタル・アナログ変換器であるか、或いはそのような変換器を備えることができ、時間に依存する制御電圧が、デジタル・アナログ変換器の出力電圧として提供されることは、本発明の範囲内にある。
【0028】
一つの実施構成では、時間に依存する制御電圧は、パルス継続時間の間高々20%だけ(例えば、高々10%だけ又は高々5%だけなど)次の式により決定される時間推移と異なるように提供される。
【数1】
ここで、
P
LP:所与の一定の電力値
R
LP,25℃:25°における放射線源の電気抵抗
α:放射線源の温度係数
R
th:放射線源の熱抵抗
C
th:放射線源の熱容量
T
amb:周囲温度
【0029】
以下における図面に基づく幾つかの実施例の記述において、本発明の更なる詳細及び利点が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図2A】放射線源の簡単な電気モデルの実施例の模式図
【
図3】一つ又は複数の実施構成による電子装置の実施例の模式図
【
図4A】異なる温度においてシミュレーションしたパルス継続時間の間のランプ電圧及びランプ電流の時間推移の実施例の模式的なグラフ図
【
図4B】異なる温度においてシミュレーションしたパルス継続時間の間のランプ電力の時間推移の実施例の模式的なグラフ図
【
図5A】パルス継続時間の間のランプ電流のシミュレーションした時間推移と測定した時間推移を比較した実施例の模式的なグラフ図
【
図5B】パルス継続時間の間のランプ電力のシミュレーションした時間推移と測定した時間推移を比較した実施例の模式的なグラフ図
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、従来技術で周知の光ガスセンサー6の基本構成の実施例を模式的に図解している。この場合、赤外線放射線源62、例えば、白熱電球又は薄膜放射器から、熱放射線MIRが照射される。(ここでは、例えば、フォトダイオード2として図示された)検出器と放射線源62の間には、測定すべきガスG、例えば、二酸化炭素を有する測定室61が有る。このガスGは、所定の波長における熱放射線MIRの部分を吸収する。ガスの濃度に応じて、フォトダイオード2は、より大きい、或いはより小さい光電流を提供する。そのため、フォトダイオード2の信号は、ガスの濃度を計測するために用いることができる。
【0032】
図2A及び2Bは、例えば、前述した光ガスセンサー6で使用できるような、放射線源62の簡単な電気モデル又は熱モデルの実施例を模式的に図示している。この場合、ここでは、白熱電球などの放射線源62が、第一の近似で、熱容量C
thと熱抵抗R
thを有する温度に依存する電気抵抗R
LP(
図2Aを参照)としてモデル化されている。この電気抵抗R
LPを介して、ランプ電圧v
LPが低下する。それに対応するランプ電流は、i
LP=v
LP/R
LPである。この温度に依存するランプ抵抗R
LPは、25℃におけるランプ抵抗R
LP,25℃、ランプ渦巻き線の温度T
LP及びこの渦巻き線の温度係数αから、次の式の通り得られる。
【数2】
【0033】
このランプ渦巻き線の温度T
LPは、又もや周囲温度T
ambとエネルギー導入による追加加熱量に依存する。
図2Bの熱に関する等価回路構成では、熱源621が、渦巻き線で変換されるジュール熱出力P
LP=v
LP・i
LPを示し、シンボルによる「電圧源」は、スイッチオフ状態でのランプ渦巻き線の温度T
LPに等しい周囲温度T
ambを表す。
図2Bの熱に関する等価回路構成によると、渦巻き線の熱容量C
thは、次の式の通り熱的な挙動を引き起こす。
【数3】
【0034】
この動特性は、以下において、制御電圧vDACの実現可能な時間推移を計算するために使用される。
【0035】
図3は、一つ又は複数の実施構成による電子装置1の実施例を模式的に図示している。図示された実施例では、スイッチオンサージ電流の問題が、DC/DCバックコンバータ(ドイツ語で「Abwaertswandler」又は「Abwaerts-Schaltregler」)の形の電圧変換器3を用いて解決されている。バックコンバータでは、出力電圧が常に入力電圧よりも低くなければならない。しかし、それに代わって、本発明による電子装置は、例えば、出力電圧を入力電圧よりも低く、或いは高くすることができるバック・ブーストコンバータを用いて実現することもできる。
【0036】
図示されたバックコンバータ3は、入力端子VIN、出力端子SW(「スイッチノード」に関する通常の符号)、制御入力EN及びフィードバック端子FBを有する。この入力端子VINには、電源電圧V
ccが加わる。この出力端子SWは、放射線源62と接続されている。
図3に図示されたインダクタンスL及びキャパシタンスCは、機能的に電圧変換器3に属する。
図3で符号3を付与された部品は、厳密に言うと、バックコンバータに関する駆動モジュールを表すだけである。そのような駆動モジュールは、多くの場合商業的に「バックコンバータ」との名称で提供され、例えば、相応のインダクタンスL又は相応のキャパシタンスCを提供するコイルやコンデンサなどの機能的に電圧変換器3に属する構成部品は、必要に応じて、使用者によって、例えば、回路基板上に更に設置される。
【0037】
図示された実施例では、この電子装置1は、更に、制御入力ENに繋がれたマイクロコントローラμCを有する。このマイクロコントローラμCは、相応の制御信号を提供することによって、バックコンバータ3の(図示されていない)スイッチ素子をスイッチオン又はスイッチオフする(EN=「高」又は「低」)ように構成される。バックコンバータ3がスイッチオフされた状態(連続してEN=「低」)では、この回路は、殆ど電流を必要としない(~μA)。ランプパルスにおいて(即ち、例えば、50ms~500msの範囲内とすることができるパルス継続時間tpの間に)、バックコンバータ3は、コイルLが(例えば、100kHz~1MHzの範囲内の周波数で)絶えずスイッチオン及びスイッチオフされるように、マイクロコントローラμCを用いて、制御入力ENを介して駆動される。このバックコンバータ3の内部制御回路は、スイッチ素子、インダクタンスL及びキャパシタンスCの協働作用により、回路の出力に、即ち、放射線源62に対して平均的なランプ電圧vLPを設定する役割を果たす。当業者には、バックコンバータ3及びそれ以外の種類の制御式電圧変換器3の基本的な機能形態は既知である。
【0038】
既に
図2Aと関連して説明した通り、与えられたランプ電圧v
LPから、ランプ抵抗R
LPより、ランプ電流i
LP=v
LP/R
LPが得られる。この電子装置1は、第一の近似において、例えば、η=90%のオーダーの一定の効率ηを有する。それによると、入力電力対出力電力の関係は、次の式により与えられる。
P
out=P
LP=P
in・η=V
cc・i
in・η
【0039】
この式から、入力電流i
inが次の通り得られる。
【数4】
【0040】
この入力電流iinは、使用者によって「与えられ」(即ち、外部から提供されなければならず)、従って、サージ、特に、スイッチオンサージに関して出来る限り独立している。本発明では、これは、ランプパルスのパルス継続時間tPの間に渡って積vLP・iLPを少なくともほぼ一定に維持することによって実現される。そして、特に、電源電圧Vccが一定であると仮定して、前記の式により、入力電流iinもサージに関して独立している。
【0041】
以下において、
図3に図示された形式の電子装置1を用いて、如何にしてパルス継続時間t
Pの間ランプ電力P
LPをほぼ一定に維持できるのかを説明する。
【0042】
通常、直流電圧変換器は、出力電圧が一定になるように設計されている。例えば、
図3のバックコンバータ3では、図示されている通り、第一の抵抗R
1と第二の抵抗R
2から成る直列回路を有する分圧器を用いて、一定のランプ電圧v
LPを設定することができる。この場合、分圧器は、第一の抵抗R
1の側で放射線源62と接続され、第二の抵抗R
2の側で電子装置1のアース端子15と接続されている。このアース端子15は、ジャック及びそれと同等の物との意味において専用の端子である必要はなく、例えば、簡単に(例えば、光ガスセンサー6の)筐体又は所定の動作時に電子装置1のアースと接続される何らかの素子における端子として構成することもできる。
【0043】
バックコンバータ3のフィードバック端子FBは、第一の抵抗R1と第二の抵抗R2の間の領域において分圧器と接続されている。この場合、バックコンバータ3は、その内部制御回路によって、ランプ電圧vLPを制御して、フィードバック端子FBにおける基準電圧vFBをほぼ一定に(即ち、ほぼ所与の基準値に)維持するように構成されている。
【0044】
図示された実施例では、ここで、例えば、バッファ付デジタル・アナログ変換器DACの形の時間に依存する電源DACの出力が、第三の抵抗R3を介して、第一の抵抗R1と第二の抵抗R2の間の領域において分圧器と接続されている。それと同時に、このデジタル・アナログ変換器DACの出力は、フィードバック端子FBと接続されている。このデジタル・アナログ変換器DACの出力には、所定の時間推移を有する時間に依存する制御電圧vDACを与えることができる。例えば、このデジタル・アナログ変換器DACの出力における制御電圧vDACの時間推移は、マイクロコントローラμCによって、少しずつ与えることができる。
【0045】
この制御電圧v
DACの時間推移を目的通り付与することによって、ランプ電圧v
LPの所望の時間推移を設定することができる。この実施例では、分圧器と基準電圧v
FBのフィードバック制御に基づく制御電圧v
DACとランプ電圧v
LPの間の関係は、次の式により与えられる。
【数5】
【0046】
フィードバック出力FBにおける基準電圧vFBは、バックコンバータ3により与えられ、例えば、0.6V~0.9Vの範囲内であるとすることができる。これらの抵抗R1,R2及びR3は、有利には、バッファを含むデジタル・アナログ変換器DACの制御範囲が(例えば、0.6V~2.4Vの範囲内の)所望のランプ電圧vLPをカバーできるように選定される。
【0047】
ここで、
図2A,2Bと関連して上述した放射線源62の電気モデル及び熱モデルを考慮して、パルス継続時間t
Pの間におけるランプ電力P
LPの出来る限り一定の推移を実現する制御電圧の時間推移v
LP(t)が決定される。所望の一定のランプ電力P
LPを導き出すことを目的として出発すると、上記の式(2)から、以下のアプローチにより解くことができる差分方程式が得られる。
【数6】
【0048】
この場合、パラメータtは時間である。式(4)から得られるランプ温度T
LPを式(1)に代入すると、次の式を用いて、
【数7】
次の通り、ランプ電圧v
LPの時間推移を計算することができる。
【数8】
【0049】
そのため、この簡単なランプモデルでは、ランプ電圧の推移v
LP(t)を解析計算することができる。式(5)を式(3)に代入して、制御電圧v
DACに関して解くと、次の通り、DAC出力電圧v
DAC(即ち、制御電圧)の好適な時間推移が得られる。
【数9】
ここで、パラメータは次の通りである。
P
LP:所与の(望ましい)一定の電力値
R
LP,25℃:25℃における放射線源62の電気抵抗
α:放射線源62(例えば、白熱電球の渦巻き線)の温度係数
R
th:放射線源62の熱抵抗
C
th:放射線源62の熱容量
T
amb:放射線源62の周囲温度
【0050】
図4Aは、三つの異なる温度、即ち、25℃、85℃及び-40℃におけるパルス継続時間t
P=300msの間のランプ電圧v
LP又はランプ電流i
LPの時間推移をシミュレーションした例を模式的に図示している。この場合、制御電圧v
DACの時間推移は、それぞれ上記の式(6)に基づき、周囲温度の固定値T
amb=25℃とP
LP=200mWの大きさの所望の(ほぼ)一定の電力値に関して計算されている。
【0051】
ランプ電圧vLP(一点鎖線で表示された曲線VLP)は、ランプ電流iLPと異なり温度依存性を持たない。実線の曲線i+25は、25℃におけるランプ電流iLPを表し、点線の曲線i+85は、温度85℃におけるランプ電流iLPを表し、破線の曲線i-40は、温度-45℃におけるランプ電流iLPを表す。ここでも、曲線i+25は、パルスのスタート時のランプサージ電流を表すが、バックコンバータの制御挙動により、一定の入力電流iinが得られている。
【0052】
図4Aでは、温度が低い場合、スイッチオンサージ電流の上昇が顕著になる(曲線i-40を参照)ことが分かる。本発明による方法の範囲内では、先ずは周囲温度T
ambを測定することによって、それを相殺することができる。そのような周囲温度T
ambの測定は、何れにせよ二酸化炭素センサー6の動作時に通常行なわれている。次に、測定した周囲温度T
ambを考慮して、式(6)により好適な制御電圧の推移v
DAC(t)が決定されて、DAC出力に出力される。この制御電圧の推移v
DAC(t)を決定するために、例えば、この電子装置1の一部としての(マイクロ)プロセッサなどの一つ又は複数の好適なデータ処理機器を配備することができる。
【0053】
図4Bは、異なる温度(25℃,85℃,-40℃)におけるパルス継続時間t
Pの間のランプ電力の時間推移をシミュレーションしたものを図示しており、このランプ電力は、それぞれ対応する温度における
図4Aの曲線と同じシミュレーションから得られている。実線の曲線Pges+25は、25℃における電子装置1の全電力である。この実線の曲線PLP+25は、25℃におけるランプ電力を表し、所与の一定の電力値P
LP=200mWに相当する。実線の曲線Pdcdc+25は、25℃における電圧変換器3内で失われる電力を表す。破線の曲線Pges-40、PLP-40及びPdcdc-40は、それぞれ-40℃における全電力、ランプ電力及び電圧変換器3内で失われる電力を表す。点線の曲線Pges+85、PLP+85及びPdcdc+80は、それぞれ+85℃における全電力、ランプ電力及び電圧変換器3内で失われる電力を表す。各全電力とのランプ電力の比較から、電子装置1の効率が比較的大きい(η=90%の範囲である)ことが明らかである。それによって、自己加熱が小さい効率的なガスセンサー6を構築することができる。
【0054】
図5Aは、ランプ電流i
LPの測定した時間推移と上記のミュレーションした時間推移の比較例を模式的に図示している。ランプ電圧曲線VLP及び(
図4Aの曲線i+25に対応する)25℃におけるランプ電流曲線i+25に加えて、25℃におけるランプ電流の測定曲線iMが表示されている。
【0055】
図5Bは、ランプ電力の時間推移に関して相応に比較したグラフを図示している。(
図4Bの曲線PLP+25に対応する)曲線PLP+25に加えて、付属の測定曲線PMが表示されている。この測定曲線PMは、ほぼ一定に推移して、パルス継続時間t
Pのほぼ全体の間に所望の一定の電力値P
LP=200mWとの違いが(測定アーチファクト又は雑音を除いて)20%以内である。この測定曲線PMは、一つの単なる測定例である。本発明による装置及び本発明による方法によって、この用途では、パルス継続時間t
Pの間に、所望の一定の電力値P
LPとの明らかにより小さい違い、例えば、15%、10%、5%以内や、それどころか2%以内などを達成することもできる。
【0056】
ここで例として使用した簡単なランプモデルが第一の近似だけを表すことに留意されたい。ここでは、例えば、タングステンの一定でない温度係数、リード抵抗、放射率の温度依存性などの追加の効果は考慮されていない。従って、式(6)を追加のパラメータだけ拡張することは本発明の目的に適うことであるとすることができる。それに代わって、多項式又はそれ以外の近似手法によって、制御電圧の理想的な推移vDAC(t)に適合させることもできる。
【0057】
ランプ電圧の推移vLP(t)を各周囲温度Tambに適合させることによって、電子装置1の動作温度範囲全体に渡ってほぼ一定の電力による放射線源62の動作を実現することもできる。
【0058】
本発明によって、定電圧動作の利点を定電流動作の利点と組み合わせた形態により、例えば、赤外線熱放射器などの放射線源62を動作させることができる。そのために、ランプサージ電流を防止するか、或いは大きく低減すること以外に、温度に対する変動を小さくすることとランプ寿命の間の変動を小さくすることとが挙げられる。別の利点は、ここで提案した電子装置1の回路負担が比較的小さいことである。多くの商用マイクロコントローラは、何れにせよバッファ付DACを組み込んでおり、その結果、ランプ駆動部に関する僅かな追加面積分しか生じない。更に、(90%の範囲の)達成可能な高い効率によって、自己加熱が小さい効率的な光ガスセンサーを構築することができる。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下の構成も包含し得る:
1.
放射線源(62)と、パルス継続時間(t
P
)の間スイッチオン状態で放射線源(62)を動作させるために放射線源(62)のためのランプ電圧(v
LP
)を提供するように構成されている制御式電圧変換器(3)とを備え、この電圧変換器(3)が、ランプ電圧(v
LP
)を制御して、この電圧変換器(3)のフィードバック端子(FB)における基準電圧(v
FB
)をほぼ一定に維持するように構成される、電子装置(1)において、
このフィードバック端子(FB)と接続されている電圧源(DAC)が設けられていて、
予め定義された時間推移を有する、時間に依存する制御電圧(v
DAC
)を提供するように、及び、放射線源(62)の電力がパルス継続時間(t
P
)の少なくとも90%の間最大で25%だけ一定の電力値(P
LP
)と異なるように、この電圧変換器(3)が、この制御電圧(v
DAC
)の予め定義された時間推移に応じて、ランプ電圧(v
LP
)の時間推移を与えるように、それによりフィードバック端子(FB)を介してこの電圧変換器(3)の制御に作用するように、電圧源(DAC)が構成されている当該電子装置。
2.
上記1に記載の電子装置(1)において、
パルス継続時間(t
P
)のスタート時に発生可能である、前記の電圧変換器(3)の入力電流(i
in
)のスイッチオンサージ電流の値が、パルス継続時間(t
P
)の間の平均された電圧変換器(3)の入力電流(i
in
)の1.25倍よりも小さいか、或いは等しい当該電子装置。
3.
上記1又は2に記載の電子装置(1)において、
前記のパルス継続時間(t
P
)が50ms~500msの範囲内に有る当該電子装置。
4.
上記1から3までのいずれか一つに記載の電子装置(1)において、
第一の抵抗(R
1
)と第二の抵抗(R
2
)から成る直列回路を有する分圧器を備え、この分圧器が、
第一の抵抗(R
1
)の側で放射線源(62)と接続され、
第二の抵抗(R
2
)の側で本電子装置(1)のアース端子(15)と接続され、
前記のフィードバック端子(FB)が、この分圧器の第一の抵抗(R
1
)と第二の抵抗(R
2
)の間の領域において、この分圧器と接続される当該電子装置。
5.
上記1から4までのいずれか一つに記載の電子装置(1)において、
前記の電圧源(DAC)が、第三の抵抗(R
3
)を介してフィードバック端子(FB)と接続される当該電子装置。
6.
上記4又は5に記載の電子装置(1)において、
前記の電圧源(DAC)が、第三の抵抗(R
3
)を介して、第一の抵抗(R
1
)と第二の抵抗(R
2
)の間の領域において前記の分圧器と接続される当該電子装置。
7.
上記1から6までのいずれか一つに記載の電子装置(1)において、
前記の放射線源(62)の電気抵抗(R
LP
)が正の温度係数(α)を有する当該電子装置。
8.
上記1から7までのいずれか一つに記載の電子装置(1)において、
前記の電圧源(DAC)がデジタル・アナログ変換器を有し、前記の時間に依存する制御電圧(v
DAC
)が、このデジタル・アナログ変換器(DAC)の出力電圧である当該電子装置。
9.
光ガスセンサー(6)において、
この光ガスセンサー(6)が上記1から8までのいずれか一つに記載の電子装置(1)を備える当該光ガスセンサー。
10.
放射線源(62)の電力を制御する方法において、
上記1から9までのいずれか一つに記載の電子装置(1)を準備する工程と、
パルス継続時間(t
P
)の間スイッチオン状態で放射線源(62)を動作させる工程と、
放射線源(62)の電力がパルス継続時間(t
P
)の少なくとも90%の間最大で20%だけ一定の電力値(P
LP
)と異なるように、時間に依存する制御電圧(v
DAC
)を提供する工程と、を有する当該方法。
11.
上記10に記載の方法において、
前記の制御電圧(v
DAC
)の時間推移が周囲温度(T
amb
)に応じて決定される当該方法。
12.
上記10又は11に記載の方法において、
前記の制御電圧(v
DAC
)の時間推移が放射線源(62)の熱抵抗(R
th
)及び/又は放射線源(62)の熱容量(C
th
)に応じて決定される当該方法。
13.
上記10から12までのいずれか一つに記載の方法において、
上記1から9までのいずれか一つに記載の電子装置(1)が準備されることと、
前記の制御電圧(v
DAC
)が、パルス継続時間(t
P
)の間最大で20%だけ次の式
【数1】
ここで、
P
LP
:所与の一定の電力値
R
LP,25℃
:25℃における放射線源(62)の電気抵抗
α:放射線源(62)の温度係数
R
th
:放射線源(62)の熱抵抗
C
th
:放射線源(62)の熱容量
T
amb
:周囲温度
により決定される時間推移と異なることとを特徴とする方法。
14.
上記10から13までのいずれか一つに記載の方法において、
本方法が電流を測定すること無く実施される当該方法。
15.
上記10から14までのいずれか一つに記載の方法において、
本方法がランプ電圧(v
LP
)を測定すること無く及び/又は放射線源(62)の電力を測定すること無く実施される当該方法。
【符号の説明】
【0059】
1 電子装置
2 フォトダイオード
3 バックコンバータ(の駆動モジュール)
6 光ガスセンサー
61 測定室
62 放射線源
621 熱源
622 周囲温度
10 マイクロコントローラ
15 アース端子
C キャパシタンス
Cth 熱容量
DAC デジタル・アナログ変換器
EN 制御入力
FB フィードバック端子
iin 電圧変換器の入力電流
iLP ランプ電流
iM 25℃におけるランプ電流の測定曲線
i-40 -45℃におけるランプ電流
i+25 25℃におけるランプ電流
i+85 85℃におけるランプ電流
G ガス
L インダクタンス
MIR 熱放射線
P 電力
Pdcdc-40 -40℃における電圧変換器内で失われる電力
Pdcdc+25 25℃における電圧変換器内で失われる電力
Pdcdc+85 85℃における電圧変換器内で失われる電力
Pges-40 -40℃における全電力
Pges+25 25℃における全電力
Pges+85 85℃における全電力
PLP-40 -40℃におけるランプ電力
PLP+25 25℃におけるランプ電力
PLP+85 85℃におけるランプ電力
PM ランプ電力測定曲線
R1,R2,R3 抵抗
RLP 放射線源の電気抵抗
RLP,25 25℃における放射線源の電気抵抗
Rth 熱抵抗
SW 出力端子
t 時間
Tamb 周囲温度
TLP ランプ渦巻き線の温度
tp パルス継続時間
Vcc 電源電圧
VDAC 制御電圧
VIN 入力端子
VLP ランプ電圧曲線
vLP ランプ電圧
α 放射線源の温度係数