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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】石油精製所における腐食を低減する方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/26 20060101AFI20221111BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
G01N27/26 371C
G05B23/02 T
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020100669
(22)【出願日】2020-06-10
(62)【分割の表示】P 2018235295の分割
【原出願日】2013-07-25
(65)【公開番号】P2020170003
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2020-06-16
(31)【優先権主張番号】13/557,761
(32)【優先日】2012-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507248837
【氏名又は名称】ナルコ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジン
(72)【発明者】
【氏名】ヒルトン ニゲル ピー
(72)【発明者】
【氏名】ファーガソン サム
(72)【発明者】
【氏名】スキャッターグッド グレン エル
【審査官】櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0142113(US,A1)
【文献】特表2012-507612(JP,A)
【文献】特開2011-237354(JP,A)
【文献】特開2001-305102(JP,A)
【文献】特開2009-020896(JP,A)
【文献】特開2002-292356(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26
C10G 7/10,75/02
G05B 23/00-23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
石油精製所における原油ユニットの腐食を低減する方法であって、
a)少なくとも1つのセンサを使用して、腐食プロセス変数の少なくとも1つの測定値を取得する工程であって、
前記少なくとも1つの測定値は、前記少なくとも1つの測定値において固定された変化を引き起こすセンサ測定値における静的エラー成分と、前記少なくとも1つの測定値において時間に伴い動的状態変化を引き起こす前記センサ測定値における動的エラー成分と、を含む前記センサの不正確なエラーを含み、
b)前記静的エラー成分と前記動的エラー成分とを使用して、前記少なくとも1つの測定値を変更して、補正されたプロセス変数の前記センサ測定値を提供する工程と、
c)前記補正されたプロセス変数の前記センサ測定値を使用して、腐食制御化学薬品の流入量を変更し、前記原油ユニットにおける腐食の制御を助ける工程と、
を含み、
特定の外乱に応じて起こる所定の動的状態変化を前記少なくとも1つのセンサと関連づけるように学習し、当該所定の動的測定値を検出した場合に、前記補正されたプロセス変数の前記センサ測定値として、検出された動的状態の特性と関連することを学習した補正された値を出力する、方法。
【請求項2】
信号処理を適用して、前記補正されたプロセス変数の前記センサ測定値を提供することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
さらなる腐食プロセス変数を測定することと、階層論理を使用して前記測定されたプロセス変数を優先することと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記腐食プロセス変数は、pHであり、前記腐食制御化学薬品が中和剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記中和剤の流入量に対する変更の頻度を制限することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
塩化物イオン濃度を測定する工程と、測定された前記塩化物イオン濃度を使用して苛性化学薬品の流入量を変更する工程と、とをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
Feイオン濃度を測定する工程と、測定された前記Feイオン濃度を使用して造膜を阻害する化学薬品の流入量を変更する工程と、をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
履歴データを使用して、前記腐食制御化学薬品の流入量を変更することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記腐食制御化学薬品の流入量が、手動で変更される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記腐食制御化学薬品の流入量が、自動で変更される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つのセンサは、前記原油ユニットから取られた水サンプルから前記腐食プロセス変数を測定する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記腐食制御化学薬品の流入量の変更による、前記少なくとも1つの腐食プロセス変数における変更は、非線形である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの腐食プロセス変数は、腐食速度である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも3つのセンサは、前記腐食プロセス変数を測定するために使用される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は2008年11月3に出願された米国特許出願12/263,904号の一部継続出願である。
【0002】
(連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載)
不適用。
【0003】
この発明は一般に、化学プロセスシステムにおいて使用するための、分析計に基づく制御システムおよびアルゴリズムに関する。
【背景技術】
【0004】
例えば、米国特許5,503,006号、5,425,267号、5,965,785号、US5,326,482号、4,335,072号、米国公開特許出願2010/0108566号および2012/0053861 A1、英国特許1,198,734号、および国際特許出願2008/005058号、2004/044266号、および03/006581号において記載されるように、化学および工業施設は、様々な複雑な機器を使用し、それらはしばしばきつい化学薬品および物理的条件にさらされる。そのようなものとして、多くの技術が機器の状態、効率、および予想寿命をモニタするために開発されている。そのような技術は履歴システムを含み、これらは、化学プラント内の様々な源からデータを収集し、アーカイブする。米国特許出願12/899,250号は、履歴および他のデータを使用する多くの方法を記載する。
【0005】
モニタリング機器は典型的には、その中で様々なプロセス変数が測定され、記録されるシステムを含む。1つのそのようなシステムは米国公開特許出願2009/0149981 A1号に記載される。しかしながら、そのようなシステムはしばしば、大量のデータを生成し、その中のほんの一部のみが異常な状態を検出するために役立つように追跡されるにすぎず、それらのシステムから集められた情報は、制限された実用的用途を有する。
【0006】
腐食防止との関連で、モニタが測定する最も有用なデータセットの3つはpH、金属(とりわけ鉄)イオン濃度、および塩化物イオン濃度である。理想的には、モニタされたデータはできるだけ実時間に近く、そのため、極限濃度の原因に対する修正技術は、原因が腐食をもたらすまたは別様に、施設に損傷を与える前に適用することができる。不運なことに、現在のモニタリング技術は大量の誤ったデータを提供し、そのため、実時間モニタリングは不可能ではないにしても、通常困難である。その上、誤ったデータは、それらの添加が必要でなかった場合、高価な修正化学薬品の無駄につながる可能性がある。その結果、本当に自動化された修正化学薬品供給システムは実現可能でなく、「誤警報」に直面した時に修正化学薬品の添加を防止するためにヒトオペレータが典型的に必要とされ、よって作業費が増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第5,503,006号明細書
【文献】米国特許第5,425,267号明細書
【文献】米国特許第5,965,785号明細書
【文献】米国特許第5,326,482号明細書
【文献】米国特許第4,335,072号明細書
【文献】米国特許出願公開第2010/0108566号明細書
【文献】米国特許出願公開第2012/0053861号明細書
【文献】英国特許第1,198,734号明細書
【文献】国際特許出願公開第2008/005058号パンフレット
【文献】国際特許出願公開第2004/044266号パンフレット
【文献】国際特許出願公開第03/006581号パンフレット
【文献】米国特許出願公開第2009/0149981号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
よって、化学プラント内の状態をモニタする改善された方法に対する明確な要求およびその方法の有用性がある。このセクションで記載される技術は、そのようなものとして特定的に指定されない限り、本明細書で言及されるいずれの特許、刊行物または他の情報が、この発明に関して「先行技術」であることを認めることを意図しない。加えて、このセクションは、調査がなされたこと、または37C.F.R.§1.56(a)において規定される他の関連のある情報が存在しないことを意味すると解釈されるべきではない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の少なくとも1つの実施形態は、化学プロセスシステムにおいてセンサにより取られるプロセス変数の測定値におけるエラーを補正する方法に関する。システムは少なくともいくつかの測定値を誤ったものとしてしまう特性により特徴付けられる。方法は下記工程を含む:1)動的状態因子により引き起こされるエラーの成分を同定する工程であって、エラーのこの成分は少なくとも1回システムにおいてセンサ測定値を取得し、および、その測定値が、プロセス変数の客観的に正しい測定値から、時間に対して変動する量だけどのように逸脱しているかに注目することにより決定される、工程、2)エラーの定常状態因子成分を同定する工程であって、エラーのこの成分は少なくとも1回センサ測定値を取得し、および、測定値が、プロセス変数の客観的に正しい測定値から、時間に対して固定した量だけ逸脱していることに注目することにより決定される、工程、3)追加の因子により引き起こされるエラーの成分を同定する工程、ならびに4)定常状態因子、動的状態因子、および未知の因子により引き起こされるエラーを除去するために測定値を変更する工程。
【0010】
センサは分析計と情報連絡されてもよく、分析計は制御装置と情報連絡されてもよい。センサは、プロセス変数の生測定値を得るように構成され、配列されてもよい。分析計はセンサの測定値におけるエラーを補正することができる。制御装置は補正された測定値を得ることができる。補正された測定値が、許容される値の予め決められた範囲の外にある場合、修正手段を制定してもよく、測定された値が許容される範囲内の値に変更される。修正手段は、測定値の定常状態値がセンサにより測定される前に制定されてもよい。
【0011】
プロセス変数は下記からなるリストより選択される1つのアイテムの測定値であってもよい:酸化還元電位、pH、ある一定の化学薬品またはイオンのレベル(例えば、経験的に、自動的に、蛍光で、電気化学的に、比色測定により決定され、直接測定され、計算される)、温度、圧力、プロセスストリーム流速、溶解された固体および懸濁された固体。
【0012】
少なくとも3つのセンサが存在することができ、3つのセンサの各々は生測定値を分析計に伝えることができる。分析計は生測定値の少なくとも1つが測定が行われた特定の状態に対して予測される予め決められた設定点に収まる場合、それらの生測定値の平均をその計算における入力として使用することができ、生測定値が、測定が行われた特定の状態に対して予測される予め決められた設定点に収まらない場合、分析計は履歴により予測される値をその計算における入力として使用することができる。
【0013】
プロセス変数は鉄濃度であってもよい。方法はさらに、下記工程を含んでもよい:ゼロ鉄濃度を示す全てのセンサ読み取り値を無視する工程、および測定された鉄濃度を1週間にわたり回帰分析を使用して調整する工程。修正手段は、化学薬品を添加することを含んでもよく、その効果は本質的に非線形である。分析計はその補正において、修正化学薬品の非線形効果を補正し得る。修正手段は、不感時間の制約を受ける化学薬品を添加する工程を含んでもよく、分析計はその測定値におけるそれらの効果を補正する。プロセスシステムは、下記からなるリストより選択される1つのアイテムであってもよい:化学プラント、精製所、石油精製所、食品加工施設、製造プラント、化学プラント、蒸留塔、水濾過プラント、工場、廃棄物処理施設水処理施設、およびそれらの任意の組み合わせ。
【0014】
発明の詳細な説明は、以下、図面に具体的に言及しながら記載される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】プロセス変数の測定された値を補正する方法を示すグラフである。
図2】プロセス変数の測定された値を補正する方法を示すグラフである。
図3】プロセスシステムの腐食速度を計算する際の困難さを示すグラフである。
図4】腐食速度の測定された値を補正する方法を示すグラフである。
図5】分析計により使用されるデータ源の図を示す。
図6】分析計出力を含むダッシュボードの図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
下記定義は用語が本出願においてどのように使用されるか、特に特許請求の範囲がどのように解釈されるべきかを決定するために提供される。定義の組織は便宜上唯一であり、定義のいずれをも、いずれの特定のカテゴリに制限することを意図しない。
【0017】
「化学プロセスシステム」は、原料を生成物に変換するための1つ以上のプロセスを意味し、下記いくつかの機器の1つ以上を使用する工業プロセスが挙げられるが、それらに限定されない:化学プラント、精製所、炉、熱分解装置、塔頂カラム、ストリッパー、フィルター、蒸留器、ボイラー、反応槽、および熱交換器、など。
【0018】
「動的状態」は、状態が測定される離散した期間の少なくとも一部にわたって観察された測定値が変化するが、実のところ、プロセス変数の実際の大きさは変化していない、測定されたプロセス変数の状態を意味する。
【0019】
「定常状態」は、観察された測定値は状態が測定される離散した期間にわたって不変のままであるが、実のところプロセス変数の実際の大きさは変化していない、測定されたプロセス変数の状態を意味する。
【0020】
以上の定義または本出願のどこかで提示された記述が、辞書で一般的に使用され、または本出願に参照により組み込まれる源内で提示された意味(明示または暗示)と矛盾する場合には、本出願および特に特許請求の範囲の用語は、一般的な定義、辞書定義、または参照により組み込まれた定義ではなく、本出願における定義または説明に従い解釈されるべきであると理解される。以上を考慮すると、用語が、辞書により解釈される場合、用語が化学技術のカークオスマー辞典、第5版(Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, 5th Edition)(2005)(ジョン・ワイリー&サンズ(Wiley, John & Sons, Inc.)により出版)により規定される場合にのみ理解できる場合、この定義は、用語が特許請求の範囲においてどのように規定されるかを制御するであろう。
【0021】
自動化技術は、効率的なプロセス動作を改善し、維持するのに重要な役割を果たす。それは事業の戦略および運用目的、それらの経済効果、製品の開発および品質、生成の連続性、および市場における競争力に影響する。これらの戦略は(1)ユニット動作の改善、および(2)適正な選択される化学薬品の最適化を含むべきである。腐食速度の制御のカギは、腐食性能を分析し、動作データおよび分析計測定値に基づき決定的な知識を誘導することである。原油ユニット自動化(CUA)システムは、システム腐食をモニタし、分析し、自動化技術を用いて化学薬品をフィードバック制御するように設計される。これらの戦略の実装により、より低い腐食リスク、および、塔頂熱交換器の運転時間の連続改善が得られた。
【0022】
発明の少なくとも1つの実施形態では、プロセスシステムで使用される制御システムは2つの要素を含む:(1)少なくとも1つのセンサおよび(2)少なくとも1つの分析計。発明の少なくとも1つの実施形態では、制御システム3つの要素を含む:(1)少なくとも1つのセンサ、(2)少なくとも1つの分析計、および(3)少なくとも1つの制御装置。センサ(複数可)はシステムの少なくとも1つの部分内の少なくとも1つのプロセス変数を測定するように構成および配列される。分析計はセンサにより取られた測定値を受理し、出力することができる情報に変換する。制御装置は出力を受理し、出力に応じていくつかの動作を起こさせることができる。
【0023】
少なくとも1つの実施形態では、応答は化学薬品を添加することを含む。添加される化学薬品としては中和剤、フィルマ(filmer)、腐食剤、および阻害剤などが挙げられ、腐食プロセス変数を制御するために使用される。分析計はプロセス変数(とりわけpH、[Cl]および[Fe])のオンライン測定値を提供する。分析計は、全システムをモニタ、分析および管理するために使用される出力を提供する。
【0024】
少なくとも1つの実施形態では、情報のいくつかまたは全てはダッシュボード上に表示される。ダッシュボードはまた、システムが履歴データベースデータ、レポート、警報をどのように管理しているかを表示し、原油ユニットシステムの実時間制御および最適化のためのユーザの選択した戦略をすぐに利用できるようにすることができる。
【0025】
少なくとも1つの実施形態では、システムは閉ループであり、これは履歴のおよびアーカイブされたデータの予備的分析を使用し、分析計および他の診断法(例えば、個人的な意見および操作スタッフとの議論)から更新し、その後、原油ユニットの動作の応答およびさらなる分析を生成させる。
【0026】
少なくとも1つの実施形態では、阻害剤の使用は、一般腐食を防止または低減させるためであり、これは一般腐食が問題となるそれらの領域に対する腐食の制御において重要な役割を果たす。制御システムの目的は、阻害剤を制御することにより、原油ユニット塔頂での腐食を防止/低減するやり方である。原油ユニットプロセスの主構成要素の1つとして、腐食制御はシステム保全性を維持するのに極めて重要な役割を果たす。この発明は原油ユニットのプロセスストリームにおける1つ以上のシステムパラメータを最適化することにより、原油ユニットの腐食制御構成要素を最適化する方法を提供する。この最適化はプロセスストリームにおいてそれらのパラメータと関連する特性を測定する工程を含む。
【0027】
少なくとも1つの実施形態では、分析計は精製所処理機器の腐食および腐食副産物の堆積によるその後の汚損を低減させるように設計される。典型的な腐食制御プログラムは、中和アミン、造膜(filming)阻害剤、苛性アルカリ溶液、などの構成要素を含む。そのような腐食制御化学薬品は伝統的に、グラブサンプルに由来し、研究室で分析された測定値、またはユニット上のいくらかの流量指示に基づき、システムに注入される。この発明はシステムへの化学薬品注入を調節する自動化方法を提供する。
【0028】
少なくとも1つの実施形態では、発明の方法は、情報を受理し、処理し、ならびに、様々な構成要素(例えば、化学薬品注入ポンプ)に命令を提供するように動作可能な制御装置を含む。「制御装置」という用語は、手動オペレータまたは、構成要素、例えばプロセッサ、記憶装置、デジタル記憶媒体、陰極線管、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、タッチスクリーン、または他のモニタ、および/または他の構成要素を有する電子装置を示す。制御装置は好ましくは、1つ以上の特定用途向け集積回路、プログラム、コンピュータが実行可能な命令またはアルゴリズム、1つ以上の配線で接続された装置、無線装置、および/または1つ以上の機械装置と統合するように動作可能である。その上、制御装置は発明のフィードバック、フィードフォワード、または予測ループ(複数可)を統合するように動作可能である。制御装置システム機能のいくつかまたは全ては、ローカルエリア・ネットワーク、広域ネットワーク、無線ネットワーク、インターネット接続、マイクロ波リンク、赤外線リンク、など上での通信のためにネットワークサーバーなどの中心位置に存在してもよい。加えて、信号調整装置またはシステムモニタなどの他の構成要素を含めさせ、信号伝送および信号処理アルゴリズムを容易にしてもよい。
【0029】
制御装置は、任意に測定され、予測される、システムパラメータと関連する特性を優先する階層論理を含んでもよい。例えば、制御装置は、塩化物イオン濃度よりもシステムpHまたはその反対を優先するようにプログラムされてもよい。そのような階層論理の目的はシステムパラメータの改善された制御を可能にし、円形制御ループを回避することであることが認識されるべきである。
【0030】
少なくとも1つの実施形態では、方法は自動化制御装置を含む。別の実施形態では、制御装置は手動または半自動である。例えば、原油精製プロセスがシステム中の様々なセンサから受理された1つ以上のデータセットを含む場合、制御装置はどのデータ点/データセットをさらに処理するかを自動的に決定してもよく、あるいはオペレータが部分的に、または完全にそのような決定をしてもよい。データセットはプロセス変数またはシステムパラメータ、例えば酸化還元電位、pH、ある一定の化学薬品またはイオンのレベル(例えば、経験的に、自動的に、蛍光で、電気化学的に、比色測定により決定され、直接測定され、計算される)、温度、圧力、プロセスストリーム流速、溶解もしくは懸濁された固体、などを含んでもよい。そのようなシステムパラメータまたはプロセス変数は典型的には、任意の型の好適なデータ捕捉機器、例えばpHセンサ、イオン分析計、温度センサ、熱電対、圧力センサ、腐食プローブ、および/または任意の他の好適な装置または方法を用いて測定される。データ捕捉機器は好ましくは制御装置と連絡されており、他の実施形態によれば、制御装置により付与される拡張機能(本明細書で記載される制御アルゴリズムの任意の部分を含む)を有し得る。
【0031】
測定されたパラメータまたは信号のケミカルポンプ、警報、または他のシステム構成要素へのデータ伝送は、任意の好適な装置、例えば有線または無線ネットワーク、ケーブル、デジタル加入者回線、インターネット、などを使用して遂行される。任意の好適なインターフェース標準(複数可)、例えばイーサネット(登録商標)インターフェース、無線インターフェース(例えば、IEEE802.11a/b/g/x、802.16、ブルートゥース(登録商標)、光、赤外線、無線周波数、など)、ユニバーサル・シリアル・バス、電話ネットワーク、など、およびそのようなインターフェース/接続の組み合わせが使用され得る。本明細書では、「ネットワーク」という用語は、これらのデータ伝送方法の全てを包含する。記載される装置(例えば、プラントアーカイブシステム、データ分析ステーション、データ捕捉装置、プロセスステーション、など)のいずれも、上記または他の好適なインターフェースまたは接続を使用して互いに接続され得る。
【0032】
少なくとも1つの実施形態では、システムパラメータ情報はシステムから受理され、アーカイブされる。別の実施形態では、システムパラメータ情報は時間割またはスケジュールにより処理される。さらなる実施形態では、システムパラメータ情報はリアルタイムで/実質的にリアルタイムで即座に処理される。そのようなリアルタイム受理は、例えば、コンピュータネットワーク経由で「データをストリーム配信すること」を含み得る。
【0033】
少なくとも1つの実施形態では、2つ以上のサンプルがシステム内の異なる位置で取られる。例えば1つは露点、1つはブートアキュムレータとすることができる。これらの2つのサンプル点での測定値の差は化学薬品注入を調整するために対応するアルゴリズムを要求する。「露点」という用語は、水蒸気の水への最初の凝縮点または蒸気が冷却するにつれ、液体の水の相が水蒸気および液体の炭化水素から分離し、液体の水を形成し始める温度を示す。アキュムレータ水ブートを使用してpHおよび塩化物イオンレベルを測定することができるが、データは、水露点の下流で凝縮した水蒸気ならびに弱酸および塩基の全体積により希釈され、またはマスクされるので、正確さのレベルは通常犠牲になる。
【0034】
同様に、鉄(または他の金属、例えば銅、モリブデン、ニッケル、亜鉛)イオン濃度を露点水から測定することができる。少なくとも1つの実施形態では、金属イオン濃度は、アキュムレータ水ブートで測定される。というのも、これらのイオンは腐食が起きたこと、ならびに金属がサンプル点の上流のシステム内の内部構成要素から除去されたことを示す。
【0035】
露点水サンプルを取得するために任意の好適な方法が使用され得ることが認識されるべきである。例えば、露点水サンプルを取得するための装置が、「塔頂腐食シミュレータ(“Overhead Corrosion Simulator”)」と題する米国特許第4,335,072号および「プロセスストリームの腐食活性をシミュレートするための腐食シミュレータおよび方法(“Corrosion Simulator and Method for Simulating Corrosion Activity of a Process Stream”)」と題する5,425,267号(それぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)で開示される。
【0036】
少なくとも1つの実施形態では、異なる流体またはシステムパラメータまたはプロセス変数またはシステム中に存在する他の成分は測定および/または分析することができ、例えば、下記が挙げられるが、限定はされない:pH、塩化物イオン、他の強および弱酸、例えば硫酸、亜硫酸、チオ亜硫酸、二酸化炭素、硫化水素、有機酸、アンモニア、様々なアミン類、および液体または固体堆積物など。測定を実施する様々な方法が企図され、発明は、1つの特定の方法に限定されない。代表的な方法としては米国特許第5,326,482号、5,324,665号、および5,302,253号で開示されるものが挙げられるが、それらに限定されない。
【0037】
システムにおける様々な位置で実施された測定に応じて、測定された読み取り値に応答する修正化学薬品をシステムに添加することができる。そのような修正化学薬品としては、中和剤、造膜阻害剤(時として、本明細書では、「フィルマ」と呼ばれる)、および腐食剤が挙げられるが、それらに限定されない。これらの項目は「酸またはpHに基づく中和剤」「鉄に基づくフィルマ」および「塩化物に基づく腐食剤」と標識される。そのような化学薬品は、システム内の任意の好適な位置で添加され得ることが認識されるべきである。少なくとも1つの実施形態では、そのような化学薬品のシステム内への導入は連続して調整される。他の実施形態では、化学薬品導入は断続的にまたは各個々のシステムに対して決定されたスケジュールとの関連で調整される。
【0038】
中和剤(複数可)、腐食剤(複数可)、および造膜阻害剤(複数可)は、任意の好適な型の化学薬品注入ポンプを使用してシステムに導入され得る。最も一般的には、電気または空気圧のいずれかにより動力供給された容積式注入ポンプが使用される。連続流注入ポンプは時として、確実に、特殊化学薬品が適切にかつ正確に高速移動するプロセスストリーム中に注入されるようにするために使用される。任意の好適なポンプまたは送達系が使用され得るが、例示的なポンプおよびポンピング方法としては、「一定流容積式ポンピング装置を使用した処理化学薬品を注入するための方法(“Method for Injecting Treatment Chemicals Using a Constant Flow Positive Displacement Pumping Apparatus”)」と題する米国特許第5,066,199号、および「一定流容積式ポンピング装置を使用した処理化学薬品を注入するための改善された方法(“Improved Method for Injecting Treatment Chemicals Using a Constant Flow Positive Displacement Pumping Apparatus”)」と題する5,195,879号(それぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)で開示されるものが挙げられる。
【0039】
代表的な中和剤としては下記が挙げられるが、それらに限定されない:3-メトキシプロピルアミン(MOPA)(CAS番号5332-73-0)、モノエタノールアミン(MEA)(CAS番号141-43-5)、N,N-ジメチルアミノエタノール(DMEA)(CAS番号108-01-0)、およびメトキシイソプロピルアミン(MIOPA)(CAS番号37143-54-7)。
【0040】
例えば、取扱を容易にするために、および原油中に注入された時点での分配を増強させるために、または洗浄水を脱塩するために、腐食剤として、水酸化ナトリウムの希薄溶液は典型的には、5から10%濃度(7.5から14°ボーメ)で調製される。濃度は周囲条件に従い、例えば寒冷気候では凝固点に対し調整してもよい。
【0041】
原油ユニット腐食制御プログラムにおいてこの発明と共に使用される造膜阻害剤またはフィルマは、典型的には、アミド類およびイミダゾリン類の油溶性ブレンドである。これらの化合物は良好な腐食制御を提供し、水を運搬するシステム中の炭化水素の能力への影響は最小に抑えられる。
【0042】
好適なpH制御または最適範囲が各個々のシステムに対して決定されるべきであることが認識されるべきである。1つのシステムに対する最適範囲は別のシステムに対するものとかなり変動する可能性がある。任意の可能な最適pH範囲を対象にすることは、発明の概念に含まれる。
【0043】
異なる実施形態では、中和剤ポンプの変更は、頻度に制限がある。好ましくは、調整限界は15分につき最大1に設定され、同じ方向の順次調整は8を超えてはならない。例えば、合計8の調整または50%もしくは100%の変更後、ポンプはある一定期間(例えば、2または4時間)一時停止させることができ、警報を鳴らすことができる。そのような状況に遭遇した場合、警報を鳴らして、オペレータに警告することが有利である。他の制限、例えば最大ポンプ出力もまた、実装してもよい。限定はされないが、任意の方向で任意の数の調整を引き起こすことは、発明の範囲内にあることが認識されるべきである。オペレータにより決定されるそのような限界が適用される。
【0044】
好適なまたは最適な塩化物イオン濃度範囲が各個々のシステムに対して決定されるべきであることが認識されるべきである。1つのシステムに対する最適範囲は別のシステムに対するものとかなり変動する可能性がある。任意の可能な最適塩化物イオン濃度範囲を対象にすることは、発明の概念に含まれる。
【0045】
他の冶金がそのように使用される少なくとも1つの実施形態では、例えばモネル、チタン、黄銅、などがいくつかのシステムで使用され得る。これらの場合、鉄イオン濃度信号ではなく、適切な金属イオン(例えば、銅、ニッケル、亜鉛、など)濃度信号が検出され、分析されるであろう。
【0046】
金属イオンは通常、2つ以上の酸化状態で存在する。例えば、鉄はFe2+およびFe3+で存在し、同様に可溶性状態(イオン性および微細微粒子)、不溶性状態(すなわち、ろ過可能)、などで存在する。金属イオンの分析および制御は、システム中の存在するそのような順列の任意の組み合わせ(または全て)の測定または予測を含む。
【0047】
腐食プローブ(例えば、電気抵抗腐食プローブ、直線偏光プローブ、および/または金属損失を決定するための任意の他の好適な方法)はシステム内の任意の好都合な位置に配置してもよいが、好ましくは、それらはシステム内の履歴により信頼できる位置に配置される。加えて、例えば、2つの無効化が12時間の期間にわたり活性化された場合、信頼性チェックが典型的には開始され、腐食プローブが適正に動作していることが確認される。そのような状況に遭遇した場合、警報を鳴らして、オペレータに警告することが有利である。他の限界、例えば最大ポンプ出力もまた、実装してもよい。限定はされないが、任意の方向で任意の数の調整を引き起こすことは、発明の範囲内にあることが認識されるべきである。オペレータにより決定されるそのような限界が適用される。
【0048】
少なくとも1つの実施形態では、分析計と制御装置の間の通信リンクが切断され、または損なわれた場合、制御装置は通信を失う前に取り組んでいたアクションを続ける。少なくとも1つの実施形態では、分析計とセンサの間の通信リンクが切断されまたは損なわれた場合、制御装置は通信を失う前に取り組んでいたアクションを続ける。少なくとも1つの実施形態では、分析計出力が機器の物理的制約を超えた応答を制定するように、制御装置を誘導した場合、制御装置は最良の可能な応答をし(例えば、1つ以上のポンプ、ベント、下水設備、リフト、固定子、コンベヤ、炉、熱交換器などをつける/消す)、制御装置はその標準に達していない応答機器をその最大能力で、分析計出力が低減を正当化するまで、動作させ続ける。少なくとも1つの実施形態では、応答機器の少なくとも1つの部分は、分析計出力に徐々にしか応答しないように構成および配列される。少なくとも1つの実施形態では、機器は徐々にしか応答することができないが、これは物理的に可能な限り早くその応答前設定に戻るように構成および配列される。これは、応答が有意な効果を引き起こす前に間違った応答の否定を可能にする。徐々の応答の一例は、たとえ、数秒以内に100%に到達することができたとしても、10分までの経過にわたり、最大流速の0%から最大流速の100%まで化学薬品流量を増加させる、ポンプである。
【0049】
少なくとも1つの実施形態では、分析計は、プロセス変数の測定値において起こる不正確さを補正するためのデータ分析のモデル方法を利用する。腐食は定義により機器のそれらの部分から脱離するプラント機器からの限られた量の質量の結果であるので、測定される腐食の量は、システムの構成要素への物理的損傷と相関させるのが容易なはずである。しかしながら、そのような施設で固有の多量のノイズのために、測定された速度は広く変動するし、しばしば正確ではない。重大なことには、ノイズにより、しばしば、測定された腐食速度は、機器から除去された実際の質量よりも大きくなる。加えて、異なる形態の原油(とりわけ機会原油(opportunity crude))およびそれらの組成の矛盾により、機器は異なる生産工程中で、しばしば異なって機能することになる。これにより、腐食の速度は変動し、予測するのが困難になる。その上、腐食が分析されるまさにその環境を変化させるので、各生産工程は、将来の分析をさらに不明瞭なものとする可能性がある。
【0050】
少なくとも1つの実施形態では、分析は、センサにより取られた定常状態測定値と動的状態測定値の間のわかっている差を考慮し、プロセス変数の測定値において起こる不正確さを補正する。図1において示されるように、多くの状況において、システムにおける外乱(例えば、ポンプをつけるまたは消す、化学薬品の添加または添加の中止、pH、[Fe]、温度、圧力の変更、など)は、センサ測定値における短期動的状態変化ならびにセンサ測定値における長期定常状態変化を引き起こす。分析計は、特定の外乱に応じて起こる特定の動的状態変化を特定のセンサと関連づけるように学習し、それらの条件下で同様の動的測定値を検出した場合、検出された測定値を出力する代わりに、分析計は、検出された動的状態の特性と関連することを学習した補正された値を出力する。
【0051】
その結果、少なくとも1つの実施形態では、分析計により取得されるプロセス変数の少なくとも1つのセンサ測定値の出力は変換を受ける。その出力は下記関数により表すことができ:
u=f(e、Δe、d)
ここで、uはプロセス変数を測定する分析計の出力であり、eは動的状態で検出されるエラーであり、dはエラーを引き起こした外乱の大きさであり、Δeは時間に伴うエラーの変化である。エラー自体は下記式を用いて計算することができる:
e=SP-PV
ここで、PVはプロセス変数、または分析計が変数に対して測定した実際の値であり、SPは設定点または、外乱に基づくノイズがなかったら、その値が何であったはずかである。
【0052】
少なくとも1つの実施形態では、測定されたプロセス変数を補正するために使用される任意の予測関数の特定のパラメータは、システムの直接観察により計算することができる。
【0053】
上記式を使用すると、当業者であれば、テイラー級数展開に基づき、下記を認識するであろう。
【数1】
ここで、uは定常状態制御装置出力を示し、e、Δeおよびdはe、Δeおよびdである。制御装置は2つの部分から構成される:定常状態、u=f(e、Δe、d)および動的f(e)、f(Δe)、f(d)。定常状態は、システム定常状態の直接測定値から取得することができる。少なくとも1つの実施形態では、定常状態では、e、Δeおよびdの少なくとも1つはe、Δeおよびdであり、0である。
【0054】
動的部分は下記非線形動的モデルにより近似される。
【0055】
Δは集中不確実性(lumped uncertainties)および他の非モデル化項を表す。少なくとも1つの実施形態では、これは、有界であるので、制御技術により減衰させることができる。
【0056】
定常状態では、uはヒトの経験により知られており、または、これは、試験または簡単な分析およびモデリングにより知られやすい。uの1つの有用な意味は、制御された変数がその標的にある時の、理想的なポンプ出力の結果である。各動的部分fは、特定のプロセスに基づき調節可能な関数であり、その関数はまた、制御限界
【数2】
に基づく、およびその限界内の知識である。少なくとも1つの実施形態では、関数は比例フォーマットに従い設計される。少なくとも1つの実施形態では、関数は、シグモイドフォーマットに従い設計される。
【0057】
少なくとも1つの実施形態では、システムは、システム制御により許容される境界を指定するために出力限界および変数限界
【数3】
を含む。実際には、
【数4】
【数5】
【数6】
【数7】
であり、ここで、Uは、出力スケールファクタ(scale factor)であり、これはオンラインで調整される定数である。SPは変数スケールファクタであり、これはオンラインで調整される定数である。
【0058】
加えて、供給化学薬品によるシステムにおいて得られる変化は予測可能である必要がある。pHおよび腐食の正確な制御は、プロセスダイナミクスの変動が大きいためにかなり困難である。1つの困難は、滴定などの化学薬品添加の結果における静的非線形関係から生じる。滴定は媒質のpHとその媒質中の酸および塩基の濃度の間の関係である。滴定における非線形性は溶液中の物質およびそれらの濃度に依存する。例えば、いくらかの弱酸または弱塩基の存在は、緩衝効果(酸および塩基の濃度の比例変化にもかかわらず、pHの比例変化に対する抵抗性)を引き起こす。
【0059】
プロセスシステム中に存在する他の化学薬品もまた、添加される化学薬品に対し非線形応答を有する可能性がある。加えて、プロセスシステムにおける動作の盛衰(エブアンドフロー:ebb and flow)速度のために、不感時間の非常に長い期間が存在する。前述したように は、制御された変数がその標的にある時の理想的なポンプ出力の結果により表すことができる。しかしながら、実際には、サイズ、化学薬品が横切らなければならない距離、および他の物理的制約のために、ポンプは実のところ理想的ではなく、命令が化学薬品を供給するように与えられた時と、化学薬品がシステム内に、適切にシステムに影響するのに十分有意な用量で現れる時の間にかなりの時間差がある。本出願のために、ポンプの起動とポンプが適正な効果を引き起こす間の時間差は「不感時間」として知られている。不感時間の間、多くのダイナミクスの変化が起こり、これにより、プロセス変数の著しく不正確な測定につながる。
【0060】
少なくとも1つの実施形態では、分析計は、制御装置が対処しなければならない非線形特性を考慮するために、ヒトの知識と経験の組み合わせを利用して、送り速度を調整する。これにより、制御装置はより知的で実現可能なものとなる。
【0061】
プロセスシステム中の他の材料の存在はしばしば、様々な酸の性質に影響し、さらに、濃度の変更から得られるpHを予測する試みを複雑にする。その結果、グラフにした場合、予期される滴定曲線の形状は非常に不規則なものとなる。少なくとも1つの実施形態では、ノイズおよびエラーを無視することにより、分析計は有効なpH制御のために要求される補正滴定曲線を正確にモデル化し、予測することができる。
【0062】
その結果、信号処理の方法がプロセス変数を正確に測定するために利用される必要がある可能性がある。信号処理の好適な形態としては下記が挙げられるが、それらに限定されない:DSPアルゴリズム、フィルタリング(低域、高域、適応、および移動平均フィルターを含む)、平滑化、ARX、フーリエ変換、S面分析、Z面分析、ラプラス変換、DWT、ウェーブレット変換、双一次変換、およびGoertzelアルゴリズム。少なくとも1つの実施形態では、動的状態エラーを使用する分析は信号処理前に実施される。少なくとも1つの実施形態では、動的状態エラーを使用する分析は信号処理後である。
【0063】
信号処理は、Feの検出に関して特に有益である。1つの特定のエラーは、ゼロまで降下する鉄検出の傾向を含む。この読み取り値は明らかに誤っている。その結果、信号処理が明らかに現在進行中の、または前の腐食によるFeを含んでいるシステムにおけるFeのゼロ濃度を補正しない場合、分析計は鉄読み取り値を、その学習された経験が示す、そうであるべきもの、および/またはゼロまで降下し始める直前の読み取り値に補正するであろう。少なくとも1つの実施形態では、センサがゼロ鉄を検出した場合、分析計は検出された鉄値を制御装置に伝達せず、代わりに、鉄レベルが、同様の条件下での前の性能に基づき、そうであるはずのものに基づく値を伝達する。
【0064】
少なくとも1つの実施形態では、制御システムは公開された米国特許出願2012/0053861A1号で記載される1つ以上の方法、組成物、および/または装置を含む。
【0065】
少なくとも1つの実施形態では、制御システムは、プロセスシステム内の実質的に同じ位置で同じプロセス変数を検出する1つ以上の冗長センサを含む。不正確さを引き起こすノイズの多くは本質的にランダムであるので、エラーは必ずしも、全てのセンサに同時に影響するとは限らない。その結果、ある一定の状況下では、少数のセンサは誤っている可能性があり、大多数が正しい可能性がある。少なくとも1つの実施形態では、全てのセンサが、現在の特定の条件に基づき予め決められた設定点と一致する読み取り値を提供する場合、分析計は平均測定値を制御装置に戻す。少なくとも1つの実施形態では、少なくとも1つのセンサが設定点と一致する測定値を提供する場合、分析計は一致した測定値の平均測定値を制御装置に戻す。少なくとも1つの実施形態では、全てのセンサが設定点と矛盾する測定値を提供する場合、分析計は全ての測定値を拒絶し、代わりに、少なくとも1つのセンサが再び、一致した測定値を提供するまで、制御装置に過去のデータに基づく測定値を伝達する。少なくとも1つの実施形態では、履歴データはいくつかまたは全ての、設定点と一致する前の測定値の平均であろう。
【0066】
少なくとも1つの実施形態では、分析計の変数サンプリング期間は、ノーマルトランスミッタよりもずっと長い(場合によっては、60分もの長さ)。加えて、制御された変数予測値(設定点)は通常、一点ではなく、ある範囲にある。
【0067】
少なくとも1つの実施形態では、制御装置により供給される修正化学薬品またはプロセス化学薬品が、フィードフォワードモデルに従い添加される。フィードフォワードは、これをフィードバックアプローチと対比させることにより最もよく理解することができる。フィードバックでは、過去の出来事または状態についての情報の受理は、現在または未来における同じ出来事または状態に影響する。その結果、原因と結果の連鎖はそれ自体にフィードバックする回路ループを形成する。
【0068】
フィードフォワードモデルでは、情報への反応は実際の情報が受理される前に起こる。これにより、システム問題に対するより速い反応が可能になり、望まれない状態の持続期間、重大度、および結果が低減する。フィードフォワードは、分析計出力関数を決定するために使用される同じ観察を用いて達成することができる。特に、分析計は出力を変更し、値を補正し、その後、正しい値がセンサにより検出される(場合によっては、依然として動的状態の変化する情報を受理しながら)からである。その上、フィードフォワードは、望まれない状態の実際の存在と不正確な測定値および不完全なポンプ流動性により引き起こされる遅延の間の不感時間中、そうでなければ持続するであろう状態の排除を可能にする。少なくとも1つの実施形態では、フィードフォワード戦略は、フィードバックシステムよりも速く、望まれないシステム状態に対処する。
【0069】
少なくとも1つの実施形態では、フィードフォワードモデルは、変動する関係を分析し、相互作用を排除するために使用される。例えば、原油精製所では、腐食制御手段がFe濃度に応じて制定される必要があるかどうかを決定するロジックは、(腐食剤、中和剤)の関数による分析計出力に応答するフィードフォワードモデルにより支配されるであろう。この制御アルゴリズムはフィードフォワードモデルを実行する全機能性および能力を提供する。少なくとも1つの実施形態では、フィードフォワード戦略の特性は制御装置アルゴリズムに含められる。そのデータ分析の制御装置アルゴリズムのフォーマットは、それが使用されるシステムの特定の特性に基づいて設計することができる。
【0070】
前述したように、腐食はプロセス機器の質量の損失によるので、定義により、決定された腐食の量は損失した質量に等しくなければならない。しかしながら、それはセンサがしばしば検出するものではないので、特定の手段が、検出された腐食のレベルを補正するために分析計により取られる必要がある。少なくとも1つの実施形態では、腐食速度(CR)は、分析計により、オンライン検出レベルおよび腐食速度の分析の両方を考慮して、補正される。
【0071】
少なくとも1つの実施形態では、この分析はCRの2つの定義、即時CRおよび期間CRを利用する。2つの速度のどちらも腐食スピードの異なる局面を反映する。即時CRは、特定の固定された期間、例えば1日または1週での金属損失変化の速度として規定される。少なくとも1つの実施形態では、腐食プローブ(センサ)は、生の値を検出するために使用される。そのような検出において固有のノイズの多い信号のために、即時CRの検出された値を補正するために線形回帰または他の形態の信号処理が使用されてもよい。即時CRは腐食の瞬間原因への洞察を提供し、これはプロセスシステム状態の変化の効果を決定するのに極めて役に立つ。
【0072】
少なくとも1つの実施形態では、期間CRは、一般腐食速度を決定するために数日または数週間を要する。期間CRはどの線形関数がそのようなノイズの多い環境における金属損失を最もよく表すかを同定することにより決定される。単純な線形計算は、始めと終わりの2つの点に基づき、この計算は、金属損失は独占増加関数であると仮定し、2つの点間のデータを考慮しない。明らかに、この計算はノイズの多い信号下での現実の状況を反映しておらず、十中八九、この計算は現実からかけ離れている。適正な線形曲線は最小二乗回帰により作成され、これは、線形曲線への各点間の総距離を最小に抑える。
【0073】
【数8】
式中、Yは我々が設計した線形曲線を表し、Yiはi点での現実のプローブ読み取り値を示す。図3および図4は2点腐食読み取り値、2点フィルター処理済み腐食読み取り値、および線形回帰に基づく腐食速度の比較を示す。本質的に、腐食速度は、線形曲線の傾きであり、3つの計算の食い違いがどれだけ大きいかを示し、また、我々はどの計算がより合理的で科学的であるかを理解することができる。図3に示されるように、その期間にわたって検出された腐食速度の線形分析を使用すると、どの形態の分析を使用したかに基づき複数の速度が得られ得る。
【0074】
図4において示されるように、少なくとも1つの実施形態では、平均回帰曲線の線形表示の使用がシステムで起こる腐食の実際の速度を同定するために使用される。
【0075】
少なくとも1つの実施形態では、どの線形表示を使用するかに関する決定は、システムで実施される観察を最もよく反映するように常に更新される。
【0076】
以下、図5について説明すると、様々な源由来の情報が常に分析計に送られ、これにより使用され、これが使用する論理を改善し、不正確な読み取り値を補正する論理流れ図が示されている。分析計は下記を利用する:
(1)ノイズの多い腐食プローブ読み取り値を平滑化し、外れ値を排除するオンラインおよびオフラインフィルター設計、(2)腐食速度の補正された定義(即時実行速度、期間速度)およびそれらの互いへの関係。これにより、計算し、比較するための異なる定義が与えられる。(3)オンライン(実行回帰CR)およびオフライン腐食速度計算ならびにモニタリングおよび警報腐食速度。(4)制御装置により使用される腐食速度評価および分析、ならびに(5)自動的に作成される分析レポート。
【0077】
少なくとも1つの実施形態では、制御システムは、腐食速度の加速を検出するために、温度、圧力、速さおよび濃度の1つ以上におけるプロセス変化のオンライン測定値を使用する。これは即時CRまたは期間CRを使用することにより実施することができる。
【0078】
少なくとも1つの実施形態では、分析は下記式による:
即時(Instant)CR=dy/dt。
よって:
【数9】
期間(Period)CRは固定された期間、例えばΔtでの金属損失変化の速度、またはΔy/Δtであるということができるからである。しかしながら、金属損失yに付随する信号「ノイズ」のために、yの線形回帰が最初に使用され、その後、期間CRが時間Δtを用いて傾きとして計算される場合、そうすると:
【数10】
即時CRおよび期間CRは腐食スピードの異なる局面を反映する。少なくとも1つの実施形態では、期間CRは一般腐食速度を決定するために数日または数週間にわたって計算され、即時CRはプロセス変化の腐食に対する効果を決定するのに非常に役に立つ瞬間腐食である。
少なくとも1つの実施形態では、即時CRと期間CRの間の関係は、積分平均値の定理により決定される。例えば:
【数11】
式において、即時CRが期間CRと同じになる、[t1、t2]における点ξが存在する。しかしながら、この点は、必ずしも、即時および期間CRの平均値(mean)、中央値、最頻値、および/または代表値(average)ではない。
【0079】
腐食プロセスは非常に複雑であるが、ある一定の状況下では、腐食速度は、式:y=at+bにより、時間tの単純な線形関数に近似することができ、
ここで、yは独占金属損失関数であり、tは時間であり、ならびにaおよびbは関数の傾きおよびバイアスを示す。aおよびbはどちらも全て時不変定数である。この近似下では:
【数12】
【0080】
これにより、傾きおよびバイアスa、bが時間Δtの期間において不変定数である時かつその時に限り、期間CRは即時CRに等しくなることが説明される。
【0081】
図6に示されるように、少なくとも1つの実施形態では、分析計は、情報をダッシュボードフォーマットに出力し、これにより、ユーザがシステムの少なくとも一部の動作に関する見込みを理解するのに役に立ち、容易になる。例えば、様々な検出された性能変数は、どのくらいよく、または悪くシステムが動いているかを示す相対評価に従い、表すことができる。
【0082】
少なくとも1つの実施形態では、評価は、下記カテゴリの少なくとも1つに従い表されるであろう:
【0083】
[制御変数安定性]
変数安定性は、プロセス動作にとって非常に重要である。原油ユニット腐食制御システムでは、3つの重要な変数(pH、Cl、Fe)が腐食システムを安定に維持するための鍵となる。毎日のcpkが使用され、比較される。
【0084】
[化学薬品の使用]
中和剤、腐食剤およびフィルマが、3つの制御された変数、pH、ClおよびFeを制御するために使用される。この制御設計の目的の1つは、化学薬品の使用を控えながら制御される変数を維持することである。
【0085】
[自動化システム動作に関する評価]
システムは、分析計による肝要な変数測定値を提供するだけでなく、(1)システムは全情報を提供し、ポンプ、ブート水圧、作業温度、推定化学薬品流速、腐食を含み、(2)使いやすいインターフェースを提供し、我々に、全システムを遠隔でモニタし、動作させ、パラメータを改善させるプラットフォームを与え、(3)分析計警報を収集し、全ての可変動作警報を作成/設定し、ならびに即時携帯電話および電子メール警報を提供し、(4)オンラインおよびオフラインデータ分析の、および情報を精密な知識に翻訳するプラットフォームを提供し、これは、システムの注目であり、(5)操業時間中の制御システムは、何らかの出来事が起こることを除いて100%である。
【0086】
[腐食性能分析]
オンライン腐食速度は、計算され、他の変数と比較されなければならない。図7は、2つのプローブに基づく1週間の期間腐食速度の一例を与える。図8は、腐食速度は、重要な変数FeおよびpHに強く相関することを証明する評価を示す。
【0087】
少なくとも1つの実施形態では、制御システムがその中で使用されるプロセスシステムは、原油ユニット、脱塩装置、大気塔、真空塔、冷却ユニット、加熱ユニット、炉、熱分解装置、およびそれらの任意の組み合わせの少なくとも1つを含む。制御システムはプロセスシステムの構成要素のいくつか、一部または全ての性能を最適化し、改善するであろう。そのような改善は、(1)プロセス安定性および信頼性を改善し維持する、(2)化学薬品の使用を最適化し、コストを低減させる、(3)システムロバスト性、動作柔軟性を改善し、信頼できる情報システムおよび使いやすい低コストのインターフェースを提供する、(4)腐食速度を規定し、計算し、モニタし、制御し、および最適化するであろう。
【0088】
少なくとも1つの実施形態では、制御システムは原油ユニット塔頂システムの水相における腐食を決定し、予測するだけでなく、塩類の形成ならびにそれらの腐食の影響を計算し、予測することができる。少なくとも1つの実施形態では、分析計は実時間で、塩類の腐食への影響を修正するために注入する添加物(アミン)の量を計算することができる。
【0089】
少なくとも1つの実施形態ではこの計算は下記入力の少なくとも1つを使用することにより達成される:pH、塩化物、温度、圧力、密度、流速、洗浄水速度、総水蒸気、および下記化合物の存在:塩化物、総アミン、総窒素、ハロゲン、臭化物、ヨウ化物、酸素、水、およびアンモニアレベル。少なくとも1つの実施形態では、これは、下記アミン類の1つ以上の添加および反応の観察により遂行される:メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n-プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジ-n-プロピルアミン、ジ-イソプロピルアミン、n-ブチルアミン、sec-ブチルアミン、1-アミノ-2,2-ジメチルプロパン、2-アミノ-2-メチルブタン、2-アミノペンタン、3-アミノペンタン、モルホリン、モノエタノールアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、N,N-ジメチルイソプロパノールアミン、メトキシエチルアミン、ピペリジン、ピペラジン、シクロヘキシルアミン、N-メチルエタノールアミン、N-プロピルエタノールアミン、N-エチルエタノールアミン、N,N-ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N-ジエチルアミノエトキシエタノール、N-メチルジエタノールアミン、N-プロピルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、t-ブチルエタノールアミン、t-ブチルジエタノールアミン、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、ジ-n-ブチルアミン、トリ-n-ブチルアミン、ジ-イソ-ブチルアミン、エチル-n-ブチルアミン、ペンチルアミン、2-アミノ-2,3-ジメチルブタン、3-アミノ-2,2-ジメチルブタン、2-アミノ-1-メトキシプロパン、ジプロピルアミン、モノアミルアミン、n-ブチルアミン、イソブチルアミン、3-アミノ-1-メトキシプロパン、およびそれらの任意の組み合わせ。
【0090】
pH、塩化物、Feを検出するためのセンサ、ならびに少なくとも1つの窒素センサ、少なくとも1つの総窒素センサまたはそれらの組み合わせを使用して、数学的モデルは、塩およびまたは腐食種の形成を計算することができる。この情報および対応する計算は、実時間で収集されたサンプルから実時間で行うことができる。計算され、保存された情報をその後使用して、腐食性および塔頂に存在する化合物の組成に基づいて、実時間での塔頂への添加物の添加を計算および制御することができる。
【0091】
少なくとも1つの実施形態では、制御システムは、実時間で腐食状態、塩形成を連続して再計算することができ、いずれか1つのパラメータが変化した場合、制御装置に、適切な添加物を添加させることができる。これらの添加物としては下記が挙げられるが、それらに限定されない:水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n-プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジ-n-プロピルアミン、ジ-イソプロピルアミン、n-ブチルアミン、sec-ブチルアミン、1-アミノ-2,2-ジメチルプロパン、2-アミノ-2-メチルブタン、2-アミノペンタン、3-アミノペンタン、モルホリン、モノエタノールアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、N,N-ジメチルイソプロパノールアミン、メトキシエチルアミン、ピペリジン、ピペラジン、シクロヘキシルアミン、N-メチルエタノールアミン、N-プロピルエタノールアミン、N-エチルエタノールアミン、N,N-ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N-ジエチルアミノエトキシエタノール、N-メチルジエタノールアミン、N-プロピルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、t-ブチルエタノールアミン、t-ブチルジエタノールアミン、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、ジ-n-ブチルアミン、トリ-n-ブチルアミン、ジ-イソ-ブチルアミン、エチル-n-ブチルアミン、ペンチルアミン、2-アミノ-2,3-ジメチルブタン、3-アミノ-2,2-ジメチルブタン、2-アミノ-1-メトキシプロパン、ジプロピルアミン、モノアミルアミン、n-ブチルアミン、イソブチルアミン、3-アミノ-1-メトキシプロパン、およびそれらの任意の組み合わせ。
【0092】
少なくとも1つの実施形態では、制御システムはセンサの使用により、水性流体に起因する腐食または塩化合物の形成を検出することができる。これらのセンサはpH、塩化物、Fe、窒素、総窒素、アンモニア、電気抵抗腐食プローブである。腐食環境を測定することに加えて、これらのセンサは、適切な量の化学添加物の計算を促進する分析計への入力を提供する。
【0093】
この発明は多くの異なる形態で具体化され得るが、本明細書で詳細に記載されるのは発明の特定の好ましい実施形態である。本開示は発明の原理の例示であり、発明を、説明された特定の実施形態に制限することを意図しない。本明細書で言及される全ての特許、特許出願、科学論文、および任意の他の参照材料は、その全体が参照により組み込まれる。さらに、発明は、本明細書で記載されるおよび/または本明細書で組み込まれる様々な実施形態のいくつかまたは全ての任意の可能な組み合わせを包含する。加えて、発明は、本明細書で記載されるおよび/または本明細書で組み込まれる様々な実施形態の任意の1つまたはいくつかを特定的に排除する任意の可能な組み合わせを包含する。
【0094】
上記開示は例示であり、包括的ではないことが意図される。この記載は、多くの変更および代替を当業者に示唆するであろう。本明細書で開示される組成物および方法は、列挙された構成要素、または工程を含み、これらから構成され、またはこれらから本質的に構成されてもよい。本明細書では、「含む」という用語は、「含むが、限定はされない」を意味する。本明細書では、「から本質的に構成される」という用語は、開示された構成要素または工程、ならびに組成物または方法の新規および基本特性に物質的に影響しない任意の他の構成要素または工程を含む組成物または方法を示す。例えば、列挙された材料成分から本質的に構成される組成物は、それらの組成物の特性に影響するであろう追加の材料成分を含まない。当技術分野に精通したものは本明細書で記載される特定の実施形態の他の等価物を認識することができ、これらの等価物もまた、特許請求の範囲により包含されることが意図される。
【0095】
本明細書で開示される全ての範囲およびパラメータは、その中に包含される任意のおよび全てのサブレンジならびに終点間の全ての数を含むことが理解される。例えば、「1から10」の言明された範囲は、1の最小値と10の最大値(それらを含む)の間の任意のおよび全てのサブレンジを含むと考えられるべきであり、すなわち、1以上の最小値(例えば1から6.1)から始まり、10以下の最大値(例えば2.3から9.4、3から8、4から7)で終わる全てのサブレンジ、ならびに最終的には、その範囲内に含まれる各数1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10である。
【0096】
全ての数値は、本明細書では、明確に示されているかどうかに関係なく、「約」という用語により修飾されると仮定される。「約」という用語は、一般に、当業者が列挙された値と等価であると考えるであろう(すなわち、同じ機能または結果を有する)数の範囲を示す。多くの場合、「約」という用語は、最も近い有効数字に四捨五入される数を含んでもよい。重量パーセント、重量によるパーセント、重量%、wt%、などは、物質の濃度を、その物質の重量を組成物の重量で割り、100をかけたものとして示す同義語である。
【0097】
この明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「1つの(a、an)」および「その(the)」は、その内容が明確に別様に指示しない限り複数の指示対象を含む。よって、例えば、「1つの化合物」を含む組成物への言及は、2つ以上の化合物の混合物を含む。この明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、「または」という用語は、その内容が明確に別様に指示しない限り、「および/または」を含むその意味で一般に使用される。
【0098】
これで、発明の好ましい別の実施形態の記載を終わる。当業者であれば、本明細書で記載される特定の実施形態の他の等価物を認識することができ、それらの等価物は、これに添付された特許請求の範囲により包含されることが意図される。
図1
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図6