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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】外科用剃切器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20221111BHJP
【FI】
A61B18/14
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020218503
(22)【出願日】2020-12-28
(65)【公開番号】P2021109101
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2021-03-12
(31)【優先権主張番号】2000165.7
(32)【優先日】2020-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】500227451
【氏名又は名称】ジャイラス・メディカル・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GYRUS MEDICAL LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】オレ シュロットマン
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-535539(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0160910(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0190766(US,A1)
【文献】特開2016-120279(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0107516(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体から第1の軸に沿って延びている中空の細長いシャフト(12)であって、前記シャフト(12)は、前記シャフト(12)の近位端領域(14)から遠位端領域(16)まで延びている細長い内部開放容積部を画定しているものと、
前記細長いシャフト(12)の前記遠位端領域(16)から延びている先端部分(18)であって、前記先端部分(18)は、電気絶縁材料を含み、かつ上部の表面部分である外面(20)を有し、
前記先端部分(18)は、前記先端部分(18)の中に空洞をさらに画定し、
前記空洞は、基面(23)と、前記基面(23)から離れるにつれて、前記第1の軸と直交しない角度で、前記シャフト(12)の前記遠位端領域(16)に向かう方向に延びている第1の保持面(25)とを含むものと、
前記シャフト(12)内で前記近位端領域(14)から前記遠位端領域(16)まで延びている導体(28)であって、前記近位端領域(14)は、電気外科用エネルギーの源への接続に適しており、前記近位端領域(14)が前記電気外科用エネルギーの源に接続された場合は、前記電気外科用エネルギーの源から前記導体(28)へと前記電気外科用エネルギーが供給されるものと、
前記空洞内に受け入れられて前記導体(28)と電気的に連絡している電極(30)であって、前記電極(30)は、第1の電極要素(32)と、前記第1の電極要素(32)と電気的に接続している第2の電極要素(39)とを含むものと、を備え、
前記第1の電極要素(32)と前記第2の電極要素(39)は、互いに係合しており、前記第2の電極要素(39)は、前記第1の保持面(25)に当接し、かつ前記第1の保持面(25)に隣接して延びており、前記先端部分(18)の前記外面(20)に向かう方向、及び前記シャフト(12)の前記近位端領域(14)に向かう方向への前記電極(30)の動きを制限する
電気外科器具。
【請求項2】
前記空洞は、前記基面(23)から離れるにつれて、前記第1の軸と直交する角度で、前記外面(20)に向かって延びている第2の保持面(36)をさらに備え、前記第2の保持面(36)は、前記近位端領域(14)に向かって面しており、前記第1の電極要素(32)は、前記第2の保持面(36)に当接し、かつ前記シャフト(12)の前記遠位端領域(16)に向かう方向への前記電極(30)の動きを制限する
請求項1に記載の電気外科器具。
【請求項3】
前記空洞は、前記基面(23)から離れるにつれて、前記第1の軸と直交する角度で、前記外面(20)に向かって延びている第3の保持面(27)をさらに備え、前記第3の保持面(27)は、前記遠位端領域(16)に向かって面しており、前記第1の電極要素(32)及び前記第2の電極要素(39)は、前記第3の保持面(27)に当接し、かつ前記シャフト(12)の前記近位端領域(14)に向かう方向への前記電極(30)の動きを制限する
請求項1又は2に記載の電気外科器具。
【請求項4】
前記導体(28)は、前記空洞内へと延びており、かつ前記第1の電極要素(32)及び前記第2の電極要素(39)と係合している
請求項1から3のいずれか一項に記載の電気外科器具。
【請求項5】
前記第1の電極要素(32)及び前記第2の電極要素(39)は、第1の開口を画定し、前記第1の開口は、前記第1の開口の中に前記導体(28)の一部を受け入れるように寸法が定められており、前記導体(28)は、前記第1の開口内に配置されて、前記第1の軸と直交する方向への前記電極の動きを制限する
請求項4に記載の電気外科器具。
【請求項6】
前記空洞は、前記先端部分(18)の外周に沿って延びており、かつ前記外面(20)の一部を取り囲む、チャネル(38’)を含む
請求項1から5のいずれか一項に記載の電気外科器具。
【請求項7】
前記第1の電極要素(32)及び前記第2の電極要素(39)は、前記空洞内で一緒に溶接された
請求項1から6のいずれか一項に記載の電気外科器具。
【請求項8】
前記外面(20)に対応する第2の開口を画定する戻りブレース(48)が、さらに設けられ、前記戻りブレース(48)は、前記先端部分(18)及び前記第2の電極要素(39)に隣接して配置され、前記第2の開口は、前記先端部分(18)の前記外面(20)と位置合わせされている
請求項6に記載の電気外科器具。
【請求項9】
前記電気外科器具は、骨手術用バー、サクションコアギュレーター、又はバイポーラ鉗子をさらに備える
請求項1から8のいずれか一項に記載の電気外科器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気外科器具、及び特に関節鏡下の電気外科器具に関する。
【背景技術】
【0002】
電気外科器具は、外科的切除術を行うために外科医によって使用される。そのような器具の一例は、吸引電極である。吸引電極は、軟組織の切除、アブレーション及び摘出、さらには関節鏡下の手技中における血管の凝固及び止血のために使用される。
【0003】
そのような器具は、細長いシャフトを含み、その遠位端に先端部分が設けられている。遠位先端部分には、典型的には、凝固及びアブレート並びにアブレーション無線周波(radio frequency:RF)エネルギーを標的組織に供給するための、導電性電極が設けられる。典型的には、細長いシャフト及び遠位先端は、金属材料で作られており、電極が遠位先端に設けられる場合、その遠位端の残部から導電性電極を絶縁するために、絶縁の薄層が設けられる。
【0004】
細長いシャフト上での従来の遠位先端の保持は、遠位先端が、セラミック絶縁体を通って延びていることと、追加のリベット留め若しくは溶接プレート又は他の機械的取付け手段によって所定の位置に保たれていることと、を伴う。二次的な保持も、粘着物及び/又は活性ワイヤ接続を使用して、しばしば提供される。しかしながら、これらの遠位先端保持手段はすべて、比較的かさばり、際立ったプロファイルを有する遠位先端をもたらす。
【0005】
ただし、器具は、(しばしば鍵穴手術と呼ばれる)関節鏡下手術で使用されるため、手術は、関節鏡、すなわち小さな切開を通して関節内に挿入される内視鏡を使用して行われる。したがって、デバイスのサイズは、重要な考慮事項である。遠位先端のプロファイルが低いほど、小さな切開を介した手術を容易にするためと、また器具の遠位先端にある導電性電極を通した無線周波の送達の精度の観点からの、両方でより良い。
【0006】
したがって、保持されている低プロファイル遠位先端を有する、電気外科器具へのニーズがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、先行技術の問題に対処することを試みる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明の第1の態様は、本体から第1の軸に沿って延びている、中空の細長いシャフトであって、当該シャフトは、当該シャフトの近位端領域から遠位端領域まで延びている細長い内部開放容積部を画定している、中空の細長いシャフトと、当該細長いシャフトの当該遠位端領域から延びている、先端部分であって、当該先端部分は、電気絶縁材料を含み、かつ外面を有し、当該先端部分は、当該先端部分の中に空洞をさらに画定し、当該空洞は、基面と、当該第1の軸を横切らない角度で当該シャフトの当該遠位端領域に向かう方向に当該基面から離れて延びている第1の保持面とを含む、先端部分と、当該シャフト内で当該近位端領域から当該遠位端領域まで延びている、導体であって、当該近位端領域は、電気外科用エネルギーの源への接続に適している、導体と、当該空洞内に受け入れられており、当該導体と電気的に連絡している、電極であって、当該電極は、第1の電極要素と、当該第1の電極要素と電気的に接続している第2の電極要素とを含む、電極と、を備え、当該第1の電極要素と当該第2の電極要素は、互いに隣接して配置されており、当該第2の電極要素は、当該第1の保持面に当接し、かつ当該第1の保持面に沿って延びており、当該先端部分の当該外面に向かう方向、及び当該シャフトの当該近位端領域に向かう方向への当該電極の動きを制限する、電気外科器具を提供する。
【0009】
横切らない角度、すなわち第1の軸に対して90°ではない角度で延びている、第1の保持面を使用することにより、第1の保持面は、別の当接する物体の、第1の軸を横切る方向の、第1の軸から離れる動きを制限するように作用する。したがって、電極は、先端部分の外面に向かう動きを、空洞の第1の保持面との当接によって制限される。
【0010】
一実施形態では、当該空洞は、当該第1の軸を横切る角度で当該基面から離れて当該外面に向かって延びている第2の保持面であって、当該第2の保持面は、当該近位端領域に向かって面している、第2の保持面をさらに備え、当該第1の電極要素は、当該第2の保持面に当接し、かつ当該シャフトの当該遠位端領域に向かう方向への当該電極の動きを制限する。
【0011】
第2の保持面は、第1の軸を横切る角度で延びており、かつ近位方向に面しているから、第2の保持面は、別の当接する物体の、遠位方向の、第1の軸から離れる動きを制限するように作用する。したがって、電極は、遠位方向への動きを、空洞の第2の保持面との当接によって制限される。
【0012】
さらなる実施形態では、当該空洞は、当該第1の軸を横切る角度で当該基面から離れて当該外面に向かって延びている第3の保持面であって、当該第3の保持面は、当該遠位端領域に向かって面している、第3の保持面をさらに備え、当該第1の電極要素及び当該第2の電極要素は、当該第3の保持面に当接し、かつ当該シャフトの当該近位端領域に向かう方向への当該電極の動きを制限する。
【0013】
第3の保持面は、第1の軸を横切る角度で延びており、かつ遠位方向に面しているから、第3の保持面は、別の当接する物体の、近位方向の、第1の軸から離れる動きを制限するように作用する。したがって、電極は、近位方向への動きを、空洞の第3の保持面との当接によって制限される。
【0014】
さらなる実施形態では、当該導体は、当該空洞内へと延びており、かつ当該第1の電極要素及び当該第2の電極要素と係合している。好ましくは、当該第1の電極要素及び当該第2の電極要素は、開口を画定し、当該開口は、当該開口の中に当該導体の一部を受け入れるように寸法が定められており、当該導体は、当該開口内に配置されて、当該第1の軸を横切る方向への当該電極の動きを制限する。
【0015】
導体は、電気外科器具のシャフト内で延びている。したがって、第1の電極要素と第2の電極要素との間に画定された開口内での導体の係合は、電極をつなぎとめ、第1の軸を横切るあらゆる方向への電極の動きを制限するのに役立つ。
【0016】
さらなる実施形態では、当該先端部分空洞は、当該先端部分の外周の周りに延びておりかつ当該外面を取り囲む、連続チャネルを含む。したがって、電極は、チャネル内に位置付けられ、外面の周りに配置される。
【0017】
好ましくは、当該第1の電極要素及び当該第2の電極要素は、当該空洞内で一緒に溶接されている。このようにすれば、先端部分及び電極を所定の位置に固定するための追加のコンポーネントの必要がなく、こうして、より低いプロファイルの先端部分を獲得することができる。
【0018】
本発明の電気外科器具には、好ましくは、当該外面に対応する開口を画定する戻りブレースが、さらに設けられ、当該戻りブレースは、当該先端部分及び当該第2の電極要素に隣接して配置され、当該開口は、当該先端部分の当該外面と位置合わせされている。
【0019】
本発明の電気外科器具は、骨バー、吸引凝固器、バイポーラ鉗子などを含み得るが、そのように限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1の態様による電気外科器具の実施形態の一側面からの斜視図である。
図2図1の実施形態の先端部分の一側面かつ上方からの斜視図である。
図3図2の先端部分の上方からの斜視図である。
図4図2の先端部分の実施形態の断面図である。
図5図1の実施形態の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、近位端領域14及び遠位端領域16を有する細長いシャフト12を含む、電気外科器具10を示している。細長いシャフト12は、中空であり、シャフト12の長さに沿って延びている細長い開放容積部を画定する。細長いシャフト12は、それを通って延びている第1の軸Aを画定する。
【0022】
電気外科器具10は、細長いシャフト12の遠位端領域16から延びている先端部分18をさらに含む。先端部分18は、遠位部分19及び近位部分21を画定し、セラミックなどであるがこれに限定されない電気絶縁材料を含む。先端部分は、外面20を含み、その中に空洞22を画定する。空洞22は、第1の軸Aに平行な平面内に延びている基面23と、基面23から延びている第1及び第2の遠位面24、25とを有する。第1及び第2の近位面26、27も、基面23から延びている。
【0023】
第1及び第2の近位面26、27は、軸Aを横切る角度で基面23から延びている。
【0024】
第2の近位面27は、開口27’をその中に画定する。開口27’は、それを通して導電体28の一部を受け入れるように、寸法が決められている。
【0025】
第1の遠位面24は、先端部分18の遠位部分19に向かう方向に、基面23に対して鈍角(x)で、空洞22の基面23から離れて延びている。第2の遠位面25は、先端部分18の遠位部分19に向かう方向に、基面23に対して鋭角(y)で、空洞22の基面23から離れて延びている。図4に示される実施形態では、第1及び第2の遠位面は、互いに実質的に平行である。
【0026】
導電体28は、シャフト12内で近位端領域14から遠位端領域16まで延びている。導電体28は、マイクロ波又はRF波などの、電気外科用エネルギーの源(図示せず)に接続可能である。
【0027】
電気外科器具10は、先端部分18の空洞22内に受け入れられる導電性電極30をさらに含む。電極30は、第1の電極要素32と、第1の電極要素32と電気的に接続された第2の電極要素39とを含む。第1及び第2の電極32、39の両方は、空洞22内への配置後に一緒に溶接されて、1つの電極を形成する。
【0028】
第1の電極要素32と第2の電極要素34は、互いに隣接して配置され、第2の電極要素34は、先端部分18の表面に露出する。第1の電極要素32は、第2の電極要素34より下方に保持され、先端部分18の表面に露出しない。
【0029】
第1の電極要素32は、基面33及び上面38、並びに第1及び第2の遠位面34、35、並びに第1及び第2の近位面36、37を含み、すべて基面33から延びている。第1及び第2の遠位面34、35並びに第1及び第2の近位面36、37のすべては、基面33を横切る方向に、基面33から離れて延びている。上面38の一部は、チャネル38’を画定する。チャネル38’は、その中に導電体28の遠位部分29の一部を受け入れるように寸法が決められた、断面輪郭を伴う。
【0030】
第2の電極要素39は、基面40、並びに第1及び第2の遠位面41、42、並びに第1及び第2の近位面43、44を含み、すべて基面40から延びている。第1の遠位面41は、図4に示されるように鈍角(x)で基面40から離れて延びている。これは、第1の遠位面41が、空洞22内に配置されているときに、第1の遠位面24が空洞22の基面23から離れて延びているのと同じ鈍角(x)で、基面40から離れて延びているようになっている。したがって、第2の電極要素39の第1の遠位面41は、図4に示されるように、空洞22の第1の近位面26に実質的に平行である。基面40は、チャネル40’を画定する。チャネル40’は、その中に導電体の一部を受け入れるように、寸法が決められている。
【0031】
図4は、第1及び第2の電極要素32、39の第1の遠位面34、41と、空洞22の第1の遠位面24との間のギャップを示している。このギャップは、製造公差に起因するものであり、当業者は、これらのギャップが、図に示されているものとわずかに異なり得ることを理解するであろう。
【0032】
第2の電極要素39は、基面40に対向する上面45をさらに含み、上面45には、当接部46が設けられている。当接部46は、上面45の外周全体に隣接して上面45の外周全体の周りに延びているが、しかし上面45の外縁47からは離間されている。
【0033】
第2の電極要素39の第2の遠位面42は、空洞22の第2の遠位面25に実質的に平行に延びている、すなわち、第2の遠位面42は、第2の遠位面25が空洞の基面23から延びているのと同じ鋭角(x)で、基面40から延びている。
【0034】
第2の電極要素39の第2の遠位面42は、先端部分18との係合、及び先端部分18内での保持に役立つ。第1の電極要素32は、空洞の基面23と第2の電極要素39との間に配置されるため、第1の電極要素32も、先端部分18に対して相対的な所定の位置に保持され、第1及び第2の電極要素32、39の動きは、第1の軸を横切る角度で空洞の基面23から離れる方向に関して、制限される。
【0035】
組立て
【0036】
電気外科器具10の先端部分18の組立て中、先端部分18は、遠位端領域16の細長いシャフト12上に配置される。次に、第1の電極要素32は、第1の電極要素の基面33が空洞の基面23と接触するように、先端部分18の空洞22内に配置される。この時点で、第1の遠位面34も第2の遠位面35も、空洞22の第1及び第2の遠位面24、25に接触しない。しかしながら、第1の電極要素32は、所定の位置に保たれる。第1の電極要素32の第1の近位面36が、空洞22の第1の近位面26に当接し、第1の電極要素32の第2の近位面37が、空洞22の第2の近位面27に当接するためである。これは、図4に示されるように、空洞22の第1及び第2の遠位面24、25から離間された関係で第1の電極要素32を配置するのに役立つ。
【0037】
次に、導電体28は、導電体28の遠位部分29が第1の電極要素32の上面38のチャネル38’の部分を横切って延びているように、細長いシャフト12内に配置される。図4によって見ることができる通り、チャネル38’は、閉じたチャネルであり、したがって、導電体28は、第1の電極要素32に対して相対的な限られた距離延びていることだけができる。
【0038】
次に、第2の電気要素39は、チャネル38’が導電体28の少なくとも一部の周りに配置され、それにより導電体28の遠位端を第1及び第2の電極要素32、39の間に固定するように、第2の電極要素39の基面40が第1の電極要素32の上面38及び空洞の基面23の一部と接触するように、先端部分18の空洞22内に配置される。
【0039】
第1及び第2の近位面36、37が、空洞22の第1及び第2の近位面26、27に対して緊密なフィットを形成することを可能にするために、第1の電極要素32の第1及び第2の遠位面34、35の間には、十分なクリアランスがある。第2の電極要素39の第1の遠位面41の角度は、第2の遠位面42が空洞22の第2の遠位面25に当接するように、第2の電極要素39が所定の位置に配置されることを可能にしており、それにより第1及び第2の電極要素32、39の両方を先端部分18に対して相対的な所定の位置に保持する。
【0040】
外面に対応する開口を画定する戻りブレース48は、先端部分及び第2の電極要素に隣接して配置され、開口は、先端部分の外面と位置合わせされる。戻りブレース48は、先端部分18及び第2の電極要素39の外側部分の周りに延びている、すなわち、第2の電極39の上面45上の当接部46に接触はしているが第2の電極39の上面45上の当接部46を超えて延びないように、図1に示されるように先端部分18の周りに配置される。
【0041】
従来の主要な活性先端の保持には、典型的には、隣接する絶縁体を通って延びており、かつ追加のリベット留め、溶接プレート、又は他のコンポーネント、例えば活性吸引チューブで所定の位置に固定されている、活性先端の一部が関わっているが、これは、本設計には当てはまらない。
【0042】
本発明は、3次元、すなわちX軸、Y軸及びZ軸(図2を参照されたい)における電極の動きをしっかりと制限するために様々な活性先端コンポーネントの形状に頼ることによって、追加のリベット、溶接プレート又は他のコンポーネントの必要性を回避する。
【0043】
いったん組み立てられると、追加の保持手段は、必要なく、そのことによって、先端部分18において、より低いプロファイルを実現することが可能になる。このことは、特に有利である。電気外科器具は、関節鏡下手術で使用され、アクセスは、小さな切開を介する(鍵穴手術)からである。
【0044】
図4によって、先端部分18内の活性電極30の保持が、3つの異なる軸において実現されているのを見ることができる。
【0045】
図2に軸Xとして示される第1の軸における活性先端の保持は、チャネル38’及びチャネル40’によって画定される、第1及び第2の電極要素32、39の間に形成される開口内への導電体28の延長によって提供される。
【0046】
図2の軸Yとして示される第2の軸における活性先端の保持は、空洞22の第2の遠位面25と、第2の遠位面35と、第2の電極要素39の第2の遠位面42と、の間の当接によって提供される。
【0047】
図2の軸Zとして示される第3の軸における活性先端の保持は、空洞22の第1の近位面26と、第1の電極要素32の第1の近位面34と、の間の当接によって提供される。
【0048】
このようにして、マルチコンポーネント配置として活性先端を提供することにより、リベット、溶接プレートなどの追加の機械的コンポーネントを必要とすることも、吸引チューブなどの追加の設計コンポーネントに頼ることもなく、X、Y及びZ軸方向での確実な先端保持が、容易になる。代わりに、活性先端のコンポーネント部品は、最終的な構造が、活性先端を所定の位置に確実に保持して、従来の電気外科器具と比較して縮小されたプロファイルを伴う確実に保持された先端部分を提供するように、所定の位置に順次溶接されることができる。
【0049】
本発明の先端保持は、活性先端だけでなく電極面(活性及び戻り)に適用可能であることが理解されるべきである。例えば、先端保持は、標準的なRFバイポーラ器具にも、並びにモノポーラデバイス及び2つを超える活性又は戻り要素を伴うデバイス、例えば1つの活性先端と2つの戻り要素とを伴う器具にも、適用可能である。
【符号の説明】
【0050】
10 電気外科器具
12 細長いシャフト
14 近位端領域
16 遠位端領域
18 先端部分
19 遠位部分
20 外面
21 近位部分
22 空洞
23 基面
24 第1の遠位面
25 第2の遠位面
26 第1の近位面
27 第2の近位面
27’ 開口
28 導電体
29 遠位部分
30 電極
32 第1の電極要素
33 基面
34 第2の電極要素
34 第1の近位面
34 第1の遠位面
35 第2の遠位面
36 第1の近位面
37 第2の近位面
38 上面
38’ チャネル
39 第2の電極要素
40 基面
40’ チャネル
41 第1の遠位面
42 第2の遠位面
43 第1の近位面
44 第2の近位面
45 上面
46 当接部
47 外縁
48 戻りブレース
図1
図2
図3
図4
図5