(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】身体運動時の音響的フィードバックを制御する方法および装置
(51)【国際特許分類】
A63B 71/06 20060101AFI20221111BHJP
A63B 69/00 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
A63B71/06 T
A63B69/00 B
(21)【出願番号】P 2020511179
(86)(22)【出願日】2018-08-27
(86)【国際出願番号】 EP2018073016
(87)【国際公開番号】W WO2019038452
(87)【国際公開日】2019-02-28
【審査請求日】2021-08-24
(32)【優先日】2017-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518071349
【氏名又は名称】マックス-プランク-ゲゼルシャフト ツア フェルデルング デア ヴィッセンシャフテン イー.ヴイ.
【氏名又は名称原語表記】Max-Planck-Gesellschaft zur Forderung der Wissenschaften e.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【氏名又は名称】中尾 真二
(72)【発明者】
【氏名】フリッツ・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ブシュ・エリック
(72)【発明者】
【氏名】ボルヒャルト・シルヴィオ
(72)【発明者】
【氏名】グンメル・ディルク
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第9697813(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2014/0254831(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0312589(US,A1)
【文献】米国特許第4776323(US,A)
【文献】米国特許第8269093(US,B2)
【文献】米国特許第5785631(US,A)
【文献】英国特許出願公告第1208651(GB,A)
【文献】米国特許第4957282(US,A)
【文献】米国特許第6428451(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 71/06
A63B 69/00
A63B 24/00
G16H 20/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体運動時の音響的フィードバックを制御する装置(4;80;90)を用いて身体運動時の音響的フィードバックを行う方法であって、
-ビートが同期した複数の音声クリップ(21~23;21~26;21-23,27~29)を
前記装置のメモリ(7)に記憶させる過程と、
-センサー(101~103)から、第1および第2の閾値(11,12)でセンサー信号範囲が少なくとも3つのセンサー信号サブ範囲(13~15)に分割されるセンサー信号(16)を
前記装置の入力部(5)で受け取る過程と、
-受け取った前記センサー信号に応答して音声信号を
前記装置の制御回路(6;81,84,85;81,84,85,86,89,94)で制御して出力する過程であって、出力される前記音声信号が前記音声クリップのうちの1つ以上の音声クリップを含む、過程と、
を備え、
前記制御回路により、
前記受け取ったセンサー信号(16)が前記第1の閾値(11)を上回ると、前記1つ以上の音声クリップのうちの少なくとも1つの音声クリップ(21)が停止され、および/または、前記音声クリップのうちの少なくとも1つのさらなる音声クリップ(22)が前記少なくとも1つの音声クリップ(21)と同期的に開始され、
前記受け取ったセンサー信号(16)が前記第2の閾値(12)を下回ると、前記1つ以上の音声クリップのうちの少なくとも1つの音声クリップ(21)が停止され、および/または、前記音声クリップのうちの少なくとも1つのさらなる音声クリップ(23)が前記少なくとも1つの音声クリップ(21)と同期的に開始される、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記1つ以上の音声クリップのうちの少なくとも1つの音声クリップ(21)を停止することが、前記1つ以上の音声クリップのうちの前記少なくとも1つの音声クリップ(21)をフェードアウトさせることを含む、方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、前記音声クリップのうちの少なくとも1つのさらなる音声クリップ(22,23)を開始させることが、前記少なくとも1つのさらなる音声クリップをフェードインさせることを含む、方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法において、少なくとも1つのさらなる音声クリップ(22,23)を開始させることが、前記少なくとも1つのさらなる音声クリップ(22,23)が再生されるオフセット再生位置(61)を決定することを含み、
前記少なくとも1つのさらなる音声クリップ(22,23)の前記オフセット再生位置(61)が、前記受け取ったセンサー信号が前記第1の閾値(11)を上回ったかもしくは前記第2の閾値(12)を下回った時点での前記1つ以上の音声クリップのうちの前記少なくとも1つの音声クリップ(21)の再生位置または前記時点での
、時間の経過とともにおよび/またはサンプルが出力されるにつれて増加する数であるグローバルカウントに基づいて、または、前記音声クリップのうちの少なくとも1つのさらなる音声クリップ(23)が開始される時点での前記1つ以上の音声クリップのうちの前記少なくとも1つの音声クリップ(21)の再生位置に基づいて決定される、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、前記少なくとも1つのさらなる音声クリップ(22,23)の前記オフセット再生位置(61)が、前記少なくとも1つのさらなる音声クリップ(22,23)の長さに対する前記1つ以上の音声クリップのうちの前記少なくとも1つの音声クリップ(21)の長さの比に基づいて、または剰余演算を実行することによって決定される、方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法において、前記少なくとも1つの音声クリップ(21)と前記少なくとも1つのさらなる音声クリップ(22,23)とが共通のビートに同期しており、前記共通のビートが、
-前記身体運動を実行している人間の少なくとも1つの生理パラメーター、および/または
-前記センサー信号(16)、および/または
-少なくとも1つの環境パラメーター
に基づいて調節される、方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法において、音声信号を出力する過程が、前記受け取ったセンサー信号が前記第1の閾値(11)を上回るかまたは前記第2の閾値(12)を下回るまで、前記少なくとも1つの音声クリップ(21)をループで再生することを含む、方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法において、さらに、
前記少なくとも1つの音声クリップ(21)または前記さらなる音声クリップ(22,23)を、
-前記身体運動の開始からの経過時間、および/または
-前記センサー(101~103)により検出される動作特性、および/または
-前記身体運動を実行している人間の少なくとも1つの生理パラメーター
の関数として調整する過程、
を備える、方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法において、前記複数の音声クリップ(21~23)が、サンプリングされた音声データ、MIDIクリップ、OSCクリップ、または独自フォーマットのクリップを含む、方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法において、前記センサーが、運動装置に取り付けられるものであるか、または、前記センサーがウェアラブルなセンサーを含む、方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の方法において、ビートが同期した前記複数の音声クリップ(21~23;21~26;21~23,27~29)が、等間隔の関係にあるかまたは音響振幅最大値もしくは音色事象の反復パターンに関する、繰返し時間的事象を示す、方法。
【請求項12】
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法において、ビートが同期した前記複数の音声クリップ(21~23;21~26;21~23,27~29)が、等間隔の関係にあるかまたは音響振幅最大値もしくは音色事象の反復パターンに関する、繰返し時間的事象を示し、
少なくとも1つのさらなる音声クリップ(22,23)を開始させることが、前記少なくとも1つのさらなる音声クリップ(22,23)が再生されるオフセット再生位置(61)を決定することを含み、
前記少なくとも1つのさらなる音声クリップ(22,23)の前記オフセット再生位置(61)が、前記受け取ったセンサー信号が前記第1の閾値(11)を上回ったかもしくは前記第2の閾値(12)を下回った時点での前記1つ以上の音声クリップのうちの前記少なくとも1つの音声クリップ(21)の再生位置または前記時点での
、時間の経過とともにおよび/またはサンプルが出力されるにつれて増加する数であるグローバルカウントに基づいて、または、前記音声クリップのうちの少なくとも1つのさらなる音声クリップ(23)が開始される時点での前記1つ以上の音声クリップのうちの前記少なくとも1つの音声クリップ(21)の再生位置に基づいて決定される、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、前記センサー信号が前記第1の閾値(11)に到達したことに応答して開始される前記少なくとも1つのさらなる音声クリップ(22)が、前記センサー信号(16)の変化率、および前記第1の閾値(11)への交差方向に依存する、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、3つ以上のセンサー信号が処理されることにより、前記複数の音声クリップ(21~23;21~26;21~23,27~29)のうちのどの音声クリップが出力されるのかが決定される、方法。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の方法において、さらに、
映像信号を出力する過程、
を備え、
任意で、前記映像信号が、実行すべき身体運動についての動画もしくは情報、および/または身体のうちのさらなる運動が求められる部位についての情報、および/または身体運動のためにユーザーを運動装置で浮遊支持する方法についての情報を含み、
任意で、前記身体運動が、三次元実世界空間内のユーザーの向きを操作することが可能な運動装置または娯楽装置(151)上で実行される、方法。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の方法において、前記センサー信号が、運動装置の弾性部材に取付け可能なセンサー(161)により取得される、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、前記センサー(161)が、前記弾性部材にクリップ留めされるように構成されている、方法。
【請求項18】
請求項16または17に記載の方法において、前記センサー(161)が前記弾性部材の伸張および/または圧縮を検出するように構成され、および/または、前記センサー(161)が前記弾性部材の向きを検出するように構成されている、方法。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載の方法において、さらに、
校正ルーチンにおいてセンサー出力を監視する過程、
を備え、
任意で、前記校正ルーチンで監視した前記センサー出力に依存するマッピングを用いて、前記センサー出力が前記センサー信号(16)へマッピングされる、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、前記校正ルーチンにおいて前記センサー出力が、ユーザーの最小繰返し回数の動作を通して監視されて、前記最小繰返し回数が、使用されるセンサーの種類、および/またはユーザーの動作が周期的な動作であるか否かに依存する、方法。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか一項に記載の方法において、前記複数の音声クリップ(21~23;21~26;21~23,27~29)がシーケンサー(183)により供給され、および/または
前記音声信号または前記音声信号に関するデータが
、音声フィードバック生成モジュール(181)により前記シーケンサー(183)に供給され、および/または
前記シーケンサー(183)が前記身体運動時の前記音響的フィードバックを制御する装置(4;80;90)に制御情報を供給する、方法。
【請求項22】
身体運動時の音響的フィードバックを制御する装置(4;80;90)であって、
-ビートが同期した複数の音声クリップ(21~23;21~26;21~23,27~29)を記憶するメモリ(7)と、
-第1および第2の閾値(11,12)でセンサー信号範囲が少なくとも3つのセンサー信号サブ範囲(13~15)に分割されるセンサー信号を受け取る入力部(5)と、
-受け取った前記センサー信号に応答して音声信号の出力を制御する制御回路(6;81,84,85;81,84,85,86,89,94)であって、出力される前記音声信号が、同期した状態で出力される、前記音声クリップの1つ以上の音声クリップを含む、制御回路(6;81,84,85;81,84,85,86,89,94)と、
を備え、
前記制御回路(6;81,84,85;81,84,85,86,89,94)が、
前記センサー信号(16)が前記第1の閾値(11)を上回ると、前記1つ以上の音声クリップのうちの少なくとも1つの音声クリップ(21)を停止させ、および/または、前記音声クリップのうちの少なくとも1つのさらなる音声クリップ(22)を前記少なくとも1つの音声クリップと同期的に開始させ、
前記センサー信号(16)が前記第2の閾値(12)を下回ると、前記1つ以上の音声クリップのうちの少なくとも1つの音声クリップ(21)を停止させ、および/または、前記音声クリップのうちの少なくとも1つのさらなる音声クリップ(23)を前記少なくとも1つの音声クリップと同期的に開始させるように構成されている、装置。
【請求項23】
請求項22に記載の装置において、前記装置が前記音声信号を出力する電気音響変換器(9)をさらに備え、および/または、前記制御回路(6;81,84,85;81,84,85,86,89,94)が請求項1から21のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されている、装置。
【請求項24】
身体運動時のユーザーの動作に応答するセンサー(3;101~103)であって、センサー信号範囲を有するセンサー(3;101~103)と、
請求項22または23に記載の装置(4;80;90)と、
を備える、システム。
【請求項25】
請求項24に記載のシステムにおいて、前記センサー(3;101~103)がウェアラブルなセンサーまたは少なくとも1つのカメラを含むか、または、前記システムが運動装置(2)をさらに備えて前記センサー(3)が前記運動装置(2)に取り付けられるものであり、
任意で、前記運動装置が、弾性エレメント(124;135)により連結された2つの物体(122,123;132~134)を含み、
前記センサー(102)が、加速度計および/またはジャイロメーターおよび/または歪みゲージおよび/またはロードセルを含み、
任意で、前記センサー(102)が、前記2つの物体(122,123;132~134)のうちの少なくとも一方の物体に、または前記弾性エレメント(124;135)内にもしくは前記弾性エレメント(124:135)近傍に設けられている、システム。
【請求項26】
ソフトウェアコードを備えるコンピュータープログラムであって、前記ソフトウェアコードが、プロセッサーにより実行されると請求項1から21のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されている、コンピュータープログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体運動時の音響的フィードバックを制御する技術に関する。詳細には、本発明は、センサーを用いて取得した身体運動の特性に基づいて音響的フィードバックを制御する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
身体運動活動は、個人でまたは集団環境で行われ得て世間に浸透しており、身体の体力や健康を向上させるために推奨されている。定期的な身体運動が健康に与える良い影響を踏まえて、身体運動の実行時にユーザーのやる気を維持させる技術が大きな注目を集めている。所与の運動を繰り返すやる気を失ったユーザーは、この身体的トレーニング行為を止めてしまう可能性があり望ましくない。運動器具のメーカーは、少なくとも一部の身体運動にまつわる単調さや反復的性質を少なくとも部分的に補償するための音声信号を運動中に提供することに関心を持っている。
【0003】
特許文献1には、ユーザーの動作を評価してバイオフィードバックを行う方法が開示されている。この方法は:ユーザーによる動作の基準点を設定する過程であって、前記基準点が基準リズムに対応している、過程と;前記基準リズムをユーザーに対して提供することにより前記ユーザーが前記基準点を維持するのを支援する過程と;ユーザーの動作を検出する過程と;ユーザーの動作を前記基準点の動きと比較する過程と;ユーザーの動作が前記基準点からずれていることを、前記基準リズムを変更入りリズムに変更することによってユーザーに知らせる過程と;を備える。
【0004】
特許文献2には、無酸素性作業閾値を取得する取得部と、運動負荷の入力を受け付ける受付部と、取得した前記無酸素性作業閾値と受け付けた前記運動負荷の入力とに基づいて、ユーザーの目標心拍数を示す値を算出する算出部と、ユーザーが行う身体運動の現在のテンポを示す値を検出する検出部と、前記算出部で算出された前記目標心拍数値と前記検出部で検出された前記現在の身体運動テンポ値との比較結果に基づいて、ユーザーの心拍数が前記目標心拍数となるようにユーザーの心拍数を誘導するよう音出力を制御する制御部と、を備える音出力制御装置が開示されている。
【0005】
特許文献1や特許文献2に開示されているような従来のフィードバック技術は、ユーザーに目標心拍数などの特定の目標生理状態に達するよう運動を行わせることができる一方で、ユーザーのやる気を維持したり上げたりすることに関しては、この種のフィードバックにあまり効果はない。また、身体運動のリズムを音楽のビート(拍子)に同期させることは、多くのユーザーにとって相当の困難になり得る。
【0006】
ユーザーの身体運動の1つまたは複数のパラメーターに左右されてかつユーザー自身で操作することができる音響出力を提供する装置や方法により、やる気が上がる可能性がある。このような技術により、ユーザーは、身体運動の1つまたは複数のパラメーターにより決まる音を生成することができる。特許文献3には、音声装置の制御信号を生成する手段を備える運動装置であって、前記制御信号が前記運動装置の現在の形態に少なくとも部分的に基づくものとされた、運動装置が開示されている。
【0007】
特許文献4には、識別された音楽フレーズまたは音楽テーマを一定でない実世界事象に対して同期およびリンクさせることが可能なシステムが開示されている。この同期は、タイミングオフセットを用いて音楽のシームレスな移行を実現することを含む。
【0008】
特許文献5には、適合音楽再生システムが開示されている。このシステムは、ユーザー活動レベルに対応する情報を受け取る構成システムを備える。この構成システムは、ユーザー活動の変化に応答して楽曲の構成を変更する。この変更は、音楽のスムーズな移行を促すための一式の構成規則に従って行われる。
【0009】
身体運動時のユーザーのやる気維持を支援する音響的フィードバックが行われる場合、音響的フィードバック生成システムについて事前の豊富な経験がなくともユーザーが音響的フィードバックを楽しく簡単に生成できるのが望ましい。学習曲線を開始時点から急峻に上昇させることができる技術、および/または身体運動時に十分な音響的フィードバックを生成するためのやり方をユーザーが覚える時間が短くて済む技術がもたらされるのが極めて望ましい。または、もしくはさらに、運動セッション中にユーザーが模索することのできる音や音の組合せの選択肢が、ユーザーのやる気を維持できる程度にかつやる気にさせる音響パターンの生成がむずかしくなり過ぎない程度に、十分に幅広いものであるのが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許出願公開第2010/0075806号明細書
【文献】米国特許出願公開第2007/0060446号明細書
【文献】国際公開第2011/147934号
【文献】米国特許第9697813号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0254831号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
以上に鑑みて、本発明の目的の一つは、身体運動時の音響的フィードバックを制御する方法、装置およびシステムの改良を提供することである。具体的に述べると、目的の一つは、ユーザーが音響的フィードバックを楽しく簡単に、前記音響的フィードバックのビートを身体運動時に実行する自身の動作に同期させる必要なく生成することを可能にする、身体運動時音響的フィードバック制御方法、装置およびシステムを提供することである。または、もしくはさらに、目的の一つは、運動中にユーザーが音や音の組合せの選択肢を幅広く模索することを可能にする、身体運動時音響的フィードバック制御方法、装置およびシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明では、独立請求項に記載した方法、装置およびコンピュータープログラムが提供される。従属請求項に、好ましい実施形態が定義されている。
【0013】
身体運動時の音響的フィードバックを行う方法は、
-ビートが同期した複数の音声クリップを用意する過程と、
-センサーから、第1および第2の閾値でセンサー信号範囲が少なくとも3つのセンサー信号サブ範囲に分割されるセンサー信号を受け取る過程と、
-受け取った前記センサー信号に応答して音声信号を出力する過程であって、出力される前記音声信号が前記音声クリップのうちの1つ以上の音声クリップを含む、過程と、
を備える。
前記受け取ったセンサー信号が前記第1の閾値を上回ると、前記1つ以上の音声クリップのうちの少なくとも1つの音声クリップが停止され、および/または、前記音声クリップのうちの少なくとも1つのさらなる音声クリップが前記少なくとも1つの音声クリップと同期的に開始される。前記受け取ったセンサー信号が前記第2の閾値を下回ると、前記1つ以上の音声クリップのうちの少なくとも1つの音声クリップが停止され、および/または、前記音声クリップのうちの少なくとも1つのさらなる音声クリップが前記少なくとも1つの音声クリップと同期的に開始される。
【0014】
前記複数の音声クリップの各ビートは、共通のビートに同期したものとされ得る。前記1つ以上の音声クリップのうちの少なくとも1つの音声クリップが停止され、および/または、前記音声クリップのうちの少なくとも1つのさらなる音声クリップが開始されるとき、ビートが維持され得る。前記方法は、前記センサー信号が前記第1または第2の閾値に到達したことに応答して、前記音声クリップの素早い変化を促し得る。
【0015】
前記複数の音声クリップの同期したビートは、同じテンポを有し得て、同位相であり得る。
【0016】
前記1つ以上の音声クリップのうちの少なくとも1つの音声クリップを停止することは、前記1つ以上の音声クリップのうちの前記少なくとも1つの音声クリップをフェードアウトさせることを含み得る。
【0017】
前記音声クリップのうちの少なくとも1つのさらなる音声クリップを開始させることは、前記少なくとも1つのさらなる音声クリップをフェードインさせることを含み得る。
【0018】
前記1つ以上の音声クリップのうちの少なくとも1つの音声クリップを停止すること、および/または前記音声クリップのうちの少なくとも1つのさらなる音声クリップを開始させることは、前記1つ以上の音声クリップのうちの前記少なくとも1つの音声クリップと前記少なくとも1つのさらなる音声クリップとのクロスフェードを実行することを含み得る。
【0019】
少なくとも1つのさらなる音声クリップを開始させることは、前記少なくとも1つのさらなる音声クリップが再生されるオフセット再生位置を決定することを含み得る。
【0020】
前記少なくとも1つのさらなる音声クリップの前記オフセット再生位置は、前記受け取ったセンサー信号が前記第1の閾値を上回ったかまたは前記第2の閾値を下回った時点での前記1つ以上の音声クリップのうちの前記少なくとも1つの音声クリップの再生位置に基づいて、または、前記少なくとも1つのさらなる音声クリップが開始される時点での前記1つ以上の音声クリップのうちの前記少なくとも1つの音声クリップの再生位置に基づいて決定され得る。
【0021】
前記1つ以上の音声クリップのうちの前記少なくとも1つの音声クリップの長さと前記少なくとも1つのさらなる音声クリップの長さが異なる場合、前記少なくとも1つのさらなる音声クリップの前記オフセット再生位置は、前記少なくとも1つのさらなる音声クリップの長さに対する前記1つ以上の音声クリップのうちの前記少なくとも1つの音声クリップの長さの比に基づいて決定され得る。また、前記オフセット再生位置は、グローバルカウント(例えばクロック、サンプルカウンタ等)に基づいて、前記グローバルカウントを分子とし前記少なくとも1つのさらなる音声クリップのサンプル数を分母とした剰余演算(modulo operation)の結果に前記オフセット再生位置が等しくなるように決定されてもよい。限定ではなく例示になるが、前記オフセット再生位置は:オフセット再生位置=(グローバルサンプルカウント)%(少なくとも1つのさらなる音声クリップのサンプル数)として決定され得る。
【0022】
前記少なくとも1つの音声クリップおよび前記少なくとも1つのさらなる音声クリップは、共通のビートに同期したものとされ得る。
【0023】
前記方法は、前記身体運動を実行している人間の少なくとも1つの生理パラメーターに基づいて前記共通のビートを調節する過程、を備え得る。
【0024】
音声信号を出力する過程は、前記受け取ったセンサー信号が前記第1の閾値を上回るかまたは前記第2の閾値を下回るまで、前記少なくとも1つの音声クリップをループで再生することを含み得る。変形例として、前記少なくとも1つの音声クリップは、所定の回数だけ(例えば1回だけ、n回(ただし、nは2以上の整数)だけ等)再生され得る。
【0025】
音声信号を出力する過程は、前記受け取ったセンサー信号が前記第1の閾値を上回ったかまたは前記第2の閾値を下回った後、前記少なくとも1つのさらなる音声クリップをループで再生することを含み得る。
【0026】
前記方法は、さらに、前記少なくとも1つの音声クリップまたは前記さらなる音声クリップを、前記身体運動の開始からの経過時間の関数として調整する過程、を備え得る。また、前記方法は、前記少なくとも1つの音声クリップまたは前記少なくとも1つのさらなる音声クリップを、前記センサー信号に基づいて決定される動作特性の関数として調整する過程、を備え得る。前記少なくとも1つの音声クリップまたは前記さらなる音声クリップが前記動作特性の関数として調整される(例えば、切り替えられる)ことで、ある種のジェスチャー識別による前記少なくとも1つの音声クリップまたは前記さらなる音声クリップの操作が可能となり得る。前記ジェスチャー識別は、人間の身体の部位の位置だけでなく位置の変化(すなわち、前記身体部位の動作パターン)にも反応するものであり得る。前記動作特性は、例えばパターン分類アルゴリズム等により識別され得る。また、前記方法は、前記少なくとも1つの音声クリップまたは前記少なくとも1つのさらなる音声クリップを、前記身体運動時のユーザーの動作とは無関係の環境的変化から導出されたパラメーターの関数として調整する過程、を備え得る。前記環境パラメーターは、実世界オブジェクトおよび/または仮想現実オブジェクトの位置および/または位置変化を含み得る。前記の構成に代えてまたは前記の構成に加えて、前記方法は、さらに、前記少なくとも1つの音声クリップまたは前記さらなる音声クリップを、前記身体運動を実行している人間の少なくとも1つの生理パラメーターの関数として調整する過程、を備え得る。前記少なくとも1つの音声クリップまたは前記さらなる音声クリップの前記調整に影響し得るこのような生理パラメーターのあくまでも例示として、心拍数、呼吸数、ヒトの皮膚の検出された抵抗または導電率等が挙げられる。
【0027】
前記複数の音声クリップは、サンプリングされた音声データを含み得る。これに代えてまたはこれに加えて、前記複数の音声クリップは、電子楽器デジタルインターフェース(MIDI(登録商標))クリップを含み得る。それに代えてまたはそれに加えて、前記複数の音声クリップは、オープンサウンドコントロール(OSC)クリップを含み得る。前記複数の音声クリップは、サンプリングされた音声データおよび/またはMIDIクリップおよび/またはOSCクリップに限定されない。前記複数の音声クリップは、サンプリングされた音声データやMIDIクリップやOSCクリップではない例えば独自フォーマット等のフォーマットの少なくとも1つのクリップを含み得る。
【0028】
前記複数の音声クリップの2つ以上の音声クリップがそれぞれ、同じ音声ファイルにおける所与のサブ範囲とされてもよい。限定ではなく例示になるが、停止される前記少なくとも1つの音声クリップが音声ファイルのうちの第1のサブ範囲とされてもよく、開始される前記少なくとも1つのさらなる音声クリップが前記音声ファイルのうちの第2のサブ範囲とされてもよい。音声ファイルのこれら第1および第2のサブ範囲は、異なるサブ範囲であり得る。音声ファイルのこれら第1および第2のサブ範囲は、交わりを持たないサブ範囲であり得る。このように、一つの音声ファイルを用いて前記音声ファイルから前記複数の音声クリップが導出されてもよい。
【0029】
前記センサーは、運動装置に取り付けられるものであり得る。前記センサーが取り付けられる運動装置は:ステーショナリーバイク(stationary bicycle);ランニングまたはウォーキングマシン;エリプティカルマシン(elliptical machine);グライダーマシン(glider machine);クライミングマシン(climbing machine);ローイングマシン(rowing machine);スキーイングマシン(skiing machine);ダンベル、ケトルベル、バーベルなどのフリーウェイト;レジスタンスバンド;スタック式マシン、プレートロード型マシンなどのウェイトマシン;およびフレクションマシン(flexion machine);からなる群から選択され得る。前記センサーは、前記運動装置に対して、前記センサーを繰返し可逆的に装着したり取り外したりすることが容易であるように着脱自在に取り付けられ得る。
【0030】
前記センサーは、運動装置に取り付けられずとも身体運動の少なくとも1つのパラメーターを取得するように構成されたものであってもよい。前記センサーは、ウェアラブルなセンサーであり得る。前記センサーは、ハンドヘルド式のセンサーであってもよいし、ハンドヘルド式の装置に組み込まれたものであってもよい。前記センサーは、運動時の動作を検出することに加えてボタンの押圧および/または音声コマンドなどのパラメーターを検出するようにも動作可能な多機能センサーであり得る。前記の構成に代えてまたは前記の構成に加えて、前記センサーは、ユーザーの動作の少なくとも1つの運動パラメーターを非接触で取得するように動作可能なものであり得る。前記センサーは、ユーザーの動作を非接触で検出する映像センサーまたは超音波センサーを含み得る。前記センサーは、1つ、2つまたは3つ以上のカメラを具備したカメラシステムを含み得る。前記カメラシステムは、二次元または三次元カメラシステムであり得る。検出された動作が処理されることで、ユーザーの身体の少なくとも1つの部位の例えば位置および/または速度および/または加速度等の運動パラメーターが導出され得る。これに代えてまたはこれに加えて、検出された動作は、所定の動作パターンに対する前記検出された動作の重複を算出するように処理され得る。
【0031】
前記方法は、前記センサーのセンサー出力を処理して前記センサー信号を生成する過程、を備え得る。前記センサー信号は、前記センサー出力の大きさを示すものであり得る。これに代えてまたはこれに加えて、前記センサー信号は、前記センサー出力の変化率(例えば、周期的な身体運動時の方向変化率等)を示すものであり得る。前記センサー信号は、前記センサー信号の時間微分を示すもの(例えば、速度を示すもの等)であり得る。前記センサー信号は、前記センサー出力の要部の開始およびオフセットを規定したものであり得る。例えば、これは(例えばボタンの押圧等でトリガーされ得る(引き起こされ得る))1つ以上の所定のトークン信号により定まり得る。前記センサーは、ユーザーの身体動作を1つまたは複数の所定の動作パターンと比較し得て、前記1つまたは複数の所定の動作パターンに対するユーザーの身体動作の類似度を示すセンサー信号を提供し得る。前記センサーまたは前記センサーとは別の制御回路が、1つまたは複数の所定の動作パターンとのユーザーの身体動作の比較を、類似度関数を用いて実行し得る。これに代えてまたはこれに加えて、前記センサーまたは前記センサーとは別の制御回路は、ユーザーの身体動作の、他のセンサーにより取得されて他のユーザーの動作を表す1つまたは複数の動作パターンとの比較を実行するものとされてもよい。
【0032】
前記比較は、類似度関数を用いて定量的に実行され得る。類似度関数は、距離関数、または1つまたは複数の所定の動作パターンとのユーザーの身体動作の類似度を定量化する関数であり得る。ユーザーの検出された身体動作に例えば高速フーリエ変換(FFT)アルゴリズムを用いる等してフーリエ変換やその他のスペクトル変換が施され得て、変換後のデータが類似度関数の入力とされ得る。類似度関数は、例えば複数の離散関数(discrete functions)の相互相関等とされてもよい。
【0033】
ユーザーの身体動作を他のユーザーの1つまたは複数の動作パターンと比較し、これに基づいて音響的フィードバックを制御する構成により、集団エクササイズの効果が実現され得る。例示であるが、2人以上のユーザーが調和して動くことで、前記1つ以上の音声クリップのうちの少なくとも1つの音声クリップの停止および/または前記音声クリップのうちの少なくとも1つのさらなる音声クリップの開始が引き起こされるものとされてもよい。
【0034】
ビートが同期した前記複数の音声クリップは、等間隔の関係にあるかまたは音響振幅最大値もしくは音色事象の反復パターンに関する、繰返し時間的事象を示し得る。前記複数の音声クリップのこれらの時間的事象は、共通のビートと時間的に整合したものであり得る。
【0035】
ビートが同期した前記複数の音声クリップは、共通のビートと時間的に整合する等間隔の関係にあるかまたは音響振幅最大値もしくは音色事象の、共通のビートと時間的に整合した反復パターンに関する、繰返し時間的事象を示し得る。少なくとも1つのさらなる音声クリップを開始させることは、前記少なくとも1つのさらなる音声クリップが再生されるオフセット再生位置を決定することを含み得て、前記少なくとも1つのさらなる音声クリップの前記オフセット再生位置は、前記受け取ったセンサー信号が前記第1の閾値を上回ったかもしくは前記第2の閾値を下回った時点での前記1つ以上の音声クリップのうちの前記少なくとも1つの音声クリップの再生位置または前記時点でのグローバルカウントに基づいて、または、前記音声クリップのうちの少なくとも1つのさらなる音声クリップが開始される時点での前記1つ以上の音声クリップのうちの前記少なくとも1つの音声クリップの再生位置に基づいて決定される。
【0036】
前記センサー信号が前記第1の閾値に到達したことに応答して開始される前記少なくとも1つのさらなる音声クリップは、前記センサー信号の変化率、および前記第1の閾値への交差方向に依存し得る。
【0037】
3つ以上のセンサー信号が処理されることにより、前記複数の音声クリップのうちのどの音声クリップが出力されるのかが決定され得る。
【0038】
前記方法は、さらに、映像信号を出力する過程、を備え得る。前記映像信号は、実行すべき身体運動についての情報、および/または身体のうちのさらなる運動が求められる部位についての情報、および/または身体運動のためにユーザーを運動装置で浮遊支持する(suspend)方法についての情報を含み得る。これに代えてまたはこれに加えて、前記映像信号は映像効果を含み得る。前記映像効果は、グラフィック動画を含み得る。前記映像信号は、音声フィードバックを制御するものと同じセンサー信号により制御され得る。
【0039】
前記身体運動は、三次元実世界空間内のユーザーの向きを操作することが可能な運動装置または娯楽装置上で実行され得る。これにより、ユーザーは身体の様々な部位を選択的に運動させることができる。前記運動装置または娯楽装置は、三次元実世界空間内のユーザーの向きを設定するジョイスティックなどの入力エレメントにより操作可能なものであり得る。前記方法は、映像信号を出力する過程、を備え得る。前記映像信号は、実行すべき身体運動についての情報、および/または身体のうちのさらなる運動が求められる部位についての情報、および/または身体運動のためにユーザーを運動装置で浮遊支持する方法についての情報を含み得る。これに代えてまたはこれに加えて、前記映像信号は映像効果を含み得る。前記映像効果は、グラフィック動画を含み得る。前記映像信号は、音声フィードバックを制御するものと同じセンサー信号により制御され得る。
【0040】
前記センサー信号は、運動装置の弾性部材に取付け可能なセンサーにより取得されるものであり得る。前記センサーは、前記弾性部材に変更を施したり前記弾性部材を分解したりせずとも前記弾性部材に着脱自在に取付け可能なものであり得る。前記弾性部材は、弾性バンドまたは弾性ロープであり得る。
【0041】
前記センサーは、前記弾性部材にクリップ留めされるように構成されたものであり得る。前記センサーは、前記センサーを前記弾性部材にクリップ留めするブラケットが取り付けられたハウジングを具備し得る。前記ブラケットは、前記センサーを前記弾性部材に保持するように前記ハウジングに向かって付勢されているものであり得る。
【0042】
前記センサーは、前記弾性部材の伸張および/または圧縮を検出するように構成されたものであり得る。これに代えてまたはこれに加えて、前記センサーは、前記弾性部材の向きを検出するように構成されたものであり得る。
【0043】
前記方法は、さらに、校正ルーチンにおいてセンサー出力を監視する過程、を備え得る。センサー出力を処理し前記第1および第2の閾値との比較対象となるセンサー信号を生成するための処理ルーチンが、前記校正ルーチンにおいて監視したセンサー信号に基づいて校正され得る。前記校正ルーチンにおいて監視した前記センサー出力を用いて、前記第1および第2の閾値と比較される前のセンサー出力に乗算される倍率が決定され得る。これに代えてまたはこれに加えて、センサー出力を処理して前記センサー出力から前記センサー信号を生成するのに、より複雑なマッピング手法が用いられてもよい。例示であるが、様々な関数やテーブルを用いて、前記第1および第2の閾値との比較対象となるセンサー信号へセンサー出力がマッピングされてもよい。これらの関数やテーブルは、前記校正ルーチンにおいて監視した前記センサー出力に応じて調節され得る。前記複数の音声クリップは、前記校正ルーチンでの前記センサー信号に応じて選択されてもよい。
【0044】
前記校正は、ユーザーの身体運動に最適に合った、向上した音声フィードバックを提供するように実行され得る。
【0045】
前記校正ルーチンにおいて前記センサー出力が、ユーザーの最小繰返し回数の動作を通して監視され得る。前記最小繰返し回数は、使用されるセンサーの種類、および/またはユーザーの動作が周期的な動作であるか否かに依存し得る。
【0046】
前記校正ルーチンにおいて前記センサー出力を監視する過程は、前記校正ルーチンにおいてユーザーの動作が少なくとも1回実行される際のユーザーの動作の開始点および終了点を決定することを含み得る。
【0047】
例えば三次元カメラシステムの場合のように前記センサーが空間内の自由な動きを検出するように構成されたものである場合、前記校正ルーチンは、ユーザーの動作の少なくとも2回の繰返しを通して前記センサー出力を監視することを含み得る。
【0048】
ランニングやサイクリングの場合のように前記身体運動が周期的な動作パターンを伴う身体運動である場合、別の校正ルーチンが用いられ得る。例示であるが、ランニング時にユーザーが脚を上げる高さ、および/またはランニング時にユーザーが脚を上げる頻度、および/またはサイクリング時のペダルを踏む頻度が、前記校正ルーチンにおいて監視され得る。加速度が追加で監視されてもよい。前記センサー出力を処理して例えば活動値等の各種値を得るようにしてもよい。
【0049】
前記第1および第2の閾値は、前記校正済みの動きが実行されている際に(すなわち、校正後に)調節されるようにしてもよい。これにより、特定の運動や特定の運動装置に合った調整を行うことが可能になる。
【0050】
前記複数の音声クリップのうちの1つ、2つ以上またはすべてが、シーケンサーにより供給され得る。これに代えてまたはこれに加えて、前記音声信号または前記音声信号に関するデータが、前記シーケンサーに供給され得る。前記シーケンサーは、ハードウェアまたはソフトウェアにより実現され得る。
【0051】
前記シーケンサーは、音声フィードバックシステムを制御するために用いられ得る1つまたは複数のデータストリームを供給し得る。
【0052】
身体運動時の音響的フィードバックを制御する本発明にかかる装置は、
-ビートが同期した複数の音声クリップを記憶するメモリと、
-第1および第2の閾値でセンサー信号範囲が少なくとも3つのセンサー信号サブ範囲に分割されるセンサー信号を受け取る入力部と、
-受け取った前記センサー信号に応答して音声信号の出力を制御する制御回路であって、出力される前記音声信号が、同期した状態で出力される、前記音声クリップの1つ以上の音声クリップを含む、制御回路と、
を備える。
前記制御回路は、前記受け取ったセンサー信号が前記第1の閾値を上回ると、前記1つ以上の音声クリップのうちの少なくとも1つの音声クリップを停止させ、および/または、前記音声クリップのうちの少なくとも1つのさらなる音声クリップを前記少なくとも1つの音声クリップと同期的に開始させるように構成されている。前記制御回路は、前記受け取ったセンサー信号が前記第2の閾値を下回ると、前記1つ以上の音声クリップのうちの少なくとも1つの音声クリップを停止させ、および/または、前記音声クリップのうちの少なくとも1つのさらなる音声クリップを前記少なくとも1つの音声クリップと同期的に開始させるように構成されている。
【0053】
前記複数の音声クリップの同期したビートは、同じテンポを有し得て、同位相であり得る。
【0054】
前記装置は、さらに、前記音声信号を出力する電気音響変換器を備え得る。前記電気音響変換器は、ラウドスピーカー、イヤースピーカー、ヘッドフォン、またはその他の電気音響変換器を含み得る。
【0055】
前記装置は、複数のセンサーから各センサー信号を受け取るように構成されたものであり得る。前記装置は、前記センサー信号のうちの1つ以上のセンサー信号にそれぞれ対応した複数の音声信号の出力を、それぞれ対応したセンサー信号の関数として制御するように構成されたものとされ得る。
【0056】
前記装置は、映像信号を出力するように構成されたものであり得る。前記映像信号は、実行すべき身体運動についての情報、および/または身体のうちのさらなる運動が求められる部位についての情報、および/または身体運動のためにユーザーを運動装置で浮遊支持する方法についての情報を含み得る。これに代えてまたはこれに加えて、前記映像信号は映像効果を含み得る。前記映像効果は、グラフィック動画を含み得る。前記映像信号は、音声フィードバックを制御するものと同じセンサー信号により制御され得る。
【0057】
前記センサーは、運動装置の弾性部材に取付け可能なものであり得る。前記センサーは、前記弾性部材に変更を施したり前記弾性部材を分解したりせずとも前記弾性部材に着脱自在に取付け可能なものであり得る。
【0058】
前記センサーは、前記弾性部材にクリップ留めされるように構成されたものであり得る。前記センサーは、前記センサーを前記弾性部材にクリップ留めするブラケットが取り付けられたハウジングを具備し得る。前記ブラケットは、前記センサーを前記弾性部材に保持するように前記ハウジングに向かって付勢されているものであり得る。
【0059】
前記センサーは、前記弾性部材の伸張および/または圧縮を検出するように構成されたものであり得る。これに代えてまたはこれに加えて、前記センサーは、前記弾性部材の向きを検出するように構成されたものであり得る。
【0060】
前記制御回路は、本明細書に開示するいずれかの実施形態の方法を実行するように構成され得る。
【0061】
一実施形態におけるシステムは、身体運動時の人間の動作に応答するセンサーと、本明細書に開示するいずれかの実施形態の装置と、を備える。前記センサーは、センサー信号範囲を有する出力信号を提供し得る。
【0062】
前記システムは、さらに、前記センサーが取り付けられる運動装置、を備え得る。前述したように、前記センサーが取り付けられる運動装置は:ステーショナリーバイク;ランニングまたはウォーキングマシン;エリプティカルマシン;グライダーマシン;クライミングマシン;ローイングマシン;スキーイングマシン;ダンベル、ケトルベル、バーベルなどのフリーウェイト;レジスタンスバンド;スタック式マシン、プレートロード型マシンなどのウェイトマシン;およびフレクションマシン;からなる群から選択され得る。
【0063】
前記運動装置または娯楽装置は、三次元実世界空間内のユーザーの向きを操作することが可能なものであり得る。これにより、ユーザーは身体の様々な部位を選択的に運動させることができる。前記運動装置または娯楽装置は、三次元実世界空間内のユーザーの向きを設定するジョイスティックなどの入力エレメントにより操作可能なものであり得る。これに代えてまたはこれに加えて、前記運動装置または娯楽装置は、三次元実世界空間内において一連の向きおよび/または動きに自動的に移行するように構成されたものであり得る。前記運動装置または娯楽装置は、三次元実世界空間内のユーザーの向きを操作することが可能になるように、ユーザーを臀部でまたは臀部に沿って支える等してユーザーを浮遊支持するように構成されたものであり得る。
【0064】
音声情報を出力する前記装置は、三次元実世界空間内のユーザーの向きまたはその他のセンサー信号に応答して映像信号を追加で提供するものであり得る。前記映像信号は、実行すべき身体運動についての情報、および/または身体のうちのさらなる運動が求められる部位についての情報、および/または身体運動のためにユーザーを運動装置で浮遊支持する方法についての情報を含み得る。これに代えてまたはこれに加えて、前記映像信号は映像効果を含み得る。前記映像効果は、グラフィック動画を含み得る。前記映像信号は、音声フィードバックを制御するものと同じセンサー信号により制御され得る。
【0065】
極めて好ましい運動装置は、弾性エレメントにより連結された2つの物体を含む。これらの物体は、グリップ、ボール、バトン、バーベル、またはユーザーが簡単に手でつかみ得るかもしくはユーザーの手の中に容易に収まり得る任意の他の種類の物体であり得る。前記弾性エレメントは、例えば弾性バンド、弾性ロープ等であり得る。前記弾性バンドまたは弾性ロープの長さは、弛緩状態で10cm~1m、好ましくは20cm~60cmであり得る。許容範囲内の荷重がかかったとき、前記弾性エレメントの長さは30cm未満だけ、好ましくは20cm未満だけ、なおいっそう好ましくは10cm未満だけ変化し得る。好ましくは、前記弾性エレメントは、弛緩時の長さの2倍以上に伸張されて20N~200N、好ましくは40N~100Nの範囲内の伸張力を働かせることが可能である。好ましくは、この場合の前記センサーは、前記2つの物体のうちの少なくとも一方の物体上にもしくは前記少なくとも一方の物体内におよび/または前記弾性エレメント上にもしくは前記弾性エレメント内に取り付けられた、加速度計および/またはジャイロメーターおよび/または歪みゲージおよび/またはロードセルを含む。変形例として、前記弾性エレメントが前記センサーであってもよい。好ましくは、前記弾性エレメントを取り付ける前記物体のそれぞれが、センサーを具備している。前記物体のうちの一方もしくは両方または前記弾性エレメントにセンサーを取り付けることにより、または、前記弾性エレメントをセンサーとして使用することにより、様々なパラメーターを本発明のセンサー出力として利用することができる。例えば、前記センサー信号は、前記弾性エレメントの伸張、すなわち、前記弾性エレメントに加えられる力に関連付けられ得る。前記センサー信号は、複数のデータ項目を含み得て、これにより、多次元センサー信号空間内でベクトルを表現し得る。それら複数のデータ項目は、位置、速度、加速度、座標軸、運動方向および力からなる群から選択される2つ以上のデータを含み得る。前記の構成に加えてまたは前記の構成に代えて、前記センサー信号は、前記物体のうちの一方もしくは両方を動かす速度または前記弾性エレメントの伸張速度、および/または前記物体が動かされる方向、および/または前記弾性エレメントが伸張する方向に関係するものとされ得る。
【0066】
これにより、水平面内でまたは垂直面内で前記2つの物体または前記弾性エレメントを例えば動かしたり伸ばしたりすることで様々な音が生成され得るというように、この運動装置を極めて自由自在に使用することが可能になる。多数の様々な音(またはクリップ)が前記2つの物体または前記弾性エレメントの様々な異なる動きに振り当てられていることで、この特定の運動装置は楽器の如く「演奏」されることができる。これにより、前記装置を使って運動している人間のやる気が極めて上がることが分かっている。
【0067】
前記センサーは、運動装置に取り付けられずとも身体運動の少なくとも1つのパラメーターを取得するように構成されたものであってもよい。前記センサーは、ウェアラブルなセンサーを含み得る。前記センサーは、ハンドヘルド式のセンサーであってもよいし、ハンドヘルド式の装置に組み込まれたものであってもよい。前記の構成に代えてまたは前記の構成に加えて、前記センサーは、ユーザーの動作を非接触で取得するように動作可能なものであり得る。前記センサーは、ユーザーの動作を非接触で検出する映像センサーまたは超音波センサーを含み得る。前記センサーは、二次元または三次元カメラシステムを含み得る。
【0068】
前記センサーは、ユーザーの身体動作を1つまたは複数の所定の動作パターンと比較するように構成され得て、前記1つまたは複数の所定の動作パターンに対するユーザーの身体動作の類似度を示すセンサー信号を提供し得る。
【0069】
一実施形態におけるコンピュータープログラムはソフトウェアコードを備えており、前記ソフトウェアコードが、プロセッサーにより実行されると本明細書に開示するいずれかの実施形態における方法を実行するように構成されている。
【0070】
身体運動時の音響的フィードバックを制御する前記方法、装置およびコンピュータープログラムは、運動中にユーザーが音や音の組合せの選択肢を幅広く模索することを可能にする。身体運動時の音響的フィードバックを制御する前記方法、装置およびコンピュータープログラムにより、音響的フィードバックメカニズムの使用についての豊富な経験を事前に積まずとも、ユーザーはやる気が上がると思われる音響的フィードバックを生成することができる。
【0071】
少なくとも一部の実施形態において、音響的フィードバックを制御する前記方法、装置およびコンピュータープログラムは、停止されるクリップの再生位置およびビートに関係して、音声出力を異なる音声クリップ間で切り替えることができる。停止される音声クリップの再生位置に応じた再生位置から、さらなる音声クリップが例えばクロスフェード等によって開始され得る。前記複数の音声クリップが同期している(すなわち、共通のビートを有している)ことにより、ユーザーが自身の身体運動をそれら複数の音声クリップのビートに同期させる必要なく、異なるクリップ間のスムーズな移行が達成される。
【0072】
少なくとも一部の実施形態において、音響的フィードバックを制御する前記方法、装置およびコンピュータープログラムは、センサー出力の大きさだけでなく前記センサー出力の変化率および/または変化方向にも応じて音声出力を生成することができる。
【0073】
音響的フィードバックを制御する前記方法、装置およびコンピュータープログラムは、運動している複数の人間に対して同時に音響的フィードバックを生成するのに用いられてもよい。つまり、集団エクササイズ環境の用途にも(ただし、これに限定されない)適している。
【0074】
本発明の好適な実施形態は、添付の図面と共に以下の詳細な説明を参酌することによって、より完全に理解および把握されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【
図1】好適な一実施形態において、身体運動時の音響的フィードバックを制御する装置を備えたシステムの模式図である。
【
図2】好適な一実施形態における前記装置の動作を示す図である。
【
図3】好適な一実施形態における前記装置の動作を示す他の図である。
【
図4】好適な一実施形態における前記装置の動作を示すさらに他の図である。
【
図5】身体運動時のセンサー信号に応答して音声クリップをフェードインおよびフェードアウトさせるのに用いられる、例示的な重み付け関数を示す図である。
【
図6】身体運動時に実行されるクロスフェード中の音声振幅の例示的な変化を示す図である。
【
図7】身体運動時のセンサー信号に応答してオフセット再生位置を決定する様子を示す図である。
【
図8】身体運動時のセンサー信号に応答してオフセット再生位置を決定する様子を示す他の図である。
【
図9】好適な一実施形態における方法のフローチャートである。
【
図10】身体運動時のセンサー信号に応答してオフセット再生位置を決定する様子を示す図である。
【
図11】身体運動時のセンサー信号に応答してオフセット再生位置を決定する様子を示す他の図である。
【
図12】好適な一実施形態において、前記装置の動作時の音声クリップの経時的変化を示す図である。
【
図13】好適な一実施形態において、前記装置の動作時にアクセスされる音声クリップの二次元配列を示す図である。
【
図14】好適な一実施形態において、身体運動時の音響的フィードバックを制御する装置のブロック図である。
【
図15】好適な一実施形態において、身体運動時の音響的フィードバックを制御する他の装置のブロック図である。
【
図16】好適な一実施形態において、身体運動時の音響的フィードバックを制御する装置を備えたシステムのブロック図である。
【
図17】好適な一実施形態において、身体運動時の音響的フィードバックを制御する装置を備えた他のシステムのブロック図である。
【
図18】好適な一実施形態において、身体運動時の音響的フィードバックを制御する装置を備えたさらに他のシステムのブロック図である。
【
図19】好適な一実施形態において、身体運動時の音響的フィードバックを制御する装置を備えたさらに他のシステムのブロック図である。
【
図20】好適な一実施形態において、身体運動時の音響的フィードバックを制御する装置を備えたさらに他のシステムのブロック図である。
【
図21】好適な一実施形態において、身体運動時に音響的フィードバックを制御しかつ映像信号を提供する装置を備えたシステムのブロック図である。
【
図22】好適な一実施形態において、身体運動時の音響的フィードバックを制御する装置を備えたさらに他のシステムのブロック図である。
【
図23】
図22のシステムに用いられ得るセンサーの平面図である。
【
図24】一実施形態における、校正ルーチンを備えた方法のフローチャートである。
【
図25】好適な一実施形態におけるシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。図面では、同一または同様の参照符号が同一または同様の構成要素を指すものとする。図面に示すおよび/または本明細書で説明する機能的または構造的な構成要素の連結または接続については、物理的な接続や無線信号伝送技術を用いた直接的または間接的な接続として実現され得るものとする。
【0077】
ステーショナリーバイク、ランニングまたはウォーキングマシン、エリプティカルマシン、グライダーマシン、クライミングマシン、ローイングマシン、スキーイングマシン、ダンベルやケトルベルやバーベルなどのフリーウェイト、レジスタンスバンド、スタック式マシンやプレートロード型マシンなどのウェイトマシン、フレクションマシンなどといった運動装置に関して例示的な実施形態を説明するが、本発明の実施形態はこの例示的な用途に限定されない。むしろ、好適な実施形態における方法、装置、システムおよびコンピュータープログラムは、運動装置に取り付けられ得る(ただし、必ずしもそうである必要はない)センサーにより提供されるセンサー信号に基づき、身体運動時にユーザーに対して音響的フィードバックを行うように用いられ得るものである。特に、本発明の実施形態は、非周期的な身体運動または非周期的な動作を伴う身体運動に応答して音声出力を生成するように用いられ得る。さらなる他の実施形態では、乗り物用シート、オフィス用シート、住宅用シートなどのシートに設置されたセンサーのセンサー信号に応答して音声出力が制御され得る。
【0078】
本発明の好適な実施形態では、センサー信号に応答して音声出力が制御される。前記センサー信号は、ユーザーの動作または運動装置の動きを検出するセンサーの出力信号であり得る。変形例として、前記センサー信号は、前記センサーの出力信号からさらなる処理によって導出されるもの(例えば、位置センサーの出力信号から導出された速度等)であり得る。身体運動時に出力される音声クリップは、前記身体運動時のユーザーの身体の一部または運動装置の一部の位置および/または速度および/または加速度などの、少なくとも1つの運動パラメーターに基づいて選択され得る。出力すべき音声クリップが選択される過程で、動作の振幅と方向の両方が考慮に入れられ得る。
【0079】
本発明の好適な実施形態では、身体運動時に前記音声信号が提供され得る。「身体運動」という用語は、ユーザーの身体の部位を動かすように行われ得る身体的活動を包含するものであり得る。身体運動は、身体運動に特化した環境で実行されるものであってもよいし、例えば娯楽活動、職業的活動等におけるユーザーの別の活動に組み込まれたものであってもよい。前記職業的活動は、椅子や他の座家具に座った状態でユーザーが行う動作、家事、またはその他の職業的活動を含み得る。前記娯楽活動は、ジェットコースターなどの遊園地の乗り物に乗ることを伴う活動を含み得る。
【0080】
本発明の好適な実施形態では、出力される音声クリップが前記センサー信号に応答して変化する。音声クリップの変化は、
-前記センサー信号が閾値に到達すると第1の音声クリップを第2の音声クリップに切り替えること、および/または
-前記センサー信号が閾値に到達すると第1の音声クリップに加えて第2の音声クリップの出力を開始すること、
を含め(ただし、これらに限定されない)、様々な形態を取り得る。
前記音声クリップの変化は、少なくとも1つの音声クリップをフェードインさせること、少なくとも1つのさらなる音声クリップをフェードアウトさせること、または音声クリップ間のクロスフェードを含み得る。
【0081】
前記音声クリップは、同じテンポを有し得て、同位相であり得る。
【0082】
前記センサー信号が閾値に到達したことに応答して開始される前記少なくとも1つのさらなる音声クリップは、前記センサー信号の変化の変化率および/または前記閾値への交差方向に依存し得る。例示であるが、前記閾値に到達したときの前記センサー信号の変化率に応じておよび/または前記センサー信号が前記閾値を上回ったのか下回ったのかに応じて、別のさらなる音声クリップが開始され得る。
【0083】
前記センサー信号が閾値に到達したことに応答して停止される音声クリップ、および前記センサー信号が閾値に到達したことに応答して開始されるさらなる音声クリップは、ビートが同期したものとされ得る。停止される音声クリップのビート、およびさらなる音声クリップのビートは、時間的に整合したものであり得る。停止される音声クリップのビートと開始されるさらなる音声クリップのビートはいずれも共通のビートに同期しているものとされ得て、例えば、停止される音声クリップの音量の振幅および開始されるさらなる音声クリップの音量の振幅が、前記共通のビートと時間的に整合した反復時間パターンをそれぞれ有しているものとされる。
【0084】
音声クリップの変化は、音声クリップの前記変化が起こる時点の再生位置に関係し得る。例示であるが、前記センサー信号が前記閾値に到達する前に第1の音声クリップが出力されていて前記センサー信号が前記閾値に到達したことに応答して第2の音声クリップが開始される場合、第2の音声クリップが出力されるオフセット再生位置(本明細書ではプレイヘッドオフセットとも称する)は、第2の音声クリップが開始される時点での第1の音声クリップの再生位置に依存するものとなり得る。
【0085】
音声クリップは、所与の事象が発生するまでループで再生され得る。前記事象は、前記センサー信号が閾値に到達して音声クリップの変化をトリガーすることを含み得る。前記事象は、前記センサー信号内の、パターン分類で求められる特定の動作パターンの検出を含み得る。前記事象は所定の期間の満了を含み得て、前記センサー信号がどの閾値に到達しなくとも、音声クリップが時間の関数として切り替わる。前記の構成に代えてまたは前記の構成に加えて、センサーサブ範囲の境界を定める閾値が、時間の関数としてまたは前記センサーにより検出される事象に応じて変化し得る。前記事象は、パターン分類アルゴリズムによる動作パターンの識別、または身体運動時のユーザーの動作とは無関係の環境的変化から導出された他の事象を含み得る。前記環境的変化は、例えば、実世界オブジェクトおよび/または仮想現実オブジェクトの位置変化等を含み得る。
【0086】
前記ループの長さは、可変であり得る。前記ループの長さは、前記センサー信号の関数として、身体運動の実行時間の関数として、または身体運動とは無関係の環境的条件などの他のパラメーターの関数として変化し得る。
【0087】
後で詳述するように、例示的な実施形態の前記構成およびさらなる構成により、異なる音声クリップ間で音声出力を素早く切り替えることができる。特定のセンサー入力値にて音声クリップ間の変化が即座に(ただし、ユーザーにとっては予測可能に)起こるため、ユーザーは自身の身体の動きの関数としてかつ前記動きを操ることで、様々な音を模索することができる。ユーザーは、音響出力のビートに自身の動作を調和させる必要なく幅広い種類の様々な音を生成することができる。前記方法およびシステムにより、ユーザーは長時間費やして前記システムの動作方法を覚えずとも、やる気が上がると思われる音響出力を生成することができる。
【0088】
図1は、システム1の模式図である。好適な一実施形態において、システム1は、音響的フィードバックを制御する制御装置4を備える。システム1は、センサー3、制御装置4、および電気音響変換器9を一般的に備える。制御装置4は、携帯型または据え置き型のコンピューティングデバイスを含み得る。制御装置4は、センサー3のセンサー出力に基づくセンサー信号に応じて音声クリップの出力を制御するように動作可能である。
【0089】
センサー3は、運動装置2に取り付けられるものであり得る。運動装置2は、ステーショナリーバイク、ランニングまたはウォーキングマシン、エリプティカルマシン、グライダーマシン、クライミングマシン、ローイングマシン、スキーイングマシン、ダンベルやケトルベルやバーベルなどのフリーウェイト、レジスタンスバンド、スタック式マシンやプレートロード型マシンなどのウェイトマシン、フレクションマシンなどのといった(ただし、これらに限定されない)据え置き型の運動装置であり得る。運動装置2は、ユーザーが非周期的な身体運動または非周期的な動作を伴う身体運動を実行することを可能にするものであり得る。
【0090】
センサー3は、必ずしも運動装置に連結される必要はない。例示であるが、センサー3は、ユーザーの動作を取得するウェアラブルなセンサー(例えば、リストストラップやその他のウェアラブルな装置に取り付けられた加速度センサー等)であってもよい。これに代えてまたはこれに加えて、センサー3は、ユーザーの身体または運動装置に直接取り付けられる必要なくユーザーの動作の運動パラメーターを取得するように構成されたものであってもよい。センサー3は、画像処理技術を用いてユーザーの動作を取得する光学イメージセンサーを含み得るか、またはユーザーの動作を取得する超音波センサーもしくはその他の距離検出センサーを含み得る。センサー3は、1つまたは複数の二次元または三次元カメラを含み得る。前記二次元または三次元カメラで撮像した映像フレームが、制御装置4により評価されて動作パターンが導出され得る。前記動作パターンに基づいて、音声クリップ間の移行が制御され得る。
【0091】
制御装置4は、センサー3と単方向または双方向通信を行う入力インターフェース5を含み得る。入力インターフェース5は、センサー3から前記センサー出力を受け取るように構成されたものであり得る。制御装置4は、制御回路6を含み得る。制御回路6は、1つまたは複数の集積回路を有し得る。制御回路6は、特定用途向け集積回路(ASIC)、コントローラー、マイクロコントローラー、プロセッサー、マイクロプロセッサー、およびこれらの任意の組合せのうちの1つまたは複数を有し得る。
【0092】
後で詳述するように、制御回路6は、どの音声クリップを出力すべきなのかを判断して音声サンプルを生成し、前記音声サンプルを出力インターフェース8から出力するように動作可能である。出力インターフェース8は、DA変換器(DAC)を含み得る。制御回路6は、前記センサー信号が第1および第2の閾値に到達したことに応答して音声クリップを切り替えるように動作可能であり得る。音声クリップの変化は再生位置を維持し、前記センサー信号が閾値11,12に到達する前に出力されていた音声クリップの再生位置に依存するオフセット再生位置から、少なくとも1つのさらなる音声クリップを開始させ得る。
【0093】
制御装置4は、複数の音声クリップを記憶するメモリ7または記憶装置を含み得る。すべての再生可能な音声クリップが、制御装置4でローカルに記憶されていなければならないわけではない。前記複数の音声クリップのうちの少なくとも一部は、ローカルエリアネットワークまたはワイドエリアネットワークを介してデータリポジトリ(データ格納場所)から取り出すようにしてもよい。音声クリップの取出しは、制御装置4の動作中に必要に応じて実行され得る。例示であるが、長時間の運動セッションの場合、追加の音声クリップをダウンロードすることで、次の音声出力が途切れず確実に生成されるようにしてもよい。
【0094】
メモリ7に記憶された前記複数の音声クリップは、それぞれ同期しているものとされ得る。前記複数の音声クリップは、ビートが同期しているものとされ得る。本明細書で用いるビートという用語は、音声クリップが出力されたときの、等間隔で反復される関係にある繰返し時間的事象(repeated temporal events that are related to recurring identical intervals)により反映され得る、前記音声クリップの基本時間単位またはパルスのことを指すものとする。
【0095】
メモリ7に記憶された前記複数の音声クリップは、同じテンポを有し得て、同位相であり得る。
【0096】
システム1は、電気音響変換器9を備える。電気音響変換器9は、ラウドスピーカー、イヤースピーカー、ヘッドフォン、または電気信号を可聴音に変換可能な他の装置であり得る。電気音響変換器9は、制御装置4と共通のハウジングに組み込まれていてもよいし、制御装置4とは別に設けられていてもよい。
【0097】
以下では、制御装置4により自動的に実行され得る方法について詳細に説明する。
【0098】
図2、
図3および
図4は、身体運動時に音響的フィードバックを行う様子を示す図である。センサー信号範囲10は、第1の閾値11および第2の閾値12により、複数のセンサー信号サブ範囲13,14,15に細分されている。例示であるが、第1のセンサー信号サブ範囲13は、第2の閾値12と第1の閾値11との間の範囲であり得る。第2のセンサー信号サブ範囲14は、第1の閾値11を超えるセンサー信号値を含み得る。第3のセンサー信号サブ範囲15は、第2の閾値12未満のセンサー信号値を含み得る。
図2には描かれていないが、各々のサブ範囲13~15は、各サブ範囲の境界を定める上閾値および下閾値により画定されたものであり得る。
【0099】
センサー信号16の値が第1のセンサー信号サブ範囲13内であるとき、少なくとも1つの音声クリップ21が出力される。少なくとも1つの音声クリップ21は、第1のセンサー信号サブ範囲13に対応付けられたものであり得る。制御装置30は、選択矢印30で概略的に示すようにセンサー信号16が第1のセンサー信号サブ範囲13内にあるとき、少なくとも1つの音声クリップ21を選択して出力し得る。
【0100】
図3に示すように、センサー信号16が増大して第1の閾値11を上回ると、少なくとも1つのさらなる音声クリップ22の出力が開始され得る。少なくとも1つのさらなる音声クリップ22は、第2のセンサー信号サブ範囲14に対応付けられたものであり得る。これに代えてまたはこれに加えて、第1のセンサー信号サブ範囲13に対応付けられた少なくとも1つの音声クリップ21の出力が停止され得る。少なくとも1つの音声クリップ21を停止することは、前記少なくとも1つの音声クリップ21をフェードアウトさせることを含み得る。少なくとも1つのさらなる音声クリップ22を開始させることは、前記少なくとも1つのさらなる音声クリップ22をフェードインさせることを含み得る。音声出力の変化は、少なくとも1つの音声クリップ21から少なくとも1つのさらなる音声クリップ22へのクロスフェードを実行することを含み得る。前記クロスフェードは、センサー信号16が第1の閾値14を上回った後、1秒未満、好ましくは0.5秒未満の時間内に完了し得る。前記クロスフェードは、電気音響変換器9により出力される音響信号の大きさが急激に変化しないように実行され得る。制御装置4は、例えばゲイン設定を調節する等してデジタル音声信号を調節することで、電気音響変換器9により出力される前記音響信号の大きさが前記クロスフェードによって急激に変化しないよう動作可能であり得る。
【0101】
図4に示すように、センサー信号16が減少して第2の閾値12を下回ると、少なくとも1つのさらなる音声クリップ23の出力が開始され得る。これに代えてまたはこれに加えて、第1のセンサー信号サブ範囲13に対応付けられた少なくとも1つの音声クリップ21の出力が停止され得る。少なくとも1つのさらなる音声クリップ23は、第3のセンサー信号サブ範囲15に対応付けられたものであり得る。少なくとも1つの音声クリップ21を停止することは、前記少なくとも1つの音声クリップ21をフェードアウトさせることを含み得る。少なくとも1つのさらなる音声クリップ23を開始させることは、前記少なくとも1つのさらなる音声クリップ23をフェードインさせることを含み得る。音声クリップの変化は、少なくとも1つの音声クリップ21から少なくとも1つのさらなる音声クリップ23へのクロスフェードを実行することを含み得る。前記クロスフェードは、センサー信号16が第1の閾値14を上回った後、1秒未満、好ましくは0.5秒未満の時間内に完了し得る。前記クロスフェードは、電気音響変換器9により出力される音響の大きさが急激に変化しないように実行され得る。制御装置4は、例えばゲイン設定を調節する等してデジタル音声信号を調節することで、電気音響変換器9により出力される音響信号の大きさが前記クロスフェードによって急激に変化しないよう動作可能であり得る。
【0102】
少なくとも1つのセンサー信号サブ範囲に対して、2つ以上の音声クリップがそれぞれ対応付けられてもよい。例示であるが、第2のセンサー信号サブ範囲14に対して、複数のさらなる音声クリップ22が対応付けられてもよい。センサー信号16が第1の閾値11を上回ったときにさらなる音声クリップ22のうちのどの音声クリップ22が出力されるのかは、前記センサー出力の変化率により反映され得る、運動中のユーザーの動作の速度に基づいて選択され得る。これに代えてまたはこれに加えて、センサー信号16が第1の閾値11を上回ったときにさらなる音声クリップ22のうちのどの音声クリップ22が出力されるのかは、運動の継続時間に基づいて選択されてもよい。これにより、センサー信号16が第1の閾値11を上回ったことに応答して開始される少なくとも1つのさらなる音声クリップ22を、身体運動の持続時間の関数として変えることができる。
【0103】
前記の構成に代えてまたは前記の構成に加えて、センサー信号16が第1の閾値11を上回ったときにさらなる音声クリップ22のうちのどの音声クリップ22が出力されるのかは、パターン分類アルゴリズムによる動作パターンの識別、または身体運動時のユーザーの動作とは無関係の環境的変化から導出された他の事象に基づいて選択されてもよい。
【0104】
前記の構成に代えてまたは前記の構成に加えて、第2のセンサー信号サブ範囲15に対して、複数のさらなる音声クリップ23が対応付けられてもよい。センサー信号16が第2の閾値12を下回ったときにさらなる音声クリップ23のうちのどの音声クリップ23が出力されるのかは、前記センサー出力の変化率により反映され得る、運動中のユーザーの動作の速度に基づいて選択され得る。これに代えてまたはこれに加えて、センサー信号16が第2の閾値12を下回ったときにさらなる音声クリップ23のうちのどの音声クリップ23が出力されるのかは、運動の継続時間に基づいて選択されてもよい。これにより、センサー信号16が第2の閾値12を下回ったことに応答して開始される少なくとも1つのさらなる音声クリップ23を、身体運動の持続時間の関数として変えることができる。
【0105】
前記の構成に代えてまたは前記の構成に加えて、センサー信号16が第2の閾値12を下回ったときにさらなる音声クリップ23のうちのどの音声クリップ23が出力されるのかは、パターン分類アルゴリズムによる動作パターンの識別、または身体運動時のユーザーの動作とは無関係の環境的変化から導出された他の事象に基づいて選択されてもよい。
【0106】
音声クリップ21と少なくとも1つのさらなる音声クリップ22,23とは、ビートが同期している。音声クリップ21および少なくとも1つのさらなる音声クリップ22,23は、共通のビートに同期しているものとされ得る。音声クリップ21および少なくとも1つのさらなる音声クリップ22,23の各ビートは、前記共通のビートと時間的に整合する等間隔の関係にあるまたは音響振幅最大値もしくは音色事象の、前記共通のビートと時間的に整合した反復パターンに関する、繰返し時間的事象により反映されるものであり得る。
【0107】
後で詳述するように、センサー信号16が第1の閾値11を上回るかまたは第2の閾値12を下回ることによりトリガーされる音声クリップの変化は、再生位置に関係し得る。これにより、少なくとも1つの音声クリップ21が停止されるときおよび/または少なくとも1つのさらなる音声クリップ22,23が開始されるときに、ビートが自動的に維持され得る。好適な一部の実施形態において、少なくとも1つのさらなる音声クリップ22,23の演奏が始まるオフセット再生位置は、前記少なくとも1つのさらなる音声クリップ22,23が開始される時点での少なくとも1つの音声クリップ21の再生位置に依存し得るか、または、グローバルカウント(例えばクロック、サンプルカウンタ等)に依存し得る。その場合の前記オフセット再生位置は、グローバルカウントを分子とし前記音声クリップのサンプル数を分母とした剰余演算の結果に等しくなるように決定され得る。例示であるが、再生のオフセットは、
図7~
図11を参照しながら後で詳述するように(グローバルサンプルカウント)%(少なくとも1つのさらなる音声クリップのサンプル数)として決定され得る。
【0108】
図5および
図6に、少なくとも1つの音声クリップ21が停止されて少なくとも1つのさらなる音声クリップ22,23が開始されるときに実行され得るクロスフェードの様子を示す。
図5には、少なくともクロスフェード期間Tcf中にこれら音声クリップに適用されるフェード振幅31,32が示されている。フェード振幅31は、センサー信号16が第1のセンサー信号サブ範囲13から出たことに応答して停止される少なくとも1つの音声クリップ21の音振幅に対して適用され得る。別のフェード振幅32は、センサー信号16が第2のセンサー信号サブ範囲14に入ったことに応答して開始される少なくとも1つのさらなる音声クリップ22、またはセンサー信号16が第3のセンサー信号サブ範囲15に入ったことに応答して開始される少なくとも1つのさらなる音声クリップ23に対して適用され得る。センサー信号16が、時刻33にて第1の閾値11または第2の閾値12に到達したとする。前記クロスフェードは、少しの時間遅延Trをもって時刻34にて開始する。時間遅延Trは、センサー3および制御装置4の応答時間に相当し得る。時間遅延Trは、1秒未満、好ましくは0.5秒未満、なおいっそう好ましくは0.3秒未満であり得る。時刻34と時刻35との間のクロスフェード期間Tcf中、停止される少なくとも1つの音声クリップ21の振幅が、徐々に減少させられ得る。開始される少なくとも1つのさらなる音声クリップ22,23の振幅は、徐々に増加させられ得る。振幅の前記減少は、フェード振幅31で概略的に描いた音振幅増倍率を用いることにより達成され得て、振幅の前記増加は、フェード振幅32で概略的に描いた音振幅増倍率を用いることにより達成され得る。フェード振幅31は、単調減少関数であり得る。フェード振幅31は、単調減少関数であり得る。フェード振幅31は、線形関数であってもよい。フェード振幅31は、対数関数、指数関数、三角関数、正弦型(sine-type)関数、逆正接関数などの非線形関数であってもよい。このような非線形関数は、大きさが著しく変化するリスクを緩和する。フェード振幅32は、単調増加関数であり得る。フェード振幅32は、線形関数であってもよい。フェード振幅32は、対数関数、指数関数、三角関数、逆正接関数などの非線形関数であってもよい。このような非線形関数は、大きさが著しく変化するリスクを緩和する。フェード振幅31,32は、音響の大きさの上限を定める例えばゲイン設定等に適用され得る。
【0109】
図6に、クロスフェードの効果を示す。停止される少なくとも1つの音声クリップ21の音響の大きさは、実線41で概略的に示されている。開始される少なくとも1つのさらなる音声クリップ22,23の音響振幅は、一点鎖線42で概略的に示されている。前記クロスフェードの開始時では、少なくとも1つの音声クリップ21の大きさと少なくとも1つのさらなる音声クリップ22,23の大きさに差45があり得る。望ましくないクリック雑音を引き起こしかねない、音声出力の大きさの突然かつ急激な変化を防ぐために、少なくとも1つの音声クリップ21に対して単調減少するフェード振幅が適用されて、前記少なくとも1つの音声クリップ21の出力振幅が点線43で示すように徐々に減少し得る。少なくとも1つのさらなる音声クリップ22,23に対して単調増加するフェード振幅が適用されて、前記少なくとも1つのさらなる音声クリップ22,23の出力振幅が破線44で示すように徐々に増加し得る。単調減少するフェード振幅が適用された少なくとも1つの音声クリップ21と単調増加するフェード振幅が適用された少なくとも1つのさらなる音声クリップ22,23との組合せで生じる音の総合的な大きさは、全体出力音量の目立った急激な変化を示さない。
【0110】
少なくとも1つの音声クリップ21から少なくとも1つのさらなる音声クリップ22,23への変化は、再生位置が維持されるように実行され得る。これにより、少なくとも1つのさらなる音声クリップ22,23は、前記センサー信号が閾値11,12に到達する前にすでに出力されていた少なくとも1つの音声クリップ21と確実に同期的に開始される。詳細に述べると、好適な実施形態において、少なくとも1つのさらなる音声クリップ22,23は、前記少なくとも1つのさらなる音声クリップ22,23が開始される時点での少なくとも1つの音声クリップ21の再生位置の関数として決定されたオフセット再生位置から再生するように開始されるか、または、グローバルカウント(例えばクロック、サンプルカウンタ等)に基づいて決定されたオフセット再生位置から再生するように開始され、その場合の前記オフセット再生位置は、グローバルカウントを分子とし前記音声クリップのサンプル数を分母とした剰余演算の結果に等しくなるように決定され得る。例示であるが、再生のオフセットは、
図7~
図11を参照しながら後で詳述するように(グローバルサンプルカウント)%(少なくとも1つのさらなる音声クリップのサンプル数)として決定され得る。
【0111】
図7に、前記センサー信号が第1の閾値11に到達したことに応答して開始される少なくとも1つのさらなる音声クリップ22を示す。少なくとも1つのさらなる音声クリップ22を開始させるオフセット再生位置61は、前記少なくとも1つのさらなる音声クリップ22の先頭に対応してもよいが、必ずしもそうである必要はない。詳細に述べると、少なくとも1つのさらなる音声クリップ22を再生させるオフセット再生位置61は、前記少なくとも1つのさらなる音声クリップ22が開始される時点での少なくとも1つの音声クリップ21の再生位置に依存するものとされてもよい。制御装置4が、少なくとも1つのさらなる音声クリップ22の再生位置のプレイヘッドオフセット62を自動的に決定し得る。少なくとも1つのさらなる音声クリップ22を開始させる際、前記少なくとも1つのさらなる音声クリップ22が末尾までいったん再生されないと、プレイヘッドオフセット62内にある音声データが出力されない。任意で、少なくとも1つのさらなる音声クリップ22は、ループで再生され得る。少なくとも1つのさらなる音声クリップ22が末尾にいったん到達すると、前記少なくとも1つのさらなる音声クリップ22の全長が次のループで再生されてプレイヘッドオフセット62内の音声データも出力され得ることが分かる。
【0112】
図8に、少なくとも1つの音声クリップ21、および前記センサー信号が閾値に到達したことに応答して開始される少なくとも1つのさらなる音声クリップ22を示す。時刻34にてクロスフェードが開始されるとき、少なくとも1つの音声クリップ21は再生位置64にある。時刻34にてクロスフェードが開始されるとき、少なくとも1つの音声クリップ21の一部63(例えば、少なくとも1つの音声クリップ21の一定数のデジタル信号処理(DSP)ブロック)はすでに出力が済んでいる。時刻34にてクロスフェードが開始されると、前記クロスフェードの開始時の少なくとも1つの音声クリップ21の再生位置64に基づいて決定された再生位置61から、少なくとも1つのさらなる音声クリップ22が再生される。少なくとも1つの音声クリップ21と少なくとも1つのさらなる音声クリップ22の全長が同じである場合、少なくとも1つのさらなる音声クリップ22が再生されるオフセット再生位置61は、前記少なくとも1つのさらなる音声クリップ22が開始される時刻34での少なくとも1つの音声クリップ21の再生位置64と同位置になり得る。
【0113】
図9は、好適な一実施形態における方法70のフローチャートである。方法70は、制御装置4により自動的に実行され得る。ステップ71にて、前記複数の音声クリップのうちの1つ以上の音声クリップが出力される。前記複数の音声クリップのうちの1つ以上の音声クリップを出力することは、少なくとも1つの音声クリップ21を所与の事象が発生するまでループで再生することを含み得る。前記事象は、前記センサー信号が閾値11,12に到達することであり得て、それにより、少なくとも1つの音声クリップ21が停止され、および/または、少なくとも1つのさらなる音声クリップ22,23が開始され得る。ステップ72にて、前記センサー信号が閾値11,12に到達したか否か(例えば、前記センサー信号が第1の閾値11を上回ったのか第2の閾値12を下回ったのか)が判定される。前記センサー信号が閾値11,12に到達していなければ、前記方法ではステップ71に戻って音声クリップ21の再生を続行し得る。ステップ72での判定は、例えば音声クリップ21のDSPブロックごとに一回実行され得る。判定ステップ72は、センサー3を照会すること(querying)またはインターフェース5で前記センサー出力を読み出すことを含み得る。前記センサー信号が前記閾値に到達したと判定されると、ステップ73にて、少なくとも1つのさらなる音声クリップ22,23のオフセット再生位置が決定される。前記オフセット再生位置は、少なくとも1つの音声クリップ21の再生位置に基づいて決定され得るか、または、少なくとも1つのさらなる音声クリップ22,23が開始される時点でのグローバルカウントに基づいて決定され得る。ステップ74にて、少なくとも1つのさらなる音声クリップ22,23が開始される。少なくとも1つのさらなる音声クリップ22,23を開始させることは、前記少なくとも1つのさらなる音声クリップ22,23をフェードインさせることを含み得る。任意で、これと並行して少なくとも1つの音声クリップ21が、例えば前記少なくとも1つの音声クリップ21をフェードアウトさせたり前記少なくとも1つの音声クリップ21と少なくとも1つのさらなる音声クリップ22,23とをクロスフェードさせたりすること等によって停止され得る。
【0114】
ステップ72にて移行をトリガーする前記事象はセンサー信号が閾値に到達することであってもよいが、別のより複雑なトリガー事象が定められてもよい。例示であるが、2人以上のユーザーが同調して動くことで音声クリップ間の移行がトリガーされるものとしてもよい。
【0115】
少なくとも1つのさらなる音声クリップ22,23のオフセット再生位置は、少なくとも1つの音声クリップ21の再生位置に依存し得るだけでなく、音声クリップ21の全長とさらなる音声クリップ22の全長の違いにも依存する場合がある。
【0116】
少なくとも1つのさらなる音声クリップ22,23のオフセット再生位置は、グローバルカウントに基づいて決定されてもよい。前記グローバルカウントは、クロックまたはサンプルカウンタであり得る。オフセット再生位置61は、
図11を参照しながら後で詳述するように、グローバルカウントを分子とし少なくとも1つのさらなる音声クリップ22,23のサンプル数を分母とした剰余演算の結果に等しいものとされ得る。
【0117】
図10に、少なくとも1つの音声クリップ21の長さと少なくとも1つのさらなる音声クリップ22の長さが異なる場合に、少なくとも1つのさらなる音声クリップ22のオフセット再生位置61を決定する様子を示す。
図10には、少なくとも1つの音声クリップ21の長さが少なくとも1つのさらなる音声クリップ22よりも短い場合が概略的に示されている。この場合のクロスフェードの開始時刻34には、少なくとも1つの音声クリップ21がすでに一回または複数回ループし終えている可能性がある。少なくとも1つのさらなる音声クリップ22の再生位置61は、音声クリップの長さの違いに関係して決定され得る。例示であるが、再生位置61は、少なくとも1つの音声クリップ21の全長に時刻34での前記少なくとも1つの音声クリップ21の再生位置66を足した合計長に相当するように決定され得る。再生位置66は、少なくとも1つの音声クリップ21の最新ループの先頭からの経過時間65に相当する。
【0118】
一般的に言えば、少なくとも1つの音声クリップ21の長さと少なくとも1つのさらなる音声クリップ22の長さが異なる場合には、少なくとも1つのさらなる音声クリップを開始させる再生位置が、少なくとも1つの音声クリップ21の再生位置だけでなく、少なくとも1つの音声クリップ21の全長と少なくとも1つのさらなる音声クリップ22の全長との比にも依存し得る。
【0119】
図11に、グローバルカウント67に基づいて少なくとも1つのさらなる音声クリップ22のオフセット再生位置61を決定する様子を示す。グローバル67は、クロックまたはサンプルカウンタであり得る。本明細書で用いる「グローバルカウント」という用語は、時間の経過とともにおよび/またはサンプルが出力されるにつれて増加する数のことを指す。グローバルカウントは、総時間量および/または出力済みサンプル総数(どの音声クリップが出力されたのかは関係ない)のグローバル尺度である。
【0120】
少なくとも1つのさらなる音声クリップ22を開始させるオフセット再生位置61は、前記少なくとも1つのさらなる音声クリップ22が開始される時点34でのグローバルカウント67の値68に基づいて決定され得る。オフセット再生位置61は、グローバルカウントを分子とし少なくとも1つのさらなる音声クリップ22のサンプル数を分母とした剰余演算の結果に等しくなり得る。限定ではなく例示になるが、オフセット再生位置61は:オフセット再生位置=(グローバルサンプルカウント)%(少なくとも1つのさらなる音声クリップ22のサンプル数)として決定され得る。
【0121】
本明細書で説明する好適な各種実施形態のいずれにおいても、音声クリップとセンサー信号サブ範囲との対応付けは静的(一定)とされてよいが、必ずしもそうである必要はない。例示であるが、前記センサー信号サブ範囲のうちの1つ以上の各センサー信号サブ範囲に対して、種々の音声クリップが、運動開始からの時間の関数として振り当てられてもよい。これにより、運動時の音声フィードバックが単調になるというリスクがさらに低減され得る。これに代えてまたはこれに加えて、前記センサー信号サブ範囲のうちの1つ以上のセンサー信号サブ範囲に対して、パターン分類アルゴリズムによる動作パターンの識別に応じたまたは身体運動時のユーザーの動作とは無関係の環境的変化から導出される他の事象に応じた種々の音声クリップが振り当てられてもよい。前記環境的変化は、実世界オブジェクトおよび/または仮想現実オブジェクトに関係したものであり得る。
【0122】
図12に、センサー信号の関数および運動開始からの経過時間の関数とした場合の音声クリップ21~26を示す。運動開始から時刻79までは、少なくとも1つの音声クリップ21と少なくとも1つのさらなる音声クリップ22,23とが、第1および第2の閾値11,12により隔てられた別々のセンサー信号サブ範囲に振り当てられている。前述したように、前記センサー信号が第1の閾値11に到達したこともしくは上回ったことに応答して、または前記センサー信号が第2の閾値12に到達したこともしくは下回ったことに応答して、少なくとも1つの音声クリップ21が停止され、および/または、少なくとも1つのさらなる音声クリップ22,23が開始され得る。時刻79以降は、少なくとも1つの別の音声クリップ24と少なくとも1つの別のさらなる音声クリップ25,26とが、第1および第2の閾値11,12により隔てられた別々のセンサー信号サブ範囲に振り当てられ得る。時刻79以降は、センサー信号16が第1の閾値11を上回るかまたは第2の閾値12を下回ると、少なくとも1つの別のさらなる音声クリップ25,26の再生が開始される。音声クリップの同変化は、
図1~
図10を参照しながら上述したいずれかの手法を用いて実現され得る。
【0123】
少なくとも1つの別の音声クリップ24は、少なくとも1つの音声クリップ21と異なるものであり得る。これに代えてまたはこれに加えて、少なくとも1つの別のさらなる音声クリップ25,26の一方または両方が、少なくとも1つのさらなる音声クリップ22,23と異なるものであり得る。音声クリップ21~26は、例えば各ビートを共通のビートに同期させること等により、いずれも同期しているものとされ得る。
【0124】
出力される前記少なくとも1つの音声クリップは、時間の関数として変化し得る。例示であるが、時刻79以前は、少なくとも1つの音声クリップ21が出力され得て、時刻79以降は、前記センサー信号が第1および第2の閾値11,12間の前記第1のセンサー信号サブ範囲内に留まっていても、少なくとも1つの別の音声クリップ24が出力され得る。少なくとも1つの音声クリップ21から少なくとも1つの別の音声クリップ24への変化は、クロスフェードを伴うものとされ得るが、必ずしもそうである必要はない。
【0125】
これまで音声出力の変化を1つのセンサー信号の評価との関連で説明してきたが、本明細書で開示する技術は、制御装置4により処理されるセンサー信号が2つ以上存在する場合にも適用されてよい。例示であるが、1つまたは複数のセンサーが複数のセンサー信号を提供するものとされ得る。前記複数のセンサー信号は、一人のユーザーまたは複数のユーザーに対応付けられたものであり得る。制御装置4は、前記複数のセンサー信号に基づいて、どの音声クリップを出力するのかの決定を下し得る。例示であるが、複数の音声クリップが、前記複数のセンサー信号により張られたパラメーター空間内において多次元配列で配置され得る。どの音声クリップを出力するのかを決定するのに第1のセンサー信号と第2のセンサー信号とが処理される場合であれば、前記複数の音声クリップが
図13に示すように二次元配列の音声クリップとして配置され得る。
【0126】
図13に、複数の音声クリップ21~23,27~29を二次元配列で配置した様子を示す。第1および第2の閾値11,12により、前記第1のセンサー信号が取り得る値の範囲が複数のセンサー信号サブ範囲に細分されている。閾値76,77により、第2のセンサー信号75が取り得る値の範囲が複数のセンサー信号サブ範囲に細分されている。前記第1のセンサー信号が第1および第2の閾値76,77のうちの一方に到達した場合、および前記第2のセンサー信号が閾値76,77のうちの一方に到達した場合のどちらにおいても、音声クリップの変化がトリガーされ得る。例示であるが、前記第1のセンサー信号が閾値11,12間の前記第1のセンサー信号サブ範囲内にあるときに、前記第2のセンサー信号が変化して閾値76を上回ると、音声クリップ27が開始され得る。音声クリップ27を開始させることは、前述したようなクロスフェードを含み得る。
【0127】
図13では二次元配列の音声クリップを概略的に示したが、どの音声クリップを出力するのかを決定するのに3つ以上のセンサー信号が処理される場合もある。制御装置4は、第1、第2および第3のセンサー信号を評価し得て、これら第1、第2および第3のセンサー信号のうちのいずれかが対応する閾値に到達したことに応答して、音声クリップ間の移行を開始させ得る。つまり、前記第1、第2および第3のセンサー信号により張られた三次元パラメーター空間内に、前記複数の音声クリップが三次元配列で配置され得る。どの音声クリップを出力するのかを決定するのに、4つ以上のセンサー信号が処理される場合もある。この場合、前記複数の音声クリップがN次元配列(ただし、Nは4以上)で配置され得る。
【0128】
前記複数の音声クリップは、一次元、二次元、三次元およびN次元(ただし、Nは4以上)配列のどの次元配列で配置されているのかに関係なくビートが同期しているものとされる。また、音声クリップ間のどのような移行も、前記センサー信号が閾値に到達したことに応答して前記少なくとも1つのさらなる音声クリップが再生される再生位置が、それまで再生されていた音声クリップの、前記少なくとも1つのさらなる音声クリップの開始時点での再生位置に依存するようにして実現され得る。
【0129】
好適な実施形態ではセンサー信号範囲10を2つの閾値により3つのセンサー信号サブ範囲に細分されたものとしたが、3つ以上の閾値、例えば、3つ、4つ、5つまたはそれ以上の閾値を用いて、それぞれに音声クリップが対応付けられた4つ以上のセンサー信号サブ範囲、例えば、4つ、5つ、6つまたはそれ以上のセンサー信号サブ範囲を提供するようにしてもよい。また、一つのセンサー信号サブ範囲に対して、2つ以上の音声クリップが対応付けられてもよい。例えば、上からセンサー信号サブ範囲に入った場合にはある音声クリップが再生され得て、下から前記センサー信号サブ範囲に入った場合には別の音声クリップが再生されるようにしてもよい。
【0130】
本明細書で開示する好適な各種実施形態のいずれにおいても、前記センサー信号はアナログ値またはデジタル値として提供され得る。どの音声クリップを出力するのかを決定する上で前記制御装置により評価される前記センサー信号は、前記センサー信号以外にも情報を含み得るメッセージ内に含まれたものであり得る。前記メッセージは、例えば前記センサー信号が第1および第2の閾値11,12のうちの一方に到達した、上回ったまたは下回ったことに応答して生成される制御イベントメッセージであり得る。
【0131】
例示的な実施形態における制御装置の具体例(implementation)について、
図14~
図17を参照しながら以下で詳述する。
【0132】
図14は、センサー信号に応答して音声フィードバックの生成を制御する制御装置80のブロック図表現である。制御装置80は、サンプラーモジュール81を含む。サンプラーモジュール81は、少なくとも1つの集積回路を有し得る。サンプラーモジュール81は、現在のDSPブロックに用いる音声データを取得するように動作可能であり得る。前記音声データは、複数の音声クリップ91~93からの音声データを含み得る。サンプラーモジュール81は、前記音声データをミキサーモジュール84に供給し得る。ミキサーモジュール84は、例えばクロスフェード時等に少なくとも1つの音声クリップ21の音声サンプルと少なくとも1つのさらなる音声クリップ22,23の音声サンプルとをミキシングし得る。より一般的に述べると、ミキサーモジュール84は、少なくとも1つの音声クリップ21のみが出力されるのか、少なくとも1つのさらなる音声クリップ22,23のみが出力されるのか、それとも両方が出力されるのかに応じて、現在の音声ブロックのサンプルを、少なくとも1つの音声クリップ21、少なくとも1つのさらなる音声クリップ22,23、または双方の組合せに基づいて算出するように構成されたものであり得る。ミキサーモジュール84は、現在の音声ブロックのサンプルを算出し得る。音声エンジン処理モジュール85は、ミキサーモジュール84から同音声ブロックのサンプルを受け取り得る。音声エンジン処理モジュール85は、サウンドカードを制御するように、および/または、サウンドカードのマスターボリュームを設定するように、および/または、サンプラーモジュール81により提供された前記サンプルのほかに別のルーチンで生成された音も出力可能とするように構成されたものであり得る。前記音声ブロックはこれらのサンプルを保持し、DAC86に前記サンプルが送られることで可聴音が生成される。
【0133】
サンプラーモジュール81は、センサー信号を受け取り得る。前記センサー信号は、前記制御装置内で生成されたイベントメッセージ内に含まれたものであり得る。前記センサー信号は、コンピュータープログラムのうちの所与のモジュール(例えば、前記センサーをポーリングするモジュール、前記センサー出力が記憶されるバッファ等)により設定され得る値であり得る。前記センサー信号は、前記コンピュータープログラムのうちの別のモジュールにより読み出され得る。前記センサー信号は、前記センサー出力を示すパラメーターであり得る。前記センサー出力を示す前記パラメーターは、前記センサー出力の絶対値を表したものであり得る(すなわち、例えば絶対位置の値を反映したものであり得る)。変形例として、前記センサー出力を示す前記パラメーターは、前記センサー出力が最新値に到達する速度を表し得て、すなわち、前記センサーの変化率を示したものであり得る(すなわち、例えば位置センサーのセンサー出力の変化から導出された速度等を反映したものであり得る)。後者の場合、前記センサー信号を示す前記パラメーターは、MIDIパラメーターの「ベロシティ」と同等なものになり得る。前記センサー信号を示す前記パラメーターは、浮動小数点精度、倍精度を有し得るか、または、整数値、long値またはlonglong値であり得る。前記センサー信号を示す前記パラメーターは、0~1の値を取るように正規化され得る。
【0134】
サンプラーモジュール81は、マッパー82を有する。マッパー82は、入力されるセンサー信号情報に応じて、再生すべき正確な音声データの選択を処理する。前述したように、マッパー82は、音声クリップを停止すべきか否かおよび/または少なくとも1つのさらなる音声クリップのうちのどの音声クリップを開始させるのかを、前記センサー信号の関数としてそれぞれ決定し得る。複数の音声クリップ91~93はそれぞれ、センサー信号値の所与の各範囲に対応付けられているものであり得る。前記複数の音声クリップとセンサー信号値の所与の範囲との対応付けは静的(一定)とされてよいが、必ずしもそうである必要はない。例示であるが、前記複数の音声クリップとセンサー信号値の所与の範囲との対応付けは、
図12を参照しながら上述したように時間の関数として変化するものとされてもよい。入力されるセンサー信号の値が所与のセンサー信号サブ範囲内であるとき、マッパー82は音声クリップ91~93の一つから音声データを選択する。音声クリップ91~93のうちのそのセンサー信号サブ範囲に対応付けられた一つの音声クリップから、音声データが選択される。
【0135】
前記の構成に代えてまたは前記の構成に加えて、閾値11,12は静的(一定)でないもとされてもよい。閾値11,12は、センサー入力の関数として、および/または時間の関数として、および/またはパターン識別処理を動作パターンに適用した結果の関数として、および/または身体運動の実行とは無関係であり得る環境パラメーターの結果の関数として変化するものとされ得る。そのような環境パラメーターの例示として、ユーザーを取り囲む実世界オブジェクトもしくは仮想現実オブジェクトの位置もしくは動き、および/または温度、および/または照明条件、および/またはその他の周辺状況が挙げられる。
【0136】
サンプラーモジュール81は、さらに、再生位置制御部83を有し得る。再生位置制御部83は、現在のDSPブロックに用いる、1つまたは複数の音声クリップからの音声データが、確実に同期状態のまま維持されるようにする。この目的のために、再生位置制御部83は、前記少なくとも1つのさらなる音声クリップをどの再生位置から出力するのかを決めるためのオフセット再生位置を決定するように動作可能である。前記オフセット再生位置は、前記センサー信号が前記閾値に到達する前にそれまですでに出力されていた少なくとも1つの音声クリップの再生位置に基づいて決定される。前記少なくとも1つの音声クリップの長さと開始される前記少なくとも1つのさらなる音声クリップの長さが異なる場合、再生位置制御部83はこれら相異なる音声クリップの長さの比を考慮に入れ得る。これに代えてまたはこれに加えて、再生位置制御部83は、例えば
図11を参照しながら説明した手法を用いる等してグローバルカウントに基づきオフセット再生位置を決定するものとされてもよい。
【0137】
前記少なくとも1つの音声クリップと前記少なくとも1つのさらなる音声クリップのそれぞれについて、2種類のバッファが設けられ得る。第1のバッファは、元々の音声データを保存し得る。第2のバッファは、前記第1のバッファからの所与の範囲のサンプルを保持し得る。前記第2のバッファは、元々の音声クリップまたは元々の音声クリップの一部をループさせるのに用いられ得る。前記第2のバッファの長さは、前記第1のバッファの長さと同じに初期設定され得る。前記第1のバッファ内のデータは、現在のテンポのグローバル持続時間(global duration of a measure)にフィットするように処理され得る。これは、前記音声クリップを適切に選択することにより、または、前記音声クリップを現在のテンポのグローバル持続時間にフィットさせる時間伸張関数を適用することにより行われ得る。前記第1のバッファ内の音声データがすでに正確なテンポであるものの、その長さがビート長の倍数ではない場合には、前記バッファの末尾における音声データが欠けている部分に無音が補填され得る。音声クリップの音声データが参照ビート数と比べてまたは参照サンプル数と比べて長過ぎる場合には、過剰に長い部分が無視され得る。後者の場合、残りの(余剰な)音声サンプルを前記第2のバッファに記憶し、前記音声サンプルを用いて前記音声データの末尾と先頭とのあいだを補間するようにしてもよい。これにより、スムーズなループが提供され、クリックやその他のアーチファクト(artifact)が防がれる。
【0138】
変形例として、バッファが1個だけ設けられてもよい。同じバッファから読出しを行うため、少なくとも2つの異なるプレイヘッド(playhead)が用いられ得る。この場合のループは、同じ音声ファイルにおける所与のサブ範囲とされ得る。このサブ範囲は、開始サンプル値とループ長とで定められ得る。前記ループ長は、読み出されるサンプル数を規定し得る。プレイヘッドが所望のサンプル数を読み出し終えると、イベントがトリガーされて前記プレイヘッドが前記開始サンプル値に再設定される。このように、前記音声クリップからの音声データや前記少なくとも1つのさらなる音声クリップからの音声データを記憶するのにバッファが1個だけ使用されてもよい。
【0139】
前記音声クリップを所与の音声ファイルにおける所与のサブ範囲とし、前記少なくとも1つのさらなる音声クリップを同じ音声ファイルにおける別のサブ範囲としてもよい。すなわち、1つの音声ファイルを用いて、前記音声ファイルから前記音声クリップと前記少なくとも1つのさらなる音声クリップの両方を導き出すようにしてもよい。この場合、単一のバッファが単一の音声ファイルからのサンプルを記憶することになり得る。停止される前記音声クリップおよび開始される前記少なくとも1つのさらなる音声クリップは、同じ音声から例えば2つの異なるプレイヘッドを用いる等して導き出され得る。
【0140】
制御装置80の各種機能ブロックは、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアまたはこれらの組合せで実現され得る。コンピューターで実行可能な命令が、コンピューティングデバイスや通信端末のプロセッサーに少なくともサンプラーモジュール81の機能、ミキサー84の機能および音声エンジン処理モジュール85の機能を実行させ得る。
【0141】
図15は、センサー信号に応答して音声フィードバックの生成を制御する制御装置90のブロック図表現である。制御装置90は、サンプラーモジュール81、ミキサー84、音声エンジン処理モジュール85およびDAC86を含む。これらは、
図14を参照しながら説明した制御装置80の各構成要素と同様または同一であり得る。
【0142】
サンプラーモジュール81は、制御イベント生成モジュール94により生成されたイベントメッセージに応答し得る。前記イベントメッセージは、前記センサー出力に基づいて導出された情報を含み得る。前記センサー出力に基づいて導出された前記情報は、前記センサー出力の絶対値についてのまたは前記センサー出力の変化率についての情報を含み得る。制御イベント生成モジュール94は、前記センサーの前記センサー出力を監視することによってイベントメッセージの生成タイミングを判断し得る。制御イベント生成モジュール94は、所定の時間間隔で(例えば、音声データのDSPブロックごとに1回)センサー3に対して能動的にポーリングを行い得る。
【0143】
より複雑なポーリングメカニズムやデータ転送メカニズムが用いられてもよい。例示であるが、前記センサーが前記センサー出力をセンサーデータバッファに供給するものとされ得る。前記センサーデータバッファは、ブルートゥース(登録商標)(Bluetooth(登録商標))ソケットのバッファであり得る。制御イベント生成モジュール94は、前記センサーデータバッファにポーリングを行うことで前記センサー信号を取り出し得る。
【0144】
前記センサーは、前記センサー出力を前記ブルートゥースソケットまたは別のセンサーデータバッファに所定の時間間隔(例えば、20ミリ秒)で供給し得る。制御イベント生成モジュール94は、前記センサーデータバッファに所与のポーリング間隔(poll times)でポーリングを行い得る。前記センサーデータバッファのポーリング間隔は可変であり得て、例えばソケット負荷(socket load)、利用可能な計算リソース、コンピューターで実行されるプログラムの優先順位等の様々なパラメーターに依存し得る。
【0145】
制御イベント生成モジュール94は、前記センサー信号をサンプラーモジュール81に供給し得る。これは、DSPブロックごとに1回またはサンプルごとに1回実行され得る。
【0146】
例示的な一実施形態では、制御イベント生成モジュール94が、前記センサー出力から導出された前記センサー信号以外の情報も含み得るイベントメッセージを生成し得る。例示であるが、生成される前記イベントメッセージは、ゲインについての情報を含み得る。前記ゲインは、振幅の上限を定め得る。すなわち、前記ゲインは、前記音声信号の包絡線の倍率を規定し得る。クロスフェード時には、
図5および
図6を参照しながら説明したように、前記ゲインがフェード振幅に基づいて徐々に変更され得る。前記の構成に代えてまたは前記の構成に加えて、前記イベントメッセージはループフラグを含み得る。前記ループフラグは、センサー出力の変化が検出されたことに応答して開始される前記少なくとも1つのさらなる音声クリップをループで再生すべきか否かを示すバイナリ値であり得る。これに代えてまたはこれに加えて、前記イベントメッセージは、前記ループフラグが真(TRUE)に設定されている場合に音声バッファ内のループすべき範囲を決める、ループ範囲を含み得る。任意で、前記イベントメッセージは、MIDIノート値(note value)も含み得る。
【0147】
制御装置90は、音声クロック89を含み得る。再生位置制御部83は、音声クロック89に基づいて前記オフセット再生位置を決定するように動作可能であり得る。例示であるが、音声クロック89の値は、前記センサー信号が閾値11,12のうちの一方に到達するまでの時点の少なくとも1つの音声クリップ21の再生位置を示し得る。前記再生位置を用いて、少なくとも1つのさらなる音声クリップ22,23のオフセット再生位置が決定され得る。
【0148】
制御装置90は、MIDI変換部88を含み得る。MIDI変換部88は、MIDIプロトコルと制御イベント生成モジュール94により生成されたイベントとの間でデータ変換を実行するように動作可能であり得る。これに代えてまたはこれに加えて、制御装置90は、OSC変換部87を含み得る。OSC変換部87は、OSCプロトコルと制御イベント生成モジュール94により生成されたイベントメッセージとの間でメッセージ変換を実行するように動作可能であり得る。
【0149】
制御イベント生成モジュール94がセンサーから前記センサー信号を直接ポーリングする構成やセンサーデータバッファから前記センサー信号をポーリングする構成に代えてまたは前記構成に加えて、前記センサーが、OSCインターフェースまたはMIDIインターフェースを介して制御イベントモジュール94に供給される構成としてもよい。この場合の制御イベント生成モジュール94は、前記センサー出力をOSC変換部87またはMIDI変換部88を介して受け取り得る。
【0150】
制御装置80,90は、身体運動時のユーザーの動作の1つまたは複数の運動パラメーターを監視するセンサーの出力信号にそれぞれ応じて、少なくとも1つの音声クリップから少なくとも1つのさらなる音声クリップへの移行を実行すべきか否かを決定するようにそれぞれ構成され得る。
【0151】
これまで方法、制御装置およびシステムを1人のユーザーの監視に関するものとして一般的に説明してきたが、前記方法、制御装置およびシステムは、複数のユーザーが共同で運動する集団エクササイズ環境での音声フィードバックを制御するのにも用いられてよい。複数のユーザーに対して音声フィードバックを生成するのに、1つの制御装置または複数の制御装置が使用され得る。各制御装置は、
図1~
図15を参照しながら説明したように動作可能なものであり得る。
【0152】
図16に、好適な一実施形態におけるシステム100を示す。システム100は、
図1~
図15を参照しながら説明したように一般的に動作可能な制御装置4を備える。システム100は、複数のセンサー101,102,103を備える。センサー101,102,103のうちの2つ以上のセンサーが、それぞれ異なるユーザーの動作の運動パラメーターを監視するものとされ得る。例示であるが、第1のセンサー101が、身体運動実行中の第1のユーザーの動作の少なくとも1つの運動パラメーターを監視し得る。これと並行して第2のセンサー102が、身体運動実行中の第2のユーザーの動作の少なくとも1つの運動パラメーターを監視し得る。任意で、これと並行して1つ以上のさらなるセンサー103が、身体運動実行中のさらなる別のユーザーの動作の少なくとも1つの運動パラメーターを監視し得る。
【0153】
制御装置4は、複数のセンサー101~103の各々からのセンサー出力を受け取るように構成された入力インターフェース5を含み得る。制御装置4は、複数のセンサー101~103のそれぞれに関連付けられた音声クリップを、複数同時に出力するように構成されたものであり得る。制御装置4は、前記第1のユーザーの動作によって第1のセンサー101に対応するセンサー信号が閾値11,12に到達したことが分かると、前記第1のセンサー101に関連付けられた前記少なくとも1つの音声クリップを停止し、および/または、前記第1のセンサー101に関連付けられた少なくとも1つのさらなる音声クリップを開始させ得る。
【0154】
好適な一実施形態において、第1のセンサー101に関連付けられた音声クリップ間の移行は、他のユーザーに対して出力される音声クリップや前記他のユーザーに対応付けられたセンサー102,103に影響を及ぼさない。すなわち、制御装置4は、センサー101,102,103により提供される各センサー出力に応じた音声クリップの移行を、それぞれ独立して制御するものであり得る。
【0155】
好適な他の実施形態では、第1のセンサー101に関連付けられた音声クリップ間の移行が、他のユーザーに対して出力される音声クリップに同時に影響を及ぼし得る。すなわち、第1のセンサー101の出力信号から定まるセンサー信号が第1の閾値11または第2の閾値12に到達すると、これが、第1のセンサー101の出力信号に応じて出力されるクリップの移行を引き起こし得るだけでなく、他の1人以上のユーザーに対して出力されるクリップの変化もトリガーし得る。前記複数の音声クリップは、
図13を参照しながら説明したように、複数のセンサー101~103からのセンサー信号により張られた多次元パラメーター空間内において多次元配列で配置され得る。
【0156】
少なくとも1つのクリップの停止および/または少なくとも1つのさらなるクリップの開始が、1つまたは複数のセンサーにより検出される複数のユーザーの身体動作に応じてトリガーされ得る。例示であるが、第1のセンサー101の出力信号および第2のセンサー102の出力信号は、第1および第2のユーザーの動作が所定の基準に合致しているか否かを(例えば、別々のユーザーの動作が同調しているか否かを判定する等して)判定する論理関数を用いて評価され得る。第1のユーザーの動作と第2のユーザーの動作がともに特定の基準を満たしている場合にのみ、前記少なくとも1つのさらなるクリップが選択的に開始され得る。例示であるが、第1のユーザーが実行する運動が第1の所定の動作特性を示しかつ第2のユーザーが実行する運動が第2の所定の動作特性を示す場合にのみ、前記少なくとも1つのさらなるクリップが開始され得る。これら第1および第2の所定の動作特性はそれぞれ、パターンマッチング技術を用いて検出され得る。第1のユーザーの動作が示す第1の動作特性と第2のユーザーの動作が示す第2の動作特性とが(例えば、第1のユーザーと第2のユーザーとが同時に同調して動く等して)時間相関している場合にのみ、前記少なくとも1つのさらなるクリップが選択的に開始され得る。
【0157】
例示的な一具体例では、2人以上のユーザーが例えば身体の部位を目標の頻度で振るなどといった往復動作を同時に実行した場合にのみ、前記複数のクリップのうちの少なくとも一部のクリップが起動され得る。例示であるが、
図13において閾値11,76との閾値比較を実行する構成に代えてまたは前記構成に加えて、2人以上のユーザーが身体の部位を目標の頻度で同時に振った場合にのみ、少なくとも1つのさらなるクリップ28が開始されるものとしてもよい。
【0158】
異なる音声クリップ間の移行がトリガーされる際の前記センサー信号の閾値は、異なるセンサー101,102,103でそれぞれ異なるものとされ得る。例示であるが、集団エクササイズ環境でセンサー101~103が別々の種類の運動装置に取り付けられるものである場合、音声クリップ間の移行は、前記センサー101,102,103がそれぞれ取り付けられる運動装置の種類に応じて、異なる動作振幅および/または異なる動作速度のときに生じるものとされ得る。
【0159】
本明細書で開示する好適な実施形態のいずれにおいても、出力される音声クリップは、センサー101~103により検出される動作の運動パラメーター(例えば、ユーザーの身体の一部または運動装置の一部の位置、速度、加速度等)だけでなく、前記運動パラメーター以外のユーザーの少なくとも1つの生理状態にも依存するものとされてよい。
【0160】
図17は、システム110の概略ブロック図である。システム110は、
図1~
図16を参照しながら上述したように一般的に動作可能な制御装置4を備える。システム110は、身体運動時のユーザーの動作に対応した少なくとも1つの運動パラメーターを監視するように動作可能なセンサー101を備える。前記少なくとも1つの運動パラメーターは、ユーザーの身体の少なくとも一部または運動装置の少なくとも一部の位置、速度および加速度のうちの1つまたは複数を含み得る。システム110は、さらに、運動実行中のユーザーの少なくとも1つの生理状態を検出するように動作可能な生理状態センサー111を備える。前記少なくとも1つの生理状態は、呼吸数、心拍数および血圧からなる(ただし、これらに限定されない)群から選択され得る。
【0161】
制御装置4は、身体運動時の音声フィードバックの出力を、センサー101のセンサー出力に依存するセンサー信号に応じてかつ生理状態センサー111のセンサー出力に基づいて制御するものであり得る。例示であるが、制御装置4は、音声クリップ間の移行をセンサー101のセンサー出力の関数として制御し得る。これに加えて、制御装置4は、音響的フィードバックを生理状態センサー111の出力信号に基づいて制御し得る。例示であるが、音響的フィードバックのビートが、ユーザーの心拍数または呼吸数と合致するレートになるように変化させられ得る。これに加えてまたはこれに代えて、1つまたは複数の音声クリップが、パターン分類アルゴリズムによる動作パターンの識別、または身体運動中のユーザーの動作とは無関係の環境的変化から導出された他の事象に基づいて選択されてもよい。
【0162】
図18は、システム120の概略ブロック図である。システム120は、
図1~
図17を参照しながら上述したように一般的に動作可能な制御装置4を備える。システム120は、運動装置121を備える。
【0163】
運動装置121は、弾性エレメント124により連結された2つの物体122,123を含む。物体122,123は、グリップ、ボール、バトン、バーベル、またはユーザー125が簡単に手でつかみ得るかもしくはユーザー125の手の中に容易に収まり得る任意の他の種類の物体であり得る。弾性エレメント124は、例えば弾性バンド、弾性ロープ等であり得る。
【0164】
センサー102は、物体122,123のうちの少なくとも1つの物体上にまたは前記少なくとも1つの物体内に配置され得る。センサー102は、2つの物体122,123のうちの少なくとも1つの物体上にまたは前記少なくとも1つの物体内に取り付けられた、加速度計および/またはジャイロメーターおよび/または歪みゲージおよび/またはロードセルを含み得る。これに代えてまたはこれに加えて、弾性エレメント124上にまたは弾性エレメント124内にセンサーが配置され得る。弾性エレメント124上にまたは弾性エレメント124内に配置された前記センサーは、弾性エレメント124に作用した引張荷重もしくは圧縮荷重、弾性エレメント124の絶対伸張もしくは絶対圧縮、または弾性エレメント124の長さに対して正規化された弾性エレメント124の相対伸張もしくは相対圧縮を検出するように動作可能であり得る。弾性エレメント124上にまたは弾性エレメント124内に配置された前記センサーは、歪みゲージおよび/またはロードセルを含み得る。
【0165】
物体122,123のうちの一方もしくは両方に設けられた、および/または弾性エレメント124に設けられたセンサー102は、センサー信号を制御装置4に提供するようにそれぞれ構成され得る。前記センサー信号は、複数の信号またはデータ項目を含むものであり得て、これにより、多次元センサー信号空間内でベクトルを表現し得る。それら複数の信号またはデータ項目は、位置、速度、加速度、座標軸、運動方向および力からなる群から選択された2つ以上のデータを含み得る。前記の構成に加えてまたは前記の構成に代えて、前記センサー信号は、前記物体のうちの一方または両方を動かす速度もしくは前記弾性エレメントの伸張速度、および/または前記物体が動かされる方向、および/または前記弾性エレメントが伸張する方向に関係するものとされ得る。
【0166】
図19は、システム130の概略ブロック図である。システム130は、
図1~
図18を参照しながら上述したように一般的に動作可能な制御装置4を備える。システム130は、運動装置131を備える。
【0167】
運動装置131は、少なくとも1つの弾性エレメント135により連結された少なくとも3つの物体132,133,134を含む。物体133,134は、グリップ、ボール、バトン、バーベル、またはユーザーが簡単に手でつかみ得るかもしくはユーザーの手の中に容易に収まり得る任意の他の種類の物体であり得る。物体132は、弾性エレメント135に沿って物体133,134間に介設され得て、運動実行中はユーザーが把持するように構成されたものであり得る(ただし、必ずしもそうである必要はない)。運動装置121と同じように、1つまたは複数のセンサー102が、少なくとも3つの物体132,133,134上にもしくは前記少なくとも3つの物体132,133,134内に、および/または少なくとも1つの弾性エレメント135上にもしくは前記少なくとも1つの弾性エレメント135内に設けられ得る。弾性エレメント135は、1つまたは複数の弾性バンドまたは弾性ロープを含み得る。物体132,133,134のうちの1つ、2つもしくは3つに設けられた、および/または弾性エレメント135に設けられたセンサー102は、センサー信号を制御装置4に提供するようにそれぞれ構成され得る。前記センサー信号は、複数のデータ項目を含むものであり得て、これにより、多次元センサー信号空間内でベクトルを表現し得る。それら複数のデータ項目は、位置、速度、加速度、座標軸、運動方向および力からなる群から選択された2つ以上のデータを含み得る。前記の構成に加えてまたは前記の構成に代えて、前記センサー信号は、前記物体のうちの一方または両方を動かす速度もしくは前記弾性エレメントの伸張速度、および/または前記物体が動かされる方向、および/または弾性エレメント135が伸張する方向に関係するものとされ得る。
【0168】
運動装置121,131の弾性バンドまたは弾性ロープ124,135の長さはそれぞれ、弛緩状態で10cm~1m、例えば20cm~60cmであり得る。許容範囲内の荷重がかかったとき、前記弾性エレメントの長さは30cm未満だけ、好ましくは20cm未満だけ、例えば10cm未満または5cm未満だけ変化し得る。前記弾性エレメントは、弛緩時の長さの2倍以上に伸張されて20N~200N、好ましくは40N~100Nの範囲内の伸張力を働かせるように構成されたものであり得る。
【0169】
運動装置121,131は引張荷重が前記運動装置121,131に加えられるように使用される構成であるが、これに代えてまたはこれに加えて一実施形態における前記システムは、ユーザーにより圧縮されるように構成された弾性エレメントを含む運動装置を備えていてもよい。これに代えてまたはこれに加えて、前記運動装置は、屈曲されるように構成された構成要素を含むものとされてもよい。限定ではなく例示になるが、前記運動装置は、自身の長手軸心に対して横方向に屈曲されるように構成された屈曲バーであり得る。前記屈曲バーの寸法は、例えばオフィス環境、住居環境用等に小さいものとされ得る。弾性エレメントの圧縮動作および/または屈曲バーの屈曲を示すセンサー信号は、制御装置4により、
図1~
図19を参照しながら詳述した手法を用いて処理され得る。
【0170】
物体132は、
図22および
図23を参照しながら後で詳述するように弾性バンドなどの弾性部材に着脱自在に取り付けられるように構成されたセンサーであってもよい。
【0171】
図20は、システム140の概略ブロック図である。システム140は、
図1~
図19を参照しながら上述したように一般的に動作可能な制御装置4を備える。システム140は、シート141を備える。シート141は、例えば自動車用シート、航空機用シートなどの乗り物用シートであり得る。シート141は、オフィス家具または住宅家具であり得る。シート141は、例えばオフィスチェア等であり得る。
【0172】
シート141は、1つまたは複数のセンサー102を具備し得る。センサー102は、シート141の少なくとも一部の上にまたは前記少なくとも一部の内部に配置され得る。好ましくは、複数のセンサー102がシート141に取り付けられているかまたはシート141内に設置されている。センサー102は、前記シート上のシート着座者の動作および/または前記シート着座者が加える力を検出する、加速度計および/またはジャイロメーターおよび/または歪みゲージおよび/またはロードセルを含み得る。
【0173】
シート141に設けられたセンサー102は、センサー信号を制御装置4に提供するようにそれぞれ構成され得る。前記センサー信号は、複数の信号またはデータ項目を含むものであり得て、これにより、多次元センサー信号空間内でベクトルを表現し得る。それら複数の信号または複数のデータ項目は、位置、速度、加速度、座標軸、運動方向および力からなる群から選択された2つ以上のデータを含む。制御装置4は、前記センサー信号を処理することにより、音声クリップを停止するか否かおよび/または少なくとも1つのさらなる音声クリップを開始させるか否かを決定し得る。
【0174】
図21は、システム150の概略ブロック図である。システム150は、
図1~
図20を参照しながら上述したように一般的に動作可能な制御装置4を備える。システム150は、運動装置または娯楽装置151を備える。
【0175】
運動装置151または娯楽装置151は、ユーザーを前記運動装置151または前記娯楽装置151により浮遊支持するように構成されたものであり得る。運動装置151または娯楽装置151は、前記運動装置151または前記娯楽装置151の基本位置に対するユーザーの三次元実世界空間内の向きが操作され得るように構成されたものであり得る。運動装置151または娯楽装置151は、ユーザーを三次元実世界空間内で位置決めすることが可能な複数のスイベル機構を具備し得る。運動装置151または娯楽装置151により、少なくともユーザーの身長軸(すなわち、ユーザーの足から頭までの軸)の三次元実世界空間内での向きを変えることができる。ユーザーの身長軸の少なくとも2つの角度座標が、運動装置151または娯楽装置151によって位置決め可能であり得る。運動装置151または娯楽装置151は、ユーザーが前記運動装置151または前記娯楽装置151で浮遊支持されるのを可能にするベルト系153(例えば、臀部ベルト系等)を具備し得る。これにより、ユーザーは運動装置151または娯楽装置151で浮遊支持される。
【0176】
運動装置151または娯楽装置151は、ジョイスティックなどの入力エレメント152により操作可能なものであり得る。運動装置151または娯楽装置151は、三次元実世界空間内のユーザーの向きを設定するように入力エレメント152により操作可能なものであり得る。これに代えてまたはこれに加えて、運動装置151または娯楽装置151は、自動で操作されるものとされてもよい。運動装置151または娯楽装置151は、三次元実世界空間内において一連の向きおよび/または動きに自動的に移行するように構成されたものであり得る。
【0177】
システム150は、運動装置151または娯楽装置151に取り付けられ得る少なくとも1つのセンサー102を備える。センサー102は、ウェアラブルなセンサー、カメラ測位システムやその他の非接触式センサーなどの別のセンサー、またはこれらの組合せであり得る。センサー102は、前記センサー信号を制御装置4に提供し得る。
【0178】
運動装置151または娯楽装置151で浮遊支持される際のユーザーの向き次第で、身体の様々な部位の運動が効果的に行われ得る。制御装置4は、身体運動を実行した際の向きを監視および記録し得る。制御装置4は、これから行う運動を実行する際の三次元実世界空間内のユーザーの向きについての提案や指示を行い得るか、または別の位置/動き行程を自動選択し得る。制御装置4は、光出力装置159を制御するインターフェース158を含み得る。インターフェース158は、専用の光出力装置のスクリーン、通信端末、または別の光出力装置であり得る。
【0179】
光出力装置159により映像信号が提供され得る。前記映像信号は、実行すべき身体運動についての情報、および/または身体のうちのさらなる運動が求められる部位についての情報、および/または身体運動のためにユーザーを運動装置で浮遊支持する方法についての情報を含み得る。これに代えてまたはこれに加えて、前記映像信号は映像効果を含み得る。前記映像効果は、グラフィック動画を含み得る。前記映像信号は、音声フィードバックを制御するものと同じセンサー信号により制御され得る。
【0180】
制御装置4は、前述したような音響的フィードバックを行い得る。
【0181】
図22は、システム160の概略ブロック図である。システム160は、
図1~
図21を参照しながら上述したように一般的に動作可能な制御装置4を備える。システム160は、センサー161を備える。
【0182】
センサー161は、運動装置の弾性部材に取り付けられるように構成されている。センサー161は、弾性ロープまたは弾性バンドに変更を施したり弾性ロープまたは弾性バンドを分解したりせずとも前記弾性ロープまたは前記弾性バンドに着脱自在に取り付けられるように構成されたものであり得る。センサー161は、ハウジングと、前記センサー161を例えば摩擦装着(friction fit)等を用いて前記弾性部材に固定するように動作可能なブラケット169または他の取付機構とを具備し得る。ブラケット169は、運動装置の弾性部材を前記ブラケット169とセンサー161の前記ハウジング上の当接面との間に保持するようにセンサー161の前記ハウジングに向かって付勢されているものであり得る。前記ブラケットまたは他の取付機構は、前記運動装置の前記弾性部材の伸張を測定するための機構との一体的な部品とされてもよい。
【0183】
センサー161は、少なくとも1つのセンサー信号を制御装置4に提供するように構成され得る。前記センサー信号は、センサー161を取り付ける前記弾性部材の伸張もしくは圧縮および/または前記弾性部材の向きを示すものであり得る。センサー161は、前記センサー161を取り付ける前記弾性部材の伸張または圧縮を検出するように構成された第1の検出部162を含み得る。第1の検出部162は、例えば、弾性バンドの伸張を検出するように構成され得る。第1の検出部162は、前記伸張を測定するのに、歪みゲージを含み、および/または光センシングなどの非接触センシング技術を用い得る。センサー161は、前記センサー161の向きを検出するように構成された第2の検出部163を含み得る。センサー161の前記向きは、前記センサー161を取り付ける前記弾性部材の向きを示している。第2の検出部163は、例えば加速度計等やその他の向きセンサーを含み得る。
【0184】
運動装置の弾性部材にクリップ留めされることが可能であるかまたは着脱自在に取り付けられることが可能なセンサー161の使用により、様々な利点が得られる。センサー161は一般的な弾性バンドまたは弾性ロープに対して適用することができ、一般的なバンドまたはロープを制御装置4との関連で使用することを可能にする。センサー161は、一般的な弾性バンドまたは弾性ロープを分解したり一般的な弾性バンドまたは弾性ロープにその他の変更を施したりせず前記センサー161を前記弾性バンドまたは弾性ロープに着脱自在に取り付けるだけで、一般的な弾性バンドまたは弾性ロープに装着されることが可能である。
【0185】
図23は、
図22のシステムに使用され得るセンサー161の一具体例の平面図である。センサー161は、弾性部材への取付用の複数のブラケット169a,169bを具備している。複数のブラケット169a,169bは、センサー161が前記弾性部材に取り付けられたときに前記弾性部材がセンサー161に沿って延びる方向沿いに離間しているものであり得る。複数のブラケット169a,169bは、歪みゲージ163にそれぞれ取り付けられた2つ以上のブラケットを含み得る。歪みゲージ163は、帯状の歪みゲージであり得る。複数のブラケット169a,169bは、前記弾性部材の伸張または圧縮を歪みゲージ163に伝えるように構成されている。複数のブラケット169a,169bはそれぞれ、前記弾性部材の一部に摩擦装着で係合することにより、前記弾性部材の伸張または圧縮を歪みゲージ163に伝えるように構成されたものであり得る。
【0186】
図24を参照しながら詳述するように、各種センサーに応じて校正ルーチンが実行され得る。
【0187】
前記方法およびシステムでは、実施形態において様々な種類のセンサーが使用され得る。例示であるが、一実施形態における前記制御装置は、上述したように多種多様な動きに基づいて音声フィードバックの実行を制御するように構成され得る。監視対象の動きの種類に応じて、様々な種類のセンサーが使用され得る。例示であるが、ほぼ直線的な動作を測定するには、(レーザ測定技術や赤外線センシングに基づいたものであり得る)非接触式の測距センサーが極めて好適であり得る。非接触式の測距センサーは、ユーザーに対して閾値距離に満たない離間状態となるようにして配置され得る。重力ベクトルに対する向きを測定するのに、加速度センサーまたはその他の向きセンサーが使用され得る。また、適切なセンサーが、自由空間内の動きを測定するよう動作可能とされ得る。例示であるが、自由空間内の三次元トラッキング用にステレオカメラシステムが使用され得る。
【0188】
図24は、一実施形態における方法170のフローチャートである。ステップ171にて、校正ルーチンが開始される。前記校正ルーチンは、音声信号を出力する前に実行され得る。これに代えてまたはこれに加えて、前記校正ルーチンは、音声信号が出力される際に実行され得る。ステップ172にて、センサー出力が前記校正ルーチンにおいて監視される。前記校正ルーチンにおいて前記センサー出力は、ユーザーの最小繰返し回数の動作を通して監視され得る。前記最小繰返し回数は、使用されるセンサーの種類、および/またはユーザーの動作が周期的な動作であるか否かに依存し得る。例示であるが、センサーが一次元の動作を測定するものである場合、センサー出力が少なくとも1回の繰返し動作を通して監視されて、身体動作の開始点および終了点が決定され得る。センサーが自由空間内の動作を検出するものである場合、精度を上げるために少なくとも3回の繰返し動作が前記校正ルーチンにおいて監視され得る。ランニングやサイクリングの場合のように前記身体運動が周期的な動作パターンを伴うものである場合、別の校正ルーチンが用いられ得る。例示であるが、ランニング時にユーザーが脚を上げる高さ、および/またはランニング時にユーザーが脚を上げる頻度、および/またはサイクリング時のペダルを踏む頻度が、前記校正ルーチンにおいて監視され得る。加速度が追加で監視されてもよい。同じセンサー出力から、例えば校正に使われ得る活動値等の各種値が導き出されてもよい。
【0189】
ステップ173にて、前記校正ルーチンにおいて監視した前記センサー出力が処理され得る。例示であるが、前記校正ルーチンで監視した前記センサー信号に基づいて、1つのセンサー出力または複数のセンサー出力を処理し前記第1および第2の閾値との比較対象となるセンサー信号を生成するための処理ルーチンが校正され得る。前記校正ルーチンにおいて監視した前記センサー出力を用いて、前記第1および第2の閾値と比較される前のセンサー出力に乗算される倍率が決定され得る。これに代えてまたはこれに加えて、センサー出力を処理して前記センサー出力から前記センサー信号を生成するのに、より複雑なマッピング手法が用いられてもよい。例示であるが、様々な関数やテーブルを用いて、前記第1および第2の閾値との比較対象となるセンサー信号へセンサー出力がマッピングされてもよい。これらの関数やテーブルは、前記校正ルーチンにおいて監視した前記センサー出力に応じて調節され得る。前記複数の音声クリップは、前記校正ルーチンにおいて監視した前記センサー出力に応じて選択されてもよい。これに代えてまたはこれに加えて、前記複数の音声クリップは、前記校正ルーチンにおいて監視した前記センサー出力に応じて選択されてもよい。
【0190】
前記校正は、ユーザーの身体運動に最適に合った、向上した音声フィードバックを提供するように実行され得る。
【0191】
ステップ174にて、前記校正ルーチンが終了し得る。
【0192】
ステップ174以降は、前記校正ルーチンの結果を用いて、身体運動中に音声フィードバックが行われ得る。ステップ171~174は、音声フィードバックを出力する前に実行されてもよいし、音声フィードバックの実行と並行して実行されてもよい。前記校正ルーチンはバックグランドで実行されてもよく、この校正ルーチン中には、前回の校正または初期設定の校正に基づいた音声フィードバックが聴こえることになる。音声フィードバックの実行は、
図1~
図23を参照しながら説明した手法のいずれかを用いて実現され得る。
【0193】
前記第1および第2の閾値は、前記校正済みの動きが実行されている際に(すなわち、校正後に)調節されるようにしてもよい。これにより、特定の運動や特定の運動装置に合った調整を行うことが可能になる。
【0194】
図25は、好適な一実施形態におけるシステムのブロック図である。前記システムは、音声フィードバック生成モジュール181とシーケンサー183との間にインターフェース185を具備する。音声フィードバック生成モジュール181は、センサー182から受け取ったセンサー信号184に応答して音声信号を出力するように構成されたものであり得る。出力される前記音声信号は、前述したように1つ以上の音声クリップを含む。
【0195】
音声フィードバック生成モジュール181およびシーケンサー183は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組合せにより実現され得る。音声フィードバック生成モジュール181およびシーケンサー183は、例えば携帯通信端末、その他の携帯型コンピューティングデバイス等の共通の装置で実行されるアプリ(app)であり得る。
【0196】
インターフェース185は、様々な目的で用いられ得る。例示であるが、シーケンサー183は、インターフェース185を介して音声フィードバック生成モジュール181へ前記複数の音声クリップのうちの1つ、2つ以上またはすべてを供給し得る。これに代えてまたはこれに加えて、前記シーケンサーは、インターフェース185を介して音声フィードバック生成モジュール181へ1つまたは複数のデータストリーム(例えば、MIDI等)を供給し得る。前記データストリームは、音声フィードバック生成モジュール181を制御するのに用いられ得る。前記の構成に代えてまたは前記の構成に加えて、前記音声信号または前記音声信号に関するデータが、音声フィードバック生成モジュール181によりインターフェース185を介してシーケンサー183へ供給され得る。
【0197】
音声フィードバック生成モジュール181がシーケンサー183のプラグインとして動作するものとされてもよいし、シーケンサー183が音声フィードバック生成モジュール181のプラグインとして動作するものとされてもよい。音声フィードバック生成モジュール181がシーケンサー183のプラグインとして動作するものである場合、音声フィードバック生成モジュール181の使用時間が例えば料金請求目的等のために監視され得る。
【0198】
インターフェース185は、ReWire(登録商標)インターフェース、Virtual Studio Technology(VST)インターフェース、またはAbleton(登録商標) Linkインターフェースであり得るが、これらに限定されない。
【0199】
本発明の好適な実施形態における前記方法、装置およびシステムは、ビート、リズム、ハーモニーまたはメロディーのような音楽的特徴を持つ音声素材を再生することが可能である。前記音声素材は、ループで再生され得る。前記音声素材は、例えば前記複数の音声クリップを共通のビートに同期させること等によって共通のテンポに同期され得る。出力される前記音声信号のコンテンツは、再生位置を維持しかつ共通のテンポおよび現在のビートに同期した状態を維持しながらリアルタイムでかつ進行中に操作することができる。クロスフェードを用いることにより、センサー出力の急な変化によって出力可聴フィードバックに可聴歪みのようなクリックやその他のアーチファクトが発生するというようなことがなくなる。
【0200】
前記音声素材は、例えば前記複数の音声クリップを共通のビートに同期させること等によって共通のテンポおよび位相に同期され得る。
【0201】
本明細書で開示した好適な実施形態のいずれにおいても、前記音声クリップは、サンプリングされた音声データ(例えば、録音されたまたは合成された音声の断片等)、MIDIデータ、OSCメッセージ、または独自フォーマットなどの別のフォーマットのデータであり得る(または、それまたはそれらを含み得る)。
【0202】
本明細書で開示した好適な実施形態のいずれにおいても、閾値11,12は静的(一定)でないものとされてよい。閾値11,12は、センサー信号の関数として、時間の関数として、パターン識別処理を動作パターンに適用した結果として、または身体運動の実行とは無関係であり得る環境パラメーターの結果として変化するものとされ得る。そのような環境パラメーターの例示として、ユーザーを取り囲む実世界オブジェクトおよび/または仮想現実オブジェクトの位置もしくは動作、および/または温度、および/または照明条件、および/またはその他の周辺状況が挙げられる。
【0203】
本発明の好適な実施形態における前記方法、装置およびシステムは、身体運動中の音響信号出力時に音声クリップまたは音声クリップの組合せをトリガーする。ユーザーは、1つの音声クリップから別の音声クリップへの移行開始が現在のリズム背景とぴったり合うか否かを心配しなくてよい。前記方法、装置およびシステムはすべての音声素材が初めから同期して動作しているかの如く感じさせることができ、また、ユーザーは自発的に様々な音声素材を変化させたり組み合わせたりすることができる。前記方法、装置およびシステムにより、ユーザーは複数の音声クリップ間の切替えを好きなときに行うことができる。つまり、ユーザーは、現在の音響信号との同期を心配する必要なく自分の好みに従って音を好きなときに変化させることができる。前記方法、装置およびシステムは、音楽の作用を味わう際立った特徴となる音声フィードバックを素早く突如変化させることができ、すなわち、動作の興奮パターンが音声信号の対応する興奮パターンで確実に反映されるようにすることができる。
【0204】
本発明の好適な実施形態における前記方法、装置およびシステムでは、前記制御装置がセンサー出力の増加と減少とを区別することができる。センサー信号が所与のセンサー信号サブ範囲へ下閾値から入ったのか上閾値から入ったのかに応じて、様々な処理がそれぞれトリガーされ得る。前記様々な処理は、例えば、そのサブ範囲に下境界から入ったのか上境界から入ったのかに応じて、前記少なくとも1つのさらなる音声クリップをループさせる際の各ループ範囲を設定することを含み得る。
【0205】
本発明の好適な実施形態における前記方法、装置およびシステムは、制御装置を用いて命令コードを実行し、前記制御装置に本明細書で開示した好適な実施形態のいずれかにおける方法を実行させることによって実現され得る。前記制御装置は、据え置き型もしくは携帯型のコンピューター、携帯電話やタブレットや携帯情報端末やその他の通信端末などの携帯型の通信端末、または特定用途向けコンピューティングデバイスを含み得る。前記コンピューティングデバイスは、埋め込み型Linux(登録商標)コンピューターを含み得る。
【0206】
本明細書で開示した、身体運動時の音響的フィードバックを制御する方法、装置およびシステムにより、ユーザーはやる気が上がると思われる音響的フィードバックを楽しく簡単に、前記音響的フィードバックのビートを身体運動時に実行する自身の動作に同期させる必要なく生成することができる。前記方法、装置およびシステムは、運動中にユーザーが音や音の組合せの選択肢を幅広く模索することを可能にする。前記方法、装置およびシステムは、1人のユーザーが単独で実行する身体運動に使用され得るだけでなく、複数のユーザーが共同で運動する集団エクササイズ環境にも極めて適している。
なお、本発明は、実施の態様として以下の内容を含む。
[態様1]
身体運動時の音響的フィードバックを行う方法であって、
-ビートが同期した複数の音声クリップ(21~23;21~26;21-23,27~29)を用意する過程と、
-センサー(101~103)から、第1および第2の閾値(11,12)でセンサー信号範囲が少なくとも3つのセンサー信号サブ範囲(13~15)に分割されるセンサー信号(16)を受け取る過程と、
-受け取った前記センサー信号に応答して音声信号を出力する過程であって、出力される前記音声信号が前記音声クリップのうちの1つ以上の音声クリップを含む、過程と、
を備え、
前記受け取ったセンサー信号(16)が前記第1の閾値(11)を上回ると、前記1つ以上の音声クリップのうちの少なくとも1つの音声クリップ(21)が停止され、および/または、前記音声クリップのうちの少なくとも1つのさらなる音声クリップ(22)が前記少なくとも1つの音声クリップ(21)と同期的に開始され、
前記受け取ったセンサー信号(16)が前記第2の閾値(12)を下回ると、前記1つ以上の音声クリップのうちの少なくとも1つの音声クリップ(21)が停止され、および/または、前記音声クリップのうちの少なくとも1つのさらなる音声クリップ(23)が前記少なくとも1つの音声クリップ(21)と同期的に開始される、方法。
[態様2]
態様1に記載の方法において、前記1つ以上の音声クリップのうちの少なくとも1つの音声クリップ(21)を停止することが、前記1つ以上の音声クリップのうちの前記少なくとも1つの音声クリップ(21)をフェードアウトさせることを含む、方法。
[態様3]
態様1または2に記載の方法において、前記音声クリップのうちの少なくとも1つのさらなる音声クリップ(22,23)を開始させることが、前記少なくとも1つのさらなる音声クリップをフェードインさせることを含む、方法。
[態様4]
態様1から3のいずれか一態様に記載の方法において、少なくとも1つのさらなる音声クリップ(22,23)を開始させることが、前記少なくとも1つのさらなる音声クリップ(22,23)が再生されるオフセット再生位置(61)を決定することを含み、
任意で、前記少なくとも1つのさらなる音声クリップ(22,23)の前記オフセット再生位置(61)が、前記受け取ったセンサー信号が前記第1の閾値(11)を上回ったかもしくは前記第2の閾値(12)を下回った時点での前記1つ以上の音声クリップのうちの前記少なくとも1つの音声クリップ(21)の再生位置または前記時点でのグローバルカウントに基づいて、または、前記音声クリップのうちの少なくとも1つのさらなる音声クリップ(23)が開始される時点での前記1つ以上の音声クリップのうちの前記少なくとも1つの音声クリップ(21)の再生位置に基づいて決定される、方法。
[態様5]
態様4に記載の方法において、前記少なくとも1つのさらなる音声クリップ(22,23)の前記オフセット再生位置(61)が、前記少なくとも1つのさらなる音声クリップ(22,23)の長さに対する前記1つ以上の音声クリップのうちの前記少なくとも1つの音声クリップ(21)の長さの比に基づいて、または剰余演算を実行することによって決定される、方法。
[態様6]
態様1から5のいずれか一態様に記載の方法において、前記少なくとも1つの音声クリップ(21)と前記少なくとも1つのさらなる音声クリップ(22,23)とが共通のビートに同期しており、前記共通のビートが、
-前記身体運動を実行している人間の少なくとも1つの生理パラメーター、および/または
-前記センサー信号(16)、および/または
-少なくとも1つの環境パラメーター
に基づいて調節される、方法。
[態様7]
態様1から6のいずれか一態様に記載の方法において、音声信号を出力する過程が、前記受け取ったセンサー信号が前記第1の閾値(11)を上回るかまたは前記第2の閾値(12)を下回るまで、前記少なくとも1つの音声クリップ(21)をループで再生することを含む、方法。
[態様8]
態様1から7のいずれか一態様に記載の方法において、さらに、
前記少なくとも1つの音声クリップ(21)または前記さらなる音声クリップ(22,23)を、
-前記身体運動の開始からの経過時間、および/または
-前記センサー(101~103)により検出される動作特性、および/または
-前記身体運動を実行している人間の少なくとも1つの生理パラメーター
の関数として調整する過程、
を備える、方法。
[態様9]
態様1から8のいずれか一態様に記載の方法において、前記複数の音声クリップ(21~23)が、サンプリングされた音声データ、MIDIクリップ、OSCクリップ、または独自フォーマットのクリップを含む、方法。
[態様10]
態様1から9のいずれか一態様に記載の方法において、前記センサーが、運動装置に取り付けられるものであるか、または、前記センサーがウェアラブルなセンサーを含む、方法。
[態様11]
態様1から10のいずれか一態様に記載の方法において、ビートが同期した前記複数の音声クリップ(21~23;21~26;21~23,27~29)が、等間隔の関係にあるかまたは音響振幅最大値もしくは音色事象の反復パターンに関する、繰返し時間的事象を示す、方法。
[態様12]
態様1から3のいずれか一態様に記載の方法において、ビートが同期した前記複数の音声クリップ(21~23;21~26;21~23,27~29)が、等間隔の関係にあるかまたは音響振幅最大値もしくは音色事象の反復パターンに関する、繰返し時間的事象を示し、
少なくとも1つのさらなる音声クリップ(22,23)を開始させることが、前記少なくとも1つのさらなる音声クリップ(22,23)が再生されるオフセット再生位置(61)を決定することを含み、
前記少なくとも1つのさらなる音声クリップ(22,23)の前記オフセット再生位置(61)が、前記受け取ったセンサー信号が前記第1の閾値(11)を上回ったかもしくは前記第2の閾値(12)を下回った時点での前記1つ以上の音声クリップのうちの前記少なくとも1つの音声クリップ(21)の再生位置または前記時点でのグローバルカウントに基づいて、または、前記音声クリップのうちの少なくとも1つのさらなる音声クリップ(23)が開始される時点での前記1つ以上の音声クリップのうちの前記少なくとも1つの音声クリップ(21)の再生位置に基づいて決定される、方法。
[態様13]
態様12に記載の方法において、前記センサー信号が前記第1の閾値(11)に到達したことに応答して開始される前記少なくとも1つのさらなる音声クリップ(22)が、前記センサー信号(16)の変化率、および前記第1の閾値(11)への交差方向に依存する、方法。
[態様14]
態様13に記載の方法において、3つ以上のセンサー信号が処理されることにより、前記複数の音声クリップ(21~23;21~26;21~23,27~29)のうちのどの音声クリップが出力されるのかが決定される、方法。
[態様15]
態様1から14のいずれか一態様に記載の方法において、さらに、
映像信号を出力する過程、
を備え、
任意で、前記映像信号が、実行すべき身体運動についての動画もしくは情報、および/または身体のうちのさらなる運動が求められる部位についての情報、および/または身体運動のためにユーザーを運動装置で浮遊支持する方法についての情報を含み、
任意で、前記身体運動が、三次元実世界空間内のユーザーの向きを操作することが可能な運動装置または娯楽装置(151)上で実行される、方法。
[態様16]
態様1から15のいずれか一態様に記載の方法において、前記センサー信号が、運動装置の弾性部材に取付け可能なセンサー(161)により取得される、方法。
[態様17]
態様16に記載の方法において、前記センサー(161)が、前記弾性部材にクリップ留めされるように構成されている、方法。
[態様18]
態様16または17に記載の方法において、前記センサー(161)が前記弾性部材の伸張および/または圧縮を検出するように構成され、および/または、前記センサー(161)が前記弾性部材の向きを検出するように構成されている、方法。
[態様19]
態様1から18のいずれか一態様に記載の方法において、さらに、
校正ルーチンにおいてセンサー出力を監視する過程、
を備え、
任意で、前記校正ルーチンで監視した前記センサー出力に依存するマッピングを用いて、前記センサー出力が前記センサー信号(16)へマッピングされる、方法。
[態様20]
態様19に記載の方法において、前記校正ルーチンにおいて前記センサー出力が、ユーザーの最小繰返し回数の動作を通して監視されて、前記最小繰返し回数が、使用されるセンサーの種類、および/またはユーザーの動作が周期的な動作であるか否かに依存する、方法。
[態様21]
態様1から20のいずれか一態様に記載の方法において、前記複数の音声クリップ(21~23;21~26;21~23,27~29)がシーケンサー(183)により供給され、および/または
前記音声信号または前記音声信号に関するデータが前記シーケンサー(183)に供給され、および/または
前記シーケンサー(183)が前記身体運動時の前記音響的フィードバックを制御する装置(4;80;90)に制御情報を供給する、方法。
[態様22]
身体運動時の音響的フィードバックを制御する装置(4;80;90)であって、
-ビートが同期した複数の音声クリップ(21~23;21~26;21~23,27~29)を記憶するメモリ(7)と、
-第1および第2の閾値(11,12)でセンサー信号範囲が少なくとも3つのセンサー信号サブ範囲(13~15)に分割されるセンサー信号を受け取る入力部(5)と、
-受け取った前記センサー信号に応答して音声信号の出力を制御する制御回路(6;81,84,85;81,84,85,86,89,94)であって、出力される前記音声信号が、同期した状態で出力される、前記音声クリップの1つ以上の音声クリップを含む、制御回路(6;81,84,85;81,84,85,86,89,94)と、
を備え、
前記制御回路(6;81,84,85;81,84,85,86,89,94)が、
前記センサー信号(16)が前記第1の閾値(11)を上回ると、前記1つ以上の音声クリップのうちの少なくとも1つの音声クリップ(21)を停止させ、および/または、前記音声クリップのうちの少なくとも1つのさらなる音声クリップ(22)を前記少なくとも1つの音声クリップと同期的に開始させ、
前記センサー信号(16)が前記第2の閾値(12)を下回ると、前記1つ以上の音声クリップのうちの少なくとも1つの音声クリップ(21)を停止させ、および/または、前記音声クリップのうちの少なくとも1つのさらなる音声クリップ(23)を前記少なくとも1つの音声クリップと同期的に開始させるように構成されている、装置。
[態様23]
態様22に記載の装置において、前記装置が前記音声信号を出力する電気音響変換器(9)をさらに備え、および/または、前記制御回路(6;81,84,85;81,84,85,86,89,94)が態様1から21のいずれか一態様に記載の方法を実行するように構成されている、装置。
[態様24]
身体運動時のユーザーの動作に応答するセンサー(3;101~103)であって、センサー信号範囲を有するセンサー(3;101~103)と、
態様22または23に記載の装置(4;80;90)と、
を備える、システム。
[態様25]
態様24に記載のシステムにおいて、前記センサー(3;101~103)がウェアラブルなセンサーまたは少なくとも1つのカメラを含むか、または、前記システムが運動装置(2)をさらに備えて前記センサー(3)が前記運動装置(2)に取り付けられるものであり、
任意で、前記運動装置が、弾性エレメント(124;135)により連結された2つの物体(122,123;132~134)を含み、
前記センサー(102)が、加速度計および/またはジャイロメーターおよび/または歪みゲージおよび/またはロードセルを含み、
任意で、前記センサー(102)が、前記2つの物体(122,123;132~134)のうちの少なくとも一方の物体に、または前記弾性エレメント(124;135)内にもしくは前記弾性エレメント(124:135)近傍に設けられている、システム。
[態様26]
態様25に記載のシステムにおいて、前記運動装置(151)が、前記運動装置(151)で浮遊支持された状態のユーザーの三次元実世界空間内の向きを操作することが可能である、システム。
[態様27]
ソフトウェアコードを備えるコンピュータープログラムであって、前記ソフトウェアコードが、プロセッサーにより実行されると態様1から21のいずれか一態様に記載の方法を実行するように構成されている、コンピュータープログラム。