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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】スナップ無線周波数コネクタ相互接続体
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/11 20060101AFI20221111BHJP
   H01R 24/50 20110101ALI20221111BHJP
   H05K 1/14 20060101ALI20221111BHJP
   H05K 3/36 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
H05K1/11 D
H01R24/50
H05K1/14 A
H05K3/36 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020542982
(86)(22)【出願日】2019-02-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-27
(86)【国際出願番号】 US2019019847
(87)【国際公開番号】W WO2019168992
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2020-08-11
(31)【優先権主張番号】62/636,364
(32)【優先日】2018-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】シキナ,トーマス ヴイ.
(72)【発明者】
【氏名】ベネディクト,ジェームズ イー.
(72)【発明者】
【氏名】ヘイブン,ジョン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】サウスワース,アンドリュー アール.
(72)【発明者】
【氏名】アザドゾイ,セミラ エム.
【審査官】黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-311870(JP,A)
【文献】特開平04-282582(JP,A)
【文献】特開2008-042028(JP,A)
【文献】特開2016-072514(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0206617(US,A1)
【文献】特開2004-311786(JP,A)
【文献】特開平04-267586(JP,A)
【文献】特表2005-531155(JP,A)
【文献】特開2000-277661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/11
H01R 24/50
H05K 1/14
H05K 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コネクタと第2コネクタとを含む無線周波数相互接続構造であり:
前記第1コネクタが、
第1表面及び該第1表面に対向する第2表面を有する第1基板;
該第1基板内部に形成された第1信号トレース及び第1端子パッド;
前記第1基板の前記第1表面上に配置された第1接地平面;
一端において前記第1端子パッドに結合され、他端において前記第1基板の前記第2表面上に配置された第1接点を有する第1信号導体;及び
前記第1基板の前記第1表面と前記第2表面との間に配置され、前記第1基板内で電気的に連続した導体として前記第1信号導体、前記第1信号トレース及び前記第1端子パッドを包囲して形成されている第1接地境界;
を備え、
前記第2コネクタが、
第1表面及び該第1表面に対向する第2表面を有する第2基板;
該第2基板内部に形成された第2信号トレース及び第2端子パッド;
前記第2基板の前記第1表面上に配置された第2接地平面;
一端において前記第2端子パッドに結合され、他端において前記第1コネクタの前記第1接点と電気的に結合するように構成されている第2接点を有する第2信号導体;及び
前記第2基板の前記第1表面と前記第2表面との間に配置され、前記第2基板内で電気的に連続した導体として前記第2信号導体、前記第2信号トレース及び前記第2端子パッドを包囲して形成されている第2接地境界であり、前記第1接地境界と電気的に結合するように構成されている第2接地境界;
を備える、
無線周波数相互接続構造。
【請求項2】
前記第1コネクタの前記第1接点及び前記第2コネクタの前記第2接点を整合させるように構成されている整合要素をさらに備える、請求項1に記載の無線周波数相互接続構造。
【請求項3】
前記第1コネクタの前記第1接点と前記第2コネクタの前記第2接点との間の結合接点を固定するように構成されている結合要素をさらに備える、請求項1又は2に記載の無線周波数相互接続構造。
【請求項4】
前記結合要素は磁気要素である請求項3に記載の無線周波数相互接続構造。
【請求項5】
無線周波数コネクタを製造する方法であって:
第1基板上に配置された導電性材料をミリングするステップであり、端子パッドを含む信号トレースを形成する、ステップ;
前記第1基板に第2基板をボンディングするステップであり、前記第1基板と前記第2基板との間に前記信号トレース及び前記端子パッドを実質的に封入する、ステップ;
前記第2基板にドリリングするステップであり、前記端子パッドへのアクセス孔をもたらす、ステップ;
前記第1基板及び前記第2基板を通してミリングするステップであり、少なくとも部分的に前記端子パッドの周囲に位置するトレンチを形成する、ステップ;
前記アクセス孔内に導体を堆積させるステップであり、前記導体が一端において前記端子パッドに電気的に接続され他端において前記第2基板の表面上に配置される第1接点を有し、前記第1接点は他の基板の第2接点に電気的に結合するように構成されている、ステップ;及び
前記トレンチ内に導電性インクを堆積するステップであり、前記第1基板及び前記第2基板内に前記導体、前記信号トレース及び前記端子パッドを包囲する電気的に連続した導電性インクを形成する、ステップ;
を含む方法。
【請求項6】
前記端子パッド上にハンダバンプを堆積するステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記アクセス孔において前記導体にハンダ/リフローを適用するステップをさらに含む、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1基板及び前記第2基板を通してミリングするステップは、実質的に接地面を貫通することなく前記接地面へとミリングするステップを含む、請求項5乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記導体が接地面に電気的に接続されるように、前記導電性インクが、前記接地面に接触して配置される、請求項5乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線周波数コネクタに関する。関連出願の相互参照:本出願は、2018年2月28日に出願された「SNAP-RF INTERCONNECTIONS」という名称の米国仮特許出願第62/636,364号に基づく優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
無線周波数及び電磁回路は、従来のPCB製造プロセスを使用してプリント回路基板上に製造及び配置することができ、多くの場合、種々のケーブル又は他の電磁回路への相互接続を必要とし、つまり、損失が大きく、壊れやすく、適合性が種々の周波数範囲に限定されたかさばるコネクタを必要としていた。積層、電気めっき、マスキング、エッチングその他のプロセス工程などの従来のPCB製造工程は、複数の工程、高価な及び/又は危険な材料、複数回の反復、大規模な労力などを必要とすることがあり、これらはすべて、高コスト、遅いターンアラウンド時間を導く。さらに、従来のPCB製造プロセスは、信号トレース寸法などの小さなフィーチャサイズを可能にする能力が限られており、それにより、そのような装置によって支持され得る最高周波数信号の範囲を制限していた。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の一態様は、無線周波数コネクタに向けられており、該無線周波数コネクタは、
基板; 該基板上に配置された第1接地平面; 第1接点を有する信号導体であり、該第1接点が第2接点と電気的に結合するように構成されている、信号導体;及び 第2接地境界と電気的に結合するように構成されている第1接地境界であり、前記基板内で電気的に連続した導体として形成されている第1接地境界;を含む。
【0004】
無線周波数コネクタの実施形態は、前記第1接点及び前記第2接点を整合させるように構成されている整合要素をさらに備えてもよい。前記第1接点と前記第2接点との間の結合接点を固定するように構成されている結合要素をさらに備えてもよい。前記結合要素は磁気要素であってもよい。
【0005】
本開示の別の態様は、第1コネクタと第2コネクタとを含む無線周波数相互接続構造に向けられている。該無線周波数相互接続構造において、前記第1コネクタが、 第1基板; 該第1基板上に配置された第1接地平面; 第1接点を有する第1信号導体;及び 前記第1基板内で電気的に連続した導体として形成されている第1接地境界; を備え、 前記第2コネクタが、 第2基板; 該第2基板上に配置された第2接地平面; 前記第1コネクタの前記第1接点と電気的に結合するように構成されている第2接点を有する第2信号導体;及び 前記第2基板内で電気的に連続した導体として形成されている第2接地境界であり、前記第1接地境界と電気的に結合するように構成されている第2接地境界;を備える。
【0006】
無線周波数相互接続構造の実施形態は、さらに、前記第1コネクタの前記第1接点及び前記第2コネクタの前記第2接点を整合させるように構成されている整合要素をさらに備えてもよい。前記第1コネクタの前記第1接点と前記第2コネクタの前記第2接点との間の結合接点を固定するように構成されている結合要素をさらに備えてもよい。前記結合要素は磁気要素であってもよい。
【0007】
本開示のさらに別の態様は、無線周波数コネクタを製造する方法に向けられている。該ほうほうは、第1基板上に配置された導電性材料をミリングするステップであり、端子パッドを含む信号トレースを形成する、ステップ; 前記第1基板に第2基板をボンディングするステップであり、前記第1基板と前記第2基板との間にトレース及び端子パッドを実質的に封入する、ステップ; 前記第2基板にドリリングするステップであり、前記端子パッドへのアクセス孔をもたらす、ステップ; 前記第1基板及び前記第2基板を通してミリングするステップであり、少なくとも部分的に前記端子パッドの周囲に位置するトレンチを形成する、ステップ; 前記アクセス孔内に導体を堆積させるステップであり、前記導体が前記端子パッドに電気的に接続する、ステップ;及び 前記トレンチ内に導電性インクを堆積するステップであり、前記第1基板及び前記第2基板内に電気的に連続した導体を形成する、ステップ;を含む。
【0008】
本方法の実施形態は、前記端子パッド上にハンダバンプを堆積するステップをさらに含んでよい。前記アクセス孔において前記導体にハンダ/リフローを適用するステップをさらに含んでよい。前記第1基板及び前記第2基板を通してミリングするステップは、実質的に接地面を貫通することなく前記接地面へとミリングするステップを含んでよい。前記の連続した導体が接地面に電気的に接続されるように、前記導電性インクが、前記接地面に接触して配置されてもよい。
【0009】
少なくとも1つの実施形態の種々の態様が添付の図面を参照して後述されるが、これらは、縮尺通りに描かれることを意図されていない。図面は、種々の態様及び実施形態の説明及びさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成するが、本開示の限界の定義として意図されるものではない。図面において、種々の図に示されている同一又はほぼ同一の各構成要素は、同様の数字で表すことができる。明瞭にするために、全ての構成要素が全ての図面においてラベル付けされているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】電磁回路に適した2層のボンディングされた基板の一例の概略図である。
図2】電磁回路と共に使用するための従来のコネクタの一例の概略図である。
図3】電磁回路相互接続の製造段階の概略平面図である。
図3A】電磁回路相互接続の製造段階の左側面端面図である。
図3B】電磁回路相互接続の製造段階の正面端面図である。
図4】電磁回路相互接続の別の製造段階の左側面端面図である。
図5】電磁回路相互接続の別の製造段階の平面概略図である。
図5A】電磁回路相互接続の別の製造段階の左側面端面図である。
図6】電磁回路相互接続の別の製造段階の左側面端面図である。
図7】電磁回路相互接続の別の製造段階の左側面端面図である。
図8】一緒に結合された2つの電磁回路相互接続の概略図である。
図8A図8の2つの電磁回路相互接続のA―A断面図である。
図8B図8の2つの電磁回路相互接続のB―B断面図である。
図9A図8Aの相互接続の断面図に相互接続を固定するための追加の要素を含んだ図である。
図9B図8Bの相互接続の断面図に相互接続を固定するための追加の要素を含んだ図である。
図10】追加的な要素の様々な実施形態の詳細を示す概略図である。
図11】追加的な要素の様々な実施形態の詳細を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
種々の態様及び実施形態が、電磁回路のためのコンパクトで低プロファイルの相互接続システム及び方法、並びにそれらの製造方法の改良に関し、コンフィギュレーションの容易さ、小型化、及び従来のシステム及び方法よりも高い周波数を可能にする。
【0012】
ここで述べる態様及び実施例は、無線周波数、直流(DC)、論理信号等を含む種々の信号の搬送のための低プロファイル相互接続を提供するために、加法的(アディティブ)及び減法的(サブトラクティブ)製造技術を有利に適用する無線周波数コネクタ及び方法を提供する。
【0013】
さらに他の態様、実施例及び利点が、以下で詳細に議論される。本明細書に開示された実施形態は、本明細書に開示された原理の少なくとも1つと矛盾しない任意の方法で他の実施形態と組み合わせることができ、「実施形態」、「一部の実施形態」、「代替の実施形態」、「種々の実施形態」、「1つの実施形態」などへの言及は、必ずしも相互に排他的ではなく、記載された特定の特徴、構造、又は特徴が少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを示すことを意図している。本明細書におけるこのような用語の表現は、必ずしも同一の実施形態を指すものではない。ここに記載される種々の態様及び実施形態は、記載される方法又は機能のいずれかを実施するための手段を含み得る。
【0014】
本明細書に記載された方法及び装置の実施形態は、以下の説明に記載された、又は添付の図面に例示された構成及び構成要素の配置の詳細に適用することに限定されないことを理解されたい。方法及び装置は、他の実施形態で実施可能であり、実行可能であるか、又は種々の方法で実施可能である。具体的な実施例は、例示的な目的のためだけに本明細書で提供されており、限定することを意図したものではない。また、本明細書中で私用される表現及び用語は制限的に理解されるべきではない。本明細書における「含む」、「備える」、「有する」、「包含する」、「含有する」及びそれらの変形の使用は、その後に列挙される項目及びそれらの同等物ならびに追加の項目を包含することを意味する。「又は」の表現は、「又は」を使用して記載される用語が単一の、複数の、及び記載される用語のすべてを示すことができるように、「又は」の表現は包括的であると解釈され得る。前後、左右、頂部底部、上下、端部、側面、垂直、水平などの表現は、本システム及び方法又はそれらの構成要素を、いずれか1つの位置又は空間方向に限定するのではなく、説明の便宜のために意図されたものである。
【0015】
本明細書中で使用される用語「無線周波数」は、明示的に記述され、かつ/又は、文脈によって具体的に示されない限り、いかなる特定の周波数、周波数の範囲、バンド、スペクトル等をも意味することを意図するものではなく、同様に、「無線周波数信号」及び「電磁信号」という用語は、互換的に使用され、いかなる周波数の信号も意味し得る。当然のことながら、無線周波数回路の様々な実施形態は、様々な周波数で動作するように選択された寸法及び/又は名目上製造された寸法を有するように設計することができる。適切な寸法の選択は、一般的な電磁原理から行うことができ、本明細書では詳細に示さない。本願明細書に記載される方法及び装置は、従来知られているものよりも小さな配置及び寸法を支持することができ、従来知られているものよりも小さな寸法の電磁回路の製造を可能にするか又はこれに適応させることができ、それにより、従来の方法よりも高い周波数で動作することを意図される無線周波数回路に特に適している。
【0016】
図1は、電磁回路構造100を示し、電磁回路構造100は、互いにボンディングされた2層の基板110と、それらの外側表面上に配置された接地面120と、それらの間に配置された回路層130とを備える。構造100は、電磁回路を設けることができる構造の一例に過ぎず、追加的な回路構成要素を収容するための追加的な層を有する追加的な基板を様々な実施形態で設けることができる。典型的には、回路の一部分が、特定の層、例えば、回路層130上に配置され、その上方及び/又は下方に接地面が配置され(例えば、回路層上の様々なトレース又は伝送線路上の信号に対する特性インピーダンスを維持するため)、全回路(又はシステム)の他の部分が、他の層に存在しうるが、回路層130上の信号が他の層へのアクセスを獲得しなければならない。
【0017】
1つの構造100から他の構造100への信号の転送は、図2に示すコネクタ200などのコネクタを介して行われるのが普通である。図2に示すコネクタ200は、大きな空間を必要とし、有意の回路基板分離を要求する表面コネクタであり、回路基板から突出する物理構造のために脆弱であり、また、そのサイズのために、特定の周波数帯域に制限されるか、或いは特定の周波数以上では望ましくない性能を有する。従来のコネクタはまた、追加的な高さ制限及び高コストを導入する。
【0018】
しかしながら、本明細書に記載されるシステム及び方法の態様及び実施形態は、回路間の低プロファイルの相互接続を提供し、柔軟な相互交換性、交換可能なクイックコネクト及び切断動作を備えた信頼性の高い信号相互接続を提供し、ケーブルなしで、コストのかかる/バルキーなコネクタを使用せず、トルク又はねじれの適用をせずに、所定の位置にスナップ止めされる。本明細書に記載される相互接続システム及び方法は、PCB間、ボード間接続、ボード間ケーブル接続、及びボード間フレックス接続のための低コストのRFインターフェースを提供する。
【0019】
本明細書に記載されたものに従った電磁回路及び製造方法は、従来の回路及び方法よりも、低プロファイルで、低コストで、低サイクル時間で、及び低設計リスクで、より高い周波数を取り扱うことができる電磁回路及び部品を製造するための種々のアディティブ製造技術を含む。技術の例としては、基板の表面から導電性材料をミリング(milling)して、従来のPCBプロセスによって許容されるよりも著しく小さな寸法の信号トレース又は開口を形成することが挙げられる。また、1層以上の基板をミリングしてトレンチを形成すること、3次元印刷技術を使用して、印刷された導電性インクをトレンチ内へと堆積させてファラデー壁(連続した電気バリアであって、バリアとの間隔が最小である一連のグラウンドビアに対向する)を形成すること、基板の一部を貫通して穴をミリング(ドリリング)して形成され、ワイヤが配置され(及び/又は導電性インクが印刷される)、基板(又は対向する基板)の表面上に配置された信号トレースに電気的に接触させること、垂直送出(vertical launch)導電ワイヤの周囲にファラデー壁を形成すること(いくつかの実施形態では、銅であってもよい)を含み得ること、及び3次元印刷技術を使用して、抵抗性インクを堆積させて抵抗性構成要素を形成することが挙げられる。上記の例示的な技術及び/又は他の技術(例えば、ハンダ付け及び/又はハンダリフロー)のいずれかを組み合わせて、種々の電磁構成要素を作製してもよい。そのような技術の態様及び例は、電磁回路の層に、又はその層から電磁信号を伝達するための高周波相互接続に関して本明細書に記載され、図示されているが、記載された技術は、種々の電磁コンポーネント、コネクタ、回路、アセンブリ及びシステムを形成するために使用することができる。
【0020】
図3図3A及び図3Bは、本明細書に記載されるシステム及び方法の態様及び実施形態に従った、製造の一段階における相互接続を含む、電磁回路の構造300aを示す。構造300aは、一表面と対向する表面とを有する基板310である。基板310の一表面上には、電気めっきされた銅などの導電性材料320が上に配置され、例えば、一部の実施形態では接地面となり得るものを形成する。基板310の対向する表面上には、種々の導電性特徴を形成するためにミリングされた(例えば、減算された)別の導電性材料330(例えば、銅)が配置される。ミリングによって生成される特徴は、電磁回路の種々の構成要素を形成することができるが、本明細書に記載される主たる関心の特徴は、構造300aから他の構成要素へと信号を伝達するための信号相互接続を提供することに関連するものである。したがって、図3に示すミリング加工された特徴は、除去された部分340を含み、信号トレース350及び端子パッド352を形成する。この例における端子パッド352は、概ね丸い形状であるが、様々な実施形態において、端子パッド352は、図示の形状以外の形状であってもよく、単に、他の識別可能な形状を持たないトレース350の端末端であってもよい。説明したように、導電体330から形成された電気的特徴は、導電体330の一部をミリングすることによって形成される。
【0021】
図に示された寸法情報は、例示的な目的のためのものに過ぎず、特定の用途に望ましい、又は適切であり得るいくつかの寸法を表し、本明細書に記載された方法で達成可能ないくつかの寸法を例示することができる。様々な実施形態では、寸法は、製造に使用されるミリング装置及び追加的な装備の能力に応じて、また特定の回路の設計及び用途に応じて、著しく小さくても、又は大きくてもよい。
【0022】
図4は、別の製造段階における電磁相互接続の構造300bを示す。構造300bは、構造300aに類似しており、構造300aのすべての要素を含み、構造300bは、電磁相互接続の製造における次の段階であってもよいが、様々な実施形態では、本明細書に記載されたものと一致する電磁相互接続の構造及び特徴は、異なる順序で製造されてもよい。構造300bは、第2の基板410を含む。第2の基板410は、1つの表面と、対向する表面とを有する。一の表面上には、導電性材料420が配置される。対向する表面は、例えば構造300aに(薄層ボンディング材料430を介して)ボンディングされる。ハンダバンプ440は、必ずしも必要ではないが、端子パッド352上に配置されてもよく、基板310、410を接合する前に端子パッド352上に堆積されてもよい。
【0023】
図5及び図5Aは、別の製造段階における電磁相互接続の構造300cを示す。構造300cでは、導電性材料420及び基板410を通してアクセス孔510がミリング(例えば、ドリル加工)されている。これは、端子パッド352(及び随意のハンダバンプ440)へのアクセスを提供するためである。さらに、導電性材料420のさらなるミリングされた部分520が除去され、アクセス孔510の上部開口と導電性材料420の残りの部分との間に電気的絶縁が提供される。さらに、導電性材料420及び基板410を通して、トレンチ530がミリングされている。これは、構造300cの遠位対向表面上の導電性材料320へのアクセスを提供するためである。図5の平面図部分は、いくつかの実施態様におけるトレンチ530の位置のより詳細を示す。図5の平面図部分は、導電性材料330の平面内の図として示されており、信号トレース350及び端子パッド352が存在してもよく、したがって、アクセス孔510又はミリング部520は図示されていない。参考として、ミリング部分520は、アクセス孔510の周囲の領域であってよく、アクセス孔510の将来のハンダバンプ(又は他の導電性構造)が、例えばトレンチ530の「外側」の残りの導電性材料420への電気的接続を行うことを防止するのに十分である。
【0024】
図6は、さらに別の製造段階における電磁相互接続の構造300dを示す。導体610がアクセス孔510内に堆積され、導電性充填物620がトレンチ530内に堆積される。アクセス孔510内の導体610は、一部の実施形態では、孔510内へ導体材料又は導体インクを充填(堆積)(例えば、3次元印刷による)することによって、或いは導体を孔510内に挿入することによって形成することができる。例えば、導体610は、一部の実施形態では、ワイヤなどの固体導体であってもよく、一部の実施形態では、銅ワイヤであってもよい。様々な実施形態では、用途に応じて、他の導電性材料が適切であり得る。さらに、ワイヤは、円形、正方形、又は他の断面形状であってもよく、様々な実施形態では、中実又は中空コアであってもよい。いくつかの実施形態では、ハンダリフロープロセスを適用して、導体610をハンダバンプ440に、したがって端子パッド352に「接着」することができる。
【0025】
導電性充填材620は、種々の導電性材料であってもよいが、充填されるトレンチ530のより頑強な(及び潜在的に均一性の低い、及び/又は非晶質の)形状のために、導電性インク(例えば、3次元印刷によって追加的に製造される)で充填することが好ましい。トレンチ530は、いくつかの有意に直線的な部分を有することが示されているが、様々な実施形態において、トレンチ530は、任意の形状をとってもよい。トレンチ530の好ましい形状は、信号トレース350を信号トレース350のいずれかの側に平行にし、種々の回路レイアウトを収容する種々の形状の信号トレース350に適合することである。比較のために、種々の寸法値が図6(及び図7)に関して図示されている。前述したように、寸法値は例示のためのものであり、様々な実施形態は、より大きい又はより小さい寸法の類似の特徴を有し得る。
【0026】
導電性充填物620はファラデー壁を形成する。様々な実施形態では、導電性充填物620によって生成されるファラデー壁は、隣接する回路構成要素から電磁場を閉じ込め、絶縁することができる。さらに、ファラデー壁は、構造300dの「底部」側の導電性材料320及び「頂部」側の導電性材料420によって形成されてもよいような、2つ以上の接地面を電気的に結合することができる。
【0027】
図7は、さらに別の製造段階における電磁相互接続の構造300eを示す。ここで、ハンダバンプ710は、構造300eの「頂部」表面の導体610上に配置される。同様に、ハンダバンプ720は、導電性充填物620上に配置され、導電性充填物620と、いくつかの実施形態において接地面でありうる導電性材料420との電気接触を確実にするように機能してもよい。ハンダバンプ720は、一部の実施形態では、構造300eの「頂部」面から見たハンダのリングであってもよい。様々な実施形態では、ハンダバンプ710及びハンダバンプ720のいずれか又は両方は、最終的に、類似構造上の類似のハンダバンプと嵌合するように構成された相互接続の接触面を形成してもよく、又は、市販のコネクタ、ケーブル、回路素子などのような他の回路構造用のハンダポイントを形成してもよい。
【0028】
図8図8A及び図8Bは、図7の構造300eを、類似の構造300eと結合された、又は嵌合された状態で示している。各構造のそれぞれのハンダバンプ710、720は、互いに嵌合又は接触し、いずれかの構造の信号トレース350上の信号が他方の構造の信号トレース350へと伝達されるようにする。接地面(導電体320、420)及びファラデー壁(導電性充填物620)は、導体610(各構造300eにつき1つ)及び各半田バンプ710を介して電気的に「垂直に」接続された信号トレース350の周囲に実質的に連続した電気的「ケージ」を形成する。したがって、図8のB-B断面図、すなわち図8Bに最もよく示されるように、いずれかの信号トレース350上の信号は、他方の信号トレース350へと「垂直に送出された(vertically launched)」と言うことができ、第1の信号トレース350は、第2の信号トレース350aへと接続され、或いはその逆に電気的に接続する。
【0029】
図8図8A及び図8Bに示すように、構造300eと比較的同等の構造の2つの相互接続部は、種々の手段によって確実に嵌合又は結合されてもよい。図9A及び9Bは、相互接続構造の各々に固定された磁石910の使用による安全な結合を示す。磁石910の個数及び配置は例示的なものであり、様々な実施形態は、異なる物理的配置において、より多くの、又はより少ない磁石910を有することができる。磁石910は、整合(それらの磁場の正確な設計、配向、及び配置による)及び確実な接続(それらの磁場の強度による)の両方を提供することができる。図10及び11は、磁石910の交互の物理的位置決めを示す。磁石910は、例えば、図10に示すように、1つ以上の基板、例えば、基板310a及び基板410、410aに埋め込まれる。又は図11に示すように、基板310及び基板310aに埋め込まれる。例えば、磁石910は、ボンディング剤を用いて相互接続構造に固定されても良く、或いは、磁石910を収容するように設計された基板内の空隙に圧力嵌合することにより、又はその両方により、又は他の手段により相互接続構造に固定されてもよい。種々の実施形態では、相互接続構造を位置合わせし固定する追加の又は代替の手段を提供することができる。例えば、整合ピン、ねじ、クラスプ(clasps)、又はハンダリフロー動作中の正確な配置(必要に応じて、相互接続部を実質的に永久的に嵌合させることができる)などは、個々に又は様々な組み合わせで行われる。
【0030】
本明細書に記載されるシステム及び方法のさらなる利点が、実現され得る。例えば、従来のPCBの製造は、本明細書に記載されるシステム及び方法と比較して、信号トレースの幅などの回路の特徴サイズに制限を課し得るので、従来の電磁回路にとって好適であり得る最高周波数を制限し得る。さらに、基板の厚さは、トレースの幅に関連して、特性インピーダンス(例えば、対向する表面上に配置された接地面までの距離による)に衝撃を与える。従って、従来のPCBプロセスで必要とされるより広いトレースは、(特定の特性インピーダンスを維持するために)より厚い基板の選択を引き起こし、かくして、回路の製造可能な薄さを制限してしまう。例えば、従来のPCB製造における一般的な推奨事項には、約60ミル(0.060インチ)の全厚さが含まれる。対照的に、ここに記載された態様及び実施形態に従う電磁回路は、アディティブ製造技術を使用して、約10ミル以下の厚さまでの低プロファイルを有する回路基板を生じ、信号線トレースは、約4.4ミル又は2.7ミル以下の幅を有し、回路基板の表面と実質的に同一平面に相互接続することができる。
【0031】
接地ビアは、従来、接地面間の電気的接続性を提供し(例えば、基板の対向する表面間で)、近傍にあり得る他のトレースからのトレース上の信号のある程度の絶縁を提供する。従来の接地ビアは、直径が約8ミル以上のドリル穴であり、基板の構造的完全性を維持するためには、最小距離が必要である。従って、接地バイアは漏洩構造であり、特に高周波数で電磁気信号の損失を示す。種々の用途では、より高い周波数の信号を支持する必要があるため、接地ビア間の最小間隔は、比較的小さな波長の電磁エネルギが逃げる大きな開口のように作用してしまう。
【0032】
対照的に、本明細書に記載の態様及び実施形態に従う電磁回路及び方法は、アディティブ製造技術を使用し、接地面を接続するための電気的に連続した構造を可能にする。従って、電場を閉じ込める「ファラデー壁」を形成するために、1つ以上の基板(例えば、基板の対向する表面間)を通して、電気的に連続した構造が提供され、垂直に配置される。様々な実施形態では、かかるファラデー壁は、2つ以上の接地面を電気的に結合することができる。さらに、様々な実施形態では、かかるファラデー壁は、隣接する回路構成要素から電磁場を閉じ込め、絶縁することができる。いくつかの実施形態では、そのようなファラデー壁は、電磁信号を局所的に横断電磁場(TEM)であるように制限する、例えば、信号伝搬をTEMモードに制限する境界条件を強制することができる。
【0033】
様々な実施形態では、種々のサブトラクティブ(ミリング、穴あけ)、アディティブ(印刷、充填)、及び接着(ボンディング)ステップを種々の順序で実行し、、必要に応じてハンダ付け及びリフロー動作を行って、1つ又は任意の数の基板層を有する電磁回路を形成することができ、これは、本明細書に記載される1つ又は複数の相互接続特徴を含み得る。
【0034】
種々の電磁回路のいずれかを製造するための一般化された方法は、回路特徴を形成するために基板上に配置された導電性材料をミリングする工程、例えば抵抗性インクで形成された抵抗器などの追加的回路特徴を印刷する工程(又は、例えば、3-D印刷、アディティブ製造技術を介して堆積する工程)を含む。本方法は、必要に応じて、例えば、端子パッド352上の任意の特徴上にハンダを堆積することを含んでもよい。本方法はまた、空隙又はトレンチなどの開口を形成するために基板材料(及び/又は導電性材料)を通してミリング(又はドリル加工)することを含んでよく、例えばファラデー壁又は垂直信号送出(例えば銅)を形成するために、空隙/トレンチに導電性材料(例えば導電性インク又はワイヤ導体)を堆積又は印刷(例えば、3-D印刷アディティブ製造技術)することを含む。これらのステップのいずれも、所与の回路設計のために必要に応じて、異なる順序で行われ、反復され、又は省略され得、本明細書に記載されるような相互接続構造を含み得る。いくつかの実施形態において、複数の基板は、電磁回路の製造に関与することができ、本方法は、必要に応じて、さらなる基板を接合し、さらなるミリング及び充填作業を含む。
【0035】
少なくとも1つの実施形態のいくつかの態様及び電磁回路を製造するための方法を説明してきたが、使用される種々のミリング及びアディティブ製造装置の許容範囲及び精度に応じて、上述の説明を使用して、全体の厚さが10ミル(0.010インチ、254ミクロン)以下の種々の電磁回路を製造することができ、4.4ミル(111.8ミクロン)、2.7ミル(68.6ミクロン)、又は1.97ミル(50ミクロン)などのトレースなどの信号トレースを含むことができる。従って、本明細書に記載されたものに従った電磁回路は、Xバンド及びより高い周波数、場合によっては70GHz以上に適している。
【0036】
さらに、本明細書に記載されるものに従った電磁回路は、宇宙空間に配置されたときに展開して配備されうる折畳み構造を含む、宇宙空間用途に適した十分に低いプロファイル(例えば、10ミル以下の厚さ)を有し得る。
【0037】
さらに、本明細書に記載される方法に従って製造される電磁回路は、腐食性化学薬品、マスキング、エッチング、電気めっき等の必要性なしに、より安価でより高速なプロトタイピングに適合する。一方又は両方の表面(側面)に予めメッキされた導電性材料を有する単純な基板は、コア出発材料を形成することができ、電磁回路の全ての要素は、ミリング(サブトラクティブ、穴あけ)、充填(アディティブ、導電性及び/又は抵抗性インクの印刷)、及び1つ以上の基板のボンディングによって形成することができる。単純なハンダリフロー操作及び単純な導体(例えば、銅線)の挿入は、本明細書に記載される方法及びシステムに適合する。
【0038】
さらに、本明細書に記載される方法に従って製造される電磁回路は、非平面上への展開、又は非平面を要求する設計に適合することができる。本明細書に記載されるような薄型、低プロファイルの電磁回路及びその他の回路は、例えば、表面(ビヒクルなどの)に接着するために、又は複雑なアレイ構造を支持するために、任意の所望の輪郭を有する電磁回路を生成するために、本明細書に記載されるようなミリング、充填、及びボンディング技術を用いて製造され得る。
【0039】
種々の追加の詳細及び側面を含む付属物は、本明細書と同時に提出され、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。
【0040】
従って、少なくとも1つの実施形態のいくつかの態様を説明してきたが、当業者には、種々の変更、修正及び改良が容易に生じることが理解されるであろう。このような変更、修正、及び改良は、本開示の一部であることが意図されており、本開示の範囲内であることが意図されている。従って、前述の記載及び図面は例示の目的のみである。
図1
図2
図3
図3A
図3B
図4
図5
図5A
図6
図7
図8
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11