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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】セラミック構造体及びウェハ用システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20221111BHJP
   H05B 3/28 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H05B3/28
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020549274
(86)(22)【出願日】2019-09-25
(86)【国際出願番号】 JP2019037531
(87)【国際公開番号】W WO2020067128
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-03-26
(31)【優先権主張番号】P 2018183970
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135828
【弁理士】
【氏名又は名称】飯島 康弘
(72)【発明者】
【氏名】川邊 保典
(72)【発明者】
【氏名】大川 善裕
【審査官】宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-207748(JP,A)
【文献】特開2012-099856(JP,A)
【文献】特開2005-056881(JP,A)
【文献】特開2018-101711(JP,A)
【文献】特開2010-177503(JP,A)
【文献】特開2003-179127(JP,A)
【文献】特開2005-026082(JP,A)
【文献】特開2006-313919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H05B 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックからなり、ウェハが重ねられる上面及びその反対側の下面を有している板状の基体と、
前記基体内に位置する内部導体と、
前記内部導体に電気的に接続されており、少なくとも一部が前記基体内に位置しており、前記基体の下面から前記基体の外部へ露出している端子部と、
を有しており、
前記基体の下面は、前記端子部を囲んでいる隣接領域を有しており、
前記隣接領域は、前記端子部に達する部分に傾斜面を有しており、
前記傾斜面は、前記端子部側ほど下方に位置して凸部を構成している
セラミック構造体。
【請求項2】
前記基体の下面は、凹部を有しており、
前記凸部は、前記凹部内で突出している
請求項に記載のセラミック構造体。
【請求項3】
前記端子部は、少なくとも一部が前記基体内に位置しており、前記基体の下面から前記基体の外部へ露出している端子導体を有しており、
前記隣接領域は、前記端子導体に隣接しているとともに前記端子導体を囲んでいる
請求項1又は2に記載のセラミック構造体。
【請求項4】
前記端子導体は、
前記基体内から前記基体の外部へ延び出ている本体部と、
前記基体内に位置しており、前記本体部よりも径が小さく、外周面が前記内部導体に接続されている縮径部と、を有している
請求項に記載のセラミック構造体。
【請求項5】
前記端子導体が挿通され、かつ前記隣接領域を下方から覆っている絶縁性の蓋体と、
前記隣接領域と前記蓋体との間に介在して両者に密着している絶縁性の封止材と、
を更に有している請求項3又は4に記載のセラミック構造体。
【請求項6】
前記端子部は、
少なくとも一部が前記基体内に位置しており、前記基体の下面から前記基体の外部へ露出している絶縁部と、
少なくとも一部が前記基体内に位置しており、前記絶縁部を貫通することによって前記絶縁部の下面から前記基体の外部へ露出している端子導体と、を有しており、
前記隣接領域は、前記絶縁部に隣接しているとともに前記絶縁部を囲んでいる
請求項1又は2に記載のセラミック構造体。
【請求項7】
前記絶縁部は、セラミックからなり、
前記基体と前記絶縁部とはセラミック粒子同士の密着によって固定されている
請求項に記載のセラミック構造体。
【請求項8】
前記端子部は、
前記基体の下面から前記基体の外部へ露出している絶縁部と、
少なくとも一部が前記基体内に位置しており、前記絶縁部を貫通することによって前記絶縁部の下面から前記基体の外部へ露出している端子導体と、を有しており、
前記隣接領域は、前記絶縁部に隣接しているとともに前記絶縁部を囲んでおり、
前記絶縁部は、前記隣接領域よりも下方へ延び出ている
請求項1又は2に記載のセラミック構造体。
【請求項9】
前記端子導体は、当該端子導体の外周面が全周に亘って前記絶縁部に覆われた状態で前記絶縁部を貫通している
請求項6~8のいずれか1項に記載のセラミック構造体。
【請求項10】
前記端子導体は、当該端子導体の外周面の一部を前記絶縁部の外周面から露出させた状態で前記絶縁部を貫通している
請求項6~8のいずれか1項に記載のセラミック構造体。
【請求項11】
前記基体及び前記絶縁部は、主成分が同一のセラミックからなり、前記絶縁部の平均結晶粒径が前記基体の平均結晶粒径よりも大きい
請求項6~10のいずれか1項に記載のセラミック構造体。
【請求項12】
前記端子部は、前記基体内に位置しており、前記内部導体に接続されている接続導体を更に有しており、
前記端子導体は、前記基体の平面視において前記接続導体よりも径が小さく、前記接続導体を介して前記内部導体に電気的に接続されており、少なくとも一部が前記接続導体よりも下方に位置している
請求項6~11のいずれか1項に記載のセラミック構造体。
【請求項13】
前記端子部は、
少なくとも一部が前記基体内に位置しており、前記内部導体に接続されている接続導体と、
前記基体の平面視において前記接続導体よりも径が小さく、前記接続導体を介して前記内部導体に電気的に接続されており、少なくとも一部が前記接続導体よりも下方に位置している端子導体と、を更に有しており、
前記隣接領域は、前記接続導体に隣接しているとともに前記接続導体を囲んでいる
請求項1又は2に記載のセラミック構造体。
【請求項14】
前記基体は、当該基体の下面に開口しており、前記端子部が挿入されている穴を有しており、
前記接続導体は、前記穴の内面に囲まれる外周面に凹状の退避部を有している
請求項12又は13に記載のセラミック構造体。
【請求項15】
前記退避部が前記基の平面視において前記接続導体を周回するように延びている、又は複数の前記退避部が前記基の平面視において前記接続導体を周回するように配列されている
請求項14に記載のセラミック構造体。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載のセラミック構造体と、
前記端子部に電力を供給する電力供給部と、
前記電力供給部を制御する制御部と、
を有しているウェハ用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、セラミック構造体及び該セラミック構造体を含むウェハ用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
上面にウェハが重ねられるセラミック構造体が知られている(例えば特許文献1又は2)。このようなセラミック構造体は、セラミックからなる板状の基体と、その内部に位置している内部導体とを有している。そして、セラミック構造体は、内部導体に電圧が印加されることによって、例えば、ウェハを加熱する機能、ウェハを吸着する機能若しくはウェハの周囲にプラズマを発生させる機能又はこれらの2以上の組み合わせを発揮する。このようなセラミック構造体は、例えば、半導体製造装置に用いられる。
【0003】
特許文献1及び2では、セラミックからなる基体内に内部導体としての抵抗発熱体が設けられたセラミックヒータを開示している。このセラミックヒータは、内部導体と電気的に接続され、基体の下面から露出する端子を有している。基体の下面は平面状であり、また、端子の下面は基体の下面と面一になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-87392号公報
【文献】特開平5-101871号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係るセラミック構造体は、基体と、内部導体と、端子部とを有している。前記基体は、セラミックからなり、ウェハが重ねられる上面及びその反対側の下面を有している板状である。前記内部導体は、前記基体内に位置する。前記端子部は、前記内部導体に電気的に接続されており、少なくとも一部が前記基体内に位置しており、前記基体の下面から前記基体の外部へ露出している。前記基体の下面は、前記端子部を囲んでいる隣接領域を有している。前記隣接領域は、前記端子部に達する部分に傾斜面を有している。
【0006】
本開示の一態様に係るウェハ用システムは、上記のセラミック構造体と、前記端子部に電力を供給する電力供給部と、前記電力供給部を制御する制御部と、を有している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係るヒータの構成を示す模式的な分解斜視図。
図2図1のII-II線における断面図。
図3】第1実施形態に係るヒータの端子部及びその周辺を示す断面図。
図4】第2実施形態に係るヒータの端子部及びその周辺を示す断面図。
図5】第3実施形態に係るヒータの端子部及びその周辺を示す断面図。
図6】第4実施形態に係るヒータの端子部及びその周辺を示す断面図。
図7】第5実施形態に係るヒータの端子部及びその周辺を示す断面図。
図8】第6実施形態に係るヒータの端子部及びその周辺を示す断面図。
図9】第7実施形態に係るヒータの端子部及びその周辺を示す断面図。
図10図10(a)及び図10(b)は第8実施形態及びその第1変形例に係るヒータの端子部及びその周辺を示す断面図。
図11図11(a)及び図11(b)は第8実施形態の第2及び第3変形例に係るヒータの端子部及びその周辺を示す断面図。
図12】第9実施形態に係るヒータの端子部及びその周辺を示す断面図。
図13】第10実施形態に係るヒータの端子部を示す斜視図。
図14】端子導体の変形例を示す断面図。
図15図15(a)及び図15(b)は基体及び絶縁部の材料の一例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示のセラミック構造体について、セラミックヒータを例に取って説明する。以下で参照する各図は、説明の便宜上の模式的なものである。従って、細部は省略されていることがあり、また、寸法比率は必ずしも現実のものとは一致していない。また、ヒータは、各図に示されていない周知の構成要素をさらに備えていても構わない。
【0009】
第2実施形態以降においては、基本的に、先に説明された実施形態との相違部分についてのみ説明する。特に言及がない事項については、先に説明された実施形態と同様とされてよい。また、説明の便宜上、複数の実施形態間で互いに対応する構成については、相違点があっても同じ符号を付すことがある。
【0010】
1つの端子部及びその周辺の構成の縦断面図(図3図11(b))については、特に断りがない限り、上記1つの端子部回り(紙面上下に延びる中心線回り)のいずれの方角から見ても、同じ縦断面図が得られると捉えられてよい。
【0011】
[第1実施形態]
(ヒータシステム)
図1は、実施形態に係るヒータ1の構成を示す模式的な分解斜視図である。図2は、図1のヒータ1を含むヒータシステム101の構成を示す模式図である。図2において、ヒータ1については、図1のII-II線断面図が示されている。図1は、ヒータ1の構造を示すために便宜的にヒータ1を分解して示しており、実際の完成後のヒータ1は、図1の分解斜視図のように分解可能である必要はない。
【0012】
図1及び図2の紙面上方は、例えば、鉛直上方である。ただし、ヒータ1は、必ずしも図1及び図2の紙面上方を鉛直上方として利用される必要はない。以下では、便宜上、図1及び図2の紙面上方を鉛直上方として、上面及び下面等の用語を用いることがある。特に断りがない限り、単に平面視という場合、図1及び図2の紙面上方から見ることを指すものとする。
【0013】
ヒータシステム101は、ヒータ1と、ヒータ1に電力を供給する電力供給部3(図2)と、電力供給部3を制御する制御部5(図2)と、を有している。ヒータ1と電力供給部3とは配線部材7(図2)によって接続されている。なお、配線部材7は、ヒータ1の一部と捉えられても構わない。また、ヒータシステム101は、上記に挙げた構成の他、例えば、ヒータ1に気体及び/又は液体を供給する流体供給部を有していてもよい。
【0014】
(ヒータ)
ヒータ1は、例えば、概略板状(図示の例では円盤状)のヒータプレート9と、ヒータプレート9から下方へ延びているパイプ11とを有している。
【0015】
ヒータプレート9は、その上面13aに加熱対象物の一例としてのウェハWf(図2)が載置され(重ねられ)、ウェハの加熱に直接に寄与する。パイプ11は、例えば、ヒータプレート9の支持及び配線部材7の保護に寄与する。なお、ヒータプレート9のみがヒータと捉えられても構わない。
【0016】
(ヒータプレート)
ヒータプレート9の上面13a及び下面13bは、例えば、概ね平面である。ヒータプレート9の平面形状及び各種の寸法は、加熱対象物の形状及び寸法等を考慮して適宜に設定されてよい。例えば、平面形状は、円形(図示の例)又は多角形(例えば矩形)である。寸法の一例を示すと、直径は20cm以上35cm以下、厚さは4mm以上30mm以下である。
【0017】
ヒータプレート9は、例えば、絶縁性の基体13と、基体13に埋設されている抵抗発熱体15(内部導体の一例)と、抵抗発熱体15に電力を供給するための端子部17とを備えている。抵抗発熱体15に電流が流れることによって、ジュールの法則に従って熱が発生し、ひいては、基体13の上面13aに載置されているウェハWfが加熱される。
【0018】
(基体)
基体13の外形は、ヒータプレート9の外形を構成している。従って、上述のヒータプレート9の形状及び寸法に係る説明は、そのまま基体13の外形及び寸法の説明と捉えられてよい。基体13の材料は、例えば、セラミックである。セラミックは、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al、アルミナ)、炭化珪素(SiC)、及び窒化珪素(Si)等を主成分とする焼結体である。なお、主成分は、例えば、その材料の50質量%以上又は80質量%以上を占める材料である(以下、同様。)。
【0019】
図1では、基体13は、第1絶縁層19A及び第2絶縁層19Bによって構成されている。なお、基体13は、第1絶縁層19A及び第2絶縁層19Bとなる材料(例えばセラミックグリーンシート)が積層されて作製されてもよいし、そのような方法とは異なる方法によって作製され、完成後に抵抗発熱体2等の存在によって概念的に第1絶縁層19A及び第2絶縁層19Bによって構成されていると捉えることができるだけであってもよい。
【0020】
これらの絶縁層の厚みは適宜に設定されてよく、各絶縁層が基体13の厚みに占める割合も適宜に設定されてよい。後述するように、本実施形態に係る技術は、基体13の下面13b(より詳細には後述する主領域13bb)から最下層の内部導体(抵抗発熱体15)までの厚さ(第2絶縁層19Bの厚さ)が比較的薄いヒータに適用可能である。このような比較的薄い第2絶縁層19Bの厚さの一例を挙げると、例えば、1mm以上3mm以下である。この場合、例えば、基体13の厚さは、4mm以上6mm以下とされてよい。
【0021】
(抵抗発熱体)
抵抗発熱体15は、基体13の上面13a及び下面13bに沿って(例えば平行に)延びている。また、抵抗発熱体15は、平面視において、例えば、基体13の概ね全面に亘って延びている。図1では、抵抗発熱体15は、第1絶縁層19A及び第2絶縁層19Bとの間に位置している。
【0022】
平面視における抵抗発熱体15の具体的なパターン(経路)は適宜なものとされてよい。例えば、抵抗発熱体15は、ヒータプレート9において1本のみ設けられており、その一端から他端まで自己に対して交差することなく延びている。また、図示の例では、抵抗発熱体15は、ヒータプレート9を2分割した各領域において、円周方向に往復するように(ミアンダ状に)延びている。この他、例えば、抵抗発熱体15は、渦巻状に延びていたり、一の半径方向において直線状に往復するように延びていたりしてよい。
【0023】
抵抗発熱体15を局部的に見たときの形状も適宜なものとされてよい。例えば、抵抗発熱体15は、上面13a及び下面13bに平行な層状導体であってもよいし、上記の経路を軸として巻かれたコイル状(スプリング状)であってもよいし、メッシュ状に形成されているものであってもよい。各種の形状における寸法も適宜に設定されてよい。
【0024】
抵抗発熱体15の材料は、電流が流れることによって熱を生じる導体(例えば金属)である。導体は、適宜に選択されてよく、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、プラチナ(Pt)若しくはインジウム(In)又はこれらを主成分とする合金である。また、抵抗発熱体15の材料は、前記のような金属を含む導電ペーストを焼成して得られるものであってもよい。すなわち、抵抗発熱体15の材料は、ガラス粉末及び/又はセラミック粉末等の添加剤(別の観点では無機絶縁物)を含むものであってもよい。
【0025】
(端子部(概要))
端子部17は、例えば、抵抗発熱体15の長さ方向両端に接続されているとともに、当該両端の位置にて、基体13のうちの下面13b側の一部(第2絶縁層19B)を貫通して下面13bから露出している。これにより、ヒータプレート9の外部から抵抗発熱体15へ電力を供給可能になっている。1対の端子部17(抵抗発熱体15の両端)は、例えば、ヒータプレート9の中央側に位置している。なお、1つの抵抗発熱体15に電力を供給する3以上の端子部17が設けられてもよいし、2以上(例えば2層以上)の抵抗発熱体15に電力を供給する2組以上の端子部17が設けられてもよい。
【0026】
(パイプ)
パイプ11は、上下(軸方向両側)が開口している中空状である。別の観点では、パイプ11は、上下に貫通する空間11sを有している。パイプ11の横断面(軸方向に直交する断面)及び縦断面(軸方向に平行な断面。図2に示す断面)の形状は適宜に設定されてよい。図示の例では、パイプ11は、軸方向の位置に対して径が一定の円筒形状である。もちろん、パイプ11は、高さ方向の位置によって径が異なっていてもよい。また、パイプ11の寸法の具体的な値は適宜に設定されてよい。特に図示しないが、パイプ11には、気体又は液体が流れる流路が形成されていてもよい。
【0027】
パイプ11は、セラミック等の絶縁材料から構成されていてもよいし、金属(導電材料)から構成されていてもよい。セラミックの具体的な材料としては、例えば、基体13の説明で挙げたもの(AlN等)が利用されてよい。また、パイプ11の材料は、基体13の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0028】
基体13とパイプ11との固定は、適宜な方法によってなされてよい。例えば、両者は、両者の間に介在する接着剤(不図示)によって固定されてもよいし、両者の間に接着剤を介在させずに、固相接合によって固定されてもよいし、ボルト及びナット(いずれも不図示)を利用して機械的に固定されてもよい。
【0029】
接着剤は、有機材料であってもよいし、無機材料であってもよいし、導電材料であってもよいし、絶縁材料であってもよい。具体的には、接着剤としては、例えば、ガラス系のものが用いられてよい(ガラス接合が利用されてよい)。固相接合としては、例えば、拡散接合が利用されてよい。拡散接合では、基体13とパイプ11とが加熱加圧されることによって接合される。拡散接合は、基体13とパイプ11とを直接に当接させるものだけでなく、両者の間に接合を促進するための材料が配置されるものも含むものとする。当該材料は、接合の際、固相状態であってもよいし、液相状態であってもよい。
【0030】
(配線部材)
配線部材7は、パイプ11の空間11s内に挿通されている。平面透視において、ヒータプレート9のうち空間11s内に露出する領域では、複数の端子部17が基体13から露出している。そして、配線部材7は、その一端が複数の端子部17に接続されている。
【0031】
複数の配線部材7は、可撓性の電線であってもよいし、可撓性を有さないロッド状のものであってもよいし、これらの組み合わせであってもよい。また、複数の可撓性の電線は、纏められて1本のケーブルのようになっていてもよいし、纏められていなくてもよい。また、配線部材7と端子部17との接続も適宜なものとされてよい。例えば、両者は、導電性の接合材によって接合されてよい。また、例えば、両者は、一方に雄ねじが形成され、他方に雌ねじが形成されることにより、螺合されていてもよい。
【0032】
(端子部の詳細)
図3は、図2の領域IIIの拡大図である。
【0033】
端子部17は、金属からなる軸状(ピン状)の端子導体21を有している。端子導体21は、基体13のうち抵抗発熱体15よりも下方の部分(第2絶縁層19B)を上下に貫通するようにして基体13に埋設されている。端子導体21の上端側部分は、抵抗発熱体15に接続されている。また、端子導体21の下端側部分は、配線部材7に接続されている。
【0034】
端子導体21の具体的な形状及び各種の寸法は適宜に設定されてよい。例えば、端子導体21は、少なくとも基体13に埋設される範囲において(例えば端子導体21の全体において)、直線状に延びており、その横断面の形状及び大きさは、長さ方向において一定である。端子導体21は、図示のように中実であってもよいし、図示の例とは異なり、中空状であってもよい。横断面の形状は、円形又は多角形等の適宜な形状とされてよい。端子導体21は、基体13の外部に露出している部分に、配線部材7との接続のための特定の形状(例えば雄ねじ)を有していてもよい。端子導体21の径(最大径)の一例を挙げると、0.05mm以上10mm以下である。
【0035】
端子導体21の材料も適宜に設定されてよい。例えば、端子導体21の材料として、W、Mo又はPtを挙げることができる。端子導体21の材料は、内部導体(抵抗発熱体15)の材料及び/又は配線部材7の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0036】
端子導体21と内部導体(抵抗発熱体15)との接続は、例えば、端子導体21が抵抗発熱体15よりも上方へ突出することによって、端子導体21の側面においてなされている。ただし、両者の接続は、図示の例とは異なり、端子導体21の上端面が抵抗発熱体15の高さに位置することによって、当該上端面においてなされていてもよい。
【0037】
また、端子導体21と抵抗発熱体15との接続(例えば接合)は、両者が直接に当接することによってなされていてもよいし、両者の間に両者とは異なる材料及び/又は他の部材が介在することによってなされていてもよい。図示の例では、抵抗発熱体15と端子導体21との間には、導電性の接合材23が介在している。接合材23の材料は適宜なものとされてよい。例えば、接合材23は、抵抗発熱体15の材料と同一の成分と、基体13の材料と同一の成分とを含む複合材料によって構成されている。このような複合材料としては、例えば、WとAlNとを含むものを挙げることができる。
【0038】
端子導体21と配線部材7との接続は、配線部材7の説明で述べたように、適宜な方法によりなされてよい。図示の例では、配線部材7の上面に不図示の穴(凹部又は貫通孔)が形成されており、当該穴に端子導体21の下部が挿入されている。この場合において、例えば、端子導体21の下部には雄ねじが形成されており、配線部材7の穴には雌ねじが形成されており、両者は螺合している。ただし、両者は、螺合ではなく、配線部材7の穴の内面と端子導体21の外面との間に介在する導電性の接合材によって接合されていてもよい。また、実施形態の説明では、端子導体21と配線部材7とを別個の部材として説明するが、両者を同一の材料によって一体的に形成することも可能である。
【0039】
(端子部の周囲の詳細)
基体13の下面13bは、端子部17を囲む隣接領域13baと、当該隣接領域13baを囲む主領域13bbとを有している。隣接領域13baは、傾斜面13baaを有しており、これにより、端子部17の周囲には凸部13eが構成されている。
【0040】
隣接領域13baは、端子部17に接している領域であり、本実施形態では、端子導体21に接している。隣接領域13baは、平面視において端子部17の全周に亘る領域として定義されてよい。隣接領域13baの内縁(端子部17の外面)から隣接領域13baの外縁(主領域13bbの内縁)までの長さ(以下、隣接領域13baの幅という。)は適宜に設定されてよい。例えば、隣接領域13baの幅は、隣接領域13baの周囲の領域(本実施形態では主領域13bb)の高さにおける端子部17の径(非円形の場合は最大径)に対して、1/10以上、1/5以上、1/2以上又は1倍以上とされてよく、また、10倍以下、5倍以下又は1倍以下とされてよく、上記の下限と上限とは、矛盾しない限り、適宜に組み合わされてよい。また、例えば、隣接領域13baの幅は、基体13の径(非円形の場合は最小径)に対して、1/10以下、1/50以下又は1/100以下とされてよい。また、例えば、隣接領域13baの幅は、例えば、10mm以下、5mm以下又は1mm以下とされてよい。
【0041】
主領域13bbは、本実施形態では、例えば、下面13bから隣接領域13baを除いた全領域であり、下面13bの大部分を占めている。主領域13bbは、例えば、下面13bの面積の80%以上、90%以上又は95%以上を占める領域である。主領域13bbは、平面状である。
【0042】
隣接領域13baに含まれる傾斜面13baaは、端子部17に近づくほど下方に位置するように傾斜して端子部17(ここでは端子導体21)に達している(接している)。ここでいう下方は、換言すれば、内部導体(抵抗発熱体15)から離れる側、又はウェハWfが重ねられる上面13aが面する側とは反対側である。また、ここでいう傾斜は、平面視で端子部17に近づくほど、下方又は上方に位置することをいう。
【0043】
傾斜面13baaは、端子部17の全周に亘って設けられていてもよいし、端子部17回りの一部にのみ設けられていてもよい(端子部17回りにおいて途切れていてもよい。)。また、傾斜面13baaは、端子部17の全周に亘って同一の形状及び寸法とされていてもよいし、端子部17回りの位置によって、傾斜角、内縁(端子部17に接する縁部)の上下方向の位置、及び/又は外縁(例えば主領域13bbと上下方向の位置が同じになる部分)の端子部17からの距離が異なっていてもよい。別の観点では、凸部13eは、円錐台状であってもよいし、それ以外の形状であってもよい。
【0044】
なお、本実施形態及び後述する実施形態の説明では、便宜上、主として、傾斜面及びその周辺の形状が端子部の全周に亘って一定の形状及び寸法である場合を例に取る。この場合、傾斜面13baaは、端子部の全周を囲むから、隣接領域13baと傾斜面13baaとは同一のものと捉えられてよい。
【0045】
傾斜面13baa又は凸部13eの形状及び寸法は適宜に設定されてよい。例えば、傾斜面13baaは、図3に示すような縦断面において、直線状であってもよいし、下方に凹となる曲線状(すなわち端子部17に近づくほど主領域13bbに対する傾斜角が大きくなる形状)であってもよいし、下方に凸となる曲線状(すなわち端子部17に近づくほど主領域13bbに対する傾斜角が小さくなる形状)であってもよいし、これらの組み合わせであってもよい。凸部13eの高さは、例えば、隣接領域13baの周囲の領域(本実施形態では主領域13bb)の高さにおける端子部17の径(非円形の場合は最大径)に対して1/100以上、1/50以上、1/10以上又は1倍以上とされてよく、また、2倍以下、1倍以下、1/5以下又は1/10以下とされてよく、上記の下限と上限とは、矛盾しない限り、適宜に組み合わされてよい。また、例えば、凸部13eの高さは、0.05mm以上又は0.1mm以上であり、また、2mm以下、1mm以下又は0.6mm以下であり、上記の下限と上限とは適宜に組み合わされてよい。
【0046】
端子部17と隣接領域13ba(傾斜面13baa)との境界は、両者に密着する封止材25によって封止されてもよい。封止材25の材料は、適宜なものとされてよく、例えば、一般的なガラス封止であってもよいし、CaO-Al-Y系の接合剤が用いられてもよい。
【0047】
(ヒータの製造方法)
ヒータ1の製造方法においては、例えば、ヒータプレート9、パイプ11及び配線部材7等が互いに別個に作製される。その後、これらの部材が互いに固定される。ただし、ヒータプレート9及びパイプ11は一部又は全部が共に作製されてもよい。パイプ11及び配線部材7の製造方法は、例えば、公知の種々の方法と同様とされてよい。
【0048】
ヒータプレート9の製造方法は、例えば、端子部17及び傾斜面13baa(凸部13e)の作製方法を除いては、公知の種々の方法と同様とされてよい。例えば、抵抗発熱体15となる導電ペーストが配置された、第1絶縁層19A及び第2絶縁層19Bとなるセラミックグリーンシートの積層体を焼成してヒータプレート9を作製してよい。また、抵抗発熱体15となるコイルと、基体13となるセラミック原料粉末とを型内に配置して加熱及び加圧を行い(すなわちホットプレス法により)、ヒータプレート9を作製してよい。
【0049】
端子部17をヒータプレート9に設ける方法は、例えば、以下のとおりである。
【0050】
セラミックグリーンシートを焼成してヒータプレート9を作製する場合においては、例えば、基体13のうち端子部17が挿入される部分を構成するセラミックグリーンシートに穴13hを形成する。この穴13hに端子部17(本実施形態では端子導体21。換言すれば、軸状の金属部材)を挿入する。なお、穴13hの内面の少なくとも一部又は端子部17の上端側部分の外面には、接合材23となる導電ペーストが塗布されてよい。その後、セラミックグリーンシートを焼成する。
【0051】
このようにして端子部17を設ける場合においては、焼成したときのセラミックの収縮によって、基体13が端子部17を締め付けてもよい。このためには、焼成前の穴13hの径は、端子部17の径以上であって、焼成後に収縮によって(端子部17が無いと仮定した場合に)端子部17の径よりも小さくなる大きさとされる。端子部17の径と、端子部17が無いと仮定した場合の収縮後の穴13hの径との差は、例えば、0.2mm以上0.4mm以下とされてよい。
【0052】
また、ホットプレス法によりヒータプレート9を作製する場合においては、例えば、セラミック原料粉末を加圧及び加熱する型内に端子部17(本実施形態では端子導体21。換言すれば、軸状の金属部材)の上端側部分を配置すればよい。
【0053】
傾斜面13baaは、適宜な方法によって形成されてよい。例えば、基体13の下面13bとなるセラミックグリーンシートの面に型を押し付けて傾斜面13baaとなる面を形成してもよい。また、ホットプレス法においては、例えば、セラミック原料粉末を加圧及び加熱する型が、傾斜面13baaを形成する面を有していてもよい。また、例えば、基体13が焼成によって縮径するときに、基体13のうち端子部17に密着している部分が収縮できずに残り、傾斜面13baaが形成されてもよい。また、例えば、上記の型による成形と、収縮による形成とが組み合わされてもよい。
【0054】
以上のとおり、本実施形態では、セラミック構造体としてのヒータ1は、基体13、内部導体(抵抗発熱体15)及び端子部17を有している。基体13は、セラミックからなり、ウェハWfが重ねられる上面13a及びその反対側の下面13bを有している板状である。抵抗発熱体15は、基体13内に位置している。端子部17は、抵抗発熱体15に電気的に接続されており、少なくとも一部が基体13内に位置しており、基体13の下面13bから基体13の外部へ露出している。基体13の下面13bは、端子部17を囲んでいる隣接領域13baを有している。隣接領域13baは、端子部17に達する部分に傾斜面13baaを有している。
【0055】
従って、隣接領域13baが主領域13bbと面一なまま(傾斜せずに)端子部17に達する態様に比較して、種々の有利な効果を得ることができる。具体的には、以下のとおりである。
【0056】
例えば、本実施形態では、傾斜面13baaは、端子部17側ほど下方に位置して凸部13eを構成している。この場合、例えば、抵抗発熱体15から端子部17を介して凸部13eに伝わった熱は、凸部13eの周囲に基体13を構成するセラミックが存在しないことから、凸部13eから水平方向へ基体13内を伝わることはできず、基体13内を上方へ伝わる。これにより、上面13aを効率的に加熱することができる。
【0057】
また、本実施形態では、端子部17は、端子導体21を有している。端子導体21は、少なくとも一部が基体13内に位置しており、基体13の下面13bから基体13の外部へ露出している。隣接領域13baは、端子導体21に隣接しているとともに端子導体21を囲んでいる。この場合、例えば、後述する他の実施形態に比較して、構成が簡素である。その結果、例えば、材料費を削減したり、製造工程を簡素化したりできる。
【0058】
[第2実施形態]
図4は、第2実施形態に係るヒータ201の要部の構成を示す図であり、第1実施形態の図3に相当する。
【0059】
ヒータ201は、第1実施形態のヒータ1において、下面13bに凹部13fを設けた構成とされている。具体的には、以下のとおりである。
【0060】
ヒータ201の下面13bは、第1実施形態と同様の隣接領域13baと、隣接領域13baを囲む中間領域13bcと、中間領域13bcを囲む外側領域(主領域13bb)とを有している。中間領域13bcは、主領域13bbよりも上方に位置しており、凹部13fを構成している。凸部13eは、凹部13f内にて突出している。なお、凸部13e自体の形状及び大きさは、第1実施形態の凸部13eと同様とされてよい。主領域13bbは、中間領域13bcの広さで第1実施形態よりも面積が減じられている点を除いて、第1実施形態の主領域13bbと同様とされてよい。
【0061】
中間領域13bcは、平面視において隣接領域13baの全周に亘る領域として定義されてよい。中間領域13bc及び凹部13fの形状及び寸法は、適宜に設定されてよい。
【0062】
例えば、図示の例では、中間領域13bcは、その全体が主領域13bbに平行な平面状とされている。ひいては、凹部13fは、主領域13bbに平行な平面状の底面と、主領域13bbに直交する側面とを有する形状とされている。ただし、凹部13fは、側面がテーパ状又は逆テーパ状となっていてもよいし、平面状の底面を有していない形状であってもよい。
【0063】
また、例えば、中間領域13bc(凹部13f)の平面視における外縁の形状は、円形であってもよいし、矩形等の多角形であってもよい。また、平面視において、中間領域13bcの外縁の形状は、凸部13eの外縁(中間領域13bcの内縁)の形状に対して、相似形であってもよいし、相似でない形状であってもよい。
【0064】
平面視において、凸部13eの外縁から中間領域13bcの外縁(主領域13bbの内縁)までの長さ(以下、中間領域13bcの幅という。)は適宜に設定されてよい。例えば、中間領域13bcの幅は、隣接領域13baの幅よりも小さくてもよいし、同等でもよいし、大きくてもよい。
【0065】
凹部13fの主領域13bbからの深さは、例えば、凸部13eの外縁(別の観点では凹部13fの最深部)において、凸部13eの中間領域13bc(凹部13fの最深部)からの高さ(突出量)よりも大きい。従って、凸部13eの頂部は、主領域13bbよりも上方に位置している(主領域13bbよりも下方へ突出していない。)。ただし、凸部13eの頂部は、主領域13bbと同等の高さに位置していたり、又は主領域13bbよりも下方に位置していたりしてもよい。凹部13fの主領域13bbからの深さと、凸部13eの中間領域13bcからの高さとの差は、適宜に設定されてよい。例えば、上記差は、凸部13eの高さに対して、1/10以上又は1/2以上又は1倍以上とされてよく、また、10倍以下、2倍、1/2以下又は1/5以下とされてよく、上記の下限と上限とは、矛盾しない限り、適宜に組み合わされてよい。
【0066】
凹部13fは、適宜な方法に形成されてよい。例えば、凹部13fは、セラミックグリーンシートに型を押し付けたり、セラミックグリーンシートに切削加工を施したり、セラミックグリーンシートにレーザ加工を施したりすることによって形成されてよい。また、例えば、ホットプレス法によって基体13を作製する場合においては、セラミック原料粉末を加圧及び加熱する型が、凹部13fに対応する形状を有していることによって、凹部13fが形成されてよい。
【0067】
本実施形態においても、傾斜面13baa(凸部13e)によって、第1実施形態と同様の効果が奏される。具体的には、例えば、抵抗発熱体15から端子部17を介して凸部13eに伝わった熱を上方へ伝えやすくなる。
【0068】
また、本実施形態では、基体13の下面13bは、凹部13fを有しており、凸部13eは、凹部13f内で突出している。この場合、例えば、上記の凸部13eによる効果を得つつ、基体13の厚みを主領域13bbにおいて確保することができる。その結果、例えば、基体13の熱容量を大きくしたり、基体13の強度を向上させたりすることができる。また、下面13b(主領域13bb)は、研磨されることがあり、この場合に、凸部13eが研磨の妨げになる蓋然性を低下させることができる。
【0069】
なお、例えば、基体13の構成によっては、抵抗発熱体15よりも下方に大きな熱容量を確保しない方がよい場合がある。また、例えば、凹部13fを形成しない方が、凸部13eの形成工程を簡単にできる場合がある。また、例えば、凹部13fを形成すると、本実施形態と主領域13bbにおける厚みが同一で、凹部13fが設けられていない態様に比較して、端子導体21と基体13との接着面積が減じられる。従って、凹部13fの形成の有無(第1実施形態及び第2実施形態のいずれを選択するか)は、要求される仕様等に応じて判断されてよい。
【0070】
[第3実施形態]
図5は、第3実施形態に係るヒータ301の要部の構成を示す図であり、第1実施形態の図3に相当する。
【0071】
第2実施形態では、傾斜面13baaは、平面視で中間領域13bcから端子部17へ近づくほど下方(内部導体から離れる側)へ位置するように傾斜して凸部13eを構成した。これに対して、本実施形態では、傾斜面13baaは、平面視で中間領域13bcから端子部17へ近づくほど上方(内部導体に近づく側)へ位置するように傾斜している。そして、傾斜面13baaは、中間領域13bcと、穴13hの内面との角部を面取りする面取り面(別の観点では中間領域13bcにおける切り欠き又は凹部)を構成している。第1実施形態における傾斜面13baa(凸部13e)の形状及び寸法についての説明は、上下(又は凹凸)を適宜に逆に読み替えて、本実施形態の傾斜面13baaの形状及び寸法に関しての説明に援用されてよい。
【0072】
図5では、第2実施形態と同様に、凹部13f(中間領域13bc)が設けられている。ただし、第1実施形態と同様に、凹部13fが設けられず、傾斜面13baa(隣接領域13ba)と、主領域13bbとが接していてもよい。すなわち、傾斜面13baaは、穴13hの内面と、主領域13bbとの角部を面取りする面取り面を構成していてもよい。また、図5では、第1及び第2実施形態とは異なり、傾斜面13baaと端子部17の側面との境界を封止する封止材25が設けられていない。ただし、封止材25が設けられてもよい。
【0073】
本実施形態の傾斜面13baaの形成方法は、第1及び第2実施形態の傾斜面の形成方法と同様とされてよい。例えば、傾斜面13baaは、セラミックグリーンシートに型を押し付けることにより、又は、ホットプレスの型が傾斜面13baaに対応する形状を有することにより形成されてよい。また、例えば、傾斜面13baaは、凸部13eを構成する傾斜面13baaとは異なり、凹部13fと同様に、切削加工又はレーザ加工によって形成することも可能である。
【0074】
以上のとおり、本実施形態においても、基体13の下面13bは、端子部17に達する傾斜面13baaを有している。その結果、傾斜面13baaが設けられていない場合に比較して、種々の効果が奏される。
【0075】
例えば、本実施形態では、基体13の下面13bは、隣接領域13ba(傾斜面13baa)を囲んでいる周囲領域(図5の例では中間領域13bc)を更に有している。基体13は、下面13bに開口しており、端子部17が挿入されている穴13hを有している。傾斜面13baaは、端子部17側ほど上方(内部導体に近づく側)に位置して、周囲領域と穴13hの内面との角部を面取りする面取り面を構成している。
【0076】
この場合、例えば、端子部17から穴13hの内面に水平方向に加えられる荷重に起因する応力が傾斜面13baa側に分散されるから、穴13hの下方の縁部に応力が集中しにくくなる。その結果、例えば、下面13bにクラックが発生する蓋然性を低下させることができる。なお、基体13に要求される仕様等に応じて、傾斜面13baaの傾斜方向(上下の何れに傾斜するか)が適宜に選択されてよい。
【0077】
また、本実施形態では、基体13は、周囲領域(図5の例では中間領域13bc)を囲んでいる外側領域(図5の例では主領域13bb)を更に有している。中間領域13bc、主領域13bbよりも上方に位置して凹部13fを構成している。
【0078】
この場合、例えば、別の観点では、主領域13bbを厚くしていることになるから、第2実施形態と同様に、基体13の熱容量を主領域13bbにおいて確保したり、基体13の強度を確保したりすることが容易化される。なお、第2実施形態の説明でも述べたように、要求される仕様等に応じて、凹部13fの形成の有無が選択されてよい。
【0079】
[第4実施形態]
図6は、第4実施形態に係るヒータ401の要部の構成を示す図であり、第1実施形態の図3に相当する(ただし、配線部材7の図示は省略。)。
【0080】
ヒータ401では、端子部417の構成が第1実施形態の端子部17の構成と相違する。具体的には、端子部417は、端子導体21と、端子導体21が埋設されている絶縁部27とを有している。
【0081】
端子導体21は、第1実施形態のものと同様であり、絶縁部27から上端側部分及び下端側部分が延び出ている。端子導体21の上端側部分は、第1実施形態と同様に抵抗発熱体15に接続されている。端子導体21の下端側部分は、ここでは図示を省略するが、第1実施形態と同様に、配線部材7に接続されている。
【0082】
絶縁部27は、上端側部分が基体13の抵抗発熱体15よりも下方側部分に埋設されており、下端側部分が基体13の下面13bから延び出ている(露出している)。そして、端子部417を囲む隣接領域13baは、第1実施形態とは異なり、端子導体21に代えて、絶縁部27に接している。隣接領域13ba(凸部13e)及び主領域13bbの構成は、基本的に第1実施形態のものと同様である。
【0083】
なお、図示の例では、絶縁部27と隣接領域13baとが接する位置は、絶縁部27の側面の中途であり、絶縁部27は、隣接領域13baから延び出ている。ただし、両者が接する位置は、絶縁部27の側面の下端とされても構わない。絶縁部27を有し、隣接領域13baの態様が異なる他の実施形態(図7及び図8等)についても同様である。
【0084】
絶縁部27は、例えば、セラミックからなる。セラミックは、基体13を構成しているセラミックと同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。後者の場合において、絶縁部27及び基体13は、主成分が同一であってもよいし、主成分が異なっていてもよい。
【0085】
なお、図6では、基体13及び絶縁部27に異なるハッチングを付して両者の境界を明示している。ただし、基体13及び絶縁部27の材料が同一の場合等において、必ずしも両者の境界は明確でなくてもよい。後述する他の図面に示される基体及び絶縁部についても同様である。
【0086】
絶縁部27の具体的な形状及び各種の寸法は適宜に設定されてよい。例えば、絶縁部27は、少なくとも基体13に埋設される範囲において(例えば絶縁部27の全体において)、直線状に延びており、その横断面の外縁の形状及び大きさは、長さ方向において一定である。横断面の形状は、円形又は多角形等の適宜な形状とされてよい。絶縁部27の径(非円形の場合は最大径)の一例を挙げると、例えば、端子導体21の径(非円形の場合は最大径)に対して1.5倍以上又は3倍以上とされてよく、また、20倍以下、10倍以下、5倍以下又は2倍以下とされてよく、上記の下限と上限とは、矛盾しない限り、適宜に組み合わされてよい。また、例えば、絶縁部27の径(非円形の場合は最大径)は、0.1mm以上、1mm以上、5mm以上又は10mm以上とされてよく、また、100mm以下、50mm以下、20mm又は10mm以下とされてよく、上記の下限と上限とは、矛盾しない限り、適宜に組み合わされてよい。
【0087】
なお、上記のように、端子部417の径として、第1実施形態で例示した端子部17(端子導体21)の径よりも大きい値を例示した。ただし、第1実施形態で例示した隣接領域13ba及び傾斜面13baa(凸部13e)等の寸法(端子部若しくは他の部材との相対的な大きさ、又は絶対値)は、端子部17を端子部417に置き換えて、本実施形態に適用されて構わない。
【0088】
絶縁部27の下面において、絶縁部27の貫通孔と端子導体21との隙間は封止材29によって封止されていてもよい。封止材29の材料は、封止材25の材料と同一のものであってもよいし、異なっていてもよい。封止材29の具体的な材料としては、封止材25の説明で挙げたものを利用することができる。
【0089】
端子部417の製造方法は、以下のとおりである。まず、焼成前の生のセラミック素材からなる絶縁部27を準備する。この絶縁部27は、貫通孔(符号省略)を有する筒状に成形される。この貫通孔に端子導体21を挿通する。そして、端子導体21が挿通された絶縁部27を焼成する。これにより、端子部417が作製される。
【0090】
焼成前における絶縁部27の成形は、適宜に行われてよい。例えば、絶縁部27は、貫通孔に対応する中子を有する型によって成形されてよい。また、例えば、絶縁部27は、型によって外形が成形された後、ドリルなどで貫通孔が形成されてもよい。また、例えば、絶縁部27は、芯材にセラミックグリーンシートを巻き付けることによって成形されてもよい。
【0091】
このようにして端子部417を作製する場合においては、焼成したときのセラミックの収縮によって、絶縁部27が端子導体21を締め付けてもよい。このためには、焼成前の絶縁部27の貫通孔の径は、端子導体21の径以上であって、焼成による収縮によって(端子導体21が無いと仮定した場合に)端子導体21の径よりも小さくなる大きさとされる。端子導体21の径と、端子導体21が無いと仮定した場合の収縮後の貫通孔の径との差は、例えば、0.2mm以上0.4mm以下とされてよい。
【0092】
端子部417は、上記とは別の製造方法によって作製されてもよい。例えば、絶縁部27となるセラミック原料粉末を加圧加熱する型内に端子導体21を配置して、ホットプレス法によって端子部417を作製してもよい。また、例えば、絶縁部27となるセラミックグリーンシートを端子導体21に巻き付けて焼成し、端子部417を作製してもよい。溶射によって端子導体21の周囲に絶縁部27となるセラミックを配置してもよい。
【0093】
絶縁部27の基体13への固定は、適宜な方法によってなされてよい。例えば、両者の固定は、焼成前の基体13に設けられた穴13hに焼成後の端子部417を挿入して、基体13と端子部417とを共に焼成することによってなされてよい。また、例えば、両者の固定は、焼成後の基体13の穴13hに焼成後の端子部417を挿入して両者を接合することによってなされてもよい。
【0094】
焼成によって固定される場合、端子導体21及び絶縁部27の少なくとも一方は、第1実施形態の端子導体21と同様に、基体13によって締め付けられてよい。例えば、穴13hのうち端子導体21に対応する第1穴部13haの径は、第1実施形態の穴13hの径と同様に設定されてよい。また、例えば、穴13hのうち絶縁部27に対応する第2穴部13hbは、焼成前の径が、絶縁部27の径以上であって、焼成による収縮によって(絶縁部27が無いと仮定した場合に)絶縁部27の径よりも小さくなる大きさとされてよい。絶縁部27の径と、絶縁部27が無いと仮定した場合の収縮後の第2穴部13hbの径との差は、例えば、0.2mm以上0.4mm以下とされてよい。
【0095】
また、焼成後の基体13と焼成後の絶縁部27とが接合される場合、当該接合は、適宜な方法によってなされてよい。例えば、基体13及び絶縁部27は、両者の間に介在する接着剤によって接合されてもよいし、両者の間に接着剤を介在させない固相接合によって接合されてもよい。固相接合については、基体13とパイプ11との接合の説明で述べたとおりである。
【0096】
絶縁部27と基体13との固定を基体13の焼成又は焼成後の固相接合によって行った場合においては、両者のセラミック粒子が互いに密着する。また、絶縁部27及び基体13の材料によっては、両者の境界は曖昧になる、又は無くなる。
【0097】
以上のとおり、本実施形態においても、基体13の下面13bは、端子部417に達する傾斜面13baaを有している。従って、例えば、第1実施形態と同様の効果が奏される。具体的には、例えば、抵抗発熱体15から端子部417を介して凸部13eに伝わった熱を上方へ伝えやすくなる。
【0098】
また、本実施形態では、端子部417は、絶縁部27及び端子導体21を有している。絶縁部27は、少なくとも一部が基体13に埋設されており、基体13の下面13bから基体13の外部へ露出している。端子導体21は、少なくとも一部が基体13内に位置しており、絶縁部27を貫通することによって絶縁部27の下面から基体13の外部へ露出している。隣接領域13baは、絶縁部27に隣接しているとともに絶縁部27を囲んでいる。
【0099】
セラミック構造体(本実施形態ではヒータ1)には装置の振動に伴う機械的応力が加わる。振動としては、例えば、ガス導入若しくはウェハWfの取り替えなどに伴う機械的振動、又は電磁気・高周波などに伴う微振動が挙げられる。このような振動によって端子導体21が長期にわたり振動すると、基体13、特に、下面13bの端子導体21に接する部分又は端子導体21自身にクラックが発生する可能性がある。端子導体21を絶縁部27に埋設することにより、例えば、端子導体21の動きを拘束して、基体13又は端子導体21にクラックが発生する蓋然性を低下させることができる。
【0100】
また、本実施形態では、絶縁部27は、セラミックからなり、基体13と絶縁部27とはセラミック粒子同士の密着によって固定されている。換言すれば、焼成及び固相接合によって接合されている。従って、例えば、両者の接合を強固に行うことができる。また、例えば、セラミックの緻密化によって基体13と絶縁部27との間の気泡が低減され、端子導体21から絶縁部27に逃げた熱が基体13に伝わりやすくなる。
【0101】
[第5実施形態]
図7は、第5実施形態に係るヒータ501の要部の構成を示す図であり、第1実施形態の図3に相当する(ただし、配線部材7の図示は省略。)。
【0102】
ヒータ501は、端的に言えば、第2実施形態(図4)における下面13bの形状と、第4実施形態(図6)における端子部417とを組み合わせた構成である。すなわち、凸部13eは、凹部13fから突出しており、凸部13e(隣接領域13ba)は、端子部417の絶縁部27に接している。
【0103】
なお、第4実施形態の説明において、端子部17とは径が異なる端子部417が用いられる場合においても、第1実施形態で例示した隣接領域13ba及び傾斜面13baa(凸部13e)等の寸法は、端子部17を端子部417に置き換えて、本実施形態に適用されて構わないことを述べた。同様に、第2実施形態で説明した凹部13fの寸法は、本実施形態に適用されて構わない。
【0104】
本実施形態においても、傾斜面13baaが設けられていることなどにより、第1、第2及び/又は第4実施形態で述べた効果が奏される。例えば、端子部417から基体13へ伝わった熱を上方へ伝えやすくなり、また、端子導体21の振動を拘束することが容易になる。
【0105】
[第6実施形態]
図8は、第6実施形態に係るヒータ601の要部の構成を示す図であり、第1実施形態の図3に相当する(ただし、配線部材7の図示は省略。)。
【0106】
ヒータ601は、端的に言えば、第3実施形態(図5)における下面13bから凹部13fを無くした形状と、第4実施形態(図6)における端子部417とを組み合わせた構成である。すなわち、傾斜面13baaは、周囲領域(ここでは主領域13bb)と、穴13h(より詳細には第2穴部13hb)の内面との面取り面を構成しており、傾斜面13baa(隣接領域13ba)は、端子部417の絶縁部27に接している。
【0107】
なお、第3実施形態の説明では、図5に示す例とは異なり、凹部13fが設けられなくてもよいことを述べた。一方、第6実施形態では、図8に示す例とは異なり、凹部13fが設けられてもよい。第3実施形態の説明では、隣接領域13ba及び傾斜面13baa等の寸法について、上下を逆に読み替えて、第1及び第2実施形態の説明を援用してよいことを述べた。第3実施形態の端子部17とは径が異なる端子部417を有する本実施形態においても、上下を逆に読み替えて、また、端子部17を端子部417に読み替えて、第1及び第2実施形態の説明が援用されてよい。
【0108】
本実施形態においても、傾斜面13baaが設けられていることなどにより、第1、第3及び/又は第4実施形態で述べた効果が奏される。例えば、端子部417から穴13hの内面に水平方向に加えられる荷重に起因する応力が穴13hの下方の縁部に集中しにくくなる。さらに、端子導体21の振動が絶縁部27によって拘束されるから、下方の縁部に生じる応力を更に低減することができる。
【0109】
[第7実施形態]
図9は、第7実施形態に係るヒータ701の要部の構成を示す図であり、第1実施形態の図3に相当する(ただし、配線部材7の図示は省略。)。
【0110】
ヒータ701は、端子部717の構成が他の実施形態の端子部の構成と相違する。なお、図示の例では、基体13の下面13bの構成として、第2及び5実施形態(図4及び図7)のものを例示している。ただし、本実施形態の端子部717は、第1、第3、第4又は第6実施形態(図3図5図6又は図8)における下面13bの構成と組み合わされても構わない。
【0111】
端子部717は、端的に言えば、第4実施形態の端子部417に接続導体31を追加した構成である。接続導体31は、端子部417において、内部導体(抵抗発熱体15)に接続(接合)される部分となっている。接続導体31からは、端子導体21が下方へ延びて基体13の外部へ延び出ている(露出している)。これにより、端子部717は、抵抗発熱体15と基体13の外部とを導通可能となっている。
【0112】
接続導体31の形状及び寸法は適宜に設定されてよい。例えば、接続導体31は、図示の例のようにブロック状(塊状)であってもよいし、図示の例とは異なり、板状又は棒状であってもよい。また、接続導体31の形状は、概略、直柱状であってもよいし、錐体状であってもよいし、錐台状であってもよい。また、例えば、平面視における形状は、円形又は多角形等の適宜な形状とされてよい。接続導体31において、上下方向の大きさと、平面視における径(最大径又は最小径)とは、いずれが大きくてもよい。
【0113】
接続導体31は、例えば、抵抗発熱体15よりも上方へ突出することによって、その側面が抵抗発熱体15と接続されている。ただし、図示の例とは異なり、接続導体31は、その上面が抵抗発熱体15と略同一の高さに位置することによって、上面が抵抗発熱体15と接続されていてもよい。接続導体31のうち、抵抗発熱体15と接続される部分(接続導体31の上端及び/又は上下方向のいずれかの位置の一部)を接続部31aと呼称する。接続部31aの抵抗発熱体15に対する接続は、例えば、既述の実施形態における端子導体21の抵抗発熱体15に対する接続と同様に、両者が直接に当接することによってなされていてもよいし、導電性の接合材23を介してなされていてもよい。
【0114】
接続部31aは、例えば、平面視において端子導体21の径よりも大きい径を有している。及び/又は、接続部31aは、その外縁よりも内側に端子導体21の横断面全体が収まる大きさを有している。接続部31a及び端子導体21の横断面が円形でない場合、両者の径の比較においては、例えば、平面視において接続部31aと抵抗発熱体15とが互いに接続されている方向の径が用いられてよい。平面視において接続部31aがその全周に亘って抵抗発熱体15に接続されている場合においては、例えば、接続部31aの最大径と、端子導体21の最大径とが比較されてよい。また、端子導体21の横断面が端子導体21の長さ方向において一定でない場合は、上記の比較に用いられる端子導体21の径又は横断面としては、例えば、端子導体21のうち基体13内に位置している部分の最大のものが用いられてよい。
【0115】
接続部31aの径は適宜に設定されてよい。例えば、第4実施形態で例示した絶縁部27の径が接続部31aの径に援用されてよい。上記の援用がなされる場合において、接続部31aの径は、絶縁部27の径と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0116】
また、接続導体31の、接続部31a以外の部分の径は、端子導体21の径よりも小さくてもよいし、同等でもよいし、大きくてもよい。ただし、図示の例では、端子導体21は接続導体31に挿通されるから、接続導体31の径は端子導体21の径よりも大きい。
【0117】
接続導体31又は接続部31aの上下方向の長さは、例えば、抵抗発熱体15の厚さ(上下方向の長さ)以上とされてよい。また、例えば、接続導体31の上下方向の長さは、基体13の、抵抗発熱体15から基体13の下面13bまでの厚さに対して、1/20以上、1/10以上、1/3以上又は1/2以上とされてよい。ここでいう下面13bは、隣接領域13ba、主領域13bb及び中間領域13bcのいずれであってもよい。
【0118】
また、例えば、接続導体31の上下方向の長さは、本実施形態(隣接領域13baが絶縁部27に接する態様)においては、接続導体31が隣接領域13baから突出しないように設定される。例えば、接続導体31の上下方向の長さは、基体13の、抵抗発熱体15から基体13の下面13bまでの厚さに対して、19/20以下、9/10以下、2/3以下、1/3以下又は1/5以下とされてよい。ここでいう下面13bは、隣接領域13ba、主領域13bb及び中間領域13bcのいずれであってもよい。接続導体31が抵抗発熱体15よりも上方へ突出する量によっては、接続導体31の上下方向の長さを、基体13の、抵抗発熱体15から隣接領域13baまでの厚さ以上とすることも可能である。接続導体31の上下方向の長さに関する、上記の下限と上限とは、矛盾しない限り、適宜に組み合わされてよい。
【0119】
図示の例では、接続導体31は、直柱の側面(外周面)に凹状の退避部31rが形成された形状とされている。別の観点では、退避部31rの底面を基準とすれば、接続導体31は、退避部31rの周囲(例えば退避部31rの上方又は下方)で側方に突出する突出部31fを有している。なお、直柱の平面視における形状は、既述のように、適宜な形状とされてよい。また、退避部31rは、直柱以外のブロック状の形状の側面に設けることも可能である。
【0120】
退避部31r(突出部31f)の数、形状及び寸法は、適宜に設定されてよい。例えば、退避部31rは、一つのみ設けられてもよいし、複数設けられてもよい。また、退避部31rは、複数設けられる場合において、互いに同一の形状であってもよいし、互いに異なる形状であってもよい。複数の退避部31rは、上下方向及び/又は水平方向等の適宜な方向に配列乃至は分布されてよい。配列のピッチ乃至は分布の密度は、均等乃至は一様であってもよいし、いずれかの方向において偏っていてもよい。
【0121】
また、例えば、退避部31rは、接続導体31の外周面をその法線方向に見たときに(外周面を平面状に展開して見たときに)、溝状に延びる形状であってもよいし、互いに直交する方向の長さが極端に相違しない形状(例えば円形又は一般的に想起される多角形)であってもよい。溝状の退避部31rは、例えば、水平方向に延びてもよいし、ねじ溝のように螺旋状に延びてもよい。また、退避部31rは、前記法線方向に直交する横断面の形状が、退避部31rの深さ方向の位置に対して一定であってもよいし、深さ方向の位置によって変化してもよい。
【0122】
また、例えば、上下方向(基体13の厚さ方向)において、1つの位置のみに退避部31rが設けられている場合の退避部31rの上下方向の長さ、又は複数の位置に退避部31rが設けられている場合の複数の退避部31rの上下方向の長さの合計は、例えば、接続導体31の上下方向の長さに対して、1/50以上、1/10以上、1/5以上、1/3以上又は1/2以上とされてよく、また、9/10以下、2/3以下、1/2以下又は1/5以下とされてよく、上記の下限と上限とは、矛盾しない限り、適宜に組み合わされてよい。また、各退避部31rの上下方向の長さは、例えば、0.1mm以上とされてよい。
【0123】
図示の例では、上下方向の2つの位置に退避部31rが設けられている。各位置において、退避部31rは、例えば、平面視において接続導体31を周回するように延びている。すなわち、退避部31rは、接続導体31を周回する凹溝によって構成されており、突出部31fは、突条乃至はフランジによって構成されている。又は、各位置において、平面視において接続導体31を周回するように複数の退避部31rが配列されている。この場合、上下方向の1つの位置において、複数の退避部31rの数及び互いの間隔は、適宜に設定されてよい。例えば、上下方向の1つの位置において、複数の退避部31rは、3以上であり、平面視において退避部31rの間の各角度間隔がいずれも120°以下となるように配置されてよい。周回する凹溝からなる退避部31r又は周回するように配列された複数の退避部31rは、上下方向の適宜な数の位置に設けられてよく、例えば、1~3つの位置に設けられてよい。
【0124】
接続導体31の材料は、適宜な材料とされてよく、内部導体(抵抗発熱体15)の材料及び/又は端子導体21の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0125】
平面視において、接続導体31及び絶縁部27(の少なくとも基体13内に埋設されている部分)は、例えば、互いに同一の形状及び大きさとされている。ここでいう形状及び大きさは、接続導体31及び絶縁部27を上下方向に投影して得られる形状及び大きさ、及び/又は、接続導体31及び絶縁部27の最大の横断面の形状及び大きさである。
【0126】
接続導体31及び絶縁部27が挿入されている基体13の穴13hの横断面は、概略、上下方向に対して一定である。すなわち、穴13hは、接続導体31から絶縁部27に亘って同一の横断面(径)である。ただし、穴13hは、絶縁部27が挿通されている部分の径が、接続導体31が挿通されている部分の径よりも大きくされるなどしていてもよい
【0127】
穴13hの内面において、退避部31rに対向する領域は、退避部31r内に突出しており、侵入部13pを構成している。侵入部13pの形状及び大きさは、適宜な形状とされてよい。図示の例では、侵入部13pは、テーパ状に形成されている。また、侵入部13pと退避部31rの内面との間には空間が存在している。当該空間は、適宜なガスが封入されていてもよいし、真空(大気圧よりも減圧された状態)とされていてもよい。また、図示の例とは異なり、侵入部13pは、退避部31r内に略充填された状態となっていても構わない。
【0128】
端子導体21は、抵抗発熱体15に代えて、接続導体31に接続されている点のみが他の実施形態の端子導体21と相違する。端子導体21と接続導体31との接続は、適宜な方法によりなされてよい。図示の例では、端子導体21は、接続導体31に設けられた穴(符号省略)に挿入されており、これにより、接続導体31に接続されている。なお、図示の例とは異なり、接続導体31に穴が設けられずに、接続導体31の下面と、端子導体21の上部とが接合されていたり、接続導体31と端子導体21とが同一材料から一体的に形成されていたりしてもよい。
【0129】
上記のように端子導体21が接続導体31に挿通される場合において、接続導体31の穴は、貫通孔であってもよいし(図示の例)、下方に開口する有底の穴(凹部)であってもよい。また、端子導体21の上面は、接続導体31の上面と面一であってもよいし(図示の例)、接続導体31の上面よりも上方に位置していてもよいし、接続導体31の上面よりも下方に位置していてもよい(この場合、接続導体31の穴は、貫通孔であってもよいし、有底であってもよい。)。
【0130】
また、端子導体21の外面と、接続導体31の穴の内面とは、適宜に接続されてよい。例えば、端子導体21に雄ねじが形成され、接続導体31に雌ねじが形成され、両者が螺合されてもよい。また、例えば、端子導体21と接続導体31とは、単に当接しているだけであってもよい。この場合、かしめがなされていてもよい。また、例えば、端子導体21と接続導体31とは、両者の間に介在する導電性の接合材によって接合されていてもよい。
【0131】
ヒータ701は、他の実施形態と同様に、予め作製された端子部717を焼成前又は焼成後の基体13の穴13hに挿入されることによって作製されてよい。基体13となるセラミックグリーンシートの穴13hに端子部717を挿入して焼成する場合においては、接続導体31は、絶縁部27と同様に、焼成による基体13の収縮によって、基体13によって締め付けられてよい。この収縮の際、穴13hの内面のうち退避部31rに対向する領域は、退避部31r内に押し出され、これにより、侵入部13pが形成される。このように基体13によって接続導体31を締め付ける場合、焼成前の穴13hの径は、例えば、接続導体31の径以上であって、焼成による収縮によって(接続導体31が無いと仮定した場合に)接続導体31の径よりも小さくなる大きさとされる。接続導体31の径と、接続導体31が無いと仮定した場合の収縮後の穴13hの径との差は、例えば、0.2mm以上0.4mm以下とされてよい。
【0132】
また、ヒータ701は、他の実施形態と同様に、ホットプレス法によって作製されてもよい。この場合、基体13となるセラミック原料粉末が退避部31rに充填され、退避部31rに充填された形状の侵入部13pが形成される。
【0133】
本実施形態においても、傾斜面13baaが設けられていることによって、他の実施形態と同様の効果が奏される。
【0134】
また、本実施形態では、端子部717は、接続導体31と、端子導体21とを有している。接続導体31は、少なくとも一部が基体13内に位置しており、内部導体(抵抗発熱体15)に接続されている。端子導体21は、基体13の平面視において接続導体31よりも径が小さく、接続導体31を介して抵抗発熱体15に電気的に接続されており、少なくとも一部が接続導体31よりも下方に位置している。
【0135】
この場合、例えば、端子導体21を抵抗発熱体15に接触させる場合に比較して、端子部と抵抗発熱体15との接触面積を確保しやすい。また、端子導体21が抵抗発熱体15に接触している態様において端子導体21の径を大きくする場合に比較して、基体13の下面13b付近において端子部内の導体の体積を小さくすることができる。その結果、例えば、端子部内の導体が膨張したときに基体13の下面13b付近に加えられる応力を低減することができる。下面13b付近はクラックの起点になりやすいことから、クラックが発生する蓋然性を低下させることができる。また、例えば、抵抗発熱体15から端子部の導体を介して外部へ逃げる、又は端子部の導体を介して基体13のうち下方へ伝わる熱を低減し、基体13の上面13aの加熱を効率的に行うことができる。
【0136】
また、本実施形態では、基体13は、下面13bに開口しており、端子部717が挿入されている穴13hを有している。接続導体31は、穴13hの内面に囲まれる外周面に凹状の退避部31rを有している。
【0137】
この場合、例えば、退避部31rに入り込んだ侵入部13pを接続導体31(突出部31f)に係合させ、端子部717が基体13から脱落する蓋然性を低下させることができる。また、例えば、退避部31r内に空間が形成されている場合においては、基体13のうちの抵抗発熱体15よりも下方側の部分と接続導体31との接触面積を低減して、抵抗発熱体15から接続導体31を介して基体13の下方へ伝わる熱を低減して、基体13の上面13aの加熱を効率的に行うことができる。
【0138】
[第8実施形態]
図10(a)は、第8実施形態に係るヒータ801の要部の構成を示す図であり、第1実施形態の図3に相当する(ただし、配線部材7の図示は省略。)。
【0139】
ヒータ801は、端的に言えば、第7実施形態(図9)の端子部717から絶縁部27を無くし、接続導体31を隣接領域13ba(傾斜面13baa)に接触させている構成である。なお、図示の例では、基体13の下面13bの構成として、第1及び4実施形態(図3及び図6)のものを例示している。ただし、本実施形態の端子部817は、第2、第3、第5~第7実施形態(図4図5図7図9)における下面13bの構成と組み合わされても構わない。
【0140】
図10(b)は、第8実施形態の第1変形例に係るヒータ801-1を示す、図10(a)と同様の図である。図11(a)は、第8実施形態の第2変形例に係るヒータ801-2を示す、図10(a)と同様の図である。図11(b)は、第8実施形態の第3変形例に係るヒータ801-3を示す、図10(a)と同様の図である。
【0141】
図10(a)~図11(b)から理解されるように、隣接領域13baと接続導体31の側面とが接する位置は、接続導体31の側面の下端であってもよいし、接続導体31の側面の中途であってもよい。また、退避部31rは、設けられてもよいし、設けられなくてもよい。下面13bの構成は、第1~第7実施形態のいずれのものであってもよい。
【0142】
本実施形態及びその変形例においては、接続導体31の上下方向の長さは、接続導体31の下面の上下方向の位置が、隣接領域13baの上下方向の位置と同等又はこれよりも下方に位置する限り、適宜に設定されてよい。また、接続導体31の上下方向の長さについて、特に上限はないが、例えば、基体13の、抵抗発熱体15から基体13の下面13bまでの厚さの1.5倍以下又は3倍以下とされてよい。
【0143】
本実施形態においても、傾斜面13baaが設けられていることによって、他の実施形態と同様の効果が奏される。
【0144】
また、本実施形態では、端子部817は、第7実施形態(図9)の端子部717と同様に、接続導体31と、端子導体21とを有している。ただし、端子部817では、隣接領域13ba(傾斜面13baa)は、接続導体31に隣接しているとともに接続導体31を囲んでいる。
【0145】
この場合、例えば、端子導体21が隣接領域13baに接する場合に比較して、端子部817と基体13との接触面積を大きくして、接合強度を向上させることができる。また、例えば、第7実施形態に比較して、絶縁部27が設けられないことから、構成が簡素である。
【0146】
[第9実施形態]
図12は、第9実施形態に係るヒータ901の要部の構成を示す図であり、第1実施形態の図3に相当する。
【0147】
ヒータ901は、端的に言えば、第3実施形態(図5)に対して、基体13の下面13bを下方から覆う蓋体41と、下面13bと蓋体41との間に介在して両者に密着している封止材43とを付加した構成である。端子部17(より詳細には端子導体21)は、封止材43及び蓋体41を貫通して蓋体41の下方へ延び出ている。
【0148】
蓋体41の形状及び大きさ等は適宜に設定されてよい。図示の例では、蓋体41は、基体13の下面13bに形成されている凹部13fに収容可能な大きさの平板状とされている。その平面形状は、例えば、概ね凹部13fの外縁の形状と同様である。蓋体41の厚さは、例えば、凹部13fの深さよりも若干小さい。蓋体41は、下面13bの隣接領域13ba及び中間領域13bcに対向している。換言すれば、蓋体41は、少なくとも隣接領域13baに対して対向している。
【0149】
蓋体41の材料は、例えば、任意の絶縁材料とされてよい。例えば、蓋体41の材料は、セラミックである。セラミックは、基体13を構成しているセラミックと同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。後者の場合において、蓋体41及び基体13は、主成分が同一であってもよいし、主成分が異なっていてもよい。セラミックの具体例については、基体13の説明で述べたとおりであり、例えば、窒化アルミニウムである。
【0150】
封止材43は、基体13と蓋体41とに密着することによって、例えば、両者の接合に寄与し、及び/又は端子導体21が挿通されている穴13hの密閉性の向上に寄与している。封止材43の配置範囲は適宜に設定されてよい。図示の例では、封止材43は、蓋体41の上面の概ね全体に亘って配置されている。別の観点では、封止材43は、隣接領域13ba及び中間領域13bcに亘って配置されている。換言すれば、封止材43は、少なくとも隣接領域13baに密着している。特に図示しないが、封止材43は、例えば、図示の配置範囲に加えて、蓋体41の外周面と凹部13fの内周面との間に介在していてもよい。封止材43の材料は、適宜なものとされてよく、例えば、既述の封止材25(図6)の材料として挙げたものなど(例えばAlCaY系の接合剤)が用いられてよい。
【0151】
以上のように、本実施形態では、ヒータ901は、絶縁性の蓋体41と、絶縁性の封止材43とを有している。蓋体41は、端子導体21が挿通され、かつ隣接領域13baを下方から覆っている。封止材43は、隣接領域13baと蓋体41との間に介在して両者に密着している。
【0152】
従って、例えば、基体13、封止材43及び蓋体41の線膨張係数よりも大きい線膨張係数を有する端子導体21が熱によって膨張したときに、端子導体21の周囲において基体13に加えられる応力が封止材43及び蓋体41に分散される。その結果、例えば、基体13にクラックが発生する蓋然性を低減することができる。
【0153】
なお、図示の例では、第3実施形態に対して蓋体41及び封止材43を設けたが、蓋体41及び封止材43は、他の実施形態(例えば第1及び第2実施形態)に適用されてもよい。
【0154】
[第10実施形態]
図13は、第10実施形態に係るヒータ1001の要部の構成を示す図である。より詳細には、図13は、ヒータ1001の端子部1017の斜視図である。
【0155】
第4実施形態(図6)では、絶縁部27に端子導体21が挿通された端子部417を示した。端子部417では、端子導体21は、当該端子導体21の外周面が全周に亘って絶縁部27に覆われた状態で絶縁部27を貫通した。一方、本実施形態では、端子導体21は、当該端子導体21の外周面の一部を絶縁部27の外周面から露出させた状態で絶縁部27を貫通している。
【0156】
端子導体21の数及び配置は適宜に設定されてよい。図示の例では、複数(4つ)の端子導体21が絶縁部27の外周に沿って配置されている。なお、図示の例とは異なり、1つの絶縁部27に対して端子導体21が1つのみ設けられてもよい。また、図示の例では、複数の端子導体21の配置間隔は、例えば、一定である。別の観点では、n個の端子導体21の配置は、n回対称(回転対称)の配置とされている。
【0157】
絶縁部27及び端子導体21の形状及び大きさも適宜に設定されてよい。図示の例では、絶縁部27の形状は、概略円柱状とされている。端子導体21の形状は、絶縁部27の軸に平行に延びる軸状とされている。その横断面(水平面)の形状は、概略、所定の形状(図示の例では円形)から絶縁部27の外周面に沿う線分(図示の例では弧)を境界として外側の一部が除去された形状とされている。端子導体21の外周面のうち絶縁部27の外周面から露出している領域は、特に図示しないが、絶縁部27の外周面よりも若干外側へ突出していてもよい。
【0158】
図示の例では、端子部1017は、抵抗発熱体15を貫通しており、複数の端子導体21は、その外周面のうち絶縁部27の外周面から露出している領域において抵抗発熱体15に接続されている。ただし、端子導体21は、その上面において抵抗発熱体15の下面と接続されていてもよい。なお、端子部1017は、図示の例よりも大きく設計され、複数の端子導体21は、それぞれ別個の電位が付与される端子として、互いに異なる抵抗発熱体15、及び/又は抵抗発熱体15の互いに異なる部位に接続されても構わない。
【0159】
端子部1017は、他の実施形態の端子部と同様に、少なくとも一部が基体13内に位置しているとともに基体13の下面13bから外部へ露出している。そして、下面13bの隣接領域13ba(傾斜面13baa)は、端子部1017を囲んでいるとともに端子部1017に達している(隣接している)。なお、図13では、下面13bの構成として、第1実施形態で示した下面13bの構成を例示しているが、下面13bの構成(及び封止材等の構成)は、他の実施形態の構成(例えば第2~第6実施形態の下面13b)とされてもよい。
【0160】
端子部1017の製造方法は、概略、第4実施形態の端子部417と同様とされてよい。例えば、絶縁部27となるセラミックの成形体を形成し、この成形体の貫通孔に端子導体21を挿通して焼成することによって端子部1017を作製してよい。また、端子導体21は、適宜な方法によって絶縁部27の外周面から露出されてよい。例えば、絶縁部27となる成形体において、端子導体21が挿通される貫通孔を成形体の外周面よりも内側に形成しておき、焼成後に絶縁部27の外周面を研削することによって端子導体21を絶縁部27の外周面から露出させてよい。このとき、端子導体21も絶縁部27と共に研削されることによって、端子導体21は、円形から当該円形よりも半径が大きい弧によって一部が除去された形状となる。もちろん、成形体の形状及び端子導体21の当初の形状を完成後のものと同様としてもよい。
【0161】
以上の構成においては、例えば、第4実施形態と同様の効果が奏される。例えば、端子部1017が絶縁部27を含んでいることから、基体13の下面13b等にクラックが発生する蓋然性が低減される。また、例えば、絶縁部27と基体13とがセラミック粒子同士の密着によって固定されている場合においては、両者の接合強度が向上する。
【0162】
また、本実施形態では、端子導体21は、当該端子導体の外周面の一部を絶縁部27の外周面から露出させた状態で絶縁部27を貫通している。従って、例えば、端子部1017の外周面に導通可能な領域を確保しつつ、端子部1017に占める導体の体積を小さくすることができる。その結果、例えば、端子部1017と基体13との熱膨張差を低減して、基体13にクラックが生じる蓋然性を低減することができる。なお、第4実施形態の端子部417は、本実施形態に比較して、例えば、構成及び/又は作製方法が簡素である。
【0163】
[端子導体の変形例]
図14は、変形例に係る端子導体21-1を示す断面図であり、図3の上方の一部に相当する。なお、ここでは、端子部の全体構成及び基体13の下面13bの構成として、第1実施形態(図3)のものを示している。ただし、端子導体21-1は、他の実施形態(例えば第2~第6及び第9実施形態)に適用されても構わない。
【0164】
実施形態の説明で図示された端子導体21は、長さ方向に直交する横断面の形状が長さ方向に亘って一定とされた。一方、本変形例に係る端子導体21-1は、先端の径(別の観点では横断面の面積)が他の部分に比較して小さくされている。換言すれば、端子導体21-1は、本体部21aと、本体部21aよりも径が小さい縮径部21bとを有している。本体部21a及び縮径部21bは同一の材料によって一体的に形成されている。
【0165】
本体部21aは、例えば、基体13内から基体13の外部へ延び出ている。ひいては、本体部21aは、基体13の隣接領域13baによって囲まれているとともに隣接している。本体部21aは、例えば、端子導体21-1のうち縮径部21b以外の全部を構成してよい。第1実施形態における端子導体21の説明は、抵抗発熱体15との接続に係る説明を除いて、本体部21aに適用されてもよい。
【0166】
縮径部21bの横断面の形状(寸法除く)は、本体部21aの横断面の形状と同様(例えば相似)であってもよいし、全く異なる形状であってもよい。縮径部21bは、一定の横断面で延びていてもよいし、長さ方向の位置によって形状及び/又は径が異なっていてもよい。後者としては、例えば、先端側ほど径が小さくなるテーパ状を挙げることができる。このような場合において、縮径部21bと本体部21aとの間の段差が無くされてもよい。縮径部21bの径と本体部21aの径との差、縮径部21bの長さ等は適宜に設定されてよい。
【0167】
端子導体21-1が挿通される基体13の穴13hは、例えば、焼成による収縮を考慮しないときに、又は考慮しても、概略、一定の横断面で深さ方向に延びている。また、穴13hの横断面は、例えば、本体部21aの横断面の形状及び寸法(径)と同様の形状及び寸法を有している。別の観点では、穴13hの横断面は、縮径部21bの横断面よりも大きい。従って、穴13hの内周面と縮径部21bの外周面とは隙間を介して対向している。
【0168】
上記の隙間には、導電性の接合材23が配置されている。接合材23は、縮径部21bの外周面と、穴13hの内周面から露出している抵抗発熱体15との間に介在して両者に密着し、両者を接続している。接合材23の材料については、第1実施形態の説明で述べたとおりである。従って、例えば、接合材23の材料として、抵抗発熱体15の材料と同一の成分と、基体13の材料と同一の成分とを含む複合材料が用いられてよい。また、金属としては、抵抗発熱体15の材料の成分とは異なる成分(例えば、プラチナ:Pt)が用いられてもよい。
【0169】
接合材23の量は適宜に設定されてよい。例えば、接合材23の量は、図示の例のように、穴13hの内周面と縮径部21bの外周面との隙間の一部のみに配置される量であってもよい。換言すれば、上記隙間は、空間S1を有してよい。空間S1は、気体が存在しているか、又は真空状態とされている。空間S1は、例えば、抵抗発熱体15よりも上方に位置している。また、空間S1は、例えば、図示の例のように、縮径部21bの外周面から穴13hの内周面まで亘っていてよい。また、空間S1は、図示の例とは異なり、接合材23が縮径部21bの外周面又は穴13hの内周面に成膜されていることによって、縮径部21bの外周面から穴13hの内周面までの隙間よりも薄く構成されていてもよい。なお、図示の例とは異なり、空間S1は構成されなくてもよい(接合材23が隙間の全体に充填されてもよい)。
【0170】
以上のように、変形例に係る端子導体21-1は、本体部21aの径よりも径が小さく、抵抗発熱体15と接続(接合)される縮径部21bを有している。この場合、例えば、端子導体21-1全体としては本体部21aによって強度を確保できる。その一方で、抵抗発熱体15との接続位置(縮径部21b)において、端子導体21-1の径方向の熱膨張量を低減できる。その結果、例えば、ヒータによる加熱が繰り返されても、抵抗発熱体15と端子導体21-1との接合を維持できる蓋然性が向上する。
【0171】
さらに、図示の変形例では、縮径部21bと基体13(穴13hの内面)との間に空間S1が構成されている。この場合、例えば、縮径部21bが熱によって膨張しても縮径部21bから基体13へ力が伝えられにくくなる。その結果、例えば、基体13にクラックが生じる蓋然性を低減できる。
【0172】
[ヒータの材料の一例]
第1実施形態(図3)及び第4実施形態(図6)の説明で述べたように、ヒータプレート9の基体13の材料及び端子部(例えば417)の絶縁部27の材料は、いずれもセラミックとされてよく、また、両者の材料(又はその主成分)は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。ここでは、基体13の材料及び絶縁部27の材料が、成分全体又は主成分が同一のセラミックである場合の一例について述べる。
【0173】
図15(a)は、基体13の一部の断面図である。図15(b)は、絶縁部27の一部の断面図である。この断面図は、例えば、1辺が50μm以上200μm以下となるような範囲を示しており、複数の粒子Gr(単結晶粒子、セラミック粒子)が図示されている。別の観点では、粒界が図示されている。
【0174】
これらの図に示されているように、絶縁部27の結晶粒径の平均値(平均粒径)は、基体13の結晶粒径の平均値よりも大きくされてよい。この場合、例えば、セラミックは結晶粒径が大きいほどヤング率が大きくなるから、絶縁部27の強度を高くすることができる。その結果、例えば、絶縁部27に曲げモーメントが加えられたときに絶縁部27にクラックが生じる蓋然性を低減できる。
【0175】
このような態様におけるセラミックの成分及び平均粒径は適宜に設定されてよい。例えば、セラミックの主成分は、窒化アルミニウム(AlN)とされてよい。基体13における平均粒径は、例えば、3μm以上8μm以下とされてよい。絶縁部27における平均粒径は、例えば、5μm以上12μm以下(ただし、基体13における平均粒径よりも大きい)とされてよい。基体13及び絶縁部27は、同一又は主成分が同一の焼結助剤を含んでいてもよい。焼結助剤を構成する元素は、例えば、イットリウム(Y)とされてよい。
【0176】
なお、平均粒径は適宜な方法によって測定されてよい。以下に、一例を示す。基体13及び絶縁部27の主成分(例えばAlN)の結晶の平均円相当径を平均粒径としてみなすこととする。円相当径は、次のように測定する。まず、基体13及び絶縁部27それぞれの断面を鏡面に加工する。加工した断面をSEM(Scanning Electron Microscope)により撮影する。このときの倍率は概ね1000倍以上3000倍以下とする。また、投影面積は、1000μm以上20000μm以下とする。次に、撮影した画像のうち、主成分の結晶の輪郭を黒い線でトレースして描く。このとき、焼結助剤が含まれる場合には、焼結助剤を含む結晶を黒く塗りつぶす。トレースした画像を画像解析ソフト「A像くん」(登録商標、旭化成エンジニアリング(株)製)の粒子解析という手法を用いて解析する。この解析によって、粒子の平均円相当径が得られる。
【0177】
絶縁部27の平均粒径を基体13の平均粒径よりも大きくする方法は適宜なものとされてよい。例えば、絶縁部27の焼成の回数を基体13の焼成の回数よりも多くしたり、及び/又は絶縁部27の焼成の時間を基体13の焼成の時間よりも長くしたりしてよい。なお、第4実施形態の説明では、焼成前の基体13の穴13hに焼成後の端子部417を挿入し、両者を共に焼成することによって端子部417を基体13に固定してよいことについて述べた。この場合、基体13は、絶縁部27と共に焼成されるだけであるのに対して、絶縁部27は、その前に単独でも焼成されるから、絶縁部27の粒径は基体13の粒径よりも大きくなりやすい。
【0178】
なお、以上の実施形態及び変形例において、ヒータ1、201、301、401、501、601、701、801、801-1、801-2、801-3、901及び1001それぞれは、セラミック構造体の一例である。ヒータシステム101は、ウェハ用システムの一例である。抵抗発熱体15は内部導体の一例である。第3実施形態(図5)及び第9実施形態(図12)の中間領域13bc、並びに第6実施形態(図8)の主領域13bbそれぞれは、周囲領域の一例である。第3実施形態(図5)及び第9実施形態(図12)の主領域13bbは外側領域の一例である。
【0179】
本開示に係るヒータは、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
【0180】
実施形態では、セラミック構造体として、加熱機能を有するセラミックヒータを例に取った。ただし、セラミック構造体は、他の機能を有するものであってもよい。例えば、セラミック構造体は、静電チャック、又はプラズマ発生用の構造体であってもよいし、これら及びヒータの2つ以上の組み合わせとして機能するものであってもよい。
【0181】
換言すれば、内部導体は、実施形態では加熱用の抵抗発熱体であったが、他の用途の導体であってよく、例えば、静電チャック用の電極、又はプラズマ発生用の電極であってもよい。セラミック構造体は、これらの電極及び抵抗発熱体の1つ、又は2以上の組み合わせを有していてもよい。内部導体は、例えば、全体として、基体(13)の上面に沿って広がっている(上方に面している)といえる形状を有している導体である。また、例えば、平面視において内部導体全体を囲む最小の凸曲線を仮定したときに、当該凸曲線により囲まれた領域は、基体の上面の6割以上又は8割以上を占める。
【符号の説明】
【0182】
1…ヒータ(セラミック構造体)、13…基体、13a…上面、13b…下面、13ba…隣接領域、13baa…傾斜面、15…抵抗発熱体(内部導体)、17…端子部。
図1
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