(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】多次元カテーテルからの電気生理学的信号を表示するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/367 20210101AFI20221111BHJP
A61B 5/343 20210101ALI20221111BHJP
【FI】
A61B5/367
A61B5/343
(21)【出願番号】P 2020571721
(86)(22)【出願日】2019-09-04
(86)【国際出願番号】 US2019049547
(87)【国際公開番号】W WO2020096689
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2021-02-18
(32)【優先日】2018-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511177374
【氏名又は名称】セント・ジュード・メディカル,カーディオロジー・ディヴィジョン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マーク ハグフォース
(72)【発明者】
【氏名】ドン カーティス デノ
(72)【発明者】
【氏名】ルーク チェン
【審査官】▲瀬▼戸井 綾菜
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0206256(US,A1)
【文献】特表2009-539566(JP,A)
【文献】特表2012-509701(JP,A)
【文献】特表2017-514536(JP,A)
【文献】特表2014-506171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/05-5/398
A61B 5/24-5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択された仮想バイポールの仮想電位図を表示する方法であって、
電気解剖学的マッピングシステム
が、多次元カテーテルによって担持される複数の電極のそれぞれから複数の電気生理学的信号を受信するステップと、
受信された前記複数の電気生理学的信号を使用して、前記電気解剖学的マッピングシステム
が、複数の仮想バイポールのそれぞれに関連付けられた複数の仮想電位図を求めるステップであって、前記複数の仮想バイポールのそれぞれは、
前記複数の電極のうちの隣接する2つの電極からなるバイポールのいずれとも異なり、前記多次元カテーテルの平面の任意の向きのうちの1つの向きを有する、前記ステップと、
前記電気解剖学的マッピングシステム
が、仮想バイポールの向きを選択するステップと、
前記電気解剖学的マッピングシステム
が、選択された前記仮想バイポールの向きを有する仮想バイポールに関連付けられた仮想電位図を表示するステップと、
を備える、方法。
【請求項2】
前記電気解剖学的マッピングシステムが、仮想バイポールの向きを選択するステップは、前記電気解剖学的マッピングシステムがグラフィカルユーザインターフェースを生成するステップと、
前記電気解剖学的マッピングシステムが前記グラフィカルユーザインターフェースを介して前記
仮想バイポールの向きのユーザ選択を受け付けるステップと、を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記グラフィカルユーザインターフェースは、向き選択ダイヤルを備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記グラフィカルユーザインターフェースは、向き選択スライダを備える、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記グラフィカルユーザインターフェースは、患者の解剖学的構造の幾何学的モデルを備え、
前記電気解剖学的マッピングシステムが、前記グラフィカルユーザインターフェースを介して前記仮想バイポールの向きのユーザ選択を受け付けるステップは、
前記電気解剖学的マッピングシステムが、前記患者の解剖学的構造の前記幾何学的モデル上の前記仮想バイポールの向きのユーザ定義を受け付けるステップを備える、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記グラフィカルユーザインターフェースは、前記多次元カテーテルのグラフィカル表示を備え、
前記電気解剖学的マッピングシステムが、前記グラフィカルユーザインターフェースを介して前記仮想バイポールの向きのユーザ選択を受け付けるステップは、
前記電気解剖学的マッピングシステムが、前記多次元カテーテルの前記グラフィカル表示上の前記仮想バイポールの向きのユーザ定義を受け付けるステップを備える、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記電気解剖学的マッピングシステムが、仮想バイポールの向きを選択するステップは、前記電気解剖学的マッピングシステムが最大振幅の仮想電位図に関連付けられた仮想バイポールを特定するステップを備える、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、
前記電気解剖学的マッピングシステムが、選択された前記仮想バイポールの向きを有する前記仮想バイポールに関連付けられた前記仮想電位図を電気生理学マップに追加するステップをさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、
前記電気解剖学的マッピングシステムが、前記電気生理
学マップのグラフィカル表示を三次元幾何学的モデル上に出力するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、
前記電気解剖学的マッピングシステムが、選択された前記仮想バイポールの向きのグラフィカル表示を出力するステップをさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記電気解剖学的マッピングシステムが、選択された前記仮想バイポールの向きのグラフィカル表示を出力するステップは、
前記電気解剖学的マッピングシステムが、選択された前記仮想バイポールの向きのグラフィカル表示を前記多次元カテーテルのグラフィカル表示上に出力することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の電極は、3つ以上の電極
を含む群を備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、
前記電気解剖学的マッピングシステムが、前記多次元カテーテルに対するバイポールの向きとして選択された前記仮想バイポールの向きを有する前記仮想バイポールに関連付けられた前記仮想電位図を、電気生理学マップに追加するステップをさらに含み、
前記電気生理学マップ内の前記仮想電位図の位置は、3つ以上の電極
を含む前記群の位置によって決定される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記電気生理学マップ内の前記仮想電位図の位置は、3つ以上の電極
を含む前記群の重心によって決定される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
3つ以上の電極
を含む前記群は、前記多次元カテーテルによって担持される全ての電極を備える、請求項12から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
複数の仮想バイポールのそれぞれの複数の仮想電位図を表示するシステムであって、
多次元カテーテルによって担持される複数の電極のそれぞれから複数の電気生理学的信号を受信するように構成された電気解剖学的マッピングシステムであって、前記電気解剖学的マッピングシステムは、可視化モジュールをさらに備える、前記電気解剖学的マッピングシステムを備え、
前記可視化モジュールは、
受信された前記複数の電気生理学的信号を使用して、複数の仮想バイポールのそれぞれに関連付けられた複数の仮想電位図を求め、前記複数の仮想バイポールのそれぞれは
、前記複数の電極のうちの隣接する2つの電極からなるバイポールのいずれとも異なり、前記多次元カテーテルの平面の任意の向きのうちの1つの向きを有し、
仮想バイポールの向きを選択し、
選択された仮想バイポールの向きを有する仮想バイポールに関連付けられた仮想電位図を表示するように構成される、
システム。
【請求項17】
前記可視化モジュールは、
前記仮想バイポールの向きの選択のためのグラフィカルユーザインターフェースを生成することと、
前記グラフィカルユーザインターフェースを介して前記仮想バイポールの向きのユーザ選択を受け付けることと、
によって、前記仮想バイポールの向きを選択するように構成される、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記可視化モジュールは、最大振幅の仮想電位図に関連付けられた仮想バイポールを特定することによって、前記仮想バイポールの向きを選択するように構成される、請求項16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年9月10日に出願された米国仮出願第62/729,081号の利益を主張し、これは、参照により、本明細書に完全に記載されているものとして本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、心臓の診断および治療処置において実行され得るような、電気生理学的マッピングに関する。特に、本開示は、高密度(「HD」)グリッドカテーテルなどの多次元カテーテルによって測定された電気生理学的信号を表示するためのシステム、装置、および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
電気解剖学的マッピングシステムを使用して測定された電極トレース(例えば、心臓内電位図トレース)を視覚化することが知られている。例えば、トレースは、ディスプレイ上に垂直に積み重ねることができ、トレースの順序は、電気生理学カテーテル上の電極の順序に対応する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電極トレースを表示する上記のアプローチは、単一軸に沿って配置された電極を含む電気生理学的カテーテルでは論理的である。その理由は、線形カテーテルは、カテーテルスプラインに沿って自然な並べ替えの方向(例えば、最近位から最遠位へ、またはその逆)を提供するからである。しかしながら、HDグリッドカテーテル、Carto(登録商標)PentaRay(登録商標)カテーテル(Biosense Webster, Inc., Irvine, CA)、および/またはスパイラルカテーテルのような、複数の軸に沿って配置された電極、および/または2次元または3次元に配置された電極を含む電気生理学的カテーテルの使用が増加していることから、上記のアプローチがそれほど論理的ではない場合もある。
【0005】
さらに、バイポーラ電位図の形態および振幅は、バイポールの向き(線形カテーテルの場合、バイポールの向きはカテーテルの向きに対応する)の影響を受けやすいことが知られている。しかし、カテーテルを所望の方向に向けることは困難または複雑であり得る。多次元カテーテルは、このような複雑性を軽減することができるが、多次元カテーテルを使用して測定する場合であっても、所望のバイポールの向きを画定する必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書では、選択された仮想バイポールの仮想電位図を表示する方法が開示される。この方法は、電気解剖学的マッピングシステムにおいて、多次元カテーテルによって担持された複数の電極のそれぞれから複数の電気生理学的信号を受信するステップと、受信された複数の電気生理学的信号を使用して、電気解剖学的マッピングシステムを介して、複数の仮想バイポールのそれぞれに関連付けられた複数の仮想電位図を求めるステップであって、複数の仮想バイポールのそれぞれは、対応する仮想バイポールの向きを有する、ステップと、電気解剖学的マッピングシステムを介して、仮想バイポールの向きを選択するステップと、電気解剖学的マッピングシステムを介して、選択された仮想バイポールの向きを有する仮想バイポールに関連付けられた仮想電位図を表示するステップと、を含む。
【0007】
本開示の態様によれば、仮想バイポールの向きを選択するステップは、電気解剖学的マッピングシステムがグラフィカルユーザインターフェースを生成するステップと、グラフィカルユーザインターフェースを介して仮想バイポールの向きのユーザ選択を受け付けるステップとを含む。例えば、グラフィカルユーザインターフェースは、向き選択ダイヤル、向きスライダ、患者の解剖学的構造の幾何学的モデル、および/または多次元カテーテルのグラフィカル表示を含んでよい。グラフィカルユーザインターフェースが患者の解剖学的構造の幾何学的モデルを含む実施形態では、グラフィカルユーザインターフェースを介して仮想バイポールの向きのユーザ選択を受け付けるステップは、患者の解剖学的構造の幾何学的モデル上の仮想バイポールの向きのユーザ定義を受け付けるステップを含んでよい。同様に、グラフィカルユーザインターフェースが多次元カテーテルのグラフィカル表示を含む実施形態では、グラフィカルユーザインターフェースを介して仮想バイポールの向きのユーザ選択を受け付けるステップは、多次元カテーテルのグラフィカル表示上の仮想バイポールの向きのユーザ定義を受け付けるステップを含んでよい。
【0008】
代替的に、または追加的に、仮想バイポールの向きを選択するステップは、電気解剖学的マッピングシステムが最大振幅の仮想電位図に関連付けられた仮想バイポールを特定するステップを含んでよい。
【0009】
選択された仮想バイポールの向きを有する仮想バイポールに関連付けられた仮想電位図は、電気生理学マップに追加されてもよいことが企図される。同様に、本方法は、電気生理学マップのグラフィカル表示を三次元幾何学的モデル上に出力するステップを含んでよいことが企図される。グラフィカル表示はまた、選択された仮想バイポールの向きのグラフィカル表示を含んでもよい(例えば、3次元幾何学的モデル上において、および/または3次元幾何学的モデル上または内の多次元カテーテルのグラフィカル表示上において)。
【0010】
また、本明細書では、選択された仮想バイポールの仮想電位図を表示する方法が開示される。この方法は、電気解剖学的マッピングシステムを介して、多次元カテーテルによって担持される3つ以上の電極の群を定義するステップと、多次元カテーテルによって担持される3つ以上の電極の群から受信された複数の電気生理学的信号を使用して、電気解剖学的マッピングシステムを介して、複数の仮想電位図を求めるステップであって、複数の仮想電位図のそれぞれは、多次元カテーテルに対するバイポールの向きを有するそれぞれの仮想バイポールに関連付けられる、ステップと、電気解剖学的マッピングシステムを介して、仮想バイポールの向きを選択するステップと、電気解剖学的マッピングシステムを介して、多次元カテーテルに対するバイポールの向きとして選択された仮想バイポールの向きを有する仮想バイポールに関連付けられた仮想電位図を表示するステップと、を含む。
【0011】
本開示の実施形態では、仮想バイポールの向きを選択するステップは、電気解剖学的マッピングシステムがグラフィカルユーザインターフェースを生成するステップと、グラフィカルユーザインターフェースを介して仮想バイポールの向きのユーザ選択を受け付けるステップと、を含む。グラフィカルユーザインターフェースは、向き選択ダイヤル、向き選択スライダ、患者の解剖学的構造の幾何学的モデル、および/または多次元カテーテルのグラフィカル表示を含んでよい。グラフィカルユーザインターフェースが患者の解剖学的構造の幾何学的モデルを含む実施形態では、グラフィカルユーザインターフェースを介して仮想バイポールの向きのユーザ選択を受け付けるステップは、患者の解剖学的構造の幾何学的モデル上の仮想バイポールの向きのユーザ定義を受け付けるステップを含んでよい。同様に、グラフィカルユーザインターフェースが多次元カテーテルのグラフィカル表示を含む実施形態では、グラフィカルユーザインターフェースを介して仮想バイポールの向きのユーザ選択を受け付けるステップは、多次元カテーテルのグラフィカル表示上の仮想バイポールの向きのユーザ定義を受け付けるステップを含んでよい。
【0012】
あるいは、仮想バイポールの向きを選択するステップは、電気解剖学的マッピングシステムが、最大振幅の仮想電位図に関連付けられた仮想バイポールを特定するステップを含んでよい。
【0013】
本開示の態様によれば、多次元カテーテルに対するバイポールの向きとして選択された仮想バイポールの向きを有する仮想バイポールに関連付けられた仮想電位図を、3つ以上の電極の群の位置によって決定される電気生理学マップ内の仮想電位図の位置と共に、電気生理学マップに追加することができる。例えば、電気生理学マップ内の仮想電位図の位置は、3つ以上の電極の群の重心によって決定されてよい。
【0014】
3つ以上の電極の群は、多次元カテーテルによって担持される全ての電極を含んでもよいということが考えられる。
【0015】
本開示はまた、複数の仮想バイポールのそれぞれに対して複数の仮想電位図を表示するシステムを提供する。このシステムは、多次元カテーテルによって担持される複数の電極のそれぞれから複数の電気生理学的信号を受信するように構成された電気解剖学的マッピングシステムを含む。電気解剖学的マッピングシステムは、可視化モジュールをさらに含む。可視化モジュールは、受信された複数の電気生理学的信号を使用して、複数の仮想バイポールのそれぞれに関連付けられた複数の仮想電位図を求めるように構成され、複数の仮想バイポールのそれぞれは対応する仮想バイポールの向きを有し、可視化モジュールは、仮想バイポールの向きを選択し、選択された仮想バイポールの向きを有する仮想バイポールに関連付けられた仮想電位図を表示するように構成される。
【0016】
可視化モジュールは、仮想バイポールの向きの選択のためのグラフィカルユーザインターフェースを生成し、グラフィカルユーザインターフェースを介して仮想バイポールの向きのユーザ選択を受け付けることによって、仮想バイポールの向きを選択するように構成されてよい。代替的に又は追加的に、可視化モジュールは、最大振幅の仮想電位図に関連付けられた仮想バイポールを特定することによって、仮想バイポールの向きを選択するように構成されてよい。
【0017】
本発明の前述および他の態様、特徴、詳細、有用性、および利点は、以下の説明および特許請求の範囲を読むこと、ならびに添付の図面を検討することから明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】例示的な電気解剖学的マッピングシステムの概略図である。
【
図2】本開示の態様に関連して使用することができる例示的なカテーテルを示す。
【
図3】本明細書で開示される例示的な実施形態に従って実行され得る代表的なステップのフローチャートである。
【
図4A】施術者またはユーザが、表示する仮想バイポールの向きを選択することができるグラフィカルユーザインターフェース(「GUI」)を示す。より詳細には、本開示の特定の態様に関連して説明されるような仮想バイポールの向き選択ダイヤルを示す。
【
図4B】施術者またはユーザが、表示する仮想バイポールの向きを選択することができるグラフィカルユーザインターフェース(「GUI」)を示す。より詳細には、本開示の追加の態様に関連して説明されるような仮想バイポールの向き選択スライダを示す。
【
図4C】施術者またはユーザが、表示する仮想バイポールの向きを選択することができるグラフィカルユーザインターフェース(「GUI」)を示す。より詳細には、本開示のさらにさらなる態様において説明されるような解剖学的幾何学形状および/または多次元カテーテルのグラフィカル表示を示す。
【
図5】代表的なGUIとそれに伴う仮想電位図および電気生理学マップの表示である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
複数の実施形態が開示されているが、本開示のさらに他の実施形態は、例示的な実施形態を示して説明される以下の詳細な説明から当業者には明らかになるであろう。従って、図面および詳細な説明は、事実上の例示であると見なされ、限定的なものではない。
【0020】
本開示は、多次元カテーテルを使用して測定された電気生理学的信号を表示するためのシステム、装置、および方法を提供する。例示の目的のために、本開示の態様は、電気生理学マッピングシステムを使用して(例えば、Abbott Laboratories(Abbott Park, Illinois)のEnSite Precision(商標)心臓マッピングシステムなどの電気解剖学的マッピングシステムを使用して)実行される心臓マッピング処置の状況において、Abbott LaboratoriesのAdvisor(商標)HDグリッドマッピングカテーテル、Sensor Enabled(商標)などのHDグリッドカテーテルを使用して測定される電気生理学的信号を表示することを参照して説明される。しかしながら、本明細書の教示は、他の状況において、および/または他の電極構成に関して、有利に適用され得ることが理解されるべきである。
【0021】
図1は、心臓カテーテルをナビゲートし、患者11の心臓10に生じる電気的活動を測定し、電気的活動を3次元的にマッピングすることによって、および/またはそのように測定された電気的活動に関連するかまたはそれを表す情報を3次元的にマッピングすることによって、心臓電気生理学研究を行うための例示的な電気解剖学的マッピングシステム8の概略図を示す。システム8は、例えば、1つまたは複数の電極を使用して、患者の心臓10の解剖学的モデルを生成するために使用され得る。システム8はまた、例えば、患者の心臓10の診断データマップを作成するために、心臓表面に沿った複数の点で電気生理学的データを測定し、測定されたデータを電気生理学的データが測定された各測定点の位置情報と関連付けて記憶するために使用され得る。
【0022】
当業者であれば認識するように、また以下でさらに説明されるように、システム8は、典型的には3次元空間内における物体の位置、およびいくつかの様態では、物体の向きを求め、その位置を少なくとも1つの基準に対して決定された位置情報として表す。
【0023】
図示を簡略化するために、患者11は楕円として概略的に示されている。
図1に示される実施形態では、患者11の表面に適用される3組の表面電極(例えば、パッチ電極)が示されており、本明細書ではx軸、y軸、およびz軸と呼ばれる3つのほぼ直交する軸を画定する。他の実施形態では、電極は、例えば、特定の身体表面上に複数の電極を配置するなど、他の配置で配置されてもよい。さらなる代替として、電極は、身体表面上にある必要はなく、身体の内部に配置されてもよい。
【0024】
図1において、x軸表面電極12、14は、患者の胸部領域の側面(例えば、各腕の下の患者の皮膚)など、第1の軸に沿って患者に適用され、左電極および右電極と呼ばれてもよい。y軸電極18、19は、患者の内腿部および頸部領域に沿ってなど、x軸にほぼ直交する第2の軸に沿って患者に適用され、左足電極および頸部電極と呼ばれてもよい。z軸電極16、22は、胸部領域における患者の胸骨および脊椎に沿ってなど、x軸およびy軸の両方にほぼ直交する第3の軸に沿って適用され、胸部電極および背部電極と呼ばれてもよい。心臓10は、表面電極12/14の対、18/19の対、および16/22の対の間にある。
【0025】
追加の表面基準電極(例えば、「腹部パッチ」)21は、システム8のための基準電極および/または接地電極を提供する。腹部パッチ電極21は、以下でさらに詳細に説明される固定心臓内電極31の代替物であってもよい。さらに、患者11は、従来の心電図(「ECG」または「EKG」)システムリードのほとんどまたはすべてを所定の位置に有してもよいことも理解されるべきである。ある実施形態では、例えば、患者の心臓10の心電図を感知するために、12本のECGリードの標準セットが利用され得る。このECG情報は、システム8に利用可能である(例えば、コンピュータシステム20への入力として提供されてよい)。ECGリードが良く理解されている限りにおいて、また図面を明確にするために、
図1には1本のリード6とそのコンピュータ20への接続のみが示されている。
【0026】
少なくとも1つの電極17を有する代表的なカテーテル13も示されている。この代表的なカテーテル電極17は、本明細書全体を通して「可動電極(roving electrode)」、「移動電極」、または「測定電極」と呼ばれる。典型的には、1個のカテーテル13上のまたは複数のこのようなカテーテル上の複数の電極17が使用される。一実施形態では、例えば、システム8は、患者の心臓および/または血管系内に配置された12個のカテーテル上に64個の電極を備えてよい。他の実施形態では、システム8は、複数(例えば、8つ)のスプラインを含む1個のカテーテルを利用してよく、各スプラインは複数(例えば、8つ)の電極を含む。
【0027】
しかしながら、前述の実施形態は単に例示的なものであり、任意の数の電極および/またはカテーテルを使用してよい。例えば、本開示の目的のために、例示的な多電極カテーテル、特にHDグリッドカテーテルのセグメントが
図2に示されている。HDグリッドカテーテル13は、パドル202に結合されたカテーテルボディ200を含む。カテーテルボディ200は、第1のボディ電極204および第2のボディ電極206をさらに含んでよい。パドル202は、第1のスプライン208、第2のスプライン210、第3のスプライン212、および第4のスプライン214を含んでよく、これらのスプラインは、近位カプラ216によってカテーテルボディ200に結合され、遠位カプラ218によって互いに結合される。一実施形態では、第1のスプライン208及び第4のスプライン214は、1つの連続するセグメントであってよく、第2のスプライン210及び第3のスプライン212は、別の連続するセグメントであってよい。他の実施形態では、様々なスプライン208、210、212、214は、(例えば、近位カプラ216および遠位カプラ218によって)互いに結合された別個のセグメントであってよい。HDカテーテル13は、任意の数のスプラインを含んでよく、
図2に示される4スプライン構成は、単に例示的なものに過ぎないことを理解されたい。
【0028】
上述のように、スプライン208、210、212、214は、任意の数の電極17を含んでよく、
図2では、16個の電極17が、4×4アレイに配置されて示されている。また、電極17は、スプライン208、210、212、214に沿って及びそれらの間で測定されたときに、等間隔および/または不等間隔に配置されてもよいことを理解されたい。
【0029】
カテーテル13(または複数のこのようなカテーテル)は、典型的には、1つ以上のイントロデューサを介して、よく知られた手順を使用して、患者の心臓および/または血管系に導入される。実際、経中隔アプローチなど、カテーテル13を患者の心臓に導入するための様々なアプローチは、当業者によく知られているため、本明細書でさらに説明する必要はない。
【0030】
各電極17は患者の体内にあるので、位置データはシステム8によって各電極17に対して同時に収集される。同様に、各電極17は、心臓表面から電気生理学的データ(例えば、表面電位図)を収集するために使用され得る。当業者は、電気生理学的データポイント(例えば、接触および非接触電気生理学的マッピングの両方を含む)の取得および処理のための種々の様式に精通しており、それに関するさらなる議論は、本明細書中に開示される技術の理解に必要ではない。同様に、当技術分野でよく知られている様々な技法を使用して、複数の電気生理学データポイントから心臓の幾何学的形状および/または心臓の電気的活動のグラフィック表示を生成することができる。さらに、当業者が、電気生理学データポイントから電気生理学マップを作成する方法を理解する限りにおいて、その態様は、本開示を理解するのに必要な範囲でのみ本明細書に記載される。
【0031】
ここで
図1に戻ると、いくつかの実施形態では、任意の固定基準電極31(例えば、心臓10の壁に取り付けられる)が、第2のカテーテル29上に示される。較正目的のために、この電極31は固定されていてよく(例えば、心臓の壁に取り付けられていてもよいし、または心臓の壁の近くに取り付けられていてもよい)、またはロービング電極(例えば、電極17)と固定された空間関係に配置されていてもよい。したがって、電極31は、「ナビゲーション基準」または「局所基準」と呼ばれてもよい。固定基準電極31は、上述の表面基準電極21に加えて、またはそれに代えて使用されてもよい。多くの場合、心臓10内の冠状静脈洞電極または他の固定電極は、電圧および変位を測定するための基準として使用することができ、すなわち以下で説明されるように、固定基準電極31は、座標系の原点を定義することができる。
【0032】
各表面電極は、多重スイッチ24に結合され、表面電極の対は、表面電極を信号発生器25に結合するコンピュータ20上で実行されるソフトウェアによって選択される。あるいは、スイッチ24をなくし、各測定軸(すなわち、表面電極の各対)に対して1つずつ、複数(例えば、3つ)の信号発生器25のインスタンスを設けてもよい。
【0033】
コンピュータ20は、例えば、従来の汎用コンピュータ、専用コンピュータ、分散コンピュータ、または任意の他のタイプのコンピュータを備えてよい。コンピュータ20は、単一の中央処理装置(「CPU」)などの1つまたは複数のプロセッサ28、または一般に並列処理環境と呼ばれ、本明細書で説明する様々な態様を実施するための命令を実行することができる複数の処理装置を備えてよい。
【0034】
一般に、生物学的導体内でのカテーテルナビゲーションを実現するために、3つの名目上直交する電場が、一連の駆動および感知される電気双極子(例えば、表面電極対12/14、18/19、および16/22)によって生成される。あるいは、効果的な電極三角測量を提供するために、これらの直交場が分解され、任意の表面電極の対が双極子として駆動されてもよい。同様に、電極12、14、18、19、16、および22(または任意の数の電極)は、心臓内の電極に電流を駆動するか、または心臓内の電極から電流を感知するために、任意の他の有効な配置で配置されてもよい。例えば、複数の電極を患者11の背中、側部、及び/又は腹部に配置してよい。さらに、そのような非直交方法は、システムの柔軟性を増す。任意の所望の軸について、所定の駆動(ソース-シンク)構成のセットから生じるロービング電極にわたって測定される電位は、単に直交軸に沿って均一な電流を駆動することによって得られるであろうものと同一の実効電位を生じさせるために、代数的に結合されてもよい。
【0035】
したがって、表面電極12、14、16、18、19、22のうちの任意の2つは、腹部パッチ21などの接地基準に関して双極子ソースおよびドレインとして選択されてもよく、一方、励起されていない電極は、接地基準に関して電圧を測定する。心臓10内に配置された可動電極17は、電流パルスから場にさらされ、腹部パッチ21のような接地に対して測定される。実際には、心臓10内のカテーテルは、図示された16個の電極よりも多い又は少ない電極を含んでよく、各電極の電位が測定されてよい。前述のように、腹部パッチ21などの接地に対して測定される固定基準電極31を形成するために、少なくとも1つの電極が心臓の内面に固定されてよく、固定基準電極31は、システム8が位置を測定する座標系の原点として定義されてよい。表面電極、内部電極、及び仮想電極の各々からのデータセットは全て、心臓10内の可動電極17の位置を求めるために使用されてもよい。
【0036】
測定された電圧は、基準電極31などの基準位置に対する可動電極17などの心臓内部の電極の三次元空間内の位置を求めるために、システム8によって使用されてもよい。すなわち、基準電極31において測定された電圧は、座標系の原点を定義するために使用されてもよく、可動電極17において測定された電圧は、原点に対する可動電極17の位置を表現するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、座標系は、三次元(x、y、z)デカルト座標系であるが、極座標系、球座標系、円筒座標系などの他の座標系も考えられる。
【0037】
前述の議論から明らかであるように、心臓内の電極の位置を求めるために使用されるデータは、表面電極対が心臓に電場をかけている間に測定される。電極データはまた、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,263,397号に記載されているように、上記の電極の位置の生の位置データを改善するために使用される呼吸補償値を生成するために使用されてもよい。電極データはまた、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,885,707号に記載されるように、患者の身体のインピーダンスの変化を補償するために使用されてもよい。
【0038】
したがって、代表的な一実施形態では、システム8はまず、一組の表面電極を選択し、次いで、それらを電流パルスで駆動する。電流パルスが送達されている間、残りの表面電極および生体内電極のうちの少なくとも1つを用いて測定される電圧などの電気的活動が測定され、記憶される。呼吸および/またはインピーダンスシフトなどのアーチファクトの補償は、上述したように実行されてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、システム8は、Abbott LaboratoriesのEnSite(商標)Velocity(商標)またはEnSite Precision(商標)心臓マッピングおよび可視化システムである。しかしながら、例えば、Boston Scientific Corporation (Marlborough、Massachusetts)のRHYTHMIA HDX(商標)マッピングシステム、Biosense Webster, Inc.(Irvine, California)のCARTOナビゲーションおよびロケーションシステム、Northern Digital Inc.(Waterloo, Ontario)のAURORA(登録商標)システム、Sterotaxis, Inc.(St. Louis, Missouri)のNIOBE(登録商標)Magnetic Navigation System 、ならびにAbbott LaboratoriesのMediGuide(商標)Technology等を含む他の位置特定システムが、本教示と関連して使用されてもよい。
【0040】
次の特許に記載されている位置特定およびマッピングシステム(これらはすべて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)は、本発明においても使用することができる:米国特許第6,990,370号、6,978,168号、6,947,785号、6,939,309号、6,728,562号、6,640,119号、5,983,126号、および5,697,377号。
【0041】
本開示の態様は、カテーテル13によって測定された電気生理学的信号(例えば、バイポーラ電位図のトレース)のグラフィカル表示を、例えば、ディスプレイ23上に表示することに関する。したがって、システム8は、ディスプレイ23上に電気生理学的信号のトレースを生成するために使用することができる可視化モジュール58を含んでよい。当業者は、電気解剖学的マッピングシステムに関連する電気生理学的信号トレースのグラフィカル表示に精通しているため、電気解剖学的マッピングシステムの詳細な説明は、本開示の理解に必要ではない。
【0042】
本教示による1つの例示的な方法は、
図3として示される代表的なステップのフローチャート300を参照して説明される。いくつかの実施形態では、例えば、フローチャート300は、
図1の電気解剖学的マッピングシステム8(例えば、プロセッサ28および/または可視化モジュール58)によって実行され得るいくつかの例示的なステップを表し得る。以下に説明する代表的なステップは、ハードウェアでもソフトウェアでも実施可能であることが理解されるべきである。説明のために、「信号プロセッサ」という用語は、本明細書では、本明細書の教示のハードウェアベースの実施とソフトウェアベースの実施の両方を説明するために使用される。
【0043】
カテーテル13によって担持された3つ以上の電極17の群が、ブロック302において定義される。例えば、
図2に示される4つの電極17a、17b、17c、17dの群を考える。この群は、スプラインに沿った17a-17bと17c-17d、スプラインを横切る17a-17cと17b-17d、対角線上の17a-17dと17b-17cの合計6つの実現可能なバイポールを含む。同様に、
図2に示される3つの電極17a、17b、17cの群を考える。この群は、スプライン208に沿った17a-17b、スプラインを横切る17a-17c、および対角線上の17b-17cの合計3つの実現可能なバイポールを含む。
【0044】
本開示を説明するために、仮想バイポールおよびそれらに対応する仮想電位図を求めるための以下の説明において、カテーテル13によって担持される全ての16個の電極は、1つの群とみなされる。しかし、これは本開示の単なる例示的な実施形態であり、本開示の唯一の実施形態ではないことを理解されたい。実際、16個の電極の群の以下の説明から、当業者は、本明細書の教示を3つ以上の電極の任意の群に適用する方法を理解するであろう。
【0045】
16個の電極の例示的な群の場合、合計42個のバイポールがある(スプラインに沿って12個、スプラインを横切って12個、スプライン間で対角線上に18個)。各バイポールは、順番に、当業者によく知られている技術に従って、バイポーラ電位図を生成するために使用されてよい。さらに、これらのバイポーラ電位図は、組み合わされ(例えば、線形最小二乗法で組み合わされ)、電極の群に対する電界ループを求めることによって、カテーテル13の平面の任意の方向における電位図を生成してよい。参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第15/953,155号は、HDグリッドカテーテル上の電極の群の電界ループを求めるための詳細を開示している。
【0046】
前述の点に関して、システム8は、ブロック304において、電極の群から受信された電気生理学的信号を使用して、カテーテル13に対してそれぞれの向きを有する複数のバイポールに対応する複数の電位図を求める。それぞれの向きは「仮想バイポール」を定義し、それぞれの仮想バイポールには対応する「仮想電位図」がある。
【0047】
本開示の態様では、システム8は、半円内の各度数に対して仮想電位図を求めることができる(例えば、仮想バイポールは1度の分解能を有する)。しかしながら、システム8は、本教示の範囲から逸脱することなく、より高い分解能(例えば、仮想バイポール間の間隔が1度未満)またはより低い分解能(例えば、仮想バイポール間の間隔が1度より大きい)で仮想電位図を求めることができることを理解されたい。
【0048】
ブロック306において、仮想バイポールの向きが選択される。仮想バイポールの向きを選択するための様々なアプローチが考えられる。本開示のいくつかの実施形態では、システム8は、グラフィカルユーザインターフェースを生成し、これを介して、施術者は、仮想バイポールの向きを指定することができる。例えば、システム8は、施術者が仮想バイポールの向きを選択することを可能にするダイヤル402(
図4A)またはスライダ404(
図4B)などの向き選択制御を表示してよい。ダイヤル402は、選択された仮想バイポールの向きを施術者が理解しやすいようにインデックスマーキング406を含んでよい。
【0049】
別の例として、
図4Cに示されるように、システム8は、患者の解剖学的構造の三次元幾何学的モデル408および/またはカテーテル13のグラフィカル表示410を表示してよい。施術者は、モデル408および/またはグラフィカル表示410上で矢印412の方向を描くこと(例えば、マウスまたは他のポインティングデバイスを使用して)、および/または調整することができる。矢印412の方向は、仮想バイポールの向きを表す。
【0050】
本開示のさらに他の実施形態では、システム8は、ブロック304で求められた最大振幅の仮想電位図を特定し、それに対応するバイポールの向きを自動的に選択してもよい。
【0051】
本開示のさらに別の実施形態では、システム8は、上述の最大振幅以外の仮想電位図の所望の特性(例えば、最小分別(minimum fractionation)、最小ノイズ、最大または最小サイクル長など)を最適化するバイポールの向きを選択してもよい。
【0052】
ブロック308では、選択された仮想バイポールに対応する仮想電位図のグラフィカル表示が表示される。例えば、
図5に示されるように、仮想電位図のトレース502がディスプレイ23に出力されてよい。
図5はまた、向き選択ダイヤル402と、カテーテル13に対する仮想バイポールの向きの表示504とを示す。
【0053】
システム8はまた、ブロック310において、仮想電位図を電気生理学マップに追加してよい。当業者にはよく知られているように、電気生理学マップは、複数の電気生理学データポイントを含んでおり、電気生理学データポイントの各々は、位置データおよび電気生理学的データの両方を含む。本開示の態様では、仮想電位図がマッピングされる位置は、電極の群の位置によって決定されてよい。例えば、仮想電位図は、電極群の重心においてマッピングされてよい。
図5では、このマッピングは、カテーテル13に対する選択された仮想バイポールの向きの表示504の位置に反映される。
【0054】
ブロック312において、システム8は、当業者によく知られている技術に従って、例えば三次元心臓モデル上に、電気生理学マップのグラフィカル表示を出力してよい。
図5は、代表的な電気生理学マップ506を示す。
【0055】
ブロック314において、施術者は、向き選択ダイヤル402、スライダ404などを介して、選択された仮想バイポールの向きを調整することができる。次いで、新たに選択された仮想バイポールの向きに対応する仮想電位図のトレース502を示すようにディスプレイ23が更新される。電気生理学マップおよびそのグラフィカル表示506も、それに応じて更新されてよい。このようにして、施術者は、有利なことにカテーテル13の向きを物理的に変えなくても、カテーテル13の向きによって電気生理学的活動がどのように変化するかを視覚的に検査及び理解することができる。
【0056】
いくつかの実施形態が、特定の程度で上記に記載されたが、当業者は、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、開示された実施形態に多くの変更を行うことができる。
【0057】
例えば、本明細書の教示は、リアルタイムで(例えば、電気生理学的研究中に)、または後処理中に(例えば、前に実施された電気生理学的研究中に収集された電気生理学的データポイントに対して)適用されてよい。
【0058】
全ての方向参照事項(例えば、上、下、上方向、下方向、左、右、左へ、右へ、頭頂部、底部、上方、下方、垂直、水平、時計回り及び反時計回り、など)は、本発明に関する読者の理解を助けるための識別の目的でのみ使用されており、特に、本発明の位置、方向、又は使用に関して制限を生じさせるものではない。接続に関する参照(例えば、取り付けられた、結合された、接続された、など)は広く解釈されるべきであり、要素の接続間の中間部材及び要素間の相対的な移動を含み得る。そのため、接続に関する参照は、二つの要素が直接接続され、互いに固定されている関係にあるとは必ずしも推論されない。
【0059】
上記の記載又は添付の図面に示されている全ての事項は、例示としてのみ解釈されるべきであり、限定事項として解釈されるべきではないことが意図されている。添付の特許請求の範囲に規定されるような本発明の精神から逸脱することなく、詳細又は構造の変更がなされてもよい。
以下の項目は、国際出願時の特許請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
選択された仮想バイポールの仮想電位図を表示する方法であって、
電気解剖学的マッピングシステムにおいて、多次元カテーテルによって担持される複数の電極のそれぞれから複数の電気生理学的信号を受信するステップと、
受信された前記複数の電気生理学的信号を使用して、前記電気解剖学的マッピングシステムを介して、複数の仮想バイポールのそれぞれに関連付けられた複数の仮想電位図を求めるステップであって、前記複数の仮想バイポールのそれぞれは、対応する仮想バイポールの向きを有する、前記ステップと、
前記電気解剖学的マッピングシステムを介して、仮想バイポールの向きを選択するステップと、
前記電気解剖学的マッピングシステムを介して、選択された前記仮想バイポールの向きを有する仮想バイポールに関連付けられた仮想電位図を表示するステップと、
を備える、方法。
(項目2)
仮想バイポールの向きを選択するステップは、前記電気解剖学的マッピングシステムがグラフィカルユーザインターフェースを生成するステップと、前記グラフィカルユーザインターフェースを介して前記バイポールの向きのユーザ選択を受け付けるステップと、を備える、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記グラフィカルユーザインターフェースは、向き選択ダイヤルを備える、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記グラフィカルユーザインターフェースは、向き選択スライダを備える、項目2に記載の方法。
(項目5)
前記グラフィカルユーザインターフェースは、患者の解剖学的構造の幾何学的モデルを備え、
前記グラフィカルユーザインターフェースを介して前記仮想バイポールの向きのユーザ選択を受け付けるステップは、前記患者の解剖学的構造の前記幾何学的モデル上の前記仮想バイポールの向きのユーザ定義を受け付けるステップを備える、項目2に記載の方法。
(項目6)
前記グラフィカルユーザインターフェースは、前記多次元カテーテルのグラフィカル表示を備え、
前記グラフィカルユーザインターフェースを介して前記仮想バイポールの向きのユーザ選択を受け付けるステップは、前記多次元カテーテルの前記グラフィカル表示上の前記仮想バイポールの向きのユーザ定義を受け付けるステップを備える、項目2に記載の方法。
(項目7)
仮想バイポールの向きを選択するステップは、前記電気解剖学的マッピングシステムが最大振幅の仮想電位図に関連付けられた仮想バイポールを特定するステップを備える、項目2に記載の方法。
(項目8)
前記方法は、選択された前記仮想バイポールの向きを有する前記仮想バイポールに関連付けられた前記仮想電位図を電気生理学マップに追加するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記方法は、前記電気生理学的マップのグラフィカル表示を三次元幾何学的モデル上に出力するステップをさらに含む、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記方法は、選択された前記仮想バイポールの向きのグラフィカル表示を出力するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目11)
選択された前記仮想バイポールの向きのグラフィカル表示を出力するステップは、選択された前記仮想バイポールの向きのグラフィカル表示を前記多次元カテーテルのグラフィカル表示上に出力することを含む、項目10に記載の方法。
(項目12)
選択された仮想バイポールの仮想電位図を表示する方法であって、
電気解剖学的マッピングシステムを介して、多次元カテーテルによって担持される3つ以上の電極の群を定義するステップと、
前記多次元カテーテルによって担持される3つ以上の電極の前記群から受信された複数の電気生理学的信号を使用して、前記電気解剖学的マッピングシステムを介して、複数の仮想電位図を求めるステップであって、前記複数の仮想電位図のそれぞれは、前記多次元カテーテルに対するバイポールの向きを有するそれぞれの仮想バイポールに関連付けられる、前記ステップと、
前記電気解剖学的マッピングシステムを介して、仮想バイポールの向きを選択するステップと、
前記電気解剖学的マッピングシステムを介して、前記多次元カテーテルに対するバイポールの向きとして選択された前記仮想バイポールの向きを有する仮想バイポールに関連付けられた仮想電位図を表示するステップと、
を含む、方法。
(項目13)
仮想バイポールの向きを選択するステップは、前記電気解剖学的マッピングシステムがグラフィカルユーザインターフェースを生成するステップと、前記グラフィカルユーザインターフェースを介して前記仮想バイポールの向きのユーザ選択を受け付けるステップと、を備える、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記グラフィカルユーザインターフェースは、向き選択ダイヤルを備える、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記グラフィカルユーザインターフェースは、向き選択スライダを備える、項目13に記載の方法。
(項目16)
前記グラフィカルユーザインターフェースは、患者の解剖学的構造の幾何学的モデルを備え、
前記グラフィカルユーザインターフェースを介して前記仮想バイポールの向きのユーザ選択を受け付けるステップは、前記患者の解剖学的構造の前記幾何学的モデル上の前記仮想バイポールの向きのユーザ定義を受け付けるステップを備える、項目13に記載の方法。
(項目17)
前記グラフィカルユーザインターフェースは、前記多次元カテーテルのグラフィカル表示を含み、
前記グラフィカルユーザインターフェースを介して前記仮想バイポールの向きのユーザ選択を受け付けるステップは、前記多次元カテーテルの前記グラフィカル表示上の前記仮想バイポールの向きのユーザ定義を受け付けるステップを備える、項目13に記載の方法。
(項目18)
仮想バイポールの向きを選択するステップは、前記電気解剖学的マッピングシステムが、最大振幅の仮想電位図に関連付けられた仮想バイポールを特定するステップを備える、項目12に記載の方法。
(項目19)
前記方法は、前記多次元カテーテルに対するバイポールの向きとして選択された前記仮想バイポールの向きを有する前記仮想バイポールに関連付けられた前記仮想電位図を、電気生理学マップに追加するステップをさらに含み、
前記電気生理学マップ内の前記仮想電位図の位置は、3つ以上の電極の前記群の位置によって決定される、項目12に記載の方法。
(項目20)
前記電気生理学マップ内の前記仮想電位図の位置は、3つ以上の電極の前記群の重心によって決定される、項目19に記載の方法。
(項目21)
3つ以上の電極の前記群は、前記多次元カテーテルによって担持される全ての電極を備える、項目12に記載の方法。
(項目22)
複数の仮想バイポールのそれぞれの複数の仮想電位図を表示するシステムであって、
多次元カテーテルによって担持される複数の電極のそれぞれから複数の電気生理学的信号を受信するように構成された電気解剖学的マッピングシステムであって、前記電気解剖学的マッピングシステムは、可視化モジュールをさらに備える、前記電気解剖学的マッピングシステムを備え、
前記可視化モジュールは、
受信された前記複数の電気生理学的信号を使用して、複数の仮想バイポールのそれぞれに関連付けられた複数の仮想電位図を求め、前記複数の仮想バイポールのそれぞれは対応する仮想バイポールの向きを有し、
仮想バイポールの向きを選択し、
選択された仮想バイポールの向きを有する仮想バイポールに関連付けられた仮想電位図を表示するように構成される、
システム。
(項目23)
前記可視化モジュールは、
前記仮想バイポールの向きの選択のためのグラフィカルユーザインターフェースを生成することと、
前記グラフィカルユーザインターフェースを介して前記仮想バイポールの向きのユーザ選択を受け付けることと、
によって、前記仮想バイポールの向きを選択するように構成される、項目22に記載のシステム。
(項目24)
前記可視化モジュールは、最大振幅の仮想電位図に関連付けられた仮想バイポールを特定することによって、前記仮想バイポールの向きを選択するように構成される、項目22に記載のシステム。