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特許7175340工作機械、情報処理装置および情報処理プログラム
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  • 特許-工作機械、情報処理装置および情報処理プログラム 図1
  • 特許-工作機械、情報処理装置および情報処理プログラム 図2
  • 特許-工作機械、情報処理装置および情報処理プログラム 図3
  • 特許-工作機械、情報処理装置および情報処理プログラム 図4
  • 特許-工作機械、情報処理装置および情報処理プログラム 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】工作機械、情報処理装置および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/4155 20060101AFI20221111BHJP
   G05B 19/4069 20060101ALI20221111BHJP
   G05B 19/19 20060101ALI20221111BHJP
   G05B 19/4093 20060101ALI20221111BHJP
   G05B 19/4061 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
G05B19/4155 Z
G05B19/4069
G05B19/19 W
G05B19/19 X
G05B19/4093 H
G05B19/4061 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021064424
(22)【出願日】2021-04-05
(65)【公開番号】P2022159935
(43)【公開日】2022-10-18
【審査請求日】2021-05-31
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134430
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 卓士
(72)【発明者】
【氏名】坂本 浩也
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-088068(JP,A)
【文献】特開2003-271215(JP,A)
【文献】特開平07-028520(JP,A)
【文献】特開平09-230918(JP,A)
【文献】特開2006-260104(JP,A)
【文献】特開2007-128231(JP,A)
【文献】特開2004-326257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/4155
G05B 19/4069
G05B 19/19
G05B 19/4093
G05B 19/4061
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械で機械加工を行う前に実施される、加工プログラムに基づいた加工シミュレーションにおいて、工具および工具取付部の少なくとも一方が、ワーク、治具および機械カバーの少なくとも一つの周囲の所定領域に入る位置を、第1分割点として判定する判定部と、
実際の工作機械での動作中に前記第1分割点において前記工具を一時停止させるためのコード、または実際の工作機械での動作中に前記第1分割点において前記工具の移動速度を低下させるためのコードを前記加工シミュレーションにおいて用いられた前記加工プログラムに追加して更新された加工プログラムを実際の工作機械で実行される前に生成する加工プログラム生成部と、
を備えた情報処理装置。
【請求項2】
前記所定領域は、ワーク、治具および機械カバーの少なくとも一つから、所定距離以内の領域である請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記判定部は、さらに、
前記加工シミュレーションにおいて、工具および工具取付部の少なくとも一方が、ワーク、治具および機械カバーの少なくとも一つの周囲の所定領域から出る位置座標を、第2分割点として判定し、
前記加工プログラム生成部は、前記第2分割点において、前記工具の移動速度の低下から復帰させるためのコードを前記加工シミュレーションにおいて用いられた前記加工プログラムに追加して、更新された加工プログラムを生成する請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
工作機械で機械加工を行う前に実施される、加工プログラムに基づいた加工シミュレーションにおいて、工具および工具取付部の少なくとも一方が、ワーク、治具および機械カバーの少なくとも一つの周囲の所定領域に入る位置座標を、第1分割点として判定する判定ステップと、
実際の工作機械での動作中に前記第1分割点において、前記工具を一時停止させる、または実際の工作機械での動作中に前記工具の移動速度を低下させるためのコードを前記加工シミュレーションにおいて用いられた前記加工プログラムに追加して更新された加工プログラムを実際の工作機械で実行される前に生成する加工プログラム生成ステップと、
をコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械、情報処理装置および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野において、特許文献1には、干渉を検出した場合に送り速度を低下させる技術が開示されている。この技術では、干渉チェック後に、複数の送り速度でシミュレーションを行い、低速にすることで「ダレた軌跡」を回避し、結果として干渉を回避している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-58976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献に記載の技術は、あくまでもシミュレーション上での速度制御であり、工作機械における干渉チェックを効果的に行うことはできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る装置は、
工作機械で機械加工を行う前に実施される、加工プログラムに基づいた加工シミュレーションにおいて、工具および工具取付部の少なくとも一方が、ワーク、治具および機械カバーの少なくとも一つの周囲の所定領域に入る位置を、第1分割点として判定する判定部と、
実際の工作機械での動作中に前記第1分割点において前記工具を一時停止させるためのコード、または実際の工作機械での動作中に前記第1分割点において前記工具の移動速度を低下させるためのコードを前記加工シミュレーションにおいて用いられた前記加工プログラムに追加して更新されたを含む加工プログラムを実際の工作機械で実行される前に生成する加工プログラム生成部と、
を備えた情報処理装置である。
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係るプログラムは、
工作機械で機械加工を行う前の加工シミュレーションにおいて、工具および工具取付部の少なくとも一方が、ワーク、治具および機械カバーの少なくとも一つの周囲の所定領域に入る位置座標を、第1分割点として判定する判定ステップと、
実際の工作機械での動作中に前記第1分割点において、前記工具を一時停止させる、または実際の工作機械での動作中に前記工具の移動速度を低下させるためのコードを前記加工シミュレーションにおいて用いられた前記加工プログラムに追加して更新された加工プログラムを実際の工作機械で実行される前に生成する加工プログラム生成ステップと、
をコンピュータに実行させる情報処理プログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、工作機械での干渉チェックを効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図2】第2実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図3】第2実施形態に係る情報処理装置の処理について説明する図である。
図4】第2実施形態に係る情報処理装置の処理について説明する図である。
図5】第2実施形態に係る情報処理装置の処理について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0011】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態としての情報処理装置100について、図1を用いて説明する。情報処理装置100は、加工プログラムを生成する装置である。
【0012】
図1に示すように、情報処理装置100は、判定部101と加工プログラム生成部102とを含む。
【0013】
判定部101は、工作機械110で機械加工を行う前のシミュレーションにおいて、工具111および工具取付部(工具主軸や刃物台など)112の少なくとも一方が、ワーク113、治具114および機械カバー(不図示)の少なくとも一つの周囲の所定領域に入る位置座標を、第1分割点として判定する。
【0014】
加工プログラム生成部102は、第1分割点において、工具111を一時停止させる、または工具111の移動速度を低下させるように加工プログラム120を生成する。
【0015】
本実施形態のように加工プログラム120を生成すれば、工作機械110での干渉チェックにおいて、干渉が起こりそうな領域で自動的に工具が一時停止したり、移動速度が低下したりするため、オペレータは、余計な操作を行うことなく、干渉を確実にチェックできる。
【0016】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態に係る工作機械システムについて、図2を用いて説明する。図2は、本実施形態に係る情報処理装置200を説明するための図である。
【0017】
情報処理装置200は、NCシミュレータであり、CAM240が生成した加工プログラムとしてのNCプログラム230に応じて加工シミュレーションを行い、数値制御装置220で用いられる加工プログラムとしてのNCプログラム230を更新する。情報処理装置200は、NCシミュレーション部201と、判定部202と、NCプログラム更新部203とを含む。
【0018】
CAM240は、メインプロセッサ部241とポストプロセッサ部242とを有する。メインプロセッサ部241は、CAD(Computer-Aided Design)260から取得した形状データに基づいてCLデータ243を生成する。ポストプロセッサ部242は、CLデータ243からNCプログラム230を生成する。NCプログラム230は、ワーク情報や治具情報270とともに、情報処理装置200に送られる。
【0019】
NCシミュレーション部201は、CAM240において生成されたNCプログラム230に基づいて加工シミュレーションを行う。
【0020】
判定部202は、加工シミュレーションにおいて、工具および工具取付部の少なくとも一方が、ワーク、治具および機械カバーの少なくとも一つの周囲の所定領域に入る位置座標を、第1分割点として判定する。言い換えれば、シミュレーション中の位置決め動作でワーク/治具/工具/機械カバーがあらかじめ指定した距離よりも接近する分割点を認識する。
【0021】
NCプログラム更新部203は、第1分割点において、工具を一時停止させる、または工具の移動速度を低下させるように更新されたNCプログラム250を生成する。つまり、分割点に基づいて、NCプログラムをアップデートし、一時停止または速度低下させるためのタグ(Mコード)を追加する。更新されたNCプログラム250は数値制御装置220に入力される。
【0022】
数値制御装置220は、工作機械210における加工を数値制御する装置であり、NCプログラム230を解釈するNCインタプリタ221と工作機械210に制御指令を出力する指令出力部222とを含む。
【0023】
工作機械210としては、例えば、ワークに付加加工(Additive Manufacturing)を加える機械、ワークに除去加工(Subtractive Manufacturing)を加える機械、レーザなどの光を照射して加工する機械などが挙げられる。具体的には、旋盤、ボール盤、中ぐり盤、フライス盤、歯切り盤、研削盤、多軸加工機、レーザ加工機、積層加工機等のように、NCプログラムに基づいて数値制御され、金属、木材、石材、樹脂等のワークに対して、旋削、切断、穿孔、研削、研磨、圧延、鍛造、折り曲げ、成形、微細加工、積層加工等の各種の加工を施す機械であればよい。さらに、工作機械は計測機能を有するものでもよく、タッチプローブやカメラ等の計測器を用いてワークの寸法等を計測可能に構成されたものでもよい。
【0024】
工作機械210は、例えば3軸加工機であり、機械要素として、主軸モータ211および送り軸モータ212を含む。主軸モータ211は、工具を回転させ、送り軸モータ212は、ボールねじ等を介してテーブルをX,Y軸方向に直線移動させたり、工具またはテーブルをZ軸方向に直線移動させたりする。工作機械210はもちろん5軸加工機でもよい。
【0025】
主軸モータサーボコントローラ213は、指令出力部222からの制御指令に基づいて主軸モータ211を制御する。送り軸モータサーボコントローラ214は指令出力部222からの制御指令に基づいて送り軸モータ212を制御する。
【0026】
数値制御装置220は、更新されたNCプログラム250を解釈し、プログラム中に埋め込まれたタグ(Mコード)を認識して、工作機械210に特殊な制御指令を出力する。この制御指令は、各種コントローラ213,214に送られ、主軸モータ211や送り軸モータ212が所定の位置で、「一時停止」または「低速回転」する。
【0027】
つまり、更新されたNCプログラム250によれば、工作機械210でのNCプログラムチェック中、位置決め(G0または一定速度以上のG1/G2/G3)動作で、ワーク、治具、工具、工具取付部、および機械カバーが互いに接近するタイミングでは、自動で「一時停止」または「速度低下」する。これにより、オペレータの見過ごしによる干渉事故の発生を防止することができる。なお、量産加工時はプログラムチェックが不要なため、工作機械210において「量産モード」ではなく「試作モード」のみ、上記の「一時停止」または「速度低下」を有効にしてもよい。「試作モード」と「量産モード」とは、工作機械でプログラムチェックを行う場合などに工作機械の操作盤上で、選択できるモードである。本実施形態では、「試作モード」と「量産モード」の2つのモードを例に説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、工作機械210は、他のモードを備えてもよい。
【0028】
工作機械210において、サイクルスタートボタン215を押下すると、事前設定されている早送りオーバライドの値で各モータ211,212が再度動作する。
【0029】
早送りオーバライドはハードウェアのダイアルのため、ソフトウェアで強制的に再開後の早送りオーバライドを設定した場合に、ハードウェアのダイアル値と実際のオーバライドの値にズレが発生する。その場合、ハードウェアのダイアル値を下げて、「ハードウェアのダイアル値」よりも、「再開後の早送りオーバライドの値」が大きくなったときにソフトウェアでの強制的な早送りオーバライドの値の設定を解除し、ハードウェアのダイアル値での設定を有効にする。
工作機械210は、工具または工具取付部が工作機械の他の部分から所定距離だけ離れた位置において工具の移動を停止させるための第1コードまたは、その位置において工具の移動速度を低下させるための第2コード(例えばM998)を含む加工プログラムを実行可能である。
また、工作機械210は、工具を取り付け可能な工具取付部と、加工プログラムを実行し、工具取付部を移動させる数値制御装置220と、第1または第2コードを実行する第1モードと前記第1または第2コードを実行しない第2モードとを選択する選択部(指令出力部222に内包される)と、を備える。
数値制御装置220は、選択部での選択に基づいて、加工プログラムを実行する。ユーザは実加工でモードを選択し、工作機械210は、選択されたモードに応じて加工プログラム中の干渉回避コード(M998)を実行させる。
また、工作機械210はシミュレーション部を有してもよく、シミュレーションにおいて、干渉回避モード(所定領域での工具の移動停止や移動速度低下)の選択を行ってもよい。
【0030】
図3は、情報処理装置200での処理を説明するための図である。加工シミュレーションにおいて、工具301および工具取付部302が点1から点2~4を経て点5まで軌道303上を動くように、CAM240が生成したオリジナルのNCプログラム250が構成されているとする。ただし、点1から点2までの移動は位置決め(G0)指令によるものであり、点2から点3を経て点4までは、切削送り(G1)指令によるものである。さらに点4から点5までの移動は、位置決め(G0)指令によるものである。
【0031】
判定部202は、まず、ワーク304の位置(範囲)からX方向、Y方向およびZ方向に指定された距離(ここでは例として50mm)だけ離れた位置に境界線305,306を設定し、その境界線の内部を指定距離領域307とする。なお、ここでは、各軸に同じオフセット量(距離)を設定したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各軸に異なるオフセット量を設定してもよい。また、ワーク、治具、カバーごとに異なるオフセット量を設定してもよい。さらには、ここで指定距離領域307は、ワーク、治具、カバーなどからの「距離」によって定められているが、本発明はこれに限定されるものではない。ワーク、治具、カバーなどの位置に基づいて定められ、干渉防止を考慮した形状の所定領域であれば、どのような領域でもよい。
【0032】
指定距離領域307は、ワーク、治具および機械カバーの少なくとも一つから所定距離以内の領域である。あるいは、指定距離領域307は、ワーク、治具および機械カバーの少なくとも一つから、X方向に第1距離以内かつ、Z方向に第2距離以内の領域である。
【0033】
図3では、指定距離領域307を矩形領域として描いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、ワーク(材料)の形状に応じた領域となる。また、図3では、指定距離領域307は、平面形状のように見えるが、実際には、立体形状である。
【0034】
そして、軌道303が、指定距離領域307の内部に入る点を分割点1とし、軌道303が指定距離領域307の内部から出る点を分割点2とする。分割点1、2の座標を用いて、オリジナルのNCプログラム230を修正し、更新されたNCプログラム250を生成する。つまりNCプログラム更新部203は、分割点1において、工具を一時停止させる、または工具の移動速度を低下させるようにNCプログラム250を生成する。
【0035】
同時に、加工シミュレーションにおいても、分割点1から分割点2までの工具301の移動速度が低下するように制御する。なお、ここでは速度を低下させる例について述べるが、本発明はこれに限定されるものではない。加工シミュレーションにおいても、工作機械210においても、分割点1で、工具301を停止させて、オペレータに手動での移動を促してもよい。
【0036】
例えば、図4に示すように、点1から点2までの移動の前に、分割点1において、M998という、干渉チェックオンを表すMコードのコマンド251を挿入する。さらに、点4から点5までの移動の前に、分割点2において、M999という、干渉チェックオフを表すMコードのコマンド252を挿入する。M998は、干渉チェックオンを意味し、モータの低速回転開始指令であり、M999は、干渉チェックオフを意味し、モータの低速回転終了指令であると、数値制御装置220においてあらかじめ対応テーブルが用意されているものとする。
【0037】
つまり、NCプログラム更新部203は、分割点1において、工具の移動速度の低下を開始させ、分割点2において工具の移動速度の低下から復帰させるNC工プログラムを生成する。
【0038】
これにより、工作機械210は、更新されたNCプログラム250を実行すると、埋め込まれたコマンド251,252を認識して、オペレータが何も操作しなくても、分割点1から分割点2まで、低速で工具301が移動する。これにより、オペレータは、工具と、加工対象や、加工対象をホールドする治具(例えば爪)が接近するタイミングでは、それらが本当にぶつからないか、じっくりと寸法チェックすることができる。
【0039】
量産加工時は干渉チェックが不要なため、工作機械210に「試作モード」と「量産モード」を用意して「試作モード」の時のみ、コマンド251,252を有効にしてもよい。つまり、「量産モード」では、上述したM998やM999を読み飛ばす仕様にすればよい。
【0040】
工作機械210は、接近する対象物によって、ワークを外して干渉チェックしてもよい。また、ワーク(材料)をつけて、NCプログラムを走らせながら、工具を交換してから加工を開始するまでの、最初の工具のアプローチや、加工が終了してから工具が待機位置に退避するまでの動きを、低速状態でチェックしてもよい。
【0041】
シミュレーションでのチェックに合わせて、実際の工作機械210でも低速でチェックすることにより、より一層確実に干渉事故を回避することができる。
【0042】
図5は、情報処理装置200での処理の流れを説明するフローチャートである。
【0043】
情報処理装置200は、ステップS501において、CAM240から、機械情報、ワーク情報、治具情報および工具情報270を取得する。次に、ステップS502では、ワークおよび治具、機械カバーなど、干渉が懸念される部材の周囲に、指定距離領域を設定する。
【0044】
さらにステップS503では、工具等の軌道が指定距離領域に入る第1分割点の座標、および指定距離領域から出る第2分割点の座標を算出する。
【0045】
ステップS504では、加工シミュレーション中、第1分割点から第2分割点までの軌道における工具の移動速度を低速化する。
【0046】
ステップS505では、CAMからのオリジナルNCプログラムに対して、第1分割点から第2分割点まで、工具等が低速で移動するように所定のコマンドを挿入し、更新されたNCプログラムを生成する。
【0047】
その後、工作機械210では、更新されたNCプログラムにしたがって、試作モードの動作を行い、干渉のチェックを行った後、実加工に進む。
【0048】
以上、本実施形態によれば、工作機械での干渉チェックにおいて、干渉が起こりそうな領域で自動的に工具が一時停止したり、移動速度が低下したりするため、オペレータは、余計な操作を行うことなく、干渉を確実にチェックでき干渉事故を防止できる。
【0049】
[他の実施形態]
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の技術的範囲で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0050】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する情報処理プログラムが、システムあるいは装置に供給され、内蔵されたプロセッサによって実行される場合にも適用可能である。本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるサーバも、プログラムを実行するプロセッサも本発明の技術的範囲に含まれる。特に、少なくとも、上述した実施形態に含まれる処理ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)は本発明の技術的範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5