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特許7175347ビームフォーミング装置、ビームフォーミングシステム及びビーム発生器
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  • 特許-ビームフォーミング装置、ビームフォーミングシステム及びビーム発生器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】ビームフォーミング装置、ビームフォーミングシステム及びビーム発生器
(51)【国際特許分類】
   H01Q 3/24 20060101AFI20221111BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20221111BHJP
   H01Q 3/36 20060101ALI20221111BHJP
   H04B 7/06 20060101ALI20221111BHJP
   H04B 7/08 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
H01Q3/24
H01Q21/06
H01Q3/36
H04B7/06 950
H04B7/08 600
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021088512
(22)【出願日】2021-05-26
(65)【公開番号】P2022016300
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2021-05-26
(31)【優先権主張番号】202010655947.1
(32)【優先日】2020-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】596039187
【氏名又は名称】台達電子工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】DELTA ELECTRONICS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】黄 傑超
(72)【発明者】
【氏名】陳 彦廷
【審査官】安藤 一道
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-097620(JP,A)
【文献】特開平08-274529(JP,A)
【文献】国際公開第2018/074378(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 3/24
H01Q 21/06
H01Q 3/36
H04B 7/06
H04B 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の位相利得調整装置を含み、第1の方向における無線信号の位相を調整するように構成された位相調整回路と、
複数のビームフォーミング装置であって、前記複数のビームフォーミング装置の各々が、
前記複数の位相利得調整装置のうちの1つに電気的に接続され送受信回路と、
前記送受信回路に電気的に接続されスイッチ回路と、
複数のアンテナユニットを含むビーム発生器であって、前記複数のアンテナユニットは、複数の放射角度に応じて信号を送受信し、前記複数のアンテナユニット各々対応する前記複数の放射角度は、互いに異なり、前記スイッチ回路は、制御信号に応じて前記複数のアンテナユニットのうちの1つを前記送受信回路に選択的に導通する、ビーム発生器と、
を備える複数のビームフォーミング装置と、
を備えるビームフォーミングシステムであって、
前記ビーム発生器は、
複数の給電点を含む回路基板を含み、前記複数の給電点は、複数の導線を介して接続され、前記複数の給電点と前記複数の導線は、前記複数のアンテナユニットを形成するように構成され、
前記ビームフォーミングシステムは、第2の方向における前記無線信号の放射方向を調整するように、前記スイッチ回路により前記アンテナユニットのうちの1つを選択的に導通する、
ビームフォーミングシステム。
【請求項2】
前記複数のアンテナユニットの各々は、互いに異なる、導線長さ、面積又は分布位置を有する、請求項に記載のビームフォーミングシステム。
【請求項3】
前記送受信回路は、
前記スイッチ回路に電気的に接続され第1の切替回路と、
前記第1の切替回路に電気的に接続され受信回路、
前記第1の切替回路に電気的に接続され送信回路と、
前記位相利得調整装置のうちの1つ、前記受信回路及び前記送信回路に電気的に接続され第2の切替回路と、
を更に含み、
前記第1の切替回路は、前記スイッチ回路を前記受信回路又は前記送信回路に選択的に導通し、前記第2の切替回路は、前記位相利得調整装置のうちの1つを前記受信回路又は前記送信回路に選択的に導通する請求項に記載のビームフォーミングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示内容は、ビームフォーミングシステムに関し、特に、複数のアンテナユニットを介して無線信号を送受信する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ビームフォーミング(Beamforming)は、アンテナアレイを介して無線信号を指向的に送受信する技術である。アンテナアレイは、特定の方向で送受信信号を重ね合わせて、正確な指向性伝送を形成することができる。ビームフォーミングを実行する回路には様々な構造があるが、異なる回路構造が電力付加効率(Power Added Efficiency;PAE)に影響を与えるだけでなく、製造コストにも密接に関係する。
【発明の概要】
【0003】
本開示内容の一実施例は、送受信回路と、送受信回路に電気的に接続されるスイッチ回路と、複数のアンテナユニットを含むビーム発生器と、を備え、アンテナユニットは、複数の放射角度に応じて信号を送受信し、且つその各々に対応する放射角度が互いに異なり、スイッチ回路は、制御信号に基づいて、1つのアンテナユニットを送受信回路に選択的に導通するビームフォーミング装置である。
【0004】
本開示内容の別の実施例は、スイッチ回路に電気的に接続される複数のアンテナユニットを含むビーム発生器において、前記アンテナユニットは、複数の放射角度に応じて信号を送受信し、且つその各々に対応する放射角度が互いに異なり、スイッチ回路は、前記アンテナユニットのうちの少なくとも1つを送受信回路に選択的に導通し、且つビーム発生器は、導通された前記アンテナユニットのうちの1つに基づいて、対応する放射方向を生成するビーム発生器である。
【0005】
本開示内容の更なる実施例は、第1の方向における無線信号の位相を調整するための複数の位相利得調整装置を含む位相調整回路と、前記位相利得調整装置のうちの1つに電気的に接続される送受信回路と、スイッチ回路と、複数のアンテナユニットを含むビーム発生器と、をそれぞれ含み、前記アンテナユニットは、複数の放射角度に応じて無線信号を送受信し、且つその各々に対応する放射角度が互いに異なり、スイッチ回路は、制御信号に基づいて、1つのアンテナユニットを送受信回路に選択的に導通する複数のビームフォーミング装置と、を備えるビームフォーミングシステムである。
【発明の効果】
【0006】
ビームフォーミングシステムは、スイッチ回路の切り替えによって、送受信回路に導通されるアンテナユニットを変え、更にビーム発生器の放射方向を調整することができるため、この「受動型」ビームフォーミングシステムは、製造コストと電力付加効率を両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示内容の一部の実施例によるビームフォーミングシステムを示す模式図である。
図2】本開示内容の一部の実施例によるビーム発生器を示す模式図である。
図3】本開示内容の一部の実施例によるビームフォーミングシステムを示す模式図である。
図4】本開示内容の一部の実施例によるビーム発生器を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面で本発明の複数の実施形態を開示し、明確に説明するために、多くの実際的な細部を下記叙述で合わせて説明する。しかしながら、理解すべきなのは、これらの実際的な細部が、本発明を制限するように適用されるものではない。つまり、本開示内容の一部の実施例において、これらの実際的な細部は必要なものではない。また、図面を簡略化するために、ある従来慣用の構造及び素子は、図面において簡単で模式的に示される。
【0009】
本文では、素子が「接続」又は「結合」されると記載される場合に、「電気的接続」又は「電気的結合」を指してもよい。「接続」又は「結合」は、2つ又は複数の素子が互いに合わせて操作又は相互作用することを示すことに用いられてもよい。なお、本文には、「第1」、「第2」等の用語で異なる素子を述べるが、当該用語は同じ技術用語で述べられた素子又は操作を区別するためのものだけである。上下の文で明示しない限り、この用語は、順序又は順位を特に指示又は示唆するものではなく、本発明を限定するためのものでもない。
【0010】
本開示内容の一部の実施例によるビームフォーミングシステム100を示す図1を参照されたい。ビームフォーミングシステム100は、送受信回路110と、スイッチ回路120と、ビーム発生器130と、を含む。送受信回路110は、無線信号を受信するか、無線信号を外へ送信するために使用される。送受信回路110は、ビームフォーミングシステム100のプロセッサCに電気的に接続される。プロセッサCは、様々な演算を実行するために使用され、マイクロコントローラー(microcontroller)、マイクロプロセッサ(microprocessor)、デジタルシグナルプロセッサ(digital signal processor)、特殊用途集積回路(application specific integrated circuit;ASIC)又は論理回路として実施されてもよい。
【0011】
スイッチ回路120は、送受信回路110に電気的に接続される。一部の実施例において、スイッチ回路120は、第1のスイッチ素子121及び複数の第2のスイッチ素子122を含む。第1のスイッチ素子121は1対2のスイッチであり、第2のスイッチ素子122は2つの1対2のスイッチである。第1のスイッチ素子121及び第2のスイッチ素子122により、スイッチ回路120は、1対4の選択的スイッチング機能を持つようになる。スイッチ回路120の回路構造は、図1に示す回路に限定されなく、1つの1対8(図1に示すように、スイッチ回路120は、選択的に導通する8つの端子を有する)のスイッチ素子又は他のスイッチ回路を使用してもよい。
【0012】
図1及び図2を参照すると、図2は、本開示内容の一部の実施例によるビーム発生器130を示す模式図である。ビーム発生器130は、複数のアンテナユニット131A~131Dを含む。アンテナユニット131A~131Dは、複数の放射角度に応じて信号を送受信し、その各々に対応する前記放射角度が互いに異なる。アンテナユニット131A~131Dがスイッチ回路120の4つの端子に電気的に接続され、スイッチ回路120は、プロセッサCの送信した制御信号に基づいて、アンテナユニット131A~131Dのうちの1つを送受信回路110に選択的に導通する。
【0013】
スイッチ回路120がアンテナユニット131A~131Dを送受信回路110に導通する場合、送受信回路110は、ビーム発生器130を介して無線信号を送受信することができる。ビームフォーミングシステム100は、ビーム発生器130全体の放射方向を調整するように、スイッチ回路120によりそのうちの1つのアンテナユニット131を選択的に導通する。例えば、アンテナ131Aの放射角度は水平方向に対して5度となり、アンテナ131Bの放射角度は水平方向に対して16度となり、アンテナ131Cの放射角度は水平方向に対して27度となり、アンテナ131Dの放射角度は水平方向に対して39度となるが、本開示内容はこれに制限されない。
【0014】
例えば、スイッチ回路120が受信した制御信号に基づいて、送受信回路110をアンテナ131Aに導通すると、ビーム発生器130全体の放射方向は、アンテナユニット131Aの放射角度5度となる。同様に、スイッチ回路120が受信した制御信号に基づいて、送受信回路110をアンテナ131Bに導通すると、ビーム発生器130全体の放射方向はアンテナユニット131Bの放射角度16度となる。
【0015】
実際に、送受信回路110の製造プロセスは、ビームフォーミングシステム100のコストと電力付加効率に顕著な影響を与える。例えば、送受信回路110は、シリコンゲルマニウム(SiGe)の製造プロセスで製作(即ち、内部トランジスタがシリコンゲルマニウム材料である)されると、製造コストが低いが、電力付加効率(Power Added Efficiency;PAE)は理想的ではない。一方、送受信回路110は、窒化ガリウム(GaN)の製造プロセスで製作(即ち、内部トランジスタは窒化ガリウム材料である)されると、電力付加効率が大幅に向上するが、コストも非常に高い。
【0016】
一実施例において、送受信回路110は、良好な電力付加効率を確保するように、窒化ガリウムの製造プロセスを使用する。図1に示すように、ビームフォーミングシステム100がスイッチ回路120により接続され、且つ複数のアンテナユニット131A~131Dを選択的に導通するため、送受信回路110にチャンネル(channel)を1つのみ配置するだけで、高いアンテナ利得を発生することができる。
【0017】
図1に示すように、送受信回路110、スイッチ回路120及びビーム発生器130は、1つの「受動型」ビームフォーミング装置200とされてよい。「受動型」とは、送受信回路110に、信号の位相又は強さを調整するための調整回路を設ける必要はないことである。受動型ビームフォーミング装置200は、スイッチ回路120により異なるアンテナユニット131A~131Dの切り替え状態に導通して、ビーム発生器130全体の放射方向を変える。これにより、信号伝送の正確性、電力付加効率及び製造コストを両立することができる。
【0018】
一実施例において、アンテナユニット131A~131Dは、パッチアンテナ(Patch antenna)であってよく、且つその導線の長さ、面積(又は導線幅)又は分布領域が互いに異なるので、各アンテナユニットが一定で且つ互いに異なる放射角度及び放射パターンを持つようになる。一部の実施例において、ビーム発生器130は、回路基板Pを含む。アンテナユニット131A~131Dは、回路基板Pに設けられる。図2に示すように、回路基板Pに複数の給電点P10が含まれる。給電点P10同士が導線P11を介して接続されるので、給電点P10及び導線P11は、アンテナユニット131A~131Dを形成するために使用される。各アンテナユニット131A~131Dは、その各々における導線長さ、面積及び分布領域が互いに異なるため、異なる放射角度(放射パターン)を有する。
【0019】
一実施例において、送受信回路110は、スイッチ回路120及びプロセッサCに電気的に接続され、且つ第1の切替回路111、第2の切替回路112、受信回路113及び送信回路114を含む。受信回路113及び送信回路114は、第1の切替回路111と第2の切替回路112との間に電気的に接続される。スイッチ回路120を受信回路113又は送信回路114に選択的に導通するように、第1の切替回路111の一端は、スイッチ回路120に電気的に接続される。第2の切替回路112の一端は、無線信号の処理のための装置に電気的に接続される。プロセッサCをスイッチ回路120に選択的に導通するように、第1の切替回路111及び第2の切替回路112は、プロセッサCによって制御される。つまり、送受信回路110は、第1の切替回路111及び第2の切替回路112により、受信した無線信号を無線信号の処理のための装置に選択的に伝達するか、前記装置から発生した無線信号をスイッチ回路120に伝達することができる。
【0020】
一実施例において、本発明者の実際の試験によれば、「受動型」ビームフォーミング装置200を有するビームフォーミングシステム100は、消費電力(power consumption)が2.4ワットである。現在、他のビームフォーミング装置の消費電力は10~15ワットである。ビームフォーミングシステム100の実効等方放射電力(Effective Isotropic Radiated Power;EIRP)も規格に準拠している41dBmに達する。なお、前記のように、送受信回路110にチャンネル(channel)が1つのみ配置されてよいため、窒化ガリウムの製造プロセスのコストを節約することができる。
【0021】
本開示内容の他の部分の実施例によるビームフォーミングシステム300を示す模式図である図3を参照されたい。図3において、理解しやすくするために、図1の実施例に関連する同様な素子は同じ参照符号で示され、且つ同様な素子の具体的な原理については、前記段落で詳細に説明されており、図3の素子との間で相乗効果を有することで紹介する必要があるわけでなければ、ここで繰り返して説明しない。
【0022】
この実施例において、ビームフォーミングシステム300は、位相調整回路310と、複数のビームフォーミング装置200と、を含む「ハイブリッド型(Hybrid)」アーキテクチャである。即ち、位相調整回路310は、無線信号の位相及び強さを主動的に調整することができ、ビームフォーミング装置200はスイッチ回路120により、放射方向の切り替えという目的が受動的に達成される。図3に示すように、位相調整回路310は、プロセッサ及び前記ビームフォーミング装置200に電気的に接続され、且つ複数の位相利得調整装置311を含む。位相利得調整装置311は、駆動回路320から伝達された調整命令に応じて、第1の方向における無線信号の位相を調整するために使用される。一部の実施例において、位相調整回路310は、「垂直方向」の信号位相を調整するために使用される。なお、一部の実施例において、位相調整回路310は、シリコンゲルマニウムの製造プロセスによって製造され、即ちシリコンゲルマニウム材料のトランジスタを含む。当業者であれば、位相調整回路310の動作原理を理解することができるので、ここで繰り返して説明しない。ビームフォーミング装置200は、前述実施例に記載の「受動型」ビームフォーミング装置であってよい。ビームフォーミング装置200は、送受信回路210、スイッチ回路120及びビーム発生器130を含む。スイッチ回路120及びビーム発生器130の回路及び動作方法については、前述実施例で説明したため、ここで繰り返して説明しない。
【0023】
具体的に、位相利得調整装置311が利得調整回路311a及び位相調整回路311bを含むので、位相利得調整装置311は、駆動回路320から伝送された調整命令を受信した後で、無線信号の利得を調整してから、無線信号の位相を調整するようになる。当業者であれば、位相利得調整装置311の回路と動作原理を理解することができるので、ここで繰り返して説明しない。
【0024】
各ビームフォーミング装置200の送受信回路210の各々は、それぞれ1つの位相利得調整装置311に電気的に接続される。ビームフォーミング装置200における各ビーム発生器130は、第2の方向で異なる放射パターンを有する。このため、第2の方向におけるビーム発生器130の放射方向を決定するように、スイッチ回路120は、ビーム発生器130のうちの1つのアンテナユニットに選択可能に接続される。一実施例において、ビームフォーミング装置200は、スイッチ回路120により「水平方向」におけるビーム発生器130の放射方向を調整する。
【0025】
図3に示すように、位相調整回路310は、位相利得調整装置311により、第1の方向における送受信した無線信号の放射角度を主動的に調整することができる。ビームフォーミング装置200は、スイッチ回路120により、第2の方向における無線信号の放射角度を受動的に調整する。これにより、主動と受動、シリコンゲルマニウムの製造プロセスと窒化ガリウムの製造プロセスとの合わせによって、コストとのバランスを取りながら、良好な電力変換効率を実現することができる。なお、ビームフォーミングシステム300は、複数のビームフォーミング装置200を含むため、同樣な消費電力でより長い伝送距離に達することを可能にする。
【0026】
図3に示すように、一実施例において、送受信回路210は、第1の切替回路211、第2の切替回路212、送信回路213及び受信回路214を含む。第1の切替回路211の一端は、スイッチ回路120に電気的に接続される。送信回路213及び受信回路214は、第1の切替回路211の他端に電気的に接続される。第2の切替回路212の両端は、そのうちの1つの位相調整器311、受信回路213及び送信回路214に電気的に接続される。第1の切替回路211は、スイッチ回路120を受信回路214又は送信回路213に選択的に導通する。第2の切替回路212は、対応する位相調整器311を受信回路214又は送信回路213に選択的に導通する。
【0027】
図4に示すように、本開示内容の他の部分の実施例によるビーム発生器430を示す模式図である。図面が複雑になりすぎて視認しにくくなるのを防ぐために、図4において、給電点や導線を省略する。この実施例において、ビーム発生器430は、8つのアンテナユニット431A~431Hを含む。アンテナユニット431A~431Hは、垂直偏波調整部VP及び水平偏波調整部HPを更に含む。即ち、アンテナユニット431A~431Hの垂直偏波調整部VPは、垂直偏波の信号を送受信するために使用される。アンテナユニット431A~431Hの水平偏波調整部HPは、水平偏波の信号を送受信するために使用される。この実施例において、アンテナユニット431A~431Hの垂直偏波調整部VP、水平偏波調整部HPの対応する放射角度はそれぞれ「39、27、16、5、-5、-16、-27及び-39」度であり、二重偏波アンテナの機能を備える。
【0028】
一実施例において、「ハイブリッド型」のビームフォーミングシステム300は、4つのチャンネルを含む。即ち、4つのビーム発生器130を有する。本発明者の実際の試験によれば、ビームフォーミングシステム300は、実効等方放射電力が約53dBmまで向上することができ、消費電力が12ワットであるが、現在、他のビームフォーミングシステムは、同様な実効等方放射電力を実現しようとすれば、その電力消費が約40~60ワットにも達する。
【0029】
他の部分の実施例において、「ハイブリッド型」のビームフォーミングシステム300は、8つのチャンネルを含む。即ち、8つのビーム発生器130を有する。試験によれば、ビームフォーミングシステム300は、実効等方放射電力が約59dBmに向上することができ、消費電力が24ワットであり、現在、他のビームフォーミングシステムは同様な実効等方放射電力を実現するには、その電力消費が約75~100ワットにも達し、本開示内容のよりもはるかに高い。
【0030】
前述各実施例における様々な素子、方法ステップ又は技術的特徴は、互いに組み合わせてよいが、本開示内容のテキストで説明された順序又は図面に示された順序に限定されない。
【0031】
本開示内容は実施形態を前述の通りに開示したが、これは本開示内容を限定するものではなく、当業者であれば、本開示内容の精神と範囲から逸脱しない限り、多様の変更や修飾を加えることができる。従って、本開示内容の保護範囲は、下記特許請求の範囲で指定した内容を基準とするものである。
【符号の説明】
【0032】
100:ビームフォーミングシステム
110:送受信回路
111:第1の切替回路
112:第2の切替回路
113:受信回路
114:送信回路
120:スイッチ回路
121:第1のスイッチ素子
122:第2のスイッチ素子
130:ビーム発生器
131A-131D:アンテナユニット
200:ビームフォーミング装置
210:送受信回路
211:第1の切替回路
212:第2の切替回路
213:送信回路
214:受信回路
300:ビームフォーミングシステム
310:位相調整回路
311:位相利得調整装置
320:駆動回路
430:ビーム発生器
431A-431H:アンテナユニット
C:プロセッサ
P:回路基板
P10:給電点
P11:導線
VP:垂直偏波調整部
HP:水平偏波調整部
図1
図2
図3
図4