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特許7175366流量制御弁並びにこれを備えるサックバックバルブ及び開閉弁
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】流量制御弁並びにこれを備えるサックバックバルブ及び開閉弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/126 20060101AFI20221111BHJP
   F16K 31/145 20060101ALI20221111BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
F16K31/126 Z
F16K31/145
B05C11/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021166161
(22)【出願日】2021-10-08
【審査請求日】2021-10-11
(31)【優先権主張番号】P 2021121066
(32)【優先日】2021-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000117102
【氏名又は名称】旭有機材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147599
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 匡孝
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 善章
(74)【代理人】
【識別番号】100098062
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 明彦
(72)【発明者】
【氏名】吉野 研郎
(72)【発明者】
【氏名】熊田原 佑亮
(72)【発明者】
【氏名】松下 浩幸
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-35107(JP,A)
【文献】特開平10-281335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/12-31/165
F16K 31/36-31/42
B05C 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のポート及び第2のポートと、該第1のポートから延びる第1の流路と、該第2のポートから延びる第2の流路とが形成された制御弁本体と、
前記第1の流路と前記第2の流路との間に並行して設けられた絞り部及び排出流量調整機構部と、
を備え、
前記制御弁本体内に、前記第1の流路と前記第2の流路とに連通する流量調整弁室と、前記第1の流路と前記第2の流路との間を接続するように前記流量調整弁室と並行して設けられた並行流路とがさらに形成され、前記第1の流路から前記流量調整弁室への開口部の周囲に流量調整弁座が設けられ、前記並行流路に前記絞り部が配置され、前記第1の流路と第2の流路とを常時連通させており、
前記排出流量調整機構部が、前記制御弁本体に形成された流量調整弁室及び流量調整弁座と、収容室が形成された調整機構筐体と、周縁部を前記調整機構筐体と前記制御弁本体との間に挟持され且つ前記流量調整弁座と対向するように前記流量調整弁室内に配置されて前記流量調整弁座に接離するダイヤフラムと、前記収容室内に収容されており且つ前記ダイヤフラムを前記流量調整弁座に圧接させる方向に付勢する流量調整付勢部材とを含み、前記第1の流路内の流体の圧力と前記流量調整弁室内の圧力とにより前記ダイヤフラムに作用する力が予め定められた値以下のときに前記ダイヤフラムが前記流量調整弁座に着座して前記流量調整弁室を介した前記第1の流路と前記第2の流路との間の流体の流通を閉止させ、前記第1の流路内の流体の圧力と前記流量調整弁室内の圧力とにより前記ダイヤフラムに作用する力が前記予め定められた値を越えているときに前記ダイヤフラムが前記流量調整付勢部材による付勢力に抗して前記流量調整弁座から離間して前記流量調整弁室を介した前記第1の流路と前記第2の流路との間の流体の流通を許容するようになっており、
前記第1の流路と前記第2の流路との間に、前記並行流路と並行して環状の付加流路がさらに設けられており、前記付加流路に、前記第1の流路から前記第2の流路への流体の流通を許容すると共に前記第2の流路から前記第1の流路への流体の流通を防止するチェック弁機構部が設けられており、前記チェック弁機構部が、可撓性のリップ構造部を有し且つ前記付加流路に配置された環状のリップパッキンによって構成されていることを特徴とする流量制御弁。
【請求項2】
第1の受け部材が前記収容室内にさらに配置されており、前記流量調整付勢部材が前記第1の受け部材を介して前記ダイヤフラムを付勢するように構成されている、請求項に記載の流量制御弁。
【請求項3】
第2の受け部材が前記収容室内において前記流量調整付勢部材を挟んで前記第1の受け部材と反対側に配置されており、排出流量調整機構部において、前記第1の受け部材と前記第2の受け部材との距離を調整可能な付勢力調整機構がさらに設けられている、請求項に記載の流量制御弁。
【請求項4】
前記流量調整付勢部材がコイルばねによって構成されている、請求項1から請求項の何れか一項に記載の流量制御弁。
【請求項5】
前記絞り部がオリフィスによって構成されている、請求項1から請求項の何れか一項に記載の流量制御弁。
【請求項6】
前記絞り部がニードル弁によって構成されている、請求項1から請求項の何れか一項に記載の流量制御弁。
【請求項7】
流体通路の開閉を行う開閉弁部と、該開閉弁部の下流側に配置され且つ該開閉弁部による流体通路の閉止後に前記流体通路内の流体の吸い戻しを行う吸戻機構部と、請求項1から請求項の何れか一項に記載の流量制御弁とを備えるサックバックバルブであって、
前記開閉弁部と前記吸戻機構部とが共通の切換弁に接続され、前記切換弁を経て前記開閉弁部及び前記吸戻機構部に対する駆動流体の供給及び排出を行うようになっており、前記切換弁を経た駆動流体の供給が行われると、前記開閉弁部が開くと共に前記吸戻機構部が待機状態になり、前記切換弁を経た駆動流体の排出が行われると、前記開閉弁部が閉じると共に前記吸戻機構部が吸い戻し動作を行い、前記流量制御弁の前記第1のポート及び前記第2のポートがそれぞれ前記切換弁及び前記開閉弁部に接続されていることを特徴とするサックバックバルブ。
【請求項8】
切換弁を経た駆動流体の供給及び排出により弁座に弁体を接離させて流体通路の開閉を行う開閉弁であって、
前記開閉弁が、前記切換弁を経た駆動流体の供給が行われると、前記開閉弁が開いた状態になり、前記切換弁を経た駆動流体の排出が行われると、前記開閉弁が閉じた状態になるように構成されており、前記切換弁と前記開閉弁との間に請求項1から請求項の何れか一項に記載の流量制御弁が設けられ、該流量制御弁の前記第1のポート及び前記第2のポートがそれぞれ前記切換弁及び前記開閉弁に接続されていることを特徴とする開閉弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部流路を流通する流体の流量を切り換えることができる流量制御弁並びにこれを備えるサックバックバルブ及び開閉弁に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体製造装置における半導体ウエハに薬液等の液体を供給するための配管等では、液体の供給を停止した後に配管の末端部からの液だれを防止するために、配管内の液体を吸い戻すサックバックバルブが使用されている。サックバックバルブとしては、ピストンを収容するシリンダ室内に対して駆動流体の供給及び排出を行ってピストンを移動させ、ピストンに連動するダイヤフラムの弾性変形により、配管に連通する吸戻室の容積を増減させて配管内の液体を吸い戻す機構を持つものが一般的である(例えば、特許文献1参照。)。このようなサックバックバルブは、配管内の流体通路の開閉を行うための開閉弁の下流側に配置される。また、特許文献2や特許文献3に記載のように、流体通路の開閉を行うための開閉弁部と、流体通路内の液体の吸い戻しを行うための吸戻機構部とを一体的に備えたサックバックバルブもある。
【0003】
開閉弁とサックバックバルブの動作を個別に制御すると、開閉弁による液体の流通の閉止とサックバックバルブによる液体の吸い戻しのタイミングを合わせるのが困難で、制御が煩雑となる。このため、駆動流体の供給と排出とを切り換える共通の一つの切換弁から分岐した配管を開閉弁部と吸戻機構部とに接続し、一つの切換弁の動作によって開閉弁部と吸戻機構部の動作を制御することが多い。
【0004】
一つの切換弁の動作によって開閉弁部と吸戻機構部とを動作させる場合、例えば、サックバックバルブは、バルブ本体と、開閉弁部と、吸戻機構部とを備え、バルブ本体に、入口流路と出口流路とを含む流体通路と、入口流路が開口する弁室と、弁室と出口流路との間に位置する吸戻室とが形成されているようにすればよい。
【0005】
開閉弁部は、ピストンを収容するシリンダ室内に対して駆動流体の供給及び排出を行うことによってピストンを移動させ、ピストンに連動する弁体を弁室における入口流路からの開口の周囲に形成された弁座に接離させる。シリンダ室内には、弁体を弁座に押し付ける方向にピストンを付勢する付勢ばねが配置されている。このような構成の開閉弁部では、シリンダ室に駆動流体を供給することによって、シリンダ室内の駆動流体の圧力による力が付勢ばねの付勢力に抗してピストンを移動させて弁座から弁体を離間させて流体を流通させる開弁動作を行わせることができる。また、シリンダ室から駆動流体を排出することによって、シリンダ室内の駆動流体の圧力よる力よりも付勢ばねによる付勢力が上回って弁体を弁座に近づける方向にピストンを移動させ、弁体を弁座に圧接させて流体の流通を閉止させる閉弁動作を行わせることができる。
【0006】
吸戻機構部は、ピストンを収容するシリンダ室内に対して駆動流体の供給及び排出を行うことによってピストンを移動させ、ピストンに連動して、吸戻室に面するダイヤフラムを変形させ、吸戻室の容積を増減させる。シリンダ室内には、吸戻室から離れる方向にピストンを付勢する付勢ばねが配置されている。このように構成された吸戻機構部では、シリンダ室に駆動流体を供給することによって、シリンダ室内の駆動流体の圧力による力が付勢ばねの付勢力に抗してピストンを移動させて吸戻室へ向けてダイヤフラムを膨出させて待機状態にする。また、シリンダ室から駆動流体を排出することによって、シリンダ室内の駆動流体の圧力による力よりも付勢ばねによる付勢力が上回って吸戻室からダイヤフラムを後退させる方向にピストンを移動させ、ダイヤフラムを元の形状に復帰させる。このようなダイヤフラムの変形に伴う吸戻室の容積の増減によって、流体通路(詳細には出口流路)内の液体の吸い戻しが行われる。
【0007】
上述のような構成のサックバックバルブでは、駆動流体が切換弁から開閉弁部及び吸戻機構部のシリンダ室に供給されると、開閉弁部によって弁体が弁座から離間させられて流体通路内の液体の流通が開始されると共に、吸戻機構部によってダイヤフラムが吸戻室内へ膨出させられて待機状態となる。一方、開閉弁部及び吸戻機構部のシリンダ室内の駆動流体が切換弁を通じて排出されると、開閉弁部によって弁体が弁座に圧接されて流体通路内の液体の流通が閉止されると共に、吸戻機構部によってダイヤフラムが吸戻室から後退して、吸戻室の容積が増加し、流体通路(詳細には出口流路)内の液体が吸い戻される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】実公平08-010399号公報
【文献】実開平3-115267号公報
【文献】特開平11-37327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
開閉弁部と吸戻機構部とを備えるサックバックバルブでは、開閉弁部による閉弁動作を急激に行うと、閉弁動作の完了後に吸戻機構部による吸い戻し動作を行ったとしても、閉弁後も液体の慣性で液柱分離が発生して下流側流路の末端のノズルから液漏れが生じたり、ウォーターハンマー現象が生じて下流側流路を圧力衝撃波が伝搬し、末端のノズルから液体の飛散が起きたりすることがある。このような現象を防ぐためには、閉弁動作をゆっくりと行わせる必要がある。しかしながら、閉弁動作をゆっくり行わせると、閉弁動作に要する時間が長くなり、サックバックバルブを使用する工程のスループットの悪化を招いてしまう。したがって、開閉弁部が閉弁状態の直前までは閉弁動作を速く行い、その後にゆっくりと閉弁状態に移行することが望ましい。一方、閉弁状態から開弁状態にする際には、動作速度を変更せずに迅速に全開状態にすることが望まれる。
【0010】
上述した構成のように駆動流体によって作動されるサックバックバルブの開閉弁部では、開閉弁部のシリンダ室から駆動流体を排出してシリンダ室内の駆動流体の圧力を減少させることによって閉弁動作が行われる。したがって、上述の末端のノズルからの液漏れや液体の飛散を抑制するためには、最初の段階で大きな流量で駆動流体を開閉弁部のシリンダ室から排出させ、排出される駆動流体の圧力が所定値以下まで減少したときに、少ない流量で駆動流体を開閉弁部のシリンダ室から排出させることを可能とさせることが求められる。また、駆動流体源から高い圧力の駆動流体が供給されて開閉弁部を閉弁状態から開弁状態にする際には、多い流量を維持したまま駆動流体を開閉弁部のシリンダ室に供給できるようにすることが求められる。
【0011】
よって、本発明の目的は、従来技術に存する問題を解決するために、流通する流体が所定の圧力を越えた状態を維持すると、大きな流量を確保し、流通する流体が所定の圧力以下に低下すると、大きい流量から少ない流量へと変化させる流量制御弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的に鑑み、本発明は、第1の態様として、第1のポート及び第2のポートと、該第1のポートから延びる第1の流路と、該第2のポートから延びる第2の流路とが形成された制御弁本体と、前記第1の流路と前記第2の流路との間に並行して設けられた絞り部及び排出流量調整機構部とを備え、前記制御弁本体内に、前記第1の流路と前記第2の流路とに連通する流量調整弁室と、前記第1の流路と前記第2の流路との間を接続するように前記流量調整弁室と並行して設けられた並行流路とがさらに形成され、前記第1の流路から前記流量調整弁室への開口部の周囲に流量調整弁座が設けられ、前記並行流路に前記絞り部が配置され、前記第1の流路と前記第2の流路とを常時連通させており、前記排出流量調整機構部が、前記制御弁本体に形成された流量調整弁室及び流量調整弁座と、収容室が形成された調整機構筐体と、周縁部を前記調整機構筐体と前記制御弁本体との間に挟持され且つ前記流量調整弁座と対向するように前記流量調整弁室内に配置されて前記流量調整弁座に接離するダイヤフラムと、前記収容室内に収容されており且つ前記ダイヤフラムを前記流量調整弁座に圧接させる方向に付勢する流量調整付勢部材とを含み、前記第1の流路内の流体の圧力と前記流量調整弁室内の圧力とにより前記ダイヤフラムに作用する力が予め定められた値以下のときに前記ダイヤフラムが前記流量調整弁座に着座して前記流量調整弁室を介した前記第1の流路と前記第2の流路との間の流体の流通を閉止させ、前記第1の流路内の流体の圧力と前記流量調整弁室内の圧力とにより前記ダイヤフラムに作用する力が前記予め定められた値を越えているときに前記ダイヤフラムが前記流量調整付勢部材による付勢力に抗して前記流量調整弁座から離間して前記流量調整弁室を介した前記第1の流路と前記第2の流路との間の流体の流通を許容するようになっており、前記第1の流路と前記第2の流路との間に、前記並行流路と並行して環状の付加流路がさらに設けられており、前記付加流路に、前記第1の流路から前記第2の流路への流体の流通を許容すると共に前記第2の流路から前記第1の流路への流体の流通を防止するチェック弁機構部が設けられており、前記チェック弁機構部が、可撓性のリップ構造部を有し且つ前記付加流路に配置された環状のリップパッキンによって構成されている流量制御弁を提供する。
【0013】
上記流量制御弁では、第1のポートから延びる第1の流路と第2のポートから延びる第2の流路とを常時連通させる絞り部と、排出流量調整機構部とが、第1の流路と第2の流路との間に並行して設けられている。排出流量調整機構部は、第1の流路内の流体の圧力による力と第2の流路内の流体の圧力による力の合力が予め定められた値以下になっているときに第1の流路と第2の流路との間の流体の流通を閉止させ、第1の流路内の流体の圧力による力と第2の流路内の流体の圧力による力の合力が予め定められた値を越えているときに第1の流路と第2の流路との間の流体の流通を許容するように構成されている。したがって、第1の流路及び第2の流路内の流体の圧力による力が予め定められた値を越えているときには、絞り弁部に加えて排出流量調整機構部も第1の流路と第2の流路との間で流体を流通させ、第1のポートと第2のポートとの間で大きな流量での流体の流通が確保される。一方、第1の流路及び第2の流路内の流体の圧力による力が予め定められた値以下になっているときには、排出流量調整機構部は第1の流路と第2の流路との間の流体の流通を閉止させるので、第1の流路と第2の流路との間では、流体は絞り部を通して流通するのみとなる。したがって、第1のポートと第2のポートとの間では少ない流量でしか流体が流通できなくなる。すなわち、上記流量制御弁は、第1の流路及び第2の流路内の流体の圧力による力が予め定められた値を越えた状態から予め定められた値以下まで減少すると、大きな流量から少ない流量へと流体の流量を変化させる。さらに、第1の流路と第2の流路とに連通する流量調整弁室と並行して、第1の流路と第2の流路との間を接続するように並行流路が設けられており、並行流路に絞り部が設けられている。排出流量調整機構部のダイヤフラムは、流量調整付勢部材によって第1の流路から流量調整弁室への開口部の周囲に設けられた流量調整弁座に押圧される方向に付勢されている。また、排出流量調整機構部のダイヤフラムは、流量調整弁座に着座しているときには第1の流路内の流体と第2の流路と連通する流量調整弁室内の流体の圧力が作用し、流量調整弁座から離間しているときには第1の流路及び第2の流路と連通する流量調整弁室内の流体の圧力が作用するようになっている。ダイヤフラムが流量調整弁座から離間している状態では、第1の流路及び第2の流路が流量調整弁室内に連通しているので、流量調整弁室内の流体の圧力によりダイヤフラムに作用する力は、第1の流路内の流体の圧力と第2の流路内の流体の圧力によりダイヤフラムに作用する力の合力となる。ダイヤフラムが流量調整弁座から離間している状態から、流量調整弁室内の流体の圧力が低下していくと、流量調整弁室内の流体の圧力によりダイヤフラムに作用する力が流量調整付勢部材によってダイヤフラムに作用する付勢力を下回って、ダイヤフラムが流量調整付勢部材によって流量調整弁座に着座するようになる。これにより、排出流量調整機構部が第1の流路と第2の流路との間で流量調整弁室を通した流体の流通を閉止するので、第1の流路と第2の流路との間では絞り部のみを通して流体の流通が行われるようになる。よって、流量調整弁室内の流体の圧力が予め定められた値(すなわち流量調整弁室内の流体の圧力によりダイヤフラムに作用する力が流量調整付勢部材によってダイヤフラムに作用する付勢力を下回るようになるときの流量調整弁室内の流体の圧力)まで低下すると、第1のポートと第2のポートとの間を流通する流体の流量が減少するようになる。
【0016】
第1の受け部材が前記収容室内にさらに配置されており、前記流量調整付勢部材が前記第1の受け部材を介して前記ダイヤフラムを付勢するように構成されているようにすることが好ましい。この場合、第2の受け部材が前記収容室内において前記流量調整付勢部材を挟んで前記第1の受け部材と反対側に配置されており、排出流量調整機構部において、前記第1の受け部材と前記第2の受け部材との距離を調整可能な付勢力調整機構がさらに設けられているようにすることがさらに好ましい。
【0019】
前記流量調整付勢部材は、例えば、コイルばねによって構成されていてもよい。さらに、前記絞り部は、オリフィスによって構成されていてもよく、ニードル弁によって構成されるようにしてもよい。
【0020】
本発明は、第2の態様として、流体通路の開閉を行う開閉弁部と、該開閉弁部の下流側に配置され且つ該開閉弁部による流体通路の閉止後に前記流体通路内の流体の吸い戻しを行う吸戻機構部と、上記流量制御弁とを備えるサックバックバルブであって、前記開閉弁部と前記吸戻機構部とが共通の切換弁に接続され、前記切換弁を経て前記開閉弁部及び前記吸戻機構部に対する駆動流体の供給及び排出を行うようになっており、前記切換弁を経た駆動流体の供給が行われると、前記開閉弁部が開くと共に前記吸戻機構部が待機状態になり、前記切換弁を経た駆動流体の排出が行われると、前記開弁部が閉じると共に前記吸戻機構部が吸い戻し動作を行い、前記流量制御弁の前記第1のポート及び前記第2のポートがそれぞれ前記切換弁及び前記開閉弁部に接続されているサックバックバルブを提供する。
【0021】
上記サックバックバルブでは、流体通路の開閉を行う開閉弁部と流体通路内の流体の吸い戻しを行う吸戻機構部とが共通の切換弁に接続され、切換弁を経て開閉弁部及び吸戻機構部に対する駆動流体の供給及び排出が行われる。また、上記流量制御弁の第1のポート及び第2のポートがそれぞれ切換弁と開閉弁部に接続されている。切換弁から開閉弁に駆動流体を供給するときには、流量制御弁の第1の流路内を流通する流体の圧力が高くなり、流量制御弁の排出流量調整機構部が第1の流路から第2の流路への駆動流体の流通を許容する。したがって、第1のポートから第2のポートへ排出流量調整機構部と絞り部の両方を通して駆動流体を流通させることで、切換弁から開閉弁部に大流量で駆動流体を供給し、迅速に開閉弁部を開弁状態にすることができる。一方、切換弁から開閉弁部及び吸戻機構部に駆動流体を供給する状態から開閉弁部及び吸戻機構部から駆動流体を排出するように切換弁を切り換えた直後は、流量制御弁の第1の流路及び第2の流路内の流体の圧力が高いままなので、流量制御弁の排出流量調整機構部が第2の流路から第1の流路への駆動流体の流通を許容する。したがって、第2のポートから第1のポートへ排出流量調整機構部と絞り部の両方を通して駆動流体を流通させながら、開閉弁部から切換弁に駆動流体を急速に排出させることができる。開閉弁部内の駆動流体の圧力が低下していくと、やがて第2のポート及び第2の流路を介して開閉弁部内と連通する排出流量調整機構部の第2の流路及び第1の流路内の駆動流体の圧力によりダイヤフラムに作用する力も予め定められた値以下まで低下する。これにより、流体制御弁の排出流量調整機構部は第2の流路から第1の流路への駆動流体の流通を閉止させる。したがって、第2のポートから第1のポートへ絞り部のみを通して駆動流体が開閉弁部から排出される。この結果、開閉弁部内の駆動流体の圧力の低下が緩やかになり、開閉弁部の閉弁動作を緩やかにすることが可能となる。
【0022】
本発明は、第3の態様として、切換弁を経た駆動流体の供給及び排出により弁座に弁体を切離させて流体通路の開閉を行う開閉弁であって、前記開閉弁が、前記切換弁を経た駆動流体の供給が行われると、前記開閉弁が開いた状態になり、前記切換弁を経た駆動流体の排出が行われると、前記開閉弁が閉じた状態になるように構成されており、前記切換弁と前記開閉弁との間に上記流量制御弁が設けられ、該流量制御弁の前記第1のポート及び前記第2のポートがそれぞれ前記切換弁及び前記開閉弁に接続されている開閉弁を提供する。
【0023】
上記開閉弁では、切換弁を経て開閉弁に対する駆動流体の供給及び排出が行われる。また、上記流量制御弁の第1のポート及び第2のポートがそれぞれ切換弁と開閉弁部に接続されている。したがって、前記サックバックバルブの場合と同様に、開閉弁内の駆動流体の圧力の低下が緩やかになり、開閉弁の閉弁動作を緩やかにすることが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の流量制御弁によれば、第1の流路及び第2の流路内の流体の圧力による力が予め定められた値を越えた状態から予め定められた値以下まで減少すると、大きな流量から少ない流量へと流通させる流体の流量を変化させることができる。すなわち、流通する流体による力が所定の値を越えた状態を維持すると、大きな流量を確保し、流通する流体の圧力による力が所定の値以下まで低下すると、大きい流量から少ない流量へと変化させる流量制御弁が実現される。そこで、流体通路の開閉を行う開閉弁部と流体通路内の流体の吸い戻しを行う吸戻機構部とが共通の切換弁に接続されて切換弁を経て開閉弁部及び吸戻機構部に対する駆動流体の供給及び排出が行われるサックバックバルブにおいて、流量制御弁の第1のポート及び第2のポートをそれぞれ切換弁と開閉弁部に接続する。すると、開閉弁部からの駆動流体の排出時において、最初は、第2のポートから第1のポートへ排出流量調整機構部と絞り部の両方を通して駆動流体を流通させながら、開閉弁部から切換弁に駆動流体を排出し、急速に開閉弁部内の駆動流体の圧力を低下させていくことができる。やがて、開閉弁部内の駆動流体の圧力が予め定められた値以下になると、第2のポートから第1のポートへ絞り部のみを通して駆動流体が開閉弁部内から排出されるようになる。この結果、開閉弁部内の駆動流体の圧力の低下が緩やかになり、開閉弁部による閉弁動作を緩やかにすることが可能となる。すなわち、閉弁状態になる直前まで大きな流量で駆動流体を開閉弁部から排出させ、閉弁状態になる直前に少ない流量で駆動流体を開閉弁部から排出させ、緩やかに閉弁動作を行って、液柱分離やウォーターハンマー現象の発生、さらには弁体及び弁座からの発塵(すなわちパーティクルの発生)を抑制することが可能となる。また、切換弁を経た駆動流体の供給及び排出により流体通路の開閉を行う開閉弁において、流量制御弁の第1のポート及び第2のポートをそれぞれ切換弁と開閉弁に接続すると、開閉弁内の駆動流体の圧力の低下が緩やかになり、開閉弁による閉弁動作を緩やかにすることが可能となるので、閉弁時に弁体が弁座に接触するときの衝撃が緩和され、発塵を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明による流量制御弁とこれを備えるサックバックバルブの全体構成の概念を示した概念図である。
図2図1に示されているサックバックバルブのバルブ本体と開閉弁部と吸戻機構部の構成を示す縦断面図である。
図3図1に示されているサックバックバルブの流量制御弁の第1の実施形態の構成を示す縦断面図であり、流量制御弁の排出流量調整機構部及びチェック弁機構部が開いた状態を示している。
図4図1に示されているサックバックバルブの流量制御弁の第1の実施形態の構成を示す縦断面図であり、流量制御弁の排出流量調整機構部が開き且つチェック弁機構部が閉じた状態を示している。
図5図1に示されているサックバックバルブの流量制御弁の第1の実施形態の構成を示す縦断面図であり、流量制御弁の排出流量調整機構部及びチェック弁機構部が閉じた状態を示している。
図6図1に示されているサックバックバルブの流量制御弁の第2の実施形態の構成を示す縦断面図である。
図7図1に示されているサックバックバルブの流量制御弁の第3の実施形態の構成を示す縦断面図である。
図8】本発明による流量制御弁とこれを備える開閉弁の全体構成を示した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明による流量制御弁及びこれを備えるサックバックバルブの実施の形態を説明するが、本発明が図示されている実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0027】
最初に、図1を参照して、本発明によるサックバックバルブ11の全体構成を説明する。サックバックバルブ11は、流体通路が設けられているバルブ本体13と、流体通路の開閉を行う開閉弁部15と、流体通路内の流体を吸い戻す吸戻機構部17と、分岐した配管を経て開閉弁部15及び吸戻機構部17の両方に接続されている切換弁83と、開閉弁部15と切換弁83との間を接続する配管上に配置されている流量制御弁10とを備え、バルブ本体13の上部に開閉弁部15と吸戻機構部17とが取り付けられている。吸戻機構部17は、開閉弁部15の下流側に配置されており、開閉弁部15によって流体通路を閉じて流体の流通を閉止した後に、流体通路内の流体を吸い戻し、流体通路の末端のノズルから流体が漏れ出て滴下するのを防止できるようになっている。さらに、切換弁83と吸戻機構部17との間の配管上には、チェック弁付き可変絞り弁85が設けられていることが好ましい。
【0028】
開閉弁部15は、開弁状態にされるときには、図示されていない駆動流体源から切換弁83を経て駆動流体を供給される一方、閉弁状態にされるときには、切換弁83を切り換えて切換弁83を経て駆動流体を排出されるようになっている。また、吸戻機構部17は、駆動流体源から切換弁83を経て駆動流体が供給されるようにすると待機状態になる一方、切換弁83を切り換えて切換弁83を経て駆動流体が排出されるようにすると流体通路内から流体を吸い戻す吸い戻し動作を行うようになっている。すなわち、切換弁83を経て駆動流体が供給されるように切換弁83が切り換えられると、開閉弁部15が開弁状態になるのと同期して、吸戻機構部17が待機状態になる一方、切換弁83を経て駆動流体が排出されるように切換弁83が切り換えられると、開閉弁部15が閉弁状態になるのと同期して、吸戻機構部17が吸い戻し動作を開始する。
【0029】
流量制御弁10は、流路上に並列に配置された排出流量調整機構部10aと絞り部10bとを含んでいる。排出流量調整機構部10aは、配管を経て切換弁83と開閉弁部15との間に接続されている。また、排出流量調整機構部10aは、流路内の駆動流体の圧力による力が予め定められた値になると開いて流体の流通を許容する点でリリーフ弁と似ているが、切換弁83と流量制御弁10との間の配管内の駆動流体の圧力と開閉弁部15と流量制御弁10との間の配管内の駆動流体の圧力との差圧ではなく、切換弁83と流量制御弁10との間の配管内の駆動流体の圧力による力と開閉弁部15と流量制御弁10との間の配管内の駆動流体の圧力による力の合力の大きさに基づいて、開閉動作を行い、切換弁83と開閉弁部15との間の駆動流体の流通と閉止とを切り換えられるようになっている。詳細には、排出流量調整機構部10aは、切換弁83と流量制御弁10との間の配管内の駆動流体の圧力による力と開閉弁部15と流量制御弁10との間の配管内の駆動流体の圧力による力の合力が予め定められた値を越えているときに、切換弁83と開閉弁部15との間の駆動流体の流通を許容し、切換弁83と流量制御弁10との間の配管内の駆動流体の圧力による力と開閉弁部15と流量制御弁10との間の配管内の駆動流体の圧力による力の合力が予め定められた値以下になっているときに、切換弁83と開閉弁部15との間の流体の流通を閉止するように構成されている。絞り部10bは、配管を経て切換弁83と開閉弁部15との間に接続されており、その間の駆動流体の流通を常時許容するが、流体が通過できる隙間の面積を前後の流路の断面積より小さくして流量を絞るように構成されている。すなわち、絞り部10bは、排出流量調整機構部10aが駆動流体の流通を許容しているときの流量と比較して少ない流量しか流通させることができなくなっている。流体が通過できる絞り部10bの隙間の面積は、例えばオリフィスのように固定であってもよく、可変絞り弁のように調整可能になっていてもよい。
【0030】
流量制御弁10は、排出流量調整機構部10a及び絞り部10bに加えて、チェック弁機構部10cをさらに含むことが好ましい。この場合、排出流量調整機構部10aと絞り部10bとチェック弁機構部10cとが互いと並列に配置される。チェック弁機構部10cは、配管を経て切換弁83と開閉弁部15との間に接続されており、切換弁83から開閉弁部15への駆動流体の流通を許容する一方、開閉弁部15から切換弁83への駆動流体の流通を防止するように構成されている。
【0031】
駆動流体が供給されるように切換弁83を切り換えると、切換弁83に近い側の排出流量調整機構部10aの流路内の駆動流体の圧力も高くなって、駆動流体の圧力による力が予め定められた値を越える。すなわち、駆動流体が供給されるように切換弁83が切り換えられたときには、排出流量調整機構部10aがすぐに開いて、排出流量調整機構部10aを経た切換弁83から開閉弁部15への駆動流体の流通が許容される。また、絞り部10bは、切換弁83と開閉弁部15との間の駆動流体の流通を常時許容し、チェック弁機構部10cも切換弁83から開閉弁部15へ向かう方向の駆動流体の流通を許容する。したがって、流量制御弁10は、開閉弁部15への駆動流体の供給時には、排出流量調整機構部10a、絞り部10b及びチェック弁機構部10cの全てを通して駆動流体を流通させるので、大きな流量で開閉弁部15に駆動流体を供給することができ、開閉弁部15を迅速に開弁状態にすることができる。このとき、切換弁83から吸戻機構部17にも駆動流体が供給されるので、吸戻機構部17は待機状態になる。
【0032】
一方、駆動流体が排出されるように切換弁83が切り換えられた直後は、開閉弁部15内の駆動流体の圧力が高い状態のままで、開閉弁部15と排出流量調整機構部10aとの間の流路内の駆動流体の圧力による力も高く、駆動流体の圧力による力が予め定められた値よりも大きいので、排出流量調整機構部10aを経た切換弁83から開閉弁部15への駆動流体の流通が許容される。また、絞り部10bは、切換弁83と開閉弁部15との間の駆動流体の流通を常時許容するが、チェック弁機構部10cは開閉弁部15から切換弁83へ向かう方向の駆動流体の流通を防止する。この結果、流量制御弁10は、開閉弁部15からの駆動流体の排出時には、排出流量調整機構部10a及び絞り部10bを通して駆動流体を流通させるので、開閉弁部15への駆動流体の供給時よりは少ないが、十分に大きな流量で開閉弁部15から駆動流体を排出し、開閉弁部15内の駆動流体の圧力を迅速に減少させることができる。開閉弁部内の駆動流体の圧力が減少して低くなると、開閉弁部15と排出流量調整機構部10aとの間の流路内の駆動流体の圧力による力が低下して駆動圧力による力が予め定められた値以下に減少し、排出流量調整機構部10aを経た切換弁83から開閉弁部15への駆動流体の流通が閉止される。したがって、流量制御弁10は、開閉弁部15からの駆動流体の排出時に時間が経つと、絞り部10bのみを通して駆動流体を流通させるようになるので、開閉弁部15からの駆動流体の排出開始時より少ない流量で開閉弁部15から駆動流体を排出し、開閉弁部15内の駆動流体の圧力を緩やかに減少させる。この結果、閉弁する直前に、開閉弁部15の閉弁動作を緩やかに行わせることが可能となる。このとき、吸戻機構部17からも切換弁83を経て駆動流体が排出されるので、開閉弁部15による閉弁後に吸戻機構部17による吸い戻し動作が行われる。
【0033】
なお、チェック弁付き可変絞り弁85は、流路上に並列して配置された可変絞り弁部85aとチェック弁部85bとを含んでいる。可変絞り弁部85aは、通過する駆動流体の流量を調整可能に絞って流通させることが可能となっており、吸戻機構部17に対する駆動流体の供給及び排出時の流量を調整することによって、吸い戻し動作の開始及び完了のタイミングや開閉動作の速度を調整することができる。また、チェック弁部85bは、駆動流体源から吸戻機構部17へ駆動流体を供給する方向には駆動流体の通過を許容するが、吸戻機構部17から外部へ駆動流体を排出する方向には駆動流体の通過を防止するようになっている。これにより、吸戻機構部17の待機状態への復帰を迅速に行うことができるようにしている。
【0034】
次に、図2から図5を参照して、サックバックバルブ11の具体的な構成について説明する。
【0035】
図2は、図1に示されているサックバックバルブ11のバルブ本体13、開閉弁部15及び吸戻機構部17の構成の詳細を示している。
【0036】
バルブ本体13の内部には、入口流路19と出口流路21とを含む流体通路が設けられている。また、入口流路19の下流側には、上方に開口した開閉弁室23が設けられていると共に、出口流路21の上流側には、上方に開口した吸戻室25が設けられており、開閉弁室23と吸戻室25との間は連通路27によって接続されている。このように構成されたバルブ本体13では、入口流路19に供給された流体が開閉弁室23、連通路27及び吸戻室25を介して出口流路21から排出される。図示されている実施形態では、入口流路19が開閉弁室23の底面に開口し、出口流路21が吸戻室25の底面に開口している。また、連通路27は、開閉弁室23の側面と吸戻室25の底面に開口している。開閉弁室23への入口流路19の開口の周囲には、後述する弁体49が接離する環状の開閉弁座29が形成されている。さらに、入口流路19の上流側端部及び出口流路21の下流側端部には、それぞれ、チューブなどの配管を接続するための継手31,33が設けられている。しかしながら、入口流路19に流入した流体が開閉弁室23、連通路27及び吸戻室25を介して出口流路21から排出されるようになっていれば、流体通路は図示されている構成に限定されるものではない。
【0037】
開閉弁部15は、内部に開閉シリンダ室37が形成された開閉用駆動部筐体35と、開閉シリンダ室37内に収容された開閉ピストン39と、開閉ピストン39を付勢する開閉用付勢部材41とを含んでいる。開閉用駆動部筐体35は、内部に断面円形状で概略円筒形状の収容空間が形成された開閉用ボンネット35aと、開閉用ボンネット35aの上部に取り付けられて開閉用ボンネット35aの上部の開口を閉鎖する開閉用蓋部材35bとによって構成されており、開閉用ボンネット35aの収容空間の内周面及び底面と開閉用蓋部材35bの底面とによって囲まれた空間によって開閉シリンダ室37が形成されている。開閉ピストン39は、概略円板形状を有し、開閉シリンダ室37内にその周壁(すなわち内周面)に沿って図中上下方向に摺動可能に収容されている。開閉シリンダ室37は、開閉ピストン39(詳細にはその底面)と開閉シリンダ室37(詳細には開閉用ボンネット35a)の内周面と開閉シリンダ室37の底面(すなわち開閉用ボンネット35aの底部)とによって囲まれ且つ開閉弁室23に近い側に位置する第1の気室37aと、開閉ピストン39(詳細にはその頂面)と開閉シリンダ室37(詳細には開閉用ボンネット35a)の内周面と開閉シリンダ室37の天井面(すなわち開閉用蓋部材35bの底面)とによって囲まれ且つ開閉弁室23から遠い側に位置する第2の気室37bとに区画されている。図1に示されている実施形態では、第1の気室37aは開閉ピストン39の下方に位置し、第2の気室37bは開閉ピストン39の上方に位置する。
【0038】
開閉ピストン39には、開閉ピストン39よりも細く且つ開閉弁室23に近づく方向に図中下方へ延びている開閉ステム43と共に、開閉ピストン39よりも細く且つ開閉ステム43とは逆方向に開閉弁室23から離れる方向に図中上方へ延びている案内軸45とが連結されている。開閉ステム43は、開閉用駆動部筐体35の開閉シリンダ室37(詳細には開閉用ボンネット35a)の底部を貫通して設けられた貫通孔47に摺動可能に挿通されて、開閉弁室23内まで延びており、その先端部には弁体49が接続されている。弁体49は、円柱上に円錐台が連結されたような形状を有しており、底面が開閉弁座29に対向するように配置されている。案内軸45は、開閉用蓋部材35bを貫通して設けられた貫通孔51に挿通されて外部まで延びており、開閉ピストン39の往復動を案内するように構成されている。弁体49は、開閉シリンダ室37内における開閉ピストン39の上下方向の往復動に伴って、開閉ステム43を介して開閉弁室23内に形成された開閉弁座29に接離して流体通路の開閉を行えるようになっている。
【0039】
開閉用付勢部材41は、第2の気室37b内において開閉シリンダ室37の天井面(すなわち開閉用蓋部材35bの底面)と開閉ピストン39(詳細にはその頂面)との間に圧縮された状態で配置されており、開閉ステム43の先端に接続された弁体49を開閉弁座29へ向かって接近させる方向に開閉ピストン39を常時付勢している。図2に示されている実施形態では、開閉用付勢部材41としてコイルばねが使用されており、コイルばねが第2の気室37b内において案内軸45の周囲を螺旋状に延びるように配置されている。しかしながら、開閉用付勢部材41は、弁体49を開閉弁座29へ向かって接近させるように開閉ピストン39を付勢することができれば、コイルばねに限定されるものではなく、例えば筒状の弾性体などとすることも可能である。
【0040】
開閉シリンダ室37(詳細には開閉用ボンネット35a)の周壁には、開閉ピストン39によって閉鎖されない位置に、開閉用駆動流体ポート53が設けられている。開閉用付勢部材41の付勢力によって弁体49が開閉弁座29に圧接された状態のときに、開閉用駆動流体ポート53を通して第1の気室37aへ駆動流体を供給することによって、第1の気室37a内の駆動流体の圧力を増加させたとき、第1の気室37a内の駆動流体の圧力により開閉ピストン39に作用する力(以下、「駆動流体による力」と記載することがある。)が開閉用付勢部材41により開閉ピストン39に作用する力(以下、「開閉用付勢部材41による付勢力」と記載することがある。)を上回り、開閉ピストン39が開閉用付勢部材41による付勢力に抗して開閉弁室23から離れる方向に移動して第1の気室37aの容積が増加する。これによって、開閉ステム43を介して開閉ピストン39に連結された弁体49が開閉弁座29から離間して流体通路の流体の流通を開始させることができ、第1の気室37a内の駆動流体の圧力が最大となるときに開閉ピストン39が開弁位置で停止する。一方、弁体49が開閉弁座29から離間した状態のときに、開閉用駆動流体ポート53を通して第1の気室37a内の駆動流体を排出することによって、第1の気室37a内の駆動流体の圧力を減少させると、駆動流体による力が開閉用付勢部材41による付勢力を下回り、開閉ピストン39が開閉用付勢部材41による付勢力に従って開閉弁室23に接近する方向に移動して第1の気室37aの容積が減少する。これによって、開閉ステム43を介して開閉ピストン39と連結された弁体49が開閉弁座29に圧接されて開閉ピストン39が閉弁位置で停止し、流体通路の流体の流通を閉止させることができる。駆動流体としては、例えば圧縮空気などを使用することができる。
【0041】
なお、第2の気室37b内の空気は、案内軸45の外周面と開閉用蓋部材35bの貫通孔51の内周面との隙間から外部に放出されるようになっており、第2の気室37b内の空気が開閉シリンダ室37における開閉ピストン39の摺動を妨げにくくしている。また、開閉ピストン39の外周面には、シール部材55が装着されており、第1の気室37aから第2の気室37bに駆動流体が漏出しないように、開閉ピストン39が開閉シリンダ室37の内周面に対してシールされた状態で摺動できるようになっている。さらに、開閉ステム43の外周面にもOリングなどのシール部材56が装着されおり、第1の気室37aから外部へ駆動流体が漏出しないように開閉ステム43が貫通孔47の内周面に対してシールされた状態で摺動できるようになっている。
【0042】
図2に示されている実施形態では、弁体49の上端部の外周部から半径方向外方へ延びる薄膜状のダイヤフラム部49aが設けられている。このダイヤフラム部49aの外周縁部がバルブ本体13と開閉用ボンネット35aとの間に挟持され、弁体49がダイヤフラム部49aを介して開閉弁室23内に支持された状態となっている。このようにダイヤフラム部49aを介して弁体49を開閉弁室23内に支持する形態にすることによって、開閉弁室23と開閉用駆動部筐体35との間がダイヤフラム部49aによって区画される。したがって、流体通路を流通させる流体が腐食性の流体などであるときに、開閉弁室23内の流体が開閉シリンダ室37内などに侵入して、開閉用駆動部筐体35などを腐食させることを防止することができる。
【0043】
吸戻機構部17は、内部に吸戻シリンダ室59が形成された吸い戻し用駆動部筐体57と、吸戻シリンダ室59内に収容された吸戻ピストン61と、吸戻ピストン61を付勢する吸い戻し用付勢部材63とを含んでいる。吸い戻し用駆動部筐体57は、内部に断面円形状で概略円筒形状の収容空間が形成された吸い戻し用ボンネット57aと、吸い戻し用ボンネット57aの上部に取り付けられて吸い戻し用ボンネット57aの上部の開口を閉鎖する吸い戻し用蓋部材57bとによって構成されており、吸い戻し用ボンネット57aの収容空間の内周面及び底面と吸い戻し用蓋部材57bの底面とによって囲まれた空間によって吸戻シリンダ室59が形成されている。吸戻ピストン61は、概略円板形状を有し、吸戻シリンダ室59内にその周壁(すなわち内周面)に沿って図中上下方向に摺動可能に収容されている。吸戻シリンダ室59は、吸戻ピストン61(詳細にはその底面)と吸戻シリンダ室59(すなわち吸い戻し用ボンネット57a)の内周面と吸戻シリンダ室59の底面(すなわち吸い戻し用ボンネット57aの底部)とによって囲まれ且つ吸戻室25に近い側に位置する第1の気室59aと、吸戻ピストン61(詳細にはその頂面)と吸戻シリンダ室59(すなわち吸い戻し用ボンネット57a)の内周面と吸戻シリンダ室59の天井面(すなわち吸い戻し用蓋部材57bの底面)とによって囲まれ且つ吸戻室25から遠い側に位置する第2の気室59bとに区画されている。図1に示されている実施形態では、第1の気室59aは吸戻ピストン61の下方に位置し、第2の気室59bは吸戻ピストン61の上方に位置する。
【0044】
吸戻ピストン61には、吸戻ピストン61よりも細く且つ吸戻室25に接近する方向に図中下方へ延びている吸戻ステム65が連結されている。吸戻ステム65は、吸い戻し用駆動部筐体57の吸い戻し用ボンネット57aの底部を貫通して設けられた貫通孔67に摺動可能に挿通されて、吸戻室25内まで延びており、その先端部にはダイヤフラム69が接続されている。ダイヤフラム69の外周縁部は、バルブ本体13と吸い戻し用ボンネット57aとの間に挟持され、ダイヤフラム69が吸戻室25と吸い戻し用駆動部筐体57との間を区画するようになっている。このように構成されたダイヤフラム69は、吸戻シリンダ室59内における吸戻ピストン61の上下方向の往復動に伴って、吸戻ステム65を介して吸戻室に対して膨出又は後退して吸戻室25の容積を増減させ、吸戻室25の容積を増加させることによって吸戻室25の下流側に接続される出口流路21内の流体を吸い戻すことができるようになっている。
【0045】
吸い戻し用付勢部材63は、第1の気室59a内において吸戻シリンダ室59の底部(すなわち吸い戻し用ボンネット57aの底部)と吸戻ピストン61(詳細にはその底面)との間に圧縮された状態で配置されており、吸戻ステム65の先端に接続されたダイヤフラム69を吸戻室25から後退させる(すなわちバルブ本体13から離れる)方向に吸戻ピストン61を常時付勢している。図2に示されている実施形態では、吸い戻し用付勢部材63としてコイルばねが使用されており、コイルばねが第1の気室59a内において吸戻ステム65の周囲を螺旋状に延びるように配置されている。しかしながら、吸い戻し用付勢部材63は、ダイヤフラム69を吸戻室25から後退させるように吸戻ピストン61を付勢することができれば、コイルばねに限定されるものではなく、例えば筒状の弾性体などとすることも可能である。
【0046】
吸戻シリンダ室59(詳細には吸い戻し用駆動部筐体57)には、吸戻ピストン61によって閉鎖されない位置に、吸い戻し用駆動流体ポート71が設けられている。図示されている実施形態では、吸い戻し用駆動流体ポート71は、吸戻シリンダ室59の天井面に開口するように、吸い戻し用駆動部筐体57の吸い戻し用蓋部材57bに設けられている。吸い戻し用付勢部材63の付勢力によってダイヤフラム69が吸戻室25から後退した状態のときに、吸い戻し用駆動流体ポート71を通して第2の気室59bへ駆動流体を供給することによって、第2の気室59b内の駆動流体の圧力を増加させると、第2の気室59b内の駆動流体の圧力により吸戻ピストン61に作用する力(以下、「駆動流体による力」と記載することがある。)が吸い戻し用付勢部材63により吸戻ピストン61に作用する力(以下、「吸い戻し用付勢部材63による付勢力」と記載することがある。)を上回り、吸戻ピストン61が吸い戻し用付勢部材63による付勢力に抗して吸戻室25へ接近する方向に移動して第2の気室59bの容積が増加する。これによって、吸戻ステム65を介して吸戻ピストン61と連結されたダイヤフラム69が吸戻室25内へ膨出し、第2の気室59b内の駆動流体の圧力が最大となるときに吸戻ピストン61が待機位置で停止する。一方、吸戻ピストン61が待機位置に位置してダイヤフラム69が吸戻室25内へ膨出した状態のときに、吸い戻し用駆動流体ポート71を通して第2の気室59b内の駆動流体を排出することによって、第2の気室59b内の駆動流体の圧力を減少させると、駆動流体による力が吸い戻し用付勢部材63による付勢力を下回り、吸い戻し用付勢部材63による付勢力に従って吸戻ピストン61が吸戻室25に接近する方向に移動して第2の気室59bの容積が減少する。これによって、吸戻ステム65を介して吸戻ピストン61に連結されたダイヤフラム69が吸戻室25から後退して、吸戻室25の容積を増加させて吸戻室25に連通する出口流路21内の流体を吸い戻し、吸戻ピストン61が吸戻位置に到達すると吸い戻し動作を完了させる。
【0047】
吸戻機構部17では、吸戻ピストン61は吸戻シリンダ室59内の上側(吸戻室25から遠い側)に位置する上死点位置と下側(吸戻室25に近い側)に位置する下死点位置との間で摺動可能となっている。「死点位置」とは、吸戻ピストン61が他の部材の特定の部位に当接して移動を規制されることによる移動限界位置を意味する。図示されている実施形態では、吸戻シリンダ室59が、吸戻ピストン61を収容する大径部と、大径部よりも直径が小さい小径部とを含み、大径部と小径部との間に段差部が設けられており、吸戻ピストン61が段差部に干渉することによって吸戻ピストン61の下死点位置が規定されるようになっている。また、図示されている実施形態では、吸い戻し用蓋部材57bの中央部には、貫通して延び且つ内周面の少なくとも一部にねじ溝を有した貫通孔75が形成されており、この貫通孔75に調整ねじ77がシール状態で吸戻シリンダ室59の天井部から第2の気室59b内に突出可能に螺合されている。吸い戻し用蓋部材57bから外部へ突出した調整ねじ77の部分にはロックナット79が螺着され、ロックナット79を締め付けることによって調整ねじ77の回転をロックできるようになっている。調整ねじ77が第2の気室59b内に突出しているときには、吸戻ピストン61(詳細にはその頂面)が調節ねじ77に当接して移動が規制され、調整ねじ77が第2の気室59b内に突出していないときには、吸戻ピストン61が吸戻シリンダ室59の天井部(詳細には吸い戻し用蓋部材57bの底部)に当接して移動が規制され、吸戻ピストン61の上死点位置となる。すなわち、吸戻機構部17による吸い戻し動作が完了するときの吸戻ピストン61の位置である吸戻位置及びそのときの第2の気室59b内の駆動流体の圧力は調整ねじ77によって調整することが可能となる。
【0048】
なお、吸戻シリンダ室59の小径部の周壁すなわち吸戻ピストン61によって閉鎖されることがない位置には、通気孔81が設けられており、第1の気室59aと外部との通気を可能とさせ、第1の気室59a内の空気が吸戻ピストン61の移動を妨げにくいようになっている。
【0049】
開閉弁部15の開閉用駆動流体ポート53及び吸戻機構部17の吸い戻し用駆動流体ポート71は、分岐した配管によって共通の切換弁83に接続されており、切換弁83を介して共通する一つの駆動流体源(図示せず)に接続されている。切換弁83は、駆動流体源から開閉用駆動流体ポート53及び吸い戻し用駆動流体ポート71への駆動流体の供給と、開閉用駆動流体ポート53及び吸い戻し用駆動流体ポート71から外部への駆動流体の排出とを切り換えられるようになっている。
【0050】
また、吸戻機構部17では、シール部材73として、リップパッキンが使用されている。ここで、リップパッキンとは、シール部(受圧部)に可撓性のリップ構造部分を有するパッキンであり、リップ構造部分が摺動面の動きや圧力の変化に対して変形追随することでシール面の接触圧力を適正に維持するものを指す。シールパッキンとしては、Jパッキン、Lパッキン、Uパッキン、Vパッキン、Yパッキンなどが含まれる。図示されている実施形態では、シール部材73としてYパッキンが使用されている。Yパッキンを使用する場合には、Yパッキンの分岐したリップ構造部分を第2の気室59bへ向けて配置する。これにより、第2の気室59bの駆動流体が第1の気室59aに漏出することを防ぐ機能が高められる。
【0051】
なお、吸戻機構部17では、開閉弁部15と比較して可動部材と静止部材との間において要求されるシール性能が低いことから、可動部材と静止部材との間のシール部材はシール部材73以外には設けられておらず、吸戻ステム65の外周面にもシール部材が装着されていない。また、開閉弁部15でも、図示されている実施形態のように、シール部材55として、シール部材73と同様に、リップパッキンを使用してもよい。
【0052】
図3から図5は、図1に示されているサックバックバルブ11の流量制御弁10の第1の実施形態である流量制御弁101を示している。
【0053】
流量制御弁101は、第1のポート105と第2のポート107とが設けられ且つ第1のポート105と第2のポート107との間に延びる内部流路が形成された制御弁本体103と、図1における排出流量調整機構部10aに相当する排出流量調整機構部101aと、図1における絞り部10bに相当する絞り部101bと、図1におけるチェック弁機構部10cに相当するチェック弁機構部101cとを備えており、内部流路上で排出流量調整機構部101aと、絞り部101bと、チェック弁機構部101cが並列に配置されている。
【0054】
制御弁本体103には、頂部へ向かって開口する流量調整弁室109が形成されている。また、内部流路は、第1のポート105から延びる第1の流路111と、第2のポート107から延びる第2の流路113とを含む。第1の流路111及び第2の流路113は流量調整弁室109の底面に開口して、流量調整弁室109に連通しており、第1の流路111から流量調整弁室109への開口の周囲には環状の流量調整弁座117が設けられている。内部流路は、第1の流路111と第2の流路113との間を接続するように流量調整弁室109と並行して設けられた並行流路115をさらに含んでおり、並行流路115に絞り部101bが設けられている。
【0055】
図示されている第1の実施形態による流量制御弁101では、制御弁本体103に、第2のポート107から第1の流路111まで延びる接続孔119が形成されており、この接続孔119にオリフィスブロック121が挿入されている。オリフィスブロック121は、第2のポート107側に配置される拡大部121aと、拡大部121aよりも小径であり且つ第1の流路111側に配置される縮小部121bとを含んでおり、接続孔119の内周面とオリフィスブロック121の縮小部121bの外周面との間に環状の隙間通路123が形成されるようになっている。接続孔119の第2のポート107側の端部の内周面に雌ねじ部が形成されていると共にオリフィスブロック121の拡大部121aの少なくとも一部の外周面に雄ねじ部が形成されており、接続孔119にオリフィスブロック121を螺合させることが好ましい。また、オリフィスブロック121には貫通孔125が形成されており、貫通孔125は、第2のポート107に連通する大径孔部125aと、大径孔部125aから延び且つ大径孔部125aよりも小径の小径孔部125bと、小径孔部125bよりも小径であり且つ小径孔部125bと第1の流路111とを接続するオリフィス部125cとを含んでいる。さらに、オリフィスブロック121には、貫通孔125の大径孔部125aからオリフィスブロック121の外周面まで貫通して延びる分岐孔127が形成されている。
【0056】
分岐孔127は流量調整弁室109の底面に開口する中継流路129に連通しており、貫通孔125の大径孔部125aと分岐孔127と中継流路129とによって第2の流路113を構成している。また、小径孔部125bが第1の流路111と第2の流路113との間を接続するように流量調整弁室109と並行に設けられた並行流路115を構成し、オリフィス部125cが並行流路115に設けられた絞り部101bを構成している。
【0057】
隙間通路123は、第2の流路113に接続しており、チェック弁機構部101cが隙間通路123内に配置されている。隙間通路123は、第2のポート107から第1の流路111まで延びる接続孔119の内周面とオリフィスブロック121の縮小部121bとの間に形成されており、第1の流路111とも連通している。したがって、隙間通路123は、第1の流路111と第2の流路113との間で並行流路115と並行して設けられた付加流路を構成する。すなわち、チェック弁機構部101cは付加流路に配置されている。チェック弁機構部101cは、例えば、接続孔119の内周面とオリフィスブロック121の縮小部121bとの間に配置されたUパッキン、Vパッキン、Yパッキンなどの可撓性のリップ構造部を有した環状のリップパッキン131によって構成することができる。この場合、隙間通路123において、リップパッキン131のリップ構造部が第2の流路113に近い側に向けられて配置されるようにする。これにより、リップパッキン131は、第1のポート105から隙間通路123及び第2の流路113を経て第2のポート107へ向かう方向の流体の流れを許容する一方、第2のポート107から第2の流路113及び隙間通路123を経て第1のポート105へ向かう流体の流れを防止するようになる。図示されている実施形態では、チェック弁機構部101cは、Yパッキンによって構成されている。
【0058】
排出流量調整機構部101aは、流量調整弁室109へ向かって開口している収容室135が形成された調整機構筐体133と、流量調整弁室109と収容室135とを区画するように配置され且つ制御弁本体103と調整機構筐体133と間に外周縁部を挟持されたダイヤフラム137と、収容室135の内周面に沿って摺動可能に収容室135内に収容され且つダイヤフラム137に接するように配置された第1の受け部材139と、収容室135内において収容室135の天井面と第1の受け部材139との間に圧縮された状態で配置された流量調整付勢部材141とを含んでいる。流量調整付勢部材141は、第1の受け部材139を介してダイヤフラム137を流量調整弁室109の流量調整弁座117に押圧する方向に付勢する方向に常時付勢している。
【0059】
図示されている第1の実施形態による流量制御弁101では、収容室135内において流量調整付勢部材141とダイヤフラム137との間に第1の受け部材139が配置され、流量調整付勢部材141の付勢力が第1の受け部材139を介してダイヤフラム137に作用するように構成されている。しかしながら、第1の受け部材139を設けずに、流量調整付勢部材141の付勢力をダイヤフラム137に直接作用させるようにしてもよい。また、図示されている第1の実施形態による流量制御弁101では、流量調整付勢部材141としてコイルばねが使用されている。しかしながら、流量調整付勢部材141は、流量調整弁座117へ向かって接近させるようにダイヤフラム137を付勢することができれば、コイルばねに限定されるものではなく、例えば筒状の弾性体などとすることもできる。
【0060】
ダイヤフラム137には、ダイヤフラム137が流量調整弁座117に着座しているときには第1の流路111内の駆動流体の圧力による力と流量調整弁室109内の駆動流体の圧力による力の合力が作用し、ダイヤフラム137が流量調整弁座117から離間しているときには第1の流路111と第2の流路113とに連通する流量調整弁室109内の駆動流体の圧力による力の合力が作用する(以下、上述の駆動流体の圧力によりダイヤフラム137に作用する力の合力を単に「駆動流体による力」と記載することがある。)。したがって、駆動流体による力が、流量調整付勢部材141により第1の受け部材139を介してダイヤフラム137に作用する付勢力(以下、「流量調整付勢部材141による付勢力」と記載することがある。)を上回ると、ダイヤフラム137が流量調整付勢部材141による付勢力に抗して流量調整弁座117から離間する方向に移動させられて、流量調整弁座117から離間し、流量調整弁室109を経た第1の流路111と第2の流路113との間の駆動流体の流通を許容する。一方、駆動流体による力が流量調整付勢部材141による付勢力以下になると、ダイヤフラム137が流量調整付勢部材141による付勢力に従って流量調整弁座117に接近する方向に移動させられて、流量調整弁座117に圧接され、流量調整弁室109を経た第1の流路111と第2の流路113との間の駆動流体の流通を閉止する。このように、排出流量調整機構部101aは、流量調整弁座117に対するダイヤフラム137の接離によって、流量調整弁室109を経た第1の流路111と第2の流路との間の駆動流体の流通と閉止を切り換えることができる。
【0061】
なお、収容室135は、図3から図5に示されているように、拡大部135aと、縮小部135bとを含み、拡大部135aと縮小部135bとの間に段差部を形成するようになっていることが好ましい。第1の受け部材139は、段差部と干渉することによって流量調整弁座117から離れる方向の移動を規制され、これによってダイヤフラム137が流量調整弁座117から離間しているときのダイヤフラム137と流量調整弁座117との隙間の大きさを規定し、排出流量調整機構部101aが開いて流体の流通を許容しているときの最大流量を制御することが可能となる。
【0062】
第1の実施形態による流量制御弁101では、このようにして、流路上に排出流量調整機構部101aと絞り部101bとチェック弁機構部101cとが並列して設けられた構成を実現している。
【0063】
次に、図1に示されている構成のサックバックバルブ11の動作を説明する。ここで、流量制御弁101の第1のポート105が切換弁83に接続され、第2のポート107が開閉弁部15の開閉用駆動流体ポート53に接続されているものとする。また、流量制御弁101の排出流量調整機構部101aでは、流量調整弁室109内の駆動流体の圧力が流量切換圧力P以下まで減少したときに、流量調整付勢部材141による付勢力が流量調整弁室109内の駆動流体による力を上回ってダイヤフラム137が流量調整弁座117に着座し、第2のポート107及び第2の流路113から流量調整弁座117を経て第1の流路111及び第1のポート105への駆動流体の流通を閉止するように設定されているものとする。また、以下の説明では、ダイヤフラム137が流量調整弁座117に着座しているときにダイヤフラム137に作用する第1の流路111内の駆動流体の圧力による力と流量調整弁室109内の駆動流体の圧力による力の合力、及び、ダイヤフラム137が流量調整弁座117から離間しているときにダイヤフラム137に作用する流量調整弁室109内の駆動流体の圧力による力の合力を、単に「駆動流体による力」と記載する。
【0064】
サックバックバルブ11の開閉弁部15を開弁状態にさせるときには、切換弁83は、図示されていない駆動流体源から開閉用駆動流体ポート53及び吸い戻し用駆動流体ポート71に駆動流体を供給するように切り換えられる。すると、流量制御弁101の第1の流路111内に駆動流体が流入して第1の流路111内の駆動流体の圧力が高くなり、駆動流体の圧力による力が予め定められた値を上回る。したがって、駆動流体が供給されるように切換弁83が切り換えられたときには、図3に示されているように、駆動流体の圧力による力が流量調整付勢部材141による付勢力を上回ってダイヤフラム137が流量調整弁座117から離間して、排出流量調整機構部101aが開き、排出流量調整機構部101a(詳細には、その流量調整弁室109)を経た第1の流路111から第2の流路113への駆動流体の流通が許容される。また、絞り部101b(すなわちオリフィス部125c)は、並行流路115を経た第1の流路111と第2の流路113との間の駆動流体の流通を常時許容し、チェック弁機構部101cも開いて第1の流路111から付加流路(すなわち隙間通路123)を経て第2の流路113へ向かう方向の駆動流体の流通を許容する。したがって、流量制御弁101は、開閉弁部15への駆動流体の供給時には、排出流量調整機構部101a、絞り部101b及びチェック弁機構部101cの全てを通して第1のポート105から第2のポート107へ駆動流体を流通させ、大きな流量で開閉弁部15に駆動流体を供給することができる。
【0065】
切換弁83から流量制御弁101を通して開閉弁部15に駆動流体が供給されると、開閉用駆動流体ポート53を通して開閉シリンダ室37の第1の気室37aに供給された駆動流体による力が開閉用付勢部材41による付勢力を上回って、開閉ピストン39は第1の気室37a内の駆動流体による力によって開閉用付勢部材41による付勢力に抗して開閉弁室23から離れる方向に押し上げられて弁開位置に移動させられる。これにより、開閉ステム43の先端に接続された弁体49が開閉ピストン39の上昇に伴って開閉弁座29から離間して、入口流路19に流入する流体が開閉弁室23,連通路27及び吸戻室25を経て出口流路21から流出するようになる。
【0066】
このとき、切換弁83から吸戻機構部17へも駆動流体が供給される。すると、吸い戻し用駆動流体ポート71を通して吸戻シリンダ室59の第2の気室59bに供給された駆動流体による力によって、吸戻ピストン61は吸い戻し用付勢部材63による付勢力に抗して吸戻室25へ接近する方向に押し下げられて待機位置に移動させられる。これにより、吸戻ピストン61の先端に接続されたダイヤフラム69が吸戻室25へ膨出した状態となり、吸戻機構部17は待機状態となる。
【0067】
サックバックバルブ11の開閉弁部15を閉弁状態にして流体の流通を閉止させるときには、切換弁83を切り換えて、開閉用駆動流体ポート53及び吸い戻し用駆動流体ポート71に接続されている配管を経て駆動流体を外部へ排出できるようにする。
【0068】
駆動流体が排出されるように切換弁83が切り換えられた直後は、開閉弁部15の開閉シリンダ室37の第1の気室37a内の駆動流体の圧力は高い状態のままで、開閉シリンダ室37の第1の気室37aと第2のポート107及び第2の流路113を経て連通している流量調整弁室109内の駆動流体の圧力も高く、流量調整弁室109内の駆動流体の圧力が流量切換圧力Pを上回っている。したがって、図4に示されているように、駆動流体の圧力による力が流量調整付勢部材141による付勢力を上回ってダイヤフラム137が流量調整弁座117から離間して排出流量調整機構部101aが開いた状態が維持され、排出流量調整機構部101a(詳細には、その流量調整弁室109)を経た第1の流路111から第2の流路113への駆動流体の流通が許容されたままとなる。また、絞り部101b(すなわちオリフィス部125c)は、並行流路115を経た第1の流路111と第2の流路113との間の駆動流体の流通を常時許容するが、チェック弁機構部101cは、図4に示されているように閉じて、第1の流路111から付加流路(すなわち隙間通路123)を経て第2の流路113へ向かう方向の駆動流体の流通を防止する。この結果、流量制御弁101は、排出流量調整機構部101a及び絞り部101bを通して第1のポート105から第2のポート107へ駆動流体を流通させるので、開閉弁部15への駆動流体の供給時よりは少ないが、十分に大きな流量で開閉弁部15から駆動流体を排出し、開閉弁部15の開閉シリンダ室37の第1の気室37a内の駆動流体の圧力を迅速に減少させることができる。
【0069】
開閉用駆動流体ポート53を通して開閉シリンダ室37の第1の気室37aから切換弁83へ向けて駆動流体をさらに排出すると、開閉シリンダ室37の第1の気室37aと第2のポート107及び第2の流路113を経て連通している流量調整弁室109内の駆動流体の圧力も減少して、流量切換圧力P以下まで低下する。すると、駆動流体の圧力による力が流量調整付勢部材141による付勢力を下回って、図5に示されているように、流量調整付勢部材141による付勢力に従ってダイヤフラム137が流量調整弁座117に向かって押し下げられ、ダイヤフラム137が流量調整弁座117に着座して、排出流量調整機構部101aが閉じられる。この結果、排出流量調整機構部101a(詳細には、その流量調整弁室109)を経た第2の流路113から第1の流路111への駆動流体の流通が閉止される。したがって、流量制御弁101は、開閉弁部15からの駆動流体の排出時に時間が経つと、絞り部101bのみを通して第2のポート107から第1のポート105へ駆動流体を流通させるようになるので、開閉弁部15からの駆動流体の排出開始時より少ない流量で開閉弁部15から駆動流体を排出し、開閉弁部15内の駆動流体の圧力を緩やかに減少させる。この結果、閉弁する直前に、開閉弁部15の閉弁動作を緩やかに行わせることが可能となる。最後に、開閉ステム43の先端に接続された弁体49が弁座に圧接され、入口流路19から開閉弁室23への流体の流入が閉止され、開閉弁部15が閉弁状態となる。
【0070】
切換弁83を経て駆動流体を外部へ排出できるように切換弁83が切り換えられと、吸戻機構部17からも駆動流体が排出されるようになる。これにより、吸戻機構部17の吸い戻し用駆動流体ポート71を通して吸戻シリンダ室59の第2の気室59bから切換弁83へ向けて駆動流体が排出されるようになる。この結果、吸い戻し用付勢部材63による付勢力が吸戻シリンダ室59の第2の気室59b内の駆動流体による力を上回るようになり、吸戻ピストン61が吸い戻し用付勢部材63による付勢力に従って吸戻室25から離れる方向に上方へ向かって移動させられる。吸戻ピストン61が上方へ向かって移動するのに伴って、吸戻ステム65を介して吸戻ピストン61に連結されるダイヤフラム69が吸戻室25から後退して、吸戻室25の容積が増加する。この結果、吸い戻し動作が行われる。
【0071】
このようにして、サックバックバルブ11は、開閉弁部15による閉弁後(すなわち流体の流通の閉止後)に、吸戻機構部17による吸い戻し動作を行い、閉弁後に出口流路21に連通するノズルから流体が漏れ出たり滴下したりすることを防止している。また、流量制御弁101は、開閉弁部15が閉弁状態になる直前まで大きな流量で駆動流体を開閉弁部15の開閉シリンダ室37の第1の気室37aから排出させるが、閉弁状態になる直前に少ない流量で駆動流体を開閉シリンダ室37の第1の気室37aから排出させて緩やかに閉弁動作を行わせるようにすることができる。これにより、サックバックバルブ11の閉弁時における液柱分離やウォーターハンマー現象の発生を抑制することが可能となる。また、開閉弁部15の弁体49が閉弁時に開閉弁座29に接触するときの衝撃を緩和することができるので、弁体49及び開閉弁座29からの発塵(すなわちパーティクルの発生)の抑制も可能となる。さらに、流量制御弁101では、排出流量調整機構部101aが開いた状態(ダイヤフラム137が流量調整弁座117から離間して第1の流路111と第2の流路113との間で流量調整弁室109を経て駆動流体を流通させる状態)のまま、開閉弁部15を開弁状態から閉弁状態へと切り換える、すなわち開閉弁部15に対して駆動流体の供給から排出へ切り換えることができる。したがって、切り換えの反応が早く、安定性に優れる効果を奏する。加えて、開閉弁部15を開弁状態から閉弁状態へと切り換えるとき、ダイヤフラム137は流量調整弁室109内の駆動流体から圧力を作用させられるので、受圧面積を広く確保することができ、排出流量調整機構部101aを閉じた状態に切り換えるための駆動流体の圧力変化に対する感度が高くなる。
【0072】
流量制御弁11は、第1の実施形態による流量制御弁101の構成に限定されるものではない。図6は、第2の実施形態による流量制御弁151を示している。第2の実施形態による流量制御弁151は、排出流量調整機構部101a(図1における排出流量調整機構部10aに相当)に付勢力調整機構153がさらに設けられている点において、第1の実施形態の流量制御弁101と異なっており、その他の点については第1の実施形態の流量制御弁101と同様である。図6において、第1の実施形態による流量制御弁101の各構成部と同様の第2の実施形態による流量制御弁151の各構成部には同じ参照符号が付されている。ここでは、図3に示されている第1の実施形態と異なる構成である付勢力調整機構153について主に説明し、その他の構成についての説明は省略する。また、流量制御弁151の動作は、流量制御弁101と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0073】
付勢力調整機構153は、第2の受け部材153aと、調整ねじ153bとを含む。第2の受け部材153aは、収容室135の縮小部135b内において、流量調整付勢部材141と収容室135の天井面(流量調整弁室109に面する開口部と反対側の面)との間に配置されており、縮小部135bの内周面に沿って摺動可能に収容室135内に収容されている。また、調整機構筐体133の頂部には貫通孔155が設けられており、先端部が収容室135内に突出して第2の受け部材153aに当接するように、調整ねじ153bが貫通孔155に挿入されている。貫通孔155の内周面には雌ねじ山が形成され、調整ねじ153bの外周面に形成された雄ねじ山を貫通孔155の雌ねじ山に螺合させられており、貫通孔155に対して調整ねじ153bを回転させることによって収容室135内に突出する調整ねじ153bの部分の長さを調整することができるようになっている。
【0074】
流量調整付勢部材141は第1の受け部材139と第2の受け部材153aとの間に挟持されるように配置されており、調整ねじ153bの先端部が第2の受け部材153aに当接している。したがって、調整ねじ153bを回転させて収容室135内に突出する調整ねじ153bの部分の長さを調整することによって、第1の受け部材139と第2の受け部材153aとの距離を変化させて、流量調整付勢部材141の付勢力を変化させることができる。流量調整付勢部材141の付勢力を調整することによって、ダイヤフラム137が流量調整弁座117に着座するようになるときの流量調整弁室109内の駆動流体の圧力を調整することが可能になる。
【0075】
図7は、第3の実施形態による流量制御弁161を示している。第3の実施形態による流量制御弁161は、絞り部101b(図1における絞り部10bに相当)としてオリフィス部125cに代えてニードル弁163が設けられている点において、第1の実施形態の流量制御弁101と異なっており、その他の点については第1の実施形態の流量制御弁101と同様である。図7において、第1の実施形態による流量制御弁101の各構成部と同様の第3の実施形態による流量制御弁161の各構成部には同じ参照符号が付されている。ここでは、絞り部101bとしてニードル弁163を設けたことにより生じた図3に示されている第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、その他の構成についての説明は省略する。また、流量制御弁161の動作は、流量制御弁101と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0076】
制御弁本体103には、第1のポート105と、第2のポート107と、上方に開口する流量調整弁室109が設けられており、第1のポート105と第2のポート107との間には内部流路が形成されている。内部流路は、第1のポート105から延びる第1の流路111と第2のポート107から延びる第2の流路113とを含む。第1の流路111及び第2の流路113は流量調整弁室109の底面に開口して、流量調整弁室109に連通しており、第1の流路111から流量調整弁室109への開口の周囲には環状の流量調整弁座117が設けられている。内部流路は、第1の流路111と第2の流路113との間を接続するように流量調整弁室109と並行して設けられた並行流路115をさらに含んでおり、並行流路115にニードル弁163が設けられている。
【0077】
図7に示されている第3の実施形態による流量制御弁161では、第1のポート105が制御弁本体103の底部に設けられており、第1のポート105から上方に流量調整弁室109の底面へ向かって第1の流路111が延びていると共に、第2のポート107が制御弁本体103の側部に設けられ、第2のポート107から水平方向に延びた後に概略直角に曲がって上方に流量調整弁室109の底面へ向かって第2の流路113が延びている。制御弁本体103には、第2のポート107と対向する側部から第1の流路111を横断して第2の流路113まで延びるブロック孔165が形成されており、このブロック孔165にニードル弁ブロック167が挿入されている。ニードル弁ブロック167は、拡大部167aと、拡大部167aよりも小径であり且つ第1の流路111を横断して第2の流路113まで延びている縮小部167bとを含んでおり、ブロック孔165の内周面とニードル弁ブロック167の縮小部167bの外周面との間に環状の隙間通路169が形成されるようになっている。第2のポート107とは反対側に位置するブロック孔165の端部の内周面に雌ねじ部が形成されていると共に、ニードル弁ブロック167の拡大部167aの少なくとも一部の外周面に雄ねじ部が形成されており、ブロック孔165にニードル弁ブロック167を螺合させるようになっていることが好ましい。また、ニードル弁ブロック167には貫通孔171が形成されており、貫通孔171は、第2のポート107から遠い側に位置する大径孔部171aと、大径孔部171aよりも小さい直径を有し且つ第2の流路113に開口している小径孔部171bと、大径孔部171a及び小径孔部171bとの間に延び且つ小径孔部171bよりも小さい直径を有するオリフィス部171cとを含んでいる。さらに、ニードル弁ブロック167には、貫通孔171の大径孔部171aからニードル弁ブロック167の外周面まで貫通して延びる分岐孔173が形成されている。
【0078】
貫通孔171の大径孔部171aにはニードル弁体ロッド175が挿入されている。ニードル弁体ロッド175の先端のニードル弁体部175aは先端部に向かって細くなるテーパ形状を有しており、その一部がオリフィス部171c内に挿入されている。また、ニードル弁体部175aとは反対側に位置するニードル弁体ロッド175の基端部の外周面には雄ねじ部が形成されていると共に、貫通孔171の大径孔部171aの開口端部の内周面には雌ねじ部が形成されており、貫通孔171にニードル弁体ロッド175を螺合するようになっている。したがって、貫通孔171に対してニードル弁体ロッド175を回転させることによって、貫通孔171の大径孔部171aにおける長さ方向のニードル弁体ロッド175の位置を調整して、テーパ状のニードル弁体部175aをオリフィス部171c内に挿入する深さを変えることができる。テーパ状のニードル弁体部175aをオリフィス部171c内に挿入する深さを変えることによって、ニードル弁体部175aの外周面とオリフィス部171cの内周面との隙間の大きさを変化させ、オリフィス部171cを流通する流体の流量を調整することが可能となる。
【0079】
分岐孔173は隙間通路169を介して第1の流路111に連通しており、大径孔部171aと小径孔部171bとオリフィス部171cと分岐孔173は、第1の流路111と第2の流路113との間で流量調整弁室109と並行に設けられた並行流路115を構成している。また、オリフィス部171cとニードル弁体ロッド175とが並行流路115に設けられた絞り部101b(図1における絞り部10bに相当)としてのニードル弁163を構成している。
【0080】
隙間通路169内には、チェック弁機構部101c(図1におけるチェック弁機構部10cに相当)が配置されている。隙間通路169は、第1の流路111を横断して第2の流路113まで延びるブロック孔165の内周面とニードル弁ブロック167の縮小部167bの外周面との間に形成されており、ニードル弁ブロック167内の貫通孔171と並行に第1の流路111及び第2の流路113とを接続するように延びている。したがって、隙間通路169は、第1の流路111と第2の流路113との間で並行流路115と並行して設けられた付加流路を構成している。また、付加流路にはチェック弁機構部101cが配置されている。チェック弁機構部101cは、例えば、ブロック孔165の内周面とニードル弁ブロック167の縮小部167bの外周面との間に配置されたUパッキン、Vパッキン、Yパッキンなどの可撓性のリップ構造部を有した環状のリップパッキン131によって構成することができる。この場合、隙間通路169において、リップパッキン131のリップ構造部が第2の流路113に近い側に向けられて配置されるようにする。これにより、リップパッキン131は、第1のポート105から隙間通路169及び第2の流路113を経て第2のポート107へ向かう方向の流体の流れを許容する一方、第2のポート107から第2の流路113及び隙間通路169を経て第1のポート105へ向かう流体の流れを防止するようになる。図示されている実施形態では、チェック弁機構部101cは、Yパッキンによって構成されている。
【0081】
以上、図示されている実施形態を参照して、本発明による流量制御弁10及びこれを備えるサックバックバルブ11を説明したが、本発明は図示されている実施形態に限定されるものではない。例えば、図示されている実施形態では、流量調整付勢部材141が、第1の受け部材139を介してダイヤフラム137を付勢しているが、第1の受け部材139を設けず、直接的にダイヤフラム137を付勢してもよい。また、本発明による流量制御弁101、151、161は、サックバックバルブ11以外にも、吸戻機構部のない開閉弁、定圧弁、流量調整弁等に適用することが可能である。さらに、流量制御弁10を備える開閉弁15’は、別の切換バルブによって制御されたエア式駆動部や電動式駆動部を備えたサックバックバルブ、定圧弁、流量調整弁と組み合わせて使用することもできる。
【0082】
図8は、例示として、本発明による流量制御弁10を備える開閉弁15’の全体構成を示している。開閉弁15’は、サックバックバルブ11の開閉弁部15と基本的に同様の構成を有しており、図8において、開閉弁部15の各構成部と同様の開閉弁15’の各構成部には同じ参照符号が付されている。流量制御弁10としては、流量制御弁101,151,161などを使用することができる。ここでは、サックバックバルブ11における吸戻機構部17がないことにより生じた開閉弁15’と開閉弁部15との構成の相違点について主に説明する。バルブ本体13に設けられた開閉弁室23には、入口流路19及び出口流路21が接続されている。図示されている実施形態では、入口流路19が開閉弁室23の底面に開口し、出口流路21は開閉弁室23の側面に開口している。開閉弁室23への入口流路19の開口の周囲には、弁体49が接離する環状の開閉弁座29が形成されており、入口流路19の上流側端部と出口流路21の下流側端部には、それぞれ継手31,33が設けられている。開閉用駆動胸部筐体35、開閉シリンダ室37、開閉ピストン39、開閉用付勢部材41、開閉ステム43、案内軸45、貫通孔47、弁体49、貫通孔51、開閉用駆動流体ポート53、シール部材55は、開閉弁部15と同様の構成であり、ここでは説明を省略する。また、流量制御弁10及び開閉弁15’の動作は、流量制御弁101及び開閉弁部15と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0083】
本発明による流量制御弁10を備える開閉弁15’は、閉弁時に弁体が弁座に接触するときの動作を緩やかにすることができるので、閉弁時の衝撃が緩和され、発塵を抑制する効果を奏し得る。さらに、流量制御弁10を備える開閉弁15’は、イソプロピルアルコールなどの気化しやすい流体に使用される場合、流体の急激な圧力低下により発生するマイクロバルブの発生を抑制する効果も奏し得る。これらの効果は、本発明による流量制御弁10を備える定圧弁や流量調整弁などでも同様である。
【符号の説明】
【0084】
10 流量制御弁
10a 排出流量調整機構部
10b 絞り部
10c チェック弁機構部
11 サックバックバルブ
13 バルブ本体
15 開閉弁部
15’ 開閉弁
17 吸戻機構部
83 切換弁
101 流量制御弁
101a 排出流量調整機構部
101b 絞り部
101c チェック弁機構部
103 制御弁本体
105 第1のポート
107 第2のポート
109 流量調整弁室
111 第1の流路
113 第2の流路
115 並行流路
117 流量調整弁座
131 リップパッキン
133 調整機構筐体
135 収容室
137 ダイヤフラム
139 第1の受け部材
141 流量調整付勢部材
151 流量制御弁
153 付勢力調整機構
161 流量制御弁
163 ニードル弁
【要約】
【課題】流通する流体が所定の圧力を越えた状態を維持すると、大きな流量を確保し、流通する流体が所定の圧力以下に低下すると、大きい流量から少ない流量へと変化させる流量制御弁を提供する。
【解決手段】流量制御10は、第1のポート及び第2のポートと、第1のポートから延びる第1の流路と、第2のポートから延びる第2の流路とが形成された制御弁本体と、第1の流路と第2の流路との間に並行して設けられた絞り部10b及び排出流量調整機構部10aとを備える。絞り部10bが第1の流路と第2の流路とを常時連通させ、排出流量調整機構部10aが、流体の圧力が所定値以下になっているときに流体の流通を閉止させ、流体の圧力が所定値を越えているときに流体の流通を許容するように構成されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8