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特許7175377薬液注入装置用エンドキャップ及び薬液注入装置セット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】薬液注入装置用エンドキャップ及び薬液注入装置セット
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/36 20060101AFI20221111BHJP
   A61M 39/20 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
A61M5/36 500
A61M39/20
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021504209
(86)(22)【出願日】2019-07-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 KR2019009338
(87)【国際公開番号】W WO2020027507
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】10-2018-0090005
(32)【優先日】2018-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520139848
【氏名又は名称】キム ヨンヒョン
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨンヒョン
【審査官】鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-517597(JP,A)
【文献】特表2012-501798(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0128803(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0009764(US,A1)
【文献】特表2001-523120(JP,A)
【文献】特表2017-517347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/36
A61M 39/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液注入装置の流路の下流側に連結され、プライミング用液体が流入するように構成されるエンドキャップ(end cap)において、
1より大きい屈折率(n)を有する透明材質から形成され、90゜未満の内角(θ)をなす第1面及び第2面を含む屈折部、及び
前記第2面から離隔されて配置される表示部を含み、
流入する前記プライミング用液体が移動可能な通路を形成し、
前記通路の一部は、前記第2面と前記表示部との間に位置し、
前記屈折部は、前記通路に空気が満たされた第1状態で前記表示部から始まった光が全て前記第1面に垂直な外部方向である表示方向とは異なる方向に移動し、前記通路に前記プライミング用液体が満たされた第2状態で前記表示部から始まった光のうち一部が前記表示方向に移動するように構成される、
薬液注入装置用エンドキャップ。
【請求項2】
請求項1のエンドキャップにおいて、
前記屈折部は、前記第1状態で前記第2面において全反射された光が前記表示方向に移動し、前記第2状態で前記表示部から始まった光のうち一部が前記第2面において屈折して前記表示方向に移動するように構成される、
薬液注入装置用エンドキャップ。
【請求項3】
請求項1のエンドキャップにおいて、
前記表示方向に移動する光を外部に透過させるように透明部が形成される、
薬液注入装置用エンドキャップ。
【請求項4】
請求項3のエンドキャップにおいて、
前記第1面及び前記第2面を含む屈折部の周面のうち前記透明部に対応する領域以外の領域を前記屈折部の外部方向に通過する光を遮断するか、散乱させるか、前記透明部より低い透明性で透過させるようにブラインド部が形成される、
薬液注入装置用エンドキャップ。
【請求項5】
請求項4のエンドキャップにおいて、
前記透明部は、前記第1面のうち特定領域に対応するように構成され、
前記第1面のうち前記特定領域を除いた領域を基準として、前記特定領域は、前記第1面が前記第2面と前記内角(θ)をなす方向に位置する、
薬液注入装置用エンドキャップ。
【請求項6】
請求項1のエンドキャップにおいて、
前記内角(θ)はsin-1(1/n)以上である、
薬液注入装置用エンドキャップ。
【請求項7】
請求項1のエンドキャップにおいて、
前記プライミング用液体は、屈折率(n)を有する時、前記屈折率(n)は1/sinθ以上、且つn/sinθ未満である、
薬液注入装置用エンドキャップ。
【請求項8】
請求項1のエンドキャップにおいて、
前記屈折率(n)は、1/sinθ以上、且つ1.333/sinθ未満である、
薬液注入装置用エンドキャップ。
【請求項9】
請求項1のエンドキャップにおいて、
1より大きい屈折率(n′)を有する透明材質から形成され、前記第2面と前記表示部との間に位置し、前記第2面から離隔されて配置される補助屈折部をさらに含み、
前記通路の一部は、前記第2面と前記補助屈折部との間に位置する、
薬液注入装置用エンドキャップ。
【請求項10】
請求項9のエンドキャップにおいて、
前記屈折率(n′)は、1.333より大きい、
薬液注入装置用エンドキャップ。
【請求項11】
請求項1のエンドキャップにおいて、
前記流路から前記液体が流入するように構成された流入ポート及び前記通路の内部から空気が流出するように構成された流出ポートを有するケーシング部をさらに含み、
前記屈折部は、前記ケーシング部の内部に配置される、
薬液注入装置用エンドキャップ。
【請求項12】
請求項11のエンドキャップにおいて、
前記第1面及び前記第2面を含む屈折部の周面のうち前記第2面を除いた面は、前記ケーシング部の内側面に接触する、
薬液注入装置用エンドキャップ。
【請求項13】
請求項1のエンドキャップにおいて、
前記第2面と前記表示部との間に位置する前記通路の一部の下流側に配置され、前記液体を吸収するように構成される液体吸収部、及び
前記液体吸収部の下流側に配置され、空気を通過させる疎水性(hydrophobic)のフィルタ部をさらに含む、
薬液注入装置用エンドキャップ。
【請求項14】
薬液を加圧するように構成されたポンピングモジュール、
上流側が前記ポンピングモジュールに連結され、プライミング用液体の流れを案内するように構成される連結流路、及び
前記連結流路の下流側に連結され、前記プライミング用液体が流入するように構成されるエンドキャップを含み、
前記エンドキャップは、
1より大きい屈折率(n)を有する透明材質から形成され、90゜未満の内角(θ)をなす第1面及び第2面を含む屈折部、及び
前記第2面から離隔されて配置される表示部を含み、
前記エンドキャップは、流入する前記液体が移動可能な通路を形成し、
前記通路の一部は、前記第2面と前記表示部との間に位置し、
前記屈折部は、前記通路に空気が満たされた第1状態で前記表示部から始まった光が全て前記第1面に垂直な外部方向である表示方向とは異なる方向に移動し、前記通路に前記プライミング用液体が満たされた第2状態で前記表示部から始まった光のうち一部が前記表示方向に移動するように構成される、
薬液注入装置セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は薬液の注入のための医療用装置及び薬液注入装置用エンドキャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
患者に薬品を供給するために、患者に液状の薬品を注入する薬液注入装置が知られている。前記薬液注入装置を用いて、所定の貯蔵空間内にある薬液が流路を通じて移動し、患者の体内に流入する。
【0003】
前記薬液注入装置を用いる過程で患者の体内に空気が流入することを防ぐために、カテーテル(catheter)または注射針などの患者に連結される部材を結合する前の状態で、薬液が移動する流路内部にプライミング(priming)用液体(例えば、注入しようとする薬液や食塩水など)を満たすプライミング作業が知られている。
【0004】
このようなプライミング作業の際に、薬液が移動する流路の末端に連結され、流路内の空気の除去を補助するエンドキャップ(end cap)が知られている。エンドキャップが流路と連結された状態でプライミング用液体が流路を満たした後、エンドキャップ内部の空間を満たすことになり、この後、エンドキャップを流路と分離させ、流路に患者に連結される部材を結合して用いる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来は、プライミング用液体が薬液注入装置の流路を経てエンドキャップまで到達したか肉眼で確認しにくい問題があった。特に、前記プライミング用液体が透明な場合には、エンドキャップまで前記プライミング用液体が到達したか確認するにあたり、格別の注意が必要なため不便であるという問題があった。本開示の実施例は前述の従来技術の問題点を解決する。
【0006】
従来は、前記プライミング用液体が薬液注入装置の流路を経てエンドキャップまで到達する間、医療スタッフ(医師または看護師など)がこれを持続的に見守って確認しなければならないので不便であるという問題があった。本開示の実施例は前述の従来技術の問題点を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面は、薬液注入装置の流路の下流側に連結され、プライミング用液体が流入するように構成されるエンドキャップの実施例を提供する。代表的な実施例による薬液注入装置用エンドキャップは、1より大きい屈折率(n)を有する透明材質から形成され、90゜未満の内角(θ)をなす第1面及び第2面を含む屈折部、及び前記第2面から離隔されて配置される表示部を含む。前記エンドキャップは、流入する前記プライミング用液体が移動可能な通路を形成する。前記通路の一部は、前記第2面と前記表示部との間に位置する。
【0008】
前記屈折部は、前記通路に空気が満たされた第1状態で前記表示部から始まった光は全て前記第1面に垂直な外部方向である表示方向とは異なる方向に移動し、前記通路に前記プライミング用液体が満たされた第2状態で前記表示部から始まった光のうち一部が前記表示方向に移動するように構成され得る。
【0009】
前記屈折部は、前記第1状態で前記第2面から全反射された光が前記表示方向に移動し、前記第2状態で前記表示部から始まった光のうち一部が前記第2面において屈折し、前記表示方向に移動するように構成され得る。
【0010】
前記エンドキャップには、前記表示方向に移動する光を外部に透過させるように透明部が形成され得る。
【0011】
前記エンドキャップには、前記第1面及び前記第2面を含む屈折部の周面のうち前記透明部に対応する領域以外の領域を前記屈折部の外部方向に通過する光を遮断したり散乱させたり前記透明部より低い透明性で透過させたりするようにブラインド部が形成され得る。
【0012】
前記透明部は、前記第1面のうち特定領域に対応するように構成され得る。前記第1面のうち前記特定領域を除いた領域を基準として、前記特定領域は、前記第1面が前記第2面と前記内角(θ)をなす方向に位置し得る。
【0013】
前記内角(θ)は、sin-1(1/n)以上であり得る。
【0014】
前記プライミング用液体は、屈折率(n)を有する時、前記屈折率(n)は1/sinθ以上、且つn/sinθ未満であり得る。
【0015】
前記屈折率(n)は、1/sinθ以上、且つ1.333/sinθ未満であり得る。
【0016】
1より大きい屈折率(n′)を有する透明材質から形成され、前記第2面と前記表示部との間に位置し、前記第2面から離隔されて配置される補助屈折部をさらに含み得る。前記通路の一部は、前記第2面と前記補助屈折部との間に位置し得る。
【0017】
前記屈折率(n′)は、1.333より大きくなり得る。
【0018】
前記エンドキャップは、前記流路から前記液体が流入するように構成された流入ポート及び前記通路の内部から空気が流出するように構成された流出ポートを有するケーシング部をさらに含み得る。前記屈折部は、前記ケーシング部の内部に配置され得る。
【0019】
前記第1面及び前記第2面を含む屈折部の周面のうち、前記第2面を除いた面は、前記ケーシング部の内側面に接触し得る。
【0020】
前記エンドキャップは、前記第2面と前記表示部との間に位置する前記通路の一部の下流側に配置され、前記液体を吸収するように構成される液体吸収部、及び前記液体吸収部の下流側に配置され、空気を通過させる疎水性(hydrophobic)のフィルタ部をさらに含み得る。
【0021】
本開示のもう1つの側面は、薬液注入装置セットの実施例を提供する。代表的な実施例による薬液注入装置セットは、薬液を加圧するように構成されたポンピングモジュール、上流側が前記ポンピングモジュールに連結され、プライミング用液体の流れを案内するように構成される連結流路、及び前記連結流路の下流側に連結され、前記プライミング用液体が流入するように構成されるエンドキャップを含む。前記エンドキャップは、1より大きい屈折率(n)を有する透明材質から形成され、90゜未満の内角(θ)をなす第1面及び第2面を含む屈折部、及び前記第2面から離隔されて配置される表示部を含む。前記エンドキャップは、流入する前記液体が移動可能な通路を形成する。前記通路の一部は、前記第2面と前記表示部との間に位置する。
【発明の効果】
【0022】
本開示の実施例によれば、エンドキャップ内部にプライミング液体が流入完了したことが肉眼で容易かつ早急に分かり、医療スタッフがエンドキャップ内部へのプライミング液体の流入完了如何を確認するにあたりミス発生の可能性を顕著に下げることができる。
【0023】
本開示の実施例によれば、肉眼でプライミング用液体の流入前と後の表示変化を確認できながらも、このような表示変化のために化学的物質反応を用いたものではなく、物理的光学性質を用いたものなので、人体に流入し得ることもある液体の汚染発生の可能性が顕著に低いという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本開示の一実施例による薬液注入装置セット(1)のシステム全体を示す概念図である。
図2図2は、図1の一実施例によるエンドキャップ(700)の斜視図である。
図3図3は、図2のエンドキャップ(700)の分解斜視図であって、一方向から見た図面である。
図4図4は、図2のエンドキャップ(700)の分解斜視図であって、図3とは異なる方向から見た図面である。
図5図5は、図2のエンドキャップ(700)をラインS1-S1′に沿って垂直に切った断面図及び部分拡大図である。
図6図6は、図2のエンドキャップ(700)をラインS2-S2′に沿って水平に切った断面図及び第1実施例(E1)、第2実施例(E2)及び第3実施例(E3)による部分拡大図である。
図7A図7A及び図7Bは、図6のエンドキャップ(700)を観察方向(V)から見た立面図であって、図7Aはエンドキャップ(700)内にプライミング用液体が流入する前の状態の図面である。
図7B図7A及び図7Bは、図6のエンドキャップ(700)を観察方向(V)から見た立面図であって、図7Bはエンドキャップ(700)内にプライミング用液体が満たされた状態の図面である。
図8図8は、図6をハッチングなしに示した断面図であって、透明部(T)及びブラインド部(B)を示す図面である。
図9A図9A図9Cは、補助屈折部(719)が備えられていない実施例において、屈折部(720)及び表示部(731)を水平に切った断面概念図であって、図9Aはメイン通路部(P2)に空気が満たされた状態での光の移動経路の例示を示す。
図9B図9A図9Cは、補助屈折部(719)が備えられていない実施例において、屈折部(720)及び表示部(731)を水平に切った断面概念図であって、図9Bはメイン通路部(P2)にプライミング用液体が満たされた状態での光の移動経路の例示を示す。
図9C図9A図9Cは、補助屈折部(719)が備えられていない実施例において、屈折部(720)及び表示部(731)を水平に切った断面概念図であって、図9Cはメイン通路部(P2)にプライミング用液体が満たされた状態での光の移動経路の例示を示す。
図10図10は、補助屈折部(719)が備えられた実施例において、屈折部(720)、補助屈折部(719)及び表示部(731)を水平に切った断面概念図であって、光の移動経路の例示を示す。
図11図11は、他の実施例による屈折部(720′)を水平に切った断面概念図である。
図12図12は、更に他の実施例による屈折部(720″)を水平に切った断面概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示の実施例は本開示の技術的思想を説明するための目的で例示されたものである。本開示による権利範囲が以下に提示される実施例やこれら実施例に関する具体的な説明に限定されるわけではない。
【0026】
本開示に用いられる全ての技術的用語及び科学的用語は、特に定義されない限り、本開示の属する技術分野で通常の知識を有する者に一般に理解される意味を有する。本開示に用いられる全ての用語は、本開示を更に明確に説明するための目的で選択されたものであり、本開示による権利範囲を制限するために選択されたものではない。
【0027】
本開示で用いられる「含む」、「備える」、「有する」等のような表現は、当該表現が含まれる語句または文章で特に言及されない限り、他の実施例を含む可能性を内包する開放型用語(open-ended terms)と理解されるべきである。
【0028】
本開示で記述された単数型の表現は、特に言及しない限り、複数型の意味を含み得、これは請求の範囲に記載された単数型の表現にも同様に適用される。
【0029】
本開示で用いられる「第1」、「第2」等の表現は、複数の構成要素を相互に区分するために用いられ、当該構成要素の順序または重要度を限定するわけではない。
【0030】
本開示において、ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるか、「接続されて」いると言及された場合、前記ある構成要素が前記他の構成要素に直接的に連結され得るか、接続され得るものと、または、新たな他の構成要素を媒介として連結され得るか、接続され得るものと理解されるべきである。
【0031】
以下、添付した図面を参照して、本開示の実施例を説明する。添付の図面において、互いに異なる実施例を区分するために、図面の参照符号の後にプライム(prime)記号(′)または複数のプライム記号(″)を表示し得る。また、添付の図面において、同一または対応する構成要素には同一の参照符号が付与されている。また、以下の実施例の説明において、同一または対応する構成要素を重複して記述することが省略され得る。しかし、構成要素に関する記述が省略されても、そのような構成要素がある実施例に含まれないものと意図されるわけではない。
【0032】
以下、図1を参照して、本開示の一実施例による薬液注入装置セット(1)を説明すると、次の通りである。薬液注入装置セット(1)は、薬液を加圧し、流れを案内する薬液注入装置(100,300)と、薬液注入装置(100,300)の流路(300)に連結されるように構成されるエンドキャップ(700)を含む。薬液注入装置(100,300)は、薬液を加圧するように構成されたポンピングモジュール(100)と、薬液を案内するための連結流路(300)を含む。ポンピングモジュール(100)における加圧によってポンピングモジュール(100)から流出する薬液が連結流路(300)を通じて流れる。
【0033】
薬液注入装置セット(1)は、連結流路(300)上に配置されるポートモジュール(200)を含み得る。ポートモジュール(200)は、ポンピングモジュール(100)内に液体(例えば、薬液または食塩水など)を充填可能に構成される。ポートモジュール(200)を通じて流入した前記液体は、ポンピングモジュール(100)内に流入し得る。
【0034】
薬液注入装置セット(1)は、連結流路(300)の少なくともいずれか1つの地点の開放如何を変更するように構成された連結管開閉モジュール(400)を含み得る。薬液注入装置セット(1)は、連結流路(300)内に流れる液体の異物を取り除くフィルタモジュール(500)を含み得る。
【0035】
薬液注入装置セット(1)は、薬液を患者に注入するための患者連結モジュール(600,600′)を含む。患者連結モジュール(600,600′)は、注射針(610)等の患者の体内に入り込む構成要素を含む。
【0036】
患者連結モジュール(600,600′)は、「注射針(610)等の患者の体内に入り込む構成要素を含む入り込み部品」と「残りの部品」を含み得る。前記入り込み部品と前記残りの部品は、互いに分離可能に結合され得る。この場合、前記入り込み部品は、患者と連結されているものの、前記残りの部品と分離された状態で、使用者は、前記残りの部品を連結流路(300)の下流側に結合させた後、前記入り込み部品と前記残りの部品を互いに結合させ得る。この場合、連結流路(300)を経た液体は、順次、前記残りの部品と前記入り込み部品を経て、患者の体内に流入し得る。図示されていないが、更に他の実施例による患者連結モジュールは、カテーテル(Catheter)を含み得る。
【0037】
本開示で用いられる「上流」及び「下流」は、ポンピングモジュール(100)が薬液を加圧する時、連結流路(300)及びエンドキャップ(700)内で薬液が流れる方向を基準として定義される。具体的には、図1の矢印F2及びF3の矢印方向が下流方向と定義され、前記下流方向の反対方向が上流方向と定義される。
【0038】
本開示の実施例による薬液注入装置セット(1)を用いて薬液を患者に注入する過程は、順次進行されるプライミング(Priming)段階及び薬液注入段階を含む。
【0039】
「患者連結モジュール(600,600′)が患者から分離された状態」または「患者連結モジュール(600,600′)の前記入り込み部品が患者と連結されているものの、前記残りの部品が分離された状態」で、前記プライミング段階が進行される。前記プライミング段階で、連結流路(300)の下流側の末端にエンドキャップ(700)を連結し、プライミング用液体が連結流路(300)に沿って流れるようにする。連結流路(300)に沿って流れる前記プライミング用液体は、エンドキャップ(700)内に流入し、連結流路(300)の内部の空気はエンドキャップ(700)を経て外部に排出される。これにより、連結流路(300)及びエンドキャップ(700)の内部に前記プライミング用液体が満たされる。
【0040】
前記プライミング用液体は、連結流路(300)内を満たすために連結流路(300)に沿って流れ、エンドキャップ(700)に流入する液体を意味する。前記プライミング用液体は、患者に注入しようとする薬液または薬液に代わる食塩水などであり得る。
【0041】
空気の屈折率(n)は1である。前記プライミング用液体は、1より大きい屈折率(n)を有する。前記プライミング用液体は、水とほぼ類似の屈折率(n)を有する。屈折率(n)は約1.333である。
【0042】
エンドキャップ(700)は、連結流路(300)の下流側に連結され、前記プライミング用液体が流入するように構成される。エンドキャップ(700)は、空気及び前記プライミング用液体が内部に流入するように構成される。エンドキャップ(700)は、空気は外部に流出させるものの、前記プライミング用液体が外部に流出することを防ぐように構成され得る。
【0043】
エンドキャップ(700)に前記プライミング用液体が満たされれば、エンドキャップ(700)を連結流路(300)から分離させ、連結流路(300)と患者連結モジュール(600,600′)を連結したり、連結流路(300)と前記残りの部品を連結したりすることができる。その後、患者連結モジュール(600,600′)内の空気を排出させるために、前記プライミング用液体が患者連結モジュール(600,600′)の内部を満たすようにすることができる。
【0044】
患者に患者連結モジュール(600,600′)を連結した後、前記薬液注入段階が進行される。前記薬液注入段階で、ポンピングモジュール(100)における加圧によって薬液が患者の体内に流入する。前記プライミング用液体が薬液ではなく、食塩水などである場合には、前記プライミング用液体がまず患者の体内に流入し、前記プライミング用液体に次いで流れる前記薬液が患者の体内に流入し得る。
【0045】
図1を参照して、ポンピングモジュール(100)は、薬液を収容可能に構成されたチャンバ(110)を含む。チャンバ(110)は、加圧ユニット(120)とともに内部空間を形成する。前記内部空間に薬液が貯蔵され得る。他の一実施例では、前記内部空間に一時的に食塩水などが貯蔵され得る。チャンバ(110)には、チャンバ(110)内部の液体が排出される排出ポート部(111)が形成される。
【0046】
ポンピングモジュール(100)は、チャンバ(110)内部の液体を加圧する加圧ユニット(120)を含む。加圧ユニット(120)は、所定の加圧方向(Ap1)に移動することによって、チャンバ(110)内部の液体を加圧することができる。チャンバ(110)内部に液体が充填される途中である時、加圧ユニット(120)は前記加圧方向(Ap1)の反対方向(Ap2)に移動する。図1には、120Aを参照して、加圧ユニット(120)が前記反対方向(Ap2)に移動した状態の位置が示される。
【0047】
ポンピングモジュール(100)は、加圧ユニット(120)が加圧方向(Ap1)に移動するように動力を提供する加圧動作部(130)を含み得る。一例として、加圧動作部(130)は、ガス(gas)活性(activation)による体積膨張を用いてチャンバ(110)内の液体を加圧するように構成され得る。他の例として、加圧動作部(130)は、使用者がつかむことができる部分を提供し、使用者の力で加圧ユニット(120)を前記加圧方向(Ap1)に移動させることができる。
【0048】
図示されてはいないが、他の例として、加圧ユニット(120)は、バルーン(balloon)等の弾性体の弾性力を用いて液体を加圧するように構成され得る。この場合、加圧ユニット(120)は、前記バルーン内の液体が加圧されるように構成され得る。
【0049】
ポートモジュール(200)を用いてチャンバ(110)内に液体を充填することができる。液体が外部からポートモジュール(200)を通じて連結流路(300)またはチャンバ(110)に流入し得る。ポートモジュール(200)は連結流路(300)に連結されるが、図示されていない他の実施例において、ポートモジュール(200)はチャンバ(110)に連結されることもできる。
【0050】
ポートモジュール(200)は、連結流路(300)の第1連結部(310)の下流側の末端に連結される第1延長部(210)と、連結流路(300)の第2連結部(320)の上流側の末端に連結される第2延長部(220)を含む。ポートモジュール(200)は、外部から液体が流入可能に構成された流入部(230)と、流入部(230)に分離可能に結合されるように構成された流入ポート開閉部(240)を含む。図1の矢印E1は、流入ポート開閉部(240)の流入部(230)に対する結合/分離方向を示す。
【0051】
連結流路(300)は、前記プライミング用液体の流れを案内するように構成される。連結流路(300)は、ポンピングモジュール(100)からエンドキャップ(700)まで薬液の移動を案内し得る。連結流路(300)の上流側の末端はポンピングモジュール(100)に連結される。連結流路(300)の下流側の末端はエンドキャップ(700)に連結可能に構成される。連結流路(300)の下流側の末端は患者連結モジュール(600,600′)に連結可能に構成される。
【0052】
連結流路(300)の上流側がポンピングモジュール(100)に連結される。連結流路(300)は、排出ポート部(111)に連結される上流連結部(350)を含む。
【0053】
連結流路(300)の下流側がエンドキャップ(700)に連結され得る。連結流路(300)は、エンドキャップ(700)に連結される下流連結部(360)を含む。下流連結部(360)は、エンドキャップ(700)と分離され、患者連結モジュール(600,600′)に連結され得る。
【0054】
連結流路(300)は、上流連結部(350)とポートモジュール(200)の第1延長部(210)を連結する第1連結部(310)を含む。連結流路(300)は、ポートモジュール(200)の第2延長部(220)とフィルタモジュール(500)を連結する第2連結部(320)を含む。連結流路(300)は、フィルタモジュール(500)と下流連結部(360)を連結する第3連結部(330)を含む。
【0055】
少なくとも1つの連結管開閉モジュール(400)が構成され得る。連結管開閉モジュール(400)は、連結流路(300)の外部を押して連結流路(300)中の一地点の液体の流れを止め得る。連結管開閉モジュール(400)は、第1連結部(310)の一地点(B1)の開放如何を変更できる第1開閉モジュール(410)と、第2連結部(320)の一地点(B2)の開放如何を変更できる第2開閉モジュール(420)を含み得る。例えば、連結管開閉モジュール(400)はクランプ(clamp)形状に構成され得る。
【0056】
フィルタモジュール(500)は、連結流路(300)上に配置され得る。フィルタモジュール(500)は、連結流路(300)と連結されるフィルタケーシング(510)と、フィルタケーシング(510)内に配置されるフィルタ(520)を含み得る。
【0057】
患者連結モジュール(600,600′)は、下流連結部(360)に連結可能に構成される。連結流路(300)の内部を通過した液体は、患者連結モジュール(600,600′)に移動し、患者の体内に流入し得る。
【0058】
患者連結モジュール(600,600′)は、患者の皮膚に侵襲可能に構成された注射針(610)を含み得る。患者連結モジュール(600,600′)は、注射針(610)を支持する注射支持部(620)を含む。
【0059】
患者連結モジュール(600,600′)は、連結流路(300)の下流連結部(360)と結合されるモジュール結合部(630)を含む。図1の矢印C2は、モジュール結合部(630)の下流連結部(360)に対する結合/分離方向を示す。
【0060】
一実施例による患者連結モジュール(600)は、注射針(610)、注射支持部(620)及びモジュール結合部(630)が順次連結されて構成され得る。他の実施例による患者連結モジュール(600′)は、モジュール結合部(630)の下流側に連結される患者連結管固定部(650′)をさらに含む。患者連結モジュール(600′)は、患者連結管固定部(650′)と注射支持部(620)を連結する患者連結管(640′)をさらに含む。患者連結管(640′)は、フレキシブル(flexible)な材質で形成され得る。例えば、前記入り込み部品は注射針(610)及び注射支持部(620)で構成され、前記残りの部品はモジュール結合部(630)、患者連結管固定部(650′)及び患者連結管(640′)で構成され得る。
【0061】
一実施例によるプライミング段階及び薬液注入段階を説明すると、次の通りである。一実施例によるプライミング段階では、前記プライミング用液体として薬液ではなく、食塩水などを用いる。一実施例によるプライミング段階で、エンドキャップ(700)を連結流路(300)の下流連結部(360)と連結し、流入ポート開閉部(240)を流入部(230)から分離し、第1連結管開閉モジュール(410)で第1連結部(310)を遮断し(B1参照)、第1連結部(310)を除いた連結流路(300)の残りの部分は開放する。矢印F1及びF3を参照して、食塩水などのプライミング用液体は、流入部(230)、第2延長部(220)、第2連結部(320)、第3連結部(330)及びエンドキャップ(700)を順次流れることによって、連結流路(300)及びエンドキャップ(700)の内部が前記プライミング用液体で満たされる。
【0062】
一実施例によるプライミング段階の後、一実施例による薬液注入段階が進行される。一実施例による薬液注入段階で、連結流路(300)の下流連結部(360)にエンドキャップ(700)の代わりに患者連結モジュール(600,600′)を連結し、流入ポート開閉部(240)を流入部(230)から分離し、第2連結管開閉モジュール(420)で第2連結部(320)を遮断し、第1連結管開閉モジュール(410)を第1連結部(310)から分離して第1連結部(310)を開放する。矢印F0を参照して、薬液がポートモジュール(200)及び第1連結部(310)を経てチャンバ(110)内に流入し、加圧ユニット(120)は前記方向(Ap2)に移動する。その後、流入ポート開閉部(240)を流入部(230)に結合させ、第2連結管開閉モジュール(420)を第2連結部(320)から分離して連結流路(300)を開放状態にする。矢印F2及びF3を参照して、その後、加圧ユニット(120)を前記加圧方向(Ap1)に移動させ、薬液が連結流路(300)及び患者連結モジュール(600,600′)を順次通過することができる。
【0063】
他の実施例によるプライミング段階及び薬液注入段階を説明すると、次の通りである。他の実施例によるプライミング段階では、前記プライミング用液体として薬液を用いる。他の実施例によるプライミング段階で、チャンバ(110)内に薬液を満たし、エンドキャップ(700)を連結流路(300)の下流連結部(360)と連結し、流入ポート開閉部(240)で流入部(230)を遮断し、連結管開閉モジュール(400)を連結流路(300)から分離して連結流路(300)を開放状態にする。矢印F2及びF3を参照して、その後、加圧ユニット(120)を前記加圧方向(Ap1)に移動させ、プライミング用液体である薬液が連結流路(300)及びエンドキャップ(700)を順次流れることによって、連結流路(300)及びエンドキャップ(700)の内部が前記プライミング用液体で満たされる。
【0064】
他の実施例によるプライミング段階の後、他の実施例による薬液注入段階が進行される。他の実施例による薬液注入段階で、連結流路(300)の下流連結部(360)にエンドキャップ(700)の代わりに患者連結モジュール(600,600′)を連結する。矢印F2及びF3を参照して、その後、加圧ユニット(120)を前記加圧方向(Ap1)にさらに移動させ、薬液が連結流路(300)及び患者連結モジュール(600,600′)を順次通過することができる。
【0065】
図2は、図1の一実施例によるエンドキャップ(700)の斜視図である。図2を参照して、薬液注入装置用エンドキャップ(700)を説明すると、次の通りである。
【0066】
エンドキャップ(700)は、連結流路(300)と連結されるボディー部(710)を含む。ボディー部(710)は外観を形成し得る。ボディー部(710)は全体的に三角柱状であり得る。ボディー部(710)は、互いに結合するハウジング部材(710A)とキャップ部材(710B)を含み得る。ハウジング部材(710A)は上流側に位置し、キャップ部材(710B)は下流側に位置する。
【0067】
ハウジング部材(710A)の流入ポート(port)(711b)を通じて前記プライミング用液体がエンドキャップ(700)の内部に流入し得る。ハウジング部材(710A)は、後述の表示方向(D)を見る第1側面部(711e1)を含み得る。
【0068】
キャップ部材(710B)の流出ポート(port)(711b)を通じてエンドキャップ(700)の内部の空気がエンドキャップ(700)の外部に流出し得る。キャップ部材(710B)は、下流方向を見る下流側面(711c)を含み得る。
【0069】
図3及び図4は、図2のエンドキャップ(700)の分解斜視図であって、互いに異なる方向から見た図面である。図3及び図4を参照して、エンドキャップ(700)の構成を詳しく説明すると、次の通りである。エンドキャップ(700)は、ボディー部(710)、屈折部(720)、表示部材(730)、液体吸収部(740)及びフィルタ部(750)を含み得る。
【0070】
ボディー部(710)は、外観を形成するケーシング部(711)を含む。本実施例において、ケーシング部(711)はキャップ部材(710B)の一部及びハウジング部材(710A)の一部で構成されるが、ケーシング部(711)が構成される方式は制限される必要がない。
【0071】
ケーシング部(711)は、連結流路(300)から前記プライミング用液体が流入するように構成された流入ポート(711a)を含む。流入ポート(711a)は、内部の空間と連結されるホールを形成する。流入ポート(711a)は、ケーシング部(711)の上流側面(711c)から上流方向に突出するように形成され得る。流入ポート(711a)は、連結流路(300)の下流側の末端と結合されるためのスクリュ形状の突起を形成し得る。
【0072】
ケーシング部(711)は、エンドキャップ(700)の内部から空気が流出するように構成された流出ポート(711b)を含む。流出ポート(711b)は、ケーシング部(711)の下流側面(711d)に形成され得る。流出ポート(711b)は、ケーシング部(711)の下流側面(711d)を貫く複数のホールを形成し得る。
【0073】
ケーシング部(711)の外表面は、上流側面(711c)、下流側面(711d)及び周側面(711e)を含む。上流側面(711c)は上流方向を見て、下流側面(711d)は下流方向を見る。周側面(711e)は、上下流方向を中心とした周りを取り囲む面である。周側面(711e)は、上流側面(711c)と下流側面(711d)との間を連結して配置される。
【0074】
周側面(711e)は、屈折部(720)の第1面(721a)に対応する第1側面部(711e1)を含み得る。第1側面部(711e1)の内側面は、第1面(721a)と向かい合う。第1側面部(711e1)の内側面は、第1面(721a)と接触し得る。
【0075】
周側面(711e)は、屈折部(720)の第2面(721b)に対応する第2側面部(711e2)を含み得る。第2側面部(711e2)の内側面は第2面(721b)と向かい合う。第2側面部(711e2)の内側面の少なくとも一部は第2面(721b)と離隔される。
【0076】
周側面(711e)は、屈折部(720)の第3面(721c)に対応する第3側面部(711e3)を含み得る。第3側面部(711e3)の内側面は第3面(721c)と向かい合う。第3側面部(711e3)の内側面は第3面(721c)と接触し得る。
【0077】
ボディー部(710)は、屈折部(720)が位置する配置空間(710s)を形成する。ハウジング部材(710A)が形成する配置空間(710s)は、上流側に陥没して形成され得る。配置空間(710s)に屈折部(720)が配置された状態でキャップ部材(710B)が配置空間(710s)の下流側を覆い得る。
【0078】
ボディー部(710)は、表示部(731)が位置する挿入ホール(710h)を形成し得る。ハウジング部材(710A)が形成する挿入ホール(710h)は上流側に陥没して形成され得る。挿入ホール(710h)に表示部(731)が配置された状態でキャップ部材(710B)が挿入ホール(710h)の下流側を覆い得る。
【0079】
ボディー部(710)は、フィルタ部(750)が安着するフィルタ安着部(713)を含み得る。フィルタ安着部(713)は下流側面(711d)の内側面に位置し得る。フィルタ安着部(713)に流出ポート(711b)のホールが形成される。フィルタ安着部(713)はフィルタ部(750)の周りの位置を案内するリブを含み得る。
【0080】
ボディー部(710)は液体吸収部(740)をフィルタ部(750)から離隔させる間隔維持部(714)を含み得る。間隔維持部(714)は下流側面(711d)の内側面から上流方向に突出して形成され得る。間隔維持部(714)はリブ(rib)形状に形成され得る。間隔維持部(714)の上流側の末端が液体吸収部(740)に接触することによって液体吸収部(740)の下流方向の位置移動を制限し得る。
【0081】
ボディー部(710)は補助屈折部(719)をさらに含み得る。補助屈折部(719)はハウジング部材(A1)に一体に形成され得る。補助屈折部(719)は配置空間(710s)と挿入ホール(710h)との間に配置される。補助屈折部(719)は屈折部(720)と表示部(731)との間に配置される。補助屈折部(719)は光を透過させる透明材質から形成される。本実施例によるエンドキャップ(700)は、補助屈折部(719)を含むが、後述するように補助屈折部(719)を含まない実施例も実現可能である。
【0082】
屈折部(720)は、1より大きい屈折率(n)を有する透明材質から形成される。屈折部(720)は、前記プライミング用液体の屈折率(n)より大きい屈折率(n)を有する透明材質から形成されることもできるが(図9B参照)、屈折率(n)以下の屈折率(n)を有する透明材質から形成されることもできる(図9C参照)。
【0083】
屈折部(720)は全体的に三角柱状で形成され得る。例えば、屈折部(720)はプリズム(prism)であり得る。
【0084】
屈折部(720)はケーシング部(711)に配置される。屈折部(720)はケーシング部(711)の内部に配置され得る。屈折部(720)は上流方向に流入ポート(711a)と向かい合い得る。屈折部(720)は下流方向に流出ポート(711b)と向かい合い得る。
【0085】
屈折部(720)の外表面は、上流面(725)、下流面(723)及び周面(721)を含む。上流面(725)は上流方向を見て、下流面(723)は下流方向を見る。周面(721)は上下流方向を中心とした周りを取り囲む面である。周面(721)は上流面(725)と下流面(723)との間を連結して配置される。
【0086】
周面(721)は、90゜未満の内角(θ)をなす第1面(721a)及び第2面(721b)を含む。第1面(721a)及び第2面(721b)はそれぞれ平面を形成する。
【0087】
周面(721)は、第1面(721a)及び第2面(721b)と異なる方向を見る第3面(721c)をさらに含み得る。第3面(721c)は周面(721)のうち第1面(721a)及び第2面(721b)を除いた面であり得る。第3面(721c)は平面を形成し得る。周面(721)は、第1面(721a)、第2面(721b)及び第3面のみで構成されることもできるが、周面(721)は3つを超える面で構成されることもでき、周面(721)は曲面を含むこともできる。
【0088】
本実施例において、屈折部(720)はABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂材質から形成される。本実施例において、屈折部(720)の屈折率(n)は約1.518である。屈折部(720)の屈折率(n)が1.518であり、前記プライミング用液体の屈折率(n)が1.333である場合、内角(θ)は41.2゜以上、且つ61.4゜未満であり得る。
【0089】
本実施例において、内角(θ)は60゜である。内角(θ)は60゜であり、前記プライミング用液体の屈折率(n)が1.333である場合、屈折部(720)の屈折率(n)は1.155以上、且つ1.539未満であり得る。
【0090】
表示部材(730)はボディー部(710)と結合され得る。表示部材(730)はケーシング部(711)の内部に配置される。表示部材(730)は全体的に上下流方向に長く形成され得る。
【0091】
表示部材(730)は、第2面(721b)と向かい合って離隔された表示部(731)を含む。表示部(731)は不透明に構成され得る。表示部(731)は表示部(731)の周辺の色と異なる色を有し得る。本実施例において、表示部(731)は、別途の部材である表示部材(730)の一部として構成されるが、図示されていない他の実施例において、ボディー部(710)の第2面(721b)と向かい合う内側面に色をつけたもの等で代えることもできる。
【0092】
表示部材(730)はボディー部(710)に係止される係止部(733)を含み得る。係止部(733)は表示部(731)の下流側の末端に配置され得る。係止部(733)は補助屈折部(719)の下流側の末端に接触して係止され得る。係止部(733)は表示部(731)より内側に突出して形成され得る。
【0093】
液体吸収部(740)は前記プライミング用液体を吸収するように構成される。液体吸収部(740)は、前記プライミング用液体を吸収しながら、空気の通過を補助する。液体吸収部(740)はスポンジ(Sponge)形状であり得る。液体吸収部(740)は屈折部(720)の下流側に配置され得る。液体吸収部(740)はフィルタ部(750)の上流側に配置され得る。液体吸収部(740)が前記プライミング用液体を吸収することによって、前記プライミング用液体がフィルタ部(750)に接触して液体膜を形成し、空気の排出を妨害する現象を防ぐことができる。
【0094】
空気を通過させる疎水性(hydrophobic)のフィルタ部(750)を構成し得る。フィルタ部(750)は前記プライミング用液体の通過を防ぐ。フィルタ部(750)は液体吸収部(740)の下流側に配置される。フィルタ部(750)はケーシング部(711)の内側面に固定され得る。具体的には、フィルタ部(750)は超音波接着またはその他の接着方法を通じてフィルタ安着部(713)に固定され得る。
【0095】
エンドキャップ(700)は、逆流を防止するチェックバルブ(図示せず)をさらに含み得る。前記チェックバルブは、エンドキャップ(700)内部に流入した前記プライミング用液体が流入ポート(711a)を通じて流出することを防止する機能を有する。前記チェックバルブは、流入ポート(711a)の内部に配置され得る。
【0096】
図5は、図2のエンドキャップ(700)をラインS1-S1′に沿って垂直に切った断面図及び部分拡大図である。図5を参照して、エンドキャップ(700)の内部の姿及び通路を説明すると、次の通りである。
【0097】
エンドキャップ(700)は、流入する前記プライミング用液体が移動可能な通路を形成する。流入ポート(711a)は、前記通路の内部に前記プライミング用液体が流入するように構成される。流出ポート(711b)は、前記通路の内部から空気が流出するように構成される。
【0098】
表示部(731)は、屈折部(720)の第2面(721b)から離隔されて配置される。前記通路の一部は、第2面(721b)と表示部(731)との間に位置する。前記通路は、流入ポート(711a)から第2面(721b)及び表示部(731)の間の空間に連結されるように構成される。前記通路は、第2面(721b)及び表示部(731)の間の空間から液体吸収部(740)に連結されるように構成される。
【0099】
前記通路は、第2面(721b)及び表示部(731)の間に位置するメイン通路部(P2)を含む。図5において、メイン通路部(P2)は第2面(721b)と補助屈折部(719)との間の間隙であり得るが、補助屈折部(719)が備えられていない実施例において、メイン通路部(P2)は第2面(721b)と表示部(731)との間の間隙であり得る。前記プライミング用液体は、メイン通路部(P2)に沿って屈折部(720)の上流側から下流側に移動することができる。
【0100】
前記通路は、流入ポート(711a)を通じて流入した前記プライミング用液体をメイン通路部(P2)に案内する上流通路部(P1)を含む(図5の矢印F参照)。前記通路は、メイン通路部(P2)を経た前記プライミング用液体を液体吸収部(740)に案内する下流通路部(P4)を含む。
【0101】
前記通路は、第2面(721b)及び表示部(731)の間に位置し、メイン通路部(P2)と別に構成される補助通路部(P3)をさらに含み得る。補助通路部(P3)は、補助屈折部(719)と表示部(731)との間の間隙であり得る。前記プライミング用液体は、上流通路部(P1)を通じてメイン通路部(P2)及び補助通路部(P3)に分離されて流れ得る。図5においては、補助通路部(P3)が構成されるが、補助屈折部(719)と表示部(731)が接触する他の実施例または補助屈折部(719)が備えられていない更に他の実施例において、補助通路部(P3)が構成されないことも可能である。
【0102】
液体吸収部(740)は、第2面(721b)と表示部(731)との間に位置する前記通路の一部(メイン通路部(P2))の下流側に配置される。液体吸収部(740)は、屈折部(720)と間隔維持部(714)との間に挟まって配置され得る。
【0103】
図6は、図2のエンドキャップ(700)をラインS2-S2′に沿って水平に切った断面図及び第1実施例(E1)、第2実施例(E2)及び第3実施例(E3)による部分拡大図である。図6を参照して、本開示を説明するために、第1面(721a)に垂直な外部方向を「表示方向(D)」と定義し、表示方向(D)の反対方向を「観察方向(V)」と定義し得る。また、観察方向(V)に見る状態で第1面(721a)が第2面(721b)と内角(θ)をなす方向を「右側方向(R)」と定義し、右側方向(R)の反対方向を「左側方向(L)」と定義し得る。
【0104】
第1実施例(E1)において、エンドキャップ(700)は補助屈折部(719)を含み、メイン通路部(P2)及び補助通路部(P3)を形成する。第2面(721b)と表示部(731)との間に補助屈折部(719)が配置され、第2面(721b)と補助屈折部(719)が離隔され、補助屈折部(719)と表示部(731)が離隔される。
【0105】
第2実施例(E2)において、エンドキャップ(700)は補助屈折部(719)を含み、メイン通路部(P2)を形成するが、補助通路部(P3)を形成しない。第2面(721b)と表示部(731)との間に補助屈折部(719)が配置され、第2面(721b)と補助屈折部(719)が離隔され、補助屈折部(719)と表示部(731)が接触する。
【0106】
第3実施例(E3)において、エンドキャップ(700)は補助屈折部(719)を含まず、メイン通路部(P2)を形成し、補助通路部(P3)を形成しない。第2面(721b)と表示部(731)との間にメイン通路部(P2)が配置される。
【0107】
また、第1面(721a)及び第2面(721b)を含む屈折部(720)の周面(721)のうち第2面(721b)を除いた面(711e1,711e3)はケーシング部(711)の内側面に接触する。第1面(721a)はケーシング部(711)の第1側面部(711e1)に接触し得る。第3面(721c)はケーシング部(711)の第3側面部(711e3)に接触し得る。第2面(721b)はケーシング部(711)の第2側面部(711e2)から離隔され、補助屈折部(719)が備えられた実施例において、第2面(721b)は第2側面部(711e2)及び補助屈折部(719)から離隔される。これを通じて、前記プライミング用液体が表示部(731)と第2面との間の空間に集中して流れるようにすることができる。
【0108】
図7A及び図7Bは、図6のエンドキャップ(700)を観察方向(V)に見た立面図であって、図7Aはエンドキャップ(700)内に前記プライミング用液体が流入する前である「第1状態」の図面であり、図7Bはエンドキャップ(700)内に前記プライミング用液体が満たされた後である「第2状態」の図面である。前記第1状態で前記通路に空気が満たされる。前記第2状態で前記通路に前記プライミング用液体が満たされる。
【0109】
図7Aを参照して、屈折部(720)は前記第1状態で表示部(731)から始まった光が全て表示方向(D)とは異なる方向に移動するように構成される。即ち、前記第1状態で表示部(731)から始まった光が全て表示方向(D)に移動しない。これにより、観察方向(V)に見る時、透明部(T)を通じて表示部(731)の像(image)が見えない。前記第1状態では観察方向(V)に見る時、第2面(721b)に全反射された像が透明部(T)に見え得る。
【0110】
図7Bを参照して、屈折部(720)は前記第2状態で表示部(731)から始まった光のうち一部が表示方向(D)に移動するように構成される。即ち、表示部(731)から始まった光のうち所定角度に発散された光が第2面(721b)で屈折し、表示方向(D)に移動する。これにより、観察方向(V)に見る時、透明部(T)を通じて表示部(731)の像(Im)が見える。
【0111】
図8は、図6をハッチングなしに示した断面図であって、透明部(T)及びブラインド部(B)を示す図面である。矢印L0、L1、L2及びL3は、光の移動方向を示すものであって、矢印に「X」表示されたものは、ブラインド部(B)により光の移動が干渉を受けることを意味する。
【0112】
図8を参照して、表示方向(D)に移動する光(L0)を外部に透過させるように透明部(T)が形成される。具体的には、透明部(T)に対応する第1面(721a)の特定領域(721T)は、表面がなめらかに形成され得、透明部(T)に対応する周側面(711e)の一部領域は透明に形成され得る。光(L0)が透明部(T)を通じて透過し、観察方向(V)で前記光(L0)による像(image)を観察することができる。
【0113】
第1面(721a)及び第2面(721b)を含む周面(721)のうち透明部(T)に対応する領域(721T)以外の領域(721aB,721bB,721cB)を屈折部(720)の外部方向に通過する光を干渉するブラインド部(B)が形成される。ここで、ブラインド部(B)が光を干渉するということは、光を遮断するか、光を散乱させるか、透明部(T)より低い透明性で透過させることであり得る。
【0114】
一例として、ブラインド部(B)はケーシング部(711)または屈折部(720)に付着されるテープ(tape)等の別途の部材を含み得る。前記別途の部材は不透明または透明部(T)より低い透明性を有する材質から形成され得る。
【0115】
他の例として、ブラインド部(B)はケーシング部(711)または屈折部(720)に塗られる別途の塗装面を含み得る。前記別途の塗装面は不透明または透明部(T)より低い透明性を有する材質から形成され得る。
【0116】
更に他の例として、ブラインド部(B)はケーシング部(711)の表面または屈折部(720)の表面を腐食処理して形成され得る。更に他の例として、ブラインド部(B)は不透明な材質または透明部(T)より低い透明性を有する材質から形成されたケーシング部(711)の一部を含み得る。
【0117】
前記のようにブラインド部(B)は多様な方式またはこれらの組合わせで構成され得る。ただし、第2面(721b)に対応するブラインド部(B)はケーシング部(711)に配置され、第2面(721b)は光を透過させるように構成されることが望ましい。
【0118】
透明部(T)は、第1面(721a)のうち特定領域(721T)に対応するように構成される。ブラインド部(B)は、屈折部(720)の周側面(711e)のうち特定領域(721T)を除いた遮蔽領域(721aB,721bB,721cB)に対応するように構成される。遮蔽領域(721aB,721bB,721cB)は、第1面(721a)に位置した遮蔽領域(721aB)と、第2面(721b)に位置した遮蔽領域(721bB)を含み得る。遮蔽領域(721aB,721bB,721cB)は、第3面(721c)に位置した遮蔽領域(721cB)をさらに含み得る。ブラインド部(B)は、光(L1)が遮蔽領域(721aB)を透過して外部に移動することを干渉し、光(L2)が遮蔽領域(721bB)を透過して外部に移動することを干渉し、光(L3)が遮蔽領域(721cB)を透過して外部に移動することを干渉する。
【0119】
特定領域(721T)は、周面(721)のうち第1面(721a)のみに位置するように構成され得る。この場合、第2面(721b)全体が遮蔽領域(721bB)となり、第3面(721c)全体が遮蔽領域(721cB)となる。
【0120】
第1面(721a)のうち特定領域(721T)を除いた領域(721aB)を基準として、特定領域(721T)は第1面(721a)が第2面(721b)と内角(θ)をなす方向に位置し得る。即ち、特定領域(721T)は遮蔽領域(721aB)の右側方向(R)に位置し得る。これを通じて、第1状態で観察方向(V)と右側方向(R)との間の方向に見ることによって、表示部(731)の像が見える領域を遮蔽領域(721aB)に対応するブラインド部(B)で遮断することができる。また、第3面(721c)に反射して見える表示部(731)の像が見える領域を遮蔽領域(721aB)に対応するブラインド部(B)で遮断することができる。
【0121】
特定領域(721T)と遮蔽領域(721aB)の境界は、屈折部(720)の高さ方向に平行に形成され得る。ここで、屈折部(720)の「高さ方向」というのは、表示方向(D)、観察方向(V)、右側方向(R)及び左側方向(L)に垂直な方向を意味する。特定領域(721T)と遮蔽領域(721aB)の境界は、第1面(721a)の中央を基準として右側方向(R)に位置し得る。特定領域(721T)の面積は、遮蔽領域(721aB)の面積より小さいこともある。特定領域(721T)と遮蔽領域(721aB)の境界で第1面(721a)が左右に約2:1の比率で区分され得る。
【0122】
図9A図9Cは、補助屈折部(719)が備えられていない実施例において、屈折部(720)及び表示部(731)を水平に切った断面概念図であって、図9Aはメイン通路部(P2)に空気が満たされた状態での光の移動経路の例示を示し、図9B及び図9Cはメイン通路部(P2)にプライミング用液体が満たされた状態での光の移動経路の例示を示す。図9A図9Cにおいて、LR、LF、LDは光の経路を示し、光の経路(LR,LF)の図示において第1面(721a)上での屈折は省略する。
【0123】
屈折部(720)の屈折率(n)は空気の屈折率(n)である1より大きい。前記プライミング用液体の屈折率(n)も1より大きい。図9Bは屈折率(n)が屈折率(n)より大きい場合の光の経路を示し、図9Cは屈折率(n)が屈折率(n)より小さい場合の光の経路を示す。
【0124】
図9Aを参照して、前記第1状態でメイン通路部(P2)には屈折率(n)の空気が満たされる。屈折部(720)は前記第1状態で第2面(721b)で全反射された光(LD)が表示方向(D)に移動するように構成される。前記第1状態で第2面(721b)の内面に入射される光の臨界角(critical angle)(A1)は次の数式1を通じて求められる。
【0125】
【数1】
【0126】
第2面(721b)に垂直な仮想の法線(z)に対してA1未満の角度(Ao)で第2面(721b)において屈折した光(LR)が移動する。具体的には、前記光(LR)は第2面(721b)に入射角(Ai)で入射して屈折角(Ao)で屈折する。一方、法線(z)に対してA1以上の角度で見れば、第2面(721b)において屈折した光を見ることはできない。法線(z)に対してA1を超える角度(FA)で、第2面(721b)の内面に全反射された光(LF)が移動する。具体的には、第2面(721b)の内面に反射角(θ)で全反射された光(LD)が表示方向(D)に移動する。
【0127】
ここで、法線(z)と表示方向(D)がなす角は、第1面(721a)と第2面(721b)がなす内角(θ)と同じである。従って、前記第1状態では第2面(721b)で全反射された光(LD)が表示方向(D)に移動するように、内角(θ)がsin-1(1/n)以上である。ここで、屈折率(n)を定義する式に変換すれば、屈折率(nr)は1/sinθ以上である。
【0128】
図9Bを参照して、前記第2状態でメイン通路部(P2)には屈折率(n)の前記プライミング用液体が満たされる。図9Bの屈折率(n)が屈折率(n)より大きい実施例で、屈折部(720)は前記第2状態で表示部(731)から始まった光(SP)のうち一部(LD)が第2面(721b)で屈折し、表示方向(D)に移動するように構成される。前記第2状態で第2面(721b)の内面に入射される光の臨界角(A2)は次の数式2を通じて求められる。
【0129】
【数2】
【0130】
第2面(721b)に垂直な仮想の法線(z)に対してA2未満の角度(Ao)で第2面(721b)において屈折した光(LD)が移動する。具体的には、前記光(LD)は、第2面(721b)に入射角(Ai)で入射して屈折角(Ao)で屈折する。表示方向(D)に移動する光(LD)は、第2面(721b)において屈折角(θ)で屈折した光である。一方、法線(z)に対してA2以上の角度で見れば、第2面(721b)で屈折した光を見ることはできない。法線(z)に対してA2を超える角度(FA)で、第2面(721b)の内面に全反射された光(LF)が移動する。具体的には、第2面(721b)の内面に反射角(A2)で全反射された光(LF)が表示方向(D)と右側方向(R)との間の方向に移動する。
【0131】
ここで、法線(z)と表示方向(D)がなす角は、第1面(721a)と第2面(721b)がなす内角(θ)と同じである。従って、前記第2状態では第2面(721b)で屈折した光(LD)が表示方向(D)に移動するように、内角(θ)がsin-1(n/n)未満である。屈折率(n)が1.333である場合、内角(θ)がsin-1(1.333/n)未満である。ここで、屈折率(n)を定義する式に変換すれば、屈折率(n)はn/sinθ未満である。屈折率(n)が1.333である場合、屈折率(n)は1.333/sinθ未満である。
【0132】
図9Cを参照して、屈折率(n)が屈折率(n)より小さい実施例において、屈折部(720)は前記第2状態で表示部から始まった光(SP)のうち一部(LD)が第2面(721b)で屈折し、表示方向(D)に移動するように構成される。しかし、図9Cの実施例では、図9Bの実施例とは異なり、第2面(721b)の内面に入射される光の臨界角を求める必要がない。ここでは、屈折部(720)より前記プライミング用液体が密な媒質(屈折率が大きい媒質)であるので、第2面(721b)の内面に入射される光は、全反射が発生しないためである。
【0133】
第2面(721b)に垂直な仮想の法線(z)に対して角度(θ)で第2面(721b)において屈折した光(LD)が移動する。具体的には、前記光(LD)は、第2面(721b)に入射角(Ai)で入射して屈折角(Ao)で屈折する。表示方向(D)に移動する光(LD)は、第2面(721b)において屈折角(θ)で屈折した光である。
【0134】
ここで、法線(z)と表示方向(D)がなす角は、第1面(721a)と第2面(721b)がなす内角(θ)と同じである。図9Cの実施例において、前記第2状態では第2面(721b)で屈折した光(LD)が表示方向(D)に移動するように、内角(θ)は90゜未満でさえあればよい。本実施例には、屈折率(n)が屈折率(n)以下である場合に適用される。屈折率(n)が1.333である場合、屈折率(n)は1.333以下である。
【0135】
図9A図9Cを通じて、上述の内容を結論として説明すると、次の通りである。内角(θ)はsin-1(1/n)以上である。屈折率(n)が屈折率(n)より大きい場合、内角(θ)はsin-1(1/n)以上sin-1(n/n)未満であり、屈折率(n)が屈折率(n)以下である場合、内角(θ)はsin-1(1/n)以上90゜未満である。
【0136】
また、屈折率(n)は1/sinθ以上である。屈折率(n)が屈折率(n)より大きい場合、屈折率(n)は1/sinθ以上n/sinθ未満であり、屈折率(n)が屈折率(n)以下である場合、屈折率(n)は1/sinθ以上n以下である。n/sinθよりnが小さいので、2つの実施例を総合すれば、屈折率(n)は1/sinθ以上n/sinθ未満である。
【0137】
図10は、補助屈折部(719)が備えられた実施例において、屈折部(720)、補助屈折部(719)及び表示部(731)を水平に切った断面概念図であって、光の移動経路の例示を示す。メイン通路部(P2)及び補助通路部(P3)の媒質の屈折率(n)は、前記第1状態では屈折率(n)であり、前記第2状態では屈折率(n)である。
【0138】
補助屈折部(719)は、1より大きい屈折率(n′)を有する透明材質から形成される。補助屈折部(719)は、第2面(721b)と表示部(731)との間に位置する。補助屈折部(719)は、第2面から離隔されて配置される。補助屈折部(719)は、表示部(731)と接触して配置されることもできるが、以下では補助屈折部(719)が表示部(731)と離隔されて配置されたものを基準として説明する。
【0139】
前記通路の一部は、第2面(721b)と補助屈折部(719)との間に位置する。具体的には、メイン通路部(P2)は第2面(721b)と補助屈折部(719)との間に位置する。補助通路部(P3)は補助屈折部(719)と表示部(731)との間に位置する。
【0140】
補助屈折部(719)が備えられた実施例でも、第2面(721b)はメイン通路部(P2)と境界をなすところ、内角(θ)及び屈折率(n)の範囲に関する説明は、図9A図9Cを通じて上述した通りである。補助屈折部(719)が備えられた実施例では、光の移動経路に差があり、このような差異を中心に説明すると、次の通りである。
【0141】
図10を参照して、表示部(731)から始まった光(SP)のうち一部(LR)が補助通路部(P3)と補助屈折部(719)の境界に入射角(Aa)で入射され、屈折角(Ab)で屈折する。補助屈折部(719)の内部で移動する光(LR)は、補助屈折部(719)とメイン通路部(P2)の境界で入射角(Ab)で入射され、屈折角(Ac)で屈折する。メイン通路部(P2)の内部で移動する光(LR)は、メイン通路部(P2)と第2面(721b)の境界で入射角(Ac)で入射され、屈折角(Ad)で屈折する。ここで、メイン通路部(P2)を満たす媒質と、補助通路部(P3)を満たす媒質が同じなので、前記入射角(Aa)は前記屈折角(Ac)と等しくなり、結果的に前記入射角(Aa)は前記入射角(Ac)と等しくなる。補助屈折部(719)を備えることによって、前記第1状態と前記第2状態での表示機能を発揮しながらも、第2面(721b)に対する表示部(731)の相対的位置を自由にすることができ、前記通路の体積(メイン通路部及び補助通路部の体積)を減らすことができる。
【0142】
補助屈折部(719)の屈折率(n′)は屈折部(720)の屈折率(n)と同一であり得る。補助屈折部(719)の屈折率(n′)は前記プライミング用液体の屈折率(n)より大きいこともある。屈折率(n)が1.333である場合、屈折率(n′)は1.333より大きい。屈折率(n′)が屈折率(n)より大きいことによって、前記第2状態で観察方向(V)から見る時、表示部(731)の像(image)が結像する部分を左側方向(L)に移動させることができる。
【0143】
図11は、他の実施例による屈折部(720′)を水平に切った断面概念図である。図9A図10の屈折部(720)の内角(θ)は60゜であるが、図11を参照して、屈折部(720′)の内角(θ)は60゜より小さい角をなす。上述の内角(θ)の範囲を満たすならば、内角(θ)の大きさは60゜より小さいこともあり、60゜より大きいこともある。図11は、いくつかの内角(θ)の実施例のうちいずれか1つの実施例に過ぎない。
【0144】
図12は、更に他の実施例による屈折部(720″)を水平に切った断面概念図である。第1面(721a)及び第2面(721b)が内角(θ)をなす。図9A図10を参照して、第1面(721a)及び第2面(721b)が角を形成し合うことによって内角(θ)をなす。図12を参照して、第1面(721a)の仮想の延長面及び第2面(721b)の仮想の延長面が内角(θ)をなす。即ち、第1面(721a)及び第2面(721b)が内角(θ)をなすということは、第1面(721a)及び第2面(721b)が角を形成し合うだけでなく、第1面(721a)の仮想の延長面及び第2面(721b)の仮想の延長面が内角(θ)をなすことまで包括することを意味する。
【0145】
以上、一部の実施例と添付の図面に示された例によって本開示の技術的思想が説明されたが、本開示の属する技術分野で通常の知識を有する者が理解できる本開示の技術的思想及び範囲を逸脱しない範囲で多様な置換、変形及び変更がなされ得るという点を理解すべきである。また、そのような置換、変形及び変更は、添付の請求の範囲内に属すると考えられるべきである。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12