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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】排気装置及びタイヤ金型
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/10 20060101AFI20221111BHJP
   B29C 33/02 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
B29C33/10
B29C33/02
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021527073
(86)(22)【出願日】2019-10-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 CN2019110537
(87)【国際公開番号】W WO2020248445
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2021-05-17
(31)【優先権主張番号】201910504263.9
(32)【優先日】2019-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520350144
【氏名又は名称】山東豪邁机機科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】張偉
(72)【発明者】
【氏名】王万里
(72)【発明者】
【氏名】杜平
(72)【発明者】
【氏名】孫日文
(72)【発明者】
【氏名】李健
(72)【発明者】
【氏名】馮立新
(72)【発明者】
【氏名】臧貽照
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-15626(JP,A)
【文献】特開平8-207049(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/10
B29C 33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア軸(200)と、前記コア軸(200)に外挿されたスリーブケース(100)とを備え、前記スリーブケース(100)と前記コア軸(200)との間に排気通路(101)が形成され、前記スリーブケース(100)が吸気端(103)と排気端(104)とを有する排気装置であって、
前記コア軸(200)は、一端が軸ヘッド(230)に接続され他端が軸端部材(250)に接続される軸本体(210)を備え、前記軸端部材(250)には、前記軸端部材(250)を貫通する貫通溝(220)が設けられ、前記軸ヘッド(230)の径方向寸法は、前記軸本体(210)より大きく、前記軸ヘッド(230)から離れる前記貫通溝(220)の一端は閉塞されており、
前記軸端部材(250)は、前記コア軸(200)を軸方向において制限するためのものであって、収縮及び反発によって前記スリーブケース(100)および前記コア軸(200)を組付けるためのものであることを特徴とする排気装置。
【請求項2】
前記軸端部材(250)は、第1軸セグメント部(251)と第1案内部(252)とを備え、
前記第1軸セグメント部(251)は、前記軸本体(210)と前記第1案内部(252)との間に接続され、前記貫通溝(220)は、前記第1軸セグメント部(251)と前記第1案内部(252)とを貫通し、
前記第1案内部(252)は、前記第1軸セグメント部(251)に接続する一端より前記第1軸セグメント部(251)から離れる一端までの径方向寸法が逓減することを特徴とする請求項1に記載の排気装置。
【請求項3】
前記第1案内部(252)は、外壁面がテーパ面であり、テーパ角αの範囲が20度~90度であることを特徴とする請求項2に記載の排気装置。
【請求項4】
前記コア軸(200)が前記吸気端(103)から前記スリーブケース(100)に挿入され且つ前記第1案内部(252)の外壁面が前記スリーブケース(100)に当接した場合、前記軸ヘッド(230)から離れる前記貫通溝(220)の一端と当接点との軸方向距離L1は、前記貫通溝(220)の軸方向長さ値Lの10%~60%であることを特徴とする請求項3に記載の排気装置。
【請求項5】
前記軸ヘッド(230)に近接する前記貫通溝(220)の一端は前記軸本体(210)に延在し、前記軸端部材(250)は、収縮及び反発によって前記コア軸(200)を前記スリーブケース(100)から取り外すためのものでもあり、前記貫通溝(220)は、前記排気通路(101)と前記排気装置の外部とを連通することを特徴とする請求項2に記載の排気装置。
【請求項6】
前記軸端部材(250)は、前記軸本体(210)と前記第1軸セグメント部(251)との間に接続される第2案内部(253)をさらに備え、前記第2案内部(253)の径方向寸法、前記軸本体(210)より大きいことを特徴とする請求項5に記載の排気装置。
【請求項7】
前記第2案内部(253)は、外壁面がテーパ面であり、テーパ角βの範囲が30度~110度であることを特徴とする請求項6に記載の排気装置。
【請求項8】
前記排気装置が組み付けられた状態にある場合、前記第2案内部(253)が前記スリーブケース(100)に当接し、前記軸ヘッド(230)から離れる前記貫通溝(220)の一端と当接点との軸方向距離L2は、前記貫通溝(220)の軸方向長さ値Lの25%~75%であることを特徴とする請求項7に記載の排気装置。
【請求項9】
前記スリーブケース(100)の排気端(104)には、前記スリーブケース(100)の排気端部(104)に、外から内に向かって径方向寸法が逓減する開口部を形成させるための案内面(111)が設けられることを特徴とする請求項5に記載の排気装置。
【請求項10】
前記案内面(111)は、テーパ面であり、テーパ角θの範囲が30度~110度であることを特徴とする請求項9に記載の排気装置。
【請求項11】
前記排気装置が組み付けられた状態にある場合、前記軸ヘッド(230)の方を向く前記第1軸セグメント部(251)の一端が前記案内面(111)に当接し、前記軸ヘッド(230)から離れる前記貫通溝(220)の一端と当接点との軸方向距離L2は、前記貫通溝(220)の軸方向長さ値Lの25%~75%であることを特徴とする請求項10に記載の排気装置。
【請求項12】
拡張状態にある前記第1軸セグメント部(251)の直径と前記スリーブケース(100)の排気端(104)の内径との差をaとすると、前記貫通溝(220)の幅値Wの範囲が3a~10aであることを特徴とする請求項2に記載の排気装置。
【請求項13】
拡張状態にある前記第1軸セグメント部(251)の直径と前記スリーブケース(100)の排気端(104)の内径との差値の範囲が0.04mm~0.1mmであることを特徴とする請求項12に記載の排気装置。
【請求項14】
前記貫通溝(220)の軸方向長さ値Lと前記貫通溝(220)の幅値Wとの比率値の範囲が5~20であることを特徴とする請求項1に記載の排気装置。
【請求項15】
前記軸ヘッド(230)から離れる前記第1案内部(252)の一端には、延在部(254)が接続されることを特徴とする請求項2に記載の排気装置。
【請求項16】
前記軸端部材(250)の外壁面は、円弧面を備えることを特徴とする請求項1に記載の排気装置。
【請求項17】
前記スリーブケース(100)と前記軸本体(210)との間には、弾性素子(300)が設けられ、
前記コア軸(200)は、軸方向おいて第1位置と第2位置とを有し、
前記第1位置において、前記軸ヘッド(230)と前記スリーブケース(100)との間には、前記排気通路(101)と前記排気装置の外部とを連通する吸気隙間(102)が形成され、前記軸端部材(250)が前記スリーブケース(100)に当接し、
前記第2位置において、前記軸ヘッド(230)が前記スリーブケース(100)に当接し、
前記弾性素子(300)は、前記コア軸(200)が前記第2位置から前記第1位置に向かって移動する傾向を持たせるためのものであることを特徴とする請求項1~16の何れか1項に記載の排気装置。
【請求項18】
前記軸端部材(250)は、前記軸ヘッド(230)を前記スリーブケース(100)に当接させるように、前記軸ヘッド(230)から前記軸端部材(250)に向かう力を前記コア軸(200)に与えるためのものでもあり、
前記軸ヘッド(230)と前記スリーブケース(100)との間には、前記排気通路(101)と前記排気装置の外部とを連通する吸気間隔または吸気口があることを特徴とする請求項1~16の何れか1項に記載の排気装置。
【請求項19】
請求項1~18の何れか1項に記載の排気装置を備え、前記排気装置を設置する排気孔(410)が設けられることを特徴とするタイヤ金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ加硫加工の技術分野に関するものであり、特に、排気装置及びタイヤ金型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、タイヤの生産過程は、大体、流体または半流体状態のゴム材料をタイヤ金型に注入し、ゴム材料がタイヤ金型において一連の工程によりタイヤブランク成形を行うものである。タイヤブランクの成形後には、タイヤのブランクを加硫処理する必要がある。加硫処理では、タイヤ金型の内腔内の空気を排出する必要がある。現在、一般に使用される方法では、タイヤ金型に排気孔を設けて、タイヤ金型内の空気を該排気孔により直接に排出する。
【0003】
しかし、このような手法には、いくつかの問題がある。その1つは、タイヤ金型から空気を排出する過程中に、タイヤを形成するための流体または半流体状態のゴム材料もこの排気孔から一部だけ押し出されることである。あるスノータイヤの金型では、排気孔の数が5000以上ないし一万以上になる。これらの押し出されたゴム材料により、タイヤ上にゴム毛が形成されることなる。最終的なタイヤ製品の品質を保証するためには、タイヤに形成されたゴム毛を除去するための追加工程を提供する必要があるので、タイヤの製造工程が複雑になる。
【0004】
タイヤ製品にゴム毛が発生することを避けるために、タイヤ金型用の排気装置が開発されている。中国特許出願番号がCN200920283550.3である文献を例として、図18を参照するように、この排気装置は、スリーブ本体1`と、軸部材2`と、バネ3`とを備え、軸部材2`の後端には、溝口22`を開けることにより2つの制限部21`が形成され、溝口22`の開度を変化させて2つの制限部21`を径方向に変形させることにより、軸部材2`をスリーブ本体1`に着脱する。バネ3`及び軸部材2`は、スリーブ本体1`の内腔に収容され、バネ3`が軸部材2`に付勢力を与えることにより、コアキャップ23`とスリーブ本体1`との間に隙間ができ、タイヤ金型内の空気が隙間により排出される。タイヤ金型内の全ての空気が排出された後には、ゴム材料がコアキャップ23`に押し付けられることにより、バネ3`の付勢力に抗してコアキャップ23`とスリーブ本体1`との間の隙間が閉じられ、ゴム材料の押出が阻止される。
【0005】
以上のような構造の排気装置には、いくつかの問題がある。その一、制限部21`は、例えば、軸部材2`の熱処理時や軸部材2`の着脱時などに変形しやすいので、コアキャップ23`の閉鎖ストローク精度が悪く、且つ軸部材2`が偏芯しやすく、ゴム材料がスリーブ本体1`内に入りやすくになることにより、排気孔の詰まりが招かれ、更にタイヤの加硫品質に影響して、コアキャップ23`の閉鎖ストローク精度が悪いという問題を一層に激化させ、また、バネ3`の弾性力によりコアキャップ23`の閉鎖ストロークが大きくなる傾向がある。その二、軸部材2`は、堅固度が悪く、脱落しやすい。その三、制限部21`は、強度が悪く、軸部材2`の着脱時に、制限部21`の根元に亀裂や破断が発生しやすい。
【0006】
要するに、タイヤ金型の分野においては、以上の従来技術における排気装置に存在する課題を解決するように、その排気装置をさらに改善する需要が依然として存在している。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、従来技術における上述の課題を緩和するための排気装置及びタイヤ金型を提供することを目的とする。
第1方面において、本発明は、コア軸と、コア軸に外挿されたスリーブケースとを備え、スリーブケースとコア軸との間に排気通路が形成され、スリーブケースが吸気端と排気端とを有する排気装置であって、コア軸は、一端が軸ヘッドに接続され他端が軸端部材に接続される軸本体を備え、軸端部材には、軸端部材を貫通し、軸ヘッドから離れる一端を閉塞する貫通溝が設けられ、軸端部材は、コア軸を軸方向において制限するためのものであって、収縮及び反発によってスリーブケースおよびコア軸を組付けるためのものである排気装置を提供する。
【0008】
さらに、軸端部材は、第1軸セグメント部と第1案内部とを備え、第1軸セグメント部は、軸本体と第1案内部との間に接続され、貫通溝は、第1軸セグメント部と第1案内部とを貫通し、第1案内部は、第1軸セグメント部に接続する一端より第1軸セグメント部から離れる一端までの径方向寸法が逓減する。
【0009】
さらに、第1案内部は、外壁面がテーパ面であり、テーパ角αの範囲が20度~90度である。
【0010】
さらに、コア軸が吸気端からスリーブケースに挿入され且つ第1案内部の外壁面がスリーブケースに当接した場合、軸ヘッドから離れる貫通溝の一端と当接点との軸方向距離L1は、貫通溝の軸方向長さ値Lの10%~60%である。
【0011】
さらに、軸ヘッドに近接する貫通溝の一端は軸本体に延在し、軸端部材は、収縮及び反発によってコア軸をスリーブケースから取り外すためのものでもあり、貫通溝は、排気通路と排気装置の外部とを連通する。
【0012】
さらに、軸端部材は、軸本体と第1軸セグメント部との間に接続される第2案内部をさらに備え、第2案内部は、軸本体に接続する一端より軸本体から離れる一端までの径方向寸法が逓増する。
【0013】
更に、第2案内部は、外壁面がテーパ面であり、テーパ角βの範囲が30度~110度である。
【0014】
さらに、排気装置が組み付けられた状態にある場合、第2案内部がスリーブケースに当接し、軸ヘッドから離れる貫通溝の一端と当接点との軸方向距離L2は、貫通溝の軸方向長さ値Lの25%~75%である。
【0015】
さらに、スリーブケースの排気端には、スリーブケースの排気端部に、外から内に向かって径方向寸法が逓減する開口部を形成させるための案内面が設けられる。
【0016】
さらに、案内面は、テーパ面であり、テーパ角θの範囲が30度~110度である。
【0017】
さらに、排気装置が組み付けられた状態にある場合、軸ヘッドに向ける第1軸セグメント部の一端が案内面に当接し、軸ヘッドから離れる貫通溝の一端と当接点との軸方向距離L2は、貫通溝の軸方向長さ値Lの25%~75%である。さらに、拡張状態にある第1軸セグメント部の直径とスリーブケースの排気端の内径との差をaとすると、貫通溝の幅値Wの範囲が3a~10aである。
【0018】
さらに、拡張状態にある第1軸セグメント部の直径とスリーブケースの排気端の内径との差値の範囲が0.04mm~0.1mmである。
【0019】
さらに、貫通溝の軸方向長さ値Lと貫通溝の幅値W寸法との比率値の範囲が5~20である。
【0020】
さらに、軸ヘッドから離れる第1案内部の一端には、延在部が接続される。
【0021】
さらに、軸端部材の外壁面は、円弧面を備える。
【0022】
さらに、スリーブケースと軸本体との間には、弾性素子が設けられ、コア軸は、軸方向おいて第1位置と第2位置とを有し、第1位置において、軸ヘッドとスリーブケースとの間には、排気通路と排気装置の外部とを連通する吸気隙間が形成され、軸端部材がスリーブケースに当接し、第2位置において、軸ヘッドがスリーブケースに当接し、弾性素子は、コア軸が第2位置から第1位置に向かって移動する傾向を持たせるためのものである。
【0023】
さらに、軸端部材は、軸ヘッドをスリーブケースに当接させるように、軸ヘッドから軸端部材に向かう力をコア軸に与えるためのものでもあり、軸ヘッドとスリーブケースとの間には、排気通路と排気装置の外部とを連通する吸気間隔または吸気口がある。
【0024】
第2方面において、本発明は、第1方面に提供された排気装置を備え、排気装置を設置する排気孔が設けられるタイヤ金型を提供する。
【0025】
本発明の実施例は、コア軸と、コア軸に外挿されたスリーブケースとを備え、スリーブケースとコア軸との間に排気通路が形成され、スリーブケースが吸気端と排気端とを有する排気装置であって、コア軸は、一端が軸ヘッドに接続され他端が軸端部材に接続される軸本体を備え、軸端部材には、軸端部材を貫通し、軸ヘッドから離れる一端を閉塞する貫通溝が設けられ、軸端部材は、コア軸を軸方向において制限するためのものであって、収縮及び反発によってスリーブケースおよびコア軸を組付けるためのものでもある排気装置により、排気通路により排気を行い、軸ヘッドによってゴム材料が排気通路に入ることを阻止することで、排気通路の閉塞及びゴム毛の形成を避け、軸端部材の収縮及び反発によってコア軸をスリーブケースに挿設することで、コア軸の組付けを容易に実現することができ、軸ヘッドの閉鎖ストロークの精度が高く、コア軸の堅固度が良く、コア軸が偏芯しにくく、軸端部材が破断しにくいような有益効果をもたらす。
【0026】
本発明の上述の目的、特徴、および利点をより明確に理解するために、以下に好ましい実施例を挙げ、添付図面に合わせて以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の発明を実施するための形態又は関連技術における技術案をより明確に説明するために、以下では、発明を実施するための形態又は関連技術の説明に必要な添付図面について簡単に説明するが、以下の説明における添付図面が本発明の一部の実施形態であり、当業者にとって、創造的な労働付かなく、これらの添付図面から他の添付図面を得られることは自明である。
図1】本発明の実施例1によるコア軸が第1位置にある時の排気装置の構成模式図である。
図2】本発明の実施例1によるコア軸が第2位置にある時の排気装置の構成模式図である。
図3】本発明の実施例1による排気装置のコア軸の構成模式図である。
図4図1におけるA位置の拡大模式図一である。
図5図1におけるA位置の拡大模式図二である。
図6図1におけるB位置の拡大模式図である。
図7】本発明の実施例1による排気装置の組立模式図である。
図8】本発明の実施例1による排気装置のコア軸の取り外し模式図である。
図9図4におけるX-Xでの断面図一である。
図10図4におけるX-Xでの断面図二である。
図11図4におけるX-Xでの断面図三である。
図12】本発明の実施例2による排気装置の構成模式図である。
図13図12におけるC位置の拡大模式図である。
図14】本発明の実施例3による排気装置の構成模式図である。
図15図14におけるD位置の拡大模式図である。
図16】本発明の実施例4によるタイヤ金型の構成模式図である。
図17図16におけるE位置の拡大模式図である。
図18】従来技術における排気装置の構成模式図である。
【符号の説明】
【0028】
1`-スリーブ本体、2`-軸部材、21`-制限部、22`-溝口、23`-コアキャップ、3`-バネ、100-スリーブケース、101-排気通路、102-吸気隙間、103-吸気端、104-排気端、110-制限凸環、111-案内面、112-内腔段差部、200-コア軸、210-軸本体、220-貫通溝、230-軸ヘッド、231-環溝、232-気溝、240-第2軸セグメント部、250-軸端部材、251-第1軸セグメント部、252-第1案内部、253-第2案内部、254-延在部、260-軸肩、300-弾性素子、400-腔型部品、410-排気孔、500-タイヤブランク。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面に基づいて本発明の技術案を明確且つ詳細に説明するが、説明された実施例が本発明の全ての実施例ではなく一部の実施例であることは自明である。当業者が本発明における実施例に基づいて創造的な労働付かなく得られた他の全ての実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0030】
なお、本発明の説明において、「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」等の用語が示す方位または位置関係は、添付図面に示す方位または位置関係に基づくものであり、装置または素子が特定の方位を有し特定の方位で構成・操作しなければならないことを示したり暗示したりするものではなく、単に本発明の説明の便宜及び簡略化を図るためのものであるので、本発明を限定するものとして理解されない。また、「第1」、「第2」という用語は、単に記述のために用いられるものであり、相対的重要性を示したり暗示したりするものとして理解されない。
【0031】
なお、本発明の説明において、特に明示的な規定や限定がない限り、「取付け」、「繋がり」、「接続」という用語は、広義に捉えるべきであり、例えば、固定的な接続、着脱可能な接続、または一体的な接続であってもよく、機械的な接続または電気的な接続であってもよく、直接的な繋がり、中間媒体を経由する間接的な接続、または2つの素子内部の連通であってもよい。当業者にとっては、具体的な場合に応じて本発明における上記の用語の具体的な意味を理解することができる。
【0032】
<実施例1>
図1図2図3及び図6に示すように、本発明の実施例による排気装置は、コア軸200と、コア軸200に外挿されたスリーブケース100とを備え、スリーブケース100とコア軸200との間に排気通路101が形成され、スリーブケース100は、吸気端103と排気端104とを有し、コア軸200は、一端が軸ヘッド230に接続され他端が軸端部材250に接続される軸本体210を備え、軸端部材250には、軸端部材250を貫通し、軸ヘッド230から離れる一端を閉塞する貫通溝220が設けられ、軸端部材250は、コア軸200を軸方向に制限するためのものであって、収縮及び反発によってスリーブケース100およびコア軸200を組付けるためのものである。そのうち、軸本体210、軸ヘッド230及び軸端部材250を一体成形することにより、部品点数を削減し、排気装置の故障率を低減することができる。貫通溝220は、軸端部材250の軸方向に延び、軸ヘッド230から離れる一端が閉塞され、即ち、軸本体210から離れる軸端部材250の一端まで貫通しない。貫通溝220は、軸ヘッド230から離れる一端が閉塞されることにより、機械加工、熱処理等の工程における応力解放等の原因による軸端部材250の塑性変形が減少され、コア軸200の閉鎖ストロークHの安定、高精度が保証される。そして、軸端部材250が径方向の圧力によって収縮する際に、軸端部材250に沿った軸方向貫通溝220の両端部が何れも支持作用を有することにより、軸端部材250が径方向の圧力を何度も受けた後に疲労破壊や塑性変形が発生することを回避できる。さらに、軸端部材250が弾性力により反発してスリーブケース100の排気端104に当接できることは、確保される。軸端部材250は、剛性が良く、コア軸200を安定して制限することができる。コア軸200は、閉鎖ストロークHが安定し、精度が高く、偏芯しにくい。且つ、軸端部材250は、貫通溝220で押圧された後に破断しない。軸端部材250が収縮する際に、弾性力により支持された貫通溝220の開度が増大する傾向にあるので、コア軸200の取付け完了後に、軸端部材250内での軸本体210の軸方向運動ストロークを制限することができる。具体的には、軸ヘッド230の断面は、円形または多角形形状とされ、スリーブケース100の吸気端103には、軸ヘッド230に合わせる開口が設けられており、軸ヘッド230とスリーブケース100との間に排気通路101と連通する吸気隙間102を形成することが可能である。金型の内腔のガスは、タイヤの加硫時に、軸ヘッド230とスリーブケース100との間の吸気隙間102を介して排気通路101に流入し、さらに金型の外部へ排出することができ、軸ヘッド230がスリーブケース100に当接した後に、吸気隙間102が閉塞され、排気通路101へのゴム材料の進入が阻止される。軸ヘッド230は、一端が軸本体210に接続され、軸本体210に接続された一端より軸本体210から離れる一端まで軸ヘッド230の径方向寸法が逓増する。好ましくは、軸ヘッド230の外壁面がテーパ面であり、スリーブケース100の吸気端103には、軸ヘッド230に係合するテーパ孔が開けられている。
【0033】
スリーブケース100と軸本体210との間には、弾性素子300が設けられ、コア軸200は、軸方向において第1位置と第2位置とを有する。弾性素子300は、コア軸200が第2位置から第1位置に向かって移動する傾向にあるように、コア軸200を付勢する。第2位置から第1位置までのコア軸200の軸方向距離は、コア軸200の閉鎖ストロークHである。第1位置において、軸ヘッド230とスリーブケース100とは離間し、軸ヘッド230とスリーブケース100との間には、排気通路101と排気装置の外部とを連通する吸気隙間102が形成され、また、軸端部材250がスリーブケース100の排気端104に当接することにより、付勢力によるコア軸200のさらなる移動が阻止される。第2位置において、軸ヘッド230がスリーブケース100の吸気端103に当接することにより、排気通路101の一端が閉鎖される。
【0034】
さらに、弾性素子300は、バネであってもよい。バネは、以下のようにコア軸200に設けられコア軸200に対して付勢力を付与する。即ち、スリーブケース100内腔には、内腔段差部112が形成され、バネは、軸本体210に外挿されてもよく、その一端が内腔段差部112に当接し、他端が軸ヘッド230に当接し、又はコア軸200の適当な位置に形成された軸肩260に当接する。軸ヘッド230と軸本体210との間には、軸本体210よりも大径の第2軸セグメント部240が接続され、コア軸200には、軸肩260が形成され、第2軸セグメント部240は、コア軸200の安定性及びスリーブケース100との同軸度の向上に寄与する。スリーブケース100の排気端104には、スリーブケース100の内腔が段付き状になるように制限凸環110が設けられ、スリーブケース100の内腔には、内腔段差部112が形成されている。
【0035】
本実施例では、スリーブケース100の排気端104の内径は、制限凸環110の内径に相当し、制限凸環110の内径は、軸本体210の直径よりも大きく、拡張状態にある軸端部材250の直径よりも小さい。制限凸環110は、軸端部材250と協働してコア軸200を軸方向において制限する。軸端部材250は、外力により弾性変形して径方向寸法を小さくするように配置される。軸端部材250が収縮状態にある場合、軸端部材250の径方向寸法が小さくなることにより、コア軸200がスリーブケース100の内腔を通過できるようになる。軸端部材250は、スリーブケース100の内腔を通過した後に、変形量が無くして拡張状態(または、自然状態と称する)になり、拡張状態の軸端部材250によってコア軸200を軸方向において制限することにより、コア軸200の組立が達成される。
【0036】
図1及び図4に示すように、排気装置が組み立てられた状態では、軸端部材250は、制限凸環110から張り出すとともに、制限凸環110側に当接する。軸端部材250は、第1軸セグメント部251と第1案内部252とを備え、第1軸セグメント部251は、軸本体210と第1案内部252との間に接続され、貫通溝220は、第1軸セグメント部251と第1案内部252とを貫通し、第1案内部252は、第1軸セグメント部251に接続する一端より第1軸セグメント部251から離れる一端までの径方向寸法が逓減する。コア軸200をスリーブケース100の内腔に挿入する時には、第1案内部252の外壁面が案内作用をなす。コア軸200をスリーブケース100に挿入する過程において、第1案内部252が制限凸環110に当接し、スリーブケース100が軸端部材250に径方向の圧力を与え、軸端部材250が弾性変形し、軸端部材250の径方向の寸法が小さくなるので、軸端部材250がスリーブケース100の内腔を通過でき、軸本体210の取り付けが容易になる。
【0037】
好ましくは、第1案内部252の外壁面は、テーパ面、斜面、円弧面等であってもよく、好ましくは、テーパ面を有する。第1案内部252のテーパ角αの範囲は20度~90度であり、より好ましくは20度~45度である。そのうち、第1案内部252の母線とコア軸200の軸線がなす角度は、10度、15度、20度としてもよい。軸本体210をスリーブケース100の内腔に挿入する過程において、第1案内部252の側壁が制限凸環110に当接して相対的に摺動し、案内の作用をなす。第1案内部252が径方向の押圧力を受けると、貫通溝220の開度が小さくなり、軸端部材250が押圧される方向に収縮することにより、コア軸200のスリーブケース100への挿入が容易になり、コア軸200の取付け時の抵抗が小さくなる。
【0038】
図5に示すように、他の実施例において、軸端部材250は略球体または楕円体を含んでもよく、軸端部材250の外壁面は円弧面を備え、貫通溝220は、軸端部材250が収縮・反発できるように、軸端部材250を貫通する。
【0039】
図7に示すように、コア軸200がスリーブケース100に挿入され且つ第1案内部252の外壁面がスリーブケース100の制限凸環110に当接した場合、軸ヘッド230から離れる貫通溝220の一端と当接点との軸方向距離L1は、貫通溝220の軸方向長さ値Lの10~60%である。具体的には、軸ヘッド230から離れる貫通溝220の一端と当接点との軸方向距離L1は、貫通溝220の軸方向長さ値Lの20%、35%、40%、45%であってもよく、軸端部材250の径方向収縮による内部応力を低減することができる。
【0040】
さらに、軸端部材250は、第1案内部252に接続する延出部254をさらに備える。軸端部材250が径方向圧力を受けて収縮する際に、延在部254は、支持作用を有するので、軸端部材250の強度、剛性が向上し、コア軸200の堅固度、コア軸200の閉鎖ストロークHの安定、高精度が保証され、且つ軸端部材250が径方向圧力を何度も受けた後に弾性疲労が発生したり破断が発生したりすることが回避される。また、延出部254を設けることで、パンチロッドによりコア軸200を押し出すことも容易になる。図1および図8に示すように、排気装置が取り付けられた状態にある場合、延出部254の後端からスリーブケース100の排気端104までの距離E1は、軸ヘッド230から離れる第1軸セグメント部251の一端より制限凸環110の内側までの距離E2よりも大きいので、コア軸200の取り外しが容易になる。延出部254は、円柱体であってもよい。いくつかの実施の形態において、第1案内部252の軸方向長さ値は、軸端部250が径方向の圧力によって収縮する時に第1案内部252の一端が支持作用をなすように、適切に延長されてもよい。好ましくは、軸ヘッド230から離れる軸端部材250の一端と、軸ヘッド230から離れる貫通溝220の一端との軸方向長さ値は、よりよい支持作用をなすように、貫通溝220の幅の2倍以上である。
【0041】
図1図2及び図3に示すように、貫通溝220の開口形状は、矩形であってもよく、両端にR面取りを施した長尺状であってもよいが、軸端部材250の収縮時に応力集中が発生するのを回避するために、両端にR面取りを施した長尺状とすることが好ましい。貫通溝220の加工方法は、機械加工又はレーザ加工であってもよい。いくつかの実施形態において、軸ヘッド230から離れる貫通溝220の一端は、延在部254に延びてもよく、貫通溝220の延在長さを増大させることによって、軸端部材250が径方向に圧縮される時に貫通溝220の側壁が受ける曲げ応力を低減させる。
【0042】
好ましくは、コア軸200の軸方向に沿った貫通溝220の軸方向長さ値Lと貫通溝220の幅値W寸法との比率値の範囲は、好ましくは、5以上であり、より好ましくは、5~20である。そのうち、貫通溝220の長さ値Lと貫通溝220の幅値Wとの比率値は、6、8、10、12、14、16、18であってもよい。貫通溝220の長さと幅の比率値を増大することにより、貫通溝220の幅寸法の収縮による曲げ応力を低減することができ、ひいては、貫通溝220の収縮によるコア軸200の破断を回避することができる。
【0043】
好ましくは、貫通溝220の深さ方向はコア軸200の径方向であり、貫通溝220の長さ方向はコア軸200の軸方向であり、これにより、貫通溝220の加工が容易になり、軸端部材250が径方向に押圧された時に均一に変形して破損しにくい。
【0044】
さらに、軸ヘッド230に近接する貫通溝220の一端は、軸本体210に延在してもよく、軸端部材250は、収縮及び反発によってコア軸200をスリーブケース100から取り外すためのものでもあり、貫通溝220は、排気通路101と排気装置の外部とを連通する。排気時には、貫通溝220を介して排気通路101内のガスを排出することができる。タイヤ金型といったデバイスのメンテナンス時には、コア軸200をスリーブケース100の内腔から取り外すことが可能である。これにより、コア軸200及びスリーブケース100の内壁を洗浄でき、洗浄完了後にコア軸200を再度スリーブケース100に取り付けることができ、排気装置全体を取り外す必要がない。これにより、タイヤ金型の気孔が損傷し、孔径が大きくなり、スリーブケース100が損傷して排気装置を新たに設置する必要があるという問題が回避され、排気装置を繰り返して使用でき、摩耗したコア軸200を交換することもできる。また、金型損傷の低減に有利であり、金型の使用寿命を延長することができる。
【0045】
なお、いくつかの実施例において、スリーブケース100に気孔を開けて排気してもよく、例えば、スリーブケース100の外壁を貫通するように気孔を設ける。
【0046】
図1図4を続けて参照すると、第1軸セグメント部251と軸本体210との間には、第1軸セグメント部251に接続する一端から軸本体210に接続する一端までの径方向寸法が逓減する第2案内部253が接続されてもよい。軸本体210をスリーブケース100の内腔に取付ける時に、第2案内部253がスリーブケース100の排気端104での制限凸環110に当接することで、軸本体210、軸端部材250、及びスリーブケース100が同軸となり、コア軸200が偏芯しにくくなる。コア軸200を取り外す際に、第2案内部253は、スリーブケース100の排気端104での制限凸環110と相対的に摺動することにより、案内作用をなし、取り外し抵抗が小さくなる。
【0047】
好ましくは、第2案内部253の外壁面は、テーパ面、斜面、円弧面等であってもよく、好ましくは、テーパ面である。第2案内部253のテーパ角βの範囲は、30度~110度であり、より好ましくは、80度~100度、例えば80度、90度、100度である。これにより、軸端部材250がコア軸200をよりよく制限でき、コア軸200の堅固度、安定度が高く、コア軸200の取り外しが比較的に容易になる。
【0048】
制限凸環110の内径値Φ1は、軸本体210の直径よりも大きく、且つ、拡張状態にある第1軸セグメント部251の直径値Φ2よりも小さい。そのうち、制限凸環110は、スリーブケース100と一体成形され、スリーブケース100の軸線に近づく方向に延在している。コア軸200をスリーブケース100に挿入する時には、軸端部材250の第1案内部252の外壁面が、制限凸環110において軸ヘッド230に近接する側に当接し、軸本体210をスリーブケース100に挿入した後には、軸端部材250の第2案内部253が、制限凸環110において軸ヘッド230から離れる側に当接し、排気の際には、排気通路101内のガスが軸本体210と制限凸環110との間の間隔を流通してから、貫通溝220を介して排出することができる。
【0049】
図4に示すように、拡張状態にある第1軸セグメント部251の直径値Φ2と制限凸環110の内径値Φ1との差をaとすると、貫通溝220の幅寸法値Wの範囲は、3a以上であり、好ましくは3a~10aである。軸端部材250は、径方向の圧力を受けて径方向の寸法がaだけ小さくなると、制限凸環110を通過できるようになり、コア軸200の着脱が可能になる。軸端部材250の径方向の収縮は、貫通溝220の幅寸法の収縮によって達成され、貫通溝220の幅寸法値Wの範囲は、好ましくは3a~10aであり、例えば、貫通溝220の幅寸法値Wを4a、5a、6a、7a、8a、又は9aにしてもよく、貫通溝220の幅寸法に十分な収縮代を持たせる。
【0050】
さらに、拡張状態にある第1軸セグメント部251の直径値Φ2と制限凸環110の内径値Φ1との差値aの範囲は、0.04mm~0.1mm、好ましくは0.06mm~0.08mmである。例えば、拡張状態にある軸端部材250の直径値Φ2と制限凸環110の内径値Φ1との差は、0.06mm、0.07mm、0.08mmとしてもよい。軸端部材250は、拡張状態においては、コア軸200がスリーブケース100から脱出することを回避できる。コア軸200の堅固度はよく、コア軸200の閉鎖ストロークHは安定する。また、軸端部材250は、径方向収縮状態においては、制限凸環110を通過して軸本体210の着脱を達成でき、コア軸200の着脱が比較的に容易になる。そのうち、第1軸セグメント部251の高さは、好ましくは2mm未満である。コア軸200の着脱際に、第1軸セグメント部251と制限凸環110の内壁との接触面積がより小さくなり、接触時間がより短くなり、コア軸200の着脱が容易になる。
【0051】
図1図8を参照すると、排気装置が組み付けられた状態にある場合、第2案内部253がスリーブケース100の制限凸環110に当接し、軸ヘッド230から離れる貫通溝220の一端と当接点との軸方向距離L2は、貫通溝220の軸方向長さ値Lの25~75%であり、好ましくは30%~45%、55%~70%である。当接点が貫通溝220の軸方向中点の一方側に位置し、軸端部材250がコア軸200に対してより安定した制限作用をなし、コア軸200の安定度及び堅固度がよく、コア軸200の閉鎖ストロークHが安定し、コア軸200が脱落しにくく、また、コア軸200は外力によりスリーブケース100から比較的に容易に離脱できる。例えば、排気装置が組み付けられた状態にある場合、第2案内部253がスリーブケース100の制限凸環110に当接し、軸ヘッド230から離れる貫通溝220の一端と当接点との軸方向距離L2が貫通溝220の軸方向長さ値Lに対しての比率値は、30%、35%、40%、55%、60%、65%としてもよい。
【0052】
なお、本実施例でいう「貫通溝220が軸端部材250を貫通する」とは、「貫通溝220は、単一の直線方向に沿って軸端部材250を貫通する」という狭義の意味ではなく、「貫通溝220は、軸端部材250の周方向に沿って配置する複数、例えば2つ、3つ、4つの開口を有する」という広義の意味である。そのうち、貫通溝220は、軸端部材250の径方向に貫通しているので、軸端部材250が径方向の圧力を受けると、貫通溝220の幅寸法が小さくなり、軸端部材250の径方向の寸法が収縮し、貫通溝220の両側の軸端部材250の変形量が均一になる。図9図11に示すように、貫通溝220は、直接コア軸200の径方向に沿って軸端部材250を貫通することができる。貫通溝220は、周方向に均一に配置された複数、例えば、3つ、4つのサブ溝を備えてもよく、複数のサブ溝は、深さがコア軸200の半径に相当し、且つコア軸200の内部と相互に連通する。
【0053】
図7に示すように、排気装置の組み立て過程は、まず、バネを軸本体210に外挿する工程と、続いて、コア軸200をスリーブケース100の一端からスリーブケース100の内腔に挿入する工程と、スリーブケース100の軸方向に沿って軸ヘッド230に押圧力F1を与え、軸端部材250が径方向に押圧されて収縮するように第1案内部252を制限凸環110の内側に当接させ、さらに軸端部材250を制限凸環110に乗り越えさせ、軸端部材250の変形を無くし、バネにより制限凸環110の外側に当接させる工程と、を備える。
【0054】
図8に示すように、排気装置のコア軸200の取り外し工程は、コア軸200の後端でコア軸200に押圧力F2を与えたりコア軸200の軸ヘッド230からコア軸200に引張力を与えたりして、軸端部材250を径方向に押圧して収縮させ、さらに、軸端部材250を制限凸環110に乗り越えさせ、軸端部材250の変形を無くし、コア軸200をスリーブケース100から離脱させる工程を備える。
【0055】
<実施例2>
図12、13に示すように、本実施例と実施例1との相違点は、「スリーブケース100の軸方向に沿った制限凸環110の外側には、案内面111が設けられ、案内面111は、スリーブケース100の排気端104に、外から内に向かって径方向寸法が逓減する開口部を形成させるためのものである」ことにある。
【0056】
第1軸セグメント部251と軸本体210との間には、段階が形成され、排気装置が取り付けられた時に、軸ヘッド230に近接する第1軸セグメント部251の一端の外縁辺は、案内面111に当接する。コア軸200をスリーブケース100の内腔から取り外す過程において、軸端部材250が第2案内面111に沿って摺動することにより、第2案内面111が軸端部材250に対して案内作用をなす。さらに、案内面111は、テーパ面、斜面、円弧面等であってもよく、好ましくはテーパ面である。案内面111のテーパ角θの範囲は、30度~110度である。これにより、軸端部材250は、コア軸200をよりよく制限でき、コア軸200の堅固度、安定度がより良くになり、コア軸200の取り外しが比較的に容易になる。
【0057】
なお、第1軸セグメント部251と軸本体210との間には、テーパ面を介して接続されてもよい。排気装置が取り付けられた時に、軸ヘッド230に近接する第1軸セグメント部251の一端の外縁辺が案内面111に当接するか、又は、テーパ面が案内面111に当接する。
【0058】
<実施例3>
図14図15に示すように、本実施例と実施例1、2との相違点は、「軸端部材250は、軸ヘッド230をスリーブケース100に当接させるように、軸ヘッド230から軸端部材250に向かう力をコア軸200に与えるためのものでもあり、軸ヘッド230とスリーブケース100との間には、排気通路101と排気装置の外部とを連通する吸気間隔または吸気口がある」ことにある。
【0059】
一つの実施の形態において、軸ヘッド230の外壁面には、周方向に延びる環溝231が設けられ、環溝231において軸端部材250に近接する側には、複数の気溝232が設けられ、環溝231において軸端部材250に近接する側では、軸ヘッド230がスリーブケース100に当接し、環溝231において軸端部材250から離れる側では、軸ヘッド230がスリーブケース100から離間して、環溝231と排気装置の外部とを連通する吸気間隔が形成され、気溝232が環溝231と排気通路101とを連通する。好ましくは、吸気間隔の幅値tは、ゴム材料が吸気間隔に入らないように、0.01mm~0.06mmである。あるいは、軸ヘッド230の外壁面には、コア軸200の周方向に周回するように設置し、排気通路101と排気装置の外部とを連通するいくつかの排気溝232が設けられている。排気溝232の開口の径方向寸法は、好ましくは0.01mm~0.06mmである。あるいは、軸ヘッド230の外壁面またはスリーブケース100には、リブが設けられ、軸ヘッド230とスリーブケース100とは、リブにより接続され、軸ヘッド230とスリーブケース100との間には、排気通路101と排気装置の外部とを連通する吸気間隔が形成されてもよい。
【0060】
本発明の上記好ましい実施例の構造設計により、排気装置が優れた技術効果を達成する。その一、本発明による排気装置のコア軸200の閉鎖ストロークHが安定し精度が高く、本発明による排気装置は、1500本以内の加硫タイヤのコア軸200の閉鎖ストロークHの公差を±0.05mmに維持することができるが、従来技術における排気装置の初期閉鎖ストローク公差が一般的に±0.15mmであり、300~400本のタイヤを加硫させた後、排気装置の閉鎖ストローク公差が±0.25mm以上になってしまうので、使用要求を満たせず、ゴム材料が排気装置内に入りやすく、タイヤ金型の洗浄頻度が高くなる。その二、本発明による排気装置は、コア軸200とスリーブケース100との同軸度がよく、軸端部材250がコア軸200を安定して制限し、軸端部材250がスリーブケース100に対して周方向に当接・係合可能であり、コア軸200とスリーブケース100との同軸度がよい。その三、本発明による排気装置は、コア軸200の堅固度がよく、軸端部材250には、両端が閉塞する貫通溝220が開けられ、軸端部材250の剛性が従来技術より良く、軸端部材250が変形しにくく、コア軸200の堅固度が良く、コア軸200が脱落しにくく、コア軸の脱落率が0.01%以下に低下しているが、図18に示す従来技術におけるコア軸の脱落率が0.05%以上になる。その四、本発明による排気装置は、寿命が長く、従来技術における排気装置の制限部21`の根元部に亀裂が生じやすいので、1回目の組立時に、限位部21`の破断率が1~2%に達し、特に、軸部材2`の後端溝口22`を加工する場合、加工精度により、2つの制限部21`の厚さを一致させるように制御することが困難であるので、軸部材2`の着脱際に、2つの制限部21`の変形量が等しくなく、制限部21`に弾性疲労が発生しやすく、かつ制限部21`の根元部に亀裂、破断が発生しやすい一方、本発明による排気装置は、図18に示す従来技術に比べてコア軸の破断率が80%以上低減された。
【0061】
<実施例4>
図16及び図17に示すように、本発明の実施例によるタイヤ金型は、上記実施例による排気装置を備え、タイヤ金型には、排気装置を嵌め込む排気孔410が備えられる。そのうち、タイヤ金型は、腔型部品400を備え、排気孔410は、腔型部品400の外部と内腔とを連通し、排気装置の軸ヘッド230は、内腔へ向け、且つタイヤブランク500に当接可能であり、タイヤブランク500と金型との間のガスは、排気装置によってタイヤ金型の外部へ排出可能である。
【0062】
タイヤ金型で加硫されたタイヤは、ゴム毛がなく、外観が美しい。タイヤ金型を洗浄する時、コア軸200のみを取り外すだけでよく、洗浄完了後にコア軸200をスリーブケース100に取り付けることが可能になる。これにより、排気装置全体を取り外す必要がなく、タイヤ金型の排気孔410が損傷したり、孔径が大きくなったり、スリーブケース100が損傷したりして排気装置を新たに設置する必要があるという問題が回避され、排気装置を繰り返して使用でき、摩耗したコア軸200を交換することもできる。また、金型損傷の低減に有利であり、金型の使用寿命を延長することができる。また、本発明による排気装置のコア軸200の閉鎖ストロークHが安定し、精度が高く、コア軸200が偏芯しにくく、本発明による排気装置のタイヤ金型を使用する場合、金型洗浄頻度が約30%低減される。
【0063】
最後に、上記の各実施例は、単に本発明の技術案を説明するためのものであり、それを限定するものではない。前述の各実施例を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者であれば、前述の各実施例に記載された技術案を変更し、又はそのうちの一部若しくは全部の技術特徴を均等に置き換えることができ、これらの変更又は置換が、対応の技術案の本質を本発明の各実施例の技術案の範囲から逸脱させるものではないと理解すべきである。
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