(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】ディーゼルエンジン用の高圧SCRガス交換圧力安定化システム
(51)【国際特許分類】
F01N 3/08 20060101AFI20221111BHJP
F01N 3/22 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
F01N3/08 B
F01N3/22 301D
F01N3/22 301H
F01N3/22 301P
F01N3/22 301S
(21)【出願番号】P 2021552197
(86)(22)【出願日】2020-03-04
(86)【国際出願番号】 CN2020077733
(87)【国際公開番号】W WO2020177707
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-10-26
(31)【優先権主張番号】201910160976.8
(32)【優先日】2019-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519262467
【氏名又は名称】シャンハイ マリン ディーゼル エンジン リサーチ インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【氏名又は名称】鈴木 守
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジーガン
(72)【発明者】
【氏名】ジュウ シャンリ
(72)【発明者】
【氏名】リー シャオボー
(72)【発明者】
【氏名】シェン タン
(72)【発明者】
【氏名】チェン チウヤン
(72)【発明者】
【氏名】シェン フェイシャン
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-31756(JP,A)
【文献】特開2016-48067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/08
F01N 3/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼルエンジン用の高圧SCRガス交換圧力安定化システムであって、
前記ディーゼルエンジンの排ガスの脱窒に使用されるSCR反応器と、
前記SCR反応器の吸気口に接続され、圧縮空気を流通させるのに用いられ、第一制御弁が設けられた、吸気ラインと、
前記SCR反応器の排気口に接続され、第二制御弁が設けられた、排気ラインと、
前記SCR反応器内のガス圧と前記ディーゼルエンジンの排気側の圧力との差を検出する差圧検出装置と、
前記差圧検出装置、前記第一制御弁、及び前記第二制御弁に接続された制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記SCRガス交換圧力安定化システムのガス交換を開始し、前記SCR反応器、前記吸気ライン、前記排気ラインからの排ガスが、前記吸気ラインから流入する圧縮空気に押されて前記排気ラインから排出されるように、前記第一制御弁及び前記第二制御弁を開くように制御し、
前記制御装置は、前記SCRガス交換圧力安定化システムのガス交換が完了した後、前記第二制御弁を閉じて、前記差圧検出装置に応じて前記SCR反応器に入る圧縮空気の流量を制御するとともに、前記第二制御弁を開くか否かを制御して、前記SCR反応器と前記ディーゼルエンジンの排気側との間のガス圧差を所定の圧力差範囲内に維持する、
ディーゼルエンジン用の高圧SCRガス交換圧力安定化システム。
【請求項2】
前記SCR反応器に接続された補助吸気ラインをさらに備え、前記補助吸気ラインには補助制御弁が設けられており、前記制御装置は、前記SCRガス交換圧力安定化システムにおけるガス交換時に前記補助制御弁を開くよう制御して、前記SCR反応器に圧縮空気を流入させて、前記SCR反応器、前記吸気ライン、前記排気ラインの排ガスを排出させる、請求項1に記載のディーゼルエンジン用の高圧SCRガス交換圧力安定化システム。
【請求項3】
前記補助吸気ラインの直径は、前記吸気ラインの直径よりも小さい、請求項2に記載のディーゼルエンジン用の高圧SCRガス交換圧力安定化システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記SCRガス交換圧力安定化システムの前記ガス交換が完了した後、前記第一制御弁を閉じるように制御するとともに、前記差圧検出装置に応じて、前記補助制御弁を調整し、前記第二制御弁を開くか否かを制御して、前記ガス差圧を所定の差圧範囲内に維持する、請求項3に記載のディーゼルエンジン用の高圧SCRガス交換圧力安定化システム。
【請求項5】
前記補助吸気ラインは第一補助吸気ラインを備え、前記第一補助吸気ラインには電磁弁が設けられ、前記電磁弁は、前記制御装置に接続されて、前記SCR反応器への圧縮空気の流量を調節する、請求項4に記載のディーゼルエンジン用の高圧SCRガス交換圧力安定化システム。
【請求項6】
前記第一補助吸気ラインは、尿素霧化空気ラインである、請求項5に記載のディーゼルエンジン用の高圧SCRガス交換圧力安定化システム。
【請求項7】
前記補助吸気ラインは、第二補助吸気ラインを備え、前記第二補助吸気ラインにはスートブロワバルブが設けられ、前記スートブロワバルブは、前記制御装置に接続されて、前記SCR反応器への圧縮空気の流量を調節する、請求項4に記載のディーゼルエンジン用の高圧SCRガス交換圧力安定化システム。
【請求項8】
前記制御装置は、前記差圧検出装置が所定の差圧範囲以上の値を検出すると、前記第二制御弁を開く、請求項1又は4に記載のディーゼルエンジン用の高圧SCRガス交換圧力安定化システム。
【請求項9】
前記SCR反応器は、入口高温弁と出口高温弁を有し、前記制御装置は、前記入口高温弁と前記出口高温弁が閉じている状態で、前記第一制御弁と前記第二制御弁を開くように制御する、請求項1に記載のディーゼルエンジン用の高圧SCRガス交換圧力安定化システム。
【請求項10】
前記制御装置は、所定のガス交換時間だけガス交換が続くように前記ディーゼルエンジン用の高圧SCRガス交換圧力安定化システムを制御し、前記所定のガス交換時間は、前記SCR反応器、前記吸気ライン、及び前記排気ラインの断面積及び/又は長さに応じて設定される、請求項1に記載のディーゼルエンジン用の高圧SCRガス交換圧力安定化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジンの排ガス処理の技術分野に関し、より具体的には、ディーゼルエンジン用の高圧SCRガス交換圧力安定化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
船舶用ディーゼルエンジンから排出されるNOxの後処理には、SCR(Selective Catalytic Reduction:選択触媒還元)を使用するのが主流である。既存のSCRガス交換ユニットは、通常、圧縮空気の入口と出口にスロットルオリフィスプレートを設置し、圧縮空気を連続的にパージできるようになっているが、この構造は密閉性が低く、ガス交換が遅い、空気消費量が多い、システムが不安定といった問題がある。
【0003】
したがって、上記の問題を少なくとも部分的に解決するために、改良されたディーゼルエンジン用の高圧SCRガス交換圧力安定化システムを提供する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
発明の概要の項では、簡略化された形の一連の概念が紹介されているが、これらは具体的な実施の形態の項でさらに詳細に説明される。本発明の発明の概要の項は、保護を主張する技術的解決策の主要な特徴や必須の技術的特徴を限定しようとするものではなく、ましてや保護を主張する技術的解決策の保護範囲を決定しようとするものでもない。
【0005】
上記課題を少なくとも部分的に解決するために、本発明は、ディーゼルエンジン用の高圧SCRガス交換圧力安定化システムであって、
前記ディーゼルエンジンの排ガスの脱窒に使用されるSCR反応器と、
前記SCR反応器の吸気口に接続され、圧縮空気を流通させるのに用いられ、第一制御弁が設けられた、吸気ラインと、
前記SCR反応器の排気口に接続され、第二制御弁が設けられた、排気ラインと、
前記SCR反応器内のガス圧と前記ディーゼルエンジンの排気側の圧力との差を検出する差圧検出装置と、
前記差圧検出装置、前記第一制御弁、及び前記第二制御弁に接続された制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記SCRガス交換圧力安定化システムのガス交換を開始し、前記SCR反応器、前記吸気ライン、前記排気ラインからの排ガスが、前記吸気ラインから流入する圧縮空気に押されて前記排気ラインから排出されるように、前記第一制御弁及び前記第二制御弁を開くように制御し、
前記制御装置は、前記SCRガス交換圧力安定化システムのガス交換が完了した後、前記第二制御弁を閉じて、前記差圧検出装置に応じて前記SCR反応器に入る圧縮空気の流量を制御するとともに、前記第二制御弁を開くか否かを制御して、前記SCR反応器と前記ディーゼルエンジンの排気側との間のガス圧差を所定の圧力差範囲内に維持する、
ディーゼルエンジン用の高圧SCRガス交換圧力安定化システムを提供する。
【0006】
好ましくは、前記SCR反応器に接続された補助吸気ラインをさらに備え、前記補助吸気ラインには補助制御弁が設けられており、前記制御装置は、前記SCRガス交換圧力安定化システムにおけるガス交換時に前記補助制御弁を開くよう制御して、前記SCR反応器に圧縮空気を流入させて、前記SCR反応器、前記吸気ライン、前記排気ラインの排ガスを排出させる。
【0007】
好ましくは、前記補助吸気ラインの直径は、前記吸気ラインの直径よりも小さい。
【0008】
好ましくは、前記制御装置は、前記SCRガス交換圧力安定化システムの前記ガス交換が完了した後、前記第一制御弁を閉じるように制御するとともに、前記差圧検出装置に応じて、前記補助制御弁を調整し、前記第二制御弁を開くか否かを制御して、前記ガス差圧を所定の差圧範囲内に維持する。
【0009】
好ましくは、前記補助吸気ラインは第一補助吸気ラインを備え、前記第一補助吸気ラインには電磁弁が設けられ、前記電磁弁は、前記制御装置に接続されて、前記SCR反応器への圧縮空気の流量を調節する。
【0010】
好ましくは、前記第一補助吸気ラインは、尿素霧化空気ラインである。
【0011】
好ましくは、前記補助吸気ラインは、第二補助吸気ラインを備え、前記第二補助吸気ラインにはスートブロワバルブが設けられ、前記スートブロワバルブは、前記制御装置に接続されて、前記SCR反応器への圧縮空気の流量を調節する。
【0012】
好ましくは、前記制御装置は、前記差圧検出装置が所定の差圧範囲以上の値を検出すると、前記第二制御弁を開く。
【0013】
好ましくは、前記SCR反応器は、入口高温弁と出口高温弁を有し、前記制御装置は、前記入口高温弁と前記出口高温弁が閉じている状態で、前記第一制御弁と前記第二制御弁を開くように制御する。
【0014】
好ましくは、前記制御装置は、所定のガス交換時間だけガス交換が続くように前記ディーゼルエンジン用の高圧SCRガス交換圧力安定化システムを制御し、前記所定のガス交換時間は、前記SCR反応器、前記吸気ライン、及び前記排気ラインの断面積及び/又は長さに応じて設定される。
【0015】
本発明のディーゼルエンジン用の高圧SCRガス交換圧力安定化システムによれば、前記制御装置が、前記SCRガス交換圧力安定化システムが空気の入れ替えを開始するように、前記第一制御弁及び前記第二制御弁を開くように制御し、前記SCR反応器、前記吸気ライン、前記排気ラインの排ガスが、前記吸気ラインから入る圧縮空気に押されて、前記排気ラインから排出されるようにし、前記SCRガス交換圧力安定化システムのガス交換が完了した後、前記制御装置は、前記第二制御弁を閉じて、前記差圧検出装置に応じて前記SCR反応器に入る圧縮空気の流量を制御すると共に前記第二制御弁を開くか否かを制御することで、前記SCR反応器と前記ディーゼルエンジンの排気側との間のガス差圧を所定の差圧範囲内に維持し、迅速なガス交換を実現し、差圧の正確な制御と圧力の安定化を保証し、これにより、システムの安定性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
以下の本発明の図面は、本発明の理解の一部として本明細書で使用される。本発明の実施の形態とその説明を添付図面に示し、本発明の装置と原理を説明する。添付の図面において、
【
図1】
図1は、本発明の好ましい実施の形態によるディーゼルエンジン用の高圧SCRガス交換圧力安定化システムの構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の説明では、本発明をより深く理解するために、多数の具体的な内容を記載している。しかし、当業者にとっては、これらの詳細の1つ以上がなくても本発明を実施できることは明らかであろう。他の例では、本発明との混同を避けるために、当技術分野で知られているいくつかの技術的特徴は説明されていない。
【0018】
本発明の完全な理解のために、以下の説明では詳細な構造を示して本発明を解明する。本発明は、その実施において、当業者に周知の特定の詳細に限定されないことは明らかである。本発明の好ましい実施の形態を以下に詳細に説明するが、これらの詳細な説明に加えて、本発明は他の実施の形態を有していてもよく、本明細書に示された実施の形態に限定されると解釈されるべきではない。
【0019】
本明細書で使用されている用語は、特定の実施の形態を説明することのみを目的としており、本発明を限定するものではないことを理解する必要がある。また、単数形の「一の」、「1つの」、「前記/該」は、文脈上明らかに他を示す場合を除き、複数形を含むことも意図している。本明細書で「含む」及び/又は「備える」という用語が使用される場合、それらは前記特徴、全体、ステップ、操作、要素及び/又は構成要素の存在を示すが、1つ又は複数の他の特徴、全体、ステップ、操作、要素、構成要素及び/又はそれらの組み合わせの存在又は追加を排除するものではない。本発明で使用される技術用語である「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」及び同様の表現は、説明のためだけに使用されており、限定をするものではない。
【0020】
以下では、本発明の各具体的な実施の形態について、本発明の代表的な実施の形態を示し、それを限定するものではない添付の図面を参照して、より詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の好ましい実施の形態によるディーゼルエンジン用の高圧SCRガス交換圧力安定化システムの構造を示す模式図である。
【0022】
本発明によるディーゼルエンジン用の高圧SCRガス交換圧力安定化システムは、SCR反応器10、吸気ライン20、排気ライン30、差圧検出装置40、及び制御装置を備えている。
【0023】
SCR反応器10は、ディーゼルエンジンの排ガスに対して脱窒処理をするためのものである。SCR反応器10は、一般的には、内部に、250℃~400℃の温度で排ガス中のNOxと反応してN2とH2Oを生成する触媒(例えば、アンモニア)を備えている。還元反応が起こる温度は触媒によって異なる。
【0024】
SCR反応器10には、動作状態と非動作状態とがある。なお、動作状態とは、SCR反応器10がディーゼルエンジンの排ガスを脱窒処理している状態であり、この動作状態の開始は、通常、ディーゼルエンジンの制御システムによって制御されるということでる。例えば、オペレータがSCRを起動するためのスタートボタンを押すと、ディーゼルエンジンの制御信号により、SCR反応器10の入口高温バルブRSVと出口高温バルブRTVが開かれ、ディーゼルエンジンからの排ガス(
図1に示すように、燃焼ガスとも呼ばれる)は、燃焼ガス入口からSCR反応器10に入り、触媒の働きで尿素水溶液の分解により生成されたNH3と還元反応を起こして、窒素が除去される。リアクタ10の動作状態から非動作状態への切り替えも、通常は、ディーゼルエンジンの制御システムによって制御することができ、これは、オペレータがSCRを停止するための停止ボタンを押し、ディーゼルエンジンの制御信号により、SCR反応器10の入口高温弁RSV及び出口高温弁RTVを閉じると理解することができる。換言すると、SCR反応器10の入口高温弁RSV及び出口高温弁RTVは開状態であるときは、すなわちSCR反応器10は動作状態にあり、SCR反応器10の入口高温弁RSV及び出口高温弁RTVは閉状態であるときは、すなわちSCR反応器10は非動作状態にあるということである。なお、SCR反応器10の入口高温弁RSV及び出口高温弁RTVが閉じているという信号が、ディーゼルエンジン用の高圧SCRガス交換圧力安定化システムの制御装置によって検出されると、制御装置はディーゼルエンジン用の高圧SCRガス交換圧力安定化システムを制御してガス交換を開始する。以下、コントロールユニットの制御処理について詳しく説明する。
【0025】
吸気ライン20は、SCR反応器10の吸気口の上流側に位置し、圧縮空気を流すためのものであり、吸気ライン20には第一制御弁21が設けられている。排気ライン30は、SCR反応器10の排気口の下流側に位置し、排気ライン30には第二制御弁31が設けられている。吸気ライン20及び排気ライン30の断面積は、通常、円形であるため、単位時間当たりの圧縮空気の流量は、給気ライン20と排気ライン30の直径に関係する。
【0026】
差圧検出装置40は、SCR反応器10内のガス圧と、ディーゼルエンジンの排気側の圧力との差を検出するのに用いられる。差圧センサは、
図1に示すように、SCR反応器10の出口高温バルブRTVと並列に接続することができる。
【0027】
制御装置は、差圧検出装置40、第一制御弁21、及び第二制御弁31にそれぞれ接続されている。以下、制御装置の制御処理について詳しく説明する。
【0028】
具体的には、制御装置は、第一制御弁21と第二制御弁31を開くように制御して、ディーゼル用の高圧SCRガス交換圧力安定化システムがガス交換を開始する。上記の説明と合わせると、第一制御弁21および第二制御弁31を開く制御をする制御装置の動作は、入口高温弁および出口高温弁が閉じることをトリガとするということが理解できる。このように、SCR反応器10、吸気ライン20、排気ライン30からの排ガスは、吸気ライン20から入る圧縮空気に押されて、排気ライン30から排出され、最終的には燃焼ガス出口から排出される。なお、差圧検出装置40は、ディーゼルエンジン用の高圧SCRガス交換圧力安定化システムのガス交換フェーズでは常に動作しているが、このフェーズでは、ディーゼルエンジン用の高圧SCRガス交換圧力安定化システムのガス交換が完了した後の後述するフェーズとは異なり、第二制御弁31は開状態に保たれ、差圧検出装置40の検出値に応じて制御装置によって閉状態にされることはない。
【0029】
そして、制御装置は、SCR反応器10、吸気ライン20、及び排気ライン30の断面積及び/又は長さに応じて予め設定できる連続した所定のガス交換時間だけ、ディーゼルエンジン用の高圧SCRガス交換圧力安定化システムを制御してガス交換を行う。例えば、吸気ライン20および排気ライン30が比較的長い及び/又は薄い(断面積が小さい)と、比較的長い所定のガス交換時間を必要とし、逆に、吸気ライン20及び排気ライン30が短い及び/又は厚い(断面積が大きい)と、比較的短い所定のガス交換時間を必要とする。
【0030】
ディーゼルエンジン用の高圧SCRガス交換圧力安定化システムにおけるガス交換の完了後、制御装置は、第二制御弁31を閉じて、且つSCR反応器10内のガス圧を所定の圧力範囲内に維持するために、差圧検出装置40に応じてSCR反応器10内への圧縮空気の流入を制御するとともに、第二制御弁31を開くか否かを制御する。SCR反応器10内のガス圧はディーゼルエンジンの排気側の圧力より高くする必要である。ディーゼルエンジンの負荷に応じた排気側の圧力は、典型的には2~4バールであり、SCR反応器10とディーゼルエンジンの排気側の圧力との圧力差は、典型的には0.05~0.25バールの範囲であるため、ディーゼルエンジン側のガスが再びSCR反応器10に逆流することができず、不安定なシステムになってしまう。具体的には、ディーゼルエンジン用の高圧SCRガス交換圧力安定化システムのガス交換が完了した後、すなわちガス交換処理が所定の時間継続した後、制御装置は、第二制御弁31を閉じるが、第一制御弁21は開いたままとする。この時点で、ガス交換が完了した後、SCR反応器10内の圧力は、典型的には、ディーゼルエンジンの排気側の圧力よりも小さく、この所定の圧力範囲に達するために、吸気ライン20を介してSCR反応器10に圧縮空気が補充されることが理解できる。制御装置は、差圧検出装置40によって検出された値が所定の圧力範囲よりも高い場合、すなわちSCR反応器10内のガス圧が所定の圧力範囲外の場合には、差圧検出装置40によって検出された差圧値を所定の圧力範囲内に維持するように、すなわちSCR反応器10内のガス圧を所定の圧力範囲内に維持するように、第二制御弁31を開いてガスを排出する。SCR反応器10内のガス圧は、所定の圧力範囲内に維持される。
【0031】
ディーゼルエンジン用の高圧SCRガス交換圧力安定化システムがより早くガス交換を完了できるようにするために、該システムは、さらにSCR反応器10に接続された補助吸気ラインを含む。補助吸気ラインには補助制御弁が設けられており、この補助制御弁は、ディーゼルエンジン用の高圧SCRガス交換圧力安定化システムのガス交換時に、制御装置によって補助制御弁を開くように制御され(ガス交換フェーズでは、第一制御弁21と補助制御弁の両方が開くことが理解できる)、圧縮空気がSCR反応器10に入ることで、SCR反応器10、吸気ライン20、及び排気ライン30からの排ガスの排出を駆動する。
【0032】
SCR反応器10への圧縮空気の流量を正確に制御するために、補助吸気ラインの最大径を吸気ラインの最大径よりも小さくすることができる。つまり、吸気ラインを通る単位時間当たりの流量と、補助吸気ラインを通る流量とは異なる。また、補助吸気ラインは、通常、断面が円形のチューブとして設定されている。よって、補助吸気ラインの直径は、吸気ラインの直径よりも小さいと理解することもできる。
【0033】
好ましくは、上記から分かるように、ディーゼルエンジン用の高圧SCRガス交換圧力安定化システムのガス交換のフェーズでは、第一制御弁21と補助制御弁を開いて、より早くガス交換を完了させて、ディーゼルエンジン用の高圧SCRガス交換圧力安定化システムのガス交換が完了した後には、制御装置は第一制御弁21を閉じるように制御するが、補助制御弁は開いたままとする。制御装置は、SCR反応器10内のガス圧を所定の圧力範囲内に維持するために、差圧検出装置40に応じて補助制御弁を調整し、第二制御弁31を開くか否かを制御する。 具体的には、補助吸気ラインを有するディーゼルエンジン用の高圧SCRガス交換圧力安定化システムにおいて、所定の差圧を維持する工程は、補助制御弁を調整し、補助吸気ラインを用いて圧縮空気を補充し、第二制御弁31を開放してガスを排出する。
【0034】
引き続き
図1を参照すると、補助吸気ラインは、第一補助吸気ライン22を含んでてもよく、第一補助吸気ライン22には電磁弁が設けられており、この電磁弁は、SCR反応器10への圧縮空気の流量を調節するために制御装置に接続されている。好ましくは、第一補助吸気ライン22は、尿素霧化空気ラインである。なお、尿素霧化空気ラインは、圧縮空気を送出するためだけに使用されているが、尿素霧化空気ラインを介して送出された圧縮空気は、SCR反応器10の動作状態において尿素を霧化するために使用することができる。
【0035】
補助吸気ラインは、第二補助吸気ライン23をさらに含んでいてもよく、第二補助吸気ライン23は、スートブロワバルブ231を備えており、スートブロワバルブ231は、SCR反応器10への圧縮空気の流量を調節するための制御装置に接続されている。
【0036】
特に定義されていない限り、本明細書で使用されている技術用語および科学用語は、本発明の技術分野の当業者が一般的に理解しているものと同じ意味を持つ。本明細書で使用されている用語は、特定の実装目的のみを説明することを意図しており、本発明を限定することを意図していない。本明細書で出てくる「部」や「部品」などの用語は、単一の部品または複数の部品の組み合わせを表すことがある。本明細書で出てくる「装着」や「設置」などの用語は、ある部品を他の部品に直接取り付けること、またはある部品を中間部品を介して他の部品に取り付けることを意味している。ある実施の形態において本明細書に記載された特徴は、該特徴が他の実施の形態で適用されないか、又は他に説明がある場合を除き、単独で、又は他の特徴と組み合わせて、他の実施の形態において適用可能である。
【0037】
本発明を上記の実施の形態によって説明してきたが、上記の実施の形態は例示と説明のためのものであり、本発明を説明した実施の形態に限定することを意図したものではないことを理解すべきである。さらに、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の教示に従って、より多様な変形や変更が可能であり、それらはすべて本発明が主張する保護の範囲に入ることが当業者には理解されるであろう。本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲とそれに相当する範囲によって定義される。