(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】食品加工処理装置および食品加工処理方法
(51)【国際特許分類】
A47J 27/14 20060101AFI20221114BHJP
B65G 17/06 20060101ALI20221114BHJP
B65G 49/02 20060101ALI20221114BHJP
F25D 9/00 20060101ALI20221114BHJP
F25D 13/06 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
A47J27/14 H
B65G17/06 Z
B65G49/02 D
F25D9/00 C
F25D13/06
(21)【出願番号】P 2017248197
(22)【出願日】2017-12-25
【審査請求日】2020-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】509159492
【氏名又は名称】米田工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134669
【氏名又は名称】永井 道彰
(72)【発明者】
【氏名】米田 稔
【審査官】石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-129514(JP,A)
【文献】特開昭60-234550(JP,A)
【文献】特開昭61-047147(JP,A)
【文献】米国特許第04719849(US,A)
【文献】特開昭52-072868(JP,A)
【文献】特開昭58-044011(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/14
F25D 13/06
F25D 9/00
B65G 17/06
B65G 49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品の加熱処理、冷却処理または冷凍処理を行う処理液体を満たした処理槽と、
開口を持ち、壁面に前記処理液体が流入出できる複数の孔または複数のスリットが設けられ、側方にチェーン軸が設けられた函体状の食品収納容器体と、
前記食品収納容器体の前記チェーン軸に接続された搬送チェーンと、
前記食品収納容器体を前記処理槽の内部を通過するように移動させる槽内移動搬送機構と、
前記食品収納容器体を前記処理槽の前記処理液体の
液面上を通過するように移動させる槽外移動搬送機構を備え、
前記食材収納容器体が、前記進行方向に略直角に設定され、前記搬送チェーンに組み込まれた回動軸となる前記チェーン軸または支持軸体を備え、前記開口が上向き姿勢に吊下支持され、
前記槽外移動搬送機構が、前記搬送チェーンに噛み合って搬送駆動力を与えるスプロケット構造を備えた駆動装置と、
前記食材収納容器体を回動可能に支持する前記回動軸
を下方から支えることで前記食品収納容器体の重量を支持しつつ搬送する搬送チェーン支持体を備え、前記槽外移動搬送機構において、前記食材収納容器体が前記回動軸を介して前記開口を上向き姿勢で前記搬送チェーン支持体に
よって支持され、吊下された状態で前記駆動装置の駆動力により搬送され、
前記槽内移動搬送機構が槽内搬送コンベアを備え、前記槽内移動搬送機構において、前記食材収納容器体が前記回動軸を介して前記槽内搬送コンベアに載置支持され、吊下された状態で前記槽内搬送コンベアの搬送駆動力により搬送され、
前記槽内移動搬送機構では、前記搬送チェーンをたわませた状態で
前記食品収納容器体の前記回動軸を前記槽内搬送コンベアにより支持しつつ進行せしめ、
前記槽外移動搬送機構では、前記搬送チェーンを引張した状態で前記食品収納容器体
の前記回動軸を前記搬送チェーン支持体により支持しつつ進行せしめることを特徴とする食品加工処理装置。
【請求項2】
前記槽内移動搬送機構において、前記槽外移動搬送機構から前記槽内移動搬送機構に周回してきた前記食品収納容器体が前記槽内移動搬送機構に投入され、既に列をなしている前記食品収納容器体が当該食品収納容器体によって押し込まれて前記回動軸が前記槽内搬送コンベアに支持された状態で前記槽内搬送コンベアに沿って進行してゆくことを特徴とする請求項1に記載の食品加工処理装置。
【請求項3】
前記槽外移動搬送機構から前記槽内移動搬送機構への前記食品収納容器体の移動、および、前記槽内移動搬送機構から前記槽外移動搬送機構への前記食品収納容器体の移動が同期して間欠移動となるよう制御されたことを特徴とする請求項1または2に記載の食品加工処理装置。
【請求項4】
前記槽内移動搬送機構から前記槽外移動搬送機構への前記食品収納容器体の移動の際に前記食品収納容器体を回動させ、前記開口が下方に向くよう傾けて内部の前記食品を前記食品収納容器体から排出させる食品排出機構を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の食品加工処理装置。
【請求項5】
前記槽外移動搬送機構から前記槽内移動搬送機構への前記食品収納容器体の移動の際に前記食品収納容器体を回動させ、前記開口を上方で傾けて前記食品を前記食品収納容器体に投入しやすくする食品投入機構を備えたことを特徴とする請求項4に記載の食品加工処理装置。
【請求項6】
食品の加熱処理、冷却処理または冷凍処理を行う処理液体を満たした処理槽と、
開口を持ち、壁面に前記処理液体が流入出できる複数の孔または複数のスリットが設けられ、側方にチェーン軸が設けられた函体状の食品収納容器体と、
前記食品収納容器体の前記チェーン軸に接続された搬送チェーンと、
前記食品収納容器体を前記処理槽の内部を通過するように移動させる槽内移動搬送機構と、
前記食品収納容器体を前記処理槽の前記処理液体の
液面上を通過するように移動させる槽外移動搬送機構を備え、
前記槽内移動搬送機構から前記槽外移動搬送機構への前記食品収納容器体の移動の際に前記食品収納容器体を回動させ、前記開口が下方に向くよう傾けて内部の前記食品を前記食品収納容器体から排出させる食品排出機構と、
前記槽外移動搬送機構から前記槽内移動搬送機構への前記食品収納容器体の移動の際に前記食品収納容器体を回動させ、前記開口を上方で傾けて前記食品を前記食品収納容器体に投入しやすくする食品投入機構を備え、
前記槽内移動搬送機構では、前記搬送チェーンをたわませた状態で前記食品収納容器体を進行せしめ、
前記槽外移動搬送機構では、前記搬送チェーンを引張した状態で前記食品収納容器体を前記搬送チェーンにより進行せしめる食品加工処理装置を直列に複数台並べて配置し、
前記食品加工処理装置同士の接続部において、前列の前記食品加工処理装置の前記食品排出機構により前記食品収納容器体の前記開口が下方に向くよう傾けて内部の前記食品を前記食品収納容器体から排出させた先に、後列の前記食品加工処理装置の前記食品投入機構により前記食品収納容器体の前記開口が上方で傾いて待ち構えて受け取り、当該食品を自動的に引き渡すことができるよう構成されたことを特徴とする食品加工処理装置群。
【請求項7】
前記前列の前記食品加工処理装置の前記食品排出機構と、前記後列の食品加工処理装置の前記食品投入機構との接続部に、前記食品を滑らせて移動を支援する連結部が設けられたことを特徴とする請求項6に記載の食品加工処理装置群。
【請求項8】
前記前列の前記食品加工処理装置の前記処理槽が熱水または温水で満たされた加熱処理槽であり、前記後列の前記食品加工処理装置の前記処理槽が冷却水または冷却液で満たされた冷却処理槽であり、前記食品の所定加熱処理後の所定冷却処理が連続して実行できるものである請求項6または7に記載の食品加工処理装置群。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送手段として搬送チェーンによる駆動手段を使用し、食品の加熱処理、冷却処理または冷凍処理を行う液体を満たした処理槽に対して食品を浸漬して回収することにより食品加工処理を連続的に行うことができる食品加工処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食品を加熱したり冷却したりする装置として加熱処理水や冷却水などの液体に所定時間浸漬する食品加工処理装置が広く用いられている。これらの装置の処理方式にはいわゆるバッチ式加工処理装置と、連続式加工処理装置がある。
バッチ式加工処理装置は、対象食品などを一群にまとめ、一群ごとまとめて加熱室で加熱処理したり冷却室内で冷却処理したりした後、加工処理済みの食品を取り出して次の一群の食品と取り替えて加工処理を行うものである。バッチ式加工処理装置としては、加熱処理方法に応じて様々なタイプがあり、蒸気流方式、熱水浸漬方式、オーブン方式などがあり、冷却方法としても様々なタイプがあり、冷気流方式、冷媒液浸漬方式、液体ガス気化方式などがある。
【0003】
図10は、従来技術におけるバッチ式食品加工処理装置で蒸気流方式または冷気流方式を採用した食品加工処理装置の構成例を示す図である。
図10に示すように、バッチ式食品加工処理10は、蒸気流または冷気流を供給する蒸気発生器11または冷却器11と、密閉構造の食品加工処理室12からなる。食品加工処理室12は、加工処理食品を出し入れする扉14を備え、扉14に面して複数段の陳列棚16が間隔を開けて上下方向に多段に設けられている。食品加工処理室12の隔壁は断熱パネル13で構成された密閉かつ断熱構造を有している。蒸気発生器11または冷却器11から蒸気流や冷気流が加工処理室12に対して導かれ、陳列棚16に載置された加工処理食品fを加熱加工または冷却加工する。加工処理後、食品加工処理室12から回収される。
被冷却物fの加工処理が終わると、扉14を開け、次の加工処理食品fと入れ替えられる。このように一群ごとに加工処理食品を一括にまとめて行うのでバッチ処理式と呼ばれている。
【0004】
連続式加工処理装置は、一般には食品をベルトコンベアに載置して連続的に加熱処理部や冷却処理部を通過することにより食品の加熱処理や冷凍処理を行うものがある。連続式加工処理装置としても、加熱処理方法に応じて様々なタイプがあり、蒸気流方式、熱水浸漬方式、オーブン方式などがあり、冷却方法としても様々なタイプがあり、冷気流方式、冷媒液浸漬方式、液体ガス気化方式などがある。
【0005】
図11は、冷媒液浸漬方式の連続冷凍処理装置の構成例であり、冷却用液体の喫水線下の液中を走行するコンベアを用いた冷凍装置を示す図(特開2000-55526号公報)である。
図11に示すように、特開2000-55526号公報に開示された連続冷凍処理方式の冷凍装置は、冷凍槽52に満たされた冷却用液体54の喫水線下の液中をコンベヤー66が走行するようにされており、被冷凍物58は、投入口68から走行するコンベヤー66上に乗せられて冷凍槽52に投入され、冷却用液体54に一定時間浸漬された後、取り出し口70から取り出される仕組みとなっている。無限軌道のコンベヤー66を連続的に稼働するものである。また、個々の被冷凍物は、投入口68から取り出し口70に至るまで同一の軌道にて冷却用液体中を通過するので、冷凍製品の品質均一性も向上している。
図11の例は、連続式で冷凍処理を行うものであるが、液体が熱水であり、加熱加工するものも原理的には同じである。
【0006】
連続式冷凍装置は、バッチ式のように棚ごと取り出すという取り出し作業が省略できる。このように、加工処理食品の搬入・搬出が連続的に行うことができ、連続式冷凍装置と呼ばれる。連続式冷凍装置は全体としての処理時間を短縮できる利点がある。
【0007】
冷媒液としては0度までの冷却であれば冷水を用いることができる。0度未満へ冷凍する場合はブライン液(塩化カルシウム溶液、アルコール水溶液など)が使用されることが多い。冷媒液を貯蔵した加工処理槽の周囲に冷却器を配置して冷媒液を所定の低温に維持し、その冷媒液の中に加工食品を浸漬させて冷却するものである。連続処理式を採用する場合、ベルトコンベアの搬送系の一部が冷媒液の中を通過するように組み上げて搬送系ごと冷媒液の中に浸漬させるものがある。冷凍対象となる食品が冷媒液の中に浸漬されるので、冷媒が周囲を均等に覆うために冷凍品質は比較的良好であり、熱交換も冷媒液との間で行われるため冷凍速度が速く急速冷凍にも適している方法である。
【0008】
図11に示した液体浸漬方式とは異なる他の連続処理式の食品加工処理装置について述べる。
従来技術において、連続式の加熱処理装置としては、液体浸漬方式のほか、蒸気流方式、オーブン方式などがある。
蒸気流方式は、蒸気を送風して加熱処理槽内を通過させ、当該蒸気流で充満した加熱処理槽を通過するようにベルトコンベアの搬送系を設置して搬送させるものである。ベルトコンベア上に加熱対象となる食品を載置し、加熱対象となる食品を加熱処理槽の中を通過させ、加熱する方法である。
【0009】
オーブン方式は、ガス、電気などの熱源を配置した加熱処理槽を設置し、加熱対象食品に対して熱源からの熱を伝導または対流させて加熱処理するものである。連続処理式を採用する場合、ベルトコンベアの搬送系の一部が熱源を配置した加熱処理槽を通過するように組み上げて搬送系ごと熱するものが一般的である。熱源の温度設定を調整すれば、食品を高温で焼成することもできる。
【0010】
次に、冷却方式にも下記のような様々な方式がある。
冷気流方式は、冷媒となる空気を送風または吸引して冷却器内を通過させ、冷気を生成し、その冷気を導く冷却空間を設け、当該冷却空間を通過するようにベルトコンベアの搬送系を設置して循環させるものである。ベルトコンベア上に冷凍対象となる食品を載置し、冷凍対象となる食品を冷却空間の中を通過させ、急速に冷凍する方法である。
【0011】
液体ガス気化方式は、液化窒素、液化酸素等の低温液体ガスを冷却対象食品に対して直接噴霧し、その液体ガスが蒸発する際に生じる蒸発潜熱と顕熱を利用して冷凍対象食品を急速冷凍する方法である。
【0012】
バッチ処理式、連続処理式、いずれにもメリットがあるが、食品に対して、加熱処理したあと冷却処理するなど、複数の工程を連続して行う必要がある加工処理においては、連続式が有利である。
バッチ式では一工程ごとに、加工済み食品を一括して取り出して次の工程に向けた一括に整列して投入する必要があり、事実上、複数工程を自動化することが困難である。
一方、連続処理式であれば、加熱処理用の連続処理装置の後に加工済み食品を次工程である冷却処理用の連続処理装置に自動的に引き継げば、複数工程も連続処理により自動化することが比較的容易にできる。
本発明は、連続処理式の食品加工処理装置を目指したものである。
【0013】
【文献】特開2011-47553号公報
【文献】特開2000-55526号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記したように、加熱方式や冷却方式には様々な方式があり、それぞれメリットがある。
ここで、本発明では、加工処理として液体を用いた加工に適した食品加工を前提とする。つまり、加熱処理の場合、熱水浸漬方式の加熱処理を前提とする。また、冷却処理の場合、冷媒液浸漬方式の冷却処理を前提とする。
食品の加工処理には、高温で焼成する場合などはオーブン方式が採用されることが多いが、食品の加工の中には100度未満の熱水に浸漬する加工、つまり茹で上げ加工が適している食品もある。例えば、カニ身、蒲鉾、麺類、プリンなど多数に上る。また、冷却についても食品の加工処理の中には0度以上の冷水に浸漬する加工、つまり冷水冷却が適している食品もある。例えば、加熱処理後の徐熱処理などがある。
【0015】
ここで、食品の加工処理装置として、熱水や冷水を用いたベルトコンベアによる連続処理式の食品加工処理装置を採用すると、以下の問題が生じる。
第1の問題は、食品加工処理装置のサイズが大きくなってしまうという問題である。
ベルトコンベアによる連続処理式の食品加工処理装置は、処理時間との兼ね合いでサイズが大きくなる傾向があった。熱水または冷水を通過する加工処理時間を確保するためには、ベルトコンベアの長さが長くなり、ひいては食品加工処理装置全体の長さが長くならざるを得なかった。もし、ベルトコンベアの搬送速度を小さくして加工処理槽の内部に滞留する時間を長く確保しようとすると、連続処理で食品を投入できるインターバルが長くなってしまい、食品加工処理装置の時間当たりの加工処理量が低下してしまう。つまり、連続処理で食品を投入できるインターバルを適度に短くし、かつ、加工処理槽の内部に滞留する時間を長く確保すると、従来技術によればベルトコンベアの長さが長くならざるを得ず、ひいては食品加工処理装置全体の長さが長くならざるを得なかった。
【0016】
第2の問題は、加工処理中に食品が浮いたり泳いだりして制御できないという問題である。
従来技術における連続処理式の食品加工処理装置は、ベルトコンベアを採用することが多いため、加工食品がベルトコンベア上に載置されているだけであり、自由に動きやすい状態にある。熱水や冷水は比重が1近くであり、軽い食品は浮いてしまう可能性がある。たとえ完全に浮かなくても熱水や冷水中で泳いでしまう場合がある。このように、加工中に食品が浮いたり泳いだりすると、加熱処理や冷却処理の状態や加工時間などにバラツキが生じてしまい、ひいては加工品質にバラツキが生じてしまう。
【0017】
第3の問題は、ベルトコンベアで搬送されている食品が熱水や冷水から抵抗を受けて移動したり変形したりするおそれがあるという問題である。
ベルトコンベアで搬送されている食品は常に熱水や冷水から抵抗を受けることとなるが、その圧力で表面が変形してしまうこともあり得る。また、抵抗によりベルトコンベア上を引きずられて移動する場合、食品の底面がベルトコンベアとの摩擦によって変形したり破損したりするおそれがある。
【0018】
上記問題点に鑑み、本発明は、熱水または冷却水を用いた食品加工処理装置であり、連続処理式として、加工食品に対する加熱処理や冷却処理などを連続に行いつつ、従来技術で問題であった点を解決せしめた食品加工処理装置を提供することを目的とする。つまり、食品加工処理装置のサイズを小型化しつつ連続処理で食品投入のインターバルを短くし、かつ、加工処理槽の内部に滞留する時間を長く確保する食品加工処理装置を提供することを目的とする。また、熱水または冷却水を用いて加工処理中に食品が浮いたり泳いだりしても食品を制御でき、かつ搬送中に食品が変形したり破損したりすることを防止せしめた食品加工処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するため、本発明の食品加工処理装置は、食品の加熱処理、冷却処理または冷凍処理を行う処理液体を満たした処理槽と、開口を持ち、壁面に前記処理液体が流入出できる複数の孔または複数のスリットが設けられ、側方にチェーン軸が設けられた函体状の食品収納容器体と、前記食品収納容器体の前記チェーン軸に接続された搬送チェーンと、前記食品収納容器体を前記処理槽の内部を通過するように移動させる槽内移動搬送機構と、前記食品収納容器体を前記処理槽の前記処理液体の喫水線上を通過するように移動させる槽外移動搬送機構を備え、前記槽内移動搬送機構では、前記搬送チェーンをたわませた状態で前記食品収納容器体を進行方向に進行せしめ、前記槽外移動搬送機構では、前記搬送チェーンを引張した状態で前記食品収納容器体を前記搬送チェーンにより進行方向に進行せしめることを特徴とする食品加工処理装置である。
【0020】
上記構成により、搬送チェーンを用いることにより、ベルトコンベアとは異なり、搬送チェーンを引張した状態と搬送チェーンをたわませた状態を切り替えて制御することにより、槽外移動搬送機構においては搬送チェーンを引張した状態で食品収納容器体を高速に搬送でき、連続して投入する食品のインターバル間隔を短くすることができる。さらに、槽内移動搬送機構においては搬送チェーンをたわませた状態で食品収納容器体を密に詰めた状態で低速で移動させれば槽内移動の時間が長くなり食品加工時間を長く確保することができる。また、食品収納容器体の姿勢が縦型で幅が狭く密に詰めれば、槽内移動の時間が長く確保せしめても装置の設置面積が小さくなる。
【0021】
また、食品収納容器体を用いることにより、食品を当該食品収納容器体に投入した状態で搬送すれば、熱水または冷却水中を移動しても、食品に水圧が掛かりにくく変形を防止でき、浮いたり泳いだり移動したりすることを防止できる。また、熱水や冷却水が食品収納容器体に設けられた複数の孔または複数のスリットからフレッシュな外部の熱水や冷却水が常に流入して流出するため、品質の良い加熱効果、冷却効果が得られる。
【0022】
なお、上記構成において、槽内移動搬送機構では搬送チェーンがたわんで搬送チェーンによる駆動力がなくなるが、槽内移動搬送機構が、前記食品収納容器体の側面に設けられた前記チェーン軸または支持軸体を下方から支持しつつ前記食品収納容器体を移動させる槽内搬送コンベアを備えた構造であれば、前記槽内移動搬送機構において、前記槽外移動搬送機構から前記槽内移動搬送機構に周回してきた前記食品収納容器体が前記槽内移動搬送機構に投入され、既に列をなしている前記食品収納容器体が当該食品収納容器体によって押し込まれて前記チェーン軸または前記支持軸体が前記槽内搬送コンベアに支持された状態で前記槽内搬送コンベアに沿って進行してゆく構造とすることができる。
【0023】
なお、槽内移動搬送機構での食品収納容器体の姿勢として、チェーン軸または支持軸体が槽内搬送コンベアに支持された状態で、食品収納容器体全体が処理液体の喫水線下に浸漬した状態で走行しても良く、食品収納容器体の開口が処理槽の液体の喫水線よりも上に支持されて走行するようにしても良い。
上記構成により、食品収納容器体が熱水や冷却水の液体中を移動すれば、処理液体が食品収納容器体に設けられた複数の孔または複数のスリットから流入出できる。なお、食品収納容器体全体が処理液体の喫水線下に浸漬した状態で走行する場合、食品の比重が軽い場合は、食品収納容器体の中に浮き上がり防止体を設ける構成も好ましい。
【0024】
次に、食品投入機構と食品排出機構について述べる。
本発明では、食品の投入処理と排出処理は多様な方式を採用できる。
例えば、食品排出機構として、食品収納容器体が、進行方向に略直角に設定されているチェーン軸または支持軸を中心に回動できる構造を備えて回転する構造とし、槽内移動搬送機構から槽外移動搬送機構への食品収納容器体の移動の際に食品収納容器体を回動させ、開口部が下方に向くよう傾けて内部の食品を食品収納容器体から排出させる方式がある。
その他にも、底面や側壁面に開閉式の開閉扉を設けておき、槽内移動搬送機構から槽外移動搬送機構への食品収納容器体の移動の際に、開閉扉を開放して内部の食品を排出する方式でも良い。
【0025】
次に、例えば、食品投入機構として、食品排出機構と同様、食品収納容器体が進行方向に略直角に設定されているチェーン軸または支持軸を中心に回動できる構造を備え、槽外移動搬送機構から槽内移動搬送機構への食品収納容器体の移動の際に食品収納容器体を回動させ、開口部を上方で傾けて食品を食品収納容器体に投入しやすくするよう姿勢制御する方式がある。
【0026】
更なる工夫として、上記構成において、槽外移動搬送機構から槽内移動搬送機構への食品収納容器体の移動と、槽内移動搬送機構から槽外移動搬送機構への食品収納容器体の移動が同期し、間欠移動となるよう制御することも可能である。間欠移動となれば、食品の食品収納容器体への投入作業、食品の食品収納容器体からの排出作業が確実に行いやすくなる。また、食品投入機構や食品排出機構における食品収納容器体の回転制御を間欠移動のインターバル期間に行うことにより、食品収納容器体の回転制御、食品投入制御、食品排出制御を行いやすくなる。
【0027】
次に、食品加工処理装置を複数台用いた食品加工処理装置群による複数工程の連続処理について説明する。
上記した本発明の食品加工処理装置を直列に複数台並べて配置して食品加工処理装置群とする。食品加工処理装置同士の接続部において、前列の食品加工処理装置の食品排出機構により食品収納容器体の開口部が下方に向くよう傾けて内部の食品を食品収納容器体から排出させた先に、後列の食品加工処理装置の食品投入機構により食品収納容器体の開口部が上方で傾いて待ち構えて受け取り、当該食品を自動的に引き渡すことができるよう構成する。
【0028】
前列の食品加工処理装置の食品排出機構と、後列の食品加工処理装置の食品投入機構との接続部に、食品を滑らせて移動を支援する滑り台を設置しておけば、食品の引き渡しをスムーズに行うことができる。
【0029】
食品加工処理装置群による複数工程の例としては、例えば、前列の食品加工処理装置の処理槽が熱水または温水で満たされた加熱処理槽であり、後列の食品加工処理装置の処理槽が冷却水または冷却液で満たされた冷却処理槽であり、食品の所定加熱処理工程後の所定冷却処理工程が連続して実行できる食品加工処理装置群がある。
【0030】
次に、本発明にかかる食品加工処理方法は、食品の加熱処理、冷却処理または冷凍処理を行う処理液体を満たした処理槽に対して、開口を持ち、壁面に前記処理液体が流入出できる複数の孔または複数のスリットが設けられ、側方にチェーン軸が設けられた函体状の食品収納容器体を複数個用いて、それらの前記チェーン軸に搬送チェーンを接続し、前記食品収納容器体を前記処理槽の内部を通過するように移動させる槽内移動搬送機構と、前記食品収納容器体を前記処理槽の前記処理液体の喫水線上を通過するように移動させる槽外移動搬送機構を用い、前記槽内移動搬送機構では、前記搬送チェーンをたわませた状態で前記食品収納容器体を進行せしめ、前記槽外移動搬送機構では、前記搬送チェーンを引張した状態で前記食品収納容器体を前記搬送チェーンにより進行せしめることを特徴とする食品加工処理方法である。
【発明の効果】
【0031】
本発明にかかる食品加工処理装置によれば、搬送チェーンを用いて搬送チェーンを引張した状態と搬送チェーンをたわませた状態を切り替える構成により、槽外移動搬送機構においては搬送チェーンを引張した状態で食品収納容器体を高速に搬送でき、連続して投入する食品のインターバル間隔を短くすることができ、さらに、槽内移動搬送機構においては搬送チェーンをたわませた状態で食品収納容器体を縦型で幅が狭い姿勢にて密に詰めた状態にて低速に移動させ、インターバル間隔を長く確保でき、食品加工時間を長く確保することができる。
また、本発明にかかる食品加工処理装置によれば、食品収納容器体を用いることにより、食品を当該食品収納容器体に投入した状態で搬送すれば、熱水または冷却水中を移動しても、食品に水圧が掛かりにくく変形を防止でき、浮いたり泳いだり移動したりすることを防止できる。また、熱水や冷却水が食品収納容器体に設けられた複数の孔または複数のスリットからフレッシュな外部の熱水や冷却水が常に流入して流出するため、品質の良い加熱効果、冷却効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】実施例1にかかる食品加工処理装置100の構成例を簡単に示した図である。
【
図2】食材収納容器体120を1つだけ取り出して示した図である。
【
図3】槽外移動搬送機構140における稼働を示す図であり、食材収納容器体120、搬送チェーン130の状態を取り出して示した図である。
【
図4】食品投入機構190における食材収納容器体120の傾き制御、傾動ガイド上の滑り移動の様子を示す図である。
【
図5】槽外移動搬送機構140から槽内移動搬送機構150への食品収納容器体120の投入の様子を示す図である。
【
図6】槽内移動搬送機構150における稼働を示す図である。
【
図7】槽内移動搬送機構150における食材収納容器体120への処理液体111の流入、流出の様子を模式的に示した図である。
【
図8】食品排出機構180における食材収納容器体120の回動制御、食品の排出の様子を示す図である。
【
図9】実施例2にかかる食品加工処理装置群200のうち、接続部分を中心に示した図である。
【
図10】従来技術におけるバッチ式冷凍装置で冷気流方式を採用した装置の構成例を示す図である。
【
図11】従来技術における連続式冷凍装置で冷媒液浸漬方式を採用した装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の食品加工処理装置の実施例を説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1は、単一構成に係る本発明の食品加工処理装置100の構成例を説明するものであり、実施例2は、本発明の食品加工処理装置100を複数台直列に並べて食品加工処理装置群200とした構成を説明するものである。
【実施例1】
【0034】
本発明に係る食品加工処理装置100の構成例を、図面を参照しながら説明する。例として、処理液体として熱水を用いた加熱処理するものについて述べる。
図1は、実施例1にかかる食品加工処理装置100の構成例を簡単に示した図である。
本発明に係る食品加工処理装置100は、処理槽110と、食材収納容器体120と、搬送チェーン130と、槽外移動搬送機構140と、槽内移動搬送機構150と、槽内搬送コンベア151、駆動装置170、食品排出機構180、食品投入機構190を備えた構成となっている。
また、加熱処理装置として設けられる他の構成要素、例えば、処理槽110内に設けられる加熱器や処理槽110内の熱水の供給口や排水口、電気系統設備などについては、ここでは記載を省略している。
以下、各構成要素を説明する。
【0035】
処理槽110は、加熱処理または冷却処理を行う処理液体111を満たした断熱性の高い箱体であり、密閉性が重視された設計となっている。処理槽110内には様々な加工処理に供する処理液体111が貯水されている。この例では、加熱処理用に熱水が貯水されている。温度設定は自由に行うことができる。ここでは85度の熱水とする。なお、冷却処理する場合は冷水やブライン液を貯水する。
処理槽110の側壁には槽内移動搬送機構150の槽内搬送コンベア151が設けられており、後述するように、食材収納容器体120の側面に設けられたチェーン軸123の下面の支持軸体124が槽内搬送コンベア151の上に載置され支持される。
なお、槽内搬送コンベア151の構造は限定されないが、支持軸体124を搬送しやすいよう、槽内搬送コンベア151は、いわゆるベルトコンベア機構でも良く、チェーンコンベア機構でも良く、コロなどの回転体が並んだローラーコンベア構造など多様なものがあり得る。
槽内搬送コンベア151の高さと処理槽110内部の処理液体111の喫水線の高さとの関係は、支持軸体124を槽内搬送コンベア151に載置した状態の食材収納容器体120が、処理液体111の喫水線の下に完全に浸漬するものでも良く、また、少なくとも一部が処理液体111の喫水線より下に位置して開口121は喫水線の上に支持される状態となるものでも良い。処理液体111の喫水線下に完全に浸漬する場合、内部の食材が浮き出さないよう、浮き上がり防止体を設ける構成も可能である。浮き上がり防止体としては、例えば、槽内で処理液体の中に浸漬して進行する食品収納容器体120の上面の開口121のすぐ上に位置するように槽内に設けられているプレートなどを設ける手段がある。軽い食品が食品収納容器体120から浮き出ようとしてもプレートに邪魔されて抜け出ることができない構造である。また、例えば、食材収納容器体120の上面の開口121が開閉式の蓋体を備え、食材を食材収納容器体120の内部に投入した後に上面開口121を閉じる手段もある。いずれにしても、加工食材が食材収納容器体120処理槽110の内部に貯水された熱水内を浸漬したまま進行するようになっている。
【0036】
図2は、食材収納容器体120を1つだけ取り出して示した図である。
食材収納容器体120は、開口121を持ち、内部に液体が流入出できるよう複数の孔または複数のスリットが設けられた壁面122を備えた函体状の食材収納容器体である。側方にチェーン軸123、支持軸体124が設けられている。壁面にはスリットを設けても良いが、この構成例では壁面には多数の孔125が設けられた例となっている。
開口121は外部から加工処理に供する食品を投入する投入口でもあり、加工処理後の食品を外部へ排出する排出口でもある。
食材収納容器体120は全体として開口121を備えた函体状の容器であるが、壁面122に複数の孔125が設けられているので、処理液体111に浸漬することにより食材収納容器体120内部に処理液体111が流入し、流出してゆく。本発明では、食材収納容器体120は搬送チェーン130により処理槽110の内を移動するので、後述する
図7に示すように、処理槽110の内の処理液体が進行方向前面の壁面122の孔またはスリットから流入し、進行方向後面の壁面122の孔またはスリットから流出しやすくなっている。
【0037】
食材収納容器体120の側方にはチェーン軸123が設けられており、搬送チェーン130が取り付けられている。なお、この実施例では、チェーン軸123の下面の支持軸体124が槽内搬送コンベア151に載置してスライド移動する支持軸となっている。
チェーン軸123は槽内搬送コンベア151の上から外方に突出する長さを備えており、チェーン軸123の先端には搬送チェーン130が取り付けられる。後述するように、食材収納容器体120が槽内移動搬送機構150を走行している状態では、
図5に示すように食材収納容器体120同士が進行方向に密に詰まった状態で進行するため、搬送チェーン130は
図6に示すようにたわんだ状態となっている。また、後述するように、食材収納容器体120が槽内移動搬送機構140を走行している状態では、
図3に示すように食材収納容器体120が搬送チェーン130によって牽引されて進行するため、搬送チェーン130は
図3に示すようにピンと張った状態となっている。なお、この例では、槽内移動搬送機構140の走行時に搬送チェーン130の重量と食品収納容器体120の重量を下から支える部材として、搬送チェーン支持体131が設けられている。
【0038】
次に、食品収納容器体120の回動制御について説明する。
この構成例では、後述する食品投入機構190を説明する
図4および
図5や、食品排出機構180を説明する
図8に示すように、食品収納容器体120が進行方向に略直角に設定されている回転軸を中心に回動する構造となっている。回動軸としては、チェーン軸123、またはチェーン軸123とは別の図示しない支持軸であっても良い。この例ではチェーン軸123が回転可能な構成となっている。
【0039】
次に、搬送チェーン130および駆動装置170を説明する。
搬送チェーン130は、並べられた食材収納容器体120の側方のチェーン軸123をつなぐように取り付けられたものであり、無端周回軌道をなしている。この例では、食材収納容器体120の左側方をつなぐ系統と、食材収納容器体120の右側方をつなぐ系統の2系統の搬送チェーン130が設けられ、それぞれが独立して無端周回軌道を形成している。
搬送チェーン130の種類は限定されないが、例えば、駆動装置170がスプロケットである場合、当該スプロケットとかみ合って駆動するローラーチェーンとなる。
搬送チェーン130の駆動力は、処理槽110の進行方向の前方に設けられた駆動装置170と進行方向後方に設けられた駆動装置170により与えられている。駆動装置170が搬送チェーン130を駆動する機構は限定されないが、例えば、駆動装置170がスプロケット構造を備え、その歯によって搬送チェーン130にかみ合って搬送チェーン130を駆動するものがある。
【0040】
次に、槽外移動搬送機構140について説明する。
槽外移動搬送機構140は、食材収納容器体120を用いた食品の加工処理が終了して食品排出機構180で外部へ排出し、空になった食材収納容器体120が食品投入機構190に向けて戻るという、食材収納容器体120の戻り経路を担っている。
槽外移動搬送機構140では、搬送チェーン130がピンと張った状態で駆動装置170により駆動している。
この戻り経路を担う槽外移動搬送機構140は、食品収納容器体120を処理槽110の処理液体111の喫水線上を通過するように移動させる。
【0041】
図3は、槽外移動搬送機構140における稼働を示す図であり、食材収納容器体120、搬送チェーン130、搬送チェーン支持体131の状態を取り出して示した図である。
図3に示すように、槽外移動搬送機構140においては、搬送チェーン130がピンと張られた状態で、駆動装置170により駆動力が与えられている。なお、搬送チェーン130の自重と吊下されている食品収納容器体120の重量を支えるため、搬送チェーン130の下方に沿うように搬送チェーン支持体131が設けられており、搬送チェーン130が略水平に維持される仕組みとなっている。
図1の全体図に示したように、槽外移動搬送機構140において、食品投入機構190側にある駆動装置170でグリップされている搬送チェーン130の箇所と、食品排出機構180側にある駆動装置170でグリップされている搬送チェーン130の箇所の間の距離と、その間に張られている搬送チェーン130の長さは、略同一であり、搬送チェーン130がピンと張られた状態で引張されている。この例では、搬送チェーン130はローラーチェーンであり、駆動装置170がローラーチェーンにかみ合うスプロケット構造を備えており、当該駆動装置170が回転することにより、ローラーチェーンである搬送チェーン130がピンと張られた状態で引張される。
【0042】
図3に示すように、槽外移動搬送機構140における食品収納容器体120は、側方のチェーン軸123を介して食品収納容器体120が吊下された状態で搬送チェーン130の移動に伴って移動する。
槽外移動搬送機構140において、食品収納容器体120が吊下されている高さであるが、処理槽110内の処理液体の喫水線よりも上を通過するように高さが調整されていることが好ましい。なお、槽外移動搬送機構140において移動中の食品収納容器体120の内部には、後述する食品排出機能180により内部にあった食品は排出された後であるため、食品は収納されておらず、処理液体も液切れして下方の処理槽110に落下しており、内部は空の状態である。
【0043】
次に、食品投入機構190を説明する。
食品投入機構190は、槽外移動搬送機構140から槽内移動搬送機構150への食品収納容器体120の移動箇所に設けられているものであり、食品収納容器体120を回動させ、開口部121を上方で傾けて食品を食品収納容器体120内に投入しやすくする機構である。
図4は、食品投入機構190における食材収納容器体120の傾き制御、傾動ガイド上の滑り移動の様子を示す図である。
この構成例では、食品収納容器体120が、進行方向に略直角に設定されている回転軸を中心に回動する構造となっている。この構成例では、チェーン軸123が回動軸となっている。
【0044】
図4(a)に示すように、槽外移動搬送機構140から槽内移動搬送機構150への食品収納容器体120の移動箇所の所定位置に来ると、食品投入機構190によって食品収納容器体120がチェーン軸123を中心に回動し、食品収納容器体120の傾きが変化するようになっている。ここでは、食品投入機構190が板状の傾動ガイドとなっており、食品収納容器体120が傾動ガイドに上方から当接すると、
図4(b)に示すように、食品収納容器体120が自重によって傾動ガイドに沿うように傾きを変え、開口121が処理槽110の始端側(図中左側)を向くように一時的に維持される。
なお、食品投入機構190による食品収納容器体120を回動させる機構は特に限定されない。上記構成例では板状の傾動ガイドであったが、例えば、食品収納容器体120の壁面に一部にフランジ(突起)があり、食品投入機構190がそのフランジをきっかけに押し上げて食品収納容器体120の傾きを変化させるものでも良い。また例えば、食品投入機構190が食品収納容器体120を挟持するアームを有して当該アームで挟持したまま食品収納容器体120を回動させる方式もある。
【0045】
所定時間、食品投入機構190によって、
図4(b)に示した食品収納容器体120が傾けられた状態を維持し、その間に加工対象となる食品を食品収納容器体120に投入する。投入処理は作業員の人手でも良く、また、図示しない別の自動装置により供給されても良い。
食品が投入されたあと、食品収納容器体120は槽内移動搬送機構150に引き渡される。
【0046】
図5(b)は、槽外移動搬送機構140から槽内移動搬送機構150への食品収納容器体120の投入の様子を示す図である。
図5(b)の例では、食品収納容器体120が板状の傾動ガイドから滑り出すことにより、垂直に吊下された状態に戻りながら処理槽110内に投入される。食品収納容器体120が槽内移動搬送機構150に投入される際、既に処理槽110の内部で列をなしている食品収納容器体120の列の最後尾に食品収納容器体120が押し込まれるように投入される。
このように食品投入機構190によって食品収納容器体120の角度が一旦傾動された後、垂直状態に戻されて槽内移動搬送機構150へ引き渡される。
【0047】
次に、槽内移動搬送機構150を説明する。
槽内移動搬送機構150は、食品収納容器体120を処理槽110の内部を通過するように移動させる機構である。
図6は、槽内移動搬送機構150における稼働を示す図であり、食材収納容器体120、チェーン軸123、槽内搬送コンベア151、搬送チェーン130の動きを取り出して示した図である。
図6に示すように、槽内移動搬送機構150においては、食材収納容器体120は支持軸体124を介して槽内搬送コンベア151に支持された状態で吊下されているが、食材収納容器体120同士が当接し合うように詰まっている。
【0048】
槽内移動搬送機構150においては、食品投入機構190側の駆動装置170でグリップされている搬送チェーン130の箇所と食品排出機構180側の駆動装置170でグリップされている搬送チェーン130の箇所との間の距離と、その間にある搬送チェーン130の長さは、搬送チェーン130の長さの方が長大で、たわみが大きくなっており、
図6に示すように、搬送チェーン130が各々の食品収納容器体120の間でたわんでいる。
【0049】
図6に示す例では、食材収納容器体120の側方のチェーン軸123につながっている搬送チェーン130は完全にたわんでおり、搬送チェーン130は食材収納容器体120を搬送する力はない。槽内移動搬送機構150においては、槽内搬送コンベア151の搬送駆動力によって食材収納容器体120が徐々に進行方向に搬送されてゆく構成となっている。つまり支持軸体124が槽内搬送コンベア151に載置された状態で食材収納容器体120が搬送されてゆく。
つまり、処理槽110内では搬送チェーン130はたわんでおり食材収納容器体120に対して駆動力を与えておらず、逆に、槽内搬送コンベア151が、搬送チェーン130ごと食品収納容器体120を支えて運搬していると言える。
【0050】
図7は、槽内移動搬送機構150における食材収納容器体120への処理液体111の流入、流出の様子を模式的に示した図である。
図7の例では、食材収納容器体120は支持軸体124を介して槽内搬送コンベア151に支持された状態で吊下されており、食材収納容器体120全体が処理液体111の喫水線下に浸漬した状態となっている。
食材収納容器体120の壁面122には多数の孔125が設けられており、その孔125から処理液体111が流入する仕組みとなっている。なお、徐々にでも食材収納容器体120は進行方向に進行してゆくので、正面側からその孔125から処理液体111が流入し、背面側から食材収納容器体120内部の処理液体111が流出する仕組みとなっている。なお、
図5、
図6に示すように食材収納容器体120は近接して押し合っているが、食材収納容器体120の内部への処理液体111の流入出は行われる。
なお、開口121が処理液体111の喫水線の上に出ている構成も可能である。加工すべき食材が処理液体111の喫水線の下に位置する関係となるよう調整する必要がある。
【0051】
ここで、食材収納容器体120が槽内移動搬送機構150を通過する時間t、つまり、加工処理時間について考察する。
時間t、つまり、食材収納容器体120の処理槽110における加工処理時間tであるが、食材収納容器体120が槽内移動搬送機構150に投入される時間間隔Tと、処理槽110の長さLと、食材収納容器体120の幅Wにより、概ね、t=T*(L/W)として計算できる。
この構成例では加工処理が加熱処理であるので、概ね、t=T*(L/W)の時間の加熱処理が実行されることとなる。
【0052】
次に、食品排出機構180を説明する。
食品排出機構180は、槽内移動搬送機構150から槽外移動搬送機構140への食品収納容器体120の移動の際に、所定箇所において食品収納容器体120を回動させ、食品収納容器体120の開口部121が下方に向くよう所定角度に傾けて内部の加工処理済みの食品を食品収納容器体120から排出させる機構である。
【0053】
図8は、食品排出機構180における食材収納容器体120の回動制御、食品の排出の様子を示す図である。
食品排出機構180は、槽内移動搬送機構150から槽外移動搬送機構140への食品収納容器体120の移動箇所に設けられているものであり、食品収納容器体120を回動させ、開口部121を下方に傾けて食品を食品収納容器体120内から排出しやすくする機構である。
この構成例では、食品収納容器体120が、進行方向に略直角に設定されている回転軸を中心に回動可能な構造となっている。この構成例では、チェーン軸123が回動軸となっている。
【0054】
図8に示すように、槽内移動搬送機構150から槽外移動搬送機構140への食品収納容器体120の移動箇所の所定位置に来ると、食品排出機構180によって食品収納容器体120がチェーン軸123を中心に回動し、食品収納容器体120の傾きが変化するようになっている。ここでは、開口121が処理槽110の進行方向の下流側(図中右側)で下向きに傾くように一時的に維持される。
【0055】
なお、食品排出機構180による食品収納容器体120を回動させる機構は特に限定されない。例えば、食品収納容器体120の壁面の一部にレバーが設けられており、当該レバーを駆動するシリンダ装置があり、シリンダ装置によるレバーの昇降運動を介して食品収納容器体120を回動運動させる方式がある。また例えば、食品収納容器体120の壁面の一部にフランジ(突起)があり、食品排出機構180がそのフランジをきっかけに押し上げたり引き下げたりして食品収納容器体120の傾きを変化させるものでも良い。また例えば、食品排出機構180が食品収納容器体120を挟持するアームを有して当該アームで挟持したまま食品収納容器体120を回動させる方式もある。
所定時間、食品排出機構180によって食品収納容器体120が傾けられた状態を維持し、その間に処理槽110の処理液体によって加工処理が済んだ食品が食品収納容器体120外に排出される。食品が排出されたあと、食品排出機構180によって食品収納容器体120の角度が元に戻される。つまり、垂直に吊下された状態に戻る。
【0056】
ここで、食品排出機構180への食品収納容器体120の移動および食品の排出処理と、食品投入機構190への食品収納容器体120の移動および食品の投入処理が同期し、かつ間欠移動するものとすれば装置全体の処理が簡素化される。
引き続き、槽内移動搬送機構150によって食品収納容器体120が搬送され、槽外移動搬送機構140に引き渡される。
槽外移動搬送機構140に遷移すれば、
図2の槽外移動搬送機構140における稼働を示す図の状態になる。この
図2から
図8の流れを1サイクルとして、食材収納容器体120が処理槽110の内外を周回する。
【実施例2】
【0057】
実施例2として、実施例1に示した本発明の食品加工処理装置100を複数台直列に並べて食品加工処理装置群200とした構成を示す。
図9は、実施例2にかかる食品加工処理装置群200のうち、接続部分を中心に示した図である。
図9の構成例では、前段の食品加工処理装置100-1と、後段の食品加工処理装置100-2の2台を直列に配設した構成となっている。この構成例では、前段の食品加工処理装置100-1の食品排出機構180と、後段の食品加工処理装置100-2の食品投入機構190の接続部分において、食品を滑らせて移動を支援する滑り台となる連結部210が設けられた構成例となっている。
前段の食品加工処理装置100-1と後段の食品加工処理装置100-2のそれぞれが担う工程は特に限定されないが、ここでは、前段の食品加工処理装置100-1により食品の加熱処理が行われ、後段の食品加工処理装置100-2により食品の冷却処理が行われる例として説明する。
【0058】
前段の食品加工処理装置100-1は、実施例1と同様、処理槽110と、食材収納容器体120と、搬送チェーン130と、槽内移動搬送機構150と、槽外移動搬送機構140と、槽内搬送コンベア151、駆動装置170、食品排出機構180、食品投入機構190を備えた構成となっている。ここでは、前段の食品加工処理装置100-1は食品の加熱処理を行うものであるので、処理槽110は加熱処理槽であり、内部に貯水されている処理液体は所定温度の熱水である。
【0059】
後段の食品加工処理装置100-2も、実施例1と同様、処理槽110と、食材収納容器体120と、搬送チェーン130と、槽内移動搬送機構150と、槽外移動搬送機構140と、槽内搬送コンベア151、駆動装置170、食品排出機構180、食品投入機構190を備えた構成となっている。ここでは、後段の食品加工処理装置100-2は食品の冷却処理を行うものであるので、処理槽110は冷却処理槽であり、内部に貯水されている処理液体は所定温度の冷却水である。
【0060】
前段の食品加工処理装置100-1の動作は、各部の動作が実施例1の
図2から
図8に示したように稼働し、食材収納容器体120が周回することにより加熱処理が連続処理にて実行される。
その過程において、
図8に示したように、食品排出機構180によって食品収納容器体120が傾けられ、処理槽110の熱水によって加熱処理が済んだ食品が食品収納容器体120外に排出されるが、
図9に示すように、排出された加熱処理済みの食品が後段の食品加工処理装置100-2に引き渡されるように配置されている。
【0061】
一方、後段の食品加工処理装置100-2では、実施例1の
図3に示したように、食品投入機構190によって食品収納容器体120の角度が調整され、滑り台である連結部210を介して引き渡される食品がそのまま食品収納容器体120に投入されやすいよう開口121の傾きが調整される。
【0062】
連結部210は、食品が滑落しやすいように角度がつけられているが、
図9に示すように、前段の食品加工処理装置100-1の食品排出機構180による食品収納容器体120の下方への傾きが、食材収納容器体120から連結部210に受け渡しやすい角度となっており、また、後段の食品加工処理装置100-2の食品投入機構190による食品収納容器体120の傾きが、連結部210から滑落する食品を食材収納容器体120が受け取りやすい角度となっている。
ここで、前段の食品加工処理装置100-1の食品排出機構180への食品収納容器体120の移動および食品の排出処理と、後段の食品加工処理装置100-2の食品投入機構190への食品収納容器体120の移動および食品の投入処理が、それぞれ同期し合って間欠運動しているものであれば、食品が連結部210を通じて確実に受け渡すことができる。
【0063】
後段の食品加工処理装置100-2に引き渡された加熱処理済み食品は、実施例1の
図2から
図8に示したサイクルで連続処理が行われ、冷却処理が実行され、
図8に示したように、食品排出機構180によって食品収納容器体120が傾けられ、処理槽110の冷却水によって冷却処理が済んだ食品が食品収納容器体120外に排出される。
【0064】
上記実施例2では、前段と後段に2台の食品加工処理装置100が直列に配設された構成例であるが、複雑な加工工程を有する場合、3台以上の食品加工処理装置100が直列に配設する構成も可能である。
各段で実行する加工処理は、処理槽110内の処理液体の種類、温度などを調整することにより変化させることができる。
例えば、処理液体が所定温度の湯であれば、加熱処理が可能となる。
例えば、処理液体が所定温度の油であれば、フライ揚げ処理が可能となる。
例えば、処理液体が味付けの調味料であれば、味付け処理などが可能となる。
以上説明した本発明の食品加工処理装置100は、様々な加工処理装置に適用することができる。
【0065】
以上、本発明の食品加工処理装置の構成例における好ましい実施形態を図示して説明してきたが、本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の食品加工処理装置は、加工処理の種類を問わず広く食品加工処理装置類に適用することができる。
【符号の説明】
【0067】
100 食品加工処理装置
110 処理槽
120 食材収納容器体
130 搬送チェーン
131 搬送チェーン支持体
140 槽外移動搬送機構
150 槽内移動搬送機構
151 槽内搬送コンベア
170 駆動装置
180 食品排出機構
190 食品投入機構
200 食品加工処理装置群
210 連結部