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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】車両用灯具の配光調整方法及びその装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/657 20180101AFI20221114BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20221114BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20221114BHJP
   F21V 29/70 20150101ALI20221114BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20221114BHJP
   F21V 19/02 20060101ALI20221114BHJP
   F21S 41/39 20180101ALI20221114BHJP
   F21S 45/47 20180101ALI20221114BHJP
   F21W 102/13 20180101ALN20221114BHJP
   F21Y 107/90 20160101ALN20221114BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20221114BHJP
【FI】
F21S41/657
F21V23/00 150
F21V29/503
F21V29/70
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21V19/00 450
F21V19/00 510
F21V19/02 200
F21S41/39
F21S45/47
F21W102:13
F21Y107:90
F21Y115:10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019080834
(22)【出願日】2019-04-22
(65)【公開番号】P2020177856
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】391005983
【氏名又は名称】IPF株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076255
【弁理士】
【氏名又は名称】古澤 俊明
(72)【発明者】
【氏名】松本 理央
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-003917(JP,A)
【文献】特開2016-192350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/657
F21V 23/00
F21V 29/503
F21V 29/70
F21V 19/00
F21V 19/02
F21S 41/39
F21S 45/47
F21W 102/13
F21Y 107/90
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放熱器とトップボディを一体に形成したLEDバルブ本体に、前記トップボディ側のLEDと前記放熱器側の駆動回路を搭載した配線基板を収納し、前記トップボディに形成した回転摺動部に口金を回動可能に嵌合して前記口金を前記回転摺動部にねじ止め固定する車両用灯具の配光調整装置において、
前記口金と放熱器に、互いに連通するように穿設された差し込み孔と嵌合穴と、
前記差し込み孔と嵌合穴に挿抜自在の差し込み棒と
を具備していることを特徴とする車両用灯具の配光調整装置。
【請求項2】
前記LEDバルブ本体は、前記放熱器とトップボディが軸方向に一体で、縦方向に二つ割りしたものからなり、前記配線基板を二つ割りした左右の前記LEDバルブ本体で挟持していることを特徴とする請求項1記載の車両用灯具の配光調整装置。
【請求項3】
前記差し込み孔は、前記放熱器の端面から前記口金に接する段部まで軸方向に貫通して穿設し、前記嵌合穴は、前記差し込み孔に一致させて前記段部に接する面の口金に軸方向に穿設したことを特徴とする請求項1又は2記載の車両用灯具の配光調整装置。
【請求項4】
前記差し込み孔は、前記放熱器の側面から前記口金に接する段部まで斜め方向に貫通して穿設し、前記嵌合穴は、前記差し込み孔に一致させて前記段部の接する面の口金に斜め方向に穿設したことを特徴とする請求項1又は2記載の車両用灯具の配光調整装置。
【請求項5】
前記口金は、外周に所定間隔で複数個の係止突片を有し、この係止突片をリフレクタ部における口金取り付け鍔部の係止突片に固定することを特徴とする請求項1記載の車両用灯具の配光調整装置。
【請求項6】
前記口金取り付け鍔部は、前記口金を前記回転摺動部にねじ止め固定する箇所にねじカバー部を形成し、前記口金と放熱器の接する箇所に設けたマーク表示部が見えるように一部に切欠き部を形成したことを特徴とする請求項5記載の車両用灯具の配光調整装置。
【請求項7】
放熱器とトップボディを一体に形成したLEDバルブ本体に、前記トップボディ側のLEDと前記放熱器側の駆動回路を搭載した配線基板を収納した車両用灯具の配光調整方法において、
前記トップボディの回転摺動部に口金を回動可能に嵌合し、前記放熱器とトップボディに連通する差し込み孔と嵌合穴に差し込み棒を差し込み前記口金と前記LEDバルブ本体を一体化する工程と、
前記LEDバルブ本体と一体化した前記口金をリフレクタ部における口金取り付け鍔部の係止突片に嵌合固定して前記差し込み棒を抜き取り、前記LEDバルブ本体を回動して配光調整後、前記口金と放熱器の接触するマーク表示部に目印線を記入する工程と、
目印線の記入後、前記差し込み孔と嵌合穴を一致させ、前記差し込み棒を差し込み、一体化した前記LEDバルブ本体と口金を前記リフレクタ部から抜き取り、かつ、前記差し込み棒を抜き取り、前記目印線を合わせて前記口金を前記トップボディの回転摺動部にねじ込み固定し、このLEDバルブ本体を口金で前記リフレクタ部に固定する工程と
からなることを特徴とする車両用灯具の配光調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDバルブ本体の回動による配光調整を容易に行い、かつ、LEDバルブ本体と口金とを正確な位置決めをしてリフレクタ部の口金取り付け鍔部に固定できるようにした車両用灯具の配光調整方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LEDバルブ本体と口金の組み込み方法には、図6に示すものと図4に示すものとが知られている(特許文献1)。
図6に示すLEDバルブ43は、ベース本体10の先端に、両側にLED14が取り付けられたLED取付け部11が一体に設けられたものである。この例では、LEDバルブ43における略中間位置の円筒部28に先端から口金25が嵌めこまれ、この口金25は、外側面からねじ26がねじ込まれて円筒部28に固定される。前記口金25には、図5(a)(b)に示すように、外周に3個の係止突片29が設けられ、これらの係止突片29がリフレクタ部15の内周部の係止突片30に嵌め込まれて互いに捻ると結合される。27は、ゴムパッキンである。
【0003】
このような構成において、LEDバルブ43のLED14による配光位置を予測して口金25と円筒部28の位置を決めてねじ26で固定する。LED14の位置を決めてリフレクタ部15の口金取り付け鍔部23に設けた係止突片30に口金25を図5(a)のように嵌め込み、図5(b)のようにねじ込んで固定し配光を見る。このときの左右の配光がずれていて、水平などの目的の配光にならないときは、口金25とリフレクタ部15の固定を解除してLEDバルブ43を取り出し、ねじ26を緩めて口金25と円筒部28の位置を調整する。この調整は、配光を見ながら行えないので、前記工程を何回か繰り返して水平などの目的の配光になるまで繰り返す。
【0004】
このように、口金25と円筒部28の位置を調整するためにねじ26を緩めたり、締めたりして前記工程を何回か繰り返して目的の配光になるまで繰り返さなければならないという問題と、この工程の過程でねじ26が緩んでベース本体10が空回りの状態が発生すると、リフレクタ部15の係止突片30から口金25の係止突片29を解除できなくなるという問題があった。
【0005】
これに対し、図4に示すLEDバルブ43では、両側にLED14が取り付けられたLED取付け部11とベース本体10とは、別部材で構成し、LED取付け部11の円筒部28には、順次大径部28aと中径部28bと小径部28cが形成され、中径部28bに後方から口金25を段部36に接するように回動可能に嵌合し、小径部28cに接着層42を介在してベース本体10を圧入し固着する。すると、口金25は、段部36とベース本体10に挟み付けられ、さらに、ベース本体10の後方から貫通する2個のねじ孔32に固定ねじ33を螺合することにより、口金25とLEDバルブ43が一体に固着される。この口金25を図5(a)のように嵌め込み、係止突片29と口金取り付け鍔部23の係止突片30を互いに回転係合すると、図5(b)のようにLEDバルブ43とリフレクタ部15が互いに固定的に取り付けられる。
【0006】
この例では、口金25が中径部28bにねじ込み固定するものではないから、口金25をリフレクタ部15に固定してLEDバルブ43を回動して配光調整してから、口金25とLEDバルブ43が一体に固着される。そのため、図6のようにLED取付け部11が口金25の嵌合孔40内で空回りする恐れがない。もし空回りしても固定ねじ33を固く締めなおせば、リフレクタ部15の係止突片29から固定を解除できなくなるという問題がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-192350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、図3に示すように、駆動回路48をLEDバルブ本体44内に内蔵したいわゆるオールインワンモデルの車両用灯具を実現させるには、寸法制限などの理由から、LED47の配線基板46と駆動回路48の基板を1枚にまとめる必要があり、このような車両用灯具を構成するには、LEDバルブ本体44は、放熱器44aとトップボディ44bを一体化し、このLEDバルブ本体44に、LED47と駆動回路48を搭載した配線基板46を内蔵するものが望まれる。
このような放熱器44aとトップボディ44bとを一体化したLEDバルブ本体44の場合、口金45を図4で示した方法では口金45をLEDバルブ43の先端から嵌合できないので、図6に示した方法のように、口金45をLEDバルブ43の先端側から嵌合することが求められる。
そうすると、図6で示した方法と同様に、口金25と円筒部28の位置を調整するためにねじ26を緩めたり、締めたりして前記工程を何回か繰り返して目的の配光になるまで繰り返さなければならないという問題と、この工程の過程でねじ26が緩んでベース本体10が空回りの状態が発生すると、リフレクタ部15の係止突片30から口金25の係止突片29を解除できなくなるという問題があった。
【0009】
本発明は、LEDバルブ本体の回動による配光調整を容易に行い、かつ、LEDバルブ本体と口金とを正確な位置決めをしてリフレクタ部の口金取り付け鍔部に固定できるようにした車両用灯具の配光調整方法及びその装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、放熱器44aとトップボディ44bを一体に形成したLEDバルブ本体44に、前記トップボディ44b側のLED47と前記放熱器44a側の駆動回路48を搭載した配線基板46を収納し、前記トップボディ44bに形成した回転摺動部57に口金45を回動可能に嵌合して前記口金45を前記回転摺動部57にねじ止め固定する車両用灯具の配光調整装置において、
前記口金45と放熱器44aに、互いに連通するように穿設された差し込み孔59と嵌合穴60と、
前記差し込み孔59と嵌合穴60に挿抜自在の差し込み棒66と
を具備していることを特徴とする。
【0011】
本発明による前記LEDバルブ本体44は、前記放熱器44aとトップボディ44bが軸方向に一体で、縦方向に二つ割りしたものからなり、前記配線基板46を二つ割りした左右のLEDバルブ本体44で挟持していることが望ましい。
【0012】
前記差し込み孔59は、前記放熱器44aの端面から前記口金45に接する段部58まで軸方向に貫通して穿設し、前記嵌合穴60は、前記差し込み孔59に一致させて前記段部58に接する面の口金45に軸方向に穿設したことを特徴とする。
前記差し込み孔59は、前記放熱器44aの側面から前記口金45に接する段部58まで斜め方向に貫通して穿設し、前記嵌合穴60は、前記差し込み孔59に一致させて前記段部58の接する面の口金45に斜め方向に穿設したものとすることもできる。
【0013】
前記口金45は、外周に所定間隔で複数個の係止突片53を有し、この係止突片53をリフレクタ部15における口金取り付け鍔部23の係止突片30に固定する。
また、前記口金取り付け鍔部23は、前記口金45を前記回転摺動部57にねじ止め固定する箇所にねじカバー部69を形成し、前記口金45と放熱器44aの接する箇所に設けたマーク表示部70が見えるように一部に切欠き部72を形成する。
【0014】
本発明は、放熱器44aとトップボディ44bを一体に形成したLEDバルブ本体44に、前記トップボディ44b側のLED47と前記放熱器44a側の駆動回路48を搭載した配線基板46を収納した車両用灯具の配光調整方法において、
前記トップボディ44bの回転摺動部57に口金45を回動可能に嵌合し、前記放熱器44aとトップボディ44bに連通する差し込み孔59と嵌合穴60に差し込み棒66を差し込み前記口金45と前記LEDバルブ本体44を一体化する工程と、
前記LEDバルブ本体44と一体化した前記口金45をリフレクタ部15における口金取り付け鍔部23の係止突片30に嵌合固定して前記差し込み棒66を抜き取り、前記LEDバルブ本体44を回動して配光調整後、前記口金45と放熱器44aの接触するマーク表示部70に目印線を記入する工程と、
目印線の記入後、前記差し込み孔59と嵌合穴60を一致させ、前記差し込み棒66を差し込み、一体化した前記LEDバルブ本体44と口金45を前記リフレクタ部15から抜き取り、かつ、前記差し込み棒66を抜き取り、前記目印線を合わせて前記口金45を前記トップボディ44bの回転摺動部57にねじ込み固定し、このLEDバルブ本体44を口金45で前記リフレクタ部15に固定する工程と
からなることを特徴とする車両用灯具の配光調整方法である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、
放熱器とトップボディを一体に形成したLEDバルブ本体に、前記トップボディ側のLEDと前記放熱器側の駆動回路を搭載した配線基板を収納し、前記トップボディに形成した回転摺動部に口金を回動可能に嵌合して前記口金を前記回転摺動部にねじ止め固定する車両用灯具の配光調整装置において、
前記口金と放熱器に、互いに連通するように穿設された差し込み孔と嵌合穴と、
前記差し込み孔と嵌合穴に挿抜自在の差し込み棒と
を具備しているので、LEDバルブ本体をリフレクタ部に何回も取り付けたり外したりして配光を調整するような必要がなくなり、1回の操作で簡単に調整して取り付けができる。また、一旦取り付けたLEDバルブ本体をリフレクタ部から取り外そうとして、LEDバルブ本体を回しても口金のねじに緩みが生じて空回りするような事態が発生した場合、差し込み棒を差し込み孔に差し込み、口金の嵌合穴と位置合わせをしてさらに押し込んでLEDバルブ本体と口金を一体に固定してLEDバルブ本体を回すことで口金の空回りなく取り外すことができる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、
前記LEDバルブ本体は、前記放熱器とトップボディが軸方向に一体で、縦方向に二つ割りしたものからなり、前記配線基板を二つ割りした左右の前記LEDバルブ本体で挟持しているので、組み立てが簡単で小型化できる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、
前記差し込み孔は、前記放熱器の端面から前記口金に接する段部まで軸方向に貫通して穿設し、前記嵌合穴は、前記差し込み孔に一致させて前記段部に接する面の口金に軸方向に穿設したので、前記放熱器と前記口金一体化とその開放が簡単にできる。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、
前記差し込み孔は、前記放熱器の側面から前記口金に接する段部まで斜め方向に貫通して穿設し、前記嵌合穴は、前記差し込み孔に一致させて前記段部の接する面の口金に斜め方向に穿設したので、前記放熱器の側面からも差し込み棒の挿抜ができる。
【0019】
請求項5記載の発明によれば、
前記口金は、外周に所定間隔で複数個の係止突片を有し、この係止突片をリフレクタ部における口金取り付け鍔部の係止突片に固定したので、LEDバルブ本体のリフレクタ部への着脱が容易にできる。
【0020】
請求項6記載の発明によれば、
前記口金取り付け鍔部は、前記口金を前記回転摺動部にねじ止め固定する箇所にねじカバー部を形成し、前記口金と放熱器の接する箇所に設けたマーク表示部が見えるように一部に切欠き部を形成したので、配光調整後のLEDバルブ本体のリフレクタ部への着脱時のずれがなく、正確な取り付けができる。
【0021】
請求項7記載の発明によれば、
放熱器とトップボディを一体に形成したLEDバルブ本体に、前記トップボディ側のLEDと前記放熱器側の駆動回路を搭載した配線基板を収納した車両用灯具の配光調整方法において、
前記トップボディの回転摺動部に口金を回動可能に嵌合し、前記放熱器とトップボディに連通する差し込み孔と嵌合穴に差し込み棒を差し込み前記口金と前記LEDバルブ本体を一体化する工程と、
前記LEDバルブ本体と一体化した前記口金をリフレクタ部における口金取り付け鍔部の係止突片に嵌合固定して前記差し込み棒を抜き取り、前記LEDバルブ本体を回動して配光調整後、前記口金と放熱器の接触するマーク表示部に目印線を記入する工程と、
目印線の記入後、前記差し込み孔と嵌合穴を一致させ、前記差し込み棒を差し込み、一体化した前記LEDバルブ本体と口金を前記リフレクタ部から抜き取り、かつ、前記差し込み棒を抜き取り、前記目印線を合わせて前記口金を前記トップボディの回転摺動部にねじ込み固定し、このLEDバルブ本体を口金で前記リフレクタ部に固定する工程と
からなるので、LEDバルブ本体をリフレクタ部に何回も取り付けたり外したりして配光を調整するような必要がなくなり、1回の操作で簡単に調整して取り付けができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施例1に係る車両用灯具の配光調整方法及びその装置の図2におけるA-A線断面図である。
図2図1に示した車両用灯具の配光調整方法及びその装置の右側面図である。
図3図1に示した車両用灯具の配光調整方法及びその装置の分解斜視図である。
図4】従来の車両用灯具の配光調整装置の第1例を示す断面図である。
図5】(a)は、係止突片30に口金45を嵌合した状態の説明図、(b)は、係止突片30に口金45を嵌合しねじ込んだ状態の説明図である。
図6】従来の車両用灯具の配光調整装置の第2例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本実施形態に係る車両用灯具は、放熱器44aとトップボディ44bを一体に形成したLEDバルブ本体44に、前記トップボディ44b側のLED47と前記放熱器44a側の駆動回路48を搭載した配線基板46を収納し、前記トップボディ44bに形成した回転摺動部57に口金45を回動可能に嵌合して前記口金45を前記回転摺動部57にねじ止め固定する車両用灯具の配光調整装置において、
前記口金45と放熱器44aに、互いに連通するように穿設された差し込み孔59と嵌合穴60と、
前記差し込み孔59と嵌合穴60に挿抜自在の差し込み棒66と
を具備している。
【0024】
前記LEDバルブ本体44は、前記放熱器44aとトップボディ44bが軸方向に一体で、縦方向に二つ割りしたものからなり、前記配線基板46を二つ割りした左右のLEDバルブ本体44で挟持する構成とする。
【0025】
前記差し込み孔59は、前記放熱器44aの端面から前記口金45に接する段部58まで軸方向に貫通して穿設し、前記嵌合穴60は、前記差し込み孔59に一致させて前記段部58に接する面の口金45に軸方向に穿設する。
また、前記差し込み孔59は、前記放熱器44aの側面から前記口金45に接する段部58まで斜め方向に貫通して穿設し、前記嵌合穴60は、前記差し込み孔59に一致させて前記段部58の接する面の口金45に斜め方向に穿設することもできる。
【0026】
前記口金45は、外周に所定間隔で複数個の係止突片53を有し、この係止突片53をリフレクタ部15における口金取り付け鍔部23の係止突片30に固定する。
前記口金取り付け鍔部23は、前記口金45を前記回転摺動部57にねじ止め固定する箇所にねじカバー部69を形成し、前記口金45と放熱器44aの接する箇所に設けたマーク表示部70が見えるように一部に切欠き部72を形成する。
【0027】
放熱器44aとトップボディ44bを一体に形成したLEDバルブ本体44に、前記トップボディ44b側のLED47と前記放熱器44a側の駆動回路48を搭載した配線基板46を収納した車両用灯具の配光調整方法において、
前記トップボディ44bの回転摺動部57に口金45を回動可能に嵌合し、前記放熱器44aとトップボディ44bに連通する差し込み孔59と嵌合穴60に差し込み棒66を差し込み前記口金45と前記LEDバルブ本体44を一体化する工程と、
前記LEDバルブ本体44と一体化した前記口金45をリフレクタ部15における口金取り付け鍔部23の係止突片30に嵌合固定して前記差し込み棒66を抜き取り、前記LEDバルブ本体44を回動して配光調整後、前記口金45と放熱器44aの接触するマーク表示部70に目印線を記入する工程と、
目印線の記入後、前記差し込み孔59と嵌合穴60を一致させ、前記差し込み棒66を差し込み、一体化した前記LEDバルブ本体44と口金45を前記リフレクタ部15から抜き取り、かつ、前記差し込み棒66を抜き取り、前記目印線を合わせて前記口金45を前記トップボディ44bの回転摺動部57にねじ込み固定し、このLEDバルブ本体44を口金45で前記リフレクタ部15に固定する工程と
からなる。
【実施例1】
【0028】
図3において、駆動回路48をLEDバルブ本体44内に内蔵したいわゆるオールインワンモデルの車両用灯具を実現させるには、寸法制限などの理由から、配線基板46と駆動回路48の基板を1枚にまとめる必要があり、このような車両用灯具を構成するには、LEDバルブ本体44は、放熱器44aとトップボディ44bを一体化し、このLEDバルブ本体44に、LED47と駆動回路48を搭載した配線基板46を内蔵するものが望まれ、本発明における車両用灯具の配光調整方法及びその装置は、これを達成しようするものである。
【0029】
図1図3において、44は、LEDバルブ本体で、このLEDバルブ本体44は、放熱器44aとトップボディ44bが一体で、かつ、縦方向に二つ割りされ、前記左右のトップボディ44bの部分は、突き合わせると、円柱形をなし、また、前記放熱器44aの部分は、突き合わせると、内部に駆動回路収納凹部52が形成され、外周に放熱フィン71が形成されている。
前記左右のトップボディ44bの内側には、前記駆動回路収納凹部52と連続した基板嵌合凹部51が形成され、また、先端部には、LED露出窓49が開口し、このLED露出窓49の周囲には、配光斜面50が形成されている。
【0030】
前記左右のトップボディ44bを突き合わせた円柱形の前記放熱器44a寄りには、口金45が嵌合される回転摺動部57とOリング溝65と浅溝73が形成されている。
前記配線基板46には、先端部の両側にLED47が搭載され、また、基端部には、駆動回路48が設けられ、前記LED47と駆動回路48が配線により電気的に接続されて一体構造となっている。前記LED47は、ハイビーム用とロービーム用を有するものでも、単一ビーム用であってもよい。前記駆動回路48は、電源コード61と端子部62で接続される。
【0031】
前記口金45は、前記LEDバルブ本体44をリフレクタ部15の口金取り付け鍔部23に形成した係止突片30に組み込むためのもので、全体が円筒形をなし、中心に前記トップボディ44bの回転摺動部57に嵌合する嵌合孔56を有し、外側には、中心角120度の間隔で3個の係止突片53が設けられ、外周にゴムパッキン68が嵌められ、外周面から中心に向かってねじ54が螺合するねじ孔55が設けられている。この口金45を回転摺動部57に嵌合する際に回転摺動部57に形成したOリング溝65にOリング64が嵌められる。
前記放熱器44aの一方の端面から他方の端面の段部58まで軸方向に貫通して差し込み孔59が穿設され、また前記口金45の前記段部58との接触する面に、前記差し込み孔59と連通する1又は数か所に嵌合穴60が形成される。
【0032】
次に前記LEDバルブ本体44の組み立てについて説明する。
配線基板46の駆動回路48に電源コード61を接続し、駆動回路48と端子部62は、左右の放熱器44aの駆動回路収納凹部52に収納し、配線基板46は、左右のトップボディ44bの基板嵌合凹部51に嵌め込み、左右の放熱器44aとトップボディ44bとを先端部と基端部の位置決め突起67で位置合わせをして先端部と基端部の組立て孔63にねじをねじ込んで一体に組み込む。すると、左右のLED47がLED露出窓49から露出する。前記トップボディ44bは、回転摺動部57が円柱体となるので、Oリング溝65にOリング64を嵌め込み、口金45の嵌合孔56をトップボディ44bに差し込み、口金45の端面を放熱器44aの段部58に密着させる。この時、口金45の後端外周面と放熱器44aの前端外周面が同一面となる。密着したらねじ孔55にねじ54が回転摺動部57の浅溝73に軽く接する程度に緩くねじ込み、口金45が回転摺動部57で回動できる状態としておく。なお、ねじ54が回転摺動部57の浅溝73に軽く接する程度に緩くねじ込まれているので、口金45が回転摺動部57で円周方向に回動できるが、軸方向に位置ずれすることはない。
【0033】
放熱器44aの端面から6角レンチなどの差し込み棒66を差し込み、口金45を回転摺動部57で摺動しながら差し込み棒66の先端を口金45の嵌合穴60の位置合わせをして差込み、LEDバルブ本体44と口金45を一体にする。
LEDバルブ本体44と口金45が一体になったら、図5(a)のように口金45の係止突片53を口金取り付け鍔部23に形成した係止突片30の隣り合う隙間に合わせてトップボディ44bをリフレクタ部15内に挿入し、図5(b)のように停止位置まで回動して係止突片53を係止突片30に係止してLEDバルブ本体44をリフレクタ部15の口金取り付け鍔部23に固定する。
前記リフレクタ部15の係止突片30を形成した端縁部は、前記ねじ54の部分が被さる位置までねじカバー部69として伸びている。しかし、前記ねじ54の以外の一部に切欠き部72を設けて口金45と放熱器44aとの接触面の一部がマーク表示部70となるために露出するようになっている。
【0034】
LEDバルブ本体44をリフレクタ部15に固定したら差し込み棒66を嵌合穴60と差し込み孔59から抜いてLED47を点灯し、LEDバルブ本体44を左方向又は右方向に回動して左右のLED47の配光が水平などの目的の配光となるように調整をする。
LEDバルブ本体44の配光位置を調整したら、切欠き部72のあるマーク表示部70に口金45とLEDバルブ本体44に跨る目印線を記入する。
目印線を付けたら、差し込み孔59に差し込み棒66を差し込み、記入した目印線を無視してLEDバルブ本体44を回動して口金45の嵌合穴60に差し込み棒66の先端を差し込む。差し込み棒66を差し込むと、口金45とLEDバルブ本体44は一体になるので、LEDバルブ本体44を口金45とともに固定時と逆方向に回動して係止突片53を係止突片30から外す。
この状態でLEDバルブ本体44と口金45をリフレクタ部15の口金取り付け鍔部23から取り外して、差し込み棒66をLEDバルブ本体44から抜き取る。差し込み棒66を抜き取ると、口金45とLEDバルブ本体44は互いに回動可能になるので、先に記入したマーク表示部70の調整時の目印線を合わせて、口金45のねじ54を回転摺動部57の浅溝73に固くねじ込み、口金45とLEDバルブ本体44を一体にして図5(a)(b)に示す順序で固定する。すると、LEDバルブ本体44は、1回の操作で目的の配光となるように調整されて固定される。
このように、LEDバルブ本体44をリフレクタ部15に何回も取り付けたり外したりして配光を調整するような必要がなくなり、1回の操作で簡単に調整して取り付けができる。
【0035】
一旦取り付けたLEDバルブ本体44をリフレクタ部15から取り外そうとして、LEDバルブ本体44を回しても口金45のねじ54に緩みが生じて空回りするような事態が発生した場合、LEDバルブ本体44を抜き取ることができても口金45を外すことができなくなる。
このようなとき、差し込み棒66を差し込み孔59に差し込み、口金45の嵌合穴60と位置合わせをしてさらに押し込んでLEDバルブ本体44と口金45を一体に固定してLEDバルブ本体44を回すことで口金45の空回りなく取り外すことができる。
【0036】
前記実施例では、前記放熱器44aの差し込み孔59と前記口金45の嵌合穴60をLEDバルブ本体44の軸方向に形成した。しかし、これに限られるものではなく、前記放熱器44aの側面から他方の端面の段部58まで斜め方向に貫通して差し込み孔59を穿設し、また前記口金45の嵌合穴60も斜めに形成してもよい。
また、前記口金45と放熱器44aの接触面のマーク表示部70は、平面としたが、これに限られるものではなく、段差を持った面であってもよい。
【符号の説明】
【0037】
10…ベース本体、11…LED取付け部、12…透光筒体、14…LED、15…リフレクタ部、23…口金取り付け鍔部、24…レンズ、25…口金、26…ねじ、27…ゴムパッキン、28…円筒部、29…係止突片、30…係止突片、31…嵌合孔32…ねじ孔、33…固定ねじ、34…Oリング、35…段部、36…段部、37…蓋体、38…貫通孔、40…嵌合孔、41…嵌合溝部、42…接着層、43…LEDバルブ、44…LEDバルブ本体、44a…放熱器、44b…トップボディ、45…口金、46…配線基板、47…LED、48…駆動回路、49…LED露出窓、50…配光斜面、51…基板嵌合凹部、52…駆動回路収納凹部、53…係止突片、54…ねじ、55…ねじ孔、56…嵌合孔、57…回転摺動部、58…段部、59…差し込み孔、60…嵌合穴、61…電源コード、62…端子部、63…組立て孔、64…Oリング、65…Oリング溝、66…差し込み棒、67…位置決め突起、68…ゴムパッキン、69…ねじカバー部、70…マーク表示部、71…放熱フィン、72…切欠き部、73…浅溝。
図1
図2
図3
図4
図5
図6