(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】生育診断システム、生育診断サーバ及び生育診断方法
(51)【国際特許分類】
A01G 7/00 20060101AFI20221114BHJP
【FI】
A01G7/00 603
(21)【出願番号】P 2021575532
(86)(22)【出願日】2020-02-06
(86)【国際出願番号】 JP2020004639
(87)【国際公開番号】W WO2021157032
(87)【国際公開日】2021-08-12
【審査請求日】2022-07-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515019537
【氏名又は名称】株式会社ナイルワークス
(74)【代理人】
【識別番号】100149261
【氏名又は名称】大内 秀治
(72)【発明者】
【氏名】和氣 千大
(72)【発明者】
【氏名】柳下 洋
(72)【発明者】
【氏名】加藤 宏記
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-49(JP,A)
【文献】米国特許第9140824(US,B1)
【文献】特表2018-533933(JP,A)
【文献】特許第4982823(JP,B2)
【文献】特開2019-193589(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0057461(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生育診断モデルを利用して圃場における作物の生育状態を診断する生育診断装置と、
前記圃場の画像を取得するカメラと、
前記圃場の画像に基づいて、前記作物の生育状態値である検出生育状態値を算出する検出状態値算出部と、
前記生育診断モデルにより算出した前記作物の生育状態値である推定生育状態値を、前記検出生育状態値と比較する乖離判定部と、
前記乖離判定部による比較結果に応じて前記生育診断モデルを修正するモデル修正部と
を有することを特徴とする生育診断システム。
【請求項2】
請求項1に記載の生育診断システムにおいて、
前記作物の生育状態値は、前記作物の籾数、若しくは前記圃場において光合成を行う葉の面積率である有効受光面積率、若しくは前記圃場の画像において前記作物に吸収されている赤色光の割合である赤色光吸収率、若しくは前記有効受光面積率に対象面積を乗じて得た有効受光面積、又は、前記赤色光吸収率に対象面積を乗じて得た赤色光吸収量を含み、
前記生育診断モデルにより算出した前記作物の推定籾数若しくは推定有効受光面積率若しくは推定赤色光吸収率若しくは推定有効受光面積又は推定赤色光吸収量と、前記圃場の画像に基づいて生成した前記作物の検出籾数若しくは検出有効受光面積率若しくは検出赤色光吸収率若しくは検出有効受光面積又は検出赤色光吸収量との差分の絶対値又は差分の割合が、前記生育状態値の第1差分閾値を超えたと前記乖離判定部が判定した場合、前記モデル修正部は、前記生育診断モデルを修正する
ことを特徴とする生育診断システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の生育診断システムにおいて、
前記生育診断システムは、前記カメラによる撮影不良の有無を前記圃場の画像に基づいて判定する撮影不良判定部をさらに備え、
前記検出状態値算出部は、前記撮影不良が無かったと前記撮影不良判定部が判定した前記圃場の画像に基づいて、前記検出生育状態値を算出する
ことを特徴とする生育診断システム。
【請求項4】
請求項3に記載の生育診断システムにおいて、
前記撮影不良があったと前記撮影不良判定部が判定した場合、前記カメラによる再撮影を要求する再撮影要求部をさらに有する
ことを特徴とする生育診断システム。
【請求項5】
請求項4に記載の生育診断システムにおいて、
前記撮影不良判定部は、前記圃場毎に又は前記圃場に含まれる部分領域毎に前記撮影不良の有無を判定し、
前記再撮影要求部は、前記撮影不良があった場合、前記撮影不良があった圃場についての前記再撮影を要求する
ことを特徴とする生育診断システム。
【請求項6】
請求項4に記載の生育診断システムにおいて、
前記撮影不良判定部は、前記圃場に含まれる部分領域毎に前記撮影不良の有無を判定し、
前記再撮影要求部は、前記撮影不良があった場合、前記撮影不良があった前記部分領域についての前記再撮影を要求する
ことを特徴とする生育診断システム。
【請求項7】
請求項4~6のいずれか1項に記載の生育診断システムにおいて、
前記撮影不良があったと前記撮影不良判定部が判定した場合、前記再撮影要求部は、前回撮影とは異なる時間帯又は異なる太陽高度での前記再撮影を要求する
ことを特徴とする生育診断システム。
【請求項8】
請求項4~6のいずれか1項に記載の生育診断システムにおいて、
前記撮影不良があったと前記撮影不良判定部が判定した場合、前記再撮影要求部は、前記カメラと太陽との相対的な位置関係が前回撮影とは異なる向きでの前記再撮影を要求する
ことを特徴とする生育診断システム。
【請求項9】
請求項4~6のいずれか1項に記載の生育診断システムにおいて、
前記撮影不良があったと前記撮影不良判定部が判定した場合、前記再撮影要求部は、前回撮影とは異なる天候での前記再撮影を要求する
ことを特徴とする生育診断システム。
【請求項10】
請求項4~6のいずれか1項に記載の生育診断システムにおいて、
前記撮影不良があったと前記撮影不良判定部が判定した場合、前記再撮影要求部は、前記カメラと前記圃場との相対的な位置関係が前回撮影とは異なる向きでの前記再撮影を要求する
ことを特徴とする生育診断システム。
【請求項11】
請求項2に記載の生育診断システムにおいて、
前記生育診断モデルにより算出した前記作物の前記推定籾数若しくは前記推定有効受光面積率若しくは前記推定赤色光吸収率若しくは前記推定有効受光面積又は前記推定赤色光吸収量と、前記圃場の画像に基づいて算出した前記作物の前記検出籾数若しくは前記検出有効受光面積率若しくは前記検出赤色光吸収率若しくは前記検出有効受光面積又は前記検出赤色光吸収量との差分の絶対値又は差分の割合が、前記第1差分閾値を超えた場合、前記生育診断モデルの係数又は初期値を修正する
ことを特徴とする生育診断システム。
【請求項12】
請求項11に記載の生育診断システムにおいて、
前記生育診断システムは、
前記カメラを搭載したドローンと、
前記推定生育状態値と前記検出生育状態値との比較のための前記ドローンによる撮影のスケジュールを管理するスケジュール管理部と
をさらに有し、
前記推定生育状態値と前記検出生育状態値の差分の絶対値又は差分の割合が前記第1差分閾値を超えたと前記乖離判定部が判定した場合、前記スケジュール管理部は、当初計画の次回撮影よりも前に新たな撮影予定を加える又は次回撮影の時期を前記当初計画よりも早める
ことを特徴とする生育診断システム。
【請求項13】
請求項12に記載の生育診断システムにおいて、
前記推定生育状態値と前記検出生育状態値の差分の絶対値又は差分の割合が前記第1差分閾値を超えたと前記乖離判定部が判定した後、前記推定生育状態値と前記検出生育状態値との差分の絶対値又は差分の割合が第2差分閾値を下回った場合、前記スケジュール管理部は、前記撮影のスケジュールを当初計画に戻す
ことを特徴とする生育診断システム。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の生育診断システムにおいて、
前記推定生育状態値と前記検出生育状態値との差分が第3差分閾値を下回り、前記作物の成長が予定通り又は予定よりも早まっている場合、前記スケジュール管理部は、当初計画よりも撮影回数を減らす
ことを特徴とする生育診断システム。
【請求項15】
請求項12~14のいずれか1項に記載の生育診断システムにおいて、
前記作物が予定よりも早く成熟した場合、前記スケジュール管理部は、撮影最終回のタイミングを早める
ことを特徴とする生育診断システム。
【請求項16】
請求項12~15のいずれか1項に記載の生育診断システムにおいて、
前記スケジュール管理部は、前記作物の生育状態値の変化量、若しくは単位期間当たりの前記生育状態値の変化量、又は前記生育状態値の絶対値が第1頻度判定閾値よりも大きいタイミングでは、前記撮影の頻度を上げる
ことを特徴とする生育診断システム。
【請求項17】
請求項16に記載の生育診断システムにおいて、
前記スケジュール管理部は、前記第1頻度判定閾値を前記作物の生育フェーズに合わせて切り替える
ことを特徴とする生育診断システム。
【請求項18】
請求項12~17のいずれか1項に記載の生育診断システムにおいて、
前記スケジュール管理部は、前記作物の生育状態値の変化量、若しくは単位期間当たりの前記生育状態値の変化量、又は前記生育状態値の変化量の絶対値が第2頻度判定閾値よりも小さいタイミングでは、前記撮影の頻度を下げる
ことを特徴とする生育診断システム。
【請求項19】
請求項18に記載の生育診断システムにおいて、
前記スケジュール管理部は、前記第2頻度判定閾値を前記作物の生育フェーズに合わせて切り替える
ことを特徴とする生育診断システム。
【請求項20】
請求項12~19のいずれか1項に記載の生育診断システムにおいて、
前記作物の生育フェーズの移行時期における前記ドローンの撮影頻度である移行時頻度は、前記作物の生育フェーズの移行時期以外の時期における通常の前記撮影頻度である通常頻度よりも大きく、
前記推定生育状態値と前記検出生育状態値の差分の絶対値又は差分の割合が前記第1差分閾値を超えたと前記乖離判定部が判定した際に前記スケジュール管理部が設定し得る前記撮影頻度の最大値である乖離時最大頻度は、前記移行時頻度よりも大きい
ことを特徴とする生育診断システム。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか1項に記載の生育診断システムにおいて、
前記生育診断システムは、
刈り取った前記作物の籾数又は重量である収量を計測する収量センサと、
計測した前記籾数又は前記重量である計測収量を入力する収量入力部と
を備え、
前記推定生育状態値は、前記生育診断モデルにより算出した前記作物の籾数又は重量である推定収量を含み、
前記収量入力部に前記計測収量が入力された場合、前記モデル修正部は、前記計測収量と前記推定収量とを比較して前記生育診断モデルを修正する
ことを特徴とする生育診断システム。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか1項に記載の生育診断システムにおいて、
前記作物はイネであり、
前記生育診断システムは、
収穫後の単位量の米に含まれる未熟米の割合であるくず米率を計測するくず米率計測器と、
計測した前記くず米率である計測くず米率を入力するくず米率入力部と
を備え、
前記推定生育状態値は、前記生育診断モデルにより算出した前記くず米率である推定くず米率を含み、
前記収量入力部に前記計測くず米率が入力された場合、前記モデル修正部は、前記計測くず米率と前記推定くず米率とを比較して前記生育診断モデルを修正する
ことを特徴とする生育診断システム。
【請求項23】
生育診断モデルを利用して作物の生育状態を診断する生育診断サーバであって、
カメラにより取得した前記作物の画像に基づいて、前記作物の生育状態値である検出生育状態値を算出する検出状態値算出部と、
前記生育診断モデルにより算出した前記作物の生育状態値である推定生育状態値を、前記検出生育状態値と比較する乖離判定部と、
前記乖離判定部による比較結果に応じて前記生育診断モデルを修正するモデル修正部と
を有することを特徴とする生育診断サーバ。
【請求項24】
生育診断モデルを利用して作物の生育状態を診断する生育診断方法であって、
カメラにより取得した前記作物の画像に基づいて、前記作物の生育状態値である検出生育状態値を算出する検出状態値算出ステップと、
前記生育診断モデルにより算出した前記作物の生育状態値である推定生育状態値を、前記検出生育状態値と比較する乖離判定ステップと、
前記乖離判定ステップでの比較結果に応じて前記生育診断モデルを修正するモデル修正ステップと
を有することを特徴とする生育診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生育診断システム、生育診断サーバ及び生育診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2015-000049号(以下「JP2015-000049A」という。)では、調査圃場数をできる限り抑制しながら、空撮画像と農作物の特定の生育ステージにおける時系列気象データを用いて、収量を高精度に推定することを課題としている(要約)。当該課題を解決するため、JP2015-000049A(要約)では、過去に蓄積された調査地域の画像や圃場の属性情報と、調査対象である圃場が撮影された空撮画像から、調査すべき実測圃場を選定するための判断基準となるパラメータ群を決定し、前記パラメータ群ができる限り分散を持つように、実測圃場を選定し、また、調査の負担をできる限り減らすために、実測圃場の候補ができる限り位置的に集中するように選定する。また、気象データの時系列パターンを各生育ステージごとに解析することにより、生育状況に相関のあるパラメータ群を算出し、画像特徴量、圃場の属性情報と前記パラメータ群を説明変数とした収量推計を実施する。
【0003】
JP2015-000049Aでは、数3~数5のようなモデルを用いる収量推計モデルを利用する([0056]~[0059])。
【0004】
特開2018-082648号(以下「JP2018-082648A」という。)では、従来よりも容易に圃場内の窒素施用量を決定することができる施肥設計方法を提供すること等を目的としている(要約、[0009])。当該目的を達成するため、JP2018-082648A(要約)では、今期生育中の作物の葉色及び茎数を測定し(S31)、測定した葉色及び茎数から作物の吸収窒素量を求める段階(S32)と、吸収窒素量から今期投入済み窒素施用量(S33)を減算することで、現在の地力窒素量を求める段階(S34)と、地力窒素量と作物を生育させるための適正窒素量から次期の作物を生育させるために必要な次期生育用窒素施用量を求める段階(S35)とを有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、JP2015-000049A(要約)では、収量推計を実施する生育診断モデルとして用いる。また、JP2018-082648A(要約)では、次期生育用窒素施用量を求める生育診断モデルを用いる。しかしながら、これらの生育診断モデルでは、精度の点で改善の余地がある。
【0006】
本発明は上記のような課題を考慮してなされたものであり、生育診断モデルの精度を向上することが可能な生育診断システム、生育診断サーバ及び生育診断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る生育診断システムは、
生育診断モデルを利用して圃場における作物の生育状態を診断する生育診断装置と、
前記圃場の画像を取得するカメラと、
前記圃場の画像に基づいて、前記作物の生育状態値である検出生育状態値を算出する検出状態値算出部と、
前記生育診断モデルにより算出した前記作物の生育状態値である推定生育状態値を、前記検出生育状態値と比較する乖離判定部と、
前記乖離判定部による比較結果に応じて前記生育診断モデルを修正するモデル修正部と
を有することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、生育診断モデルにより算出した推定生育状態値と、カメラが取得した圃場の画像に基づく検出生育状態値とを比較して生育診断モデルを修正する。これにより、圃場の画像に基づく検出生育状態値の信頼性に応じた精度で、圃場毎の特性に応じた生育診断を行うことが可能となるため、生育診断モデルの精度を向上し得る。また、圃場の画像を用いることで、圃場毎の特性に応じた生育診断を簡易に行うことが可能となる。
【0009】
前記作物の生育状態値は、例えば、前記作物の籾数、若しくは前記圃場において光合成を行う葉の面積率である有効受光面積率、又は前記圃場の画像において前記作物に吸収されている赤色光の割合である赤色光吸収率を含んでもよい。また、前記作物の生育状態値として、有効受光面積率に対象面積を乗じて得た有効受光面積や、赤色光吸収率に対象面積を乗じて得た赤色光吸収量を用いることもできる。その場合、前記生育診断モデルにより算出した前記作物の推定籾数、推定有効受光面積率、推定赤色光吸収率、推定有効受光面積又は推定赤色光吸収量と、前記圃場の画像に基づいて算出した前記作物の検出籾数、検出有効受光面積率、検出赤色光吸収率、検出有効受光面積又は検出赤色光吸収量との差分の絶対値又は差分の割合が、前記生育状態値の第1差分閾値を超えたと前記乖離判定部が判定した場合、前記モデル修正部は、前記生育診断モデルを修正してもよい。これにより、生育診断モデルを修正する必要性が高い場合のみ、当該修正を行うことができる。
【0010】
なお、ここにいう有効受光面積率は、光合成を行う葉(及び茎)が圃場の画像全体に占める割合を意味する。また、赤色光吸収率は、圃場の画像において、赤色光の波長帯が作物に吸収されている割合を示すものであり、光合成を行うクロロフィルの量を示す指標の1つである。
【0011】
前記生育診断システムは、前記カメラによる撮影不良の有無を前記圃場の画像に基づいて判定する撮影不良判定部をさらに備えてもよい。また、前記検出状態値算出部は、前記撮影不良が無かったと前記撮影不良判定部が判定した前記圃場の画像に基づいて、前記検出生育状態値を算出してもよい。これにより、撮影不良がない場合(すなわち、撮影が正常である場合)のみ、検出生育状態値を用いることが可能となる。
【0012】
前記生育診断システムは、前記撮影不良があったと前記撮影不良判定部が判定した場合、前記カメラによる再撮影を要求する再撮影要求部をさらに有してもよい。これにより、再撮影により検出生育状態値の精度を高めることで、生育診断モデルの信頼性を高めることが可能となる。
【0013】
前記撮影不良判定部は、前記圃場毎に又は前記圃場に含まれる部分領域毎に前記撮影不良の有無を判定してもよい。前記再撮影要求部は、前記撮影不良があった場合、前記撮影不良があった圃場についての前記再撮影を要求してもよい。これにより、圃場単位で検出生育状態値を取得し直すことが可能となる。
【0014】
或いは、前記撮影不良判定部は、前記圃場に含まれる部分領域毎に前記撮影不良の有無を判定してもよい。前記再撮影要求部は、前記撮影不良があった場合、前記撮影不良があった前記部分領域についての前記再撮影を要求してもよい。これにより、撮影不良があった部分領域のみについて再撮影を行うことで工数を低減可能となる。
【0015】
前記撮影不良があったと前記撮影不良判定部が判定した場合、前記再撮影要求部は、前回撮影とは異なる時間帯又は異なる太陽高度での前記再撮影を要求してもよい。これにより、撮影不良が再現する可能性を低減することが可能となる。
【0016】
前記撮影不良があったと前記撮影不良判定部が判定した場合、前記再撮影要求部は、前記カメラと太陽との相対的な位置関係が前回撮影とは異なる向きでの前記再撮影を要求してもよい。これにより、撮影不良が再現する可能性を低減することが可能となる。
【0017】
前記撮影不良があったと前記撮影不良判定部が判定した場合、前記再撮影要求部は、前回撮影とは異なる天候での前記再撮影を要求してもよい。これにより、撮影不良が再現する可能性を低減することが可能となる。
【0018】
前記撮影不良があったと前記撮影不良判定部が判定した場合、前記再撮影要求部は、前記カメラと前記圃場との相対的な位置関係が前回撮影とは異なる向きでの前記再撮影を要求してもよい。これにより、撮影不良が再現する可能性を低減することが可能となる。
【0019】
前記生育診断モデルにより算出した前記作物の推定籾数、前記推定有効受光面積率、前記推定赤色光吸収率、前記推定有効受光面積又は前記推定赤色光吸収量と、前記圃場の画像に基づいて算出した前記作物の検出籾数、前記検出有効受光面積率、前記検出赤色光吸収率、前記検出有効受光面積又は前記検出赤色光吸収量との差分の絶対値又は差分の割合が、前記第1差分閾値を超えた場合、前記生育診断モデルの係数又は初期値を修正してもよい。これにより、推定生育状態値と検出生育状態値の乖離の原因が生育診断モデルの係数又は初期値にある場合、生育診断モデルをより好適に修正することが可能となる。
【0020】
前記生育診断システムは、前記カメラを搭載したドローンと、前記推定生育状態値と前記検出生育状態値との比較のための前記ドローンによる撮影のスケジュールを管理するスケジュール管理部とをさらに有してもよい。前記推定生育状態値と前記検出生育状態値の差分の絶対値又は差分の割合が前記第1差分閾値を超えたと前記乖離判定部が判定した場合、前記スケジュール管理部は、当初計画の次回撮影よりも前に新たな撮影予定を加える又は次回撮影の時期を前記当初計画よりも早めてもよい。これにより、推定生育状態値と検出生育状態値の乖離がないか、換言すると、生育診断モデルの信頼性が高いかを比較的早期に再確認することが可能となる。
【0021】
前記推定生育状態値と前記検出生育状態値の差分の絶対値又は差分の割合が前記第1差分閾値を超えたと前記乖離判定部が判定した後、前記推定生育状態値と前記検出生育状態値との差分が第2差分閾値を下回った場合、前記スケジュール管理部は、前記撮影のスケジュールを当初計画に戻してもよい。これにより、推定生育状態値と検出生育状態値との差分の絶対値又は差分の割合が十分小さくなったと判定可能になった場合、換言すると、生育診断モデルの信頼性が十分高くなったと判定可能になった場合、ドローンの撮影タイミングを遅らせることが可能となる。
【0022】
前記推定生育状態値と前記検出生育状態値との差分の絶対値又は差分の割合が第3差分閾値を下回り、前記作物の成長が予定通り又は予定よりも早まっている場合、前記スケジュール管理部は、当初計画よりも撮影回数を減らしてもよい。これにより、推定生育状態値と検出生育状態値との差分が十分小さいと判定可能になった場合、換言すると、生育診断モデルの信頼性が十分高いと判定可能である場合、ドローンの撮影タイミングを遅らせることが可能となる。
【0023】
前記作物が予定よりも早く成熟した場合、前記スケジュール管理部は、撮影最終回のタイミングを早めてもよい。これにより、不要なタイミングでの撮影を回避することが可能となる。
【0024】
前記スケジュール管理部は、前記作物の生育状態値の変化量、若しくは単位期間当たりの前記作物の生育状態値の変化量、又は前記生育状態値の絶対値が第1頻度判定閾値よりも大きいタイミングでは、前記撮影の頻度を上げてもよい。これにより、作物の生育状態値の変化量、若しくは単位期間当たりの生育状態値の変化量又は生育状態値の絶対値が大きいタイミングで生育診断システムの信頼性を確認し易くなる。なお、ここにいう「頻度を上げる」は、撮影の最小日程間隔(インターバル)を短くすること、及び所定期間における撮影の回数を増やすことのいずれであってもよい。
【0025】
前記スケジュール管理部は、前記生育状態値の絶対値、若しくは単位期間当たりの前記生育状態値の変化量又は前記生育状態値の変化量の絶対値が第2頻度判定閾値よりも小さいタイミングでは、前記撮影の頻度を下げてもよい。これにより、生育状態値の絶対値、若しくは単位期間当たりの作物の生育状態値の変化量又は生育状態値の変化量の絶対値が小さいタイミングでは、ドローンの撮影頻度を抑えることが可能となる。
【0026】
前記スケジュール管理部は、前記第1頻度判定閾値又は前記第2頻度判定閾値を前記作物の生育フェーズに合わせて切り替えてもよい。これにより、作物の生育フェーズに応じて撮影頻度を切り替えることが可能となる。
【0027】
前記作物の生育フェーズの移行時期における前記ドローンの撮影頻度である移行時頻度は、前記作物の生育フェーズの移行時期以外の時期における通常の前記撮影頻度である通常頻度より大きくてもよい。前記推定生育状態値と前記検出生育状態値の差分の絶対値又は差分の割合が前記第1差分閾値を超えたと前記乖離判定部が判定した際に前記スケジュール管理部が設定し得る前記撮影頻度の最大値である乖離時最大頻度は、前記移行時頻度よりも大きくてもよい。これにより、推定生育状態値と検出生育状態値の乖離がある場合の撮影頻度を大きくして、生育診断システムの信頼性を高めることが可能となる。
【0028】
前記生育診断システムは、刈り取った前記作物の籾数又は重量である収量を計測する収量センサと、計測した前記籾数又は前記重量である計測収量を入力する収量入力部とを備えてもよい。また、前記推定生育状態値は、前記生育診断モデルにより算出した前記作物の籾数又は重量である推定収量を含んでもよい。前記収量入力部に前記計測収量が入力された場合、前記モデル修正部は、前記計測収量と前記推定収量とを比較して前記生育診断モデルを修正してもよい。これにより、検出収量(画像に基づいて算出した作物の籾数又は重量)よりも計測収量の方が精度が高い場合には、計測収量と推定収量の比較結果を優先して用いることで、生育診断システムの信頼性を高めることが可能となる。
【0029】
前記作物がイネである場合、前記生育診断システムは、収穫後の単位量の米に含まれる未熟米の割合であるくず米率を計測するくず米率計測器と、計測した前記くず米率である計測くず米率を入力するくず米率入力部とを備えてもよい。前記推定生育状態値は、前記生育診断モデルにより算出した前記くず米率である推定くず米率を含んでもよい。前記くず米率入力部に前記計測くず米率が入力された場合、前記モデル修正部は、前記計測くず米率と前記推定くず米率とを比較して前記生育診断モデルを修正してもよい。これにより、検出くず米率(画像に基づいて算出したくず米率)よりも計測くず米率の方が精度が高い場合には、計測くず米率と推定くず米率の比較結果を優先して用いることで、生育診断システムの信頼性を高めることが可能となる。
【0030】
本発明に係る生育診断サーバは、生育診断モデルを利用して作物の生育状態を診断するものであって、
カメラにより取得した前記作物の画像に基づいて、前記作物の生育状態値である検出生育状態値を算出する検出状態値算出部と、
前記生育診断モデルにより算出した前記作物の生育状態値である推定生育状態値を、前記検出生育状態値と比較する乖離判定部と、
前記乖離判定部による比較結果に応じて前記生育診断モデルを修正するモデル修正部と
を有することを特徴とする。
【0031】
本発明に係る生育診断方法は、生育診断モデルを利用して作物の生育状態を診断する方法であって、
カメラにより取得した前記作物の画像に基づいて、前記作物の生育状態値である検出生育状態値を算出する検出状態値算出ステップと、
前記生育診断モデルにより算出した前記作物の生育状態値である推定生育状態値を、前記検出生育状態値と比較する乖離判定ステップと、
前記乖離判定ステップでの比較結果に応じて前記生育診断モデルを修正するモデル修正ステップと
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、生育診断モデルの精度を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の一実施形態に係る生育診断システムの概要を示す全体構成図である。
【
図2】前記実施形態の生育診断サーバの構成を簡略的に示す構成図である。
【
図3】前記実施形態のドローンの構成を簡略的に示す構成図である。
【
図4】前記実施形態におけるキャリブレーションスケジュール管理制御を示す第1フローチャートである。
【
図5】前記実施形態における前記キャリブレーションスケジュール管理制御を示す第2フローチャートである。
【
図6】前記実施形態における必要監視状況の判定方法を説明するための説明図である。
【
図7】前記実施形態におけるキャリブレーション実行制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
A.一実施形態
<A-1.構成>
[A-1-1.全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る生育診断システム10の概要を示す全体構成図である。生育診断システム10(以下「システム10」ともいう。)は、圃場500に生育する作物502の生育診断を行うと共に、作物502に薬剤(液体肥料を含む。)を散布することができる。本実施形態の作物502は、イネ(水稲)であるが、後述するようにその他の作物であってもよい。圃場500は水田である。
【0035】
図1に示すように、システム10は、圃場センサ群20と、生育診断サーバ22と、ドローン24と、第1ユーザ端末26と、第2ユーザ端末28と、第3ユーザ端末30と、収量センサ32と、ライスグレーダ34(くず米率計測器)とを有する。圃場センサ群20、ドローン24、第1ユーザ端末26及び第2ユーザ端末28は、通信ネットワーク38(無線基地局36を含む。)を介して互いに無線通信が可能であると共に、生育診断サーバ22と通信可能である。無線通信としては、無線基地局36を介さない通信(例えば、LTE(Long Term Evolution)、WiFi等)を用いることができる。生育診断サーバ22は、通信ネットワーク38を介して情報提供サーバ40とも通信可能である。
【0036】
[A-1-2.圃場センサ群20]
圃場センサ群20は、水田としての圃場500に設置されて圃場500における各種データを検出して生育診断サーバ22等に提供する。圃場センサ群20には、例えば、水温センサ、温度センサ、降水量センサ、照度計、風速計、気圧計及び湿度計が含まれる。水温センサは、水田である圃場500の水温を検出する。温度センサは、圃場500の気温を検出する。降水量センサは、圃場500の降水量を検出する。照度計は、圃場500の日照量を検出する。風速計は、圃場500の風速を検出する。気圧計は、圃場500の気圧を検出する。湿度計は、圃場500の湿度を検出する。これらのセンサの値の一部は、情報提供サーバ40から取得してもよい。
【0037】
[A-1-3.生育診断サーバ22]
(A-1-3-1.概要)
図2は、本実施形態の生育診断サーバ22の構成を簡略的に示す構成図である。生育診断サーバ22(以下「診断サーバ22」ともいう。)は、生育診断モデルを用いた生育診断を行い、診断結果に基づいてユーザに作業指示を行う。作業指示には、施肥のタイミング、肥料の種類・量、農薬の散布タイミング、農薬の種類・量等が含まれる。
【0038】
図2に示すように、診断サーバ22は、入出力部50と、通信部52と、演算部54と、記憶部56とを有する。通信部52は、図示しないモデム等を有する。通信部52は、通信ネットワーク38を介することで、圃場センサ群20、ドローン24、第1ユーザ端末26、第2ユーザ端末28、第3ユーザ端末30、情報提供サーバ40等との通信が可能である。
【0039】
演算部54は、中央演算装置(CPU)を含み、記憶部56に記憶されているプログラムを実行することにより動作する。演算部54が実行する機能の一部は、ロジックIC(Integrated Circuit)を用いて実現することもできる。演算部54は、前記プログラムの一部をハードウェア(回路部品)で構成することもできる。後述するドローン24の演算部等も同様である。
【0040】
記憶部56は、演算部54が用いるプログラム及びデータを記憶するものであり、ランダム・アクセス・メモリ(以下「RAM」という。)を備える。RAMとしては、レジスタ等の揮発性メモリと、ハードディスク、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリとを用いることができる。また、記憶部56は、RAMに加え、リード・オンリー・メモリ(ROM)を有してもよい。後述するドローン24の記憶部等も同様である。
【0041】
(A-1-3-2.演算部54)
図2に示すように、演算部54は、ドローン飛行管理部60と、生育診断部62とを有する。ドローン飛行管理部60は、ドローン24の飛行(経路等)を管理する。生育診断部62は、生育診断モデルを用いた生育診断を行う。
【0042】
ドローン飛行管理部60は、飛行ルート生成部70と、再撮影要求部72とを有する。飛行ルート生成部70は、ドローン24の飛行ルートを生成する。再撮影要求部74は、ドローン24による撮影が正常でないと撮影不良判定部81(後述)が判定した場合、ドローン24による再撮影を要求する。
【0043】
生育診断部62は、スケジュール管理部80と、撮影不良判定部81と、画像処理部82と、乖離判定部83と、モデル修正部84と、診断実行部85とを有する。スケジュール管理部80は、生育診断モデルのキャリブレーションのスケジュールを管理する。撮影不良判定部81は、キャリブレーション時において、ドローン24による撮影不良を判定する。画像処理部82は、ドローン24が撮影した画像を処理して作物502の生育状態値V(検出生育状態値Vd)を算出する。乖離判定部83は、生育診断モデルにより算出した作物の生育状態値Vである推定生育状態値Veを、検出生育状態値Vdと比較して両者の乖離を判定する。モデル修正部84は、乖離判定部83による比較結果に応じて生育診断モデルを修正する。診断実行部85は、生育診断制御を実行する。
【0044】
(A-1-3-3.記憶部56)
記憶部56は、ドローン飛行管理部60、生育診断部62等を実現するために演算部54が用いるプログラム及びデータを記憶すると共に、圃場データベース90(以下「圃場DB90」という。)と、生育診断データベース92(以下「生育診断DB92」という。)とを有する。圃場DB90は、ドローン24の飛行に必要な圃場500毎の情報(飛行用圃場情報)を蓄積する。飛行用圃場情報には、例えば、圃場500の位置情報が含まれる。生育診断DB92は、生育診断に関する各種情報(生育診断情報)を蓄積する。生育診断情報には、例えば、生育診断のスケジュール、過去の診断結果(過去に栽培された作物502の種類、収量Q、くず米率Rを含む。)、生育診断モデル(係数、初期値を含むパラメータ等)、撮影データ(圃場500の画像)が含まれる。
【0045】
[A-1-4.ドローン24]
図3は、本実施形態のドローン24の構成を簡略的に示す構成図である。本実施形態において、ドローン24は、生育診断モデルのキャリブレーション用の圃場画像を取得する手段として機能すると共に、作物502に対する薬液(液体肥料を含む。)を散布する手段としても機能する。ドローン24は、発着地点510(
図1)において離着陸する。
【0046】
図3に示すように、ドローン24は、ドローンセンサ群100と、通信部102と、飛行機構104と、撮影機構106と、散布機構108と、ドローン制御部110とを有する。
【0047】
ドローンセンサ群100は、グローバル・ポジショニング・システム・センサ(以下「GPSセンサ」という。)、速度計、高度計、ジャイロセンサ、液量センサ(いずれも図示せず)等を有する。GPSセンサは、ドローン24の現在位置情報を出力する。速度計は、ドローン24の飛行速度を検出する。高度計は、ドローン24下方の地面に対する距離としての対地高度を検出する。ジャイロセンサは、ドローン24の角速度を検出する。液量センサは、散布機構108のタンク内の液量を検出する。
【0048】
通信部102は、通信ネットワーク38を介しての電波通信が可能であり、例えば、電波通信モジュールを含む。通信部102は、通信ネットワーク38(無線基地局36を含む。)を介することで、生育診断サーバ22、第1ユーザ端末26、第2ユーザ端末28等との通信が可能である。
【0049】
飛行機構104は、ドローン24を飛行させる機構であり、複数のプロペラと、複数のプロペラアクチュエータとを有する。プロペラアクチュエータは、例えば電動モータを有する。
【0050】
撮影機構106は、圃場500又は作物502の画像(以下「ドローン画像」又は「圃場画像」ともいう。)を撮影する機構であり、カメラ120を有する。本実施形態のカメラ120は、マルチスペクトルカメラであり、特に作物502の生育状況を分析できる画像を取得する。撮影機構106は、圃場500に対して特定の波長の光線を照射する照射部をさらに備え、当該光線に対する圃場500からの反射光を受光可能になっていてもよい。特定の波長の光線は、例えば赤色光(波長約650nm)と近赤外光(波長約774nm)であってもよい。当該光線の反射光を分析することで、作物502の窒素吸収量を推定し、推定した窒素吸収量に基づいて作物502の生育状況を分析することができる。
【0051】
カメラ120は、ドローン24の本体の下部に配置され、ドローン24の周辺を撮影した周辺画像に関する画像データを出力する。カメラ120は、動画を撮影するビデオカメラである。或いは、カメラ120は、動画及び静止画の両方又は静止画のみを撮影可能としてもよい。
【0052】
カメラ120は、図示しないカメラアクチュエータにより向き(ドローン24の本体に対するカメラ120の姿勢)を調整可能である。或いは、カメラ120は、ドローン24の本体に対する位置が固定されてもよい。
【0053】
散布機構108は、薬剤(液体肥料を含む。)を散布する機構であり、例えば、薬剤タンク、ポンプ、流量調整弁及び薬剤ノズルを有する。
【0054】
ドローン制御部110は、ドローン24の飛行、撮影、薬剤の散布等、ドローン24全体を制御する。ドローン制御部110は、図示しない入出力部、演算部及び記憶部を含む。ドローン制御部110は、飛行制御部130、撮影制御部132及び散布制御部134を有する。飛行制御部130は、飛行機構104を介してドローン24の飛行を制御する。撮影制御部132は、撮影機構106を介してドローン24による撮影を制御する。散布制御部134は、散布機構108を介してドローン24による薬剤散布を制御する。
【0055】
[A-1-5.第1ユーザ端末26]
第1ユーザ端末26は、圃場500において、操作者としてのユーザ600(
図1)の操作によりドローン24を制御すると共に、ドローン24から受信した情報(例えば、位置、薬剤量、電池残量、カメラ映像等)を表示する携帯情報端末である。なお、本実施形態では、ドローン24の飛行状態(高度、姿勢等)は、第1ユーザ端末26が遠隔制御するのではなく、ドローン24が自律的に制御する。従って、第1ユーザ端末26を介してユーザ600からドローン24に飛行指令が送信されると、ドローン24は自律飛行を行う。但し、離陸や帰還等の基本操作時、及び緊急時にはマニュアル操作が行なえるようになっていてもよい。第1ユーザ端末26は、図示しない入出力部(タッチパネル等を含む。)、通信部、演算部及び記憶部を備え、例えば、一般的なタブレット端末により構成される。
【0056】
また、本実施形態の第1ユーザ端末26は、生育診断サーバ22からの作業指示等を受信して表示する。
【0057】
[A-1-6.第2ユーザ端末28]
第2ユーザ端末28は、圃場500において、操作者以外のユーザ602(
図1)が用いる携帯情報端末であり、ドローン24の飛行情報(現在の飛行状況、飛行終了予定時刻等)、ユーザ602に対する作業指示、生育診断の情報等を、診断サーバ22又はドローン24から受信して表示する。第2ユーザ端末28は、図示しない入出力部(タッチパネル等を含む。)、通信部、演算部及び記憶部を備え、例えば、一般的なスマートホンにより構成される。
【0058】
[A-1-7.第3ユーザ端末30]
第3ユーザ端末30は、圃場500以外の場所(例えば、ユーザ600、602が所属する会社)において、生育診断サーバ22による生育診断を利用するためにユーザ600、602等が用いる端末である。第3ユーザ端末30は、図示しない入出力部(例えばキーボード及び表示部を含む。)、通信部、演算部及び記憶部を備え、例えば、デスクトップ型パーソナルコンピュータ(PC)又はノート型PCにより構成される。
【0059】
[A-1-8.収量センサ32]
収量センサ32は、刈り取った作物502の収量Qを計測する装置である。ここでの収量Qは、刈り取った作物502(水稲)の籾数である。或いは、収量Qは、刈り取った作物502の重量であってもよい。収量センサ32は、例えば、収穫後の作物502を保管する倉庫(図示せず)に配置される。或いは、収量センサ32は、収穫を行うコンバイン(図示せず)に設けられてもよい。
【0060】
本実施形態において、収量センサ32で計測された収量Q(以下「計測収量Qm」ともいう。)は、第3ユーザ端末30で入力されて、圃場500のIDと共に生育診断サーバ22に送信される。或いは、収量センサ32がネットワーク通信機能を有する場合、通信ネットワーク38を介して生育診断サーバ22に計測収量Qmが自動的に送信されてもよい。なお、収量センサ32を用いた収量Qの計測は、圃場500全体の収穫後(圃場500全体での刈り取り)だけではなく、圃場500の一部のみについて作物502を刈り取って作物502の収量Qとして計測する場合も含まれる。
【0061】
[A-1-9.ライスグレーダ34]
ライスグレーダ34(くず米率計測器)は、収穫後の作物502(水稲)のくず米率Rを計測する装置である。くず米率Rは、単位量当たりの作物502に含まれる未熟米(例えば、網目幅1.7mmの篩いを通過する米)の割合である。ライスグレーダ34は、例えば、収穫後の作物502を保管する倉庫(図示せず)に配置される。本実施形態において、ライスグレーダ34で計測されたくず米率R(以下「計測くず米率Rm」ともいう。)は、圃場500のIDと共に、第3ユーザ端末30で入力されて、生育診断サーバ22に送信される。或いは、ライスグレーダ34がネットワーク通信機能を有する場合、通信ネットワーク38を介して生育診断サーバ22に計測くず米率Rmが自動的に送信されてもよい。
【0062】
[A-1-10.情報提供サーバ40]
情報提供サーバ40は、気象衛星等により得られた圃場500に関する情報(圃場情報)を生育診断サーバ22に提供する。ここにいう圃場情報には、例えば、圃場500の気温、降水量等が含まれる。
【0063】
<A-2.本実施形態の制御>
[A-2-1.概要]
本実施形態の生育診断システム10では、生育診断制御、ドローン飛行管理制御及び生育診断モデルキャリブレーション管理制御が行われる。生育診断制御は、圃場センサ群20からの各種検出値等に基づいて、作物502の生育診断を行う制御である。ドローン飛行管理制御は、生育診断制御、生育診断モデルキャリブレーション管理制御等のため圃場500においてドローン24の飛行を管理する制御である。生育診断モデルキャリブレーション管理制御は、生育診断モデルのキャリブレーションを行う制御である。
【0064】
[A-2-2.生育診断制御]
上記のように、生育診断制御は、圃場センサ群20からの各種検出値等に基づいて、作物502の生育診断を行う制御であり、主として生育診断サーバ22(特に生育診断部62の診断実行部85)が実行する。ここに言う生育診断には、例えば、圃場500毎の収量Qの推定値(推定収量Qe)の算出及び提示、作物502の各生育フェーズの時期の算出及び提供が含まれる。また、生育診断制御では、施肥、薬剤散布等に関する作業指示も行われる。作業指示は、例えば、第1ユーザ端末26、第2ユーザ端末28又は第3ユーザ端末30の表示部に表示される。
【0065】
生育診断制御としては、例えば、JP2015-000049A又はJP2018-082648Aに記載のものを用いることができる。
【0066】
[A-2-3.ドローン飛行管理制御]
上記のように、ドローン飛行管理制御は、生育診断制御、生育診断モデルキャリブレーション管理制御等のため圃場500においてドローン24の飛行を管理する制御であり、主として生育診断サーバ22(特にドローン飛行管理部60)が実行する。具体的には、ドローン飛行管理制御では、圃場500を撮影する際の飛行経路、目標速度、目標高度等が算出され、ドローン24に送信される。
【0067】
[A-2-4.生育診断モデルキャリブレーション管理制御]
(A-2-4-1.概要)
上記のように、生育診断モデルキャリブレーション管理制御(以下「キャリブレーション管理制御」ともいう。)は、生育診断モデルのキャリブレーションを行う制御であり、主として、生育診断サーバ22(主として生育診断部62)が実行する。ここに言う生育診断モデルのキャリブレーションは、ドローン24が取得した圃場500(又は作物502)の画像に基づいて算出した検出値に基づいて、生育診断モデルのパラメータをキャリブレーション(又は修正)することを含む。
【0068】
キャリブレーション管理制御は、キャリブレーションスケジュール管理制御と、キャリブレーション実行制御とを含む。キャリブレーションスケジュール管理制御(以下「スケジュール管理制御」ともいう。)は、キャリブレーションの実行タイミングを管理する制御である。キャリブレーション実行制御は、スケジュール管理制御で設定された実行タイミング等により、生育診断モデルのキャリブレーションを実行する制御である。
【0069】
(A-2-4-2.キャリブレーションスケジュール管理制御)
(A-2-4-2-1.全体的な流れ)
図4及び
図5は、本実施形態におけるキャリブレーションスケジュール管理制御を示す第1及び第2フローチャートである。上記のように、スケジュール管理制御は、キャリブレーションの実行タイミングを管理する制御である。本実施形態のスケジュール管理制御では、作物502の生育フェーズ等に合わせたスケジュール管理と、キャリブレーション実行時における生育診断モデルのパラメータの変更に伴うスケジュール管理を行う。本実施形態において、スケジュール管理制御及びキャリブレーション実行制御は、圃場500毎に行われる。
【0070】
図4のステップS11において、生育診断サーバ22は、現在必要とされる監視状況(必要監視状況)を判定する。必要監視状況には、通常監視を行う通常監視状況と、集中監視を行う集中監視状況とが含まれる。集中監視状況は、作物502の生育状態の変化が大きいためにキャリブレーションの頻度(頻度F)を上げる状況である。
【0071】
集中監視状況には、例えば、作物502の生育フェーズの切り替わり時期、施肥の前後、作物502の生育状態値V(推定生育状態値Ve等)が目標値(目標生育状態値Vt)から大きく乖離している時、通年の平均温度又は平均日射量からの乖離が大きい時(35℃以上が続いた場合等)、肥料の吸収タイミング、土壌中の窒素量の変化が含まれる。生育フェーズの切り替わりに関しては、
図6を参照して後述する。推定生育状態値Ve等と目標生育状態値Vtとの乖離が大きいか否かの閾値(生育不良判定閾値THvd)は、作物502の生育フェーズ毎に切り替えることができる。通年の平均温度からの乖離が大きいか否かを判定する閾値(温度乖離判定閾値THt)及び通年の平均日射量からの乖離が大きいか否かを判定する閾値(日射量乖離判定閾値THs)は、作物502の生育フェーズ毎に切り替えることができる。
【0072】
通常監視状況は、キャリブレーション対象期間のうち集中監視状況以外の状況である。
【0073】
図4のステップS12において、生育診断サーバ22は、ステップS11の判定結果に基づいて、現在の必要監視状況が通常監視状況であるか否かを判定する。現在の必要監視状況が通常監視状況である場合(S12:真)、ステップS13に進む。
【0074】
ステップS13において、診断サーバ22は、作物502の完熟期(又は収穫期)が未到来であるか否かを判定する。当該判定は、制御対象となっている圃場500について、例えば、対象時期における作物502の計測収量Qm又は計測くず米率Rmの入力が行われたか否かに基づいて判定する。作物502の完熟期が未到来である場合(S13:真)、ステップS14に進む。
【0075】
ステップS14において、診断サーバ22は、現在のキャリブレーションスケジュールが、通常監視状況におけるデフォルト(初期)スケジュールであるか否かを判定する。換言すると、診断サーバ22は、前回以前のスケジュール管理制御においてステップS17、S19でスケジュールが変更された状態が維持されていないか否かを判定する。当該判定は、例えば、スケジュール変更を行ったか否かを示すフラグの値を確認することで行うことができる。通常監視状況におけるデフォルトスケジュールである場合(S14:真)、ステップS15に進む。
【0076】
ステップS15において、診断サーバ22は、生育診断モデルにより算出した作物502の生育状態値(以下「推定生育状態値Ve」又は「推定値Ve」という。)と、圃場画像に基づき算出した作物502の生育状態値(以下「検出生育状態値Vd」又は「検出値Vd」という。)との差分Dが許容範囲内にあるか否かを判定する。換言すると、差分Dの絶対値が第1頻度判定差分閾値THfm1以下であるか否かを判定する。第1頻度判定差分閾値THfm1は、後述する差分閾値THd(
図7のS58)と同一の値を用いることができる。推定値Ve及び検出値Vdの算出方法、種類等については、
図7のステップS56、S57に関連して後述する。差分Dが許容範囲内にある場合(S15:真)、ステップS16に進む。
【0077】
ステップS16において、診断サーバ22は、差分Dが微少であるか否か(換言すると、前記許容範囲内にある差分Dがその中でも非常に小さい値であるか否か)を判定する。換言すると、差分Dの絶対値が第2頻度判定差分閾値THfm2以下であるか否かを判定する。差分Dが微少である場合(S16:真)、生育診断モデルのパラメータは非常に有効な値であると考えることができる。そこで、ステップS17において、診断サーバ22は、デフォルトスケジュールよりもキャリブレーションの頻度Fを下げる。例えば、通常監視状況でのデフォルトスケジュールでは、キャリブレーションを1ヶ月に1回行うところ、ステップS17の結果、診断サーバ22は、キャリブレーションを1.5ヶ月に1回行うように変更する。
【0078】
ステップS16に戻り、僅差Dが微少でない場合(S16:偽)、ステップS18において、診断サーバ22は、通常監視状況におけるデフォルトスケジュールを維持する。
【0079】
ステップS15に戻り、差分Dが許容範囲内にない場合(S15:偽)、生育診断モデルのパラメータの信頼性が低くなっている可能性がある。そこで、ステップS19において、診断サーバ22は、通常監視状況におけるデフォルトスケジュールよりもキャリブレーションの頻度Fを増加させる。例えば、通常監視状況でのデフォルトスケジュールでは、キャリブレーションを1ヶ月に1回行うところ、ステップS19の結果、診断サーバ22は、キャリブレーションを0.5ヶ月に1回行うように変更する。
【0080】
ステップS14に戻り、現在のキャリブレーションスケジュールが通常監視状況におけるデフォルトスケジュールでない場合(S14:偽)、現在のキャリブレーションスケジュールは、ステップS17、S19により、デフォルトスケジュールから変更したスケジュールである。その場合、ステップS20に進む。
【0081】
ステップS20において、診断サーバ22は、スケジュール変更の解除条件が成立したか否かを判定する。例えば、ステップS17においてキャリブレーション頻度Fを減少させている場合、差分Dの絶対値が、頻度Fの減少を解除する閾値(第1解除閾値THfr1)を上回ったか否かを判定する。差分Dの絶対値が、第1解除閾値THfr1を上回った場合、解除条件が成立したと判定する。また、ステップS19においてキャリブレーション頻度Fを増加させている場合、差分Dの絶対値が、頻度Fの増加を解除する閾値(第2解除閾値THfr2)を下回ったか否かを判定する。差分Dの絶対値が、第2解除閾値THfr2を下回った場合、解除条件が成立したと判定する。
【0082】
スケジュール変更の解除条件が成立した場合(S20:真)、ステップS21において、診断サーバ22は、スケジュールを通常監視状況におけるデフォルトスケジュールに戻す。スケジュール変更の解除条件が成立しない場合(S20:偽)、ステップS22において、診断サーバ22は、現在のスケジュール(通常監視状況におけるデフォルトスケジュールから変更しているスケジュール)を維持する。換言すると、診断サーバ22は、現在のキャリブレーション頻度Fを維持する。
【0083】
ステップS13に戻り、作物502の完熟期が到来済である場合(S13:偽)、今回の生育についてはキャリブレーションの必要性が無くなったと言える。そこで、ステップS23において、診断サーバ22は、キャリブレーションを早期終了する。
【0084】
ステップS12に戻り、現在の必要監視状況が通常監視状況でない場合(S12:偽)、現在の必要監視状況は集中監視状況である。その場合、
図5のステップS31に進む。
図5のステップS31~S39は、基本的に、
図4のステップS14~S22と同様の流れとなる。但し、
図4のステップS14~S22が通常監視状況に基づくのに対し、
図5のステップS31~S39は集中監視状況に基づく。そのため、各ステップにおける閾値等は
図4と異ならせることができる。
【0085】
具体的には、ステップS31において、診断サーバ22は、現在のキャリブレーションスケジュールが、集中監視状況におけるデフォルトスケジュールであるか否かを判定する。換言すると、診断サーバ22は、前回以前のスケジュール管理制御においてステップS34、S36でスケジュールが変更された状態が維持されていないか否かを判定する。集中監視状況におけるデフォルトスケジュールである場合(S31:真)、ステップS32に進む。
【0086】
ステップS32において、診断サーバ22は、生育診断モデルにより算出した推定生育状態値Ve(推定値Ve)とドローン画像に基づく検出生育状態値Vd(検出値Vd)との差分Dが許容範囲内にあるか否かを判定する。換言すると、差分Dの絶対値が第1頻度判定差分閾値THfm1以下であるか否かを判定する。差分Dが許容範囲内にある場合(S32:真)、ステップS33に進む。
【0087】
ステップS33において、診断サーバ22は、差分Dが微少であるか否か(換言すると、前記許容範囲内にある差分Dがその中でも非常に小さい値であるか否か)を判定する。換言すると、差分Dの絶対値が第2頻度判定差分閾値THfm2以下であるか否かが判定する。差分Dが微少である場合(S33:真)、ステップS34において、診断サーバ22は、集中監視状況におけるデフォルトスケジュールよりもキャリブレーションの頻度Fを下げる。例えば、集中監視状況でのデフォルトスケジュールでは、キャリブレーションを1週間に1回行うところ、ステップS34の結果、診断サーバ22は、キャリブレーションを2週間に1回行うように変更する。
【0088】
ステップS33に戻り、差分Dが微少でない場合(S33:偽)、ステップS35において、診断サーバ22は、集中監視状況におけるデフォルトスケジュールを維持する。
【0089】
ステップS32に戻り、差分Dが許容範囲内にない場合(S32:偽)、ステップS36において、診断サーバ22は、集中監視状況におけるデフォルトスケジュールよりもキャリブレーションの頻度Fを増加させる。例えば、集中監視状況でのデフォルトスケジュールでは、キャリブレーションを1週間に1回行うところ、ステップS36の結果、診断サーバ22は、キャリブレーションを3日に1回行うように変更する。
【0090】
ステップS31に戻り、現在のキャリブレーションスケジュールが集中監視状況におけるデフォルトスケジュールでない場合(S31:偽)、現在のキャリブレーションスケジュールは、ステップS34、S36により、デフォルトスケジュールから変更したスケジュールである。その場合、ステップS37に進む。
【0091】
ステップS37において、診断サーバ22は、スケジュール変更の解除条件が成立したか否かを判定する。例えば、ステップS34においてキャリブレーション頻度Fを減少させている場合、差分Dの絶対値が、頻度Fの減少を解除する閾値(第1解除閾値THfr1)を上回ったか否かを判定する。差分Dの絶対値が、第1解除閾値THfr1を上回った場合、解除条件が成立したと判定する。また、ステップS36においてキャリブレーション頻度Fを増加させている場合、差分Dの絶対値が、頻度Fの増加を解除する閾値(第2解除閾値THfr2)を下回ったか否かを判定する。差分Dの絶対値が、第2解除閾値THfr2を下回った場合、解除条件が成立したと判定する。
【0092】
スケジュール変更の解除条件が成立した場合(S37:真)、ステップS38において、診断サーバ22は、スケジュールを集中監視状況におけるデフォルトスケジュールに戻す。スケジュール変更の解除条件が成立しない場合(S37:偽)、ステップS39において、診断サーバ22は、現在のスケジュール(集中監視状況におけるデフォルトスケジュールから変更しているスケジュール)を維持する。換言すると、診断サーバ22は、現在のキャリブレーション頻度Fを維持する。
【0093】
(A-2-4-2-2.必要監視状況の判定(
図4のS11))
図6は、本実施形態における必要監視状況の判定方法を説明するための説明図である。
図6では、作物502の生育フェーズと、必要監視状況と、キャリブレーション頻度Fとの関係が示されている。
【0094】
生育フェーズは、栄養生長期と、生殖生長期と、登熟期とを含む。栄養生長期は、発芽から穂の基となるもの(穂の原基)ができるまでの期間である。生殖生長期は、穂の原基ができてから出穂・開花までの期間である。登熟期は、出穂・開花から成熟までの期間である。
【0095】
図6に示すように、本実施形態では、栄養生長期と生殖生長期の切り替わり時期に必要監視状況を集中監視状況とし、その他の期間を通常監視状況とする。
【0096】
なお、上記のように、必要監視状況の判定(
図4のS11)は、生育フェーズに限らず、その他の要素(例えば、施肥のタイミング、通年の平均気温や平均日射量からの乖離量、肥料の吸収タイミング、土壌中の窒素量の変化)も考慮して行われる。例えば、生育フェーズが栄養生長期と生殖生長期の切り替わり時期ではなくても、施肥の前後、異常気象等の場合、集中監視状況を選択する。
【0097】
(A-2-4-3.キャリブレーション実行制御)
図7は、本実施形態におけるキャリブレーション実行制御のフローチャートである。上記のように、キャリブレーション実行制御は、スケジュール管理制御で設定された実行タイミング等により、生育診断モデルのキャリブレーションを実行する制御である。
【0098】
図7のステップS51において、生育診断サーバ22(スケジュール管理部80)は、キャリブレーションスケジュール管理制御によるキャリブレーション実行タイミングが到来したか否かを判定する。当該判定は、診断サーバ22が管理している圃場500毎に行う。キャリブレーション実行タイミングが到来した場合(S51:真)、ステップS52に進む。
【0099】
ステップS52において、診断サーバ22は、キャリブレーションのため、ドローン24による圃場500の撮影を要求する。具体的には、診断サーバ22は、第1ユーザ端末26等の表示部(タッチパネル等)に作業指示を表示させる。この作業指示を見たユーザ600は、第1ユーザ端末26を操作して、対象となる圃場500についてドローン24による撮影を実施する。ドローン24が取得した画像のデータは、直ぐに診断サーバ22に送信される。或いは、画像のデータは、撮影終了後に一括して送信してもよい。
【0100】
ステップS53において、診断サーバ22は、ドローン24の撮影が正常に行われたか否かを判定する。例えば、診断サーバ22は、所定時間以上継続して圃場画像の同じ部分の検出照度が固定値になっているか否かを判定する。当該判定により、カメラ120の撮像部分に汚れが付着しているか否かを判定可能である。また、診断サーバ22は、圃場画像全体の照度が弱すぎる又は強すぎるときに撮影不良であると判定可能である。例えば、圃場画像におけるハレーション領域の面積(又は画素数)が、撮影不良を判定する閾値(撮影不良閾値)以上であるか否かを判定する。ハレーション領域は、画素の輝度が最大値(8ビットの場合、255)である領域を示す。
【0101】
ステップS53の判定は、圃場500毎に行う。或いは、ステップS53の判定は、圃場500に含まれる部分領域毎に行ってもよい。ドローン24の撮影が正常であると判定した場合(S53:真)、ステップS56に進む。
【0102】
一方、ドローン24の撮影が正常でないと判定した場合(S53:偽)、ステップS54において、診断サーバ22は、ドローン24による再撮影を要求する。具体的には、再撮影要求部74は、前回撮影とは異なる時間帯での再撮影を要求する(S54)。例えば、前回撮影から30分以上が経過した後に再撮影を行うことを要求する。撮影日を異ならせる場合、前回撮影の撮影時刻に対して±30分以上ずらした時刻を用いてもよい。或いは、異なる時間帯の代わりに、異なる太陽高度(例えば±3.8度以上)を用いてもよい。当該要求は、例えば、第1ユーザ端末26の表示部に表示される。
【0103】
或いは、再撮影要求部74は、ドローン24と太陽との相対的な位置関係が前回撮影とは異なる向きでの再撮影を要求してもよい。これにより、前回撮影が逆光状態で行われた場合等に対応可能となる。或いは、再撮影要求部74は、前回撮影とは異なる天候での再撮影を要求してもよい。例えば、前回撮影が晴天時に行われた場合、再撮影を曇り時に行うよう要求してもよい。或いは、再撮影要求部74は、ドローン24と圃場500との相対的な位置関係が前回撮影とは異なる向きでの再撮影を要求してもよい。例えば、前回撮影が条間に沿った方向で行われた場合、再撮影は、条間と直行する方向又は条間に対して斜めの方向で行うように要求してもよい。
【0104】
撮影不良の判定を圃場500毎又はその部分領域毎に行った場合、再撮影の対象は、当該圃場500とすることができる。また、撮影不良の判定を圃場500の部分領域毎に行った場合、再撮影の対象は、当該部分領域としてもよい。
【0105】
再撮影の作業指示を受けたユーザ600は、ステップS55において、第1ユーザ端末26を操作して対象の圃場500に対してドローン24による再撮影を実行する。ステップS55の後はステップS53に戻る。
【0106】
ステップS56において、診断サーバ22は、ドローン24から受信した画像データを処理して、作物502の生育状態値V(検出生育状態値Vd)を算出する。例えば、作物502としての水稲の近赤外光(NIR)及び赤外光(IR)を撮影した場合、カメラ120で受光した近赤外光と赤外光の光量の差が全体光量に占める割合である赤色光吸収率(つまり、作物502に吸収されている赤色光の割合)に基づいて、水稲の成長度合いを判定可能である。
【0107】
ここで算出する検出生育状態値Vdは、生育フェーズ(
図6)に合わせて選択することができる。栄養生長期では、例えば、作物502の高さ、葉の数、赤色光吸収率、有効受光面積率(圃場面積において光合成を行うことができる葉の面積率)、NDVI(Normalized Difference Vegetation Index)、分けつ数、葉身長、作物502の密度(土と作物502の面積割合)を用いることができる。生殖生長期では、例えば、作物502の高さ、葉の数、有効受光面積率、NDVIを用いることができる。登熟期では、例えば、籾数、NDVIを用いることができる。
【0108】
ステップS57において、診断サーバ22は、生育診断モデルに基づいて、作物502の生育状態値V(推定生育状態値Ve)を算出する。ここで算出する推定生育状態値Veは、検出生育状態値Vdとの比較に用いられるため、ステップS56で算出した検出生育状態値Vdと同じ種類の値が算出される。
【0109】
ステップS58において、診断サーバ22は、推定生育状態値Veと検出生育状態値Vdの差分Dが許容範囲内にあるにあるか否かを判定する。換言すると、差分Dの絶対値が差分閾値THd以下であるか否かを判定する。例えば、ステップS56に関して上述したような生育状態値V(籾数等)の種類に応じた許容範囲を設定し、差分Dが当該許容範囲内にあるか否かを判定する。なお、ステップS58で比較する生育状態値Vが収量Qであり且つ前期以前において計測収量Qmが入力されている場合、検出値Vdとしての収量Q(検出収量Qd)よりも計測収量Qmを優先して用いてもよい。前期以前について計測くず米率Rmが入力されている場合も同様である。
【0110】
差分Dvが許容範囲内にある場合(S58:真)、生育診断モデルは正常に機能していると考えられる。そこで、今回のキャリブレーション実行制御を終了する。差分Dvが許容範囲内にない場合(S58:偽)、生育診断モデルのパラメータ(係数又は初期値)に問題があると考えられる。その場合、ステップS59に進む。
【0111】
ステップS59において、診断サーバ22は、生育モデルのパラメータを修正する。例えば、JP2015-000049Aの数3([0056])における傾きaを、推定値Veが検出値Vdに近づくように所定量変化させてもよい。
【0112】
ステップS51に戻り、キャリブレーションスケジュール管理制御によるキャリブレーション実行タイミングが到来していない場合(S51:偽)、ステップS60に進む。ステップS60において、診断サーバ22は、収量センサ32による収量Q(計測収量Qm)又はライスグレーダ34によるくず米率R(計測くず米率Rm)の入力があったか否かを判定する。
【0113】
計測収量Qm又は計測くず米率Rmの入力があった場合(S60:真)、ステップS61において、診断サーバ22は、入力された計測収量Qm又は計測くず米率Rmを用いて生育診断モデルのパラメータを修正する。例えば、現在の推定値Veとしての収量Q(推定収量Qe)を、入力された収量Q(計測収量Qm)に近付けるようにモデルパラメータを修正する。同様に、現在の推定値Veとしてのくず米率R(推定くず米率Re)を、入力されたくず米率R(計測くず米率Rm)に近付けるようにモデルパラメータを修正する。
【0114】
上記のように、ドローン画像は撮影後直ぐに送信されるため、
図7の各ステップは並行して行ってもよい。
【0115】
<A-3.本実施形態の効果>
本実施形態によれば、生育診断モデルにより算出した推定生育状態値Veと、カメラ120が取得した圃場500の画像に基づく検出生育状態値Vdとを比較して生育診断モデルを修正する(
図7のS56~S59)。これにより、圃場500の画像に基づく検出生育状態値Vdの信頼性に応じた精度で、圃場500毎の特性に応じた生育診断を行うことが可能となる。また、圃場500の画像を用いることで、圃場500毎の特性に応じた生育診断を簡易に行うことが可能となる。
【0116】
本実施形態において、作物502の生育状態値Vは、イネの籾数を含む。モデル修正部84は、生育診断モデルにより算出した作物20の推定籾数とドローン24の画像に基づいて算出した作物20(水稲)の検出籾数との差分Dが、差分閾値THd(第1差分閾値)を超えた場合(
図7のS58:偽)、生育診断モデルを修正する(S59)。これにより、生育診断モデルを修正する必要性が高い場合のみ、当該修正を行うことができる。
【0117】
本実施形態において、生育診断システム10は、カメラ120による撮影不良の有無を圃場500の画像に基づいて判定する撮影不良判定部81をさらに有する(
図2)。また、画像処理部82(検出状態値算出部)は、撮影不良が無かった(
図7のS53:真)と撮影不良判定部81が判定した圃場500の画像に基づいて、作物502の生育状態値Vである検出生育状態値Vdを算出する(
図7のS56)。これにより、撮影不良がない場合(すなわち、撮影が正常である場合)のみ、検出生育状態値Vdを用いることが可能となる。
【0118】
本実施形態において、撮影不良があったと撮影不良判定部81が判定した場合(
図7のS53:偽)、カメラ120による再撮影を要求する(S54)再撮影要求部74をさらに有する(
図2)。これにより、再撮影により検出生育状態値Vdの精度を高めることで、生育診断モデルの信頼性を高めることが可能となる。
【0119】
本実施形態において、撮影不良判定部81は、圃場500毎に又は圃場500に含まれる部分領域毎に撮影不良の有無を判定する(
図7のS53)。また、再撮影要求部74は、撮影不良があった場合(S53:偽)、撮影不良があった圃場500についての再撮影を要求する(S54)。これにより、圃場500単位で検出生育状態値Veを取得し直すことが可能となる。
【0120】
また、撮影不良判定部81が圃場500に含まれる部分領域毎に撮影不良の有無を判定した場合且つ撮影不良があった場合、再撮影要求部74は、撮影不良があった部分領域についての再撮影を要求してもよい。これにより、撮影不良が生じた部分領域のみについて再撮影を行うことで工数を低減可能となる。
【0121】
本実施形態において、撮影不良があったと撮影不良判定部81が判定した場合(
図7のS53:偽)、再撮影要求部74は、前回撮影とは異なる時間帯又は異なる太陽高度での再撮影を要求する(S54)。或いは、再撮影要求部74は、ドローン24と太陽との相対的な位置関係が前回撮影とは異なる向きでの再撮影を要求する。或いは、再撮影要求部74は、前回撮影とは異なる天候での再撮影を要求する。或いは、再撮影要求部74は、カメラ120と圃場500との相対的な位置関係が前回撮影とは異なる向きでの再撮影を要求する。いずれの場合も、撮影不良が再現する可能性を低減することが可能となる。
【0122】
本実施形態において、生育診断システム10は、推定生育状態値Veと検出生育状態値Vdとの差分Dの絶対値が差分閾値THd(第1差分閾値)を超えたと乖離判定部83が判定した場合(
図7のS58:偽)、モデル修正部84は、診断モデルのパラメータを修正する(S59)。これにより、推定生育状態値Veと検出生育状態値Vdとの乖離の原因が生育診断モデルのパラメータにある場合、生育診断モデルをより好適に修正することが可能となる。
【0123】
本実施形態において、生育診断システム10は、カメラ120を搭載したドローン24と、推定生育状態値Veと検出生育状態値Vdとの比較のためのドローン24による撮影のスケジュールを管理するスケジュール管理部80とをさらに有する(
図2及び
図3)。推定生育状態値Veと検出生育状態値Vdとの差分Dの絶対値が第1頻度判定差分閾値THfm1(=差分閾値THd(第1差分閾値))を超えたと乖離判定部83が判定した場合(
図4のS15:偽、又は
図5のS32:偽)、スケジュール管理部80は、当初計画の次回撮影よりも前に新たな撮影予定を加える又は次回撮影の時期を当初計画よりも早める(
図4のS19又は
図5のS36)。これにより、推定生育状態値Veと検出生育状態値Vdとの乖離がないか、換言すると、生育診断モデルの信頼性が高いかを比較的早期に再確認することが可能となる。
【0124】
本実施形態において、推定生育状態値Veと検出生育状態値Vdとの差分Dの絶対値が第1頻度判定差分閾値THfm1(=差分閾値THd(第1差分閾値))を超えたと乖離判定部83が判定した後(
図4のS15:偽、又は
図5のS32:偽)、差分Dが第2解除閾値THfr2(第2差分閾値)を下回った場合(
図4のS20:真、又は
図5のS37:真)、スケジュール管理部80は、撮影のスケジュールを当初計画に戻す(
図4のS38、
図5のS21)。これにより、推定生育状態値Veと検出生育状態値Vdとの差分Dの絶対値が十分小さくなったと判定可能になった場合、換言すると、生育診断モデルの信頼性が十分高くなったと判定可能になった場合、ドローン24の撮影タイミングを遅らせることが可能となる。
【0125】
本実施形態において、推定生育状態値Veと検出生育状態値Vdとの差分Dの絶対値が第2頻度判定差分閾値THfm2(第3差分閾値)を下回り(
図4のS16:真、又は
図5のS33:真)、作物502の成長が予定通り又は予定よりも早まっている場合、スケジュール管理部80は、当初計画よりも撮影回数を減らす(
図4のS17、
図5のS34)。これにより、推定生育状態値Veと検出生育状態値Vdとの差分Dの絶対値が十分小さいと判定可能になった場合、換言すると、生育診断モデルの信頼性が十分高いと判定可能である場合、ドローン24の撮影タイミングを遅らせることが可能となる。
【0126】
本実施形態において、作物502が予定よりも早く成熟した場合(
図4のS13:偽)、スケジュール管理部80は、撮影最終回のタイミングを早める(S23)。これにより、不要なタイミングでの撮影を回避することが可能となる。
【0127】
本実施形態において、スケジュール管理部80は、集中監視状況(作物502の生育状態値Vの変化量、若しくは単位期間当たりの生育状態値Vの変化量、又は生育状態値Vの絶対値が第1頻度閾値よりも大きいタイミング)では(
図4のS12:偽)、キャリブレーション頻度F(又はドローン24による撮影頻度)を上げる(
図5のS35、S38、
図6)。これにより、集中監視状況で生育診断システム10の信頼性を確認し易くなる。
【0128】
本実施形態において、スケジュール管理部80は、通常監視状況(作物502の生育状態値Vの変化量、若しくは単位期間当たりの生育状態値Vの変化量、又は生育状態値Vの絶対値が第2頻度閾値よりも小さいタイミング)では(
図4のS12:真)、キャリブレーション頻度F(又はドローン24による撮影頻度)を下げる(S18、S21)。これにより、通常監視状況では、ドローン24の撮影頻度を抑えることが可能となる。
【0129】
本実施形態において、スケジュール管理部80は、必要監視状況の判定で用いる閾値(生育不良判定閾値THvd、温度乖離判定閾値THt、日射量乖離判定閾値THs等(第1頻度判定閾値、第2頻度判定閾値)を作物502の生育フェーズに合わせて切り替える(
図4のS11)。これにより、作物502の生育フェーズに応じて撮影頻度を切り替えることが可能となる。
【0130】
本実施形態において、栄養生長期から生殖生長期への切り替わり時期(作物502の生育フェーズの移行時期)におけるドローン24の撮影頻度F(移行時頻度)は、同切り替わり時期以外の時期における通常の撮影頻度F(通常頻度)よりも大きい(
図6)。また、推定生育状態値Veと検出生育状態値Vdとの差分Dの絶対値が第1頻度判定差分閾値THfm1(=差分閾値THd(第1差分閾値))を超えたと乖離判定部83が判定した際(
図5のS32:偽)にスケジュール管理部80が設定し得る撮影頻度Fの最大値である乖離時最大頻度は、移行時頻度よりも大きい(
図5のS35、S36、S38)。これにより、推定生育状態値Veと検出生育状態値Vdとの乖離がある場合の撮影頻度を大きくして、生育診断システム10の信頼性を高めることが可能となる。
【0131】
本実施形態において、生育診断システム10は、刈り取った作物502の収量Qを計測する収量センサ32と、計測した収量Q(計測収量Qm)を入力する第3ユーザ端末30(収量入力部)とを備える(
図1)。推定生育状態値Veは、生育診断モデルにより算出した作物502の収量Q(推定収量Qe)を含み、検出生育状態値Vdは、圃場500の画像に基づいて算出した作物502の収量Q(検出収量Qd)を含む(
図7のS56、S57)。第3ユーザ端末30に計測収量Qmが入力された場合(S60:真)、モデル修正部84は、計測収量Qmと推定収量Qeとを比較して生育診断モデルを修正する(S61)。
【0132】
これにより、検出収量Qdよりも計測収量Qmの方が精度が高い場合には、計測収量Qmと推定収量Qeの比較結果を優先して用いることで、生育診断システム10の信頼性を高めることが可能となる。
【0133】
本実施形態において、生育診断システム10は、収穫後のくず米率Rを計測するライスグレーダ34(くず米率計測器)と、計測したくず米率R(計測くず米率Rm)を入力する第3ユーザ端末30(くず米率入力部)とを備える(
図1)。推定生育状態値Veは、生育診断モデルにより算出したくず米率R(推定くず米率Re)を含み、検出生育状態値Vdは、ドローン画像に基づいて算出したくず米率R(検出くず米率Rd)を含む(
図7のS56、S57)。第3ユーザ端末30に計測くず米率Rmが入力された場合(S60:真)、モデル修正部84は、計測くず米率Rmと推定くず米率Reと比較して生育診断モデルを修正する(S61)。
【0134】
これにより、検出くず米率Rdよりも計測くず米率Rmの方が精度が高い場合には、計測くず米率Rmと推定くず米率Reの比較結果を優先して用いることで、生育診断システム10の信頼性を高めることが可能となる。
【0135】
B.変形例
なお、本発明は、上記実施形態に限らず、本明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
【0136】
<B-1.生育診断システム10>
上記実施形態の生育診断システム10は、
図1に示すような構成要素を有していた。しかしながら、例えば、生育診断モデルによる推定生育状態値Veと、圃場500又は作物502の画像に基づく検出生育状態値Vdとを比較して生育診断モデルを修正する観点からすれば、これに限らない。例えば、生育診断システム10は、第1ユーザ端末26、第2ユーザ端末28、第3ユーザ端末30、収量センサ32、ライスグレーダ34及び情報提供サーバ40の1つ又は複数を省略することも可能である。
【0137】
上記実施形態では、圃場画像を撮像するカメラ120をドローン24に設けた(
図3)。しかしながら、例えば、生育診断モデルによる推定生育状態値Veと、圃場500又は作物502の画像に基づく検出生育状態値Vdとを比較して生育診断モデルを修正する観点からすれば、これに限らない。例えば、圃場500又は作物502の画像を撮像するカメラ120を、圃場500に固定配置してもよい。或いは、生育診断モデルによる推定生育状態値Veと、作物502の画像に基づく検出生育状態値Vdとを比較して生育診断モデルを修正する観点からすれば、カメラ120は、圃場500以外の場所において作物502の画像を撮像してもよい。
【0138】
上記実施形態では、生育診断の機能(生育診断部62)を生育診断サーバ22に設けた(
図2)。しかしながら、例えば、生育診断モデルによる推定生育状態値Veと、圃場500又は作物502の画像に基づく検出生育状態値Vdとを比較して生育診断モデルを修正する観点からすれば、これに限らない。例えば、生育診断の機能をドローン24に持たせることも可能である。同様に、生育診断モデルのキャリブレーション機能を、ドローン24に設けることも可能である。
【0139】
上記実施形態では、作物502として水稲を用いた。しかしながら、例えば、生育診断モデルによる推定生育状態値Veと、圃場500又は作物502の画像に基づく検出生育状態値Vdとを比較して生育診断モデルを修正する観点からすれば、これに限らない。例えば、作物502は、陸稲、小麦、大麦、大豆等であってもよい。
【0140】
<B-2.キャリブレーション制御>
上記実施形態では、キャリブレーション実行制御を行うタイミングを生育診断サーバ22が自動で設定した(
図4、
図5)。しかしながら、例えば、生育診断モデルによる推定生育状態値Veと、圃場500又は作物502の画像に基づく検出生育状態値Vdとを比較して生育診断モデルを修正する観点からすれば、これに限らない。例えば、キャリブレーション実行制御を行うタイミングは、ユーザ600が判断してもよい。
【0141】
上記実施形態では、キャリブレーション頻度Fを、通常監視状況について3段階想定していた(
図4のS17、S18、S19)。しかしながら、例えば、生育診断モデルの信頼性に応じて頻度Fを設定する観点からすれば、これに限らない。例えば、通常監視状況における頻度Fを2段階又は4段階以上としてもよい。集中監視状況についても同様である。
【0142】
上記実施形態では、推定生育状態値Veと検出生育状態値Vdの差分Dが許容範囲内であるか否かを、差分Dの絶対値と差分閾値THd(第1差分閾値)との比較で判定した(
図7のS58)。しかしながら、例えば、差分Dが許容範囲内にあるか否かを判定する観点からすれば、これに限らない。例えば、差分Dが推定生育状態値Ve(又は検出生育状態値Vd)に占める割合が閾値内であるか否かを用いて差分Dが許容範囲内であるか否かを判定してもよい。
図4のステップS15、S16、S20、
図5のステップS32、S33、S37等も同様である。
【0143】
<B-3.その他>
上記実施形態では、
図4、
図5及び
図7に示すフローを用いた。しかしながら、例えば、本発明の効果を得られる場合、フローの内容(各ステップの順番)は、これに限らない。例えば、
図7のステップS52、S56とステップS57との順番を入れ替えることが可能である。
【符号の説明】
【0144】
10…生育診断システム
22…生育診断サーバ(生育診断装置)
24…ドローン
30…第3ユーザ端末(収量入力部、くず米率入力部)
32…収量センサ
34…ライスグレーダ(くず米率計測器)
72…再撮影要求部 80…スケジュール管理部
81…撮影不良判定部
82…画像処理部(検出生育状態値算出部)
83…乖離判定部 84…モデル修正部
120…カメラ 500…圃場
502…作物 D…差分
Q…収量 Qe…推定収量
Qm…計測収量 R…くず米率
Re…推定くず米率 Rm…計測くず米率
V…生育状態値 Vd…検出生育状態値
Ve…推定生育状態値 THd…差分閾値(第1差分閾値)
THfm1…第1頻度判定差分閾値(第1差分閾値)
THfm2…第2頻度判定差分閾値(第3差分閾値)
THfr2…第2解除閾値(第2差分閾値)
THs…日射量乖離判定閾値(第1頻度判定閾値、第2頻度判定閾値)
THt…温度乖離判定閾値(第1頻度判定閾値、第2頻度判定閾値)
THvd…生育不良判定閾値(第1頻度判定閾値、第2頻度判定閾値)