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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】カバー
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/30 20160101AFI20221114BHJP
【FI】
A61B34/30
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022534736
(86)(22)【出願日】2021-06-16
(86)【国際出願番号】 JP2021022812
【審査請求日】2022-06-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515075692
【氏名又は名称】リバーフィールド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(72)【発明者】
【氏名】後谷 好紀
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-195402(JP,A)
【文献】特開平03-146047(JP,A)
【文献】特表2013-530771(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0151848(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/30-34/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、処置部と、前記基部に対して前記処置部が相対的に可動となるように、前記基部と前記処置部とを互いに連結させる連結部と、を有する外科処置具を覆うためのカバーであって、
前記カバーは筒形状をなしており、前記基部の外囲に密着して配置される根元部と、前記処置部の一部に密着して配置される先端部と、前記連結部を覆う中間部と、を備え
前記先端部は、その周方向の一部範囲に、開口径の拡大及び縮小を可能とする伸縮部を有することを特徴とするカバー。
【請求項2】
前記中間部は、その周方向の一部範囲に、前記連結部の動きに合わせて伸縮可能な可撓部を有し、
前記伸縮部は前記可撓部とは独立して伸縮するように形成されている請求項1に記載のカバー。
【請求項3】
前記可撓部は、前記連結部の動きに合わせて伸縮可能となるように、前記根元部と前記先端部よりも薄く形成される請求項2に記載のカバー。
【請求項4】
前記可撓部は、前記連結部の動きに合わせて、前記筒形状の延伸方向に伸縮可能とさせる蛇腹構造を有する請求項2に記載のカバー。
【請求項5】
前記可撓部は、前記根元部及び前記先端部の少なくとも一方とは異なる材料で構成される請求項2に記載のカバー。
【請求項6】
前記根元部は、前記連結部の動きに関わらずに、前記基部と前記処置部に対する密着状態を維持可能な厚みを有する請求項2から請求項5のいずれか1項に記載のカバー。
【請求項7】
前記先端部は、前記連結部の動きに関わらずに、前記基部と前記処置部に対する密着状態を維持可能な厚みを有する請求項6に記載のカバー。
【請求項8】
前記連結部は、前記基部に対して前記処置部を相対的に回動可能とする回動軸を備える請求項2から請求項7のいずれか1項に記載のカバー。
【請求項9】
前記伸縮部は、前記先端部を、その周方向に沿って伸縮可能とさせる蛇腹構造を有する請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のカバー。
【請求項10】
前記伸縮部は、前記外科処置具の動きに合わせて伸縮可能となるように、前記先端部の他の部分よりも薄く形成される請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のカバー。
【請求項11】
前記伸縮部は、前記外科処置具の動きに合わせて伸縮可能となるように、前記先端部の他の部分とは異なる材料で構成される請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のカバー。
【請求項12】
前記根元部の内面には、前記基部の外面に設けた基部側嵌合部と嵌合し、前記基部に対して前記筒形状の延伸方向に沿った相対移動を規制する、根元部側嵌合部が設けられている請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のカバー。
【請求項13】
前記基部側嵌合部は内側へ凹設された嵌合凹部であり、前記根元部側嵌合部は内側へ突出した嵌合凸部である請求項12に記載のカバー。
【請求項14】
前記可撓部は、その周方向において、一定角度間隔ごとに複数設けられている請求項2に記載のカバー。
【請求項15】
前記可撓部は、その周方向において、前記基部に対する前記処置部の相対的な動作の方向に対応するように配置されている請求項2に記載のカバー。
【請求項16】
前記中間部は、その周方向において、前記可撓部が設けられていない領域に、前記根元部及び前記先端部の少なくとも一方よりも厚い厚肉部を有する請求項2に記載のカバー。
【請求項17】
前記カバーは、その外面に、前記外科処置具への装着方向を示すマークを有する請求項1から請求項16のいずれか1項に記載のカバー。
【請求項18】
前記カバーが装着された状態において、前記根元部側嵌合部が設けられた部分の外径は他の部分の外径よりも大きくない、請求項12に記載のカバー。
【請求項19】
前記カバーは、その外面に、前記伸縮部の周方向の位置を示すマークを有する、請求項1から請求項18のいずれか1項に記載のカバー。
【請求項20】
前記可撓部は内側から厚さが削られて肉薄とされる、請求項2に記載のカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基部に対して処置部が相対的に可動とされた外科処置具を覆うためのカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の外科処置具用カバーは、関節部を介して基部と処置部が設けられた外科処置具を覆う筒状のカバーであって、基部側の外周面に配置される根元部と、処置部側の少なくとも一部の周囲を覆う先端部と、関節部の周囲を覆う中央部と、を備え、中央部が根元部と比較して柔軟性が高い構成を有している。これにより、処置部の先端が対象物に接触する接触力の測定において、カバーによる干渉を抑えて、精緻な接触力の測定の阻害を抑制しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-195402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の外科処置具用カバーにおいては、カバーと、処置部や関節部と、の干渉を抑えるために、処置部や関節部に対応する位置において、周方向全体に渡って、中央部の径を大きくし、又は、蛇腹形状を設けていた。しかし、このような形状とすると、中央部の径の方が先端部の径よりも大きくなるため、根元部側から処置部側を見るときに中央部が妨げとなってしまうことから、手技中の視認範囲が限定されてしまうおそれがある。また、中央部が周方向全体に渡って柔軟性を有しているため、外科処置具にカバーを装着する際に、中央部が伸びてしまうことにより、カバーを所望の位置に配置することが難しくなるという問題がある。
【0005】
特許文献1に記載の外科処置具のように関節部によって基部と処置部とが相対的に可動となった構成においては、術中の関節部の動作によってカバーの位置をずらす力が作用する。このような力が動作のたびにかかることでカバーが外科処置具から外れてしまうことを防止するために、カバーの内径を小さくし、又は、変形しづらい材料でカバーを構成することが考えられる。しかし、このように構成すると、関節部の動作に対してカバーの位置ずれは起きにくくなる一方で、外科処置具への装着時に大きな力をかけつつ正確に配置しなければならなくなるため、装着作業が非常に難しくなる。
【0006】
例えば特許文献1に記載の外科処置具用カバーにおいて、中央部の径を先端部及び根元部よりも大きくし、長手方向において略対称形状とした場合、外科処置具への装着時に先端部と根元部の方向を間違えてしまうおそれがある。カバーは所定の締め付け力を有するため、装着したものを取り外して再装着する過程において損傷を与えてしまう可能性があり、損傷したカバーは、絶縁性が確保すること、外れたカバーが患者体内へ落下することを防止すること、及び、封止性を確保すること等の観点から使用することはできない。絶縁性を確保することで、例えば、電気メスの焼灼時に周辺を焼いてしまうことを防止できる。また、封止性の確保によって、例えば、カバーに洗浄穴を設ける場合に、その洗浄穴から空気が漏れることを防ぎ、気腹処置を行うときにカバーから空気が漏れることを防止できる。カバーにおいては、所定の機能を持たせるために内面側に凸部や凹部を設ける場合があり、この場合においては、長手方向において、外形は略対称であっても内部形状は非対称となるため、先端部と根元部の方向を間違えると所定の機能を発揮することが困難となるとともに、凸部や凹部の係合等により、装着後に損傷なしに取り外すことが難しいことが想定される。
【0007】
そこで本発明は、基部と処置部とが相対的に可動となるように構成された外科処置具を覆うためのカバーであって、外科処置具にカバーを装着する際に所定の位置に精度よく配置することを可能とするとともに、根元部側から処置部側への視認性を確保することができる、外科処置具用のカバーを提供することを目的とする。また、本発明は、カバーが外科処置具から外れてしまうことを防止することができるとともに、過大な力をかけることなく外科処置具への装着を可能とする構成を有するカバーを提供することを目的とする。さらに、本発明は、先端部と根元部の方向を間違えて装着することを防止でき、外科処置具に対する脱着による破損を防止することができるカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のカバーは、基部と、処置部と、基部に対して処置部が相対的に可動となるように、基部と処置部とを互いに連結させる連結部と、を有する外科処置具を覆うためのカバーであって、カバーは筒形状をなしており、基部の外囲に密着して配置される根元部と、処置部の一部に密着して配置される先端部と、連結部を覆う中間部と、を備え、中間部は、その周方向の一部範囲に、連結部の動きに合わせて伸縮可能な可撓部を有することを特徴としている。
【0009】
本発明のカバーにおいて、可撓部は、連結部の動きに合わせて伸縮可能となるように、根元部と先端部よりも薄く形成されることが好ましい。
【0010】
本発明のカバーにおいて、可撓部は、連結部の動きに合わせて、筒形状の延伸方向に伸縮可能とさせる蛇腹構造を有することが好ましい。
【0011】
本発明のカバーにおいて、可撓部は、根元部及び先端部の少なくとも一方とは異なる材料で構成されることが好ましい。
【0012】
本発明のカバーにおいて、根元部は、連結部の動きに関わらずに、基部と処置部に対する密着状態を維持可能な厚みを有することが好ましい。
【0013】
本発明のカバーにおいて、先端部は、連結部の動きに関わらずに、基部と処置部に対する密着状態を維持可能な厚みを有することが好ましい。
【0014】
本発明のカバーにおいて、連結部は、基部に対して処置部を相対的に回動可能とする回動軸を備えることが好ましい。
【0015】
本発明のカバーにおいて、先端部は、その周方向に、開口径の拡大及び縮小を可能とする伸縮部を有し、伸縮部は可撓部とは独立して伸縮するように形成されていることが好ましい。
【0016】
本発明のカバーにおいて、伸縮部は、先端部を、その周方向に沿って伸縮可能とさせる蛇腹構造を有することが好ましい。
【0017】
本発明のカバーにおいて、伸縮部は、処置具の動きに合わせて伸縮可能となるように、先端部の他の部分よりも薄く形成されることが好ましい。
【0018】
本発明のカバーにおいて、伸縮部は、処置具の動きに合わせて伸縮可能となるように、先端部の他の部分とは異なる材料で構成されることが好ましい。
【0019】
本発明のカバーにおいて、伸縮部は、先端部の周方向の一部範囲に設けられていることが好ましい。
【0020】
本発明のカバーにおいて、根元部の内面には、基部の外面に設けた基部側嵌合部と嵌合し、基部に対して筒形状の延伸方向に沿った相対移動を規制する、根元部側嵌合部が設けられていることが好ましい。
【0021】
本発明のカバーにおいて、基部側嵌合部は内側へ凹設された嵌合凹部であり、根元部側嵌合部は内側へ突出した嵌合凸部であることが好ましい。
【0022】
本発明のカバーにおいて、可撓部は、その周方向において、一定角度間隔ごとに複数設けられていることが好ましい。
【0023】
本発明のカバーにおいて、可撓部は、その周方向において、基部に対する処置部の相対的な動作の方向に対応するように配置されていることが好ましい。
【0024】
本発明のカバーにおいて、中間部は、その周方向において、可撓部が設けられていない領域に、根元部及び先端部の少なくとも一方よりも厚い厚肉部を有することが好ましい。
【0025】
本発明のカバーにおいて、カバーは、その外面に、外科処置具への装着方向を示すマークを有することが好ましい。
【0026】
本発明のカバーは、別の態様においては、基部と、処置部と、基部に対して処置部が相対的に可動となるように、基部と処置部とを互いに連結させる連結部と、を有する外科処置具を覆うためのカバーであって、カバーは筒形状をなしており、基部の外囲に密着して配置される根元部と、処置部の一部に密着して配置される先端部と、連結部を覆う中間部と、を備え、根元部の内面には、基部の外面に設けた基部側嵌合部と嵌合し、基部に対して筒形状の延伸方向に沿った相対移動を規制する、根元部側嵌合部が設けられていることを特徴としている。
【0027】
本発明のカバーは、さらに別の態様においては、基部と、処置部と、基部に対して処置部が相対的に可動となるように、基部と処置部とを互いに連結させる連結部と、を有する外科処置具を覆うためのカバーであって、カバーは筒形状をなしており、基部の外囲に密着して配置される根元部と、処置部の一部に密着して配置される先端部と、連結部を覆う中間部と、を備え、中間部は、その周方向の一部範囲に、連結部の動きに合わせて伸縮可能な可撓部を有し、根元部、中間部、及び、先端部の少なくとも1つの外面に、外科処置具への装着方向を示すマークを有することを特徴としている。
【0028】
本発明のカバーは、さらなる態様においては、基部と、処置部と、基部に対して処置部が相対的に可動となるように、基部と処置部とを互いに連結させる連結部と、を有する外科処置具を覆うためのカバーであって、カバーは筒形状をなしており、基部の外囲に密着して配置される根元部と、処置部の一部に密着して配置される先端部と、連結部を覆う中間部と、を備え、中間部は、その周方向の一部範囲に、連結部の動きに合わせて伸縮可能な可撓部を有し、先端部は、その周方向に、開口径の拡大及び縮小を可能とする伸縮部を有し、伸縮部は可撓部とは独立して伸縮するように形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0029】
本発明によると、基部と処置部とが相対的に可動となるように構成された外科処置具を覆うためのカバーにおいて、外科処置具にカバーを装着する際に所定の位置に精度よく配置することができ、かつ、根元部側から処置部側への視認性を確保できるカバーを提供することができる。また、カバーが外科処置具から外れてしまうことを防止することができるとともに、過大な力をかけることなく外科処置具への装着を可能とするカバーを提供することができる。さらに、先端部と根元部の方向を間違えて装着することを防止でき、外科処置具に対する脱着による破損を防止することができるカバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】(a)は第1実施形態に係るカバーの構成を示す斜視図、(b)は(a)のカバーの中心軸に沿った断面図である。
図2図1(b)のA-A’線に沿った断面図である。
図3】(a)はカバーを外科処置具に装着する前の状態を示す斜視図、(b)はカバーを外科処置具に装着しているところを示す斜視図、(c)は外科処置具に対するカバーの装着が完了した状態を示す斜視図である。
図4】(a)は、カバーを装着した外科処置具の内部を示す断面図、(b)は(a)の外科処置具を回動軸を中心に回動させた状態を示す断面図である。
図5】変形例1に係るカバーを外科処置具に装着した状態を示す断面図である。
図6】(a)は変形例2に係るカバーの構成を示す斜視図、(b)は(a)のカバーの中心軸における断面図である。
図7図6(b)のC-C’線における断面図である。
図8】第2実施形態に係るカバーの構成を示す斜視図である。
図9図8のB-B’線に沿った断面図である。
図10】(a)は外科処置具に装着した状態のカバーの断面図、(b)は(a)の状態から回動軸を中心として連結部を回動させたときの断面図である。
図11】(a)は第2実施形態の変形例に係るカバーの構成を示す斜視図、(b)は(a)のカバーの正面図である。
図12】(a)は図11に示すカバーを外科処置具に装着した状態を示す斜視図、(b)は(a)のカバーの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態に係るカバーについて図面を参照しつつ詳しく説明する。
<第1実施形態>
図1(a)は第1実施形態に係るカバー10の構成を示す斜視図、(b)はカバー10の中心軸AX1に沿った断面図である。図2は、図1(b)のA-A’線に沿った断面図である。図3(a)はカバー10を外科処置具30に装着する前の状態を示す斜視図、(b)はカバー10を外科処置具30に装着しているところを示す斜視図、(c)は外科処置具30に対するカバー10の装着が完了した状態を示す斜視図である。図4(a)は、カバー10を装着した外科処置具30の内部を示す断面図、(b)は(a)の外科処置具30を回動軸AX4を中心に回動させた状態を示す断面図である。
【0032】
図1(a)、(b)に示すように、カバー10は、中空筒形状をなしており、手術用の外科処置具30を覆うために弾性変形可能な材料で構成される。カバー10の内径は、外科処置具30をその中心軸AX2の方向から見たときの外形形状を含む外接円の直径(不図示)よりも小さく設定されている。
【0033】
さらに、カバー10を構成する材料は絶縁性、及び、気密性を有することが好ましい。カバー10が絶縁性を有することにより、カバー10の内部に収容される基部31が通電を伴うものであっても、カバー10を通じて通電されることを防ぐことができる。カバー10が気密性を有することにより、例えば、基部31に設けた空気送出孔から患者体内へ空気を送出する場合に、カバー10の外周面から空気が漏れることがなくなる。
【0034】
カバー10の材料としては、例えば、JIS-K6253(ISO 37:2011)に準拠し、23℃の環境下におけるデュロメータータイプAによるゴム硬度が10度以上80度以下である材料が挙げられる。具体的には、ポリウレタン、シリコーンゴム、エチレンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、天然ゴム、ブチルゴム、セラミックスウレタンを用いることができる。
【0035】
カバー10のゴム硬度は、40度以上60度以下の範囲に設定するとより好ましい。40度未満であると、弾力性が十分でないため、筒状の形状を維持しづらくなって、重力による屈曲等を生じてしまうことから、外科処置具30への装着作業が行いづらくなる。一方、60度を上回ると、筒形状の径方向に変形しづらくなるため、外科処置具30への装着時に凹凸に引っかかりやすくなって装着性が低くなるとともに、装着後においては各部への密着性が低下してしまうおそれがある。
【0036】
カバー10は、患者の体内に接触又は導入されるため、各種滅菌に耐えうる耐久性、例えば対薬品性や耐熱性も有することが好ましい。
【0037】
図3(a)に示すように、外科処置具30は、基部31と、処置部32と、基部31に対して処置部32が相対的に可動となるように基部31と処置部32とを互いに連結させる連結部40とを備える。連結部40は、外科処置具30の中心軸AX2に直交する2つの回動軸AX3、AX4を有しており、これらの回動軸AX3、AX4は互いに直交して延びている。処置部32は、2つの回動軸AX3、AX4のそれぞれを中心にして、基部31に対して相対的に回動可能となる。外科処置具30は、その中心軸AX2の周りを回動可能であるため、中心軸AX2、及び、2つの回動軸AX3、AX4の回動によって、処置部32は任意の姿勢で所望の方向へ向けることができる。
【0038】
外科処置具30の基部31は、円筒状の外周面を有する。この外周面、すなわち基部31の外面31aには、外科処置具30の中心軸AX2に沿った方向において、処置部32とは反対側、すなわち、外科処置具30を支持する本体(不図示)の側に、同心で外径の小さな、基部側嵌合部としての嵌合凹部33が設けられている。
【0039】
図1(a)、(b)に示すように、カバー10は、その中心軸AX1に沿った方向において、根元部11と、根元部11と反対側に位置する先端部12と、根元部11と先端部12との間の中間部13と、を備える。図3(a)に示すように、外科処置具30は、根元部11の開口11aから装着され、装着が完了すると、図3(c)に示すように処置部32が先端部12の開口12aから外部へ延出する。カバー10は、その弾性により、外科処置具30に外挿したときに、少なくとも、根元部11と先端部12を、外科処置具30に密着させることができる。
【0040】
図1(b)、図2図3(c)、及び、図4(a)、(b)に示すように、中間部13は、カバー10の中心軸AX1の方向において、先端部12側であって、2つの回動軸AX3、AX4に対応する範囲に、根元部11及び先端部12よりも薄い可撓部15を有している。図2に示すように、可撓部15は、周方向D(図2の円周方向)において、中間部13の半分の角度範囲を占めるように、中心軸AX1に関して対称に2つ設けられている。より具体的には、2つの可撓部15は、それぞれが90度の角度範囲を占めるように設けられ、周方向において、これらの可撓部15の間には、根元部11及び先端部12と同じ厚みの厚肉部16が、中心軸AX1に関して対称に2つ設けられている。
【0041】
図2に示すように、可撓部15と厚肉部16は外周面が共通しており、この外周面は凹凸を有しない円状であるため、施術者が根元部11側から先端部12を見たときに障害になるものがないことから、手技中の視認範囲を限定することがない。
【0042】
上述の通り、根元部11、先端部12、及び、厚肉部16は同じ厚みを有する。この厚みは、外科処置具30にカバー10を装着する際に、外科処置具30上でのカバー10の移動を可能とし、かつ、根元部11と先端部12を所定の位置に正確に配置し、外科処置具30に密着させることができる程度の柔軟性を発揮できるように設定されている。これに対して可撓部15の厚みは、外科処置具30の処置部32が回動軸AX3、AX4を中心に回動したときの動きを妨げない程度の可撓性を発揮できるように設定される。
【0043】
周方向Dにおいて、厚肉部16と、厚肉部16よりも薄い可撓部15と、を併存させていることにより、基部31と処置部32との相対回動時に可撓部15が、カバー10の延伸方向(中心軸AX1に沿った方向)に伸縮可能となるとともに、根元部11側から処置部32側への視認性を確保することを可能にしている。
【0044】
カバー10は、射出成形、圧縮成形、圧入成形等の成形工程によって一体的に製造できるほか、全体を成形工程で形成した後に可撓部15を機械的な加工で薄くする方法や、可撓部15以外を成形工程で形成した後に可撓部15を溶着等によって追加する方法も可能である。
【0045】
可撓部15は、周方向において厚肉部16と併存し、根元部11側から処置部32側への視認性を確保できれば、外科処置具30の構成に応じて、その範囲や数は任意に設定できる。図2に示す例では、可撓部15と厚肉部16を90度ずつの角度範囲で2つずつ設けたが、3つ以上設けてもよく、可撓部15と厚肉部16の角度範囲は互いに同一でなくてもよい。また、可撓部15と厚肉部16は互いに同一の数でなくてもよい。
【0046】
図1(a)、(b)に示すように、カバー10の中心軸AX1の方向の両端は開口となっており、根元部11の端部の開口11aは外科処置具30を挿入可能な開口径を有し、先端部12の端部の開口12aは、挿入された外科処置具30の処置部32に密着して延出可能となっている(図3(c)参照)。開口12aは、その弾性により、延出した処置部32の外表面に密着可能な開口径を有する。
【0047】
図1(a)、(b)に示すように、カバー10の内面であって、中心軸AX1に沿った方向において可撓部15及び厚肉部16よりも根元部11側の領域に保護部17を設けている。保護部17は、中間部13において、根元部11及び先端部12よりも、中心軸AX1側へ厚みを増した厚肉構造となっている。保護部17を設けることにより、外科処置具30を回動軸AX3、AX4を中心に回動させたときに、カバー10が伸張して破損することを防止することができる。
【0048】
さらにカバー10の内面には、根元部11側に、中心軸AX1側へ厚みを増した根元部側嵌合部としての嵌合凸部19を備える。嵌合凸部19は、外科処置具30にカバー10を装着したときに基部31の嵌合凹部33に対応する範囲に設けられている。これにより、外科処置具30にカバー10を装着したときに、嵌合凸部19が基部31の嵌合凹部33に嵌合するため、外科処置具30に対するカバー10の相対移動が規制され、相対位置が定まりやすくなるとともに、連結部40の動作によって基部31と処置部32とを相対的に駆動させたとしても、外科処置具30に対するカバー10の位置が確実に保持される。
【0049】
なお、本実施形態では、カバー10に嵌合凸部19を設け、外科処置具30の基部31に嵌合凹部33を設けたが、カバー10に嵌合凹部を設け、基部31に嵌合凸部を設けてもよい。また、嵌合凸部と嵌合凹部の形状や数は図1(a)、(b)に示すものに限定されず、例えば、突起状の複数の凸部とこれらに対応する複数の凹部を設けてもよい。また、根元部側嵌合部及び基部側嵌合部をともに、それぞれの中心軸側へ突出する凸部とし、外科処置具30にカバー10を装着するときに、互いの凸部を乗り越えるように構成すると、互いの凸部同士が係合することによって、外科処置具30に対するカバー10の位置を保持することができる。
【0050】
図1(a)及び図3(a)、(b)、(c)に示すように、カバー10の外側面において、中心軸AX1に沿って根元部11側には、先端部12から根元部11へ向いた三角形状のマーク14が設けられている。マーク14を設けることにより、外科処置具30に対するカバー10の装着方向が明確となるため、外科処置具30に対するカバー10の装着方向を間違えることを防止できる。カバー10は絶縁性を確保するために外科処置具30に密着した配置されるため、いったん装着したカバー10を取り外そうとするとカバー10を損傷させてしまうおそれがあり、カバー10のように、内面に保護部17や嵌合凸部19が設けられ、また、薄肉の可撓部15が設けられた構成では、取り外し時に損傷が生じる可能性が高くなる。したがって、マーク14を設けることで、誤った方向で装着することを防止することは極めて有用である。
【0051】
以上の構成のカバー10は、外科処置具30の位置を維持しつつ、根元部11側から外科処置具30に外挿し、外科処置具30の中心軸AX2に沿って移動させていく(図3(a)、(b))。そして、処置部32が、カバー10の先端部12の開口12aから延出し、嵌合凸部19が嵌合凹部33に嵌合したところで、外科処置具30に対するカバー10の装着が完了する(図3(c)、図4(a))。
【0052】
カバー10が装着された外科処置具30においては、2つの回動軸AX3、AX4のそれぞれを中心にして、基部31に対して処置部32を相対的に回動させることによって任意の方向に向けた姿勢を取ることができる。このような回動が行われたとき、図4(b)に示すように、可撓部15の伸縮によって、カバー10は外科処置具30への密着状態を維持しながら変形することができる。
【0053】
以下に変形例について説明する。
(変形例1)
図5は変形例1に係るカバー50を外科処置具30に装着した状態を示す断面図である。図5に示すカバー50は、上記第1実施形態のカバー10と同様に、中空筒形状をなし、根元部51と、根元部51と反対側に位置する先端部52と、根元部51と先端部52との間の中間部53と、中心軸AX2側へ厚みを増した根元側嵌合部としての嵌合凸部59と、を備え、さらに、中間部53には周方向の一部に薄肉の可撓部55が設けられている。この可撓部55は、外科処置具30の中心軸AX2の方向において、連結部40に対応する範囲に設けられるとともに、内面が外側へ凸となるような湾曲面をなしている。これにより、連結部40との隙間が大きくとれるため、外科処置具30の基部31と処置部32との相対的な回動の際に、連結部40が可撓部55に接触しづらくなるため、可撓部55の損傷の発生を抑えることができる。
【0054】
(変形例2)
図6(a)は変形例2に係るカバー60の構成を示す斜視図、(b)はカバー60の中心軸AX6における断面図である。図7図6(b)のC-C’線における断面図である。図6(a)、(b)と図7に示すカバー60は、上記第1実施形態のカバー10と同様に、中空筒形状をなし、根元部61と、根元部61と反対側に位置する先端部62と、根元部61と先端部62との間の中間部63と、中心軸AX6側へ厚みを増した根元側嵌合部としての嵌合凸部69と、を備え、さらに、根元部61の外周面に先端部62側から根元部61側へ向いた三角形状のマーク64が設けられている。
【0055】
図6(a)、(b)に示すように、中間部63は、カバー60の中心軸AX6の方向において、先端部62側であって、外科処置具30の2つの回動軸AX3、AX4に対応する範囲に、根元部61及び先端部62よりも薄い可撓部65を有している。図7に示すように、可撓部65は、周方向Dにおいて、中間部63の半分の角度範囲を占めるように、中心軸AX6に関して対称に2つ設けられている。それぞれの可撓部65は、90度の角度範囲を占めるように設けられ、周方向において、2つの可撓部65の間は2つの開口部66が設けられている。
【0056】
図6(a)、(b)と図7に示すように、可撓部65及び開口部66の径方向外側には、リング状の高可撓性部材67が設けられている。高可撓性部材67は、可撓部65及び開口部66を、カバー60の径方向外側から覆うとともに、カバー60の中心軸AX6の方向における両端部が、先端部12の外周面上、及び、可撓部65を除く中間部13の外周面上にそれぞれ接触配置される。このような配置により、連結部40の動作にともなって可撓部65が変形することを許容するとともに、可撓部65の変形状態に関わらず開口部66が外部に対して閉じられた状態が維持される。
【0057】
可撓部65は、上記第1実施形態の可撓部15と同様の厚みを有する。高可撓性部材67は、連結部40の動作にともなって可撓部65が変形するときに、可撓部65との密着性を維持し、かつ、可撓部65の変形を妨げない程度の可撓性を有する材料で構成する。高可撓性部材67は、中心軸AX6側へ向かう一定の圧力で可撓部65を抑えるように配置される。
【0058】
高可撓性部材67は、絶縁性を有することが好ましく、開口部66に対して、外科処置具30の動作状態に関わらずに、絶縁性を確保するように覆うことがより好ましい。高可撓性部材67が絶縁性を確保しつつ開口部66を覆うことにより、カバー60の内部に収容される基部31が通電を伴うものであっても、カバー60を通じて通電されることを防ぐことができる。
【0059】
さらに、高可撓性部材67は、開口部66に対して、外科処置具30の動作状態に関わらずに、気密性を確保するように覆うことが好ましい。高可撓性部材67が気密性を確保しつつ開口部66を覆うことにより、カバー60の外周面からの空気漏れを防止でき、また、カバー60の先端部62から確実に空気を送出することが可能となる。
【0060】
なお、開口部66を設けることにより可撓部65の変形性が高まることから、連結部40の動作仕様によっては、可撓部65の厚みを、上記第1実施形態の可撓部15よりも厚くすることも可能である。
【0061】
(その他の変形例)
可撓部15は、根元部11及び先端部12と異なる材料で構成し、根元部11及び先端部12よりも高い可撓性を有するように構成してもよい。
【0062】
<第2実施形態>
図8は、第2実施形態に係るカバー110の構成を示す斜視図、図9は、図8のB-B’線に沿った断面図である。図10(a)、(b)は、外科処置具30に装着した状態のカバー110の中心軸AX11を通る断面図であって、(a)は連結部40を回動させていない状態を示し、(b)は回動軸AX4を中心として連結部40を回動させた状態を示している。以下の説明において、外科処置具30は第1実施形態と同様であるため、同じ部材については同じ参照符号を使用する。
【0063】
図8図10に示すカバー110は、上記第1実施形態のカバー10と同様に、中空筒形状をなし、根元部111と、根元部111と反対側に位置する先端部112と、根元部111と先端部112との間の中間部113と、中心軸AX11側へ厚みを増した根元側嵌合部としての嵌合凸部119と、を備える。さらに、中間部113は、カバー110の中心軸AX11の方向において、先端部112側であって、外科処置具30の2つの回動軸AX3、AX4に対応する範囲に、蛇腹構造を有する可撓部115を備える。
【0064】
可撓部115の蛇腹構造は、カバー110の中心軸AX11を中心とする螺旋形状が中心軸AX11に沿って形成され、かつ、中間部113の外周面よりも大きな外径を有するように設けられている。
【0065】
図9に示すように、可撓部115は、周方向Dにおいて、中間部113の半分の角度範囲を占めるように、中心軸AX11に関して対称に2つ設けられている。より具体的には、2つの可撓部115は、それぞれが90度の角度範囲を占めるように設けられ、周方向Dにおいて、これらの可撓部115の間には、根元部11及び先端部12と同じ厚みを有し、外周面を共通とする環状部116が、中心軸AX11に関して対称に2つ設けられている。可撓部115の間に環状部116を設けたことにより、施術者が根元部111側から先端部112を見たときに障害になるものがないことから、手技中の視認範囲を限定することがない。
【0066】
上述の通り、根元部111、先端部112、及び、環状部116は同じ厚みを有する。この厚みは、外科処置具30にカバー110を装着する際に、外科処置具30上でのカバー110の移動を可能とし、かつ、根元部111と先端部112を所定の位置に正確に配置し、外科処置具30に密着させることができる程度の柔軟性を発揮できるように設定されている。これに対して可撓部115は、外科処置具30の処置部32が回動軸AX3、AX4を中心に回動したときの動きを妨げない程度の可撓性を発揮できるように、蛇腹の襞の形状、例えば、径方向の厚み、中心軸AX11の方向における幅、襞の間隔などが設定される。
【0067】
周方向Dにおいて、可撓部115と環状部116とを併存させていることにより、基部31と処置部32との相対回動時にカバー10を伸縮可能とするとともに、根元部111側から処置部32側への視認性を確保することを可能にしている。
【0068】
カバー110は、射出成形、圧縮成形、圧入成形等の成形工程によって一体的に製造できるほか、可撓部115以外を成形工程で形成した後に可撓部115を溶着等によって追加する方法も可能である。
【0069】
可撓部115は、周方向Dにおいて環状部116と併存し、根元部111側から処置部32側への視認性を確保できれば、外科処置具30の構成に応じて、その範囲や数は任意に設定できる。図9に示す例では、可撓部115と環状部116を一定角度間隔ごと、すなわち90度ごとの角度範囲で2つずつ設けたが、3つ以上設けてもよく、可撓部115と環状部116の角度範囲は互いに同一でなくてもよい。また、可撓部115と環状部116は互いに同一の数でなくてもよい。
なお、その他の作用、効果、変形例は第1実施形態と同様である。
【0070】
図11(a)は第2実施形態の変形例に係るカバー160の構成を示す斜視図、(b)はカバー160の正面図である。図12(a)はカバー160を外科処置具130に装着した状態を示す斜視図、(b)は(a)のカバー160の正面図である。
【0071】
図11(a)、(b)と図12(a)、(b)に示すカバー160は、上記第2実施形態のカバー110と同様に、中空筒形状をなし、根元部161と、根元部161と反対側に位置する先端部162と、根元部161と先端部162との間の中間部163と、を備える。さらに、第2実施形態の可撓部115及び環状部116と同様に、中間部163において、蛇腹形状の可撓部165と、根元部161及び先端部162と同じ厚みで外周面を共通とする環状部166と、が設けられている。さらに、根元部161の外周面に先端部162側から根元部161側へ向いた三角形状のマーク164が設けられている。
【0072】
先端部162には、その周方向Dの一部範囲に、開口162aの径の拡大及び縮小を可能とする伸縮部167を備える。図11(b)に示すように、伸縮部167は、周方向Dにおいて、カバー160の中心軸AX16に関して対称となるように2つ設けられている。図11(a)に示すように、周方向Dにおいて伸縮部167が設けられた範囲は、環状部166が設けられた範囲であり、可撓部165とは離間して設けられている。伸縮部167は、カバー160の中心軸AX16に沿った方向において、先端部162の開口162aから環状部166に至る範囲に設けられており、根元部11側へ向かうほど周方向Dにおけるサイズが小さくなるような形状を有する。
【0073】
伸縮部167は、周方向Dに先端部162の開口162aの径を拡大できるように伸縮できる蛇腹形状を備え、外力を加えないときには、カバー160の材料が有する弾性により開口径を縮小させ、開口162aを外科処置具30の処置部32に密着させる。伸縮部167は、可撓部165と離間するように設けられているため、可撓部165とは独立して伸縮可能であり、また、可撓部165も伸縮部167とは独立して変形可能である。
【0074】
伸縮部167を設けることにより、外科処置具30にカバー160を装着するときは伸張するため装着操作が行いやすくなる。一方、図12(a)、(b)に示すように、外科処置具130に装着した後は、伸縮部167の収縮によって、処置部132に密着するとともに、処置部132の動きに合わせて伸縮部167が伸縮することによって処置部132に対する密着が維持されるため、絶縁性を確実に維持することができる。さらに、密着度の調整により、処置部132に対する気密性の確保、カバー160の外れ防止、さらには、カバー160の外形変化を抑えることによる視認性の確保等の効果を得ることもできる。
【0075】
なお、伸縮部167は図11(a)、(b)に示すような蛇腹構造に限定されず、処置部32に対する密着性を維持できればほかの形態も可能であり、例えば、先端部162の他の部分よりも薄く形成した構成、先端部162の他の部分よりも伸張性を有する材料を用いた構成が挙げられる。
以上説明した伸縮部167は、上記第1実施形態にも適用可能である。
本発明について上記実施形態を参照しつつ説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、改良の目的または本発明の思想の範囲内において改良または変更が可能である。
【符号の説明】
【0076】
10、50、60、110、160 カバー
11、51、61、111、161 根元部
11a 開口
12、52、62、112、162 先端部
12a 開口
13、53、63、113、163 中間部
14、64、164 マーク
15、55、65、115、165 可撓部
16 厚肉部
17 保護部
19、59、69、119 嵌合凸部(根元部側嵌合部)
30、130 外科処置具
31 基部
31a 基部の外面
32、132 処置部
33 嵌合凹部(基部側嵌合部)
40 連結部
66 開口部
67 高可撓性部材
116、166 環状部
162a 先端部の開口
167 伸縮部
AX1、AX2、AX3、AX4、AX6、AX11、AX16 中心軸
D 周方向
【要約】
外科処置具にカバーを装着する際に所定の位置に精度よく配置することを可能とするとともに、根元部側から処置部側への視認性を確保することができる、外科処置具用のカバーを提供する。
本発明のカバーは、基部と、処置部と、基部に対して処置部が相対的に可動となるように、基部と処置部とを互いに連結させる連結部と、を有する外科処置具を覆うためのカバーであって、カバーは筒形状をなしており、基部の外囲に密着して配置される根元部と、処置部の一部に密着して配置される先端部と、連結部を覆う中間部と、を備え、中間部は、その周方向の一部範囲に、連結部の動きに合わせて伸縮可能な可撓部を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図11
図12