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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】電流駆動表示パネル及びパネル表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3225 20160101AFI20221114BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20221114BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20221114BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20221114BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20221114BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
G09G3/3225
G09G3/20 624B
G09G3/20 691D
G09G3/20 642A
G09G3/20 680H
G09F9/30 338
G09F9/30 349Z
G09F9/00 366A
G06F3/041 412
G06F3/044 140
G06F3/041 512
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2017058348
(22)【出願日】2017-03-24
(65)【公開番号】P2018159885
(43)【公開日】2018-10-11
【審査請求日】2020-03-18
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502161508
【氏名又は名称】シナプティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】高橋 盛毅
【審査官】橋本 直明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0002414(US,A1)
【文献】特開2011-008775(JP,A)
【文献】特開2010-085526(JP,A)
【文献】特開2011-085680(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103354079(CN,A)
【文献】特表2016-531322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/3225
G09G 3/20
G09F 9/30
G09F 9/00
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センスラインと、
第1スキャンラインと、
第2スキャンラインと、
第3スキャンラインと、
タッチ検出対応画素回路を含む複数の画素回路と
を備える表示パネルであって、
前記タッチ検出対応画素回路が、
データ電圧に対応する電圧を保持する保持キャパシタと、
前記保持キャパシタに接続された保持ノードと、
前記保持ノードと接地ラインとの間に接続され、前記タッチ検出対応画素回路の近傍における物体の前記表示パネルへの接触に応じて変動する容量を有する検出キャパシタと、
電流駆動素子と、
ゲートが前記保持ノードに接続され、前記データ電圧に応じて前記電流駆動素子に電流を供給し、前記検出キャパシタの容量に応じたセンス電流を前記センスラインに供給するように構成された駆動トランジスタと
リセットトランジスタと、
を備えており、
前記保持キャパシタが前記保持ノードと前記第2スキャンラインの間に接続され、
前記リセットトランジスタが、前記第3スキャンラインの電位に応じて、所定の第1電位に固定された第1電源ラインと前記保持ノードとを電気的に接続するように構成された
表示パネル。
【請求項2】
前記複数の画素回路は、複数の行に配置されており、
記タッチ検出対応画素回路は、前記複数の行の第1行に位置している
求項1に記載の表示パネル。
【請求項3】
前記第1スキャンラインは、前記第1行に位置する前記画素回路にデータ電圧を書き込むときに前記第1行を選択する電位にされ、
前記第2スキャンラインは、前記複数の行のうち、前記第1行に隣接し、且つ、前記第1行の画素回路よりも早くデータ電圧が書き込まれる第2行に位置する前記画素回路にデータ電圧を書き込むときに前記第2行を選択する電位にされ、
前記第3スキャンラインは、前記複数の行のうち、前記第2行に隣接し、且つ、前記第2行の画素回路よりも早くデータ電圧が書き込まれる第3行に位置する前記画素回路にデータ電圧を書き込むときに前記第3行を選択する電位にされる
請求項2に記載の表示パネル。
【請求項4】
更に、
第1エミッションラインと、
第2エミッションラインと、
データラインと
を備え、
前記駆動トランジスタのゲートが前記保持ノードに接続され、
前記タッチ検出対応画素回路が、更に、
前記第1スキャンラインの電位に応じて、前記データラインを前記駆動トランジスタのソースに電気的に接続するように構成された第1選択トランジスタと、
所定の第2電位に固定された第2電源ラインを前記駆動トランジスタのソースに電気的に接続するように構成された第2選択トランジスタと、
前記第1エミッションラインの電位に応じて、前記駆動トランジスタのドレインを前記電流駆動素子に電気的に接続するように構成された第3選択トランジスタと、
前記第2スキャンラインの電位に応じて、前記駆動トランジスタのドレインを前記センスラインに電気的に接続するように構成された第4選択トランジスタ
とを備える
請求項2に記載の表示パネル。
【請求項5】
前記タッチ検出対応画素回路が、更に、前記第1スキャンラインの電位に応じて、前記駆動トランジスタのドレインを前記駆動トランジスタのゲートに電気的に接続するように構成された閾値補償トランジスタを備える
請求項4に記載の表示パネル。
【請求項6】
更に、
エミッションラインと、
データラインと
を備え、
前記タッチ検出対応画素回路が、更に、
前記保持ノードと前記駆動トランジスタのゲートとの間に接続された閾値補償キャパシタと、
前記第1スキャンラインの電位に応じて、前記データラインを前記保持ノードに電気的に接続するように構成された第1選択トランジスタと、
前記エミッションラインの電位に応じて、前記駆動トランジスタのドレインを前記電流駆動素子に電気的に接続するように構成された第2選択トランジスタと、
前記第2スキャンラインの電位に応じて、前記駆動トランジスタのドレインを前記センスラインに電気的に接続するように構成された第3選択トランジスタと、
前記第3スキャンラインの電位に応じて、前記駆動トランジスタのドレインを前記駆動トランジスタのゲートに電気的に接続するように構成された閾値補償トランジスタ
とを備える
請求項2に記載の表示パネル。
【請求項7】
前記検出キャパシタが、
第1電極と、
第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極の間に設けられた絶縁層
とを備え、
前記検出キャパシタは、その少なくとも一部分において、前記第1電極と前記第2電極の間の距離が、前記検出キャパシタの近傍において当該表示パネルに作用する圧力に依存して変化するように構成されている
請求項1に記載の表示パネル。
【請求項8】
前記絶縁層が、弾性を有する有機絶縁体で形成されている
請求項7に記載の表示パネル。
【請求項9】
データ電圧を生成し、センス電流を受け取るように構成された表示ドライバと、
センスラインと、第1スキャンラインと、第2スキャンラインと、第3スキャンラインと、タッチ検出対応画素回路を含む複数の画素回路とを備える表示パネルと
を備え、
前記タッチ検出対応画素回路が、
前記データ電圧に対応する電圧を保持する保持キャパシタと、
前記保持キャパシタに接続された保持ノードと、
前記保持ノードと接地ラインとの間に接続され、前記タッチ検出対応画素回路の近傍における物体の前記表示パネルへの接触に応じて変動する容量を有する検出キャパシタと、
電流駆動素子と、
ゲートが前記保持ノードに接続され、前記データ電圧に応じて前記電流駆動素子に電流を供給し、前記検出キャパシタの容量に応じたセンス電流を前記センスラインに供給するように構成された駆動トランジスタと
リセットトランジスタと、
を備え
前記保持キャパシタが前記保持ノードと前記第2スキャンラインの間に接続され、
前記リセットトランジスタが、前記第3スキャンラインの電位に応じて、所定の第1電位に固定された第1電源ラインと前記保持ノードとを電気的に接続するように構成された
パネル表示装置。
【請求項10】
前記複数の画素回路は、複数の行に配置されており、
記タッチ検出対応画素回路は、前記複数の行の第1行に位置している
求項9に記載のパネル表示装置。
【請求項11】
前記第1スキャンラインは、前記第1行に位置する前記画素回路にデータ電圧を書き込むときに前記第1行を選択する電位にされ、
前記第2スキャンラインは、前記複数の行のうち、前記第1行に隣接し、且つ、前記第1行の画素回路よりも早くデータ電圧が書き込まれる第2行に位置する前記画素回路にデータ電圧を書き込むときに前記第2行を選択する電位にされ、
前記第3スキャンラインは、前記複数の行のうち、前記第2行に隣接し、且つ、前記第2行の画素回路よりも早くデータ電圧が書き込まれる第3行に位置する前記画素回路にデータ電圧を書き込むときに前記第3行を選択する電位にされる
請求項10に記載のパネル表示装置。
【請求項12】
前記表示パネルが、更に、
第1エミッションラインと、
第2エミッションラインと、
データラインと
を備え、
前記駆動トランジスタのゲートが前記保持ノードに接続され、
前記タッチ検出対応画素回路が、更に、
前記第1スキャンラインの電位に応じて、前記データラインを前記駆動トランジスタのソースに電気的に接続するように構成された第1選択トランジスタと、
所定の第2電位に固定された第2電源ラインを前記駆動トランジスタのソースに電気的に接続するように構成された第2選択トランジスタと、
前記第1エミッションラインの電位に応じて、前記駆動トランジスタのドレインを前記電流駆動素子に電気的に接続するように構成された第3選択トランジスタと、
前記第2スキャンラインの電位に応じて、前記駆動トランジスタのドレインを前記センスラインに電気的に接続するように構成された第4選択トランジスタ
とを備える
請求項10に記載のパネル表示装置。
【請求項13】
前記タッチ検出対応画素回路が、更に、前記第1スキャンラインの電位に応じて、前記駆動トランジスタのドレインを前記駆動トランジスタのゲートに電気的に接続するように構成された閾値補償トランジスタを備える
請求項12に記載のパネル表示装置。
【請求項14】
前記表示パネルが、更に、
エミッションラインと、
データライン
とを具備し、
前記タッチ検出対応画素回路が、更に、
前記保持ノードと前記駆動トランジスタのゲートとの間に接続された閾値補償キャパシタと、
前記第1スキャンラインの電位に応じて、前記データラインを前記保持ノードに電気的に接続するように構成された第1選択トランジスタと、
前記エミッションラインの電位に応じて、前記駆動トランジスタのドレインを前記電流駆動素子に電気的に接続するように構成された第2選択トランジスタと、
前記第2スキャンラインの電位に応じて、前記駆動トランジスタのドレインを前記センスラインに電気的に接続するように構成された第3選択トランジスタと、
前記第3スキャンラインの電位に応じて、前記駆動トランジスタのドレインを前記駆動トランジスタのゲートに電気的に接続するように構成された閾値補償トランジスタ
とを備える
請求項10に記載の表示パネル。
【請求項15】
前記検出キャパシタが、
第1電極と、
第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極の間に設けられた絶縁層
とを備え、
前記検出キャパシタは、その少なくとも一部分において、前記第1電極と前記第2電極の間の距離が、前記検出キャパシタの近傍において当該表示パネルに作用する圧力に依存して変化するように構成され、
前記表示ドライバは、前記センス電流に基づいて前記表示パネルに作用する圧力を検出するように構成された
請求項9に記載のパネル表示装置。
【請求項16】
前記絶縁層が、弾性を有する有機絶縁体で形成されている
請求項15に記載のパネル表示装置。
【請求項17】
表示パネルの画素回路の、ゲートが保持ノードに接続されている駆動トランジスタを用いて、前記画素回路の、前記保持ノードに接続されている保持キャパシタに保持されている電圧に応じて前記画素回路の電流駆動素子に駆動電流を供給することと、
前記駆動トランジスタを用いて、前記保持ノードと接地ラインとの間に接続された検出キャパシタの容量に応じてセンスラインにセンス電流を供給することと
前記画素回路に集積化されているリセットトランジスタによって、前記駆動トランジスタが前記駆動トランジスタのゲートとドレインとが電気的に接続された状態にある間に前記保持ノードを所定電位に設定することと、
を含み、
前記容量が、前記画素回路の近傍における物体の前記表示パネルとの接触に応じて変化し、
閾値電圧補償キャパシタが、前記保持ノードと前記駆動トランジスタの前記ゲートとの間に接続され、
前記駆動電流と前記センス電流とが、前記閾値電圧補償キャパシタに保持されている電圧に依存する
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流駆動表示パネル及びパネル表示装置に関し、特に、電流駆動素子を画素回路に用いる電流駆動表示パネルに対するタッチ検出(touch sensing)に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のパネル表示装置は、しばしば、表示パネルへの物体(例えば、人体の指)の接触を検出するタッチ検出(touch sensing)に対応するように構成される。タッチ検出に対応した表示パネルは、単独で入出力装置として使用可能であり、ユーザフレンドリ性の向上に寄与する。なお、本明細書でいう「タッチ検出」は、表示パネルに物体が接触した位置の検出を含んでおり、加えて、接触する圧力の検出を含んでいてもよい。
【0003】
特に携帯端末に用いられるパネル表示装置について、パネル表示装置が占める体積の減少が求められている。このような要求を満たすため、液晶表示パネルについては、容量性負荷のみが接続された共通電極(「対向電極」とも呼ばれる)をタッチ検出のための検出電極として用いる技術が提案されている。共通電極をタッチ検出のための検出電極として用いることで、液晶表示パネルの外部にタッチパネルを設けることなくタッチ検出を行うことができる。
【0004】
一方で、例えばOLED(organic light emitting diode)表示パネルのような電流駆動素子を画素回路に用いる表示パネル(以下、「電流駆動表示パネル」という。)には、容量性負荷のみが接続された共通電極は存在しないため、このような手法によってタッチ検出を行うことはできない。このような背景から、発明者は、電流駆動表示パネル(例えば、OLED表示パネル)にタッチ検出のための検出素子を集積化する技術について検討している。
【0005】
電流駆動表示パネルにタッチ検出のための検出素子を集積化する技術を検討する上で発明者が認識した課題の一つは、タッチ検出のために追加される回路素子(例えば、薄膜トランジスタ)及び配線の数の低減である。追加の回路素子及び配線の数を低減することは、設計や製造プロセスの容易化に寄与する。このように、タッチ検出のために追加される回路素子及び配線の数の低減には、技術的なニーズが存在する。
【0006】
なお、米国特許第8,427,435号及びTakahashi et al. "Embedded Liquid Crystal Capacitive Touch Screen Technology for Large Size LCD applications", SID Symposium Digest, pp. 563-566, 2009は、検出キャパシタ (sensor capacitor) を含むタッチセンサを液晶表示パネルに組み込む技術を開示している。
【0007】
また、Park et al. “High-Speed AMOLED Pixel Circuit and Driving Scheme”, SID Symposium Digest, pp. 806-809は、OLED表示パネルの画素回路の構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第8,427,435号
【非特許文献】
【0009】
【文献】Takahashi et al. "Embedded Liquid Crystal Capacitive Touch Screen Technology for Large Size LCD applications", SID Symposium Digest, pp. 563-566, 2009
【文献】Park et al. “High-Speed AMOLED Pixel Circuit and Driving Scheme”, SID Symposium Digest, pp. 806-809
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的の一つは、タッチ検出のために追加される回路素子及び配線が低減された電流駆動表示パネルを提供することにある。本発明の他の目的及び新規な特徴は、以下の開示から当業者には理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一の観点では、電流駆動表示パネルが、複数の画素回路と、センスラインとを具備する。複数の画素回路は、タッチ検出対応画素回路を含む。タッチ検出対応画素回路は、電流駆動素子と、駆動トランジスタと、データ電圧に対応する電圧を保持する保持キャパシタと、検出キャパシタとを備えている。検出キャパシタは、検出キャパシタの容量が、タッチ検出対応画素回路の近傍における物体の電流駆動表示パネルへの接触に応じて変動するように構成されている。タッチ検出対応画素回路は、駆動トランジスタが、データ電圧に応じて電流駆動素子に電流を供給すると共に、駆動トランジスタが、検出キャパシタの容量に応じたセンス電流をセンスラインに供給するように構成されている。
【0012】
本発明の他の観点では、パネル表示装置が、上記の電流駆動表示パネルと、電流駆動表示パネルにデータ電圧を供給し、電流駆動表示パネルからセンス電流を受け取るタッチコントローラ内蔵表示ドライバを備えている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、タッチ検出のために追加される回路素子及び配線が低減された電流駆動表示パネルが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施形態のパネル表示装置の構成を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態におけるOLED表示パネルの画素回路の構造を概略的に示す断面図である。
図3】第1の実施形態における画素回路の回路構成を示す回路図である。
図4図3に図示されている画素回路の動作を示すタイミングチャートである。
図5】第1の実施形態の変形例におけるパネル表示装置の構成を示すブロック図である。
図6図5のパネル表示装置における、検出キャパシタを含まない画素回路の回路構成を示す回路図である。
図7】第2の実施形態のパネル表示装置の構成を示すブロック図である。
図8】第2の実施形態における画素回路の回路構成を示す回路図である。
図9図3に図示されている画素回路の動作を示すタイミングチャートである。
図10】第2の実施形態の変形例におけるパネル表示装置の構成を示すブロック図である。
図11図10のパネル表示装置における、検出キャパシタを含まない画素回路の回路構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態を説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態のパネル表示装置10の構成を示すブロック図である。パネル表示装置10は、OLED表示パネル1と、タッチコントローラ内蔵表示ドライバ2とを備えている。タッチコントローラ内蔵表示ドライバ2は、OLED表示パネル1を駆動すると共に、OLED表示パネル1についてのタッチ検出を行う機能を有している。
【0017】
本実施形態では、OLED表示パネル1は、電圧プログラミング法に対応した電流駆動表示パネルとして構成されている。OLED表示パネル1は、表示領域3とスキャンドライバ4とエミッションドライバ5とを備えている。表示領域3には、行列に配置された画素回路6と、スキャンラインSL[-1]-SL[n]と、第1エミッションラインEM1[1]-EM1[n]と、第2エミッションラインEM2[1]-EM2[n]と、データラインDL[1]~DL[m]と、センスラインSNS[1]~SNS[m]とが配置される。スキャンドライバ4は、スキャンラインSL[-1]-SL[n]を駆動し、エミッションドライバ5は、第1エミッションラインEM1[1]-EM1[n]と、第2エミッションラインEM2[1]-EM2[n]とを駆動する。スキャンドライバ4とエミッションドライバ5とは、例えば、SOG技術(system on glass)を用いてOLED表示パネル1に集積化されてもよい。
【0018】
各画素回路6は、OLED素子を用いて赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のいずれかの色を表示するように構成されている。一実施形態では、各画素回路6は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のいずれかの光を発光するOLED素子を含んでいてもよい。他の実施形態では、各画素回路6が、白色の光を発光するOLED素子を含んでおり、赤色、緑色、青色のカラーフィルタを用いて赤色、緑色、青色のいずれかの色を表示するように構成されてもよい。赤色を表示するOLED素子を含む画素回路6は、R副画素として用いられる。同様に、緑色を表示するOLED素子を含む画素回路6は、G副画素として用いられ、青色を表示するOLED素子を含む画素回路6は、B副画素として用いられる。加えて、各画素回路6は、タッチ検出に対応するように構成されており、タッチ検出に用いられる検出キャパシタを含んでいる。
【0019】
図2は、OLED表示パネル1の各画素回路6の構造を概略的に示す断面図である。OLED表示パネル1は、下側ガラス基板11と、上側ガラス基板12とを備えている。下側ガラス基板11と上側ガラス基板12との間に、回路形成層13と、OLED素子14と、検出キャパシタ15と、パッシベーション層16とが形成されている。回路形成層13には、各画素回路6の薄膜トランジスタ、スキャンラインSL[-1]-SL[n]、第1エミッションラインEM1[1]-EM1[n]、第2エミッションラインEM2[1]-EM2[n]、データラインDL[1]~DL[m]、センスラインSNS[1]~SNS[m]、及び、これらを被覆するパッシベーション層が集積化される。OLED素子14と検出キャパシタ15とは、回路形成層13の上面に形成されている。OLED素子14は、アノード14aと、発光層14bと、カソード14cとを備えている。検出キャパシタ15は、下部電極15aと絶縁層15bと上部電極15cとを備えている。なお、図2には、カソード14cと上部電極15cとが接続されている構造が図示されているが、カソード14cと上部電極15cとは、分離されていてもよい。OLED素子14と検出キャパシタ15のそれぞれは、スペーサ17によって他のOLED素子14及び検出キャパシタ15から分離されている。パッシベーション層16は、OLED素子14と検出キャパシタ15とを被覆するように形成されている。
【0020】
検出キャパシタ15は、タッチ検出のためのセンス信号の生成に用いられる。上側ガラス基板12が、検出キャパシタ15の近傍の位置で、物体、例えば、人体の指18によって押されると、検出キャパシタ15が微小に変形して、検出キャパシタ15の少なくとも一部分において下部電極15aと上部電極15cとの距離が変化する。下部電極15aと上部電極15cとの距離が変化すると、検出キャパシタ15の容量が変化する。この検出キャパシタ15の容量の変化は、検出キャパシタ15の近傍においてOLED表示パネル1に作用する圧力に依存している。後に詳細に説明するように、各画素回路6は、検出キャパシタ15の容量の変化に応じた電流レベルを有するセンス電流Isensを生成するように構成される。検出キャパシタ15が変形しやすいように、絶縁層15bは、例えば、弾性を有する有機絶縁体で形成されることが好ましい。
【0021】
図1を再度に参照して、スキャンラインSL[-1]-SL[n]と、第1エミッションラインEM1[1]-EM1[n]と、第2エミッションラインEM2[1]-EM2[n]とは、OLED表示パネル1の水平方向(画素回路6の行の方向)に延伸するように設けられている。スキャンラインSL[-1]-SL[n]は、リセットする画素回路6の行の選択、センス信号を得る画素回路6の行の選択、及び、ータ電圧を書き込むべき画素回路6の行の選択のために用いられる。また、第1エミッションラインEM1[1]-EM1[n]と第2エミッションラインEM2[1]-EM2[n]とは、OLED素子14の発光を許可する画素回路6の行を選択するために用いられる。なお、図1に図示されている構成では、OLED表示パネル1が、画素回路6の行のそれぞれに対応するスキャンラインSL[1]~SL[n]に加え、2本の追加のスキャンラインSL[-1]、SL[0]を有している。該2本の追加のスキャンラインSL[-1]、SL[0]は、上から2行の画素回路6について、リセットする画素回路6の行の選択、及び、センス信号を得る画素回路6の行の選択を行うために用いられる。
【0022】
データラインDL[1]~DL[m]、センスラインSNS[1]~SNS[m]とは、垂直方向(画素回路6の列の方向)に延伸するように設けられている。データラインDL[1]~DL[m]は、各画素回路6にデータ電圧を供給するために用いられる。センスラインSNS[1]~SNS[m]は、後述のように、タッチ検出において各画素回路6において生成されるセンス電流Isensを、各画素回路6から出力するために用いられる。
【0023】
タッチコントローラ内蔵表示ドライバ2は、外部から(例えば、アプリケーションプロセッサから)供給される画像データに応答してデータラインDL[1]~DL[m]にデータ電圧を供給し、これにより、データラインDL[1]~DL[m]を介して各画素回路6にデータ電圧を書き込む。加えて、タッチコントローラ内蔵表示ドライバ2は、各画素回路6から得られたセンス電流Isensの電流レベルを検出してタッチ検出を行う機能も有している。タッチコントローラ内蔵表示ドライバ2は、タッチ検出の結果を示すタッチ検出データを出力する。一実施形態では、タッチコントローラ内蔵表示ドライバ2は、表面実装技術を用いてOLED表示パネル1の上に搭載されてもよい。
【0024】
図3は、第1の実施形態における画素回路6の回路構成を示す回路図である。なお、図3は、i行目、j列目に位置している画素回路6の構成を図示しているが、他の画素回路6の構成も、図3に図示されている構成と同一である。ここで、スキャンラインSL[i]は、i行目に位置している画素回路6にデータ電圧を書き込む水平同期期間において活性化されるスキャンラインである。同様に、スキャンラインSL[i-1]は、i-1行目に位置している画素回路6にデータ電圧を書き込む水平同期期間において活性化されるスキャンラインであり、スキャンラインSL[i-2]は、i-2行目に位置している画素回路6にデータ電圧を書き込む水平同期期間において活性化されるスキャンラインである。
【0025】
第1の実施形態では、各画素回路6が、上述のOLED素子14、検出キャパシタ15に加え、駆動トランジスタT1と、選択トランジスタT2と、閾値補償トランジスタT3と、リセットトランジスタT4と、選択トランジスタT5、T6、T7と、保持キャパシタC1とを備えている。本実施形態では、駆動トランジスタT1と、選択トランジスタT2と、閾値補償トランジスタT3と、リセットトランジスタT4と、選択トランジスタT5、T6、T7は、いずれも、P型のMOSトランジスタとして構成される。
【0026】
駆動トランジスタT1は、各画素回路6に書き込まれたデータ電圧に応じた駆動電流を生成し、生成した駆動電流をOLED素子14に供給する。駆動トランジスタT1は、そのソースがノードN1に接続され、ゲートが保持ノードNHOLDに接続されている。
【0027】
選択トランジスタT2は、データ電圧を書き込む画素回路6を選択するために用いられる。選択トランジスタT2は、ソースがデータラインDL[j]に接続され、ドレインがノードN1に接続され、ゲートがスキャンラインSL[i]に接続されている。選択トランジスタT2は、スキャンラインSL[i]の電位に応じて、データラインDL[j]とノードN1(即ち、駆動トランジスタT1のソース)とを電気的に接続する。
【0028】
閾値補償トランジスタT3は、ソースが駆動トランジスタT1のドレインに接続され、ドレインが駆動トランジスタT1のゲートに接続され、ゲートがスキャンラインSL[i]に接続されている。閾値補償トランジスタT3は、スキャンラインSL[i]の電位に応じて、駆動トランジスタT1のドレインとゲートとを電気的に接続する。
【0029】
リセットトランジスタT4は、スキャンラインSL[i-2]の電位に応じて保持ノードNHOLDと内部電源ライン31とを電気的に接続することで保持キャパシタC1及び検出キャパシタ15をリセットするために用いられる。本実施形態では、リセットトランジスタT4は、ソースが保持ノードNHOLDに接続され、ドレインが内部電源ライン31に接続され、ゲートがスキャンラインSL[i-2]に接続されている。ここで、内部電源ライン31は、電位Vintに固定された電源ラインである。
【0030】
選択トランジスタT5、T6は、OLED素子14を発光させる画素回路6を選択するために用いられる。詳細には、選択トランジスタT5は、ソースが電源ライン32に接続され、ドレインがノードN1に接続され、ゲートが第2エミッションラインEM2[i]に接続されている。ここで、電源ライン32は、OLED素子14を駆動に用いられる電源電圧ELVDDが供給される電源ラインである。選択トランジスタT5は、第2エミッションラインEM2[i]の電位に応じて、電源ライン32とノードN1(即ち、駆動トランジスタT1のソース)とを電気的に接続する。また、選択トランジスタT6は、ソースが駆動トランジスタT1のドレインに接続され、ドレインがOLED素子14のアノードに接続され、ゲートが第1エミッションラインEM1[i]に接続されている。選択トランジスタT6は、第1エミッションラインEM1[i]の電位に応じて、駆動トランジスタT1のドレインとOLED素子14のアノードとを電気的に接続するように構成されている。
【0031】
選択トランジスタT7は、センス電流Isensを取得する画素回路6を選択するために用いられる。選択トランジスタT7は、ソースが駆動トランジスタT1のドレインに接続され、ドレインがセンスラインSNS[j]に接続され、ゲートがスキャンラインSL[i-1]に接続されている。選択トランジスタT7は、スキャンラインSL[i-1]の電位に応じて、駆動トランジスタT1のドレインとセンスラインSNS[j]とを電気的に接続するように構成されている。
【0032】
保持キャパシタC1は、当該画素回路6に対応する副画素の階調(即ち、OLED素子14が発光すべき輝度)に対応するデータ電圧を保持する。保持キャパシタC1は、保持ノードNHOLDとスキャンラインSL[i-1]との間に接続されている。
【0033】
OLED素子14は、アノードが選択トランジスタT6のドレインに接続され、カソードが接地ライン33に接続されている。ここで、接地ライン33は、接地電位ELVSSに固定されている電源ラインである。
【0034】
検出キャパシタ15は、上述のように、タッチ検出のためのセンス信号の生成に用いられる。検出キャパシタ15は、保持ノードNHOLDと接地ライン33との間に接続されている。
【0035】
図3に図示されている画素回路6は、いわゆる6T1C型画素回路(上記の非特許文献2参照)に、選択トランジスタT7、第2エミッションラインEM2、検出キャパシタ15、及び、センスラインSNSを追加した構成であることに留意されたい。図3に図示されている構成では、OLED素子14を駆動するために用いられる回路素子及び配線が、タッチ検出のためのセンス信号の生成にも用いられ、これにより、タッチ検出のために画素回路6に追加される回路素子及び配線を低減することができる。
【0036】
詳細には、まず、OLED素子14にデータ電圧に応じた駆動電流を供給する駆動トランジスタT1が、検出キャパシタ15の容量に応じてタッチ検出に用いられるセンス電流Isensを生成する増幅トランジスタとしても用いられる。
【0037】
また、保持キャパシタC1をリセットするために用いられるリセットトランジスタT4が、検出キャパシタ15をリセットするためにも用いられる。詳細には、図3に図示されている画素回路6では、保持ノードNHOLD(即ち、駆動トランジスタT1のゲート)に保持キャパシタC1の一端と検出キャパシタ15の一端が接続されており、且つ、リセットトランジスタT4が、保持ノードNHOLDと内部電源ライン31とをスキャンラインSL[i-2]の電位に応じて電気的に接続する。このような構成によれば、一つのリセットトランジスタT4によって保持キャパシタC1と検出キャパシタ15の両方をリセットできる。
【0038】
更に、データ電圧を保持する保持キャパシタC1が、センス電流Isensの生成においてリファレンスキャパシタとして使用される。
【0039】
このように、本実施形態の画素回路6の構成によれば、回路素子をOLED素子14の駆動とタッチ検出に用いられるセンス電流Isensの生成に兼用することで、タッチ検出のために追加される回路素子及び配線を低減することができる。
【0040】
図4は、図3に図示されている画素回路6(i行j列に位置する画素回路6)の動作を示すタイミングチャートである。なお、本実施形態では、スキャンラインSL[i-2]~[i]、第1エミッションラインEM1[i]及び第2エミッションラインEM2[i]は、いずれも、ローアクティブ(low-active)である。初期状態において、スキャンラインSL[i-2]、SL[i-1]、SL[i]は、いずれも、非活性化され(deactivated)、第1エミッションラインEM1[i]、第2エミッションラインEM2[i]は、いずれも、活性化されている(activated)ものとする。
【0041】
図3に図示されている画素回路6の動作は、リセット動作、タッチ検出動作、データ書き込み動作、及び、OLED素子14の駆動動作を含んでいる。
【0042】
リセット動作では、スキャンラインSL[i-2]が活性化され、更に、第1エミッションラインEM1[i]、第2エミッションラインEM2[i]が非活性化される。ここで、スキャンラインSL[i-2]は、i-2行目の画素回路6にデータ電圧を書き込む際に活性化されるスキャンラインであることに留意されたい。これにより、リセットトランジスタT4がオンされ、保持ノードNHOLDの電位、即ち、駆動トランジスタT1のゲート電位Vgt1が、電位Vintにリセットされる。
【0043】
リセット動作に続いてタッチ検出動作が行われる。タッチ検出動作では、スキャンラインSL[i-2]が非活性化されると共にスキャンラインSL[i-1]が活性化される。上述のように、スキャンラインSL[i-1]はローアクティブであり、且つ、保持ノードNHOLDは、保持キャパシタC1を介してスキャンラインSL[i-1]に接続されているから、保持ノードNHOLDの電位、即ち、駆動トランジスタT1のゲート電位Vgt1は、スキャンラインSL[i-1]のプルダウンによって低下する。
【0044】
ここで、スキャンラインSL[i-1]が活性化されたときの駆動トランジスタT1のゲート電位Vgt1の変化量dVsensは、検出キャパシタ15の容量Csensに依存しており、下記式で表される:
【数1】
ここで、dVscanは、スキャンラインSL[i-1]が活性化されたとき(即ち、スキャンラインSL[i-1]がプルダウンされたとき)のスキャンラインSL[i-1]の電位の変化量である。スキャンラインSL[i-1]が活性化されたときの駆動トランジスタT1のゲート電位Vgt1は、検出キャパシタ15の容量Csensに依存することになる。
【0045】
検出キャパシタ15の容量Csensは、当該画素回路6の近傍におけるOLED表示パネル1への物体、例えば、人体の指の接触の有無に依存するから、結果として、駆動トランジスタT1のゲート電位Vgt1は、OLED表示パネル1への物体の接触の有無に依存することになる。当該画素回路6の近傍においてOLED表示パネル1に物体が接触していると、検出キャパシタ15の絶縁層15bの厚みが薄くなり、検出キャパシタ15の容量Csensが増加する。検出キャパシタ15の容量Csensが増加すると、図4の凡例「タッチあり」に示されているように、ゲート電位Vgt1の変化dVsensが相対的に小さくなる。逆に、当該画素回路6の近傍においてOLED表示パネル1に物体が接触していない場合には、検出キャパシタ15の容量Csensが減少し、図4の凡例「タッチなし」に示されているように、ゲート電位Vgt1の変化dVsensが相対的に大きくなる。
【0046】
スキャンラインSL[i-1]の活性化に同期して、第2エミッションラインEM2[i]は活性化される。これにより、電源ライン32から選択トランジスタT5、駆動トランジスタT1及び選択トランジスタT7を介してセンスラインSNS[j]にセンス電流Isensを流す電流パスが形成される。センス電流Isensは、駆動トランジスタT1のゲート電位Vgt1に依存しているので、画素回路6から得られるセンス電流Isensは、当該画素回路6の近傍におけるOLED表示パネル1への物体、例えば、人体の指の接触の有無に依存することになる。よって、タッチコントローラ内蔵表示ドライバ2によってセンス電流Isensを検出することで、各画素回路6の近傍におけるOLED表示パネル1への物体の接触の有無を検出することができる。
【0047】
検出キャパシタ15の容量Csensは、検出キャパシタ15に作用する圧力、即ち、検出キャパシタ15の近傍においてOLED表示パネル1に作用する圧力に依存するので、センス電流Isensを検出することにより、物体がOLED表示パネル1に接触して作用する圧力を検出することも可能である。例えば、物体がOLED表示パネル1に接触する圧力が増大すると、検出キャパシタ15の絶縁層15bの厚みが薄くなり、検出キャパシタ15の容量Csensが増加する。上記から理解されるように、センス電流Isensは、検出キャパシタ15の容量Csensに応じた電流レベルを有しているので、センス電流Isensを検出することで、物体がOLED表示パネル1に接触して作用する圧力を検出することができる。
【0048】
単にOLED表示パネル1への物体の接触の有無を検出するか、加えて物体がOLED表示パネル1に作用する圧力を検出するかは、本実施形態のOLED表示パネル1の応用に応じて決めてもよい。
【0049】
タッチ検出動作に続いてデータ書き込み動作が行われる。データ書き込み動作では、第2エミッションラインEM2[i]及びスキャンラインSL[i-1]が非活性化されると共にスキャンラインSL[i]が活性化される。このとき、データラインDL[j]には、当該画素回路6に書き込むべきデータ電圧が供給される。スキャンラインSL[i]の活性化により、選択トランジスタT2、駆動トランジスタT1及び閾値補償トランジスタT3を介してデータラインDL[j]を保持ノードNHOLDに接続する経路が形成され、データ電圧が保持キャパシタC1に書き込まれる。このとき、駆動トランジスタT1及び閾値補償トランジスタT3を介して保持キャパシタC1にデータ電圧が書き込まれることにより、データ電圧のみならず駆動トランジスタT1の閾値電圧VTHに依存した電圧が保持キャパシタC1に書き込まれ、これにより、閾値電圧補償が実現される。なお、閾値電圧補償を行わない場合には、閾値補償トランジスタT3を設ける必要は無い。
【0050】
データ書き込み動作に続いてOLED素子14の駆動動作が行われる。OLED素子14の駆動動作では、第1エミッションラインEM1[i]及び第2エミッションラインEM2[i]の両方が活性化される。これにより、電源ライン32から選択トランジスタT5、駆動トランジスタT1、選択トランジスタT6及びOLED素子14を介して接地ライン33に到達する電流パスが形成され、OLED素子14が駆動される。OLED素子14を流れる電流は、駆動トランジスタT1のゲート電位Vgt1、即ち、保持キャパシタC1に保持される電圧に依存するので、結果として、当該画素回路6に書き込まれたデータ電圧に応じた輝度でOLED素子14は発光する。
【0051】
以上に説明されているように、本実施形態のOLED表示パネル1では、タッチ検出に用いられる検出キャパシタ15が画素回路6に組み込まれる。このとき、OLED素子14を駆動するために用いられる回路素子及び配線が、タッチ検出のためのセンス電流Isensの生成にも用いられ、これにより、タッチ検出のために画素回路6に追加される回路素子及び配線を低減することができる。
【0052】
上記では、全ての画素回路6が検出キャパシタ15を含むOLED表示パネル1が記述されているが、全ての画素回路6が検出キャパシタ15を含んでいなくてもよい。タッチ検出の感度、分解能その他の要求に対応できるような必要な割合の画素回路6が、検出キャパシタ15を含んでいてもよい。
【0053】
図5は、このような構成のOLED表示パネル1Aを含むパネル表示装置10Aの構成を示すブロック図である。図5の構成では、表示領域3に、検出キャパシタ15を含む画素回路6と検出キャパシタ15を含まない画素回路7が、行列に配置されている。図5の構成では、3行3列の画素回路が配置された画素回路アレイが、表示領域3に行列に配置されている。各画素回路アレイにおいて、右下端の画素回路が検出キャパシタ15を含む画素回路6であり、残りが検出キャパシタ15を含まない画素回路7である。即ち、検出キャパシタ15を含む画素回路6は、3行3列の画素回路アレイのうちの下端の行に位置している。
【0054】
図6は、検出キャパシタ15を含まない画素回路7の構成の一例を示す回路図である。なお、図6には、i行j列に位置する画素回路7の構成が図示されている。本実施形態では、画素回路7は、いわゆる6T1C型画素回路として構成される。画素回路7は、図3に図示されている画素回路6と類似した構成を有しているが、下記の点で相違している。第1に画素回路7については、選択トランジスタT7、及び、検出キャパシタ15が設けられていない。更に、スキャンラインSL[i-2]、第2エミッションラインEM2及びセンスラインSNSは、検出キャパシタ15を含まない画素回路7には接続されない。また、リセットトランジスタT4のゲートは、(スキャンラインSL[i-2]ではなく)スキャンラインSL[i-1]に接続されている。更に、保持キャパシタC1は、電源電圧ELVDDが供給される電源ライン32と保持ノードNHOLDとの間に接続されている。
【0055】
図4に図示されている動作は、このような画素回路7についてもOLED素子14を正しく駆動できるものであることに留意されたい。
【0056】
なお、図6に図示されている画素回路7の構成から理解されるように、画素回路7の配置によっては、図1の構成において表示領域3に配置されているライン(スキャンラインSL、第1エミッションラインEM1、第2エミッションラインEM2、センスラインSNS)のうち、不必要なラインは設けられなくてもよい。検出キャパシタ15を含まない画素回路7のみが配置されている画素回路の行については、第2エミッションラインEM2が設けられる必要がなく、画素回路7のみが配置されている画素回路の列については、センスラインSNSが設けられる必要がない。また、検出キャパシタ15を含まない画素回路7のみが、最上端の画素回路の行に設けられている場合には、スキャンラインSL[-1]は設けられる必要がない。
【0057】
図5に図示されているOLED表示パネル1Aの構成では、検出キャパシタ15を含む画素回路6が配置されている画素回路の行について第2エミッションラインEM2が設けられ、残りの行については第2エミッションラインEM2が設けられていない。また、更に、検出キャパシタ15を含む画素回路6が配置されている画素回路の列についてセンスラインSNSが設けられ、残りの列についてはセンスラインSNSが設けられていない。更に、スキャンラインSL[-1]は設けられていない。
【0058】
上記に説明されているのは、画素回路6、7に含まれる駆動トランジスタT1、選択トランジスタT2、閾値補償トランジスタT3、リセットトランジスタT4及び選択トランジスタT5、T6、T7が、いずれも、P型のMOSトランジスタとして構成される実施形態であるが、これらのトランジスタとして、N型のMOSトランジスタが用いられてもよい。この場合、電源ライン32が接地される一方で、接地ライン33の代わりに電源電圧ELVDDが供給される電源ラインが用いられる。また、OLED素子14は、カソードが選択トランジスタT6のドレインに接続され、アノードが、電源電圧ELVDDが供給される該電源ラインに接続される。更に、スキャンラインSL[i-2]~[i]、第1エミッションラインEM1[i]及び第2エミッションラインEM2[i]は、いずれも、ハイアクティブ(high-active)の信号線として動作される。
【0059】
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態のパネル表示装置10Bの構成を示すブロック図である。パネル表示装置10Bは、OLED表示パネル1Bと、タッチコントローラ内蔵表示ドライバ2とを備えている。タッチコントローラ内蔵表示ドライバ2は、OLED表示パネル1Bを駆動すると共に、OLED表示パネル1Bについてのタッチ検出を行う機能を有している。
【0060】
第2の実施形態のパネル表示装置10Bは、第1の実施形態のパネル表示装置10と類似した構成を有しているが、下記の点で相違している。第1に、第2の実施形態のパネル表示装置10Bでは、第1の実施形態で用いられる画素回路6、7と異なる構成の画素回路8がOLED表示パネル1Bに配置されている。また、第1の実施形態のパネル表示装置10では、各画素回路6に2本のエミッションライン(第1エミッションラインEM1、第2エミッションラインEM2)が接続されているが、第2の実施形態では、各画素回路8に1本のエミッションラインEMが接続されている。エミッションドライバ5は、エミッションラインEM[1]~EM[n]を駆動する。
【0061】
図8は、第2の実施形態における画素回路8の構成を示す回路図である。なお、図8は、i行目、j列目に位置している画素回路8の構成を図示しているが、他の画素回路8の構成も、図8に図示されている構成と同一である。
【0062】
第2の実施形態では、各画素回路8が、上述のOLED素子14、検出キャパシタ15に加え、駆動トランジスタT1と、選択トランジスタT2と、閾値補償トランジスタT3と、リセットトランジスタT4と、選択トランジスタT5、T6と、保持キャパシタC1と、閾値補償キャパシタCVthとを備えている。本実施形態では、駆動トランジスタT1と、選択トランジスタT2と、閾値補償トランジスタT3と、リセットトランジスタT4と、選択トランジスタT5、T6は、いずれも、P型のMOSトランジスタとして構成される。
【0063】
駆動トランジスタT1は、各画素回路8に書き込まれたデータ電圧に応じた駆動電流を生成し、生成した駆動電流をOLED素子14に供給する。駆動トランジスタT1は、そのソースが電源ライン32に接続され、ゲートが保持ノードNHOLDに接続されている。ここで、電源ライン32は、OLED素子14を駆動に用いられる電源電圧ELVDDが供給される電源ラインである。
【0064】
選択トランジスタT2は、データ電圧を書き込む画素回路8を選択するために用いられる。選択トランジスタT2は、ソースがデータラインDL[j]に接続され、ドレインが保持ノードNHOLDに接続され、ゲートがスキャンラインSL[i]に接続されている。
【0065】
閾値補償トランジスタT3は、ソースが駆動トランジスタT1のドレインに接続され、ドレインが駆動トランジスタT1のゲートに接続され、ゲートがスキャンラインSL[i-2]に接続されている。
【0066】
リセットトランジスタT4は、スキャンラインSL[i-2]の電位に応じて保持ノードNHOLDと内部電源ライン34とを電気的に接続することで保持キャパシタC1、閾値補償キャパシタCVth及び検出キャパシタ15をリセットするために用いられる。本実施形態では、リセットトランジスタT4は、ソースが内部電源ライン34に接続され、ドレインが保持ノードNHOLDに接続され、ゲートがスキャンラインSL[i-2]に接続されている。ここで、内部電源ライン34は、電位Vsusに固定された電源ラインである。
【0067】
選択トランジスタT5は、OLED素子14を発光させる画素回路8を選択するために用いられる。選択トランジスタT5は、ソースが駆動トランジスタT1のドレインに接続され、ドレインがOLED素子14のアノードに接続され、ゲートがエミッションラインEM[i]に接続されている。
【0068】
選択トランジスタT6は、センス電流Isensを取得する画素回路8を選択するために用いられる。選択トランジスタT6は、ソースが駆動トランジスタT1のドレインに接続され、ドレインがセンスラインSNS[j]に接続され、ゲートがスキャンラインSL[i-1]に接続されている。
【0069】
保持キャパシタC1は、当該画素回路8に対応する調(即ち、OLED素子14が発光すべき輝度)に対応するデータ電圧を保持する。保持キャパシタC1は、保持ノードNHOLDとスキャンラインSL[i-1]との間に接続されている。
【0070】
閾値補償キャパシタCVthは、駆動トランジスタT1の閾値電圧に対応する電圧を保持する。閾値補償キャパシタCVthは、駆動トランジスタT1のゲートと保持ノードNHOLDとの間に接続されている。
【0071】
OLED素子14は、アノードが選択トランジスタT5のドレインに接続され、カソードが接地ライン33に接続されている。ここで、接地ライン33は、接地電位ELVSSに固定される電源ラインである。
【0072】
検出キャパシタ15は、上述のように、タッチ検出のためのセンス信号の生成に用いられる。検出キャパシタ15は、保持ノードNHOLDと接地ライン33との間に接続されている。
【0073】
図8に図示されている画素回路は、いわゆる5T2C型画素回路(上記の非特許文献2参照)に、選択トランジスタT6、検出キャパシタ15、及び、センスラインSNSを追加した構成であることに留意されたい。図8に図示されている構成では、OLED素子14を駆動するために用いられる回路素子及び配線が、タッチ検出のためのセンス信号の生成にも用いられ、これにより、タッチ検出のために画素回路8に追加される回路素子及び配線を低減することができる。
【0074】
詳細には、まず、OLED素子14にデータ電圧に応じた駆動電流を供給する駆動トランジスタT1が、検出キャパシタ15の容量に応じてタッチ検出に用いられるセンス電流Isensを生成する増幅トランジスタとしても用いられる。
【0075】
また、保持キャパシタC1及び閾値補償キャパシタCVthをリセットするために用いられるリセットトランジスタT4が、検出キャパシタ15をリセットするためにも用いられる。詳細には、図に図示されている画素回路では、保持ノードNHOLD 保持キャパシタC1の一端と閾値補償キャパシタCVthの一端と検出キャパシタ15の一端が接続されており、且つ、リセットトランジスタT4が、保持ノードNHOLDと内部電源ライン34とをスキャンラインSL[i-2]の電位に応じて電気的に接続する。このような構成によれば、一つのリセットトランジスタT4によって、保持キャパシタC1及び閾値補償キャパシタCVthのみならず、検出キャパシタ15をリセットできる。
【0076】
更に、保持キャパシタC1が、センス電流Isensの生成においてリファレンスキャパシタとして使用される。
【0077】
このように、本実施形態の画素回路8の構成によれば、回路素子をOLED素子14の駆動とタッチ検出に用いられるセンス電流Isensの生成に兼用することで、タッチ検出のために追加される回路素子及び配線を低減することができる。
【0078】
なお、閾値補償を行わないのであれば、閾値補償トランジスタT3及び閾値補償キャパシタCVthは設けられる必要はない。この場合、駆動トランジスタT1のゲートは、直接、保持ノードNHOLDに接続される。
【0079】
図9は、図に図示されている画素回路8(i行j列に位置する画素回路8)の動作を示すタイミングチャートである。なお、本実施形態では、スキャンラインSL[i-2]~[i]及びエミッションラインEM[i]は、いずれも、ローアクティブ(low-active)である。初期状態において、スキャンラインSL[i-2]、SL[i-1]、SL[i]は、いずれも、非活性化され(deactivated)、エミッションラインEM[i]は、活性化されている(activated)ものとする。
【0080】
図9に図示されている画素回路8の動作は、リセット動作、閾値補償動作、タッチ検出動作、データ書き込み動作、及び、OLED素子14の駆動動作を含んでいる。
【0081】
リセット動作では、スキャンラインSL[i-2]が活性化される。ここで、スキャンラインSL[i-2]は、i-2行目の画素回路6にデータ電圧を書き込む際に活性化されるスキャンラインであることに留意されたい。これにより、リセットトランジスタT4がオンされ、保持ノードNHOLDの電位が、電位Vsusにリセットされる。このとき、閾値補償キャパシタCVthを介して保持ノードNHOLDに接続されている駆動トランジスタT1のゲート電位Vgt1も、保持ノードNHOLDの電位の変動に応じて変動する。電位Vsusは、各画素回路8にデータ書き込みが許容されるデータ電圧よりも低く、駆動トランジスタT1のゲート電位Vgt1が低下して駆動トランジスタT1はオン状態になる。
【0082】
リセット動作に続いて、閾値補償動作が行われる。閾値補償動作では、スキャンラインSL[i-2]が活性化された状態のまま、エミッションラインEM[i]が非活性化される。エミッションラインEM[i]が非活性化された瞬間は、駆動トランジスタT1はオン状態であり、且つ、閾値補償トランジスタT3もオン状態であるので、駆動トランジスタT1のゲートが、電源電圧ELVDDが供給されている電源ライン32に電気的に接続され、駆動トランジスタT1のゲートの電位が上昇する。このとき、駆動トランジスタT1のゲートの電位が電源電圧ELVDDよりも駆動トランジスタT1の閾値電圧の絶対値だけ低い電位まで上昇すると駆動トランジスタT1はオフされる。この結果、閾値補償キャパシタCVthには、駆動トランジスタT1の閾値電圧に対応した電圧が保持される。
【0083】
閾値補償動作に続いてタッチ検出動作が行われる。タッチ検出動作では、スキャンラインSL[i-2]が非活性化されると共にスキャンラインSL[i-1]が活性化される。上述のように、スキャンラインSL[i-1]はローアクティブであり、且つ、保持ノードNHOLDは、保持キャパシタC1を介してスキャンラインSL[i-1]に接続されているから、保持ノードNHOLDの電位は、スキャンラインSL[i-1]のプルダウンによって低下する。この結果、駆動トランジスタT1のゲートは、閾値補償キャパシタCVthを介して保持ノードNHOLDに接続されているから、駆動トランジスタT1のゲート電位Vgt1もスキャンラインSL[i-1]のプルダウンによって低下する。
【0084】
ここで、スキャンラインSL[i-1]が活性化されたときの駆動トランジスタT1のゲート電位Vgt1の変化量dVsensは、検出キャパシタ15の容量Csensに依存している。第1の実施形態と同様に、駆動トランジスタT1のゲート電位Vgt1の変化量dVsensは、下記式(2)で表される:
【数2】
ここで、dVscanは、スキャンラインSL[i-1]が活性化されたときのスキャンラインSL[i-1]の電位の変化量である。スキャンラインSL[i-1]が活性化されたときの駆動トランジスタT1のゲート電位Vgt1は、検出キャパシタ15の容量Csensに依存することになる。
【0085】
第1の実施形態において説明したように、検出キャパシタ15の容量Csensは、当該画素回路の近傍におけるOLED表示パネル1Bへの物体、例えば、人体の指の接触の有無に依存するから、結果として、駆動トランジスタT1のゲート電位Vgt1は、OLED表示パネル1Bへの物体の接触の有無に依存することになる。当該画素回路6の近傍においてOLED表示パネル1Bに物体が接触していると、検出キャパシタ15の容量Csensが増加する。検出キャパシタ15の容量Csensが増加し、図9の凡例「タッチあり」に示されているように、ゲート電位Vgt1の変化dVsensが相対的に小さくなる。逆に、当該画素回路6の近傍においてOLED表示パネル1Bに物体が接触していない場合には、検出キャパシタ15の容量Csensが減少し、図9の凡例「タッチなし」に示されているように、ゲート電位Vgt1の変化dVsensが相対的に大きくなる。
【0086】
加えて、スキャンラインSL[i-1]の活性化に応答して選択トランジスタT6がオン状態になるので、電源ライン32から駆動トランジスタT1及び選択トランジスタT6を介してセンスラインSNS[j]にセンス電流Isensを流す電流パスが形成される。センス電流Isensは、駆動トランジスタT1のゲート電位Vgt1に依存しているので、画素回路8から得られるセンス電流Isensは、当該画素回路8の近傍におけるOLED表示パネル1Bへの物体、例えば、人体の指の接触の有無に依存することになる。よって、タッチコントローラ内蔵表示ドライバ2によってセンス電流Isensを検出することで、各画素回路8の近傍におけるOLED表示パネル1Bへの物体の接触の有無を検出することができる。
【0087】
第1の実施形態と同様に、検出キャパシタ15の容量Csensは、検出キャパシタ15に作用する圧力に依存するので、センス電流Isensを検出することにより、物体がOLED表示パネル1Bに接触する圧力を検出することも可能である。物体がOLED表示パネル1Bに接触する圧力が増大すると、検出キャパシタ15の絶縁層15bの厚みが薄くなり、検出キャパシタ15の容量Csensが増加する。上記から理解されるように、センス電流Isensは、検出キャパシタ15の容量Csensに応じた電流レベルを有しているので、センス電流Isensを検出することで、物体がOLED表示パネル1Bに接触する圧力を検出することができる。
【0088】
単にOLED表示パネル1Bへの物体の接触の有無を検出するか、加えて物体がOLED表示パネル1Bに接触する圧力を検出するかは、本実施形態のOLED表示パネル1の応用に応じて決めてもよい。
【0089】
なお、第2の実施形態におけるOLED表示パネル1Bでは、タッチ検出動作の前に閾値補償動作が行われるため、タッチ検出動作において、駆動トランジスタT1の閾値電圧の変動の影響が小さくできることに留意されたい。
【0090】
タッチ検出動作に続いてデータ書き込み動作が行われる。データ書き込み動作では、スキャンラインSL[i-1]が非活性化されると共にスキャンラインSL[i]が活性化される。このとき、データラインDL[j]には、当該画素回路8に書き込むべきデータ電圧が供給される。スキャンラインSL[i]の活性化により、選択トランジスタT2を介してデータラインDL[j]を保持ノードNHOLDに接続する経路が形成され、データ電圧が保持キャパシタC1に書き込まれる。
【0091】
データ書き込み動作に続いてOLED素子14の駆動動作が行われる。OLED素子14の駆動動作では、エミッションラインEM[i]が活性化される。これにより、電源ライン32から駆動トランジスタT1、選択トランジスタT5及びOLED素子14を介して接地ライン33に到達する電流パスが形成され、OLED素子14が駆動される。OLED素子14を流れる電流は、駆動トランジスタT1のゲート電位Vgt1に依存し、駆動トランジスタT1のゲート電位Vgt1は、保持キャパシタC1及び閾値補償キャパシタCVthに保持される電圧に依存するので、結果として、当該画素回路8に書き込まれたデータ電圧に応じた輝度でOLED素子14は発光する。
【0092】
以上に説明されているように、本実施形態のOLED表示パネル1Bでは、タッチ検出に用いられる検出キャパシタ15が画素回路8に組み込まれる。このとき、OLED素子14を駆動するために用いられる回路素子及び配線が、タッチ検出のためのセンス電流Isensの生成にも用いられ、これにより、タッチ検出のために画素回路8に追加される回路素子及び配線を低減することができる。
【0093】
上記では、全ての画素回路8が検出キャパシタ15を含むOLED表示パネル1Bが記述されているが、全ての画素回路8が検出キャパシタ15を含んでいなくてもよい。タッチ検出の感度、分解能その他の要求に対応できるような必要な割合の画素回路8が、検出キャパシタ15を含んでいてもよい。
【0094】
図10は、このような構成のOLED表示パネル1Cを含むパネル表示装置10Cの構成を示すブロック図である。図10の構成では、表示領域3に、検出キャパシタ15を含む画素回路8と検出キャパシタ15を含まない画素回路9が、行列に配置されている。図10の構成では、3行3列の画素回路が配置された画素回路アレイが、表示領域3に行列に配置されている。各画素回路アレイにおいて、右下端の画素回路が検出キャパシタ15を含む画素回路8であり、残りが検出キャパシタ15を含まない画素回路9である。即ち、検出キャパシタ15を含む画素回路8は、3行3列の画素回路アレイのうちの下端の行に位置している。
【0095】
図11は、検出キャパシタ15を含まない画素回路9の構成の一例を示す回路図である。図11には、i行j列に位置する画素回路9の構成が図示されている。本実施形態では、画素回路9は、いわゆる5T2C型画素回路として構成される。画素回路9は、図8に図示されている画素回路8と類似した構成を有しているが、下記の点で相違している。第1に、画素回路9については、選択トランジスタT6、及び、検出キャパシタ15が設けられていない。更に、スキャンラインSL[i-2]及びセンスラインSNSは、検出キャパシタ15を含まない画素回路9には接続されない。また、リセットトランジスタT4のゲートは、(スキャンラインSL[i-2]ではなく)スキャンラインSL[i-1]に接続されている。更に、保持キャパシタC1は、電源電圧ELVDDが供給される電源ライン32と保持ノードNHOLDとの間に接続されている。
【0096】
図9に図示されている動作は、このような画素回路9についてもOLED素子14を正しく駆動できるものであることに留意されたい。
【0097】
なお、図11に図示されている画素回路9の構成から理解されるように、画素回路9の配置によっては、図7の構成において表示領域3に配置されているライン(スキャンラインSL、エミッションラインEM、センスラインSNS)のうち、不必要なラインは設けられなくてもよい。検出キャパシタ15を含まない画素回路9のみが配置されている画素回路の列については、センスラインSNSが設けられる必要がない。また、検出キャパシタ15を含まない画素回路9のみが、最上端の画素回路の行に設けられている場合には、スキャンラインSL[-1]は設けられる必要がない。図10に図示されているOLED表示パネル1Cの構成では、検出キャパシタ15を含む画素回路8が配置されている画素回路の列についてセンスラインSNSが設けられ、残りの列についてはセンスラインSNSが設けられていない。更に、スキャンラインSL[-1]は設けられていない。
【0098】
上記に説明されているのは、画素回路8、9に含まれる駆動トランジスタT1、選択トランジスタT2、閾値補償トランジスタT3、リセットトランジスタT4及び選択トランジスタT5、T6が、いずれも、P型のMOSトランジスタとして構成される実施形態であるが、これらのトランジスタとして、N型のMOSトランジスタが用いられてもよい。この場合、電源ライン32が接地される一方で、接地ライン33の代わりに電源電圧ELVDDが供給される電源ラインが用いられる。また、OLED素子14は、カソードが選択トランジスタT6のドレインに接続され、アノードが、電源電圧ELVDDが供給される該電源ラインに接続される。更に、スキャンラインSL[i-2]~[i]、エミッションラインEM[i]は、いずれも、ハイアクティブ(high-active)の信号線として動作される。
【0099】
以上には、本発明の実施形態が具体的に記述されているが、本発明は、上記の実施形態に限定されない。本発明が種々の変更と共に実施され得ることは、当業者には理解されよう。
【0100】
例えば、上記では、OLED素子14が各画素回路(6~9)に集積化されたOLED表示パネル1の実施形態が記述されているが、本発明は、他の電流駆動素子(例えば、無機材料で形成されたLED素子)がOLED素子14の代わりに各画素回路(6~9)に集積化された電流駆動表示パネルにも適用可能である。
【符号の説明】
【0101】
1、1A、1B、1C:OLED表示パネル
2 :タッチコントローラ内蔵表示ドライバ
3 :表示領域
4 :スキャンドライバ
5 :エミッションドライバ
6、7、8、9:画素回路
10、10A、10B、10C:パネル表示装置
11 :下側ガラス基板
12 :上側ガラス基板
13 :回路形成層
14 :OLED素子
14a :アノード
14b :発光層
14c :カソード
15 :検出キャパシタ
15a :下部電極
15b :絶縁層
15c :上部電極
16 :パッシベーション層
17 :スペーサ
18 :指
31 :内部電源ライン
32 :電源ライン
33 :接地ライン
34 :内部電源ライン
C1 :保持キャパシタ
Vth :閾値補償キャパシタ
DL :データライン
EM、EM1、EM2:エミッションライン
SL :スキャンライン
SNS :センスライン
T1 :駆動トランジスタ
T2 :選択トランジスタ
T3 :閾値補償トランジスタ
T4 :リセットトランジスタ
T5、T6、T7:選択トランジスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11