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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】テスト回路及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/28 20060101AFI20221114BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20221114BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
G01R31/28 W
H01L27/04 T
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018043330
(22)【出願日】2018-03-09
(65)【公開番号】P2019158470
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】黒田 忠克
(72)【発明者】
【氏名】冨岡 勉
(72)【発明者】
【氏名】澤井 英幸
【審査官】越川 康弘
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-256486(JP,A)
【文献】特開平07-073062(JP,A)
【文献】特開平08-233907(JP,A)
【文献】特開2000-163998(JP,A)
【文献】国際公開第2007/129583(WO,A1)
【文献】特開平07-280895(JP,A)
【文献】特開平09-231798(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/28
H01L 21/822
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テストモードに移行させるテスト信号が供給されるテストパッドを備えるテスト回路であって、
前記テスト信号は、ゼロ以上所定値以下の範囲で電圧値を可変であり、
前記テストパッドにソースが接続され、ゲートに所定の基準電圧が印加された第1のpチャネルMOSトランジスタと、
ドレインが前記第1のpチャネルMOSトランジスタのドレインに接続され、ソースが第1の電流制限素子を介して接地されている第1のnチャネルMOSトランジスタと、
入力端子が前記第1のnチャネルMOSトランジスタのドレインに接続され、出力端子が前記第1のnチャネルMOSトランジスタのゲートに接続され、前記テスト信号の電圧値が増加して、第1の電圧値を超えると前記第1のnチャネルMOSトランジスタをオン状態からオフ状態に制御する一方、前記テスト信号の電圧値が前記第1の電圧値を超える電圧から前記第1の電圧値よりも低い第2の電圧値に低下すると前記第1のnチャネルMOSトランジスタをオフ状態からオン状態に制御する制御回路と、を備え、
前記制御回路は、
ゲートが前記第1のnチャネルMOSトランジスタのドレインに接続され、ソースが接地された第2のnチャネルMOSトランジスタと、
ドレインが第2の電流制限素子に接続され、ソースが前記第2のnチャネルMOSトランジスタのドレインに接続された第3のnチャネルMOSトランジスタと、
ソースが前記テストパッドに接続され、ゲートが電源端子に接続され、ドレインが第3の電流制限素子を介して接地され第2のpチャネルMOSトランジスタと、
入力端子が前記第2のpチャネルMOSトランジスタのドレインに接続され、出力端子が前記第3のnチャネルMOSトランジスタのゲートに接続されたインバータ回路と、
ソースが前記テストパッドに接続され、ゲートが前記第1のnチャネルMOSトランジスタのゲートに接続され、ドレインが前記第1のnチャネルMOSトランジスタのドレインに接続され、前記テスト信号の電圧が低下する段階における前記テスト信号の電圧値が前記第1の電圧値ではオン状態である一方、前記テスト信号の電圧が低下する段階における前記テスト信号の電圧値が前記第2の電圧値ではオフ状態になる第3のpチャネルMOSトランジスタと、
を備えるテスト回路。
【請求項2】
前記第2のpチャネルMOSトランジスタは、
前記所定の基準電圧と前記第1のpチャネルMOSトランジスタの閾値電圧との和から前記電源端子の電圧を引いた電圧よりも大きな閾値電圧を持つ
ことを特徴とする請求項1に記載のテスト回路。
【請求項3】
前記制御回路が、
前記テストパッドと前記第2のpチャネルMOSトランジスタとの間、あるいは前記テストパッドと前記第3のpチャネルMOSトランジスタとの間に介挿されたpチャネルデプレッションMOSトランジスタ
をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のテスト回路。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のテスト回路を備えた半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路を構成する素子をテストするテスト回路及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路の大規模化、高機能化により、その評価、試験方法についても多種、多様な技術が開発されている。
この評価及び試験方法において、半導体集積回路を形成するチップ内に、テスト回路を設けて、このテスト回路に接続されたテストパッドに対して半導体テスタなどの測定装置のテストピンを接触させ、チップ上の半導体集積回路における回路特性及び素子特性を測定している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-163998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体集積回路においては、プロセス変動の確認、あるいは故障解析のため、トランジスタや抵抗などの素子特性の測定を、テストモードにより行う。このテストモードにおいて、テストパッドから電圧を印加して電流値を計測する場合がある。
しかしながら、図7に示す様に、テストモードに移行させる信号を入力するテストパッドは、印加した電圧に対応して、評価における測定以外の電流がテスト回路に流れてしまう。
【0005】
すなわち、図6のテスト回路においては、テストパッド16に対して、テストモードに移行させる電圧V16の電圧値を、内部電圧VCPより高い電圧値とすることにより、図7に示す様に、インバータ24の信号CEHがHレベルからLレベルとなる。
図7は、従来のテスト回路の動作を説明する波形図である。図7(a)は、縦軸がテストパッド16に印加される電圧V16の電圧値を示し、横軸が時間を示している。
図7(b)は、電圧V16の変化に対応した信号CEHの変化を示しており、縦軸が信号CEHの電圧レベルを示し、横軸が時間を示している。
図7(c)は、電圧V16の変化に対応した電流I16の変化を示しており、縦軸が電流I16の電流値を示し、横軸が時間を示している。
【0006】
図7において、テストパッド16に供給される電圧V16が増加し、時間t01において、インバータ24に入力される電圧(接続点P0の電圧)が、このインバータ24の論理閾値電圧VthLを超える電圧値となる。すなわち、時間t01において、電圧V16がテスト回路のテストモードとなる電圧に到達している。また、時間t02において、電圧V16がテストモードから抜ける電圧に低下している。
このテストモードにおいて、電流制限回路25により、電圧V16によりテストパッド16から接地点に対して電流I16が流れる。
【0007】
上述したように、テストモード時には、電流制限回路25を介して電流I16が常に流れるため、電流値の測定を行うテストモードに移行させる信号を印加するテストパッドと、電流値の測定を行う電圧を印加するテストパッドとを共用することができない。
一方、半導体集積回路は、回路を形成するチップの面積が大きくなるほど、製造原価が増加してしまう。このため、半導体集積回路のチップの面積は、製造原価を低減させるため、デザインルールを縮小するなどして、より小さくする努力が行われている。
【0008】
しかしながら、すでに述べたように、テストモードに移行させる入力端子と、測定のための測定端子とのテストパッドの共用が行えず、テストパッドの数が増加することにより、テストパッドを形成する領域の面積が増加し、チップの面積が大きくなってしまい製造原価を上げることになる。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、テストモードに移行させる入力端子、及び測定のための測定端子としてテストパッドの共用が行え、テストパッドの数をより少なくし、チップをより小型化することにより、製造原価を低減できるテスト回路及び半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のテスト回路は、テストモードに移行させるテスト信号が供給されるテストパッドを備えるテスト回路であって、前記テスト信号は、ゼロ以上所定値以下の範囲で電圧値を可変であり、前記テストパッドにソースが接続され、ゲートに所定の基準電圧が印加された第1のpチャネルMOSトランジスタと、ドレインが前記第1のpチャネルMOSトランジスタのドレインに接続され、ソースが第1の電流制限素子を介して接地されている第1のnチャネルMOSトランジスタと、入力端子が前記第1のnチャネルMOSトランジスタのドレインに接続され、出力端子が前記第1のnチャネルMOSトランジスタのゲートに接続され、前記テスト信号の電圧値が増加して、第1の電圧値を超えると前記第1のnチャネルMOSトランジスタをオン状態からオフ状態に制御する一方、前記テスト信号の電圧値が前記第1の電圧値を超える電圧から前記第1の電圧値よりも低い第2の電圧値に低下すると前記第1のnチャネルMOSトランジスタをオフ状態からオン状態に制御する制御回路と、を備え、前記制御回路は、ゲートが前記第1のnチャネルMOSトランジスタのドレインに接続され、ソースが接地された第2のnチャネルMOSトランジスタと、ドレインが第2の電流制限素子に接続され、ソースが前記第2のnチャネルMOSトランジスタのドレインに接続された第3のnチャネルMOSトランジスタと、ソースが前記テストパッドに接続され、ゲートが電源端子に接続され、ドレインが第3の電流制限素子を介して接地され第2のpチャネルMOSトランジスタと、入力端子が前記第2のpチャネルMOSトランジスタのドレインに接続され、出力端子が前記第3のnチャネルMOSトランジスタのゲートに接続されたインバータ回路と、ソースが前記テストパッドに接続され、ゲートが前記第1のnチャネルMOSトランジスタのゲートに接続され、ドレインが前記第1のnチャネルMOSトランジスタのドレインに接続され、前記テスト信号の電圧が低下する段階における前記テスト信号の電圧値が前記第1の電圧値ではオン状態である一方、前記テスト信号の電圧が低下する段階における前記テスト信号の電圧値が前記第2の電圧値ではオフ状態になる第3のpチャネルMOSトランジスタと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、テストモードに移行させる入力端子、及び測定のための測定端子としてテストパッドの共用が行え、テストパッドの数をより少なくし、チップをより小型化することにより、製造原価を低減できるテスト回路及び半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態によるテスト回路の構成例を示す回路図である。
図2】本発明の第1の実施形態によるテスト回路の動作を説明する波形図である。
図3】本発明の第2の実施形態によるテスト回路の構成例を示す回路図である。
図4】本発明の第2の実施形態によるテスト回路の動作を説明する波形図である。
図5】本発明の第2の実施形態によるテスト回路の他の構成例を示す回路図である。
図6】従来のテスト回路の構成例を示す回路図である。
図7】従来のテスト回路の動作を説明する波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態によるテスト回路の構成例を示す回路図である。
この回路図において、テスト回路1は、基準電圧電源200、第1pトランジスタ201、第1nトランジスタ202、第1電流制限素子203、バッファ204及び制御回路210を備えている。
【0014】
基準電圧電源200は、テスト回路1で使用する基準電圧VREFを出力する。
第1pトランジスタ201は、ソースがテストパッドTPに接続され、ゲートに上記基準電圧VREFが印加されている。第1pトランジスタ201は、pチャネル型MOSトランジスタであり、テストモード検知素子として設けられている。テストパッドTPには、外部の半導体テスタなどの計測装置により、テスト信号が印加される。このテスト信号の電圧は、電圧VTPであり、計測装置により任意の電圧として供給される。
【0015】
第1nトランジスタ202は、ドレインが第1pトランジスタ201のドレインに接続され、ゲートには制御回路210から供給される制御信号TMODE1Xが供給され、ソースが第1電流制限素子203を介して接地されている。第1nトランジスタ202は、nチャネル型MOSトランジスタであり、テストモードに移行した際に、テストモードを維持するための電流が、第1pトランジスタ201を介して、テストパッド(テスト端子)TPから流れることを阻止する。
【0016】
接続点P1は、第1pトランジスタ201のドレインと、第1nトランジスタ202のドレインとの接続点を示している。この接続点P1の電圧が、バッファ204を介してテストモード検出信号TMODE1として、テスト回路1の出力端子から出力される。本実施形態においては、テストモード検出信号TMODE1がHレベルの場合にテストモードに移行していることを示し、Lレベルの場合にテストモードに移行していないことを示している。また、接続点P1の電圧VP1は、制御回路210に対して供給される。
【0017】
制御回路210は、第2電流制限素子205及び第2nトランジスタ206を備えている。
第2nトランジスタ206は、nチャネル型MOSトランジスタであり、ドレインが第2電流制限素子205を介して電源端子101(電源電圧VREG)に接続され、ゲートが接続点P1に接続され、ソースが接地されている。接続点P2は、第2電流制限素子205と、第2nトランジスタ206のドレインとの接続点を示している。この接続点P2の電圧が、制御信号TMODE1Xとして、第1nトランジスタ202のゲートに対して供給される。
【0018】
制御回路210は、接続点P1の電圧VP1がHレベルで供給された場合、制御信号TMODE1XをLレベルとし、接続点P1の電圧VP1がLレベルで供給された場合、制御信号TMODE1XをHレベルとする。これにより、制御回路210は、テスト回路1がテストモードに移行した際、第1nトランジスタ202をオン状態からオフ状態とし、第1nトランジスタ202を介してテストパッドTPから接地に流れる、テストモードを検出するための電流(検出電流)の流れを遮断する。この結果、テストモードに移行し、テストモード状態が継続される間、評価対象に流れる計測の電流以外、すなわち検出電流がテストパッドTPから流れ込むことはない。
【0019】
上述したように、テスト回路がテストモードに移行された後、制御信号TMODE1XがLレベルとなり、テストモードを維持するための電流が第1nトランジスタ202に流れなくなる。これにより、テストパッドTPに所定の電圧を印加し、接続点P1に接続される素子に流れる電流のみを純粋に計測することが可能となり、テストパッドTPをテストモードに移行させる検出用と、評価対象の素子に流れる電流の計測用とに共用させることができる。
【0020】
図2は、第1の実施形態におけるテスト回路の動作を説明する波形図である。この図2において、図2(a)は、テストパッドTPに印加される電圧VTPの時間変化を示しており、縦軸が電圧を示し、横軸が時間を示している。
図2(b)は、図2(a)における電圧VTPに対応したテストモード検出信号TMODE1の電圧レベル変化を示している。
図2(c)は、図2(a)における電圧VTPに対応した第1nトランジスタに流れるドレイン電流ITPの電流値変化を示している。
【0021】
時刻t11:テストパッドTPに印加する電圧VTPの電圧値が0Vであり、以降、時間経過とともに徐々に、電圧VTPの電圧値が増加する。
【0022】
時刻t12:徐々に電圧VTPが増加して、電圧VTPが基準電圧VREF+閾値電圧VTH(201)を超える。ここで、閾値電圧VTH(201)は、第1pトランジスタ201の閾値電圧である。すなわち、電圧VTPが基準電圧VREFと第1pトランジスタ201の閾値電圧とを加算した電圧を超えると、第1pトランジスタ201がオン状態となる。これにより、接続点P1の電圧VP1、すなわちテストモード検出信号TMODE1がHレベルになる。第2nトランジスタ206は、ゲートにHレベルの電圧VP1が印加される。
【0023】
そして、第2nトランジスタ206がオン状態となり、接続点P2の電圧値、すなわち制御信号TMODE1XがHレベルからLレベルに変化する。第1nトランジスタ202は、ゲートに印加される制御信号TMODE1XがLレベルとなるため、オフ状態となる。このとき、第1nトランジスタ202には、第1pトランジスタ201がオン状態となってから、自身がオフ状態となるまでの間に、ドレイン電流ITPが流れる。
【0024】
時刻t13:テストパッドに印加される電圧VTPが最も高い電圧(最大電圧)となり、徐々に低下していく。この最大電圧は、評価する対象の素子に対応して適時設定される。
【0025】
時刻t14:電圧VTPが基準電圧VREF+閾値電圧VTH(201)以下となる。すなわち、電圧VTPが基準電圧VREFと第1pトランジスタ201の閾値電圧とを加算した電圧以下となると、第1pトランジスタ201がオフ状態となる。これにより、接続点P1の電圧値、すなわち、第2nトランジスタ206のゲートに印加されるテストモード検出信号TMODE1がLレベルとなる。
【0026】
これにより、第2nトランジスタ206がオフ状態となり、接続点P2の電圧値、すなわち制御信号TMODE1XがLレベルからHレベルに変化する。第1nトランジスタ202は、ゲートに印加される制御信号TMODE1XがHレベルとなるため、オン状態となる。
【0027】
時刻t15:テストパッドTPに印加される電圧VTPが時間経過ごとに徐々に低下させることで、電圧VTPが電圧値0Vとなる。
【0028】
本実施形態によれば、テストモードに移行した後、テストモード維持における電流が流れないため、基準電圧VREF+閾値電圧VTH(201)を超えた電圧から、評価の対象(トランジスタ、抵抗など)に対して、テストパッドTPを電流計測端子として用いることができる。
これにより、本実施形態によれば、テストパッドをテストモードに移行させる検出用と、評価対象の素子に流れる電流の計測用とに共用させることが可能となり、テストパッドの数を低減させることで、半導体回路を形成するチップの面積を小さくし、半導体回路の製造原価を低減することができる。
【0029】
<第2の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。図3は、本発明の第2の実施形態によるテスト回路の構成例を示す回路図である。
この回路図において、テスト回路1Aは、第1の実施形態によるテスト回路1における制御回路210の構成にヒステリシス回路230を加えた制御回路210Aを備えている。
【0030】
ヒステリシス回路230は、第3pトランジスタ301、第2pトランジスタ401、第3nトランジスタ404、第3電流制限素子402及びインバータ403を備えている。ヒステリシス回路230は、テスト信号の電圧VTPにおいて、テストモードに移行する電圧値に対し、テストモードから抜ける電圧値を低くするヒステリシス制御を行う。
【0031】
第3pトランジスタ301は、pチャネル型MOSトランジスタであり、ソースがテストパッドTPに接続され、ゲートが接続点P3に接続され、ドレインが接続点P1に接続されている。
第3nトランジスタ404は、nチャネル型MOSトランジスタであり、ドレインが第2電流制限素子205を介して電源端子101(電源電圧VREG)に接続され、ゲートに制御信号TMODE2Xが印加され、ソースが第2nトランジスタ206のドレインに接続されている。
【0032】
ここで、接続点P3は、第2電流制限素子205と、第3nトランジスタ404のドレインとの接続点を示している。この接続点P3の電圧が、第1の実施形態における制御信号TMODE1Xとして、第1nトランジスタ202のゲート及び第3pトランジスタ301のゲートに対して供給される。
【0033】
第2pトランジスタ401は、pチャネル型MOSトランジスタであり、ソースがテストパッドTPに接続され、ゲートが電源端子101に接続され、ドレインが第3電流制限素子402を介して接地されている。接続点P4は、第2pトランジスタ401のドレインと、第3電流制限素子402との接続点を示している。この接続点P4の電圧が、制御信号TMODE2として、インバータ403の入力端子に印加されている。
【0034】
インバータ403は、論理否定の論理ゲート素子である。インバータ403は、入力端子が接続点P4に接続され、出力端子が第3nトランジスタ404のゲートに接続されており、このゲートに対して制御信号TMODE2の電圧レベルを反転した制御信号TMODE2Xを印加する。
【0035】
図4は、第の実施形態におけるテスト回路の動作を説明する波形図である。この図4において、図4(a)は、テストパッドTPに印加される電圧VTPの時間変化を示しており、縦軸が電圧、横軸が時間を示している。
図4(b)は、図4(a)における電圧VTPに対応したテストモード検出信号TMODE1の電圧レベル変化を示している。
図4(c)は、図4(a)における電圧VTPに対応した制御信号TMODE1Xの電圧レベル変化を示している。
【0036】
図4(d)は、図4(a)における電圧VTPに対応した制御信号TMODE2の電圧レベル変化を示している。
図4(e)は、図4(a)における電圧VTPに対応した制御信号TMODE2Xの電圧レベル変化を示している。
【0037】
時刻t21:テストパッドTPに印加する電圧VTPの電圧値が0Vであり、以降、時間経過とともに徐々に、電圧VTPの電圧値が増加する。
【0038】
時刻t22:徐々に電圧VTPを増加して、電圧VTPが基準電圧VREF+閾値電圧VTH(201)を超える。すなわち、電圧VTPが基準電圧VREFと第1pトランジスタ201の閾値電圧VTH(201)とを加算した電圧を超えると、第1pトランジスタ201がオン状態となる。これにより、第2nトランジスタ206のゲートに印加される電圧VP1がHレベルとなり、第2nトランジスタ206がオン状態となる。
【0039】
そして、接続点P3の電圧値、すなわち制御信号TMODE1XがHレベルからLレベルに変化する。この時点において、第2pトランジスタ401がオフ状態であるため、制御信号TMODE2はLレベルである。これにより、インバータ403から出力される制御信号TMODE2XがHレベルとなっており、第3nトランジスタ404はオン状態である。
【0040】
また、制御信号TMODE1XがLレベルとなり、電圧VTPが第3pトランジスタ301の閾値電圧VTH(301)を超えているため、第3pトランジスタ301がオン状態となり、第1nトランジスタ202がオフ状態となる。これにより、テストパッドTPから第1nトランジスタ202を介して接地に流れる電流が遮断される。
【0041】
時刻t23:電圧VTPが電源電圧VREG+閾値電圧VTH(401)を超える。すなわち、電圧VTPが電源電圧VREGと第2pトランジスタ401の閾値電圧VTH(401)とを加算した電圧を超えると、第2pトランジスタ401がオン状態となる。これにより、接続点P4の電圧レベル、すなわち制御信号TMODE2がLレベルからHレベルとなり、インバータ403が出力する制御信号TMODE2XがHレベルからLレベルとなる。これにより、第3nトランジスタ404はオフ状態となり、制御信号TMODE1XがHレベルとなる。
【0042】
そして、制御信号TMODE1XがHレベルとなることにより、第1nトランジスタ202はオン状態となる。
一方、電圧VTPが電源電圧VREGとVTH(401)とを加算した電圧を超えているため、第3pトランジスタ301はオン状態を継続する。また、第1pトランジスタ201もオン状態を維持する。これにより、テストモード検出信号TMODE1は、Hレベルを維持する。
【0043】
時刻t24:テストパッドに印加される電圧VTPが最も高い電圧(最大電圧)となり、徐々に低下させていく。この最大電圧は、評価する対象の素子に対応して適時設定される。
【0044】
時刻t25:電圧VTPが電源電圧VREG+閾値電圧VTH(401)以下となる。電圧VTPが電源電圧VREGと第2pトランジスタ401の閾値電圧VTH(401)とを加算した電圧以下となるため、第2pトランジスタ401がオフ状態となる。これにより、制御信号TMODE2がHレベルからLレベルとなり、インバータ403が出力する制御信号TMODE2XがLレベルからHレベルとなる。これにより、第3nトランジスタ404はオン状態となり、制御信号TMODE1XがLレベルとなる。
【0045】
そして、制御信号TMODE1XがLレベルとなることにより、第1nトランジスタ202はオフ状態となる。
一方、電圧VTPが閾値電圧VTH(301)を超えているため、第3pトランジスタ301はオン状態を継続する。また、第1pトランジスタ201もオン状態を維持する。これにより、テストモード検出信号TMODE1は、Hレベルを維持する。
この時点において、第1nトランジスタ202及び第2pトランジスタ401の双方がオフ状態となるため、テスト回路1Aのテストモードを維持するために流れる電流が遮断されて流れない状態となる。
【0046】
時刻t26:徐々に電圧VTPを低下させ、電圧VTPが基準電圧VREF+VTH(201)以下となる。すなわち、電圧VTPが基準電圧VREFと第1pトランジスタ201の閾値電圧VTH(201)とを加算した電圧以下となると、第1pトランジスタ201がオフ状態となる。一方、電圧VTPが閾値電圧VTH(301)を超えているため、第3pトランジスタ301はオン状態を継続する。これにより、第2nトランジスタ206のゲートに印加されるテストモード検出信号TMODE1がHレベルを維持し、第2nトランジスタ206がオン状態を継続する。
【0047】
時刻t27:徐々に電圧VTPを低下させ、電圧VTPが閾値電圧VTH(301)以下となる。電圧VTPが第3pトランジスタ301の閾値電圧VTH(301)以下となるため、第3pトランジスタ301がオフ状態となる。これにより、テストモード検出信号TMODE1がHレベルからLレベルとなり、第2nトランジスタ206はオフ状態となり、制御信号TMODE1XがLレベルからHレベルとなる。これにより、第1nトランジスタ202はオン状態となる。
【0048】
時刻t28:テストパッドTPに印加される電圧VTPが時間経過ごとに徐々に低下し電圧値0Vとなる。
【0049】
上述したように、本実施形態においては、電圧VTPを一旦増加させて、電圧VTPが基準電圧VREFと閾値電圧VTH(201)との加算した電圧を超えた時刻t22でテストモードとした後、時刻t24を超えた時点で電圧VTPを低下させ、電圧VTPが電源電圧VREGと閾値電圧VTH(401)との加算した電圧以下となった時刻t25から、電圧VTPが閾値電圧VTH(301)となり、テストモードを抜けるまでの間、テストモードを維持するための電流を遮断している。
【0050】
このため、本実施形態によれば、ヒステリシス回路230により、テストパッドTPから供給する電圧VTPに対し、テスト回路1Aがテストモードとなる電圧値と、テスト回路1Aがテストモードから抜ける電圧値とにヒステリシス特性を持たせ、電源電圧VREGと閾値電圧VTH(401)との加算した電圧と、閾値電圧VTH(301)との範囲を、テストモードを維持するための電流を遮断した電流計測範囲とすることを可能とし、第1の実施形態に比較してより低い電圧において評価対象の素子に流れる電流値の計測が行える。
【0051】
また、本実施形態において、テストパッドTPと接地との間にプルダウン抵抗を介挿し、未接続の場合のテストパッドTPの電位が変動しないように、接地の電圧レベルに固定するように構成してもよい。この場合、評価対象に対して計測電流を流さない状態において、プルダウン抵抗に流れる電流のみを予め測定しておき、評価対象に対する計測電流からプルダウン抵抗を介して接地に流れる電流を除くことにより、評価対象に対する計測電流の補正を行う必要がある。
【0052】
また、本実施形態において、電圧VTPにおいて、テストモードに移行させる電圧値とテストモードから抜ける電圧値との電圧範囲、すなわちヒステリシス範囲を変更し、評価対象の計測評価を行う電圧範囲を調整することが可能である。
例えば、評価対象に対して与える電圧VTPをより高い電圧値としたい場合、図4を見て判るように、第2pトランジスタ401の閾値電圧VTH(401)を高くすることにより実現できる。
また、評価対象に対して与える電圧VTPをより低い電圧値としたい場合、第3pトランジスタ301の閾値電圧VTH(301)を低下させることにより実現できる。
【0053】
また、トランジスタの閾値電圧を変更するのはプロセスの制御が煩雑となるため、図5に示す様に、デプレッショントランジスタを介挿することによって実現できる。図5は、本発明の第2の実施形態によるテスト回路の他の構成例を示す回路図である。
すでに説明した図3におけるテスト回路1Aと異なる点は、pチャネル型デプレッションMOSトランジスタのpデプレッショントランジスタ207を有している構成である。pデプレッショントランジスタ207は、テストパッドTPと第3pトランジスタ301のソースとの間に介挿されている。すなわち、pデプレッショントランジスタ207は、ソースがテストパッドTPに接続され、ゲートに基準電圧VREFが印加され、ドレインが第3pトランジスタ301のソースと接続されている。
【0054】
上述したように、pデプレッショントランジスタ207をテストパッドTPと第3pトランジスタ301のソースとの間に介挿することにより、第3pトランジスタ301の閾値電圧VTH(301)を変更することなく、閾値電圧VTH(301)より高い電圧VTPにより、テスト回路1Aのテストモードを抜ける。すなわち、テストパッドTPと第3pトランジスタ301のソースとの間にpデプレッショントランジスタ207を介挿することで、見かけ上において閾値電圧VTH(301)を上昇させることができる。
【0055】
また、テストパッドTPと第2pトランジスタ401のソースとの間にpデプレッショントランジスタを介挿することにより、見かけ上、閾値電圧VTH(401)を上昇することができる。これにより、プロセスにより閾値電圧VTHを制御することなく、図3に示すテスト回路1Aに比較して、より高い電圧VTPにより、評価対象に対する電流計測を行うことが可能となる。
【0056】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1,1A…テスト回路
101…電源端子
200…基準電圧電源
201…第1pトランジスタ
202…第1nトランジスタ
203…第1電流制限素子
204…バッファ
205…第2電流制限素子
206…第2nトランジスタ
207…pデプレッショントランジスタ
210,210A…制御回路
230…ヒステリシス回路
301…第3pトランジスタ
401…第2pトランジスタ
402…第3電流制限素子
403…インバータ
404…第3nトランジスタ
TP…テストパッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7