(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】コンセントユニット
(51)【国際特許分類】
H01R 13/52 20060101AFI20221114BHJP
【FI】
H01R13/52 302D
(21)【出願番号】P 2018176135
(22)【出願日】2018-09-20
【審査請求日】2021-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 匠
(72)【発明者】
【氏名】野口 智大
(72)【発明者】
【氏名】南井 祥吾
(72)【発明者】
【氏名】栗田 篤志
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06031183(US,A)
【文献】特開2007-103258(JP,A)
【文献】特開2018-107002(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0074663(US,A1)
【文献】特開2010-055836(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電プラグを接続するコンセントを有する本体部と、
本体部に摺動させるカバー部と、を備え、
本体部とカバー部の各々には、開放状態と閉塞状態の間の移行時にカバー部を上下にスライドさせるために用いるガイド部を備え、
本体部には、ガイド部よりも前方に、カバー部を係止させる係止部を設け、カバー部を開放状態とさせたときにカバー部を
前方側に移動させて係止部に係止させてカバー部の開放状態を維持することを可能としたコンセントユニット。
【請求項2】
充電プラグを接続するコンセントを有する本体部と、
本体部に摺動させるカバー部と、を備え、
本体部とカバー部の各々には、カバー部を上下にスライドさせるために用いるガイド部を備え、
本体部には、ガイド部よりも前方に、カバー部を係止させる係止部を設けたコンセントユニットであって、
本体部に設けたガイド部よりも前方かつ下側に前記係止部を設け、
カバー部をスライド移動後、カバー部の下端を前側に移動させて落とし込むことで、前記係止部にカバー部を係止させることができるコンセントユニット。
【請求項3】
前記係止部は、第一の係止部と、第二の係止部を備え、
前記カバー部が前方向に移動することを規制する前記第一の係止部と、前記カバー部が下方向に移動することを規制する前記第二の係止部を備え、
前記第一の係止部と前記第二の係止部が、上下及び前後にずれるように設けられた請求項2に記載のコンセントユニット。
【請求項4】
前記第二の係止部が、後上方向に向かって傾斜する傾斜部を備えた請求項3に記載のコンセントユニット。
【請求項5】
充電プラグを接続するコンセントを有する本体部と、
本体部に摺動させるカバー部と、を備え、
本体部とカバー部の各々には、カバー部を上下にスライドさせるために用いるガイド部を備え、
本体部には、ガイド部よりも前方に、カバー部を係止させる係止部を設けたコンセントユニットであって、
カバー部の下端を前側に移動させる際に、ガイド部の一部が支点として機能するコンセントユニット。
【請求項6】
前記本体部と前記カバー部の各々には、前記カバー部のスライド移動を規制させるために用いる規制部を備え、
前記本体部には、前記カバー部が上方に移動することを規制する前記規制部を前記ガイド部よりも下方に設け、
前記本体部に設けた前記規制部と前記カバー部に設けた前記規制部が当接した状態から、前記カバー部の下端を前方側に移動可能とした請求項5に記載のコンセントユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンセントユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、車両への充電を行うためのプラグが接続されるコンセントが知られている。特許文献1に記載の技術では、コンセント本体に対して蝶番を介してカバー部が前方側に開くことができるように取り付けられており、カバー部を開放させてプラグを接続するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のカバー部を開けるには、蝶番を支点としてカバー部が回動するための空間がコンセントの前方側に必要となる。また、プラグを差し込む際には、カバー部が閉じられないように保持する必要があるが、車載ケーブルやCCIDを持った状態でカバー部を開ける場合には、その作業が行い難いものであった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明の課題は、カバー部を開く際に、前方への突出量が比較的少なくてすみ、開放状態を維持できるカバー部を備えたコンセントユニットとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、充電プラグを接続するコンセントを有する本体部と、本体部に摺動させるカバー部と、を備え、本体部とカバー部の各々には、カバー部を上下にスライドさせるために用いるガイド部を備え、本体部には、ガイド部よりも前方に、カバー部を係止させる係止部を設けたコンセントユニットとする。
【0007】
また、本体部に設けたガイド部よりも前方かつ下側に係止部を設け、カバー部をスライド移動後、カバー部の下端を前側に移動させて落とし込むことで、係止部にカバー部を係止させることができる構成とすることが好ましい。
【0008】
また、カバー部が前方向に移動することを規制する第一の係止部と、カバー部が下方向に移動することを規制する第二の係止部を備え、第一の係止部と第二の係止部が、上下及び前後にずれるように設けられた構成とすることが好ましい。
【0009】
また、第二の係止部が、後上方向に向かって傾斜する傾斜部を備えた構成とすることが好ましい。
【0010】
また、カバー部の下端を前側に移動させる際に、ガイド部の一部が支点として機能する構成とすることが好ましい。
【0011】
また、本体部とカバー部の各々には、カバー部のスライド移動を規制させるために用いる規制部を備え、本体部には、カバー部が上方に移動することを規制する規制部をガイド部よりも下方に設け、本体部に設けた規制部とカバー部に設けた規制部が当接した状態から、カバー部の下端を前方側に移動可能とした構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、カバー部を開く際に、前方への突出量が比較的少なくてすみ、開放状態を維持できるカバー部を備えることで、コンセントへのプラグの接続作業が容易に行えるコンセントユニットとすることが可能となる。また、プラグの接続作業後に、の開放状態から閉塞状態への移行作業を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】カバー部が閉塞状態にあるコンセントユニットの斜視図である。但し、充電プラグがコンセントユニットに接続されている。
【
図2】カバー部が閉塞状態にあるコンセントユニットの側面図である。但し、充電プラグがコンセントユニットに接続されている。
【
図3】カバー部が開放状態にあるコンセントユニットの斜視図である。但し、充電プラグがコンセントユニットに接続されている。
【
図4】カバー部が開放状態にあるコンセントユニットの側面図である。但し、充電プラグがコンセントユニットに接続されている。
【
図5】コンセントユニットの分解斜視図である。但し、前面側が見えるように表している。
【
図6】コンセントユニットの分解斜視図である。但し、後面側が見えるように表している。
【
図7】本体部の斜視図である。但し、後面側が見えるように表している。
【
図8】本体部の斜視図である。但し、前面側が見えるように表している。
【
図9】カバー部の一部を切断した状態におけるコンセントユニットの平面図である。
【
図10】閉塞状態から開放状態に移動途中の状態を表したコンセントユニットの断面図である。
【
図11】カバー部を一番上まで移動させた状態を表したコンセントユニットの断面図である。
【
図12】
図11に示す状態からカバー部を傾けた状態を表したコンセントユニットの断面図である。
【
図13】カバー部を傾けた状態を表したコンセントユニットの斜視図である。但し、後面側が見えるように表している。
【
図14】規制部用逃げ部周りを拡大した断面図である。
【
図15】開放状態となるようにカバー部が保持された状態を表したコンセントユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に発明を実施するための形態を示す。
図1乃至
図4に示されていることから理解されるように、本実施形態のコンセントユニット1は、充電プラグ92を接続するコンセントを有する本体部12と、本体部12に摺動させるカバー部13と、を備えている。また、本体部12とカバー部13の各々には、カバー部13を上下にスライドさせるために用いるガイド部を備えている。更には、本体部12には、ガイド部15よりも前方に、カバー部13を係止させる係止部を設けている。このため、カバー部13を開く際に、前方への突出量が比較的少なくてすみ、開放状態を維持できるカバー部13を備えたコンセントユニット1とすることが可能となる。なお、このような構成とすることで、工具などを用いることなく、カバー部13を保持させることができる。
【0015】
実施形態のコンセントユニット1は、車の充電に用いる充電プラグ92を接続することができる。充電プラグ92を接続するコンセントは、充電プラグ92を斜め下方向から差し込めるように本体部12に設けられている。また、このコンセントユニット1は、下面と本体部12側が開口したカバー部13が備えられている。
【0016】
実施形態のコンセントユニット1は、設置面に固定される本体部12に対して、カバー部13が上下方向に摺動できるように取り付けられている。
図1及び
図2に示すように、カバー部13が下方に位置している状態は閉塞状態であり、
図3及び
図4に示すように、充電プラグ92が見えやすいようにカバー部13が上方に位置している状態は開放状態である。
【0017】
このカバー部13は上方向に移動させて開放状態とさせた後、開放状態を維持させるために、本体部12に係止させることができる。この際、カバー部13の下端をやや前側に移動させて落とし込むことで、係止部にカバー部13を係止させることができる。このため、開放状態を維持する際の、カバー部13の前方向への移動距離を比較的短くすることができる。このようなことを可能とするため、実施形態では、本体部12に設けたガイド部15よりも前方かつ下側に係止部を設けている(
図5及び
図6参照)。
【0018】
ここで、本体部12について説明する。本体部12は、上部にコンセントなどが配置されており、コンセントを覆うように覆い部21が設けられている。コンセントの接続口は、この覆い部21の下方から充電プラグ92を接続することができるように配置されている。なお、コンセントの接続口は、通常、ばね付勢された板状の被覆部22により覆われており、この被覆部22を回動させて開くことにより、充電プラグ92をコンセントと接続させることができる。
【0019】
図7及び
図8に示すことから理解されるように、実施形態の本体部12の上部には覆い部21が設けられているが、覆い部21の下方には、充電プラグ92を接続する際に利用されるスペースが設けられている。また、
図7に示すことから理解されるように、本体部12の後方側は、壁面などに取り付けることができるように、略平らな板状に設けられている。この本体部12の後方側には、コンセントに繋がる電源線が通過可能な開口孔23が設けられている。
【0020】
本体部12の両側面にはガイド部15が設けられている。実施形態のガイド部15は、長手方向が上下方向となるものである。このガイド部15はコンセントの接続口よりも上方に設けられており、覆い部21の側面に設けられている。このガイド部15よりも前方かつ下側に第一の係止部16と第二の係止部17を設けている。第一の係止部16は、カバー部13が前方向に移動することを規制するものであり、第二の係止部17は、カバー部13が下方向に移動することを規制するものである。これら第一の係止部16と第二の係止部17は、上下及び前後にずれるように設けられている。このため、開放状態を維持する際の、カバー部13の前方向への移動距離を比較的短くすることができる。
【0021】
実施形態においては、この第一の係止部16と第二の係止部17がカバー部13の一部を挟み込むようにすることでカバー部13の前後方向の移動を抑制するとともに、第二の係止部17でカバー部13が下方に移動することを抑制する。また、カバー部13に設けたガイド部38を構成するガイドレールのうち、前方側に位置する部分がこれらの係止部により係止されることで、カバー部13が保持され、開放状態が維持される。なお、カバー部13の両側面には、内側から突出するようにガイド部38が設けられている。
【0022】
図8に示すように、実施形態の第二の係止部17は、後上方向に向かって傾斜する傾斜部18を備えた構成としている。このため、カバー部13を後上方側に押し込むように力をかければ、第二の係止部17がガイドするようにカバー部13がスライド移動可能な位置まで移動する。この状態とした後にカバー部13に掛けた力を取り除くと、カバー部13は下方に摺動し、閉塞状態とすることができる。つまり、カバー部13を後方側に押し込む、または持ち上げるようにするだけで、開放状態から閉塞状態へと移行することができる。
【0023】
なお、
図9に示すことから理解されるように、実施形態においては、本体部12に設けられたガイド部15は、カバー部13に設けられたガイド部38により構成された第一の溝部34に嵌っている。また、本体部12に設けられたガイド部15は後面側に突出する引掛片24を備えている。この引掛片24は、カバー部13の左右方向への移動を抑制するように機能する。なお、この引掛片24は前面側に突出させるようには形成しないのが好ましい。引掛片24を前面側に突出させると、係止部に係止させる際に、カバー部13が前方に移動しなければならない距離が長くなるからである。
【0024】
本体部12に設けられた規制部19は、第二の溝部35に嵌められる。この第二の溝部35は、第一の溝部34と平行となるように延びている。実施の形態ではカバー部本体32に取り付けられる取付部品33により第一の溝部34と第二の溝部35がカバー部13に設けられるが、この取付部品33はビス94によりカバー部本体32に取り付けられる。実施形態では、この取付部品33の取り付けに用いられたビス94の一部がカバー部13側に設けられる規制部25として機能する。
【0025】
閉塞状態から開放状態にし、係止部に係止させるまでの流れを
図10から
図15に示す図を例に挙げて、詳細に説明する。
図10に示すことから理解されるように、閉塞状態から開放状態にする途中では、カバー部13に設けられたレール状のガイド部38が、本体部12に備えられた側面視略長方形状のガイド部15に沿うように移動する。レール状のガイド部38に挟まれるガイド部15が側面視略長方形状であるので、カバー部13がスライド移動する際のガタツキを抑制することができる。
【0026】
ところで、本体部12とカバー部13の各々には、カバー部13のスライド移動を規制させるために用いる規制部を備えているが、本体部12には、カバー部13が上方に移動することを規制する規制部19をガイド部15よりも下方に設けている。
【0027】
実施形態における本体部12に設けた規制部19は、
図7及び
図8に示すことから理解されるように、凸状である。また、カバー部13側は、カバー部本体32に取付部品33を取り付けるビス94を規制部25としている。規制部25として機能するビス94は、カバー部13の上方への移動を規制するものと下方への移動を規制するものがある。これらのビス94は本体部12に設けられた規制部19が嵌る第二の溝部35の内側に突出している。このような構成とすることにより、カバー部13が上下方向に移動する範囲を制限している。本体部12の規制部19は、カバー部13の上下のビス94間に形成するとともに、ガイド部15により前後の移動を規制することができるのでカバー部13が外れることはない。カバー部13は下方のビス94を取り外すことによって着脱させることが可能である。
【0028】
カバー部13を上昇させ、本体部12に設けた規制部19が、カバー部13の下側に設けた規制部25に当たる状態とする(
図11参照)。実施形態では、本体部12に設けた規制部19とカバー部13に設けた規制部25が当接した状態から、カバー部13の下端を前方側に移動可能としているため、
図11に示した状態からカバー部13の下端を前方側に移動させ、
図12に示すようにカバー部13を傾ける。
【0029】
実施形態では、カバー部13の下端を前側に移動させる際、
図14に示すことから理解されるように、ガイド部15の一部が支点15aとして機能する。詳しくは、ガイド部38の第一の溝部34と第2の溝部35を仕切るためのレール部38aにガイド部15の一部が当接し支点15aとなる。このため、カバー部13の下端部のみが前方に移動することになり、カバー部13の前方への突出量を抑制することができる。なお、実施形態ではカバー部13の下端を前方側に所定の距離だけ移動させると、第一の係止部16に当接する。また、本体部12には、カバー部13が上方に移動することを規制する規制部19をガイド部15よりも下方に設け、本体部12に設けた規制部19とカバー部13に設けた規制部25が当接した状態から、カバー部13の下端を前方側に移動可能としているため、カバー部13を上方向にスライド移動させた後、カバー部13の下端の前方側の移動にスムーズに移行でき、カバー部13の移動の際に目視確認の必要性が無い。
【0030】
図13及び
図14に示すことから理解されるように、実施形態においては、本体部12に設けた規制部19とカバー部13に設けた規制部25が当接した状態から、カバー部13の下端を前方側に移動させた際、本体部12に設けた規制部19が、第二の溝部35からはみ出すことができるように、規制部用逃げ部36を設けている。実施形態の規制部用逃げ部36は、第二の溝部35を構成する部位の一部を切り欠くことで設けている。
【0031】
また、本体部12に設けた規制部19とカバー部13に設けた規制部25が当接した状態から、カバー部13の下端を前方側に移動させた際、本体部12に設けたガイド部15が、第一の溝部34からはみ出すことができるように、レール部38aにガイド部用逃げ部37を設けている。
【0032】
図12に示した状態のようにカバー部13を第一の係止部16に当てた状態としてから、カバー部13を下方に所定の距離だけ移動させると、カバー部13は第二の係止部17に当接する。この状態とすれば、カバー部13が開放状態で保持されることになる。
【0033】
ところで、実施形態のカバー部13には孔部39が設けられている。この孔部39はカバー部13を閉塞状態とした際に、本体部12に設けた孔部29と繋がるように設けられている。このため、南京錠などの錠部の一部を孔部29と孔部39に通して、ロックすれば、カバー部13が開放状態となることを防ぐことができる。こちらは、使用中に充電プラグ92を抜かれることを防止するとともに、充電プラグ92を接続していない状態でも、ロックしておくことにより被覆部22を動作させたり、コンセント接続部に触れることを防止することができる。なお、カバー部13の上部は充電プラグ92を仮置きできるように凹状となっている。
【0034】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、係止部である第一の係止部と第二の係止部は、別々の突出部に形成されているが、一続きの突出部により第一の係止部と第二の係止部を構成するようにしても良い。
【符号の説明】
【0035】
1 コンセントユニット
12 本体部
13 カバー部
15 ガイド部(本体部)
16 第一の係止部
17 第二の係止部
18 傾斜部
19 規制部(本体部)
25 規制部(カバー部)
92 充電プラグ