(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】振り出し容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/06 20060101AFI20221114BHJP
A47G 19/24 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
B65D83/06 F
A47G19/24
(21)【出願番号】P 2018224454
(22)【出願日】2018-11-30
【審査請求日】2021-06-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100165607
【氏名又は名称】渡辺 一成
(74)【代理人】
【識別番号】100196690
【氏名又は名称】森合 透
(72)【発明者】
【氏名】砂川 貴之
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-010571(JP,U)
【文献】特開2004-298515(JP,A)
【文献】実開昭62-130075(JP,U)
【文献】米国特許第02890816(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/06
A47G 19/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端部に第1開口部を有して有底筒状の外容器と、
上端部に第2開口部を有して有底筒状であり、前記第2開口部が上方を向いた姿勢で前記外容器内に収容される
複数の内容器と、
前記外容器に収容された前記内容器の前記第2開口部及び前記第1開口部を覆って前記外容器の上部に装着されるキャップと、
前記外容器の上端部に装着され、前記外容器に対して複数の前記内容器を位置決めする位置決めリングと、を有し、
前記内容器は、上端部に径方向外側へ突出する内容器フランジ部を有し、
前記キャップは、前記内容器の前記第2開口部に対向配置されて前記内容器に収容される内容物を排出させる排出口と、前記排出口を開閉可能な蓋体と、を有し、
前記外容器は、前記内容器を収容する内部空間を有し、
前記内容器は、前記内容器フランジ部が前記外容器の上端部に載置された状態で前記外容器の前記内部空間に装着されるとともに、前記内部空間に着脱可能に装着され
、
前記位置決めリングは、前記外容器の上端縁部に沿って対向配置される環状のリング本体部と、該リング本体部の内側に繋がって径方向に延びる平板部と、該平板部に形成されて複数の前記内容器の夫々が挿入される挿入孔部と、を有し、前記外容器及び前記位置決めリングには、前記外容器に対して前記リング本体部を所定位置に位置決めする位置決め部が設けられることを特徴とする振り出し容器。
【請求項2】
前記蓋体は、前記外容器内に周方向に隣接して配置された2つの前記内容器の前記第2開口部に跨る方向に延びる第1蓋体を有することを特徴とする請求項
1に記載の振り出し容器。
【請求項3】
前記位置決め部は、
前記リング本体部から径方向外側に突出する環状のリング本体フランジ部と、
前記リング本体部の径方向外側の周壁から径方向外側へ突出する係止凸部と、
前記外容器の前記上端部に設けられて、上側が開口して下側へ窪んで前記係止凸部と係合する係合凹部と、を有し、
前記リング本体フランジ部は、前記外容器の前記上端部上に載置される
ことを特徴とする請求項
1又は2に記載の振り出し容器。
【請求項4】
前記内容器は、
上端部が開口して調味料を収容可能な有底筒状の内容器本体部と、
前記内容器本体部の上端から径方向外側に突出する環状の前記内容器フランジ部と、を有し、
前記内容器本体部の径方向の断面形状は、前記挿入孔部の形状よりも小さい相似形状を有し、
前記内容器フランジ部は、前記挿入孔部の形状よりも大きい相似形状を有し、
前記内容器フランジ部の下側の面は、前記平板部を介して前記外容器の上端部に載置されることを特徴とする請求項
1乃至3のいずれか一項に記載の振り出し容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振り出し容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、しおを含む調味料として、化学調味料や香辛料等が用いられている。これらの調味料には、醤油やソース等の液状のものもあるが、粒状、粉抹状のものも多い。これらの調味料は、通常、専用の小容器内に個別に収容されて台所や食卓に備えられる。
【0003】
特に、しお、コショウ、ごま等は、個人の好みに応じて料理の味を整えるために、別々の容器に収容されて食卓等に備えられることが多い。これらしお、こしょう、ごま等を食卓等に置く場合、それぞれが別容器であると、食卓の載置スペースが狭くなる。
【0004】
そこで、一つの容器に複数の調味料を収納可能な振り出し容器が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の振り出し容器は、有底筒状の容器本体内に周方向に間隔を有して上下方向に延びる仕切壁が設けられて、複数の収納空間が区画形成される。複数の収納空間内には、異なる種類の内容物が収容される。複数の収納空間の上方には、それぞれの内容物に応じた排出口が形成された中蓋が設けられる。容器本体の上部には、中蓋を覆う外蓋が周方向に回動自在に装着される。外蓋には、排出口に連通する開口と、開口を開閉可能な開閉蓋が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この特許文献1に記載の振り出し容器は、しおやこしょう等の調味料が仕切り壁や容器本体の内面に付着する場合がある。調味料が仕切り壁等に付着すると、収納空間に収容された調味料の実質的な使用可能量が減少する。そこで、仕切り壁等に付着した調味料を取り除く場合には、例えば、外蓋及び中蓋を容器本体から取り外した後に、容器本体内に収容された調味料を一旦取出して、仕切り壁等に付着した調味料を除去し、調味料を容器本体内に再び収容する作業が必要となる。この除去作業は、作業者にとって煩わしい。
【0007】
本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく、調味料が仕切り壁等に付着した場合、作業者を煩わせることなく、容器本体内をきれいな状態にして使用可能な振り出し容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段のうち、本発明の主たる手段は、上端部に第1開口部を有して有底筒状の外容器と、上端部に第2開口部を有して有底筒状であり、前記第2開口部が上方を向いた姿勢で前記外容器内に収容される複数の内容器と、前記外容器に収容された前記内容器の前記第2開口部及び前記第1開口部を覆って前記外容器の上部に装着されるキャップと、前記外容器の上端部に装着され、前記外容器に対して複数の前記内容器を位置決めする位置決めリングと、を有し、前記内容器は、上端部に径方向外側へ突出する内容器フランジ部を有し、前記キャップは、前記内容器の前記第2開口部に対向配置されて前記内容器に収容される内容物を排出させる排出口と、前記排出口を開閉可能な蓋体と、を有し、前記外容器は、前記内容器を収容する内部空間を有し、前記内容器は、前記内容器フランジ部が前記外容器の上端部に載置された状態で前記外容器の前記内部空間に装着されるとともに、前記外容器の前記内部空間に着脱可能に装着され、前記位置決めリングは、前記外容器の上端縁部に沿って対向配置される環状のリング本体部と、該リング本体部の内側に繋がって径方向に延びる平板部と、該平板部に形成されて複数の前記内容器の夫々が挿入される挿入孔部と、を有し、前記外容器及び前記位置決めリングには、前記外容器に対して前記リング本体部を所定位置に位置決めする位置決め部が設けられることを特徴とする、と云うものである。
【0009】
内容器は、外容器の内部空間に着脱可能に装着されるので、内容器内に収容された調味料が内容器の内面に付着した場合、この内容器を内部空間から取り出して、調味料が収容された別の内容器と交換することができる。したがって、作業者を煩わせることなく、内容器内をきれいな状態にして使用可能な振り出し容器を提供することができる。また、内容器は、内容器フランジ部が外容器の上端部に載置された状態で内部空間に装着されるので、外容器に対する内容器の設置を容易にすることができる。
【0011】
また内部空間に複数の内容器が装着されることで、種類の異なる調味料を複数の内容器の夫々に収容することができる。このため、1つの振り出し容器に、複数種類の調味料を個別に収容可能な振り出し容器を提供することができる。
更に、外容器及び位置決めリングには、外容器に対してリング本体部を所定位置に位置決めする位置決め部が設けられるので、位置決めリングを外容器に位置決めすることができる。
【0012】
また、蓋体は、外容器内に周方向に隣接して配置された2つの内容器の第2開口部に跨る方向に延びる第1蓋体を有してもよい。
【0013】
この場合、第1蓋体は、外容器内に周方向に隣接して配置された2つの内容器の第2開口部に跨る方向に延びるので、第1蓋体を開放させて外容器のキャップ側を下方へ傾けて外容器を上下方向に振ると、2つの内容器の一方に収容された調味料が排出口から排出されるとともに、2つの内容器の他方に収容された調味料が排出口から排出される。このため、2つの内容器に種類の異なる調味料が収容されている場合、2種類の調味料を同時に排出することができる。
【0016】
また、前記位置決め部は、前記リング本体部から径方向外側に突出する環状のリング本体フランジ部と、前記リング本体部の径方向外側の周壁から径方向外側へ突出する係止凸部と、前記外容器の前記上端部に設けられて、上側が開口して下側へ窪んで前記係止凸部と係合する係合凹部と、を有し、前記リング本体フランジ部は、前記外容器の前記上端部上に載置されてもよい。
【0017】
この場合、リング本体部に設けられた係止凸部を外容器に設けられた係合凹部に係合させることで、リング本体部を外容器の周方向に対して位置決めすることができる。またリング本体フランジ部を外容器の上端部上に載置することで、リング本体部を外容器の上下方向に対して位置決めすることができる。よって、位置決めリングを外容器の上端部に位置決めすることができる。
【0018】
また、前記内容器は、上端部が開口して調味料を収容可能な有底筒状の内容器本体部と、前記内容器本体部の上端から径方向外側に突出する環状の内容器フランジ部と、を有し、前記内容器本体部の径方向の断面形状は、前記挿入孔部の形状よりも小さい相似形状を有し、前記内容器フランジ部は、前記挿入孔部の形状よりも大きい相似形状を有し、前記内容器フランジ部の下側の面は、前記平板部上に載置されてもよい。
【0019】
この場合、内容器本体部の径方向の断面形状は、挿入孔部の形状よりも小さい相似形状を有しているので、内容器本体部を挿入孔部に対して容易に挿抜することができるとともに、位置決めリングに対して内容器の径方向の位置決めをすることができる。また、内容器フランジ部の下側の面が平板部上に載置されることで、位置決めリングに対して内容器の上下方向の位置決めをすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、調味料が仕切り壁等に付着した場合、作業者を煩わせることなく、容器本体内をきれいな状態にして使用可能な振り出し容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態に係る振り出し容器の分解斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る位置決めリング、内容器及びキャップの斜視図である。
【
図3】位置決めリング及び内容器の第1変形例に係る斜視図である。
【
図4】位置決めリング及び内容器の第2変形例に係る斜視図である。
【
図5】第2実施形態に係る振り出し容器の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る振り出し容器について説明する。本実施形態では、しお、胡椒、ごま等の調味料が収容される振り出し容器について説明する。
【0023】
また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、
図1に示す振り出し容器の中心軸と平行な方向とする。X軸方向は、
図1に示す振り出し容器の短手方向と平行な方向とする。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向とする。
【0024】
また、図面においては、振り出し容器の中心軸を容器軸Jと記述し、容器軸Jに平行な方向を単に「軸方向」と記述し、容器軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と記述し、容器軸Jを中心とする周方向、すなわち、容器軸Jの軸周りを単に「周方向」と記述する。また、容器軸方向のうち、Z軸方向のプラス側(+Z側)を「上側」と記述し、Z軸方向のマイナス側(-Z側)を「下側」と記述する。
【0025】
[第1実施形態]
<全体構成>
図1は、第1実施例に係る振り出し容器の分解斜視図である。本実施形態の振り出し容器1は、
図1に示すように、外容器10と、内容器20と、位置決めリング30と、キャップ40とを有する。外容器10は、上端部に第1開口部10aを有して有底筒状である。内容器20は、上端部に第2開口部20aを有して有底筒状であり、第2開口部20aが上方を向いた姿勢で外容器10内に収容される。位置決めリング30は、外容器10の上端部に装着され、外容器10に対して複数の内容器20を位置決めする。キャップ40は、外容器10に収容された内容器20の第2開口部20a及び第1開口部10aを覆って外容器10の上部に装着される。以下、構成部材毎に詳細に説明する。
【0026】
<外容器10>
外容器10は、例えば合成樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)の2軸延伸ブロー成形)、紙、又は合成樹脂と紙との積層体等で形成される。外容器10が合成樹脂で形成される場合、外容器10は、押出ブロー成形や射出成形で形成されてもよい。外容器10は、内容器20を収容する内部空間10bを有する。外容器10の内部空間10bに複数の内容器20が着脱可能に装着される。内部空間10bに複数の内容器20が装着されることで、種類の異なる調味料の夫々を複数の内容器20に収容することができる。このため、複数種類の調味料を個別に収容可能な振り出し容器1を提供することができる。なお、外容器10は、底が無い形状でもよい。
【0027】
本実施形態では、外容器10は、有底筒状の収容胴部12を有する。収容胴部12の内側に内部空間10bが形成される。収容胴部12の上側には、上方へ延びる円筒状の装着筒部12aが形成される。装着筒部12aの外周面には、キャップ40が螺合する雄ねじ部12bが形成される。装着筒部12aの上端内側に、第1開口部10aが開口する。本実施形態では、第1開口部10aは、軸方向視において円形状である。
【0028】
装着筒部12aは薄肉状に形成され、装着筒部12aの上端部は円環状であって平面部12cが形成される。装着筒部12aには、上側が開口して下側へ窪んだ係合凹部12dが形成される。本実施形態では、係合凹部12dは、容器軸Jに対して径方向に対向する位置に配置される。係合凹部12dは、位置決めリング30に形成された係止凸部31aと係合する。
【0029】
外容器10及び位置決めリング30には、外容器10に対してリング本体部31を所定位置に位置決めする位置決め部50が設けられる。リング本体部31については、後述する。係合凹部12d及び係止凸部31aは、位置決め部50の一部を構成する。このため、位置決め部50によって、位置決めリング30を外容器10に位置決めすることができる。
【0030】
<位置決めリング30>
位置決めリング30は、
図1に示すように、外容器10の上端縁部に沿って対向配置される環状のリング本体部31と、リング本体部31の内側に繋がって径方向に延びる平板部33と、平板部33に形成されて複数の内容器20の夫々が挿入される挿入孔部35と、を有する。
【0031】
(リング本体部31)
リング本体部31は、
図1に示すように、外容器10の装着筒部12aの内面に嵌合される嵌合筒部31bと、嵌合筒部31bの上端から径方向外側へ突出する円環状のリング本体フランジ部31cと、リング本体フランジ部31cの下面及び嵌合筒部31bの外周面から突出する係止凸部31aと、を有する。リング本体フランジ部31cは、外容器10の上端部上に載置される。本実施形態では、リング本体フランジ部31cは外容器10の装着筒部12aの上端部上に載置される。
【0032】
また、リング本体フランジ部31cの外径は、装着筒部12aの外径と略同じ大きさを有する。係止凸部31aの外側面はリング本体フランジ部31cの外周面と略同一面上に位置する。このため、位置決めリング30のリング本体部31を嵌合筒部31bに嵌合させ、リング本体フランジ部31cの下面を嵌合筒部31bの平面部12cに接触させ、係止凸部31aを係合凹部12dに係合させると、リング本体フランジ部31cの外周面及び係止凸部31aの外側面は、嵌合筒部31bの外周面と略同一面上に位置する。このため、キャップ40の装着筒部12aへの装着が容易になる。位置決め部50は、リング本体フランジ部31cと、係止凸部31aと、係合凹部12dと、を有する。
【0033】
また、リング本体部31に設けられた係止凸部31aを外容器10に設けられた係合凹部12dに係合させることで、リング本体部31を外容器10の周方向に対して位置決めすることができる。またリング本体フランジ部31cを外容器10の上端部上に載置することで、リング本体部31を外容器10の上下方向に対して位置決めすることができる。よって、位置決めリング30を外容器10の上端部に位置決めすることができる。
【0034】
(平面部12c)
平面部12cは、リング本体部31の内周面に繋がって径方向に延びる。平面部12cには、2つの挿入孔部35が形成される。本実施形態では、挿入孔部35は軸方向視において半円状であり、径方向に沿って延びる直線部35aと、リング本体部31の内周面に沿って延びる円周部35bとを有する。
【0035】
円周部35bは、リング本体部31の内周面よりも径方向内側に隙間を有した位置に形成される。このため、円周部35bとリング本体部31の内周面との間には、湾曲して周方向に延びる帯状の湾曲平板部33aが形成される。この湾曲平板部33a上に、後述する内容器20の内容器フランジ部21aが載置される。
【0036】
(挿入孔部35)
また、2つの挿入孔部35は、直線部35a同士が対向して径方向に沿って延びる。2つの挿入孔部35の直線部35aの間には、径方向に沿って直線状に延び帯状の直線平板部33bが形成される。直線平板部33bの幅Bは、内容器フランジ部21aの径方向の突出長の2倍よりも大きい。この直線平板部33b上に後述する内容器20の内容器フランジ部21aが載置される。
【0037】
<内容器20>
内容器20は、
図1に示すように、上端部が開口して調味料を収容可能な有底筒状の内容器本体部21と、内容器本体部21の上端から径方向外側に突出する環状の内容器フランジ部21aと、を有する。内容器本体部21の径方向の断面形状は、挿入孔部35の形状よりも小さい相似形状を有する。内容器フランジ部21aは、挿入孔部35の形状よりも大きい相似形状を有し、内容器フランジ部21aの下側の面は、外容器10の平面部12c上に載置される。
【0038】
したがって、内容器本体部21の径方向の断面形状は、挿入孔部35の形状よりも小さい相似形状を有しているので、内容器本体部21を挿入孔部35に対して容易に挿抜することができるとともに、位置決めリング30に対して内容器20の径方向の位置決めをすることができる。また、内容器フランジ部21aの下側の面が平板部33上に載置されることで、位置決めリング30に対して内容器20の上下方向の位置決めをすることができる。
【0039】
(内容器本体部21)
内容器本体部21を有する内容器20は、例えば合成樹脂製のシート材を熱成形(サーモフォーミング成形)することで形成されたシート成形体である。本実施形態では、内容器本体部21は、断面形状が半円形状に形成されて有底筒状である。内容器本体部21は、力が作用すると変形可能であるが、力が作用しない状態では変形しない。このため、位置決めリング30の挿入孔部35に対して内容器本体部21を容易に挿抜することができる。内容器本体部21は、内部に収容される調味料を容易に確認できるように透明材料で形成されてもよい。なお、内容器20は射出成形によって形成されてもよい。
【0040】
(内容器フランジ部21a)
内容器フランジ部21aは、本実施形態では、軸方向視において半円形状である。内容器フランジ部21aの突出長さは、湾曲平板部33aの幅よりも小さく且つ直線平板部33bの幅Bの半分の長さよりも小さい。このため、内容器本体部21の底部側を挿入孔部35内に挿入させて内容器フランジ部21aの下面を湾曲平板部33a及び直線平板部33bに接触させると、内容器フランジ部21aはリング本体部31の内周面に接触しない。よって、内容器20を位置決めリング30に容易に装着することができる。
【0041】
<キャップ40>
図2は、第1実施形態に係る位置決めリング、内容器及びキャップの斜視図である。キャップ40は、
図1、
図2(a)、
図2(b)に示すように、例えば、合成樹脂材料で形成される。キャップ40は、内容器20の第2開口部20aに対向配置されて内容器20に収容される内容物(調味料)を排出させる排出口41と、排出口41を開閉可能な蓋体44と、を有する。本実施形態では、キャップ40は、外容器10の装着筒部12aに装着されるキャップ本体部42を有する。
【0042】
(キャップ本体部42)
キャップ本体部42は、有頂筒状に形成され、円形状の形成されたキャップ頂板部42aと、キャップ頂板部42aの周縁から下方へ延びる筒状のキャップ周壁部42bと、を有する。キャップ周壁部42bの内面には、外容器10に設けられた雄ねじ部12bに螺合可能な雌ねじ部が形成される。
【0043】
キャップ頂板部42aには、
図2(a)、
図2(b)に示すように、4つの排出口41が設けられる。排出口41は、キャップ頂板部32bの周方向に間隔を有して均等に配置される。排出口41は、軸方向視において四分円状に形成される。排出口41は、径方向外側へ延びて互いに交差する直線状の一対の直線部41aと、一対の直線部41aの径方向外側端部に繋がってキャップ頂板部42aの周縁部に沿って湾曲する湾曲部41bと、を有してなる。本実施形態では、一対の直線部41aは、互いに直交する方向に延びる。
【0044】
2つの内容器20の夫々の第2開口部20aの長手方向の両側の上方には、排出口41が挿入孔部35を介して対向配置される。このため、4つの排出口41のいずれもが内容器20の第2開口部20aに対して対向配置される。なお、第2開口部20aは、多数の孔部を有して構成されてもよい。
【0045】
(蓋体44)
蓋体44は、
図1、
図2(a)、
図2(b)に示すように、径方向一方側に配置され外容器10内に収容された2つの内容器20の第2開口部20aに跨る方向に延びる第1蓋体45と、第1蓋体45よりも径方向他方側に配置された2つの第2蓋体46と、を有する。本実施形態では、キャップ頂板部42aには、直径方向に延びて上方へ突出する突出部42cが設けられる。突出部42cの短手方向一方側には、第1蓋体45が設けられる。突出部42cの短手方向他方側には、第2蓋体46が設けられる。
【0046】
第1蓋体45は、軸方向視において、半円状に形成される。第1蓋体45の直線状に延びる第1蓋体直線部45aは、突出部42cの側面部に薄肉部45bを介して連結される。薄肉部45bはヒンジとして機能して、第1蓋体45は薄肉部45bを支点として上下方向に回動可能である。
【0047】
第2蓋体46は、四分円状に形成される。第2蓋体46は、他の第2蓋体46とともに周方向に隣接して配置される。2つの第2蓋体46は、軸方向視において、半円状に配置される。第2蓋体46の直線状に延びる蓋体直線部46aは、突出部42cの側面部に薄肉部46bを介して連結されている。薄肉部46bはヒンジとして機能して、第2蓋体46は薄肉部46bを支点として上下方向に回動可能である。
【0048】
第2蓋体46は、内容器20の第2開口部20aのうち第1蓋体45が対向する第2開口部20aの長手方向一方側に対して、第2開口部20aの長手方向他方側に対向して配置される。
【0049】
<振り出し容器1の内容器交換方法>
次に、振り出し容器1内に収容された内容器20の交換方法について
図1を参照しながら説明する。先ず、キャップ40を外容器10から取り外す。キャップ40が取り外されると、外容器10内に収容された内容器20を位置決めリング30の挿入孔部35から引き抜く。内容器20が挿入孔部35から引き抜かれて開口した挿入孔部35に新たな内容器20を挿入する。内容器20が挿入孔部35に挿入されると、キャップ40を外容器10に装着する。
【0050】
キャップ40の取り外しは、キャップ40を外容器10に対して回転させて螺合を解くことで行われる。内容器20を位置決めリング30の挿入孔部35から引き抜く際には、内容器20の内容器フランジ部21aを把持して引き抜く。新たな内容器20を挿入孔部35に挿入する際には、内容器20の底部側を挿入孔部35側へ向けて挿入孔部35内に挿入する。キャップ40を外容器10に装着するには、キャップ40を外容器10の装着筒部12aに対して回転させて螺合する。
【0051】
<本実施形態の作用・効果>
(振り出し容器の内容器を交換する場合)
内容器20は、外容器10の内部空間10bに着脱可能に装着されるので、内容器20内に収容された調味料が内容器20の内面に付着した場合、この内容器20を内部空間10bから取り出して、調味料が収容された別の内容器20と交換することができる。したがって、作業者を煩わせることなく、内容器20内をきれいな状態にして使用可能な振り出し容器1にすることができる。
【0052】
(振り出し容器1から異なる種類の調味料を同時に排出する場合)
第1蓋体45は、外容器10内に周方向に隣接して配置された2つの内容器20の第2開口部20aに跨る方向に延びるので、第1蓋体45を開放させて振り出し容器1のキャップ40側を下方へ傾けて振り出し容器1を上下方向に振ると、2つの内容器20の一方に収容された調味料が排出口41から排出されるとともに、2つの内容器20の他方に収容された調味料が排出口41から排出される。このため、2つの内容器20に種類の異なる調味料が収容されている場合、2種類の調味料を同時に排出することができる。
【0053】
<第1実施形態の変形例>
図3は、位置決めリング及び内容器の第1変形例に係る斜視図である。
図4は、位置決めリング及び内容器の第2変形例に係る斜視図である。前述した実施形態では、内容器20は外容器10内に2つ収容可能なものを示したが、
図3(a)に示すように、内容器23は、外容器10内に3つ収容可能なものでもよい(第1変形例)。
【0054】
内容器23は、断面形状が略三角形状に形成される。また、内容器23の第2開口部20aの直線部23a間の角度θは、約120度である。また、内容器23を位置決めする位置決めリング37は、
図3(b)に示すように、3つの挿入孔部51を有する。挿入孔部51の軸方向視における形状は、内容器23の断面形状と相似する略三角形状である。
【0055】
この変形例では、外容器10内に収容される内容器23を3つにすることで、異なる種類の調味料を収容可能な数を増大することができる。
【0056】
また、例えば、
図4(a)に示すように、内容器25は、外容器10内に4つ収容可能なものでもよい(第2変形例)。
【0057】
内容器25は、断面形状が略三角形状に形成される。また、内容器25の第2開口部20aの直線部25a間の角度θは、約90度である。また、内容器25を位置決めする位置決めリング38は、
図4(b)に示すように、4つの挿入孔部52を有する。挿入孔部52の軸方向視における形状は、内容器25の断面形状と相似する略三角形状である。なお、
図4(b)及び
図4(c)に示すように、外容器10の形状は、前述した実施形態と同様である。
【0058】
この変形例では、外容器10内に収容される内容器23を4つにすることで、異なる種類の調味料を収容可能な数をより増大することができる。
【0059】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る振り出し容器について説明する。第1実施形態では、外容器10内に複数個の内容器20が収容される場合を示した。本実施形態では、外容器10内に1つの内容器27が収容される。以下、第1実施形態との差異を中心に説明する。なお、本実施形態では、第1実施形態と同一態様部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0060】
図5は、第2実施形態に係る振り出し容器の分解斜視図である。内容器27は、
図5に示すように、有底筒状である。内容器27の外形は、外容器10の装着筒部12aの内径よりもわずかに小さい。内容器27の上端部には、径方向に突出する環状の内容器フランジ部27aが形成される。内容器フランジ部27aは、外容器10の装着筒部12aの上端部に載置される。第2実施形態に係る振り出し容器1には位置決めリングは存在しない。キャップ55のキャップ頂板部42aには、キャップ頂板部42aの周方向に沿って延びる長孔状の排出口56が1つ設けられる。また、キャップ55には、排出口56を開閉可能な1つの蓋体57が設けられる。
【0061】
<本実施形態の作用・効果>
内容器27は、外容器10の内部空間10bに着脱可能に装着されるので、内容器27内に収容された調味料が内容器27の内面に付着した場合、この内容器27を内部空間10bから取り出して、調味料が収容された別の内容器27と交換することができる。したがって、作業者を煩わせることなく、内容器27内をきれいな状態にして使用可能な振り出し容器1にすることができる。
【0062】
以上、実施例に沿って本発明の構成とその作用効果について説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の振り出し容器は、内容器を容易に交換可能なものであり、調味料や振りかけ等の容器の分野で幅広い展開が期待される。
【符号の説明】
【0064】
1 振り出し容器
10 外容器
10a 第1開口部
10b 内部空間
12 収容胴部
12a 装着筒部
12b 雄ねじ部
12c 平面部
12d 係合凹部
20、23、25,27 内容器
20a 第2開口部
21 内容器本体部
21a、27a 内容器フランジ部
23a,25a,35a,41a 直線部
30、37、38 位置決めリング
31 リング本体部
31a 係止凸部
31b 嵌合筒部
31c リング本体フランジ部
33 平板部
33a 湾曲平板部
33b 直線平板部
35 挿入孔部
35b 円周部
40、55 キャップ
41、56 排出口
41b 湾曲部
42 キャップ本体部
42a キャップ頂板部
42b キャップ周壁部
42c 突出部
44、57 蓋体
45 第1蓋体
45a 第1蓋体直線部
45b、46b 薄肉部
46 第2蓋部
46a 第2蓋体直線部
50 位置決め部
51,52 挿入孔部
J 容器軸