(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】アクチュエータ、レンズ駆動モータ及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H02K 33/16 20060101AFI20221114BHJP
G03B 5/00 20210101ALI20221114BHJP
G02B 7/04 20210101ALI20221114BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20221114BHJP
【FI】
H02K33/16 A
G03B5/00 J
G02B7/04 E
G02B7/02 E
(21)【出願番号】P 2017222874
(22)【出願日】2017-11-20
【審査請求日】2020-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】日本電産コパル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137947
【氏名又は名称】石井 貴文
(72)【発明者】
【氏名】松久 治可
【審査官】三島木 英宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-034911(JP,A)
【文献】特開2003-243792(JP,A)
【文献】特開2011-066580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 33/16
G03B 5/00
G02B 7/04
G02B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1平面及び前記第1平面の裏面にあたる第2平面を有する絶縁部材内に配置されるコイル、及び前記第1平面側に導電部材により形成された外部端子部、を有する平面基板コイルと、
光軸方向から見た平面視で前記コイルに重なるよう配置されるマグネットを保持する可動部材と、
前記外部端子部と半田を介して電気的に接続されるランド部を有し、前記第1平面に対して折り曲げられることなく垂直方向に延びる配線基板と、
前記平面基板コイルを配置するベース部材と、を備え、
前記ベース部材は、前記光軸方向に対して垂直な径方向の内側部と、外側部とで形成された、前記垂直方向に延びるスリット穴を有し、
前記配線基板は、前記スリット穴に挿入されるよう配置され、
前記平面基板コイルは、前記光軸方向で前記内側部に当接するとともに、前記第1平面側で前記半田によって前記ランド部に接続されている、
アクチュエータ。
【請求項2】
前記可動部材は、前記第2平面側に配置される、
請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記配線基板は、前記平面基板コイルの側面に沿って
、前記第2平面側に突出しないよう配置される
とともに、外側の面が前記外側部の内側の面に当接する、
請求
項2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記配線基板は、前記ランド部が形成された面の反対側の面に外部接続ランド部を有している、
請求項
3に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記外部接続ランド部は、前記ベース部材に形成された複数のリードフレームが並ぶ平面上に、前記複数のリードフレームのピッチと同様のピッチで配置される、
請求項
4に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記配線基板は、前記コイルを駆動する駆動ドライバを有する、
請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
請求項1乃至
6のいずれか1項に記載のアクチュエータと、
前記可動部材に保持されるレンズ枠と、を備える、
レンズ駆動モータ。
【請求項8】
請求項1乃至
6のいずれか一項に記載のアクチュエータを備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、アクチュエータ、レンズ駆動モータ及び電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やスマートフォンをはじめとする電子機器は、様々なアクチュエータを備えており、アクチュエータは、利用者の指示や受信した情報に基づいて動作を行う。特に、撮像装置を備える電子機器は、撮像装置において、オートアイリス機構、OIS(Optical Image Stabilizer)機構及びAF(Autofocus)機構等にアクチュエータが利用されている。
【0003】
特許文献1は、駆動マグネットの着磁境界線と駆動コイルの長軸を一致するように配置し、ベース部材の駆動コイルのコイル位置規制部には、マグネットの中心と位置センサの中心が一致するように、位置センサを配置し、位置センサの両脇には、粘着部材の中心が着磁境界線上になるように、粘着部材を配置したレンズ駆動装置したレンズ駆動装置について開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のようなアクチュエータ、特に電子機器に組み込まれるアクチュエータにおいては、小型化・薄型化の要求が高く、また耐久性も要求される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために次のような手段を採る。なお、以下の説明において、発明の理解を容易にするために図面中の符号等を括弧書きで付記するが、本発明の各構成要素はこれらの付記したものに限定されるものではなく、当業者が技術的に理解しうる範囲にまで広く解釈されるべきものである。
【0007】
本発明の一の手段は、
互いに対向する第1平面(48)及び第2平面(49)を有する絶縁部材内に配置されるコイル(41)、及び前記第1平面(48)側に導電部材により形成された外部端子部(46)、を有する平面基板コイル(4)と、
前記コイル(41)に対向して配置されるマグネット(5)を保持する可動部材(6)と、
前記外部端子部(46)と電気的に接続されるランド部(31)を有し、前記第1平面(48)に対して垂直方向に延びる配線基板(3)と、を備える、
アクチュエータである。
【0008】
上記構成のアクチュエータによれば、配線基板を曲げることなく、例えば半田を介して平面基板コイルと接続することができる。このため、平面基板コイルと配線基板との接続のためのスペースを小さくすることができ、アクチュエータをより小型化した構成とすることができる。また、このような構成とすることにより、配線基板は、平面基板コイルと接続する際に曲げられないため、接続部分にかかる応力を低減して接続部分の耐久性を向上させ、アクチュエータの耐久性を向上させることができる。
【0009】
上記アクチュエータにおいて、好ましくは、
前記可動部材(6)は、前記第2平面(49)側に配置される。
【0010】
上記構成のアクチュエータによれば、可動部材のない側から半田付け等の作業をすることができ、製造工程の簡易化、並びにメンテナンス性を向上させた構成とすることができる。
【0011】
上記アクチュエータにおいて、好ましくは、
前記配線基板(3)は、前記平面基板コイル(4)の側面(49)に沿って配置される。
【0012】
上記構成のアクチュエータによれば、例えば半田付けの際に平面基板コイルの側面に配線基板の位置合わせて、半田付け等を行いやすくすると共に、固定を容易にした構成とすることができる。
【0013】
上記アクチュエータにおいて、好ましくは、
前記平面基板コイル(4)を配置するベース部材(2)を更に備え、
前記ベース部材(2)は、前記垂直方向に延びるスリット穴(25)を有し、
前記配線基板(3)は、前記スリット穴に配置される。
【0014】
上記構成のアクチュエータによれば、より簡易な構成で平面基板コイルとの電気的接続をベース部材の外側に出す構成とすることができる。
【0015】
上記アクチュエータにおいて、好ましくは、
前記配線基板(3)は、前記ランド部(31)が形成された面の反対側の面に外部接続ランド部(32)を有している。
【0016】
上記構成のアクチュエータによれば、外部機器や基板との接続を容易にし、より簡易に製造可能な構成とすることができる。
【0017】
上記アクチュエータにおいて、好ましくは、
前記外部接続ランド部(32)は、前記ベース部材(2)に形成された複数のリードフレーム(26)が並ぶ平面上に、前記複数のリードフレームのピッチと同様のピッチで配置される。
【0018】
上記構成のアクチュエータによれば、リードフレームと配線基板とを組み合わせて一つのコネクタとして、外部と接続することができ、組み立てを簡易化すると共に、電気的な接続をより確実にした構成とすることができる。
【0019】
上記アクチュエータにおいて、好ましくは、
前記配線基板(3)は、前記コイル(41)を駆動する駆動ドライバを有する。
【0020】
上記構成のアクチュエータは、駆動ドライバを併せ持った構成としているため、アクチュエータと駆動ドライブとを別体とする構成と比較して、全体として小型化することができると共に、製造をより簡易化した構成とすることができる。
【0021】
上記アクチュエータにおいて、好ましくは、
前記配線基板(3)は、センサを有する。
【0022】
上記構成のアクチュエータによれば、例えば加速度センサやホール素子等の各種のセンサやこれらのセンサを有する基板が配置されることにより、センサを含めて、より小型化した構成とすることができる。
【0023】
本発明の一の手段は、
互いに対向する第1平面(48)及び第2平面(49)を有し、前記第1平面または前記第2平面に配置されるコイル、及び前記第1平面側に導電部材により形成された外部端子部(46)、を有する平面基板と、
前記コイルに対向して配置されるマグネット(5)を保持する可動部材(6)と、
前記外部端子部と電気的に接続されるランド部(31)を有し、前記第1平面に対して垂直方向に延びる配線基板(3)と、を備える、
アクチュエータである。
【0024】
上記構成のアクチュエータによれば、配線基板を曲げることなく、例えば半田を介して平面基板と接続することができる。このため、平面基板と配線基板との接続のためのスペースを小さくすることができ、アクチュエータをより小型化した構成とすることができる。また、このような構成とすることにより、配線基板は、平面基板と接続する際に曲げられないため、接続部分にかかる応力を低減して接続部分の耐久性を向上させ、アクチュエータの耐久性を向上させることができる。
【0025】
本発明の一の手段は、
上述のいずれかのアクチュエータと、
前記可動部材に保持されるレンズ枠と、を備える、
レンズ駆動モータである。
【0026】
上記構成のレンズ駆動モータによれば、上述のいずれかのアクチュエータを備えているため、レンズ駆動モータをより小型化した構成とすることができる。
【0027】
本発明の一の手段は、
上述のいずれかのアクチュエータを備える、
電子機器である。
【0028】
上記構成の電子機器によれば、上述のいずれかのアクチュエータを備えているため、電子機器をより小型化した構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、本実施形態のレンズ駆動モータの分解斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態のレンズ駆動モータの平面基板コイル上からの視野による平面図である。
【
図3】
図3は、
図2のIII-III線におけるレンズ駆動モータの断面図である。
【
図4】
図4は、
図2のIV-IV線におけるレンズ駆動モータの一部断面図である。
【
図5】
図5は、平面基板コイルとフレキシブル回路基板とが接続される様子を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、本実施形態のアクチュエータを有する電子機器について示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明に係る実施形態について、以下の構成に従って図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、以下で説明する実施形態はあくまで本発明の一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定的に解釈させるものではない。なお、各図面において、同一の構成要素には同一の符号を付しており、その説明を省略する場合がある。
1.実施形態
2.補足事項
【0031】
<1.実施形態>
本実施形態のアクチュエータは、平面基板コイルの平面に対して垂直方向に伸びるフレキシブル回路基板が、平板基板コイルに電気的に接続される構成となっている。これにより、本実施形態のアクチュエータでは、配線基板であるフレキシブル回路基板を曲げるためのスペースを必要とすることなく小型化できる構成となっている。以下、本実施形態のアクチュエータについて具体的に説明する。
【0032】
図1は、本実施形態のレンズ駆動モータの分解斜視図である。
図2は、本実施形態のレンズ駆動モータの平面基板コイル上からの視野による平面図である。
図3は、
図2のIII-III線におけるレンズ駆動モータの断面図である。
図4は、
図2のIV-IV線におけるレンズ駆動モータの一部断面図である。
図5は、平面基板コイルとフレキシブル回路基板とが接続される様子を示す斜視図である。
【0033】
<全体構成>
図1に示されるように、レンズ駆動モータ10は、アクチュエータ1と、フォーカスコイル7と、レンズ枠8と、筐体9と、下板バネ12と、上板バネ13と、支持ワイヤ11と、を有している。アクチュエータ1は、ベース部材2と、配線基板であるフレキシブル回路基板3と、平面基板コイル4と、マグネット5と、可動部材6とを有している。
【0034】
本実施形態では、アクチュエータ1のベース部材2は、開口21を有しており、開口21の周囲に支持面22が形成され、支持面22上に平面基板コイル4が配置される。支持面22は、平面基板コイル4を支持する。平面基板コイル4は、互いに対向する第1平面48及び第2平面49を有する絶縁部材内に配置されるコイル41と、第1平面48側に導電部材により形成された外部端子部46とを有している。第1平面48及び第2平面49は、言い換えれば、平面基板コイル4の表面及び裏面である。
【0035】
可動部材6は、筒状に延びる形状であって、断面は、円状の開口を有する矩形状となっている。可動部材6は、四隅の角部内側にマグネット5を保持するマグネット保持部61を備えている。
図1に示されるように、可動部材6に保持されたマグネット5は、平面視で、平面基板コイル4の四隅に配置される。より具体的には、
図2に示されるように、平面基板コイル4の四隅にはそれぞれコイル41が配置されており、4つのマグネット5が、これらのコイル41と、光軸方向に対向するよう配置される。マグネット5と平面基板コイル4(コイル41)との間には、下板バネ12が挟まれるよう位置する(
図1参照)。可動部材6は、ベース部材2に対して移動自在に配置される。フレキシブル回路基板3は、平面基板コイル4の外部端子部46と電気的に接続されるランド部31を有し、第1平面48に対して垂直方向に延びている。なお、本明細書において「垂直」とは、一方に対して他方が完全に垂直(90°)をなすよう配置されている状態を含むがこれに限定されるものではなく、本来の機能を損なわない程度の傾きを有する状態をも含む。
【0036】
このようにアクチュエータ1においては、平面基板コイル4の第1平面48に対して、垂直に伸びるフレキシブル回路基板3が接続される。これにより、フレキシブル回路基板3を曲げることなく、例えば半田17を介して平面基板コイル4と接続することができる(
図5参照)。このため、平面基板コイル4とフレキシブル回路基板3との接続のためのスペースを小さくすることができ、アクチュエータ1をより小型化することができる。また、このような構成とすることにより、平面基板コイル4とフレキシブル回路基板3とを接続する際にフレキシブル回路基板3を曲げる必要がないため、接続部分にかかる応力を低減して接続部分の耐久性を向上させ、アクチュエータ1の耐久性を向上させることができる。
【0037】
また、レンズ駆動モータ10は、このような比較的小型のアクチュエータ1を用いて構成されるため、レンズ駆動モータ10をより小型化することができると共に、耐久性を向上させることができる。
【0038】
複数のマグネット5は、それぞれ平面視で、平面基板コイル4の複数のコイル41のそれぞれに重なる位置に配置されており、マグネット5とコイル41とは光軸方向に対向している。コイル41に流す電流が変化されることにより、マグネット5が取り付けられた可動部材6の移動が制御される。本実施形態においては、コイル41とマグネット5の組み合わせは4組であるが、1つでもよいし、4つ以外の複数であってもよい。また本実施形態においては、マグネット5は、矩形状の可動部材6の角部に配置されることとしたが、マグネット5は辺部分に配置されていてもよいし、角部と辺部分の両方に配置されていてもよい。
【0039】
<可動部材6>
可動部材6は、支持ワイヤ11を介してベース部材2に支持されている。支持ワイヤ11は、
図1のZ方向(光軸方向)に沿って延びるよう配置されている。支持ワイヤ11の一端はベース部材2に固定され、他端は可動部材6に固定されている上板バネ13に半田19により固定される。可動部材6は、支持ワイヤ11によって吊り下げ支持されており、支持ワイヤ11の撓みによってX-Y方向(光軸に垂直な平面内)に移動可能に支持されている。本実施形態の例では、支持ワイヤ11は、複数本(4本)設けられ、ベース部材2の四隅に、支持ワイヤ11の一端が固定され、その外側に可動部材6の可動範囲を制限するストッパ23が設けられている。
【0040】
可動部材6内には、レンズ枠8が配置される。レンズ枠8は、不図示のレンズバレルが取り付けられるねじ部81を備えた円筒部材であり、外周に設けられるコイル保持部82にフォーカスコイル7が巻回される。レンズ枠8は、可動部材6の内側に配置され、可動部材6に取り付けられたマグネット5とフォーカスコイル7との間に磁気ギャップが形成される。
【0041】
<レンズ枠8>
レンズ枠8は、下板バネ12及び上板バネ13によって光軸方向(図示Z方向)に沿って移動可能に支持されている。下板バネ12は、レンズ枠8の下端部83と可動部材6の下端部62とを弾性的に連結している。上板バネ13は、レンズ枠8の上端部84と可動部材6の上端部63とを弾性的に連結している。本実施形態においては、上板バネ13は、左右対称の二つの部材によって構成されているが、一つの部材であっても、三つ以上の部材により構成されていてもよい。
【0042】
<筐体9>
筐体9は、ベース部材2とともに、アクチュエータ1の各部材を覆うように保持する。具体的には、筐体9は、ベース部材2とともに、フォーカスコイル7、レンズ枠8、下板バネ12及び上板バネ13等の構成を覆いながら保持する。
【0043】
<平面基板コイル4>
図2~
図5に示されるように、平面基板コイル4は、絶縁層の間に駆動用のコイル41の配線を平面的に形成したものである。
図2に示されるように、コイル41は、平面視において、ベース部材2の四隅に位置するように配置されている。コイル41は、一つの絶縁層上に平面的に巻線を巻回したものであってもよいし、多層の絶縁層に多段に巻線を巻回したものであってもよい。4個のコイル41は、可動部材6に取り付けられている4個のマグネット5にそれぞれZ方向に重なり合うよう配置される。
図2に示す例では、互いに対角に配置された2つのコイル41は、対応する対角線Dの方向に可動部材6を駆動させる。すなわち、対角に配置された2つのコイル41の対が、2本の対角線に対応して2対あり、それぞれの対に与えられる電流の組合せにより、光軸に垂直なX-Y平面における異なる2方向に可動部材6を駆動させることができる。
【0044】
平面基板コイル4には、位置センサ14が実装されている。位置センサ14は、可動部材6に取り付けられるマグネット5の磁界変化を検出して、平面基板コイル4に対する可動部材6の相対位置を検出するものであり、ホール素子などが用いられる。位置センサ14は、4つのマグネット5のうちの2つに対向するように、ベース部材2の角部に対応する位置に配置される。
図2の例では、2つの位置センサ14が、隣り合う2つのコイル41の巻芯部に配置されている。このように、マグネット5は、可動部材6を駆動させ、かつ位置検出用としても用いられている。そして、2つの位置センサ14はそれぞれ対角線D上に配置されている。
【0045】
なお、本実施形態においては、駆動用のマグネット5と位置検出用のマグネット5とを共通にしているが、駆動用のマグネット5とは別に位置検出用のマグネット5を有していてもよい。また、その場合には、位置センサ14は、平面視においてコイル41とは重ならない位置に配置されてもよい。
【0046】
図2に示されるように、平面基板コイル4は、コイル41から引き出された引き出し配線431、432をそれぞれ備えている。引き出し配線431,432のうち、一方の引き出し配線431は入力端子部47に接続され、他方の引き出し配線432は対角に配置されるコイル41と直列に接続される。つまり、引き出し配線432は、当該引き出し配線432を有するコイル41と対角線上に配置されたコイル41の引き出し配線432と直列接続されている。
【0047】
また、平面基板コイル4は、絶縁層の一部に、位置センサ14が接続される配線44とセンサ端子部45とを備えている。
図2に示す例では、センサ端子部45は、平面基板コイル4におけるコイル41の巻芯部に設けられ、半田16を介して位置センサ14と接続されている。センサ端子部45に接続される配線44は、平面基板コイル4の絶縁層上に延設されて、平面基板コイル4の外部端子部46に接続されている。配線44は、コイル41が配置される層とは異なる絶縁層に配置されることで、コイル41に対して平面的に重なる位置に配置される。なお、本実施形態では、センサ端子部45に接続される配線44が、外部端子部46と接続される構成としたが、コイル41と接続される引き出し配線431が、外部端子部46と接続される構成であってもよい。また、平面基板コイル4内に他の配線がある場合には、その他の配線が外部端子部46と接続される構成であってもよい。
【0048】
図1、
図3、及び
図5に示されるように、本実施形態において、可動部材6は、第2平面49側に配置されている。このような構成とすることにより、可動部材6が配置されていない方向から半田付け等の作業をすることができ、製造工程の簡易化、並びにメンテナンス性を向上させることができる。なお、外部端子部46は、可動部材6が配置される側に設けられていても一定の効果が得られる。
【0049】
<ベース部材2>
ベース部材2内部には、配線が形成されていてもよい。ベース部材2内部の配線は、例えば、リードフレーム26であり、樹脂製のベース部材2に一体成形(インサート成形)されていてもよい。ベース部材2内部の配線は、リードフレーム26に限定されるものではなく、各種の配線構造を採用することができ、例えば、MID(Molded Interconnect Device, 成形回路部品)技術によって形成されたものなどであってもよい。
【0050】
ベース部材2には、平面基板コイル4と接続するために、端子突起24が設けられていてもよい。端子突起24は、リードフレーム26などのベース部材2内部の配線の一部として構成することもできるし、ベース部材2内部の配線に接続されるピン状部材を支持面22に突出させて形成することもできる。また、端子突起24は、ベース部材2自体に突起部を設けて、それと一体にMID技術などで形成することもできる。端子突起24は、ベース部材2の表面(例えば、支持面22)から突出するように設けられ、平面基板コイル4の穴に設けられた入力端子部47と、半田18により接続されることとしてもよい。
【0051】
また、ベース部材2は、
図2及び
図3に示されるように、第1平面48に対して垂直方向(Z方向)に延びるスリット穴25を有し、フレキシブル回路基板3は、スリット穴25に配置されることとしてもよい。このような構成とすることにより、より簡易な構成で、平面基板コイル4との電気的接続を、フレキシブル回路基板3を介して、ベース部材2の外に出す構成とすることができる。また、フレキシブル回路基板3に適したスリット穴25の大きさとすることにより、フレキシブル回路基板3の移動を抑え、半田17等の接続部分に負荷のかからない構成とすることができる。また、ベース部材2の内部にフレキシブル回路基板3が配置されるため、例えば筐体9とベース部材2とを接着剤91で接着して密封できる領域を確保し、内部へのほこり等の侵入を抑えることができる。
【0052】
<フレキシブル回路基板3>
フレキシブル回路基板3は、樹脂等の絶縁性のシート状の材料に金属等の導電性の材料の配線が形成されたものである。基板3の配線は、ランド部31等の露出した箇所において他の部材と電気的に接続される。ここで、フレキシブル回路基板3は、可撓性を有するものだけでなく、剛性を有する配線基板を用いてもよい。フレキシブル回路基板3のランド部31は、半田17を介して平面基板コイル4の外部端子部46と電気的に接続されている。また、フレキシブル回路基板3は、平面基板コイル4の第1平面48に対して垂直方向に延びるように配置される。
【0053】
ここでフレキシブル回路基板3は、例えば
図5に示すように、平面基板コイル4の側面42に沿って配置することができる。これにより、例えば半田付けの際に平面基板コイル4の側面42にフレキシブル回路基板3の位置合わせて、半田付け等を行いやすくすると共に、固定を容易にすることができる。
【0054】
また、フレキシブル回路基板3は、
図5に示されるように、ランド部31が形成された面の反対側の面に外部接続ランド部32を有していてもよい。このような向きに外部接続ランド部32を形成することにより、外部機器や基板との接続を容易にし、製造をより簡易化することができる。しかしながら、外部接続ランド部32はランド部31が形成された面と同じ面に形成されていてもよい。
【0055】
また、フレキシブル回路基板3の外部接続ランド部32は、例えば
図4に示されるように、ベース部材2に形成された複数のリードフレーム26が並ぶ平面上に、複数のリードフレーム26のピッチと同様のピッチで配置されていてもよい。このような構成とすることにより、リードフレーム26とフレキシブル回路基板3とを組み合わせて一つのコネクタとして、外部と接続することができる。これにより組み立てを簡易化すると共に、電気的な接続をより確実にすることができる。
【0056】
また、フレキシブル回路基板3は、コイル41を駆動する駆動ドライバを有していてもよい。駆動ドライバと併せた構成とすることにより、アクチュエータ1と駆動ドライブとを別体とする構成と比較して、全体として小型化することができると共に、製造をより簡易化した構成とすることができる。
【0057】
更に、フレキシブル回路基板3は、センサを有していてもよい。例えば加速度センサやホール素子等の各種のセンサやこれらのセンサを有する基板が配置されることにより、センサを含めた構成をより小型化することができる。
【0058】
図6は、本実施形態のアクチュエータ1を有する電子機器100について示す図である。電子機器100は、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末その他の電子機器の一例である。電子機器100のアクチュエータ1は、例えば電子機器100に搭載されたカメラの駆動部分に適用することができる。
【0059】
このように、電子機器100は、アクチュエータ1を用いて構成されるため、より小型化することができると共に、耐久性を向上させることができる。
【0060】
<2.補足事項>
以上、本発明の実施形態についての具体的な説明を行った。上記説明は、あくまで一実施形態としての説明であって、本発明の範囲はこの一実施形態に留まらず、同様の技術思想に基づいて当業者が把握可能な範囲にまで広く解釈されるものである。
【0061】
なお、上記説明においては、配線基板をフレキシブル回路基板として説明したが、フレキシブル基板ではなくリジッド基板などの剛性を有する基板でもよい。
【0062】
また、上記説明においては、コイルが絶縁部材内に配置された平面基板コイルを用いることとしたが、平面基板コイルだけでなく、例えば、外部端子部を有するフレキシブル回路基板等の基板上にコイルが配置された平面基板を用いることとしてもよい。このような構成とした場合であっても、配線基板を曲げることなく、例えば半田を介して平面基板と接続することができる。このため、平面基板と配線基板との接続のためのスペースを小さくすることができ、アクチュエータをより小型化した構成とすることができる。また、配線基板は、平面基板と接続する際に曲げられないため、接続部分にかかる応力を低減して接続部分の耐久性を向上させ、アクチュエータの耐久性を向上させることができる。
【0063】
また、上記実施形態では本発明で特徴的な部分のみについて説明したが、本発明のアクチュエータ、レンズ駆動モータ及び電子機器は、従来のアクチュエータ、レンズ駆動モータ及び電子機器が有する種々の構成をさらに備えている。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明のアクチュエータは、レンズ駆動モータ及び電子機器等に好適に利用される。
【符号の説明】
【0065】
1…アクチュエータ
10…レンズ駆動モータ
11…支持ワイヤ
12…下板バネ
13…上板バネ
14…位置センサ
16,17,18,19…半田
2…ベース部材
21…開口
22…支持面
23…ストッパ
24…端子突起
25…スリット穴
26…リードフレーム
3…フレキシブル回路基板(配線基板)
31…ランド部
32…外部接続ランド部
4…平面基板コイル
41…コイル
42…側面
431,432…引き出し配線
44…配線
45…センサ端子部
46…外部端子部
47…入力端子部
48…第1平面
49…第2平面
5…マグネット
6…可動部材
61…マグネット保持部
62…下端部
63…上端部
7…フォーカスコイル
8…レンズ枠
81…ねじ部
82…コイル保持部
83…下端部
84…上端部
9…筐体
91…接着剤
100…電子機器