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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】三相電力変換装置及び無停電電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/493 20070101AFI20221114BHJP
   H02M 7/5387 20070101ALI20221114BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20221114BHJP
   H02M 7/12 20060101ALI20221114BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
H02M7/493
H02M7/5387
H02M7/48 N
H02M7/12 M
H02M7/12 W
H02J9/06 120
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018126002
(22)【出願日】2018-07-02
(65)【公開番号】P2020005479
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】321002112
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ インフラシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 康司
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 良介
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 明
【審査官】白井 孝治
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-245089(JP,A)
【文献】特開2004-260882(JP,A)
【文献】特開平10-295084(JP,A)
【文献】特開平10-155276(JP,A)
【文献】特開平10-146062(JP,A)
【文献】国際公開第2017/090174(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 5/00~ 7/98
H02J 9/00~ 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
U相入力、V相入力及びW相入力からなる三相交流入力を直流電力に変換し、前記直流電力をU相出力、V相出力及びW相出力からなる三相交流出力に変換する三相電力変換装置であって、
前記三相交流入力を前記直流電力に変換するコンバータ回路と、前記直流電力を前記三相交流出力の前記U相出力及び前記W相出力に変換するインバータ回路とを備えた電源ユニットが複数台並列に接続され、
前記V相入力が入力されるV相入力端子と前記V相出力が出力されるV相出力端子とを直接接続するV相専用ラインを具備することを特徴とする三相電力変換装置。
【請求項2】
前記コンバータ回路は、
正母線と前記V相入力が入力されるV相入力端子に接続された中性端子との間に接続された第1コンデンサと、
前記中性端子と負母線との間に接続された第2コンデンサと、
前記正母線と前記負母線との間に接続され、前記U相入力と前記V相入力との間の電力を前記直流電力に変換する第1アームと、
前記正母線と前記負母線との間に接続され、前記V相入力と前記W相入力との間の電力を前記直流電力に変換する第2アームと、を具備し、
前記インバータ回路は、
前記正母線と前記負母線との間に接続され、前記直流電力を前記U相出力に変換する第3アームと、
前記正母線と前記負母線との間に接続され、前記直流電力を前記W相出力に変換する第4アームと、を具備することを特徴とする請求項1記載の三相電力変換装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の三相電力変換装置と、
U相バイパススイッチを介して前記U相入力が入力されるU相入力端子と前記U相出力が出力されるU相出力端子とを接続するU相バイパスラインと、W相バイパススイッチを介して前記W相入力が入力されるW相入力端子と前記W相出力が出力されるW相出力端子とを接続―するW相バイパスラインとを具備することを特徴とする無停電電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三相交流を入力して三相交流を出力する三相電力変換装置及び無停電電源装置(UPS:Uninterruptible Power Supply)に関する。
【背景技術】
【0002】
常時インバータ方式のUPSは、出力側のノイズを低減するために絶縁トランスを必要とする。しかし、絶縁トランスは大型化や高コストを招く。そのため、V相を共通にすることにより絶縁トランスを削除したトランスレスUPSが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、先行文献2では、V相を共通したトランスレスUPSとして、2n台の単相交流電源をn台の電源ユニットとして並列運転して三相交流出力を得る無停電電源装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-172141号公報
【文献】特開2003-018866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、トランスレスUPSを複数の電源ユニットによって並列化した場合、V相が共通化されているため電流制御できず、いずれかの電源ユニットのV相に電流集中が発生する虞がある。
【0006】
図4に示すトランスレスUPS10は、2台の電源ユニット20a、20bが並列化され、U相、V相、W相からなる三相交流がU相入力、V相入力、W相入力としてそれぞれ入力される入力端子11u、11v、11wと、U相、V相、W相からなる三相交流がU相出力、V相出力、W相出力としてそれぞれ出力される出力端子12u、12v、12wとを備えている。
【0007】
電源ユニット20a、20bは、同一の構成であり、入力端子11u、11v、11wにそれぞれ接続された入力端子21u、21v、21wと、出力端子12u、12v、12wにそれぞれ接続された出力端子22u、22v、22wと、U相入力、V相入力及びW相入力からなる三相交流入力を直流電力に変換するコンバータ回路23と、直流電力をU相出力及びW相出力に変換するインバータ回路24とをそれぞれ備えている。
【0008】
コンバータ回路23は、正母線25と入力端子21v及び出力端子12vに接続された中性端子26との間に接続された第1コンデンサC1と、中性端子26と負母線27との間に接続された第2コンデンサC2と、正母線25と負母線27との間に接続され、U相入力とV相入力との間の電力を直流電力に変換する第1アーム28と、正母線25と負母線27との間に接続され、V相入力とW相入力との間の電力を直流電力に変換する第2アーム29とを備えている。
【0009】
インバータ回路24は、正母線25と負母線27との間に接続され、直流電力をU相出力に変換する第3アーム30と、正母線25と負母線27との間に接続され、直流電力をW相出力に変換する第4アーム31とを備えている。
【0010】
図4において、入力端子11vと電源ユニット20aの中性端子26との間との配線インピーダンスZaと、入力端子11vと電源ユニット20bの中性端子26との間との配線インピーダンスZbとが、配線長やユニット間のバラツキによってアンバランスである場合、図5(c)に示すように、ユニット間でV相電流がアンバランスとなる。従って、配線インピーダンスZが最も小さいいずれかの電源ユニット20に電流集中が発生してしまい、寿命の低下や破損等の不具合の発生要因となってしまうという問題点があった。なお、図5において、(a)は三相交流入力のU相入力及びW相入力の電圧波形図であり、(b)は三相交流出力の各相出力の電流波形図である。
【0011】
本発明の目的は、従来技術の上記問題を解決し、並列に接続した電源ユニットのいずれかへの過度な電流集中を防止することができる三相電力変換装置及び無停電電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の三相電力変換装置、U相入力、V相入力及びW相入力からなる三相交流入力を直流電力に変換し、前記直流電力をU相出力、V相出力及びW相出力からなる三相交流出力に変換する三相電力変換装置であって、前記三相交流入力を前記直流電力に変換するコンバータ回路と、前記直流電力を前記三相交流出力の前記U相出力及び前記W相出力に変換するインバータ回路とを備えた電源ユニットが複数台並列に接続され、前記V相入力が入力されるV相入力端子と前記V相出力が出力されるV相出力端子とを直接接続するV相専用ラインを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、V相専用ラインによって電源ユニットを介することなくV相入力端子とV相出力端子とを直接接続することで、並列に接続した電源ユニットのいずれかへの過度な電流集中を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る三相電力変換装置の実施の形態の構成例を示す構成図である。
図2図1に示す各部の電圧、電流を示す波形図である。
図3図1に示す三相電力変換装置を備えた無停電電源装置の一例を示す図である。
図4】従来の三相電力変換装置の構成例を示す構成図である。
図5図4に示す各部の電圧、電流を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の実施の形態において、同様の機能を示す構成には、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0016】
本実施の形態の三相電力変換装置40は、図1を参照すると、2台の電源ユニット50a、50bが並列化され、U相、V相、W相からなる三相交流がU相入力、V相入力、W相入力としてそれぞれ入力される入力端子11u、11v、11wと、U相、V相、W相からなる三相交流がU相出力、V相出力、W相出力としてそれぞれ出力される出力端子12u、12v、12wと、電源ユニット50a、50bを介することなく入力端子11vと出力端子12vとを直接接続するV相専用ライン60と、を備えている。
【0017】
電源ユニット50a、50bは、同一の構成であり、入力端子11u、11v、11wにそれぞれ接続された入力端子21u、21v、21wと、出力端子12u、12wにそれぞれ接続された出力端子22u、22wと、入力端子11u、11v、11wから入力されたU相入力、V相入力及びW相入力からなる三相交流入力を直流電力に変換するコンバータ回路51と、直流電力をU相出力に変換して出力端子12uから出力すると共に、直流電力をW相出力に変換して出力端子12wから出力するインバータ回路24とをそれぞれ備えている。
【0018】
コンバータ回路51は、正母線25と入力端子21vに接続された中性端子26との間に接続された第1コンデンサC1と、中性端子26と負母線27との間に接続された第2コンデンサC2と、正母線25と負母線27との間に接続され、U相入力とV相入力との間の電力を直流電力に変換する第1アーム28と、正母線25と負母線27との間に接続され、V相入力とW相入力との間の電力を直流電力に変換する第2アーム29とを備えている。
【0019】
なお、第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2に図示しない蓄電池をそれぞれ並列に接続することで無停電電源装置(UPS)が構成される。
【0020】
また、図1に示すコンバータ回路51では、第1アーム及び第2アーム29を直列に接続した2個のスイッチ素子Qで構成し、2レベルコンバータとしたが、第1アーム及び第2アーム29を直列に接続した4個のスイッチ素子Qで構成し、3レベルコンバータとしても良い。
【0021】
インバータ回路24は、正母線25と負母線27との間に接続され、直流電力をU相出力に変換する第3アーム30と、正母線25と負母線27との間に接続され、直流電力をW相出力に変換する第4アーム31とを備えている。
【0022】
なお、図1に示すインバータ回路24では、第3アーム30及び第4アーム31を直列に接続した2個のスイッチ素子Qで構成し、2レベルコンバータとしたが、第3アーム30及び第4アーム31を直列に接続した4個のスイッチ素子Qで構成し、3レベルインバータとしても良い。
【0023】
本実施の形態では、V相専用ライン60によって電源ユニット50a、50bを介することなく入力端子11vと出力端子12vとを直接接続されている。従って、入力端子11vと電源ユニット50aの中性端子26との間との配線インピーダンスZaと、入力端子11vと電源ユニット50bの中性端子26との間との配線インピーダンスZbとにアンバランスであっても、図5(c)に示すように、配線インピーダンスZのアンバランスはV相電流のリップルの大きさとして現れるのみである。従って、並列に接続された電源ユニット50a、50bへの過度な電力集中を防止することができる。なお、図2において、(a)は三相交流入力のU相入力及びW相入力の電圧波形図であり、(b)は三相交流出力の各相出力の電流波形図である。
【0024】
なお、第1コンデンサC1と第2コンデンサC2の接続点である中性端子26からV相への電流は、原理的にV相電流=U相電流+W相電流となる。従って、U相とW相を制御できていれば任意に制御可能である。
【0025】
図3には、三相電力変換装置40と、バイパススイッチ70を介してU相入力とU相出力とを接続するU相バイパスライン80と、バイパススイッチ70を介してW相入力とW相出力とを接続するW相バイパスライン90と備えた常時インバータ給電方式の無停電電源装置100が示されている。
【0026】
常時インバータ給電方式の無停電電源装置100では、三相電力変換装置40の停止時や故障時等には、バイパススイッチ70をオンさせ、各電源ユニットのインバータ回路24をゲートブロックすることにより、V相専用ライン60、U相バイパスライン80及びW相バイパスライン90を介した直送運転に切り換えることができる。すなわち、V相専用ライン60を直送運転時のV相バイパスラインとして兼用することができる。
【0027】
なお、本実施の形態では、2台の電源ユニット50a、50bを並列に接続した例について説明したが、並列に接続する台数は、3台以上であっても良い。
【0028】
以上説明したように、本実施の形態は、U相入力、V相入力及びW相入力からなる三相交流入力を直流電力に変換し、直流電力をU相出力、V相出力及びW相出力からなる三相交流出力に変換する三相電力変換装置40であって、三相交流入力を直流電力に変換するコンバータ回路51と、直流電力を三相交流出力のU相出力及びW相出力に変換するインバータ回路24とを備えた電源ユニット50a、50bが並列に接続され、V相入力とV相出力とを直接接続するV相専用ライン60を具備する。
この構成により、V相専用ライン60によって電源ユニット50a、50bを介することなく入力端子11vと出力端子12vとを直接接続することで、並列に接続した電源ユニットのいずれかへの過度な電流集中を防止することができる。
【0029】
さらに、本実施の形態によれば、コンバータ回路51は、正母線25とV相入力に接続された中性端子26との間に接続された第1コンデンサC1と、中性端子26と負母線27との間に接続された第2コンデンサC2と、正母線25と負母線27との間に接続され、U相入力とV相入力との間の電力を直流電力に変換する第1アーム28と、正母線25と負母線27との間に接続され、V相入力とW相入力との間の電力を直流電力に変換する第2アーム29と、を具備し、インバータ回路24は、正母線25と負母線27との間に接続され、直流電力をU相出力を変換する第3アーム30と、正母線25と負母線27との間に接続され、直流電力をW相出力を変換する第4アーム31と、を具備する。
【0030】
さらに、本実施の形態の無停電電源装置100は、三相電力変換装置40と、バイパススイッチ70を介してU相入力とU相出力とを接続するU相バイパスライン80と、バイパススイッチ70を介してW相入力とW相出力とを接続するW相バイパスライン90とを具備する。
この構成により、バイパススイッチ70をオンさせ、各電源ユニットのインバータ回路24をゲートブロックすることにより、V相専用ライン60、U相バイパスライン80及びW相バイパスライン90を介した直送運転に切り換えることができる。
【0031】
以上、本発明を具体的な実施形態で説明したが、上記実施形態は一例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更して実施できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0032】
10、40 三相電力変換装置
11u、11v、11w 入力端子
12u、12v、12w 出力端子
20、20a、20b、50、50a、50b 電源ユニット
21u、21v、21w 入力端子
22u、22v、22w 出力端子
23、51 コンバータ回路
24 インバータ回路
25 正母線
26 中性端子
27 負母線
28 第1アーム
29 第2アーム
30 第3アーム
31 第4アーム
60 V相専用ライン
70 バイパススイッチ
80 U相バイパスライン
90 W相バイパスライン
100 無停電電源装置
C1 第1コンデンサ
C2 第2コンデンサ
Q スイッチ素子
Z、Za、Zb 配線インピーダンス
図1
図2
図3
図4
図5