(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】風力低減パネル及び風力低減パネルの設計方法
(51)【国際特許分類】
E01F 7/02 20060101AFI20221114BHJP
【FI】
E01F7/02
(21)【出願番号】P 2018141741
(22)【出願日】2018-07-27
【審査請求日】2021-03-05
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(73)【特許権者】
【識別番号】000006839
【氏名又は名称】日鉄建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】鰐渕 憲昭
(72)【発明者】
【氏名】加藤 優輝
(72)【発明者】
【氏名】梶村 典彦
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 優
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-080489(JP,A)
【文献】特開2016-176319(JP,A)
【文献】実開平06-043498(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 7/02
E04B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風の通過方向を奥行方向としたときに、当該奥行方向に沿って延長するパネル部材が前記奥行方向と直交する面に沿う方向に一定の間隔を有して複数配列され、各パネル間に複数の通風路を有し、前記各パネル部材は、前記風力低減パネルの奥行寸法内に位置する頂部を基準として、奥行方向の一方側及び他方側にそれぞれ所定角度傾斜して延長する第1整流部及び第2整流部を備え、各パネル部材の頂部が、隣り合う他のパネル部材における前記第1整流部及び前記第2整流部の延長端同士を結ぶ仮想線との間に所定寸法の間隔を有する風力低減パネルであって、
前記上下に隣り合うパネル部材の前記間隔は、
前記第1整流部及び前記第2整流部の延長端同士を結ぶ仮想線の長さをW、
前記第1整流部及び前記第2整流部の前記傾斜角度θを20°、
前記パネル部材の厚みをt、
(w/2)tanθ+t/cosθにより算出されるパネル部材の高さをh、
前記間隔を調整するために設定される間隔定数をaとしたときに、
前記間隔定数a及び前記厚みtが、
関数t=6.0×a-1.5(a<1.5)、
関数t=112.5×a-161.25(1.5≦a)、
関数t=7.05×e1.12×a、
関数a=0.5
で囲まれる範囲から設定されたことを特徴とする風力低減パネル。
【請求項2】
風の通過方向を奥行方向としたときに、当該奥行方向に沿って延長するパネル部材が前記奥行方向と直交する面に沿う方向に一定の間隔を有して複数配列され、各パネル間に複数の通風路を有し、前記各パネル部材は、前記風力低減パネルの奥行寸法内に位置する頂部を基準として、奥行方向の一方側及び他方側にそれぞれ所定角度傾斜して延長する第1整流部及び第2整流部を備え、各パネル部材の頂部が、隣り合う他のパネル部材における前記第1整流部及び前記第2整流部の延長端同士を結ぶ仮想線との間に所定寸法の間隔を有する風力低減パネルであって、
前記上下に隣り合うパネル部材の前記間隔は、
前記第1整流部及び前記第2整流部の延長端同士を結ぶ仮想線の長さをW、
前記第1整流部及び前記第2整流部の前記傾斜角度θを20°、
前記パネル部材の厚みをt、
(w/2)tanθ+t/cosθにより算出されるパネル部材の高さをh、
前記間隔を調整するために設定される間隔定数をaとしたときに、
前記間隔定数a及び前記厚みtが、
関数t=6.92×a+1.54(a<1.15)、
関数t=82.00×a-84.80(1.15≦a)、
関数t=6.80×e0.98×a、
関数a=0.5
で囲まれる範囲から設定されたことを特徴とする風力低減パネル。
【請求項3】
風の通過方向を奥行方向としたときに、当該奥行方向に沿って延長するパネル部材が前記奥行方向と直交する面に沿う方向に一定の間隔を有して複数配列され、各パネル間に複数の通風路を有し、前記各パネル部材は、前記風力低減パネルの奥行寸法内に位置する頂部を基準として、奥行方向の一方側及び他方側にそれぞれ所定角度傾斜して延長する第1整流部及び第2整流部を備え、各パネル部材の頂部が、隣り合う他のパネル部材における前記第1整流部及び前記第2整流部の延長端同士を結ぶ仮想線との間に所定寸法の間隔を有する風力低減パネルであって、
前記上下に隣り合うパネル部材の前記間隔は、
前記第1整流部及び前記第2整流部の延長端同士を結ぶ仮想線の長さをW、
前記第1整流部及び前記第2整流部の前記傾斜角度θを20°、
前記パネル部材の厚みをt、
(w/2)tanθ+t/cosθにより算出されるパネル部材の高さをh、
前記間隔を調整するために設定される間隔定数をaとしたときに、
前記間隔定数a及び前記厚みtが、
関数t=6.92×a+1.54(a<1.15)、
関数t=82.00×a-84.80(1.15≦a)、
関数t=5.30×e0.84×a、
関数a=0.5
で囲まれる範囲から設定されたことを特徴とする風力低減パネル。
【請求項4】
風の通過方向を奥行方向としたときに、当該奥行方向に沿って延長するパネル部材が前記奥行方向と直交する面に沿う方向に一定の間隔を有して複数配列され、各パネル間に複数の通風路を有し、前記各パネル部材は、前記風力低減パネルの奥行寸法内に位置する頂部を基準として、奥行方向の一方側及び他方側にそれぞれ所定角度傾斜して延長する第1整流部及び第2整流部を備え、各パネル部材の頂部が、隣り合う他のパネル部材における前記第1整流部及び前記第2整流部の延長端同士を結ぶ仮想線との間に所定寸法の間隔を有する風力低減パネルであって、
前記上下に隣り合うパネル部材の前記間隔は、
前記第1整流部及び前記第2整流部の延長端同士を結ぶ仮想線の長さをW、
前記第1整流部及び前記第2整流部の前記傾斜角度θを35°、
前記パネル部材の厚みをt、
(w/2)tanθ+t/cosθにより算出されるパネル部材の高さをh、
前記間隔を調整するために設定される間隔定数をaとしたときに、
前記間隔定数a及び前記厚みtが、
関数t=2.5×e0.87×a(a≦1.2)、
関数t=1.17×e1.49×a(1.2<a)、
関数t=13.10a-17.82(a<1.65)、
関数t=238.18a-389.20(1.65≦a)、
関数t=1、
関数a=0.5
で囲まれる範囲から設定されたことを特徴とする風力低減パネル。
【請求項5】
風の通過方向を奥行方向としたときに、当該奥行方向に沿って延長するパネル部材が前記奥行方向と直交する面に沿う方向に一定の間隔を有して複数配列され、各パネル間に複数の通風路を有し、前記各パネル部材は、前記風力低減パネルの奥行寸法内に位置する頂部を基準として、奥行方向の一方側及び他方側にそれぞれ所定角度傾斜して延長する第1整流部及び第2整流部を備え、各パネル部材の頂部が、隣り合う他のパネル部材における前記第1整流部及び前記第2整流部の延長端同士を結ぶ仮想線との間に所定寸法の間隔を有する風力低減パネルであって、
前記上下に隣り合うパネル部材の前記間隔は、
前記第1整流部及び前記第2整流部の延長端同士を結ぶ仮想線の長さをW、
前記第1整流部及び前記第2整流部の前記傾斜角度θを35°、
前記パネル部材の厚みをt、
(w/2)tanθ+t/cosθにより算出されるパネル部材の高さをh、
前記間隔を調整するために設定される間隔定数をaとしたときに、
前記間隔定数a及び前記厚みtが、
関数t=0.89×e1.43×a、
関数t=13.10a-17.82(a<1.65)、
関数t=238.18a-389.20(1.65≦a)、
関数t=1、
関数a=0.5
で囲まれる範囲から設定されたことを特徴とする風力低減パネル。
【請求項6】
風の通過方向を奥行方向としたときに、当該奥行方向に沿って延長するパネル部材が前記奥行方向と直交する面に沿う方向に一定の間隔を有して複数配列され、各パネル間に複数の通風路を有し、前記各パネル部材は、前記風力低減パネルの奥行寸法内に位置する頂部を基準として、奥行方向の一方側及び他方側にそれぞれ所定角度傾斜して延長する第1整流部及び第2整流部を備え、各パネル部材の頂部が、隣り合う他のパネル部材における前記第1整流部及び前記第2整流部の延長端同士を結ぶ仮想線との間に所定寸法の間隔を有する風力低減パネルであって、
前記上下に隣り合うパネル部材の前記間隔は、
前記第1整流部及び前記第2整流部の延長端同士を結ぶ仮想線の長さをW、
前記第1整流部及び前記第2整流部の前記傾斜角度θを35°、
前記パネル部材の厚みをt、
(w/2)tanθ+t/cosθにより算出されるパネル部材の高さをh、
前記間隔を調整するために設定される間隔定数をaとしたときに、
前記間隔定数a及び前記厚みtが、
関数t=2.5×e0.87×a(a≦1.2)、
関数t=1.17×e1.49×a(1.2<a)、
関数t=1.64×a+2.28(a<1.05)、
関数t=13.00×a-9.61(1.05≦a<1.32)、
関数t=225.00×a-289.50(1.32≦a)、
関数a=0.5
で囲まれる範囲から設定されたことを特徴とする風力低減パネル。
【請求項7】
風の通過方向を奥行方向としたときに、当該奥行方向に沿って延長するパネル部材が前記奥行方向と直交する面に沿う方向に一定の間隔を有して複数配列され、各パネル間に複数の通風路を有する風力低減パネルの設計方法であって、
あらかじめ設定された前記複数の通風路の通過前後の風速の比である風速比を満たすように、各パネル部材における前記風力低減パネルの奥行寸法内に位置する頂部を基準として奥行方向の一方側及び他方側にそれぞれ所定角度傾斜して延長する第1整流部及び第2整流部の延長端同士を結ぶ仮想線から前記頂部までの高さの範囲、及び、各パネルにおける頂部と、当該パネルに隣り合う他のパネル部材における前記延長端同士を結ぶ仮想線との間隔の範囲を設定し、
前記設定した高さの範囲及び間隔の範囲のうち、前記風力低減パネルに作用する風の抵抗を示す風方向風力係数が最小となる高さ及び間隔を選択することを特徴とする風力低減パネルの設計方法。
【請求項8】
前記第1整流部及び第2整流部の角度を、前記選択された高さを満たす前記第1整流部及び第2整流部の角度の範囲のうち、最小となる角度に設定することを特徴とする請求項
7記載の風力低減パネルの設計方法。
【請求項9】
前記第1整流部及び第2整流部の角度を10°~40°の範囲で設定することを特徴とする請求項
7に記載の風力低減パネルの設計方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力低減パネル及び風力低減パネルの設計方法に関し、特に、構造物や道路等における風の影響等を低減可能な風力低減パネル及び風力低減パネルの設計方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大型の台風や急速に発達した低気圧にともなう強風により、建物の屋上や隅角部付近に設置される目隠しパネル、広告塔や看板、マンションのバルコニーの隔て板や手すりガラスなどの工作物や建物外装材等が破壊される被害が増加している。また、電車や道路を走行する車への通行にも支障をきたしている。このような強風による被害を低減する対策として防風柵を設けることが知られている。例えば、防風柵の高さ、遮蔽させたい対象の大きさ、距離、方向あるいは柵柱の間隔等の様々な要因に応じ、設置するときや設置した後に防風柵の遮蔽率を調節可能にするものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1に開示される防風柵や一般的な防風柵では、風を遮る防風パネルが断面矩形状の板材により構成されるため、防風パネル及び防風パネルを支持する支柱等の取付部材に作用する風力を十分に見越した強度が要求される。このような防風パネルや取付部材の強度を増やす対策を施せば、防風柵の破壊を防ぐための安全性は高くすることができるが同時に製品のコストアップにつながってしまう。このため、風速の低減性能を満たしつつ防風パネルに作用する風力を効果的に低減できるものが望まれている。
そこで、本発明では、風速の低減性能を満たしつつ、風力低減パネルに作用する風力を低減可能な風力低減パネル及び風力低減パネルの設計方法を提供することにより風力低減パネルのコストアップの上昇を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための風力低減パネルの構成として、風の通過方向を奥行方向としたときに、当該奥行方向に沿って延長するパネル部材が前記奥行方向と直交する面に沿う方向に一定の間隔を有して複数配列され、各パネル間に複数の通風路を有し、前記各パネル部材は、前記風力低減パネルの奥行寸法内に位置する頂部を基準として、奥行方向の一方側及び他方側にそれぞれ所定角度傾斜して延長する第1整流部及び第2整流部を備え、各パネル部材の頂部が、隣り合う他のパネル部材における前記第1整流部及び前記第2整流部の延長端同士を結ぶ仮想線との間に所定寸法の間隔を有する風力低減パネルであって、前記上下に隣り合うパネル部材の前記間隔は、前記第1整流部及び前記第2整流部の延長端同士を結ぶ仮想線の長さをW、前記第1整流部及び前記第2整流部の前記傾斜角度θを20°、前記パネル部材の厚みをt、(w/2)tanθ+t/cosθにより算出されるパネル部材の高さをh、前記間隔を調整するために設定される間隔定数をaとしたときに、前記間隔定数a及び前記厚みtが、関数t=6.0×a-1.5(a<1.5)、関数t=112.5×a-161.25(1.5≦a)、関数t=7.05×e1.12×a、関数a=0.5で囲まれる範囲にあり、前記範囲にある間隔定数a及び厚みtにより設定された構成としたことにより、現実的にコストの上昇を抑えた効果的な風力低減パネルを提供することができる。
また、風力低減パネルの他の構成として、風の通過方向を奥行方向としたときに、当該奥行方向に沿って延長するパネル部材が前記奥行方向と直交する面に沿う方向に一定の間隔を有して複数配列され、各パネル間に複数の通風路を有し、前記各パネル部材は、前記風力低減パネルの奥行寸法内に位置する頂部を基準として、奥行方向の一方側及び他方側にそれぞれ所定角度傾斜して延長する第1整流部及び第2整流部を備え、各パネル部材の頂部が、隣り合う他のパネル部材における前記第1整流部及び前記第2整流部の延長端同士を結ぶ仮想線との間に所定寸法の間隔を有する風力低減パネルであって、前記上下に隣り合うパネル部材の前記間隔は、前記第1整流部及び前記第2整流部の延長端同士を結ぶ仮想線の長さをW、前記第1整流部及び前記第2整流部の前記傾斜角度θを20°、前記パネル部材の厚みをt、(w/2)tanθ+t/cosθにより算出されるパネル部材の高さをh、前記間隔を調整するために設定される間隔定数をaとしたときに、前記間隔定数a及び前記厚みtが、関数t=6.92×a+1.54(a<1.15)、関数t=82.00×a-84.80(1.15≦a)、関数t=6.80×e0.98×a、関数a=0.5で囲まれる範囲から設定された構成とした。
また、風力低減パネルの他の構成として、風の通過方向を奥行方向としたときに、当該奥行方向に沿って延長するパネル部材が前記奥行方向と直交する面に沿う方向に一定の間隔を有して複数配列され、各パネル間に複数の通風路を有し、前記各パネル部材は、前記風力低減パネルの奥行寸法内に位置する頂部を基準として、奥行方向の一方側及び他方側にそれぞれ所定角度傾斜して延長する第1整流部及び第2整流部を備え、各パネル部材の頂部が、隣り合う他のパネル部材における前記第1整流部及び前記第2整流部の延長端同士を結ぶ仮想線との間に所定寸法の間隔を有する風力低減パネルであって、前記上下に隣り合うパネル部材の前記間隔は、前記第1整流部及び前記第2整流部の延長端同士を結ぶ仮想線の長さをW、前記第1整流部及び前記第2整流部の前記傾斜角度θを20°、前記パネル部材の厚みをt、(w/2)tanθ+t/cosθにより算出されるパネル部材の高さをh、前記間隔を調整するために設定される間隔定数をaとしたときに、前記間隔定数a及び前記厚みtが、関数t=6.92×a+1.54(a<1.15)、関数t=82.00×a-84.80(1.15≦a)、関数t=5.30×e0.84×a、関数a=0.5で囲まれる範囲にあり、前記範囲にある間隔定数a及び厚みtにより設定された構成としたことにより、コストの上昇を抑えつつより効果的な風力低減パネルを提供できる。
また、風力低減パネルの他の構成として、風の通過方向を奥行方向としたときに、当該奥行方向に沿って延長するパネル部材が前記奥行方向と直交する面に沿う方向に一定の間隔を有して複数配列され、各パネル間に複数の通風路を有し、前記各パネル部材は、前記風力低減パネルの奥行寸法内に位置する頂部を基準として、奥行方向の一方側及び他方側にそれぞれ所定角度傾斜して延長する第1整流部及び第2整流部を備え、各パネル部材の頂部が、隣り合う他のパネル部材における前記第1整流部及び前記第2整流部の延長端同士を結ぶ仮想線との間に所定寸法の間隔を有する風力低減パネルであって、前記上下に隣り合うパネル部材の前記間隔は、前記第1整流部及び前記第2整流部の延長端同士を結ぶ仮想線の長さをW、前記第1整流部及び前記第2整流部の前記傾斜角度θを35°、前記パネル部材の厚みをt、(w/2)tanθ+t/cosθにより算出されるパネル部材の高さをh、前記間隔を調整するために設定される間隔定数をaとしたときに、前記間隔定数a及び前記厚みtが、関数t=2.5×e0.87×a(a≦1.2)、関数t=1.17×e1.49×a(1.2<a)、関数t=13.10a-17.82(a<1.65)、関数t=238.18a-389.20(1.65≦a)、関数t=1、関数a=0.5で囲まれる範囲から設定された構成とした。
また、風力低減パネルの他の構成として、風の通過方向を奥行方向としたときに、当該奥行方向に沿って延長するパネル部材が前記奥行方向と直交する面に沿う方向に一定の間隔を有して複数配列され、各パネル間に複数の通風路を有し、前記各パネル部材は、前記風力低減パネルの奥行寸法内に位置する頂部を基準として、奥行方向の一方側及び他方側にそれぞれ所定角度傾斜して延長する第1整流部及び第2整流部を備え、各パネル部材の頂部が、隣り合う他のパネル部材における前記第1整流部及び前記第2整流部の延長端同士を結ぶ仮想線との間に所定寸法の間隔を有する風力低減パネルであって、前記上下に隣り合うパネル部材の前記間隔は、前記第1整流部及び前記第2整流部の延長端同士を結ぶ仮想線の長さをW、前記第1整流部及び前記第2整流部の前記傾斜角度θを35°、前記パネル部材の厚みをt、(w/2)tanθ+t/cosθにより算出されるパネル部材の高さをh、前記間隔を調整するために設定される間隔定数をaとしたときに、前記間隔定数a及び前記厚みtが、関数t=0.89×e1.43×a、関数t=13.10a-17.82(a<1.65)、関数t=238.18a-389.20(1.65≦a)、関数t=1、関数a=0.5で囲まれる範囲から設定された構成とした。
また、風力低減パネルの他の構成として、風の通過方向を奥行方向としたときに、当該奥行方向に沿って延長するパネル部材が前記奥行方向と直交する面に沿う方向に一定の間隔を有して複数配列され、各パネル間に複数の通風路を有し、前記各パネル部材は、前記風力低減パネルの奥行寸法内に位置する頂部を基準として、奥行方向の一方側及び他方側にそれぞれ所定角度傾斜して延長する第1整流部及び第2整流部を備え、各パネル部材の頂部が、隣り合う他のパネル部材における前記第1整流部及び前記第2整流部の延長端同士を結ぶ仮想線との間に所定寸法の間隔を有する風力低減パネルであって、前記上下に隣り合うパネル部材の前記間隔は、前記第1整流部及び前記第2整流部の延長端同士を結ぶ仮想線の長さをW、前記第1整流部及び前記第2整流部の前記傾斜角度θを35°、前記パネル部材の厚みをt、(w/2)tanθ+t/cosθにより算出されるパネル部材の高さをh、前記間隔を調整するために設定される間隔定数をaとしたときに、前記間隔定数a及び前記厚みtが、関数t=2.5×e0.87×a(a≦1.2)、関数t=1.17×e1.49×a(1.2<a)、関数t=1.64×a+2.28(a<1.05)、関数t=13.00×a-9.61(1.05≦a<1.32)、関数t=225.00×a-289.50(1.32≦a)、関数a=0.5で囲まれる範囲から設定された構成とした。
また、上記課題を解決するための風力低減パネルの設計方法の態様として、風の通過方向を奥行方向としたときに、当該奥行方向に沿って延長するパネル部材が前記奥行方向と直交する面に沿う方向に一定の間隔を有して複数配列され、各パネル間に複数の通風路を有する風力低減パネルの設計方法であって、あらかじめ設定された前記複数の通風路の通過前後の風速の比である風速比を満たすように、各パネル部材における前記風力低減パネルの奥行寸法内に位置する頂部を基準として奥行方向の一方側及び他方側にそれぞれ所定角度傾斜して延長する第1整流部及び第2整流部の延長端同士を結ぶ仮想線から前記頂部までの高さの範囲、及び、各パネルにおける頂部と、当該パネルに隣り合う他のパネル部材における前記延長端同士を結ぶ仮想線との間隔の範囲を設定し、前記設定した高さの範囲及び間隔の範囲のうち、前記風力低減パネルに作用する風の抵抗を示す風方向風力係数が最小となる高さ及び間隔を選択するようにした。なお、上記風方向風力係数は、以下の説明では単に風力係数という。
本態様によれば、所望の風速比を維持しつつ風力低減パネルに作用する風力を小さくできる。これにより風力低減パネルの強度を増やす対策が不要になり、製造コストの上昇を抑えることができる。
また、風力低減パネルの設計方法の他の態様として、前記第1整流部及び第2整流部の角度を、前記選択された高さを満たす前記第1整流部及び第2整流部の角度の範囲のうち、最小となる角度に設定することにより、小さな風力係数を設定できるようになり、風力低減パネルに作用する風力を小さくできる。
また、風力低減パネルの設計方法の他の態様として、前記第1整流部及び第2整流部の角度を10°~40°の範囲で設定するようにした。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】風力低減装置の立面図及び垂直断面図である。
【
図2】風力低減パネルの斜視図及び要部垂直断面図である。
【
図6】比較実験に用いたパネル部材の断面形状を示す図である。
【
図7】比較実験の条件及び評価結果を纏めた表である。
【
図8】間隔定数を0とし、角度を変化させたときの風力係数及び風速比を示す図である。
【
図9】角度が20°における風力係数及び風速比の等値線図である。
【
図10】角度が35°における風力係数及び風速比の等値線図である。
【
図11】厚み及び間隔定数を変数とした風力係数及び風速比の関係を示す図である。
【
図12】パネル部材の他の断面形状を示す図である。
【
図13】パネル部材の他の断面形状を示す図である。
【
図14】他の断面形状の評価結果を纏めた表である。
【
図15】他の断面形状の評価結果を纏めた表である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らず、選択的に採用される構成を含むものである。
【0008】
図1は、風力低減装置1の設置状態を示す立面図及び垂直断面図である。本実施形態に係る風力低減装置1は、
図1(a)に示すように、例えば、高速道路等の道路3に沿って複数設けられ、走行路を通行する車両等への風の影響を低減すべく道路3の延長方向に沿って複数設けられ、走行路と路外とを区画する隔壁として設けられる。なお、風力低減装置1の設置場所は、道路3に限定されずビルなどの屋上等の工作物や構造物や建物外装材等において風力の影響を低減したい場所に適宜設置されるものである。
【0009】
風力低減装置1は、例えば正面視横長矩形状であって、枠体20と、当該枠体20内に収容される風力低減パネル30とを主たる構成として備える。なお、以下の説明では、風力低減装置1が設置された状態において、風力低減装置1を正面視した時の道路の延長する方向を幅方向、走行路側から路外側にわたる方向を奥行方向、道路3の路面から上方に向かう方向を上下方向という。幅方向、奥行方向、上下方向は互いに直交する関係にあり、枠体20内に風力低減パネル30を収容した状態において、風は奥行方向に通過する。現実の風は、風力低減装置1に対して任意の方向から吹き付けるが、説明の便宜上、風の吹く向き(風の通過方向)を奥行方向として説明する。なお、奥行方向については、風方向ともいう場合がある。
【0010】
枠体20は、例えば金属や硬質性の樹脂等からなるフレームであって、正面視矩形状に組み付けられる。枠体20は、上下方向に延長し、道路3の延長方向と平行に設けられる一対の縦フレーム21A;21Bと、幅方向に延長し、一対の縦フレーム21A;21Bの上端部及び下端部側に架設される一対の横フレーム23A;23Bと、一対の縦フレーム21A;21Bの中間部において、横フレーム23A;23Bと同一方向に延長する中間フレーム25とを備える。
【0011】
縦フレーム21A;21Bは、例えば断面略コ字状の中空体であって、コ字状の開口同士が幅方向に対向するように設けられる。また、横フレーム23A;23Bも同様に断面略コ字状の中空体であって、コ字状の開口同士が上下方向に対向するように設けられる。中間フレーム25は、断面H字状に形成され、上下の開口が横フレーム23A;23Bの開口と向き合うように設けられる。このような各フレーム21A;21B;23A;23B;25が図外の固定手段により互いの位置が固定されることにより、枠体20には後述の風力低減パネル30を収容可能な上下段の開口部27が形成される。なお、開口部27の数はこれに限られるものではない。
【0012】
このような構成の枠体20は、隣接する枠体20の縦フレーム21Aの開口と、縦フレーム21Bの開口とが幅方向に逆向きとなるように、近接させて設けられる。なお、隣接する枠体20において隣接する縦フレーム21Aと、縦フレーム21Bとを一体化させるべく、断面コ字状の部材に代えて断面H字状の部材を用いて隣接する縦フレーム21Aと、縦フレーム21Bとを共通化させても良い。このように構成することにより、縦フレームの数量を減らすことができるため、設置に要する工数を減らしてコストを低下させることができ、隣接する風力低減装置1の間に生じる不要な隙間をなくすことができる。
【0013】
以下、風力低減パネル30の構造について説明する。
図2(a)は、開口部27内に収容される風力低減パネル30の全体斜視図であり、
図2(b)は、風力低減パネル30の要部断面図である。なお、以下の説明では、枠体20に形成された上段の開口部27に収容される風力低減パネル30を例にして説明する。風力低減パネル30の素材は、特に限定されないが、想定される風力を受けたときの変形が小さく、軽量なものが好ましく、例えば、樹脂、アルミなどの軽金属等が好適である。
【0014】
図2(a)に示すように、風力低減パネル30は、幅方向に対向する一対の支持部31A;31Bと、当該支持部31A;31B間に渡って延長し、支持部31A;31Bの上下方向に沿って配列される複数のパネル部材40とを備える。
図1にも示すとおり、風力低減パネル30は、支持部31A;31Bを上段の開口部27を形成する縦フレーム21A;21Bに対応させて、断面コ字状に形成された縦フレーム21A;21Bの開口部内に挿入された状態で収容される。
【0015】
本実施形態では、
図2(b)に示すように、パネル部材40は、上下方向に所定の間隔(以下、部材間隔という)を有するように配列される。パネル部材40は、端部が支持部31A;31Bに支持されることにより、各パネル部材40の頂部Pが風力低減パネル30の奥行寸法(幅寸法)wの中心を通る仮想中心線L1と一致する(仮想中心線L1上に位置する)。即ち、各パネル部材40が、同一方向を向いて、頂部Pが一直線上に並ぶように上下方向に一列に配列される。ここで、頂部Pは、奥行寸法w内に位置し、ひとつのパネル部材40において最も上方に位置する点である。
【0016】
図3に示すように、パネル部材40は、断面視において山型に形成される。パネル部材40は、山型における頂部Pを境として、当該頂部Pから奥行方向の一方側に向けて下方に傾斜して延長する第1整流部41と、頂部Pから奥行方向の他方側に向けて下方に傾斜して延長する第2整流部43とを備える。第1整流部41及び第2整流部43は、それぞれ頂部Pを基準として、互いに逆向きに延長するとともに、同一方向(下方向)に所定の角度で傾斜する。第1整流部41及び第2整流部43は、それぞれ厚みtが均一かつ同一に設定されている。厚みtとは、第1整流部41の上面41aと下面41bの間の最短寸法及び第2整流部43の上面43aと下面43bとの間の最短寸法をいう。このようなパネル部材40は、例えば、厚みtが均一なアルミ板などの板材を折り曲げた板金加工等により形成される。なお、パネル部材40の素材は、アルミ板などに限定されず、適宜要求される強度に応じて選択すればよい。また、加工方法も素材に応じた好適な方法により形成すれば良い。
【0017】
第1整流部41の下端部41Aと第2整流部43の下端部43Aとを結ぶ仮想線L2に対する第1整流部41の角度θ1、及び第2整流部43の角度θ2は、本実施形態では同一に設定される。角度θ1及び角度θ2は、同一の角度に限定されないが、一般に風の向きが定まらないことを考慮した場合、頂部Pを挟んで対称形状とすることで、汎用化した製品とすることができ、風の方向が定まらない場所であっても風力低減パネルの効果を得ることができる。なお、以下の説明では、角度θ1及び角度θ2を単に角度θという。上述の角度θ、厚みtは、後述の風力係数(風方向風力係数)Cfx及び風速比Vrに応じて設定される。
【0018】
ここで、風力係数Cfxとは、風力低減パネル30の風方向に作用する力を示し、数値が大きいほど風方向に大きな力が風力低減パネル30に作用していることを示している。風速比Vrは、風力低減パネル30の風下側の端部から風方向に所定距離離れた位置における流入風速に対する風速の比であり、風力低減パネル30によりどの程度風が低減されたかを示し、数値が小さいほど風が低減されたことを意味する。
【0019】
図2(b)に示すように、上下に隣り合うパネル部材40;40は、下方に位置するパネル部材40の頂部Pの位置が、上方に位置するパネル部材40の第1整流部41及び第2整流部43の延長端としての下端部41A;43Aを結ぶ仮想線L2の位置よりも所定距離下に位置するように配置される。この仮想線L2と、仮想線L2と平行な頂部Pを通る仮想線L3との最短距離を部材間隔Lという。
【0020】
そして、パネル部材40は、支持部31A;31Bの上下方向に沿って配列されると、上下に隣り合うパネル部材40の第1整流部41同士、及び第2整流部43同士は平行となり、上下に隣り合うパネル部材40;40間には、上側のパネル部材の下面41b;43bと下側のパネル部材の上面41a;43aとの間に、路外側(上流側)から走行路側(下流側)へと、間隔が一定な通風路Rが形成される。また、通風路Rには、上述のように部材間隔Lが設定されるため、奥行方向に路外側から走行路側に直線的に貫通する直線流路Xが形成される。直線流路Xの幅は、ちょうど部材間隔Lに一致する。そして、路外側から風力低減パネル30に吹き付ける風は、複数のパネル部材40によって形成される複数の通風路Rを経由して走行路側に吹き抜けることになる。
【0021】
以下、本実施形態に係る風力低減パネル30の設計方法について説明する。
図3に示すように、パネル部材40の形状が定義される。wはパネル部材40の幅[mm]、tはパネル部材40の厚み[mm]、θはパネル部材40の角度[°]、hはパネル部材40の高さ[mm]をそれぞれ示している。パネル部材40の高さhは、パネル部材40の幅w、厚みt及び角度θを用いた式、h=(w/2)tanθ+t/cosθにより算出される。なお、ここで言う厚みtとは、単にパネル部材40を形成する素材そのものの厚みを意味するものではなく、パネル部材40の断面形状における厚みを意味する。例えば、
図4(a)に示すように、厚みtを厚く設定する場合には、板厚の厚いものや、
図4(b)に示すように、板厚の薄い素材により中空形状で形成しても良い。パネル部材40が中空形状に形成した場合には、厚みtは、その断面形状の厚み、即ち、第1整流部41の上面41aから下面41bまでの最短の長さ寸法、第2整流部43の上面43aから下面43bまでの最短の長さ寸法をいう。
【0022】
また、部材間隔Lは、L=a×hにより算出される。ここで、aは、パネル部材40同士の間隔を設定するための間隔定数であり、高さhを利用して部材間隔Lを変化させるときの定数である。例えば、部材間隔Lは、同一の角度θにおいて間隔定数aを一定とし、厚みtを変化させた場合に、厚みtの変化に伴い変化するパネル部材40の高さhの増減に応じて増減することになり、風力低減パネル30における開口率が一定に保たれる。ここでいう開口率とは、
図1に示すように風力低減パネル30を正面視したときの単位面積あたりの直線流路Xの占める面積の割合をいう。
この開口率を変化させることで、風力低減パネル30による風速の低減効果や風力低減パネル30に作用する風力の大きさが調整されることになる。以下の説明では、風力低減パネル30の通過前後の風速の低減効果を風速比Vr、風力低減パネル30に作用する風力の大きさを風力係数Cfxという。風力係数Cfxは、風力低減パネル30を風が通過するときの抵抗の大きさを意味するものでもある。
【0023】
以下、上記パネル部材40により形成される風力低減パネル30について説明する。風力低減パネル30は、風力係数Cfxを小さくすることで、風力の作用する大きさを低減することができる。しかし、風力係数Cfxの低減は、所望の風速比Vrを満たしながら実現されるものであり、風速比Vr及び風力係数Cfxが相互に関係する。例えば、風速比Vrが一定となるように、部材間隔Lと高さhを変化させたとしても必ずしも風力係数Cfxも一定であるとは限らない。
【0024】
そこで、まず、本実施形態に係る断面視山型のパネル部材40を用いた場合と、従来の断面視矩形のパネル部材を用いた場合との風力係数Cfx、風速比Vr500;Vr1000に及ぼす影響を調べるため、コンピュータによるシミュレーション、所謂数値実験により比較実験を行った。なお、
図5に示すように、風速比Vr500は、風力低減パネル30の風下側の端部から風方向に500mm風下の位置における流入風速に対する風速の比、風速比Vr1000は、風力低減パネル30の風下側の端部から風方向に1000mm風下の位置における流入風速に対する風速の比である。
【0025】
図6に比較実験に用いたパネル部材の断面形状を示す。
図6(a)は、本実施形態に係る山型のパネル部材40(以下、山型パネルという)、
図6(b)は、
図6(a)に示す山型の形状に外接する長方形状としたパネル部材(以下、比較パネルAという)、
図6(c)は、
図6(a)に示す山型の形状のうち、奥行方向に垂直に立ち上がる垂直面41c;43cを結ぶ範囲の長方形状としたパネル部材(以下、比較パネルBという)の断面形状をそれぞれ示している。
【0026】
また、
図7は、山型パネル、比較パネルA、Bの寸法、風力低減パネル30の構成条件、及び、風力係数Cfx及び風速比Vrの結果を纏めた表である。同表において実施例1は山型パネル、比較例1は比較パネルA、比較例2は比較パネルBにより風力低減パネルを構成したときに対応する。なお、実験による結果、風速比Vr500及びVr1000が同様の数値を示したことから、
図7に示す表において示す風速比Vrは、実験により得られた風速比Vr500及びVr1000の平均値とした。また、以降に示す実験結果においても比較実験と同様に、風速比Vrについては風速比Vr500及びVr1000の平均値とした。
【0027】
以下、
図7の表に基づいて、山型パネル、比較パネルA、Bを用いた場合の性能の違いについて説明する。実施例1、比較例1,2は、幅w、間隔定数a、充実率が等しく、形状の違いを示したものである。ここで、充実率とは、風力低減パネルを平面視したときの単位面積当たりに占めるパネル(山型パネル、比較パネルA、B)の(投影)面積の割合をいう。
比較例1,2に示すように、同じ充実率であっても矩形状の高さhの寸法の違いによっても風力係数Cfx及び風速比Vrが異なり、比較例1よりも高さhの低い比較例2の方が、風力係数Cfx及び風速比Vr共に優れていることが分かる。
また、実施例1は、比較例2よりも高さhが高いにも関わらず、比較例2よりも風力係数Cfxに優れていることが分かった。
【0028】
したがって、本願発明に係る山型パネルを用いて風力低減パネルを構成することにより、高さhの同じ従来の矩形状の比較パネルAよりも風力係数Cfxに優れることが分かった。また、山型パネルは、同じ充実率となるように高さhの低い比較パネルBにより風力低減パネルを構成したときに比べて、風力係数Cfxに優れるとともに、使用するパネルの枚数を大きく減らすことができることが分かった。
【0029】
次に、パネル部材40における角度θを変化させたときの風力係数Cfx、風速比Vr500;Vr1000に及ぼす影響について上記比較実験と同様にシミュレーションにより調べた。なお、部材間隔Lを0、パネル部材40の幅wを70mm、厚みtを1mmの一定とした。その結果を
図8に示す。
【0030】
風速比Vrは、
図8(a)の表及び(c)のグラフに示すように、パネル部材40の角度θを10°から50°に変化させた範囲において、若干の上下の変動はあるものの、0.75を下回る範囲でほぼ横ばいとなる結果が得られた。
【0031】
一方、風力係数Cfxは、パネル部材40の角度θを40°以下とすることで、0.75以下となることが分かった。即ち、
図8(a)の表に基づけば、10°以上40°以下の範囲で設定することにより、風力係数Cfx及び風速比Vrのいずれも0.75を下回り、パネル部材40として有効な形状であると言える。このように、風力係数Cfxが25%減少(風力係数Cfxが0.75以下)するように、厚さt及び間隔定数aを設定することにより、4本の部材が必要であったところを1本少なくしたり、同じ設置強度で高さを4/3倍高くして風力低減パネルの影響範囲を広げたりすることができる。また、パネル部材40の背後の物体に作用する風力は、風速の2乗に比例するため、上述のように 風速比Vr が25%減少するということは、パネルを設置しない場合に比べて物体に作用する風力がほぼ半減することになる。したがって、風速比Vrの低減が25%であっても、風の影響を十分に低減する効果が得られ、例えば、走行する車両の横転や歩行者の転倒を防止することができる。
また、風力係数Cfxは、
図8(a)の表、(b)のグラフに示すように、パネル部材40の角度θを10°から20°に変化させたときに減少し、20°から50°へと変化させたときに単調に線形的に増加する結果となった。
【0032】
そこで、変化の見られた風力係数Cfxに着目し、風力係数Cfxが最も小さくなった角度θが20°のときと、単調に増加する20°と50°の中間の35°のときについて、部材間隔Lや高さhを変化させて風力係数Cfx及び風速比Vrの関係について調べた。なお、部材間隔L及び高さhは、間隔定数a及び厚みtをパラメータとして変化させた。
【0033】
図9(a)は、パネル部材40の角度θを20°に設定し、厚みt及び間隔定数aを変化させたときの風力係数Cfxの等値線を示し、
図9(b)は、風速比Vrの等値線を示している。なお、
図9(a)には、風力係数Cfxが0.5、0.6、0.7、0.75のときの等値線についての近似線を示し、各近似線の式を付表に纏めて示した。また、
図9(b)には、風速比Vrが0.65、0.7、0.75のときの等値線についての近似線を示し、各近似線の式を付表に纏めて示した。風力係数Cfx及び風速比Vrを示す各近似線は、対応する等値線に基づいて、最小二乗法により求めた。なお、以下の説明における近似線も同様に処理をした。
【0034】
図9(a)に示すように、風力係数Cfxは、扇状の曲線的な等値線が分布している。したがって、風力係数Cfxに着目した場合、設計上の目標値となる風力係数Cfxをあらかじめ設定した上で、同図に示すような、等値線に基づいて風力低減パネル30における間隔定数a及びパネル部材40の厚みtを設定すれば良いことが分かる。
【0035】
一方、
図9(b)に示すように、風速比Vrは、直線的な等値線が分布し、各等値線には厚みt及び間隔定数aの関係において変化が生じる変化点Qが見られる。風速比Vrは、間隔定数aが、変化点Qよりも小さい場合には厚みtの変化が小さく、大きい場合には厚みtの変化が大きくなる結果となった。例えば、風速比Vrを0.7以下にすると、風力低減パネル30の背後の物体に作用する風力は、パネルを設置しない場合に比べて半分以下に減少することができる。
【0036】
図10(a)は、パネル部材40の角度θを35°に設定し、間隔定数a及び厚みtを変化させたときの風力係数Cfxの等値線を示し、
図10(b)は、風速比Vrの等値線を示している。なお、
図10(a)には、風力係数Cfxが0.6、0.7、0.75、0.8のときの等値線についての近似線を示し、各近似線の式を付表に纏めて示した。また、
図10(b)には、風速比Vrが0.65、0.7、0.75のときの等値線についての近似線を示し、各近似線の式を付表に纏めて示した。
【0037】
角度θを35°とした場合、
図10(a)に示すように、風力係数Cfxは、角度θが20°のときと同様な、扇状の曲線的な等値線が分布している。したがって、風力係数Cfxに着目した場合、設計上の目標値となる風力係数Cfxをあらかじめ設定した上で、同図に示すような、等値線に基づいて風力低減パネル30における間隔定数a及びパネル部材40の厚みtを設定すれば良いことが分かる。
【0038】
一方、
図10(b)に示すように、風速比Vrは、角度20°のときと同様に、直線的な等値線が分布し、各等値線には厚みt及び間隔定数aの関係において変化が生じる変化点Qが見られる。例えば、風速比Vrが0.7の近似線では、変化点Qが2箇所見られる。ここで、風速比Vrが0.7の近似線の変化点Qをq1、q2とした場合、変化点q1を挟んで間隔定数aが変化点q1よりも小さい場合には、ほぼ厚みtが変化しない。また、間隔定数aが、変化点q1と変化点q2の間では、間隔定数aの増加分と同様な増加分で厚みtが変化する。また、間隔定数aが、変化点q2より大きい場合には、少しの増加によって厚みtが大きく変化する結果となった。
【0039】
図11は、
図9及び
図10に示す風力係数Cfx及び風速比Vrの関係を角度θ毎に纏めたグラフである。
図11(a)に示すように、角度θが20°では、風力係数Cfxが大きいほど間隔定数aの変化に対して厚みtの変化が大きくなる。風速比Vrは、変化点Qより間隔定数aが小さい時の間隔定数aに対する厚みtの変化、及び、間隔定数aが大きい時の間隔定数aの変化に対する厚みtの変化はほぼ一定である。
【0040】
また、
図11(b)に示すように、角度θが35°では、風力係数Cfxによらず間隔定数aの変化に対して厚みtの変化がほぼ同じである。風速比Vrは、変化点Qより間隔定数aが小さい時の間隔定数aに対する厚みtの変化と、間隔定数aが大きい時の間隔定数aの変化に対する厚みtの変化はほぼ一定である。
【0041】
次に、角度θの違いについて検討する。
図11(a),(b)から明らかなように、角度θが20°から35°へと大きくなることで、同じ間隔定数aの範囲及び同じ厚みtの範囲において、風力係数Cfxの値が急激に大きくなっている。例えば、パネル部材40の角度θが20°の場合において、風速比Vrが0.65の等値線には、風力係数Cfxが0.7、0.75の等値線が交差している。一方、角度θが35°の場合において、風速比Vrが0.65の等値線には、風力係数Cfxが0.9、1.0の等値線が交差している。したがって、風力係数Cfxを小さくするには、パネル部材40の角度θを小さくするほうが有利であると言える。
【0042】
また、
図11(a)によれば、風力低減パネル30に要求される風速比Vrの等値線と風力係数Cfxの等値線とが交差するときの間隔定数a及び厚みtとなるように、部材間隔Lを設定することが最も効率が良いと言える。しかし、要求される風速比Vr及び風力係数Cfxの組み合わせによっては、風速比Vrの等値線と風力係数Cfxの等値線とが交差するとは限らないため、この場合には、所望の風速比Vrの等値線に対して風力係数Cfxが最も小さくなる間隔定数a及び厚みtの組み合わせを設定すれば良い。
【0043】
実際に風力低減パネル30を設置する場合には、風速比Vrが0.75以下、風力係数Cfxが0.75以下となる性能が求められる。そうすると、
図11(a)に示すように、パネル部材40の角度θが20°のときは、
図11(a)の太線u1で示す範囲から間隔定数a及び厚みtを設定することが現実的と言える。即ち、
図9(a)の付表に示す風力係数Cfxが0.75のときの近似線を示す関数t=7.05×e
1.12×aと、
図9(b)の付表に示す風速比Vrが0.75のときの近似線を示す関数t=6.0×a-1.5(a<1.5)及び関数t=112.5×a-161.25(1.5≦a)と、間隔定数aの下限値を示す関数a=0.5とで囲まれる範囲内から間隔定数a及び厚みtを設定し、設定された間隔定数a及び厚みtに基づいて部材間隔Lを設定すれば良い。なお、
図11(a)では、厚みtを30mmまでしか示していないが、関数7.05×e
1.12×a(風力係数Cfxが0.75の近似線)及び関数t=112.5×a-161.25(1.5≦a)(風速比Vrが0.75の近似線)は、間隔定数aが2.07、厚みtが71.6mmのときに交差する。このように、風力係数Cfxが25%減少(風力係数Cfxが0.75以下)するように、厚さt及び間隔定数aを設定することにより、4本の部材が必要であったところを1本少なくしたり、同じ設置強度で高さを4/3倍高くして風力低減パネルの影響範囲を広げたりすることができる。また、パネル部材40の背後の物体に作用する風力は、風速の2乗に比例するため、上述のように 風速比Vr が25%減少するということは、風力低減パネル30を設置しない場合に比べて物体に作用する風力がほぼ半減することになる。
【0044】
好ましくは、
図11(a)の太線u2で示す範囲から間隔定数a及び厚みtを設定すると良い。
即ち、
図9(a)の付表に示す風力係数Cfxが0.7のときの近似線を示す関数t=6.80×e
0.98×aと、
図9(b)の付表に示す風速比Vrが0.7のときの近似線を示す関数t=6.92×a+1.54(a<1.15)及び関数t=82.00×a-84.80(1.15≦a)と、間隔定数aの下限値を示す関数a=0.5とで囲まれる範囲内から間隔定数a及び厚みtを設定し、設定された間隔定数a及び厚みtに基づいて部材間隔Lを設定すれば良い。
【0045】
より好ましくは、
図11(a)の太線u3で示す範囲から間隔定数a及び厚みtを設定すると良い。 即ち、
図9(a)の付表に示す風力係数Cfxが0.6のときの近似線を示す関数t=5.30×e
0.84×aと、
図9(b)の付表に示す風速比Vrが0.70のときの近似線を示す関数t=6.92×a+1.54(a<1.15)及び関数t=82.00×a-84.80(1.15≦a)と、間隔定数aの下限値を示す関数a=0.5とで囲まれる範囲内から間隔定数a及び厚みtを設定し、設定された間隔定数a及び厚みtに基づいて部材間隔Lを設定すれば良い。
【0046】
また、
図11(b)に示すように、パネル部材40の角度θが35°のときは、
図11(b)の太線u4で示す範囲から間隔定数a及び厚みtを設定することが現実的と言える。即ち、
図10(a)の付表に示す風力係数Cfxが0.75のときの近似線を示す関数t=2.5×e
0.87×a(a≦1.2)及び関数t=1.17×e
1.49×a(1.2<a)と、
図10(b)の付表に示す風速比Vrが0.75のときの近似線を示す関数t=13.10a-17.82(a<1.65)及び関数t=238.18a-389.20(1.65≦a)と、厚みtの下限値を示す関数t=1と、間隔定数aの下限値を示す関数a=0.5とで囲まれる範囲内から間隔定数a及び厚みtを設定し、設定された間隔定数a及び厚みtに基づいて部材間隔Lを設定すれば良い。
【0047】
好ましくは、
図11(b)の太線u5や太線u6で示す範囲から間隔定数a及び厚みtを設定すると良い。
即ち、太線u5に示すように、
図10(a)の付表に示す風力係数Cfxが0.70のときの近似線を示す関数t=0.89×e
1.43×aと、
図10(b)の付表に示す風速比Vrが0.75のときの近似線を示す関数t=13.10a-17.82(a<1.65)及び関数t=238.18a-389.20(1.65≦a)と、厚みtの下限値を示す関数t=1と、間隔定数aの下限値を示す関数a=0.5とで囲まれる範囲内から間隔定数a及び厚みtを設定し、設定された間隔定数a及び厚みtに基づいて部材間隔Lを設定すれば良い。
或は、太線u6に示すように、
図10(a)の付表に示す風力係数Cfxが0.75のときの近似線を示す関数t=2.5×e
0.87×a(a≦1.2)及び関数t=1.17×e
1.49×a(1.2<a)と、
図10(b)の付表に示す風速比Vrが0.7のときの近似線を示す関数t=1.64×a+2.28(a<1.05)、関数t=13.00×a-9.61(1.05≦a<1.32)、関数t=225.00×a-289.50(1.32≦a)と、間隔定数aの下限値を示す関数a=0.5とで囲まれる範囲内から間隔定数a及び厚みtを設定し、設定された間隔定数a及び厚みtに基づいて部材間隔Lを設定すれば良い。
【0048】
また、
図11(a),(b)の結果、及び
図8に示す結果を踏まえると、角度θが20°よりも大きく35°よりも小さい範囲においても、風力係数Cfxが0.75以下の近似線や風速比Vrが0.75以下の近似線により囲まれる範囲があることは明らかである。
【0049】
したがって、上述したように、シミュレーション等の実験により間隔定数a及び厚みtを変化させて、間隔定数a及び厚みtをパラメータとする風速比Vr及び風力係数Cfxの等値線のグラフを作成し、所望の範囲を形成する風速比Vr及び風力係数Cfxの等値線の近似線をそれぞれ算出し、この近似線で囲まれた範囲から間隔定数a及び厚みtを絞りこむことで、風力低減パネル30に必要とされる風速比Vr及び風力係数Cfxの性能を満たしつつ低コスト化することができる。なお、上記実施形態では、風力係数Cfx及び風速比Vrの近似線を、対応する等値線に基づいて、最小二乗法により求めたが、これに限定されず、他の回帰線を求める方法を採用しても良い。
【0050】
また、パネル部材40の角度θの設定では、風力低減パネル30にかかる奥行方向の力を小さくする場合には風力係数Cfxが小さくなるように角度θを小さく設定することが好ましく、風速比Vrを小さくするためには角度θを大きく設定すれば良いことが分かる。
【0051】
また、角度θ及び幅wを一定とした場合、風力係数Cfxについては、パネル部材40の厚みtを厚くしつつ間隔定数aを大きくすることにより、風力係数Cfxを一定に維持することができるといえ、風速比Vrについては、パネル部材40の厚みtを厚くしつつ間隔定数aを大きくすることにより、風速比Vrを一定に維持することができる。したがって、厚さt、間隔定数a等をパラメータとして設定することにより、風力係数Cfx、風速比Vr及びコストを満たすことができることが分かった。
【0052】
上述のように風力低減パネル30を構成することにより、風力低減パネル30に作用する風力が、平板に比べて低減(例えば半減)でき、強風に対する安全性能が向上するとともに、防風柵と同等の性能を有する風力低減パネルの製作・設置コスト(パネル設置のための骨組みを含む)の上昇を抑えることができる。
【0053】
図12及び
図13は、パネル部材40の他の断面形状を示す図である。
図12に示すパネル部材40は、
図6(a)に示したパネル部材40の断面視における角部を丸く形成したものである。また、
図13に示すパネル部材40は、
図6(a)に示したパネル部材40の下面に所定範囲の開口を設けたものである。
図14は、
図12に示した断面形状のパネル部材40(以下、角丸パネルという)と、
図6(a)に示した断面形状のパネル部材40(以下、
図7の表の説明と同様に山型パネルという)との風力係数Cfx及び風速比Vrとを比較した結果を纏めた表である。実施例1が山型パネル、実施例2が角丸パネルで風力低減パネル30を構成したときをそれぞれ示している。
【0054】
図14の表に示すように、実施例2は、実施例1に比べて、風力係数Cfxが小さくなる一方で、風速比Vrはやや上昇する結果となった。
したがって、実施例1の山型パネルに代えて角丸パネルを採用することにより、風力係数Cfxを小さくすることができる。
【0055】
図15は、
図6(a)に示した断面形状のパネル部材40(以下、
図7の表の説明と同様に山型パネルという)、
図13に示した断面形状のパネル部材40(以下、下開口パネルという)、
図12に示した断面形状のパネル部材40(以下、角丸パネルという)のそれぞれにより風力低減パネルを形成したときに、断面形状の違いによる風力係数Cfx及び風速比Vrへの影響を調べた結果を纏めた表である。
図15の表において、実施例3,6が山型パネル、実施例4,7が下開口パネル、実施例5,8が角丸パネルのときを示している。実施例3,4,5と、実施例6,7,8とは、充実率を一定とし、基本となる山型パネルの厚みtを15mmから10mmに変えたときの厚みtの影響を調べたものである。
実施例3,4及び実施例6,7に示すように、山型パネルの下面に開口部を設けても、風力係数Cfx及び風速比Vrに大きな変化は見られなかった。一方、実施例5,8に示す角丸パネルは、それぞれの場合において、実施例3,4及び実施例6,7よりも風力係数Cfxが小さく、風速比Vrがやや大きくなった。
【0056】
したがって、パネル部材40の断面形状は、
図3,4,6等に示す山型のパネル部材40に基づいて設定された間隔定数aや厚みtに基づいて、山型のパネル部材40の下面側に開口部を設けたり、山型のパネル部材40の断面視における頂部を角丸としても風速比Vr及び風力係数Cfxに同様の効果を得ることができる。
【0057】
なお、上記実施形態では、複数のパネル部材40の配列方向を奥行き方向と直交する上下方向として説明したが、これに限定されず、例えば複数のパネル部材40を幅方向に配列しても良く、また、パネル部材40の向きを上下逆にして上下方向に配列しても良い。
【0058】
上記実施形態によれば、パネル部材40の第1整流部41及び第2整流部43の傾斜角度θを20°或いは35°に設定したときに、間隔定数a及び厚みtを変数とする関数で囲まれる範囲から間隔定数a及び厚みtの組み合わせることにより、少なくとも風力係数Cfx及び風速比Vrを25%低減できるパネル部材40の部材間隔Lが設定できることが示された。流体力学的な性質からすれば、パネル部材40の第1整流部41及び第2整流部43の角度θを20°<θ<35°の範囲から選択した場合であっても、角度θが20°及び35°のときと同様に、風力係数Cfx及び風速比Vrを少なくとも25%低減させるための範囲が存在することは明らかである。このような観点からすれば、角度θは20°以上35°以下の範囲で設定しても所定の性能が得られる。
【0059】
また、本発明の技術的範囲は上記実施形態に何ら限定されることはなく、実施形態を組み合わせて多様な変更、改良を行い得ることが当業者において明らかである。また、そのような多様な変更、改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0060】
1 風力低減装置、20 枠体、21A;21B 縦フレーム、
23A;23B 横フレーム、27 開口部、30 風力低減パネル、
31A;31B 支持部、40 パネル部材、41 第1整流部、43 第2整流部、
a 間隔定数、Cfx 風方向風力係数(風力係数)、h 高さ、L 部材間隔、
L1 仮想中心線、L2 仮想線、P 頂部、R 通風路、t 厚み、Vr 風速比、
w 幅、X 直線流路、θ;θ1;θ2 角度。