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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】型枠、基礎、及び基礎の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/01 20060101AFI20221114BHJP
【FI】
E02D27/01 D
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018146436
(22)【出願日】2018-08-03
(65)【公開番号】P2020020218
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2020-08-12
(73)【特許権者】
【識別番号】591205536
【氏名又は名称】JFEシビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 洋平
(72)【発明者】
【氏名】亀田 哲二郎
【審査官】坪内 優佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-238035(JP,A)
【文献】特開2002-242430(JP,A)
【文献】特開平07-082753(JP,A)
【文献】特開2014-227656(JP,A)
【文献】特開2016-188487(JP,A)
【文献】特開平05-239835(JP,A)
【文献】特開平09-060001(JP,A)
【文献】特開2014-173349(JP,A)
【文献】特開平02-236316(JP,A)
【文献】特開平08-081965(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0093824(US,A1)
【文献】特開平06-212643(JP,A)
【文献】特開2002-047660(JP,A)
【文献】特開平11-043952(JP,A)
【文献】西独国特許出願公開第03121418(DE,A1)
【文献】特開平04-203024(JP,A)
【文献】特開2000-240285(JP,A)
【文献】特開平03-156031(JP,A)
【文献】特許第2714469(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/00-27/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板材の端部を、板面を重ね合わせて接続して構成された筒状体と、
前記筒状体の開口を形成する一方の端縁のうち2箇所を接続する少なくとも1つの拘束材と、を備え、
前記筒状体は、
地盤に対し当該筒状体の中心軸を立てて配置され、当該筒状体と前記地盤とにより囲まれた充填空間を形成し、
前記拘束材は、
帯状の鋼板の両端部がL字状に折り曲げられて形成され、前記筒状体に固定される固定部を備え、
前記固定部は、
前記筒状体を構成する前記板材の板面に重ねあわされて、固定手段が当該固定部及び前記板材に貫通されて前記筒状体の側面に固定された、型枠。
【請求項2】
前記拘束材は、
前記筒状体の前記地盤側に位置する前記端縁に取り付けられる、請求項1に記載の型枠。
【請求項3】
前記筒状体は、
平面視において複数の円弧形状を備え、
前記拘束材は、
前記複数の円弧形状のうち隣合って位置する2つの円弧形状の間を接続する接続部に取り付けられる、請求項1又は2に記載の型枠。
【請求項4】
前記拘束材は、
平面視において前記筒状体が形成する円弧形状の中心を通るように配置される、請求項1又は2に記載の型枠。
【請求項5】
前記拘束材は、
前記筒状体の前記端縁に複数設置される、請求項1~4の何れか1項に記載の型枠。
【請求項6】
複数の前記拘束材のそれぞれの前記固定部のうち隣合う前記固定部同士を仮想線で繋いで形成される仮想多角形の重心は、
前記筒状体の中心部に位置する、請求項5に記載の型枠。
【請求項7】
前記拘束材の長さは、
前記筒状体を形成する前記板材の長さから前記板材の端部の重ね合わせ部の幅を引いた寸法を周長とする仮想円の直径Dよりも短い、請求項1~6の何れか1項に記載の型枠。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1項に記載の型枠の前記充填空間にコンクリートを充填して形成された、基礎。
【請求項9】
板材の端部同士を板面を重ね合わせて接続して筒状体を形成する工程と、
前記筒状体の開口を形成する一方の端縁のうち2箇所に、帯状の鋼板である拘束材の両端部をL字状に折り曲げて形成された固定部を前記筒状体の側面に取り付ける工程と、
前記拘束材が取り付けられた前記筒状体の前記一方の端縁を地盤側に向けて配置する工程と、
前記筒状体と前記地盤により形成される充填空間にコンクリートを充填する工程と、を備え、
前記固定部を前記筒状体の側面に取り付ける工程は、
前記固定部と前記筒状体の側面とに固定手段を貫通させて固定する、基礎の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の基礎を施工するための型枠の構造に関し、特に薄板を型枠材とした型枠、型枠を用いて形成される基礎、及び基礎の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の基礎を構築する場合には、木材により型枠を形成し、コンクリート充填時の側圧に対抗するために型枠の側面にパイプサポートを設置している。パイプサポートは、型枠の外周面から外側に突出して設置されているため、現場において大きなスペースが必要になる。また、型枠に使用する材料も多く必要となる。
【0003】
このような従来の木材により形成された型枠に対し、パイプサポートを必要としない型枠として、薄板を円筒状に形成した型枠が知られている(例えば、特許文献1)。基礎に曲げモーメントが作用する場合には、基礎の平面形状を長方形に近い形状にするのが合理的である。薄板を円筒状に形成した型枠は、平面視において2つの円筒を組み合わせた形状に形成されることにより、平面視において長方形に近い形状に基礎を形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5866255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている型枠においては、2つの円筒材の各周壁の一部に180°未満の中心角θの範囲で切り欠きにより形成された開口部が設けられている。その開口部を互いに合わせた状態で、2つの円筒材の周壁同士が開口部の両側縁で接続され、接続部を形成している。2つの円筒材の内部空間は、開口部を通して相互に連通している。そして、開口部の両側縁に位置して互いに対向する接続部を連結するテンションバーを備えている。このような型枠においては、開口部にテンションフレームが配置されているため、型枠の内側の空間に配置するアンカーフレーム及び鉄筋を配置する際に作業を阻害するという課題があった。
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、円筒材を複数組み合わせて形成される型枠の構造を簡易にしつつ、型枠の内部に配置される構造物の施工を容易にすることができる型枠、基礎、及び基礎の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る型枠は、板材の端部を、板面を重ね合わせて接続して構成された筒状体と、前記筒状体の開口を形成する一方の端縁のうち2箇所を接続する少なくとも1つの拘束材と、を備え、前記筒状体は、地盤に対し当該筒状体の中心軸を立てて配置され、当該筒状体と前記地盤とにより囲まれた充填空間を形成し、前記拘束材は、帯状の鋼板の両端部がL字状に折り曲げられて形成され、前記筒状体に固定される固定部を備え、前記固定部は、前記筒状を構成する前記板材の板面に重ねあわされて、固定手段が当該固定部及び前記板材に貫通されて前記筒状体の側面に固定されたものである。
【0008】
本発明に係る基礎は、上記の型枠の前記充填空間にコンクリートを充填して形成されたものである。
【0009】
本発明に係る基礎の施工方法は、板材の端部同士を板面を重ね合わせて接続して筒状体を形成する工程と、前記筒状体の開口を形成する一方の端縁のうち2箇所に、帯状の鋼板である拘束材の両端部のL字状に折り曲げて形成された固定部を前記筒状体の側面に取り付ける工程と、前記拘束材が取り付けられた前記筒状体の前記一方の端縁を地盤側に向けて配置する工程と、前記筒状体と前記地盤により形成される充填空間にコンクリートを充填する工程と、を備え、前記固定部を前記筒状体の側面に取り付ける工程は、前記固定部と前記筒状体の側面とに固定手段を貫通させて固定するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る型枠、基礎、及び基礎の施工方法によれば、板材を筒状体にし、その筒状体の端縁の2箇所を接続する拘束材を備えることにより、平面視において型枠を任意の形状にでき、型枠の内部にコンクリートを充填した場合においても拘束材により筒状体の形状を保持することができる。また、筒状体の内部の空間を横断する部材が無いため、型枠内部に設置されるアンカーフレームや鉄筋などの構造の設置作業が効率化する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係る型枠の斜視図である。
図2図1の型枠の平面図である。
図3図1の型枠の内側の空間にコンクリートを充填した状態の斜視図である。
図4】実施の形態2に係る型枠の斜視図である。
図5図4の型枠の平面図である。
図6】実施の形態2に係る型枠の変形例である型枠の平面図である。
図7】実施の形態3に係る型枠の平面図である。
図8】実施の形態3に係る型枠の変形例である型枠の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。各図において、同一の符号を付した部位については、同一の又はこれに相当する部位を表すものであって、これは明細書の全文において共通している。また、明細書全文に表れている構成要素の形態は、あくまで例示であって、本発明は明細書内の記載のみに限定されるものではない。特に構成要素の組み合わせは、各実施の形態における組み合わせのみに限定するものではなく、他の実施の形態に記載した構成要素を別の実施の形態に適用することができる。さらに、添字で区別等している複数の同種の部位について、特に区別したり、特定したりする必要がない場合には、添字を省略して記載する場合がある。また、図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0013】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る型枠10の斜視図である。図2は、図1の型枠10の平面図である。図2においては、筒状体11の内部の空間14に配置されているアンカーフレーム50及び鉄筋51を省略して表示している。実施の形態1に係る型枠10は、建築物の基礎に用いられるものである。基礎は、例えば、地盤80の上に形成される直接基礎である。型枠10は、1枚の薄い鋼板の端部同士を接続して筒状体11を形成し、地盤80上に配置したものである。筒状体11を形成する鋼板は、例えば0.6mmの厚さで形成されている。筒状体11の内側の空間14には、地盤80上に設置されたアンカーフレーム50及び鉄筋51が配置されている。実施の形態1においては、筒状体11は、円筒形状に形成されている。
【0014】
筒状体11は、地盤80側の端縁13に拘束材20が取り付けられている。拘束材20は、薄い帯状の鋼材であり、例えば0.6mmの厚さで形成されている。拘束材20は、筒状体11の地盤80側を向いた端縁13の2箇所を接続するものである。実施の形態1においては、筒状体11の地盤80側を向いた端縁13に2つの拘束材20が固定されている。拘束材20の両端部には固定部21a、21bが設けられている。拘束材20と筒状体11の端縁13とは、例えばブラインドリベット22で固定されている。固定部21a、21bは、ブラインドリベット22が貫通しており、筒状体11の端縁13と一体となっている。なお、拘束材20と筒状体11との固定は、ブラインドリベット22のみに限定されるものではなく、ビスやその他の固定手段であってもよい。
【0015】
型枠10に取り付けられた2つの拘束材20は、互いに交差するように取り付けられている。また、2つの拘束材20のそれぞれの固定部21a、21bは、筒状体11の外周においてほぼ均等に配置されている。なお、実施の形態1においては、筒状体11に取り付けられた拘束材20は2本であるが、更に多くの拘束材20が取り付けられていてもよい。固定部21a、21bは、筒状体11の側面に接して固定されている。拘束材20は、筒状体11の端縁13を下方から覆う様にして配置されており、拘束材20の端部は、筒状体11の端縁13よりも筒状体11の軸方向の外側に位置している。
【0016】
次に、図1及び図2に示される型枠10を用いて形成される基礎100の施工方法について説明する。まず、型枠10の筒状体11は、1枚の帯状の鋼板の端部15同士を接続し、筒状にして形成される。この工程を筒状体形成工程と呼ぶ。帯状の鋼板は、端部15同士を板面を平行にして重ね合わされて、例えばブラインドリベット22により一体に接続される。なお、帯状の鋼板の端部15同士の接続は、ブラインドリベット22に限定されず、例えばビスやその他の固定手段であってもよい。また、筒状体11を形成する帯状の鋼板は、複数枚であってもよい。2枚以上の鋼板により筒状体11を形成する場合は、筒状体11の外周面に複数の連結部16が形成される。
【0017】
筒状体11が形成された後は、筒状体11の一方の端縁13に拘束材20を取り付ける。この工程を拘束材取り付け工程と呼ぶ。拘束材20は、帯状の鋼板であり、端部がL字形に直角に曲げられている。拘束材20の端部においてL字状に折り曲げられて形成された固定部21a、21bは、筒状体11の外周面に沿って配置され、固定部21a、21bの板面および筒状体11の外周面にブラインドリベット22を貫通させて固定される。実施の形態1においては、固定部21a、21bは、筒状体11の中心に対し対称な位置に配置されている。
【0018】
拘束材20が筒状体11に取り付けられた後は、筒状体11は、拘束材20が取り付けられた端縁13を地盤80側に向けて地盤80の上に配置される。この工程を筒状体配置工程と呼ぶ。筒状体11は、例えば捨てコンクリートを打設した地盤80上に中心軸を立てて配置される。拘束材20は、帯状に形成されているため地盤80に沿うように配置され、筒状体11の地盤80側の端縁13と地盤80との間の隙間の大きさを抑えることができる。
【0019】
筒状体11が地盤80上に配置された後は、筒状体11の内側の空間14にアンカーフレーム50及び鉄筋51が設置される。この工程を内部構造設置工程と呼ぶ。実施の形態1においてアンカーフレーム50は、筒状体11の平面視において中央部に設置される。また、鉄筋51も、筒状体11の内側の空間14内に配置される。鉄筋51は、コンクリートブロックの上に載置される等の手段により所定の位置に配置される。
【0020】
図3は、図1の型枠10の内側の空間14にコンクリート60を充填した状態の斜視図である。アンカーフレーム50及び鉄筋51が配置された後は、型枠10と地盤80とに囲まれた空間14にコンクリートが充填される。この工程を打設工程と呼ぶ。コンクリート60は、型枠10の端縁12側から流し込まれ、表面が平坦になるようにならしながら打設される。コンクリート60が凝結した後は、型枠10を基礎100の外周にそのままの状態で使用することができる。このように、型枠10を埋め殺しにすることにより型枠10の解体作業を不要にすることができ、工期を短縮することができる。
【0021】
実施の形態1に係る型枠10によれば、板材で構成された筒状体11と、筒状体11の一方の端縁13のうち2箇所を接続する少なくとも1つの拘束材20と、を備える。筒状体11は、地盤80に対し当該筒状体11の中心軸を立てて配置され、筒状体11と地盤80とにより形成された充填空間14を形成する。
この構成により、型枠10は、筒状体11の外側に形状を保持するための構造を必要とせずに基礎100を形成することができる。また、筒状体11は、端縁13の筒状体11外側への変位が拘束されるため、筒状体11の内側の空間14にコンクリート60が充填された後においても型枠10の形状が安定する。
【0022】
また、拘束材20は、筒状体11の地盤80側に位置する端縁13に取り付けられる。
この構成により、特に端縁13が外側に変位するのを抑制することができるため、コンクリート60が空間14に充填された際に最も圧力が掛かる型枠10の地盤80側の端縁13の形状が安定し、コンクリート60が凝結するまでの型枠10の形状を保持することができる。そのため、型枠10を用いて形成された基礎100の精度が安定する。
【0023】
また、拘束材20は、筒状体11の端縁13に複数設置される。
この構成により、筒状体11と地盤80とにより囲まれる空間14に充填されるコンクリート60の量が多く、型枠10に大きな圧力が掛かる場合においても型枠10の形状を保持することができる。
【0024】
また、拘束材20は、帯状の鋼板で形成される。
この構成により、筒状体11の地盤80側の端縁13に拘束材20が取り付けられていても、筒状体11の端縁13と地盤80との間の隙間を最小限に抑えることができる。そのため、筒状体11の内側にコンクリート60を充填した際に、コンクリート60の漏れを抑えることができる。また、拘束材20が薄くても拘束材20の長手方向に引っ張られる力に対しては十分な強度を持っているため、筒状体11の変形を抑えつつ、型枠10の施工の際の作業者の負担も抑えることができる。
【0025】
実施の形態2.
次に実施の形態2に係る型枠210及び基礎200について説明する。実施の形態2に係る型枠210は、実施の形態1に係る型枠10の形状を変更したものである。実施の形態2では、実施の形態1に対する変更点を中心に説明する。実施の形態2に係る型枠210及び基礎200の各部については、各図面において同一の機能を有するものは実施の形態1の説明で使用した図面と同一の符号を付して表示するものとする。
【0026】
図4は、実施の形態2に係る型枠210の斜視図である。図4の型枠210は、実施の形態1と同様に1枚の薄い鋼板の端部15同士を接続して筒状体211を形成し、地盤80上に配置したものである。筒状体211の内側の空間214には、アンカーフレーム50及び鉄筋51が配置されている。
【0027】
図5は、図4の型枠210の平面図である。型枠210は、平面視において中央部がくびれており、そのくびれた部分に拘束材20が取り付けられている。1枚の薄い鋼板の端部15同士を接続し、地盤80上に中心軸を立てて置いた場合、筒状体211は略円筒形になる。しかし、実施の形態2においては、筒状体211に拘束材20を付けない状態の略円筒形状の直径よりも短い拘束材20を地盤80側に位置する端縁13に取り付けることにより、図4及び図5に示される様なくびれた形状の筒状体211が形成される。つまり、筒状体211を形成する薄い鋼板の長手方向の長さを長さlとし、連結部16として重ね合わされる部分の幅を幅wとしたときに、拘束材20の長さLは、「l-w」の周長を持つ円の直径Dよりも小さい。
【0028】
拘束材20の一方の固定部21aは、筒状体211の端縁13の一部に固定され、他方の固定部21bは、固定部21aと共に筒状体211の端縁13が形成する円弧の周長を半分にする部位に固定される。このように拘束材20を固定することにより、筒状体211は、左右に一部が切り欠かれた円弧形状216が配置され、その2つの円弧形状216を接続した形状に形成される。
【0029】
また、図4に示される様に、実施の形態2においては、筒状体211の他方の端縁12にも拘束材20が取り付けられている。端縁12に取り付けられた拘束材20は、図5に示される平面視において他方の端縁13に取り付けられた拘束材20と同じ位置に取り付けられている。このように構成されることにより、一方の端縁13と他方の端縁12との両方で筒状体211の形状が保持されるため、地盤80上に配置して空間214にコンクリート60が充填された際においても筒状体211の形状が安定する。
【0030】
他方の端縁12に取り付けられた拘束材20は、筒状体211の内側の空間214にアンカーフレーム50及び鉄筋51が設置された後に取り付けられる。このように構成することにより、筒状体211の内側にアンカーフレーム50及び鉄筋51の設置する際の作業を阻害することがない。
【0031】
実施の形態2に係る型枠210によれば、筒状体211は、当該筒状体211の中心軸に沿った方向から見た時に複数の216円弧形状を備える。拘束材20は、複数の円弧形状216のうち隣合って位置する2つの円弧形状216を接続する接続部に取り付けられる。
このように構成されることにより、型枠210は、少ない部品点数で構成しつつ、平面視において長方形に近い形状の基礎を形成することができる。また、筒状体211の2つの端縁12、13の両方に拘束材20を取り付けることにより、空間214にコンクリート60を流し込んだ状態においても型枠210の形状を保持することができる。
【0032】
図6は、実施の形態2に係る型枠210の変形例である型枠210aの平面図である。型枠210aの地盤80側に位置する端縁13に取り付けられる拘束材20は、複数取り付けられていてもよい。型枠210aにおいては、平面視において型枠210aの中央部の左右に配置されている円弧形状のそれぞれの中心で交差するように2本の拘束材20が取り付けられている。さらに、型枠210aの中央部の左右に配置されている2つの円弧形状の中心を通り、一方の固定部21aを右側の円弧形状に、他方の固定部21bを左側の円弧形状に固定するように拘束材20が取り付けられている。
【0033】
実施の形態2に係る変形例の型枠210aにおいては、複数の拘束材20のそれぞれの固定部21a、21bのうち隣合う固定部21a、21b同士を仮想線で繋いで形成される仮想多角形270の重心は、筒状体211aの中心部に位置する。
このように構成されることにより、変形例の型枠210aも型枠210と同様な効果を有する。なお、型枠210aにおいて、拘束材20は、一方の端縁13にのみ取り付けられていてもよいし、他方の端縁12にも一方の端縁13と同様に取り付けられていてもよい。又は、型枠210aにおいて、拘束材20は、一方の端縁13に図6に示すように取り付けられ、他方の端縁12に図5に示されるように取り付けられていてもよい。拘束材20は、型枠210aに充填されるコンクリート60の量、即ち型枠210aの高さ寸法及び平面視における幅寸法に応じて適宜取り付ける数量を変更しても良い。
【0034】
実施の形態3.
次に実施の形態3に係る型枠310及び基礎300について説明する。実施の形態3に係る型枠310は、実施の形態1に係る型枠10の形状を変更したものである。実施の形態3では、実施の形態1に対する変更点を中心に説明する。実施の形態3に係る型枠310及び基礎300の各部については、各図面において同一の機能を有するものは実施の形態1の説明で使用した図面と同一の符号を付して表示するものとする。
【0035】
図7は、実施の形態3に係る型枠310の平面図である。型枠310は、平面視において3つの同じ大きさの円弧形状316を組み合わせた形状になっている。型枠310は、実施の形態1と同様に1枚の薄い鋼板の端部15同士を接続して筒状体311を形成し、地盤80上に配置したものである。筒状体311の内側の空間314には、アンカーフレーム50及び鉄筋51が配置されている。
【0036】
型枠310は、平面視において3つの凹み部318a、318b、318cが形成されており、その凹み部318a、318b、318cにおいて3つの同じ大きさの円弧形状316が接続されている。型枠310の筒状体311の端縁13には3つの拘束材20a、20b、20cが取り付けられている。以下、3つの拘束材20a、20b、20cをまとめて拘束材20と呼ぶ場合がある。凹み部318aには、3つの拘束材20のうちの拘束材20aの一方の固定部21aと拘束材20bの固定部21bとが取り付けられている。凹み部318bには、3つの拘束材20のうちの拘束材20bの一方の固定部21aと拘束材20cの固定部21bとが取り付けられている。凹み部318cには、3つの拘束材20のうちの拘束材20cの一方の固定部21aと拘束材20aの固定部21bとが取り付けられている。
【0037】
拘束材20a、20b、20cは、それぞれ同じ長さLに形成されている。実施の形態3において、長さLは、少なくとも筒状体311を平面視したときの周長「l-w」を持つ円の直径Dよりも小さい。そして、拘束材20a、20b、20cは、周長「l-w」を3等分する点に固定されている。つまり、複数の拘束材20のそれぞれの固定部21a、21bのうち隣合う固定部21a、21b同士を仮想線で繋いで形成される仮想多角形370の重心は、筒状体311の中心部に位置している。
このように構成されることにより、型枠310は、実施の形態1及び実施の形態2における型枠10、210、210aと同様の効果有し、かつ図7に示されるような三角形状に近い形状の基礎300を形成することができる。
【0038】
図8は、実施の形態3に係る型枠310の変形例である型枠310aの平面図である。型枠310aは、型枠310に対し拘束材20の取り付け位置を変えて形状を変更したものである。図8に示される様に、型枠310aの筒状体311aの地盤80側の端縁13には、4本の拘束材20d、20e、20f、20gが取り付けられている。拘束材20dと拘束材20e及び20gとは直交するように配置されている。また、拘束材20gと拘束材20d及び20fとも、直交するように配置されている。拘束材20dと拘束材20fとは互いに平行に配置されている。また、拘束材20eと拘束材20gとも互いに平行に配置されている。また、拘束材20dと拘束材20fとの間隔と拘束材20eと拘束材20gとの間隔とは、同じ距離に設定されている。
【0039】
変形例である型枠310aにおいても、複数の拘束材20のそれぞれの固定部21a、21bのうち隣合う固定部21a、21b同士を仮想線で繋いで形成される仮想多角形370aの重心は、筒状体311aの中心部に位置している。
このように構成されることにより、型枠310aは、実施の形態1及び実施の形態2における型枠10、210、210aと同様の効果有し、かつ図8に示されるような矩形に近い形状の基礎300aを形成することができる。
【符号の説明】
【0040】
10 型枠、11 筒状体、12 端縁、13 端縁、14 (充填)空間、15 端部、16 連結部、20 拘束材、20a 拘束材、20b 拘束材、20c 拘束材、20d 拘束材、20e 拘束材、20f 拘束材、20g 拘束材、21a 固定部、21b 固定部、22 ブラインドリベット、50 アンカーフレーム、51 鉄筋、60 コンクリート、80 地盤、100 基礎、200 基礎、210 型枠、210a 型枠、211 筒状体、211a 筒状体、214 空間、216 円弧形状、270 仮想多角形、300 基礎、300a 基礎、310 型枠、310a 型枠、311 筒状体、311a 筒状体、314 空間、316 円弧形状、318a 凹み部、318b 凹み部、318c 凹み部、370 仮想多角形、370a 仮想多角形。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8