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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】超音波プローブ
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20221114BHJP
   H04R 1/06 20060101ALI20221114BHJP
   H04R 1/40 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
A61B8/00
H04R1/06 330
H04R1/40 330
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018162576
(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公開番号】P2019042511
(43)【公開日】2019-03-22
【審査請求日】2021-06-02
(31)【優先権主張番号】P 2017169731
(32)【優先日】2017-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】石塚 正明
(72)【発明者】
【氏名】平野 亨
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-504057(JP,A)
【文献】特開2008-188423(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0013969(US,A1)
【文献】国際公開第2010/101104(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
H04R 1/06
H04R 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波の送信および受信のうち少なくともいずれかを実行する複数の振動素子と、
前記複数の振動素子の背面側に配置され、前記複数の振動素子のうち第1グループを構成する各振動素子に対応する電子回路が設けられ、前記複数の振動素子のうち第2グループを構成する各振動素子に対応するシリコン貫通電極が設けられた第1の回路基板と、
前記第1の回路基板の背面側に配置され、前記第1グループを構成する各振動素子に対応するシリコン貫通電極が設けられ、前記第2グループを構成する各振動素子に対応する電子回路が設けられた第2の回路基板と、
を備えた超音波プローブ。
【請求項2】
前記第1の回路基板および前記第2の回路基板に設けられた各電子回路は、アナログ回路を含む、請求項1に記載の超音波プローブ。
【請求項3】
前記第1の回路基板および前記第2の回路基板に設けられた各電子回路は、少なくとも1つの振動素子を駆動させる駆動回路、および前記少なくとも1つの振動素子で発生した電気信号を処理する信号処理回路のうち少なくともいずれかを含む、請求項1又は2に記載の超音波プローブ。
【請求項4】
前記第1の回路基板と前記第2の回路基板は、同一の回路であり、配置の向きが異なる、請求項1~3のいずれか一つに記載の超音波プローブ。
【請求項5】
前記第1の回路基板および前記第2の回路基板には、向きを示すマーカが設けられている、請求項1~4のいずれか一つに記載の超音波プローブ。
【請求項6】
前記第1の回路基板に設けられた各シリコン貫通電極は、前記第2の回路基板に設けられた各電子回路に接続され、
前記第1の回路基板に設けられた各電子回路は、前記第2の回路基板に設けられた各シリコン貫通電極に接続される、請求項1~5のいずれか一つに記載の超音波プローブ。
【請求項7】
前記第2の回路基板の背面側に配置され、前記第1の回路基板および前記第2の回路基板に設けられた各電子回路を制御する制御回路を備えた請求項1~6のいずれか一つに記載の超音波プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、超音波プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波プローブとして、複数の振動素子及び大規模集積回路(LSI(Large Scale Integration))を有する2Dアレイプローブ(two dimensional array probe)を用いて、被検体の内部状態を画像化した超音波画像を生成する超音波診断装置がある。大規模集積回路には、各種の電子回路が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-110140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、電子回路の回路面積を確保することができる超音波プローブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の超音波プローブは、複数の振動素子と、第1の回路と、第2の回路とを備える。複数の振動素子は、超音波の送信および受信のうち少なくともいずれかを実行する。第1の回路は、前記複数の振動素子の背面側に配置される。第1の回路には、前記複数の振動素子のうち第1グループを構成する各振動素子に対応する電子回路が設けられ、前記複数の振動素子のうち第2グループを構成する各振動素子に対応するシリコン貫通電極が設けられている。第2の回路は、前記第1の回路の背面側に配置される。第2の回路には、前記第1グループを構成する各振動素子に対応するシリコン貫通電極が設けられ、前記第2グループを構成する各振動素子に対応する電子回路が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成の一例を説明するための図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る超音波プローブの構成の一例を示す図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る制御回路の一例を説明するための図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る送受信回路の一例を説明するための図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る送受信回路の一例を説明するための図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る2つの大規模集積回路の一例を説明するための図である。
図7図7は、第1の実施形態に係る超音波プローブの製造方法の一部を示す図である。
図8A図8Aは、第1の実施形態に係る3つの大規模集積回路の積層構造の一例を説明するための図である。
図8B図8Bは、図8Aの例において、接続関係を明瞭に示した図である。
図9図9は、大規模集積回路の各領域に、送受信回路及び制御回路を設けた場合の一例を示す図である。
図10図10は、大規模集積回路の各領域に、送受信回路及び制御回路を設けた場合の一例を示す図である。
図11図11は、第1の実施形態の第1の変形例に係る超音波プローブの一例を説明するための図である。
図12図12は、第1の実施形態の第2の変形例に係る超音波プローブの製造方法の一部の一例を示す図である。
図13A図13Aは、第2の実施形態に係る超音波プローブの一例を説明するための図である。
図13B図13Bは、第2の実施形態に係る超音波プローブの一例を説明するための図である。
図14A図14Aは、第3の実施形態に係る超音波プローブの一例を説明するための図である。
図14B図14Bは、第3の実施形態に係る超音波プローブの一例を説明するための図である。
図14C図14Cは、第3の実施形態に係る超音波プローブの他の一例を説明するための図である。
図14D図14Dは、第3の実施形態に係る超音波プローブの他の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付図面を参照して、超音波プローブ及び超音波プローブの製造方法の各実施形態及び各変形例を詳細に説明する。なお、各実施形態及び各変形例は、適宜、組み合わせてもよい。
【0008】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る超音波プローブが適用された超音波診断装置の構成の一例について説明する。図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置100の構成の一例を説明するための図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、超音波プローブ1と、モニタ2と、入力装置3と、装置本体10とを有する。
【0009】
超音波プローブ1は、装置本体10と着脱自在に接続される。超音波プローブ1から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射される。そして、反射された超音波は、エコー(反射波)として超音波プローブ1で受信される。例えば、2Dアレイプローブの場合、超音波プローブ1の中にも大規模集積回路を持ち、装置本体10と合わせて送信波、受信波に対する制御、演算処理を行うことでエコー信号に変換される。エコー信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合のエコー信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
【0010】
モニタ2は、超音波診断装置100のユーザが入力装置3を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体10において生成された超音波画像等を表示したりする。
【0011】
入力装置3は、トラックボール、スイッチ、ダイヤル、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、ジョイスティック等により実現される。入力装置3は、超音波診断装置100のユーザからの各種設定要求を受け付け、装置本体10に対して、受け付けた各種設定要求を転送する。例えば、入力装置3は、超音波プローブ1を制御するための各種設定要求を受け付けて、制御回路16に転送する。
【0012】
装置本体10は、超音波プローブ1による超音波の送受信を制御して、超音波プローブ1が受信したエコーに基づくエコー信号に基づいて、超音波画像を生成する装置である。装置本体10は、図1に示すように、送受信回路11と、Bモード処理回路12と、ドプラ処理回路13と、画像生成回路14と、記憶回路15と、制御回路16とを有する。
【0013】
送受信回路11は、制御回路16による制御を受けて、超音波プローブ1と装置本体10との間で各種データ等の送受信を行う。例えば、送受信回路11は、A/D変換器と受信ビームフォーマとを有する。送受信回路11が超音波プローブ1から出力されたサブアレイごとのエコー信号を受信すると、まず、A/D変換器が、エコー信号をデジタルデータに変換する。受信ビームフォーマは、サブアレイごとのデジタルデータに対して整相加算処理を行ってエコーデータを生成し、生成したエコーデータをBモード処理回路12及びドプラ処理回路13に送信する。
【0014】
また、送受信回路11は、超音波プローブ1に、駆動信号の振幅の値を送信する。具体的には、送受信回路11は、後述する各制御回路31に、後述する各送受信回路22b,23bが出力する駆動信号の振幅の値を送信する。
【0015】
また、送受信回路11は、超音波プローブ1に、駆動信号に対する遅延量、開口制御情報、送受信動作モードとタイミング、及び、超音波プローブ1により受信されるエコー信号の遅延量を送信する。
【0016】
Bモード処理回路12は、送受信回路11から出力されたエコーデータを受信する。そして、Bモード処理回路12は、受信したエコーデータに対して対数増幅、包絡線検波処理等を行なって、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。Bモード処理回路12は、例えば、プロセッサにより実現される。
【0017】
ドプラ処理回路13は、送受信回路11から出力されたエコーデータを受信する。そして、ドプラ処理回路13は、受信したエコーデータから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワー等の移動体情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。ドプラ処理回路13は、例えば、プロセッサにより実現される。
【0018】
画像生成回路14は、Bモード処理回路12及びドプラ処理回路13が生成したデータから超音波画像を生成する。すなわち、画像生成回路14は、Bモード処理回路12が生成したBモードデータからエコーの強度を輝度にて表したBモード画像を生成する。また、画像生成回路14は、ドプラ処理回路13が生成したドプラデータから移動体情報を表す平均速度画像、分散画像、パワー画像、又は、これらの組み合わせ画像としてのカラードプラ画像を生成する。画像生成回路14は、例えば、プロセッサにより実現される。
【0019】
記憶回路15は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。例えば、記憶回路15は、画像生成回路14が生成した超音波画像を記憶する。また、記憶回路15は、Bモード処理回路12やドプラ処理回路13が生成したデータを記憶してもよい。
【0020】
また、記憶回路15は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行なうための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディーマーク等の各種データを記憶する。
【0021】
制御回路16は、超音波診断装置100の処理全体を制御する。例えば、制御回路16は、入力装置3を介して操作者から入力された各種設定要求や、記憶回路15から読込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、超音波プローブ1内の大規模集積回路、送受信回路11、Bモード処理回路12、ドプラ処理回路13及び画像生成回路14の処理を制御する。また、制御回路16は、記憶回路15が記憶する超音波画像や、記憶回路15が記憶する各種画像、又は、画像生成回路14による処理を行なうためのGUI、画像生成回路14の処理結果等をモニタ2にて表示するように制御する。
【0022】
例えば、制御回路16は、駆動信号の振幅の値を、超音波プローブ1に送信するように、送受信回路11を制御する。具体的には、制御回路16は、駆動信号の振幅の値を、後述する各制御回路31に出力するように、送受信回路11を制御する。
【0023】
また、制御回路16は、駆動信号に対する遅延量及びエコー信号に対する遅延量を、超音波プローブ1に送信するように、送受信回路11を制御する。制御回路16は、例えば、プロセッサにより実現される。
【0024】
なお、上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(SimpleProgrammable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex ProgrammableLogic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable GateArray:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路15に保存されたプログラムを読み出し、読み出したプログラムを実行することで機能を実現する。なお、記憶回路15にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し、読み出したプログラムを実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。
【0025】
以上、第1の実施形態に係る超音波診断装置100の構成の一例について説明した。以下に説明するように、第1の実施形態に係る超音波プローブ1は、超音波プローブ1に内蔵される電子回路の面積(回路面積)が十分に確保されるように構成される。
【0026】
図2は、第1の実施形態に係る超音波プローブ1の構成の一例を示す図である。図2に示すように、超音波プローブ1は、複数の振動素子(音響素子)20と、3つの大規模集積回路21~23と、中継基板24とを有する。
【0027】
複数の振動素子20は、超音波を送信するとともに超音波のエコーを受信する。
【0028】
複数の振動素子20は、2次元的に配置されている。例えば、複数の振動素子20は、X軸及びX軸と直交するY軸に沿って配置されている。ここで、X軸方向は、ラテラル方向に対応し、Y軸方向は、エレベーション方向に対応する。すなわち、複数の振動素子20は、ラテラル方向及びエレベーション方向に配置されている。
【0029】
振動素子20は、供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。そして、振動素子20は、被検体Pからのエコーを受信し、受信したエコーを電気信号であるエコー信号(反射波信号)に変換する。
【0030】
例えば、図2に示す複数の振動素子20は、メインアレイ20aを構成する。図2では、16個の振動素子20がメインアレイ20aを構成する場合について示されているが、メインアレイ20aを構成する振動素子20の個数は、これに限られない。メインアレイ20aは、X軸方向及びY軸方向に、複数のサブアレイ20bに分割されている。なお、サブアレイ20bとは、例えば、複数の振動素子20を、所定数の振動素子20ごとのグループに分けた場合の各グループに属する振動素子20の配置を指す。1つのサブアレイ20bは、X軸方向及びY軸方向に、2次元的に配置された所定数の振動素子20で構成されている。例えば、複数のサブアレイ20bを構成する振動素子20の個数は、4(2×2)個である。
【0031】
第1の実施形態では、複数の振動素子20は、第1グループを構成する振動素子20と、第2グループを構成する振動素子20とに分けられる。第1グループを構成する振動素子20、及び、第2グループを構成する振動素子20については、後述する。
【0032】
図2に示すように、振動素子20側から、大規模集積回路23、大規模集積回路22、大規模集積回路21の順に、3つの大規模集積回路21~23が配置されている。すなわち、大規模集積回路23は、複数の振動素子20の背面側に配置されている。また、大規模集積回路22は、大規模集積回路23の背面側に配置されている。また、大規模集積回路21は、大規模集積回路22の背面側に配置されている。大規模集積回路23は、第1の回路の一例である。また、大規模集積回路22は、第2の回路の一例である。
【0033】
大規模集積回路21において、破線で区切られた各領域21aは、直上の1つの振動素子20に対応する領域である。同様に、大規模集積回路22,23において、破線で区切られた各領域22a,23aも、直上の1つの振動素子20に対応する領域である。
【0034】
例えば、図2に示す領域21a_1は、直上の振動素子20_1に対応する領域である。ここで、図2において、領域21a_1は、16(4×4)個の領域21aのうち、X軸方向において左側から3番目で、Y軸方向において手前側から1番目の領域である。また、振動素子20_1は、16(4×4)個の振動素子20のうち、Y軸方向において左側から3番目で、Y軸方向において手前側から1番目の振動素子である。
【0035】
また、図2に示す領域21a_2は、直上の振動素子20_2に対応する領域である。ここで、図2において、領域21a_2は、16個の領域21aのうち、X軸方向において左側から4番目で、Y軸方向において手前側から1番目の領域である。また、振動素子20_2は、16個の振動素子20のうち、X軸方向において左側から4番目で、Y軸方向において手前側から1番目の振動素子である。
【0036】
同様に、図2に示す領域22a_1は、直上の振動素子20_1に対応する領域である。ここで、図2において、領域22a_1は、16(4×4)個の領域22aのうち、X軸方向において左側から3番目で、Y軸方向において手前側から1番目の領域である。
【0037】
また、図2に示す領域22a_2は、直上の振動素子20_2に対応する領域である。ここで、図2において、領域22a_2は、16個の領域22aのうち、X軸方向において左側から4番目で、Y軸方向において手前側から1番目の領域である。
【0038】
また、図2に示す領域23a_1は、直上の振動素子20_1に対応する領域である。ここで、図2において、領域23a_1は、16(4×4)個の領域23aのうち、X軸方向において左側から3番目で、Y軸方向において手前側から1番目の領域である。
【0039】
また、図2に示す領域23a_2は、直上の振動素子20_2に対応する領域である。ここで、図2において、領域23a_2は、16個の領域23aのうち、X軸方向において左側から4番目で、Y軸方向において手前側から1番目の領域である。
【0040】
大規模集積回路21について説明する。大規模集積回路21の各領域21aには、制御回路が設けられている。図3は、第1の実施形態に係る制御回路31の一例を説明するための図である。図3に示すように、例えば、領域21a_1には、直上の後述する送受信回路23b_1を制御する制御回路31が設けられている。また、領域21a_2には、直上の後述する送受信回路22b_1を制御する制御回路31が設けられている。
【0041】
なお、領域21a_1に設けられた制御回路31を「制御回路31a」と表記する。また、領域21a_2に設けられた制御回路31を「制御回路31b」と表記する。
【0042】
また、他の領域21a(他の14個の領域21a)においても、同様に、直上の後述する送受信回路22b又は送受信回路23bを制御する制御回路31が設けられている。
【0043】
なお、第1の実施形態では、1つの振動素子20に対して1つのチャンネルが割り当てられ、チャンネルごとに、1つの制御回路31、及び、1つの後述する送受信回路22b又は送受信回路23bが設けられる。また、第1の実施形態では、上述した1つのサブアレイ20bにおいて、対応する複数(図2では4つ)の制御回路31が接続されている。
【0044】
例えば、制御回路31は、レジスタを備える。制御回路31は、送受信回路11から出力された駆動信号の振幅の値を受信すると、受信した振幅の値をレジスタに格納する。また、制御回路31は、送受信回路11から出力された駆動信号に対する遅延量を受信すると、受信した駆動信号に対する遅延量をレジスタに格納する。また、制御回路31は、送受信回路11から出力されたエコー信号に対する遅延量を受信すると、受信したエコー信号に対する遅延量をレジスタに格納する。
【0045】
そして、制御回路31は、レジスタから振幅の値、駆動信号に対する遅延量及びエコー信号に対する遅延量を読み出す。そして、制御回路31は、読み出された振幅の値、駆動信号に対する遅延量及びエコー信号に対する遅延量を示す制御信号を送受信回路22b又は送受信回路23bに出力する。
【0046】
ここで、1つのサブアレイ20bに対応する複数の制御回路31のうち、1つの制御回路31は、加算器(受信ビームフォーマ)を有する。なお、このような加算器を有する制御回路31は、代表制御回路31とも称される。
【0047】
加算器は、1つのサブアレイ20bに対応する複数の後述する送受信回路22b,23bから出力された複数のエコー信号を収集する。なお、加算器により収集される複数のエコー信号は、遅延処理が施されたエコー信号である。そして、加算器は、複数のエコー信号を加算する加算処理を実行する。そして、加算器は、加算処理が実行されたエコー信号を装置本体10に出力する。エコー信号を用いた加算処理により、エコー信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。サブアレイ20b内のチャンネルに対して行うため、超音波プローブ1内のこの機能をサブアレイ・ビームフォーマと呼ぶことがある。
【0048】
なお、図2及び図3において、各領域21aに記載された白丸は、例えば、各領域21aに設けられた制御回路31と、大規模集積回路22とを接続する導体を模式的に示したものである。第1の実施形態では、例えば、かかる導体として、端子等が用いられる。この場合、各領域21aに設けられた制御回路31は、端子等を介して大規模集積回路22に接続されている。
【0049】
大規模集積回路22では、所定個の領域22aに跨がって、送受信回路が設けられている。図4は、第1の実施形態に係る送受信回路22bの一例を説明するための図である。図4に示すように、例えば、X軸方向に隣接する2個の領域22a_1及び領域22a_2に跨がって、送受信回路22bが設けられている。領域22a_1及び領域22a_2に跨がって設けられた送受信回路22bを「送受信回路22b_1」と表記する。送受信回路22b_1は、振動素子20_2を駆動させ、振動素子20_2からのエコー信号を受信する。送受信回路22bは、電子回路の一例である。
【0050】
大規模集積回路22では、他の領域22aにおいても同様に、X軸方向に隣接する2個の領域22aに跨がって送受信回路22bが設けられている。この送受信回路22bは、1つの振動素子20を駆動させ、この振動素子20からのエコー信号を受信する。図2及び図4に示す大規模集積回路22では、16個の振動素子20のうち、8個の振動素子20に対応する8個の送受信回路22bが設けられている。
【0051】
送受信回路22bは、パルサ回路、遅延回路及び増幅器等のアナログ回路を含む。パルサ回路は、所定のレート周波数(PRF:Pulse Repetition Frequency)で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。そして、パルサ回路は、発生したレートパルスを、振動素子20を駆動するための駆動信号として出力する。ここで、パルサ回路から出力される駆動信号の振幅の大きさは、制御回路31から出力された制御信号により示される。
【0052】
遅延回路は、パルサ回路から出力された駆動信号に対して所定の遅延処理を実行し、所定の遅延処理が実行された駆動信号を振動素子20に出力する機能を有する。例えば、遅延回路は、制御回路31による制御を受けて、振動素子20から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な振動素子20ごとの遅延量を、パルサ回路から供給された駆動信号に対して与える遅延処理を実行する。ここで、駆動信号に与える遅延量は、制御回路31から出力された制御信号により示される。
【0053】
パルサ回路及び遅延回路は、少なくとも1つの振動素子20を駆動させる回路である。パルサ回路及び遅延回路は、駆動回路の一例である。
【0054】
増幅器は、例えば、アンプである。増幅器は、振動素子20からエコー信号を受信すると、予め設定されたゲインによって、受信したエコー信号を増幅し、増幅したエコー信号を遅延回路へ出力する機能を有する。
【0055】
ここで、遅延回路は、上述した機能に加えて、増幅器から出力されたエコー信号を受信すると、受信したエコー信号に対して、受信指向性を決定するのに必要な遅延量を与える遅延処理を実行し、遅延処理が実行されたエコー信号を制御回路31に出力する機能を有する。ここで、エコー信号に対して与えられる遅延量は、制御回路31から出力される制御信号が示す遅延量となる。
【0056】
増幅器及び遅延回路は、少なくとも1つの振動素子20で発生したエコー信号を処理する。増幅器及び遅延回路は、信号処理回路の一例である。すなわち、遅延回路は、駆動回路の一例であるとともに、信号処理回路の一例でもある。
【0057】
大規模集積回路23では、残りの8個の振動素子20(送受信回路22bに接続されていない振動素子20)に対応する8個の送受信回路が設けられている。大規模集積回路23では、所定個の領域23aに跨がって、送受信回路が設けられている。図5は、第1の実施形態に係る送受信回路23bの一例を説明するための図である。図5に示すように、例えば、X軸方向に隣接する2個の領域23a_1及び領域23a_2に跨がって、送受信回路23bが設けられている。送受信回路23bは、電子回路の一例である。
【0058】
領域23a_1及び領域23a_2に跨がって設けられた送受信回路23bを「送受信回路23b_1」と表記する。送受信回路23b_1は、振動素子20_1を駆動させ、振動素子20_1からのエコー信号を受信する。
【0059】
送受信回路23bは、上述した送受信回路22bのパルサ回路、遅延回路及び増幅器等のアナログ回路と同様のアナログ回路を含む。
【0060】
大規模集積回路23では、他の領域23aにおいても同様に、X軸方向に隣接する2個の領域23aに跨がって送受信回路23bが設けられている。この送受信回路23bは、1つの振動素子20を駆動させ、この振動素子20からのエコー信号を受信する。
【0061】
なお、図2及び図4において、各領域22aに記載された白丸は、例えば、大規模集積回路21と大規模集積回路23とを接続する導体を模式的に示したものである。第1の実施形態では、例えば、かかる導体として、端子及びTSV(Through Silicon Via;シリコン貫通電極)等が用いられる。この場合には、白丸が記載された領域22aにおいて、端子及びTSV等を介して大規模集積回路21と大規模集積回路23とが接続されている。例えば、白丸が記載された領域22aにおいて、端子及びTSV等を介して、直下の領域21aと、直上の領域23aとが接続されている。
【0062】
また、図2及び図4において、各領域22aに記載された黒丸は、例えば、黒丸が記載された各領域22aに設けられた送受信回路22bと、直下の制御回路31及び直上の領域23aとを接続する導体を模式的に示したものである。第1の実施形態では、例えば、かかる導体として、端子及びTSV等が用いられる。この場合には、黒丸が記載された領域22aにおいて、送受信回路22bが、TSV等を介して直下の制御回路31に接続されるとともに、端子等を介して直上の領域23aと接続されている。
【0063】
また、図2及び図5において、各領域23aに記載された白丸は、例えば、大規模集積回路22と振動素子20とを接続する導体を模式的に示したものである。第1の実施形態では、例えば、かかる導体として、端子及びTSV等が用いられる。この場合には、白丸が記載された領域23aにおいて、端子及びTSV等を介して、直下の領域22aと直上の振動素子20とが接続されている。具体的には、白丸が記載された領域23aにおいて、端子、TSV等に加えて中継基板24を介して、直下の領域22aと直上の振動素子20とが接続されている。
【0064】
また、図2及び図5において、各領域23aに記載された黒丸は、例えば、黒丸が記載された各領域23aに設けられた送受信回路23bと、直下の領域22a及び直上の振動素子20とを接続する導体を模式的に示したものである。第1の実施形態では、例えば、かかる導体として、端子及びTSV等が用いられる。この場合には、黒丸が記載された領域23aにおいて、送受信回路23bが、TSV等を介して直下の領域22aに接続されるとともに、端子等を介して直上の振動素子20と接続されている。具体的には、送受信回路23bは、端子等に加えて中継基板24を介して、直上の振動素子20と接続されている。
【0065】
中継基板24は、領域23a上の端子と、振動素子20との接続を中継する基板である。中継基板24は、振動素子20と大規模集積回路23との間に配置される。中継基板24は、中継基板24内の配線を介して、振動素子20と大規模集積回路20とを接続する。ここで、中継基板24内の配線間のピッチが調整されることで、XY平面における送受信回路22b,23b間のピッチ(間隔)と、XY平面における振動素子20間のピッチとの違いを吸収することができる。このような中継基板24により、送受信回路22b,23b間のピッチよりも振動素子20間のピッチを狭くすることができる。このため、高密度で振動素子20を中継基板24に配置することができる。
【0066】
中継基板24は、例えば、シリコン基板やセラミックス基板により実現される。なお、中継基板24に代えて、同様の機能を有するFPC(Flexible Printed Circuits)を用いてもよい。また、中継基板24を用いずに、振動素子20と領域23a上の端子とを接続してもよい。
【0067】
図6は、第1の実施形態に係る2つの大規模集積回路22,23の一例を説明するための図である。ここで、第1の実施形態では、2つの大規模集積回路22,23は、同一の大規模集積回路である。例えば、2つの大規模集積回路22,23は、図6に示す大規模集積回路である。大規模集積回路22,23は、XY平面における中心点25を有する。そして、中心点25を通り、X軸方向及びY軸方向に直交する回転軸周りに、大規模集積回路22,23を180度回転させた場合、先に説明した黒丸と白丸との位置関係は、次のような関係となる。例えば、黒丸と白丸との位置関係は、XY平面において、回転前の白丸の位置に対して回転後の黒丸の位置が一致し、回転前の黒丸の位置に対して回転後の白丸の位置が一致するような関係となる。
【0068】
図7は、第1の実施形態に係る超音波プローブ1の製造方法の一部の一例を示す図である。第1の実施形態に係る超音波プローブ1では、2つの大規模集積回路22,23を同一の向きに配置した上で、図7の中央に示すように、大規模集積回路22に対して、中心点25を通りX軸方向及びY軸方向に直交する回転軸25a周りに、矢印26が示すように大規模集積回路23を180度回転させる。そして、180度回転させた大規模集積回路23を大規模集積回路22上に配置する。
【0069】
すなわち、複数の振動素子20の背面側に、大規模集積回路23を所定の向きで配置し、大規模集積回路23の背面側に、大規模集積回路22を先の所定の向きと異なる向きで配置する。このように、大規模集積回路22及び大規模集積回路23は、同一の大規模集積回路であり、配置の向きが異なる。したがって、第1の実施形態によれば、大規模集積回路22及び大規模集積回路23を製造する際に、複数種類の大規模集積回路ではなく、同一の大規模集積回路を製造すればよいので、製造コストを抑えることができる。なお、所定の向きは、第1の向きの一例であり、所定の向きと異なる向きは、第2の向きの一例である。
【0070】
図7に示す符号「41」~「48」は、領域22aに記載された上述の黒丸を指す。また、符号「51」~「58」は、領域23aに記載された上述の黒丸を指す。
【0071】
なお、図7では、ハッチングされた領域22a_1及び領域22a_2と、ハッチングされた領域23a_3及び領域23a_4とが対応する。
【0072】
図7の右側に示す、数値N(N=1,2)と符号M(M=41~48,51~58)とがハイフン「-」で繋がった「N-M」は、「N」が示す大規模集積回路において、符号「M」が指す黒丸が記載された領域22a又は23aに、符号「M」が指す黒丸が示す導体が設けられていることを示す。例えば、「N」が「1」である場合には、「N」は大規模集積回路22を示し、「N」が「2」である場合には、「N」は大規模集積回路23を示す。例えば、「2-51」は、大規模集積回路23において、符号「51」が指す黒丸が記載された領域23aに、送受信回路23bに接続されたTSV等の導体が設けられていることを示す。「1-47」は、大規模集積回路22において、符号「47」が指す黒丸が記載された領域22aに、送受信回路22bに接続されたTSV等の導体が設けられていることを示す。
【0073】
第1の実施形態では、図7の右側に示すように、全ての振動素子20に対応する領域(8個の領域22a及び8個の領域23a)に、送受信回路22b又は送受信回路23bに接続された導体が設けられている。すなわち、全ての振動素子20のそれぞれは、送受信回路22b又は送受信回路23bに接続されている。なお、全ての振動素子20が、送受信回路22b又は送受信回路23bに接続されていなくてもよい。例えば、送受信回路22bは、複数の振動素子20のうちの少なくともいずれかに接続されていればよい。同様に、送受信回路23bは、複数の振動素子20のうちの少なくともいずれかに接続されていればよい。
【0074】
ここで、第1の実施形態では、上述した第1グループを構成する振動素子20は、送受信回路23bに接続され、送受信回路23bから駆動信号が供給される。また、上述した第2グループを構成する振動素子20は、送受信回路22bに接続され、送受信回路22bから駆動信号が供給される。すなわち、第1グループを構成する振動素子20は、送受信回路23bに対応し、第2グループを構成する振動素子20は、送受信回路22bに対応する。
【0075】
図8Aは、第1の実施形態に係る3つの大規模集積回路21~23の積層構造の一例を説明するための図である。なお、図8Aは、上述した領域21a_1,21a_2,22a_1,22a_2,23a_1,23a_2に対応する部分の断面図である。
【0076】
図8Aの例に示すように、大規模集積回路21は、トランジスタ層61、メタル多層配線層62及び再配線層63を有する。トランジスタ層61、メタル多層配線層62及び再配線層63は、この順で積層されている。また、図8Aの例は1断面の例であり、実際はトランジスタ層61、メタル多層配線層62及び再配線層63は奥行き方向にも存在し、動作に必要な回路、配線が形成される。
【0077】
トランジスタ層61は、シリコン基板60の表面に形成されている。トランジスタ層61には、トランジスタ61a~61dが形成されている。トランジスタ61a及びトランジスタ61bは、上述した制御回路31aを構成する要素である。トランジスタ61c及びトランジスタ61dは、上述した制御回路31bを構成する要素である。
【0078】
メタル多層配線層62は、複数の絶縁層と複数の配線(メタル)の積層構造で形成される。以下の説明では、積層された複数の配線を単に「配線」と称する。メタル多層配線層62には、配線62a~62dが形成されている。配線62aは、トランジスタ61a及びトランジスタ61bに接続されている。配線62bは、トランジスタ61c及びトランジスタ61dに接続されている。
【0079】
また、配線62cは、トランジスタ61bに接続されており、配線62dは、トランジスタ61dに接続されている。そして、図8Aでは図示されていないが、メタル多層配線層62において、配線62c及び配線62dは、接続されている。このため、制御回路31aと制御回路31bとの間でエコー信号の送受信を行うことができる。例えば、制御回路31aが上述した代表制御回路である場合には、制御回路31aは、制御回路31bから加算処理の対象となるエコー信号を受信することができる。
【0080】
再配線層63には、配線63a,63bが形成されている。配線63aは、配線62aと接続されている。配線63bは、配線62bと接続されている。
【0081】
端子64a,64bは、メタルパッド、電極又はバンプにより形成される。端子64aは、配線63aに接続されている。端子64bは、配線63bに接続されている。
【0082】
したがって、トランジスタ61a及びトランジスタ61bは、配線63a、配線62aを介して、端子64aに接続されている。また、トランジスタ61c及びトランジスタ61dは、配線63b、配線62bを介して、端子64bに接続されている。よって、制御回路31aは、端子64aに接続され、制御回路31bは、端子64bに接続されている。
【0083】
大規模集積回路21は、領域21a_1,21a_2以外の領域21aについても同様の構成を有する。
【0084】
大規模集積回路22は、トランジスタ層66、メタル多層配線層67及び再配線層68を有する。トランジスタ層66、メタル多層配線層67及び再配線層68は、この順で積層されている。
【0085】
トランジスタ層66は、シリコン基板65の表面に形成されている。トランジスタ層66には、トランジスタ66a,66bが形成されている。トランジスタ66a及びトランジスタ66bは、上述した送受信回路22b_1を構成する要素である。また、図8Aの例は1断面の例であり、実際はトランジスタ層66、メタル多層配線層67及び再配線層68は奥行き方向にも存在し、動作に必要な回路、配線が形成される。
【0086】
また、シリコン基板65には、端子64aに対応する位置にシリコン基板65を貫通するTSV70aが形成されている。また、シリコン基板65には、端子64bに対応する位置にシリコン基板65を貫通するTSV70bが形成されている。
【0087】
TSV70aは、端子64aに接続されている。TSV70bは、端子64bに接続されている。
【0088】
メタル多層配線層67は、複数の絶縁層と複数の配線の積層構造で形成される。メタル多層配線層67には、配線67a~67dが形成されている。配線67aは、TSV70aに接続されている。
【0089】
配線67bは、トランジスタ66aに接続されている。配線67cは、トランジスタ66a及びトランジスタ66bに接続されている。配線67dは、トランジスタ66b及びTSV70bに接続され、大規模集積回路21における制御回路31bにより制御可能な構成として接続される。
【0090】
再配線層68には、配線68a,68bが形成されている。配線68aは、配線67aと接続されている。配線68bは、配線67bと接続されている。
【0091】
端子69a,69bは、メタルパッド、電極又はバンプにより形成される。端子69aは、配線68aに接続されている。端子69bは、配線68bに接続されている。
【0092】
したがって、端子69aは、配線68a、配線67a及びTSV70aを介して、端子64aに接続され、大規模集積回路21における制御回路31aに接続されている。また、端子69bは、配線68b、配線67b、トランジスタ66a、配線67c、トランジスタ66b、配線67d及びTSV70bを介して、端子64bに接続されている。よって、送受信回路22b_1は、端子69b及び端子64bに接続されている。
【0093】
大規模集積回路22は、領域22a_1,22a_2以外の領域22aについても同様の構成を有する。
【0094】
大規模集積回路23は、トランジスタ層72、メタル多層配線層73及び再配線層74を有する。トランジスタ層72、メタル多層配線層73及び再配線層74は、この順で積層されている。
【0095】
トランジスタ層72は、シリコン基板71の表面に形成されている。トランジスタ層72には、トランジスタ72a,72bが形成されている。トランジスタ72a及びトランジスタ72bは、上述した送受信回路23b_1を構成する要素である。また、図8Aの例は1断面の例であり、実際はトランジスタ層72、メタル多層配線層73及び再配線層74は奥行き方向にも存在し、動作に必要な回路、配線が形成される。
【0096】
また、シリコン基板71には、端子69aに対応する位置にシリコン基板71を貫通するTSV76aが形成されている。また、シリコン基板71には、端子69bに対応する位置にシリコン基板71を貫通するTSV76bが形成されている。
【0097】
TSV76aは、端子69aに接続されている。TSV76bは、端子69bに接続されている。
【0098】
メタル多層配線層73は、複数の絶縁層と複数の配線の積層構造で形成される。メタル多層配線層73には、配線73a~73dが形成されている。
【0099】
配線73aは、トランジスタ72bに接続されている。配線73bは、トランジスタ72a及びトランジスタ72bに接続されている。配線73cは、トランジスタ72a及びTSV76aに接続され、大規模集積回路21における制御回路31aにより制御可能な構成として接続されている。配線73dは、TSV76bに接続されている。
【0100】
再配線層74には、配線74a,74bが形成されている。配線74aは、配線73aと接続されている。配線74bは、配線73dと接続されている。
【0101】
端子75a,75bは、メタルパッド、電極又はバンプにより形成される。端子75aは、配線74aに接続されている。端子75bは、配線74bに接続されている。
【0102】
したがって、端子75aは、配線74a、配線73a、トランジスタ72b、配線73b、トランジスタ72a、配線73c及びTSV76aを介して、端子69aに接続されている。よって、送受信回路23b_1は、端子75a及び端子69aに接続されている。また、端子75bは、配線74a、配線73d及びTSV76bを介して、端子69bに接続されている。
【0103】
端子75aは、中継基板24を介して、振動素子20_1に接続されている。また、端子75bは、中継基板24を介して、振動素子20_2に接続されている。
【0104】
大規模集積回路23は、領域23a_1,23a_2以外の領域23aについても同様の構成を有する。
【0105】
図8Bは、図8Aにおいて、接続関係を明瞭に示した図である。以上の構成により、図8Bにおいて右に向かうにつれて下がる斜線でハッチングされた部分(第1部分)が示すように、送受信回路23b_1と振動素子20_1(図2参照)とが接続されている。例えば、送受信回路23b_1は、配線73a、配線74a、端子75a及び中継基板24(図2参照)を介して、駆動信号を振動素子20_1に出力する。また、振動素子20_1は、中継基板24、端子75a、配線74a及び配線73aを介して、エコー信号を、送受信回路23b_1に出力する。
【0106】
また、第1部分が示すように、制御回路31aと送受信回路23b_1とが接続されている。例えば、制御回路31aは、配線62a、配線63a、端子64a、TSV70a、配線67a、配線68a、端子69a、TSV76a及び配線73cを介して、制御信号を送受信回路23b_1に出力する。また、送受信回路23b_1は、配線73c、TSV76a、端子69a、配線68a、配線67a、TSV70a、端子64a、配線63a及び配線62aを介して、エコー信号を制御回路31aに出力する。
【0107】
また、図8Bにおいて左に向かうにつれて下がる斜線でハッチングされた部分(第2部分)が示すように、送受信回路22b_1と振動素子20_2(図2参照)とが接続されている。例えば、送受信回路22b_1は、配線67b、配線68b、端子69b、TSV76b、配線73d、配線74b、端子75b及び中継基板24を介して、駆動信号を振動素子20_2に出力する。また、振動素子20_2は、中継基板24、端子75b、配線74b、配線73d、TSV76b、端子69b、配線68b、配線67bを介して、エコー信号を、送受信回路22b_1に出力する。
【0108】
また、第2部分が示すように、制御回路31bと送受信回路22b_1とが接続されている。例えば、制御回路31bは、配線62b、配線63b、端子64b、TSV70b及び配線67dを介して、制御信号を送受信回路22b_1に出力する。また、送受信回路22b_1は、配線67d、TSV70b、端子64b、配線63b及び配線62bを介して、エコー信号を制御回路31bに出力する。
【0109】
ここで、端子64a、配線63a及び配線62a、並びに、端子64b、配線63b及び配線62bは、図2及び図3において、各領域21aに記載された白丸に対応する。
【0110】
また、端子69a、配線68a、配線67a及びTSV70aは、図2及び図4において、領域22aに記載された白丸に対応する。また、端子69b、配線68b、配線67b、配線67d及びTSV70bは、図2及び図4において、領域22aに記載された黒丸に対応する。
【0111】
また、端子75a、配線74a、配線73a、配線73c及びTSV76aは、図2及び図5において、領域23aに記載された黒丸に対応する。また、端子75b、配線74b、配線73d及びTSV76bは、図2及び図5において、領域23aに記載された白丸に対応する。
【0112】
以上のことから、大規模集積回路22には、上述した第1グループを構成する各振動素子20に対応するTSV(図8BではTSV70a)が設けられ、第2グループを構成する各振動素子20に対応する送受信回路22b(図8Bでは送受信回路22b_1)が設けられている。第1グループを構成する各振動素子20に対応するTSVは、大規模集積回路23に設けられた各送受信回路23bに接続されている。このような構成により、大規模集積回路22に設けられた送受信回路22bの回路面積として、2つ分の領域22aの面積を確保することができる。すなわち、1つの振動素子20あたりの送受信回路22bの回路面積として、2つ分の領域22aの面積を確保することができる。
【0113】
また、大規模集積回路23には、第1グループを構成する各振動素子20に対応する送受信回路23b(図8Bでは送受信回路23b_1)が設けられ、第2グループを構成する各振動素子20に対応するTSV(図8BではTSV76b)が設けられている。第2グループを構成する各振動素子20に対応するTSVは、大規模集積回路22に設けられた各送受信回路22bに接続されている。このような構成により、大規模集積回路23に設けられた送受信回路23bの回路面積として、2つ分の領域23aの面積を確保することができる。すなわち、1つの振動素子20あたりの送受信回路23bの回路面積として、2つ分の領域23aの面積を確保することができる。
【0114】
以上、第1の実施形態に係る超音波診断装置100について説明した。ここで、1つの大規模集積回路の各領域に、送受信回路及び制御回路を設けた場合について説明する。図9及び図10は、大規模集積回路の各領域に、送受信回路及び制御回路を設けた場合の一例を示す図である。図9及び図10には、1つの大規模集積回路200が示されている。大規模集積回路200の各領域200aには、図10に示すように、送受信回路200b及び制御回路200cが設けられている。
【0115】
そして、送受信回路200bは、中継基板240を介して、直上の振動素子300に接続されている。このような場合、送受信回路200bの回路面積として、1つの振動素子300に対応する1つの領域200aの面積しか確保されない。これに加えて、送受信回路200bは、制御回路200cと1つの領域200aを共有することになる。したがって、図9及び図10の場合では、送受信回路200bの回路面積として確保される面積の大きさを大きくすることが困難である。すなわち、送受信回路200bの回路面積を確保することが困難である。
【0116】
なお、種々の電子回路のサイズ(回路面積)を比較的小さくすることができる製造プロセスもある。そこで、このような製造プロセスを用いて、サイズが比較的小さい送受信回路200bが設けられた大規模集積回路200を製造することも考えられる。しかしながら、例えば、設計の段階で、超音波プローブに設けられる送受信回路200bの特性や性能が予め定められている。この場合には、以下で説明する理由により、アナログ回路が支配的である送受信回路200bのサイズを小さくすることが困難である。
【0117】
例えば、送受信回路200bを構成するトランジスタのサイズは、送受信回路200bの特性や性能に応じて大きさが定まる。そのため、トランジスタのサイズを小さくしてしまうと、設計の段階で定められた特性や性能が変化してしまう。このように、送受信回路200bのサイズを小さくする製造プロセスはあるものの、その製造プロセスを用いて大規模集積回路200を製造した場合には、定められた特性や性能を満たすことが困難である。すなわち、図9及び図10では、定められた性能や特性に応じて定まる送受信回路200bの回路面積を確保することが困難である。
【0118】
そこで、第1の実施形態に係る超音波プローブ1は、上述したように、1つの送受信回路22b,23bの面積として、1つの領域22a,23aではなく、複数(例えば、2つ)の領域22a,23aを確保する。したがって、第1の実施形態によれば、1つの振動素子20あたりの1つの送受信回路22b,23bの回路面積を確保することができる。
【0119】
なお、第1の実施形態に係る複数の振動素子20は、超音波を送信する一の群の振動素子20と、エコーを受信する他の群の振動素子20とに分けられてもよい。すなわち、振動素子20は、超音波の送信及び受信のうち少なくともいずれかを実行すればよい。
【0120】
(第1の実施形態の第1の変形例)
次に、第1の実施形態の第1の変形例に係る超音波プローブについて説明する。第1の実施形態に係る超音波プローブ1の構成と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0121】
図11は、第1の実施形態の第1の変形例に係る超音波プローブの一例を説明するための図である。第1の変形例に係る超音波プローブは、図11に示す大規模集積回路22,23を有する。図11に示す大規模集積回路22,23には、対角の位置に、1つのマーカ80aと、2つのマーカ80b及び80cとが設けられている。これにより、超音波プローブを製造する際に、開発者等は、1つマーカ80a、及び、2つのマーカ80b及び80cの位置を確認することで、大規模集積回路22,23の向きを容易に把握することができる。したがって、第1の変形例によれば、開発者等に、超音波プローブを容易に製造させることができる。
【0122】
なお、マーカ80a~80cとして様々な部材が考えられるが、例えば、再配線層68,74に形成された配線を剥き出しにし、剥き出しにされた配線をマーカ80a~80cとして用いてもよい。
【0123】
(第1の実施形態の第2の変形例)
第1の実施形態では、送受信回路22b,23bが設けられた2つの大規模集積回路22,23を超音波プローブ1が備える場合について説明した。しかしながら、送受信回路が設けられたK(Kは3以上の整数)以上の大規模集積回路を超音波プローブが備えてもよい。そこで、このような変形例を、第1の実施形態の第2の変形例として説明する。第1の実施形態に係る超音波プローブ1の構成と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。以下、K=4の場合を例に挙げて説明する。
【0124】
図12は、第1の実施形態の第2の変形例に係る超音波プローブの製造方法の一部の一例を示す図である。図12に示すように、第2の変形例では、4つの大規模集積回路81~84は、同一の大規模集積回路である。
【0125】
大規模集積回路82~84は、XY平面における中心点85a,86a,87aを有する。そして、4つの大規模集積回路81~84を同一の向きに配置した上で、大規模集積回路81に対して、中心点85aを通りX方向及びY方向に直交する回転軸85b周りに、矢印85が示すように大規模集積回路82を90度回転させる。すなわち、超音波プローブに搭載される大規模集積回路82の向きは、大規模集積回路81に対して90度異なる。
【0126】
また、大規模集積回路81に対して、中心点86aを通りX方向及びY方向に直交する回転軸86b周りに、矢印85,86が示すように大規模集積回路83を180度回転させる。すなわち、超音波プローブに搭載される大規模集積回路83の向きは、大規模集積回路81に対して180度異なる。
【0127】
また、大規模集積回路81に対して、中心点87aを通りX方向及びY方向に直交する回転軸87b周りに、矢印85~87が示すように大規模集積回路84を270度回転させる。すなわち、超音波プローブに搭載される大規模集積回路84の向きは、大規模集積回路81に対して270度異なる。
【0128】
そして、90度回転された大規模集積回路82を大規模集積回路81上に配置する。そして、180度回転された大規模集積回路83を、大規模集積回路82上に配置する。そして、270度回転された大規模集積回路84を、大規模集積回路83上に配置する。
【0129】
この場合、先に説明した黒丸と白丸との位置関係は、次のような関係となる。例えば、黒丸と白丸との位置関係は、XY平面において、1つの黒丸の位置に対して3つの白丸の位置が一致するような関係となる。
【0130】
図12に示す符号「91」~「94」は、大規模集積回路81の領域81aに記載された黒丸を指す。図12では、符号「91」~「94」それぞれが指す黒丸は、黒丸が記載された領域81aに設けられた導体であって、送受信回路に接続された導体を模式的に示す。
【0131】
なお、大規模集積回路81では、送受信回路は、黒丸が記載された領域81a、並びに、この領域81aにX軸方向、Y軸方向、並びに、X軸方向及びY軸方向とは異なる斜め方向の3つの方向において隣接する3つの領域(白丸が記載された3つの領域)81aに跨って設けられている。すなわち、大規模集積回路81では、送受信回路は、4つの領域81aに跨がって設けられている。
【0132】
また、符号「101」~「104」は、大規模集積回路82の領域82aに記載された黒丸を指す。図12では、符号「101」~「104」それぞれが指す黒丸は、黒丸が記載された領域82aに設けられた導体であって、送受信回路に接続された導体を模式的に示す。大規模集積回路82では、大規模集積回路81と同様に、送受信回路は、4つの領域82aに跨がって設けられている。
【0133】
また、符号「111」~「114」は、大規模集積回路83の領域83aに記載された黒丸を指す。図12では、符号「111」~「114」それぞれが指す黒丸は、黒丸が記載された領域83aに設けられた導体であって、送受信回路に接続された導体を模式的に示す。大規模集積回路83では、大規模集積回路81と同様に、送受信回路は、4つの領域83aに跨がって設けられている。
【0134】
また、符号「121」~「124」は、大規模集積回路84の領域84aに記載された黒丸を指す。図12では、符号「121」~「124」それぞれが指す黒丸は、黒丸が記載された領域84aに設けられた導体であって、送受信回路に接続された導体を模式的に示す。大規模集積回路84では、大規模集積回路81と同様に、送受信回路は、4つの領域84aに跨がって設けられている。
【0135】
また、領域81aに記載された白丸は、白丸が記載された領域81aに設けられた導体であって、直下の制御回路31と直上の領域82aとを接続する導体を模式的に示す。領域82aに記載された白丸は、白丸が記載された領域82aに設けられた導体であって、直下の領域81aと直上の領域83aとを接続する導体を模式的に示す。領域83aに記載された白丸は、白丸が記載された領域83aに設けられた導体であって、直下の領域82aと直上の領域84aとを接続する導体を模式的に示す。領域84aに記載された白丸は、白丸が記載された領域84aに設けられた導体であって、直下の領域83aと接続するとともに、直上の振動素子20とを接続する導体を模式的に示す。
【0136】
なお、図12では、大規模集積回路81のハッチングされた4つの領域81aと、大規模集積回路82のハッチングされた4つの領域82aと、大規模集積回路83のハッチングされた4つの領域83aと、大規模集積回路84のハッチングされた4つの領域84aとが対応する。
【0137】
図12の右側に示す、数値Q(Q=1~4)と符号R(R=91~94,101~104,111~114,121~124)とがハイフン「-」で繋がった「Q-R」は、「Q」が示す大規模集積回路において、符号「R」が指す黒丸が記載された領域81a、領域82a、領域83a又は領域84aに、符号「R」が指す黒丸が示す導体が設けられていることを示す。例えば、「Q」が「1」である場合には、「Q」は大規模集積回路81を示す。「Q」が「2」である場合には、「Q」は大規模集積回路82を示す。「Q」が「3」である場合には、「Q」は大規模集積回路83を示す。「Q」が「4」である場合には、「Q」は大規模集積回路84を示す。
【0138】
例えば、「3-111」は、大規模集積回路83において、符号「111」が指す白丸が記載された領域83aに、送受信回路に接続されたTSV等の導体が設けられていることを示す。
【0139】
第2の変形例では、図12の右側に示すように、全ての振動素子20に対応する領域(4個の領域81a、4個の領域82a、4個の領域83a及び4個の領域84a)に、送受信回路に接続されたTSV等の導体が設けられている。すなわち、全ての振動素子20のそれぞれは、送受信回路に接続されている。なお、全ての振動素子20が、送受信回路に接続されていなくてもよい。例えば、送受信回路は、複数の振動素子20のうちの少なくともいずれかに接続されていればよい。
【0140】
第2の変形例に係る超音波プローブについて説明した。第2の変形例に係る超音波プローブは、1つの送受信回路の面積として、1つの領域ではなく、複数の領域を確保する。例えば、第2の変形例では、上述したK個の領域が確保される。したがって、第2の変形例によれば、第1の実施形態と同様に、1つの振動素子20あたりの1つの送受信回路の回路面積を確保することができる。
【0141】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、同一の機能を有する電子回路として送受信回路22b,23bが設けられた複数の大規模集積回路22,23を超音波プローブ1が備える場合について説明した。しかしながら、大規模回路ごとに異なる機能を有する電子回路が設けられてもよい。そこで、このような実施形態を第2の実施形態として説明する。なお、第1の実施形態に係る超音波プローブ1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0142】
図13A及び図13Bは、第2の実施形態に係る超音波プローブの一例を説明するための図である。図13Aには、第2の実施形態に係る大規模集積回路130が示されている。図13Bには、第2の実施形態に係る大規模集積回路131が示されている。例えば、第2の実施形態に係る超音波プローブは、先の大規模集積回路22に代えて大規模集積回路130を備える点、及び、先の大規模集積回路23に代えて大規模集積回路131を備える点が、第1の実施形態に係る超音波プローブ1と異なる。
【0143】
なお、第2の実施形態に係る制御回路31は、第1の実施形態に係る制御回路31と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0144】
図13Aに示すように、大規模集積回路130の各領域130aには、送信回路130bが設けられている。ここで、第2の実施形態では、1つの領域130aに1つの送信回路130bが設けられている。第2の実施形態に係る送信回路130bは、例えば、上述したパルサ回路と、上述した遅延回路のうち駆動信号に対して遅延処理を行う回路(送信遅延回路)とを含む。すなわち、送信回路130bは、超音波の送信に関する回路である。なお、領域130a_1に設けられた送信回路130bを「送信回路130b_1」と表記する。また、領域130a_2に設けられた送信回路130bを「送信回路130b_2」と表記する。
【0145】
また、図13Aにおいて、各領域130aに記載された黒丸は、例えば、黒丸が記載された各領域130aに設けられた送信回路130bと、直下の制御回路31及び直上の後述する領域131aとを接続する導体を模式的に示したものである。第2の実施形態では、例えば、かかる導体として、端子及びTSV等が用いられる。この場合には、黒丸が記載された領域130aにおいて、送信回路130bが、TSV等を介して直下の制御回路31に接続されるとともに、端子等を介して直上の後述する領域131a(具体的には、直上の後述する送信回路130b)と接続されている。
【0146】
図13Bに示すように、大規模集積回路131の各領域131aには、受信回路131bが設けられている。ここで、第2の実施形態では、1つの領域131aに1つの受信回路131bが設けられている。第2の実施形態に係る受信回路131bは、例えば、上述した増幅器と、上述した遅延回路のうちエコー信号に対して遅延処理を行う回路(受信遅延回路)とを含む。すなわち、送信回路130bは、超音波の受信に関する回路である。なお、領域131a_1に設けられた受信回路131bを「受信回路131b_1」と表記する。また、領域131a_2に設けられた受信回路131bを「受信回路131b_2」と表記する。
【0147】
また、図13Bにおいて、各領域131aに記載された黒丸は、例えば、黒丸が記載された各領域131aに設けられた受信回路131bと、直下の領域130a(具体的には、直下の領域130aに設けられた送信回路130b)及び直上の振動素子20bとを接続する導体を模式的に示したものである。第2の実施形態では、かかる導体として、端子及びTSVが用いられる。この場合には、黒丸が記載された領域131aにおいて、受信回路131bが、TSV等を介して直下の送信回路130bに接続されるとともに、端子等を介して直上の振動素子20に接続される。
【0148】
例えば、図13A及び図13Bにおいて、送信回路130b_1は、上述した制御回路31aの制御を受けて、駆動信号を生成し、生成した駆動信号を、直上の受信回路131bに出力する。そして、受信回路131bは、受信した駆動信号を、直上の振動素子20_1に出力する。
【0149】
そして、受信回路131b_1は、振動素子20_1から出力されたエコー信号を受信する。
【0150】
そして、受信回路131b_1は、制御回路31aの制御を受けて、受信したエコー信号を増幅させ、増幅されたエコー信号に対して遅延処理を行い、遅延処理が行われたエコー信号を送信回路130b_1に出力する。そして、送信回路130b_1は、受信したエコー信号を直下の制御回路31aに出力する。
【0151】
送信回路130b_2、受信回路131b_2及び制御回路31bについても同様の処理を行う。また、他の送信回路130b、受信回路131b及び制御回路31についても同様の処理を行う。
【0152】
ここで、送信回路130bと受信回路131bは、耐電圧が異なる。例えば、送信回路130bは、駆動信号を生成するパルス回路等のアナログ回路が支配的である。一方、受信回路131bは、振動素子20で発生したエコー信号を処理するデジタル回路が支配的である。このため、例えば、送信回路130bの耐電圧は、受信回路131bの耐電圧よりも高い。なお、受信回路131bは、第1の電子回路の一例であり、送信回路130bは、第2の電子回路の一例である。
【0153】
例えば、耐電圧の差が大きい複数の電子回路が設けられた1つの大規模集積回路を製造する場合に用いられる製造プロセスの種類は、耐電圧が大きい方の電子回路を製造することができる種類に限定される。
【0154】
ここで、第2の実施形態に係る超音波プローブは、耐電圧が比較的大きい送信回路130bが設けられた大規模集積回路130と、耐電圧が比較的小さい受信回路131bが設けられた大規模集積回路131とに分けられている。このため、大規模集積回路131を製造する場合には、大規模集積回路131に設けられた受信回路131bの耐電圧の大きさを原因として製造プロセスの種類が絞られない。したがって、第2の実施形態に係る超音波プローブによれば、製造プロセスの種類が限定されることを抑制することができる。
【0155】
また、第2の実施形態では、先の送受信回路22b,23bに含まれる各種の回路が、送信回路130bと受信回路131bとに分けられる。そして、送信回路130b及び受信回路131bのそれぞれの電子回路が、1つの領域130a,131aに設けられる。したがって、第2の実施形態によれば、送受信回路22b,23bを1つの領域22a、22bに設けた場合と比較して、送信回路130b及び受信回路131bの回路面積を確保することができる。
【0156】
(第3の実施形態)
第1の実施形態では、超音波プローブ1が、1つの大規模集積回路22と1つの大規模集積回路23とを備える場合について説明した。しかしながら、振動素子20の数が増加する場合等には、複数の振動素子20の数に応じて、超音波プローブは、複数の大規模集積回路22と複数の大規模集積回路23とを備えてもよい。そこで、このような実施形態を第3の実施形態として説明する。
【0157】
図14A及び図14Bは、第3の実施形態に係る超音波プローブの一例を説明するための図である。第3の実施形態に係る超音波プローブは、図14Aに示す大規模集積回路141と、図14Bに示す大規模集積回路142とを備える。
【0158】
大規模集積回路141は、振動素子20の数に応じて、上述した大規模集積回路22がX軸方向に3つ並べられたものである。また、大規模集積回路142は、振動素子20の数に応じて、上述した大規模集積回路23がX軸方向に3つ並べられたものである。
【0159】
なお、第3の実施形態において、大規模集積回路141に設けられた送受信回路22b、及び、大規模集積回路142に設けられた送受信回路23bを制御する制御回路が設けられた大規模集積回路は、振動素子20の数に応じて新たに製造される。
【0160】
図14A及び図14Bに示す第3の実施形態に係る超音波プローブの製造方法の一部について説明すると、複数の振動素子20の背面側に、複数(図14Bでは3つ)の大規模集積回路142を所定の向きで配置する。そして、大規模集積回路142の背面側に、複数(図14Aでは3つ)の大規模集積回路141を所定の向きと異なる向きで配置する。
【0161】
図14C及び図14Dは、第3の実施形態に係る超音波プローブの他の例を説明するための図である。なお、図14Cに示すように、大規模集積回路141は、振動素子20の数に応じて、上述した大規模集積回路22がX軸方向に2つ並べられた大規模集積回路22の列が、Y軸方向に2つ並べられたものであってもよい。また、図14Dに示すように、大規模集積回路142は、振動素子20の数に応じて、上述した大規模集積回路23がX軸方向に2つ並べられた大規模集積回路23の列が、Y軸方向に2つ並べられたものであってもよい。
【0162】
このとき、例えば、振動素子20の個数が36個である場合(X軸方向に6つ並んだ振動素子20の列が、Y軸方向に6つ並べられている場合)には、大規模集積回路142における64個の領域23aのうち、中央部分の36個の領域23aのそれぞれが、36個の振動素子20のそれぞれに接続されてもよい。また、大規模集積回路141における64個の領域22aのうち、中央部分の36個の領域22aのそれぞれが、上述した36個の領域23aのそれぞれに接続されてもよい。また、中央部分の36個の領域22aのそれぞれが、36個の制御回路31のそれぞれに接続されてもよい。
【0163】
(第4の実施形態)
なお、第1の実施形態では、大規模集積回路22に対して大規模集積回路23を回転させた上で、大規模集積回路23を所定の向きで配置し、大規模集積回路22を先の所定の向きと異なる向きで配置する場合について説明した。
【0164】
しかしながら、一の大規模集積回路に対して他の大規模集積回路をX軸方向及びY軸方向の少なくとも一方の方向に移動(シフト)させた上で、一の大規模集積回路と、移動された他の大規模集積回路とを配置してもよい。
【0165】
以上述べた少なくとも1つの実施形態の超音波プローブ及び超音波プローブの製造方法によれば、電子回路の回路面積を確保することができる。
【0166】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0167】
1 超音波プローブ
20 振動素子
22,23 大規模集積回路
22a,23a 領域
22b,23b 送受信回路
70a,70b,76a,76b TSV
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図14C
図14D