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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】紙幣入出金装置、現金自動取引処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/14 20190101AFI20221114BHJP
   G07D 11/22 20190101ALI20221114BHJP
【FI】
G07D11/14
G07D11/22
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018172199
(22)【出願日】2018-09-14
(65)【公開番号】P2020046704
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2020-12-24
(73)【特許権者】
【識別番号】504373093
【氏名又は名称】日立チャネルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】浅野 展充
(72)【発明者】
【氏名】安枝 徹
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-167951(JP,A)
【文献】特開2007-241706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 11/00 - 11/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣の取引口と、
前記取引口内の紙幣の有無を検出する紙幣センサと、
空気を噴出または吸引する空気取扱装置を用いて前記取引口内に空気を噴出または吸引するための開口部と、を備え、
前記取引口に入金された紙幣を計数して搬送する入金計数時において、前記紙幣センサが紙幣なしを検出した場合に、前記開口部から空気が噴出または吸引される、
ことを特徴とする紙幣入出金装置。
【請求項2】
請求項1に記載の紙幣入出金装置であって、
前記取引口を開閉するシャッターを備え、
前記取引口に入金され、紙幣を計数して搬送する入金計数前に、前記シャッターが開いた状態で前記開口部から空気が噴出または吸引される、
ことを特徴とする紙幣入出金装置。
【請求項3】
請求項1に記載の紙幣入出金装置であって、
前記取引口を開閉するシャッターを備え、
紙幣を前記取引口に出金する出金取引において、前記紙幣センサが前記取引口の紙幣なしを検出した場合に、前記シャッターが開いた状態で前記開口部から空気が噴出または吸引される、
ことを特徴とする紙幣入出金装置。
【請求項4】
請求項1に記載の紙幣入出金装置であって、
前記取引口を開閉するシャッターを備え、
紙幣を前記取引口に出金する出金取引において、前記紙幣センサが前記取引口の紙幣なしを検出した場合において、前記シャッターが閉じた際に前記開口部から空気が噴出または吸引される、
ことを特徴とする紙幣入出金装置。
【請求項5】
請求項1に記載の紙幣入出金装置であって、
前記取引口を開閉するシャッターを備え、
前記取引口に入金され、紙幣を計数して搬送する入金計数前において、前記シャッターが閉じられた際に、前記開口部から空気が噴出または吸引される、
ことを特徴とする紙幣入出金装置。
【請求項6】
請求項1に記載の紙幣入出金装置であって、
前記紙幣入出金装置は、前記空気の噴出または吸引の開始後において、前記紙幣センサが紙幣ありを検出した場合、または前記紙幣センサが紙幣なしを所定時間継続して検出した場合、前記紙幣センサによる紙幣の有無を検出する処理を終了させる、
ことを特徴とする紙幣入出金装置。
【請求項7】
利用者から取引に必要な情報の入力を受け付け、前記情報を表示する操作表示部と、
前記取引に用いる取引媒体を処理し、前記取引の明細票を処理するカード明細票処理部と、
前記取引に用いる通帳を処理する通帳処理部と、
紙幣の取引口と、前記取引口内の紙幣の有無を検出する紙幣センサと、空気を噴出または吸引する空気取扱装置を用いて前記取引口内に空気を噴出または吸引するための開口部と、を備えた紙幣入出金装置と、を備え、
前記紙幣入出金装置は、前記取引口に入金された紙幣を計数して搬送する入金計数時において、前記紙幣センサが紙幣なしを検出した場合に、前記開口部から空気が噴出または吸引される、
ことを特徴とする現金自動取引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば金融機関などで使用される現金自動取引装置に実装されるような紙葉類を取り扱う技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金融機関などで使用される現金自動取引装置では、入出金の取引において入出金口への紙幣の投入や搬送が行われる。この際に入出金口内に設置された紙幣センサを紙幣が遮光することにより紙幣ありを検知している。しかし、紙幣の姿勢によっては紙幣センサを遮光しない状態になることがあり、その状態では入出金口内に紙幣があるのに検知できず、取引に支障をきたすという問題がある。これを解決する手段として従来装置では、入出金口内にある押圧板等を振動させることで紙幣を揃えるという技術を用いている。振動で紙幣を揃える機能を有した装置としては、例えば、特許文献1や、特許文献2で開示された自動取引装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-163721号公報
【文献】特開2006-58939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2では、押圧板等の振動を用いて紙幣の姿勢を変えようとしているが、紙幣が振動する部位に触れていない状態になっている場合など、振動動作では姿勢を変えるだけの力を加えられないことがある。また、押圧板等の部品を入出金口内で稼働させる動作は、利用者が手を入れて怪我しないようにシャッターを閉じた状態でないと実施できないという制約を有している。
【0005】
本発明は、シャッターの開閉状態にかかわらず、紙幣センサによる紙幣の検出精度を向上させることが可能な自動取引処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる紙幣入出金装置は、紙幣の取引口と、前記取引口内の紙幣の有無を検出する紙幣センサと、空気を噴出または吸引する空気取扱装置を用いて前記取引口内に空気を噴出または吸引するための開口部と、を備えることを特徴とする紙幣入出金装置として構成される。
【0007】
また、本発明は、上記紙幣入出金装置を備えた現金自動取引処理装置としても把握される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、シャッターの開閉状態にかかわらず、紙幣センサによる紙幣の検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】現金自動取引装置の外観を示す図である。
図2】現金自動取引装置の制御機構を示す図である。
図3】紙幣入出金装置の構成を示す図である。
図4】紙幣入出金装置の入出金口の構成を示す図である。
図5】従来の入金計数処理のフローを示す図である。
図6】入金計数処理のフローを示す図である。
図7】従来の出金処理のフローを示す図である。
図8】出金処理のフローを示す図である。
図9】残留紙幣確認、紙幣センサ確認のフローを示す図である。
図10】残留紙幣確認、紙幣センサ監視のフローを示す図である。
図11】紙幣センサによる紙幣の検出が出来ない一例を示す図である。
図12】入出金口内の紙幣を検出する一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の思想ないし趣旨から逸脱しない範囲で、その具体的構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。
【0011】
以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、重複する説明は省略することがある。
【0012】
本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」などの表記は、構成要素を識別するために付するものであり、必ずしも、数または順序を限定するものではない。また、構成要素の識別のための番号は文脈毎に用いられ、一つの文脈で用いた番号が、他の文脈で必ずしも同一の構成を示すとは限らない。また、ある番号で識別された構成要素が、他の番号で識別された構成要素の機能を兼ねることを妨げるものではない。
【0013】
図面等において示す各構成の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0014】
本明細書において単数形で表される構成要素は、特段文脈で明らかに示されない限り、複数形を含むものとする。
【実施例1】
【0015】
以下に、本実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は、本実施例における現金自動取引装置の外観の一例を示す図である。本実施例の現金自動取引装置101は、紙幣入出金装置1と、顧客の取引カードや取引明細票を処理するカード/明細票処理機構102と、取引に用いる通帳を処理する通帳処理機構103と、筐体104と、取引に必要な情報を利用者に表示したり利用者が入力をしたり、あるいは係員が運用の確認のために表示および情報入力したりするタッチパネル等の入出力装置から構成される操作/表示部105と、各装置・機構の制御を行うCPU(Central Processing Unit)等の演算装置から構成される本体制御部106を備えている。
【0017】
図2は、本装置の制御関係を示すブロック図である。カード/明細票処理機構102、通帳処理機構103、操作/表示部105および紙幣入出金装置1はバス110を介して本体制御部106と接続されており、本体制御部106の制御の下に必要な動作を行う。上記の他に、インタフェース部107と、係員操作部108と、外部記憶装置109とがバス110で接続されており、必要なデータのやり取りを行う。なお、上記各機構、構成部分は、電源部111により電力を供給される。
【0018】
図3は、現金自動取引装置101に実装される紙幣入出金装置1の構成を示す図であり、図4は、紙幣入出金装置1の入出金口2(紙幣取引口)の構成を側面から示す図である。紙幣入出金装置1は、紙幣を出し入れする入出金口2と、搬送される各紙幣の金種、真偽若しくは状態を判別する判別部3を有する。
【0019】
さらに、入金した紙幣を取引成立までの間一時的に収納する一時保留部4と、紙幣入出金装置1で取り扱う紙幣が収納される紙幣庫と、紙幣を収納する紙幣庫と紙幣入出金装置1の各構成要素を結び、紙幣を搬送する搬送路5と、紙幣の通過を検出するための搬送路センサ13a~13hとを有する。
【0020】
紙幣庫はその役割に応じて分類され、例えば紙幣の一部に折れなどが生じていると判断されたリジェクト紙幣等の出金として扱わない紙幣を収納する入金庫6、入金および出金に合わせて紙幣の金種ごとに収納および放出を行う還流庫7~10、入出金口2の取り忘れ紙幣を収納する取り忘れ回収庫14がある。
図4に示す入出金口2には、取引状況に応じて本体制御部106が開閉するシャッター301、可動して紙幣の姿勢を整えたり加圧する押圧板302、可動して入出金口内部を出金側と入金側に区分する仕切り板303、入出金口内外への紙幣搬送を行う紙幣搬送路304、向かい合ったセンサの間が遮光されることで紙幣有無を検出する紙幣センサ305a~305f、空気を噴出する機能を有した噴射機等の装置から構成される空気噴出装置306、空気噴出装置306から入出金口2まで空気を送るための空気配管307、空気噴出装置306から送られた空気を入出金口内で噴出させるノズル等の部品から構成される空気噴出口308がある。このように、紙幣入出金装置1には、紙幣入出金口2と、紙幣入出金口2内の紙幣の有無を検出する紙幣センサ305a~305fと、空気を噴出または吸引する空気取扱装置306を用いて紙幣入出金口2内に空気を噴出または吸引するための空気噴出口308が設けられている。
【0021】
利用者は、現金自動取引装置101によって様々な取引を実行するが、本実施例では、利用者の入金取引において、入金された紙幣の金額を求めるための入金計数動作での例を示す。
【0022】
図5図6にて、入金計数時の制御フローの一例を示す。図5は、従来の制御フローであり、図6は、本実施例における制御フローとなる。両図の違いは図6で示す501~503の有無である。
【0023】
入金計数処理を開始すると(401)、紙幣入出金装置1は、計数する紙幣を投入するためにシャッター301を開ける(402)。紙幣入出金装置1は、利用者が入金紙幣を投入して完了操作をしたか否かを判定し(403)、完了操作をした場合(403;Yes)、シャッター301を閉じる(404)。なお、以下では、シャッターが閉じて入金計数後に残留紙幣確認を実行しているが、ステップ403終了後、ステップ404の開始前のタイミングで残留紙幣確認を行ってもよい。紙幣投入直後、すなわち、紙幣入出金口2に入金され、紙幣を計数して搬送する入金計数前に、シャッター301が開いた状態で空気噴出口308から空気が噴出または吸引することにより、紙幣センサ305a~305fからの通知にかかわらず、紙幣の姿勢異常を正すことができ、入金計数処理およびそれ以降の処理における搬送異常は紙幣センサの検知精度の低下を抑えることができる。また、シャッターが開状態であるため、利用者が、紙幣が正しい姿勢となったことを確認した上で処理を進めることができる。
【0024】
また、紙幣入出金装置1は、ステップ404の直後で残留紙幣確認を行ってもよい。すなわち、入出金口2に入金され、紙幣を計数して搬送する入金計数前において、シャッター301が閉じられた際に、空気噴出口308から空気が噴出または吸引してもよい。これにより、空気の噴出による紙幣の飛び出しを防止しつつ、紙幣センサ305a~305fからの通知にかかわらず、入金計数前に紙幣の姿勢異常を正すことができる。
【0025】
紙幣入出金装置1は、入金された紙幣の金額を求めるために判別部3を経由して一時保留部4への紙幣搬送を開始し(405)、入出金口2の紙幣センサ305a~305fが紙幣なしを検出するか否かを判定する(406)。紙幣入出金装置1は、入出金口2の紙幣センサ305a~305fが紙幣なしを検出したと判定すると(406;Yes)、検出入金紙幣の計数搬送を正常終了(407)する。
【0026】
しかしながら、入出金口に投入された紙幣の一部が、紙幣センサ305a~305fによる検出が出来ない姿勢となっていて、それ以外の紙幣が正常に搬送された場合、ステップ406における判定で、「紙幣なし」(入金紙幣の全てを搬送完了)と誤判定することになってしまう。この場合、利用者が投入した金額と計数した金額が不一致となる。また、入出金口内に残留したままとなった紙幣(利用者の紙幣)が、その後の別取引に混入してしまう問題も起こりうる。
【0027】
図11に、紙幣センサによる紙幣の検出が出来ない状態の一例を示す。図11では、入出金口内で紙幣309が仕切り板303と入出金口2の内壁面Wの間をブリッジするように載った状態を示している。この状態では、紙幣センサ305a~305fの紙幣検出ライン(図11では点線で示している)のいずれも遮光しないので、この場合、紙幣センサによる状態通知は「紙幣なし」となる。本実施例では、紙幣センサにより紙幣が検出出来ない状態から、紙幣センサで紙幣を検出できるように解決するものである。
【0028】
紙幣入出金装置1は、ステップ406における判定で、「紙幣なし」の判定となった後に、残留紙幣がないかの確認動作(501 詳細は図9記載で後述する)を行い、確認結果を判定する(502)。紙幣入出金装置1は、残留紙幣を検出した場合は(502;Yes)、入金計数動作を紙幣残留の発生による異常終了(503)とする。このように、ステップ501のタイミング、すなわち、紙幣入出金口2に入金された紙幣を計数して搬送する入金計数時において、紙幣センサ305a~305fが紙幣なしを検出した場合に、紙幣入出金口2から空気が噴出または吸引される。
【0029】
図9に記載する残留紙幣確認の詳細フローについて説明する。
まず、紙幣入出金装置1は、残留紙幣確認結果を「紙幣なし」に初期化する(802)。紙幣入出金装置1は、残留紙幣があることを想定し、残留紙幣の姿勢を変化させることを目的として、空気噴出装置306を制御し、空気噴出口308から入出金口内で空気を噴出させる(803)。紙幣入出金装置1は、空気の噴出後に紙幣センサ305a~305fで紙幣検出がないかを判定する(804~806)。いずれかの判定で紙幣を検出した場合(804;Yes、805;Yes、806;Yesのいずれかが成立した場合)、残留紙幣確認結果を「紙幣あり」とする(807)。一方、紙幣入出金装置1は、いずれの判定も紙幣なしを検出した場合(804;No、かつ805;No、かつ806;Noの場合)、残留紙幣確認結果を「紙幣なし」とする。
【0030】
空気噴出による残留紙幣の確認においては、残留紙幣がばたついて一時的にだけ紙幣センサ検出できる場合も考えられる。したがって、紙幣入出金装置1は、図6の残留紙幣確認(501)を、図10に示す詳細フローとして、紙幣センサが紙幣ありを検出し続ける状態にならなくとも、一時的なセンサ検出で残留紙幣発見と判断してもよい。すなわち、紙幣入出金装置1は、空気の噴出または吸引の開始後において、紙幣センサが紙幣ありを検出した場合(例えば、検知次第)、または紙幣センサが紙幣なしを所定時間継続して検出した場合(例えば、検知なしの通知が一定時間継続した場合)、紙幣センサによる紙幣の有無を検出する処理を終了させてもよい。これにより、残留紙幣確認のための処理を速やかに終了させ、取引を迅速に行うことができる。
【0031】
図10に記載する残留紙幣確認の詳細フローについて説明する。ここで説明する処理は、主となる残留紙幣確認処理(901)と、それと並行に動作する従となる紙幣センサ監視処理(905)から構成される。
【0032】
紙幣入出金装置1は、紙幣センサ監視処理(905)で動作を開始すると、残留紙幣確認結果を「紙幣なし」に初期化する(906)。紙幣入出金装置1は、紙幣センサ305a-305fによる「紙幣あり」の検出が無いかの判定(907~909)を、いずれかの判定で「紙幣あり」検出(910)するか、本体制御部106から紙幣センサ監視の終了指示(911)を受けるまで繰り返す。紙幣入出金装置1は、判定(907~909)で「紙幣あり」検出した場合は、残留紙幣確認結果を「紙幣あり」に更新する。
【0033】
紙幣残留確認処理(901)では、紙幣入出金装置1は、紙幣センサ監視(905)を開始(902)させてから、入出金口内で空気を噴出(903)。空気の噴出後に紙幣センサ監視の終了を指示(904)して、紙幣センサ監視は終了する。残留紙幣確認結果には紙幣センサ監視処理で得られたものを用いる。
【0034】
図12に、本実施例により入出金口内の紙幣を検出する一例を示す。図12では、紙幣入出金装置1が、残留紙幣がないか確認を行う際に、空気噴出装置306から空気の噴出を行い、送り出された空気が、空気配管307を通って、入出金口内の空気噴出口308から、噴出方向Pに向かって噴出される例を示している。これにより図11では紙幣センサから検出できない姿勢だった紙幣309が、図12で示すように異なる姿勢310へと変化して、紙幣センサ305e-305fから検出されるようになる。なお、図12では、紙幣が入出金口内において立位状態で集積されることを想定し、紙幣センサ305aおよび305b、紙幣センサ305cおよび305d、紙幣センサ305eおよび305fのそれぞれの組が、投入された紙幣により遮られる水平方向に発光および受光する遮光センサにより構成され、空気噴出口308の噴出方向Pが、上記水平方向と交わる方向に設置されている。
【0035】
本実施例では1つの空気噴出口308を入出金口の前方上側に設置した例で記載しているが、噴出される空気によって紙幣の姿勢を変えることができるため、入出金口内への空気噴出ができる位置であれば、空気噴出口308は他の位置に設置されてもよい。また、空気噴出装置306/空気配管307/空気噴出口308は、いずれも個数が複数個であってもよい。
【0036】
また、本実施例では、残留紙幣の姿勢を変化させるために、空気の噴出を用いているが、空気を吸引して紙幣を引き寄せる機構に置き換えても、吸引される空気によって紙幣の姿勢を変えることができるため、同様の効果を得ることができる。
【0037】
このように、本実施例の残留紙幣確認では、押圧板などの部品の稼働動作がないため、従来の残留紙幣確認に比べて短い時間で実施が可能だという利点がある。また、空気の流れで紙幣の姿勢を変えるため、従来の押圧板での残留検出とは異なり紙幣への接触が不要なことや、空気配管を伸ばせば入出金口から離れた位置に空気噴出装置を搭載できるため、機構の設置の自由度が高いという利点がある。
【0038】
本実施例では、入金計数搬送の完了時かつシャッターを閉めた状態で残留確認を実施しているが、入金紙幣の投入完了時に紙幣センサが「紙幣なし」の場合にシャッターを開けたままの状態で、残留確認と同様の空気噴出と紙幣センサ確認を行って紙幣がないか確認し、紙幣を検出した際は投入紙幣の入れ直しを利用者に案内するということもできる。
【実施例2】
【0039】
実施例2は、利用者の出金取引における例である。装置構成については実施例1と同様であるため、以下ではその説明を省略する。
【0040】
図7図8にて、出金時の制御フローの一例を示す。図7は、従来の制御フローであり、図8は、本実施例における制御フローとなる。両図の違いは図8で示す701~703、704~706の有無である。
【0041】
出金601を開始すると(601)、紙幣入出金装置1は、出金紙幣を還流庫7~10から入出金口2まで搬送してシャッター301を開ける(602、603)。紙幣入出金装置1は、入出金口2に出金された紙幣を利用者が抜き取って紙幣センサ305a~305fで入出金口紙幣なしを検出した場合(604;Yes)、残留紙幣がないかの確認動作(701 詳細は実施例1と同じく図9もしくは図10のフロー)を行い、結果を判定する(702)。このように、ステップ701のタイミング、すなわち紙幣を紙幣入出金口2に出金する出金取引において、紙幣センサ305a~305fが紙幣入出金口2の紙幣なしを検出した場合に、シャッター301が開いた状態で空気噴出口308から空気が噴出または吸引される。
【0042】
紙幣入出金装置1は、ステップ702において残留紙幣を検出した場合(702;Yes)、出金紙幣を利用者が取り忘れていると認識し、操作表示部105に対する画面表示や音声を用いて利用者に取り忘れの警告を行い、抜き取りを促す(703)。一方、紙幣入出金装置1は、残留紙幣判定での残留紙幣の検出が無くなった場合(702;No)、紙幣抜き取りが完了したと判断してシャッター301を閉じる(607)。
【0043】
紙幣入出金装置1は、シャッター閉後に再度残留紙幣がないかの確認動作(704 詳細は実施例1と同じく図9もしくは図10の制御フロー)を行い、結果を判定(705)する。残留紙幣を検出していない場合は出金正常終了(606)、検出があった場合は紙幣取り忘れによる異常終了(706)となる。このように、ステップ704のタイミング、すなわち紙幣を紙幣入出金口2に出金する出金取引において、紙幣センサ305a~305fが紙幣入出金口2の紙幣なしを検出した場合において、シャッター301が閉じた際に空気噴出口308から空気が噴出または吸引される。
【0044】
本実施例では2箇所(701~703と704~706)で残留紙幣の確認を実施しているが、少なくとも1回以上の残留紙幣確認を実施することで実現することもできる。
【0045】
従来の残留紙幣確認では入出金口内で押圧板などの部品を稼働させているため、利用者が手を入れて怪我しないように、シャッターを閉じた状態(例えば、図7のステップ605終了後)でないと実施できないという制約がある。しかし、本実施例における紙幣入出金装置によれば、シャッターの開閉状態に関わらず、例えば、シャッターを開けた状態でも実施(701)できるという利点がある。
【0046】
シャッター閉後に再度実施する残留確認(704)では、空気の噴出で紙幣が入出金口から飛び出す心配がないので、シャッター開状態での残留確認よりも空気の噴出量や圧力を増加させたり、シャッター開状態で使う空気噴出口とは別の、異なる位置や角度の空気噴出口を設置して用いれば、シャッター開状態とは違いを持たせた確認動作ができる。これにより、シャッター開状態で検出できなかった残留紙幣の検出が期待できる。また、本実施例ではシャッター閉(607)後の残留紙幣の発見では異常終了としているが、再度シャッターを開けて取り忘れによる再抜取を促すことができる。
【0047】
このように、本実施例では、紙幣処理装置に空気を噴出する装置を搭載し、入出金口内に空気の噴出口を設け、例えば、紙幣センサでは紙幣なしとなっている際に空気を噴出させることで、紙幣センサから外れた位置に紙幣があった場合に、その姿勢を変えて紙幣センサに検出させることができる。したがって、紙幣センサによる紙幣の検出精度を向上できるため、取り忘れ防止や違算防止につなげることができる。
【0048】
以上、好ましい一実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜、変形、代替して実施し得る。例えば、空気噴出口308を、入出金口2を前方上側等の入出金口の壁面や底面ではなく、シャッター301(例えば、図4におけるシャッタの右端)に設け、下方に向かって空気を噴出させてもよい。また、上記実施例では、空気噴出装置306が紙幣入出金装置1に設けられている前提で説明したが、現金自動取引装置101やその他の外部の装置に設けられ、空気配管307を介して空気噴出口308が入出金口に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…紙幣入出金装置 2…入出金口 3…判別部 4…一時保留部 5…搬送路
6…入金庫 7~10…還流庫 13a~13h…搬送路センサ
14…取り忘れ回収庫
101…現金自動取引装置 102…カード/明細票処理機構
103…通帳処理機構 104…筐体 105…操作/表示部
106…本体制御部
301…シャッター 302…押圧板 303…仕切り板 304…紙幣搬送路
305a~305f…紙幣センサ 306…空気噴出装置 307…空気配管
308…空気噴出口
309…紙幣(紙幣センサ検出不可)
310…紙幣(紙幣センサ検出可)
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