IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エステー株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-揮散装置 図1
  • 特許-揮散装置 図2
  • 特許-揮散装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】揮散装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/12 20060101AFI20221114BHJP
   B65D 25/54 20060101ALI20221114BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20221114BHJP
   B65D 81/28 20060101ALI20221114BHJP
   B65D 77/04 20060101ALI20221114BHJP
   A01M 1/20 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
A61L9/12
B65D25/54
B65D83/00 F
B65D81/28 B
B65D77/04 B
A01M1/20 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018212266
(22)【出願日】2018-11-12
(65)【公開番号】P2020078390
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000102544
【氏名又は名称】エステー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】山崎 美香
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-249011(JP,A)
【文献】特開2008-125585(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0035670(US,A1)
【文献】実開平04-027941(JP,U)
【文献】特開2001-171736(JP,A)
【文献】特表2004-534617(JP,A)
【文献】特開2000-238789(JP,A)
【文献】実開昭57-054311(JP,U)
【文献】実開昭57-156480(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00-9/22
B65D 23/00-25/56
B65D 83/00,83/08-83/76
B65D 67/00-79/02,81/18-81/30,81/38,85/88
B65D 85/00-85/28,85/575
A01M 1/00-99/00
A45D 33/00-40/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の周壁と、
前記周壁の一端を塞ぐ底壁と、
薬剤を揮散させる揮散孔を有し、前記周壁の他端に着脱可能に設けた蓋体と、を有し、
前記周壁が、前記一端と前記他端の間に、当該周壁をその全周をつなぐように部分的に切り取り可能な分割部分を有する、
揮散装置。
【請求項2】
前記周壁は、薬剤の残量を視認するための窓部を有する、
請求項1の揮散装置。
【請求項3】
前記分割部分は、前記窓部の縁に設けられている、
請求項2の揮散装置。
【請求項4】
筒状の周壁と、前記周壁の一端を塞ぐ底壁と、薬剤を揮散させる揮散孔を有し、前記周壁の他端に着脱可能に設けた蓋体と、を有する外容器と、
前記外容器内に収容配置され、前記周壁の他端側に前記蓋体に対向する開口部を有し、揮発性を有する薬剤を収容した内容器と、を有し、
前記外容器の前記周壁が、前記一端と前記他端の間に、当該周壁をその全周をつなぐように部分的に切り取り可能な第1分割部分を有し、
前記内容器が前記外容器の前記第1分割部分に対向する位置で当該内容器を分割する第2分割部分を有する、
揮散装置。
【請求項5】
前記内容器は、薬剤の残量を視認可能な透明な材料により形成されている、
請求項4の揮散装置。
【請求項6】
前記外容器の前記周壁は、前記内容器内に残った薬剤の残量を視認するための窓部を有する、
請求項5の揮散装置。
【請求項7】
前記第1分割部分は、前記窓部の縁に設けられている、
請求項6の揮散装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、芳香剤や消臭剤などの揮発性を有する薬剤を揮散させる揮散装置に関する。
【背景技術】
【0002】
芳香剤や消臭剤などの薬剤を揮散させる揮散装置として、例えば、上端に揮散孔を有する容器内に揮発性を有する薬剤を収容した揮散装置が知られている。この種の揮散装置においては、容器内の薬剤は、経時的に揮散して減少する。このため、薬剤の上面と揮散孔との間の距離が経時的に広がる。このように、薬剤の表面から揮散孔までの距離が長くなると、薬剤の表面に接触する空気の流れが悪くなり、薬剤の揮散量が徐々に低下する。
【0003】
このため、薬剤の減少に応じて揮散孔を大きくする構成を備えた揮散装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-300566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の揮散装置のように、薬剤の減少に応じて揮散孔を大きくすると、揮散装置の使用開始直後であれば薬剤の揮散量の減少をある程度抑えることができる。しかし、例えば薬剤の残量が半分以下にまで減少した場合などには、薬剤の表面と揮散孔との間の距離が長くなり、薬剤の揮散量の減少を抑えることができなくなる。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、薬剤の揮散量の経時的な減少を長期にわたって抑制することができる揮散装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の揮散装置の一態様は、筒状の周壁と、周壁の一端を塞ぐ底壁と、薬剤を揮散させる揮散孔を有し、周壁の他端に着脱可能に設けた蓋体と、を有する。周壁は、一端と他端の間に、当該周壁をその全周をつなぐように部分的に切り取り可能な分割部分を有する。
【0008】
また、本発明の揮散装置の一態様は、筒状の周壁と、周壁の一端を塞ぐ底壁と、薬剤を揮散させる揮散孔を有し、周壁の他端に着脱可能に設けた蓋体と、を有する外容器と、外容器内に収容配置され、周壁の他端側に蓋体に対向する開口部を有し、揮発性を有する薬剤を収容した内容器と、を有する。外容器の周壁は、一端と他端の間に、当該周壁をその全周をつなぐように部分的に切り取り可能な第1分割部分を有する。内容器は、外容器の第1分割部分に対向する位置で当該内容器を分割する第2分割部分を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、薬剤の揮散量の経時的な減少を長期にわたって抑制することができる揮散装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る揮散装置を示す斜視図である。
図2図2は、図1の揮散装置の内容器を示す斜視図である。
図3図3は、図1の揮散装置の周壁を分割した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、実施形態に係る揮散装置10は、筒状の周壁2と、周壁2の図示下端(一端)を塞ぐ底壁4と、周壁2の図示上端(他端)に着脱可能に設けた蓋体6と、を有する。周壁2、底壁4、および蓋体6は、外容器8として機能する。また、揮散装置10は、図2に示すように、芳香剤や消臭剤などの揮発性を有する薬剤Yを収容した内容器20を有する。内容器20は、外容器8内に収容配置される。
【0012】
外容器8の周壁2、底壁4、および蓋体6は、例えば、紙により形成されている。外容器8を形成する材料は、紙に限らず、樹脂などを用いることができる。周壁2、底壁4、および蓋体6は、互いに異なる材料を用いて形成してもよい。内容器20は、内部に収容した薬剤Yを外側から視認可能にするため、透明な材料により形成されている。内容器20を形成する材料は、薬剤Yが外側に染み出ない透明な材料であればよく、樹脂などの種々の材料を用いることができる。或いは、内容器20は、内面に薬剤Yを浸透させないコーティングを施した材料により形成してもよい。
【0013】
外容器8の周壁2は、例えば四角筒状に形成されており、内部を視認可能にする少なくとも1つの窓部11を有する。周壁2は、四角筒状に限らず、円筒状、楕円筒状、多角筒状など、筒状であればいかなる形状であってもよい。窓部11は、外容器8の内部に収容する内容器20内の薬剤Yの残量を外容器8の外側から視認可能なものであればよく、その形状、大きさ、個数、レイアウトなどは任意に設定することができる。しかし、窓部11は、外容器8の十分な剛性を確保することができる程度に設ける必要がある。
【0014】
本実施形態では、窓部11は、外容器8の周壁2を構成する4つの壁2a、2b、2c、2dのうち1つの壁2aを貫通して設けた。窓部11を設ける壁2aは、周壁2の4つの壁2a、2b、2c、2dのうち幅の広い壁2b、2dであってもよく、幅の狭い壁2a、2cであってもよい。また、窓部11は、壁2aだけではなく、他の壁2b、2c、2dにも設けることができる。本実施形態では、それぞれ外容器8の上下に延びて、上下に離間して並んだ長方形の2つの窓部11a、11bを壁2aにのみ設けた。
【0015】
また、周壁2は、周壁2を上下に2分割するための切り取り帯12(分割部分、第1分割部分)を含む。切り取り帯12は、周壁2の周方向に沿って点線状に貫通した複数の孔(以下、切り取り線L1、L2と称する)を2本設けることで形成されている。つまり、切り取り帯12は、2本の切り取り線L1、L2の間の周壁2の一部である。
【0016】
切り取り線L1は、上述した2つの窓部11a、11bのうち図示上方(底壁4から離間した側)の窓部11aの図示下端縁に沿って設けられている。つまり、切り取り線L1は、窓部11aの下端縁を通る底壁4と平行な線である。切り取り線L2は、切り取り線L1の図示下方に離間して切り取り線L1と平行に設けられている。切り取り線L2は、2つの窓部11a、11bの間に形成されている。2本の切り取り線L1、L2は、それぞれ、周壁2の全周をつなぐように形成されている。
【0017】
さらに、周壁2は、上述した2本の切り取り線L1、L2を上下方向につなぐ点線状の孔(以下、切り取り線L3と称する)を有する。この切り取り線L3は、切り取り線L1、L2と交差する方向に延びている。切り取り線L3の図示上端は、図示上方の窓部11aの下端縁につながる。
【0018】
外容器8の蓋体6は、周壁2の図示上端開口を覆う矩形の天壁6a、および天壁6aの4つの辺に連続した4つの矩形の壁を環状につなげた裾壁6bを有する。裾壁6bは、天壁6aの周辺から天壁6aと直交する図示下方に延設されている。蓋体6を図1に示すように周壁2の上端に取り付けると、裾壁6bが周壁2の外側に重なる。言い換えると、天壁6aは、底壁4より一回り大きい矩形板状に形成されている。
【0019】
蓋体6の天壁6aは、複数個の揮散孔13を有する。本実施形態では、4つの矩形の揮散孔13を1列に並べて2列に配列した。これら8つの揮散孔13は、周壁2の内側の空間に対向する位置に設けられている。揮散孔13の大きさ、個数、形状、レイアウトなどは任意に設定することができる。揮散孔13は、薬剤Yを揮散させるための孔であるが、薬剤Yの残量を外側から視認するための視認用の孔としても機能する。
【0020】
図2に示すように、本実施形態の内容器20は、概ね、透明な2枚の矩形の樹脂フィルムを重ねて周囲を封着した構造を有する。内容器20の構造はいかなるものであってもよく、外容器8の周壁2の内側に収容可能なサイズを有するものであればよい。本実施形態の内容器20は、いわゆるスタンディングパウチと呼ばれる容器であり、自立可能な容器である。図2では、薬剤Yを収容した内容器20の上端を一部切り取って、内容器20の上端に開口部21を形成した状態を図示している。
【0021】
内容器20内には、薬剤Yが収容され、未使用の状態で内部が密閉されている。薬剤Yとして、上述した芳香剤や消臭剤の他に殺虫剤などを内容器20内に収容することができる。薬剤Yは、液状であってもよく、ゲル状や固体状のものであってもよい。内容器20は、使用時に、図2に示すように上端を開口する。内容器20は、上端を開口した図2に示す状態で、外容器8内に収容される。このため、外容器8内に内容器20を収容配置すると、外容器8の底壁4の内面に内容器20が載置され、内容器20の上端の開口部21が蓋体6の内面に対向する。
【0022】
内容器20は、外容器8内に収容配置した状態で、外容器8の周壁2に設けた切り取り帯12に対向する2つの切欠き22を有する。2つの切欠き22は、外容器8の切り取り帯12に対向する位置で内容器20を2分割するための分割部分(第2分割部分)として機能する。本実施形態では、内容器20の2枚の樹脂フィルムを封着した2つの側辺のそれぞれに三角形の切欠き22を設けた。2つの切欠き22は、内容器20の底20aから上方に同じ距離だけ離間した位置に設けられている。
【0023】
以下、上述した揮散装置10の使用方法について説明する。
まず、外容器8の蓋体6を周壁2の上端から取り外した状態で、図2に示すように上端を開口した内容器20を周壁2の上端側から周壁2の内側に挿入配置する。これにより、内容器20の底20aが外容器8の底壁4の内面上に載置され、周壁2の内側で内容器20が自立する。
【0024】
この後、蓋体6を周壁2の上端に被せる。これにより、内容器20の開口部21が蓋体6の天壁6aの内面に対向する。つまり、蓋体6の複数の揮散孔13が内容器20の開口部21に対向する。この状態で、蓋体6の複数の揮散孔13を通して空気が流通すると、内容器20内に収容した薬剤Yに空気が触れて薬剤Yが揮散される。揮散した薬剤Yは、蓋体6の複数の揮散孔13を介して揮散装置10の外部へ放出される。
【0025】
揮散装置10の使用開始から時間が経つと、内容器20内の薬剤Yが経時的に減少し、薬剤Yの上面が内容器20の底20aに近づくように下降する。このように、薬剤Yの上面が下降すると、薬剤Yの上面と揮散孔13との間の距離が広がり、複数の揮散孔13を通して流通する空気が薬剤Yに触れ難くなり、薬剤Yの揮散量が減少する。薬剤Yの残量は、外容器8の窓部11a、11bを介して外部から視認可能であり、薬剤Yの上面がどの程度下降したのかを容易に判断することができる。
【0026】
このため、本実施形態では、外容器8の周壁2を上下に2分割可能な構造にし、且つ内容器20も上下に2分割可能な構造にした。つまり、揮散装置10の使用者は、外容器8の窓部11を介して、薬剤Yの残量が所定量を下回ったことを判断すると、外容器8の周壁2を部分的に切り取るとともに、内容器20を部分的に切り取る。なお、ここで言う所定量とは、薬剤Yの上面が下方の窓部11bを介して視認可能となる量であり、少なくとも切り取り線L2より下まで薬剤Yの上面が下降した程度の残量を指す。
【0027】
具体的には、薬剤Yの残量が所定量を下回った場合、使用者は、蓋体6を周壁2の上端から取り外し、内容器20を外容器8から取り出す。そして、使用者は、外容器8の周壁2に設けた切り取り帯12を切り取り、周壁2の上下方向の長さを短くする。このとき、使用者は、まず、周壁2の上方の窓部11aの下端縁に指をかけ、切り取り線L3で切り取り帯12を切る。そして、使用者は、周壁2の全周にわたって切り取り線L1、L2を切り、切り取り帯12を周壁2から切除する。これにより、外容器8の周壁2の上下方向の長さが短くなる。
【0028】
また、このとき、使用者は、内容器20の切欠き22の位置で内容器20を一部切り取り、内容器20の上下方向の長さを短くする。そして、使用者は、このように短くした内容器(図示せず)を上記のように短くした外容器9(図3)内に収容し、蓋体6を短くなった周壁2の上端に被せる。この状態で、短くされた内容器は、周壁2を短くされた外容器9内で底壁4の内面上で自立し、内容器20を一部切り取った後の新たな開口部(図示せず)が蓋体6の内面に対向する。図3は、周壁2を短くした状態の揮散装置30を示す外観斜視図である。
【0029】
内容器20の底20aから切欠き22までの高さは、外容器8の底壁4から切り取り線L2までの高さ未満に設定されている。このため、短くした周壁2の上端に蓋体6を被せた図3の状態で、天壁6aの内面と内容器20の新たな開口部との間にはわずかな隙間が形成される。そして。この揮散装置30は、蓋体6の複数の揮散孔13を介して空気が流通することで、薬剤Yを揮散させる。
【0030】
以上、本実施形態のように、薬剤Yが経時的に減少した際に、揮散装置10の上下方向の寸法を短くすることで、薬剤Yの上面と揮散孔13(蓋体6の天壁6a)との間の距離を短くすることができ、薬剤Yの揮散量の減少を抑えることができる。つまり、上下方向の寸法を短くした揮散装置30では、複数の揮散孔13を介して流通する空気が薬剤Yの上面に触れ易くなり、揮散装置10の使用開始直後の揮散量と同程度の揮散量に戻すことができ、薬剤Yの揮散量の経時的な減少を長期にわたって抑制することができる。
【0031】
また、本実施形態では、外容器8の周壁2に設けた2つの窓部11a、11bのうち図示上方の窓部11aの下端縁に沿って切り取り線L1を設けたため、外容器8に必要な剛性を確保した上で、切り取り帯12を周壁2から切除し易くすることができる。つまり、窓部11aは、薬剤Yの残量を確認するための開口部として機能することに加え、切り取り帯12を切除する際に指をかける部分として機能する。このため、窓部11aに2つの機能を持たせることができ、外容器8の剛性を低下させる窓部11の数を少なくすることができる。
【0032】
また、本実施形態によると、薬剤Yの残量が使用開始直後の量の半分以下になったときに、外容器8の周壁2の上下方向の長さを短くするとともに、内容器20の上下方向の長さを短くすることができるため、揮散装置30を倒れ難くすることができる。つまり、薬剤Yの残量が半分以下になった状態で揮散装置10の重心と揮散装置10の上端との間の距離が長いままだと、揮散装置10の上端近くに人や物が接触した際に揮散装置10を傾倒させる比較的大きなモーメントが作用する。これに対し、本実施形態のように、薬剤Yの減少に応じて揮散装置30の上下方向の長さを短くすると、揮散装置30の重心と上端との間の距離を短くすることができ、揮散装置30の上端近くに人や物が接触した際のモーメントを比較的小さく抑えることができる。よって、本実施形態のように、薬剤Yの残量が半分以下になった際に揮散装置10の上下方向の長さを短くすることで、揮散装置30を倒れ難くすることができる。
【0033】
さらに、本実施形態によると、薬剤Yの残量が半分以下になった際に、揮散装置10の上下方向の長さを短くすることができるため、揮散装置30の高さを低くすることができ、省スペース化を図ることができる。
【0034】
以上、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0035】
例えば、上述した実施形態では、薬剤Yを収容した内容器20を外容器8の中に配置した揮散装置10について説明したが、これに限らず、内容器20を持たずに外容器8に直接薬剤Yを収容した揮散装置に本発明を適用することもできる。この場合、外容器8を形成する材料を、薬剤Yが染み出ない材料にすればよい。或いは、外容器8の内面に薬剤Yが浸透しない樹脂フィルムを貼り付けたり、薬剤Yが浸透しないコーティングを施したりしてもよい。
【0036】
また、上述した実施形態では、外容器8の周壁2に1本の切り取り帯12を設けて周壁2を上下に2分割可能としたが、これに限らず、切り取り帯12を上下に離間して複数本設けて周壁2を3つ以上の部分に分割可能としてもよい。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
筒状の周壁と、
前記周壁の一端を塞ぐ底壁と、
薬剤を揮散させる揮散孔を有し、前記周壁の他端に着脱可能に設けた蓋体と、を有し、
前記周壁が、前記一端と前記他端の間で当該周壁を分割する分割部分を有する、
揮散装置。
[2]
前記周壁は、薬剤の残量を視認するための窓部を有する、
[1]の揮散装置。
[3]
前記分割部分は、前記窓部の縁に設けられている、
[2]の揮散装置。
[4]
筒状の周壁と、前記周壁の一端を塞ぐ底壁と、薬剤を揮散させる揮散孔を有し、前記周壁の他端に着脱可能に設けた蓋体と、を有する外容器と、
前記外容器内に収容配置され、前記周壁の他端側に前記蓋体に対向する開口部を有し、揮発性を有する薬剤を収容した内容器と、を有し、
前記外容器の前記周壁が、前記一端と前記他端の間で当該周壁を分割する第1分割部分を有し、
前記内容器が前記外容器の前記第1分割部分に対向する位置で当該内容器を分割する第2分割部分を有する、
揮散装置。
[5]
前記内容器は、薬剤の残量を視認可能な透明な材料により形成されている、
[4]の揮散装置。
[6]
前記外容器の前記周壁は、前記内容器内に残った薬剤の残量を視認するための窓部を有する、
[5]の揮散装置。
[7]
前記第1分割部分は、前記窓部の縁に設けられている、
[6]の揮散装置。
【符号の説明】
【0037】
2…周壁、 2a…壁、 4…底壁、 6…蓋体、 6a…天壁、 8、9…外容器、 10、30…揮散装置、 11、11a、11b…窓部、 12…切り取り帯、 13…揮散孔、 20…内容器、 20a…底、 21…開口部、 22…切欠き、 L1~L3…切り取り線、 Y…薬剤。
図1
図2
図3