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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】血圧測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/022 20060101AFI20221114BHJP
【FI】
A61B5/022 300F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018233415
(22)【出願日】2018-12-13
(65)【公開番号】P2020092886
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】西田 知之
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-334227(JP,A)
【文献】特開2018-161382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02 - 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケースに接続され、流体により膨張するカフ構造体と、
前記ケース、及び前記カフ構造体の少なくとも1つにより構成され、前記ケースの内外を連通し、空気が流動可能な流路と、
前記流路の内面と、前記流路を構成する、前記ケース及び前記カフ構造体の少なくとも1つの外面の前記流路に連続する部分と、の少なくとも一方に設けられる撥水部と、
を具備し、
前記ケースは、筒状の外郭ケースを具備し、
前記流路は、前記外郭ケースの内周面に配置される第1開口端、及び前記外郭ケースの外周に配置されるとともに、前記第1開口端に対して前記外郭ケースの軸方向で生体側に配置される第2開口端を有する通気孔である
圧測定装置。
【請求項2】
前記ケース内に収容され、前記ケース内の空気を圧縮して前記カフ構造体に供給するポンプを具備する、請求項1に記載の血圧測定装置。
【請求項3】
前記第1開口端に設けられ、空気が通過し、かつ水の通過を規制する透湿防水フィルタを具備する、請求項に記載の血圧測定装置。
【請求項4】
前記流路を構成する、前記ケース、及び前記カフ構造体の少なくとも1つの外面に設けられる前記撥水部の周囲に設けられる親水部を具備する、請求項1に記載の血圧測定装置。
【請求項5】
生体の装着する部位の周方向に倣って湾曲するとともに、一端と他端とが離間して形成され、前記カフ構造体が設けられるカーラを具備し、
前記流路は、前記ケース、前記カフ構造体、及び前記カーラの少なくとも1つにより構成され、
前記撥水部は、前記流路の内面と、前記流路を構成する、前記ケース、前記カフ構造体、及び前記カーラの少なくとも1つの外面の前記流路に連続する部分と、の少なくとも一方に設けられる
請求項1に記載の血圧測定装置。
【請求項6】
前記流路を構成する、前記ケース、前記カフ構造体、及び前記カーラの少なくとも1つの外面に設けられる前記撥水部の周囲に設けられる親水部を具備する、請求項に記載の血圧測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血圧を測定する血圧測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、血圧の測定に用いる血圧測定装置は、医療設備においてのみならず、家庭内においても、健康状態を確認する手段として利用されている。血圧測定装置は、例えば、生体の上腕又は手首等に巻き付けたカフを膨張及び収縮させ、圧力センサによりカフの圧力を検出することで、動脈壁の振動を検出して血圧を測定する。
【0003】
このような血圧測定装置として、例えば、カフとカフに流体を供給する装置本体とが一体に構成された所謂一体型と呼ばれるものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
このような血圧測定装置では、装置本体のケース内にポンプが収容される。さらに、ポンプの吸い込み口がケース内に開口する構成である場合、ケースに、ケース外の空気をケース内に取り入れる為の通気孔が形成される。ポンプは、ケース内の空気を吸い込んで圧縮して、カフに供給する。ポンプがケース内の空気を吸い込むことでケース内が負圧となると、ケース外の空気が通気孔を通ってケース内に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-102743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した血圧測定装置では、昨今、手首に装着するウェアラブルデバイスも考えられている。ウェアラブルデバイスとして構成された血圧測定装置は、使用者の汗が血圧測定装置に付着しやすくなる。さらに、使用者は、血圧測定装置を装着した状態で水に触れる機会が多くなることが想定される。
【0007】
使用者の汗や、外部の水が血圧測定装置に触れると、汗や水が通気孔を通ってケース内に浸入する虞がある。また、ケースが複数の材料を組み合わせることで構成される場合では、部材間の隙間を通して、毛細管現象により、汗や水がケース内に浸入する虞がある。
【0008】
そこで本発明は、防水性能を向上可能な血圧測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様によれば、ケースと、前記ケースに接続され、流体により膨張するカフ構造体と、前記ケース、及び前記カフ構造体の少なくとも1つにより構成され、前記ケースの内外を連通し、空気が流動可能な流路と、前記流路の内面、並びに、前記流路を構成する、前記ケース、及び前記カフ構造体の少なくとも1つの外周面の前記流路に連続する部分の少なくとも一方に設けられる撥水部と、を備える、血圧測定装置が提供される。
【0010】
ここで、流体とは、液体及び空気を含む。カフとは、血圧を測定するときに生体の上腕や手首等に巻き付けられ、流体が供給されることで膨張するものであり、空気袋等の袋状構造体を含む。
【0011】
撥水部は、撥水処理を施すことにより、構成される。撥水処理とは、撥水処理が施される前に比較して、水の接触角度を大きくする処理である。撥水処理は、好ましくは、水の接触角度を、90度以上にする処理である。撥水処理の一例として、フッ素処理が施される。フッ素処理は、例えば、フッ素樹脂を含む処理液を、刷毛や綿棒を用いて塗布されることにより、施される。処理液が乾燥することで、フッ素樹脂を含む被膜が形成される。この被膜が、撥水部となる。または、撥水部は、流路を構成する部材を、所望の撥水性を有する材料で形成することで構成されてもよい。または、撥水部は、流路構成する部材の、流路を構成する部分のみ、所望の撥水性を有する材料で形成することで、構成されてもよい。
【0012】
この態様によれば、流路の内面に設けられる撥水部により生じる、流路に浸入しようとする水を流路外に押す作用により、ケース外より流路内への水の浸入が抑制される。また、流路を構成する部材の外面の、流路に連続する部分に設けられる撥水部により、当該部分に水が付着することを抑制される。これらのいずれかの作用により、流路内に水が浸入することが抑制されるので、ケース内に水が浸入することが抑制される。結果、血圧測定装置の防水性が向上する。
【0013】
上記一態様の血圧測定装置において、前記ケースは、筒状の外郭ケースを具備し、前記流路は、前記外郭ケースの内周面に配置される第1開口端、及び前記外郭ケースの外周に配置されるとともに、前記第1開口端に対して前記外郭ケースの軸方向で生体側に配置される第2開口端を有する通気孔である、血圧測定装置が提供される。
【0014】
この態様によれば、血圧測定装置を、外郭ケースの軸方向が重力方向と平行となる姿勢にすることで、第2開口端が第1開口端に対して重力方向で下方に配置されるので、通気孔内に浸入した水を、重力を利用して通気孔外へ移動することも可能となる。結果、血圧測定装置の防水性が向上する。
【0015】
上記一態様の血圧測定装置において、前記ケース内に収容され、前記ケース内の空気を圧縮して前記カフ構造体に供給するポンプを備える、血圧測定装置が提供される。
【0016】
この態様によれば、ポンプがケース内の空気を吸い込むことでケース内が負圧となると、流路を通して、ケース外からケース内へ空気が流れるが、流路に撥水部が設けられることで、流路内に水が浸入することが抑制されるので、血圧測定装置の防水性が向上可能となる。
【0017】
上記一態様の血圧測定装置において、前記第1開口端に設けられ、空気が通過し、かつ水の通過を規制する透湿防水フィルタを備える、血圧測定装置が提供される。
【0018】
この態様によれば、通気孔内に万が一水が浸入しても、透湿防水フィルタによりケース内への水の浸入を抑制できるので、血圧測定装置の防水性を向上できる。
【0019】
上記一態様の血圧測定装置において、前記流路を構成する、前記ケース、及び前記カフ構造体の少なくとも1つの外面に設けられる前記撥水部の周囲に設けられる親水部を備える、血圧測定装置が提供される。
【0020】
この態様によれば、流路に向かって移動する水を親水部にとどめること、及び、撥水部から移動された水を親水部にとどめることが可能となる。この為、流路に水が浸入することを抑制できるので、血圧測定装置の防水性を向上可能となる。
上記一態様の血圧測定装置において、生体の装着する部位の周方向に倣って湾曲するとともに、一端と他端とが離間して形成され、前記カフ構造体が設けられるカーラを具備し、前記流路は、前記ケース、前記カフ構造体、及び前記カーラの少なくとも1つにより構成され、前記撥水部は、前記流路の内面と、前記流路を構成する、前記ケース、前記カフ構造体、及び前記カーラの少なくとも1つの外面の前記流路に連続する部分と、の少なくとも一方に設けられる、血圧測定装置が提供される。
この態様によれば、カーラを備える構成の血圧測定装置において、流路の内面に設けられる撥水部により生じる、流路に浸入しようとする水を流路外に押す作用により、ケース外より流路内への水の浸入が抑制される。また、流路を構成する部材の外面の、流路に連続する部分に設けられる撥水部により、当該部分に水が付着することを抑制される。これらのいずれかの作用により、流路内に水が浸入することが抑制されるので、ケース内に水が浸入することが抑制される。結果、血圧測定装置の防水性が向上する。
上記一態様の血圧測定装置において、前記流路を構成する、前記ケース、前記カフ構造体、及び前記カーラの少なくとも1つの外面に設けられる前記撥水部の周囲に設けられる親水部を備える、血圧測定装置が提供される。
この態様によれば、カーラを備える構成の血圧測定装置において、流路に向かって移動する水を親水部にとどめること、及び、撥水部から移動された水を親水部にとどめることが可能となる。この為、流路に水が浸入することを抑制できるので、血圧測定装置の防水性を向上可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、防水性能を向上可能な血圧測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1の実施形態に係る血圧測定装置の構成を示す斜視図。
図2】同血圧測定装置の構成を分解して示す斜視図。
図3】同血圧測定装置の構成を示す斜視図。
図4】同血圧測定装置の外郭ケースの構成を示す斜視図。
図5】同外郭ケースの構成を示す断面図。
図6】同血圧測定装置を手首に装着した状態を示す説明図。
図7】同血圧測定装置の構成を示すブロック図。
図8】同血圧測定装置のカーラ及びカフ構造体の構成を分解して示す斜視図。
図9】同血圧測定装置のカーラ及びカフ構造体の構成を示す断面図。
図10】同血圧測定装置のカーラ及びカフ構造体の構成を示す断面図。
図11】同血圧測定装置の甲カフの構成を示す断面図
図12】同血圧測定装置の甲カフの構成を示す断面図
図13】同血圧測定装置のカーラの構成を示す斜視図。
図14】同血圧測定装置のカフ構造体の構成を示す平面図。
図15】同カフ構造体の構成を示す平面図。
図16】同血圧測定装置の平カフの構成を示す平面図。
図17】同平カフの構成を示す断面図。
図18】同血圧測定装置のセンシングカフの構成を示す平面図。
図19】同血圧測定装置のセンシングカフの構成を示す断面図。
図20】同血圧測定装置のカーラ及びカフ構造体の構成を概略的に示す断面図。
図21】同血圧測定装置の給電部の構成を概略的に示す断面図。
図22】同血圧測定装置の使用の一例を示す流れ図。
図23】同血圧測定装置を手首に装着する一例を示す斜視図。
図24】同血圧測定装置を手首に装着する一例を示す斜視図。
図25】同血圧測定装置を手首に装着する一例を示す斜視図。
図26】同血圧測定装置が生体に取り付けられた状態を模式的に示す断面図
図27】同血圧測定装置の外郭ケースの別の構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態に係る血圧測定装置1の一例について、図1乃至図25を用いて以下例示する。
【0024】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る血圧測定装置1の構成を示す斜視図である。図2は、血圧測定装置1の構成を分解して示す斜視図である。図3は、血圧測定装置1の構成を示す斜視図である。図4は、血圧測定装置1の外郭ケース31の構成を示す斜視図である。図5は、外郭ケース31の構成を示す断面図である。図6は、血圧測定装置1を手首200に装着した状態を示す説明図である。
図7は、血圧測定装置1の構成を示すブロック図である。図8は、血圧測定装置1のカーラ5及びカフ構造体6の構成を分解して示す斜視図である。図9は、血圧測定装置1のカーラ5及びカフ構造体6の構成を示す断面図である。図10は、血圧測定装置1のカーラ5及びカフ構造体6の構成を示す断面図である。図11は、血圧測定装置1の甲カフ74の構成を示す断面図である。図12は、血圧測定装置1の甲カフ74の構成を示す断面図である。図13は、血圧測定装置1のカーラ5の構成を示す斜視図である。図14は、血圧測定装置1のカフ構造体6の生体側の構成示す平面図である。図15は、カフ構造体6をカーラ5の内周面側から見た状態を示す平面図である。図16は、血圧測定装置1の平カフ71の構成を示す平面図である。図17は、平カフ71の構成を図16中XVII-XVII線断面で示す断面図である。図18は、血圧測定装置1のセンシングカフ73の構成を示す平面図である。図19は、血圧測定装置1のセンシングカフ73の構成を図18中XIX-XIX線断面で示す断面図である。図20は、血圧測定装置1のカーラ5及びカフ構造体6の構成を概略的に示す断面図である。図21は、同血圧測定装置の電力供給部18の構成を概略的に示す断面図である。
【0025】
血圧測定装置1は、生体に装着する電子血圧測定装置である。本実施形態においては、生体の手首200に装着するウェアラブルデバイスの態様をもつ電子血圧測定装置を用いて説明する。
【0026】
図1乃至図3、及び図7に示すように、血圧測定装置1は、装置本体3と、手首に装置本体3を固定するベルト4と、ベルト4及び手首の間に配置されるカーラ5と、平カフ71、センシングカフ73及び甲カフ74を有するカフ構造体6と、装置本体3及びカフ構造体6を流体的に接続する流体回路7と、を備えている。さらに、血圧測定装置1は、図4図5図20及び図21に示すように、給電部8と、撥水部9と、を備えている。
【0027】
図1乃至図7に示すように、装置本体3は、例えば、ケース11と、表示部12と、操作部13と、ポンプ14と、流路部15と、開閉弁16と、圧力センサ17と、電力供給部18と、振動モータ19と、制御基板20と、を備えている。装置本体3は、ポンプ14、開閉弁16、圧力センサ17及び制御基板20等によって、カフ構造体6に流体を供給する。
【0028】
図1乃至図3に示すように、ケース11は、外郭ケース31と、外郭ケース31の上部開口を覆う風防32と、外郭ケース31の内部の下方に設けられた基部33と、外郭ケース31の下方を覆う裏カバー35と、透湿防水フィルタ36と、を備えている。
【0029】
外郭ケース31は、円筒状に形成される。外郭ケース31は、外周面の周方向で対称位置にそれぞれ設けられた一対のラグ31aと、2つの一対のラグ31a間にそれぞれ設けられるバネ棒31bと、を備えている。また、図4及び図5に示すように、外郭ケース31の外周面の一対のラグ31aの間の、裏カバー35側の端部は、面取りがされており、外郭ケース31の中心線に対して傾斜する面に構成される。外周面31fの、この面取りされた部分を、面取り部31hとする。
【0030】
図4に示すように、外郭ケース31の、2つの一対のラグ31a間のそれぞれに、孔31cが形成される。孔31cは、外郭ケース31を厚み方向に貫通する。孔31cは、一対のラグ31a間に、例えば複数、具体例として2つ形成される。これら2つの孔31cは、外郭ケース31の周方向に並んで配置される。
【0031】
図5に示すように、孔31cは、外郭ケース31の内側から外側へ向かって裏カバー35側に直線状に延びる形状に構成される。孔31cは、外郭ケース31の内面に配置される第1開口端31dと、外郭ケース31の外面に配置される第2開口端31eと、を有する。
【0032】
第1開口端31dは、第2開口端31eに対して、外郭ケース31の軸方向で、風防32側に位置する。第2開口端31eは、外郭ケース31の、裏カバー35側の面取りされた面取り部31hに配置される。孔31cは、当該孔31cの延びる方向が、例えば外郭ケース31の中心線に対して傾斜する形状に構成される。孔31cの延びる方向は、外郭ケース31の中心線に対して、例えば、45度傾斜する方向に設定される。
風防32は、例えば、円形状のガラス板である。
【0033】
基部33は、表示部12、操作部13、ポンプ14、開閉弁16、圧力センサ17、電力供給部18、振動モータ19及び制御基板20を保持する。また、基部33は、例えば、ポンプ14及びカフ構造体6を流体的に連続する流路部15の一部を構成する。
【0034】
裏カバー35は、中央側が開口する環状に構成される。裏カバー35は、外郭ケース31の生体側の端部の外周縁側を覆う。このような裏カバー35は、カーラ5と一体に組み合わされることで、中央の開口がカーラ5により覆われ、そしてカーラ5とともに外郭ケース31の生体側の端部を覆う裏蓋を構成する。裏カバー35は、例えば4つのビス35a等によって外郭ケース31又は基部33の生体側の端部に固定される。
透湿防水フィルタ36は、図5に示すように、孔31cの第1開口端31dに設けられる。透湿防水フィルタ36は、第1開口端31dを覆う。透湿防水フィルタ36は、空気を通して、水の通過を規制する機能を有するフィルタである。ここで言う規制とは、水の通過量を小さく制限することである。または、透湿防水フィルタ36は、水の通過を防止する性能を有することが好ましい。
【0035】
表示部12は、外郭ケース31の基部33上であって、且つ、風防32の直下に配置される。図7に示すように、表示部12は、電気的に制御基板20に接続される。表示部12は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機エレクトロルミネッセンスディスプレイである。表示部12は、日時や最高血圧及び最低血圧などの血圧値や心拍数等の測定結果を含む各種情報を表示する。
【0036】
操作部13は、使用者からの指令を入力可能に構成される。例えば、操作部13は、図7に示すように、ケース11に設けられた複数の釦41と、釦41の操作を検出するセンサ42と、表示部12又は風防32に設けられたタッチパネル43と、を備える。操作部13は、使用者が操作することで、指令を電気信号に変換する。センサ42及びタッチパネル43は、電気的に制御基板20に接続され、電気信号を制御基板20へ出力する。
【0037】
複数の釦41は、例えば3つ設けられる。釦41は、基部33に支持されるとともに、外郭ケース31の外周面から突出する。複数の釦41及び複数のセンサ42は、基部33に支持される。タッチパネル43は、例えば、風防32に一体に設けられる。
【0038】
ポンプ14は、例えば圧電ポンプである。ポンプ14は、空気を圧縮し、流路部15を介して圧縮空気をカフ構造体6に供給する。ポンプ14は、電気的に制御基板20に接続される。
【0039】
流路部15は、図7に示すように、ポンプ14から平カフ71及び甲カフ74へつながる流路、及び、ポンプ14からセンシングカフ73へつながる流路を構成する。また、流路部15は、平カフ71及び甲カフ74から大気へつながる流路、及び、センシングカフ73から大気へつながる流路を構成する。流路部15は、基部33等に設けられた中空部、溝及びチューブ等により構成された空気の流路である。
【0040】
開閉弁16は、流路部15の一部を開閉する。開閉弁16は、例えば、図7に示すように、複数設けられ、各開閉弁16の開閉の組み合わせによりポンプ14から平カフ71及び甲カフ74へつながる流路、ポンプ14からセンシングカフ73へつながる流路、平カフ71及び甲カフ74から大気へつながる流路、及び、センシングカフ73から大気へつながる流路を選択的に開閉する。例えば、開閉弁16は、2つ用いられる。
【0041】
圧力センサ17は、平カフ71、センシングカフ73及び甲カフ74の圧力を検出する。圧力センサ17は、電気的に制御基板20に接続される。圧力センサ17は、検出した圧力を電気信号に変換し、制御基板20へ出力する。圧力センサ17は、例えば、図7に示すように、ポンプ14から平カフ71及び甲カフ74へつながる流路、及び、ポンプ14からセンシングカフ73へつながる流路に設けられる。これらの流路は平カフ71、センシングカフ73及び甲カフ74と連続することから、これら流路内の圧力が平カフ71、センシングカフ73及び甲カフ74の内部空間の圧力となる。
【0042】
電力供給部18は、例えば、リチウムイオンバッテリ等の二次電池である。電力供給部18は、図7に示すように、制御基板20に電気的に接続される。電力供給部18は、制御基板20に電力を供給する。
【0043】
図7に示すように、制御基板20は、例えば、基板51と、加速度センサ52と、通信部53と、記憶部54と、制御部55と、を備えている。制御基板20は、加速度センサ52、通信部53、記憶部54及び制御部55が基板51に実装されることで構成される。
【0044】
基板51は、ケース11の基部33にビス等によって固定される。
【0045】
加速度センサ52は、例えば、3軸加速度センサである。加速度センサ52は、装置本体3の互いに直交する3方向の加速度を表す加速度信号を制御部55に出力する。例えば、加速度センサ52は、検出された加速度から血圧測定装置1を装着した生体の活動量を測定するために用いられる。
【0046】
通信部53は、外部の装置と無線又は有線によって情報を送受信可能に構成される。通信部53は、例えば、制御部55によって制御された情報や測定された血圧値及び脈拍等の情報を、ネットワークを介して外部の装置へ送信し、また、外部の装置からネットワークを介してソフトウェア更新用のプログラム等を受信して制御部に送る。
【0047】
本実施形態において、ネットワークは、例えばインターネットであるが、これに限定されず、病院内に設けられたLAN(Local Area Network)等のネットワークであってもよく、また、USB等の所定の規格の端子を有するケーブルなどを用いた外部の装置との直接的な通信であってもよい。このため、通信部53は、無線アンテナ及びマイクロUSBコネクタ等の複数を含む構成であってもよい。
【0048】
記憶部54は、血圧測定装置1全体及び流体回路7を制御するためのプログラムデータ、血圧測定装置1の各種機能を設定するための設定データ、圧力センサ17で測定された圧力から血圧値や脈拍を算出するための算出データ等を予め記憶する。また、記憶部54は、測定された血圧値や脈拍等の情報を記憶する。
【0049】
制御部55は、単数又は複数のCPUにより構成され、血圧測定装置1全体の動作、及び、流体回路7の動作を制御する。制御部55は、表示部12、操作部13、ポンプ14、各開閉弁16及び各圧力センサ17に電気的に接続されるとともに、電力を供給する。また、制御部55は、操作部13及び圧力センサ17が出力する電気信号に基づいて、表示部12、ポンプ14及び開閉弁16の動作を制御する。
【0050】
例えば、制御部55は、図7に示すように、血圧測定装置1全体の動作を制御するメインCPU(Central Processing Unit)56及び流体回路7の動作を制御するサブCPU57を有する。例えば、メインCPU56は、圧力センサ17が出力する電気信号から、最高血圧及び最低血圧などの血圧値や心拍数などの測定結果を求め、この測定結果に対応した画像信号を表示部12へ出力する。
【0051】
例えば、サブCPU57は、操作部13から血圧を測定する指令が入力されると、ポンプ14及び開閉弁16を駆動して平カフ71及びセンシングカフ73に圧縮空気を送る。また、サブCPU57は、圧力センサ17が出力する電気信号に基づいて、ポンプ14の駆動及び停止、並びに、開閉弁16の開閉を制御する。サブCPU57は、ポンプ14及び開閉弁16を制御することで、圧縮空気を平カフ71及びセンシングカフ73に選択的に送るとともに、平カフ71及びセンシングカフ73を選択的に減圧する。
【0052】
図1乃至図6に示すように、ベルト4は、一方の一対のラグ31a及びバネ棒31bに設けられた第1ベルト61と、他方の一対のラグ31a及びバネ棒31bに設けられた第2ベルト62と、を備える。ベルト4は、カーラ5を介して手首200に巻き付けられる。
【0053】
第1ベルト61は、所謂親と呼ばれ、第2ベルト62と連結可能な帯状に構成される。第1ベルト61は、図1及び図2に示すように、ベルト部61a及び尾錠61bを有する。ベルト部61aは、帯状に構成される。ベルト部61aは、弾性変形可能な樹脂材料で形成される。また、ベルト部61aは、可撓性を有するとともに、ベルト部61aの長手方向の伸縮が抑制されるシート状のインサート部材を内部に有する。ベルト部61aは、一方の端部に形成され、ベルト部61aの長手方向に直交する第1孔部61c及び他方の端部に形成され、第1ベルト61の長手方向に直交する第2孔部61dを有する。
【0054】
図1及び図2に示すように、第1孔部61cは、ベルト部61aの端部に設けられる。第1孔部61cは、バネ棒31bを挿入可能、且つ、バネ棒31bに関して第1ベルト61が回転可能な内径を有する。即ち、第1ベルト61は、一対のラグ31aの間であって、且つ、バネ棒31bに第1孔部61cが配置されることで、外郭ケース31に回転可能に保持される。
【0055】
図1及び図2に示すように、第2孔部61dは、ベルト部61aの先端に設けられる。第2孔部61dは、尾錠61bが取り付けられる。
【0056】
図1及び図2に示すように、尾錠61bは、矩形枠状の枠状体61eと、枠状体61eに回転可能に取り付けられたつく棒61fと、を有する。枠状体61eは、つく棒61fが取り付けられた一辺が第2孔部61dに挿入され、ベルト部61aに関して回転可能に取り付けられる。
【0057】
第2ベルト62は、所謂剣先と呼ばれ、枠状体61eに挿入可能な幅を有する帯状に構成される。第2ベルト62は、弾性変形可能な樹脂材料で形成される。また、第2ベルト62は、可撓性を有するとともに、第2ベルト62の長手方向の伸縮が抑制されるシート状のインサート部材を内部に有する。
【0058】
また、第2ベルト62は、図1乃至図3に示すように、つく棒61fが挿入される小孔62aを複数有する。また、第2ベルト62は、一方の端部に設けられ、第2ベルト62の長手方向に直交する第3孔部62bを有する。第3孔部62bは、バネ棒31bを挿入可能、且つ、バネ棒31bに関して第2ベルト62が回転可能な内径を有する。即ち、第2ベルト62は、一対のラグ31aの間であって、且つ、バネ棒31bに第3孔部62bが配置されることで、外郭ケース31に回転可能に保持される。
【0059】
このようなベルト4は、第2ベルト62が枠状体61eに挿入され、小孔62aにつく棒61fが挿入されることで、第1ベルト61及び第2ベルト62が一体に接続され、外郭ケース31とともに、手首200の周方向に倣った環状となる。ベルト4は、手首200の周方向に倣った環状となることで、カーラ5を押圧し、カーラ5を血圧測定装置1の装着者の手首の周方向に倣うように、弾性変形させる。
【0060】
カーラ5は、図1乃至図6に示すように、手首の周方向に倣って湾曲する帯状に構成される。カーラ5は、一端と他端が離間して形成される。カーラ5は、例えば、一端側の外面が装置本体3の裏カバー35に固定される。カーラ5は、一端及び他端が裏カバー35よりも突出した位置に配置される。また、カーラ5は、所定の距離だけ離間して一端及び他端が隣接する。カーラ5は、例えば、樹脂材料で形成される。具体例として、カーラ5は、ポリプロピレンによって厚さが1mm程度に形成される。
【0061】
具体例として、図6に示すように、カーラ5は、手首の周方向に倣って湾曲する帯状に構成され、端側の手首200の手の甲側に対向する位置に、裏カバー35とともに裏蓋を構成する円板状のカバー部5aを有する。カーラ5は、例えば、カバー部5a及びその隣接する部位が平板状に形成されるとともに、カバー部5aよりも一端側及び他端側が所定の曲率で湾曲して形成される。
【0062】
また、図13に示すように、カーラ5は、一端及び他端が近接したときに、一端側の内周面側に他端が位置する形状に形成される。具体例として、カーラ5の手首200の幅方向の幅は、カーラの手首200の手の平側よりもカーラ5の手首200の手の甲側が大きく設定される。そして、カーラ5は、手首200の手の甲側の一端の曲率半径が手首200の手の平側の他端の曲率半径よりも大きく設定される。このような構成により、カーラ5は、カーラ5の両端側が当接すると、一端よりも他端がカーラ5の内方に配置される。
【0063】
カバー部5aは、補強用のインサート部材を有する。カバー部5aは、ビス35a等を用いて裏カバー35が取り付けられる螺子孔5bを有する。また、カバー部51aは、カフ構造体6を装置本体3に接続するための孔部5cを有する。本実施形態において、孔部5cは、平カフ71、センシングカフ73及び甲カフ74の後述する接続部84、93、103を挿入可能な径に形成され、カバー部5aに3つ設けられる。ここで、平カフ71の接続部84が挿入される孔部5cを、第1孔部5c1と称する。センシングカフ73の接続部93が挿入される孔部5cを、第2孔部5c2と称する。甲カフ74の接続部103が挿入される孔部5cを、第3孔部5c3と称する。カバー部5aは、固定された裏カバー35を介して外郭ケース31の生体側に固定される。
【0064】
このようなカーラ5は、一端及び他端がベルト4の第2ベルト62と対向する向きで外郭ケース31に固定される。また、カーラ5は、少なくとも、手首200の手の平側と対向する位置が、手首200の手の平側に沿って周方向に沿って湾曲することで、手首200の手の平側と対向するカフ構造体6を、手首200の手の平側の形状に倣って湾曲させた状態で保持する。
【0065】
また、カーラ5は、可撓性及び形状保持性を有する硬さを有する。ここで、可撓性とは、カーラ5にベルト4の外力が印加されたときに径方向に形状が変形することをいう。例えば、可撓性とは、ベルト4によってカーラ5が押圧されたときに、手首に近接するか、手首の形状に沿うか、又は、手首の形状に倣うように側面視の形状が変形することをいう。また、形状保持性とは、外力が印加されないときに、カーラ5が予め賦形された形状を維持できることをいう。例えば、形状保持性とは、本実施形態においてはカーラ5の形状が手首の周方向に沿って湾曲する形状を維持できることである。
【0066】
カーラ5は、内周面にカフ構造体6が配置され、そして、カーラ5の内周面形状に沿ってカフ構造体6を保持する。具体例として、カーラ5は、平カフ71及び甲カフ74が内周面に配置され、カーラ5及び平カフ71及び甲カフ74との間に設けられる接合層75により、カフ構造体6が固定される。本実施形態においては、接合層75は、接着剤や両面テープである。
【0067】
カーラ5は、樹脂材料で形成される。カーラ5は、例えば、ポリプロピレンによって厚さが1mm程度に形成される。
【0068】
また、カーラ5は、外面または内面に、給電部8が設けられる。具体例として、図13に示すように、カバー部5aの一端側の外面の一部、及びカーラ5の装置本体3側の面の一部に、給電部8が設けられる窪み5dが形成される。
【0069】
窪み5dは、カバー部5aの周縁部の一方の一対のラグ31a間の部分から、カバー部5aの一端に向かって延びる形状に形成される。窪み5dは、例えば、設けられた給電部8がカーラ5の外面から突出しない深さに構成される。
【0070】
図1乃至図6図8図14及び図15に示すように、カフ構造体6は、平カフ(カフ)71と、背板72と、センシングカフ73と、甲カフ(カフ)74と、を備えている。また、カフ構造体6は、各構成同士、及び、カーラ5とカフ71、74を接合する接合層75を備えている。カフ構造体6は、カーラ5に固定される。カフ構造体6は、平カフ71、背板72及びセンシングカフ73が積層してカーラ5に配置され、甲カフ74が平カフ71、背板72及びセンシングカフ73と離間してカーラ5に配置される。
【0071】
具体例として、カフ構造体6は、図6に示すように、カーラ5の手首200の手の平側の内周面に、カーラ5の内周面から生体側に向かって、平カフ71、背板72及びセンシングカフ73の順に積層して固定される。また、カフ構造体6は、カーラ5の手首200の手の甲側の内周面に甲カフ74が配置される。カフ構造体6の各部材は、積層方向に隣接する部材に接合層75によって固定される。
【0072】
平カフ71は、所謂押圧カフである。平カフ71は、流路部15を介してポンプ14に流体的に接続される。平カフ71は、膨張することで背板72及びセンシングカフ73を生体側に押圧する。平カフ71は、図8乃至図10に示すように、複数の、例えば二層の空気袋81と、空気袋81と連通するチューブ83と、チューブ83の先端に設けられた接続部84と、を含む。このような平カフ71は、複数のシート部材86を一体に溶着することで構成される。
【0073】
ここで、空気袋81とは、袋状構造体であり、本実施形態においては血圧測定装置1がポンプ14により空気を用いる構成であることから、空気袋を用いて説明するが、空気以外の流体を用いる場合には、袋状構造体は液体袋等の流体袋であってもよい。複数の空気袋81は、積層され、積層方向に流体的に連通する。
【0074】
空気袋81は、一方向に長い矩形状の袋形状に形成される。また、空気袋81は、短手方向の幅が、カーラ5の短手方向の幅と同じ幅に設定される。空気袋81は、例えば、二枚のシート部材86を組み合わせ、図9及び図10図14乃至図17に溶着部81aを示すように、一方向に長い矩形枠状に熱により溶着することで構成される。また、二層の空気袋81は、二つの空気袋81を熱により溶着して一体に組み合わせるか、又は、隣り合う空気袋81の対向するシート部材86同士を溶着したあとに空気袋81を溶着して形成することで構成される。二層の空気袋81は、互いに対向するシート部材86に設けられた開口によって流体的に連続する。
【0075】
チューブ83は、図8図14乃至図17に示すように、一つの空気袋81、例えば、カーラ5に隣接する空気袋81の長手方向の一方の縁部の一部に一体に設けられる。具体例として、チューブ83は、空気袋81の装置本体3に近い端部に設けられる。また、チューブ83は、空気袋81の短手方向の幅よりも小さい幅で一方向に長い形状に形成され、先端が円形状に形成される。チューブ83は、先端に接続部84を有する。チューブ83は、接続部84を介して流路部15に接続され、装置本体3と空気袋81との間の流路を構成する。
チューブ83は、二枚のシート部材86に接続部84を配置した状態で、シート部材86の空気袋81を構成する領域に隣接するシート部材86の一部を一方向に長い枠状に熱により溶着することで構成される。
【0076】
なお、チューブ83が設けられる空気袋81は、二枚のシート部材86を矩形枠状に溶着する溶着部81aの一部を非溶着とし、チューブ83を構成する溶着部83aと連続する構成とすることで、空気袋81及びチューブ83を流体的に連続する。
【0077】
接続部84は、例えばニップルである。接続部84は、チューブ83の先端に設けられる。接続部84の先端は、チューブ83を構成する二枚のシート部材86のうち、カーラ5と対向するシート部材86から露出する。接続部84は、図20に示すように、カーラ5のカバー部5aの第1孔部5c1に挿入される。接続部84は、第1孔部5c1と同径、または若干小さい径を有する形状に構成される。
【0078】
具体例として、平カフ71は、図9及び図10に示すように、生体側から、第1シート部材86aと、第1シート部材86aと一層目の空気袋81を構成する第2シート部材86bと、第2シート部材86bと一体に接合される第3シート部材86cと、第3シート部材86cと二層目の空気袋81及びチューブ83を構成する第4シート部材86dと、を備える。なお、平カフ71は、隣り合うシート部材86が熱による溶着により接合されることで一体に構成される。
【0079】
第1シート部材86a及び第2シート部材86bは、空気袋81と同様の矩形状に構成され、四辺の周縁部が溶着されることで空気袋81を構成する。第2シート部材86b及び第3シート部材86cは、対向して配置され、それぞれ、二つの空気袋81を流体的に連続させる複数の開口86b1、86c1を有する。また、第2シート部材86b及び第3シート部材86cは、複数の開口86b1、86c1の周囲を、空気袋81を溶着した四辺よりも小さい四辺枠状に熱により溶着されることで、一体に接合される。
【0080】
第3シート部材86cは、例えば、空気袋81、及びチューブ83を構成可能な形状に構成される。第4シート部材86dは、例えば、空気袋81及びチューブ83を構成可能な形状に構成される。また、第4シート部材86dは、例えば、接続部84の先端を挿入可能な孔部86d1を有する。
【0081】
第3シート部材86c及び第4シート部材86dは、対向して配置され、空気袋81及びチューブ83が流体的に連続するように、空気袋81及びチューブ83の周縁形状に沿って熱により溶着され、所定の形状に裁断されることで空気袋81、及びチューブ83を構成する。
【0082】
第4シート部材86dは、孔部86d1に接続部84が配置され、そして、孔部86d1の周囲が接続部84と熱により溶着される。さらに、第4シート部材86dは、カーラ5の内周面に、接合層75を介して接合される。
【0083】
背板72は、図9及び図10に示すように、接合層75により平カフ71の第1シート部材86aの外面に貼付される。背板72は、樹脂材料で板状に形成される。背板72は、例えば、ポリプロピレンからなり、厚さが1mm程度の板状に形成される。背板72は、形状追従性を有する。
【0084】
ここで、形状追従性とは、配置される手首200の被接触箇所の形状を倣うように背板72が変形可能な機能をいい、手首200の被接触箇所とは、背板72が対向する手首200の領域をいい、ここでの接触とは、直接的な接触及びセンシングカフ73を介した間接的な接触の双方を含む。
【0085】
例えば、図10に示すように、背板72は、背板72の両主面に長手方向に対して直交する方向に延びる複数の溝72aを有する。図10に示すように、溝72aは、背板72の両主面にそれぞれ複数設けられる。両主面に設けられた複数の溝72aは、背板72の厚さ方向においてそれぞれ対向する。また、複数の溝72aは、背板72の長手方向に等間隔に配置される。
【0086】
背板72は、複数の溝72aを有する部位が溝72aを有さない部位に比べて薄肉となることで、複数の溝72aを有する部位が変形しやすいことから、手首200の形状に倣って変形し、手首の周方向に延在する形状追従性を有する。背板72は、手首200の手の平側を覆う長さに形成される。背板72は、手首200の形状に沿った状態で、平カフ71からの押圧力をセンシングカフ73の背板72側の主面に伝達する。
【0087】
センシングカフ73は、流路部15を介してポンプ14に流体的に接続される。センシングカフ73は、背板72の生体側の主面に固定される。センシングカフ73は、図6及び図9に示すように、手首200の動脈210が存する領域に直接接触する。ここで、動脈210とは、橈骨動脈及び尺骨動脈である。センシングカフ73は、背板72の長手方向及び幅方向で、背板72と同一形状か、又は、背板72よりも小さい形状に形成される。センシングカフ73は、膨張することで手首200の手の平側の動脈210が存する領域を圧迫する。センシングカフ73は、膨張した平カフ71により、背板72を介して生体側に押圧される。
【0088】
具体例として、センシングカフ73は、図9図10図18及び図19に示すように、一つの空気袋91と、空気袋91と連通するチューブ92と、チューブ92の先端に設けられた接続部93と、を含む。センシングカフ73は、空気袋91の一方の主面が背板72に固定される。例えば、センシングカフ73は、背板72の生体側の主面に接合層75により接合される。このようなセンシングカフ73は、二枚のシート部材96を一体に溶着することで構成される。
【0089】
ここで、空気袋91とは、袋状構造体であり、本実施形態においては血圧測定装置1がポンプ14により空気を用いる構成であることから、空気袋を用いて説明するが、空気以外の流体を用いる場合には、袋状構造体は液体袋等であってもよい。
【0090】
空気袋91は、一方向に長い矩形状に構成される。空気袋91は、例えば、一方向に長い二枚のシート部材96を組み合わせ、図9図10図14図18及び図19に溶着部91aを示すように、一方向に長い矩形枠状に熱により溶着することで構成される。
【0091】
チューブ92は、空気袋91の長手方向の一方の縁部の一部に一体に設けられる。具体例として、チューブ92は、空気袋91の装置本体3に近い端部に設けられる。また、チューブ92は、空気袋91の短手方向の幅よりも小さい幅で一方向に長い形状に形成され、先端が円形状に形成される。チューブ92は、先端に接続部93を有する。チューブ92は、接続部93を介して流路部15に接続され、装置本体3と空気袋91との間の流路を構成する。
【0092】
チューブ92は、二枚のシート部材96に接続部93を配置した状態で、シート部材96の空気袋91を構成する領域に隣接するシート部材96の一部を一方向に長い枠状に熱により溶着することで構成される。なお、空気袋91は、二枚のシート部材96を矩形枠状に溶着する溶着部91aの一部を非溶着とし、チューブ92を構成する溶着部92aと連続する構成とすることで、空気袋91及びチューブ92を流体的に連続する。
【0093】
接続部93は、例えばニップルである。接続部93は、チューブ92の先端に設けられる。また、接続部93の先端は、チューブ92を構成する二枚のシート部材96のうち、カーラ5及び背板72と対向するシート部材96から外部に露出する。
【0094】
接続部93は、流路部15に接続される。接続部93は、図20に示すように、チューブ92から突出する筒状に構成される。接続部93は、例えばニップルである。接続部93は、カーラ5のカバー部5aの第2孔部5c2に挿入される。接続部93は、第2孔部5c2と同径、または、若干小さい径を有する形状に構成される。
【0095】
具体例として、センシングカフ73は、図9及び図10に示すように、生体側から第5シート部材96a及び第6シート部材96bを備える。なお、センシングカフ73は、隣り合うシート部材96が熱による溶着により接合されることで構成される。
【0096】
例えば、第5シート部材96a及び第6シート部材96bは、空気袋81、及びチューブ83を構成可能な形状に構成される。第5シート部材96a及び第6シート部材96bは、対向して配置され、空気袋91及びチューブ92が流体的に連続するように、空気袋91及びチューブ92の周縁形状に沿って熱により溶着され、所定の形状に裁断されることで空気袋91及びチューブ92を構成する。
【0097】
また、第6シート部材96bは、例えば、接続部93の先端を挿入可能な孔部96b1を有する。第6シート部材96bは、孔部96b1に接続部93が配置され、そして、孔部96b1の周囲が接続部93と熱により溶着される。第6シート部材96bは、背板72の内周面に、接合層75を介して接合される。
【0098】
甲カフ74は、所謂引っ張りカフである。甲カフ74は、流路部15を介してポンプ14に流体的に接続される。甲カフ74は、膨張することで手首200から離間するようにカーラ5を押圧することで、ベルト4及びカーラ5を手首200の手の甲側に引っ張る。甲カフ74は、複数の、例えば六層の空気袋101と、カーラ5と対向する空気袋101に設けられた接続部103と、を含む。このような甲カフ74は、複数のシート部材106を一体に溶着することで構成される。
【0099】
また、甲カフ74は、膨張方向、本実施形態においては、カーラ5及び手首200の対向する方向で、膨張時の厚さが、平カフ71の膨張方向における膨張時の厚さ、及び、センシングカフ73の膨張方向における膨張時の厚さよりも厚く構成される。即ち、甲カフ74の空気袋101は、平カフ71の空気袋81及びセンシングカフ73の空気袋91よりも多い層構造を有し、カーラ5から手首200に向かって膨張したときの厚さが平カフ71及びセンシングカフ73よりも厚い。
【0100】
ここで、空気袋101とは、袋状構造体であり、本実施形態においては血圧測定装置1がポンプ14により空気を用いる構成であることから、空気袋を用いて説明するが、空気以外の流体を用いる場合には、袋状構造体は液体袋等の流体袋であってもよい。複数の空気袋101は、積層され、積層方向に流体的に連通する。
【0101】
空気袋101は、一方向に長い矩形状の袋形状に形成される。また、空気袋101は、短手方向の幅が、カーラ5の短手方向の幅と同じ幅に設定される。空気袋101は、例えば、二枚のシート部材106を組み合わせ、図11図12図14及び図15に溶着部101aを示すように、一方向に長い矩形枠状に熱により溶着することで構成される。また、六層の空気袋101は、例えば、六つの空気袋101を熱により溶着して一体に組み合わせるか、又は、隣り合う空気袋101の対向するシート部材106同士を溶着したあとに空気袋101を溶着して形成することで構成される。六層の空気袋101は、互いに対向するシート部材106に設けられた開口によって流体的に連続する。
【0102】
接続部103は、例えばニップルである。接続部103は、カーラ5と隣接して配置される空気袋101の長手方向で中央側に設けられる。接続部103の先端は、空気袋101を構成する二枚のシート部材106のうち、カーラ5と対向するシート部材106から露出する。
【0103】
接続部103は、流路部15に接続される。接続部103は、図20に示すように、空気袋101から突出する筒状に構成される。接続部103は、例えばニップルである。接続部103は、カーラ5のカバー部5aの第3孔部5c3に挿入される。接続部103は、第3孔部5c3と同径、または、若干小さい径を有する。
【0104】
具体例として、甲カフ74は、図11及び図12に示すように、生体側から、第7シート部材106aと、第8シート部材106bと、第9シート部材106cと、第10シート部材106dと、第11シート部材106eと、第12シート部材106fと、第13シート部材106gと、第14シート部材106hと、第15シート部材106iと、第16シート部材106jと、第17シート部材106kと、第18シート部材106lと、を備えている。なお、甲カフ74は、隣り合うシート部材106が熱による溶着により接合されることで一体に構成される。
【0105】
第7シート部材106a乃至第18シート部材106lは、空気袋101と同様の矩形状に構成される。第7シート部材106a及び第8シート部材106bは、四辺の周縁部が溶着されることで、一層目の空気袋101を構成する。第8シート部材106b及び第9シート部材106cは、対向して配置され、それぞれ、二つの空気袋101を流体的に連続させる複数の開口106b1、106c1を有する。また、第8シート部材106b及び第9シート部材106cは、複数の開口106b1、106c1の周囲を、空気袋101を溶着した四辺よりも小さい四辺枠状に熱により溶着されることで、一体に接合される。
【0106】
第9シート部材106c及び第10シート部材106dは、四辺の周縁部が溶着されることで、二層目の空気袋101を構成する。
【0107】
第10シート部材106d及び第11シート部材106eは、図11及び図12に示すように、対向して配置され、それぞれ、二つの空気袋101を流体的に連続させる複数の開口106d1、106e1を有する。また、第10シート部材106d及び第11シート部材106eは、複数の開口106d1、106e1の周囲を、空気袋101を溶着した四辺よりも小さい四辺枠状に熱により溶着されることで、一体に接合される。第11シート部材106e及び第12シート部材106fは、四辺の周縁部が溶着されることで、三層目の空気袋101を構成する。
【0108】
第12シート部材106f及び第13シート部材106gは、図11及び図12に示すように、対向して配置され、それぞれ、二つの空気袋101を流体的に連続させる複数の開口106f1、106g1を有する。また、第12シート部材106f及び第13シート部材106gは、複数の開口106f1、106g1の周囲を、空気袋101を溶着した四辺よりも小さい四辺枠状に熱により溶着されることで、一体に接合される。第13シート部材106g及び第14シート部材106hは、四辺の周縁部が溶着されることで、四層目の空気袋101を構成する。
【0109】
第14シート部材106h及び第15シート部材106iは、図11及び図12に示すように、対向して配置され、それぞれ、二つの空気袋101を流体的に連続させる複数の開口106h1、106i1を有する。また、第14シート部材106h及び第15シート部材106iは、複数の開口106h1、106i1の周囲を、空気袋101を溶着した四辺よりも小さい四辺枠状に熱により溶着されることで、一体に接合される。第15シート部材106i及び第16シート部材106jは、四辺の周縁部が溶着されることで、五層目の空気袋101を構成する。
【0110】
第16シート部材106j及び第17シート部材106kは、図11及び図12に示すように、対向して配置され、それぞれ、二つの空気袋101を流体的に連続させる複数の開口106j1、106k1を有する。また、第17シート部材106kは、例えば、空気袋101を構成可能な形状に構成される。第16シート部材106j及び第17シート部材106kは、複数の開口106j1、106k1の周囲を、空気袋101を溶着した四辺よりも小さい四辺枠状に熱により溶着されることで、一体に接合される。第17シート部材106k及び第18シート部材106lは、空気袋101の周縁形状に沿って熱により溶着され、所定の形状に裁断されることで、六層目の空気101を構成する。
【0111】
また、第18シート部材106lは、例えば、接続部103の先端を挿入可能な孔部106l1を有する。第18シート部材106lは、孔部106l1に接続部103が配置され、そして、孔部106l1の周囲が接続部103と熱により溶着される。また、第18シート部材106lは、カーラ5の内周面に、第17シート部材106kは、カーラ5の外周面に、それぞれ接合層75を介して接合される。
【0112】
また、平カフ71、センシングカフ73及び甲カフ74を形成する各シート部材86、96、106は、熱可塑性樹脂材料により形成される。熱可塑性樹脂材料は、熱可塑性エラストマーである。シート部材86、96、106を構成する熱可塑性樹脂材料としては、例えば、熱可塑性ポリウレタン系樹脂(Thermoplastic PolyUrethane、以下TPUと表記する)、塩化ビニル樹脂(PolyVinyl Chloride)、エチレン酢酸ビニル樹脂(Ethylene-Vinyl Acetate)、熱可塑性ポリスチレン系樹脂(Thermoplastic PolyStyrene)、熱可塑性ポリオレフィン樹脂(Thermoplastic PolyOlefin)、熱可塑性ポリエステル系樹脂(ThermoPlastic Polyester)及び熱可塑性ポリアミド樹脂(Thermoplastic PolyAmide)を用いることができる。なお、平カフ71、センシングカフ73は、少なくとも空気袋81、101を構成する複数のシート部材86、106のうち、少なくともカーラ5と溶着されるシート部材86、106がカーラ5と同種材料で構成される。
【0113】
例えば、シート部材86、96、106は、Tダイ押し出し成形や射出成形等の成形方式が用いられる。シート部材86、96、106は、各成形方式で成形された後、所定の形状にサイジングされ、そして、サイジングした個片を溶着等により接合することで袋状構造体81、91、101を構成する。溶着の方式としては、高周波ウェルダーやレーザー溶着が用いられる。
【0114】
流体回路7は、ケース11、ポンプ14、流路部15、開閉弁16、圧力センサ17、平カフ71、センシングカフ73、及び、甲カフ74によって構成される。流体回路7に用いられる二つの開閉弁16を第1開閉弁16A及び第2開閉弁16Bとし、二つの圧力センサ17を第1圧力センサ17A及び第2圧力センサ17Bとして、以下、流体回路7の具体例を説明する。
【0115】
流体回路7は、図7に示すように、例えば、ポンプ14から平カフ71及び甲カフ74を接続する第1流路7aと、第1流路7aの中途部が分岐されることで構成され、ポンプ14からセンシングカフ73を接続する第2流路7bと、第1流路7aと大気を接続する第3流路7cと、を備えている。また、第1流路7aは、第1圧力センサ17Aを含む。第1流路7a及び第2流路7bの間には第1開閉弁16Aが設けられる。第2流路7bは、第2圧力センサ17Bを含む。第1流路7a及び第3流路7cの間には、第2開閉弁1
6Bが設けられる。
【0116】
このような流体回路7は、第1開閉弁16A及び第2開閉弁16Bが閉じることで、第1流路7aのみがポンプ14と接続し、ポンプ14、平カフ71及び甲カフ74が流体的に接続される。流体回路7は、第1開閉弁16Aが開き、そして、第2開閉弁16Bが閉じることで、第1流路7a及び第2流路7bが接続され、ポンプ14、平カフ71及び甲カフ74、並びに、ポンプ14及びセンシングカフ73が流体的に接続される。流体回路7は、第1開閉弁16Aが閉じ、そして、第2開閉弁16Bが開くことで、第1流路7a及び第3流路7cが接続され、平カフ71、甲カフ74及び大気が流体的に接続される。流体回路7は、第1開閉弁16A及び第2開閉弁16Bが開くことで、第1流路7a、第2流路7b及び第3流路7cが接続され、平カフ71、センシングカフ73、甲カフ74及び大気が流体的に接続される。
【0117】
給電部8は、図21に示すように、装置本体3から突出するカーラ5の一端側の外面に設けられた窪み5dに設けられる。給電部8は、充電器の充電ケーブルの先端に設けられたコネクタと接続可能、且つ、当該コネクタを固定可能に構成される。
【0118】
給電部8は、配線部8aと、給電端子8bと、給電カバー8cと、を備えている。配線部8aは、窪み5d内に収容される。配線部8aは、一端が給電端子8bに、他端が制御部55に接続される。給電端子8bは、窪み5dの、外郭ケース31に対して反対側の端部に収容される。給電端子8bは、例えば円形状に構成され、二つ設けられる。
【0119】
給電カバー8cは、窪み5d内に収容される。給電カバー8cは、窪み5dと同形状に構成され、窪み5dに嵌る。また、給電カバー8cは、給電端子8bを外部に露出する孔を有する。給電カバー8c及び配線部8aは、例えば粘着テープ8dにより、窪み5d内に固定される。
【0120】
粘着テープ8dは、例えば、給電カバー8cの内面、及び配線部8aの表面の間、並びに、窪み5dの内面及び配線部8aの間の、後述する撥水処理が施されていない領域に設けられる。なお、粘着テープ8dが設けられる箇所は、限定されない。
【0121】
撥水部9は、ケース11、カーラ5、及びカフ構造体6の少なくとも1つにより構成される流路の内面、及び当該流路を構成する部材の外面の、当該流路に連続する部分の少なくとも一方に設けられる。流路は、ケース11の内外を連通し、空気が流動可能に構成される。流路は、例えば、ケース11、カーラ5、及びカフ構造体6の少なくとも1つにより構成された通気孔や、ケース11、カーラ5、及びカフ構造体6の2つにより構成される隙間である。換言すると、流路は、積極的に形成され通気孔や、部材間の隙間を含む概念である。
【0122】
流路は、例えば、孔31cと、給電カバー8c及び窪み5dの間の第1隙間S1と、カバー部5a及び平カフ71の間の第2隙間S2と、カバー部5a及びセンシングカフ73の間の第3隙間S3と、カバー部5a及び甲カフ74の間の第4隙間S4と、である。撥水部9は、これら流路に、設けられる。
【0123】
第1隙間S1は、具体的には、図21に示すように、給電カバー8cの内面、窪み5dの内面、及び配線部8aの表面の、それぞれの互いに対向する面間の隙間である。
第2隙間S2は、具体的には、図20に示すように、カバー部5aの第1孔部5c1の内面5c11、及び接続部84の外面84aの間の隙間と、この隙間に連通する、カバー部5aの生体側の面5a1、及びチューブ83のカバー部5a側の面83bの間の隙間と、を有する。
【0124】
第3隙間S3は、具体的には、カバー部5aの第2孔部5c2の内面5c21、及び接続部93の外面93aの間の隙間と、この隙間に連通する、カバー部5aの生体側の面5a1、及びチューブ92のカバー部5a側の面92bの間の隙間と、を有する。
【0125】
第4隙間S4は、具体的には、カバー部5aの第3孔部5c3の内面5c31、及び接続部103の外面103aの間の隙間と、この隙間に連通する、カバー部5aの生体側の面5a1、及び袋構造体101のカバー部5a側の面101bの間の隙間と、を有する。
【0126】
撥水部9は、具体的には、図5に示すように孔31cに設けられる第1撥水部111と、図21に示すように第1隙間S1に設けられる第2撥水部112と、図20に示すように、第2隙間S2に設けられる第3撥水部113と、第3隙間S3に設けられる第4撥水部114と、第4隙間S4に設けられる第5撥水部115と、を備えている。
【0127】
また、撥水部9は、撥水処理を施すことにより、構成される。撥水処理とは、撥水処理が施される前に比較して、水の接触角度を大きくする処理である。撥水処理は、好ましくは、水の接触角度を、90度以上にする処理である。撥水処理の一例として、フッ素処理が施される。フッ素処理は、例えば、フッ素樹脂を含む処理液を、刷毛や綿棒を用いて塗布されることにより、施される。処理液が乾燥することで、フッ素樹脂を含む被膜が形成される。この被膜が、撥水部となる。または、撥水部9は、流路を構成する部材を、所望の撥水性を有する材料で形成することで構成されてもよい。
【0128】
第1撥水部111は、図4及び図5に示すように、孔31cの内面に設けられた第1内側撥水部111aと、外郭ケース31の外周面の、孔31cに連続する部分に設けられ第1外側撥水部111bと、を有する。
【0129】
第1内側撥水部111aは、例えば、内面31c1の孔31cの軸回りに一周連続する領域に設けられる。第1内側撥水部111aは、具体例として、内面31c1の全域に設けられる。
【0130】
第1外側撥水部111bは、外郭ケース31の外周面31fの第2開口端31eの周囲に設けられる。第1外側撥水部111bは、具体例として、外周面31fの第2開口端31eの縁を含む第2開口端31eの周囲の環状の領域Aに、撥水処理が施されることで、設けられる。
【0131】
第2撥水部112は、図21に示すように、第1隙間S1を構成する、給電カバー8cの内面、窪み5dの内面、及び配線部8aの表面の少なくとも一つに、撥水処理が施されることで、設けられる。第2撥水部112は、例えば、第1隙間S1のうち、ケース11側の端部を構成する面に設けられる。
【0132】
第2撥水部112は、具体例として、窪み5dの外郭ケース31側の端部の内面の、窪み5dの長手方向からの側面視で給電カバー8cの周方向に沿って一端から他端までの連続する領域Bと、窪み5dの外郭ケース31側の端面Cと、給電カバー8cのケース11側の端部の内面の領域Bと対向する領域Dと、配線部8aの表面の領域B,Dに対向する部分と、に撥水処理が施されることで、設けられる。
【0133】
第3撥水部113は、第3内側撥水部113aと、第3外側撥水部113bと、を有する。第3内側撥水部113aは、図20に示すように、第1孔部5c1の内面、及び接続部84の外面に撥水処理が施されることで、設けられる。
【0134】
第3内側撥水部113aは、具体例として、第1孔部5c1のチューブ83側の端部の内面の、第1孔部5c1の軸回りに一周連続する領域Eと、接続部84の外面の、第1孔部5c1の端部の内面に対向し、接続部84の軸回りに一周連続する領域Fと、に撥水処理が施されることで、設けられる。
【0135】
第3外側撥水部113bは、カバー部5aの生体側の面5a1の第1孔部5c1の周囲と、接続部84の外面及びチューブ83の外面の、第1孔部5c1の周囲と、に設けられる。第3外側撥水部113bは、具体的には、カバー部5aの生体側の面5a1の、第1孔部5c1の縁を含み、第1孔部5c1の周囲の環状の領域Gと、チューブ83の、接続部84の周囲に一周連続する環状の領域Hと、接続部84の外面84aのチューブ83側の端部の、接続部84の軸回りに一周連続する領域Iと、に撥水処理が施されることで、設けられる。領域Hに設けられる撥水部と、領域Iに設けられる撥水部と、は、連続して構成される。
【0136】
また、第3内側撥水部113aと、第3外側撥水部113bとは、連続して構成される。具体的には、第3内側撥水部113aの領域Eに設けられる撥水部、及び第3外側撥水部113bの領域Gに設けられる撥水部は、連続して構成される。第3内側撥水部113aの領域Fに設けられる撥水部、及び第3外側撥水部113bの領域Hに設けられる撥水部は、連続して構成される。
【0137】
第4撥水部114は、第4内側撥水部114aと、第4外側撥水部114bと、を有する。第4内側撥水部114aは、カバー部5aの生体側の面5a1の第2孔部5c2の周囲と、接続部93の外面及びチューブ92の外面の第2孔部5c2の周囲と、に設けられる。
【0138】
第4内側撥水部114aは、具体例として、第2孔部5c2のチューブ92側の端部の内面の、第2孔部5c2の軸回りに一周連続する領域Jと、接続部93の外面93aの、第2孔部5c2の端部に対向し、接続部93の軸回りに一周連続する領域Kと、に撥水処理施されることで、設けられる。
【0139】
第4外側撥水部114bは、カバー部5aの生体側の面5a1の第2孔部5c2の周囲と、接続部93の外面及びチューブ92の外面の、第2孔部5c2の周囲と、に設けられる。第4外側撥水部114bは、具体例として、カバー部5aの生体側の面5a1の、第2孔部5c2の縁を含み、第2孔部5c2の周囲の環状の領域Lと、チューブ92の、接続部93の周囲に一周連続する環状の領域Mと、接続部93の外面93aのチューブ92側の端部の、接続部93の軸回りに一周連続する領域Nと、に撥水処理が施されることで、設けられる。領域Mに設けられる撥水部、及び領域Nに設けられる撥水部は、連続して構成される。
【0140】
また、第4内側撥水部114aと、第4外側撥水部114bとは、連続して構成される。具体的には、第4内側撥水部114aの領域Kに設けられる撥水部、及び第4外側撥水部114bの領域Nに設けられる撥水部は、連続して構成される。第4内側撥水部114aの領域Jに設けられる撥水部、及び第4外側撥水部114bの領域Lに設けられる撥水部は、連続して構成される。
【0141】
第5撥水部115は、第5内側撥水部115aと、第5外側撥水部115bと、を有する。第5内側撥水部115aは、第3孔部5c3の内面、及び接続部103の外面に撥水処理が施されることで、設けられる。
【0142】
第5内側撥水部115aは、具体的には、第3孔部5c3の空気袋101側の端部の内面の、第3孔部5c3の軸回りに一周連続する領域Oと、接続部103の外面103aの、第3孔部5c3の端部の内面に対向し、接続部103の軸回りに一周連続する領域Pと、に撥水処理が施されることで、設けられる。
【0143】
第5外側撥水部115bは、カバー部5aの生体側の面5a1の第3孔部5c3の周囲と、接続部103の外面及び袋構造体101の外面の、第3孔部5c3の周囲と、に設けられる。第5外側撥水部115bは、具体例として、カバー部5aの生体側の面5a1の、第3孔部5c3の縁を含み、第3孔部5c3の周囲の環状の領域Qと、空気袋101の接続部103の周囲に一周連続する環状の領域Rと、接続部103の外面103aの空気袋101側の端部の、接続部103の軸回りに一周連続する領域Sと、に撥水処理が施されることで、設けられる。領域Rに設けられる撥水部、及び領域Sに設けられる撥水部は、連続して構成される。
【0144】
また、第5内側撥水部115a、及び第5外側撥水部115bは、連続して構成される。具体的には、第5内側撥水部115aの領域P設けられる撥水部、及び第5外側撥水部115bの領域Sに設けられる撥水部は、連続して構成される。第5内側撥水部115aの領域Oに設けられる撥水部、及び第5外側撥水部115bの領域Qに設けられる撥水部は、連続して構成される。
【0145】
次に、血圧測定装置1を使用した血圧値の測定の一例について、図22乃至図26を用いて説明する。図22は、血圧測定装置1を用いた血圧測定の一例を示す流れ図であり、ユーザの動作及び制御部55の動作の双方を示す。また、図23乃至図25は、ユーザが手首200に血圧測定装置1を装着する一例を示す。
【0146】
先ず、ユーザは、手首200に血圧測定装置1を装着する(ステップST1)。具体例として、例えば、ユーザは、図23に示すように、手首200の一方をカーラ5内に挿入する。
【0147】
このとき、血圧測定装置1は、装置本体3及びセンシングカフ73がカーラ5の相対する位置に配置されることから、センシングカフ73を手首200の手の平側の動脈210が存する領域に配置される。これにより、装置本体3及び甲カフ74は、手首200の手の甲側に配される。次いで図24に示すように、ユーザが血圧測定装置1を配した手とは反対の手によって、第1ベルト61の尾錠61bの枠状体61eに第2ベルト62を通す。次いで、ユーザは、第2ベルト62を引っ張り、カーラ5の内周面側の部材、即ち、カフ構造体6を手首200に密着させ、小孔62aにつく棒61fを挿入する。これにより、図25に示すように、第1ベルト61及び第2ベルト62が接続され、血圧測定装置1が手首200に装着される。
【0148】
次に、ユーザは、操作部13を操作して、血圧値の測定開始に対応した指令の入力を行う。指令の入力操作が行われた操作部13は、測定開始に対応した電気信号を制御部55へ出力する(ステップST2)。制御部55は、当該電気信号を受信すると、例えば、第1開閉弁16Aを開くとともに、第2開閉弁16Bを閉じ、ポンプ14を駆動し、第1流路7a及び第2流路7bを介して平カフ71、センシングカフ73及び甲カフ74へ圧縮空気を供給する(ステップST3)。これにより、平カフ71、センシングカフ73及び甲カフ74は膨張を開始する。
【0149】
ポンプ14が駆動されると、ポンプ14は、ケース11内の空気を吸い込む。この為、ケース11内は、負圧となる。ケース11内が負圧となると、孔31cを通してケース11外からケース11内へ空気が流入する。
【0150】
このとき、孔31c内へ流入する空気に伴ってケース11の外側から孔31cへ向かって移動する水は、外郭ケース31の外周面31fの第2開口端31eの周囲の第1外側撥水部111bによって、第2開口端31eの周囲に付着することが抑制される。ここで言う水は、使用者の汗や、雨等の水を含む。
【0151】
さらに、第1外側撥水部111bを越えて孔31c内に浸入しようとする水は、第1内側撥水部111aにより生じる、水を孔31cから孔31c外へ押す作用を有する毛細管現象によって、浸入することが抑制される。
【0152】
また、空気内に含まれ、透湿防水フィルタ36まで到達した水は、透湿防水フィルタ36によりケース11内への浸入が抑制される。
【0153】
さらに、孔31cが、外郭ケース31の中心線に対して傾斜する形状を有することから、例えば、使用者が表示部12を確認する場合等に、手首200を使用者の頭の下方に移動し、かつ、外郭ケース31の軸線が重力方向に平行なる姿勢にすると、万が一孔31c内に浸入しても、水が、重力の作用によっても、第2開口端31e側に移動される。
【0154】
第1隙間S1に浸入しようとする水は、第2撥水部112により生じる、水を第1隙間S1から第1隙間S1外へ押す作用を有する毛細管現象によって、第1隙間S1に浸入することが抑制される。
【0155】
第2隙間S2に浸入しようとする水は、第3撥水部113により生じる、水を第2隙間S2から第2隙間S2外へ押す作用を有する毛細管現象によって、第2隙間S2に浸入することが抑制される。
【0156】
第3隙間S3に浸入しようとする水は、第4撥水部114により生じる、水を第3隙間S3から第3隙間S3外へ押す作用を有する毛細管現象によって、第3隙間S3に浸入することが抑制される。
【0157】
第4隙間S4に浸入しようとする水は、第5撥水部115により生じる、水を第4隙間S4から第4隙間S4外へ押す作用を有する毛細管現象によって、第4隙間S4に浸入することが抑制される。
【0158】
第1圧力センサ17A及び第2圧力センサ17Bは、平カフ71、センシングカフ73及び甲カフ74の圧力をそれぞれ検出し、この圧力に対応した電気信号を制御部55へ出力する(ステップST4)。制御部55は、受信した電気信号に基づいて、平カフ71、センシングカフ73及び甲カフ74の内部空間の圧力が血圧測定のための所定の圧力に達しているか否かを判断する(ステップST5)。例えば、平カフ71及び甲カフ74の内圧が所定の圧力に達しておらず、且つ、センシングカフ73の内圧が所定の圧力に達した場合には、制御部55は、第1開閉弁16Aを閉じ、第1流路7aを介して圧縮空気を供給する。
【0159】
平カフ71及び甲カフ74の内圧並びにセンシングカフ73の内圧が、全て所定の圧力に達した場合には、制御部55は、ポンプ14の駆動を停止する(ステップST5でYES)。このとき、図6に示すように、平カフ71及び甲カフ74は十分に膨張しており、膨張した平カフ71は、背板72を押圧する。また、甲カフ74は、手首200から離間する方向に、カーラ5を押圧することから、ベルト4、カーラ5及び装置本体3は、手首200から離間する方向に移動し、結果、平カフ71、背板72、センシングカフ73が手首200側に引っ張られる。加えて、甲カフ74の膨張によってベルト4、カーラ5及び装置本体3が手首200から離間する方向に移動するときに、ベルト4及びカーラ5が、手首200の両側方に向かって移動し、手首200の両側方に密着した状態で、ベルト4、カーラ5及び装置本体3が移動する。このため、手首200の皮膚に密着したベルト4及びカーラ5は、手首200の両側方の皮膚を手の甲側に引っ張る。なお、カーラ5は、手首200の皮膚を引っ張ることができれば、例えば、シート部材86、106を介して間接的に手首200の皮膚に接触する構成であってもよい。
【0160】
さらに、センシングカフ73は、内圧が血圧を測定するために要する圧力となるように所定の空気量が供給され、膨張しており、そして、平カフ71に押圧された背板72によって手首200に向かって押圧される。このため、センシングカフ73は、手首200内の動脈210を押圧し、図26に示すように動脈210を閉塞する。
【0161】
また、制御部55は、例えば、第2開閉弁16Bを制御し、第2開閉弁16Bの開閉を繰り返すか、又は、第2開閉弁16Bの開度を調整することで、平カフ71の内部空間の圧力を加圧させる。この加圧の過程において第2圧力センサ17Bが出力する電気信号に基づいて、制御部55は、最高血圧及び最低血圧等の血圧値や心拍数等の測定結果を求める(ステップST6)。制御部55は、求めた測定結果に対応した画像信号を、表示部12へ出力し、測定結果を表示部12に表示する(ステップST7)。また、制御部55は、血圧測定終了後、第1開閉弁16A及び第2開閉弁16Bを開く。
【0162】
表示部12は、画像信号を受信すると、当該測定結果を画面に表示する。使用者は、表示部12を視認することで、当該測定結果を確認する。なお、使用者は、測定終了後、小孔62aからつく棒61fを外し、枠状体61eから第2ベルト62を外し、カーラ5から手首200を抜くことで、手首200から血圧測定装置1を取り外す。
【0163】
このように構成された本実施形態に係る血圧測定装置1は、撥水部9が設けられることで、ケース11に設けられる、孔31c、第1隙間S1、第2隙間S2、第3隙間S3、及び第4隙間S4等の流路を通してケース11内に水が浸入することを抑制できるので、血圧測定装置1の防水性を向上できる。
【0164】
具体的には、血圧測定装置1は、第1撥水部111の第1外側撥水部111bにより、外郭ケース31の外周面31fの第2開口端31eの周囲に水が付着することを抑制できるので、水が孔31c内に浸入することが抑制される。結果、孔31cを通してケース11内に水が浸入することが抑制されるので、血圧測定装置1の防水性を向上できる。
【0165】
さらに、血圧測定装置1は、第1撥水部111の第1内側撥水部111aにより生じる、孔31cに浸入しようとする水を孔31c外へ押す作用を有する毛細管現象を利用して、孔31c内に水が浸入することを抑制される。この為、血圧測定装置1の防水性を向上できる。
【0166】
さらに、第1隙間S1に第2撥水部112を設け、第2隙間S2に第3撥水部113を設け、第3隙間S3に第4撥水部114を設け、第4隙間S4に第5撥水部115を設けることで、これら撥水部により生じる、各隙間に浸入しようとする水を隙間外へ押す作用を生じる毛細管現象を利用して、各隙間に水が浸入することを抑制できる。この為、血圧測定装置1の防水性を向上できる。
【0167】
さらに、血圧測定装置1は、孔31cの、外郭ケース31の外周面31fに配置される第2開口端31eが、外郭ケース31の内周面に配置される第1開口端31dよりも、外郭ケース31の軸方向で生体側に配置される。この為、使用者が表示部を確認する場合等、外郭ケース31の軸方向が重力方向と平行となる状態において、第2開口端31eが第1開口端31dよりも下方に配置されるので、孔31cに万が一水が浸入しても、孔31c内に浸入した水を、重力を利用して第2開口端31eからケース11外へ出すことが可能となる。
【0168】
さらに、血圧測定装置1は、孔31cが、外郭ケース31の軸方向に対して傾斜する直線状の孔に構成されるので、万が一孔31c内に水が浸入しても、この水を、第2開口端31eに向かって移動しやすくなる。
さらに、血圧測定装置1は、孔31cの第1開口端31dに、透湿防水フィルタ36を有している。この為、孔31c内に水が浸入した場合であっても、透湿防水フィルタ36によって、水がケース11内に浸入することを抑制できる。この為、血圧測定装置1の防水性を向上できる。
【0169】
さらに、血圧測定装置1は、空気取り入れ用に設けられた孔31cに第1撥水部111を設けることで、透湿防水フィルタ36に求められる、水の通過を規制する性能を、第1撥水部111が設けられない場合に比較して低くしても、孔31cを通してケース11内に水が浸入することを抑制できる。結果、透湿防水フィルタ36として、血圧測定装置1に対して求められる水の通過を規制する性能を満たしつつ、空気の通過の規制の程度が低い透湿防水フィルタ36を用いることができる。この為、ポンプ14の駆動によりケース11内が負圧となった場合に、孔31cを通してスムーズに空気が流入できるので、ケース11内が、過度に負圧となることを抑制できる。
【0170】
さらに、撥水部9は、一例として、フッ素処理を施すことで設けられる。この為、撥水部9に起因して血圧測定装置1が大型化することがない。さらに、撥水部9はフッ素処理を施すことで設けられるので、血圧測定装置1の部品点数の増加を防止できる。さらに、撥水部9は、部品を要する構成ではないので、血圧測定装置1の設計を変更する必要がない。
【0171】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されない。第1撥水部111は、流路としての孔31cの内面、及び外郭ケース31の外周面31fの第2開口端31eの周囲の孔31cに連続する部分に設けられた構成が一例として説明されたが、これに限定されない。第1撥水部111は、他の例では、孔31cの内面のみに設けられる構成、または、外周面31fの、第2開口端31eに連続する部分のみに設けられる構成であってもよい。
【0172】
また、第2撥水部112は、流路としての第1隙間S1の内面にのみ設けられる構成が、一例として説明されたが、これに限定されない。第2撥水部112は、他の例では、カーラ5の外面の、第1隙間S1に連続する部分にもさらに設けられる構成であってもよい。
【0173】
また、本実施形態では、撥水部9を設ける、ケース11、カフ構造体6、及びカーラ5の少なくとも1つにより構成され、ケース11の内外を連通し、空気が流動可能な流路として、外郭ケース31に形成された孔31cと、カーラ5、給電部8の給電カバー8c、及び配線部8aにより構成された第1隙間S1と、カバー部5a及びカフ構造体6により構成された第2隙間S2、第3隙間S3、及び第4隙間S4が一例として説明された。しかしながら、流路は、これらに限定されない。撥水部は、他の例では、風防32と外郭ケース31との間の隙間の内面、及び外郭ケース31の外周面31fの当該隙間に連続する部分の少なくとも一方にもうけられてもよい。撥水部9は、ケース11内に水が浸入する虞のある流路に設けることが可能である。
【0174】
また、上述した例では、血圧測定装置1は、撥水部9により、防水性能を向上している。しかしながら、血圧測定装置1は、流路を構成する部材の外面の、当該流路に連続する部分に設けられる撥水部の周囲に、さらに、親水部を有してもよい。親水部は、当該親水部が設けられない部位に比較して、水の親和性が高い部分である。または、親水部は、所望の親和性を有する部分である。
【0175】
親水部を有する血圧測定装置1の変形例について、図27を用いて説明する。図27は、血圧測定装置1の外郭ケース31の孔31cを通る断面図である。図27に示すように、血圧測定装置1は、さらに、親水部120を有する。親水部120は、裏カバー35の外周面35bの、第1外側撥水部111bに隣接する部分に親水処理を施すことで設けられる。この変形例では、一例として、親水部120は、第1外側撥水部111bの下方に配置される。ここで言う第1外側撥水部111bの下方とは、血圧測定装置1が、外郭ケース31の中心線が重力方向に平行となり、かつ、カバー部5aが風防32に対して下方に配置される姿勢において、第1外側撥水部111bの下方となる部分である。または、親水部120は、第1外側撥水部111bを囲む環状に構成されてもよい。
【0176】
親水処理は、例えば、プラズマ処理等の表面処理である。または、刷毛や綿棒等を用いて、親水材を塗布する処理である。または、親水部120は、当該親水部120を設ける部分を、所望の親水性を有する材料で形成することで構成されてもよい。または、親水部120は、当該親水部120を設ける部分のみを、所望の親水性を有する材料で形成することで構成されてもよい。または、親水部120は、当該親水部を設ける部材の全体を、所望の撥水性を有する部材で構成し、当該撥水性を有する部材に対して親水処理を施すことにより、または、所望の親水性を有する部材を設けることにより、構成されてもよい。親水部120は、例えば、第1外側撥水部111bと連続して構成される。
【0177】
この変形例では、親水部120により、第1外側撥水部111bにより移動された水や、第1外側撥水部111bの外側から第1外側撥水部111b向かって移動する水を、親水部120にとどめることが可能となる。親水部120に水をとどめることが可能となることにより、孔31cに水が浸入することを抑制できるので、血圧測定装置1の防水性能を向上できる。
なお、図27を用いた上述の例では、親水部120は、一例として、第1外側撥水部111bの周囲に設けられる構成が説明された。しかしながら、親水部120は、第1外側撥水部111bの周囲に設けられることに限定されない。
親水部は、孔31cや隙間S1,S2,S3,S4を一例とする流路が、ケース11、カフ構造体6、及びカーラ5の少なくとも1つにより構成され、撥水部9が、流路の内面と、流路を構成する、ケース11、カフ構造体6、及びカーラ5の少なくとも1つの外面の流路に連続する部分と、の少なくとも一方に設けられる構成である場合は、親水部は、流路を構成する、ケース11、カフ構造体6、及びカーラ5の少なくとも1つの外面に設けられる撥水部9の周囲に設けられればよい。この他の例としては、親水部は、カーラ5のカバー部5aの生体側の面5a1のうち、図21に示す第3撥水部113の第3外側撥水部113bの領域Gに設けられる撥水部の周囲に設けられてもよい。また、他の例では、親水部は、カフ構造体6の一例であるチューブ83の領域Hに設けられる撥水部の周囲に設けられてもよい。また、他の例では、親水部は、図21に示すように、カーラ5の表面において、第2撥水部112の周囲に設けられてもよい。
【0178】
また、上述の例では、血圧測定装置1は、ケース11の内外を連通する流路の内面、及び流路を構成する部材の外面の流路と連続する部分の少なくとも一方に撥水部を設けることで、防水性を向上している。
【0179】
しかしながら、撥水部は、流路の内面、及び流路を構成する部材の外面の当該流路と連続する部分の少なくとも一方にのみに設けられることに限定されない。例えば、撥水部9は、ケース11の内外を連通する流路を構成する隙間以外の隙間に設けられてもよい。この例としては、撥水部9は、ベルト4とカーラ5との間の隙間に設けられてもよい。このような隙間を構成する面に撥水部を設けることにより、当該隙間内に水がたまることを抑制できるので、衛生面の観点から好ましい。
また、上述した例では、カーラ5は、カバー部5aを有し、外郭ケース31の生体側を覆う裏蓋を、カバー部5a及び裏カバー35により構成する例を説明したがこれに限定されない。即ち、血圧測定装置1は、裏カバー35及びカバー部5aを有さず、外郭ケース31の生体側を覆う裏蓋を備え、そして、この裏蓋にカーラ5が固定される構成であってもよい。
また、上述した例では、第1開閉弁16A及び第2開閉弁16Bの2つの開閉弁16を備える構成を例として説明したがこれに限定されない。例えば、開閉弁16が4つ設けられている構成であってもよい。
【0180】
また例えば、血圧測定装置1の血圧測定時における第1開閉弁16A及び第2開閉弁16Bの開閉のタイミングは、上述した例に限定されず、適宜設定できる。また、血圧測定装置1は、血圧測定を平カフ71の加圧過程において測定した圧力で血圧を算出する例を説明したがこれに限定されず、減圧過程で血圧を算出してもよく、また、加圧過程及び減圧過程の双方で血圧を算出してもよい。
【0181】
また、上述した例では、背板72は、複数の溝72aを有する構成を説明したがこれに限定されない。例えば、背板72は、変形しやすさ等を管理するために、複数の溝72aの数や深さ等を適宜設定可能であり、また、変形を抑制する部材を含む構成であってもよい。
また、上述の例では、撥水部9が設けられる血圧測定装置1は、一例として、カーラ5を備える構成が説明された。すなわち、孔31c、や隙間S1,S2,S3,S4を一例とする流路は、ケース11、カフ構造体6、及びカーラ5の少なくとも1つにより構成され、撥水部9は、流路の内面と、流路を構成する、ケース11、カフ構造体6、及びカーラ5の少なくとも1つの外面の流路に連続する部分と、の少なくとも一方に設けられる構成が説明された。しかしながら、血圧測定装置1は、他の例としてカーラ5を備えない構成であってもよい。
このように、血圧測定装置1が、カーラ5を備えない構成の場合は、流路は、ケース11、及びカフ構造体6の少なくとも1つにより構成され、ケース11の内外を連通し、空気が流動可能に構成さればよい。流路は、例えば、ケース11、及びカフ構造体6の少なくとも1つにより構成された通気孔や、ケース11、及びカフ構造体6の2つにより構成される隙間である。このように、血圧測定装置1がカーラ5を備えない構成を有する場合は、撥水部9は、流路の内面と、流路を構成する、ケース11、及びカフ構造体6の少なくとも1つの外面の流路に連続する部分と、の少なくとも一方に設けられればよい。
また、上述の例では、撥水部9が設けられる血圧測定装置1は、一例として、生体の手首200に装着するウェアラブルデバイスの態様をもつ電子血圧測定装置を用いて説明されたが、これに限定されない。例えば、血圧測定装置は、使用者に常時装着される態様ではなく、血圧を測定するときに上腕に巻き付けて使用される態様をもつ、所謂、上腕式血圧測定装置であってもよい。
使用時に装着される上腕式血圧測定装置は、カーラを備えない構成がある。このように、カーラを備えない構成の上腕式血圧測定装置においても、流路は、ケース11、及びカフ構造体6の少なくとも1つにより構成され、ケース11の内外を連通し、空気が流動可能に構成さればよい。流路は、例えば、ケース11、及びカフ構造体6の少なくとも1つにより構成された通気孔や、ケース11、及びカフ構造体6の2つにより構成される隙間である。
また、上述の例では、親水部120は、孔31cや隙間S1,S2,S3,S4を一例とする流路が、ケース11、カフ構造体6、及びカーラ5の少なくとも1つにより構成される場合において、ケース11、カフ構造体6、及びカーラ5の少なくとも1つの外面に設けられる撥水部の周囲に設けられた。
しかしながら、血圧測定装置1が、上述のようにカーラ5を備えない構成であり、流路が、ケース11、及びカフ構造体6の少なくとも1つにより構成される場合は、親水部は、流路を構成する、ケース11及びカフ構造体6の少なくとも1つの外面に設けられる撥水部の周囲に設けられればよい。
【0182】
即ち、上述した各実施形態は、あらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【符号の説明】
【0183】
1…血圧測定装置
3…装置本体
4…ベルト
5…カーラ
5a…カバー部
5b…螺子孔
5c…孔部
6…カフ構造体
7…流体回路
7a…第1流路
7b…第2流路
7c…第3流路
11…ケース
11a…取付部
12…表示部
13…操作部
14…ポンプ
15…流路部
16…開閉弁
16A…第1開閉弁
16B…第2開閉弁
17…圧力センサ
17A…第1圧力センサ
17B…第2圧力センサ
18…電力供給部
19…振動モータ
20…制御基板
31…外郭ケース
31a…ラグ
31b…バネ棒
32…風防
33…基部
35…裏カバー
35a…ビス
41…釦
42…センサ
43…タッチパネル
51…基板
52…加速度センサ
53…通信部
54…記憶部
55…制御部
56…メインCPU
57…サブCPU
61…第1ベルト
61a…ベルト部
61b…尾錠
61c…第1孔部
61d…第2孔部
61e…枠状体
61f…つく棒
62…第2ベルト
62a…小孔
62b…第3孔部
71…平カフ(カフ)
71B…押圧カフ
72…背板
72a…溝
73…センシングカフ
74…甲カフ(カフ)
76…袋状カバー体
81、81B…空気袋(袋状構造体)
84…接続部
86、86A…シート部材
86a…第1シート部材
86b…第2シート部材
86b1…開口
86c…第3シート部材
86c1…開口
86d…第4シート部材
91…空気袋(袋状構造体)
92…チューブ
93…接続部
96…シート部材
96a…第5シート部材
96b…第6シート部材
99…接合片
101…空気袋(袋状構造体)
103…接続部
106、106A…シート部材
106a…第7シート部材
106b…第8シート部材
106b1…開口
106c…第9シート部材
106c1…開口
106d…第10シート部材
106d1…開口
106e…第11シート部材
106e1…開口
106f…第12シート部材
106f1…開口
106g…第13シート部材
106g1…開口
106h…第14シート部材
106h1…開口
106i…第15シート部材
106i1…開口
106j…第16シート部材
106j1…開口
106k…第17シート部材
106k1…開口
106l…第18シート部材
111…第1撥水部
111a…第1内側撥水部
111b…第1外側撥水部
112…第2撥水部
113…第3撥水部
113a…第3内側撥水部
113b…第3外側撥水部
114…第4撥水部
114a…第4内側撥水部
114b…第4外側撥水部
115…第5撥水部
115a…第5内側撥水部
115b…第5外側撥水部
200…手首
210…動脈
図1
図2
図3
図4
図5
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