(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】バルーンカテーテル
(51)【国際特許分類】
A61M 25/10 20130101AFI20221114BHJP
【FI】
A61M25/10 510
A61M25/10 502
(21)【出願番号】P 2018519208
(86)(22)【出願日】2017-05-17
(86)【国際出願番号】 JP2017018452
(87)【国際公開番号】W WO2017204042
(87)【国際公開日】2017-11-30
【審査請求日】2020-03-18
(31)【優先権主張番号】P 2016104803
(32)【優先日】2016-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】393015324
【氏名又は名称】株式会社グッドマン
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100152515
【氏名又は名称】稲山 朋宏
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】岩野 健志
(72)【発明者】
【氏名】三宅 孝政
(72)【発明者】
【氏名】太田 光浩
(72)【発明者】
【氏名】尾川 智一
(72)【発明者】
【氏名】小川 圭介
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0228139(US,A1)
【文献】特表2005-517474(JP,A)
【文献】特表2006-512952(JP,A)
【文献】特表2010-540185(JP,A)
【文献】特表2013-521937(JP,A)
【文献】特表2005-511187(JP,A)
【文献】特表2005-518842(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0106336(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端から先端に向けて延伸方向に延びるカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトに設けられ、前記カテーテルシャフトを中心とする半径方向の外側に膨張可能なバルーンと、
前記バルーンの外周面の少なくとも一部分に配置され、前記延伸方向に沿って延びる線状部材と、
前記線状部材を前記バルーンに押し付ける押圧部材と
を備え、
前記押圧部材は、
前記線状部材を前記外側から覆う第1膜部、前記バルーンを前記外側から覆う第2膜部、及び、前記バルーンと前記線状部材との間に配置された接合部を有し、
前記線状部材は、
前記第1膜部及び前記第2膜部によって前記バルーンに押し付けられ、
前記接合部によって前記バルーンに接合された
ことを特徴とするバルーンカテーテル。
【請求項2】
前記
第1膜部
及び前記第2膜部は、前記バルーンの前記外周面の全体を覆うことを特徴とする請求項
1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項3】
前記線状部材は、前記バルーンの前記外周面のうち膨張領域に少なくとも配置され、
前記膨張領域は、前記バルーンのうち前記延伸方向に亘って延びる一部の領域であって、前記延伸方向に沿って径が略一定の領域であることを特徴とする請求項1
又は2に記載のバルーンカテーテル。
【請求項4】
前記線状部材は、
前記バルーンの前記膨張領域に配置された膨張部分と、
前記膨張領域に対して前記先端側に位置する先端部分、及び、前記膨張領域に対して前記基端側に位置する基端部分の少なくとも一方と
を備えたことを特徴とする請求項
3に記載のバルーンカテーテル。
【請求項5】
前記線状部材のうち、前記バルーンと対向する内側部分と反対側に配置する外側部分の少なくとも一部が、前記バルーンよりも固いことを特徴とする請求項1から
4の何れかに記載のバルーンカテーテル。
【請求項6】
前記線状部材は、
前記内側部分を少なくとも含み、延伸可能な軟性部分と、
前記外側部分を少なくとも含み、前記軟性部分よりも硬さが高い硬性部分と
を有することを特徴とする請求項
5に記載のバルーンカテーテル。
【請求項7】
前記線状部材の前記先端側の端部及び前記基端側の端部の少なくとも一方が、前記カテーテルシャフトに接合されたことを特徴とする請求項1から
6の何れかに記載のバルーンカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルーンカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
血管の狭窄した箇所を拡張する治療に使用されるバルーンカテーテルが知られている。線状部材をバルーンの表面に有するバルーンカテーテルが提案されている。線状部材は、バルーンが拡張した状態で血管に作用する。例えば、バルーンの拡張によって線状部材が血管の病変部に食い込んだ場合、病変部に対してバルーンを滑りにくくできる。このため、バルーンカテーテルは、バルーンの膨張によって病変部を血管の内側から適切に拡張できる。
【0003】
特許文献1は、線状部材として複数のウィングを有するバルーンを備えたバルーンカテーテルを開示する。複数のウィングは、バルーンよりも相対的に硬い。複数のウィングは、バルーンの膨張時に半径方向外側に延びる。このため、複数のウィングは、バルーンの膨張によって血管の組織に高い圧力を及ぼす。バルーンに対する複数のウィングの成形方法として、2つの方法が例示されている。1つ目は、バルーンの一部を複数のウィングとして成形する方法である。2つ目は、バルーンとは別の材料を溶接、接着、融着等によってバルーンに取り付ける方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
バルーンとは別材料の線状部材がバルーンに接合される場合、バルーンの膨張に応じて線状部材がバルーンから脱離し易い。線状部材がバルーンから脱離した場合、線状部材の位置が所望の位置からずれる可能性がある。線状部材がバルーンに接合されていない場合、バルーンの膨張に応じて線状部材の位置が所望の位置からずれる可能性がある。これらのように、少なくとも一部がバルーン外周面上に配置された線状部材の位置が、バルーンの膨張に応じて所望の位置からずれ得る。
【0006】
本発明の目的は、バルーンが膨張した場合に線状部材がバルーンの所望の位置に対して位置ずれし難いバルーンカテーテルを提供することである。
【0007】
本発明に係るバルーンカテーテルは、基端から先端に向けて延伸方向に延びるカテーテルシャフトと、前記カテーテルシャフトに設けられ、前記カテーテルシャフトを中心とする半径方向の外側に膨張可能なバルーンと、前記バルーンの外周面の少なくとも一部分に配置され、前記延伸方向に沿って延びる線状部材と、前記線状部材を前記バルーンに押し付ける押圧部材とを備え、前記押圧部材は、前記線状部材を前記外側から覆う第1膜部、前記バルーンを前記外側から覆う第2膜部、及び、前記バルーンと前記線状部材との間に配置された接合部を有し、前記線状部材は、前記第1膜部及び第2膜部によって前記バルーンに押し付けられ、前記接合部によって前記バルーンに接合されたことを特徴とする。
【0008】
本発明において、バルーンカテーテルは、線状部材をバルーンに押し付ける押圧部材を有する。このため、バルーンカテーテルは、溶接、接着、融着等によってバルーンに線状部材が取り付けられる場合と比べて、バルーンの膨張時において線状部材がバルーンに対して位置ずれすることを抑制できる。又、押圧部材は、線状部材をバルーンに押し付けると同時に、接合部によって線状部材をバルーンに直接接合できる。
【0009】
又、バルーンカテーテルは、第1膜部及び第2膜部によって線状部材をバルーンに押し付けることによって、線状部材がバルーンに対して位置ずれすることを抑制できる。バルーンカテーテルは、線状部材をバルーンに押し付ける押圧部材を膜状とすることによって、バルーン全体の径が押圧部材によって拡張されることを抑制できる。従って、バルーンカテーテルは、血管内をバルーンが移動するときに押圧部材が血管の内壁に引っ掛かることを抑制できる。このため、バルーンカテーテルは、バルーンの通過性が低下することを抑制できる。
【0010】
本発明において、前記第1膜部及び前記第2膜部は、前記バルーンの前記外周面の全体を覆ってもよい。この場合、バルーンカテーテルは、バルーン全体を第1膜部及び第2膜部で覆うことによって、バルーンが膨張した場合における線状部材の位置ずれを更に適切に抑制できる。
【0011】
本発明において、前記線状部材は、前記バルーンの前記外周面のうち膨張領域に少なくとも配置され、前記膨張領域は、前記バルーンのうち前記延伸方向に亘って延びる一部の領域であって、前記延伸方向に沿って径が略一定の領域であってもよい。この場合、バルーンカテーテルは、径が略一定である膨張領域で線状部材を血管に適切に作用させることができる。
【0012】
本発明において、前記線状部材は、前記バルーンの前記膨張領域に配置された膨張部分と、前記膨張領域に対して前記先端側に位置する先端部分、及び、前記膨張領域に対して前記基端側に位置する基端部分の少なくとも一方とを備えてもよい。この場合、バルーンカテーテルは、線状部材が膨張部分のみ有する場合と比べて、バルーンの外周面と線状部材との接触面積を大きくできる。このため、バルーンカテーテルは、線状部材とバルーンとの接触部分によって線状部材の位置ずれが抑制される場合、接触面積を大きくすることで線状部材の位置ずれを適切に抑制できる。
【0013】
本発明において、前記線状部材のうち、前記バルーンと対向する内側部分と反対側に配置する外側部分が、前記バルーンよりも硬くてもよい。この場合、バルーンカテーテルは、バルーンの膨張時において線状部材を血管に適切に作用させることができる。
【0014】
本発明において、前記線状部材は、前記内側部分を少なくとも含み、延伸可能な軟性部分と、前記外側部分を少なくとも含み、前記軟性部分よりも硬さが高い硬性部分とを有してもよい。この場合、線状部材の硬性部分は、軟性部分よりも硬さが硬いので、線状部材は、バルーンの膨張時に硬性部分を血管に適切に作用させることができる。線状部材の軟性部分は延伸可能である。このため、バルーンカテーテルは、バルーンの膨張に応じて軟性部分が延伸することによって、バルーンの膨張に線状部材を追従させることができる。従って、バルーンカテーテルは、バルーンの膨張時に線状部材がバルーンに対して位置ずれしたり、線状部材がバルーンの膨張を阻害したりすることを抑制できる。
【0015】
【0016】
【0017】
本発明において、前記線状部材の前記先端側の端部及び前記基端側の端部の少なくとも一方が、前記カテーテルシャフトに接合されてもよい。この場合、バルーンカテーテルは、線状部材がバルーンに対して位置ずれすることを押圧部材によって抑制できると同時に、線状部材がカテーテルシャフトに対して位置ずれすることを抑制できる。
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1実施形態におけるバルーンカテーテル10の側面図である。
【
図2】収縮状態におけるバルーンカテーテル10の側面図である。
【
図3】
図2のI-I線を矢印方向から見た断面図である。
【
図4】収縮状態におけるバルーンカテーテル10の断面図である。
【
図5】膨張状態におけるバルーンカテーテル10の側面図である。
【
図6】膨張状態におけるバルーンカテーテル10の断面図である。
【
図7】
図5のII-II線を矢印方向から見た断面図である。
【
図8】
図5のII-II線を矢印方向から見た断面図である。
【
図9】第2実施形態におけるバルーンカテーテル20の側面図である。
【
図10】第3実施形態におけるバルーンカテーテル30の側面図である。
【
図11】第4実施形態におけるバルーンカテーテル40の側面図である。
【
図12】第5実施形態におけるバルーンカテーテル50の側面図である。
【
図13】第5実施形態における線状部材45の側面図である。
【
図14】第6実施形態におけるバルーンカテーテル60の断面図である。
【
図15】
図14のIII-III線を矢印方向から見た断面図である。
【
図16】バルーン体10Aの製造方法(1)を示すフローチャートである。
【
図17】バルーン体10Aの製造方法(2)を示すフローチャートである。
【
図18】バルーン体10Aの製造方法(3)を示すフローチャートである。
【
図19】バルーン体10Aの製造方法(4)を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<第1実施形態(バルーンカテーテル10)>
以下、本発明の第1実施形態に係るバルーンカテーテル10について、
図1~
図8を参照して説明する。
図1に示すように、バルーンカテーテル10は、カテーテルシャフト2、バルーン3、線状部材41A、41B、41C(
図3等参照。以下、総称して「線状部材41」という。)、及び、押圧部材6を有する。バルーン3は、カテーテルシャフト2の一方側の端部に接続される。以下、カテーテルシャフト2の両端のうち一方側の端を、「先端」という。カテーテルシャフト2の両端のうち他方側の端を、「基端」という。線状部材41は、バルーン3の外周面3D(
図2参照)上に位置する。押圧部材6は、バルーン3及び線状部材41を覆い、バルーン3に線状部材41を押し付ける。以下、バルーン3、線状部材41、及び、押圧部材6を、「バルーン体10A」という。
【0024】
バルーンカテーテル10は、カテーテルシャフト2の基端にハブ5が接続された状態で使用される。ハブ5は、カテーテルシャフト2を介してバルーン3に圧縮流体を供給可能である。カテーテルシャフト2に沿って延びる方向を、「延伸方向」という。延伸方向と直交する平面上において、カテーテルシャフト2の断面中心を基準とする半径方向のうち、カテーテルシャフト2の断面中心に近接する側を「内側」といい、カテーテルシャフト2の断面中心から離隔する側を「外側」という。
【0025】
<カテーテルシャフト2>
図4、
図6に示すように、カテーテルシャフト2は、外側チューブ21及び内側チューブ22を有する。外側チューブ21及び内側チューブ22は、それぞれ、可撓性を有する管状の部材である。外側チューブ21は、内側の面である内面212で囲まれた空間である内腔213を有する。内側チューブ22は、内側の面である内面222で囲まれた空間である内腔223を有する。外側チューブ21及び内側チューブ22は、ポリアミド系樹脂により形成される。外側チューブ21の内径は、内側チューブ22の外径よりも大きい。
【0026】
内側チューブ22は、先端側の所定部分を除き、外側チューブ21の内腔213内に配置される。内側チューブ22の先端側の所定部分は、外側チューブ21の先端側の端(以下、「先端211」という。)から先端側に向けて突出する。このため、内側チューブ22の先端側の端(以下、「先端221」という。)は、外側チューブ21の先端211よりも先端側に配置される。以下、内側チューブ22の先端側の所定部分を、「突出部分225」という。内側チューブ22の突出部分225に、放射線不透過マーカ(以下、単に「マーカ」という。)22A、22Bが装着される。マーカ22A、22Bの材料として、放射線不透過材が混合された樹脂が用いられる。マーカ22A、22Bは、上記の材料で形成された円筒部材が内側チューブ22の突出部分225にかしめられることによって、内側チューブ22の突出部分225の外周面224に固定される。マーカ22A、22Bは、延伸方向において所定長さを有する。マーカ22A、22Bは、放射線を透過させない。マーカ22Aは、マーカ22Bよりも先端側に配置される。マーカ22A、22Bは、延伸方向に離隔する。
【0027】
外側チューブ21の内腔213のうち、内側チューブ22の内腔223以外の空間には、ハブ5(
図1参照)から供給される圧縮流体が通流する。バルーン3は、圧縮流体の供給に応じて膨張する(
図5~
図8参照)。内側チューブ22の内腔223には、図示しないガイドワイヤが挿通される。
【0028】
外側チューブ21及び内側チューブ22の材料は、ポリアミド系樹脂に限定されず、可撓性を有する他の材料に変更可能である。例えば、外側チューブ21及び内側チューブ22の材料として、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂などの合成樹脂材料が用いられてもよい。合成樹脂材料に添加剤が混合されてもよい。外側チューブ21及び内側チューブ22の材料として、それぞれ異なる合成樹脂材料が用いられてもよい。マーカ22A、22Bの材料は、放射線不透過材が混合された樹脂に限定されず、放射線を通過させない他の材料に変更可能である。例えば、マーカ22A、22Bの材料として、放射線不透過材が蒸着された樹脂、又は、金属等の放射線を透過しない材料等が用いられてもよい。
【0029】
<バルーン3>
バルーン3は、
図2~
図4に示すように、圧縮流体が供給されない状態で、内側に収縮する。一方、バルーン3は、
図5~
図8に示すように、圧縮流体が供給された状態で、外側に膨張する。バルーン3は、ポリアミド系樹脂により形成されている。
図2、
図4~
図6に示すように、バルーン3は、基端側レッグ部31、基端側コーン領域32、膨張領域33、先端側コーン領域34、及び、先端側レッグ部35を有する。基端側レッグ部31、基端側コーン領域32、膨張領域33、先端側コーン領域34、及び、先端側レッグ部35は、延伸方向に沿ってバルーン3を5分割したそれぞれの部分に対応する。膨張領域33の延伸方向の長さは、基端側レッグ部31、基端側コーン領域32、先端側コーン領域34、及び、先端側レッグ部35のそれぞれの延伸方向の長さよりも長い。
【0030】
図4、
図6に示すように、基端側レッグ部31は、外側チューブ21の外周面214のうち、先端211よりも基端側の部分に、熱溶着によって接続される。基端側コーン領域32は、基端側レッグ部31に対して先端側に隣接する。膨張領域33は、基端側コーン領域32に対して先端側に隣接する。先端側コーン領域34は、膨張領域33に対して先端側に隣接する。先端側レッグ部35は、先端側コーン領域34に対して先端側に隣接する。先端側レッグ部35は、内側チューブ22の突出部分225の外周面224のうち、先端221よりも基端側の部分に、熱溶着によって接続される。基端側レッグ部31、基端側コーン領域32、膨張領域33、先端側コーン領域34、及び、先端側レッグ部35は、基端側から先端側に向けて順番に並ぶ。基端側コーン領域32、膨張領域33、先端側コーン領域34、及び、先端側レッグ部35は、内側チューブ22の突出部分225を外側から覆う。
【0031】
図2~
図4に示すように、バルーン3は、収縮した状態で3枚の羽根が形成される、3枚羽式のバルーンである。
図3に示すように、バルーン3は、収縮した状態において、羽3A、3B、3Cが形成されるように折畳まれる。羽3A、3B、3Cは、内側チューブ22の突出部分225の周囲に巻きつく。この状態で、羽3Aは、後述する線状部材41Aを外側から覆う。羽3Bは、後述する線状部材41Bを外側から覆う。羽3Cは、後述する線状部材41Cを外側から覆う。羽3A、3B、3Cは、「フラップ」「ウイング」とも呼ばれる。
【0032】
図5~
図7を参照し、膨張した状態のバルーン3について説明する。
図7に示すように、バルーン3の断面形状は円形である。
図5、
図6に示すように、基端側コーン領域32はテーパ形状を有する。基端側コーン領域32は、基端側から先端側に向けて連続的且つ直線的に直径が大きくなる。膨張領域33は延伸方向に延びる。膨張領域33の径は、延伸方向の全域に亘って略一定となる。先端側コーン領域34はテーパ形状を有する。先端側コーン領域34は、基端側から先端側に向けて連続的且つ直線的に直径が小さくなる。バルーン3の断面の直径は、基端側コーン領域32、膨張領域33、及び、先端側コーン領域34の間で段階的に変化する。膨張領域33は、バルーン3における最大の外径部分となる。
【0033】
図6に示すように、膨張領域33の先端側の境界、言い換えれば、膨張領域33と先端側コーン領域34との境界の位置は、延伸方向において、マーカ22Aの先端側の端部の位置P11と一致する。膨張領域33の基端側の境界、言い換えれば、膨張領域33と基端側コーン領域32との境界の位置は、延伸方向において、マーカ22Bの基端側の端部の位置P21と一致する。
【0034】
バルーン3の材料は、ポリアミド系樹脂に限定されず、可撓性を有する他の材料に変更可能である。例えば、バルーン3の材料として、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコンゴム、天然ゴムなどが用いられてもよい。外側チューブ21及び内側チューブ22とバルーン3との接続方法、及び、外側チューブ21と装着部材21Aとの接続方法は、熱溶着に限定されない。例えば、それぞれは接着剤によって接続されてもよい。
【0035】
<線状部材41>
図4~
図8を参照し、線状部材41について説明する。線状部材41は、曲げ変形に対して復元力を有する、モノフィラメント状の弾性体である。線状部材41A、41B、41Cは同一形状である。線状部材41は延伸方向に沿って延びる。
【0036】
図4~
図7に示すように、線状部材41は、バルーン3の膨張領域33の外周面3D(
図5、
図7参照)上に配置される。線状部材41は、後述する押圧部材6によってバルーン3に押し付けられる。線状部材41のうち、バルーン3と対向する部分(以下、「内側部分410」(
図8参照)という。)は、バルーン3の外周面3Dに接触する。線状部材41はバルーン3の外周面3Dに対して移動可能である。バルーン3の外周面3Dに内側部分410は接合されない。線状部材41の基端側の端部の位置は、膨張領域33と基端側コーン領域32との境界位置と略一致する。線状部材41の先端側の端部の位置は、膨張領域33と先端側コーン領域34との境界位置と略一致する。線状部材41は、バルーン3の基端側レッグ部31、基端側コーン領域32、先端側コーン領域34、及び、先端側レッグ部35のそれぞれの外周面3D上には配置されない。
【0037】
図7に示すように、バルーン3が膨張した状態において、線状部材41A、41B、41Cは、バルーン3を周方向に略3等分したそれぞれの位置で、延伸方向に直線状に延びる。
図8に示すように、線状部材41の断面の形状は、内側部分410を底辺とする正三角形である。線状部材41のうち、内側部分410と対向する外側部分411の最も外側の部分、つまり、
図8における正三角形の頂点部分412は尖っている。
【0038】
線状部材41は、ポリアミド系樹脂によって形成されている。線状部材41の硬度は、ISO868にてD70~D95の範囲内の値となる。線状部材41は、内側部分410から外側部分411の全域に亘って、バルーン3よりも硬さが硬くなる。この場合、線状部材41は、バルーン3よりも延伸方向に伸縮し難くなる。本発明において、バルーン3は線状部材41よりも硬さが硬くてもよい。線状部材41は、バルーン3よりも延伸方向に良好に伸縮可能であってもよい。
【0039】
<押圧部材6>
図4~
図8に示すように、押圧部材6は、バルーン3全体を覆う膜状の部材である。押圧部材6は、バルーン3の外周面3D全体、より詳細には、バルーン3の基端側レッグ部31、基端側コーン領域32、膨張領域33、先端側コーン領域34、及び、先端側レッグ部35のそれぞれの外周面3Dの全てを覆う。
【0040】
図8に示すように、押圧部材6は第1膜部61と第2膜部62とを含む。第1膜部61は、押圧部材6のうち、線状部材41に接触して線状部材41を外側から直接覆う部分である。第1膜部61は、バルーン3の外周面3Dとの間に線状部材41を挟む。第1膜部61は、線状部材41の外側部分411に密着する。第2膜部62は、押圧部材6のうち、バルーン3の外周面3Dに接触して外周面3Dを外側から直接覆う部分である。第2膜部62は、バルーン3の外周面3Dに密着する。線状部材41の外側部分411と第1膜部61との間、及び、バルーン3の外周面3Dと第2膜部62との間に隙間は形成されない。線状部材41は、押圧部材6の弾性によってバルーン3側に押し付けられる。このため、バルーン3に対する線状部材41の移動は、押圧部材6によって抑制される。なお、押圧部材6が線状部材41をバルーン3側に押し付ける力は、バルーン6が拡張した状態において、線状部材41がバルーン6から離間しない程度の力であればよい。そのため例えば、押圧部材6は、線状部材41および拡張したバルーン6の外周に沿って位置する弾性部材であればよい。具体的には、押圧部材6は、押圧部材6に対して力が作用していない状態において、線状部材41および拡張したバルーン6の外表面に沿った形状であればよい。この場合、線状部材41が拡張したバルーン6に対して移動することが押圧部材6によって抑制される。
【0041】
ハブ5から圧縮流体が供給されることに応じてバルーン3が膨張した場合、バルーン3の膨張領域33は延伸方向に延びる。前述のように、線状部材41の内側部分410はバルーン3に接合されていない。線状部材41は、バルーン3よりも延伸方向に伸縮し難い。このため、バルーン3が伸長した場合、バルーン3の外周面3Dに対して線状部材41の内側部分410は延伸方向に摺動する。バルーン3の膨張領域33の伸長は、線状部材41によって妨げられない。バルーン3の外周面3Dに対する線状部材41の周方向の移動は、押圧部材6によって抑制される。このため、バルーン3の膨張時、線状部材41の周方向の移動は、押圧部材6によって抑制される。
【0042】
一方、膨張した状態のバルーン3から圧縮流体が排出されることに応じてバルーン3が収縮する場合、延伸方向に延びた状態のバルーン3の膨張領域33は、復元力によって縮む。この場合も、バルーン3の膨張時と同様、バルーン3の外周面3Dに対して線状部材41の内側部分410は摺動する。このため、バルーン3の膨張領域33の収縮は、線状部材41によって妨げられない。バルーン3の膨張領域33はスムーズに収縮し、バルーン3に対する皺等の発生は抑制される。線状部材41Aは羽3Aによって外側から覆われ、線状部材41Bは羽3Bによって外側から覆われ、線状部材41Cは羽3Cによって外側から覆われる(
図3参照)。例えば、押圧部材6の材料は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコンゴム、天然ゴムなどである。例えば、押圧部材6の厚みは5~40μmである。
【0043】
<第1実施形態の作用、効果>
以上説明したように、バルーンカテーテル10は、線状部材41をバルーン3に押し付ける押圧部材6を有する。このため、バルーンカテーテル10は、溶接、接着、融着等によってバルーン3に線状部材41が取り付けられる場合と比べて、バルーン3の膨張時において線状部材41がバルーン3に対して位置ずれすることを抑制できる。線状部材41は、バルーン3に直接取り付けられないので、バルーン3の膨張時、膨張領域33の外周面3Dの伸長を妨げない。線状部材41がバルーン3の膨張を妨げる場合、バルーン3は延伸方向と交差する方向に曲折する可能性があり、好ましくない。これに対し、バルーンカテーテル10では、バルーン3の膨張が線状部材41によって抑制され難いので、バルーン3が膨張時に曲折することを防止できる。バルーンカテーテル10は、バルーン3の収縮時、バルーン3に皺等が発生することを防止できる。
【0044】
押圧部材6は、バルーン3の基端側レッグ部31、基端側コーン領域32、膨張領域33、先端側コーン領域34、及び、先端側レッグ部35のそれぞれの外周面3Dの全てを覆う。バルーン3及び線状部材41と押圧部材6とは隙間なく密着する。このため、押圧部材6は、線状部材41全体をバルーン3に押し付けることができるので、線状部材41がバルーン3に対して位置ずれすることを抑制できる。バルーンカテーテル10は、押圧部材6を膜状とすることによって、バルーン体10Aの径が押圧部材6によって拡張されることを抑制できる。従って、バルーンカテーテル10は、血管内をバルーン体10Aが移動するときに押圧部材6が血管の内壁に引っ掛かって通過性が低下することを抑制できる。
【0045】
線状部材41は、バルーン3の膨張領域33に配置される。膨張領域33は、バルーン3の膨張時、延伸方向に亘って径が略同一となる。この場合、バルーンカテーテル30は、バルーン3の膨張時に膨張領域33で線状部材41を血管に適切に作用させることができる。線状部材41はバルーン3よりも硬さが硬いので、バルーンカテーテル10は、バルーン3の膨張時において線状部材41を血管に適切に作用させることができる。線状部材41の外側部分411は、頂点部分412において尖っている。このため、バルーン3が膨張した場合、外側部分411は血管の病変部に食い込みやすい。従って、線状部材41は、血管の病変部に対してバルーン3を滑りにくくした状態で、バルーン3の膨張によって病変部を内側から拡張できる。
【0046】
<第2実施形態(バルーンカテーテル20)>
本発明の第2実施形態に係るバルーンカテーテル20について、
図9を参照して説明する。第1実施形態に係るバルーンカテーテル10(
図1~
図6等参照)と異なる点は、線状部材42が線状部材41(
図4~
図6等参照)の代わりに設けられる点である。線状部材42は、線状部材42A、42Bを有する。線状部材42A、42Bは、それぞれ、線状部材41A、41B(
図7等参照)に対応する。線状部材42は、線状部材41C(
図7参照)に対応する非図示の線状部材を更に有する。バルーン体20Aは、バルーンカテーテル10におけるバルーン体10A(
図1~
図6等参照)に対応する。
【0047】
図9に示すように、線状部材42は、バルーン3の基端側レッグ部31、基端側コーン領域32、及び、膨張領域33のそれぞれの外周面3D上に配置される。以下、線状部材42のうち、基端側レッグ部31及び基端側コーン領域32の外周面3D上に配置される部分を、「基端側部分421」といい、膨張領域33の外周面3D上に配置される部分を、「膨張部分422」という。延伸方向において、基端側部分421の基端側の端部の位置は、基端側レッグ部31の基端側の端部の位置と略一致する。延伸方向において、膨張部分422の先端側の端部の位置は、膨張領域33と基端側コーン領域32との境界位置と略一致する。線状部材42は、バルーン3の先端側コーン領域34、及び、先端側レッグ部35のそれぞれの外周面3D上には配置されない。線状部材42は、押圧部材6によって全体が外側から覆われている。
【0048】
<第2実施形態の作用、効果>
バルーンカテーテル20は、バルーンカテーテル10と同様、バルーン3の膨張時において線状部材42がバルーン3に対して位置ずれしたり、線状部材42がバルーン3の膨張を阻害したりすることを、押圧部材6によって抑制できる。線状部材42は線状部材41よりも延伸方向に長い。このため、バルーンカテーテル20は、線状部材42のうちバルーン3及び押圧部材6と接触する部分の面積を、バルーンカテーテル10の場合よりも大きくできる。従って、線状部材42は、バルーンカテーテル10の線状部材41より大きな力で、バルーン3に押し付けられる。従って、バルーンカテーテル20は、線状部材42がバルーン3に対して位置ずれすることを、バルーンカテーテル10の場合よりもより確実に抑制できる。
【0049】
バルーンカテーテル20において、バルーン3の外周面3Dのうち先端側コーン領域34、及び、先端側レッグ部35に線状部材42は配置されない。このため、バルーンカテーテル20は、バルーン体20Aの先端部の径を、より小さくできる。従って、ユーザは、より小さな力で、バルーンカテーテル20のバルーン体20Aを、血管内の狭窄した箇所まで移動させることができる。
【0050】
<第3実施形態(バルーンカテーテル30)>
本発明の第3実施形態に係るバルーンカテーテル30について、
図10を参照して説明する。第2実施形態に係るバルーンカテーテル20(
図9参照)と異なる点は、線状部材43が線状部材42(
図9参照)の代わりに設けられる点、及び、装着部材21Aを備えている点である。線状部材43が線状部材42と異なる点は、一部が装着部材21Aを介して外側チューブ21に接合される点である。バルーン体30Aは、バルーンカテーテル20におけるバルーン体20A(
図9参照)に対応する。
【0051】
バルーンカテーテル30において、外側チューブ21の外周面214のうち、先端211(
図4、
図6参照)よりも基端側の部分に、装着部材21Aが装着される。装着部材21Aは、延伸方向に沿って移動可能な円筒部材である。装着部材21Aの内径は、外側チューブ21の外径よりも大きい。装着部材21Aの材料として、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂が用いられる。
【0052】
線状部材43は、線状部材43A、43Bを有する。線状部材43A、43Bは、それぞれ、線状部材42A、42B(
図9参照)に対応する。線状部材43は、線状部材42の非図示の線状部材に対応する非図示の線状部材を更に有する。線状部材43は、基端側部分431、及び、膨張部分432を有する。基端側部分431及び膨張部分432は、それぞれ、線状部材42の基端側部分421及び膨張部分422(
図9参照)に対応する。基端側部分431の基端は、装着部材21Aの外周面に熱溶着によって接続される。このため、線状部材43は、装着部材21Aを介してカテーテルシャフト2(外側チューブ21)に接合される。線状部材43は、基端側部分431の基端以外の部分でバルーン3に接続されない。
【0053】
線状部材43の膨張部分432は、バルーン3の膨張領域33の外周面3Dに接触する。線状部材43の基端側部分431は、バルーン3の基端側コーン領域32と膨張領域33との境界部分から、装着部材21Aに向けて直線状に延びる。このため、基端側部分431は、バルーン3の基端側レッグ部31及び基端側コーン領域32のそれぞれの外周面3Dに接触せず、それぞれの外周面3Dから外側に離隔する。
【0054】
押圧部材6は、バルーン3の外周面3D全体を覆う。線状部材43の膨張部分432は、バルーン3の外周面3Dと押圧部材6との間に挟まれる。膨張部分432は、押圧部材6の弾性によってバルーン側に押し付けられる。これによって、バルーン3に対する線状部材43の移動は、押圧部材6によって抑制される。一方、線状部材43の基端側部分431は、押圧部材6に対して外側に露出する。
【0055】
<第3実施形態の作用、効果>
バルーンカテーテル30は、バルーンカテーテル10、20と同様、バルーン3の膨張時に線状部材43がバルーン3に対して位置ずれしたり、線状部材43がバルーン3の膨張を阻害したりすることを、押圧部材6によって抑制できる。バルーンカテーテル30の場合、線状部材43の基端は、装着部材21Aを介してカテーテルシャフト2に接合される。このため、バルーンカテーテル30は、血管内からバルーン3を引き抜くときに線状部材43に先端側に向かう力が作用した場合において、線状部材43がカテーテルシャフト2に対して位置ずれすることを効果的に抑制できる。
【0056】
<第4実施形態(バルーンカテーテル40)>
本発明の第4実施形態に係るバルーンカテーテル40について、
図11を参照して説明する。第1実施形態に係るバルーンカテーテル10(
図1~
図6等参照)と異なる点は、線状部材44が線状部材41(
図4~
図6等参照)の代わりに設けられる点である。線状部材44は、線状部材44A、44Bを有する。線状部材44A、44Bは、それぞれ、線状部材41A、41B(
図7等参照)に対応する。線状部材44は、線状部材41C(
図7参照)に対応する非図示の線状部材を更に有する。バルーン体40Aは、バルーンカテーテル10におけるバルーン体10A(
図1~
図6等参照)に対応する。
【0057】
図11に示すように、線状部材44は、バルーン3の外周面3Dの延伸方向の全域に配置される。より詳細には、線状部材44は、バルーン3のうち、基端側レッグ部31、基端側コーン領域32、膨張領域33、先端側コーン領域34、及び、先端側レッグ部35のそれぞれの外周面3D上に配置される。以下、線状部材44のうち、基端側レッグ部31及び基端側コーン領域32の外周面3D上に位置する部分を、「基端側部分441」といい、膨張領域33の外周面3D上に位置する部分を、「膨張部分442」といい、先端側コーン領域34、及び、先端側レッグ部35の外周面3D上に位置する部分を、「先端側部分443」という。基端側部分441及び膨張部分442は、それぞれ、線状部材42の基端側部分421及び膨張部分422(
図9参照)に対応する。延伸方向において、先端側部分443の先端側の端部の位置は、先端側レッグ部35の先端側の端部の位置と略一致する。線状部材44は、押圧部材6によって全体が外側から覆われている。
【0058】
<第4実施形態の作用、効果>
バルーンカテーテル40は、バルーンカテーテル10、20、30と同様、バルーン3の膨張時に線状部材44がバルーン3から位置ずれしたり、線状部材44がバルーン3の膨張を阻害したりすることを、押圧部材6によって抑制できる。線状部材44は線状部材41、42よりも延伸方向に長い。このため、バルーンカテーテル40は、線状部材44のうちバルーン3及び押圧部材6と接触する部分の面積を、バルーンカテーテル10、20、30の何れの場合よりも更に大きくできる。従って、線状部材44は、線状部材41、42、43よりも更に大きな力で、バルーン3に押し付けられる。従って、バルーンカテーテル40は、線状部材44がバルーン3に対して位置ずれすることを、バルーンカテーテル10、20、30の場合よりも更に確実に抑制できる。
【0059】
<第5実施形態(バルーンカテーテル50)>
本発明の第5実施形態に係るバルーンカテーテル50について、
図12、
図13を参照して説明する。第1実施形態に係るバルーンカテーテル10(
図1~
図6等参照)と異なる点は、線状部材45が線状部材41(
図4~
図6等参照)の代わりに設けられる点である。線状部材45は、線状部材45A、45Bを有する。線状部材45A、45Bは、それぞれ、線状部材41A、41B(
図7等参照)に対応する。線状部材45は、線状部材41C(
図7参照)に対応する非図示の線状部材を更に有する。バルーン体50Aは、バルーンカテーテル10におけるバルーン体10A(
図1~
図6等参照)に対応する。
【0060】
図12に示すように、線状部材45は、軟性部分451、及び、硬性部分452を有する。軟性部分451は、基端側レッグ部31の基端側の端部と、先端側レッグ部35の先端側の端部との間に亘って延びる。軟性部分451は、第1部分451A、第2部分451B、及び、第3部分451Cを有する。第1部分451A、第2部分451B、及び、第3部分451Cは、延伸方向に沿って軟性部分451を3分割したそれぞれの部分に対応する。第1部分451Aは、バルーン3の基端側レッグ部31、及び、基端側コーン領域32のそれぞれの外周面3D上に配置される。第2部分451Bは、バルーン3の膨張領域33の外周面3D上に配置される。第3部分451Cは、バルーン3の先端側コーン領域34、及び、先端側レッグ部35のそれぞれの外周面3D上に配置される。硬性部分452は、軟性部分451の第2部分451Bのうち、バルーン3に対向する部分と反対側の部分に積層される。軟性部分451の第1部分451A、第3部分451Cは、それぞれ、バルーンカテーテル40における線状部材44の基端側部分441、及び、先端側部分443(
図11参照)に対応する。軟性部分451の第2部分451B、及び、硬性部分452は、線状部材44の膨張部分442(
図11参照)に対応する。
【0061】
図13は、伸長方向の力が作用していない状態における線状部材45のA1-A1線、B1-B1線、及び、C1-C1線におけるそれぞれの断面を示す。軟性部分451(第1部分451A~第3部分451C)の断面形状は、台形である。硬性部分452の断面の形状は、軟性部分451の第2部分451Bのうちバルーン3と対向する部分(以下、「内側部分450A」という。)と反対側の部分(以下、「境界部分450B」という。)を一辺とする正三角形である。硬性部分452は、境界部分450Bから外側に突出する。以下、硬性部分452の外側の端部を、「外側部分450C」という。外側部分450Cのうち、正三角形の頂点に対応する点を、頂点450Dという。頂点450Dは尖っている。
【0062】
線状部材45は、ポリアミド系樹脂によって形成されている。より詳細には、軟性部分451は、ポリアミド系エラストマによって形成されている。軟性部分451の硬度は、ISO868にてD25~D63の範囲内の値となる。硬性部分452は、ポリアミド樹脂によって形成されている。硬性部分452の硬度は、ISO868にてD70~D95の範囲内の値となる。つまり、硬性部分452は、軟性部分451よりも硬さが硬い。軟性部分451は、硬性部分452に比べて延伸性に優れている。
【0063】
線状部材45には、硬性部分452の外側部分450Cから半径方向の内側に向けて延びる2つの切欠き51が形成されている。2つの切欠き51は、それぞれ、線状部材45の一部が欠損することによって形成される。それぞれの切欠き51の断面形状は、楔形である。2つの切欠き51は、延伸方向に等間隔に並ぶ。それぞれの切欠き51は、延伸方向に対向する面51A、51Bを有する。切欠き51の内側の端部(以下、「底部」という。)51Cは、半径方向において、軟性部分451の第2部分451Bと硬性部分452との境界部分450Bよりも、内側に位置する。
【0064】
ハブ5から圧縮流体が供給されることに応じてバルーン3が膨張した場合、バルーン3は延伸方向に延びる。このため、バルーン3の外周面3Dに接触する線状部材45の軟性部分451に対して、伸長方向の力が作用する。この場合、第1部分451A及び第3部分451Cは、延伸方向に沿って延びるように弾性変形する。線状部材45のうち軟性部分451の第2部分451B12と硬性部分452とが積層する部分にも、延伸方向の力が作用する。ここで、軟性部分451と比べて硬性部分452は延伸し難い。軟性部分451の第2部分451Bが延伸方向の力によって弾性変形することに応じ、複数の切欠き51のそれぞれの面51A、51Bは延伸方向に離隔する。このため、軟性部分451の第2部分451Bの弾性変形は、硬性部分452によって抑制されない。従って、線状部材45のうち軟性部分451の第2部分451Bと硬性部分452とが積層する部分も、バルーン3の膨張に応じて延伸方向に延びるように弾性変形する。以上の結果、線状部材45は、延伸方向の全域で、バルーン3の膨張に追従して延伸方向に延びる。
【0065】
<第5実施形態の作用、効果>
線状部材45の軟性部分451は延伸可能である。このため、バルーン3が膨張することに応じて線状部材45が延伸しようとした場合に、軟性部分451のうち硬性部分452が積層されていない第1部分451A及び第3部分451Cは、バルーン3に追従して良好に延伸する。線状部材45には2つの切欠き51が形成されている。このため、バルーン3の膨張に応じて軟性部分451の第2部分451Bが延伸しようとした場合、それぞれの切欠き51の面51A、51B間が離隔する。これによって、硬性部分452によって軟性部分451の第2部分451Bの延伸が阻害されることが抑制される。このため、線状部材45は、バルーン3の膨張に応じて全域に亘って適切に延伸し、バルーン3の膨張に追従できる。従って、バルーンカテーテル50は、線状部材45がバルーン3の膨張を阻害することを抑制できる。
【0066】
バルーン3が膨張した場合、線状部材45の硬性部分452の外側部分450Cは、バルーン3に対して外側に突出する。硬性部分452は、軟性部分451よりも硬さが硬い。このため、線状部材45は、バルーン3の膨張した場合において、硬性部分452を血管に適切に作用させることができる。
【0067】
バルーンカテーテル50では、バルーン3の膨張時、複数の切欠き51のそれぞれの面51A、51Bは延伸方向に離隔する。これによって、軟性部分451の第2部分451Bは良好に弾性変形する。しかし、複数の切欠き51が線状部材45に形成されることによって、線状部材45自体の強度が、複数の切欠き51の部分で低下する場合がある。これに対し、第5実施形態において、線状部材45は押圧部材6によって全体が外側から覆われている。このため、線状部材45が強度低下の影響によって切欠き51の部分で破断した場合でも、線状部材45はバルーン3から脱離しない。このように、押圧部材6は、線状部材45が切欠き51の部分で破断した場合においてバルーン3から線状部材45が脱離することを抑制できる。
【0068】
<第6実施形態(バルーンカテーテル60)>
本発明の第6実施形態に係るバルーンカテーテル60について、
図14、
図15を参照して説明する。第6実施形態におけるバルーンカテーテル60の線状部材46は、バルーンカテーテル10(
図1~
図6等参照)の線状部材41(
図4~
図6等参照)と同一形状である。バルーンカテーテル60がバルーンカテーテル10と異なる点は、
図15に示すように、線状部材46の外周面3Dとバルーン3との間に押圧部材6の一部が配置される点である。以下、押圧部材6のうちバルーン3の外周面3Dと線状部材46との間に配置される部分を、接合部63という。バルーン体60Aは、バルーンカテーテル10におけるバルーン体10A(
図1~
図6等参照)に対応する。
【0069】
押圧部材6は、第1膜部61、第2膜部62、及び、接合部63を有する。接合部63は、バルーンカテーテル60の製造過程において、押圧部材6を形成するときにバルーン3の外周面3Dと線状部材46との間に進入し、バルーン3の外周面3Dに線状部材46を接合する。押圧部材6は、第1膜部61及び第2膜部62によって線状部材46をバルーン3に押し付けると同時に、接合部63によって線状部材46をバルーン3に接合する。押圧部材6を構成するコーティング材料が、バルーン3の外周面3Dと線状部材46との間に進入する。当該材料が乾燥することで、バルーン3と線状部材46とが張り付いた状態となる。これにより接合部63が形成される。接合部63が設けられていることで、バルーン3と線状部材46との間の摩擦が大きくなる。バルーン3の拡張に応じて、線状部材46も延伸する。
【0070】
<第6実施形態の作用、効果>
バルーンカテーテル60では、押圧部材6の第1膜部61及び第2膜部62によって線状部材46をバルーン3に押し付けることに加えて、押圧部材6の接合部63によって線状部材46をバルーン3の外周面3Dに接合する。このため、バルーンカテーテル60は、線状部材46がバルーン3に対して位置ずれすることを更に適切に抑制できる。バルーンカテーテル60は、接合部63によって線状部材46をバルーン3の外周面3Dに接合することによって、バルーン3に対する線状部材46の位置の変位を防止できる。このため、バルーンカテーテル60は、バルーン3に対して線状部材46が適切な位置に保持された状態で、バルーン3の膨張時に線状部材46を血管に作用させることができる。
【0071】
<第7実施形態(バルーン体10Aの製造方法)>
バルーン体10A(
図1~
図6等参照)の製造方法の具体例について、
図16~
図19を参照して説明する。バルーン体10Aは、(1)塗布コーティング(
図16参照)、(2)ブロー成形(
図17参照)、(3)押圧部材6の貼付(
図18参照)、及び、(4)押圧部材6の熱収縮性を利用した製法(
図19参照)によって製造可能である。以下では、第1実施形態に係るバルーン体10Aを製造する場合を例に挙げて説明するが、第2~第6実施形態に係るバルーン体20A(
図9参照)、30A(
図10参照)、40A(
図11参照)、50A(
図12参照)、60A(
図14参照)についても、同様の製法で製造することが可能である。上記の(1)~(4)は、バルーン体10Aの製法を例示したに過ぎず、(1)~(4)以外の製法によってもバルーン体10Aを製造可能であることは言うまでもない。
【0072】
<(1)塗布コーティング>
図16を参照し、塗布コーティングによるバルーン体10Aの製造方法について説明する。この製法は、薄膜を形成する方法として周知であるコーティング法に基づいている。詳細は次の通りである。
【0073】
筒状のバルーン3のうち膨張領域33の外周面3Dに対応する部分に、線状部材41が配置される(S11)。このとき、バルーン3と線状部材41との位置関係を一時的に保持するために、接着剤等が使用されてもよい。次いで、線状部材41が外周面3D上に配置されバルーン3に対し、スプレーを用いた溶融体の塗布コーティングが実行される(S13)。塗布コーティングの時間は、押圧部材6の膜厚に応じて最適化される。
【0074】
塗布コーティングの終了後、溶融体は、表面張力によってバルーン3及び線状部材41のそれぞれを外側から覆った状態となる。溶融体は、バルーン3及び線状部材41のそれぞれの外側の表面だけでなく、バルーン3と線状部材41との隙間に入り込む場合がある。
【0075】
次いで、スプレーを用いて溶融体が塗布コーティングされたバルーン3及び線状部材41は乾燥される(S15)。このときの温度は、溶融体の特性に応じて調整される。バルーン3及び線状部材41のそれぞれを外側から覆った溶融体は、乾燥によって、押圧部材6の第1膜部61及び第2膜部62を形成する。押圧部材6の第1膜部61及び第2膜部62は、線状部材41及びバルーン3に密着し、バルーン3の外周面3Dに線状部材41を押し付ける。バルーン3と線状部材41との隙間に入り込んだ溶融体は、乾燥によって、押圧部材6の接合部63を形成する。押圧部材6の接合部63は、線状部材41をバルーン3に接合する。
【0076】
以上のように製造されたバルーン体10Aにおいて、線状部材41は、押圧部材6の第1膜部61及び第2膜部62によってバルーン3の外周面3Dに強固に押し付けられる。接合部63が形成された場合、線状部材41は接合部63によってバルーン3の外周面3Dに直接接合される。このため、バルーン3に対する線状部材41の移動は、押圧部材6によって適切に抑制される。スプレーを用いた塗布コーティングは、凹凸のある表面に密着する薄膜を比較的容易に形成可能な製法として、一般的に知られている。このため、(1)の製法によれば、線状部材41がバルーン3の外周面3Dに対して位置ずれし難いバルーン体10Aを、容易に製造できる。
【0077】
(1)の製法において、溶融体をコーティングする方法は、スプレーを用いた塗布コーティングに限定されず、周知の他のコーティング方法であってもよい。例えば溶融体は、ディップコート法に基づいてバルーン3及び線状部材41にコーティングされてもよい。例えば溶融体は、刷毛等の道具を用いてバルーン3及び線状部材41にコーティングされてもよい。
【0078】
<(2)ブロー成形>
図17を参照し、ブロー成形によるバルーン体10Aの製造方法について説明する。この製法は、中空状の成形品を製造する方法として周知であるブロー成形法に基づいている。詳細は次の通りである。
【0079】
膨張したバルーン3と同一形状の内壁を有する、ブロー成形用の一組の金型(オス、メス)が準備される。一組の金型のそれぞれの内壁に沿って、膜状の押圧部材6が配置される(S21)。次いで、押圧部材6に対して一組の金型のそれぞれの内壁に対向する面と反対側の面に沿って、線状部材41が配置される(S23)。このとき、バルーン3と線状部材41との位置関係を一時的に保持するために、接着剤等が使用されてもよい。次いで、一組の金型が組み付けられる。次いで、組み付けられた金型の内部に、パリソンが注入される(S25)。パリソンはバルーン3の基となる筒状の材料であり、バルーン3の原材料によって構成される。パリソンは、金型のうち線状部材41に対して押圧部材6と反対側に注入される。線状部材41は、パリソンと押圧部材6との間に挟まれる。
【0080】
次いで、パリソン内に空気が吹き込まれる(S27)。空気が吹き込まれることによって、パリソンは膨張する。パリソンは、線状部材41及び押圧部材6に内側から接触し、金型の内壁に押し付けられる。これによって、金型の内壁と同一形状を有するバルーン3が形成される。線状部材41及び押圧部材6は、バルーン3の外周面3Dに密着する。線状部材41は、バルーン3と押圧部材6との間に挟まれる。
【0081】
金型が開かれ、バルーン3、線状部材41、及び、押圧部材6が取り出される。取り出されたバルーン3、線状部材41、及び、押圧部材6は、冷却される(S29)。これによって、バルーン体10Aが形成される。押圧部材6は、バルーン3の外周面3Dに線状部材41を押し付ける。
【0082】
(2)の製造過程において、線状部材41は、押圧部材6によってバルーン3の外周面3Dに強固に押し付けられるので、線状部材41を押圧部材6によってバルーン3に密着させることができる。(1)の製法と異なり、(2)の製法では、固体状の押圧部材6を液化等することなくそのまま使用し、バルーン体10Aを製造できる。このため、押圧部材6の状態が製造時に変化することによって押圧部材6の物性が変化することを抑制できる。
【0083】
<(3)押圧部材6の貼付>
図18を参照し、押圧部材6をバルーン3に貼付することによるバルーン体10Aの製造方法について説明する。バルーン3の外周面3Dに線状部材41が配置される(S31)。次いで、膜状の押圧部材6が準備される。押圧部材6の一方の面、又は、バルーン3の外周面3Dに接着剤が塗布される。押圧部材6は、バルーン3の外周面3Dに接着剤によって貼付される(S33)。これによって、バルーン3の外周面3D、及び、線状部材41の外側の面は、外側から押圧部材6によって覆われる。線状部材41は、押圧部材6によってバルーン3に押し付けられる。線状部材41は、バルーン3と押圧部材6との間に挟まれる。(3)の製法によれば、バルーン体10Aの製造に必要となる大掛かりな設備が不要となる。このため、(1)(2)の製法と比べてバルーン体10Aを容易に製造できる。S31の過程において、バルーン3と線状部材41との位置関係を一時的に保持するために接着剤が使用されてもよい。この場合、例えば、バルーン3及び線状部材41に押圧部材6を貼付するための接着剤を使用し、バルーン3に線状部材41を貼付できる。この場合、共通の接着剤を使用して、バルーン3の外周面3D、押圧部材6、及び、線状部材41を接合できる。
【0084】
<(4)押圧部材6の熱収縮性を用いた製法>
図19を参照し、押圧部材6の熱収縮性を利用したバルーン体10Aの製造方法について説明する。この場合、加熱に応じて収縮する特性(熱収縮性)を押圧部材6が有することが前提となる。詳細は次の通りである。
【0085】
バルーン3の外周面3Dに線状部材41が配置される(S41)。次いで、熱収縮性を有する膜状の押圧部材6が準備される。次いで、バルーン3の外周面3D、及び、線状部材41の外側の面が、押圧部材6によって外側から覆われる(S43)。この状態で、押圧部材6が加熱される(S45)。加熱によって、押圧部材6は内側に収縮する。押圧部材6は、バルーン3の外周面3D及び線状部材41に外側から密着する。線状部材41は、押圧部材6によってバルーン3に押し付けられる。次いで、押圧部材6の加熱が停止され、押圧部材6は冷却される(S47)。線状部材41は、バルーン3と押圧部材6との間に挟まれる。
【0086】
(4)の製造過程において、線状部材41は、押圧部材6によってバルーン3の外周面3Dに強固に押し付けられるので、押圧部材6によって線状部材41をバルーン3に密着させることができる。(3)の製法と同様、乾式の製法であるので、大規模な設備を要することなく容易にバルーン体10Aを製造できる。(3)の製法と異なり、押圧部材6を接着するための接着剤が不要となる。このため、(3)の製法よりも更に容易にバルーン体10Aを製造できる。
【0087】
<変形例>
本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。カテーテルシャフト2は、外側チューブ21及び内側チューブ22を有していなくてもよい。例えば、カテーテルシャフト2は、可撓性を有する1つのチューブのみを有していてもよい。線状部材41~46のそれぞれの数は、3つに限定されず、他の数量であってもよい。線状部材41~46のそれぞれの断面形状は、正三角形でなくてもよく、例えば、二等辺三角形や、互いに長さが異なる三辺を有する三角形でもよい。線状部材41~46は、例えば、バルーン3が膨張した状態において、病変部を切開するための切り刃としての機能を有してもよい。
【0088】
膨張したバルーン3の基端側コーン領域32と膨張領域33との境界部分、及び、膨張領域33と先端側コーン領域34との境界部分は、それぞれ湾曲してもよい。上記実施形態において、基端側コーン領域32と先端側コーン領域34とは、それぞれ、基端側から先端側に向けて直線的に直径が変化する。しかし基端側コーン領域32と先端側コーン領域34とは、それぞれ、基端側から先端側に向けて曲線的に直径が変化してもよい。基端側コーン領域32と先端側コーン領域34のうち一方が、曲線的に直径が変化し、他方が、直線的に直径が変化してもよい。内側チューブ22にマーカ22A、22Bが設けられていなくてもよい。
【0089】
線状部材41~46は、延伸方向に沿って螺旋状に延びてもよい。線状部材41~45のうち、バルーン3の膨張領域33の外周面3D上に対向する部分の一部又は全部は、バルーン3の外周面3Dに接合されてもよい。このときの接合方法は限定されず、例えば、接着剤による接合、溶接、融着等の何れであってもよい。押圧部材6は、バルーン3の外周面3Dのうち一部のみ覆っていてもよい。例えば、押圧部材6は、バルーン3の膨張領域33の外周面3Dのみ覆っていてもよい。例えば押圧部材6は、バルーン3の膨張領域33の外周面3Dのうち、線状部材41~46が配置される部分の近傍のみ覆っていてもよい。この場合、線状部材41~46の一部は、押圧部材6によって覆われず露出する。更に、例えば、押圧部材6が線状部材41~46近傍のみを覆う場合、押圧部材6の形状は膜状に限定されない。また、押圧部材6に対して力が働いていない状態における押圧部材6の内径は、拡張したバルーン6の外径よりも小さくてもよい。この場合、押圧部材6の弾性力は、拡張したバルーン6を収縮させる方向に作用するので、線状部材41をバルーン6に押し付ける。
【0090】
線状部材41~46は、バルーン3の膨張領域33を除く部分(基端側レッグ部31、基端側コーン領域32、先端側コーン領域34、及び、先端側レッグ部35)の外周面3Dにのみ配置されてもよい。
【0091】
バルーンカテーテル30(
図10参照)において、線状部材43の基端側の端部は、装着部材21Aを介さず、外側チューブ21に直接接合されてもよい。バルーンカテーテル40(
図11参照)において、線状部材44の先端側の端部が、内側チューブ22の突出部分225(
図4、
図6参照)の外周面224に接合されてもよい。線状部材43の基端側の端部は、バルーン3の基端側レッグ部31に接合されてもよい。線状部材43の先端側の端部は、バルーン3の先端側レッグ部35に接合されてもよい。バルーンカテーテル50(
図12参照)において、切欠き51の底部51C(
図13参照)は、半径方向において境界部分450Bと略同一位置に位置してもよいし、境界部分450Bよりも外側に位置してもよい。バルーンカテーテル50において、切欠き51の代わりに切り込みが形成されてもよい。切り込みは、延伸方向に対向する2つの面が、バルーン3が膨張していない状態で接触するという点で、切欠き51と相違する。切り込みの底部の位置は、半径方向において、境界部分450Bの内側、境界部分450Bと略同一位置、及び、境界部分450Bの外側の何れの位置であってもよい。線状部材45は、切欠き51及び切れ込みの何れも有していなくてもよい。