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▶ エフ・ホフマン−ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧 ▶ ルードヴィッヒ−マクシミリアン−ユニヴェルシタート ミュンヘンの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】改善された養子T細胞療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20221114BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20221114BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20221114BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221114BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20221114BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20221114BHJP
   C07K 16/30 20060101ALN20221114BHJP
   C07K 16/46 20060101ALN20221114BHJP
【FI】
A61K39/395 T ZNA
A61K35/17
A61K39/395 E
A61K48/00
A61P35/00
A61P35/02
C07K16/28
C07K16/30
C07K16/46
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018568679
(86)(22)【出願日】2017-06-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-03
(86)【国際出願番号】 EP2017066375
(87)【国際公開番号】W WO2018002358
(87)【国際公開日】2018-01-04
【審査請求日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】16177203.3
(32)【優先日】2016-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】306021192
【氏名又は名称】エフ・ホフマン-ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
(73)【特許権者】
【識別番号】514196857
【氏名又は名称】ルードヴィッヒ-マクシミリアン-ユニヴェルシタート ミュンヘン
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】クライン, クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】サストマン, クラウディオ
(72)【発明者】
【氏名】ニーダーフェルナー, ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】ガイガー, マルティナ
(72)【発明者】
【氏名】エンドレス, シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】コボルト, ゼバスティアン
【審査官】菊池 美香
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-506954(JP,A)
【文献】国際公開第2016/090369(WO,A1)
【文献】Drug Delivery System, 2013, 28-1, pp.35-44
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/395
A61K 35/17
A61K 48/00
A61P 35/00
A61P 35/02
C07K 16/28
C07K 16/30
C07K 16/46
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)処置される対象から得られたT細胞に形質導入するための、融合タンパク質をコードする核酸分子であって、以下のドメイン:
(1)前記T細胞内又は前記T細胞上で天然に存在しない、シグナル伝達受容体の細胞外ドメイン、
(2)膜貫通アンカリングドメイン、及び
(3)シグナル伝達刺激ドメイン
を有する融合タンパク質をコードする核酸分子であって、前記シグナル伝達受容体の細胞外ドメインがEGFRvIIIの細胞外ドメインであり、前記膜貫通アンカリングドメインがCD28の膜貫通アンカリングドメインであり、前記シグナル伝達刺激ドメインがCD3のシグナル伝達刺激ドメインである、核酸分子と、
(B)三価の二重特異性抗体分子であって、
(i)(A)を特徴とする融合タンパク質の細胞外ドメイン(1)に結合する、第1の結合ドメイン、
(ii)腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原に結合する、第2の結合ドメイン、及び
(iii)(A)を特徴とする融合タンパク質の細胞外ドメイン(1)に結合するか、又は腫瘍細胞の表面上に天然に存在する前記腫瘍特異的抗原に結合する、第3の結合ドメイン
を含む三価の二重特異性抗体分子と
を含むキット。
【請求項2】
前記融合タンパク質が、少なくとも1つのシグナル伝達共刺激ドメインをさらに含む、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
対象を処置するための医薬であって、
(i)請求項1(A)を特徴とする融合タンパク質の細胞外ドメイン(1)に結合する、第1の結合ドメイン、
(ii)腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原に結合する、第2の結合ドメイン、及び
(iii)請求項1(A)を特徴とする融合タンパク質の細胞外ドメイン(1)に結合するか、又は腫瘍細胞の表面上に天然に存在する前記腫瘍特異的抗原に結合する、第3の結合ドメイン
を含む三価の二重特異性抗体分子を含み、請求項1(A)を特徴とする融合タンパク質を含む形質導入されたT細胞の投与の前に、これと同時に、又はこの後で投与され、前記T細胞が、処置される対象から得られたものである、医薬。
【請求項4】
薬学的組成物であって、
(i)請求項1(A)を特徴とする融合タンパク質の細胞外ドメイン(1)に結合する、第1の結合ドメイン、
(ii)腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原に結合する、第2の結合ドメイン、及び
(iii)請求項1(A)を特徴とする融合タンパク質の細胞外ドメイン(1)に結合するか、又は腫瘍細胞の表面上に天然に存在する前記腫瘍特異的抗原に結合する、第3の結合ドメイン
を含む、三価の二重特異性抗体分子を含み、請求項1(A)を特徴とする融合タンパク質を含む形質導入されたT細胞と組み合わせて投与され、前記T細胞が、処置される対象から得られたものである、薬学的組成物。
【請求項5】
対象の悪性疾患を処置するための医薬であって、
(i)請求項1(A)を特徴とする融合タンパク質の細胞外ドメイン(1)に結合する、第1の結合ドメイン、
(ii)腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原に結合する、第2の結合ドメイン、及び
(iii)請求項1(A)を特徴とする融合タンパク質の細胞外ドメイン(1)に結合するか、又は腫瘍細胞の表面上に天然に存在する前記腫瘍特異的抗原に結合する、第3の結合ドメイン
を含む、三価の二重特異性抗体分子を含み、請求項1(A)を特徴とする融合タンパク質を含む形質導入されたT細胞の投与の前に、これと同時に、又はこの後で投与され、前記T細胞が、処置される対象から得られたものである、医薬。
【請求項6】
前記悪性疾患が、上皮由来、内皮由来、又は中皮由来のがん、及び血液がんから選択される、請求項5に記載の医薬。
【請求項7】
腫瘍細胞の表面上に天然に存在する前記抗原が、EpCAM、MSLN、MCSP、HER-1、HER-2、HER-3、CD20、CD22、CD33、CD52、FLT-3、FOLR1、Trop-2、CA-12-5、HLA-DR、MUC-1(ムチン1)、A33抗原、PSMA、(前立腺特異的膜抗原)、PSCA、トランスフェリン受容体、テネイシン、及びCA-IX(炭酸脱水酵素IX)からなる群から選択される、請求項1若しくは2に記載のキット、請求項4に記載の薬学的組成物、又は請求項3、5及び6のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項8】
前記形質導入されたT細胞が、前記T細胞上に天然に存在するT細胞受容体、及び/又は前記T細胞に遺伝子導入されたT細胞受容体をさらに含む、請求項1、2、及び7のいずれか一項に記載のキット、請求項4若しくは7に記載の薬学的組成物、又は請求項3及び5からのいずれか一項に記載の医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、融合タンパク質をトランスフェクト/形質導入された、CD8+T細胞、CD4+T細胞、CD3+T細胞、γδT細胞、又はナチュラルキラー(NK)T細胞などのT細胞であって、融合タンパク質の細胞外ドメインに特異的に結合する/これと相互作用する三価の二重特異性抗体分子の使用により動員されるT細胞に関する。より正確に述べると、本発明は、本発明の核酸分子、ベクター、及び/又は融合タンパク質、ならびに本発明の、三価の二重特異性抗体分子を含むキットに関する。本発明のさらなる態様は、融合タンパク質のほか、三価の二重特異性抗体分子もコードする核酸分子を含む発現ベクターである。さらに、本発明の、三価の二重特異性抗体分子、及び前記三価の二重特異性抗体分子を含む医薬/薬学的組成物を作製するためのプロセスについても記載する。本発明はまた、特定の疾患を処置するための方法における前記三価の二重特異性抗体分子の使用、ならびに本発明の融合タンパク質を含む形質導入されたT細胞と組み合わせて投与される、前記三価の二重特異性抗体分子を含む薬学的組成物/医薬も提供する。本発明はまた、特定の疾患を処置するための方法も提供する。
【背景技術】
【0002】
養子T細胞療法(ACT)は、がん特異的T細胞を使用する、強力な処置法である(Rosenberg及びRestifo、Science、348 (6230) (2015)、62-68)。ACTは、T細胞受容体又はキメラ抗原受容体を使用する遺伝子操作により特異的とされた、天然に存在する腫瘍特異的細胞又はT細胞を使用しうる(Rosenberg及びRestifo、Science、348 (6230) (2015)、62-68)。ACTは、急性リンパ性白血病、非ホジキンリンパ腫、又はメラノーマなど、進行性疾患及び他の形で処置不応性の疾患を患う患者であってもなお処置し、これらの患者において寛解を誘導することに成功しうる(Dudleyら、J Clin Oncol、26 (32) (2008)、5233-5239;Gruppら、N Engl J Med、368 (16) (2013)、1509-1518;Kochenderferら、J Clin Oncol.、(2015) 33 (6): 540-549、doi:10.1200/JCO.2014.56.2025.、Epub、2014年8月25日)。しかし、長期にわたる利益が、患者の小さなサブセットに限られる一方で、大半の患者は、再発し、それらの不応性疾患に屈するであろう。
【0003】
ACTの成功には、T細胞の、腫瘍細胞又は腫瘍組織へのアクセスが必須であると考えられている。したがって、T細胞の侵入を可能とする方法を、開発及び実施することが必要である(Gattinoniら、Nat Rev Immunol、6 (5) (2006)、383-393)。現在、T細胞浸潤の増強を達成するのに最も有効な方法は、腫瘍組織を透過化し、血管系をリモデリングし、抑制性細胞を枯渇させる、全身照射である(Dudleyら、J Clin Oncol、23 (10) (2005)、2346-2357)。この方法は、臨床治験において、有効性を示しているが、その非特異的性格は、重度の副作用を誘導することから、その適応可能性は制限され、より特異的な方法が求められている(Dudleyら、J Clin Oncol、23 (10) (2005)、2346-2357)。
【0004】
加えて、メラノーマ治療のための、抗CTLA-4又は抗PD1抗体などの阻害剤の承認は、処置環境及び転移性疾患を伴う患者の転帰を一変させた(Hodiら、N Engl J Med、363 (8) (2010)、711-723;Robertら、N Engl J Med、372 (4) (2015)、320-330)。これらのモダリティーの両方の組合せは、無進行生存率及び全生存の潜在的な延長により例示される通り、より画期的な応答の見込みを有する(Larkinら、N Engl J Med、373 (1) (2015)、23-34)。しかし、大半ではないにせよ、実質量の患者は、利益を得ないか、又は再発することから、さらなる処置選択肢が求められる。
【0005】
メラノーマ治療のためのT細胞の価値は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の使用により、さらに裏付けられており、全身照射と組み合わせた場合、処置される患者のうちの77%という、比類のない奏功率を誘導する(Dudleyら、J Clin Oncol、26 (32) (2008)、5233-5239;Rosenbergら、Clin Cancer Res、17 (13) (2011)、4550-4557)。多数の患者が、治癒したと考えられるが、大半は、再発し、それらの疾患に屈することから、大半のメラノーマの、T細胞の攻撃に対する、主要な感受性は指し示されるが、抗腫瘍応答を持続させ、再発を防止するための、さらなる方法も求められる。
【0006】
近年、マーカー抗原を形質導入された抗原特異的T細胞と、四価の二重特異性抗体分子との組合せは、腫瘍認識を増強し、腫瘍コントロールの延長を媒介するが、局所的な免疫抑制及びT細胞の枯渇に、潜在的に起因して、腫瘍の根絶には失敗することが示された(国際公開第2013/113615号;Koboldら、J Natl Cancer Inst、107 (1) (2015)、364;Koboldら、J Natl Cancer Inst、107 (8) (2015)、1-10;Koboldら、Journal for ImmunoTherapy of Cancer、2 (増刊2号): p42 (2014))。しかし、Koboldら、Journal for ImmunoTherapy of Cancer、2(増刊2号):p42(2014)において記載されている二重特異性抗体分子は、完全に構造的特徴を明らかにされているわけでも、寄託されているわけでもない。国際公開第2013/113615号;Koboldら、J Natl Cancer Inst、107(1)(2015)、364;Koboldら、J Natl Cancer Inst、107(8)(2015)1-10;Koboldら、Journal for ImmunoTherapy of Cancer、2(増刊2号):p42(2014)において記載されている方法もまた、T細胞療法が、MHC拘束に依存し、さらなるT細胞刺激を可能としないという不都合を有する。さらに、米国特許出願第2010/0256340号は、三価の二重特異性抗体分子の構築についても開示している。しかし、米国特許出願第2010/0256340号は、いずれの箇所でも、三価の二重特異性抗体分子の、融合タンパク質を形質導入したT細胞を、がん細胞に特異的に動員するためのツールとしての使用について記載していない。さらに、二重特異性抗体分子の、融合タンパク質を形質導入されたT細胞との組合せについても、記載されている(Urbanskaら、Journal of Translational Medicine、12 (347) (2014)、doi:10.1186/12967-014-0347-2)。しかし、Urbanskaらによる刊行物において記載された実験手順の、唯一の目的は、2つのモノクローナル抗体分子の架橋により得られた抗体分子であって、CD8、CD28、及びCD3zに融合させた葉酸受容体と、腫瘍関連抗原(CD20及びHER2)とをターゲティングする抗体分子であれば、T細胞を、がん細胞に対してリダイレクトすると実証することであった。しかし、Urbanskaらによるデータは、以下の理由:1)T細胞刺激ドメインに融合させた、異なる細胞外ドメインから構成される融合タンパク質をターゲティングする抗体分子であれば、T細胞を活性化させることが可能であるというデータが提示されていないこと;2)腫瘍細胞の非存在下における、T細胞の活性化に対する、四価の影響についての解析が提示されていないこと;3)三価の二重特異性抗体分子であれば、同様であるか、なお又はより強力なT細胞活性化能をもたらすことが可能であるというデータが提示されていないことのために、概念のさらなる一般化を排除できない。さらに、Urbanskaらによる刊行物で示されたデータは、T細胞の活性化には、CD8ドメインが必須となるという形で解釈しうるであろう。
【発明の概要】
【0007】
したがって、がん患者の必要を満たすために、ターゲティングされた腫瘍治療、特に、養子T細胞療法は、改善を必要とする。したがって、ACTの安全性及び有効性を改善し、上記の欠点を克服する潜在的可能性を有する、改善された手段を提供することが、依然として必要とされている。
【0008】
本発明は、特許請求の範囲で規定される実施態様を提供することにより、この必要に対処する。
【0009】
本発明は、(A)処置される対象から得られたT細胞内又はT細胞上で天然に存在しない、シグナル伝達受容体の細胞外ドメイン、膜貫通アンカリングドメイン、及びシグナル伝達刺激ドメインを含む融合タンパク質と、(B)融合タンパク質の細胞外ドメイン(すなわち、T細胞内又はT細胞上に存在しない、シグナル伝達受容体の細胞外ドメイン)と、腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原とに結合する、三価の二重特異性抗体分子とを含むキットに関する。より好ましい実施態様では、本発明は、(A)処置される対象から得られたT細胞内又はT細胞上で天然に存在しない、シグナル伝達受容体の細胞外ドメイン、膜貫通アンカリングドメイン、少なくとも1つのシグナル伝達共刺激ドメイン、及びシグナル伝達刺激ドメインを含む融合タンパク質と、(B)融合タンパク質の細胞外ドメイン(すなわち、T細胞内又はT細胞上に存在しない、シグナル伝達受容体の細胞外ドメイン)と、腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原とに結合する、三価の二重特異性抗体分子とを含むキットに関する。
【0010】
本発明は、CD8+T細胞、CD4+T細胞、CD3+T細胞、γδT細胞、又はナチュラルキラー(NK)T細胞などのT細胞、好ましくはCD8+T細胞への、本明細書で記載される融合タンパク質の形質導入と、三価の二重特異性抗体分子による、それらの腫瘍への動員のターゲティングとに関する。国際公開第2013/113615号の例において記載されている、四価の二重特異性抗体であって、T細胞に導入されたマーカー抗原に対する、2つの結合ドメインと、腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原に対する、2つの結合ドメインとを有する、四価の二重特異性抗体とは対照的に、本発明は、融合タンパク質の細胞外ドメインに対する1つだけの結合ドメインと、腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原に対する2つの結合ドメインとを有する、三価の二重特異性抗体分子、又は、代替的に、融合タンパク質の細胞外ドメインに対する2つの結合ドメインと、腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原に対する1つだけの結合ドメインとを有する、三価の二重特異性抗体分子の使用に基づく。添付の実施例に、本発明の概念実証として示されるように、三価の二重特異性抗体である「BsAb EGFRvIII-EpCAM」(プラスミド/ベクターである、「EGFR vIII MR1.1 VH Ck muEpCAM VH CH1 EE Fc knob PG LALA,pETR14953」(配列番号21に示されたDNA配列によりコードされる配列番号22)、「EGFR vIII MR1.1 VL CH1,pETR14951」(配列番号24(タンパク質)及び23(DNA))、「VL EpCAM G.8.8 Ck RK,pETR14882」(配列番号26(タンパク質)及び25(DNA))、及び「VH muEpCAM CH1 EE Fc hole PG LALA HRYF,pETR14940」(配列番号28(タンパク質)及び27(DNA))を含む/これらからなる配列番号233;また、図9ならびに表1及び2も参照されたい)であって、第2の結合ドメイン、すなわち、1つの結合ドメインが、(ヒト)EGFRvIII(前記T細胞内及び/又は前記T細胞上で天然に存在しない、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインを表す)と相互作用する/これに結合し、第1の結合ドメイン及び第3の結合ドメイン、すなわち、2つの結合ドメインが、マウスEpCAM(腫瘍細胞の表面上で天然に存在する、腫瘍特異的抗原を表す)と相互作用する/これに結合する、三価の二重特異性抗体を構築した。さらに、三価の二重特異性抗体である「BsAb EGFRvIII-MSLN」(プラスミド/ベクターである、「EGFR vIII MR1.1 VH Ck MSLN VH CH1 EE Fc knob PG LALA,pETR15655」(配列番号1に示されたDNA配列によりコードされる配列番号2)、「EGFR vIII MR1.1 VL CH1,pETR15656」(配列番号4(タンパク質)及び3(DNA))、「VL MSLN Ck RK,pETR15443」(配列番号6(タンパク質)及び5(DNA))、及び「VH MSLN CH1 EE Fc hole PG LALA HRYF,pETR15667」(配列番号8(タンパク質)及び7(DNA))を含む/これらからなる配列番号235;また、図10ならびに表3及び4も参照されたい)であって、第2の結合ドメイン、すなわち、1つの結合ドメインが、ヒトEGFRvIII(前記T細胞内又は前記T細胞上で天然に存在しない、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインを表す)と相互作用する/これに結合し、第1の結合ドメイン及び第3の結合ドメイン、すなわち、2つの結合ドメインが、ヒトメソテリン(ヒトメソテリンのUniProtエントリー番号は、Q13421(バージョン番号132、配列ナンバー2;配列番号149(DNA)及び150(タンパク質)である)と相互作用する/これに結合する、三価の二重特異性抗体を構築した。さらに、三価の二重特異性抗体である「BsAb EGFRvIII-MCSP」(プラスミド/ベクターである、「MR1.1 EGFRvIII VH-Ck-(G4S)2 MCSP M4-3 VH CH1 EE Fc knob PG LALA,pETR16621」(配列番号208(タンパク質)及び207(DNA))、「EGFR vIII MR1.1 VL CH1,pETR15656」(配列番号210(タンパク質)及び209(DNA))、「MCSP ML2 VL Ck RK,pETR16619」(配列番号212(タンパク質)及び211(DNA))、及び「MCSP M4-3 VH CH1 EE Fc hole PG LALA HYRF,pETR16618」(配列番号214(タンパク質)及び213(DNA))を含む/これらからなる配列番号234;また、図11ならびに表5及び6も参照されたい)であって、第2の結合ドメイン、すなわち、1つの結合ドメインが、ヒトEGFRvIII(前記T細胞内又は前記T細胞上で天然に存在しない、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインを表す)と相互作用する/これに結合し、第1の結合ドメイン及び第3の結合ドメイン、すなわち、2つの結合ドメインが、ヒトMCSP(メラノーマコンドロイチン硫酸プロテオグリカン;ヒトMCSPのUniProtエントリー番号は、Q6UVK1(バージョン番号118、配列バージョン2;配列番号237(タンパク質)及び236(DNA)である)と相互作用する/これに結合する、三価の二重特異性抗体を構築した。プラスミド/ベクターである「EGFR vIII MR1.1 VH Ck muEpCAM VH CH1 EE Fc knob PG LALA,pETR14953」(配列番号21に示されたDNA配列によりコードされる配列番号22)、「EGFR vIII MR1.1 VL CH1,pETR14951」(配列番号24(タンパク質)及び23(DNA))、「VL EpCAM G.8.8 Ck RK,pETR14882」(配列番号26(タンパク質)及び25(DNA))、及び「VH muEpCAM CH1 EE Fc hole PG LALA HRYF,pETR14940」(配列番号28(タンパク質)及び27(DNA));また、図9ならびに表1及び2も参照されたい)を含む/これらからなる三価の二重特異性抗体である「BsAb EGFRvIII-EpCAM」(配列番号233)と、EGFRvIII-CD28-CD3z融合タンパク質(配列番号41(DNA)及び42(タンパク質)を発現させる、形質導入された腫瘍特異的T細胞(好ましくは、CD8+T細胞)との組合せによる腫瘍の処置は、驚くべきことに、非特異的細胞傷害を、ヒトEGFRvIII(前記T細胞内又は前記T細胞上で天然に存在しない、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインを表す)と相互作用する/これに結合する、2つの結合ドメインと、マウスEpCAM(前記T細胞内又は前記T細胞上で天然に存在しない、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインを表す)と相互作用する/これに結合する、2つの結合ドメインとを有する、四価の二重特異性抗体である「BsAb EpCAM-EGFRvIII,MR1.1」(配列番号229(軽鎖(リーダー配列を伴わない)及び配列番号230(重鎖(リーダー配列を伴わない))を使用する実験と比較して消失させる。図6及び7を参照されたい。さらに、三価の二重特異性抗体である「BsAb EGFRvIII-MSLN」(配列番号235;表3及び4も参照されたい)の機能性はまた、ヒト腫瘍系においても示された。例えば、図17を参照されたい。したがって、驚くべきことに、かつ、予測外に、本発明の融合タンパク質を形質導入されたCD8+T細胞、CD4+T細胞、CD3+T細胞、γδT細胞、又はナチュラルキラー(NK)T細胞などのT細胞、好ましくはCD8+T細胞は、三価の二重特異性抗体分子を使用することにより特異的に刺激することができ、前記三価の二重特異性抗体分子により、腫瘍細胞に動員しうることが見出された。したがって、本発明では、驚くべきことに、かつ、予測外に、三価の二重特異性抗体分子の、T細胞内又はT細胞上で天然に存在しない、シグナル伝達受容体の細胞外ドメイン、膜貫通アンカリングドメイン、T細胞シグナル伝達刺激ドメイン(及び、任意選択で、少なくとも1つのシグナル伝達共刺激ドメイン)を含む/これらからなる融合タンパク質を形質導入されたT細胞とのペアリングは、特異的活性化と、腫瘍細胞のMHC非依存性溶解とを結果としてもたらすことが示された。T細胞は、三価の二重特異性抗体分子の非存在下で、不活性であるので、この手法はまた、従来のT細胞ベースの手法を上回る、著明な安全性の利点も保有し、それらのアベイラビリティーは、選び出された抗体分子フォーマットにより制御することができる(すなわち、半減期を短くするための低分子、及びこの逆)。
【0011】
したがって、本発明は、(A)処置される対象から得られた、CD8+T細胞、CD4+T細胞、CD3+T細胞、γδT細胞、又はナチュラルキラー(NK)T細胞、好ましくはCD8+T細胞などのT細胞に形質導入するための、融合タンパク質をコードする核酸分子であって、以下のドメイン:(1)前記T細胞内又は前記T細胞上で天然に存在しない、シグナル伝達受容体の細胞外ドメイン、(2)膜貫通アンカリングドメイン、(3)任意選択で、少なくとも1つのシグナル伝達共刺激ドメイン、及び(4)シグナル伝達刺激ドメインとを有する核酸分子と、(B)三価の二重特異性抗体分子であって、(i)(A)を特徴とする融合タンパク質の細胞外ドメイン(1)に結合する、第1の結合ドメイン、(ii)腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原に結合する、第2の結合ドメイン、及び(iii)(A)を特徴とする融合タンパク質の細胞外ドメイン(1)、すなわち、前記T細胞内又は前記T細胞上で天然に存在しない、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインに結合するか、又は腫瘍細胞の表面上に天然に存在する前記腫瘍特異的抗原に結合する、第3の結合ドメインを含む三価の二重特異性抗体分子とを含むキットに関する。
【0012】
本発明の文脈では、「融合タンパク質」は、異なる供給源に由来するポリペプチド部分から作られたタンパク質に関する。したがって、「融合タンパク質」はまた、「キメラタンパク質」としても理解されうる。通例、融合タンパク質は、元来、別個のタンパク質をコードした、2つ又はこれを超える遺伝子(又は好ましくは、cDNA)の接合を介して創出されたタンパク質である。この融合遺伝子(又は融合cDNA)の翻訳は、好ましくは、元のタンパク質の各々に由来する機能的特性を伴う、単一のポリペプチドを結果としてもたらす。組換え融合タンパク質は、生物学的研究又は生物学的治療剤における使用のための、組換えDNA技術により、人工的に創出される。本発明の融合タンパク質の作製についてのさらなる詳細については、本明細書の下記で記載する。
【0013】
本発明の文脈では、「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」という用語を、アミノ酸残基のポリマーを指すように、互換的に使用する。用語はまた、1又は複数のアミノ酸残基が、人工的な化学的模倣物、又は対応する、天然に存在するアミノ酸であるアミノ酸ポリマーのほか、天然に存在するアミノ酸ポリマーにも適用される。したがって、本発明の文脈では、「ポリペプチド」という用語は、ペプチド(アミド)結合により連結されたアミノ酸モノマーの鎖を含むか又はこれからなる分子に関する。ペプチド結合とは、1つのアミノ酸のカルボキシル基が、別のアミノ酸のアミノ基と反応する場合に形成される、共有結合的な化学結合である。本明細書の「ポリペプチド」は、長さが規定された分子に制約されない。したがって、本明細書の「ポリペプチド」という用語は、アミノ酸残基が共有結合的なペプチド結合により連結されたアミノ酸鎖を包摂する、ペプチド、オリゴペプチド、タンパク質、又はポリペプチドに関する。しかし、本明細書の「ポリペプチド」という用語はまた、アミノ酸及び/又はペプチド結合を、機能的なアナログで置きかえた、このようなタンパク質/ポリペプチドのペプチド模倣物も包摂する。ポリペプチドという用語はまた、ポリペプチドの修飾、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化なども指し、これらを除外しない。当該技術分野では、このような修飾について、十分に記載されている。
【0014】
「アミノ酸」という用語は、天然に存在するアミノ酸及び合成アミノ酸のほか、天然に存在するアミノ酸と同様に機能するアミノ酸アナログ及びアミノ酸模倣物を指す。天然に存在するアミノ酸とは、遺伝子コードによりコードされるアミノ酸のほか、後に修飾されるアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタメート、及びO-ホスホセリンである。アミノ酸アナログとは、天然に存在するアミノ酸と同じ塩基性化学的構造、すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基、及びR基、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチルメチオニンスルホニウム結合したα-炭素を有する化合物を指す。このようなアナログは、修飾R基(例えば、ノルロイシン)、又は修飾ペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ、基本的な化学構造を保持する。アミノ酸模倣物とは、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なるが、天然に存在するアミノ酸と同様の形で機能する構造を有する化合物を指す。本明細書では、それらの、一般に公知の3文字記号によりアミノ酸に言及することもでき、IUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨されている、1文字記号によりアミノ酸に言及することもできる。
【0015】
本発明の文脈では、融合タンパク質は、T細胞内又はT細胞上で天然に存在しない、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインの断片/ポリペプチド部分を含みうる。したがって、本明細書で提示される融合タンパク質内に含まれる、「T細胞内又はT細胞上で天然に存在しない、シグナル伝達受容体の細胞外ドメイン」は、本明細書で規定される、T細胞内又はT細胞上で天然に存在しない、シグナル伝達受容体の、完全長の細胞外ドメインの断片/ポリペプチド部分である。本発明の文脈では、かつ、本明細書の上記で説明した通り、本発明の、三価の二重特異性抗体分子は、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、T細胞内又はT細胞上で天然に存在しない、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインに結合する/これと相互作用する。
【0016】
本発明の、概念実証としての、例示的な実施態様では、本明細書で、配列番号151(DNA)及び152(タンパク質)として示される、ヒトEGFRvIII(ヒトEGFRvIIIのNCBI参照配列は、NM_201283.1(バージョン:NM_201283.1;GI:41327733)である)の断片/ポリペプチド部分を含むか、又は本明細書で、配列番号153(DNA)及び154(タンパク質)として示される、ヒトCripto(ヒトCriptoのUniProtエントリー番号は、P13385(バージョン番号151及び配列のバージョン1)である)の断片/ポリペプチド部分を含む融合タンパク質が提供される。したがって、本発明の文脈では、本明細書で記載される融合タンパク質は、配列番号152(配列番号151に示されたDNA配列によりコードされる)に示される、ヒトEGFRvIIIのアミノ酸配列を含みうる/これからなりうる。代替的に、本発明の文脈では、融合タンパク質は、配列番号232(配列番号231に示されたDNA配列によりコードされる)に示される、ヒトdel-hEGFRvIIIのアミノ酸配列を含みうる/これからなりうる。さらに、本発明の文脈では、本明細書で記載される融合タンパク質は、配列番号154(配列番号153に示されたDNA配列によりコードされる)に示される、ヒトCriptoのアミノ酸配列を含みうる/これからなりうる。したがって、より好ましくは、T細胞内又はT細胞上で天然に存在しない、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインは、配列番号52に示されるアミノ酸配列(ヒトEGFRvIII)(配列番号51に示されたDNA配列(ヒトEGFRvIII)によりコードされる)を含むか又はこれからなりうる。本発明の、代替的な好ましい実施態様では、T細胞内又はT細胞上で天然に存在しない、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインは、配列番号232に示されるアミノ酸配列(配列番号231に示されたDNA配列によりコードされる)を含むか又はこれからなりうる。代替的に、本発明の文脈では、T細胞内又はT細胞上で天然に存在しない、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインは、配列番号76又は78に示されるアミノ酸配列(配列番号75又は77に示されたDNA配列によりコードされる)を含むか又はこれからなりうる。本発明の文脈では、T細胞内又はT細胞上で天然に存在しない、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインは、配列番号62に示されるアミノ酸配列(ヒトCripto)(配列番号61に示されたDNA配列によりコードされる)を含むか又はこれからなりうる。本発明の文脈ではまた、EGFRvIII又はCriptoの、小型の断片/短い断片も使用することができる。したがって、本発明の文脈では、配列番号52、232、76、若しくは78に描示されるEGFRvIII、又は配列番号62に描示されるCriptoの、小型の断片/短い断片を使用することができる。特に、前記細胞外ドメイン(すなわち、EGFRvIII又はCripto)の、任意の小片を、この小片に、本明細書で規定される二重特異性抗体が結合するという条件で、本発明の融合タンパク質内で使用することができる。このような断片ならば、本発明の融合タンパク質を介して、T細胞の活性化、例えば、CD8+T細胞の活性化を誘発することが可能であろう。好ましくは、本発明の融合タンパク質の細胞外ドメインは、ヒトEGFRvIII又はヒトCriptoに由来する。このような細胞外部分の例は、例えば、配列番号52に示されるアミノ酸配列(配列番号51に示されたDNA配列によりコードされる)、配列番号232(配列番号231に示されたDNA配列によりコードされる)、又は配列番号76(配列番号75に示されたDNA配列によりコードされる)を有する、EGFRvIIIの細胞外ドメインである。さらに、本発明の文脈では、Criptoの細胞外ドメインは、配列番号62に示されるアミノ酸配列(配列番号61に示されたDNA配列によりコードされる)を含みうる/これからなりうる。
【0017】
本発明の文脈では、本発明の融合タンパク質の膜貫通アンカリングドメインは、哺乳動物プロテアーゼの切断部位を有さないことにより特徴を明らかにされうる。本発明の文脈では、プロテアーゼは、本発明の融合タンパク質の膜貫通アンカリングドメインのアミノ酸配列を加水分解することが可能なタンパク質分解酵素を指す。プロテアーゼという用語は、エンドペプチダーゼ及びエクソペプチダーゼの両方を含む。本発明の文脈では、とりわけ、CD命名法により定められる膜貫通ドメインの、任意の細胞外部分を使用して、本明細書で規定される三価の二重特異性抗体に結合すると、CD8+T細胞、CD4+T細胞、CD3+T細胞、γδT細胞、又はナチュラルキラー(NK)T細胞などのT細胞、好ましくはCD8+T細胞を活性化させる、本発明の融合タンパク質を作出することができる。このような膜貫通アンカリングドメインの例は、例えば、本明細書の配列番号54(配列番号53に示されたDNA配列によりコードされる)に示されるアミノ酸配列を有する、CD28の膜貫通ドメインである。しかし、本発明の文脈では、ヒト配列が、最も好ましいため、融合タンパク質の膜貫通アンカリングドメインは、配列番号66に示されるアミノ酸配列(配列番号65に示されたDNA配列によりコードされる)を含むか又はこれからなりうる。本発明の文脈では、本発明の融合タンパク質の膜貫通ドメインは、配列番号80に示されるアミノ酸配列(配列番号79に示されたDNA配列によりコードされる)を含みうる/これからなりうる。本明細書で提示される融合タンパク質が、配列番号80に示される、EGFRvIIIの膜貫通ドメインを含む場合、融合タンパク質は、配列番号82(配列番号81に示されたDNA配列によりコードされる)に示されるアンカリングドメインを含みうる。本発明の、概念実証としての、例示的な実施態様では、本明細書の配列番号52(配列番号51に示されたDNA配列によりコードされる)、配列番号232(配列番号231に示されたDNA配列によりコードされる)、配列番号76(配列番号75に示されたDNA配列によりコードされる)、又は配列番号78(配列番号77に示されたDNA配列によりコードされる)に示される、EGFRvIIIの断片/ポリペプチド部分を含むか又はこれからなり、本明細書の配列番号156(配列番号155に示されたDNA配列によりコードされる)に示される、CD28(ヒトCD28のUniProtエントリー番号は、P10747(バージョン番号173及び配列のバージョン1)である)の断片/ポリペプチド部分を含む融合タンパク質が提供される。本発明の文脈では、CD28の、任意の部分/断片を、膜貫通アンカリングドメインとして使用することができる。代替的に、とりわけ、CD命名法により提示される膜貫通ドメインを有する、任意のタンパク質を、本発明の融合タンパク質のアンカリングドメインとして使用することができる。本発明に従い、このような哺乳動物プロテアーゼの切断部位を有さない、膜貫通アンカリングドメインを使用して、T細胞(例えば、CD8+T細胞)の活性化を誘発することができる。本発明のさらなる実施態様では、融合タンパク質の、哺乳動物プロテアーゼの切断部位を有さない、膜貫通アンカリングドメインは、配列番号54に示されるアミノ酸配列(配列番号53に示されたDNA配列(マウス)によりコードされる)を含むか又はこれからなりうる。しかし、より好ましくは、本発明の融合タンパク質は、ヒト由来のポリペプチドを含む。したがって、より好ましくは、本発明の融合タンパク質内に含まれるポリペプチドは、配列番号66に示されるアミノ酸配列(配列番号65に示されたDNA配列(ヒト)によりコードされる)を含むか又はこれからなりうる。
【0018】
上記で記載した通り、本明細書で提示される融合タンパク質は、配列番号156に示されるヒト完全長のCD28タンパク質(配列番号155に示されたcDNA配列)によりコードされる)のアミノ酸153-179、154-179、155-179、156-179、157-179、158-179、159-179、160-179、161-179、162-179、163-179、164-179、165-179、166-179、167-179、168-179、169-179、170-179、171-179、172-179、173-179、174-179、175-179、176-179、177-179、又は178-179に位置する、CD28の膜貫通アンカリングドメインを含みうる。したがって、本発明の文脈では、膜貫通アンカリングドメインは、配列番号66に示されるアミノ酸配列を含むか又はこれからなりうる。
【0019】
上記で記載した通り、本明細書で提示される融合タンパク質は、任意選択で、T細胞に、さらなる活性をもたらす、少なくとも1つの共刺激ドメイン(下記を参照されたい)を含む。本明細書で提示される融合タンパク質は、マウス(murine/mouse)又はヒトの、CD28(ヒトCD28のUniProtエントリーは、P10747(バージョン番号173、配列ナンバー1)であり、マウス(murine/mouse)CD28のUniProtエントリーは、P31041(バージョン番号134、配列ナンバー2)である)、CD137(ヒトCD137のUniProtエントリーは、Q07011(バージョン番号145、配列ナンバー1)であり、マウス(murine/mouse)CD137のUniProtエントリーは、P20334(バージョン番号139、配列ナンバー1)である)、OX40(ヒトOX40のUniProtエントリーは、P23510(バージョン番号138、配列ナンバー1)であり、マウス(murine/mouse)OX40のUniProtエントリーは、P43488(バージョン番号119、配列ナンバー1)である)、ICOS(ヒトICOSのUniProtエントリーは、Q9Y6W8(バージョン番号126、配列ナンバー1)である);マウス(murine/mouse)ICOSのUniProtエントリーは、Q9WV40(主要引用寄託番号)又はQ9JL17(副次的引用寄託番号)、バージョン番号102及び配列バージョン2である)、CD27(ヒトCD27のUniProtエントリーは、P26842(バージョン番号160、配列ナンバー2)であり、マウス(murine/mouse)CD27のUniProtエントリーは、P41272(バージョン番号137、配列バージョン1)である)、4-1-BB(マウス(murine/mouse)4-1-BBのUniProtエントリーは、P20334(バージョン番号140、配列バージョン1)であり、ヒト4-1-BBのUniProtエントリーは、Q07011(バージョン番号146、配列バージョン)である)、又はDAP10(ヒトDAP10のUniProtエントリーは、Q9UBJ5(バージョン番号25、配列バージョン1)であり、マウス(murine/mouse)DAP10のUniProtエントリーは、Q9QUJ0(主要引用寄託番号)又はQ9R1E7(副次的引用寄託番号)、バージョン番号101及び配列ナンバー1である)の断片/ポリペプチド部分であるシグナル伝達共刺激ドメインを含みうる。本発明のさらなる実施態様では、本発明の融合タンパク質は、本明細書で規定されるシグナル伝達共刺激ドメインのうちの1又は複数、すなわち、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又は7つを含みうる。したがって、本発明の文脈では、本発明の融合タンパク質は、マウス(murine/mouse)CD28、又は、好ましくは、ヒトCD28の断片/ポリペプチド部分を、第1のシグナル伝達共刺激ドメインとして含むことが可能であり、第2のシグナル伝達共刺激ドメインは、マウス(murine/mouse)、又は、好ましくは、ヒトのCD137、OX40、ICOS、CD27、4-1-BB、及びDAP10からなる群から選択される。添付の実施例に例示されるように、本発明の融合タンパク質内に含まれるシグナル伝達共刺激ドメインは、配列番号56に示されるアミノ酸配列(配列番号55に示されたDNA配列(マウス)によりコードされる)、及び/又は配列番号60に示されるアミノ酸配列(配列番号59に示されたDNA配列(マウス)によりコードされる)を含むか又はこれからなりうる。しかし、より好ましくは、本発明の融合タンパク質は、ヒト由来のポリペプチドを含む。したがって、より好ましくは、本発明の融合タンパク質は、ヒト由来のポリペプチドを含む。したがって、より好ましくは、本発明の融合タンパク質内に含まれるシグナル伝達共刺激ドメインは、配列番号68に示されるアミノ酸配列(配列番号67に示されたDNA配列(ヒト)によりコードされる)、及び/又は配列番号72に示されるアミノ酸配列(配列番号71に示されたDNA配列によりコードされる)を含むか又はこれからなりうる。
【0020】
したがって、任意選択で、本明細書で提示される融合タンパク質内に含まれうるシグナル伝達共刺激ドメインは、完全長のCD28、CD137、OX40、ICOS、CD27、4-1-BB、又はDAP10の断片/ポリペプチド部分である。本明細書では、マウス(murine/mouse)完全長のCD28、CD137、OX40、ICOS、CD27、4-1-BB、又はDAP10のアミノ酸配列は、配列番号158(CD28)、162(CD137)、166(OX40)、170(ICOS)、174(CD27)、203(4-1-BB)、又は178(DAP10)(配列番号157(CD28)、161(CD137)、165(OX40)、169(ICOS)、173(CD27)、227(4-1-BB)、又は177(DAP10)に示されたDNA配列によりコードされるマウス(murine/mouse)配列)として示される。しかし、本発明の文脈では、ヒト配列が、最も好ましいため、任意選択で、本明細書で提示される融合タンパク質内に含まれうるシグナル伝達共刺激ドメインは、ヒト完全長のCD29、CD137、OX40、ICOS、CD27、4-1-BB、又はDAP10の断片/ポリペプチド部分である。本明細書では、ヒト完全長のCD28、CD137、OX40、ICOS、CD27、4-1-BB、又はDAP10のアミノ酸配列は、配列番号156(CD28)、160(CD137)、164(OX40)、168(ICOS)、172(CD27)、204(4-1-BB)、又は176(DAP10)(配列番号155(CD28)、159(CD137)、163(OX40)、167(ICOS)、171(CD27)、228(4-1-BB)、又は175(DAP10)に示されたDNA配列によりコードされるヒト配列)として示される。
【0021】
本明細書で提示される融合タンパク質は、CD28の、少なくとも1つのシグナル伝達ドメインが含まれるという条件で、共刺激ドメインとしてのCD28の断片を含みうる。特に、CD28の、任意の部分/断片は、CD28のシグナル伝達モチーフのうちの少なくとも1つが含まれる限りにおいて、本発明の融合タンパク質に適する。例えば、本発明の融合タンパク質内に含まれるCD28ポリペプチドは、配列番号56に示されるアミノ酸配列(配列番号55に示されたDNA配列によりコードされる)を含むか又はこれからなりうる。本発明では、共刺激ドメインとして機能する、CD28の細胞内ドメインは、CD28ポリペプチドの細胞内ドメインに由来する配列であって、配列YMNM(配列番号122)及び/又はPYAP(配列番号121)を有する配列を含みうる。しかし、より好ましくは、本発明の融合タンパク質は、ヒト由来のポリペプチドを含む。例えば、本発明の融合タンパク質内に含まれ得る、ヒトCD28の断片/ポリペプチド部分は、配列番号68に示されるアミノ酸配列(配列番号67に示されたDNA配列によりコードされる)を含むか又はこれからなりうる。したがって、本発明の文脈では、融合タンパク質は、配列番号68に示される配列、又は配列番号68と比較して、最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10カ所の置換、欠失、若しくは挿入を有し、シグナル伝達共刺激活性を有することにより特徴を明らかにされる配列を含む。シグナル伝達共刺激活性は、例えば、ELISA(IL-2、IFNγ、TNFα)により測定される、サイトカイン放出の増強、増殖活性の増強(細胞数の増大により測定される)、又はLDH放出アッセイにより測定される、溶解活性の増強により決定することができる。
【0022】
上述の通り、本発明の実施態様では、融合タンパク質の共刺激ドメインは、ヒトCD28遺伝子(UniProt番号P10747(寄託番号、エントリーバージョン173及び配列のバージョン1))から導出することができ、形質導入されたT細胞など、本明細書で記載される形質導入細胞の、サイトカイン産生、増殖、及び溶解活性として規定されるCD28活性をもたらす。CD28活性は、インターフェロンガンマ(IFN-γ)又はインターロイキン2(IL-2)などのサイトカインについてのELISA又はフローサイトメトリーを介する、サイトカインの放出、例えば、ki67の測定により測定されるT細胞の増殖、フローサイトメトリーによる細胞の定量化(下記の添付の実施例で記載される)、又は標的細胞のリアルタイムの立体障害測定(例えば、Thakurら、Biosens Bioelectron.、35 (1) (2012)、503-506;Krutzikら、Methods Mol Biol.、699(2011)、179-202;Ekkensら、Infect Immun.、75 (5) (2007)、2291-2296;Geら、Proc Natl Acad Sci U S A.、99 (5) (2002)、2983-2988;Duewellら、Cell Death Differ.、21 (12) (2014)、1825-1837、Cell Death Differ.、21 (12) (2014)、161における正誤表において記載されている、例えば、ICELLligence測定器を使用することによる)により評価される溶解活性により測定することができる。シグナル伝達共刺激ドメインであるPYAP(配列番号156(配列番号155に示されたDNA配列によりコードされるアミノ酸(AA)208-211)及びYMNM(配列番号156のAA191-194)は、CD28ポリペプチドの機能、及び上記で列挙した機能的な効果に有益である。YMNMドメインのアミノ酸配列を、配列番号122に示し、PYAPドメインのアミノ酸配列を、配列番号121に示す。したがって、本発明の融合タンパク質内で、CD28ポリペプチドは、好ましくは、CD28ポリペプチドの細胞内ドメインに由来する配列であって、配列YMNM(配列番号122)及び/又はPYAP(配列番号121)を有する配列を含む。本発明の文脈では、配列YMNM(配列番号122)及び/又はPYAP(配列番号121)を有する、CD28ポリペプチドの細胞内ドメインは、例えば、形質導入されたT細胞など、本明細書で記載される形質導入細胞の、サイトカイン産生、増殖、及び溶解活性として規定されるCD28活性により特徴を明らかにされる。したがって、本発明の文脈では、本発明の融合タンパク質のシグナル伝達共刺激ドメインは、配列番号68(ヒト)(配列番号67に示されたDNA配列によりコードされる)、又は配列番号56(マウス(mouse/murine))(配列番号55に示されたDNA配列によりコードされる)のアミノ酸配列を有する。しかし、本発明の融合タンパク質内で、これらのドメインの一方又は両方を、それぞれ、FMNM(配列番号123)及び/又はAYAA(配列番号124)に突然変異させることができる。これらの突然変異のうちのいずれかは、増殖するその能力に影響を及ぼさずに、サイトカインを放出する融合タンパク質の能力を低減し、形質導入細胞の生存を延長し、したがって、治療可能性を延長するのに使用しうるので有利である。又は、言い換えれば、このような非機能的な突然変異は、本明細書で提示される融合タンパク質を形質導入した細胞の存続を、インビボにおいて増強することが好ましい。しかし、これらのシグナル伝達モチーフは、本明細書で提示される融合タンパク質の細胞内ドメイン内の任意の部位において存在しうる。
【0023】
したがって、上述の通り、本発明の融合タンパク質は、CD28の、少なくとも1つのシグナル伝達ドメインが含まれるという条件で、共刺激ドメインとしてのCD28の断片を含みうる。特に、CD28の、任意の部分/断片は、CD28のシグナル伝達モチーフ、すなわち、YMNM(配列番号122)及び/又はPYAP(配列番号121)のうちの少なくとも1つが含まれる限りにおいて、共刺激ドメインとして適する。例えば、共刺激ドメインとして使用されるCD28ポリペプチドは、配列番号66に示されるアミノ酸配列(配列番号65に示されたDNA配列によりコードされる)を含むか又はこれからなりうる。本発明では、共刺激ドメインとして機能する、CD28の細胞内ドメインは、CD28ポリペプチドの細胞内ドメインに由来する配列であって、配列YMNM(配列番号122)及び/又はPYAP(配列番号121)を有する配列を含みうる。本発明の文脈では、CD28ポリペプチドのシグナル伝達共刺激ドメインは、本発明の融合タンパク質の共刺激ドメインが、配列YMNM(配列番号122)及び/又はPYAP(配列番号121)を含むという条件で、任意の長さでありうる。したがって、本発明の文脈では、融合タンパク質のCD28のシグナル伝達共刺激ドメインは、CD28ポリペプチドに由来する配列であって、配列YMNM(配列番号122)及び/又はPYAP(配列番号121)を有する配列を含みうる。例えば、本発明の融合タンパク質内に含まれるCD28ポリペプチドは、配列番号56に示されるアミノ酸配列(配列番号55に示されたDNA配列によりコードされる)を含むか又はこれからなりうる。前述の通り、融合タンパク質は、好ましくは、ヒト由来のポリペプチドを含む。例えば、本発明の融合タンパク質内に含まれるCD28ポリペプチドは、配列番号66に示されるアミノ酸配列(配列番号65に示されたDNA配列によりコードされる)を含むか又はこれからなりうる。本発明の文脈では、CD28ポリペプチドに由来するシグナル伝達共刺激ドメインは、本発明の融合タンパク質のシグナル伝達共刺激ドメインが、配列YMNM(配列番号122)及び/又はPYAP(配列番号121)を含むという条件で、任意の長さでありうる。したがって、本発明の文脈では、融合タンパク質のCD28の共刺激ドメインは、CD28ポリペプチドに由来する配列であって、配列YMNM(配列番号122)及び/又はPYAP(配列番号121)を有する配列を含みうる。例えば、本発明の融合タンパク質内に含まれるCD28ポリペプチドは、配列番号56(マウス(murine/mouse))又は66(ヒト)に示されるアミノ酸配列を含むか又はこれからなりうる。本発明の文脈では、融合タンパク質のCD28ポリペプチドは、配列番号66(ヒト)のアミノ酸配列を有する。本発明の文脈では、融合タンパク質は、配列YMNM(配列番号122)及び/又はPYAP(配列番号121)を有する、CD28ポリペプチドの細胞内ドメインを含む。したがって、本発明の文脈では、CD28ポリペプチドは、配列番号66(ヒト)のアミノ酸配列を有する。
【0024】
上記で記載した通り、本明細書で提示される融合タンパク質は、T細胞の活性化と同じ手段により測定される、T細胞の活性化をもたらすシグナル伝達刺激ドメインを含む。本明細書で提示される融合タンパク質は、マウス(murine/mouse)又はヒトの、CD3z(ヒトCD3zのUniProtエントリーは、P20963(バージョン番号177、配列ナンバー2であり、マウス(murine/mouse)CD3zのUniProtエントリーは、P24161(主要引用寄託番号)又はQ9D3G3(副次的引用寄託番号)、バージョン番号143及び配列ナンバー1である)、FCGR3A(ヒトFCGR3AのUniProtエントリーは、P08637(バージョン番号178、配列ナンバー2)である)、又はNKG2D(ヒトNKG2DのUniProtエントリーは、P26718(バージョン番号151、配列ナンバー1)であり、マウス(murine/mouse)NKG2DのUniProtエントリーは、O54709(バージョン番号132、配列ナンバー2)である)の断片/ポリペプチド部分であるシグナル伝達刺激ドメインを含みうる。
【0025】
したがって、本明細書で提示される融合タンパク質内に含まれるシグナル伝達刺激ドメインは、完全長の、CD3z、FCGR3A、又はNKG2Dの断片/ポリペプチド部分でありうる。本明細書では、マウス(murine/mouse)完全長の、CD3z又はNKG2Dのアミノ酸配列は、配列番号180(CD3z)又は182(NKG2D)(配列番号179(CD3z)又は181(NKG2D)に示されたDNA配列によりコードされるマウス(murine/mouse)配列)として示される。本明細書では、ヒト完全長の、CD3z、FCGR3A、又はNKG2Dのアミノ酸配列は、配列番号184(CD3z)、186(FCGR3A)又は188(NKG2D)(配列番号183(CD3z)、185(FCGR3A)又は187(NKG2D)に示されたDNA配列によりコードされるヒト配列)として示される。本発明の融合タンパク質は、少なくとも1つのシグナル伝達ドメインが含まれるという条件で、刺激ドメインとしてのCD3z、FCGR3A、又はNKG2Dの断片を含みうる。特に、CD3z、FCGR3A、又はNKG2Dの、任意の部分/断片は、少なくとも1つのシグナル伝達モチーフが含まれる限りにおいて、刺激ドメインとして適する。しかし、より好ましくは、本発明の融合タンパク質は、ヒト由来のポリペプチドを含む。したがって、より好ましくは、本明細書で提示される融合タンパク質は、本明細書の配列番号184(CD3z)、186(FCGR3A)又は188(NKG2D)に示されるアミノ酸配列(配列番号183(CD3z)、185(FCGR3A)又は187(NKG2D)に示されたDNA配列によりコードされるヒト配列)を含む。例えば、本発明の融合タンパク質内に含まれうる、ヒトCD3zの断片/ポリペプチド部分は、配列番号70に示されるアミノ酸配列(配列番号69に示されたDNA配列によりコードされる)を含むか又はこれからなりうる。したがって、本発明の文脈では、融合タンパク質は、配列番号70に示される配列、又は配列番号70と比較して、最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、23、24、25、26、27、28、29、若しくは30カ所の置換、欠失、若しくは挿入を有し、シグナル伝達刺激活性を有することにより特徴を明らかにされる配列を含む。シグナル伝達刺激活性は、例えば、ELISA(IL-2、IFNγ、TNFα)により測定される、サイトカイン放出の増強、増殖活性の増強(細胞数の増大により測定される)、又はLDH放出アッセイにより測定される、溶解活性の増強により決定することができる。
【0026】
さらに、本明細書で提示される融合タンパク質は、リンカー(又は「スペーサー」)を含みうる。リンカーは、通例、最大で20アミノ酸の長さを有するペプチドである。したがって、本発明の文脈では、リンカーは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20アミノ酸の長さを有しうる。例えば、本明細書で提示される融合タンパク質は、T細胞内又はT細胞上で天然に存在しない、シグナル伝達受容体の細胞外ドメイン、哺乳動物プロテアーゼの切断部位を有さない、膜貫通アンカリングドメイン、シグナル伝達共刺激ドメイン、及び/又は刺激ドメインの間のリンカーを含みうる。このようなリンカーは、融合タンパク質の異なるポリペプチド(すなわち、T細胞内又はT細胞上で天然に存在しない、シグナル伝達受容体の細胞外ドメイン、哺乳動物プロテアーゼの切断部位を有さない、膜貫通アンカリングドメイン、シグナル伝達共刺激ドメイン、及び/又は刺激ドメイン)が、独立してフォールドし、予測される通りに挙動する可能性を大きくしうるという利点を有する。したがって、本発明の文脈では、T細胞内又はT細胞上で天然に存在しない、シグナル伝達受容体の細胞外ドメイン、哺乳動物プロテアーゼの切断部位を有さない、膜貫通アンカリングドメイン、シグナル伝達共刺激ドメイン、及び刺激ドメインは、単一鎖の多重機能性ポリペプチド内に含まれうる。単一鎖の融合コンストラクトは、例えば、T細胞内又はT細胞上で天然に存在しない、シグナル伝達受容体の細胞外ドメイン、哺乳動物プロテアーゼの切断部位を有さない、膜貫通アンカリングドメイン、シグナル伝達共刺激ドメイン、及び/又は刺激ドメインを含むポリペプチドからなりうる。
【0027】
さらに、本明細書で提示される融合タンパク質は、抗体により認識される部分と、膜貫通ドメインとの間のスペーサーとして作用するヒンジドメインを含有しうる。ヒンジドメインは、任意の長さであることが可能であり、融合タンパク質上の、三価の二重特異性抗体分子により認識される抗原の、同じ細胞外部分に属する場合もあり、異なる細胞外部分に属する場合もある。本発明の文脈では、細胞外タンパク質の、任意の細胞外部分を、膜貫通ドメインと、抗体の結合部位との間のヒンジドメインとして使用しうるであろう。候補ヒンジドメインは、CD命名法による任意のメンバーを含む。したがって、本発明の文脈では、とりわけ、CD命名法により提示される、細胞外ドメインの細胞外部分を有する、任意のタンパク質を、本発明の融合タンパク質内のヒンジドメインとして使用することができる。このようなヒンジドメインの例は、例えば、本明細書の配列番号64(配列番号63に示されたDNA配列(マウス)によりコードされる)に示されるアミノ酸配列を有する、CD8の細胞外部分でありうる。しかし、本発明の文脈では、ヒト配列が、最も好ましいため、融合タンパク質のヒンジドメインは、配列番号74に示されるアミノ酸配列(配列番号73に示されたDNA配列によりコードされる)を含むか又はこれからなりうる。本明細書で提示される融合タンパク質が、配列番号64(マウス)又は74(ヒト)に描示されたヒンジドメインを含むか、又はこれらからなる場合、本発明の融合タンパク質は、膜貫通アンカリングドメインを有さない。したがって、本明細書で提示される融合タンパク質が、配列番号64又は74に描示されたヒンジドメインを含むか、又はこれらからなる場合、融合タンパク質は、以下のドメイン:(1)前記T細胞内又はT細胞上で天然に存在しない、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインと、(2)配列番号64又は74に描示されるヒンジドメインと、(3)任意選択で、少なくとも1つのシグナル伝達共刺激ドメインと、(4)シグナル伝達刺激ドメインとを含む。例示的に述べると、配列番号46(配列番号45に示されたDNA配列によりコードされるマウス(murine/mouse)Cripto-CD28-CD3z)で描示される融合タンパク質は、配列番号64で描示されるヒンジドメインを含む。さらに、配列番号120(配列番号119に示されたDNA配列によりコードされるヒトCripto-CD28-CD3z)で描示される融合タンパク質は、配列番号74で描示されるヒンジドメインを含む。本発明の別の実施態様では、本発明の融合タンパク質は、ヒンジドメインを有さないことにより特徴を明らかにされる。例示的に述べると、配列番号42(配列番号41に示されたDNA配列によりコードされるマウス(murine/mouse)EGFRvIII-CD28-CD3z)、配列番号44(配列番号43に示されたDNA配列によりコードされるマウス(murine/mouse)EGFRvIII-CD28-4-1-BB-CD3z)、配列番号48(配列番号47に示されたDNA配列によりコードされるヒトEGFRvIII-CD28-CD3z)、配列番号50(ヒトEGFRvIII-CD28-4-1-BB-CD3z(配列番号49に示されたDNA配列によりコードされる))で描示される融合タンパク質は、ヒンジドメインを有さないことにより特徴を明らかにされる。
【0028】
本明細書で提示される融合タンパク質は、配列番号42に示されるアミノ酸配列(マウス(murine/mouse)EGFRvIII-CD28-CD3z(配列番号41に示されたDNA配列によりコードされる))、配列番号44(マウス(murine/mouse)EGFRvIII-CD28-4-1-BB-CD3z(配列番号43に示されたDNA配列によりコードされる))、又は配列番号46(マウス(murine/mouse)Cripto-CD28-CD3z(配列番号45に示されたDNA配列によりコードされる))を含むか又はこれからなりうる。最も好ましくは、本明細書で提示される融合タンパク質は、配列番号48に示されるアミノ酸配列(ヒトEGFRvIII-CD28-CD3z(配列番号47に示されたDNA配列によりコードされる))、配列番号50(ヒトEGFRvIII-CD28-4-1-BB-CD3z(配列番号49に示されたDNA配列によりコードされる))、又は配列番号120(ヒトCripto-CD28-CD3z(配列番号119に示されたDNA配列によりコードされる))を含むか、又はこれらからなる。したがって、好ましい実施態様では、本発明は、配列番号48、配列番号50、又は配列番号120のアミノ酸配列を有しうる融合タンパク質に関する。
【0029】
本明細書で提示される融合タンパク質が、Criptoの断片を含む場合、融合タンパク質は、リーダー配列を含みうる。このようなリーダー配列は、タンパク質を、T細胞膜の表面にもたらす。例えば、本明細書で提示される融合タンパク質内で、リーダー配列は、配列番号206に示されるアミノ酸配列(配列番号205に示されたDNA配列によりコードされる)を有しうる。
【0030】
したがって、本発明の文脈では、キットは、配列番号235に示される、三価の二重特異性抗体分子と組み合わされた、配列番号42に示されるアミノ酸配列(マウス(murine/mouse)EGFRvIII-CD28-CD3z(配列番号41に示されたDNA配列によりコードされる))を含むか又はこれからなりうる。代替的に、キットは、配列番号233に示される、三価の二重特異性抗体分子と組み合わされた、配列番号42に示されるアミノ酸配列(マウス(murine/mouse)EGFRvIII-CD28-CD3z(配列番号41に示されたDNA配列によりコードされる))を含むか又はこれからなりうる。さらに、本発明の文脈では、キットは、配列番号234に示される、三価の二重特異性抗体分子と組み合わされた、配列番号42に示されるアミノ酸配列を含むか又はこれからなりうる。さらに、本発明の文脈では、キットは、配列番号235に示される、三価の二重特異性抗体分子と組み合わされた、配列番号44に示されるアミノ酸配列(マウス(murine/mouse)EGFRvIII-CD28-4-1-BB-CD3z(配列番号43に示されたDNA配列によりコードされる))を含むか又はこれからなりうる。代替的に、キットは、配列番号233に示される、三価の二重特異性抗体分子と組み合わされた、配列番号44に示されるアミノ酸配列(マウス(murine/mouse)EGFRvIII-CD28-4-1-BB-CD3z(配列番号43に示されたDNA配列によりコードされる))を含むか又はこれからなりうる。さらに、キットは、配列番号234に示される、三価の二重特異性抗体分子と組み合わされた、配列番号44に示されるアミノ酸配列を含むか又はこれからなりうる。しかし、本発明の文脈では、ヒト配列が、最も好ましいため、本発明のキットは、配列番号235に示される、三価の二重特異性抗体分子と組み合わされた、配列番号48に示されるアミノ酸配列(ヒトEGFRvIII-CD28-CD3z(配列番号47に示されたDNA配列によりコードされる))を含むか又はこれからなりうる。代替的に、本発明の文脈では、本発明のキットは、配列番号235に示される、三価の二重特異性抗体分子と組み合わされた、配列番号50に示されるアミノ酸配列(ヒトEGFRvIII-CD28-4-1-BB-CD3z(配列番号49に示されたDNA配列によりコードされる))を含むか又はこれからなりうる。さらに、本発明のキットは、配列番号233に示される、三価の二重特異性抗体分子と組み合わされた、配列番号48に示されるアミノ酸配列(ヒトEGFRvIII-CD28-CD3z(配列番号47に示されたDNA配列によりコードされる))を含むか又はこれからなりうる。代替的に、本発明のキットは、配列番号233に示される、三価の二重特異性抗体分子と組み合わされた、配列番号50に示されるアミノ酸配列(ヒトEGFRvIII-CD28-4-1-BB-CD3z(配列番号49に示されたDNA配列によりコードされる))を含むか又はこれからなりうる。さらに、本発明のキットは、配列番号234に示される、三価の二重特異性抗体分子と組み合わされた、配列番号50に示されるアミノ酸配列(ヒトEGFRvIII-CD28-4-1-BB-CD3z)を含むか又はこれからなりうる。さらに、本発明のキットは、配列番号234に示される、三価の二重特異性抗体分子と組み合わされた、配列番号48に示されるアミノ酸配列(ヒトEGFRvIII-CD28-CD3z(配列番号47に示されたDNA配列によりコードされる))を含むか又はこれからなりうる。
【0031】
さらに、本発明のキットの部分は、バイアル内又はボトル内に、個別に包装することもでき、又はコンテナ内若しくはマルチコンテナユニット内に、組合せで包装することもできる。さらに、本発明のキットは、患者細胞、好ましくは、本明細書で記載されるT細胞に形質導入し、GMP(欧州委員会により、http://ec.europa.eu/health/documents/eudralex/index_en.htm下で公表されている「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準」のためのガイドラインにおいて記載されている、「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準」)条件下でインキュベートしうる、(閉止)バッグによる細胞インキュベーション系を含む。さらに、本発明のキットは、単離された/得られた患者T細胞に形質導入し、GMP下でインキュベートしうる、(閉止)バッグによる細胞インキュベーション系を含む。さらに、本発明の文脈では、キットはまた、本明細書で記載される融合タンパク質をコードするベクター、及び/又は本明細書の上記で記載したT細胞受容体をコードする核酸分子も含みうる。本発明のキットは、特に、本発明の方法を実行するために使用しうると有利であり、本明細書で言及される、様々な適用であって、例えば、研究ツール又は医学的ツールとしての適用において援用しうるであろう。キットの製造は、当業者に公知の、標準的な手順に従うことが好ましい。
【0032】
この文脈では、本明細書で使用される「三価の二重特異性抗体分子」という用語は、1つ又は2つの結合ドメインを介して、本明細書で記載される融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、前記T細胞内及び/又は前記T細胞上で天然に存在しない、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインに結合することが可能であり、腫瘍細胞の表面上に天然に存在する(内因的に発現する)腫瘍特異的抗原に対する、残りの結合ドメインを介して、標的細胞の消失/溶解を誘導することが可能な二重特異性抗体分子に関する。本明細書で記載される融合タンパク質の細胞外ドメインの結合は、このT細胞を活性化させ、それらを、三価で二重特異性の結合性コンストラクトを介して、腫瘍細胞と、物理的に接触させる。形質導入されていないT細胞又は内因性のT細胞(例えば、CD8+T細胞)は、三価で二重特異性の結合性コンストラクトの影響を受けないままである。したがって、本発明の、三価の二重特異性抗体分子は、インビボ及び/又はインビトロにおいて、標的細胞(腫瘍細胞)を溶解させる能力を有する。対応する標的細胞は、本発明の、三価の二重特異性抗体分子の、少なくとも1つ、好ましくは、2つの結合ドメインにより認識される、表面分子、すなわち、腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原を発現させる細胞を含む。本発明の文脈では、このような表面分子の特徴を明らかにする。したがって、本発明の文脈では、三価の二重特異性抗体分子は、3つの結合ドメインだけを有する。これは、本発明の文脈では、「-を含むこと」という用語が、3つを超える結合ドメインを有する、二重特異性抗体分子を対象としないことを意味する。
【0033】
標的細胞の溶解は、当該技術分野で公知の方法により検出することができる。したがって、このような方法は、特に、生理的インビトロアッセイを含む。このような生理学的アッセイは、例えば、細胞膜完全性の喪失により、細胞死をモニタリングしうる(例えば、FACSベースのヨウ化プロピジウムアッセイ、トリパンブルーインフラックスアッセイ、光度測定酵素放出アッセイ(LDH)、放射測定51Cr放出アッセイ、蛍光測定ユーロピウム放出、及びカルセインAM放出アッセイ)。さらなるアッセイは、例えば、光度測定MTT、XTT、WST-1、及びalamarBlueアッセイ、放射測定3H-Thd組込みアッセイ、細胞分裂活性を測定する、コロニー形成アッセイ、及びミトコンドリア膜貫通勾配を測定する蛍光測定ローダミン123アッセイによる、細胞生存のモニタリングを含む。加えて、アポトーシスは、例えば、FACSベースのホスファチジルセリン曝露アッセイ、ELISAベースのTUNEL試験、カスパーゼ活性アッセイ(光度測定ベース、蛍光測定ベース、又はELISAベースの)、又は細胞形態の変化(収縮、膜ブレブ形成)の解析によりモニタリングすることもできる。
【0034】
本発明の文脈で使用される「に結合すること」という用語は、少なくとも2つの「抗原相互作用部位」の、互いとの結合(相互作用)を規定する。本発明に従う、「抗原相互作用部位」という用語は、特異的抗原又は抗原の特異的基との、特異的相互作用の能力を示す、ポリペプチドのモチーフを規定する。前記結合/相互作用はまた、「特異的認識」を規定するようにも理解される。本発明に従う、「特異的認識」という用語は、抗体コンストラクトが、本明細書で規定されるヒト標的分子の各々の、少なくとも2つのアミノ酸と、特異的に相互作用し、かつ/又はこれに結合することが可能であることを意味する。抗体は、同じ標的分子上の、異なるエピトープを認識し、これと相互作用し、かつ/又はこれに結合することが可能である。この用語は、抗体分子の特異性、すなわち、本明細書で規定されるヒト標的分子の特異的領域の間を弁別する、その能力に関する。抗原相互作用部位の、その特異的抗原との特異的相互作用は、例えば、抗原のコンフォメーションの変化の誘導、抗原のオリゴマー化などに起因する、シグナルの誘発を結果としてもたらしうる。したがって、抗原相互作用部位のアミノ酸配列内の特異的モチーフと、抗原とは、それらの一次構造、二次構造、又は三次構造の結果のほか、前記構造の二次的修飾の結果として、互いに結合する。
【0035】
本発明に従い使用される「特異的相互作用」という用語は、本発明の、三価で二重特異性の結合性コンストラクト(三価の二重特異性抗体分子)が、類似の構造の(ポリ)ペプチドと交差反応しないか、又は本質的に交差反応しないことを意味する。したがって、本発明の、三価の二重特異性抗体分子は、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在せず、腫瘍細胞の表面上に天然で存在する、特異的な、選択された、他の化合物、抗原、細胞表面マーカー、腫瘍マーカーなどと相互作用することが可能な、腫瘍マーカー、細胞表面マーカー、抗原に特異的に結合する/これらと相互作用する。本明細書の下記では、このような三価の二重特異性抗体分子の具体例を挙げる。
【0036】
被験コンストラクトのパネルの交差反応性は、例えば、従来の条件(例えば、Harlow及びLane、「Antibodies: A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor Laboratory Press、(1988);及び「Using Antibodies: A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor Laboratory Press、(1999)を参照されたい)下における、二重特異性抗体コンストラクトの前記パネルの、目的の(ポリ)ペプチドのほか、多数の、多少とも(構造的及び/又は機能的に)近縁の(ポリ)ペプチドへの結合について評価することにより、調べることができる。目的の(ポリ)ペプチド/タンパク質には結合するが、目的の(ポリ)ペプチドと同じ組織、例えば、腫瘍組織の細胞が発現させる他の(ポリ)ペプチドのいずれにも結合しないか、又は本質的に結合しないコンストラクト(すなわち、抗体、(二重特異性)scFvsなど)だけを、目的の(ポリ)ペプチド/タンパク質に特異的であると考え、本明細書で提示される方法に従う、さらなる研究のために選択する。これらの方法は、特に、構造的及び/又は機能的に近縁の分子による結合研究、ブロッキング研究、及び競合研究を含みうる。これらの結合研究はまた、FACS解析、表面プラズモン共鳴(SPR;例えば、BIAcore(登録商標)による)、分析的超遠心、等温滴定熱量測定、蛍光異方性、蛍光分光法、又は放射性標識リガンド結合アッセイも含む。さらに、細胞傷害性アッセイ及び上述のアッセイなどの生理学的アッセイも、実施することができる。したがって、抗原相互作用部位の、特異的抗原との特異的相互作用の例は、リガンドの、その受容体に対する特異性を含みうる。前記定義は、特に、その特異的受容体に結合すると、シグナルを誘導する、リガンドの相互作用を含む。対応するリガンドの例は、その特異的サイトカイン受容体と相互作用する/これに結合するサイトカインを含む。前記定義には、特に、抗原相互作用部位の、セレクチンファミリー、インテグリン、及びEGFなどの増殖因子のファミリーの抗原などの抗原への結合もまた含まれる。これもまた、前記定義に特に含まれる、前記相互作用の別の例は、抗原決定基(エピトープ)の、抗体の抗原結合部位との相互作用である。
【0037】
「に結合すること」という用語は、直鎖状エピトープに関するだけでなく、また、ヒト標的分子又はこの部分の2つの領域からなる、コンフォメーションエピトープ、構造的エピトープ、又は不連続エピトープにも関しうる。本発明の文脈では、コンフォメーションエピトープは、ポリペプチドが、天然タンパク質にフォールドする場合に、分子の表面上で一体となる一次配列内で隔てられた、2つ又はこれを超える、個別のアミノ酸配列により規定される(Sela、Science、166 (1969)、1365;及びLaver、Cell、61 (1990)、553-536)。さらに、本発明の文脈では、「に結合すること」という用語は、「と相互作用すること」という用語とも互換的に使用される。
【0038】
したがって、特異性は、当該技術分野で公知の方法、及び本明細書で記載される方法により、実験的に決定することができる。このような方法は、ウェスタンブロット法、ELISA試験、RIA試験、ECL試験、IRMA試験、及びペプチドスキャンを含むがこれらに限定されない。
【0039】
(Ig由来の)「第1の結合ドメイン」、(Ig由来の)「第2の結合ドメイン」、又は(Ig由来の)「第3の結合ドメイン」という用語は、「免疫グロブリン由来のドメイン」に関し、具体的には、抗体分子又はこの断片、単鎖抗体、合成抗体、Fab、F(ab2)’、Fv、若しくはscFv断片など、又はこれらのうちのいずれかの化学修飾された誘導体などの抗体断片に関する。これらの抗体分子は、異なる種に由来する場合もあり、キメラ由来の場合もある。本発明の文脈では(添付の実施例に例示される通り)、本発明の二重特異性抗体分子内に含まれる、前記(Ig由来の)第1のドメイン及び第3のドメインは、第3の(Ig由来の)「結合ドメイン」を融合させた(モノクローナル)抗体でありうる。
【0040】
本発明の「抗体」は、3つの結合ドメインを有し、二重特異性である。抗体は、単一の種に由来する完全長抗体の場合もあり、キメラ化抗体の場合もあり、ヒト化抗体の場合もある。2つを超える抗原結合ドメインを伴う抗体について、タンパク質が、2つの異なる抗原の結合ドメインを有する限りにおいて、一部の結合ドメインは、同一でありうる。
【0041】
本出願内で使用される「三価」という用語は、抗体分子内の、指定された数の結合ドメインの存在を表す。それ自体、「三価」という用語は、二重特異性抗体分子内の、3つの結合ドメインの存在を表す。三価の二重特異性抗体分子は、例えば、Bacacら、Clin. Cancer Res、1-12(DOI:10.1158/1078-0432.CCR-15-1696)、国際公開第2013/026833号、国際公開第2014/131712号、及び国際公開第2016/020309号において記載されている。図9、10、及び11に例示される通り、本発明の、三価の二重特異性抗体分子は、第1の抗原に特異的に結合する完全長抗体を含むことが可能であり、第2の抗原に特異的に結合するFab断片を含む/これらからなる。「完全長抗体」という用語は、2つの「完全長抗体重鎖」と、2つの「完全長抗体軽鎖」とからなる抗体を表す。「完全長の抗体重鎖」とは、N末端-C末端の方向において、VH-CH1-HR-CH2-CH3として略記される、抗体重鎖可変ドメイン(VH)、抗体定常重鎖ドメイン1(CH1)、抗体ヒンジ領域(HR)、抗体重鎖定常ドメイン2(CH2)、及び抗体重鎖定常ドメイン3(CH3)と、任意選択で、サブクラスであるIgEの抗体の場合には、抗体重鎖定常ドメイン4(CH4)とからなるポリペプチドである。好ましくは、「完全長の抗体重鎖」は、N末端-C末端の方向において、VH、CH1、HR、CH2、及びCH3からなるポリペプチドである。「完全長の抗体軽鎖」は、N末端-C末端の方向において、VL-CLとして略記される、抗体軽鎖可変ドメイン(VL)及び抗体軽鎖定常ドメイン(CL)からなるポリペプチドである。抗体軽鎖定常ドメイン(CL)は、κ(カッパ)ドメイン又はλ(ラムダ)ドメインでありうる。2つの完全長抗体鎖は、CLドメインと、CH1ドメインとの間、及び完全長の抗体重鎖のヒンジ領域の間の、ポリペプチド間ジスルフィド結合を介して、併せて連結される。典型的な完全長抗体の例は、IgG(例えば、IgG1及びIgG2)、IgM、IgA、IgD、及びIgE)など、天然の抗体である。本発明に従う完全長抗体は、単一の種、例えば、ヒトに由来する場合もあり、キメラ化抗体又はヒト化抗体の場合もある。本発明に従う完全長抗体は、それらの両方が、同じ抗原に特異的に結合する、VH及びVLのペアにより、各々が形成された、2つの抗原結合部位を含む。前記完全長抗体の重鎖又は軽鎖のC末端とは、前記重鎖又は軽鎖のC末端における、最後のアミノ酸を表す。本明細書で使用される「Fab断片」は、1つの軽鎖と、CH1と、1つの重鎖の可変領域とを含む。Fab分子の重鎖は、別の重鎖分子と共に、ジスルフィド結合を形成しえない。したがって、本発明の、三価の二重特異性抗体は、1又は複数のペプチド-リンカーを介して、さらなる抗原結合ドメイン、例えば、単鎖Fv、VHドメイン、及び/若しくはVLドメイン、又はFabを連結した、完全長抗体の定常ドメイン構造を有する抗体を含む。本発明の好ましい実施態様では、前記完全長抗体分子のCH3ドメインは、例えば、国際公開第96/027011号、Ridgwayら、Protein Eng.、9(1996)、617-621において、いくつかの例を伴い、詳細に記載されている「ノブ・イントゥー・ホール」技術により変更することができる。「ノブ・イントゥー・ホール」技術では、2つのCH3ドメイン(完全長抗体分子の2つの重鎖の)の相互作用表面が「ノブ」でありうるのに対し、他方は、「ホール」である。ジスルフィド架橋の導入は、ヘテロダイマーをさらに安定化させ(Merchantら、Nature Biotech 16 (1998)、667-681、Atwellら、J. Mol. Biol. 270 (1997)、26-35)、収量を増大させる。
【0042】
したがって、本発明の一態様では、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子は、完全長抗体分子の、1つの重鎖のCH3ドメイン、及び完全長抗体分子の、他の重鎖のCH3ドメインの各々が、抗体のCH3ドメインの間の元の接触面を含む接触面において遭遇するという点で、さらなる特徴を明らかにされるが、この場合、変更は、(i)三価の二重特異性抗体内の、他の重鎖のCH3ドメインの元の接触面に遭遇する、1つの重鎖のCH3ドメインの元の接触面内で、アミノ酸残基を、大きな側鎖容積を有するアミノ酸残基で置きかえ、これにより、他の重鎖のCH3ドメインの接触面内の空隙に配置させうる、1つの重鎖のCH3ドメインの接触面内の突出を作出するように、1つの重鎖のCH3ドメインが置換されている点と、(ii)三価の二重特異性抗体内の、第1のCH3ドメインの元の接触面に遭遇する、第2のCH3ドメインの元の接触面内で、アミノ酸残基を、小さな側鎖容積を有するアミノ酸残基で置きかえ、これにより、第1のCH3ドメインの接触面内の突出を配置させうる、第2のCH3ドメインの接触面内の空隙を作出するように、他の重鎖のCH3ドメインが置換されている点において、特徴を明らかにされる。
【0043】
好ましくは、大きな側鎖容積を有する、前記アミノ酸残基は、グリシン(G)、アルギニン(R)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)からなる群から選択される。好ましくは、小さな側鎖容積を有する、前記アミノ酸残基は、アラニン(A)、プロリン(P)、セリン(S)、スレオニン(T)、バリン(V)からなる群から選択される。本発明の一態様では、両方のCH3ドメインの間に、ジスルフィド架橋を形成しうるように、両方のCH3ドメインを、各CH3ドメインの対応する位置におけるアミノ酸としての、システイン(C)の導入により、さらに変更する。
【0044】
本発明の好ましい実施態様では、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子は、「ノブ鎖」のCH3ドメイン内のP329G突然変異と、「ホール鎖」のCH3ドメイン内のP329G突然変異とを含む。例えば、「ノブ鎖」のCH3ドメインに、Y349C突然変異を導入し、「ホール鎖」のCH3ドメインに、「E356C」突然変異又は「S354C」突然変異を導入することにより、CH3ドメインの間の、さらなる鎖間ジスルフィド架橋もまた、使用することができる(Merchantら、Nature Biotech 16 (1998)、667-681、Atwellら、J. Mol. Biol. 270 (1997)、26-35)。
【0045】
本発明の代替的な実施態様では、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子は、CH3ドメイン内の静電相補性会合を介して会合する。静電相補性会合技術は、例えば、Kleinら、LandesBioscience 4 (6)(2012)、653-663、Kitazawaら、Nat Med.18(10)(2012)、1570-1574、及びGunasekeran K.ら、J Biol Chem 285(25)(2010)、19637-19646において記載されている。
【0046】
本発明に従い援用される、三価の二重特異性抗体分子、抗体断片、抗体誘導体(全てIg由来である)は、当該技術分野で公知の従来の技法を使用して、例えば、アミノ酸の欠失、挿入、置換、添加、及び/若しくは組換え、ならびに/又は当該技術分野で公知である、他の任意の修飾を、単独で若しくは組合せで使用することにより、さらに修飾することができる。当業者には、免疫グロブリン鎖のアミノ酸配列の根底をなすDNA配列内に、このような修飾を導入するための方法が周知である(例えば、Sambrook(1989)、前出を参照されたい)。「Ig由来のドメイン」という用語は、特に、少なくとも1つのCDRを含む(ポリ)ペプチドコンストラクトに関する。列挙されたIg由来ドメインの断片又は誘導体は、上記の抗体分子の部分であり、かつ/又は化学的/生化学的方法若しくは分子生物学的方法により修飾された(ポリ)ペプチドを規定する。当該技術分野では、対応する方法が公知であり、特に、実験室マニュアルにおいて記載されている(Sambrookら、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor Laboratory Press、2版(1989)及び3版(2001);Gerhardtら、「Methods for General and Molecular Bacteriology」、ASM Press (1994);Lefkovits、「Immunology Methods Manual: Comprehensive Sourcebook of Techniques」、Academic Press (1997);Golemis、「Protein-Protein Interactions: Molecular Cloning Manual」、Cold Spring Harbor Laboratory Press (2002)を参照されたい)。
【0047】
本明細書で援用される「CDR」という用語は、当該技術分野で周知の「相補性決定領域」に関する。CDRとは、前記分子の特異性を決定し、特異的リガンドと接触する、免疫グロブリンの部分である。CDRは、分子内の最も可変性の部分であり、これらの分子の多様性に寄与する。各Vドメイン内には、3つのCDR領域である、CDR1、CDR2、及びCDR3が存在する。CDR-Hは、可変重鎖のCDR領域について描示し、CDR-Lは、可変軽鎖のCDR領域に関する。VHとは、可変重鎖を意味し、VLとは、可変軽鎖を意味する。Ig由来領域のCDR領域は、Kabat、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、5版、NIH刊行物第91-3242号、U.S.Department of Health and Human Services(1991);Chothia J.Mol.Biol.、196(1987)、901-917;又はChothia、Nature、342(1989)、877-883において記載されている通りに決定することができる。
【0048】
したがって、本発明の文脈では、「抗体」という用語は、完全長免疫グロブリン分子のほか、このような免疫グロブリン分子の部分に関する。さらに、用語は、上記で論じた通り、修飾及び/又は変更された抗体分子にも関する。用語はまた、組換え又は合成により作出された抗体/合成された抗体にも関する。
【0049】
本発明の、三価の二重特異性抗体分子が、本明細書で規定される第1の(Ig由来の)ドメイン、第2の(Ig由来の)ドメイン、及び第3の(Ig由来の)ドメインに加えて、例えば、組換えにより作製されたコンストラクトを単離及び/又は調製するための、さらなるドメインも含みうることは、注目に値する。
【0050】
本発明に従い、上記で記載したドメインであって、本明細書で記載される融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、前記T細胞内及び/又は前記T細胞上で天然に存在しない、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインと特異的に相互作用する/これに特異的に結合するドメインだけを修飾しうるわけではないことは、注目に値する。また、例えば、ヒト化抗体、CDRグラフト抗体、又は完全ヒト抗体のために、(Ig由来の)第1のドメイン、(Ig由来の)第2のドメイン、(Ig由来の)第3のドメイン、及び/又は接続するリンカー領域を修飾することも想定される。
【0051】
当該技術分野では、「ヒト化法」が周知であり、特に、抗体分子、例えば、(Ig由来の)分子について記載されている。「ヒト化」という用語は、非ヒト抗体に由来する配列の一部を含有する、非ヒト(例えば、マウス)抗体又はこの断片(Fv、Fab、Fab’、F(ab’)、scFvs、又は抗体の、他の抗原結合部分の配列など)のヒト化形態を指す。ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリンの相補性決定領域(CDR)に由来する残基を、所望される結合特異性、結合アフィニティー、及び結合能を有する、マウス、ラット、又はウサギなどの非ヒト種のCDRに由来する残基で置きかえたヒト免疫グロブリンを含む。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つであり、一般に、2つの可変ドメインであって、CDR領域の全て又は実質的に全てが、非ヒト免疫グロブリンのCDR領域に対応し、FR領域の全て又は実質的に全てが、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のFR領域である可変ドメインのうちの実質的に全てを含むであろう。ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的には、ヒト免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部も含むことが最適であろう。特に、Jonesら、Nature、321 (1986)、522-525、Presta、Curr. Op. Struct. Biol.、2 (1992)、593-596を参照されたい。当該技術分野では、非ヒト抗体をヒト化するための方法が周知である。一般に、ヒト化抗体は、非ヒト供給源から導入された、1又は複数のアミノ酸を有し、抗体の、元の結合活性を保持する。抗体/抗体分子をヒト化するための方法については、Jonesら、Nature、321(1986)、522-525;Reichmannら、Nature、332(1988)、323-327;及びVerhoeyenら、Science、239(1988)、1534-1536において、さらに詳述されている。当該技術分野では、ヒト化抗体の具体例、例えば、EpCAMに対する抗体が公知である(例えば、LoBuglio、「Proceedings of American Society of Clinical Oncology Abstract」(1997)、1562;及びKhor、「Proceedings of American Society of Clinical Oncology Abstract」(1997)、847を参照されたい)。
【0052】
したがって、本発明の文脈では、特に、ヒト化され、薬学的組成物中の援用に成功する、三価の二重特異性抗体分子が提供される。本発明の文脈では、本明細書で記載される(ヒト化された)三価の二重特異性抗体分子を、本明細書で規定されるキット内で援用することができる。
【0053】
本発明の文脈では、三価の二重特異性抗体分子(Ig由来の)結合ドメインは、前記T細胞内又は前記T細胞上で天然に存在しない、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインに対する特異性を伴う、抗原相互作用部位を含む。
【0054】
本明細書で使用される「前記T細胞内又は前記T細胞上で天然に存在しない、シグナル伝達受容体の細胞外ドメイン」という用語は、T細胞に組み込まれ、天然では、T細胞の表面内及び/又はT細胞の表面上に提示されず、正常(非形質導入)T細胞内又は正常(非形質導入)T細胞上では、(内因的に)発現しない分子に関する。したがって、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない抗原/マーカーを、T細胞に人工的に導入する。本発明の文脈では、前記T細胞、好ましくは、CD8+T細胞を、本明細書で規定される、処置される対象から単離する/得る。したがって、人工的に導入され、その後、前記T細胞の表面内及び/又はT細胞の表面上に提示される、これらの分子は、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、(Ig由来の)結合ドメイン、好ましくは、抗体、抗体断片、又は抗体誘導体にアクセス可能な(インビトロ又はインビボにおいて)ドメイン又はエピトープを含む。本発明の文脈では、これらの、人工的に導入された分子は、本明細書の下記で記載される(レトロウイルスによる)形質導入の後で、前記T細胞の表面内及び/又はT細胞の表面上に提示される。
【0055】
本発明の文脈では、「前記T細胞内及び/又は前記T細胞上で天然に存在しない、シグナル伝達受容体の細胞外ドメイン」という用語は、T細胞1個当たりの抗原分子が、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、又は1000個を超える、T細胞内及び/又はT細胞上で、天然に存在しない/内因的に発現しない、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインを指す。したがって、T細胞内及び/又はT細胞上で、天然に存在しない/内因的に発現しない、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインは、正常(非形質導入)T細胞の集団のうちの、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、又は2.0‰(パーミル)を超える細胞内で発現しない。T細胞、好ましくは、CD8+T細胞内及び/又はCD8+T細胞上で、天然に存在する、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインの存在及び量は、FACS解析、ELISA、共焦点顕微鏡法、解析用HPLCなど、当該技術分野で公知の方法によりモニタリングすることができる。
【0056】
これらの分子の例は、好ましくは、ヒト由来の、非免疫原性タンパク質を含む。代替的に、前記分子は、それ自体、機能的に不活性のタンパク質分子でありうるか、又は当該技術分野で公知の遺伝子組換え法により、機能的に不活性とされる(例は、ヒトEGFRの突然変異バージョン、例えば、配列番号152、232、52、76、又は78に描示されるEGFRvIII(配列番号151、231、51、75、又は77によりコードされる)であろう)。EGFRvIIIは、膠芽細胞腫内、ならびに乳癌内、卵巣癌内、及び肺癌内で見出される、ヒト上皮増殖因子受容体の突然変異体である。突然変異体受容体は、その細胞外ドメイン内に欠失を有する(Lorimerら、Proc. Natl. Acad. Sci USA、93 (1996)、14815-14820)。突然変異していないヒトEGFRバージョンを、配列番号198(配列番号197に示されたDNA配列によりコードされる)に描示する。
【0057】
これらの上述の基準を満たすマーカーの例を、本明細書の下記に示すが、これらは、Cripto(crypticファミリーのタンパク質)、CD(cluster of differentiation)ファミリー(非T細胞)のメンバー、EGFR、EGFRvIII、NGFR、又はTSH-Rを含むがこれらに限定されない。
【0058】
本発明の文脈では、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子は、本明細書で記載される融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインに結合する。本発明の文脈では、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインは、Cripto(crypticファミリーのタンパク質)、CD(cluster of differentiation)ファミリー(非T細胞)のメンバー、EGFR、EGFRvIII、NGFR、及びTSH-Rからなる群から選択される。したがって、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子は、(もっぱら)T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在するわけではない、CDファミリーのメンバー(「非T細胞」という用語で言及される)、Cripto、EGFR、EGFRvIII、NGFR、又はTSH-Rと相互作用する/これに結合する。本発明の文脈では、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子は、T細胞内及び/又はT細胞上で内因的に発現しない、CDファミリーのメンバー(「非T細胞」という用語で言及される)、Cripto、EGFR、EGFRvIII、NGFR、又はTSH-Rと相互作用する/これに結合する。
【0059】
Cripto(crypticファミリーのタンパク質)、CD(cluster of differentiation)ファミリー(非T細胞)のメンバー、EGFR、EGFRvIII、NGFR、又はTSH-Rの(ヒト)メンバーの配列は、UniProtKB/Swiss-Protデータベースで利用可能であり、http://www.uniprot.org/uniprot/?query=reviewed%3Ayesから検索することができる。これらの(タンパク質)配列はまた、注釈された修飾配列にも関する。本発明はまた、本明細書で提示されるコンサイス配列の同種配列を使用し、また、対立遺伝子変異体なども使用する技法及び方法も提供する。本明細書のコンサイス配列の、このような「変異体」などを使用することが好ましい。好ましくは、このような「変異体」は、遺伝子変異体である。当業者は、ゲノムDNAのほか、mRNA/cDNAのエントリーもまた含みうる、これらのデータバンクエントリー内の、これらの(タンパク質)配列の関与性のコード化領域を、容易に推定することができる。例示的に述べると、NGFRのマウス(murine/mouse)配列は、UniProtデータベースエントリーQ9Z0W1(エントリーバージョン132、配列バージョン1)から得ることができる。NGFRのヒト配列は、UniProtデータベースエントリーP08138(エントリーバージョン182、配列バージョン1)から得ることができる。
【0060】
「T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない/内因的に発現しない、シグナル伝達受容体の細胞外ドメイン」との関連において、本明細書で使用される「CD(cluster of differentation)ファミリー(非T細胞)」という用語は、CD9、CD10、CD11、CD12、CD13、CD14、CD15、CD16、CD17、CD18、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD25、CD26、CD27、CD28、CD29、CD30、CD31、CD32、CD33、CD34、CD35、CD36、CD37、CD38、CD39、CD40、CD41、CD43、CD46、CD48、CD49、CD50、CD51、CD54、CD55、CD56、CD57、CD59、CD61、CD63、CD64、CD66、CD67、CD68、CD70、CD72、CD74、CD75、CD76、CD77、CD79、CD81、CD82、CD83、CD84、CD87、CD88、CD89、CD90、CD91、CD92、CD93、CD94、CD95、CD97、CD98、CD99、CD100、CD101、CD102、CD103、CD104、CD105、CD106、CD107、CD108、CD109、CD110、CD111、CD112、CD113、CD114、CD115、CD116、CD117、CD118、CD119、CD121、CD123、CD124、CD125、CD126、CD130、CD131、CD133、CD134、CD135、CD136、CD137、CD138、CD140、CD141、CD142、CD143、CD144、CD146、CD147、CD148、CD151、CD153、CD155、CD156、CD157、CD158、CD159、CD160、CD161、CD162、CD163、CD164、CD166、CD167、CD168、CD169、CD170、CD171、CD172、CD177、CD178、CD179、CD180、CD181、CD182、CD183、CD184、CD185、CD186、CD191、CD192、CD193、CD200、CD201、CD204、CD206、CD207、CD208、CD209、CD217、CD218、CD220、CD221、CD222、CD223、CD224、CD225、CD226、CD227、CD228、CD230、CD231、CD232、CD233、CD234、CD236、CD238、CD239、CD241、CD242、CD243、CD244、CD246、CD248、CD249、CD252、CD253、CD254、CD256、CD257、CD258、CD261、CD262、CD263、CD264、CD265、CD266、CD267、CD268、CD269、CD270、CD271、CD276、CD277、CD280、CD281、CD282、CD283、CD284、CD286、CD288、CD289、CD290、CD292、CD294、CD295、CD296、CD297、CD298、CD299、CD300、CD301、CD302、CD303、CD304、CD305、CD306、CD309、CD312、CD314、CD315、CD316、CD317、CD318、CD319、CD320、CD321、CD322、CD324、CD325、CD326、CD327、CD328、CD329、CD331、CD332、CD333、CD334、CD335、CD336、CD337、CD338、CD339、CD340、CD344、CD349、CD350、CD351、CD352、CD353、CD354、CD355、CD357、CD358、CD360、CD361、CD362及びCD363からなる群から選択されるCD配列のうちのいずれか1つを指す。
【0061】
(ヒト)CD9(CD9抗原)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP21926(エントリーバージョン123、配列バージョン4)から得ることもでき、(ヒト)CD10(ネプリライシン)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP08473(エントリーバージョン151、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD11(インテグリンアルファD)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ13349(エントリーバージョン110、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD13(アミノペプチダーゼN)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP15144(エントリーバージョン145、配列バージョン4)から得ることもでき、(ヒト)CD14(単球分化抗原であるCD14)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP08571(エントリーバージョン131、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD16(Fcガンマ受容体IIIb)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9ULV2(エントリーバージョン51、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD18(インテグリンベータ2)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP05107(エントリーバージョン162、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD19(Bリンパ球抗原であるCD19)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP15391(エントリーバージョン128、配列バージョン6)から得ることもでき、(ヒト)CD20(Bリンパ球抗原であるCD20)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP11836(エントリーバージョン118、
配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD21(2型補体受容体)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP20023(エントリーバージョン128、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD22(B細胞受容体CD22)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP20273(エントリーバージョン136、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD23(低アフィニティー免疫グロブリンエプシロンFc受容体)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP06734(エントリーバージョン133、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD24(シグナル伝達物質CD24)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP25063(エントリーバージョン106、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD26(ジペプチジルペプチダーゼ4)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP27487(エントリーバージョン140、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD27(CD27抗原)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP26842(エントリーバージョン119、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD29(インテグリンベータ1)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP05556(エントリーバージョン154、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD30(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー8)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP28908(エントリーバージョン129、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD31(血小板内皮細胞接着分子)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP16284(エントリーバージョン146、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD32(低アフィニティー免疫グロブリンガンマFc領域受容体II-b)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP31994(エントリーバージョン138、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD33(骨髄細胞表面抗原であるCD33)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP20138(エントリーバージョン130、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD34(造血系前駆細胞抗原であるCD34)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP28906(エントリーバージョン108、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD35(1型補体受容体)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP17927(エントリーバージョン131、配列バージョン3)から得ることもでき、(ヒト)CD36(血小板糖タンパク質4)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP16671(エントリーバージョン133、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD38(ADPリボシルシクラーゼ1)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP28907(エントリーバージョン126、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD39(エクトヌクレオシド三リン酸ジホスホヒドロラーゼ1)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP49961(エントリーバージョン114、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD40(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー5)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP25942(エントリーバージョン147、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD41(インテグリンアルファIIb)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP08514(エントリーバージョン158、配列バージョン3)から得ることもでき、(ヒト)CD43(ロイコシアリン)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP16150(エントリーバージョン110、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD46(膜補助因子タンパク質)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP15529(エントリーバージョン145、配列バージョン3)から得ることもでき、(ヒト)CD48(CD48抗原)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP09326(エントリーバージョン137、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD49(インテグリンアルファ4)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP13612(エントリーバージョン128、配列バージョン3)から得ることもでき、(ヒト)CD50(細胞間接着分子3)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP32942(エントリーバージョン128、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD51(インテグリンアルファV)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP06756(エントリーバージョン149、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD54(細胞間接着分子1)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP05362(エントリーバージョン160、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD55(補体崩壊促進因子)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP08174(エントリーバージョン143、配列バージョン4)から得ることもでき、(ヒト)CD56(神経細胞接着分子1)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP13591(エントリーバージョン132、配列バージョン3)から得ることもでき、(ヒト)CD57(キラー細胞レクチン様受容体サブファミリーGメンバー1)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ96E93(エントリーバージョン72、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD59(CD59糖タンパク質)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP13987(エントリーバージョン139、配列情報1)から得ることもでき、(ヒト)CD61(インテグリンベータ3)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP05106(エントリーバージョン175、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD63(CD63抗原)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP08962(エントリーバージョン122、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD64(高アフィニティー免疫グロブリンガンマFc受容体I)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP12314(エントリーバージョン128、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD66(がん胎児性抗原関連細胞接着分子1)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP13688(エントリーバージョン133、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD67(がん胎児性抗原関連細胞接着分子8)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP31997(エントリーバージョン115、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD68(マクロシアリン)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP34810(エントリーバージョン106、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD70(CD70抗原)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP32970(エントリーバージョン101、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD72(B細胞分化抗原であるCD72)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP21854(バージョンエントリー113、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD74(HLAクラスII組織適合抗原ガンマ鎖)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP04233(エントリーバージョン141、配列バージョン3)から得ることもでき、(ヒト)CD75(ベータ-ガラクトシドアルファ-2,6-シアリルトランスフェラーゼ1)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP15907(エントリーバージョン130、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD77(ラクトシルセラミド4-アルファ-ガラクトシルトランスフェラーゼ)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9NPC4(エントリーバージョン100、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD79(B細胞抗原受容体複合体関連タンパク質アルファ鎖)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP11912(エントリーバージョン120、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD81(CD81抗原)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP60033(エントリーバージョン82、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD82(CD82抗原)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP27701(エントリーバージョン98、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD83(CD83抗原)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ01151(エントリーバージョン113、配列バージョン1)から得ることもでき、
(ヒト)CD84(SLAMファミリーメンバー5)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9UIB8(エントリーバージョン87、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD87(ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子表面受容体)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ03405(エントリーバージョン129、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD88(C5aアナフィラトキシン走化性受容体)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP21730(エントリーバージョン116、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD89(免疫グロブリンアルファFc受容体)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP24071(エントリーバージョン121、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD90(Thy-1膜糖タンパク質)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP04216(エントリーバージョン128、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD91(プロ低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ07954(エントリーバージョン133、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD92(コリントランスポーター様タンパク質1)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ8WWI5(エントリーバージョン79、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD93(補体成分C1q受容体)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9NPY3(エントリーバージョン115、配列バージョン3)から得ることもでき、(ヒト)CD94(ナチュラルキラー細胞抗原であるCD94)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ13241(エントリーバージョン107、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD95(腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー6)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP48023(エントリーバージョン134、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD97(CD97抗原)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP48960(エントリーバージョン125、配列バージョン4)から得ることもでき、(ヒト)CD98(4F2細胞表面抗原重鎖)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP08195(エントリーバージョン140、配列バージョン3)から得ることもでき、(ヒト)CD99(CD99抗原)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP14209(エントリーバージョン117、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD100(セマフォリン4D)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ92854(エントリーバージョン125、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD101(免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー2)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ93033(エントリーバージョン89、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD102(細胞間接着分子2)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP13598(エントリーバージョン131、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD103(インテグリンアルファE)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP38570(エントリーバージョン118、配列バージョン3)から得ることもでき、(ヒト)CD104(インテグリンベータ4)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP16144(エントリーバージョン160、配列バージョン5)から得ることもでき、(ヒト)CD105(エンドグリン)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP17813(エントリーバージョン133、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD106(血管細胞接着タンパク質1)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP19320(エントリーバージョン158、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD107(リソソーム関連膜糖タンパク質1)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP11279(エントリーバージョン117、配列バージョン3)から得ることもでき、(ヒト)CD108(セマフォリン7A)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーO75326(エントリーバージョン107、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD109(CD109抗原)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ6YHK3(エントリーバージョン64、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD110(トロンボポエチン受容体)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP40238(エントリーバージョン122、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD111(ポリオウイルス受容体関連タンパク質1)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ15223(エントリーバージョン114、配列バージョン3)から得ることもでき、(ヒト)CD112(ポリオウイルス受容体関連タンパク質2)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ92692(エントリーバージョン123、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD113(ポリオウイルス受容体関連タンパク質3)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9NQS3(エントリーバージョン78、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD114(顆粒球コロニー刺激因子受容体)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ99062(エントリーバージョン129、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD115(マクロファージコロニー刺激因子1受容体)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP07333(エントリーバージョン145、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD116(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子受容体サブユニットアルファ)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP15509(エントリーバージョン128、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD117(マスト細胞/幹細胞増殖因子受容体であるKit)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP10721(エントリーバージョン150、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD118(白血病阻害因子受容体)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP42702(エントリーバージョン115、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD119(インターフェロンガンマ受容体1)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP15260(エントリーバージョン140、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD121(1型インターロイキン1受容体)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP14778(エントリーバージョン151、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD123(インターロイキン3受容体サブユニットアルファ)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP26951(エントリーバージョン110、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD124(インターロイキン4受容体サブユニットアルファ)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP24394(エントリーバージョン144、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD125(インターロイキン5受容体サブユニットアルファ)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ01344(エントリーバージョン120、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD126(インターロイキン6受容体サブユニットアルファ)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP08887(エントリーバージョン143、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD130(インターロイキン6受容体サブユニットベータ)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP40189(エントリーバージョン142、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD131(サイトカイン受容体共通サブユニットベータ)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP32927(エントリーバージョン128、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD133(プロミニン1)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーO43490(エントリーバージョン110、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD134(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー4)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP43489(エントリーバージョン106、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD135(受容体型チロシンプロテインキナーゼFLT-3)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP36888(エントリーバージョン119、配列バージョン2)
から得ることもでき、(ヒト)CD136(マクロファージ刺激タンパク質受容体)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ04912(エントリーバージョン129、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD137(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー9)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ07011(エントリーバージョン109、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD138(シンデカン1)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP18827(エントリーバージョン114、配列バージョン3)から得ることもでき、(ヒト)CD140(血小板由来増殖因子受容体ベータ)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP09619(エントリーバージョン154、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD141(トロンボモジュリン)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP07204(エントリーバージョン162、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD142(組織因子)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP13726(エントリーバージョン137、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD143(アンジオテンシン転換酵素)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP12821(エントリーバージョン157、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD144(カドヘリン5)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP33151(エントリーバージョン108、配列バージョン5)から得ることもでき、(ヒト)CD146(細胞表面糖タンパク質MUC18)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP43121(エントリーバージョン109、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD147(ベイシジン)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP35613(エントリーバージョン134、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD148(受容体型チロシンタンパク質ホスファターゼエータ)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ12913(エントリーバージョン124、配列バージョン3)から得ることもでき、(ヒト)CD151(CD151抗原)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP48509(エントリーバージョン108、配列バージョン3)から得ることもでき、(ヒト)CD153(腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー8)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP32971(エントリーバージョン90、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD155(ポリオウイルス受容体)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP15151(エントリーバージョン132、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD156(ディスインテグリン/メタロプロテイナーゼドメイン含有タンパク質8)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP78325(エントリーバージョン115、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD157(ADPリボシルシクラーゼ2)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ10588(エントリーバージョン116、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD158(キラー細胞免疫グロブリン様受容体3DL3)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ8N743(エントリーバージョン91、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD159(II型NKG2-A/NKG2-B内在性膜タンパク質)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP26715(エントリーバージョン116、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD160(CD160抗原)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーO95971(エントリーバージョン98、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD161(キラー細胞レクチン様受容体サブファミリーBメンバー1)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ12918(エントリーバージョン81、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD162(Pセレクチン糖タンパク質リガンド1)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ14242(エントリーバージョン103、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD163(1型スカベンジャー受容体システインリッチタンパク質M130)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ86VB7(エントリーバージョン77、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD164(シアロムチンコアタンパク質24)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ04900(エントリーバージョン89、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD166(CD166抗原)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ13740(エントリーバージョン111、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD167(ディスコイジンドメイン含有受容体2)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ16832(エントリーバージョン120、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD168(HMMR(hyaluronan-mediated motility receptor))の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーO75330(エントリーバージョン99、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD169(シアロアドヘシン)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9BZZ2(エントリーバージョン103、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD170(シアル酸結合Ig様レクチン5)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーO15389(エントリーバージョン106、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD171(神経細胞接着分子L1)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP32004(エントリーバージョン139、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD172(シグナル制御タンパク質ベータ1)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーO00241(エントリーバージョン112、配列バージョン5)から得ることもでき、(ヒト)CD177(CD177抗原)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ8N6Q3(エントリーバージョン65、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD178(腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー6)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP48023(エントリーバージョン134、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD179(免疫グロブリンイオタ鎖)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP12018(エントリーバージョン115、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD180(CD180抗原)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ99467(エントリーバージョン101、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD181(1型C-X-Cケモカイン受容体)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP25024(エントリーバージョン125、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD182(2型C-X-Cケモカイン受容体)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP25025(エントリーバージョン123、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD183(3型C-X-Cケモカイン受容体)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP49682(エントリーバージョン118、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD184(4型C-X-Cケモカイン受容体)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP61073(エントリーバージョン95、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD185(5型C-X-Cケモカイン受容体)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP32302(エントリーバージョン109、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD186(6型C-X-Cケモカイン受容体)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーO00574(エントリーバージョン104、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD191(1型C-Cケモカイン受容体)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP32246(エントリーバージョン106、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD192(2型C-Cケモカイン受容体)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP41597(エントリーバージョン128、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD193(3型C-Cケモカイン受容体)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP51677(エントリーバージョン112、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD200(OX-2膜糖タンパク質)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP41217(エントリーバージョン110、配列バージョン4)から得ることもでき、(ヒト)CD201(内皮タンパク質C受容体)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9UNN8(エントリーバージョン110、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD204(I型及びII型マクロファージスカベンジャー受容体)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP21757(エントリーバージョン122、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD206(マクロファージマンノース受容体1)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP22897(エントリーバージョン138、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD207(C型レクチンドメインファミリー4メンバーK)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9UJ71(エントリーバージョン85、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD208(リソソーム関連膜糖タンパク質3)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9UQV4(エントリーバージョン69、配列バージョン3)から得ることもでき、(ヒト)CD209(CD209抗原)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9NNX6(エントリーバージョン103、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD217(インターロイキン17受容体A)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ96F46(エントリーバージョン94、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD218(インターロイキン18受容体1)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ13478(エントリーバージョン104、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD220(インスリン受容体)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP06213(エントリーバージョン175、配列バージョン4)から得ることもでき、(ヒト)CD221(インスリン様増殖因子1受容体)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP08069(エントリーバージョン145、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD222(カチオン非依存性マンノース6リン酸受容体)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP11717(エントリーバージョン137、配列バージョン3)から得ることもでき、(ヒト)CD223(リンパ球活性化遺伝子
3タンパク質)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP18627(エントリーバージョン108、配列バージョン5)から得ることもでき、(ヒト)CD224(ガンマ-グルタミルトランスペプチダーゼ1)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP19440(エントリーバージョン137、配列バージョン2)
から得ることもでき、(ヒト)CD225(インターフェロン誘導性膜貫通タンパク質1)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP13164(エントリーバージョン101、配列バージョン3)から得ることもでき、(ヒト)CD226(CD226抗原)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ15762(エントリーバージョン89、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD227(ムチン1)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP15941(エントリーバージョン136、配列バージョン3)から得ることもでき、(ヒト)CD228(メラノトランスフェリン)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP08582(エントリーバージョン124、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD230(プリオンタンパク質)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP04156(エントリーバージョン161、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD231(テトラスパニン7)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP41732(エントリーバージョン115、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD232(プレクシンC1)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーO60486(エントリーバージョン80、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD233(バンド3アニオン輸送タンパク質)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP02730(エントリーバージョン167、配列バージョン3)から得ることもでき、(ヒト)CD234(ダフィー抗原/ケモカイン受容体)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ16570(エントリーバージョン114、配列バージョン3)から得ることもでき、(ヒト)CD236(グリコホリンC)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP04921(エントリーバージョン116、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD238(Kell血液群糖タンパク質)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP23276(エントリーバージョン124、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD239(基底細胞接着分子)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP50895(エントリーバージョン117、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD241(Rh A型アンモニウムトランスポーター)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ02094(エントリーバージョン98、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD242(細胞間接着分子4)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ14773(エントリーバージョン106、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD243(多剤耐性タンパク質1)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP08183(エントリーバージョン146、配列バージョン3)から得ることもでき、(ヒト)CD244(ナチュラルキラー細胞受容体2B4)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9BZW8(エントリーバージョン94、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD246(ALKチロシンキナーゼ受容体)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9UM73(エントリーバージョン120、配列バージョン3)から得ることもでき、(ヒト)CD248(エンドシアリン)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9HCU0(エントリーバージョン87、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD249(グルタミルアミノペプチダーゼ)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ07075(エントリーバージョン121、配列バージョン3)から得ることもでき、(ヒト)CD252(腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー4)の配列を、
Swiss-ProtデータベースエントリーP23510(エントリーバージョン101、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD253(腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー10)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP50591(エントリーバージョン118、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD254(腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー11)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーO14788(エントリーバージョン110、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD256(腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー13)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーO75888(エントリーバージョン111、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD257(腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー13B)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9Y275(エントリーバージョン127、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD258(腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー14)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーO43557(エントリーバージョン117、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD261(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー10A)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーO00220(エントリーバージョン112、配列バージョン3)から得ることもでき、(ヒト)CD262(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー10B)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーO14763(エントリーバージョン133、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD263(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー10C)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーO14798(エントリーバージョン99、配列バージョン3)から得ることもでき、(ヒト)CD264(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー10D)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9UBN6(エントリーバージョン109、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD265(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー11A)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9Y6Q6(エントリーバージョン100、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD266(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー12A)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9NP84(エントリーバージョン89、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD267(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー13B)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーO14836(エントリーバージョン102、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD268(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー13C)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ96RJ3(エントリーバージョン91、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD269(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー17)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ02223(エントリーバージョン125、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD270(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー14)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ92956(エントリーバージョン134、配列バージョン3)から得ることもでき、(ヒト)CD271(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー16)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP08138(エントリーバージョン135、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD276(CD276抗原)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ5ZPR3(エントリーバージョン71、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD277(ブチロフィリンサブファミリー3メンバーA1)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーO00481(エントリーバージョン102、配列バージョン3)から得ることもでき、(ヒト)CD280(C型マンノース受容体2)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9UBG0(エントリーバージョン79、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD281(Toll様受容体1)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ15399(エントリーバージョン125、配列バージョン3)から得ることもでき、(ヒト)CD282(Toll様受容体2)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーO60603(エントリーバージョン129、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD283(Toll様受容体3)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーO15455(エントリーバージョン120、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD284(Toll様受容体4)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーO00206(エントリーバージョン125、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD286(Toll様受容体6)
の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9Y2C9(エントリーバージョン108、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD288(Toll様受容体8)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9NR97(エントリーバージョン103、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD289(Toll様受容体9)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9NR96(エントリーバージョン107、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD290(Toll様受容体10)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9BXR5(エントリーバージョン105、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD292(1A型骨形成タンパク質受容体)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP36894(エントリーバージョン146、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD294(推定Gタンパク質共役受容体44)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9Y5Y4(エントリーバージョン91、配列バージョン3)から得ることもでき、(ヒト)CD295(レプチン受容体)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP48357(エントリーバージョン132、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD296(GPI結合型NAD(P)(+)-L-アルギニンADPリボシルトランスフェラーゼ1)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP52961(エントリーバージョン96、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD297(エクトADPリボシルトランスフェラーゼ4)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ93070(エントリーバージョン106、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD298(ナトリウム/カリウム輸送ATPアーゼサブユニットベータ3)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP54709(エントリーバージョン102、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD299(C型レクチンドメインファミリー4メンバーM)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9H2X3(エントリーバージョン108、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD300(CMRF35様分子9)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ6UXG3(エントリーバージョン67、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD301(C型レクチンドメインファミリー10メンバーA)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ8IUN9(エントリーバージョン80、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD302(CD302抗原)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ8IX05(エントリーバージョン64、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD303(C型レクチンドメインファミリー4メンバーC)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ8WTT0(エントリーバージョン82、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD304(ニューロピリン1)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーO14786(エントリーバージョン129、配列バージョン3)から得ることもでき、(ヒト)CD305(白血球関連免疫グロブリン様受容体1)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ6GTX8(エントリーバージョン70、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD306(白血球関連免疫グロブリン様受容体2)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ6ISS4(エントリーバージョン63、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD309(血管内皮増殖因子受容体2)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP35968(エントリーバージョン138、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD312(EGF様モジュール含有ムチン様ホルモン受容体様2)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9UHX3(エントリーバージョン113、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD314(II型NKG2-D内在性膜タンパク質)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP26718(エントリーバージョン117、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD315(プロスタグランジンF2受容体負調節因子)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9P2B2(エントリーバージョン98、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD316(免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー8)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ969P0(エントリーバージョン81、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD317(骨髄間質抗原2)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ10589(エントリーバージョン95、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD318(CUBドメイン含有タンパク質1)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9H5V8(エントリーバージョン78、配列バージョン3)から得ることもでき、(ヒト)CD319(SLAMファミリーメンバー7)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9NQ25(エントリーバージョン92、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD320(CD320抗原)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9NPF0(エントリーバージョン86、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD321(接合部接着分子A)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9Y624(エントリーバージョン124、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD322(接合部接着分子B)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP57087(エントリーバージョン107、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD324(カドヘリン1)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP12830(エントリーバージョン157、配列バージョン3)から得ることもでき、(ヒト)CD325(カドヘリン2)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP19022(エントリーバージョン118、配列バージョン4)から得ることもでき、(ヒト)CD326(上皮細胞接着分子)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP16422(エントリーバージョン118、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD327(シアル酸結合Ig様レクチン6)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーO43699(エントリーバージョン107、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD328(シアル酸結合Ig様レクチン7)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9Y286(エントリーバージョン111、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD329(シアル酸結合Ig様レクチン8)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9NYZ4(エントリーバージョン100、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD331(線維芽細胞増殖因子受容体1)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP11362(エントリーバージョン169、配列バージョン3)から得ることもでき、(ヒト)CD332(線維芽細胞増殖因子受容体2)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP21802(エントリーバージョン165、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD333(線維芽細胞増殖因子受容体3)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP22607(エントリーバージョン161、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD334(線維芽細胞増殖因子受容体4)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP22455(エントリーバージョン136、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD335(NCR1(natural cytotoxicity triggering receptor 1))の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーO76036(エントリーバージョン98、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD336(NCR2(natural cytotoxicity triggering receptor 2))の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーO95944(エントリーバージョン86、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD337(NCR3(natural cytotoxicity triggering receptor 3))の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーO14931(エントリーバージョン103、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD338(ATP結合カセットサブファミリーGメンバー2)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9UNQ0(エントリーバージョン120、配列バージョン3)から得ることもでき、(ヒト)CD339(jagged-1タンパク質)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP78504(エントリーバージョン129、配列バージョン3)から得ることもでき、(ヒト)CD340(受容体型チロシンタンパク質キナーゼerbB-2)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP04626(エントリーバージョン162、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD344(Frizzled-4)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9ULV1(エントリーバージョン107、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD349(Frizzled-9)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーO00144(エントリーバージョン103、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD350(Frizzled-10)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9ULW2(エントリーバージョン100、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD351(高アフィニティー免疫グロブリンアルファFc受容体及び高アフィニティー免疫グロブリンミューFc受容体)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ8WWV6(エントリーバージョン65、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD352(SLAMファミリーメンバー6)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ96DU3(エントリーバージョン93、
配列バージョン3)から得ることもでき、(ヒト)CD353(SLAMファミリーメンバー8)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9P0V8(エントリーバージョン80、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD354(TREM1(triggering receptor expressed on myeloid cell 1))の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9NP99(エントリーバージョン93、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD355(細胞傷害性/調節性T細胞分子)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーO95727(エントリーバージョン81、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD357(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー18)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9Y5U5(エントリーバージョン103、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD358(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー21)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーO75509(エントリーバージョン110、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD360(インターロイキン21受容体)の配列を、
Swiss-ProtデータベースエントリーQ9HBE5(エントリーバージョン104、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD361(EVI2Bタンパク質)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP34910(エントリーバージョン87、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD362(シンデカン2)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP34741(エントリーバージョン105、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD363(スフィンゴシン1リン酸受容体1)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP21453(エントリーバージョン116、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)Cripticファミリータンパク質(Cripticファミリータンパク質1-B)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP0CG36(エントリーバージョン12、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)サイロトロピン受容体(TSH-R)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP16473(エントリーバージョン152、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)上皮増殖因子受容体(EGFR)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP00533(エントリーバージョン178、配列バージョン2;(配列番号198(タンパク質)及び197(DNA)))から得ることもできる。
【0062】
上述の通り、上記で記載した三価の二重特異性抗体分子の(Ig由来の)ドメインは、腫瘍細胞の表面上に天然で存在する細胞表面分子、すなわち、腫瘍特異的抗原に対する特異性を伴う、抗原相互作用部位を含みうる。
【0063】
本明細書で使用される「腫瘍細胞の表面上に天然で存在する細胞表面分子」/「腫瘍細胞の表面上に天然で存在する腫瘍特異的抗原」という用語はまた、腫瘍細胞の表面上に提示された分子も表す。「天然に存在する」という用語は、腫瘍細胞の表面上に、内因的に発現する分子に関する。「細胞表面分子」という用語は、細胞の表面上に(天然で/内因的に)発現し/提示され、本明細書で記載される(Ig由来の)三価の二重特異性抗体のドメインに、(インビトロ又はインビボにおいて)アクセス可能なドメイン又はエピトープを含む分子に関する。前記細胞表面分子の例は、膜タンパク質及び膜貫通タンパク質、前記タンパク質又は細胞表面に適合させた分子などである。したがって、本発明の文脈では、前記細胞表面分子は、腫瘍特異的マーカーである。本発明の文脈では、前記腫瘍特異的マーカーは、通例、腫瘍細胞の表面上で内因的に発現するマーカーに関する。
【0064】
本発明の文脈では、「腫瘍特異的マーカー」という用語は、腫瘍細胞の表面上に、天然に/内因的に提示され、かつ/若しくは位置し、又は遍在的に発現するが、腫瘍細胞の表面上の、三価の二重特異性抗体分子、抗体断片、又は抗体誘導体の結合だけにアクセス可能である分子に関する。本明細書で言及される「腫瘍特異的マーカー」は、腫瘍細胞上で優先的に、又は専一的に発現するタンパク質について記載する。「優先的に」が、正常体細胞上より、腫瘍細胞上における、比較的高度な発現を意味するのに対し、「専一的に」とは、専門家に公知の、タンパク質検出の標準的な手段により、体細胞上では見出されない、腫瘍細胞上のタンパク質の発現を意味する。これらの基準を満たすタンパク質は、例えば、当該技術分野で周知の、控除的発現スクリーン又は示差的発現スクリーンにより同定することができる。本発明の治療法により利用するのに、腫瘍細胞特異的な発現がどの程度要請されるのかは、目的の抗原を発現させる細胞と、この抗原に特異的なT細胞とを、併せてインキュベートし、誘導的殺滅の特異性を決定する細胞アッセイにより評価することができる。
【0065】
「優先的発現」とは、遺伝子増幅、転写の上方調節、若しくはmRNA安定化に媒介されるタンパク質の過剰発現、又はこのようなタンパク質の代謝回転に影響を及ぼす突然変異に起因して、正常細胞と比較して、腫瘍細胞上で高度に発現するタンパク質を指す。優先的とはまた、腫瘍細胞上で発現し、また、正常細胞上でも発現するが、ヒト体内の免疫特権領域など、正常細胞が、通例、T細胞又は抗体にアクセス可能ではない場合のタンパク質も規定する。加えて、胎児性発生時に、専一的に発現するタンパク質など、処置の範囲内で、腫瘍細胞上では発現するが、正常細胞上では発現しないタンパク質も、この定義下に収まる。
【0066】
「専一的発現」とは、処置コース中に、腫瘍細胞上だけで見出されるタンパク質を指す。このようなタンパク質は、細胞表面上に提示され、それらの細胞外部分内に、正常細胞上では見出されない、点突然変異又は欠失を保有することが好ましい。同様に、シェダーゼの腫瘍特異的活性から生じるネオエピトープは、この類型に属する。専一的発現はまた、腫瘍上で専一的に見出され、正常細胞上では見出されない、異常な糖構造体も含む。
【0067】
腫瘍細胞の表面上に天然で存在する腫瘍マーカーの例を、本明細書の下記に示すが、これらは、EpCAM(上皮細胞接着分子)、MSLN(メソテリン)、MCSP(メラノーマコンドロイチン硫酸プロテオグリカン)、HER-1(ヒト上皮増殖因子受容体1)、HER-2(ヒト上皮増殖因子受容体2)、HER-3(ヒト上皮増殖因子受容体3)、CD20、CD22、CD33、CD52、FMS様チロシンキナーゼ3(FLT-3)、葉酸受容体1(FOLR1)、ヒト栄養膜細胞表面抗原2(Trop-2)、がん抗原12-5(CA-12-5)、ヒト白血球抗原(抗原D)関連(HLA-DR)、MUC-1(ムチン1)、A33抗原、PSMA(前立腺特異的膜抗原)、PSCA(前立腺幹細胞抗原)、トランスフェリン受容体、テネイシン、又は炭素脱水酵素IX(CA-IX)を含むがこれらに限定されない。
【0068】
したがって、本発明の文脈では、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子は、腫瘍細胞の表面上に天然で存在する抗原/マーカーであって、EpCAM(上皮細胞接着分子)、MSLN(メソテリン)、MCSP(メラノーマコンドロイチン硫酸プロテオグリカン)、HER-1(ヒト上皮増殖因子受容体1)、HER-2(ヒト上皮増殖因子受容体2)、HER-3(ヒト上皮増殖因子受容体3)、CD20、CD22、CD33、CD52、FMS様チロシンキナーゼ3(FLT-3)、葉酸受容体1(FOLR1)、ヒト栄養膜細胞表面抗原2(Trop-2)、がん抗原12-5(CA-12-5)、ヒト白血球抗原(抗原D)関連(HLA-DR)、MUC-1(ムチン1)、A33抗原、PSMA(前立腺特異的膜抗原)、PSCA(前立腺幹細胞抗原)、トランスフェリン受容体、テネイシン、又はCA-IX(炭素脱水酵素IX)からなる群から選択される抗原/マーカーに結合する。
【0069】
EpCAM(上皮細胞接着分子)、MSLN(メソテリン)、MCSP(メラノーマコンドロイチン硫酸プロテオグリカン)、HER-1(ヒト上皮増殖因子受容体1)、HER-2(ヒト上皮増殖因子受容体2)、HER-3(ヒト上皮増殖因子受容体3)、CD20、CD22、CD33、CD52、FMS様チロシンキナーゼ3(FLT-3)、葉酸受容体1(FOLR1)、ヒト栄養膜細胞表面抗原2(Trop-2)、がん抗原12-5(CA-12-5)、ヒト白血球抗原(抗原D)関連(HLA-DR)、MUC-1(ムチン1)、A33抗原、PSMA(前立腺特異的膜抗原)、PSCA(前立腺幹細胞抗原)、トランスフェリン受容体、テネイシン、又はCA-IX(炭素脱水酵素IX)の(ヒト)メンバーの配列は、UniProtKB/Swiss-Protデータベースで利用可能であり、http://www.uniprot.org/uniprot/?query=reviewed%3Ayesから検索することができる。これらの(タンパク質)配列はまた、注釈された修飾配列にも関する。本発明はまた、本明細書で提示されるコンサイス配列の同種配列を使用し、また、対立遺伝子変異体なども使用する技法及び方法も提供する。本明細書のコンサイス配列の、このような「変異体」などを使用することが好ましい。好ましくは、このような「変異体」は、遺伝子変異体である。当業者は、ゲノムDNAのほか、mRNA/cDNAのエントリーもまた含みうる、これらのデータバンクエントリー内の、これらの(タンパク質)配列の関与性のコード化領域を、容易に推定することができる。
【0070】
(ヒト)EpCAM(上皮細胞接着分子)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP16422(エントリーバージョン117、配列バージョン2)から得ることもでき;(ヒト)MSLN(メソテリン)の配列を、UniProtエントリー番号Q13421(バージョン番号132、配列ナンバー2;配列番号149(DNA)及び150(タンパク質))から得ることもでき、(ヒト)FMS様チロシンキナーゼ3(FLT-3)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP36888(主要引用寄託番号)又はQ13414(副次的寄託番号)、バージョン番号165及び配列バージョン2から得ることもでき、(ヒト)MCSP(メラノーマコンドロイチン硫酸プロテオグリカン)の配列を、UniProtエントリー番号Q6UVK1(バージョン番号118、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)葉酸受容体1(FOLR1)の配列を、UniProtエントリー番号P15328(主要引用寄託番号)又はQ53EW2(副次的寄託番号)、バージョン番号153及び配列バージョン3から得ることもでき、(ヒト)栄養膜細胞表面抗原2(Trop-2)の配列を、UniProtエントリー番号P09758(主要引用寄託番号)又はQ15658(副次的寄託番号)、バージョン番号172及び配列バージョン3から得ることもでき、(ヒト)PSCA(前立腺幹細胞抗原)の配列を、UniProtエントリー番号O43653(主要引用寄託番号)又はQ6UW92(副次的寄託番号)、バージョン番号134及び配列バージョン1から得ることもでき、(ヒト)HER-1(上皮増殖因子受容体1)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP00533(エントリーバージョン177、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)HER-2(上皮増殖因子受容体2)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP04626(エントリーバージョン161、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)HER-3(上皮増殖因子受容体3)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP21860(エントリーバージョン140、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD20(Bリンパ球抗原であるCD20)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP11836(エントリーバージョン117、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)CD22(Bリンパ球抗原であるCD22)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP20273(エントリーバージョン135、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CD33(Bリンパ球抗原であるCD33)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP20138(エントリーバージョン129、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)CA-12-5(ムチン16)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ8WXI7(エントリーバージョン66、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)HLA-DRの配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ29900(エントリーバージョン59、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)MUC-1(ムチン1)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP15941(エントリーバージョン135、配列バージョン3)から得ることもでき、(ヒト)A33(細胞 表面 A33抗原)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ99795(エントリーバージョン104、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)PSMA(前立腺特異的膜抗原)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ04609(エントリーバージョン133、配列バージョン1)から得ることもでき、(ヒト)トランスフェリン受容体の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ9UP52(エントリーバージョン99、配列バージョン1)及びP02786(エントリーバージョン152、配列バージョン2)から得ることもでき、(ヒト)テネイシンの配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーP24821(エントリーバージョン141、配列バージョン3)から得ることもでき、(ヒト)CA-IX(炭酸脱水酵素IX)の配列を、Swiss-ProtデータベースエントリーQ16790(エントリーバージョン115、配列バージョン2)から得ることもできる。
【0071】
本明細書で提示される分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)は、医療現場において、特に、有用である。例えば、悪性疾患は、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子により処置することができる。本発明の文脈では、悪性疾患は、上皮由来、内皮由来、若しくは中皮由来のがん/癌腫、又は血液がんでありうる。本発明の文脈では、がん/癌腫は、胃腸がん、膵臓がん、胆管細胞がん、肺がん、乳がん、卵巣がん、皮膚がん、口腔がん、胃がん、子宮頸がん、Bリンパ腫及びT細胞リンパ腫、骨髄性白血病、卵巣がん、白血病、リンパ性白血病、鼻咽頭癌、結腸がん、前立腺がん、腎細胞がん、頭頸部がん、皮膚がん(メラノーマ)、泌尿生殖器がん、例えば、精巣がん、卵巣がん、内皮がん、子宮頸がん、及び腎臓がん、胆管がん、食道がん、唾液腺がん、及び甲状腺がん、又は血液腫瘍、神経膠腫、肉腫、若しくは骨肉腫など、他の腫瘍性疾患からなる群から選択される。
【0072】
本明細書で提示される分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される二重特異性抗体分子)は、医療現場において、特に、有用である。例えば、腫瘍性疾患及び/又はリンパ腫は、これらの医学的適応を指向する二重特異性コンストラクトにより処置することができる。三価の二重特異性抗体/分子の適応は、腫瘍抗原の発現によりもたらされる。実態内で発現する腫瘍抗原を、上述のT細胞マーカー(天然に存在する/腫瘍細胞の表面上に内因的に発現する抗原を表す)のうちのいずれかと、実質的に結びつけることができる。例えば、胃腸がん、膵臓がん、胆管細胞がん、肺がん、乳がん、卵巣がん、皮膚がん、及び/又は口腔がんは、(ヒト)EpCAM(腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原としての)を指向し、1つ又はT細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する、1つ又は2つの結合ドメインを含む、三価で二重特異性の分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)で処置することができる。したがって、本発明の文脈では、EpCAM、好ましくは、ヒトEpCAMを指向し、Criptoを指向する/これに結合する/これと相互作用する、1つ又は2つの結合ドメインをさらに含む、三価の二重特異性抗体コンストラクトを、胃腸がん、例えば、胃腸由来の腺癌の処置において使用することができる。したがって、本発明の文脈では、三価の二重特異性抗体コンストラクト/分子は、1つの結合ドメインを介して、EpCAM、好ましくは、ヒトEpCAMを指向し、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する、2つの結合ドメインを含む。本発明の代替的な実施態様では、三価の二重特異性抗体分子はまた、2つの結合ドメインを介して、EpCAM、好ましくは、ヒトEpCAMを指向し、1つの結合ドメインが、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向するようにデザインすることもできる。
【0073】
胃腸がん、膵臓がん、胆管細胞がん、肺がん、乳がん、卵巣がん、皮膚がん、及び/又は口腔がんは、1つ又は2つの結合ドメインを介して、HER1、好ましくは、ヒトHER1(腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原としての)を指向し、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する、1つ又は2つの結合ドメインを含む、三価で二重特異性の分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)により処置することができる。これは、胃腸がん、膵臓がん、胆管細胞がん、肺がん、乳がん、卵巣がん、皮膚がん、及び/又は口腔がんは、2つの結合ドメインを介して、HER1、好ましくは、ヒトHER1(腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原としての)を指向し、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する1つの結合ドメインを含む、三価で二重特異性の分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)により処置しうることを意味する。代替的に、胃腸がん、膵臓がん、胆管細胞がん、肺がん、乳がん、卵巣がん、皮膚がん、及び/又は口腔がんは、1つの結合ドメインを介して、HER1、好ましくは、ヒトHER1(腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原としての)を指向し、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する2つの結合ドメインを含む、三価で二重特異性の分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)により処置することができる。さらに、胃腸がん、膵臓がん、胆管細胞がん、肺がん、乳がん、卵巣がん、皮膚がん、膠芽細胞腫、及び/又は口腔がんは、1つ又は2つの結合ドメインを介して、MCSP、好ましくは、ヒトMCSP(腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原としての)を指向し、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する、1つ又は2つの結合ドメインを含む、三価で二重特異性の分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)により処置することができる。胃腸がん、膵臓がん、胆管細胞がん、肺がん、乳がん、卵巣がん、皮膚がん、膠芽細胞腫、及び/又は口腔がんは、1つ又は2つの結合ドメインを介して、FOLR1、好ましくは、ヒトFOLR1(腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原としての)を指向し、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する、1つ又は2つの結合ドメインを含む、三価で二重特異性の分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)により処置することができる。胃腸がん、膵臓がん、胆管細胞がん、肺がん、乳がん、卵巣がん、皮膚がん、膠芽細胞腫、及び/又は口腔がんは、1つ又は2つの結合ドメインを介して、Trop-2、好ましくは、ヒトTrop-2(腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原としての)を指向し、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する、1つ又は2つの結合ドメインを含む、三価で二重特異性の分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)により処置することができる。胃腸がん、膵臓がん、胆管細胞がん、肺がん、乳がん、卵巣がん、皮膚がん、膠芽細胞腫、及び/又は口腔がんは、1つ又は2つの結合ドメインを介して、PSCA、好ましくは、ヒトPSCA(腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原としての)を指向し、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する、1つ又は2つの結合ドメインを含む、三価で二重特異性の分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)により処置することができる。胃腸がん、膵臓がん、胆管細胞がん、肺がん、乳がん、卵巣がん、皮膚がん、膠芽細胞腫、及び/又は口腔がんは、1つ又は2つの結合ドメインを介して、EGFRvIII、好ましくは、ヒトEGFRvIII(腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原としての)を指向し、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する、1つ又は2つの結合ドメインを含む、三価で二重特異性の分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)により処置することができる。胃腸がん、膵臓がん、胆管細胞がん、肺がん、乳がん、卵巣がん、皮膚がん、膠芽細胞腫、及び/又は口腔がんは、1つ又は2つの結合ドメインを介して、MSLN、好ましくは、ヒトMSLN(腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原としての)を指向し、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する、1つ又は2つの結合ドメインを含む、三価で二重特異性の分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)により処置することができる。胃がん、乳がん、及び/又は子宮頸がんは、1つ又は2つの結合ドメインを介して、HER2、好ましくは、ヒトHER2(腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原としての)を指向し、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する、1つ又は2つの結合ドメインを含む、三価で二重特異性の分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)により処置することができる。胃がん及び/又は肺がんは、1つ又は2つの結合ドメインを介して、HER3、好ましくは、ヒトHER3(腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原としての)を指向し、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する、1つ又は2つの結合ドメインを含む、三価で二重特異性の分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)により処置することができる。B細胞リンパ腫及び/又はT細胞リンパ腫は、1つ又は2つの結合ドメインを介して、CD20、好ましくは、ヒトCD20(腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原としての)を指向し、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する、1つ又は2つの結合ドメインを含む、三価で二重特異性の分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)により処置することができる。B細胞リンパ腫及び/又はT細胞リンパ腫は、1つ又は2つの結合ドメインを介して、CD22、好ましくは、ヒトCD22(腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原としての)を指向し、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する、1つ又は2つの結合ドメインを含む、三価で二重特異性の分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)により処置することができる。骨髄性白血病は、1つ又は2つの結合ドメインを介して、CD33、好ましくは、ヒトCD33(腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原としての)を指向し、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する、1つ又は2つの結合ドメインを含む、三価の二重特異性コンストラクトにより処置することができる。卵巣がん、肺がん、乳がん、及び/又は胃腸がんは、1つ又は2つの結合ドメインを介して、CA12-5、好ましくは、ヒトCA12-5(腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原としての)を指向し、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する、1つ又は2つの結合ドメインを含む、三価で二重特異性の分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)により処置することができる。胃腸がん、白血病、及び/又は鼻咽頭癌は、1つ又は2つの結合ドメインを介して、HLA-DR、好ましくは、ヒトHLA-DR(腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原としての)を指向し、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する、1つ又は2つの結合ドメインを含む、三価で二重特異性の分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)により処置することができる。結腸がん、乳がん、卵巣がん、肺がん、及び/又は膵臓がんは、1つ又は2つの結合ドメインを介して、MUC-1、好ましくは、ヒトMUC-1(腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原としての)を指向し、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する、1つ又は2つの結合ドメインを含む、三価で二重特異性の分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)により処置することができる。結腸がんは、1つ又は2つの結合ドメインを介して、A33、好ましくは、ヒトA33(腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原としての)を指向し、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、
すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する、1つ又は2つの結合ドメインを含む、三価で二重特異性の分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)により処置することができる。前立腺がんは、1つ又は2つの結合ドメインを介して、PSMA、好ましくは、ヒトPSMA(腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原としての)を指向し、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する、1つ又は2つの結合ドメインを含む、三価で二重特異性の分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)により処置することができる。胃腸がん、膵臓がん、胆管細胞がん、肺がん、乳がん、卵巣がん、皮膚がん、及び/又は口腔がんは、1つ又は2つの結合ドメインを介して、トランスフェリン受容体、好ましくは、ヒトトランスフェリン受容体(腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原としての)を指向し、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する、1つ又は2つの結合ドメインを含む、三価で二重特異性の分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)により処置することができる。膵臓がん、肺がん、及び/又は乳がんは、1つ又は2つの結合ドメインを介して、トランスフェリン受容体、好ましくは、ヒトトランスフェリン受容体(腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原としての)を指向し、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する、1つ又は2つの結合ドメインを含む、三価で二重特異性の分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)により処置することができる。腎がんは、1つ又は2つの結合ドメインを介して、CA-IX、好ましくは、ヒトCA-IX(腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原としての)を指向し、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する、1つ又は2つの結合ドメインを含む、三価で二重特異性の分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)により処置することができる。
【0074】
また、添付の実施例でも、本発明の概念実証として、例示的に示されるように、本発明の、特異的な、三価の二重特異性抗体分子は、ヒトEGFRvIIIに結合する/これを指向する/これと相互作用するか又はこれ上で相互作用する、上記で規定された第1の(Ig由来の)ドメイン及び第2の(Ig由来の)ドメインと、マウスEpCAMに結合する/これを指向する/これと相互作用するか又はこれ上で相互作用する、第2の(Ig由来の)ドメインとを含む(図9を参照されたい)。さらに、図10は、本発明の、特異的な、三価の二重特異性抗体分子は、ヒトEGFRvIIIに結合する/これを指向する/これと相互作用するか又はこれ上で相互作用する、上記で規定された第1の(Ig由来の)ドメイン及び第2の(Ig由来の)ドメインと、ヒトMSLNに結合する/これを指向する/これと相互作用するか又はこれ上で相互作用する、第2の(Ig由来の)ドメインとを含むことを例示する。さらに、図11は、本発明の、特異的な、三価の二重特異性抗体分子は、ヒトEGFRvIIIに結合する/これを指向する/これと相互作用するか又はこれ上で相互作用する、上記で規定された第1の(Ig由来の)ドメイン及び第2の(Ig由来の)ドメインと、ヒトMCSPに結合する/これを指向する/これと相互作用するか又はこれ上で相互作用する、第2の(Ig由来の)ドメインとを含むことを例示する。EGFRvIII及びEpCAMに対する、三価の二重特異性抗体を使用するか、EGFRvIII及びMSLNに対する、三価の二重特異性抗体を使用するか、又はEGFRvIII及びMCSPを指向する、三価の二重特異性抗体を使用することにより処置しうる疾患は、胃腸がん、膵臓がん、胆管細胞がん、肺がん、乳がん、卵巣がん、皮膚がん、膠芽細胞腫、及び/又は口腔がんを含む。
【0075】
上皮細胞接着分子(EpCAM;また、17-1A抗原、KSA、EGP40、GA733-2、ks1-4、又はesaとも呼ばれる)は、ある特定の上皮内及び多くのヒト癌腫上の特異的発現を伴う、314アミノ酸で、40kDaの膜貫通糖タンパク質である(Balzar、J. Mol. Med. (1999)、77、699-712に概説がある)。EpCAMは、発見され、その後、マウスモノクローナル抗体である17-1A/エドレコロマブによるその認識を介してクローニングされた(Goettlinger、Int J Cancer、38 (1986)、47-53;及びSimon、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、87 (1990)、2755-2759)。EpCAMは、方向付けられ、高度に順序付けられた形で、上皮細胞に接着するように働く(Litvinov、J Cell Biol.、139 (1997)、1337-1348)。上皮細胞が悪性形質転換すると、急速に増殖する腫瘍細胞は、上皮の高度な細胞秩序を放棄する。結果として、EpCAMの表面分布の拘束は低下し、腫瘍細胞上の分子の露出はより大きくなり、腫瘍細胞の表面上の、抗体、抗体断片、又は抗体誘導体の結合にアクセス可能となる。それらの上皮細胞由来のために、大半の癌腫に由来する腫瘍細胞はやはり、それらの表面上に、EpCAMを発現させる。
【0076】
インビボにおけるEpCAMの発現は、上皮の増殖の増大に関し、細胞の分化と負に相関する(概説については、Balzar、J. Mol. Med.、77 (1999)、699-712を参照されたい)。EpCAMの発現は、全ての主要な癌腫に本質的にみられる(Balzar、J. Mol. Med.、77 (1999)、699-712に概説があるか、又は、特に、De Bree、Nucl Med Commun.、15 (1994)、613-27;Zhang、Clin Cancer Res.、4 (1998)、295-302に記録されている)。その広範な発現のために、EpCAMを、「汎癌」抗原と称する。多くの症例では、腫瘍細胞は、それらの親上皮又は前記がんの侵襲性の小さな形態よりはるかに高度に、EpCAMを発現させることが観察された。例えば、EpCAM発現の増大は、前立腺がんの発生における早期イベントを表す(Poczatek、J. Urol.、162 (1999)、1462-1644)。加えて、頸部の扁平上皮癌及び腺癌のいずれの大半でも、強いEpCAMの発現は、増殖の増大、及び終末分化についてのマーカーの消滅と相関する(Litvinov、Am. J. Pathol.、148 (1996)、865-75)。乳がんでは、腫瘍細胞上の、EpCAMの過剰発現は、生存率の予測因子である(Gastl、Lancet、356 (2000)、1981-1982)。EpCAMは、頭部、頸部、及び肺の扁平上皮癌を患う患者における、播種性腫瘍細胞の検出のためのマーカーである(Chaubal、Anticaner Res.、19 (1999)、2237-2242;及びPiyathilake、Hum. Pathol.、31 (2000)、482-487)。表皮、口腔、喉頭蓋、咽頭、喉頭、及び食道において見出される、正常な扁平上皮は、EpCAMを、著明に発現させなかった(Quak、Hybridoma、9 (1990)、377-387)。EpCAMは、原発性NSCLC、転移性NSCLC、及び播種性NSCLC(非小細胞肺がん細胞(Passlick、Int J Cancer、87 (2000)、548-552))の大半の上、胃腺癌及び胃-食道接合点腺癌(Martin、J. Clin. Pathol.、52 (1999)、701-4)の上、ならびに結腸直腸癌、膵臓癌、及び乳癌に由来する細胞株内(Szala、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、87 (1990)、3542-6;及びPackeisen、Hybridoma、18 (1999)、37-40)で発現することが示されている。
【0077】
添付の実施例で、本発明の概念実証として、例示的に示されるように、三価の二重特異性抗体分子である「BsAb EGFRvIII-EpCAM」(プラスミド/ベクターである、「EGFR vIII MR1.1 VH Ck muEpCAM VH CH1 EE Fc knob PG LALA,pETR14953」、「EGFR vIII MR1.1 VL CH1,pETR14951」、「VL EpCAM G.8.8 Ck RK,pETR14882」、及び「VH muEpCAM CH1 EE Fc hole PG LALA HRYF,pETR14940を含む/これらからなる配列番号233)であって、ヒトEGFRvIIIに結合する/これを指向する/これと相互作用するか又はこれ上で相互作用する、1つのドメインと、マウスEpCAMに結合する/これを指向する/これと相互作用するか又はこれ上で相互作用する、2つのドメインとを含む、三価の二重特異性抗体分子を構築した。三価の二重特異性抗体分子である「BsAb EGFRvIII-EpCAM」の配列(アミノ酸及びDNA)を、下記の表1及び2に示す。
表1:
表2:
【0078】
さらに、本発明の概念実証として、図10で例示される通り、三価の二重特異性抗体である「BsAb EGFRvIII-MSLN」(プラスミド/ベクターである、「EGFRvIII MR1.1 VH Ck MSLN CH CH1 EE Fc knob PG LALA,pETR15655」、「EGFR vIII MR1.1 VL CH1,pETR15656」、「VL MSLN Ck RK,pETR15443」、及び「VH MSLN CH1 EE Fc hole PG LALA HRYF,pETR15667」を含む/これらからなる配列番号235)であって、ヒトMSLNに結合する/これを指向する/これと相互作用するか又はこれ上で相互作用する、2つのドメインと、ヒトEGFRvIIIに結合する/これを指向する/これと相互作用するか又はこれ上で相互作用する、1つのドメインとを含む、三価の二重特異性抗体分子を構築した。三価の二重特異性抗体分子である「BsAb EGFRvIII-MSLN」の配列(アミノ酸及びDNA)を、表3及び4に示す。
表3:
表4:
【0079】
さらに、本発明の概念実証として、図11で例示される通り、三価の二重特異性抗体である「BsAb EGFRvIII-MCSP」(プラスミドである、「MR1.1 EGFRvIII VH-Ck-(G4S)2 MCSP M4-3 VH CH1 EE Fc knob PG LALA,pETR16621」、「EGFR vIII MR1.1 VL CH1,pETR15656」、「MCSP ML2 VL Ck RK,pETR16619」、及び「MCSP M4-3 VH CH1 EE Fc hole PG LALA HYRF,pETR16618」を含む/これらからなる配列番号234)であって、ヒトMCSPに結合する/これを指向する/これと相互作用するか又はこれ上で相互作用する、2つのドメインと、ヒトEGFRvIIIに結合する/これを指向する/これと相互作用するか又はこれ上で相互作用する、1つのドメインとを含む、三価の二重特異性抗体分子を構築した。三価の二重特異性抗体分子である「BsAb EGFRvIII-MCSP」の配列(アミノ酸及びDNA)を、表5及び6に示す。
表5:
表6
【0080】
本発明はまた、本発明の、三価の二重特異性抗体分子をコードする核酸分子も提供する。本発明にはまた、本発明の融合タンパク質をコードする核酸分子も包摂される。
【0081】
「核酸分子」という用語は、ポリヌクレオチドにより構成される、プリン塩基及びピリミジン塩基を含む塩基であって、核酸分子の一次構造を表す塩基の配列に関する。本明細書の「核酸分子」という用語は、DNA、cDNA、ゲノムのDNA、RNA、DNAの合成型、及びこれらの分子のうちの2つ又はこれを超える分子を含む混合型ポリマーを含む。加えて、「核酸分子」という用語は、センス鎖及びアンチセンス鎖の両方を含む。さらに、本明細書で記載される「核酸分子」は、当業者によりたやすく察知される通り、非天然ヌクレオチド塩基又は誘導体化ヌクレオチド塩基を含有しうる。本発明の融合タンパク質をコードする、例示的核酸分子を、配列番号41、43、45、47、49、又は119に示す。さらに、例示的に述べると、本発明の、三価の二重特異性抗体分子の、重鎖及び/又は軽鎖の領域をコードする核酸分子を、配列番号1、3、5、7(表1及び2を参照されたい)、配列番号21、23、25、27(表3及び4を参照されたい)、ならびに配列番号207、209、211、及び213(表5及び6を参照されたい)に示す。
【0082】
本発明の核酸分子は、調節配列の制御下にありうる。例えば、プロモーター、転写エンハンサー、及び/又は本発明の融合タンパク質の誘導的発現を可能とする配列を援用することができる。本発明の文脈では、核酸分子を、構成的プロモーター又は誘導的プロモーターの制御下で発現させる。適切なプロモーターは、例えば、CMVプロモーター(Qinら、PLoS One、5 (5) (2010)、e10611)、UBCプロモーター(Qinら、PLoS One、5 (5) (2010)、e10611)、PGK(Qinら、PLoS One、5 (5) (2010)、e10611)、EF1Aプロモーター(Qinら、PLoS One、5 (5) (2010)、e10611)、CAGGプロモーター(Qinら、PLoS One、5 (5) (2010)、e10611)、SV40プロモーター(Qinら、PLoS One、5 (5) (2010)、e10611)、COPIAプロモーター(Qinら、PLoS One、5 (5) (2010)、e10611)、ACT5Cプロモーター(Qinら、PLoS One、5 (5) (2010)、e10611)、TREプロモーター(Qinら、PLoS One、5 (5) (2010)、e10611)、Oct3/4プロモーター(Changら、Molecular Therapy、9(2004)、S367 (doi: 10.1016/j.ymthe.2004.06.904))、又はNanogプロモーター(Wuら、Cell Res.、15 (5) (2005)、317-24)である。
【0083】
「調節配列」という用語は、それらがライゲーションされたコード配列の発現を行うのに必要なDNA配列を指す。このような制御配列の性格は、宿主生物に応じて異なる。原核生物では、制御配列は、一般に、プロモーター、リボソーム結合部位、及びターミネーターを含む。真核生物では、一般に、制御配列は、プロモーター、ターミネーターを含み、場合によって、エンハンサー、トランス活性化因子、又は転写因子を含む。「制御配列」という用語は、最低限で、それらの存在が発現に必要な、全ての構成要素を含むことを意図し、また、さらなる有利な構成要素も含みうる。
【0084】
前記核酸分子は、前述の核酸分子のうちのいずれかを、単独で、又は組合せで含む、組換えにより作製されたキメラ核酸分子でありうる。本発明の文脈では、核酸分子は、ベクターの一部である。
【0085】
したがって、本発明はまた、本発明で記載される核酸分子を含むベクターにも関する。本明細書における「ベクター」という用語は、それが導入された宿主細胞(すなわち、形質導入細胞)内で自律的に複製されうる、環状又は直鎖状の核酸分子に関する。当業者には、多くの適切なベクターが公知であり、分子生物学では、それらの選択は、所望される機能に依存し、遺伝子操作において、従来使用されている、プラスミド、コスミド、ウイルス及びバクテリオファージ、及び他のベクターを含む。当業者に周知の方法を使用して、多様なプラスミド及びベクターを構築することができる。例えば、Sambrookら(前出);及びAusubel、「Current Protocol in Molecular Biology」、Green Publishing Associates and Wiley Interscience、N.Y.(1989)、(1994)において記載されている技法を参照されたい。代替的に、本発明のポリヌクレオチド及びベクターを、標的細胞への送達のためのリポソームに再構築することができる。下記でさらに詳細に論じる通り、クローニングベクターを使用して、DNAの個別の配列を単離する。関与性の配列を、特定のポリペプチドの発現が要請される発現ベクターに導入することができる。典型的なクローニングベクターは、pBluescriptSK、pGEM、pUC9、pBR322、pGA18、及びpGBT9を含む。典型的な発現ベクターは、pTRE、pCAL-n-EK、pESP-1、pOP13CATを含む。
【0086】
本発明はまた、本明細書で規定される三価の二重特異性抗体コンストラクト(分子)をコードする前記核酸分子に動作可能に連結された調節配列である核酸分子を含むベクターにも関する。本発明の文脈では、ベクターは、ポリシストロニックでありうる。添付の実施例に示されるように、三価の二重特異性抗体分子は、各核酸分子が、調節配列に動作可能に連結された、少なくとも3つの異なる核酸分子上で発現させることができる。
【0087】
当業者には、このような調節配列(制御エレメント)が公知であり、プロモーター、スプライスカセット、翻訳開始コドン、翻訳部位、及びインサートを、ベクターに導入するための挿入部位を含みうる。本発明の文脈では、前記核酸分子を、真核細胞内又は原核細胞内の発現を可能とする前記発現制御配列に、動作的に連結する。
【0088】
前記ベクターは、本明細書で規定される三価の二重特異性抗体コンストラクト(分子)をコードする核酸分子を含む発現ベクターであることが想定される。
【0089】
「調節配列」という用語は、それらがライゲーションされたコード配列の発現を行うのに必要なDNA配列を指す。このような制御配列の性格は、宿主生物に応じて異なる。原核生物では、制御配列は、一般に、プロモーター、リボソーム結合部位、及びターミネーターを含む。真核生物では、一般に、制御配列は、プロモーター、ターミネーターを含み、場合によって、エンハンサー、トランス活性化因子、又は転写因子を含む。「制御配列」という用語は、最低限で、それらの存在が発現に必要な、全ての構成要素を含むことを意図し、また、さらなる有利な構成要素も含みうる。
【0090】
「動作可能に連結された」という用語は、そのように記載された構成要素を、それらが、それらの目的の形で機能することを可能とする関係に置く並置を指す。コード配列に「動作可能に連結された」制御配列は、制御配列と適合的な条件下で、コード配列の発現が達成されるような形でライゲーションされている。制御配列がプロモーターである場合、当業者には、二本鎖核酸を使用することが好ましいことが明らかである。
【0091】
本発明の文脈では、列挙されたベクターは、発現ベクターである。「発現ベクター」は、選択された宿主を形質転換するのに使用することが可能であり、選択された宿主において、コード配列の発現をもたらすコンストラクトである。例えば、発現ベクターは、クローニングベクター、二元ベクター、又は組込みベクターでありうる。発現は、核酸分子の、好ましくは、翻訳可能なmRNAへの転写を含む。当業者には、原核生物及び/又は真核細胞における発現を確保する調節エレメントが周知である。真核細胞の場合、調節エレメントは、通常、転写の開始を確保するプロモーターを含み、任意選択で、転写の終結及び転写物の安定化を確保するポリAシグナルを含む。原核宿主細胞内の発現を可能とする、可能な調節エレメントは、例えば、大腸菌(E.coli)内のPLプロモーター、lacプロモーター、trpプロモーター、又はtacプロモーターを含み、真核生物の宿主細胞内の発現を可能とする調節エレメントの例は、酵母におけるAOX1プロモーター若しくはGAL1プロモーター、又は哺乳動物及び他の動物細胞における、CMVプロモーター、SV40プロモーター、RSVプロモーター(ラウス肉腫ウイルス)、CMVエンハンサー、SV40エンハンサー、又はグロビンイントロンである。
【0092】
転写の開始の一因となるエレメントのほか、このような調節エレメントはまた、ポリヌクレオチドの下流において、SV40-poly-A部位又はtk-poly-A部位などの転写終結シグナルも含みうる。さらに、使用される発現系に応じて、ポリペプチドを、細胞コンパートメントに方向付けるか、又は培地に分泌することが可能なリーダー配列を、列挙された核酸配列のコード配列に添加することもでき、当該技術分野では、これらが周知である(例えば、また、添付の実施例も参照されたい)。
【0093】
リーダー配列は、適切な段階で、翻訳配列、開始配列、及び終止配列、ならびに、好ましくは、翻訳されたタンパク質又はこの部分の、細胞周辺腔又は細胞外培地への分泌を方向付けることが可能なリーダー配列と共にアセンブルされる。任意選択で、異種配列は、所望の特性、例えば、発現させた組換え産物の安定化又は精製の簡略化を付与するN末端同定ペプチドを含む融合タンパク質をコードしうる(前出を参照されたい)。この文脈では、当該技術分野では、岡山-バーグによるcDNA発現ベクターpcDV1(Pharmacia)、pCDM8、pRc/CMV、pcDNA1、pcDNA3(In-vitrogene)、pEF-DHFR、pEF-ADA若しくはpEF-neo(Raumら、Cancer Immunol Immunother、50 (2001)、141-150)、又はpSPORT1(GIBCO BRL)など、適切な発現ベクターが公知である。
【0094】
本発明の文脈では、発現制御配列は、真核生物の宿主細胞を形質転換するか、又はこれにトランスフェクトすることが可能なベクター内の、真核性プロモーター系であるが、原核生物宿主の制御配列もまた使用することができる。ベクターを、適切な宿主に組み込んだら、宿主を、ヌクレオチド配列の高レベルの発現に適する条件下で維持する。所望に応じ、本発明のポリペプチドの回収及び精製が後続する。例えば、添付の実施例を参照されたい。
【0095】
細胞周期相互作用型タンパク質を発現させるのに使用されうる、代替的な発現系は、昆虫系である。1つのこのような系では、Autographa californica核多角体病ウイルス(AcNPV)を、ヨトウガ細胞又はTrichoplusia属幼虫において、外来の遺伝子を発現させるベクターとして使用する。列挙された核酸分子のコード配列は、ポリヘドリン遺伝子など、ウイルスの非必須領域にクローニングし、ポリヘドリンプロモーターの制御下に置くことができる。前記コード配列の挿入の成功は、ポリヘドリン遺伝子を不活性とし、コートタンパク質のコートを欠く組換えウイルスをもたらす。次いで、組換えウイルスを使用して、ヨトウガ細胞又はTrichoplusia属幼虫に感染させ、これらの中で、本発明のタンパク質を発現させる(Smith、J. Virol.、46 (1983)、584;Engelhard、Proc. Nat. Acad. Sci. USA、91 (1994)、3224-3227)。
【0096】
さらなる調節エレメントは、転写エンハンサーのほか、翻訳エンハンサーを含みうる。上記で記載された、本発明のベクターは、選択マーカー及び/又はスコア付け用マーカーを含むと有利である。
【0097】
当業者には、形質転換細胞の選択に有用であり、例えば、形質転換された植物組織及び形質転換植物の選択に有用な選択マーカー遺伝子が周知であり、例えば、メトトレキサートに対する耐性を付与するdhfr(Reiss、Plant Physiol. (Life Sci. Adv.)、13 (1994)、143-149)、アミノグリコシドである、ネオマイシン、カナマイシン、及びパロマイシンに対する耐性を付与するnpt(Herrera-Estrella、EMBO J.、2 (1983)、987-995)、及びハイグロマイシンに対する耐性を付与するhygro(Marsh、Gene 32 (1984)、481-485)についての選択のベースとしての代謝拮抗剤耐性を含む。さらなる選択遺伝子、すなわち、細胞が、トリプトファンの代わりにインドールを活用することを可能とするtrpB;細胞が、ヒスチジンの代わりにヒスチノールを活用することを可能とするhisD(Hartman、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、85 (1988)、8047);細胞が、マンノースを活用することを可能とするマンノース-6-リン酸イソメラーゼ(国際公開第94/20627号)、及びオルニチンデカルボキシラーゼ阻害剤に対する耐性を付与するODC(オルニチンデカルボキシラーゼ)、2-(ジフルオロメチル)-DL-オルニチン、DFMO(McConlogue、1987、「Current Communications in Molecular Biology」、Cold Spring Harbor Laboratory刊)、又はブラストサイジンSに対する耐性を付与するAspergillus terreusに由来するデアミナーゼ(Tamura、Biosci. Biotechnol. Biochem.、59 (1995)、2336-2338)についても記載されている。
【0098】
当業者には、有用なスコア付けマーカーもまた公知であり、市販されている。前記マーカーが、ルシフェラーゼ(Giacomin、Pl. Sci.、116 (1996)、59-72;Scikantha、J. Bact.、178 (1996)、121)、緑色蛍光タンパク質(Gerdes、FEBS Lett.、389 (1996)、44-47)、又はβ-グルクロニダーゼ(Jefferson、EMBO J.、6 (1987)、3901-3907)をコードする遺伝子であると有利である。この実施態様は、列挙されたベクターを含有する、細胞、組織、及び生物体の、簡略及び迅速なスクリーニングに、特に、有用である。
【0099】
上記で記載した通り、列挙された核酸分子を、単独で使用することもでき、コードされる、三価の二重特異性コンストラクトを、例えば、精製を目的に、また、遺伝子治療も目的に、細胞内で発現させるベクターの一部として、好ましくは、形質導入されたT細胞と組み合わせて使用することもできる。上記で記載した、三価の二重特異性抗体分子のうちのいずれか1つをコードするDNA配列を含有する核酸分子又はベクターを、細胞に導入すると、これにより、目的のポリペプチドが産生される。エクスビボ法又はインビボ法により、治療用遺伝子を、細胞に導入することに基づく遺伝子治療は、遺伝子導入の、最も重要な適用のうちの1つである。インビトロ又はインビボにおける遺伝子治療に適するベクター、方法、又は遺伝子送達系は、文献において記載されており、当業者にも公知である。例えば、Giordano、Nature Medicine、2 (1996)、534-539;Schaper、Circ. Res.、79 (1996)、911-919;Anderson、Science、256 (1992)、808-813;Verma、Nature、389 (1994)、239;Isner、Lancet、348 (1996)、370-374;Muhlhauser、Circ. Res.、77 (1995)、1077-1086;Onodera、Blood、91 (1998)、30-36;Verma、Gene Ther.、5 (1998)、692-699;Nabel、Ann. N.Y. Acad. Sci.、811 (1997)、289-292;Verzeletti、Hum. Gene Ther.、9 (1998)、2243-51;Wang、Nature Medicine、2 (1996)、714-716;国際公開第94/29469号;国際公開第97/00957号;米国特許第5580859号;米国特許第5589466号;又はSchaper、Current Opinion in Biotechnology、7 (1996)、635-640.を参照されたい。列挙された核酸分子及びベクターは、細胞への直接的導入のためにデザインすることもでき、細胞への、リポソーム又はウイルスベクター(例えば、アデノウイルス、レトロウイルス)を介した導入のためにデザインすることもできる。本発明の文脈では、前記細胞は、生殖系列細胞、胚細胞、若しくは卵母細胞であるか、又はこれ由来し、最も好ましくは、前記細胞は、幹細胞である。胚性幹細胞の例は、特に、Nagy、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90(1993)、8424-8428において記載されている幹細胞でありうる。
【0100】
上記に従い、本発明は、本明細書で規定される二重特異性抗体コンストラクトのポリペプチド配列をコードする核酸分子を含む遺伝子操作において、従来使用されている、ベクター、特に、プラスミド、コスミド、及びバクテリオファージを導出する方法に関する。本発明の文脈では、前記ベクターは、発現ベクター及び/又は遺伝子導入ベクター若しくはターゲティングベクターである。レトロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、又はウシパピローマウイルスなどのウイルスに由来する発現ベクターを、列挙されたポリヌクレオチド又はベクターの、標的細胞集団への送達に使用することができる。
【0101】
当業者に周知の方法を使用して、組換えベクターを構築することができる。例えば、Sambrookら(前出)、Ausubel(1989、前出)、又は他の標準的な教科書において記載されている技法を参照されたい。代替的に、列挙された核酸分子及びベクターを、標的細胞への送達のためのリポソームに再構築することができる。本発明の核酸分子を含有するベクターは、細胞宿主の種類に応じて変動する、周知の方法により、宿主細胞に導入することができる。例えば、原核細胞には、塩化カルシウムトランスフェクションを一般に活用するのに対し、他の細胞宿主には、リン酸カルシウム処置又はエレクトロポレーションを使用することができる(Sambrook、前出を参照されたい)。列挙されるベクターは、特に、pEF-DHFR、pEF-ADA、又はpEF-neoでありうる。ベクターである、pEF-DHFR、pEF-ADA、及びpEF-neoについては、当該技術分野で、例えば、Mackら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、92 (1995)、7021-7025;及びRaumら、Cancer ImmunolImmunother、50(2001)、141-150において記載されている。
【0102】
本発明はまた、本明細書で記載されるベクターで形質転換されるか、又はこれをトランスフェクトされた宿主も提供する。前記宿主は、上記で記載されたベクターのうちの少なくとも1つ、又は上記で記載された核酸分子のうちの少なくとも1つを、宿主に導入することにより作製することができる。宿主内の、前記少なくとも1つのベクター、又は少なくとも1つの核酸分子の存在は、上記で記載された、三価の二重特異性抗体分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)をコードする遺伝子の発現を媒介しうる。本発明のベクターは、ポリシストロニックでありうる。
【0103】
本発明の、三価の二重特異性抗体分子の発現の場合、軽鎖の重複は、完全な、三価の二重特異性抗体分子のアセンブリー及び/又は発現の、軽鎖のコード化領域が、宿主細胞内に、重鎖のコード化領域と、1:1の比で存在する状況を上回る改善を可能としうる。したがって、本発明は、コンストラクト及び方法を提供するが、この場合、軽鎖成分の、重鎖成分に対するコード化領域の比は、1:1又は1:1を超える。例えば、ある実施態様では、軽鎖成分の、重鎖成分に対する比は、2:1又は2:1を超える、例えば、3:1、3:2、4:1、又は4:1を超える。本発明の、三価の二重特異性抗体分子が、CH3ドメインの変更を含む場合、細胞に、対応する発現ベクターを、1:2:1:1の比(「ベクター重鎖ホール(VH-CH1-CH2-CH3)」:「軽鎖(LC)」:「ベクター重鎖ノブ(VH-CK-VH-CH1-CH2-CH3)」:「交差軽鎖(VL-CH1)」)でトランスフェクトすることができる。
【0104】
宿主内に導入された、記載の核酸分子又はベクターは、宿主のゲノムに組み込まれる場合もあり、染色体外に維持される場合もある。
【0105】
宿主は、任意の原核細胞又は真核細胞でありうる。
【0106】
「原核生物」という用語は、本発明のタンパク質を発現させるために、DNA分子又はRNA分子で形質転換されるか、これらを形質導入されるか、又はトランスフェクトされうる全ての細菌を含むことを意味する。原核生物宿主は、グラム陰性菌のほか、例えば、大腸菌、ネズミチフス菌(S.typhimurium)、セラチア菌(Serratia marcescens)、及び枯草菌(Bacilus subtilis)などのグラム陽性菌を含みうる。「真核生物」という用語は、酵母細胞、高等植物細胞、昆虫細胞と、好ましくは、哺乳動物細胞とを含むことを意味する。組換え作製手順において援用される宿主に応じて、本発明のポリヌクレオチドによりコードされるタンパク質は、グリコシル化される場合もあり、グリコシル化されない場合もある。とりわけ、本発明のポリペプチドのコード配列と、これに遺伝子的に融合させた、N末端のFLAGタグ及び/又はC末端のHisタグとを含有するプラスミド又はウイルスの使用が好ましい。好ましくは、前記FLAGタグの長さは、約4-8アミノ酸、最も好ましくは、8アミノ酸である。当業者に一般に公知の技法のうちのいずれかを使用して、宿主を形質転換するか、又はこれにトランスフェクトするのに、上記で記載したポリヌクレオチドを使用することができる。さらに、当該技術分野では、融合させた、動作可能に連結された遺伝子を調製し、それらを、例えば、哺乳動物細胞内及び細菌内で発現させる方法が周知である(Sambrook、前出)。
【0107】
本発明の文脈では、宿主(細胞)は、細菌細胞、昆虫細胞、真菌細胞、植物細胞、又は動物細胞である。
【0108】
特に、列挙された宿主は、哺乳動物細胞、より好ましくは、ヒト細胞又はヒト細胞株でありうることが想定される。
【0109】
特に好ましい宿主細胞は、HEK293、CHO細胞、COS細胞、SP2/0又はNS/0などの骨髄腫細胞株を含む。添付の実施例に例示されるように、宿主としては、HEK293細胞及びCHO細胞が、特に、好ましい。
【0110】
したがって、本発明は、上記で記載した、三価の二重特異性抗体分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)を作製するための方法であって、本発明の細胞及び/又は宿主細胞を、三価の二重特異性抗体分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)の発現を可能とする条件下で培養すること(culturing(cultivating))と、分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)を、細胞及び/又は培地から回収することとを含む方法に関する。
【0111】
形質転換宿主は、発酵槽内で増殖させ、当該技術分野で公知の技法に従い培養して、最適の細胞増殖を達成することができる。次いで、本発明のポリペプチドを、増殖培地から単離することができる。本発明のポリペプチド、例えば、微生物により発現させた本発明のポリペプチドの単離及び精製は、例えば、例えば、本発明のポリペプチド又は添付の実施例で記載されるポリペプチドのタグを指向する、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体の使用を伴う分離など、調製用クロマトグラフィーによる分離及び免疫学的分離など、任意の従来の手段による単離及び精製でありうる。
【0112】
さらに、本発明は、本明細書で規定される三価の二重特異性(モノクローナル)抗体分子又は上記で開示した方法により作製される、三価の二重特異性(ヒト)抗体分子、本発明の三価の二重特異性抗体分子をコードする核酸分子、ベクター又は本明細書で記載される融合タンパク質を含む形質導入されたT細胞を含む組成物(医薬)を提供する。本発明の文脈では、前記組成物は、任意選択で、担体、安定剤、及び/又は賦形剤による、適切な製剤をさらに含む薬学的組成物である。
【0113】
さらに、本発明は、医薬としての使用のための、本明細書の上記で規定した、三価の二重特異性抗体分子であって、本明細書で記載される融合タンパク質を含む形質導入されたT細胞の投与の前に、これと同時に、又はこの後で投与され、前記T細胞が、処置される対象から得られたものである、三価の二重特異性抗体分子を提供する。
【0114】
本発明の文脈では、本明細書で記載される融合タンパク質を含む形質導入されたT細胞と組み合わせて投与される、本明細書の上記で規定した三価の二重特異性抗体分子であって、T細胞内又はT細胞上で天然に存在しない抗原を含む形質導入されたT細胞の投与の前に、これと同時に、又はこの後で投与され、前記T細胞が、処置される対象から得られた、三価の二重特異性抗体分子を含む薬学的組成物/医薬が提供される。
【0115】
本発明の文脈では、T細胞に、本明細書の上記で規定した融合タンパク質をコードする核酸分子、及び/又はこのような核酸分子を含むベクターを形質導入する。T細胞への、本明細書で規定される融合タンパク質のトランスフェクションの文脈では、「ベクター」という用語は、それが導入された宿主細胞(すなわち、形質導入細胞)内で自律的に複製されうる、環状又は直鎖状の核酸分子に関する。本明細書で使用される「ベクター」は、特に、プラスミド、コスミド、ウイルス、バクテリオファージ、及び遺伝子操作において一般に使用される、他のベクターを指す。好ましい実施態様では、本発明のベクターは、細胞、好ましくは、CD8+T細胞、CD4+T細胞、CD3+T細胞、γδT細胞、又はナチュラルキラー(NK)T細胞などのT細胞、最も好ましくは、CD8+T細胞の形質転換に適する。したがって、本発明の一態様では、本明細書で提示されるベクターは、発現ベクターである。発現ベクターについては、文献において、広範にわたり記載されている。特に、本明細書で提示されるベクターは、好ましくは、組換えポリヌクレオチド(すなわち、本発明の融合タンパク質をコードする核酸分子)のほか、発現させるヌクレオチド配列に動作可能に連結された発現制御配列を含む。本明細書で提示されるベクターは、好ましくは、プロモーターをさらに含む。T細胞への形質導入のための、本明細書で記載されるベクターはまた、宿主(すなわち、形質導入細胞)内の複製を確保する、選択マーカー遺伝子及び複製起点も含みうる。さらに、T細胞への形質導入のための、本明細書で提示されるベクターはまた、転写終結シグナルも含みうる。プロモーターと、終結シグナルとの間には、好ましくは、発現させることが所望される核酸分子(例えば、融合タンパク質をコードする本発明の核酸分子)の挿入を可能とする、少なくとも1つの制限部位又はポリリンカーが存在する。当業者には、このような挿入をどのようにして実施しうるのかが公知である。当該技術分野では、T細胞のトランスフェクションのための本発明のベクターを形成するように、本発明の核酸分子を含むのに適するベクターの例が公知である。例えば、本発明の文脈では、適切なベクターは、コスミド、プラスミド(例えば、ネイキッドのプラスミド、又はリポソーム内に含有されたプラスミド)と、本発明の核酸分子(すなわち、本発明の融合タンパク質をコードする核酸分子)を組み込むウイルス(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、及びアデノ随伴ウイルス)とを含む。好ましくは、本発明のベクターは、ウイルスベクターである。より好ましくは、本発明のベクターは、レンチウイルスベクターであり、なおより好ましくは、本発明のベクターは、レトロウイルスベクター(例えば、pMP71ベクター)である。したがって、本発明の文脈では、ベクターは、レンチウイルスベクター又はレトロウイルスベクターである。本発明のベクターは、本発明の融合タンパク質をコードする核酸分子の、構成的発現又は条件的発現を可能とする。この文脈では、当該技術分野では、本発明の融合タンパク質を発現させるのに適するレトロウイルスベクターであって、SAMEN CMV/SRa(Clayら、J. Immunol.、163 (1999)、507-513)、LZRS-id3-IHRES(Heemskerkら、J. Exp. Med.、186 (1997)、1597-1602)、FeLV(Neilら、Nature、308 (1984)、814-820)、SAX(Kantoffら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、83 (1986)、6563-6567)、pDOL(Desiderio、J. Exp. Med.、167 (1988)、372-388)、N2(Kasidら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、87 (1990)、473-477)、LNL6(Tiberghienら、Blood、84 (1994)、1333-1341)、pZipNEO(Chenら、J. Immunol.、153 (1994)、3630-3638)、LASN(Mullenら、Hum. Gene Ther.、7 (1996)、1123-1129)、pG1XsNa(Taylorら、J. Exp. Med.、184 (1996)、2031-2036)、LCNX(Sunら、Hum. Gene Ther.、8 (1997)、1041-1048)、LXSN(Sunら、Hum. Gene Ther.、8 (1997)、1041-1048)、SFG(Gallardoら、Blood、90 (1997)、952-957)、HMB-Hb-Hu(Vieillardら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、94 (1997)、11595-11600)、pMV7(Cochloviusら、Cancer Immunol. Immunother.、46 (1998)、61-66)、pSTITCH(Weitjensら、Gene Ther、5 (1998)、1195-1203)、pLZR(Yangら、Hum. Gene Ther.、10 (1999)、123-132)、pBAG(Wuら、Hum. Gene Ther.、10 (1999)、977-982)、rKat.43.267bn(Gilhamら、J. Immunother.、25 (2002)、139-151)、pLGSN(Engelsら、Hum. Gene Ther.、14 (2003)、1155-1168)、pMP71(Engelsら、Hum. Gene Ther.、14 (2003)、1155-1168)、pGCSAM(Morganら、J. Immunol.、171 (2003)、3287-3295)、pMSGV(Zhaoら、J. Immunol.、174 (2005)、4415-4423)、又はpMX(de Witteら、J. Immunol.、181 (2008)、5128-5136などのベクターが公知である。さらに、本発明の文脈では、本発明の融合タンパク質を発現させるのに適するレンチウイルスベクターは、例えば、PL-SINレンチウイルスベクター(Hottaら、Nat Methods.、6 (5) (2009)、370-376)、p156RRL-sinPPT-CMV-GFP-PRE/NheI(Campeauら、PLoS One、4 (8) (2009)、e6529)、pCMVR8.74(Addgene型番22036)、FUGW(Loisら、Science、295 (5556) (2002)、868-872)、pLVX-EF1(Addgene型番64368)、pLVE(Brungerら、Proc Natl Acad Sci U S A、111 (9) (2014)、E798-806)、pCDH1-MCS1-EF1(Huら、Mol Cancer Res.、7 (11) (2009)、1756-1770)、pSLIK(Wangら、Nat Cell Biol.、16 (4) (2014)、345-356)、pLJM1(Solomonら、Nat Genet.、45 (12) (2013)、1428-30)、pLX302(Kangら、Sci Signal.、6 (287) (2013)、rs13)、pHR-IG(Xieら、J Cereb Blood Flow Metab.、33 (12) (2013)、1875-85)、pRRLSIN(Addgene型番62053)、pLS(Miyoshiら、J Virol.、72 (10) (1998)、8150-8157)、pLL3.7(Lazebnikら、J Biol Chem.、283 (7) (2008)、11078-82)、FRIG(Raissiら、Mol Cell Neurosci.、57(2013)、23-32)、pWPT(Ritz-Laserら、Diabetologia.、46 (6) (2003)、810-821)、pBOB(Marrら、J Mol Neurosci.、22(1-2)(2004)、5-11)、又はpLEX(Addgene型番27976)である。
【0116】
本発明はまた、本発明の融合タンパク質をコードする核酸分子によりコードされる融合タンパク質を発現させる、形質導入された、CD8+T細胞、CD4+T細胞、CD3+T細胞、γδT細胞、又はナチュラルキラー(NK)T細胞などのT細胞、好ましくはCD8+T細胞にも関する。したがって、本発明の文脈では、形質導入細胞は、本発明の融合タンパク質をコードする核酸分子、又は本発明の融合タンパク質を発現させる、本発明のベクターを含みうる。
【0117】
本発明の文脈では、「形質導入細胞」という用語は、遺伝子改変細胞(すなわち、核酸分子を、意図的に導入した細胞)に関する。本明細書で提示される形質導入細胞は、本発明のベクターを含みうる。好ましくは、本明細書で提示される形質導入細胞は、本発明の融合タンパク質をコードする核酸分子及び/又は本発明のベクターを含む。本発明の形質導入細胞は、外来のDNA(すなわち、細胞に導入された核酸分子)を、一過性又は安定的に発現させる細胞でありうる。特に、本発明の融合タンパク質をコードする核酸分子は、レトロウイルス又はレンチウイルスによる形質導入を使用することにより、細胞のゲノムに、安定的に組み込むことができる。mRNAトランスフェクションを使用することにより、本発明の融合タンパク質をコードする核酸分子を、一過性に発現させることができる。好ましくは、本明細書で提示される形質導入細胞は、ウイルスベクター(例えば、レトロウイルスベクター又はレンチウイルスベクター)を介して、細胞内に核酸分子を導入することにより、遺伝子改変されている。したがって、融合タンパク質の発現は、構成的であることが可能であり、融合タンパク質の細胞外ドメインは、細胞表面上で検出可能でありうる。この融合タンパク質の細胞外ドメインは、本明細書で規定される、T細胞内又はT細胞上で天然に存在しない、シグナル伝達受容体の、完全な細胞外ドメインを含みうるが、また、その部分も含みうる。要請される最小のサイズは、融合タンパク質の側の、三価の二重特異性抗体分子が結合するエピトープである。
【0118】
誘導的プロモーター又は抑制的プロモーターの制御下で、融合タンパク質を、CD8+T細胞、CD4+T細胞、CD3+T細胞、γδT細胞、又はナチュラルキラー(NK)T細胞などのT細胞、好ましくはCD8+T細胞に導入する場合、発現はまた、条件的な場合もあり、誘導的な場合もある。このような誘導的プロモーター又は抑制的プロモーターの例は、アルコールデヒドロゲナーゼI(alcA)遺伝子のプロモーターと、トランス活性化因子タンパク質であるalcRとを含有する転写系でありうる。alcAプロモーターに連結された、目的の遺伝子の発現を制御するのに、異なる農業用アルコールベースの製剤が使用される。さらに、テトラサイクリン応答性プロモーター系は、テトラサイクリンの存在下で、遺伝子発現系を活性化させるように機能する場合もあり、これを抑制するように機能する場合もある。系のエレメントの一部は、テトラサイクリンリプレッサータンパク質(TetR)、テトラサイクリンオペレーター配列(tetO)、及びTetRと、単純ヘルペスウイルスタンパク質16(VP16)活性化配列との融合体である、テトラサイクリントランス活性化因子融合タンパク質(tTA)を含む。さらに、ステロイド応答性プロモーター、金属関連プロモーター、又は感染特異的(PR)タンパク質関連プロモーターも使用することができる。
【0119】
発現は、使用される系に応じて、構成的(constitutive又はconstitutional)でありうる。本発明の融合タンパク質は、本明細書で提示される形質導入細胞の表面上で発現させることができる。融合タンパク質の細胞外部分(すなわち、T細胞内又はT細胞上で天然に存在しない、シグナル伝達受容体の細胞外ドメイン)が、細胞表面上で検出しうるのに対し、細胞内部分(すなわち、融合タンパク質の膜貫通アンカリングドメイン、シグナル伝達共刺激ドメイン及びシグナル伝達刺激ドメイン)は、膜に結合するが、細胞表面上で検出可能ではない。融合タンパク質の細胞外ドメインの検出は、この細胞外ドメインに特異的に結合する抗体を使用することにより実行することができる。細胞外ドメインは、これらの抗体を使用して、フローサイトメトリーにより検出することもでき、顕微鏡法により検出することもできる。本発明の形質導入細胞は、任意の免疫細胞でありうる。これらは、B細胞、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT-(NK)T細胞、γδT細胞、生得的リンパ系細胞、マクロファージ、単球、樹状細胞、又は好中球を含むがこれらに限定されない。優先的には、前記免疫細胞は、リンパ球であり、優先的には、NK又はT細胞であろう。前記T細胞は、CD4T細胞及びCD8T細胞、最も好ましくは、CD4+T細胞及びCD8+T細胞を含む。白血球の表面上の、本発明の融合タンパク質の誘発は、細胞が由来する系統に関わらず、細胞を、その標的細胞に対して、細胞傷害性とするであろう。細胞傷害性は、融合タンパク質のために選び出された、シグナル伝達刺激ドメイン又はシグナル伝達共刺激ドメインに関わらず生じ、さらなるサイトカインの外因性供給に依存しない。したがって、本発明の形質導入細胞は、例えば、CD4+T細胞、CD8+T細胞、γδT細胞、ナチュラルキラー(NK)T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、骨髄細胞、又は間葉系幹細胞でありうる。好ましくは、本明細書で提示される形質導入細胞は、T細胞(例えば、自家T細胞)であり、より好ましくは、形質導入細胞は、CD8+T細胞である。したがって、本発明の文脈では、形質導入細胞は、CD8+T細胞である。さらに、本発明の文脈では、形質導入細胞は、自家T細胞である。したがって、本発明の文脈では、形質導入細胞は、好ましくは、自家CD8+T細胞である。対象から単離された自家細胞(例えば、T細胞)の使用に加えて、本発明はまた、同種異系細胞の使用も包含する。したがって、本発明の文脈では、形質導入細胞はまた、同種異系CD8+T細胞などの同種異系細胞でもありうる。同種異系細胞の使用は、細胞、好ましくは、T細胞が、APCが、T細胞により認識される抗原エピトープと共に、特異的に応答する細胞集団、すなわち、T細胞集団が拘束される、クラスI又はクラスIIのMHC分子を発現させるという条件で、外来の抗原提示細胞(APC)により提示される特異的抗原エピトープを認識しうるという事実に基づく。したがって、同種異系という用語は、非類縁のドナー個体/ドナー対象に由来する細胞であって、例えば、本明細書で記載される融合タンパク質を発現させる形質導入細胞により処置される個体/対象と、ヒト白血球抗原(HLA)が適合性である細胞を指す。自家細胞は、本明細書で記載される形質導入細胞で処置される対象から、本明細書の上記で記載される通りに単離された/得られた細胞を指す。
【0120】
上記で記載した通り、本発明の形質導入細胞に、本明細書で提示される融合タンパク質を発現させる核酸分子を形質導入する。腫瘍浸潤リンパ球など、天然の抗腫瘍特異性を保有する細胞(TIL;Dudleyら、J Clin Oncol.、31 (17) (2013)、2152-2159 (doi:10.1200/JCO.2012.46.6441))、又はフローサイトメトリーにより、患者の末梢血から、それらの腫瘍特異性について分取された抗原特異性細胞(Hunsuckerら、Cancer Immunol Res.、3 (3) (2015)、228-235 (doi:10.1158/2326-6066.CIR-14-0001))の場合、本明細書で記載される細胞には、本発明の融合タンパク質だけが形質導入されるであろう。しかし、本発明の形質導入細胞には、さらなる核酸分子、例えば、T細胞受容体又はキメラ抗原受容体をコードする核酸分子も共形質導入することができる。さらに、本発明の文脈では、本発明の形質導入細胞には、さらなる核酸分子、例えば、Fasリガンド(FasL)をコードする核酸分子も共形質導入することができる。FasLは、Fasと相互作用することが公知である(Nagataら、Science、267 (5203) (1995)、1449-1456;Walkerら、J Immunol.、158 (10) (1997)、4521-4524)。Fas及びそのリガンドであるFasLは、I型膜貫通タンパク質及びII型膜貫通タンパク質であり、それぞれ、腫瘍壊死因子/神経増殖因子受容体及び腫瘍壊死因子ファミリータンパク質のメンバーである(ヒトFASは、UniProtエントリー番号P25445(エントリーバージョン218、配列バージョン1;配列番号241(タンパク質)及び240(DNA))下で入手可能であり;ヒトFasLは、UniProtエントリー番号P48023(エントリーバージョン190、配列バージョン1;配列番号245(タンパク質)及び244(DNA))を有し;マウスFASは、UniProtエントリー番号P41047(エントリーバージョン169、配列バージョン1;配列番号239(タンパク質)及び238(DNA))を有し;マウスFasLは、UniProtエントリー番号P41047(エントリーバージョン169、配列バージョン1;配列番号243(タンパク質)及び242(DNA))を有する)。本発明の文脈では、驚くべきことに、かつ、予測外に、FasLが、作用方式に重要であることが見出されている。特に、本明細書で記載される融合タンパク質をトランスフェクト/形質導入された、CD8+T細胞、CD4+T細胞、CD3+T細胞、γδT細胞、又はナチュラルキラー(NK)T細胞などのT細胞の殺滅能は、FasL-Fas間相互作用をブロックすることにより損いうることが示された(図13を参照されたい)。したがって、驚くべきことに、Fasを(過剰)発現させる細胞を有する腫瘍細胞を有することにより特徴を明らかにされる疾患を処置するために、FasLを(過剰)発現させる形質導入細胞を使用しうることが見出された。
【0121】
本発明に従い、「T細胞受容体」という用語は、当該技術分野で一般に公知である。特に、本明細書にでは、「T細胞受容体」という用語は、以下の3つの基準:(i)腫瘍特異性、(ii)(大半の)腫瘍細胞の認識であって、抗原又は標的が、(大半の)腫瘍細胞内で発現すべきことを意味する認識、及び(iii)TCRが、処置される対象のHLA型にマッチすることを満たすという条件で、任意のT細胞受容体を指す。この文脈では、当該技術分野では、WT1(ウィルムス腫瘍特異的抗原1;配列情報については、例えば、Sugiyama、Japanese Journal of Clinical Oncology、40 (2010)、377-87を参照されたい)、MAGE(配列については、例えば、国際公開第2007/032255号(A1)及びPCT/米国出願第2011/57272号を参照されたい)、SSX(米国仮出願第61/388983号)、NY-ESO-1(配列情報については、例えば、PCT/英国出願第2005/001924号を参照されたい)、及び/又はHER2neu(配列情報については、国際公開第2011/0280894号(A1)を参照されたい)を認識する受容体など、上述の3つの基準を満たす、適切なT細胞受容体が公知である。
【0122】
当該技術分野では、「キメラ抗原受容体」又は「キメラ受容体」という用語が公知であり、スペーサー配列により、CD3z及びCD28のシグナルドメインに融合させた、単鎖抗体ドメインの細胞外部分から構成された受容体を指す。このキメラ抗原受容体もまた、腫瘍特異性をもたらし、大半の腫瘍細胞の認識を可能とするものとする。適切なキメラ受容体は、抗EGFRvIII-CAR(配列については、国際公開第2012/138475号(A1)を参照されたい)、抗CD22-CAR(国際公開第2013/059593号(A1)を参照されたい)、抗BCMA-CAR(国際公開第2013/154760号(A1)を参照されたい)、抗CD19-CAR(国際公開第2012/079000号(A1)又は米国特許出願第2014/0271635号(A1)を参照されたい)、抗CD123-CAR(米国特許出願第2014/0271582号(A1)を参照されたい)、抗CD30-CAR(国際公開第2015/028444号(A1)を参照されたい)、又は抗メソテリン-CAR(国際公開第2013/142034号(A1)を参照されたい)を含む。
【0123】
本発明はまた、本発明の融合タンパク質を発現させる、形質導入された細胞を作製するための方法であって、細胞に、本発明のベクターを形質導入する工程と、形質導入された細胞を、前記形質導入された細胞内又は細胞上で、融合タンパク質の発現を可能とする条件下で培養する工程と、前記形質導入された細胞を回収する工程とを含む方法にも関する。
【0124】
本発明の文脈では、本発明の形質導入細胞は、以下のプロセスにより作製することが好ましい:細胞(例えば、T細胞、好ましくは、CD8+T細胞)は、対象(好ましくは、ヒト患者)から単離する/得る。当該技術分野では、細胞(例えば、T細胞、好ましくは、CD8+T細胞)を、患者又はドナーから単離する/得るための方法が周知であり、本発明の文脈では、患者又はドナーに由来する細胞(例えば、T細胞、好ましくは、CD8+T細胞)は、採血又は骨髄の摘出により単離することができる。患者の試料としての細胞を単離した/得た後で、細胞(例えば、T細胞)を、試料の他の成分から分離する。試料から細胞(例えば、T細胞)を分離するための、いくつかの方法が公知であり、限定せずに述べると、例えば、患者又はドナーに由来する末梢血試料から、細胞を得るためのリューカフェレーシス、FACSort装置を使用することにより、細胞を単離する/得る方法、手作業により、又は極微操作装置を使用することにより、生細胞を保有する、新鮮な生検標本から、生細胞又は死細胞を採取する方法を含む(例えば、Dudley、Immunother.、26 (2003)、332-342;Robbins、Clin. Oncol.、29 (2011)、917-924;又はLeisegang、J. Mol. Med.、86 (2008)、573-58を参照されたい)。本明細書の「新鮮な患者生検」という用語は、外科的手段又は他の任意の公知の手段により、対象から摘出された組織(好ましくは、腫瘍組織)のほか、腫瘍細胞株、又は腫瘍組織/腫瘍細胞に由来する(単離)細胞を指す。その後、T細胞、好ましくは、CD8+T細胞である、単離された/得られた細胞を、例えば、抗CD3抗体を使用することにより、抗CD3モノクローナル抗体及び抗CD28モノクローナル抗体を使用することにより、培養及び拡大することもでき、かつ/又は抗CD3抗体、抗CD28抗体、及びインターロイキン2(IL-2)を使用することにより、培養及び拡大することもできる(例えば、Dudley、Immunother.、26 (2003)、332-342又はDudley、Clin. Oncol.、26 (2008)、5233-5239を参照されたい)。
【0125】
後続の工程では、当該技術分野で公知の方法により、細胞(例えば、T細胞)を、人工的に改変する/遺伝子改変する/これに形質導入する(例えば、Lemoine、J Gene Med、6 (2004)、374-386を参照されたい)。当該技術分野では、細胞(例えば、T細胞)に形質導入するための方法が公知であり、限定せずに述べると、核酸又は組換え核酸を形質導入する場合、例えば、エレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、カチオン性脂質法、又はリポソーム法を含む。形質導入される核酸は、市販のトランスフェクション試薬、例えば、Lipofectamine(Invitrogen製;型番11668027)を使用することにより、従来通り、高度に効率的に形質導入することができる。ベクターを使用する場合、ベクターは、プラスミドベクター(すなわち、ウイルスベクターではないベクター)である限りにおいて、上述の核酸と同じ形で形質導入することができる。本発明の文脈では、細胞(例えば、T細胞)に形質導入するための方法は、レトロウイルス又はレンチウイルスによるT細胞への形質導入のほか、mRNAトランスフェクションを含む。「mRNAトランスフェクション」は、この場合、本発明の融合タンパク質など、目的のタンパク質を、形質導入される細胞内で、一過性に発現させることが、当業者に周知である方法を指す。略述すると、細胞を、エレクトロポレーションシステム(例えば、GenePulser、Bio-Radなど)を使用することにより、本発明の融合タンパク質をコードするmRNAをエレクトロポレーションすることができ、その後、上記で記載した、標準的な細胞(例えば、T細胞)培養プロトコール(Zhaoら、Mol Ther.、13 (1) (2006)、151-159を参照されたい)により培養することができる。本発明の形質導入細胞は、T細胞、最も好ましくは、CD8+T細胞であり、レンチウイルス、又は、最も好ましくは、レトロウイルスによる、T細胞への形質導入により作出される。
【0126】
この文脈では、当該技術分野では、SAMEN CMV/SRa(Clayら、J. Immunol.、163 (1999)、507-513)、LZRS-id3-IHRES(Heemskerkら、J. Exp. Med.、186 (1997)、1597-1602)、FeLV(Neilら、Nature、308 (1984)、814-820)、SAX(Kantoffら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、83 (1986)、6563-6567)、pDOL(Desiderio、J. Exp. Med.、167 (1988)、372-388)、N2(Kasidら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、87 (1990)、473-477)、LNL6(Tiberghienら、Blood、84 (1994)、1333-1341)、pZipNEO(Chenら、J. Immunol.、153 (1994)、3630-3638)、LASN(Mullenら、Hum. Gene Ther.、7 (1996)、1123-1129)、pG1XsNa(Taylorら、J. Exp. Med.、184 (1996)、2031-2036)、LCNX(Sunら、Hum. Gene Ther.、8 (1997)、1041-1048)、LXSN(Sunら、Hum. Gene Ther.、8 (1997)、1041-1048)、SFG(Gallardoら、Blood、90 (1997)、952-957)、HMB-Hb-Hu(Vieillardら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、94 (1997)、11595-11600)、pMV7(Cochloviusら、Cancer Immunol. Immunother.、46 (1998)、61-66)、pSTITCH(Weitjensら、Gene Ther、5 (1998)、1195-1203)、pLZR(Yangら、Hum. Gene Ther.、10 (1999)、123-132)、pBAG(Wuら、Hum. Gene Ther.、10 (1999)、977-982)、rKat.43.267bn(Gilhamら、J. Immunother.、25 (2002)、139-151)、pLGSN(Engelsら、Hum. Gene Ther.、14 (2003)、1155-1168)、pMP71(Engelsら、Hum. Gene Ther.、14 (2003)、1155-1168)、pGCSAM(Morganら、J. Immunol.、171 (2003)、3287-3295)、pMSGV(Zhaoら、J. Immunol.、174 (2005)、4415-4423)、又はpMX(de Witteら、J. Immunol.、181 (2008)、5128-5136)など、T細胞に形質導入するのに適するレトロウイルスベクターが公知である。本発明の文脈では、細胞(例えば、T細胞)に形質導入するのに適するレンチウイルスベクターは、例えば、PL-SINレンチウイルスベクター(Hottaら、Nat Methods.、6 (5) (2009)、370-376)、p156RRL-sinPPT-CMV-GFP-PRE/NheI(Campeauら、PLoS One、4 (8) (2009)、e6529)、pCMVR8.74(Addgene型番22036)、FUGW(Loisら、Science、295 (5556) (2002)、868-872)、pLVX-EF1(Addgene型番64368)、pLVE(Brungerら、Proc Natl Acad Sci U S A、111 (9) (2014)、E798-806)、pCDH1-MCS1-EF1(Huら、Mol Cancer Res.、7 (11) (2009)、1756-1770)、pSLIK(Wangら、Nat Cell Biol.、16 (4) (2014)、345-356)、pLJM1(Solomonら、Nat Genet.、45 (12) (2013)、1428-30)、pLX302(Kangら、Sci Signal.、6 (287) (2013)、rs13)、pHR-IG(Xieら、J Cereb Blood Flow Metab.、33 (12) (2013)、1875-85)、pRRLSIN(Addgene型番62053)、pLS(Miyoshiら、J Virol.、72 (10) (1998)、8150-8157)、pLL3.7(Lazebnikら、J Biol Chem.、283 (7) (2008)、11078-82)、FRIG(Raissiら、Mol Cell Neurosci.、57(2013)、23-32)、pWPT(Ritz-Laserら、Diabetologia.、46 (6) (2003)、810-821)、pBOB(Marrら、J Mol Neurosci.、22(1-2)(2004)、5-11)、又はpLEX(Addgene型番27976)である。
【0127】
本発明の、形質導入されたT細胞/T細胞は、それらの天然の環境外の、制御された条件下で増殖させることが好ましい。特に、「-を培養すること」という用語は、多細胞の真核生物に由来する(好ましくは、ヒト患者に由来する)細胞(例えば、本発明の形質導入細胞)を、インビトロにおいて増殖させることを意味する。細胞の培養とは、細胞を、それらの元の組織供給源から隔てて、生存状態に保つ実験室法である。本明細書に、本発明の形質導入細胞は、前記形質導入された細胞内又は細胞上における、本発明の融合タンパク質の発現を可能とする条件下で培養する。当該技術分野では、導入遺伝子(すなわち、本発明の融合タンパク質)の発現を可能とする条件が一般に公知であり、例えば、アゴニスト性の抗CD3抗体及び抗CD28抗体ならびにインターロイキン2(IL-2)、インターロイキン7(IL-7)、インターロイキン12(IL-12)、及び/又はインターロイキン15(IL-15)などのサイトカインの添加を含む。培養された形質導入細胞内の、本発明の融合タンパク質の発現の後、形質導入細胞を、培養物(すなわち、培地)から回収する(すなわち、再抽出する)。
【0128】
本発明にはまた、本発明の方法により得ることができる、本発明の核酸分子によりコードされる融合タンパク質を発現させる、形質導入細胞も包摂される。
【0129】
さらに、本発明は、本発明の、三価の二重特異性抗体分子、又は上記で開示した方法により得られる/作製される、三価の二重特異性抗体分子を含む薬学的組成物/医薬を提供する。本発明の文脈では、前記組成物は、任意選択で、担体、安定剤、及び/又は賦形剤による、適切な製剤をさらに含む薬学的組成物である。
【0130】
本発明に従い、「医薬」という用語は、「薬学的組成物」という用語と互換的に使用され、患者、好ましくは、ヒト患者への投与のための組成物に関する。本発明の文脈では、この医薬/薬学的組成物は、T細胞、最も好ましくは、CD8+T細胞を単離した/得た患者に投与されるものとする。本発明の文脈では、患者とは、ヒト患者を指す。さらに、本発明の文脈では、この患者は、疾患を患い、この場合、前記疾患は、悪性疾患、とりわけ、上皮由来、内皮由来、若しくは中皮由来のがん/癌腫、又は血液がんである。本発明の文脈では、がん/癌腫は、胃腸がん、膵臓がん、胆管細胞がん、肺がん、乳がん、卵巣がん、皮膚がん、口腔がん、胃がん、子宮頸がん、Bリンパ腫及びT細胞リンパ腫、骨髄性白血病、卵巣がん、白血病、リンパ性白血病、鼻咽頭癌、結腸がん、前立腺がん、腎細胞がん、頭頸部がん、皮膚がん(メラノーマ)、泌尿生殖器がん、例えば、精巣がん、内皮がん、子宮頸がん、及び腎臓がん、胆管がん、食道がん、唾液腺がん、及び甲状腺がん、又は血液腫瘍、神経膠腫、肉腫、若しくは骨肉腫など、他の腫瘍性疾患からなる群から選択される。
【0131】
好ましい実施態様では、薬学的組成物/医薬は、非経口投与、経皮投与、管腔内投与、動脈内投与、髄腔内投与、又は組織若しくは腫瘍への直接的注射のための、本明細書で規定される三価の二重特異性抗体分子を含む。本発明の文脈では、組成物/医薬は、本明細書で規定される三価の二重特異性抗体分子であって、本明細書で規定される融合タンパク質を含む形質導入されたT細胞の投与の前に、これと同時に、又はこの後で投与される、三価の二重特異性抗体分子を含む。本発明の文脈では、本明細書で規定される三価の二重特異性抗体分子を含む薬学的組成物/医薬は、本明細書で規定される融合タンパク質を含む形質導入されたT細胞と組み合わせて投与され、この場合、前記T細胞は、処置される対象から得られた。
【0132】
「組合せで」という用語の使用は、治療レジメンの成分を、対象に投与する順序を制約するものではない。したがって、本明細書で記載される薬学的組成物/医薬は、本発明の融合タンパク質を含む形質導入されたT細胞の投与の投与の前、これと同時、又はこの後における、本明細書で規定される三価の二重特異性抗体分子の投与を包摂する。本明細書で使用される「組合せで」はまた、本明細書で規定される三価の二重特異性抗体分子の投与と、本明細書で規定される融合タンパク質を含む形質導入されたT細胞の投与とのタイミングも制約するものではない。したがって、2つの成分を、同時に/共時的に投与しない場合、投与は、1分間、5分間、15分間、30分間、45分間、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、若しくは72時間、又は当業者によりたやすく決定され、かつ/又は本明細書で記載される、任意の適する時間差だけ隔てることができる。
【0133】
本発明の文脈では、「組合せで」という用語はまた、本明細書で規定される三価の二重特異性抗体分子と、融合タンパク質を含む形質導入されたT細胞とを、対象への投与の前に、併せてプレインキュベートする状況も包摂する。したがって、2つの成分は、投与の前に、例えば、1分間、5分間、10分間、15分間、30分間、45分間、若しくは1時間にわたり、又は当業者によりたやすく決定される、任意の適切な時間にわたりプレインキュベートすることができる。別の好ましい実施態様では、本発明は、本明細書で規定される三価の二重特異性抗体分子と、本明細書で規定される融合タンパク質を含む形質導入されたT細胞とを投与された同時に/共時的に投与する治療レジメンに関する。本発明の文脈では、本明細書で規定される三価の二重特異性抗体分子は、融合タンパク質を含む形質導入されたT細胞を投与した後で投与することができる。
【0134】
さらに、本明細書で使用される「組合せで」は、開示される治療レジメンを、本明細書で規定される三価の二重特異性抗体分子及び融合タンパク質を含む形質導入されたT細胞、好ましくは、CD8+T細胞の、間を置かない連続的な投与(すなわち、2つの成分のうちの一方の投与の後、間に他のいかなる処置プロトコールの投与及び/又は実施も伴わずに、他方の投与を行う(一定の時間間隔の後に))に制約するものではない。したがって、本治療レジメンはまた、本明細書で規定される三価の二重特異性抗体分子及び融合タンパク質を含む形質導入されたT細胞、好ましくは、CD8+T細胞との、別個の投与であって、疾患又はこの症候の処置又は防止に必要であり、かつ/又は適する、1又は複数の処置プロトコールで隔てられた投与も包摂する。このような介在する処置プロトコールの例は、疼痛用医薬の投与、化学療法の投与、疾患又はこの症候の手術による対処を含むがこれらに限定されない。したがって、本明細書で開示される治療レジメンは、疾患又はこの症候の処置又は防止に適する処置プロトコールを伴わずに、1つの処置プロトコール、又は1つを超える処置プロトコールと併せて、本明細書で規定される三価の二重特異性抗体分子、及び本明細書で規定される融合タンパク質を含む形質導入されたT細胞、好ましくは、CD8+T細胞の投与を包摂する。
【0135】
前記薬学的組成物/医薬を、点滴又は注射を介して、患者に投与することが、特に想定される。本発明の文脈では、規定された融合タンパク質を含む形質導入されたT細胞を、点滴又は注射を介して、患者に投与するものとする。適切な組成物/医薬の投与は、静脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、筋肉内投与、局所投与、又は皮内投与という、異なる形で行うことができる。
【0136】
本発明の薬学的組成物/医薬は、薬学的に許容される担体をさらに含みうる。当該技術分野では、適切な薬学的担体の例が周知であり、リン酸緩衝生理食塩水溶液、水、油/水エマルジョンなどのエマルジョン、多様な種類の湿潤剤、滅菌溶液などを含む。このような担体を含む組成物は、周知の従来の方法により製剤化することができる。これらの薬学的組成物は、対象に、適切な用量で投与することができる。投与量レジメンは、主治医及び臨床因子により決定されるであろう。医療技術分野で周知の通り、任意の1人の患者の投与量は、患者のサイズ、体表面積、年齢、投与される特定の化合物、性別、投与回数及び投与経路、全般的な健康状態、及び共時的に投与される他の薬物を含む、多くの因子に依存する。一般に、薬学的組成物の定期的な投与としてのレジメンは、1日当たり1μg-5gの単位の範囲内にあるものとする。しかし、連続注入により好ましい投与量は、1時間当たり体重1キログラム当たり、0.01μg-2mg、好ましくは、0.01μg-1mg、より好ましくは、0.01μg-100μg、なおより好ましくは、0.01μg-50μgの範囲であることが可能であり、最も好ましくは、0.01μg-10μgの単位でありうるであろう。本明細書では、特に好ましい投与量を列挙する。進行は、定期的な評価によりモニタリングすることができる。投与量は、変動するであろうが、DNAの静脈内投与に好ましい投与量は、約10-1012コピーのDNA分子である。本発明の組成物は、局所投与することもでき、全身投与することもできる。投与は一般に、非経口投与、例えば、静脈内投与であるが、DNAはまた、例えば、内部又は外部の標的部位への微粒子銃送達により、標的部位に方向付けて投与することもでき、動脈内の部位に、カテーテルにより、標的部位に方向付けて投与することもできる。非経口投与のための調製物は、滅菌水溶液又は滅菌非水溶液、懸濁液、及びエマルジョンを含む。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、及びオレイン酸エチルなど、注射用の有機エステルである。水性担体は、水、アルコール溶液/水溶液、エマルジョン、又は生理食塩水/食塩水及び緩衝媒を含む懸濁液を含む。非経口ビヒクルは、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロース、及び塩化ナトリウム、乳酸加リンゲル液、又は不揮発性油を含む。静脈内ビヒクルは、補液及び栄養補充物、電解質補充液(リンゲルデキストロースに基づく電解質補充液など)などを含む。防腐剤、及び、例えば、抗微生物剤、抗酸化剤、キレート剤、及び不活性ガスなど、他の添加剤もまた存在しうる。加えて、本発明の薬学的組成物は、好ましくは、ヒト由来の、例えば、血清アルブミン又は免疫グロブリンなどの、タンパク質性担体を含みうるであろう。薬学的本発明の組成物は、タンパク質性二重特異性抗体コンストラクト、又はこれをコードする核酸分子又はベクター(本明細書で記載される)に加えて、薬学的組成物の、目的の使用に応じて、さらなる、生物学的に活性の薬剤も含みうることが想定される。このような薬剤は、消化器系に作用する薬物、細胞分裂抑制剤として作用する薬物、高尿酸血症を防止する薬物、免疫反応を阻害する薬物(例えば、コルチコステロイド)、循環系に作用する薬物、及び/又は当該技術分野で公知のT細胞共刺激分子又はサイトカインなどの薬剤でありうるであろう。
【0137】
本発明の組成物/医薬の投与に可能な適応は、悪性疾患、とりわけ、乳がん、結腸がん、前立腺がん、頭頸部がん、皮膚がん(メラノーマ)、泌尿生殖器がん、例えば、卵巣がん、精巣がん、内皮がん、子宮頸がん、及び腎臓がんなどの上皮がん/上皮癌、肺がん、胃がん、胆管がん、食道がん、唾液腺がん、及び甲状腺がん、又は血液腫瘍、神経膠腫、肉腫、若しくは骨肉腫など、他の腫瘍性疾患である。
【0138】
本発明は、さらに、他の化合物、例えば、細胞増殖又は細胞刺激のために、免疫エフェクター細胞に、活性化シグナルを提供することが可能な分子を伴う、共投与プロトコールを想定する。前記分子は、例えば、T細胞の、さらなる一次活性化シグナル(例えば、さらなる共刺激分子:B7ファミリーの分子、Ox40L、4.1BBL、CD40L、抗CTLA-4、抗PD-1)、又はインターロイキン(例えば、IL-2)など、さらなるサイトカインでありうる。
【0139】
上記で記載した、本発明の組成物はまた、任意選択で、検出のための手段及び方法をさらに含む、診断用組成物でもありうる。
【0140】
本明細書で提示される、三価で二重特異性の結合性分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)はまた、それらを、液体相でも活用することができ、固体相担体に結合させることもできる、イムノアッセイにおける使用にも適する。本発明のポリペプチドを活用しうるイムノアッセイの例は、直接的フォーマット又は間接的フォーマットの、競合的イムノアッセイ又は非競合的イムノアッセイである。このようなイムノアッセイの例は、酵素免疫測定アッセイ(ELISA)、酵素イムノアッセイ(EIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、サンドイッチ(免疫測定アッセイ)、及びウェスタンブロットアッセイである。
【0141】
本発明の、三価で二重特異性の結合性分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)は、多くの異なる担体に結合することが可能であり、前記ポリペプチドに特異的に結合した細胞を単離するのに使用することができる。周知の担体の例は、ガラス、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、デキストラン、ナイロン、アミロース、天然セルロース及び改変セルロース、ポリアクリルアミド、アガロース、ならびにマグネタイトを含む。本発明の目的では、担体の性質は、可溶型の場合もあり、不溶型の場合もあり、例えば、ビーズでありうる。
【0142】
当業者に公知の、多くの異なる標識及び標識付けする方法が存在する。本発明で使用しうる標識の種類の例は、酵素、放射性同位元素、コロイド状金属、蛍光性化合物、化学発光化合物、及び生物発光化合物を含む。
【0143】
本発明の最も好ましい実施態様では、医薬としての使用のための、本発明の、三価で二重特異性の抗体コンストラクト/分子が想定される。本発明の文脈では、医薬としての使用のための三価の二重特異性抗体分子であって、本明細書で規定される融合タンパク質を含む形質導入されたT細胞の投与の前に、これと同時に、又はこの後で投与され、前記T細胞、好ましくは、CD8+T細胞が、処置される対象から得られたものである、三価の二重特異性抗体分子が記載される。前記医薬は、悪性疾患、とりわけ、上皮由来、内皮由来、若しくは中皮由来のがん/癌腫、又は血液のがん/癌腫を処置するための方法において援用することができる。本発明の文脈では、がん/癌腫は、胃腸がん、膵臓がん、胆管細胞がん、肺がん、乳がん、卵巣がん、皮膚がん、口腔がん、胃がん、子宮頸がん、Bリンパ腫及びT細胞リンパ腫、骨髄性白血病、卵巣がん、白血病、リンパ性白血病、鼻咽頭癌、結腸がん、前立腺がん、腎細胞がん、頭頸部がん、皮膚がん(メラノーマ)、泌尿生殖器がん、例えば、精巣がん、卵巣がん、内皮がん、子宮頸がん、及び腎臓がん、胆管がん、食道がん、唾液腺がん、及び甲状腺がん、又は血液腫瘍、神経膠腫、肉腫、若しくは骨肉腫など、他の腫瘍性疾患からなる群から選択される。
【0144】
さらに、本発明の文脈では、悪性疾患を処置するための方法における使用のための、(i)T細胞内又はT細胞上で天然に存在しない、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインに結合する、第1の結合ドメイン、(ii)腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原に結合する、第2の結合ドメイン、及び(iii)T細胞内又はT細胞上で天然に存在しない、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインに結合するか、又は腫瘍細胞の表面上に天然に存在する前記腫瘍特異的抗原に結合する、第3の結合ドメインを含む、本明細書で記載される三価の二重特異性抗体分子であって、本明細書で規定される融合タンパク質を含む形質導入されたT細胞の投与の前に、これと同時に、又はこの後で投与され、前記T細胞、好ましくは、CD8+T細胞が、処置される対象から得られたものである、三価の二重特異性抗体分子が想定される。
【0145】
さらに、本発明の文脈では、悪性疾患を処置するための方法であって、(i)T細胞内又はT細胞上で天然に存在しない、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインに結合する、第1の結合ドメイン、(ii)腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原に結合する、第2の結合ドメイン、及び(iii)T細胞内又はT細胞上で天然に存在しない、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインに結合するか、又は腫瘍細胞の表面上に天然に存在する前記腫瘍特異的抗原に結合する、第3の結合ドメインを含む、本発明の、三価の二重特異性抗体分子の、それを必要とする対象への投与を含み、前記三価の二重特異性抗体分子が、前記対象に由来する、形質導入されたT細胞、好ましくは、CD8+T細胞であり、本明細書で規定される融合タンパク質を含むT細胞の投与の前に、これと同時に、又はこの後で投与される方法が想定される。本発明の文脈では、がん/癌腫は、胃腸がん、膵臓がん、胆管細胞がん、肺がん、乳がん、卵巣がん、皮膚がん、口腔がん、胃がん、子宮頸がん、Bリンパ腫及びT細胞リンパ腫、骨髄性白血病、卵巣がん、白血病、リンパ性白血病、鼻咽頭癌、結腸がん、前立腺がん、腎細胞がん、頭頸部がん、皮膚がん(メラノーマ)、泌尿生殖器がん、例えば、精巣がん、卵巣がん、内皮がん、子宮頸がん、及び腎臓がん、胆管がん、食道がん、唾液腺がん、及び甲状腺がん、又は血液腫瘍、神経膠腫、肉腫、若しくは骨肉腫など、他の腫瘍性疾患からなる群から選択される。
【0146】
さらに、本発明に従い、EpCAM、好ましくは、ヒトEpCAM(腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原としての)を指向する/これに結合する/これと相互作用する1つ又は2つの結合ドメインを含み、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する、1つ又は2つの結合ドメインを含む分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)を、胃腸がん、膵臓がん、胆管細胞がん、肺がん、乳がん、卵巣がん、皮膚がん、及び/又は口腔がんを処置するための方法において使用することができる。したがって、本発明の文脈では、EpCAM、好ましくは、ヒトEpCAMを指向する/これに結合する/これと相互作用する2つの結合ドメインを含み、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する、1つの結合ドメインを含む、三価の二重特異性抗体分子を、胃腸がん、膵臓がん、胆管細胞がん、肺がん、乳がん、卵巣がん、皮膚がん、及び/又は口腔がんを処置するための方法において使用することができる。本発明の代替的な実施態様では、EpCAM、好ましくは、ヒトEpCAMを指向する/これに結合する/これと相互作用する1つの結合ドメインを含み、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する、2つの結合ドメインを含む、三価の二重特異性抗体分子を、胃腸がん、膵臓がん、胆管細胞がん、肺がん、乳がん、卵巣がん、皮膚がん、及び/又は口腔がんを処置するための方法において使用することができる。本発明の文脈では、EpCAM、好ましくは、ヒトEpCAMに対する、1つ又は2つの結合ドメインを含み、Criptoを指向する/これに結合する/これと相互作用する、1つ又は2つの結合ドメインを含む、三価の二重特異性抗体分子を、胃腸がん、例えば、胃腸由来の腺癌の処置において使用することができる。本明細書で記載される、HER1、好ましくは、ヒトHER1を指向する/これに結合する/これと相互作用する1つ又は2つの結合ドメインと、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する、1つ又は2つの結合ドメインとを含む、三価の二重特異性抗体分子を、胃腸がん、膵臓がん、胆管細胞がん、肺がん、乳がん、卵巣がん、皮膚がん、及び/又は口腔がんを処置するための方法において使用することができる。HER2、好ましくは、ヒトHER2を指向する/これに結合する/これと相互作用する1つ又は2つの結合ドメインを含み、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する、1つ又は2つの結合ドメインを含む分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)を、胃がん、乳がん、及び/又は子宮頸がんを処置するための方法において使用することができる。HER3、好ましくは、ヒトHER3を指向する/これに結合する/これと相互作用する1つ又は2つの結合ドメインを含み、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する、1つ又は2つの結合ドメインを含む分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)を、胃がん、乳がん、及び/又は子宮頸がんを処置するための方法において使用することができる。CD20、好ましくは、ヒトCD20を指向する/これに結合する/これと相互作用する1つ又は2つの結合ドメインを含み、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する、1つ又は2つの結合ドメインを含む分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)を、胃がん、乳がん、及び/又は子宮頸がんを処置するための方法において使用することができる。CD22、好ましくは、ヒトCD22を指向する/これに結合する/これと相互作用する1つ又は2つの結合ドメインを含み、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する、1つ又は2つの結合ドメインを含む分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)を、胃がん、乳がん、及び/又は子宮頸がんを処置するための方法において使用することができる。CD33、好ましくは、ヒトCD33を指向する/これに結合する/これと相互作用する1つ又は2つの結合ドメインを含み、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する、1つ又は2つの結合ドメインを含む分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)を、胃がん、乳がん、及び/又は子宮頸がんを処置するための方法において使用することができる。CA12-5、好ましくは、ヒトCA12-5を指向する/これに結合する/これと相互作用する1つ又は2つの結合ドメインを含み、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する、1つ又は2つの結合ドメインを含む分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)を、胃がん、乳がん、及び/又は子宮頸がんを処置するための方法において使用することができる。HLA-DR、好ましくは、ヒトHLA-DRを指向する/これに結合する/これと相互作用する1つ又は2つの結合ドメインを含み、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する、1つ又は2つの結合ドメインを含む分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)を、胃がん、乳がん、及び/又は子宮頸がんを処置するための方法において使用することができる。MUC-1、好ましくは、ヒトMUC-1を指向する/これに結合する/これと相互作用する1つ又は2つの結合ドメインを含み、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する、1つ又は2つの結合ドメインを含む分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)を、胃がん、乳がん、及び/又は子宮頸がんを処置するための方法において使用することができる。A33、好ましくは、ヒトA33を指向する/これに結合する/これと相互作用する1つ又は2つの結合ドメインを含み、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する、1つ又は2つの結合ドメインを含む分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)を、胃がん、乳がん、及び/又は子宮頸がんを処置するための方法において使用することができる。PSMA、好ましくは、ヒトPSMAを指向する/これに結合する/これと相互作用する1つ又は2つの結合ドメインを含み、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する、1つ又は2つの結合ドメインを含む分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)を、胃がん、乳がん、及び/又は子宮頸がんを処置するための方法において使用することができる。トランスフェリン受容体、好ましくは、ヒトトランスフェリン受容体を指向する/これに結合する/これと相互作用する1つ又は2つの結合ドメインを含み、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する、1つ又は2つの結合ドメインを含む分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)を、胃がん、乳がん、及び/又は子宮頸がんを処置するための方法において使用することができる。CA-IX、好ましくは、ヒトCA-IXを指向する/これに結合する/これと相互作用する1つ又は2つの結合ドメインを含み、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない、本明細書で規定される、融合タンパク質の細胞外ドメイン、すなわち、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインのうちの1つを指向する/これに結合する/これと相互作用する、1つ又は2つの結合ドメインを含む分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体分子)を、胃がん、乳がん、及び/又は子宮頸がんを処置するための方法において使用することができる。
【0147】
本発明はまた、疾患、上皮由来、内皮由来、若しくは中皮由来のがん、及び/又は血液がんなどの悪性疾患を処置するための方法にも関する。このような疾患は、とりわけ、食道がん、胃がん、結腸がん、小腸がん、肝臓がん、膵臓がん、乳がん、肺がん、脳のがん、腎臓がん、精巣がん、皮膚がん、白血病、及び/又はリンパ腫であり、
方法は、形質導入されたT細胞の、対象への投与を含む。本発明の文脈では、前記対象は、ヒトである。
【0148】
本発明の文脈では、疾患を処置するための方法であって、
(a)CD8+T細胞、CD4+T細胞、CD3+T細胞、γδT細胞、又はナチュラルキラー(NK)T細胞などのT細胞、好ましくはCD8+T細胞を、対象から単離する工程と;
(b)前記単離されたCD8+T細胞、CD4+T細胞、CD3+T細胞、γδT細胞、又はナチュラルキラー(NK)T細胞などのT細胞、好ましくはCD8+T細胞に、本明細書の上記で記載した融合タンパク質を形質導入する工程と;
(c)形質導入された、CD8+T細胞、CD4+T細胞、CD3+T細胞、γδT細胞、又はナチュラルキラー(NK)T細胞などのT細胞、好ましくはCD8+T細胞を、前記対象に投与する工程と
を含む方法が記載される。
【0149】
本発明の文脈では、前記形質導入されたT細胞、好ましくは、CD8+T細胞を、前記対象に、静脈内注入により投与する。
【0150】
さらに、本発明は、疾患を処置するための方法であって、
(a)CD8+T細胞、CD4+T細胞、CD3+T細胞、γδT細胞、又はナチュラルキラー(NK)T細胞などのT細胞、好ましくはCD8+T細胞を、対象から単離する工程と;
(b)前記単離されたCD8+T細胞、CD4+T細胞、CD3+T細胞、γδT細胞、又はナチュラルキラー(NK)T細胞などのT細胞、好ましくはCD8+T細胞に、本明細書の上記で記載した融合タンパク質を形質導入する工程と;
(c)前記単離されたCD8+T細胞、CD4+T細胞、CD3+T細胞、γδT細胞、又はナチュラルキラー(NK)T細胞などのT細胞、好ましくはCD8+T細胞に、T細胞受容体を共形質導入する工程と;
(d)CD8+T細胞、CD4+T細胞、CD3+T細胞、γδT細胞、又はナチュラルキラー(NK)T細胞などのT細胞、好ましくはCD8+T細胞を、抗CD3抗体及び抗CD28抗体により拡大する工程と;
(e)形質導入された、CD8+T細胞、CD4+T細胞、CD3+T細胞、γδT細胞、又はナチュラルキラー(NK)T細胞などのT細胞、好ましくはCD8+T細胞を、前記対象に投与する工程と
を含む方法を提供する。
【0151】
本発明は、単離されたT細胞上に天然に存在する(腫瘍)抗原が、本明細書で記載される、三価の二重特異性抗体が、1つ又は2つの結合ドメインを介して結合する腫瘍抗原と同一であることを確認するための方法により解析される単離T細胞に関する。本発明の文脈では、T細胞内及び/又はT細胞上で天然に存在しない/天然に発現しない、シグナル伝達受容体の細胞外ドメインを含む融合タンパク質を導入することにより、本明細書で規定される融合タンパク質を含む、単離された/得られたT細胞を、人工的に改変する。本発明の文脈では、単離された/得られたT細胞の人工的な改変は、本明細書で記載される形質導入法に関する。したがって、本発明の文脈では、処置される対象は、本明細書の上記で記載される、腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原を有することにより特徴を明らかにされる疾患を患うことにより特徴を明らかにされる対象に関する。本発明の文脈では、処置される対象から得られた/単離された、形質導入されたT細胞の投与は、静脈内注入により実施されるであろう。
【0152】
さらなる実施態様では、本発明は、疾患を処置するための方法であって、
(a)患者から切除された腫瘍から、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を単離する工程と;
(b)TILを培養し、これらに、本明細書の上記で記載した融合タンパク質を形質導入する工程と;
(c)機能的な腫瘍認識アッセイに基づき、TIL培養物を選択する工程と;
(d)抗CD3抗体及び/又は抗CD28抗体により、TILを拡大する工程と;
(e)形質導入されたTILを、前記対象に投与する工程と
を含む方法に関する。
【0153】
「機能的な腫瘍認識」アッセイという用語は、TILの、自家腫瘍細胞、例えば、患者の腫瘍細胞、又はHLA型が同一な細胞株との共培養を意味する。リードアウトは、腫瘍細胞に対する細胞傷害活性(LDH、カルセインの放出)である。さらなるリードアウトは、サイトカイン分泌、細胞内サイトカインの存在についてのT細胞フローサイトメトリー、ELISPOTアッセイでありうるであろう。
【0154】
上述の工程(d)(抗CD3抗体及び/又は抗CD28抗体による、TILなど、T細胞の拡大工程)はまた、インターロイキン2(IL-2)及び/又はインターロイキン15(IL-15)など、(刺激性)サイトカインの存在下で実施することもできる。本発明の文脈では、上述の工程(d)(抗CD3抗体及び/又は抗CD28抗体による、TILなど、T細胞の拡大工程)はまた、インターロイキン12(IL-12)、インターロイキン7(IL-7)及び/又はインターロイキン21(IL-21)の存在下で実施することもできる。
【0155】
加えて、処置のための方法はまた、本発明の、三価の二重特異性抗体の投与も含みうる。前記三価の二重特異性抗体は、形質導入されたT細胞を、投与する前に、これと同時に、又はこの後で投与することができる。本発明の文脈では、形質導入されたT細胞の投与は、静脈内注入により実施されるであろう。本発明の文脈では、この形質導入されたT細胞を、処置される対象から単離する/得る。
【0156】
これらの実施態様及び他の実施態様は、本発明の記載及び実施例により開示及び包摂される。本発明に従い援用される抗体、方法、使用、及び化合物のうちのいずれか1つに関するさらなる文献は、例えば、電子デバイスを使用して、公開のライブラリー及びデータベースから検索することができる。例えば、インターネット上で利用可能な公開データベースである「Medline」は、例えば、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/PubMed/medline.html下で活用することができる。当業者には、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/、http://www.infobiogen.fr/、http://www.fmi.ch/biology/research_tools.html、http://www.tigr.org/など、さらなるデータベース及びアドレスが公知であり、例えば、http://www.lycos.comを使用して、もまた得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0157】
図1A】形質導入されたT細胞と、腫瘍抗原であるEpCAMを発現させる(EpCAM+)か、又は腫瘍抗原であるEpCAMを発現させない(EpCAM-)、マウス膵臓がん腫瘍細胞(Panc02-OVA)との共培養 融合タンパク質であるEGFRvIII-CD28-CD3z(配列番号42(配列番号41に示されたDNA配列によりコードされる))の活性化を介する、形質導入されたT細胞の活性化を実証するために、T細胞に、EGFRvIII-CD28-CD3z融合タンパク質を形質導入した(本明細書の以下では、「E3 T細胞」と称する)。形質導入されたT細胞を、四価の二重特異性抗体(bsAb)「BsAb EpCAM-EGFRvIII,MR1.1」(配列番号229(軽鎖(リーダー配列を伴わない)及び配列番号230(重鎖(リーダー配列を伴わない))を伴うか、又は伴わずに、腫瘍抗原であるEpCAMを発現させる(EpCAM+)膵臓がん(Panc02-OVA)細胞、又は腫瘍抗原であるEpCAMを発現させない(EpCAM-)膵臓がん(Panc02-OVA)細胞と共に、10:1の比で、12時間にわたりインキュベートした。加えて、それぞれの濃度の、四価の二重特異性抗体である「BsAb EpCAM-EGFRvIII,MR1.1」を伴うE3 T細胞を、37℃で、PBS中に20%のFCS(Gibco Products、Grand Island、USA)により、30分間にわたり前処理して、非特異的結合をブロックした。当業者には、本明細書では、FCSである、過剰量のポリクローナルタンパク質の添加により、本明細書では、抗体である、施されるタンパク質の非特異的結合を防止する手段として、ブロッキングの概念が周知である。ネガティブコントロールとして、非シグナル伝達マーカー抗原を形質導入したT細胞を使用した。T細胞の活性化を、ELISAを使用するINF-γ分泌として測定した。結果は、抗原陰性腫瘍細胞を上回る、抗原陽性(EpCAM+)細胞に対する、腫瘍細胞の認識の増強を示す。四価の二重特異性抗体(bsAb)「BsAb EpCAM-EGFRvIII,MR1.1」は、E3 T細胞を、膵臓がん(Panc02-OVA)細胞に動員し、EpCAMを発現させる腫瘍細胞に対して、特異的にリダイレクトされたT細胞の活性化を誘導する。EGFRを形質導入されたT細胞内では、活性化を検出できなかった。これらの結果は、ヒトEGFRvIII-CD28-CD3z融合タンパク質を使用して、四価の二重特異性抗体である「BsAb EpCAM-EGFRvIII,MR1.1」を介する、T細胞の活性化を誘発しうることを指し示す。しかし、四価の二重特異性抗体である「BsAb EpCAM-EGFRvIII,MR1.1」の存在下におけるT細胞の活性化はまた、四価の二重特異性抗体分子である「BsAb EpCAM-EGFRvIII,MR1.1」の腫瘍標的の非存在下でも生じることから、T細胞の非特異的活性化が指し示される。図1における「ブロッキングされた」という用語は、非特異的T細胞の活性化の程度について評価するために、FCSでブロッキングされたプレート上で、形質導入されたT細胞を、四価の二重特異性抗体と共に、共インキュベートする条件を指す。この条件下で、活性化が存在するならば、方向付けられていないT細胞の架橋から生じているはずである。「Panc02-OVA」という用語は、非特異的な(腫瘍を指向しない)活性化及び溶解について評価するために、形質導入されたT細胞を、四価の二重特異性抗体及びEpCAM-腫瘍細胞と共に共インキュベートする条件を指す。「Panc02-OVA-EpCAM」という用語は、特異的(腫瘍上の)活性化及び溶解について評価するために、形質導入されたT細胞を、四価の二重特異性抗体及びEpCAM+腫瘍細胞と共に共インキュベートする条件を指す。
図1B】形質導入されたT細胞と、腫瘍抗原であるEpCAMを発現させる(EpCAM+)か、又は腫瘍抗原であるEpCAMを発現させない(EpCAM-)、マウス膵臓がん腫瘍細胞(Panc02-OVA)との共培養 融合タンパク質であるEGFRvIII-CD28-CD3z(配列番号42(配列番号41に示されたDNA配列によりコードされる))の活性化を介する、形質導入されたT細胞の活性化を実証するために、T細胞に、EGFRvIII-CD28-CD3z融合タンパク質を形質導入した(本明細書の以下では、「E3 T細胞」と称する)。形質導入されたT細胞を、四価の二重特異性抗体(bsAb)「BsAb EpCAM-EGFRvIII,MR1.1」(配列番号229(軽鎖(リーダー配列を伴わない)及び配列番号230(重鎖(リーダー配列を伴わない))を伴うか、又は伴わずに、腫瘍抗原であるEpCAMを発現させる(EpCAM+)膵臓がん(Panc02-OVA)細胞、又は腫瘍抗原であるEpCAMを発現させない(EpCAM-)膵臓がん(Panc02-OVA)細胞と共に、10:1の比で、12時間にわたりインキュベートした。加えて、それぞれの濃度の、四価の二重特異性抗体である「BsAb EpCAM-EGFRvIII,MR1.1」を伴うE3 T細胞を、37℃で、PBS中に20%のFCS(Gibco Products、Grand Island、USA)により、30分間にわたり前処理して、非特異的結合をブロックした。当業者には、本明細書では、FCSである、過剰量のポリクローナルタンパク質の添加により、本明細書では、抗体である、施されるタンパク質の非特異的結合を防止する手段として、ブロッキングの概念が周知である。ネガティブコントロールとして、非シグナル伝達マーカー抗原を形質導入したT細胞を使用した。T細胞の活性化を、ELISAを使用するINF-γ分泌として測定した。結果は、抗原陰性腫瘍細胞を上回る、抗原陽性(EpCAM+)細胞に対する、腫瘍細胞の認識の増強を示す。四価の二重特異性抗体(bsAb)「BsAb EpCAM-EGFRvIII,MR1.1」は、E3 T細胞を、膵臓がん(Panc02-OVA)細胞に動員し、EpCAMを発現させる腫瘍細胞に対して、特異的にリダイレクトされたT細胞の活性化を誘導する。EGFRを形質導入されたT細胞内では、活性化を検出できなかった。これらの結果は、ヒトEGFRvIII-CD28-CD3z融合タンパク質を使用して、四価の二重特異性抗体である「BsAb EpCAM-EGFRvIII,MR1.1」を介する、T細胞の活性化を誘発しうることを指し示す。しかし、四価の二重特異性抗体である「BsAb EpCAM-EGFRvIII,MR1.1」の存在下におけるT細胞の活性化はまた、四価の二重特異性抗体分子である「BsAb EpCAM-EGFRvIII,MR1.1」の腫瘍標的の非存在下でも生じることから、T細胞の非特異的活性化が指し示される。図1における「ブロッキングされた」という用語は、非特異的T細胞の活性化の程度について評価するために、FCSでブロッキングされたプレート上で、形質導入されたT細胞を、四価の二重特異性抗体と共に、共インキュベートする条件を指す。この条件下で、活性化が存在するならば、方向付けられていないT細胞の架橋から生じているはずである。「Panc02-OVA」という用語は、非特異的な(腫瘍を指向しない)活性化及び溶解について評価するために、形質導入されたT細胞を、四価の二重特異性抗体及びEpCAM-腫瘍細胞と共に共インキュベートする条件を指す。「Panc02-OVA-EpCAM」という用語は、特異的(腫瘍上の)活性化及び溶解について評価するために、形質導入されたT細胞を、四価の二重特異性抗体及びEpCAM-腫瘍細胞と共に共インキュベートする条件を指す。
図2】形質導入されたT細胞と、腫瘍細胞との共培養における、二重特異性抗体のタイトレーション 図1に関して上記で記載した実験の設定に基づき、四価の二重特異性抗体(bsAb)「BsAb EpCAM-EGFRvIII,MR1.1」(配列番号229(軽鎖(リーダー配列を伴わない)及び配列番号230(重鎖(リーダー配列を伴わない))の濃度を変動させる実験を実施した。二重特異性抗体分子(bsAb)を、1ng/mL-1μg/mLでタイトレーションすることにより、ELISAにより測定される、IFN-γの分泌量の増大を見ることができた。EpCAM特異的T細胞の活性化及び非特異的T細胞の活性化のいずれも、用量依存的であることが見出された。
図3】プレートに結合した三価の二重特異性抗体によるT細胞の活性化の、四価の二重特異性抗体と対比した比較 EGFRvIII-CD28-CD3z融合タンパク質(配列番号42(タンパク質)及び41(DNA));本明細書の以下では、「E3 T細胞」と称する)を形質導入されたT細胞、又は野生型(WT)T細胞を、漸増濃度で、プレート上のコーティングに使用されるか、又はT細胞培養物に添加される、(i)四価の二重特異性抗体である「BsAb EpCAM-EGFRvIII,MR1.1」(配列番号229(軽鎖(リーダー配列を伴わない)及び配列番号230(重鎖(リーダー配列を伴わない))、(ii)三価の二重特異性抗体である「BsAb EGFRvIII-EpCAM」(プラスミド/ベクターである、「EGFR vIII MR1.1 VH Ck muEpCAM VH CH1 EE Fc knob PG LALA,pETR14953」(配列番号22(タンパク質)及び21(DNA))、「EGFR vIII MR1.1 VL CH1,pETR14951」(配列番号24(タンパク質)及び23(DNA))、「VL EpCAM G.8.8 Ck RK,pETR14882」(配列番号26(タンパク質)及び25(DNA))、及び「VH muEpCAM CH1 EE Fc hole PG LALA HRYF,pETR14940」(配列番号28(タンパク質)及び27(DNA))を含む/これらからなる配列番号233;また、図9ならびに表1及び2も参照されたい)、又は(iii)ポジティブコントロールとしてのセツキシマブ(Erbitux(登録商標)、Merck、Germany)により、48時間にわたり刺激した。第1の条件では、アッセイプレートを、抗体でコーティングし、第2の条件では、抗体を、可溶性形態で、T細胞に添加した。IFN-γの放出は、ELISAにより決定した。結果は、コーティング条件下にある、全ての抗体による、E3を形質導入されたT細胞の、同等な活性化を示す。図3における「ブロッキングされた」という用語は、非特異的T細胞の活性化の程度について評価するために、FCSでブロッキングされたプレート上で、形質導入されたT細胞を、四価の二重特異性抗体と共に、共インキュベートする条件を指す。この条件下で、活性化が存在するならば、方向付けられていないT細胞の架橋から生じているはずである。
図4】可溶型で三価の二重特異性抗体と共にインキュベートされた、形質導入T細胞の活性化の、可溶型で四価の二重特異性抗体と対比した比較 可溶性条件下で、EGFRvIII-CD28-CD3z融合タンパク質(配列番号42(タンパク質)及び41(DNA));本明細書の以下では、「E3 T細胞」と称する)を形質導入されたT細胞の非特異的活性化について探索するために、図3で記載される試料を、IFN-γ ELISAにおいて、希釈せずに使用した。四価の二重特異性抗体分子である「BsAb EpCAM-EGFRvIII,MR1.1」(配列番号229(軽鎖(リーダー配列を伴わない)及び配列番号230(重鎖(リーダー配列を伴わない))は、T細胞に対する、2つの結合部位に潜在的に起因して、T細胞の非特異的活性化を示す。これは、2つのT細胞の間の架橋をもたらすことが可能であり、これにより、細胞によるIFN-γの分泌をもたらしうる。逆に、三価の二重特異性抗体(bsAb)分子である「BsAb EGFRvIII-EpCAM」(プラスミド/ベクターである、「EGFR vIII MR1.1 VH Ck muEpCAM VH CH1 EE Fc knob PG LALA,pETR14953」(配列番号22(タンパク質)及び21(DNA))、「EGFR vIII MR1.1 VL CH1,pETR14951」(配列番号24(タンパク質)及び23(DNA))、「VL EpCAM G.8.8 Ck RK,pETR14882」(配列番号26(タンパク質)及び25(DNA))、及び「VH muEpCAM CH1 EE Fc hole PG LALA HRYF,pETR14940」(配列番号28(タンパク質)及び27(DNA))を含む/これらからなる配列番号233;また、図9ならびに表1及び2も参照されたい)により、この非特異的活性化は、1つのEGFRへの結合部位の喪失を介して消失する。
図5】抗体濃度の関数としての、表面抗原への結合の用量依存性についての解析 四価の二重特異性抗体分子である「BsAb EpCAM-EGFRvIII,MR1.1」(配列番号229(軽鎖(リーダー配列を伴わない)及び配列番号230(重鎖(リーダー配列を伴わない))、及び三価の二重特異性抗体(bsAb)分子である「BsAb EGFRvIII-EpCAM」(プラスミド/ベクターである、「EGFR vIII MR1.1 VH Ck muEpCAM VH CH1 EE Fc knob PG LALA,pETR14953」(配列番号22(タンパク質)及び21(DNA))、「EGFR vIII MR1.1 VL CH1,pETR14951」(配列番号24(タンパク質)及び23(DNA))、「VL EpCAM G.8.8 Ck RK,pETR14882」(配列番号26(タンパク質)及び25(DNA))、及び「VH muEpCAM CH1 EE Fc hole PG LALA HRYF,pETR14940」(配列番号28(タンパク質)及び27(DNA))を含む/これらからなる配列番号233;また、図9ならびに表1及び2も参照されたい)により、抗体価数の、EGFRvIII-CD28-CD3z融合タンパク質(配列番号42(タンパク質)及び41(DNA)))を形質導入されたT細胞の表面飽和に対する影響に対処するため、細胞を、漸増濃度の、四価又は三価のbsAb(10ng/mL;100ng/mL;500ng/mL;1μg/mL;5μg/mL;10μg/mL;20μg/mL;25μg/mL)と共にインキュベートし、フローサイトメトリーを介する二次抗体(FITC AffiniPure F(ab’) Fragment Goat Anti-Human IgG、F(ab’) fragment specific:109-096-097)染色により、表面飽和を決定した。四価の二重特異性抗体(bsAb)は、EGFRに対する、さらなる結合部位に好適な、低濃度における高度な飽和(三価の二重特異性抗体(bsAb)と比較した、曲線の左方シフト)を示す。
図6】抗体濃度の関数としての、三価の二重特異性抗体(bsAb)により媒介される、形質導入されたT細胞による、EpCAM+腫瘍細胞に対する、リダイレクトされた溶解能の、四価の二重特異性抗体(bsAb)と対比した比較 両方の抗体の細胞傷害性の潜在力を比較するために、bsAbを(それぞれ、三価又は四価の二重特異性抗体(bsAb)を)プレロードされたT細胞であって、ヒトEGFRvIII-CD28-CD3z融合タンパク質(配列番号42(タンパク質)及び41(DNA)));本明細書の以下では、「E3 T細胞」と称する)を形質導入されたT細胞を、腫瘍抗原であるEpCAMを発現させる膵臓がん細胞(Panc02-OVA)と共に、9時間にわたり共培養した。殺滅の有効性を、腫瘍細胞のLDH放出により測定した。抗体(濃度を、250ng/ml、125ng/ml、又は62.5ng/mlとする)は、EpCAMを発現させる(EpCAM+)膵臓がん細胞に対する、ほぼ同一な溶解能を有する。しかし、低濃度(すなわち、31.25ng/ml又は15.63ng/mlの濃度)では、三価bsAbは、EpCAM+がん細胞に対する細胞傷害効果の、四価の二重特異性抗体分子と比較した増大により特徴を明らかにされる。
図7】抗体濃度の関数としての、三価の二重特異性抗体により媒介される、形質導入されたT細胞による、EpCAM-腫瘍細胞に対する、非特異的溶解能の、四価の二重特異性抗体と対比した比較 EpCAMを発現させない(EpCAM-)膵臓がん細胞(Panc02-OVA)を、bsAb(三価又は四価の二重特異性抗体)をプレロードされたT細胞と共に、9時間にわたり共培養した。溶解能は、LDH放出により決定した。高抗体濃度では(すなわち、250ng/ml又は62.5ng/mlの抗体濃度では)、四価二重特異性抗体分子である「BsAb EpCAM-EGFRvIII,MR1.1」は、低抗体濃度と共に低下する、バックグラウンドの非特異的溶解を示す。逆に、各被験濃度の、三価の二重特異性抗体(bsAb)分子である「BsAb EGFRvIII-EpCAM」(プラスミド/ベクターである、「EGFR vIII MR1.1 VH Ck muEpCAM VH CH1 EE Fc knob PG LALA,pETR14953」(配列番号22(タンパク質)及び21(DNA))、「EGFR vIII MR1.1 VL CH1,pETR14951」(配列番号24(タンパク質)及び23(DNA))、「VL EpCAM G.8.8 Ck RK,pETR14882」(配列番号26(タンパク質)及び25(DNA))、及び「VH muEpCAM CH1 EE Fc hole PG LALA HRYF,pETR14940」(配列番号28(タンパク質)及び27(DNA))を含む/これらからなる配列番号233;また、図9ならびに表1及び2も参照されたい)は、バックグラウンドの非特異的溶解を示さない。四価bsAbについて示される、非特異的な標的細胞の溶解は、三価bsAbにより消失する。したがって、三価の二重特異性抗体(bsAb)分子である「BsAb EGFRvIII-EpCAM」(配列番号233)と、ヒトEGFRvIII-CD28-CD3z融合タンパク質(配列番号42(タンパク質)及び41(DNA));「E3 T細胞」と称する)を形質導入されたT細胞との組合せは、EpCAMを発現させる(EpCAM+)膵臓がん細胞を、特異的に溶解させる。
図8】融合タンパク質の概観 Igリーダー配列(配列番号206)、Criptoの細胞外ドメイン(配列番号62)、CD8のヒンジドメイン(配列番号64(マウス)及び74(ヒト))、ならびにCD28(配列番号56(マウス)及び68(ヒト))及びCD3z(配列番号58(マウス)及び70(ヒト))のシグナル伝達共刺激ドメインから構成される、Cripto融合タンパク質(配列番号46(マウス)及び120(ヒト))。EGFRvIIIの細胞外ドメイン(配列番号76)、CD28の膜貫通アンカリングドメイン(配列番号54(マウス)及び66(ヒト))、CD28(配列番号56(マウス)及び68(ヒト))及びCD3z(配列番号58(マウス)及び70(ヒト))のシグナル伝達共刺激ドメインから構成される、EGFRvIIIの細胞外ドメイン(配列番号76)、CD28の膜貫通アンカリングドメイン(配列番号54(マウス)及び66(ヒト))、CD28(配列番号56(マウス)及び68(ヒト))及びCD3z(配列番号58(マウス)及び70(ヒト))のシグナル伝達共刺激ドメイン、ならびにCD3zのシグナル伝達刺激ドメイン(配列番号58(マウス)又は70(ヒト))から構成される、EGFRvIII融合タンパク質(配列番号42(マウス)及び48(ヒト))。代替的に、EGFRvIIIの細胞外ドメイン(配列番号76)、CD28の膜貫通アンカリングドメイン(配列番号54(マウス)及び66(ヒト))、CD28シグナル伝達共刺激ドメイン(配列番号56(マウス)及び66(ヒト))及び4-1-BB(配列番号60(マウス)又は72(ヒト))及びCD3zのシグナル伝達共刺激ドメイン(配列番号58(マウス)又は70(ヒト))から構成される、EGFRvIII融合タンパク質(配列番号44(マウス)及び50(ヒト))。
図9】三価の二重特異性抗体(bsAb)分子である「BsAb EGFRvIII-EpCAM」の概括的構造 三価の二重特異性抗体(bsAb)分子である「BsAb EGFRvIII-EpCAM」(プラスミド/ベクターである、「EGFR vIII MR1.1 VH Ck muEpCAM VH CH1 EE Fc knob PG LALA,pETR14953」、「EGFR vIII MR1.1 VL CH1,pETR14951」、「VL EpCAM G.8.8 Ck RK,pETR14882」、及び「VH muEpCAM CH1 EE Fc hole PG LALA HRYF,pETR14940」を含む/これらからなる配列番号233;また、表1及び2も参照されたい)の概括的構造。muEpCAM/EGFRvIIIの可変ドメインを、それぞれのレシピエント哺乳動物用の発現ベクターにあらかじめ挿入された定常鎖とインフレームでサブクローニングした。タンパク質の発現を、CMVプロモーターにより駆動し、合成のポリAシグナル配列を、コード配列(CDS)の3’端に置く。加えて、各ベクターは、EBV OriP配列を含有する。分子は、懸濁液中で増殖するCHO細胞に、哺乳動物用の発現ベクターをコトランスフェクトすることにより作製した。一過性のトランスフェクションは、Evitria AG(Switzerland)において行った。細胞に、対応する発現ベクターを、1:2:1:1(「ベクター重鎖ホール(VH-CH1-CH2-CH3)」:「軽鎖(LC)」:「ベクター重鎖ノブ(VH-CK-VH-CH1-CH2-CH3)」:「交差軽鎖(VL-CH1)」)の比でトランスフェクトした。濾過された上清を、精製まで、4℃に保った。分泌タンパク質を、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーを使用するアフィニティークロマトグラフィーに続く、1つ-2つのサイズ除外クロマトグラフィー(SEC)工程により、細胞培養物上清から精製した。精製されたタンパク質試料のタンパク質濃度は、アミノ酸配列に基づき計算されたモル吸光係数で除した、280nmにおける光学濃度(OD)を測定することにより決定した。
図9A】最終的な精製工程の後における、分子の純度及び分子量は、還元剤の存在下及び非存在下におけるCE-SDS解析により解析した(右)。Caliper LabChip GXIIシステム(Caliper Lifescience)を、製造元の指示書に従い使用した。分子の凝集物含有量は、TSKゲルG3000 SW XL解析用サイズ排除カラム(東ソー株式会社)を、25℃の、25mMのK2HPO4、125mMのNaCl、200mMのL-アルギニン一塩酸塩、0.02%(w/v)のNaN3、pH6.7のランニングバッファー中で使用して解析した。全ての分子の、最終的な品質は、良好であり、モノマーの含有量は、≧96%であった。分子1及び2は、三価の二重特異性抗体(bsAb)分子である「BsAb EGFRvIII-EpCAM」(プラスミド/ベクターである、「EGFR vIII MR1.1 VH Ck muEpCAM VH CH1 EE Fc knob PG LALA,pETR14953」(配列番号22(タンパク質)及び21(DNA))、「EGFR vIII MR1.1 VL CH1,pETR14951」(配列番号24(タンパク質)及び23(DNA))、「VL EpCAM G.8.8 Ck RK,pETR14882」(配列番号26(タンパク質)及び25(DNA))、及び「VH muEpCAM CH1 EE Fc hole PG LALA HRYF,pETR14940」(配列番号28(タンパク質)及び27(DNA))を含む/これらからなる配列番号233;また、表1及び2も参照されたい)であって、インビトロバッチ(分子1)内で作製されるか、又はインビボバッチ(分子2)内で作製された、三価の二重特異性抗体(bsAb)分子を指す。muEpCAM/EGFRvIII分子の作製及び精製についての概要:
図9B】最終的な精製工程の後における、分子の純度及び分子量は、還元剤の存在下及び非存在下におけるCE-SDS解析により解析した(右)。Caliper LabChip GXIIシステム(Caliper Lifescience)を、製造元の指示書に従い使用した。分子の凝集物含有量は、TSKゲルG3000 SW XL解析用サイズ排除カラム(東ソー株式会社)を、25℃の、25mMのK2HPO4、125mMのNaCl、200mMのL-アルギニン一塩酸塩、0.02%(w/v)のNaN3、pH6.7のランニングバッファー中で使用して解析した。全ての分子の、最終的な品質は、良好であり、モノマーの含有量は、≧96%であった。分子1及び2は、三価の二重特異性抗体(bsAb)分子である「BsAb EGFRvIII-EpCAM」(プラスミド/ベクターである、「EGFR vIII MR1.1 VH Ck muEpCAM VH CH1 EE Fc knob PG LALA,pETR14953」(配列番号22(タンパク質)及び21(DNA))、「EGFR vIII MR1.1 VL CH1,pETR14951」(配列番号24(タンパク質)及び23(DNA))、「VL EpCAM G.8.8 Ck RK,pETR14882」(配列番号26(タンパク質)及び25(DNA))、及び「VH muEpCAM CH1 EE Fc hole PG LALA HRYF,pETR14940」(配列番号28(タンパク質)及び27(DNA))を含む/これらからなる配列番号233;また、表1及び2も参照されたい)であって、インビトロバッチ(分子1)内で作製されるか、又はインビボバッチ(分子2)内で作製された、三価の二重特異性抗体(bsAb)分子を指す。muEpCAM/EGFRvIII分子の作製及び精製についての概要:
【表1】
図10】三価の二重特異性抗体(bsAb)分子である「BsAb EGFRvIII-MSLN」の概括的構造 三価の二重特異性抗体(bsAb)分子である「BsAb EGFRvIII-MSLN」(プラスミド/ベクターである、「EGFR vIII MR1.1 VH Ck MSLN VH CH1 EE Fc knob PG LALA,pETR15655」、「EGFR vIII MR1.1 VL CH1,pETR15656」、「VL MSLN Ck RK,pETR15443」、及び「VH MSLN CH1 EE Fc hole PG LALA HRYF,pETR15667」を含む/これらからなる配列番号235;また、表3及び4も参照されたい)の概括的構造。MSLN/EGFRvIIIの可変ドメインを、それぞれのレシピエント哺乳動物用の発現ベクターにあらかじめ挿入された定常鎖とインフレームでサブクローニングした。タンパク質の発現を、MPSVプロモーターにより駆動し、合成のポリAシグナル配列を、CDSの3’端に置く。加えて、各ベクターは、EBV OriP配列を含有する。分子は、ポリエチレンイミン(PEI)を使用して、懸濁液中で増殖するHEK293-EBNA細胞に、哺乳動物用の発現ベクターをコトランスフェクトすることにより作製した。細胞に、対応する発現ベクターを、1:2:1:1(「ベクター重鎖ホール(VH-CH1-CH2-CH3)」:「軽鎖(LC)」:「ベクター重鎖ノブ(VH-CK-VH-CH1-CH2-CH3)」:「交差軽鎖(VL-CH1)」)の比でトランスフェクトした。溶液を滅菌濾過し(0.22μmのフィルター)、0.01%w/vの最終濃度で、アジ化ナトリウムを添加した。溶液を、精製まで、4℃に保った。分泌タンパク質を、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーを使用するアフィニティークロマトグラフィーに続く、1つ-2つのサイズ除外クロマトグラフィー(SEC)工程により、細胞培養物上清から精製した。
図10A】最終的な精製工程の後における、分子の純度及び分子量は、還元剤の存在下及び非存在下におけるCE-SDS解析により解析した(右)。Caliper LabChip GXIIシステム(Caliper Lifescience)を、製造元の指示書に従い使用した。分子の凝集物含有量は、TSKゲルG3000 SW XL解析用サイズ排除カラム(東ソー株式会社)を、25℃の、25mMのK2HPO4、125mMのNaCl、200mMのL-アルギニン一塩酸塩、0.02%(w/v)のNaN3、pH6.7のランニングバッファー中で使用して解析した。全ての分子の、最終的な品質は、良好であり、モノマーの含有量は、≧96%であった。分子1は、三価の二重特異性抗体(bsAb)分子である「BsAb EGFRvIII-MSLN」(プラスミド/ベクターである、「EGFR vIII MR1.1 VH Ck MSLN VH CH1 EE Fc knob PG LALA,pETR15655」(配列番号2(タンパク質)及び1(DNA))、「EGFR vIII MR1.1 VL CH1,pETR15656」(配列番号4(タンパク質)及び3(DNA))、「VL MSLN Ck RK,pETR15443」(配列番号6(タンパク質)及び5(DNA))、及び「VH MSLN CH1 EE Fc hole PG LALA HRYF,pETR15667」(配列番号8(タンパク質)及び7(DNA))を含む/これらからなる配列番号235;また、図10ならびに表3及び4も参照されたい)を指す。MSLN/EGFRvIII分子の作製及び精製についての概要:
【表2】
三価の二重特異性抗体(bsAb)分子である「BsAb EGFRvIII-MSLN」(プラスミド/ベクターである、「EGFR vIII MR1.1 VH Ck MSLN VH CH1 EE Fc knob PG LALA,pETR15655」、「EGFR vIII MR1.1 VL CH1,pETR15656」、「VL MSLN Ck RK,pETR15443」、及び「VH MSLN CH1 EE Fc hole PG LALA HRYF,pETR15667」を含む/これらからなる配列番号235;また、表3及び4も参照されたい)についてのCE-SDS解析:ゲル電気泳動について、タンパク質標準物質、非還元条件下のタンパク質、及び還元条件下のタンパク質を示す。右側のグラフは、非還元条件下及び還元条件下のタンパク質の蛍光を示す。
図10B】純度を決定するための、三価の二重特異性抗体(bsAb)分子である「BsAb EGFRvIII-MSLN」(配列番号235;また、表3及び4も参照されたい)についての解析的サイズ排除クロマトグラフィー解析。
図11】三価の二重特異性抗体(bsAb)分子である「BsAb EGFRvIII-MCSP」の概括的構造 三価の二重特異性抗体(bsAb)分子である「BsAb EGFRvIII-MCSP」(プラスミド/ベクターである、「MR1.1 EGFRvIII VH-Ck-(G4S)2 MCSP M4-3 VH CH1 EE Fc knob PG LALA,pETR16621」(配列番号207に示されたDNA配列によりコードされる配列番号208)、「EGFR vIII MR1.1 VL CH1,pETR15656」(配列番号210(タンパク質)及び209(DNA))、「MCSP ML2 VL Ck RK,pETR16619」(配列番号212(タンパク質)及び211(DNA))、及び「MCSP M4-3 VH CH1 EE Fc hole PG LALA HYRF,pETR16618」(配列番号214(タンパク質)及び213(DNA)))を含む/これらからなる配列番号234;また、表5及び6も参照されたい)の概括的構造。
図11A】三価の二重特異性抗体(bsAb)分子である「BsAb EGFRvIII-MCSP」(配列番号234;また、表5及び6も参照されたい)についてのCE-SDS解析:ゲル電気泳動について、タンパク質標準物質、非還元条件下のタンパク質、及び還元条件下のタンパク質を示す。
図12】腫瘍抗原であるEpCAMを発現させる(EpCAM+)マウスがん腫瘍細胞(B16EpCAM腫瘍モデル及び4T1腫瘍モデル)の、四価の二重特異性抗体(bsAb)である「BsAb EpCAM-EGFRvIII,MR1.1」(配列番号229(軽鎖(リーダー配列を伴わない)及び配列番号230(重鎖(リーダー配列を伴わない))、及び三価の二重特異性抗体である「BsAb EGFRvIII-EpCAM」(配列番号233;また、表1及び2も参照されたい)との共培養 二重特異性抗体(bsAb)についての用量反応曲線を決定するために、四価の二重特異性抗体(bsAb)「BsAb EpCAM-EGFRvIII,MR1.1」(配列番号229(軽鎖(リーダー配列を伴わない)及び配列番号230(重鎖(リーダー配列を伴わない))、及び三価の二重特異性抗体である「BsAb EGFRvIII-EpCAM」(配列番号233;また、表1及び2も参照されたい)の両方を、一対一でタイトレーションし、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)放出により、細胞傷害性を測定した。
図12A】こうして、B16EpCAM腫瘍モデルでは、それぞれの抗体の用量の低下と共に、細胞傷害性の低下を観察することができる。さらに、いずれの抗体フォーマットも、十分かつ同等な腫瘍細胞の殺滅を示す。
図12B】こうして、4T1腫瘍モデルでは、それぞれの抗体の用量の低下と共に、細胞傷害性の低下を観察することができる。さらに、いずれの抗体フォーマットも、十分かつ同等な腫瘍細胞の殺滅を示す。
図13】Panc02-EpCAM腫瘍細胞に対する、E3を形質導入されたマウスT細胞による、殺滅機構を決定する、リアルタイム細胞傷害アッセイ EGFRvIII-CD28-CD3z融合タンパク質(配列番号42(タンパク質)及び41(DNA)))(「E3」と称する)を形質導入されたT細胞の殺滅能は、FasLブロッキング抗体(CD178(Fasリガンド)モノクローナル抗体、クローンMFL3(型番16-5911-85(ThermoFisher Scientific(商標))で、腫瘍細胞とT細胞との間の、FasL-Fas間相互作用をブロックすることにより損われうる。ACEA Bioscience製のiCELLigence測定器を使用することにより、この知見を、図13に示す。デバイスは、接着性細胞の数に依存する、時間経過にわたる、妨害の大きさの変化を測定する。融合タンパク質であるEGFRvIII-CD28-CD3z(配列番号42(タンパク質)及び41(DNA)))の活性化とは対照的に、EpCAM特異的キメラ抗原受容体(CAREpcam;配列番号249(タンパク質)及び248(DNA))を形質導入されたT細胞は、FasLブロッキング抗体の存在下でもなお、腫瘍細胞の溶解を誘導することが可能である。PancOVAEpCAM条件とは、腫瘍細胞だけを伴う条件を指す。T細胞条件とは、T細胞だけを伴う条件を指す。CAREpCAMを伴う条件とは、CAREpCAM(配列番号249(タンパク質)及び248(DNA)))を形質導入されたT細胞の、PancOVA-EpCAMとの共培養を指す。
図14】濃度を変動させる、三価の二重特異性抗体分子である「BsAb EGFRvIII-MSLN」(配列番号235;また、表3及び4も参照されたい)を使用する抗体結合アッセイ EGFRvIII-CD28-CD3z融合タンパク質(配列番号47(DNA)によりコードされる配列番号48(タンパク質))(本明細書の以下では、「E3 T細胞」と称する)のヒトバージョンを形質導入されたT細胞を、bsAb濃度を1.0g/mlとする、三価の二重特異性抗体である「EGFRvIII-MSLN」(配列番号235;また、表3及び4も参照されたい)により、48時間にわたり刺激した。「EGFRvIII-MSLN」bsAbは、E3を形質導入されたT細胞を、特異的に刺激するが、完全長E3コンストラクトを欠くT細胞(E3del(配列番号247(タンパク質)及び246(DNA)))及びUT)は、「EGFRvIII-MSLN」bsAbの存在下で刺激されない。このT細胞の刺激は、そのFc様部分を介する、E3-bsAbの、プレートへの結合に条件付けられるので、可溶型E3-bsAbは、E3を形質導入されたT細胞を刺激しない。E3delが、細胞内ドメインを欠く、E3の切除型であるのに対し、UTは、非形質導入T細胞を指す。
図15】組換えメソテリン(MSLN)による刺激:組換えメソテリンの存在下における、形質導入されたT細胞と、三価の二重特異性抗体分子である「BsAb EGFRvIII-MSLN」(配列番号235;また、表3及び4も参照されたい)との共培養 EGFRvIII-CD28-CD3z融合タンパク質(配列番号47(DNA)によりコードされる配列番号48(タンパク質))(「E3 T細胞」又は「E3」と称する)のヒトバージョンを形質導入されたT細胞を、bsAb濃度を1.0g/mlとする、三価の二重特異性抗体(bsAb)「EGFRvIII-MSLN」(配列番号235;また、表3及び4も参照されたい)により、48時間にわたり刺激した。「EGFRvIII-MSLN」bsAbは、E3 T細胞を、特異的に刺激するが、完全長E3コンストラクトを欠くT細胞(E3del(配列番号247(タンパク質)及び246(DNA)))及びUT)は、「EGFRvIII-MSLN」bsAb(可溶型)及び組換えメソテリン(5μg/mlの濃度まで、ウェルをコーティングする)の存在下で刺激されない。コントロールは、T細胞(E3 T細胞対非形質導入T細胞対E3delコンストラクトを形質導入したT細胞)であった。E3delが、細胞内ドメインを欠く、E3の切除型であるのに対し、UTは、非形質導入T細胞を指す。
図16】HEK293-FLIPin-MSLN E3を形質導入されたヒトT細胞の共培養 EGFRvIII-CD28-CD3z融合タンパク質(配列番号47(DNA)によりコードされる配列番号48(タンパク質))(「E3 T細胞」又は「E3」と称する)のヒトバージョンを形質導入されたT細胞を、「EGFRvIII-MSLN」bsAbの濃度を1.0g/mlとする、三価の二重特異性抗体である「EGFRvIII-MSLN」(配列番号235;また、表3及び4も参照されたい)により、48時間にわたり刺激した。「EGFRvIII-MSLN」bsAbは、E3 T細胞を、特異的に刺激するが、完全長E3コンストラクトを欠くT細胞(E3del(配列番号247(タンパク質)及び246(DNA)))及びUT)は、「EGFRvIII-MSLN」bsAb(可溶型)及びHEK293-FLPin-MSLN細胞(HEK293)の存在下で刺激されない。これは、アッセイを、単一クローン(C12)により設定した場合のほか、ポリクローナル設定の場合にも観察された。UTは、非形質導入T細胞を指す。BsAbは、二重特異性抗体(bsAb)だけを伴う条件を指す。共培養は、エフェクター対標的比を、10:1として、48時間にわたり行った。腫瘍細胞は、共培養の6時間前に播種し、T細胞には、共培養の30分前に、bsAbを、プレロードした(bsAb濃度:1μg/ml)。E3delが、細胞内ドメインを欠く、E3の切除型であるのに対し、UTは、非形質導入T細胞を指す。
図17】Suit-OE-MSLN刺激アッセイ:MSLNを過剰発現させる膵臓細胞株を使用して、前記腫瘍細胞の存在下又は非存在下におけるT細胞の条件的刺激について、三価の二重特異性抗体である「EGFRvIII-MSLN」(配列番号235;また、表3及び4も参照されたい)の効率を調べた メソテリン(MSLN)を過剰発現させる膵臓細胞株(図中では、「Suits007OE」と称する)の存在下又は非存在下において、EGFRvIII-CD38-CD3z融合タンパク質(配列番号47(DNA)によりコードされる配列番号48(タンパク質))(本明細書の以下では、「E3 T細胞」又は「E3」と称する)のヒトバージョンを形質導入したT細胞を、「EGFRvIII-MSLN」bsAbの濃度を1.0g/mlとする、三価の二重特異性抗体(bsAb)「EGFRvIII-MSLN」(配列番号235;また、表3及び4も参照されたい)により、48時間にわたり刺激した。「Suits007OE」という用語は、膵臓細胞株を指す。「EGFRvIII-MSLN」bsAbは、E3 T細胞を、特異的に刺激するが、完全長E3コンストラクトを欠くT細胞(E3del(配列番号247(タンパク質)及び246(DNA)))及びUT)は、「EGFRvIII-MSLN」bsAb(可溶型)及びSuits007OEの存在下で刺激されない。アッセイは、腫瘍細胞に対するエフェクター対標的比を、19:1として実施した。腫瘍細胞は、共培養の6時間前に播種し、T細胞には、共培養の30分前に、「EGFRvIII-MSLN」bsAbを、プレロードした(bsAb濃度:1μg/ml)。結果は、がん細胞を認識し、活性化させる、方法の能力を裏付ける。E3delが、細胞内ドメインを欠く、E3の切除型であるのに対し、UTは、非形質導入T細胞を指す。
【実施例
【0158】
以下の実施例により、本発明を例示する。
【0159】
実施例1: 四価の二重特異性抗体である「BsAb EpCAM-EGFRvIII,MR1.1」(配列番号229(軽鎖(リーダー配列を伴わない)及び配列番号230(重鎖(リーダー配列を伴わない)))の調製
四価の二重特異性抗体分子である「BsAb EpCAM-EGFRvIII,MR1.1」(配列番号229(軽鎖(リーダー配列を伴わない)及び配列番号230(重鎖(リーダー配列を伴わない)))を、国際公開第2013/113615号の実施例1、2、及び4で記載されているクローニング方法により調製した。以下の実施例では、概念実証として、例示的に、一方のアーム上の、del-hEGFRvIII(配列番号232(タンパク質)及び231(核酸(DNA)))に対する2つの抗原結合部位/抗原結合ドメインと、他方のアーム上の、(マウス)EpCAM(配列番号83(核酸(DNA))及び84(タンパク質))に対する2つの抗原結合部位/抗原結合ドメインとを伴う、四価の二重特異性抗体分子である「BsAb EpCAM-EGFRvIII,MR1.1」(配列番号229及び230)を、国際公開第2013/113615号(参照により本明細書に組み込まれる)の実施例4に沿って構築した。
【0160】
実施例2: 三価の二重特異性抗体の調製
2.1 三価の二重特異性抗体(bsAb)分子である「BsAb EGFRvIII-EpCAM」(プラスミド/ベクターである、プラスミド/ベクターである「EGFR vIII MR1.1 VH Ck muEpCAM VH CH1 EE Fc knob PG LALA,pETR14953」、「EGFR vIII MR1.1 VL CH1,pETR14951」、「VL EpCAM G.8.8 Ck RK,pETR14882」、及び「VH muEpCAM CH1 EE Fc hole PG LALA HRYF,pETR14940」を含む/これらからなる配列番号233;また、表1及び2も参照されたい)の調製
本実施例では、三価の二重特異性抗体分子である「BsAb EGFRvIII-EpCAM」(プラスミド/ベクターである、プラスミド/ベクターである「EGFR vIII MR1.1 VH Ck muEpCAM VH CH1 EE Fc knob PG LALA,pETR14953」、「EGFR vIII MR1.1 VL CH1,pETR14951」、「VL EpCAM G.8.8 Ck RK,pETR14882」、及び「VH muEpCAM CH1 EE Fc hole PG LALA HRYF,pETR14940」を含む/これらからなる配列番号233;表1及び2も参照されたい)を調製した。その概略的例示を、図9に示す;古典的フォーマットである、muEpCAM/EGFRvIII 2+1 IgG(配列番号233;表1及び2も参照されたい)。muEpCAM/EGFRvIIIの可変ドメインを、それぞれのレシピエント哺乳動物用の発現ベクターにあらかじめ挿入された定常鎖とインフレームでサブクローニングした。タンパク質の発現を、CMVプロモーターにより駆動し、合成のポリAシグナル配列を、CDSの3’端に置く。加えて、各ベクターは、EBV OriP配列を含有する。分子は、懸濁液中で増殖するCHO細胞に、哺乳動物用の発現ベクターをコトランスフェクトすることにより作製した。一過性のトランスフェクションは、Evitria AG(Switzerland)において行った。細胞に、対応する発現ベクターを、1:2:1:1(「ベクター重鎖ホール(VH-CH1-CH2-CH3)」:「軽鎖(LC)」:「ベクター重鎖ノブ(VH-CK-VH-CH1-CH2-CH3)」:「交差軽鎖(VL-CH1)」)の比でトランスフェクトした。濾過された上清を、精製まで、4℃に保った。分泌タンパク質を、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーを使用するアフィニティークロマトグラフィーに続く、1つ-2つのサイズ除外クロマトグラフィー工程により、細胞培養物上清から精製した。アフィニティークロマトグラフィーのために、上清を、20mMのリン酸ナトリウム、20mMのクエン酸ナトリウム、0.5Mの塩化ナトリウム、0.01%のTween-20 pH7.5 25mlで平衡化させたHiTrap ProteinA FFカラム(CV=5mL、GE Healthcare)上にロードした。20mMのリン酸ナトリウム、20mMのクエン酸ナトリウム、0.5Mの塩化ナトリウム、0.01%のTween-20 pH7.5、少なくとも10カラム容積で洗浄することにより、結合しなかったタンパク質を除去し、標的タンパク質を、20mMのクエン酸ナトリウム、0.5Mの塩化ナトリウム、0.01%のTween-20 pH2.5 20カラム容積(勾配0%-100%)中で溶出させた。10分の1濃度の2MのトリスpH 10.5を添加することにより、タンパク質溶液を中和した。20mMのヒスチジン、140mMの塩化ナトリウム、pH6.0、0.01%のTween20で平衡化させたHiLoad Superdex 200カラム(GE Healthcare)上にロードする前に、標的タンパク質を、Amicon(登録商標)Ultra-15 Ultracel 30K(Merck Millipore Ltd.)で、4mlの最大容積に濃縮した。サイズ排除クロマトグラフィー後の解析作業のために、単一の画分内の分子の純度及び分子量は、還元剤の非存在下におけるSDS-PAGEと、Coomassie(InstantBlue(商標)、Expedeon)を伴う染色とにより解析した。NuPAGE(登録商標)Pre-Castゲルシステム(4-12%のビス-トリス、Invitrogen、又は3-8%のトリス酢酸塩、Invitrogen)を、製造元の指示書に従い使用した。精製されたタンパク質試料のタンパク質濃度は、アミノ酸配列に基づき計算されたモル吸光係数で除した、280nmにおける光学濃度(OD)を測定することにより決定した。最終的な精製工程の後における、分子の純度及び分子量は、還元剤の存在下及び非存在下におけるCE-SDS解析により解析した。Caliper LabChip GXIIシステム(Caliper Lifescience)を、製造元の指示書に従い使用した(図9A、9B)。分子の凝集物含有量は、TSKゲルG3000 SW XL解析用サイズ排除カラム(東ソー株式会社)を、25℃の、25mMのK2HPO4、125mMのNaCl、200mMのL-アルギニン一塩酸塩、0.02%(w/v)のNaN3、pH6.7のランニングバッファー中で使用して解析した(図9B)。全ての分子の、最終的な品質は、良好であり、モノマーの含有量は、≧96%であった。以下の表7は、muEpCAM/EGFRvIII分子の作製及び精製についてまとめる。表7中の分子1及び2は、三価の二重特異性抗体分子である「BsAb EGFRvIII-EpCAM」(プラスミド/ベクターである、プラスミド/ベクターである「EGFR vIII MR1.1 VH Ck muEpCAM VH CH1 EE Fc knob PG LALA,pETR14953」、「EGFR vIII MR1.1 VL CH1,pETR14951」、「VL EpCAM G.8.8 Ck RK,pETR14882」、及び「VH muEpCAM CH1 EE Fc hole PG LALA HRYF,pETR14940」を含む/これらからなる配列番号233;また、表1及び2も参照されたい)であって、インビトロバッチ(分子1)内で作製されるか、又はインビボバッチ(分子2)内で作製された、三価の二重特異性抗体分子を指す。
表7:
【0161】
2.2 三価の二重特異性抗体(bsAb)分子である「BsAb EGFRvIII-MSLN」(プラスミド/ベクターである、「EGFRvIII MR1.1 VH Ck MSLN CH CH1 EE Fc knob PG LALA,pETR15655」、「EGFR vIII MR1.1 VL CH1,pETR15656」、「VL MSLN Ck RK,pETR15443」、及び「VH MSLN CH1 EE Fc hole PG LALA HRYF,pETR15667」を含む/これらからなる配列番号235;また、表3及び4も参照されたい)の調製
本実施例では、三価の二重特異性抗体分子である「BsAb EGFRvIII-MSLN」(プラスミド/ベクターである、「EGFRvIII MR1.1 VH Ck MSLN CH CH1 EE Fc knob PG LALA,pETR15655」、「EGFR vIII MR1.1 VL CH1,pETR15656」、「VL MSLN Ck RK,pETR15443」、及び「VH MSLN CH1 EE Fc hole PG LALA HRYF,pETR15667」を含む/これらからなる配列番号235;また、表3及び4も参照されたい)を調製した(その概略的例示を、図10に示す;古典的フォーマットである、MSLN/EGFRvIII 2+1 IgG(配列番号235;また、表3及び4も参照されたい))。MSLN/EGFRvIIIの可変ドメインを、それぞれのレシピエント哺乳動物用の発現ベクターにあらかじめ挿入された定常鎖とインフレームでサブクローニングした。タンパク質の発現を、MPSVプロモーターにより駆動し、合成のポリAシグナル配列を、CDSの3’端に置く。加えて、各ベクターは、EBV OriP配列を含有する。分子は、ポリエチレンイミン(PEI)を使用して、懸濁液中で増殖するHEK293-EBNA細胞に、哺乳動物用の発現ベクターをコトランスフェクトすることにより作製した。細胞に、対応する発現ベクターを、1:2:1:1(「ベクター重鎖ホール(VH-CH1-CH2-CH3)」:「軽鎖(LC)」:「ベクター重鎖ノブ(VH-CK-VH-CH1-CH2-CH3)」:「交差軽鎖(VL-CH1)」)の比でトランスフェクトした。濾過された上清を、精製まで、4℃に保った。トランスフェクションのために、HEK293 EBNA細胞を、6mMのL-グルタミン及び250mg/lのG418を含有する無血清ExCell培地中で培養した。600mlのTube Spinフラスコ(最大作業容積:400mL)内の作製のために、HEK293 EBNA細胞8億個を、G418を伴わないトランスフェクションの24時間前に播種した。トランスフェクションのために、細胞8億個を、210×gで、5分間にわたり遠心分離した。上清を、6mMのL-グルタミンを含有する、40mlの、あらかじめ加温されたCD-CHO培地により置きかえた。発現ベクターを、400μgのDNA総量まで、6mMのL-グルタミンを含有する、40mlのCD-CHO培地と混合した。1080μのlPEI溶液(2.7μg/ml)を添加した後で、混合物を、15秒間にわたりボルテックスし、その後、室温で10分間にわたりインキュベートした。その後、細胞を、DNA/PEI溶液と混合し、600mlのTube Spinフラスコに移し、5%のCO雰囲気を伴うインキュベーター内、37℃で、3時間にわたりインキュベートした。インキュベーション後、320mlのExCell+6mMのL-グルタミン+5g/LのPepsoy+1.0mMのVPA+3g/lのグルコース培地を添加し、細胞を、7%のFeed7をフィードする前に、24時間にわたり培養した。6-7日間後、培養上清を、210×g(Sigma 8K遠心分離機)で、20-30分間にわたる遠心分離による精製のために回収した。溶液を滅菌濾過し(0.22μmのフィルター)、0.01%w/vの最終濃度で、アジ化ナトリウムを添加した。溶液を、精製まで、4℃に保った。分泌タンパク質を、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーを使用するアフィニティークロマトグラフィーに続く、1つ-2つのサイズ除外クロマトグラフィー工程により、細胞培養物上清から精製した。アフィニティークロマトグラフィーのために、上清を、20mMのリン酸ナトリウム、20mMのクエン酸ナトリウム、0.5Mの塩化ナトリウム、0.01%のTween-20 pH7.5 25mlで平衡化させたHiTrap ProteinA FFカラム(CV=5mL、GE Healthcare)上にロードした。20mMのリン酸ナトリウム、20mMのクエン酸ナトリウム、0.5Mの塩化ナトリウム、0.01%のTween-20 pH7.5、少なくとも10カラム容積で洗浄することにより、結合しなかったタンパク質を除去し、標的タンパク質を、20mMのクエン酸ナトリウム、0.5Mの塩化ナトリウム、0.01%のTween-20 pH2.5 20カラム容積(勾配0%-100%)中で溶出させた。10分の1濃度の2MのトリスpH 10.5を添加することにより、タンパク質溶液を中和した。20mMのヒスチジン、140mMの塩化ナトリウム、pH6.0で0.01%のTween20で平衡化させたHiLoad Superdex 200カラム(GE Healthcare)上にロードする前に、標的タンパク質を、Amicon(登録商標)Ultra-15 Ultracel 30K(Merck Millipore Ltd.)で、4mlの最大容積に濃縮した。最終的な精製工程の後における、分子の純度及び分子量は、還元剤の存在下及び非存在下におけるCE-SDS解析により解析した。Caliper LabChip GXIIシステム(Caliper Lifescience)を、製造元の指示書に従い使用した(図10B)。分子の凝集物含有量(HMW)は、TSKゲルG3000 SW XL解析用サイズ排除カラム(東ソー株式会社)を、25℃の、25mMのK2HPO4、125mMのNaCl、200mMのL-アルギニン一塩酸塩、0.02%(w/v)のNaN3、pH6.7のランニングバッファー中で使用して解析した(図10A)。表8中の分子1は、三価の二重特異性抗体分子である「BsAb EGFRvIII-MSLN」(プラスミド/ベクターである、「EGFRvIII MR1.1 VH Ck MSLN CH CH1 EE Fc knob PG LALA,pETR15655」、「EGFR vIII MR1.1 VL CH1,pETR15656」、「VL MSLN Ck RK,pETR15443」、及び「VH MSLN CH1 EE Fc hole PG LALA HRYF,pETR15667」を含む/これらからなる配列番号235;また、表3及び4も参照されたい)であって、上記で記載した三価の二重特異性抗体分子を指す。全ての分子の、最終的な品質は、良好であり、モノマーの含有量は、≧96%であった。以下の表8は、MSLN/EGFRvIII分子の作製及び精製についてまとめる。
表8:
【0162】
2.3 三価の二重特異性抗体(bsAb)分子である「BsAb EGFRvIII-MCSP」(プラスミド/ベクターである、「MR1.1 EGFRvIII VH-Ck-(G4S)2 MCSP M4-3 VH CH1 EE Fc knob PG LALA,pETR16621」、「EGFR vIII MR1.1 VL CH1,pETR15656」、「MCSP ML2 VL Ck RK,pETR16619」、及び「MCSP M4-3 VH CH1 EE Fc hole PG LALA HYRF,pETR16618」を含む/これらからなる配列番号234;また、表5及び6も参照されたい)の調製
本実施例では、三価の二重特異性抗体分子である「BsAb EGFRvIII-MCSP」(プラスミド/ベクターである、「MR1.1 EGFRvIII VH-Ck-(G4S)2 MCSP M4-3 VH CH1 EE Fc knob PG LALA,pETR16621」、「EGFR vIII MR1.1 VL CH1,pETR15656」、「MCSP ML2 VL Ck RK,pETR16619」、及び「MCSP M4-3 VH CH1 EE Fc hole PG LALA HYRF,pETR16618」を含む/これらからなる配列番号234;また、表5及び6も参照されたい)を調製した(その概略的例示を、図11に示す;古典的フォーマットである、MCSP/EGFRvIII 2+1 IgG(配列番号234;また、表5及び6も参照されたい))。MCSP/EGFRvIIIの可変ドメインを、それぞれのレシピエント哺乳動物用の発現ベクターにあらかじめ挿入された定常鎖とインフレームでサブクローニングした。タンパク質の発現を、MPSVプロモーターにより駆動し、合成のポリAシグナル配列を、CDSの3’端に置く。加えて、各ベクターは、EBV OriP配列を含有する。分子は、ポリエチレンイミン(PEI)を使用して、懸濁液中で増殖するHEK293-EB細胞に、哺乳動物用の発現ベクターをコトランスフェクトすることにより作製した。細胞に、対応する発現ベクターを、1:2:1:1(「ベクター重鎖ホール(VH-CH1-CH2-CH3)」:「軽鎖(LC)」:「ベクター重鎖ノブ(VH-CK-VH-CH1-CH2-CH3)」:「交差軽鎖(VL-CH1)」)の比でトランスフェクトした。濾過された上清を、精製まで、4℃に保った。トランスフェクションのために、HEK293 EBNA細胞を、6mMのL-グルタミンと、250mg/lG418とを含有する無血清ExCell培地中で培養した。600mlのTube Spinフラスコ(最大作業容積:400mL)内の作製のために、HEK293 EBNA細胞8億個を、G418を伴わないトランスフェクションの24時間前に播種した。トランスフェクションのために、8億細胞を、210×gで、5分間にわたり遠心分離した。上清を、6mMのL-グルタミンを含有する、40mlの、あらかじめ加温されたCD CHO培地により置きかえた。発現ベクターを、400μgのDNA総量まで、6mMのL-グルタミンを含有する、40mlのCD CHO培地と混合した。1080μlのPEI溶液(2.7μg/ml)を添加した後で、混合物を、15秒間にわたりボルテックスし、その後、室温で10分間にわたりインキュベートした。その後、細胞を、DNA/PEI溶液と混合し、600mlのTube Spinフラスコに移し、5%のCO雰囲気を伴うインキュベーター内、37℃で、3時間にわたりインキュベートした。インキュベーション後、320mlのExCell+6mMのL-グルタミン+5g/LのPepsoy+1.25mMのVPA+3g/lのグルコース培地を添加し、細胞を、12%のFeed7をフィードする前に、24時間にわたり培養した。6-7日間後、培養上清を、210×g(Sigma 8K遠心分離機)で、20-30分間にわたる遠心分離による精製のために回収した。溶液を滅菌濾過し(0.22μmのフィルター)、0.01%w/vの最終濃度で、アジ化ナトリウムを添加した。溶液を、精製まで、4℃に保った。分泌タンパク質を、アフィニティークロマトグラフィーに続く、1つ-2つのサイズ除外クロマトグラフィー工程により、細胞培養物上清から精製した。アフィニティークロマトグラフィーのために、上清を、20mMのクエン酸ナトリウム、20mMのリン酸ナトリウム、pH7.5 25mlで平衡化させたプロテインA MabSelectSure GE Healthcare(CV=5mL、GE Healthcare)上にロードした。20mMのクエン酸ナトリウム、20mMのリン酸ナトリウム、pH7.5、少なくとも10カラム容積で洗浄することにより、結合しなかったタンパク質を除去し、標的タンパク質を、20mMのクエン酸ナトリウム、100mMの塩化ナトリウム、100mMのグリシン、pH3.0 20カラム容積(勾配0%-100%)中で溶出させた。0.5MのNa2HPO4 pH8.0(1:10)を添加することにより、タンパク質溶液を中和した。20mMのヒスチジン、140mMのNaCl、0.01%のTween pH 6.0で平衡化させたHiLoad 16/600 S200、120mlカラム(GE Healthcare)上にロードする前に、標的タンパク質を、Amicon(登録商標)Ultra-15 Ultracel 30K(Merck Millipore Ltd.)で、4mlの最大容積に濃縮した。最終的な精製工程の後における、分子の純度及び分子量は、還元剤の存在下及び非存在下におけるCE-SDS解析により解析した。Caliper LabChip GXIIシステム(Caliper Lifescience)を、製造元の指示書に従い使用した。分子の凝集物含有量は、TSKゲルG3000 SW XL解析用サイズ排除カラム(東ソー株式会社)を、25℃の、25mMのK2HPO4、125mMのNaCl、200mMのL-アルギニン一塩酸塩、0.02%(w/v)のNaN3、pH6.7のランニングバッファー中で使用して解析した。全ての分子の、最終的な品質は、良好であり、モノマーの含有量は、≧98%であった。以下の表9は、三価二重特異性抗体(bsAb)「BsAb EGFRvIII-MCSP」(配列番号234)分子の作製及び精製についてまとめる。
表9:
【0163】
実施例3: 融合タンパク質のクローニング及び発現
3.1 融合タンパク質である、EGFRvIII-CD28-CD3z(配列番号42(タンパク質)及び41(DNA)))、EGFRvIII-CD28-4-1-BB-CD3z(配列番号44(タンパク質)及び43(DNA)))、及びCripto-CD28-4-CD3z(配列番号46(タンパク質)及び45(DNA)))のクローニング
EGFRvIII融合タンパク質及びCripto融合タンパク質を、重複伸長PCR及びレトロウイルスpMP71ベクターへの組換え発現クローニングにより作出した(Schambachら、Mol Ther 2 (5) (2000)、435-45;欧州特許第0955374号(B1))。EGFRvIII-CD28-CD3z融合タンパク質(配列番号42(配列番号41に示されたDNA配列によりコードされる))の構築は、PCR増幅により行った。増幅は、4つの工程で行った:まず、ヒトEGFRvIIIの細胞外ドメイン及び膜貫通ドメインを、以下のプライマー:5’-AGCTTGCTCGCGGCCGCGCCACCATGCGACCCTCCG-3’(配列番号103;EGFRvIIINotIfwd)と、5’-TCTGTTCCTTCTACTATTCATGAAGAGGCCGATCCC-3’(配列番号104;EGFRtm CD28iz rev)を使用することにより、CD28細胞内ドメインについての部分的な重複と共に増幅した。同時に、マウスCD28の細胞内ドメインを、以下のプライマー:5’-GGGATCGGCCTCTTCATGAATAGTAGAAGGAACAGA-3’(配列番号105;EGFRtm CD28iz fwd)と、5’-CTGCTGAATTTTGCTCTGGGGCGGTACGCTGCAA-3’(配列番号106;CD28in/CD3ゼータ rev)とを使用することにより、ヒトEGFRvIII膜貫通ドメイン及びマウスCD3zドメインについての部分的な重複と共に増幅した。第3の反応工程では、マウスCD3zを、以下のプライマー:5’-TTGCAGCGTACCGCCCCAGAGCAAAATTCAGCAG-3’(配列番号107;CD3ゼータ/CD28fwd)と、5’-TAATGAATTCTTAGCGAGGGGCCAGGGTC-3’(配列番号108;CD3ゼータEcoRIrev)を使用することにより、マウスCD28細胞内ドメインについての部分的な重複と共に増幅した。第4の最終工程では、全ての産物を、EGFRvIIIプライマー(5’-AGCTTGCTCGCGGCCGCGCCACCATGCGACCCTCCG-3’;配列番号103;EGFRvIIINotIfwd)と、CD3zプライマー(5’-TAATGAATTCTTAGCGAGGGGCCAGGGTC-3’;CD3ゼータEcoRIrev(配列番号108))とを使用する増幅鋳型として使用した。
【0164】
Cripto融合タンパク質では、クローニングを、以下の通り、5つの工程で行った:まず、ヒト融合タンパク質を、以下のプライマー:5’-ATTAGCGGCCGCGCCACCATGGAAACAGATACAC-3’(配列番号109;Leader_NotI_fwd)と、5’-AAATTCCTGATGGCCCAGGCTTCTAGCAGGCTGGGC-3’(配列番号110;LeaderCriptoIsorev)により増幅した。IgKリーダー配列と、ヒトCriptoとの重複は、以下のプライマー:5’-GCCCAGCCTGCTAGAAGCCTGGGCCATCAGGAATTT-3’(配列番号111;LeaderCriptoIsofwd)と、5’-CAGCACTGGCTTGGTAGTATCACAGCCGGGTAGAAA-3’(配列番号112;Cripto CD8aex rev)により行った。その後、ヒトCriptoと、マウスCD8との重複は、以下のプライマー:5’-TTTCTACCCGGCTGTGATACTACCAAGCCAGTGCTG-3’(配列番号113;CriptoCD8aex fwd)と、5’-TCTGTTCCTTCTACTATTGATGAGAGTGATGATCAA-3’(配列番号114;CD8tm-CD28iz rev)により行った。その後マウスCD8と、マウスCD28との重複は、以下のプライマー:5’-TTGATCATCACTCTCATCAATAGTAGAAGGAACAGA-3’(配列番号115;CD8tm-CD28izfwd)と、5’-CTGCTGAATTTTGCTCTGGGGCGGTACGCTGCAA-3’(配列番号116;CD28in/CD3ゼータrev)により行った。マウスCD28と、マウスCD3zとの重複は、以下のプライマー:5’-TTGCAGCGTACCGCCCCAGAGCAAAATTCAGCAG-3’(配列番号117;CD3ゼータ/CD28fwd)と、5’-TAATGAATTCTTAGCGAGGGGCCAGGGTC-3’(配列番号118;CD3ゼータEcoRIre)により行った。第5の最終反応では、全ての産物を、以下のプライマー:5’-ATTAGCGGCCGCGCCACCATGGAAACAGATACAC-3’(配列番号109;Leader_NotI_fwd)と、5’-TAATGAATTCTTAGCGAGGGGCCAGGGTC-3’(配列番号118;CD3ゼータEcoR1rev)と併せて、鋳型として使用した。
【0165】
増幅の後、EcoRI制限酵素及びNotI制限酵素による切断、ならびにDNAのライゲーションを使用して、インサートを、pMP71ベクターにライゲーションした。
【0166】
3.2 融合タンパク質である、EGFRvIII-CD28-CD3z(配列番号48(タンパク質)及び47(DNA)))及びEGFRvIII-CD28-4-1-BB-CD3z(配列番号50(タンパク質)及び49(DNA)))のクローニング
3.2.1 EGFRvIII-CD28-CD3z(配列番号48(タンパク質)及び47(DNA)))
第1の反応では、以下のプライマー:EGFRvIII fwd(5’-AGCTTGCTCGCGGCCGCGCCACCATGCGACCC-3’(配列番号125))と、プライマーであるEGFRvIII(-ヒトCD28)rev(5’-CCACCAGCACCCAAAAGGACGGGATCTTAGGCCCA-3’(配列番号126))とを使用することにより、CD28についての3’重複を創出した。第2の反応では、プライマー:(EGFRvIII-)ヒトCD28fwd(5’-TGGGCCTAAGATCCCGTCCTTTTGGGTGCTGGTGG-3’(配列番号127))と、ヒトCD3z rev(5’-TAATGAATTCTTAGCGAGGGGGCAGG-3’(配列番号128))とを使用することにより、CD28についての5’重複と、CD3Zについての3’重複とを行った。上記の産物を使用する第3の反応は、プライマーであるEGFRvIII fwd(5’-AGCTTGCTCGCGGCCGCGCCACCATGCGACCC-3’(配列番号129))と、ヒトCD3z rev(5’-TAATGAATTCTTAGCGAGGGGGCAGG-3’(配列番号130))とを含んだ。
【0167】
増幅の後、EcoRI制限酵素及びNotI制限酵素による切断、ならびにDNAのライゲーションを使用して、インサートを、pMP71ベクターにライゲーションした。
【0168】
3.2.2 EGFRvIII-CD28-4-1-BB-CD3z(配列番号50(タンパク質)及び49(DNA)))
第1の反応では、以下のプライマー:5’-AGCTTGCTCGCGGCCGCGCCACCATGCGACCC-3’(配列番号131;EGFRvIII)と、5’-CCACCAGCACCCAAAAGGACGGGATCTTAGGCCCA-3’(配列番号132;ヒトCD28 rev)とを使用することにより、CD28についての3’重複を行った。第2の反応では、プライマーである、(EGFRvIII-)ヒトCD28 fwd(5’-TGGGCCTAAGATCCCGTCCTTTTGGGTGCTGGTGG-3’(配列番号133)と、プライマーである、ヒトCD28(-ヒト4-1-BB)rev(5’-CTTTCTGCCCCGTTTGGAGCGATAGGCTGCGA-3’(配列番号134))とを使用することにより、EGFRv3についての5’重複と、4-1-BBについての3’重複とを、行った。第3の反応では、CD28についての5’重複と、CD3zについての3’重複とを、以下のプライマー:(ヒトCD28-)ヒト4-1-BB fwd(5’-TCGCAGCCTATCGCTCCAAACGGGGCAGAAAG-3’(配列番号135))と、ヒト4-1-BB(-ヒトCD3z)rev(5’-TGCTGAACTTCACTCTCAGTTCACATCCTCCT-3’(配列番号136))とにより行った。第4の反応では、以下のプライマー:(ヒト4-1-BB-)ヒトCD3z fwd(5’-GGAGGATGTGAACTGAGAGTGAAGTTCAGCAGGA-3’(配列番号137))と、プライマーである、ヒトCD3z rev(5’-TAATGAATTCTTAGCGAGGGGGCAGG-3’(配列番号138))とを使用することにより、4-1-BBについての5’重複と、CD3zについての3’重複とを、行った。第4の最終反応では、全ての産物を、5’側リーダープライマーである、EGFRvIII fwd(5’-AGCTTGCTCGCGGCCGCGCCACCATGCGACCC-3’(配列番号139))及びヒトCD3z rev(5’-TAATGAATTCTTAGCGAGGGGGCAGG-3’(配列番号140))と併せて、鋳型として使用した。
【0169】
増幅の後、EcoRI制限酵素及びNotI制限酵素による切断、ならびにDNAのライゲーションを使用して、インサートを、pMP71ベクターにライゲーションした。
【0170】
3.2.3 CAR1ヒト(Cripto-CD8aex/tm-CD28iz-CD3z)(配列番号120(タンパク質)及び119(DNA)))
第1の反応では、以下のプライマー:Cripto fwd(5’-ATTAGCGGCCGCGCCACCATGGAAACAGATACAC-3’(配列番号141))と、Cripto(-ヒトCD8a)rev(5’-ACACCCGGAACTGGCTATCACAGCCGGGTAGA-3’(配列番号142))とを使用することにより、CD8についての3’重複を行った。第2の反応では、プライマーである、(Cripto-) ヒトCD8a fwd(5’-TCTACCCGGCTGTGATAGCCAGTTCCGGGTG-3’(配列番号143))と、ヒトCD8a(-ヒトCD28)rev(5’-CTCCTCTTACTCCTGGTGATAACCAGTGACAGG-3’(配列番号144))とを使用することにより、Criptoについての5’重複及びCD28についての3’重複を行った。第3の反応では、以下のプライマーである、(ヒトCD8a-)ヒトCD28 fwd(5’-CCTGTCACTGGTTATCACCAGGAGTAAGAGGAGCAGG-3’(配列番号145))と、ヒトCD3z rev(5’-TAATGAATTCTTAGCGAGGGGGCAGG-3’(配列番号146))とを使用することにより、CD8についての5’重複及びCD3zについての3’重複を増幅した。第4の最終反応では、以下のプライマー:Cripto fwd(5’-ATTAGCGGCCGCGCCACCATGGAAACAGATACA-3’(配列番号147))と、ヒトCD3z rev(5’-TAATGAATTCTTAGCGAGGGGGCAGG-3’(配列番号148))とを使用することにより、全ての産物を、5’側リーダープライマーと併せて、鋳型として使用した。
【0171】
増幅の後、EcoRI制限酵素及びNotI制限酵素による切断、ならびにDNAのライゲーションを使用して、インサートを、pMP71ベクターにライゲーションした。
【0172】
3.2.4 コンストラクトである、E3del(配列番号247(タンパク質)及び246(DNA)))を、重複伸長ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により作出し、レトロウイルスpMP71ベクターにクローニングした。EGFRvIII配列に従い、特異的重複プライマーを、SnapGene Software Suiteによりデザインした。アニーリング部分の融点は、New England BioLabs(NEB)製の、オンラインTm Calculator V 1.8.1により計算した。全てのPCR反応はもっぱら、NEB製のQ5ポリメラーゼにより実行した。コンストラクトであるE3delは、細胞膜内のE3delのアンカリングを改善するように、ヒトEGFRvIII、ヒトEGFRvIII膜貫通ドメイン、及び10細胞内アミノ酸からなる。
【0173】
実施例4: T細胞の形質導入及び細胞傷害性殺滅アッセイ
4.1 細胞培養物
4.1.1 マウスがん細胞株
マウス膵臓がん細胞株であるPanc02と、オボアルブミンをトランスフェクトされたその対応物である、Panc02-OVAについては、既に記載されている(Jacobsら、Int J Cancer、128 (4) (2011)、897-907)。Panc02細胞株は、発がん物質であるMethycholantren Aの、野生型C57Bl/6マウスの膵臓への注射であって、発がん性を誘導する注射を介して作出した。Panc02-OVA-EpCAMは、完全長マウスEpCAM(配列番号83(核酸(DNA))及び84(タンパク質))を含有するpMX-puro(Kitamuraら、Exp. Hematol.、31 (2003)、1007-1014)の形質導入と、最終濃度を10μg/mlとするピューロマイシンによる選択とにより作出した。パッキング細胞株であるPlat-Eについては、Moritaら、Gene Ther、7(2000)、1063-6により既に記載されている。全ての細胞を、10%のウシ胎児血清(FBS、Life Technologies、USA)、1%のペニシリン及びストレプトマイシン(PS)、ならびに1%のL-グルタミン(全て、PAA、Germany製)を伴うDMEM中で培養した。10μg/mlのピューロマイシン及び1μg/mlのブラスチシジン(Sigma、Germany)を、Plat-E培地に添加した。初代マウスT細胞(下記の、培養についての2.5節を参照されたい)を、10%のFBS、1%のPS、及び1%のL-グルタミンを伴うRPMI 1640中で培養した。1%のピルビン酸ナトリウム、1mMのHEPES、及び50μMのβ-メルカプトエタノールを、T細胞培地に添加した。
【0174】
4.1.2 ヒトがん細胞株
ヒト膵臓がん細胞株であるSUIT-2については、既に記載されている(Iwamoraら、Jpn J Cancer Res.、78 (1) (1987)、54-62)。SUIT-2細胞株は、ヒト膵臓癌の転移性肝臓腫瘍から導出した。SUIT-2-OE-MSLNは、完全長ヒトMSLN(配列番号83(核酸(DNA))及び84(タンパク質))を含有するpMP71-amp(Kitamuraら、Exp. Hematol.、31(2003)、1007-1014)の形質導入と、最終濃度を10μg/mlとするアンピシリンによる選択とにより作出した。Flp-HEK293ヒト胎児性腎臓上皮細胞については、既に記載されている(Thankamonyら、Journal of Biological Chemistry、281 (45) (2006)、34601-34609)。細胞株であるHEK293-FLPin-MSLNは、完全長ヒトMSLN(配列番号83(核酸(DNA))及び84(タンパク質))を含有するpMP71-amp(Kitamuraら、Exp. Hematol.、31 (2003)、1007-1014)の形質導入と、最終濃度を10μg/mlとするアンピシリンによる選択とにより作出した。パッキング細胞株であるPlat-Aについては、Wuら、J Biomed Biotechnol.、2009(2009)、901079により既に記載されている。全ての細胞を、10%のウシ胎児血清(FBS、Life Technologies、USA)、1%のペニシリン及びストレプトマイシン(PS)、ならびに1%のL-グルタミン(全て、PAA、Germany製)を伴うDMEM中で培養した。10μg/mlのピューロマイシン及び1μg/mlのブラスチシジン(Sigma、Germany)を、Plat-A培地に添加した。初代ヒトT細胞(下記の、培養についての2.5節を参照されたい)を、2.5%のヒト血清、1%のPS、1%のL-グルタミン、1%のピルビン酸ナトリウム、及び1%の非必須アミノ酸を伴うVLE RPMI 1640中で培養した。
【0175】
4.1.3 ヒト膵臓がん細胞株であるSUIT-2については、既に記載されている(Iwamoraら、Jpn J Cancer Res. 78 (1) (1987)、54-62)。細胞株は、CellBank Australia(CODE:JCRB1094)など、異なるリポジトリーを介して入手可能である。SUIT-2細胞株は、ヒト膵臓癌の転移性肝臓腫瘍から導出した。SUIT-2-OE-MSLNは、完全長ヒトMSLN/CAK1/MPF(HGNCID:HGNC:7371(Changら、PNAS.、93 (1) (1996)、136-40)を含有するpMXs-amp(Kitamuraら、Exp. Hematol.、31(2003)、1007-1014)の形質導入により作出した。ヒトMSLNは、HeLa細胞のcDNAから導出した(Macvilleら、Cancer Res.、59 (1) (1999)、141-50)。MSLN遺伝子は、71kDaの前駆体タンパク質をコードし、メソテリンと呼ばれる、40kDaの、グリコシルホスファチジルイノシトールによりアンカリングされた細胞表面タンパク質、及び細胞から放出される、巨核球増強因子と称する、NH2末端の、31kDa断片にさらにプロセシングされる(Hoら、Clin Cancer Res.、13 (5) (2007)、1571-75)。
【0176】
4.2 T細胞への形質導入
4.2.1 マウスT細胞への形質導入
レトロウイルスベクターであるpMP71(Schambachら、Mol Ther 2 (5) (2000)、435-45;欧州特許第0955374号(B1))を、同種指向性のパッキング細胞株であるPlat-Eへのトランスフェクションのために使用した。形質導入は、Leisegangら、J Mol Med、86(2008)、573-83;Muellerら、J Virol.、86(2012)、10866-10869;印刷中のKoboldら、J Natl Cancer Inst(2014)により記載されている方法に従い実施した。略述すると、パッキング細胞株であるPlat E(Moritaら、Gene Ther、7 (2000)、1063-6により記載されている)を、6ウェルプレート内に播種し、一晩にわたり、70-80%のコンフルエンシーまで増殖させた。1日目に、16μgのDNAを、100mMのCaCl2(Merck、Germany)及び126.7μMのクロロキン(Sigma、USA)と併せて混合した。Plat-E細胞を、低血清培地(3%)中で、30分間にわたり飢餓下に置き、次いで、沈殿したDNAと共に、6時間にわたりインキュベートした。次いで、培地を除去し、培養培地と交換した。2日目に、初代脾細胞を、C57Bl/6マウス(Harlan Laboratories、Netherlands)から採取した。脾細胞の単一細胞懸濁液を、T細胞培地中、抗CD3(クローン145-2c11;BD Pharmingen、USA)、抗CD28(クローン37.51;BD Pharmingen、USA)、及び組換えマウスIL-2(Peprotech、Germany)により、一晩にわたり刺激した。3日目に、24ウェルプレートを、12.5μg/mlの組換えレトロネクチン(日本、タカラバイオ株式会社)により、室温で、2時間にわたりコーティングし、2%のウシ血清アルブミン(Roth、Germany)により、37℃で、30分間にわたりブロッキングし、PBSで洗浄した。Plat Eの上清を採取し、フィルター(40μm、Milipore、USA)を流過させた。次いで、新鮮なT細胞培地を、Plat E細胞に添加した。1mlの、濾過された上清を、各ウェル内に分配し、4℃で、2時間にわたり、スピノキュレートした。次いで、上清を、24ウェルプレートから除去した。T細胞10個を、ウェル1つ当たり10UのIL-2及び400000個の抗CD3/抗CD28ビーズ(Invitrogen、Germany)を補充したT細胞培地1ml中に播種し、800g、32℃で、30分間にわたりスピノキュレートした。4日目に、Plat E上清を、再度採取し、濾過した。1mlを、24ウェルプレートの各ウェルに添加し、800g、32℃で、90分間にわたりスピノキュレートした。その後、細胞を、37℃で、さらに6時間にわたりインキュベートした。1mlの上清を、IL-2を伴うT細胞培地により置きかえた。5日目に、細胞を、採取し、カウントし、1ml当たり10ngのIL-15(Peprotech、Germany)を補充したT細胞培地中の密度を、1ml当たりの細胞10個として、再播種した。T細胞を、細胞解析又は機能アッセイを実施する、10日目まで、この密度で保った。
【0177】
4.2.2 ヒトT細胞への形質導入
レトロウイルスベクターであるpMP71(Schambachら、Mol Ther 2 (5) (2000)、435-45;欧州特許第0955374号(B1))を、同種指向性のパッキング細胞株であるPlat-Aへのトランスフェクションのために使用した。形質導入は、Leisegangら、J Mol Med、86(2008)、573-83;Muellerら、J Virol.、86(2012)、10866-10869;Koboldら、J Natl Cancer Inst(2014)により記載されている方法に従い実施した。略述すると、パッキング細胞株であるPlat A(Moritaら、Gene Ther、7 (2000)、1063-6により記載されている)を、6ウェルプレート内に播種し、一晩にわたり、70-80%のコンフルエンシーまで増殖させた。1日目に、18μgのDNAを、100mMのCaCl(Merck、Germany)と併せて混合した。Plat-A細胞を、低血清培地(3%)中で、30分間にわたり飢餓下に置き、次いで、沈殿したDNAと共に、6時間にわたりインキュベートした。次いで、培地を除去し、培養培地と交換した。加えて、2日目に、それらを、抗ヒトCD3抗体及び抗CD28抗体(それぞれ、クローンHIT3a及びCD28.2)(eBiosciences、Germany)でコーティングすることにより、6ウェルプレートを、T細胞用に調製した。2日目に、全血を、健常ドナーから採取した。次いで、密度勾配遠心分離を使用して、PBMCを単離した。CD3細胞の単離は、ヒトCD3マイクロビーズを伴うインキュベーション後に、MACS CD3陽性選択キットLSカラムプロトコール(Miltenyi Biotec、Germany)に従い実行した。次いで、CD3+T細胞を、4.1節で記載されている通り、IL-2、IL-15、及びβ-メルカプトエタノール(全て、Peprotech、Germany)と、T細胞培地中に、細胞10個当たり8.25μlのヒトCD3/CD28Dynabeadsとを添加して、一晩にわたり培養した。3日目に、24ウェルプレートを、12.5μg/mlの組換えレトロネクチン(日本、タカラバイオ株式会社)でコーティングし、4℃で一晩にわたりインキュベートした。4日目に、プレートを、2%のウシ血清アルブミン(Roth、Germany)により、37℃で、30分間にわたりブロッキングし、PBS中に2.5%のHEPESで洗浄した。Plat Aの上清を採取し、フィルター(40μm、Milipore、USA)を流過させた。次いで、新鮮なDMEM培地を、Plat A細胞に添加した。1mlの、濾過されたウイルス上清を、各ウェル内に添加し、その後、32℃で、1時間30分にわたり、遠心分離した。次いで、上清を、24ウェルプレートから除去した。関与性のウイルス上清が存在する場合、T細胞10個を、IL-2、IL-15、及びβ-メルカプトエタノールを補充したT細胞培地1ml中に播種した。5日目に、T細胞に、第2のヒット及び最終的な形質導入ヒット施しながら、4日目のプロトコールを、反復する。6日目に、細胞を、採取し、カウントし、IL-2、IL-15、及びβ-メルカプトエタノール(Peprotech、Germany)を補充したT細胞培地中の密度を、1ml当たりの細胞10個として、再播種した。次いで、FACS解析を使用して、T細胞を、それらの形質導入効率について点検する。形質導入に成功したら、T細胞を、隔日で、再培養し、1ml当たりの細胞10個の濃度で維持する。
【0178】
4.3 殺滅アッセイ
オボアルブミン(配列番号200(タンパク質)及び199(DNA)))を、安定的に発現させ、EpCAM(配列番号202(タンパク質)及び201(DNA)))を形質導入された、PancOVAEpCAMマウス膵臓がん細胞20,000個を、96ウェル平底プレート(Corning)上に播種した。EGFRvIII-CD28-CD3z融合タンパク質(配列番号42(タンパク質)及び41(DNA)))を形質導入されたT細胞100,000個に、bsAb(三価の二重特異性抗体分子である「EGFRvIII MR1.1 VH Ck MSLN CH CH1 EE Fc knob PG LALA,pETR15655」(配列番号2(配列番号1に示されたDNA配列によりコードされる)、又は四価の二重特異性抗体分子である「BsAb EpCAM-EGFRvIII,MR1.1」(配列番号229(軽鎖アミノ酸配列)及び230(重鎖アミノ酸配列))を、30分間にわたりプレロードし、腫瘍細胞(Panc02-OVA-EpCAM又はPanc02-OVA)と共に、8-12時間(E:T=5:1)にわたり共培養した。製造元の指示書(CytoTox 96(登録商標)Non-Radioactive Cytotoxicity Assay、Promega)に従い、上清中の乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)レベルを定量化した。略述すると、LDHは、乳酸塩の、ピルビン酸塩への酸化により、NADの、NADH及びHへの還元を触媒する。次に、ジアホラーゼが、NADH及びHと反応して、490nmで吸収するホルマザンへの、テトラゾリウム塩(INT)の還元を触媒する。比溶解(%)は、以下の式:
(LDHof interest-LDHof background-LDHeffector only)/(LDHtotal lysis-LDHminimal lysis-LDHof background)×100%
に従い計算した。
【0179】
4.4 インターフェロン-γ(IFN-γ)放出アッセイ
96ウェル平底プレート(Corning)を、4℃で、漸増濃度(0μg/mL;0.1μg/mL;1μg/mL;10μg/mL)の、四価二重特異性抗体分子である「BsAb EpCAM-EGFRvIII,MR1.1」、三価二重特異性抗体分子である「EGFRvIII MR1.1 VH Ck MSLN CH CH1 EE Fc knob PG LALA,pETR15655」(配列番号2(タンパク質)及び1(DNA)))、又はセツキシマブ(Erbitux(登録商標)、Merck)により、12時間にわたりコーティングした。ウェルを、37℃で、20%のウシ胎児血清(FBS、Life Technologies、USA)により、30分間にわたりブロッキングし、EGFRvIII-CD28-CD3z融合タンパク質(配列番号42(タンパク質)及び41(DNA))(本明細書の以下では、E3細胞と称する)を伴うT細胞0.25×10個、又は野生型(WT)T細胞を、それぞれ、添加した。48時間後、上清を回収し、IFN-γの放出を、酵素免疫測定アッセイ(ELISA;BD)により定量化した。吸光度を、Mithras LB 940 Multimode Microplateリーダー(Software MicroWin 2000)により測定した。
【0180】
4.5 iCELLigenceによる殺滅アッセイ
PancOVAEpCAM腫瘍細胞50,000個を、E-Plate L8(OLS)上に播種し、腫瘍細胞の増殖を、20時間の時間枠にわたり、20分間ごとに測定した。EGFRvIII-CD28-CD3z融合タンパク質(配列番号42(タンパク質)及び41(DNA))又はEpCam scVf-CD3zキメラ抗原受容体(CAREpCAM;配列番号249(タンパク質)及び248(DNA))を形質導入した、C57Bl6野生型T細胞500,000個を、それぞれ、腫瘍細胞に添加した。EGFRvIII-CD28-CD3z融合タンパク質(配列番号42(タンパク質)及び41(DNA))を形質導入したT細胞に、既に記載した通り、1μg/mLのbsAbをプレロードした。FasLブロッキング条件のために、10μg/mLのCD178(Fasリガンド)モノクローナル抗体(クローン:MFL3;型番16-5911-85(ThermoFisher Scientific(商標)))、Functional Grade(eBioscience)を、ウェルに、速やかに添加した。T細胞の殺滅を、24時間にわたり、6分ごとに測定した。
【0181】
4.6 抗体結合アッセイ
EGFRvIII-CD28-CD3z融合タンパク質(配列番号42(タンパク質)及び41(DNA))を形質導入したT細胞、150μL当たりに0.25×10個を、漸増濃度(10ng/mL;100ng/mL;500ng/mL;1μg/mL;5μg/mL;10μg/mL;20μg/mL;25μg/mL)の、bsAb(PBS 50μL中の三重特異性bsAb又は四重特異性bsAb)と共に、37℃で、30分間にわたりインキュベートした。1μLの二次抗体FITCコンジュゲートAffiniPure F(ab’) Fragment Goat Anti-Human IgG(Jackson Laboratories;FITC AffiniPure F(ab’) Fragment Goat Anti-Human IgG、F(ab’) fragment specific:109-096-097)、又はCy2コンジュゲートAffiniPure Goat Ant-Mouse IgG(Jackson Laboratories;Cy2 AffiniPure Goat Anti-Mouse IgG:115-225-006)を、添加し、4℃で、30分間にわたりインキュベートした。FITC平均蛍光発光強度(FITC MFI)を、フローサイトメトリーにより定量化した。染色は、BD FACS Canto II(BD、Germany)を使用して解析した。表面飽和は、最大値に対する百分率(FITC MFIof interest/ FITC MFIhighst concentration)×100%として計算した。データ解析は、FlowJo 7.6.1により実施した。
【0182】
4.7 統計学的解析
統計解析には、GraphPad Prismソフトウェアversion 5.0bを使用した。報告される全ての変数は、連続である。実験条件間の差違は、対応のないStudentの両側t検定を使用して解析した。個別のマウスについての実験条件を比較するために、マン-ホイットニー検定を使用した。p値<0.05を、有意であると考えた。
【0183】
4.8 T細胞刺激アッセイ
Suit-OE-MSLN腫瘍細胞を、96ウェル平底プレート(Corning)内のT細胞培地中に、6時間にわたり播種した。5.5時間後、T細胞を、三価の二重特異性抗体(bsAb)分子である「BsAbEGFRvIII-MSLN」(配列番号235;また、表3及び4も参照されたい)と共に、30分間にわたり共インキュベートした。この後、T細胞/二重特異性抗体コンジュゲートを、腫瘍細胞に添加し、37℃、5%のCOで、48時間にわたりインキュベートした。この時間の後、上清を回収し、IFN-γの放出を、酵素免疫測定アッセイ(ELISA;BD)により定量化した。吸光度を、Mithras LB 940 Multimode Microplateリーダー(Software MicroWin 2000)により測定した。
【0184】
4.9 組換えメソテリンによるT細胞刺激アッセイ
96ウェル平底プレート(Corning)を、ヒト組換えメソテリンタンパク質(5μg/ml)(Sino Biological Inc.、Germany)でコーティングし、4℃で一晩にわたりインキュベートした。プレートを、PBS中に10%のFBSでブロッキングした。T細胞を、三価の二重特異性抗体(bsAb)分子である「BsAbEGFRvIII-MSLN」(配列番号235;また、表3及び4も参照されたい)と共に、30分間にわたり共インキュベートした。この後、T細胞/二重特異性抗体コンジュゲートを、組換えメソテリンでコーティングされたウェルに添加し、37℃、5%のCOで、48時間にわたりインキュベートした。この時間の後、上清を回収し、IFN-γの放出を、酵素免疫測定アッセイ(ELISA;BD)により定量化した。吸光度を、Mithras LB 940 Multimode Microplateリーダー(Software MicroWin 2000)により測定した。
【0185】
実施例5: 特定の実施態様の例
本開示の、ある特定の、非限定的な実施態様の例を、以下に列挙する。特に、本発明は、以下の項目に関する。
1.
(A)処置される対象から得られたT細胞に形質導入するための、融合タンパク質をコードする核酸分子であって、以下のドメイン:
(1)前記T細胞内又は前記T細胞上で天然に存在しない、シグナル伝達受容体の細胞外ドメイン、
(2)膜貫通アンカリングドメイン、及び
(3)シグナル伝達刺激ドメイン
を有する核酸分子と、
(B)三価の二重特異性抗体分子であって、
(i)(A)を特徴とする融合タンパク質の細胞外ドメイン(1)に結合する、第1の結合ドメイン、
(ii)腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原に結合する、第2の結合ドメイン、及び
(iii)(A)を特徴とする融合タンパク質の細胞外ドメイン(1)に結合するか、又は腫瘍細胞の表面上に天然に存在する前記腫瘍特異的抗原に結合する、第3の結合ドメイン
を含む三価の二重特異性抗体分子と
を含むキット。
2.前記融合タンパク質が、少なくとも1つのシグナル伝達共刺激ドメインをさらに含む、項目1のキット。
3.前記膜貫通アンカリングドメインが、哺乳動物プロテアーゼの切断部位を有さない、項目1又は項目2のキット。
4.前記融合タンパク質が、ヒンジドメインをさらに含む、項目1から3のいずれか一項のキット。
5.医薬としての使用のための、
(i)項目1(A)を特徴とする融合タンパク質の細胞外ドメイン(1)に結合する、第1の結合ドメイン、
(ii)腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原に結合する、第2の結合ドメイン、及び
(iii)項目1(A)を特徴とする融合タンパク質の細胞外ドメイン(1)に結合するか、又は腫瘍細胞の表面上に天然に存在する前記腫瘍特異的抗原に結合する、第3の結合ドメイン
を含む、三価の二重特異性抗体分子であって、項目1(A)を特徴とする融合タンパク質を含む形質導入されたT細胞の投与の前に、これと同時に、又はこの後で投与され、前記T細胞が、処置される対象から得られたものである、三価の二重特異性抗体分子。
6.(i)項目1(A)を特徴とする融合タンパク質の細胞外ドメイン(1)に結合する、第1の結合ドメイン、
(ii)腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原に結合する、第2の結合ドメイン、及び
(iii)項目1(A)を特徴とする融合タンパク質の細胞外ドメイン(1)に結合するか、又は腫瘍細胞の表面上に天然に存在する前記腫瘍特異的抗原に結合する、第3の結合ドメイン
を含み、項目1(A)を特徴とする融合タンパク質を含む形質導入されたT細胞と組み合わせて投与され、前記T細胞が、処置される対象から得られたものである、三価の二重特異性抗体分子を含む薬学的組成物。
7.悪性疾患を処置するための方法における使用のための、
(i)項目1(A)を特徴とする融合タンパク質の細胞外ドメイン(1)に結合する、第1の結合ドメイン、
(ii)腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原に結合する、第2の結合ドメイン、及び
(iii)項目1(A)を特徴とする融合タンパク質の細胞外ドメイン(1)に結合するか、又は腫瘍細胞の表面上に天然に存在する前記腫瘍特異的抗原に結合する、第3の結合ドメイン
を含む、三価の二重特異性抗体分子であって、項目1(A)を特徴とする融合タンパク質を含む形質導入されたT細胞の投与の前に、これと同時に、又はこの後で投与され、前記T細胞が、処置される対象から得られたものである、三価の二重特異性抗体分子。
8.悪性疾患を処置するための方法であって、
(i)項目1(A)を特徴とする融合タンパク質の細胞外ドメイン(1)に結合する、第1の結合ドメイン、
(ii)腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原に結合する、第2の結合ドメイン、及び
(iii)項目1(A)を特徴とする融合タンパク質の細胞外ドメイン(1)に結合するか、又は腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原に結合する、第3の結合ドメイン
を含む、三価の二重特異性抗体分子の、それを必要とする対象への投与を含み、
前記三価の二重特異性抗体分子が、前記対象に由来する、形質導入されたT細胞であり、項目1(A)を特徴とする融合タンパク質を含むT細胞の投与の前に、これと同時に、又はこの後で投与される方法。
9.前記悪性疾患が、上皮由来、内皮由来、又は中皮由来のがん、及び血液がんから選択される、項目7の、三価の二重特異性抗体分子、又は項目8による、悪性疾患を処置するための方法。
10.腫瘍細胞の表面上に天然に存在する前記抗原が、EpCAM、MSLN、MCSP、HER-1、HER-2、HER-3、CD20、CD22、CD33、CD52、FLT-3、FOLR1、Trop-2、CA-12-5、HLA-DR、MUC-1(ムチン1)、A33抗原、PSMA(前立腺特異的膜抗原)、PSCA、トランスフェリン受容体、テネイシン、及びCA-IX(炭酸脱水酵素IX)からなる群から選択される、項目1から4のいずれか一項のキット、項目6の薬学的組成物、項目5若しくは7の、三価の二重特異性抗体分子、又は項目8若しくは9の方法。
11. 前記T細胞内又は前記T細胞上で天然に存在しない、シグナル伝達受容体の前記細胞外ドメインが、Cripto(crypticファミリーのタンパク質)、CD(cluster of differentiation)ファミリー(非T細胞)のメンバー、EGFR、EGFRvIII、及びTSH-Rからなる群から選択される、項目1から4、又は10のいずれか一項のキット、項目6又は項目10の薬学的組成物、項目5、7、又は10のいずれか一項の、三価の二重特異性抗体分子、項目8、9、又は10のいずれか一項の方法。
12. 前記形質導入されたT細胞が、前記T細胞上に天然に存在するT細胞受容体、及び/又は前記T細胞に遺伝子導入されたT細胞受容体をさらに含む、項目1から4、10、又は11のいずれか一項のキット、項目6、10、又は11のいずれか一項の薬学的組成物、項目5、7、10、又は11のいずれか一項の、三価の二重特異性抗体分子、又は項目8から11のいずれか一項の方法。
13. 項目1(B)及び5から8のいずれか一項において規定された、三価の二重特異性抗体をコードする核酸配列を含む発現ベクター。
14. ポリシストロニックである、項目13のベクター。
15. 項目13の前記核酸配列に動作可能に連結された調節配列をさらに含む、項目13又は項目14のベクター。
16. 項目13から15のいずれか一項において規定されたベクターで形質転換された宿主細胞。
17. 項目1(B)及び5から8のいずれか一項において規定された、三価の二重特異性抗体分子を作製するための方法であって、
(a)項目16において規定された宿主細胞を、項目1(B)及び5から8のいずれか一項において規定された、三価の二重特異性抗体分子の発現を可能とする条件下で培養することと、
(b)作製された三価の二重特異性抗体分子を培養物から回収することと
を含む方法。
18.(i)項目1(A)を特徴とする融合タンパク質の細胞外ドメイン(1)に結合する、第1の結合ドメイン、
(ii)腫瘍細胞の表面上に天然に存在する腫瘍特異的抗原に結合する、第2の結合ドメイン、及び
(iii)項目1(A)を特徴とする融合タンパク質の細胞外ドメイン(1)に結合するか、又は腫瘍細胞の表面上に天然に存在する前記腫瘍特異的抗原に結合する、第3の結合ドメイン
を含み、
項目17の方法により得ることができる、
項目1(B)及び5から8のいずれか一項の三価の二重特異性抗体分子。
19. 対象における疾患を処置するための方法であって、
(a)T細胞を、対象から単離する工程と、
(b)前記単離されたT細胞に、項目1(A)を特徴とする融合タンパク質を形質導入する工程と、
(c)前記形質導入されたT細胞を、前記対象に投与する工程と
を含む方法。
20. 前記形質導入されたT細胞を、前記対象に、静脈内注入により投与する、項目19の方法。
21. 形質導入されたT細胞に、T細胞受容体を共形質導入する、項目19又は項目20の方法。
22. 前記形質導入されたT細胞を、抗CD3抗体及び抗CD28抗体により拡大する、項目19から21のいずれか一項の方法。
23. 形質導入されたT細胞の拡大を、サイトカイン、好ましくは、インターロイキン2(IL-2)及び/又はインターロイキン15(IL-15)の存在下で実施する、項目19から22のいずれか一項の方法。
24. (d)項目1(B)及び5から8又は18のいずれか一項において規定された、三価の二重特異性抗体を投与すること
をさらに含む、項目19から23のいずれか一項の方法。
25. 前記三価の二重特異性抗体分子が、形質導入されたT細胞の投与の前に、これと同時に、又はこの後で投与される、項目19から24のいずれか一項の、疾患を処置するための方法。
26. 前記疾患が、悪性疾患である、項目19から25のいずれか一項の方法。
27. 前記悪性疾患が、上皮由来、内皮由来、又は中皮由来のがん、及び血液がんから選択される、項目19から26のいずれか一項の方法。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図9A
図9B
図10
図10A
図10B
図11
図11A
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17
【配列表】
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