(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】コンクリートに開口部を形成する方法
(51)【国際特許分類】
E04G 23/02 20060101AFI20221114BHJP
B28D 1/14 20060101ALI20221114BHJP
B28D 7/00 20060101ALI20221114BHJP
E04G 21/32 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
E04G23/02 D
B28D1/14
B28D7/00
E04G21/32 Z
(21)【出願番号】P 2019010454
(22)【出願日】2019-01-24
【審査請求日】2021-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】西宮 幸洋
(72)【発明者】
【氏名】黒石 真一
(72)【発明者】
【氏名】里見 賢
(72)【発明者】
【氏名】福田 真輔
(72)【発明者】
【氏名】多田 優希
【審査官】佐藤 史彬
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-094764(JP,A)
【文献】特開平10-088828(JP,A)
【文献】特開2014-201933(JP,A)
【文献】実開平04-021677(JP,U)
【文献】特開昭64-058508(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0229885(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 23/02
B28D 1/14
B28D 7/00
E04G 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートを上下に貫通するとともに隣り合って連続するようにコア抜き作業によって複数の貫通孔を形成し、当該複数の貫通孔で囲まれて縁切りされるコンクリートブロックを撤去して、コンクリートに当該コンクリートブロックが撤去された開口部を形成する方法であって、
コンクリートから撤去されるコンクリートブロックとなる部分を囲む複数の貫通孔が形成される複数のコア抜き予定箇所の下方に、コア抜き作業時に使用する水を受けて集水部まで流下させる集水手段を設置する集水手段設置ステップと、
集水手段設置ステップ後に、コア抜き作業によりコンクリートにコンクリートブロックを縁切りする複数の貫通孔を形成するコア抜きステップと、
コア抜きステップにより縁切りされたコンクリートブロックを撤去して、コンクリートに当該コンクリートブロックが撤去された開口部を形成するコンクリートブロック撤去ステップと、
を備え
、
集水手段は、
コンクリートブロックとなる部分を囲む複数のコア抜き予定箇所の下方に設置された水受手段と、水受手段と集水部とを繋ぐ水路とを備え、
水受手段は、コンクリートブロックとなる部分を囲む複数のコア抜き予定箇所の下面と対向して水路に向けて傾斜する水路面を有した水路板と、水路面の傾斜方向に沿って水路板の両方の側部よりコンクリートの下面に向けて立ち上がるように設けられた側壁部とを備えたことを特徴とするコンクリートに開口部を形成する方法。
【請求項2】
コンクリートを上下に貫通するとともに隣り合って連続するようにコア抜き作業によって複数の貫通孔を形成し、当該複数の貫通孔で囲まれて縁切りされるコンクリートブロックを撤去して、コンクリートに当該コンクリートブロックが撤去された開口部を形成する方法であって、
コンクリートから撤去されるコンクリートブロックとなる部分を囲む複数の貫通孔が形成される複数のコア抜き予定箇所の下方に、コア抜き作業時に使用する水を受けて集水部まで流下させる集水手段を設置する集水手段設置ステップと、
集水手段設置ステップ後に、コア抜き作業によりコンクリートにコンクリートブロックを縁切りする複数の貫通孔を形成するコア抜きステップと、
コア抜きステップにより縁切りされたコンクリートブロックを撤去して、コンクリートに当該コンクリートブロックが撤去された開口部を形成するコンクリートブロック撤去ステップと、
を備え、
コンクリートブロックとなる部分が矩形状に設定されて、複数の隣り合うコンクリートブロックとなる部分が矩形の一方の一対の辺を境界として隣り合うように設定され、
集水手段は、
コンクリートブロックの互いに対向する一方の一対の辺縁となる複数の貫通孔が形成される複数のコア抜き予定箇所の下方に設置された第1の水受手段と、
コンクリートブロックの互いに対向する他方の一対の辺縁となる複数の貫通孔が形成される複数のコア抜き予定箇所の下方に設置された第2の水受手段と、
第2の水受手段と集水部とを繋ぐ水路とを備え、
第1の水受手段及び第2の水受手段は、それぞれ、コンクリートブロックとなる部分を囲む複数のコア抜き予定箇所の下面と対向して水路に向けて傾斜する水路面を有した水路板と、水路面の傾斜方向に沿って水路板の両方の側部よりコンクリートの下面に向けて立ち上がるように設けられた側壁部とを備え、
第1の水受手段の水路面の上方に位置される複数のコア抜き予定箇所のコア抜き作業時に使用する水が、第1の水受手段の水路面、第2の水受手段の水路面、水路を通過して集水部まで流下し、
第2の水受手段の水路面の上方に位置される複数のコア抜き予定箇所のコア抜き作業時に使用する水が、第2の水受手段の水路面、水路を通過して集水部まで流下するように構成されたことを特徴とす
るコンクリートに開口部を形成する方法。
【請求項3】
コンクリートを上下に貫通するとともに隣り合って連続するようにコア抜き作業によって複数の貫通孔を形成し、当該複数の貫通孔で囲まれて縁切りされるコンクリートブロックを撤去して、コンクリートに当該コンクリートブロックが撤去された開口部を形成する方法であって、
コンクリートから撤去されるコンクリートブロックとなる部分を囲む複数の貫通孔が形成される複数のコア抜き予定箇所の下方に、コア抜き作業時に使用する水を受けて集水部まで流下させる集水手段を設置する集水手段設置ステップと、
集水手段設置ステップ後に、コア抜き作業によりコンクリートにコンクリートブロックを縁切りする複数の貫通孔を形成するコア抜きステップと、
コア抜きステップにより縁切りされたコンクリートブロックを撤去して、コンクリートに当該コンクリートブロックが撤去された開口部を形成するコンクリートブロック撤去ステップと、
を備え、
集水手段設置ステップの前に、コンクリートブロックとなる部分を囲む複数のコア抜き予定箇所の下方に、コア抜きステップにてコア抜きされるコアの貫通孔からの落下を防止するコア落下防止板を設置するコア落下防止板設置ステップを備え、
コア落下防止板は、一端側がコンクリートの下面に固定された固定端となり、コア抜きされるコアを受ける他端側が自由端となるように設けられたことを特徴とす
るコンクリートに開口部を形成する方法。
【請求項4】
コンクリートブロックとなる部分を囲む複数のコア抜き予定箇所のうち数箇所を残してコア抜き作業を行った後に、コンクリートブロックとなる部分を揚重機で吊った状態で残ったコア抜き予定箇所のコア抜き作業を行うことで縁切りされたコンクリートブロックを揚重機で吊上げて撤去したことを特徴とする請求項1
乃至請求項3のいずれか一項に記載のコンクリートに開口部を形成する方法。
【請求項5】
コンクリートブロックとなる部分の互いに対向する縁側に設けられたコア抜き予定箇所のコア抜き作業を行った後に、コンクリートブロックとなる部分の上面、コア抜きした貫通孔の上部開口、及び、コンクリートブロックとなる部分の互いに対向する縁の近傍において残置されるコンクリートの上面に亘って延在するように設置された吊桁をコンクリートブロックとなる部分に固定したことを特徴とする請求項1
乃至請求項4のいずれか一項に記載のコンクリートに開口部を形成する方法。
【請求項6】
コア落下防止板は、コンクリートブロックとなる部分の下面に一端側が固定され、縁切りされたコンクリートブロックの下面に一端側が固定された状態のまま当該コンクリートブロックと一緒に撤去されることを特徴とする請求項
3に記載のコンクリートに開口部を形成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートにコア抜き作業によって複数の貫通孔を形成し、当該複数の貫通孔で囲まれて縁切りされるコンクリートブロックを撤去して、コンクリートに当該コンクリートブロックが撤去された開口部を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートを貫通する貫通孔をコア抜きにより形成するコンクリート穿孔方法が知られている(特許文献1参照)。
そして、コア抜きにより形成される貫通孔を隣り合って連続するように複数形成し、これら複数の貫通孔で囲まれて縁切りされるコンクリートブロックを撤去することによって、コンクリートに所望の大きさの開口部を形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、コンクリートの下面に止水板を取付けて、コア抜き作業で使用する削孔用の水が止水板上に溜まるように構成され、この止水板上に溜まった水を排出ホースを用いた排水作業によって排水するようにしている。
しかしながら、特許文献1では、コア抜き作業によってコンクリートに複数の貫通孔を形成する場合、1つ1つの貫通孔を形成する毎に、止水板上に溜まった水を排出ホースを用いた排水作業によって排水しなければならず、作業が煩雑となるという課題があった。
本発明は、コア抜きにより形成される複数の貫通孔で囲まれて縁切りされるコンクリートブロックを撤去することによって、コンクリートに所望の大きさの開口部を形成する場合において、コア抜き作業で使用する削孔用の水の排水作業を効率的に行えて、コンクリートに開口部を形成する作業を効率的に行える方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るコンクリートに開口部を形成する方法は、コンクリートを上下に貫通するとともに隣り合って連続するようにコア抜き作業によって複数の貫通孔を形成し、当該複数の貫通孔で囲まれて縁切りされるコンクリートブロックを撤去して、コンクリートに当該コンクリートブロックが撤去された開口部を形成する方法であって、コンクリートから撤去されるコンクリートブロックとなる部分を囲む複数の貫通孔が形成される複数のコア抜き予定箇所の下方に、コア抜き作業時に使用する水を受けて集水部まで流下させる集水手段を設置する集水手段設置ステップと、集水手段設置ステップ後に、コア抜き作業によりコンクリートにコンクリートブロックを縁切りする複数の貫通孔を形成するコア抜きステップと、コア抜きステップにより縁切りされたコンクリートブロックを撤去して、コンクリートに当該コンクリートブロックが撤去された開口部を形成するコンクリートブロック撤去ステップと、を備えた前提技術に加えて、集水手段は、コンクリートブロックとなる部分を囲む複数のコア抜き予定箇所の下方に設置された水受手段と、水受手段と集水部とを繋ぐ水路とを備え、水受手段は、コンクリートブロックとなる部分を囲む複数のコア抜き予定箇所の下面と対向して水路に向けて傾斜する水路面を有した水路板と、水路面の傾斜方向に沿って水路板の両方の側部よりコンクリートの下面に向けて立ち上がるように設けられた側壁部とを備えたので、コア抜き作業時において、湿式のコアドリルによるコア抜き作業で使用する削孔用の水が、水路に向けて傾斜する水路面及び水路を介して集水部に排水されるようになり、コア抜き作業で使用する削孔用の水の排水作業を効率的に行えて、コンクリートに開口部を形成する作業を効率的に行えるようになる。
また、上述した前提技術に加えて、コンクリートブロックとなる部分が矩形状に設定されて、複数の隣り合うコンクリートブロックとなる部分が矩形の一方の一対の辺を境界として隣り合うように設定され、集水手段は、コンクリートブロックの互いに対向する一方の一対の辺縁となる複数の貫通孔が形成される複数のコア抜き予定箇所の下方に設置された第1の水受手段と、コンクリートブロックの互いに対向する他方の一対の辺縁となる複数の貫通孔が形成される複数のコア抜き予定箇所の下方に設置された第2の水受手段と、第2の水受手段と集水部とを繋ぐ水路とを備え、第1の水受手段及び第2の水受手段は、それぞれ、コンクリートブロックとなる部分を囲む複数のコア抜き予定箇所の下面と対向して水路に向けて傾斜する水路面を有した水路板と、水路面の傾斜方向に沿って水路板の両方の側部よりコンクリートの下面に向けて立ち上がるように設けられた側壁部とを備え、第1の水受手段の水路面の上方に位置される複数のコア抜き予定箇所のコア抜き作業時に使用する水が、第1の水受手段の水路面、第2の水受手段の水路面、水路を通過して集水部まで流下し、第2の水受手段の水路面の上方に位置される複数のコア抜き予定箇所のコア抜き作業時に使用する水が、第2の水受手段の水路面、水路を通過して集水部まで流下するように構成されたので、コア抜き作業時において、湿式のコアドリルによるコア抜き作業で使用する削孔用の水が、水路に向けて傾斜する水路面及び水路を介してより確実に集水部に排水されるようになり、コア抜き作業で使用する削孔用の水の排水作業を効率的に行えて、コンクリートに開口部を形成する作業を効率的に行えるようになる。
また、上述した前提技術に加えて、集水手段設置ステップの前に、コンクリートブロックとなる部分を囲む複数のコア抜き予定箇所の下方に、コア抜きステップにてコア抜きされるコアの貫通孔からの落下を防止するコア落下防止板を設置するコア落下防止板設置ステップを備え、コア落下防止板は、一端側がコンクリートの下面に固定された固定端となり、コア抜きされるコアを受ける他端側が自由端となるように設けられたので、コア落下防止機能を備えた専用のコアドリルを用いずに、汎用のコアドリルを用いて、コア抜き作業でくり貫かれるコアの落下を防止でき、コンクリートに開口部を形成する作業において、安全な作業を行えるようになる。さらに、コア落下防止板が、コア抜きされたコアを受けた場合に、他端(自由端)側が下方に撓むので、湿式のコアドリルによるコア抜き作業で使用された削孔用の水(コンクリート削孔屑が混在した水)が、排水される。この場合、コア落下防止板の上面にコンクリート削孔屑があったとしても、コア抜き作業で使用された削孔用の水がコア落下防止板の上面の他端から水受手段の水路面上にスムーズに排水されるようになるので、コンクリートに開口部を形成する作業を効率的に行えるようになり、また、アンカー等の固定具によるコア落下防止板の固定作業にかかる作業時間を短くでき、工期短縮を実現できる。
また、コンクリートブロックとなる部分を囲む複数のコア抜き予定箇所のうち数箇所を残してコア抜き作業を行った後に、コンクリートブロックとなる部分を揚重機で吊った状態で残ったコア抜き予定箇所のコア抜き作業を行うことで縁切りされたコンクリートブロックを揚重機で吊上げて撤去したので、ブロックの落下を防止でき、ブロックの撤去作業を安全に行えるようになる。
また、コンクリートブロックとなる部分の互いに対向する縁側に設けられたコア抜き予定箇所のコア抜き作業を行った後に、コンクリートブロックとなる部分の上面、コア抜きした貫通孔の上部開口、及び、コンクリートブロックとなる部分の互いに対向する縁の近傍において残置されるコンクリートの上面に亘って延在するように設置された吊桁をコンクリートブロックとなる部分に固定したので、ブロック部分が縁切りされてブロックとなった場合に、吊桁の両端側が、縁切りされたブロックの互いに対向する一対の辺の近傍に残っているコンクリートの上面に支持されるので、ブロックの落下を防止でき、ブロックの撤去作業を安全に行えるようになる。
また、コア落下防止板は、コンクリートブロックとなる部分の下面に一端側が固定され、縁切りされたコンクリートブロックの下面に一端側が固定された状態のまま当該コンクリートブロックと一緒に撤去されるようにしたので、残置されるコンクリートの下面に残るコア落下防止板の数を少なくでき、残置されるコンクリートの下方からのコア落下防止板の撤去作業を少なくできる。つまり、コンクリートの下方の空間での作業時間、作業環境等に制約がある場合、コンクリートの下方の空間からコンクリートの下面に対して行う作業を少なくできるので、工期短縮、作業の簡略化等が図れるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】コンクリートに開口部を形成する現場の一例を示す断面図。
【
図2】コンクリートの下面に固定されたコア落下防止板を示す図。
【
図3】コンクリートブロックを縁切りする複数のコア抜き予定箇所の下方にコア落下防止板が設けられた状態をコンクリートの下方側から見た図。
【
図4】コンクリートの下面に固定されたコア落下防止板及び水受手段を示す図。
【
図5】コア落下防止板の下方に水受手段が設けられた状態をコンクリートの下方側から見た図。
【
図6】第1の水受手段と第2の水受手段との接続構造を示す斜視図。
【
図7】水路面が傾斜面となるように設置された第1の水受手段及び第2の水受手段を示す斜視図。
【
図8】コア抜きステップ及びブロック撤去ステップの一例を示す図。
【
図9】ブロック撤去工程をブロック部分及びブロックの長辺側側面から見た図。
【
図10】ブロック撤去工程をブロック部分及びブロックの短辺側側面から見た図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態1
実施形態1に係るコンクリートに開口部を形成する方法は、
図8(d)に示すように、コンクリート1を上下に貫通するとともに隣り合って連続するようにコア抜き作業によって複数の貫通孔2,2…を形成し、当該複数の貫通孔2,2…(
図8(d)において実線及び点線で示されたすべての貫通孔2)で囲まれて縁切りされるコンクリートブロック(以下、ブロックと略す)13を、
図8(e)に示すように、撤去して、コンクリート1に当該ブロック13が撤去された開口部4を形成する方法である。
当該方法は、ブロック部分割り付けステップと、コア落下防止板設置ステップと、集水手段設置ステップと、コア抜きステップと、ブロック撤去ステップとを備える。
ブロック部分割り付けステップは、
図1,
図3に示すように、コンクリート1に複数のブロック13,13…となる部分(以下、ブロック部分という)3,3…を割り付けるステップである。
コア落下防止板設置ステップは、
図2に示すように、コンクリート1にコア抜き作業によってコア抜きされるコアの貫通孔2からの落下を防止するコア落下防止板5を設置するステップである。
集水手段設置ステップは、
図1に示すように、コア抜き作業時に使用する水を受けて集水部7まで流下させる集水手段6を設置するステップである。
コア抜きステップは、コア抜き作業によってコンクリート1にブロック13を縁切りする複数の貫通孔2,2…を形成するステップである。
ブロック撤去ステップは、
図8に示すように、複数の貫通孔2,2…を形成したことにより縁切りされたブロック13を撤去してコンクリート1に当該ブロック13が撤去された開口部4を形成するステップである。
【0008】
コンクリート1は、例えば、建築物や土木構造物の床、天井、屋根、あるいは、梁等の横架材、道路や鉄道の床版、ボックスカルバートの頂版や床版等を形成するコンクリートである。
当該実施形態1では、
図1,
図8(e)に示すように、コンクリート1としての構造物の床に開口部4を形成する場合を例にして説明する。
【0009】
ブロック部分割り付けステップでは、開口部4を形成する対象となるコンクリート1に、
図8(a)に示すように、ブロック部分3を囲む複数の貫通孔2,2…を形成する位置となる複数のコア抜き予定箇所20,20…を決める。
ブロック部分割り付けは、
図1,
図3に示すように、複数のブロック部分3,3…が隣接するように決められる。
尚、ブロック部分3が複数の貫通孔2,2…で囲まれて縁切りされるブロック13の大きさは、クレーン等の揚重機の揚重能力、ダンプの積み荷台の寸法等を考慮して決められる。
【0010】
図3に示すように、ブロック部分3,3…は、コンクリート1が例えば矩形状に区切られて割り付けられる。
ブロック部分割り付けステップでは、矩形状の複数のブロック部分3,3…が隣り合うように割り付けられ、複数の隣り合うブロック部分3,3…は、例えば、
図3に示すように、矩形の長辺(矩形の一方の一対の辺)を境界として隣り合うブロック部分列30を構成する。
【0011】
コア落下防止板設置ステップでは、コア抜き作業を行う前に、
図2,
図3に示す如く、上面51となる板面が複数のコア抜き予定箇所20,20…のコア抜き到達面となる下面21,21…と対向するように、当該コア抜き予定箇所20,20…の近傍のコンクリート1の下面11に、コア抜きされるコアの貫通孔2からの落下を防止するコア落下防止板5を設置する。
【0012】
コア落下防止板5は、例えば、厚さ数mm程度(例えば厚さ1.2mm)の鉄板を用いて、コア抜き予定箇所20の下面21と対向する上面51が、コア抜き予定箇所20の下面21から離れた位置に設けられる。
例えば、
図2に示すように、コア落下防止板5は、上面51が、コア抜き予定箇所20の下面21と所定の間隔xを隔てて対向するように、コア抜き予定箇所20近傍のコア抜き予定箇所20以外のコンクリート1の下面11に、アンカー52(例えば金属拡張アンカー)等の固定具によって固定される。
このように、コア落下防止板5の上面51とコア抜き予定箇所20の下面21との間に所定の間隔xを設けたことによって、コア抜き作業に使用する湿式のコアドリル22(
図1参照)が、コア抜き後に、コア落下防止板5の上面51に接触してコア落下防止板5を傷付けてしまうことを防止できるようになる。
【0013】
また、
図2に示すように、コア落下防止板5は、一端53側がコア抜き予定箇所20の下面21近傍に位置される当該下面21ではないコンクリート1の下面11にアンカー52等の固定具で固定された固定端となり、他端54側が自由端となるように設けられている。即ち、コア落下防止板5は、片端支持となるように設けられている。
コンクリート1からコア抜きされるコアは、例えば、重量が十数kg~数十kgあり、コア落下防止板5は、当該コアを受け止めることができるように構成される。
そして、コア落下防止板5の上面51とコア抜き予定箇所20の下面21との間に所定の間隔xを設けられていることで、湿式のコアドリル22によるコア抜き作業で使用された削孔用の水(コンクリート削孔屑が混在した水)が、コア抜きにより形成された貫通孔2からコア落下防止板5の上面51に流れ落ち、コア落下防止板5の上面51から後述する水受手段60の水路面61に流れ落ちるので、削孔用の水の排水作業を効率的に行える。
また、コア落下防止板5は、他端54側が自由端となるように構成されていることにより、湿式のコアドリル22によるコア抜き作業でコア抜きされたコアがコア落下防止板5の上面51で受け止められた場合に、他端54(自由端)側が下方に撓み、湿式のコアドリル22によるコア抜き作業で使用された削孔用の水が、後述する水受手段60の水路面61上に排水される。この場合、コア落下防止板5の上面51にコンクリート削孔屑があったとしても、コア抜き作業で使用された削孔用の水が、コア落下防止板5の上面51の他端54から水受手段60の水路面61上にスムーズに排水されるようになるので、削孔用の水の排水作業をより効率的に行えて、コンクリート1に開口部4を形成する作業を効率的に行えるようになる。
また、コア落下防止板5は、一端53側がコンクリート1の下面11に固定された固定端となり、コア抜きされるコア30を受け止めるコア落下防止板5の他端54側が自由端となるように設けられたので、アンカー52等の固定具によるコア落下防止板5の固定作業にかかる作業時間を短くでき、工期短縮を実現できる。
【0014】
尚、コア落下防止板5の上面51とコア抜き予定箇所20の下面21との間の間隔xは、コア抜き作業に使用する湿式のコアドリル22が、コア抜き後に、コア落下防止板5に接触してコア落下防止板5を傷付けてしまうことを防止する目的と、湿式のコアドリル22によるコア抜き作業で使用される削孔用の水を排水する目的とを、効果的に達成できるように、例えば数mm~数十mm程度(例えば5.0mm)に設定される。
当該コア落下防止板5の上面51とコア抜き予定箇所20の下面21との間の間隔xは、例えば、コア落下防止板5の上面51とコンクリート1の下面11との間にワッシャー55等を介挿することにより形成できる。
【0015】
集水手段設置ステップでは、コア落下防止板5を設置した後、コア抜き作業を行う前に、
図4,
図5に示すように、ブロック部分3を囲む複数の貫通孔2,2…が形成される複数のコア抜き予定箇所20,20…、及び、コア落下防止板5の下方に、湿式のコアドリル22によるコア抜き作業で使用される削孔用の水を受けて集水部7まで流下させる集水手段6を設置する。
【0016】
図1に示すように、集水手段6は、ブロック部分3,3…を囲む複数のコア抜き予定箇所20,20…、及び、コア落下防止板5の下方に設置された水受手段60と、水受手段60と水タンク等の集水部7とを繋ぐたて樋等の水路70とを備える。
【0017】
図5に示すように、水受手段60は、第1の水受手段60Aと第2の水受手段60Bと備えて構成される。
図4,
図5に示すように、水受手段60、即ち、第1の水受手段60A及び第2の水受手段60Bは、それぞれ、ブロック部分3,3…を囲む複数のコア抜き予定箇所20,20…の下面21,21…と対向してコア落下防止板5の下方に位置され水路70の入口に向けて傾斜する水路面61を形成する水路板62と、水路面61の傾斜方向に沿って水路板62の両方の側部よりコンクリート1の下面11に向けて立ち上がるように設けられた側壁部63,63とを備えた構成である。
【0018】
水路面61の傾斜方向を延長方向、水路面61の傾斜方向と直交する方向を幅方向と定義した場合、
図4に示すように、側壁部63は、延長方向に長い断面矩形中空状の中間部材64と、中間部材64の幅方向両側に設けられた延長方向に長い断面矩形中空状の各側壁部材65,65と、各側壁部材65,65の上面に設けられて延長方向に長い水密維持部材66,66とを備えた構成である。
【0019】
例えば、
図1,
図5等に示すように、複数の隣り合うブロック部分3A,3B,3C…3Z(3,3…)が、矩形の長辺を境界として隣り合うように設定されたブロック部分列30を構成している場合、第1の水受手段60Aが、ブロック部分列30の一端に位置される一端側ブロック部分3Aの隣のブロック部分3Bと隣接しない側の長辺に沿った複数のコア抜き予定箇所20,20…の下方、ブロック部分列30の他端に位置される他端側ブロック部分3Z(
図1参照)の図外の隣のブロックと隣接しない側の長辺に沿った複数のコア抜き予定箇所20,20…の下方、互いに隣り合う各ブロック部分3A,3B,3C…3Zの共通の長辺に沿った複数のコア抜き予定箇所20,20…の下方に、それぞれ設けられる。
また、第2の水受手段60Bが、ブロック部分列30を構成する各ブロック部分3A,3B,3C…3Zの一方の短辺に沿った複数のコア抜き予定箇所20,20…の下方、ブロック部分列30を構成する各ブロック部分3A,3B,3C…3Zの他方の短辺に沿った複数のコア抜き予定箇所20,20…の下方に、それぞれ設けられる。
【0020】
また、
図5,
図6に示すように、第1の水受手段60Aの延長方向の両方の端部側60E,60Eは、第1の水受手段60Aの延長方向の両方の端部側60E,60Eに設置される各第2の水受手段60B,60Bの水密維持部材66,66を貫通して各第2の水受手段60B,60Bの水路面61,61の上方に位置される。
また、第1の水受手段60Aの水路面61は、例えば、延長方向の中央側から延長方向の両端側に設置される各第2の水受手段60B,60Bの水路面61,61に向けて傾斜して下る傾斜面となるように構成される。
【0021】
即ち、集水手段設置ステップにおいては、まず、第1の水受手段60Aを、ブロック部分列30の一端側に位置される一端側ブロック部分3Aの隣のブロック部分3Bと隣接しない側の長辺に沿ってコア抜きされる複数のコア抜き予定箇所20,20…の下方と、ブロック部分列30の他端側に位置される他端側ブロック部分3Zの隣のブロックと隣接しない側の長辺に沿ってコア抜きされる複数のコア抜き予定箇所20,20…の下方と、互いに隣り合う各ブロック部分3,3の共通の長辺に沿ってコア抜きされる複数のコア抜き予定箇所20,20…の下方とに、それぞれ設ける。
次に、第2の水受手段60Bを、各ブロック部分3,3…の一方の短辺に沿ってコア抜きされる複数のコア抜き予定箇所20,20…の下方と、各ブロック部分3,3…の他方の短辺に沿ってコア抜きされる複数のコア抜き予定箇所20,20…の下方とに、それぞれ設ける。
この場合、各第1の水受手段60A,60A…の延長方向の両方の端部側60E,60Eを、当該両方の端部側60E,60Eに位置される各第2の水受手段60B,60Bの内側に挿入した状態に設置することで、各第1の水受手段60A,60A…の延長方向の両方の端部側60E,60Eと各第2の水受手段60B,60B…とが接続される。
そして、各第2の水受手段60B,60Bの延長方向の他端(傾斜方向の下端)を竪樋等の水路70の入口に接続し、水路70の下端に水タンク等の集水部7を設置する。
即ち、
図1に示すように、各第1の水受手段60A,60A…の水路面61を流れる水が、各第2の水受手段60B,60Bの各水路面61,61に流下し、水路70を介して集水部7に流下するように集水手段6が構成される。
【0022】
尚、
図7に示すように、コンクリート1の下面11が水平面であれば、延長方向の一端から他端にかけて上下の厚さ寸法を次第に大きくなるように形成した水密維持部材66を各側壁部材65,65の上面に設ける。そして、当該水密維持部材66の上面67とコンクリート1の下面11とが接触して水密性能が維持されるように、水受手段60(第1の水受手段60A及び第2の水受手段60B)の各側壁部材65,65をコンクリート1の下面11にアンカー68(例えば金属拡張アンカー)等の固定具によって固定する。これにより、ブロック部分3を囲む複数のコア抜き予定箇所20,20…の下方に、水路板62の水路面61が、縦水路70に向けて傾斜する水路面61となるように設置されることになる。
また、コンクリート1の下面11が傾斜面であれば、当該傾斜面の下端側に水路70を設置するとともに、延長方向の一端から他端にかけて上下の厚さ寸法が等しくなるように形成した水密維持部材66を各側壁部材65,65の上面に設ける。そして、当該水密維持部材66の上面67とコンクリート1の下面11とが接触して水密性能が維持されるように、各側壁部材65,65をコンクリート1の下面11にアンカー68等の固定具によって固定する。これにより、ブロック部分3を囲む複数のコア抜き予定箇所20,20…の下方に、水路板62の水路面61が、水路70に向けて傾斜する水路面61となるように設置されることになる。
尚、各第1の水受手段60A,60A…の延長方向の両方の端部側60E,60Eに設置される各第2の水受手段60B,60Bの水路面61の傾斜方向の下端と水路70の入口とが接続されて、各第2の水受手段60B,60Bの水路面61上を流下する水が水路70を介して集水部7に溜まるように構成される。
【0023】
また、各第2の水受手段60B,60Bの各水路面61,61の傾斜方向の上端にコンクリート1の下面11に向けて立ち上がる図外の端部壁を設けたり、あるいは、各第2の水受手段60B,60Bの各水路面61,61の傾斜方向の上端を建築物の壁や梁等に突き付ける等の処置を施すことによって、各第2の水受手段60B,60Bの各水路面61,61の傾斜方向の上端側が塞がれた構成とすることが好ましい。
【0024】
即ち、集水手段6が設置されたことにより、矩形状のブロック部分3の互いに対向する長辺縁に沿った複数のコア抜き予定箇所20,20…のコア抜き作業時に使用する水が、第1の水受手段60Aの水路面61、第2の水受手段60Bの水路面61、水路70を通過して集水部7まで流下し、矩形状のブロック部分3の互いに対向する短辺縁に沿った複数のコア抜き予定箇所20,20…のコア抜き作業時に使用する水が、第2の水受手段60Bの水路面61、水路70を通過して集水部7まで流下するように構成される。
【0025】
コア抜きステップでは、集水手段設置ステップの後に、コア抜き作業によりコンクリート1にブロック13を縁切りするための複数の貫通孔2,2…を形成する。コア抜き作業は、湿式のコアドリル22を用いて、コア抜き予定箇所20の上面側に水を供給しながら、コア抜き予定箇所20を円筒状に削孔し、円柱状のコンクリートとなるコアを抜いて、コンクリート1に円柱状の貫通孔2をあける。
【0026】
ブロック撤去ステップでは、ブロック部分3を囲む複数のコア抜き予定箇所20,20…がコア抜きされることによってコンクリート1から縁切りされたブロック13を、コンクリート1から撤去して、コンクリート1にブロック13が撤去された開口部4を形成する。
【0027】
尚、コア落下防止板5、集水手段6、集水部7の設置が終了した後、コア抜きステップ及びブロック撤去ステップにおいては、ブロック部分3を囲む複数のコア抜き予定箇所20,20…(
図8(a)参照)のうち、数箇所のコア抜き予定箇所20Xを残してコア抜き作業を行った(
図8(c)参照)後に、当該ブロック部分3を図外の揚重機にて吊った状態で残ったコア抜き予定箇所20Xのコア抜き作業を行うことによって縁切りされたブロック13(
図8(d)参照)を、揚重機で吊上げて撤去する。
【0028】
例えば、
図8(b)に示すように、ブロック部分3の互いに対向する短辺縁側に設けられた複数のコア抜き予定箇所20,20…のコア抜き作業を行った後に、当該ブロック部分3の上面32、コア抜きした貫通孔2の上部開口、及び、ブロック部分3の互いに対向する短辺縁の近傍において残置されるコンクリート1の上面12に亘って延在するように吊桁84を設置して、当該吊桁84をブロック部分3に固定する。即ち、吊桁84の両端が、ブロック部分3を挟んだ両側に位置されるコンクリート1の上面12,12に位置されるように設置された状態(つまり、吊桁84の両端がブロック部分3より外側に張り出すように設置された状態)で、当該吊桁84をブロック部分3に固定する。
その後、ブロック部分3を囲む複数のコア抜き予定箇所20,20…のうち、
図8(c)に示すように、数箇所のコア抜き予定箇所20X,20X…を残してコア抜き作業を行い、その後、
図9(a)に示すように、揚重機のフック8と吊桁84の吊部89とをロープ9で繋いで、ブロック部分3に固定された吊桁84を揚重機で吊った状態で、残ったコア抜き予定箇所20X,20X…のコア抜き作業を行うことで、コンクリート1からブロック部分3が縁切りされたブロック13となる(
図8(d)参照)。
そして、縁切りされたブロック13を、
図9(b)に示すように、揚重機で吊上げてコンクリート1から撤去することによって、コンクリート1からブロック13が撤去された開口部4が形成される(
図8(e),
図9(b)参照)。
【0029】
図8(b)に示すように、1つのブロック部分3の例えば長辺に沿って当該ブロック部分3の上面32に2本の吊桁84,84が平行に設置されて当該吊桁84,84がブロック部分3に固定される。尚、吊桁84は、例えば、断面L字状の長尺材であるL形鋼、あるいはI形鋼、あるいはH形鋼等の長尺材を用いればよい。
例えば、
図8(a)に示すように、図外のコアドリルでブロック部分3の中央側にボルト82を貫通させるための上下貫通孔81を形成して、
図9,
図10に示すように、ボルト82を、ブロック部分3の上面32に設置された吊桁84に設けられたボルト貫通孔、上下貫通孔81、及び、ブロック部分3の下面31に設けた受け材85に設けられたボルト貫通孔に通した後、当該ボルト82の下端側からナット83を締結する。これにより、吊桁84が、ボルト82、受け材85、ナット83によって、ブロック部分3に固定される。尚、上下貫通孔81を形成する際には、上下貫通孔81となる部分の下方に図外の水受板を設けて水や削孔屑の落下を防止すればよい。
例えば、
図8に示すように、1つの吊桁84に対して吊桁84の延長方向の中央側に所定の間隔を隔ててボルト82が2つ取付けられる。
また、例えば、
図8に示すように、吊桁84の延長方向と直交する方向に延長するように2つの受け材85,85が設けられ、各受け材85,85は、互いに近い位置で隣り合う一方の吊桁84に設けられたボルト82と他方の吊桁84に設けられたボルト82とに連結される。
【0030】
以後、上述した手順と同様の手順で、ブロック部分3を縁切りして縁切りされたブロック13を撤去する作業を繰り返すことにより、コンクリート1から連続する複数のブロック13,13…が撤去された開口部が形成される。
尚、実施形態1においては、
図3に示すように、コンクリート1の一端側から矢印Xの方向に向けて順番に割り付けられたブロック部分3Aからブロック部分3Zまで順番に縁切りしていく例を示す。この場合、ブロック部分3Aを囲む複数のコア抜き予定箇所20,20…がコア抜きされることによってコンクリート1から縁切りされたブロック13Aとなり(
図9(a),(b)参照)、ブロック部分3Bを囲む複数のコア抜き予定箇所20,20…がコア抜きされることによってコンクリート1から縁切りされたブロック13Bとなる(
図10(a),(b)参照)。そして、最後のブロック部分3Zを囲む複数のコア抜き予定箇所20,20…がコア抜きされることによってコンクリート1から縁切りされた図外の最後のブロックとなる。
【0031】
尚、コア落下防止板設置ステップにおいては、例えば、
図3に示すように、コンクリート1の一端側から矢印Xの方向に向けて順番に割り付けられた各ブロック部分3A,3B,3C…3Z(3,3…)を当該一端側から1つずつ縁切りしていく場合において、先に縁切りされるブロック部分3の他方の長辺(先に縁切りされるブロック部分3と次に縁切りされるブロック部分3との境界となる長辺)に沿った複数のコア抜き予定箇所20,20…の下面と対向するように設けられるコア落下防止板5B,5B…は、一端53側が、次に縁切りされるブロック部分3の一方の長辺側の下面31にアンカー52等の固定具で固定される。
また、最初に縁切りされる一端側ブロック部分3Aの一方の長辺に沿った複数のコア抜き予定箇所20,20…の下面21,21…と対向するように設けられるコア落下防止板5Aは、一端53側が、一端側ブロック部分3Aの一方の長辺の近傍に位置して残置されるコンクリート1の下面11にアンカー52等の固定具で固定される。
また、最後に縁切りされる他端側ブロック部分3Zの他方の長辺に沿った複数のコア抜き予定箇所20,20…の下面21,21…と対向するように設けられる図外のコア落下防止板5は、一端53側が、他端側ブロック部分3Aの他方の長辺の近傍に位置して残置されるコンクリート1の下面11にアンカー52等の固定具で固定される。
さらに、各ブロック部分3A,3B,3C…3Zの一対の短辺に沿った複数のコア抜き予定箇所20,20…の下面と対向するように設けられるコア落下防止板5Cは、一端53側が、縁切りされる各ブロック部分3A,3B,3C…3Zの短辺の近傍に位置して残置されるコンクリート1の下面11にアンカー52等の固定具で固定される。
【0032】
従って、一端側ブロック部分3Aが縁切りされた一端側ブロック13A(一番目ブロック)が撤去された場合、この一端側ブロック13Aの四辺の下方に位置されていた各コア落下防止板5A,5B,5C,5Cは、一端53側がコンクリート1の下面11に固定された状態のままとなる。
そして、
図10に示すように、一端側ブロック13Aの次にブロック部分3Bが縁切りされたブロック13B(二番目ブロック)が撤去された場合、一端側ブロック13Aの他方の長辺との境界となるブロック部分3Bの一方の長辺の近傍の下面31に固定されていたコア落下防止板5Bも一緒に撤去される。
以後同様に、(n+1)番目ブロック(n=自然数)が撤去された場合、n番目ブロックの他方の長辺との境界となる(n+1)番ブロックの一方の長辺の近傍の下面31に固定されていたコア落下防止板5も一緒に撤去される。
そして、全てのブロック13A,13B…が撤去された場合、全てのブロック13A,13B…が撤去されて形成された開口部の下側開口縁側のコンクリート1の下面11に残されたコア落下防止板5A,5C,5C,図外の5をコンクリート1から撤去する。
【0033】
このように、隣り合うブロックとブロックとの境界となる辺に沿った複数のコア抜き箇所20,20…の下面21,21…と対向するように設けられるコア落下防止板5B,5B…の一端53側を、後に撤去するブロックの下面に固定したので、後に撤去するブロックが撤去された場合、当該ブロックの下面に固定されたコア落下防止板5も一緒に撤去される。
即ち、コア落下防止板5B,5B…は、ブロック部分3の下面31に一端側が固定され、縁切りされたブロックの下面に一端側が固定された状態のまま当該ブロックと一緒に撤去されるようにしたので、残置されるコンクリート1の下面11に残るコア落下防止板5の数を少なくでき、残置されるコンクリート1の下方からのコア落下防止板5の撤去作業を少なくできる。つまり、コンクリート1の下方の空間からコンクリート1の下面11に対して行う作業を少なくできるので、作業時間の短縮、工期短縮、作業の簡略化等が図れる効率的な方法を提供できる。
【0034】
尚、コア抜き作業が終了した部分の水受手段60は、コア抜き作業終了後に撤去する。
ブロック13A,13B…を撤去する場合、ブロック13A,13B…を吊り上げることができるように、水受手段60の側壁部63とアンカー68との連結を解除した後、ブロック13A,13B…を吊り上げて撤去する。尚、撤去するブロック13A,13B…に固定されているアンカー68は、撤去するブロック13A,13B…に固定された状態のままブロック13A,13B…と一緒に吊上げられ(
図9(b),
図10(b)参照)、その後、ブロック13A,13B…から取り外される。また、コンクリート1の下面11に残った水受手段60もコンクリート1の下面11から取り外される。
【0035】
実施形態1に係るコンクリートに開口部を形成する方法によれば、コンクリート1から撤去される各ブロック13A,13B…となる各ブロック部分3A,3B,3C…3Z(3,3…)を囲む複数の貫通孔2,2…が形成される複数のコア抜き予定箇所20,20…の下方に、コア抜きされるコアの貫通孔2からの落下を防止するコア落下防止板5を設置し、さらに、このコア落下防止板5の下方に、コア抜き作業時に使用する水を受けて集水部7まで流下させる集水手段6を設置した後に、コア抜き作業によりコンクリート1にブロック13A,13B…を縁切りする複数の貫通孔2,2…を形成し、当該縁切りされたブロック13A,13B…を撤去して、コンクリート1に当該ブロック13A,13B…が撤去された開口部を形成する。即ち、湿式のコアドリル22によるコア抜き作業を行う前に、コア抜き作業時に使用する削孔用の水を受けて集水部7まで流下させる集水手段6を設置したことによって、湿式のコアドリル22によるコア抜き作業で使用する削孔用の水が、集水手段6を介して確実に集水部7に排水されるようになり、湿式のコアドリル22によるコア抜き作業で使用する削孔用の水の排水作業を効率的に行えて、コンクリート1に開口部を形成する作業を効率的に行えるようになる。
【0036】
また、集水手段設置ステップの前に、ブロック部分3を囲む複数の貫通孔2,2…が形成される複数のコア抜き予定箇所20,20…の下方に、コア抜きステップにてコア抜きされるコアの貫通孔2からの落下を防止するコア落下防止板5を設置したので、コアを吊るしてコアの落下を防止できるコア落下防止機能を備えた専用のコアドリルを用いずに、汎用のコアドリル22を用いて、コア抜き作業でくり貫かれるコアの落下を防止でき、コンクリート1に開口部を形成する作業において、安全な作業を行えるようになる。
【0037】
また、実施形態1によれば、ブロック部分3を囲む複数のコア抜き予定箇所20,20…のうち数箇所を残してコア抜き作業を行った後に、ブロック部分3を揚重機で吊った状態で残ったコア抜き予定箇所20Xのコア抜き作業を行うことで縁切りされたブロック13を揚重機で吊上げて撤去したので、ブロック13の落下を防止でき、ブロック13の撤去作業を安全に行えるようになる。
【0038】
また、実施形態1によれば、矩形状のブロック部分3の互いに対向する一対の辺側に設けられたコア抜き予定箇所20,20…のコア抜き作業を行った後に、ブロック部分3の上面32、コア抜きした貫通孔2の上部開口、及び、ブロック部分3の互いに対向する一対の辺の近傍において残置されるコンクリートの上面12に亘って延在するように設置された吊桁84をブロック部分3に固定したので、ブロック部分3が縁切りされてブロック13となった場合に、吊桁84の両端側が、縁切りされたブロックの互いに対向する一対の辺の近傍に残っているコンクリート1の上面12,12に支持されるので、ブロック13の落下を防止できるようになる。また、その後、吊桁84の吊部89に吊上げ用のロープ9を連結して、当該ロープ9を揚重機のフック8に連結することで、揚重機を用いてブロック13を安全に吊上げることができるので、ブロック13の撤去作業を安全に行えるようになる。また、ブロック13を揚重機で吊上げる際の準備作業を簡単にできる。
【0039】
また、実施形態1によれば、ブロック部分3が矩形状に設定されて、複数の隣り合うブロック部分3A,3B,3C…3Zが矩形の一方の一対の辺(例えば長辺)を境界として隣り合うように設定され、集水手段6は、ブロック13A,13B…の互いに対向する一方の一対の辺縁(例えば長辺縁)となる複数の貫通孔2,2…が形成される複数のコア抜き予定箇所20,20…の下方に設置された第1の水受手段60Aと、ブロック13A,13B…の互いに対向する他方の一対の辺縁(例えば短辺縁)となる複数の貫通孔2,2…が形成される複数のコア抜き予定箇所20,20…の下方に設置された第2の水受手段60Bと、第2の水受手段60Bと集水部7とを繋ぐ水路70とを備え、第1の水受手段60A及び第2の水受手段60Bは、それぞれ、ブロック部分3を囲む複数のコア抜き予定箇所20,20…の下面21,21…と対向して水路70に向けて傾斜する水路面61を有した水路板62と、水路面61の傾斜方向に沿って水路板62の両方の側部よりコンクリート1の下面11に向けて立ち上がるように設けられた側壁部63,63とを備え、第1の水受手段60Aの水路面61の上方に位置される複数のコア抜き予定箇所20,20…のコア抜き作業時に使用する水が、第1の水受手段60Aの水路面61、第2の水受手段60Bの水路面61、水路70を通過して集水部7まで流下し、第2の水受手段60Bの水路面61の上方に位置される複数のコア抜き予定箇所20,20…のコア抜き作業時に使用する水が、第2の水受手段60Bの水路面61、水路70を通過して集水部7まで流下するように構成されている。従って、コンクリート1から矩形状のブロック13A,13B…を縁切りするコア抜き作業時において、湿式のコアドリル22によるコア抜き作業で使用する削孔用の水が、水路70に向けて傾斜する水路面61及び水路70を介してより確実に集水部7に排水されるようになり、コア抜き作業で使用する削孔用の水の排水作業を効率的に行えて、コンクリート1に開口部4を形成する作業を効率的に行えるようになる。また、側壁部63,63を備えたことで、コンクリート1の下方への水漏れを防止できるようになる。
【0040】
尚、ブロック部分3が矩形状以外の、例えば、円形、三角形、多角形等に設定される場合であっても、集水手段6が、当該ブロック部分3を囲む複数のコア抜き予定箇所20,20…の下方に設置された水受手段60と、水受手段60と集水部7とを繋ぐ水路70とを備え、水受手段60が、ブロック部分3を囲む複数のコア抜き予定箇所20,20…の下面21,21…と対向して水路70に向けて傾斜する水路面61を有した水路板62と、水路面61の傾斜方向に沿って水路板62の両方の側部よりコンクリート1の下面11に向けて立ち上がるように設けられた側壁部63,63とを備えた構成とすれば、コンクリート1から矩形状以外の形状のブロックを縁切りするコア抜き作業時において、湿式のコアドリル22によるコア抜き作業で使用する削孔用の水が、水路70に向けて傾斜する水路面61及び水路70を介して集水部7に排水されるようになり、コア抜き作業で使用する削孔用の水の排水作業を効率的に行えて、コンクリート1に開口部4を形成する作業を効率的に行えるようになる。また、側壁部63,63を備えたことで、コンクリート1の下方への水漏れを防止できるようになる。
つまり、本発明の方法においては、ブロック部分3を矩形状以外の、例えば、円形、三角形、多角形等に設定して、コンクリート1に様々な形状の開口部を形成する作業を、簡単かつ安全に行えるようになる。
【0041】
また、ブロック部分3が矩形状以外に設定される場合、ブロック部分3の互いに対向する縁側に設けられたコア抜き予定箇所20,20…のコア抜き作業を行った後に、ブロック部分3の上面、コア抜きした貫通孔2の上部開口、及び、ブロック部分3の互いに対向する縁の近傍において残置されるコンクリート1の上面12,12に亘って延在するように設置された吊桁84をブロック部分3に固定すればよい。
【0042】
また、吊桁84を取付けずに、ブロック部分3を囲む複数のコア抜き予定箇所20,20…のうち数箇所のコア抜き予定箇所20Xを残してコア抜き作業を行った後に、ブロック部分3の互いに対向する縁側に形成された複数の貫通孔2,2に吊り下げ用のロープを通して、このロープを揚重機のフック8に引っ掛けて、当該ブロック部分3を吊った状態で残ったコア抜き予定箇所20Xのコア抜き作業を行うことで縁切りされたブロックを揚重機で吊上げて撤去するようにしてもよい。
【0043】
また、コア落下防止板5の上面51とコア抜き予定箇所20の下面21とが接触するように、コア落下防止板5を設置してもよい。
【0044】
また、コア落下防止板5は、一端53側と他端54側とを、コア抜き予定箇所20の下面21を挟んだ両側のコンクリート1の下面11,11に固定するようにしてもよい。
【0045】
また、コア落下防止機能を備えた専用のコアドリルを用いてコア抜き作業を行う場合には、コア落下防止板5を設けなくともよい。
【符号の説明】
【0046】
1 コンクリート、2 貫通孔、
3 ブロック部分(コンクリートブロックとなる部分)、4 開口部、
5 コア落下防止板、6 集水手段、7 集水部、13 コンクリートブロック、
20 コア抜き予定箇所、60 水受手段、60A 第1の水受手段、
60B 第2の水受手段、61 水路面、62 水路板、63 側壁部、70 水路、
84 吊桁。