IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 田淵電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-片持ち構造体及びこれを用いた操作装置 図1
  • 特許-片持ち構造体及びこれを用いた操作装置 図2
  • 特許-片持ち構造体及びこれを用いた操作装置 図3
  • 特許-片持ち構造体及びこれを用いた操作装置 図4
  • 特許-片持ち構造体及びこれを用いた操作装置 図5
  • 特許-片持ち構造体及びこれを用いた操作装置 図6
  • 特許-片持ち構造体及びこれを用いた操作装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】片持ち構造体及びこれを用いた操作装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 21/00 20060101AFI20221114BHJP
【FI】
H01H21/00 330C
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019027962
(22)【出願日】2019-02-20
(65)【公開番号】P2020134010
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000217491
【氏名又は名称】ダイヤゼブラ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 淳
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-41357(JP,A)
【文献】特開2007-323947(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面、下面、第一側面、及びこの第一側面と反対側の側面である第二側面を備える板部と、一端が前記板部の第一側面側の端に接続されもう一端が固定される支持部とを備え、
前記支持部がその弾性により撓むことで前記板部が揺動可能となっており、
前記板部を、前記第二側面側から見たとき、前記板部の厚みが場所によって異なり、
前記第二側面側から前記板部を見たとき、前記板部の前記支持部と接続する位置において前記板部の厚みが最大となっている、片持ち構造体。
【請求項2】
前記第二側面側から前記板部を見たとき、前記厚みが最大となっている位置から前記板部の一端に向けて、前記下面が前記上面側に傾斜することで、前記板部の厚みが徐々に薄くなっている請求項に記載の片持ち構造体。
【請求項3】
前記第二側面側から前記板部を見たとき、前記厚みが最大となっている位置から前記板部のもう一端に向けて、前記下面が前記上面側に傾斜することで、前記板部の厚みが徐々に薄くなっている請求項に記載の片持ち構造体。
【請求項4】
前記第二側面側から前記板部を見たとき、前記厚みが最大となっている位置において、前記下面が下向きに尖った形状を呈する請求項に記載の片持ち構造体。
【請求項5】
片持ち構造体を備える押圧フレーム、上側ケース及びスイッチを備え、
前記片持ち構造体が、上面、下面、及び側面を備える板部と、一端が前記板部の端に接続されもう一端が固定される支持部と、前記板部の下面から突出する接触部と、を備え、
前記支持部がその弾性により撓むことで前記板部が揺動可能となっており、
前記板部に前記上面側から力が負荷されたとき、前記支持部が撓むことで前記接触部が前記スイッチと接触し、これによりスイッチの状態が切り替えられ、
前記力が負荷されないとき、前記接触部が前記スイッチと接触しておらず、
前記上側ケースが、前記押圧フレームの下側に位置し前記押圧フレームを載せており、
前記板部と前記上側ケースとの間に、隙間が設けられており、
前記板部の上面側のどの部分に力が負荷されても、前記接触部が前記スイッチと接触してスイッチの状態が変化する前に前記板部と前記上側ケースとが接触しないように、前記板部の厚みが決められている、操作装置。
【請求項6】
前記押圧フレームが板状の中央フレームをさらに備え、
前記中央フレームの外縁に前記片持ち構造体の前記支持部を固定することで、前記片持ち構造体が、前記中央フレームに外向きに突出するように取り付けられている、請求項5に記載の操作装置。
【請求項7】
前記押圧フレームが複数の前記片持ち構造体を備えており、
これらの片持ち構造体が、前記中央フレームを囲うように取り付けられている、請求項6に記載の操作装置。
【請求項8】
前記スイッチを含む回路基板をさらに備え、
前記上側ケースが前記回路基板と前記押圧フレームとの間に位置しており、
前記接触部が、前記上側ケースを貫通している請求項5から7のいずれかに記載の操作装置。
【請求項9】
前記回路基板がLCD表示器を備えており、
前記押圧フレームが板状の中央フレームをさらに備え、
平面視において前記中央フレーム及び前記上側ケースが開口を備えており、
これらの開口から、前記LCD表示器が視認できる、請求項に記載の操作装置。
【請求項10】
前記片持ち構造体が、第一側面及びこの第一側面と反対側の側面である第二側面を備え、
前記支持部の一端が前記第一側面側の端に接続されており、
前記板部を、前記第二側面側から見たとき、前記板部の厚みが場所によって異なる、請求項5から9のいずれかに記載の操作装置。
【請求項11】
前記第二側面側から前記板部を見たとき、前記板部の前記支持部と接続する位置において前記板部の厚みが最大となっており、
前記接触部が、前記板部の厚みが最大となっている位置から突出している請求項10に記載の操作装置。
【請求項12】
片持ち構造体を備える押圧フレームと、キーと、上側ケースとを備え
前記片持ち構造体が、上面、下面、及び側面を備える板部と、一端が前記板部の端に接続されもう一端が固定される支持部と、前記板部の下面から突出する接触部と、を備え、
前記支持部がその弾性により撓むことで前記板部が揺動可能となっており、
前記キーが、前記押圧フレームの板部に上面側から被せられており、
前記上側ケースが、前記板部の下側に位置し前記押圧フレームを載せている、操作キー付きの蓋部。
【請求項13】
前記片持ち構造体が、第一側面及びこの第一側面と反対側の側面である第二側面を備え、
前記支持部の一端が前記第一側面側の端に接続されており、
前記板部を、前記第二側面側から見たとき、前記板部の厚みが場所によって異なる、請求項12に記載の蓋部。
【請求項14】
板状の中央フレームと片持ち構造体とを備える押圧フレーム、上側ケース及びスイッチを備え、
前記片持ち構造体が、上面、下面及び側面を備える板部と、一端が前記板部の端に接続されもう一端が固定される支持部と、前記板部の下面から突出する接触部とを備え、
前記支持部がその弾性により撓むことで前記板部が揺動可能となっており、
前記中央フレームの外縁に前記片持ち構造体の前記支持部を固定することで、前記片持ち構造体が、前記中央フレームに外向きに突出するように取り付けられており、
前記上側ケースが、前記押圧フレームの下側に位置し、前記押圧フレームがこの上側ケースに載せられており、
前記板部と前記上側ケースとの間に隙間が設けられており、
前記板部に前記上面側から力が負荷されたとき、前記支持部が撓むことで前記接触部が前記スイッチと接触し、これによりスイッチの状態が切り替えられ、
前記力が負荷されないとき、前記接触部が前記スイッチと接触しておらず、
前記板部の上面のどの部分に力が負荷されても、前記接触部が前記スイッチと接触してスイッチの状態が変化する前に前記板部と前記上側ケースとが接触しないように、前記上側ケースの形状が決められている操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、片持ち構造体及びこれを用いた操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多種多様な機器に、遠隔からこの機器を操作するための操作装置が用いられる。エアコン、電灯、音響機器、給湯器等を操作するためのリモコンが、この操作装置の例である。操作装置は、通常、これらの機器の動作状態を表す表示パネルと、機器に命令を送るための複数のキーを備えている。使用者は、このキーを操作することで、機器の操作を行う。操作装置についての検討が、特開2008-130531公報に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-130531公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
機器の多機能化に伴う表示項目の増加や視認性向上の要求により、表示パネルは大型化する傾向にある。一方で、操作装置には、小型化及び低コスト化が求められる。操作装置の小型化及び低コスト化の達成のためには、表示パネルとともに配置されるキーの実現方法が重要となる。
【0005】
本発明の目的は、操作装置の小型化及び低コスト化を達成するための、キーの内部構造として使用されうる片持ち構造体、及びこれを用いた操作装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る片持ち構造体は、上面、下面、第一側面、及びこの第一側面と反対側の側面である第二側面を備える板部と、一端が前記板部の第一側面側の端に接続されもう一端が固定される支持部とを備える。前記支持部がその弾性により撓むことで前記板部が揺動可能となっている。前記板部を、前記第二側面側から見たとき、前記板部の厚みは場所によって異なる。
【0007】
好ましくは、前記第二側面側から前記板部を見たとき、前記板部の前記支持部と接続する位置において前記板部の厚みは最大となっている。
【0008】
好ましくは、前記第二側面側から前記板部を見たとき、前記厚みが最大となっている位置から前記板部の一端に向けて、前記下面が前記上面側に傾斜することで、前記板部の厚みが徐々に薄くなっている。さらに好ましくは、前記第二側面側から前記板部を見たとき、前記厚みが最大となっている位置から前記板部のもう一端に向けて、前記下面が前記上面側に傾斜することで、前記板部の厚みが徐々に薄くなっている。
【0009】
好ましくは、前記第二側面側から前記板部を見たとき、前記厚みが最大となっている位置において、前記下面が下向きに尖った形状を呈する。
【0010】
本発明に係る押圧フレームは、板状の中央フレームと、前記片持ち構造体とを備える。前記中央フレームの外縁に前記片持ち構造体の前記支持部を固定することで、前記片持ち構造体は、前記中央フレームに外向きに突出するように取り付けられている。
【0011】
好ましくは、前記押圧フレームが複数の前記片持ち構造体を備えており、これらの片持ち構造体は、前記中央フレームを囲うように取り付けられている。
【0012】
本発明に係る操作装置は、前記押圧フレームとスイッチとを備える。前記押圧フレームのそれぞれの片持ち構造体は、前記板部の下面から突出する接触部をさらに備える。前記板部に前記上面側から力が負荷されたとき、前記支持部が撓むことで前記接触部が前記スイッチと接触し、これによりスイッチの状態が切り替えられる。前記力が負荷されないとき、前記接触部は前記スイッチと接触していない。
【0013】
好ましくは、前記第二側面側から前記板部を見たとき、前記板部の前記支持部と接続する位置において前記板部の厚みが最大となっており、前記接触部は、前記板部の厚みが最大となっている位置から突出している。
【0014】
好ましくは、前記操作装置は前記押圧フレームの下側に位置し前記押圧フレームを載せる上側ケースをさらに備えており、前記板部と前記上側ケースとの間に、隙間が設けられており、前記板部の上面側のどの部分に力が負荷されても、前記接触部が前記スイッチと接触してスイッチの状態が変化する前に前記板部と前記上側ケースとが接触しないように、前記板部の厚みが決められている。
【0015】
好ましくは、前記操作装置は前記スイッチを含む回路基板をさらに備え、前記上側ケースが前記回路基板と前記押圧フレームとの間に位置しており、前記接触部が、前記上側ケースを貫通している。
【0016】
好ましくは、前記回路基板はLCD表示器を備えており、平面視において前記中央フレーム及び前記上側ケースが開口を備えており、これらの開口から、前記LCD表示器が視認できる。
【0017】
本発明に係る操作キー付きの蓋部は、前記押圧フレームと、この押圧フレームのそれぞれの板部に上面側から被せられたキーと、前記板部の下側に位置し前記押圧フレームとを載せる上側ケースを備える。
【0018】
本発明に係る操作装置は、板状の中央フレームと片持ち構造体とを備える押圧フレーム、上側ケース及びスイッチを備える。前記片持ち構造体は、上面、下面及び側面を備える板部と、一端が前記板部の端に接続されもう一端が固定される支持部と、前記板部の下面から突出する接触部とを備える。前記支持部がその弾性により撓むことで、前記板部が揺動可能となっている。前記中央フレームの外縁に前記片持ち構造体の前記支持部を固定することで、前記片持ち構造体は、前記中央フレームに外向きに突出するように取り付けられている。前記上側ケースは、前記押圧フレームの下側に位置し、前記押圧フレームがこの上側ケースに載せられている。前記板部と前記上側ケースとの間に、隙間が設けられている。前記板部に前記上面側から力が負荷されたとき、前記支持部が撓むことで前記接触部が前記スイッチと接触し、これによりスイッチの状態が切り替えられる。前記力が負荷されないとき、前記接触部は前記スイッチと接触していない。前記板部の上面のどの部分に力が負荷されても、前記接触部が前記スイッチと接触してスイッチの状態が変化する前に前記板部と前記上側ケースとが接触しないように、前記上側ケースの形状が決められている。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る片持ち構造体は、上記のとおり、板部を第二側面側から見たとき、板部の厚みは場所によって異なる。この片持ち構造体を操作装置のキーの内部構造として使用したとき、板部の下に位置する部品の状況によって、板部の厚みを変えうる。これは、操作装置の厚みの低減に寄与する。この片持ち構造体の構造は簡易である。この片持ち構造体により、低コストで小型化が達成された操作装置が実現されうる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る片持ち構造体を備える操作装置が示された斜視図である。
図2図2は、図1の操作装置の分解図である。
図3図3は、図2の押圧フレームが示された平面図である。
図4図4は、図3の押圧フレームが示された底面図である。
図5図5は、図3の押圧フレームの片持ち構造体が示された正面図である。
図6図6は、図5の片持ち構造体が上側ケースの一部とともに示された正面図である。
図7図7は、図6の片持ち構造体に力が負荷された状態が示された正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係る片持ち構造体を備える操作装置2が示された斜視図である。この操作装置2は、空調機用のリモコンである。平面視において、この操作装置2の中央部分には、表示画面4が位置している。この表示画面4には、空調機の動作状態や設定温度等の情報が表示される。複数のキー6が、表示画面4の周囲に隣接して並べられている。使用者は、このキー6を押すことで空調機のオン・オフの切り換え、温度の上げ下げ等の操作をすることができる。
【0023】
図2は、図1の操作装置2の分解図である。図2において、矢印Xで示されるのがこの装置の前方であり、この反対方向が後方である。矢印Yで示されるのがこの装置の右方向であり、この反対方向が左方向である。矢印Zで示されるのがこの装置の上方向であり、この反対方向が下方向である。この矢印X、Y及びZは、後述する図3-7でも同じ意味を表す。この操作装置2は、前述した複数のキー6の他に、押圧フレーム8、上側ケース10、回路基板12、回路基板12を固定するためのネジ14、クッション16及び下側ケース18を備える。
【0024】
図1で示されるように、キー6は操作装置2の外面の一部を形成する。図2で示されるように、複数のキー6が、押圧フレーム8上に位置している。この実施形態では、6個のキー6が、押圧フレーム8上に位置している。それぞれのキー6は、硬質な材料から形成されている。典型的には、キー6は、合成樹脂組成物から形成されている。通常、キー6には着色や模様が施されている。
【0025】
図3は、図2の押圧フレーム8が示された平面図であり、図4はこの押圧フレーム8が示された底面図である。図2-4で示されるように、押圧フレーム8は、中央フレーム20、保護パネル22及び片持ち構造体24を備えている。
【0026】
中央フレーム20は、板状である。中央フレーム20は、その中央に開口26を備えている。中央フレーム20は、硬質な材料から形成されている。典型的には、中央フレーム20は、合成樹脂組成物から形成されている。通常、中央フレーム20には着色や模様が施されている。
【0027】
保護パネル22は、中央フレーム20の開口26の部分を覆っている。保護パネル22は、透明である。この保護パネル22を通して、後述するLCD表示器が視認できるようになっている。保護パネル22は、LCD表示器の視認性を確保しながら、LCD表示器を保護している。典型的には、保護パネル22は合成樹脂組成物から形成されている。中央フレーム20と保護パネル22とが一体として形成されていてもよい。保護パネル22がガラスから形成されていてもよい。中央フレーム20と保護パネル22とは、この操作装置2の表示画面4を構成する。
【0028】
片持ち構造体24は、中央フレーム20の外縁に取り付けられている。片持ち構造体24は、中央フレーム20から外向きに突出している。図2-4で示されるように、中央フレーム20には、複数の片持ち構造体24が取り付けられている。この実施形態では、6つの片持ち構造体24が中央フレーム20に取り付けられている。これらの片持ち構造体24は、中央フレーム20を囲っている。これらの片持ち構造体24は、中央フレーム20の角の外側も含め、中央フレーム20の周囲全体を囲っている。
【0029】
図5は、図3の片持ち構造体24のうち、前方中央に位置する片持ち構造体24aが示された正面図である。図3-5で示されるように、片持ち構造体24は、板部28、支持部30、接触部32及び取付部34を備える。
【0030】
図3で示されるように、平面視において、板部28の辺には凹凸が存在する。この凹凸がないとしたとき、板部28は矩形状又は一方の端が湾曲した矩形状を呈する。板部28は、上面36、下面38及び複数の側面40を備えている。図5の板部28は、第一側面40a、第二側面40b、第三側面40c及び第四側面40dの、4つの側面40を備えている。板部28の平面形状は、矩形状又は一方の端が湾曲した矩形状に限られない。例えば板部28の平面形状が、台形状でもよい。
【0031】
支持部30は柱状である。支持部30の一端は板部28の第一側面40a側の端に接続されており、もう一端は、中央フレーム20に固定されている。これにより、片持ち構造体24は、中央フレーム20に取り付けられている。支持部30は、弾性を有する材料よりなる。このため、板部28の上面36側から力が加わると、この支持部30は撓み、板部28は下側に移動する。力が負荷されなくなると、支持部30の撓みはなくなり、板部28はもとの位置に戻る。この支持部30により、板部28は揺動可能となっている。
【0032】
支持部30は、弾性を有していれば、合成樹脂組成物から形成されていてもよく、金属から形成されていてもよい。支持部30の材料として、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)が例示される。板部28も弾性を有しているのが好ましい。板部28は、合成樹脂組成物から形成されていてもよく、金属から形成されていてもよい。この実施形態では、支持部30と板部28とは一体として形成されている。
【0033】
それぞれの片持ち構造体24は、前述のキー6に対応している。それぞれのキー6は、対応する片持ち構造体24の板部28に、上面36側から被せられている。換言すれば、それぞれの片持ち構造体24は、対応するキー6の内部構造を構成している。この実施形態では、それぞれのキー6は、対応する板部28に接着剤で固定されている。
【0034】
図5は、片持ち構造体24aを第二側面40b側から見た図である。第二側面40bは、支持部30が接続された側面40である第一側面40aの、反対側の側面40である。第二側面40bは、第一側面40aと対向している。図5で示されるように、第二側面40b側から見たとき、板部28の厚みは、場所によって異なる。板部28の厚みは、一定ではない。この実施形態では、第二側面40b側から見たとき、板部28の厚みは支持部30と接続する位置において最大となっている。この位置は、最大厚み位置42と称される。この実施形態では、最大厚み位置42から板部28の一方の端(第三側面40c側の端)に向けて、板部28の下面38は上面36側に傾斜している。この部分は、下面38の右斜面部38aと称される。これにより、板部28の厚みは、最大厚み位置42から第三側面40c側の端に向けて徐々に薄くなっている。この実施形態では、さらに最大厚み位置42から板部28の他方の端(第四側面40d側の端)に向けて、板部28の下面38は上面36側に傾斜している。この部分は、下面38の左斜面部38bと称される。これにより、板部28の厚みは、最大厚み位置42から第四側面40d側の端に向けて徐々に薄くなっている。
【0035】
図5の実施形態では、右斜面部38aと左斜面部38bとの間に、厚みがほぼ一定となっている部分が存在する。この部分が存在せず、右斜面部38aと左斜面部38bとが接していてもよい。このとき、最大厚み位置42において、下面38は下向きに尖った形状を呈する。
【0036】
接触部32は、棒状である。接触部32は、板部28の下面38から突出している。接触部32は、板部28の下面38から下方向に延びている。図5で示されるように、この実施形態では、接触部32は板部28の最大厚み位置42から突出している。この実施形態では、接触部32は板部28と一体として形成されている。
【0037】
取付部34は、板部28の下面38から突出している。取付部34は、板部28の第二側面40b側の端から下方に延びている。この実施形態では、板部28に二つの取付部34が接続している。この実施形態では、取付部34は板部28と一体として形成されている。取付部34は、押圧フレーム8が上側ケース10から外れるのを防止する。
【0038】
上側ケース10は、図2で示されるように、押圧フレーム8の下側に位置している。上側ケース10の上面44に押圧フレーム8が載せられている。上側ケース10は、中央に開口46を備えている。上側ケース10に押圧フレーム8が載せられたとき、上側ケース10の開口46の位置は、中央フレーム20の開口26の位置と一致している。上側ケース10は、硬質な材料から形成されている。典型的には、上側ケース10は、合成樹脂組成物から形成されている。
【0039】
図6は、上側ケース10に押圧フレーム8が載せられたときの、上側ケース10の上面44の一部と片持ち構造体24aとが示された正面図である。この図は、第二側面40b側から見た図である。図6で示されるように、上側ケース10に押圧フレーム8が載せられたとき、片持ち構造体24aの板部28と上側ケース10との間には隙間48が設けられている。図6では見えないが、上側ケース10には、片持ち構造体24aの接触部32に対応する位置に、孔が設けられている。接触部32は、この孔に通されることで、上側ケース10を貫通している。上側ケース10には、取付部34に対応する位置にも、孔が設けられている。この隙間48と孔とにより、板部28に上面36側から力が負荷され支持部30が撓んだとき、板部28及び接触部32は下方向に移動することができる。全ての片持ち構造体24では、板部28に上面36側から力が負荷され支持部30が撓んだとき、板部28及び接触部32は下方向に移動することができる。
【0040】
上記の複数のキー6、押圧フレーム8及び上側ケース10は、一体となってこの操作装置2の蓋部56を構成する。これらは、操作キー6付きの蓋部56を構成する。
【0041】
回路基板12は、図2で示されるように、上側ケース10の下側に位置する。回路基板12は、基板50と、この基板50上に載せられたLCD表示器52及び複数の素子54とを備える。これらの素子54は、この操作装置2の機能を実現するための回路を構成している。これらの素子54には、スイッチが含まれる。この回路基板12では、基板50上に複数のスイッチが搭載されている。それぞれのスイッチは、対応する接触部32の下に位置している。接触部32が対応するスイッチと接触することで、このスイッチの状態が変化する。例えば、接触部32がスイッチに接触することで、このスイッチがオンとなる。接触部32がスイッチから離れることで、このスイッチがオフとなる。板部28に力が負荷されない状態では、接触部32はスイッチと接触していない。
【0042】
LCD表示器52の位置は、上側ケース10の開口46及び中央フレーム20の開口26の位置に対応している。このため、表示画面4を上側から見たとき、保護パネル22及びこれらの開口を通して、LCD表示器52が視認できるようになっている。
【0043】
クッション16は、上側ケース10と回路基板12との間に位置する。クッション16は、LCD表示器52に強い力が加わることを防止している。クッション16は、LCD表示器52を保護している。
【0044】
下側ケース18は、上面が開口した箱状である。下側ケース18の内部に、回路基板12が入れられている。操作キー6付きの蓋部56を下側ケース18に上側から被せることで、回路基板12を格納する筐体が構成される。下側ケース18は、硬質な材料から形成されている。典型的には、下側ケース18は、合成樹脂組成物から形成されている。
【0045】
空調機を操作するとき、使用者はこの操作装置2の所望のキー6を押す。このキー6の下に位置する片持ち構造体24の板部28に、上面36側から力が負荷される。支持部30が撓んで、板部28が下側に移動する。接触部32も下側に移動して、基板50上のスイッチと接触する。スイッチの状態が変わり、これに対応する信号が空調機に送られる。これにより、空調機が操作される。
【0046】
図7は、キー6が押された状態での、上側ケース10の上面44の一部と片持ち構造体24とが示された正面図である。キー6が押されることで板部28に上面36側から力が負荷され、板部28及び接触部32は下方向に移動している。これにより、接触部32はスイッチと接触している。
【0047】
図7の状態では、使用者がキー6の右端を押したため、板部28の右側の端(第三側面40c側の端)に力が負荷されている。このため、板部28は、下方向に移動するとともに、右側の端が左側の端より下がっている。板部28は、右側の端が下がるように、傾いている。図で示されるように、板部28が傾いても、板部28の下面38が最大厚み位置42から端に向けて上面36側に傾斜しているため、板部28は上側ケース10と接触していない。この操作装置2では、板部28の端に力が負荷されても、接触部32がスイッチと接触してスイッチの状態が変化する前に、板部28と上側ケース10とが接触しないように、板部28の下面38の傾斜角度(板部28の厚み)が決められている。板部28の端以外の部分に力が負荷されたときの板部28の傾きは、板部28の端に力が負荷されたときの傾きと比べて小さい。この場合にも、接触部32がスイッチと接触してスイッチの状態が変化する前に、板部28と上側ケース10とは接触しない。換言すれば、この操作装置2では、板部28の上面36側のどの部分に力が負荷されても、接触部32がスイッチと接触してスイッチの状態が変化する前に、板部28と上側ケース10とが接触しないように、板部28の厚みが決められている。
【0048】
以下、本発明の作用効果が説明される。
【0049】
本発明に係る片持ち構造体24は、板部28を第二側面40b側から見たとき、板部28の厚みは場所によって異なっている。この板部28は、下面38が、最大厚み位置42から端に向けて上面36側に傾斜している。この片持ち構造体24をキー6の内部構造に用いた操作装置2では、板部28の端に力が負荷され板部28が傾いても、この板部28は上側ケース10に接触し難い。板部28が上側ケース10と接触して、スイッチを操作できなくなることが、起こりにくい。このため、板部28の厚みが一定の片持ち構造体を用いるのに比べて、上側ケース10と板部28との距離(板部28に力が負荷されない状態での、上側ケース10と板部28の隙間48の最小幅)を小さくできる。これは、操作装置2の厚みの低減に寄与する。この操作装置2では、小型化が実現されている。
【0050】
この片持ち構造体24の構造は簡易である。この片持ち構造体24は、追加の部品を必要としない。この片持ち構造体24を用いた操作装置2では、低いコストが実現されている。
【0051】
この実施形態では、板部28を第二側面40b側から見たとき、板部28は、支持部30と接続する位置において厚みが最大となっている。支持部30は、板部28の厚みが最大となっている部分に、接続されている。これにより、支持部30と板部28の接続部分の面積が大きくできる。これは、片持ち構造体24の強度に寄与する。この片持ち構造体24は、板部28への力の負荷に耐えうる十分な強度を有する。この操作装置2は、耐久性に優れる。
【0052】
この実施形態では、片持ち構造体24は、中央フレーム20の外縁に、外向きに突出するように取り付けられている。このようにすることで、片持ち構造体24は、中央フレーム20の外周のどの場所にも取り付けられうる。この片持ち構造体24は、中央フレーム20の角の外側にも取り付けられうる。これは、キー6配置の自由度を向上させ、操作装置2の小型化に寄与する。この操作装置2では、小型化が実現されている。
【0053】
この実施形態では、片持ち構造体24は、中央フレーム20の周囲全体を囲うように、中央フレーム20に取り付けられている。このようにすることで、操作装置2の大型化を抑制しつつ、多くのキー6を配置することができる。多くのキー6が必要な操作装置2においても、小型化が実現されうる。
【0054】
この実施形態では、接触部32は、板部28の最大厚み位置42から突出している。接触部32がスイッチと接触したとき、板部28は接触部32から反力を受ける。このようにすることで、この板部28はこの反力に耐えうる十分な強度を有する。さらにこのようにすることで、接触部32の長さを短くできる。この接触部32は折れ難い。この操作装置2は、耐久性に優れる。
【0055】
この実施形態では、板部28の上面36側のどの部分に力が負荷されても、接触部32がスイッチと接触してスイッチの状態が変化する前に、板部28と上側ケース10とが接触しないように、板部28の厚みが決められている。このようにすることで、板部28と上側ケース10とが接触して接触部32がスイッチと接触できないようになることが防止されている。使用者がキー6のどの部分を押しても、機器を操作することができる。この操作装置2は、操作性に優れる。
【0056】
以上で説明された実施形態では、上側ケース10の上面44が平坦であった。上側ケースの上面が凹凸を備える場合、この凹凸に対応して、板部の厚みを場所によって異なるように決めてもよい。このようにすることで、板部の厚みが一定の片持ち構造体を用いるのに比べて、この板部を上側ケースに接触し難いようにできる。板部の厚みが一定の片持ち構造体を用いるのに比べて、操作装置の厚みが薄くされうる。この操作装置では、小型化が実現されている。
【0057】
図示されないが、本発明に係る他の操作装置は、中央フレームと片持ち構造体とを備える押圧フレーム、上側ケース及びスイッチを備える。この片持ち構造体では、板部の第二側面側から見たとき、板部の下面は傾斜せず板部の厚みが一定である。この押圧フレームは、この点を除いて図3-5の押圧フレーム8と同じである。この操作装置の上側ケースは、第二側面側から見たとき、上側ケースの上面が、板部の支持部が接続している位置に対応する位置から、左又は右方向に向けて下向きに傾斜している。第二側面側から見たとき、板部の端に向かうにつれ、板部と上側ケースの上面との隙間が大きくなる。この上側ケースは、この点を除いて図2の上側ケース10と同じである。この操作装置のスイッチは、前述の操作装置2のスイッチと同じである。
【0058】
この操作装置では、上側ケースの上面が、板部の支持部が接続している位置に対応する位置から、左又は右方向に向けて下向きに傾斜している。このため、板部の端に力が負荷され板部が傾いても、この板部は上側ケースに接触し難い。これにより、上側ケースと板部との距離を小さくできる。これは、操作装置の厚みの低減に寄与する。この操作装置では、小型化が実現されている。
【0059】
上記の実施形態では、板部の下面が平坦であった。板部の下面が凹凸を備える場合、この凹凸に対応して、上側ケースの形状を決めてもよい。このようにすることで、板部を上側ケースに接触し難いようにできる。上面が平坦な上側ケースを用いるのに比べて、操作装置の厚みが薄くされうる。この操作装置では、小型化が実現されている。
【0060】
さらに、板部の上面のどの部分に力が負荷されても、接触部がスイッチと接触してスイッチの状態が変化する前に、板部と上側ケースとが接触しないように、上側ケースの形状が決められてもよい。このようにすることで、板部と上側ケースとが接触して接触部がスイッチと接触できないようになることが防止されている。使用者がキーのどの部分を押しても、空調機を操作することができる。この操作装置は、操作性に優れる。
【0061】
以上説明されたとおり、本発明によれば、小型化及び低コスト化が達成された操作装置が得られる。このことから、本発明の優位性は明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上説明された片持ち構造体は、種々の機器に適用されうる。この片持ち構造体を備えた操作装置は、種々の機器用の操作装置として適用されうる。
【符号の説明】
【0063】
2・・・操作装置
4・・・表示画面
6・・・キー
8・・・押圧フレーム
10・・・上側ケース
12・・・回路基板
14・・・ネジ
16・・・クッション
18・・・下側ケース
20・・・中央フレーム
22・・・保護パネル
24・・・片持ち構造体
26・・・中央フレームの開口
28・・・板部
30・・・支持部
32・・・接触部
34・・・取付部
36・・・板部の上面
38・・・板部の下面
40・・・板部の側面
42・・・板部の最大厚み位置
44・・・上側ケースの上面
46・・・上側ケースの開口
48・・・隙間
50・・・基板
52・・・LCD表示器
54・・・素子
56・・・蓋部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7