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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】選択装置、選択方法及び選択プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20221114BHJP
【FI】
G06Q30/02 398
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019053801
(22)【出願日】2019-03-20
(65)【公開番号】P2020154870
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2020-12-16
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】319013263
【氏名又は名称】ヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩▲瀬▼張 太士
(72)【発明者】
【氏名】金広 憲二
(72)【発明者】
【氏名】坪内 孝太
【審査官】山崎 誠也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-195043(JP,A)
【文献】国際公開第2015/162949(WO,A1)
【文献】特開2018-018492(JP,A)
【文献】国際公開第2016/072117(WO,A1)
【文献】特開2009-178363(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0196876(US,A1)
【文献】特開2017-207936(JP,A)
【文献】特開2014-222397(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0223581(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
提供候補となるコンテンツごとに、当該コンテンツを提供した場合の利用者の感情を特定する特定部と、
前記特定部により特定された感情の集計が所定の条件を満たすように、前記コンテンツのうち提供対象とするコンテンツを選択する選択部と
を有し、
前記特定部は、
前記提供候補となるコンテンツごとに、当該コンテンツを提供した場合の利用者の感情を示す感情値を感情の種別ごとに特定し、
前記選択部は、
種別ごとに算出された前記感情値の集計値の差が所定の範囲内に収まるように、前記提供対象とするコンテンツを選択する
ことを特徴とする選択装置。
【請求項2】
前記特定部は、
前記提供候補となるコンテンツに対して予め対応付けられた感情を特定する
ことを特徴とする請求項1に記載の選択装置。
【請求項3】
前記特定部は、
利用者に提供した提供コンテンツと当該提供コンテンツを提供した際の利用者の感情との間の関係性を学習したモデルを用いて、前記提供候補となるコンテンツから、当該コンテンツを提供した場合の利用者の感情を特定する
ことを特徴とする請求項1に記載の選択装置。
【請求項4】
前記選択部は、
前記特定部により特定された利用者の感情の集計が平坦になるように、前記提供対象とするコンテンツを選択する
ことを特徴とする請求項1~のうちいずれか1つに記載の選択装置。
【請求項5】
前記利用者の周囲の状態を取得する第1取得部
をさらに有し、
前記選択部は、
前記感情の集計が前記第1取得部により取得された状態と対応する条件を満たすように、前記提供対象とするコンテンツを選択する
ことを特徴とする請求項1~のうちいずれか1つに記載の選択装置。
【請求項6】
前記第1取得部は、
前記利用者の現在位置に基づいて、当該利用者の周囲の状態を取得する
ことを特徴とする請求項に記載の選択装置。
【請求項7】
前記特定部は、
前記コンテンツを提供した場合の前記利用者の感情であって、当該利用者の属性に応じた感情を特定する
ことを特徴とする請求項1~のうちいずれか1つに記載の選択装置。
【請求項8】
前記選択部は、
前記利用者の感情の集計が、当該利用者の属性に応じた条件を満たすように、前記提供対象とするコンテンツを選択する
ことを特徴とする請求項1~のうちいずれか1つに記載の選択装置。
【請求項9】
前記利用者の感情を取得する第2取得部
をさらに有し、
前記選択部は、
前記利用者の感情の集計が、前記第2取得部により取得された感情に応じた条件を満たすように、前記提供対象とするコンテンツを選択する
ことを特徴とする請求項1~のうちいずれか1つに記載の選択装置。
【請求項10】
前記選択部は、
前記第2取得部により取得された感情が、否定的な感情である場合は、前記コンテンツを提供した場合の前記感情の集計が、肯定的な感情となるように、前記提供対象とするコンテンツを選択する
ことを特徴とする請求項に記載の選択装置。
【請求項11】
前記選択部は、
前記利用者が前記コンテンツを閲覧するための画面上に前記コンテンツを並べて表示した際に、前記利用者の感情が所定の条件を満たすように、前記提供対象とするコンテンツを選択する
ことを特徴とする請求項1~10のうちいずれか1つに記載の選択装置。
【請求項12】
前記特定部は、
各コンテンツを選択した際に前記利用者に提供されるリンク先コンテンツを当該利用者に対して提供した場合の当該利用者の感情をさらに特定し、
前記選択部は、
前記提供対象となるコンテンツと対応する感情の集計と、前記リンク先コンテンツと対応する感情の集計とが所定の条件を満たすように、前記提供対象とするコンテンツを選択する
ことを特徴とする請求項1~11のうちいずれか1つに記載の選択装置。
【請求項13】
選択装置が実行する選択方法であって、
提供候補となるコンテンツごとに、当該コンテンツを提供した場合の利用者の感情を特定する特定工程と、
前記特定工程により特定された感情の集計が所定の条件を満たすように、前記コンテンツのうち提供対象とするコンテンツを選択する選択工程と
を含み、
前記特定工程は、
前記提供候補となるコンテンツごとに、当該コンテンツを提供した場合の利用者の感情を示す感情値を感情の種別ごとに特定し、
前記選択工程は、
種別ごとに算出された前記感情値の集計値の差が所定の範囲内に収まるように、前記提供対象とするコンテンツを選択する
ことを特徴とする選択方法。
【請求項14】
提供候補となるコンテンツごとに、当該コンテンツを提供した場合の利用者の感情を特定する特定手順と、
前記特定手順により特定された感情の集計が所定の条件を満たすように、前記コンテンツのうち提供対象とするコンテンツを選択する選択手順と
をコンピュータに実行させ、
前記特定手順は、
前記提供候補となるコンテンツごとに、当該コンテンツを提供した場合の利用者の感情を示す感情値を感情の種別ごとに特定し、
前記選択手順は、
種別ごとに算出された前記感情値の集計値の差が所定の範囲内に収まるように、前記提供対象とするコンテンツを選択する
ことを特徴とする選択プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択装置、選択方法及び選択プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、利用者の感情を推定する推定技術が知られている。このような技術の一例として、利用者によって投稿された情報の内容に基づき、利用者の感情を推定する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2016-530651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術では、利用者に対する適切な情報提供を実現することができなかった。
【0005】
例えば、上述した従来技術では、利用者が投稿した情報に基づいて、利用者の感情を推定しているに過ぎない。このため、上述した従来技術では、ニュースや広告等といった利用者が投稿した情報以外の情報を提供した際に、利用者の感情を否定的な感情に誘導する恐れがある。この結果、上述した従来技術では、情報提供サービスに対する利用者の印象を悪化させる恐れがあった。
【0006】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、利用者に対する適切な情報提供を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に係る選択装置は、提供候補となるコンテンツごとに、当該コンテンツを提供した場合の利用者の感情を特定する特定部と、前記特定部により特定された感情の集計が所定の条件を満たすように、前記コンテンツのうち提供対象とするコンテンツを選択する選択部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、利用者に対する適切な情報提供を実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る選択処理の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る選択システムの構成例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る選択装置の構成例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係るコンテンツ情報記憶部の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る選択処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、選択装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本願に係る選択装置、選択方法及び選択プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る選択装置、選択方法及び選択プログラムが限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0011】
〔1.実施形態〕
図1を用いて、本実施形態の選択装置等により実現される選択処理を説明する。図1は、実施形態に係る選択処理の一例を示す図である。図1に示す例において、選択システム1は、選択装置100及び端末装置10を有する。選択装置100と、端末装置10とは、図示しない所定の通信網を介して、有線又は無線により通信可能に接続される。なお、図1に示す選択システム1は、複数台の選択装置100や、複数台の端末装置10が含まれてもよい。
【0012】
図1に示す選択装置100は、端末装置10にコンテンツを提供(配信)するサーバ装置である。なお、選択装置100が端末装置10に提供するコンテンツ(以下、「提供コンテンツ」と記載する場合がある)は、例えば、ニュース、天気予報、受信メールのインデックスや内容、フォトビュワー、その他各種のコンテンツが独立したタイル状に配置されたコンテンツであり、タイル状に配置されたコンテンツ(以下、「タイル」と記載する場合がある)ごとに操作や更新等を行うことができるコンテンツである。また、提供コンテンツには、広告に関連するコンテンツが配置されたタイルが随時挿入される。なお、提供コンテンツに配置される各タイルの大きさ、配置位置、配置されるタイルの数は、タイルごとに自動で変更されてもよく、利用者の操作に応じて変更されてもよい。また、提供コンテンツには、検索キーワードを入力するための入力欄や、他のウェブページへのリンク等が含まれている。
【0013】
また、図1に示す例において、選択装置100は、タイルを利用者に提供した場合の利用者の感情を、提供候補となるタイル(以下、「提供候補タイル」と記載する場合がある)に対応付けてコンテンツ情報記憶部121に格納する。なお、選択装置100は、選択装置100の管理者等によって設定された利用者の感情を、提供候補タイルに対応付けてコンテンツ情報記憶部121に格納してもよい。また、選択装置100は、利用者に提供したタイル(以下、「提供済タイル」と記載する場合がある)に関する情報(例えば、画像情報や、テキスト情報、リンク先等)と、提供済タイルを提供した際の利用者の感情との間の関係性を学習したモデルを用いて、提供候補タイルに関する情報から、当該提供候補タイルを提供した場合の利用者の感情を特定してもよい。
【0014】
ここで、選択装置100は、利用者の感情と、当該感情と因果関係を有する利用者の一連の行動との間の関係性を学習したモデル(例えば、MIL(Multiple Instance Learning)の技術を用いて学習したモデル)を用いて、提供済タイルを提供した後の利用者の行動に関する行動情報に基づき、提供済タイルを提供した際の利用者の感情を推定してもよい。例えば、選択装置100は、利用者がコンテンツ閲覧時に行った一連の操作(クリックやスクロール)や、利用者が閲覧したコンテンツの順番、どのようなリンクを選択したかといった利用者の時系列順の行動と、その行動を行う前、行動中、若しくは行動後に利用者が有していたと推定される感情との間の関係性を学習したモデルを用いてもよい。なお、このようなモデルは、例えば、利用者の生体情報等から推定された感情と、利用者の一連の行動との間の関係性をMILの技術を用いて学習することで実現され、利用者の一連の行動が入力された場合に、その行動を行う前、行動中、若しくは行動後等、一連の行動と何かしらの因果関係を有すると推定される感情を出力することとなる。すなわち、このようなモデルは、感情と一連の行動とを学習データとし、MILの技術を用いた学習を行うことで、入力された一連の行動の全体若しくは一部と因果関係を有する(何かしらの関連性を有する)感情を示す情報を出力するように学習が行われることとなる。また、選択装置100は、提供済タイルを提供した後の利用者の行動情報及び生体情報を取得した場合、行動情報や生体情報等と、感情との間の関係性を学習したモデルを用いて、取得した行動情報や生体情報等から利用者の感情を推定してもよい。
【0015】
図1に示す端末装置10は、利用者によって利用される情報処理装置である。例えば、端末装置10は、デスクトップ型PC(Personal Computer)や、ノート型PCや、タブレット端末や、携帯電話機や、PDA(Personal Digital Assistant)等である。なお、図1に示す例において、端末装置10は、利用者によって利用されるスマートフォンやタブレット等のスマートデバイスである場合を示す。また、図1に示す例において、端末装置10は、液晶ディスプレイ等の出力部(以下、画面と記載する場合がある)を有し、タッチパネルが採用されているものとする。すなわち、利用者は、指や専用ペンで出力部の表示面をタッチすることにより端末装置10の各種操作を行う。
【0016】
なお、端末装置10は、利用者のネットワーク上での行動に関する行動情報や、心拍センサ等の種々のセンサにより検知した利用者の生体情報、GPS(Global Positioning System)機能等が検知した利用者の位置情報、端末装置10の撮像部及び集音部(例えば、マイク等)等が検知した利用者の環境情報などを選択装置100に送信してもよい。また、端末装置10は、選択装置100からタイル(提供済タイル)が提供された後の利用者の行動情報や、利用者の生体情報を選択装置100に送信してもよい。
【0017】
以下、図1を用いて、選択装置100が行う提供処理について説明する。なお、以下の説明では、端末装置10が利用者U1により利用される例を示す。また、以下の説明において、コンテンツ情報記憶部121には、各提供候補タイルを利用者に提供した場合に利用者に惹起させる感情の度合いを示す感情値が感情の種別(図1の例では、「怒り」、「明るさ」、「優しさ」等)ごとに対応付けられているものとする。なお、図1の例において、感情値は、「-100」から「100」までの値で示すものとする。例えば、感情の種別「怒り」の感情値に「-100」が設定されている場合、対応する提供候補タイルを閲覧した利用者に「怒り」の感情を惹起させないことを示す。また、感情の種別「怒り」の感情値に「100」が設定されている場合、対応する提供候補タイルを閲覧した利用者に「怒り」の感情を惹起させることを示す。
【0018】
まず、選択装置100は、端末装置10からコンテンツの配信(提供)要求を受け付ける(ステップS11)。なお、選択装置100は、さらに利用者U1の行動情報や、生体情報、位置情報、環境情報などを受け付けてもよい。
【0019】
続いて、選択装置100は、各タイル(提供候補タイル)に対応付けられた感情値を特定する(ステップS12)。例えば、図1の例において、選択装置100は、コンテンツ情報記憶部121を参照し、提供候補タイルに対応付けられた感情の種別ごとの感情値を特定する。
【0020】
なお、本実施形態における選択装置100の「特定」とは、あらかじめ設定されたスコア等に基づいて、提供候補タイルが利用者に惹起させる感情や、感情の度合いを示す感情値を推定する処理を含む。例えば、選択装置100は、提供済タイルに関する情報と、提供済タイルを提供した際の利用者の感情との間の関係性を学習したモデルを用いて、提供候補タイルに関する情報から提供候補タイルを提供した場合に利用者に惹起させる感情を推定する。
【0021】
続いて、選択装置100は、提供コンテンツのうち、端末装置10の画面内に表示される各提供候補タイルに対応付けられた感情値を集計した値が、平坦若しくは肯定的となる提供候補タイルの組み合わせを選択する(ステップS13)。例えば、図1の例において、選択装置100は、端末装置10の画面内に表示される各提供候補タイルに対応付けられた感情値を、感情の種別#1-#6(コンテンツ情報記憶部121における感情の種別「怒り」、「明るさ」、「優しさ」等にそれぞれ対応)ごとに集計し、感情の種別ごとに感情値の平均値(集計値)を算出する。そして、選択装置100は、端末装置10の画面内に表示される提供候補タイルの組み合わせのうち、算出した各平均値が平坦(例えば、各平均値間の差が所定の範囲内)である組み合わせ、若しくは、肯定的な感情に対応する感情値の平均値が突出している(例えば、肯定的な感情に対応する平均値が、否定的な感情に対応する平均値よりも所定の閾値以上高い)組み合わせを選択する。
【0022】
ここで、選択装置100が組み合わせA及びBに含まれる各提供候補タイルに対応付けられた感情値を集計した結果(平均値)を、グラフG1及びG2に示す。グラフG1及びG2は、感情値を集計した結果を、感情の種別#1-#6ごとに表したレーダーチャートである。グラフG1及びG2には、感情の種別を示す軸が中心から放射状に配置されており、感情の種別ごとの平均値を表す値を結ぶことにより、各組み合わせに含まれる提供候補タイルが端末装置10の画面内に表示された場合に利用者U1に惹起させる感情の起伏を表す。レーダーチャートの中心は平均値が「-100」であることを示し、中心から離れるほど平均値が高いことを示す。
【0023】
図1の例において、グラフG1では、感情の種別ごとの平均値の起伏が低い(言い換えると、利用者U1に惹起させる感情の起伏が低い)ため、選択装置100は、グラフG1に対応する組み合わせAを選択する。一方、グラフG2では、感情の種別ごとの平均値の起伏が高い(言い換えると、利用者U1に惹起させる感情の起伏が高い)ため、選択装置100は、グラフG2に対応する組み合わせBを選択しない。
【0024】
なお、図1の例において、感情の種別#1、#2及び#5が肯定的な感情(例えば、「明るさ」、「優しさ」等)に対応し、感情の種別#3、#4及び#6が否定的な感情(例えば、「怒り」等)に対応する場合、選択装置100は、肯定的な感情に対応する感情値の平均値が突出しているグラフG2に対応する組み合わせBを選択してもよい。例えば、ステップS11において受け付けた利用者U1の情報に基づき、提供コンテンツを提供する際の利用者U1の感情が否定的な感情であると推定された場合、選択装置100は、利用者U1に肯定的な感情を惹起させる提供候補タイルの組み合わせBを選択する。
【0025】
続いて、選択装置100は、選択した組み合わせに対応する提供候補タイルを配置したコンテンツを端末装置10に提供する(ステップS14)。例えば、図1の例において、選択装置100は、選択した組み合わせAに含まれる提供候補タイルを配置した提供コンテンツを提供する。
【0026】
以上のように、実施形態に係る選択装置100は、利用者に提供されるコンテンツが利用者に惹起させる感情の起伏を低くすることにより、過度な感情の変化を利用者に与えることを防ぐことができる。また、実施形態に係る選択装置100は、利用者が否定的な感情である場合には、利用者に肯定的な感情を惹起させるコンテンツを提供できる。すなわち、実施形態に係る選択装置100は、利用者に対する適切な情報提供を実現することができる。
【0027】
〔2.選択システムの構成〕
次に、上述した情報処理を実現するための選択システム1について図2を用いて説明する。図2は、実施形態に係る選択システムの構成例を示す図である。図2に示すように、実施形態に係る選択システム1は、選択装置100と、端末装置10とを含む。選択装置100及び端末装置10は、ネットワークNを介して有線または無線により相互に通信可能に接続される。なお、ネットワークNは、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、電話網(携帯電話網、固定電話網等)、地域IP(Internet Protocol)網、インターネット等の通信ネットワークである。ネットワークNには、有線ネットワークが含まれていてもよいし、無線ネットワークが含まれていてもよい。また、図2に示す選択システム1には、複数台の選択装置100や、複数台の端末装置10が含まれてもよい。
【0028】
選択装置100は、各種のコンテンツが独立したタイル状に配置されたコンテンツを端末装置10に提供するサーバ装置である。また、選択装置100は、コンテンツを利用者に提供した場合の利用者の感情を、提供候補となるコンテンツに対応付けて管理する。なお、選択装置100は、アプリケーションのデータそのものを配信するサーバであってもよい。また、選択装置100は、端末装置10に制御情報を配信する配信装置として機能してもよい。ここで、制御情報は、例えば、JavaScript(登録商標)等のスクリプト言語やCSS(Cascading Style Sheets)等のスタイルシート言語により記述される。なお、選択装置100から配信されるコンテンツに関するアプリケーションそのものを制御情報とみなしてもよい。選択装置100の構成は後述する。
【0029】
端末装置10は、利用者よって利用される情報処理装置である。端末装置10は、選択装置100によって提供されるコンテンツを、ウェブブラウザやアプリケーションにより表示する。また、端末装置10は、選択装置100によって提供されるコンテンツの表示処理を実現する制御情報を選択装置100から受け取った場合には、制御情報に従って表示処理を実現する。また、端末装置10は、利用者のネットワーク上での行動に関する行動情報や、心拍センサ等の種々のセンサにより検知した利用者の生体情報、GPS機能等が検知した利用者の位置情報、端末装置10の撮像部及び集音部等が検知した利用者の環境情報、などといった利用者に関する情報を選択装置100に送信する。
【0030】
〔3.選択装置の構成〕
次に、図3を用いて、選択装置100の構成について説明する。図3は、実施形態に係る選択装置の構成例を示す図である。図3に示すように、選択装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。
【0031】
(通信部110について)
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部110は、ネットワークNと有線または無線で接続され、端末装置10等との間で情報の送受信を行う。
【0032】
(記憶部120について)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。図3に示すように、記憶部120は、コンテンツ情報記憶部121を有する。
【0033】
(コンテンツ情報記憶部121について)
コンテンツ情報記憶部121は、提供候補タイルを利用者に提供した場合の利用者の感情を管理する。ここで、図4を用いて、コンテンツ情報記憶部121が記憶するトリガ情報の一例を説明する。図4は、実施形態に係るコンテンツ情報記憶部の一例を示す図である。図4の例では、コンテンツ情報記憶部121は、「タイルID」、「リンク先」、「感情値」といった項目を有する。
【0034】
「タイルID」は、提供候補タイルを識別するための識別情報を示す。「リンク先」は、提供候補タイルのリンク先に設定されているコンテンツに関する情報を示す。なお、図4では、「リンク先」に「リンク先#1」といった概念的な情報が格納される例を示したが、実際には、リンク先に設定されているコンテンツに関するテキスト情報や、画像、動画情報等が格納される。「感情値」は、提供候補タイルを利用者に提供した場合に利用者に惹起させる感情の度合いを示し、感情値を感情の種別ごとに設定する。
【0035】
すなわち、図4では、タイルID「タイル#1」によって識別される提供候補タイルに「リンク先#1」が設定され、感情の種別「怒り」、「明るさ」及び「優しさ」にそれぞれ感情値「10」、「25」、「-10」が設定されている例を示す。
【0036】
(制御部130について)
制御部130は、コントローラ(controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、選択装置100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、コントローラであり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。実施形態に係る制御部130は、図3に示すように、取得部131と、特定部132と、選択部133とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0037】
(取得部131について)
取得部131は、利用者の周囲の状態を取得する。例えば、図1の例において、取得部131は、端末装置10の撮像部及び集音部等が検知した利用者U1の環境情報を端末装置10から取得する。なお、取得部131は、温度センサや、気圧センサ、湿度センサ、照度センサ等の種々のセンサにより検知された利用者の環境情報を取得してよい。
【0038】
また、取得部131は、利用者の現在位置に基づいて、当該利用者の周囲の状態を取得してもよい。例えば、図1の例において、取得部131は、端末装置10がGPS機能等で検知した利用者U1の位置情報に基づいて、利用者の現在位置における天気や気温、気圧、湿度等の情報を取得する。
【0039】
また、取得部131は、利用者の感情を取得してもよい。例えば、図1の例において、取得部131は、端末装置10の心拍センサ等の種々のセンサにより検知した利用者の生体情報に基づいて、利用者U1の感情を推定する。また、例えば、取得部131は、利用者の感情と、当該感情と因果関係を有する利用者の一連の行動との間の関係性を学習したモデルを用いて、利用者のネットワーク上での行動に関する行動情報に基づき、利用者の感情を推定する。
【0040】
なお、取得部131は、利用者に関する所定のグループに属する他の利用者の感情を取得してもよい。例えば、取得部131は、利用者の家族や、友人、同僚等の感情を取得し、利用者の家族や、友人、同僚等の感情が利用者の感情に与える影響の度合いに基づいて、利用者の感情を推定する。例えば、取得部131は、利用者の感情と、所定のグループに属する他の利用者の感情との間の関係性を学習したモデルを用いて、他の利用者の感情に基づき、利用者の感情に影響を与える影響の度合いを推定する。
【0041】
また、取得部131は、利用者のデモグラフィック属性や、サイコグラフィック属性などの属性情報を取得してもよい。例えば、取得部131は、利用者の年齢、性別、自宅、勤務地、趣味嗜好、興味関心、行動の目的(例えば、糖質ダイエット)、家族構成などの情報を取得する。
【0042】
(特定部132について)
特定部132は、提供候補となるコンテンツごとに、当該コンテンツを提供した場合の利用者の感情を特定する。例えば、図1の例において、特定部132は、コンテンツ情報記憶部121を参照し、提供候補タイルに設定された利用者の感情を特定する。
【0043】
また、特定部132は、提供候補となるコンテンツに対して予め対応付けられた感情を特定してもよい。例えば、図1の例において、特定部132は、コンテンツ情報記憶部121を参照し、提供候補タイルに対し選択装置100の管理者等によって設定された利用者の感情を特定する。
【0044】
また、特定部132は、利用者に提供した提供コンテンツと当該提供コンテンツを提供した際の利用者の感情との間の関係性を学習したモデルを用いて、提供候補となるコンテンツから、当該コンテンツを提供した場合の利用者の感情を特定してもよい。例えば、図1の例において、特定部132は、提供済タイルに関する情報と、提供済タイルを提供した際の利用者の感情との間の関係性を学習したモデルを用いて、提供候補タイルに関する情報から提供候補タイルを提供した場合に利用者に惹起させる感情を特定する。
【0045】
また、特定部132は、提供候補となるコンテンツごとに、当該コンテンツを提供した場合の利用者の感情を示す感情値を特定してもよい。例えば、図1の例において、特定部132は、コンテンツ情報記憶部121を参照し、提供候補タイルごとに、提供候補タイルを利用者に提供した場合に利用者に惹起させる感情の度合いを示す感情値を特定する。
【0046】
なお、特定部132は、提供済タイルに関する情報と、提供済タイルを提供した際の利用者の感情との間の関係性を学習したモデルを用いて、提供候補タイルに関する情報から、当該提供候補タイルを提供した場合の利用者の感情の度合いを示す感情値を特定(推定)してもよい。
【0047】
また、特定部132は、コンテンツを提供した場合の利用者の感情値を、感情の種別ごとに特定してもよい。例えば、図1の例において、特定部132は、コンテンツ情報記憶部121を参照し、提供候補タイルに対応付けられた感情の種別ごとの感情値を特定する。
【0048】
また、特定部132は、コンテンツを提供した場合の利用者の感情であって、当該利用者の属性に応じた感情を特定してもよい。例えば、特定部132は、属性(例えば、性別、年代等)ごとに設定されたモデルを用いて、提供候補タイルを提供した場合の利用者の感情を推定する。
【0049】
なお、特定部132は、利用者ごとに設定されたモデルを用いて、提供候補タイルを提供した場合の利用者の感情を推定してもよい。例えば、特定部132は、利用者の趣味嗜好や、興味関心、行動の目的に基づいて設定されたモデルを用いて、提供候補タイルを提供した場合の利用者の感情を推定する。例えば、利用者が好きな芸能人、利用者が関心を持つコンテンツ、行動の目的「糖質ダイエット」等に関する提供候補タイルに対し、特定部132は、利用者に肯定的な感情(例えば、「明るさ」、「楽しさ」等)を惹起させると推定(肯定的な感情の種別の感情値を高く推定)する。
【0050】
また、例えば、利用者が嫌いな芸能人、利用者が無関心であるコンテンツ、行動の目的「糖質ダイエット」を阻害するコンテンツ(例えば、炭水化物に関する広告など)等に関する提供候補タイルに対し、特定部132は、利用者に否定的な感情(例えば、「怒り」等)を惹起させると推定(否定的な感情の種別の感情値を高く推定)する。
【0051】
また、特定部132は、各コンテンツを選択した際に利用者に提供されるリンク先コンテンツを当該利用者に対して提供した場合の当該利用者の感情をさらに特定してもよい。例えば、特定部132は、リンク先のコンテンツに関する情報と、リンク先のコンテンツを提供した際の利用者の感情との間の関係性を学習したモデルを用いて、コンテンツ情報記憶部121の「リンク先」の項目に格納された情報から、提供候補タイルのリンク先に関するコンテンツを提供した場合に利用者に惹起させる感情を推定する。
【0052】
(選択部133について)
選択部133は、特定部132により特定された感情の集計が所定の条件を満たすように、コンテンツのうち提供対象とするコンテンツを選択する。例えば、図1の例において、選択部133は、端末装置10に提供される提供候補タイルの組み合わせのうち、各提供候補タイルが利用者に惹起させる感情の集計が、過度な感情の変化を利用者に与えない組み合わせ、若しくは、利用者に肯定的な感情を惹起させる組み合わせを選択する。
【0053】
また、選択部133は、感情値の集計値が所定の条件を満たすように、提供対象とするコンテンツを選択してもよい。例えば、選択部133は、端末装置10に提供される各提供候補タイルに対応付けられた感情値の集計値が、所定の条件を満たす提供候補タイルの組み合わせを選択する。
【0054】
また、選択部133は、種別ごとに算出された感情値の集計値が所定の条件を満たすように、提供対象とするコンテンツを選択してもよい。例えば、図1の例において、選択部133は、端末装置10に提供される各提供候補タイルに対応付けられた感情値を、感情の種別#1-#6ごとに集計した集計値(平均値)を算出する。そして、選択部133は、端末装置10に提供される提供候補タイルの組み合わせのうち、肯定的な感情に対応する平均値が、否定的な感情に対応する平均値よりも所定の閾値以上高い組み合わせを選択する。
【0055】
また、選択部133は、種別ごとに算出された集計値の差が所定の範囲内に収まるように、提供対象とするコンテンツを選択してもよい。例えば、図1の例において、選択部133は、端末装置10に提供される提供候補タイルの組み合わせのうち、感情の種別#1-#6ごとに感情値を集計した各平均値間の差が所定の範囲内である組み合わせを選択する。
【0056】
なお、図1の例において、選択部133は、端末装置10に提供される提供候補タイルの組み合わせのうち、感情の種別#1-#6に感情値を集計した各平均値が「0」、若しくは、「0」に近似する値となる組み合わせを選択してもよい。
【0057】
また、選択部133は、特定部132により特定された利用者の感情の集計が平坦になるように、提供対象とするコンテンツを選択してもよい。例えば、図1の例において、選択部133は、端末装置10に提供される提供候補タイルの組み合わせのうち、感情の種別#1-#6ごとに感情を集計した結果が、グラフG1に示すように平坦である組み合わせを選択する。
【0058】
また、選択部133は、感情の集計が取得部131により取得された状態と対応する条件を満たすように、提供対象とするコンテンツを選択してもよい。例えば、取得部131により取得された利用者の周囲の湿度や気温等に基づく利用者の不快感を示す度合(例えば、不快指数)が所定の閾値以上である場合、選択部133は、利用者を落ち着かせる提供候補タイルの組み合わせや、利用者に肯定的な感情を惹起させる提供候補タイルの組み合わせを選択する。また、例えば、取得部131により、利用者の現在位置の天気「曇り」や「雨」、「低気温」(例えば、5℃以下)、日照時間の低下等が取得された場合、選択部133は、利用者に肯定的な感情を惹起させる提供候補タイルの組み合わせを選択する。
【0059】
また、選択部133は、利用者の感情の集計が、当該利用者の属性に応じた条件を満たすように、提供対象とするコンテンツを選択してもよい。例えば、利用者の属性が「女性、子持ち(乳幼児)」である場合、選択部133は、端末装置10に提供される提供候補タイルの組み合わせのうち、感情の種別「怒り」の平均値が所定の閾値以下であり、且つ、感情の種別「明るさ」の平均値が所定の閾値以上である組み合わせを選択する。
【0060】
また、選択部133は、利用者の感情の集計が、取得部131により取得された感情に応じた条件を満たすように、提供対象とするコンテンツを選択してもよい。例えば、取得部131により、利用者の感情「興奮」や、「焦燥」が取得された場合、選択部133は、利用者を落ち着かせる提供候補タイルの組み合わせ(例えば、図1の例における組み合わせA)を選択する。
【0061】
また、選択部133は、取得部131により取得された感情が、否定的な感情である場合は、コンテンツを提供した場合の感情の集計が、肯定的な感情となるように、提供対象とするコンテンツを選択してもよい。例えば、図1の例において、取得部131により、利用者U1の否定的な感情(例えば、「怒り」)が取得された場合、選択部133は、利用者U1に肯定的な感情を惹起させる提供候補タイルの組み合わせを選択する。
【0062】
なお、取得部131により利用者の家族や、友人、同僚等の否定的な感情が取得された場合、選択部133は、利用者に肯定的な感情を惹起させる提供候補タイルの組み合わせを選択してもよい。また、取得部131により取得された、利用者の家族や、友人、同僚等の感情が利用者の感情に与える影響の度合いが所定の閾値以上である場合、選択部133は、利用者に肯定的な感情を惹起させる提供候補タイルの組み合わせを選択しなくともよい。また、選択部133は、利用者の家族や、友人、同僚等に対し配信される提供候補タイルの組み合わせであって、肯定的な感情を惹起させる提供候補タイルの組み合わせを選択してもよい。
【0063】
また、選択部133は、利用者がコンテンツを閲覧するための画面上にコンテンツを並べて表示した際に、利用者の感情が所定の条件を満たすように、提供対象とするコンテンツを選択してもよい。例えば、図1の例において、選択部133は、端末装置10の画面上に表示される各提供候補タイルの組み合わせのうち、感情の種別#1-#6ごとに感情値を集計した各平均値が所定の条件を満たす組み合わせを選択する。
【0064】
また、選択部133は、提供対象となるコンテンツと対応する感情の集計と、リンク先コンテンツと対応する感情の集計とが所定の条件を満たすように、提供対象とするコンテンツを選択してもよい。例えば、選択部133は、端末装置10に提供される提供候補タイルの組み合わせのうち、各提供候補タイルが利用者に惹起させる感情の集計が所定の条件を満たし、且つ、各提供候補タイルのリンク先が利用者に惹起させる感情の集計が所定の条件を満たす組み合わせを選択する。
【0065】
〔4.選択処理のフロー〕
ここで、図5を用いて、実施形態に係る選択装置100の選択処理の手順について説明する。図5は、実施形態に係る選択処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0066】
図5に示すように、選択装置100は、コンテンツの配信(提供)要求を受け付ける(ステップS101)。続いて、選択装置100は、コンテンツを提供した場合の利用者の感情を特定する(ステップS102)。例えば、図1の例において、選択装置100は、コンテンツ情報記憶部121を参照し、提供候補タイルに対応付けられた感情の種別ごとの感情値を特定する。
【0067】
続いて、選択装置100は、感情の集計が所定の条件を満たすように、提供対象のコンテンツを選択する(ステップS103)。例えば、図1の例において、選択装置100は、端末装置10に提供される各提供候補タイルに対応付けられた感情値の集計値が、所定の条件を満たす提供候補タイルの組み合わせを選択する。
【0068】
続いて、選択装置100は、コンテンツを配信(提供)する(ステップS104)。例えば、図1の例において、選択装置100は、選択した組み合わせに対応する提供候補タイルを配置したコンテンツを端末装置10に提供する。
【0069】
〔5.変形例〕
上述の実施形態は一例を示したものであり、種々の変更及び応用が可能である。
【0070】
〔5-1.各種状況に応じたコンテンツの選択について〕
上述の実施形態において、選択部133が、利用者の状態や、利用者の周囲の状態に基づいて提供対象とするコンテンツを選択する例を示したが、選択部133の機能はこのような構成に限定されない。例えば、選択部133は、時間帯に応じて利用者に提供するコンテンツを選択してもよい。例えば、選択部133は、朝の時間帯(例えば、6時―10時)には、利用者に感情「明るさ」を惹起させるコンテンツを選択する。また、例えば、選択部133は、夕方の時間帯(例えば、16時―19時)には、利用者の感情を落ち着かせるコンテンツを選択する。
【0071】
また、選択部133は、利用者の周囲の雰囲気に合わせたコンテンツを選択してもよい。例えば、取得部131により利用者の家族や、友人、同僚等の所定の感情が取得された場合、選択部133は、利用者に当該所定の感情を惹起させるコンテンツを選択する。また、例えば、取得部131により利用者の現在位置の天気「晴れ」が取得された場合、選択部133は、利用者に感情「明るい」を惹起させるコンテンツを選択する。
【0072】
〔5-2.コンテンツの提供者に対する報酬について〕
上述した選択装置100は、利用者に所定の感情を惹起させるコンテンツの提供者に対する報酬を決定してもよい。例えば、選択装置100は、利用者に肯定的な感情を惹起させることが推定されるコンテンツの提供者に対する報酬を決定する。例えば、利用者に肯定的な感情を惹起させるコンテンツとして選択された回数や、当該コンテンツの提供後の利用者の感情(利用者の反応)に基づいて、当該コンテンツの提供者に対する報酬を決定する。
【0073】
〔6.効果〕
上述してきたように、実施形態に係る選択装置100は、取得部131と、特定部132と、選択部133とを有する。取得部131は、利用者の周囲の状態を取得する。特定部132は、提供候補となるコンテンツごとに、当該コンテンツを提供した場合の利用者の感情を特定する。選択部133は、特定部132により特定された感情の集計が所定の条件を満たすように、コンテンツのうち提供対象とするコンテンツを選択する。
【0074】
これにより、実施形態に係る選択装置100は、利用者に応じたコンテンツを選択するため、利用者に対する適切な情報提供を実現することができる。
【0075】
また、実施形態に係る選択装置100において、例えば、特定部132は、提供候補となるコンテンツに対して予め対応付けられた感情を特定する。また、特定部132は、利用者に提供した提供コンテンツと当該提供コンテンツを提供した際の利用者の感情との間の関係性を学習したモデルを用いて、提供候補となるコンテンツから、当該コンテンツを提供した場合の利用者の感情を特定する。
【0076】
これにより、実施形態に係る選択装置100は、コンテンツに対応付けられた所定の感情を特定できるため、利用者に対する適切な情報提供を実現することができる。
【0077】
また、実施形態に係る選択装置100において、例えば、特定部132は、提供候補となるコンテンツごとに、当該コンテンツを提供した場合の利用者の感情を示す感情値を特定する。そして、選択部133は、感情値の集計値が所定の条件を満たすように、提供対象とするコンテンツを選択する。また、特定部132は、コンテンツを提供した場合の利用者の感情値を、感情の種別ごとに特定する。そして、選択部133は、種別ごとに算出された感情値の集計値が所定の条件を満たすように、提供対象とするコンテンツを選択する。また、選択部133は、種別ごとに算出された集計値の差が所定の範囲内に収まるように、提供対象とするコンテンツを選択する。また、特定部132により特定された利用者の感情の集計が平坦になるように、提供対象とするコンテンツを選択する。また、感情の集計が取得部131により取得された状態と対応する条件を満たすように、提供対象とするコンテンツを選択する。
【0078】
これにより、実施形態に係る選択装置100は、所定の感情に誘導するコンテンツを選択するため、利用者に対する適切な情報提供を実現することができる。
【0079】
また、実施形態に係る選択装置100において、例えば、取得部131は、利用者の現在位置に基づいて、当該利用者の周囲の状態を取得する。
【0080】
これにより、実施形態に係る選択装置100は利用者の現在位置に応じてコンテンツを選択するため、利用者に対する適切な情報提供を実現することができる。
【0081】
また、実施形態に係る選択装置100において、例えば、特定部132は、コンテンツを提供した場合の利用者の感情であって、当該利用者の属性に応じた感情を特定する。また、選択部133は、利用者の感情の集計が、当該利用者の属性に応じた条件を満たすように、提供対象とするコンテンツを選択する。また、取得部131は、利用者の感情を取得する。そして、選択部133は、利用者の感情の集計が、取得部131により取得された感情に応じた条件を満たすように、提供対象とするコンテンツを選択する。また、選択部133は、取得部131により取得された感情が、否定的な感情である場合は、コンテンツを提供した場合の感情の集計が、肯定的な感情となるように、提供対象とするコンテンツを選択する。
【0082】
これにより、実施形態に係る選択装置100は、利用者の感情に応じたコンテンツを選択するため、利用者に対する適切な情報提供を実現することができる。
【0083】
また、実施形態に係る選択装置100において、例えば、選択部133は、利用者がコンテンツを閲覧するための画面上にコンテンツを並べて表示した際に、利用者の感情が所定の条件を満たすように、提供対象とするコンテンツを選択する。
【0084】
これにより、実施形態に係る選択装置100は、画面上表示されるコンテンツを所定の条件を満たすように選択するため、利用者が利用する端末装置等においてに適切な情報提供を実現することができる。
【0085】
また、実施形態に係る選択装置100において、例えば、特定部132は、各コンテンツを選択した際に利用者に提供されるリンク先コンテンツを当該利用者に対して提供した場合の当該利用者の感情をさらに特定する。そして、選択部133は、提供対象となるコンテンツと対応する感情の集計と、リンク先コンテンツと対応する感情の集計とが所定の条件を満たすように、提供対象とするコンテンツを選択する。
【0086】
これにより、実施形態に係る選択装置100は、リンク先を考慮したコンテンツを選択するため、利用者に対する適切な情報提供を実現することができる。
【0087】
〔7.ハードウェア構成〕
また、上述してきた各実施形態に係る選択装置は、例えば図6に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。以下、選択装置100を例に挙げて説明する。図6は、選択装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、ROM1200、RAM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
【0088】
CPU1100は、ROM1200又はHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1200は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0089】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を記憶する。通信インターフェイス1500は、通信網500(実施形態のネットワークNに対応する)を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、また、通信網500を介してCPU1100が生成したデータを他の機器へ送信する。
【0090】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して生成したデータを出力装置へ出力する。
【0091】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラム又はデータを読み取り、RAM1300を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1300上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0092】
例えば、コンピュータ1000が選択装置100として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1300上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部130の機能を実現する。また、HDD1400には、選択装置100の記憶装置内の各データが格納される。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から所定の通信網を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0093】
〔8.その他〕
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0094】
また、上述した選択装置100は、機能によっては外部のプラットフォーム等をAPI(Application Programming Interface)やネットワークコンピューティングなどで呼び出して実現するなど、構成は柔軟に変更できる。
【0095】
また、特許請求の範囲に記載した「部」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0096】
10 端末装置
100 選択装置
110 通信部
120 記憶部
121 コンテンツ情報記憶部
130 制御部
131 取得部
132 特定部
133 選択部
図1
図2
図3
図4
図5
図6