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特許7175838シリンダとピストンと排出口とを備える減速器。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】シリンダとピストンと排出口とを備える減速器。
(51)【国際特許分類】
   E05F 1/14 20060101AFI20221114BHJP
   E05F 5/02 20060101ALI20221114BHJP
   E05F 3/16 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
E05F1/14 A
E05F5/02 E
E05F3/16
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019078307
(22)【出願日】2019-04-17
(65)【公開番号】P2020176415
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-03-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592106948
【氏名又は名称】岡本 耕一
(72)【発明者】
【氏名】岡本 耕一
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-118730(JP,A)
【文献】特開昭51-031377(JP,A)
【文献】国際公開第2016/001948(WO,A1)
【文献】特開2020-023993(JP,A)
【文献】特公昭49-035772(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 1/00-13/04
17/00
F16F 7/00- 9/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストンPSと、シリンダSLと、シリンダSL内に収容される粉粒体SAと、排出口Hsとを備え、上記排出口Hsの面積は上記粉粒体SAが止まることなく排出される大きさ以上であり、ピストンPSに押圧される粉粒体表層面SASから排出口HSまでの距離は、上記ピストンPSが粉粒体SA表層面SASを押圧する力の大きさによって、ピストンPSの移動速度がほぼ変化しない距離である減速器Dcであって、
上記粉粒体SAが自重によって落下して上記排出口HSから流出することにより上記ピストンPSが移動することを特徴とし、上記粉粒体SAがピストンPSとシリンダSL内壁との間の隙間に入り込まない大きさの鋼球SAである減速器Dc。
【請求項2】
上記シリンダSLは距形断面の箱SLで、排出口Hsの断面形状が長方形であって、互いに直交する一方の辺に沿った向きには鋼球SAが2個以上並ばず、互いに直交する他方の辺に沿った向きには鋼球SAが複数繋がる請求項1に記載する減速器Dc。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
シリンダSLとピストンPSと排出口HSとを備える減速器に関する。
【背景技術】
【0002】
ドアを付勢する力が僅かでもドアに作用するならば、ドアは僅かながらでも加速する。ドアクローザは「ドアを開いて取手から手を離した位置」が何処であってもドアが閉まり始めるようにするには、何処の位置においても最大静止摩擦力以上の力が作用している必要がある。最大静止摩擦力以上の力が作用し続けると、ドアは加速し続けて、戸当りに衝突するときには運動速度が最大になって、大きな衝撃音を発するようになる。
【0003】
ドアに力が作用している間は加速する。力と反対方向の抵抗が作用するとき、力が抵抗より小さいとき減速する。
減速するドアには「ドアを付勢する力より大きな抵抗」が働いていて、ドアは閉止途中で止まったままになり全閉しない。途中で止まらないように摩擦抵抗を「ドアを付勢する力」より小さくしてしまうと、ドアは加速し続け全閉時に大きな衝撃音を発するようになる。「ドアを付勢するバネ」の強さと「ブレーキシューなどの摩擦抵抗」を如何に調節しても、確実にドアが静かに全閉するようにできない。
【0004】
一般に普及している「油圧タンクを備えるドアクローザ」(以後、市販のドアクローザという。)の抵抗は「油圧タンクの小さな穴を出入りする油の流れの乱れ」による粘性抵抗であって、ドアの加速が大きくなれば大きくなり、ドアに大きく抵抗する。
ドアの速度が小さくなれば小さくなって、ドアが仮に止まっても「ドアを回転させる力」が抵抗より大きくなる。止まったドアが再び動き出す。油の抵抗は必要に応じて大きくなり、減速しすぎると消滅する。
【0005】
ドアクローザはドアを加速し、加速したドアはドアクローザを加速する。ドアクローザが加速すると、ドアクローザに働く抵抗は大きくなりドアに抵抗する。
ドアが加速して大きな動慣性力がドアクローザに働いても、「油圧タンクを備えるドアクローザ」は加速されない大きな油の抵抗を備える。大きな抵抗に打ち勝ってドアをも回転させるために「ドアクローザが内蔵するバネ(以後、内蔵バネという。)」の力は大きく、ドアを開くときに、ドアが重たく感じられるようになる。
使用頻度の少ない玄関ドアに取り付けて気にならないが、頻繁に開け閉めする室内のドアには取り付ければ、とても耐えられない苦痛となる。
【0006】
特許文献1のドアはバネだけで動き、ドアクローザは抵抗を備えない。「ドアを閉めるために必要な最小限の力」でドアを回転させ、ドアの加速を出来るだけ小さくするもので、全閉時にドアのラッチを凹ませるために突如として「極端に大きな力」をドアに作用させる。
【0007】
また、特許文献1のドアクローザは、ドアDが全開する位置から全閉する直前までの範囲(以後、全開範囲という。)で小さく運動してドアDを大きく回転させる(特許文献1の図8参照)。ドアDが全閉する直前から全閉するまでの範囲(以後、全閉範囲という。)で大きく運動してドアDは小さく回転する。
特許文献1のドアクローザが「速度がほぼ一定で低速のアクチュエータ」で駆動するようにすると、全開範囲ではドアクローザがドアを回転させてドアを加速し、全閉範囲ではドアがドアクローザを回転させてドアを減速する。
【0008】
特許文献1のドアクローザが全閉範囲でバネの小さな力を大きな力にしてドアDを回転させるということは、特許文献1のドアDに市販のドアクローザを取り付けると、それだけ内蔵バネVsの力を小さく出来る。しかしながら、 ドアクローザ単体ではゆっくりと回っていても、ドアDに取り付けると止まってしまうようではいけない。
【0009】
「バネだけで動き抵抗を備えないドアクローザ」は力が作用する間は加速し続けるが、「バネだけで動くドアクローザ」にもドア面に空気抵抗が働き、抵抗を備る。「ドア面に働く空気抵抗」は、上記油の抵抗と同様にドアが加速するほど大きくなりドアを大きく減速し、ドアが止まってしまうとなくなる抵抗で、ドアが途中で止まっても再び動き出す。
【0010】
ドア面に働く空気抵抗の加速したドアを減速する効果は、窓を閉め切った部屋であっても、窓が開いた部屋では小さい。全閉時に近づくほど「ドアとドア枠に挟まれる隙間」が小さくなり、「隙間を出入りする空気の乱れ」が大きくなるが、空気抵抗は上記の油の抵抗ほど大きくないので、ドアの大きな加速に耐えきれない。特に高層階の部屋では窓からの風に耐えきれない。
【0011】
ドアは回転軸が鉛直で、重心の上下動を伴わずに回転する。ドアの枢軸回りの摩擦抵抗やア面に作用する空気抵抗がなければ、限りなくゼロに近い大きさの力で回転できる。
特許文献1のドアDは「ドアを閉めるために必要で最小限の力」でゆっくりと回転するようにしている。何処で取手から手を放しても閉まりだすように、ドアの最大静止摩擦力を僅かに超える小さな力で回転し、加速を出来るだけ小さくしている。このことはとりもなおさず、微風でも大きく加速するということでもある。
加速しないようにドアを回転させる力を如何に小さくしてもゆっくりと回るには限界があって、「ドアを減速する抵抗」が必要である。
【0012】
ドアが閉まるとき「ドアを減速する抵抗」をつけてドアを回転させると、ドアを開くときに「ドアを閉めるための力」と「ドアを減速するための力」が必要で、「ドアを閉めるための力」の大きさは「ドアの最大静止摩擦力を僅かに超える大きさ」にして、最小に設定できるが、余分ともいえる「ドアを減速するための力」を如何に小さくするかが課題となる。
【0013】
摩擦抵抗でドアを減速して止まってしまうと、止まったままになって、再び動き出すことはない。摩擦抵抗による減速装置に摩擦抵抗を取り除いて自由にドアを回転させる「減速装置を解除する装置」が必要である。油の粘性抵抗はドアの減速後に消滅し、「減速装置を解除する装置」が不要である。
そのような理由から、「油の粘性抵抗が採用される市販のドアクローザ」が一般的で、その他のドアクローザは普及しない。しかし、市販のドアクローザが内蔵するバネの力は,ドアだけでなく、「シリンダ内の油を小さな排出口から押し出すピストン」をも動かす大きさの力で、「ドアを閉めるために必要で最小限の力」を遥かに超える力である。
【0014】
内蔵バネの力がとんでもなく大きくても、ドアの取手はドアの枢軸より遠く離れた位置にあって、ドアクローザがドアに取り付くにしても、ドア枠に取り付くにしても、ドアクローザをドアの枢軸に近い位置に取り付ければ、テコの原理により、ドアを開くときにドアが重たく感じられない。
ドアクローザがドアに取り付くにしてもドア枠に取り付くにしても、ドアの取手はドアの枢軸より遠く離れた位置にあってドアクローザをドアの枢軸に近い位置に取り付ければ、内蔵バネの力がとんでもなく大きくても、テコの原理によりドアを開くときにドアが重たく感じられない。
【0015】
このようにして内蔵バネを小さな力で伸縮できるようにして、ドアを開くときにドアが重たく感じられないようにしていくと、ドアクローザにドアを減速する力もドアを回転させる力がないようになる。市販のドアクローザは単体で動いても、ドアに取り付けると動かないというようになる。
特許文献1の全閉範囲での減速機構を採用すれば、課題は「ドアを減速するための力」を如何に小さくするかだけになる
【0016】
特許文献2のドアクローザは「ドアDを回転させる装置」と「ドアDを回転させる装置を減速する装置」とを別々に備え、それぞれは別々のバネで動作する。「ドアDを回転させる装置」は運動速度が速く、「ドアDを回転させる装置を減速する装置」は運動速度が遅い。「ドアDを回転させる装置を減速する装置」は「ドアDを回転させる装置」の大きな力で加速されずに、小さな力で動き続ける。
【0017】
特許文献2の図2(h)の回転体JJは回転体Jを付勢する付勢手段Vとは別の減速手段Rsを備えた付勢手段VVによって付勢される。回転体JJをドアクローザとして、回転体Jをドアとすると、「移動速度が遅いドアクローザ」が「移動速度が速いドア」に遅れて移動し、両者が相対的に一体となって移動すると、ドアが減速しドアクローザが加速する。ドアクローザはドアの進行を阻止しながら自力で後退する当りである。
【0018】
特許文献2のドアクローザは「特許文献1の全閉範囲での減速機構」を採用している。力の作用線Fbbと枢軸OOとの間の距離Lfが小さいので、ドアクローザはドアの大きな慣性力によってでも回転し難く、また付勢手段VVの小さな力で動き続けることができる。
【0019】
市販のドアクローザの内蔵バネは「ドアだけを回転させる付勢手段V」の力より遥かに大きい。付勢手段VVの小さな力はこの遥かに大きくなった分より遥かに小さい。市販のドアクローザをドアを減速するためだけに使う特許文献2のドアは、市販のドアクローザの内蔵バネだけで閉止するドアに比べて、開くときに必要な力が格段と小さくなる。
【0020】
付勢手段Vの力をドアだけを回転させる最も小さい力に調節し、付勢手段VVの力をドアクローザだけをゆっくりと回す最も小さい力に調節すれば、ドアを最も小さい力で回転させることになる。
付勢手段Vの小さな力で動き続けるドアは勿論止まったままになることなく動き続ける。
付勢手段VVはドアを回転させる力はなくても、ドアクローザだけをゆっくりと回す力があれば、ドアに取り付けてもドアDの慣性力によって止まったままにことなく動き続ける。
仮に大きな慣性力で一旦停止しても、停止して慣性力はゼロになり、再び動き始める。
【0021】
特許文献2のドアクローザは「ドアを閉めるために必要な力」と「ドアを減速するために必要な力」をそれぞれ別個に処理して小さくするようにしている。
ドアDを開いた如何なる位置でも最大静止摩擦力を僅かに上回る力が働いていれば、如何なる位置からでも閉まり始める。ドアを開くときに「ドアを閉めるために必要な力」を最小限にすることができる。特許文献2のドアクローザは、「ドアを減速するために必要な力(付勢手段VVの力)を如何に小さくするか」だけを考えればよい。
【0022】
付勢手段VVの力をドアクローザだけをゆっくりと回す最も小さい力に調節すれば、あらゆるドアに対応できを最も小さい力で回転させることになる。ドアを回転させるわけでもないのでドアに取り付けても途中で止まったままにはならない。
ドアクローザだけをゆっくりと回す最も小さい力に調節して用意しておけば、付勢手段Vの力をドアDだけを回転させる最も小さい力に調節するだけで、ドアを最も小さい力でゆっくりと回転させることになる。
【0023】
市販のドアクローザのように、ドアが「減速手段Rsを備えた付勢手段V」だけによって付勢される場合、特許文献2のドアクローザのように付勢手段Vと付勢手段VVとによって設定される「ドアを回転させる最も小さい力」に調節し難い。
【0024】
特許文献3のドアクローザは、加速したドアによって伸縮する減速バネ(以後、減速バネという。)を備え、ドアの運動エネルギを減速バネの歪エネルギに変換してドアを減速する。減速バネが伸縮しきったときドアは停止するまで減速される。
減速バネはドアを減速する抵抗であるが、伸縮させる力はドアが閉まるときに発生するドアの慣性力であって、ドアを開くときに減速バネを伸縮させる力を必要としない。「ドアを減速するために必要な力」は全く要らない。
【0025】
ドアの力が減速バネに伝達されてドアを減速するが、同時に伸縮した減速バネの復元力でドアは押し返されている 。伸縮しきった減速バネが復元すると、ドアは開く方向に回転する。復元を阻止するとドアは開かない。
減速バネの復元を阻止しても 、減速バネに押し返されていないようにしなければドアさらに閉まっていくことはできない。減速後に押し返す減速バネとドアの間の力の伝達を切断する装置が必要になる。
【0026】
特許文献3の図1のドアクローザは、加速した運動体U(ドアD)が移動体Iに衝突して、移動体Iの移動に伴って減速バネUが伸縮しきって運動体U(ドアD)を停止するまで減速する。減速バネUの片方の取付軸をリンクAに設けられる可動取付軸Saに可動支持し、他方の取付軸を固定部Wに設けられる固定取付軸Swに固定支持して、減速バネUが復元して移動体Iが後戻りすることによってリンクAが回転し運動体U(ドアD)と移動体Iとの間の力の伝達を切断する。
【0027】
減速バネとドアの間の力の伝達をするリンクAがあって、「ドアをリンクAから離脱させる動作」に僅かながらでもバネの復元が必要であって、ドアが一旦停止した後に少し後戻りしてから閉まり始めるという難点がある。またドアが勢いよく閉まっていかない場合は、バネの復元せずにドアが後戻りしないで止まったままになる。
減速バネUの復元力に「ドアをリンクAから離脱させるほど大きな力」がないような事態に備えて、「ドアをリンクAから離脱させるほど大きな力」を別に用意すると、減速バネUが急激に伸縮しきって、ドアが減速せずに全閉する。
【0028】
特許文献4の図1のドアクローザは特許文献3の図1のドアクローザの減速バネUの復元を全閉したドアDを開くと同時に動作するようにするもので、ドアDを開くときに必要な力を減じる効果がある。
【0029】
【文献】特許第4695214号公報
【文献】特許第6034172号公報
【文献】特許第6023291号公報
【文献】特許第6393860号公報
【文献】特許第6216911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
ドアを開くときにドアが重たく感じられるようにしないようにすることだけだはなく、ドアをゆっくりと閉止し静かに全閉するためには、ドアを減速する抵抗が必要である。
ドアを減速して停止しても抵抗が働き続けると、閉止途中で止まったままになり全閉しない。ドアを回転させる装置のほかに、減速装置とそれを解除する解除装置が必要である。
ドアをゆっくりと閉止し静かに全閉するための課題は、「ドアを止まったままになることなく回し続ける装置」に加えて、「減速装置とそれを解除する解除装置」を如何に小さな力で動作するようにするかである。
【課題を解決するための手段】
【0031】
ブレーキシユウなど摩擦抵抗は減速後も効き続ける。「減速後も効き続ける減速装置」をいかに解除するかの課題を解決するための手段は、図18に示すように、「付勢バネに付勢されて閉止方向に回転するドアの所定の開度で、摩擦抵抗による減速装置が働いてドアを減速し、ドアが停止した後に摩擦抵抗を取り除いてドアが再び動き出すようにするドアクローザであって、摩擦抵抗を取り除く解除装置は減速器によってゆっくりと復元する上記付勢バネとは別のバネによって動作し、始動してあらかじめ設定された時間が経過して摩擦抵抗を取り除くドアクローザであって、減速装置の始動は解除装置の始動に後れることを特徴とするドアクローザ18。」
【0032】
図19に説明するように、「ドアDと連動しシリンダSL内壁に沿って移動するピストンPS」が排出口HSに近づく方向に移動して、シリンダSL内の流体を加圧し、シリンダSLの排出口HS付近のシリンダSL内壁に沿って移動するステムが「ステムを排出口HSから遠ざける方向に付勢するステムバネ」を伸縮させながら排出口HSに近づく方向に移動して排出口HSを塞いでピストンPSの移動に抵抗し、ピストンPSが減速すると、ステムバネの復元力で排出口HSが開いて、シリンダSL内の流体を減圧することを特徴とするドアクローザ19。」は減速装置とそれを解除する解除装置を備える。
【0033】
図20に説明するように、「上記ステムSTはシリンダSL内の流体が加圧されて伸縮する弾性体であって、伸縮によって塞がる流路HSTを備え、流路HST内を流れる流体の流量を調整するドアクローザ20。」
【0034】
図11に説明するように、ピストンPSは「ドアDと連動する回転体JJ」を押圧或いは牽引して回転体JJを減速する減速手段であって、
「シリンダSL内に収容される粉粒体SA」は自重によってシリンダSLの排出口HSから流出し、「粉粒体表層面SASを押圧するピストンPS」の移動速度は「ピストンPSが粉粒体表層面SASを押圧する力」の大きさによってほぼ変化しない「排出口HSからの粉粒体の流出速度」に従うことを特徴とする減速器DCを備えるドアクローザ11。」であって、ピストンPSが粉粒体表層面SASを押圧する力が「ドアを全閉する力」であるとき、図11においてドアDが所定の開度を過ぎてから設定される時間経過後に「ドアDを全閉する力」がドアDに作用する。図11に説明するように図4においてドアDが所定の開度を過ぎてからドアを減速し設定される時間経過後に減速解除する。
【0035】
図6図7に説明するように、ドアDの運動エネルギを減速バネUの歪エネルギに変換してドアDを減速するドアクローザは開くときにドアを減速するための力は必要としない。
「減速バネUに付勢されて当たりBBによって静止位置に静止して待機する回転体JJは、付勢バネに付勢されて上記静止位置に近づくドアDの所定の開度で当たりBBが外されてドアDに近づき、たがいに当接し合い互いに押し合うとき、減速バネUの復元力はドアDが回転体JJを押圧する力よりドアDの最大静止摩擦力以上に大きいことを特徴とするドアクローザ6。」は、ドアDを進行方向と反対方向に押し戻して、ドアDを減速した減速バネUの復元力がドアDに作用しないようにする。回転体JJが上記静止位置に待機するとき、減速バネUに蓄えられる復元力は図6においてドアDの最大静止摩擦力以上、図7においてドアDの最大静止摩擦力の2倍以上である。
【0036】
図14図16に説明するドアクローザは、「固定部Wに設けられる回転軸SLwの周りに回転自在に軸支される箱SL」は傾斜し、「箱SLに充填され自重によって箱SLの傾斜面を下降する鋼球SA」と、「付勢バネVに付勢され鋼球SAの移動方向と反対方向に箱SLに設けられた溝Mに沿って移動するピストンPS」とを備え、「ピストンPSより高いところに収容される複数個の鋼球SA」は自重によって「ピストンPSと箱SLの底面との間に設けられる流路SL3」を通り抜けてピストンPSより低いところに移動し、ピストンPSが略溝Mの端部M1に到達して箱SLが回転軸SLwの周りに回転することを特徴とするドアクローザ14。
【0037】
図15に説明するドアクローザは、直方体の箱SLの上面に開口部を設けて、開口部から箱SL内部へ挿通するピストンPSは箱SL内部に充填される複数個の鋼球SAの上部表層面を押圧し、鋼球SAを箱SLの底面中央に設けられる排出口Hsから流出させ、排出口Hsは長さを鋼球の直径の5倍とし高さを1倍以上とする長方形であって、箱SLの底面は高さを排出口Hsの高さと同じくし長さを排出口Hsの長さより大きくすることを特徴とする減速器を備えるドアクローザ15。「鋼球の直径の5倍」の意味は、図15において、5個の鋼球SAは排出口Hsを横1列で通過可能で、5個の鋼球SAから成るアーチの形成はありえないとき、「5倍の5にもう1つ加えた6の6個の鋼球SAから成るアーチは形成されても必ず崩れてその形成はありえない。」ということを意味する。
【0038】
図17に説明するように、急激に開くドアDの回転は阻止する減速装置は、
「付勢手段Vに付勢されて回転するドアD」に連動する「リンクDD2の先端部に設けられる当接部Gdd2」と、「減速装置DCによってゆっくりと復元するバネV2」に付勢されて所定の軌道KKに沿って移動する箱SLとを備え、箱SLは当接部Gdd2当接してドアDの回転を減速する当接面SLk2と、当接部Gdd2が嵌まり込んでドアDの回転を阻止しない窪みH2を備えることを特徴とするドアクローザ17。」
【0039】
「減速装置とそれを解除する解除装置」を備えて、ドアを開くときにドアが重たく感じられるようにしないようにするドアクローザは、図2に説明するように、「付勢バネVに付勢されて高速回転するドアD」が「減速器によってゆっくりと復元する減速バネV2に付勢されて低速回転する回転体J」によって減速されるドアクローザであって、片方の連結軸をドアDと連結し、他方の連結軸を回転体Jに設けられる長穴Hに収容して、他方の連結軸が長穴Hの一方の端部と当接して回転体JとドアDとが互いに力を伝達し合うようにし、離脱して回転体JとドアDとの間の力の伝達を切断するリンクを2つ備え、2つのリンクの片方はドアDを開くときに減速バネV2を伸縮させ、2つのリンクの他方はドアDが閉まるときにドアを減速することを特徴とするドアクローザ2」であって、減速装置の始動は解除装置の始動に後れる。
【0040】
図3に説明するドアクローザは、「上記ドアクローザ2は上記2つのリンクの他に、片方の接続軸をドアDと連結し、他方の接続軸を回転体Jに設けられる長穴HCに収容して、他方の接続軸が長穴HCの一方の端部と当接して回転体JがドアDを回転させるようにするリンクをもう1つ備えることを特徴とするドアクローザ3」
【0041】
図4に説明する「減速装置の始動が解除装置の始動に後れるドアクローザ」は「回転体Jを介してドアDと連動する回転体JJは減速器DCによってゆっくりと下降するピストンPSとリンクAを介して連結され、ピストンPSに設けられる連結軸PPはリンクAに設けられる長穴Ha内に収容されて、ドアを開くときに長穴Haの片方の端部に当接して引き上げられ、ドアが閉まるとき片方の端部から他方の端部に移動して、ドアが閉まり始めてしばらくして他方の端部に当接することを特徴とするドアクローザ4」であって、ドアDの減速は全閉範囲に限られる。
【発明の効果】
【0042】
ドアを開くときの力は「ドアを止まったままになることなく回し続けるようにする力」に加えて、「減速装置とそれを解除する解除装置を動作させる力」を小さな力で動作するようにし、ドアをゆっくりと閉止し静かに全閉するようにする。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】滑り対偶の連結部が減速と減速解除をする機構説明図
図2】回り対偶の連結部が減速と減速解除をする機構説明図
図3】減速装置がドアを全閉させる機構説明図
図4】ドアDの減速を全閉範囲に限る機構説明図
図5】全閉範囲で大きく運動する機構説明図
図6】プレストレスされた減速バネUが伸縮して減速する機構説明図
図7】減速バネUをさらに伸縮させて全閉する機構説明図
図8】タイマーによって全閉力が減速に遅れて作用する機構説明図
図9】砂時計の仕組みで動く減速器の機構説明図
図10】水平面内の回転を鉛直面内の運動に変換する機構説明図
図11】全閉バネVVの力を支持し復元を遅らせる砂の落下機構説明図
図12】上下2つの砂時計を真ん中の流路で繋がる減速器の機構説明図
図13】流路で繋がる2つの砂時計を傾ける減速器の機構説明図
図14】坂を下降する鋼球でピストンを減速する減速器の機構説明図
図15】鋼球の流れが流路出口に関連する減速器の機構説明図
図16】トユの形をした箱SL内部の鋼球が抵抗する減速器の機構説明図
図17】突然急激に開くドアDの回転を減速する機構説明図
図18】予め設定した時間経過の後に減速装置を解除する機構説明図
図19】減圧器の仕組みを取り入れた減速器の機構説明図
図20】減圧器のステムSTが伸縮してドアDを減速する機構説明図
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1図2のドアクローザは市販のドアクローザの欠点を解消するドアクローザであって、図1図2のドアクローザの説明の前に市販のドアクローザの欠陥の要因について説明をする。
【0045】
市販のドアクローザのピストンPSはドアクローザが内蔵する内蔵バネVsの復元によって移動する。この動作には二つの抵抗が作用する。(以後、ドアクローザの流体が充填されるシリンダSLとピストンPSで構成される部分を減速器という。)
1つは極小の排出口HS周辺の「空気或いは液体の流れの乱れ」による粘性抵抗であり、もう一つはシリンダSL内部の流体が排出口HS以外の場所から「漏れ出さないようにするための抵抗」、すなわちピストンPと「それが摺動するシリンダSL内壁」との間に生じる摩擦抵抗である。
【0046】
内蔵バネVsの復元力がピストンPとシリンダSL内壁との間に働く最大静止摩擦力を上回れば、内蔵バネVsの復元力がいかに小さく、排出口HSがいかに小さくても、シリンダSL内部の流体が排出口HSから少しずつ漏れ出し、非常にゆっくりであっても止まらず動き続ける。
排出口HS周辺の流体の粘性抵抗はピストンPが動き出してから発生するが、ピストンPが止まってしまうとなくなるので、ピストンPが動き出して止まってしまうことはない。
【0047】
このように、市販のドアクローザが単体で動いたとしても、ドアに取り付けると、内蔵バネVsの移動に上記の「ピストンPとシリンダSL内壁との間に働く最大静止摩擦抵抗」に加えて、「ドアDの枢軸Oの回りを回転抵抗」と「ドア面が受ける空気抵抗」とが作用し、ピストンPSが止まってしまうと、流体の流出も止まり、止まったままになって再び動き出さない。
市販のドアクローザは非常に弱い内蔵バネVsでも単体では動き続けるが、ある程度強くても重たいドアを回すことはできない。これらの抵抗に打ち勝ってドアをも回すことができる内蔵バネVsはとんでもなく強すぎて、上述の特許文献2に記載する「ドアを閉めるために必要な力」と「ドアを減速するために必要な力」のいずれよりも大きく、それらの和よりもはるかに大きい。
【0048】
ブレーキシユウなど摩擦抵抗はドアDが減速して止まった後にも効き続ける。減速装置を解除しなければ、再び動きださない。
市販のドアクローザの油の粘性抵抗や特許文献1ドアクローザの空気抵抗は減速後に解除するまでもなく消滅するので「減速装置を解除する解除装置」は要らない。
しかし、「ドアDを回転させる装置」や「ドアDを減速する装置」に「市販のドアクローザが内蔵するバネがゆっくりと復元する機能」だけを使用する場合、「減速バネとドアの間の力の伝達切断するリンク」が必要となる。
【0049】
特許文献2のドアクローザは「ドアDを回転させる装置」に「市販のドアクローザの内蔵バネVsがゆっくりと復元する機能」だけを使用し、全閉直前までドアD をゆっくりと回転させて全閉直前で「内蔵バネVsとドアの間の力の伝達切断するリンク」が動作して、ドアDが内蔵バネVsの抵抗を受けずに全閉する。
図1図2のドアクローザはドアを閉めるためにではなく、ドアを減速するだけのために「市販のドアクローザが内蔵するバネがゆっくりと復元する機能」を使用する。
全閉直前までドアD を減速して、全閉直前で「内蔵バネVsとドアの間の力の伝達切断するリンク」が動作し、ドアDが内蔵バネVsの抵抗を受けずに全閉する。
【0050】
図1図2のドアクローザに用いられる減速器の内蔵バネVsは「一瞬にしてではなくゆっくりと復元するバネ」であれば十分で、「ドアを回す力」がそもそも小さくても、減速器の内蔵バネVsの力は、それ以下でよく、「ピストンPとシリンダSL内壁との間に働く最大静止摩擦力」を僅かに上回る程度の小さな力でよい。
図1図2のドアクローザは敢えて市販のドアクローザを使って、ドアを開くときにドアが重たく感じないようにする。
【0051】
図1において、ドアDとリンクAと回転体Jと固定部W (ドアD或いはドア枠あるいはドア枠周辺の壁面を以後、固定部Wという。)とからなるリンク装置と、「リンクAAあるいは車輪Bを介してリンク装置と連動する減速器DC」とその周辺装置とが図示される。
ドアD,回転体J,回転体JJ及び減速器DCのそれぞれは、固定部Wに設けられる枢軸O,回転軸Jw,回転軸JJw, 回転軸DCwの周りに回転自在に軸支され、回転体Jと「リンクAA、車輪B、減速器DC、とその周辺装置(図中破線で囲まれる部品群)」は固定部Wに取り付けられるドアクローザに収容される。
【0052】
ドアDと回転体J,回転体Jと回転体JJ,回転体JJ と減速器DCのピストンPとはそれぞれ、リンクA,リンクAA,ロッドAPによって連結される。リンクA,リンクAA,ロッドApのそれぞれの両端部の連結軸はPdとPj,PPjとPjj,PPjjとPpsである。
引きバネV,引きバネVVのそれぞれの片方の取付軸は固定部Wに設けられる支軸Vw,VVwに固定支持され、他方の取付軸はそれぞれに回転体J,回転体JJに設けられる連結軸PPj,Pvjj,に可動支持される。
【0053】
図1(a)はドアDを開くとき、図1(c)はドアDが閉まるときの動作説明図で、それぞれのリンクは図中矢印方向に回転または移動する。図1(b)はドアDを開く途中の状態図である。
連結軸PjjはリンクAAの長穴Haa内に収容され、図1(a)に示すドアDを開くときは長穴Haa内の片方の端部の加速端Haa1に当接し、「ドアDと連動する回転体J」の図中矢印方向の回転によって回転し、ピストンPSが移動して内臓バネVsを伸縮させる。
【0054】
図1(c)に示すようにドアが閉まり始める当初は、ドアDと回転体Jは「一瞬にして復元する引きバネV(以後、ドアを付勢してドアを回転させるバネを付勢バネという。)」によって高速で回転し、回転体JJは「減速器DCによってゆっくりと復元する内蔵バネVsによって低速で回転する。
連結軸Pjjは加速端Haa1から離れて、減速器DCがドアDを図中矢印方向に回転させる力は伝達しない。
【0055】
「固定部Wに設けられる摺動面Kw」に沿って移動する車輪Bは、「片方の端部が支軸Pvjjに連結されるリンクAb」の他方の端部に設けられる車輪支軸Ibに装着される。
図1(b)に示すように、車輪BはドアDを開く途中では回転体Jに設けられる摺動面Kjと離反するが、「回転体JJに牽引されゆっくりと移動する車輪B」は、図1(c)に示すように、ドアDが閉まる途中から摺動面Kjと接触して、摺動面Kwと摺動面Kjとに沿って移動する。
【0056】
1つの車輪Bが摺動面Kwと摺動面Kjとに同時に沿って移動すると、摺動面Kjに沿って移動する車輪Bの回転方向と摺動面Kwに沿って移動する車輪Bの回転方向とは互いに逆方向で、車輪Bは回転せずに移動する。図1(d)に示すように、車輪支軸Pbに3つの車輪が装着され、2つは摺動面Kwだけに沿って移動し、残りの1つは摺動面Kjだけに沿って移動する。
【0057】
摺動面Kjは回転軸Jwからの距離が漸次増加する渦線状の形状で、摺動面Kwの形状も閉止時の車輪Bの進行方向に摺動面Kwと摺動面Kjとの間の距離が広がる渦線状である。
車輪Bが回転体Jの回転を阻止しながらゆっくりと後退して、回転体JとドアDがゆっくりと回転する。(特許文献2参照)
【0058】
内蔵バネVsはピストンPSと車輪Bとを移動させる力が必要になる。車輪Bは摺動面Kjと摺動面Kwとに押圧されて移動する。「摺動面Kjに押圧される力Fjの作用線」は「車輪Bと摺動面Kjとの接点bj」と車輪支軸Pbを通り、「摺動面Kwに押圧される力Fwの作用線」は車輪Bと摺動面Kwとの接点bw」と車輪支軸Pbを通る。2つの作用線が略重なり、接点bjと車輪支軸Pbと接点bwとが略一直線上に配するとき、またリンクAbと摺動面Kwとが略平行のとき、車輪Bは2つの押圧力を大きく支持し、小さな内蔵バネVsの力で移動できる(特許文献5図5(b)参照)。また、力Fjの作用線と回転軸Jwとの間の距離が大きいほど、摺動面Kjが車輪Bを押圧する力は小さい。
【0059】
図1に減速器DCを断面図で示す。シリンダSLは片方の端部に「空気を大気中に排出する排出口Hs」を、他方の端部に「ロッドApを挿通する挿通口Hap」を備え、シリンダSL内部は室SL1と室2に区分され、ピストンPが室SL1内にあるときピストンPと「ピストンPが摺動するシリンダSL内壁」との間から空気の出入りが遮断される。室SL2内にあるとき空気の出入りが自由になる。
【0060】
ドアDが閉まり始めてしばらくの間はピストンPSは室SL1にあって、シリンダSL内部の気圧が上昇し、出口抵抗が大きくなってドアDを減速する。ドアDが全閉する直前になってピストンPSが室SL2に収容されると、シリンダSL内部の気圧と出口抵抗がなくなり、内蔵バネVsは抵抗がない状態で回転体JJを高速で回転させる。
減速器DSは、車輪Bが摺動面Kに沿って移動し抵抗が作用する減速範囲と、抵抗が取り除かれる抵抗消失範囲とを備える。(特許文献2参照)
【0061】
車輪Bが摺動面Kjを離れて、連結軸Pjjが再び加速端Haa1に当接して、回転体JJの回転が回転体Jとドアにも伝わる。ドアDは引きバネVだけでなく内蔵バネVsの力が追加されて全閉する。
内臓バネVsの強度は大きく、ドアDのラッチを凹ませてドアDを全閉する力を十分に備えているが、小さい力でドアDを開き伸縮させた内臓バネVsは復元して小さい力でドアを回転させる。
【0062】
ドアDを開くとき、「回転軸Jwと支軸PPjとの間の距離」が短く、「回転軸JJwと支軸Pjjとの間の距離」が長いほど、また「回転軸JJwと支軸PPjjとの間の距離」が短いほど、「小さなドアDを開く力」で内蔵バネVsを伸縮させることができる。このようにテコの原理によって、内蔵バネVsを小さな力で伸縮することができ、大きすぎる内蔵バネVsの力は引きバネVVを追加することによっても減じることができる。
【0063】
ドアDに市販のドアクローザDCを取付けるとき、「枢軸Oと支軸Pdとの間の距離」を短くして、「回転軸Jwと支軸Pjとの間の距離」を長くした場合、ドアDを開く力は極端に小さなり小さな力で内蔵バネVsを伸縮させることになる。内蔵バネVsの力が強い市販のドアクローザでも、小さな力で内蔵バネVsを伸縮させることができる。
「ドアDを減速しながらゆっくりと動き続けて止まることがない市販のドアクローザ」はこの小さな力でドアDを回転させることができない。
【0064】
市販のドアクローザはドアDと減速器DCとを同時に回転させる力が必要で、一旦ドアDが止まってしまうと、ピストンPSも止まり、流体の流れも止まってしまう。ドアDだけを回転させるバネと別個にピストンPSだけを動かすバネが用意される場合。少なくとも、ドアDが止まってしまうことはない。ドアDだけを回転させるバネの力を最も小さくすることができる。ドアDと減速器DCとを同時に回転させる力」を「ドアDだけを回転させる最も弱いバネの力」と「ピストンPSだけを動かす最も弱いバネの力」の和以下にすることはできない。
【0065】
押しバネUは片方の端部は固定部Wに設けられる支軸Uwに固定支持され、他方の自由端は全閉時にのみ回転体JJに当接して、大きすぎる内蔵バネVsの力を減じるものである。押しバネUをも縮めてドアDを全閉するが、ドアを開く力は押しバネUの復元力が開く方向に作用して余分に大きくならない。
【0066】
図1に示すリンク装置は、ドアDと「後退する当たりである車輪B」が別々のバネ(V,Vs)に付勢され、止まってしまうことなく運動し、引きバネVの力を「ドアDだけを回転させる最も小さい力」に調節し、内蔵バネVsの力を「車輪B だけをゆっくりと移動させる最も小さい力」に調節すれば、最も小さい力でドアDをゆっくりと回転させることになる。
このようにして、ドアを開くときにドアが重たく感じられる欠点を解消する。
【0067】
図2の減速装置は、付勢バネVに付勢されて高速に回転する回転体Jと、「抵抗に打ち勝って移動するピストンPSとピストンPSを付勢する内蔵バネVsとを備える減速器DC」によって低速に回転する回転体JJとを備え、回転体Jと回転体JJは2つのリンクAとリンクAAによって連結される。回転体JJに設けられる連結軸PjjとPPjjはそれぞれリンクAに設けられる長穴HaとリンクAAに設けられる長穴Haaに収容され、連結軸Pjjはドアを開くとき長穴Haの片方の端部Ha1に当接して付勢バネVと内蔵バネVsとを伸縮させる。連結軸PPjjはドアが閉まるとき長穴Haaの片方の端部Haa1に当接する。回転体JJが回転体Jと連動するドアDとを減速する装置であって、内蔵バネVsが復元して暫くしてドアDを減速し、ドアが停止後に自動的に解除される減速装置である。
【0068】
図1においての「車輪Bと摺動面KwによってドアDの減速に携わる滑り対偶の連結部」は、図2において回り対偶の連結部に置き換えられる。一般に連結部の摩擦抵抗は回り対偶の連結部のほうが滑り対偶の連結部より小さい。
図2において、図1においてのドアDとリンクAの図示は省略する。図2においての回転体Jは図示しないドアDと連動し、図2においてのドアDとリンクAと回転体と固定部Wとからなるリンク装置は例えば本願図5に記載するリンク装置であって、「全開範囲でドアが大きく運動して回転体Jが小さく運動し、全閉範囲でドアが小さく運動し回転体Jが大きく運動するリンク装置(特許文献1参照)」とする。これによって、小さな内蔵バネVsの力で「慣性力で大きく加速したドアD」に大きく抵抗する。
【0069】
固定部WはドアD或いはドア枠あるいはドア枠周辺の壁面とするが、図1のように、ドアクローザがドア枠に取り付く場合は、固定部Wはドア枠である。ドアクローザがドアDに取り付く場合もあって、図2のように以後のドアクローザの動作説明図において、ドアクローザがドアDに取り付く場合に、固定部Wはドア面或いはドアクローザの容器であって、図2においての「ドアDとリンクAと回転体と固定部Wとからなるリンク装置」の固定部Wはドア枠あるいはドア枠周辺の壁面ということになって、固定部Wの定義が2つになる。
図2のように以後のドアクローザの動作説明図においては、ドアクローザがドア枠に取り付く場合も、ドアDに取り付く場合も、どちらでも、固定部Wはドア或いはドア枠に取り付けられるドアクローザの容器であるとする。
【0070】
図2において、回転体Jは固定部Wに設けられる回転軸Jwの周りに、回転体JJは「,固定部Wに取り付けられる減速器DCJの回転軸JJw,」の周りに回転自在に軸支される。
回転体Jは引きバネVに付勢され、回転体Jと図示しないドアDとは高速に回転しようとするが、回転体JJは減速器DCに付勢され低速回転する(特許文献5参照)。
【0071】
回転体Jと回転体JJとは2つのリンクAとリンクAAによって連結され、リンクAとリンクAAの片方の連結軸は回転体Jに設けられる連結軸Pjで、他方の連結軸はそれぞれ回転体JJに設けられる連結軸PjjとPPjjである。連結軸Pjj,とPPjjのそれぞれはリンクAに設けられる長穴HaとリンクAに設けられる長穴Haaに収容される。
【0072】
引きバネVの片方の取付軸は固定部Wに設けられる支軸Vwに固定支持され、他方の取付軸は回転体Jに設けられる連結軸Pjに可動支持される。図2に図示する減速器DCは、図示しない油圧シリンダSLと図示しないピストンPSと図示しない内蔵バネVsとを備え、回転体JJを付勢する。図1と同様に減速範囲と、抵抗消失範囲とを備え、抵抗消失範囲でドアD を減速する装置からドアDを全閉する装置に切替わる(特許文献2参照)。
【0073】
図2(a)はドアDを略全開するまで開いたときの状態図で、連結軸Pjjは長穴Haの片方の端部Ha1に当接して回転体Jの回転によって回転体JJが回転し、減速器DCの内蔵バネVsが伸縮する。連結軸PPjjは長穴Haaの片方の端部Haa1に当接しない。
【0074】
図2(b)は 開いた位置から手を放して、引きバネVと図示しない内蔵バネVsが復元したときの状態図で、回転体Jが回転体JJより速く回転し、連結軸Pjjが長穴Haの他方の端部Ha2に当接して回転体JJが回転体Jの回転を減速する。
図示しないドアDは全開範囲にあって、ドアDが大きく回転して回転体Jは小さく回転する。リンクAの軸芯線Za(以後、リンクの両端の2つの連結軸を通る直線を軸芯線Zという。)と回転体JJの軸芯線とZjj1との交差角度Θ1は大きく、ドアDが閉まり始めるときの回転体JJの減速は強くない。
【0075】
図2(c)はドアD が全閉する直前の状態図で、連結軸Pjjが長穴Haの他方の端部Ha2から離れて、連結軸PPjjが長穴Haaの端部Haa1に当接する。図示しないドアDは全閉範囲にあって、ドアDの小さな回転に対して回転体Jは大きく回転する。
リンクAAの軸芯線とZaaと回転体JJの軸芯線とZjj2との交差角度Θ2は小さく、回転体JJが回転体Jを強く減速する(特許文献5図5(c)参照)。
【0076】
ドアDが急激に大きく減速するとドアDは何かに衝突したときのような衝撃を受ける。図2(c)に示すリンクAAによる減速より以前の図2(b)に示す緩慢なリンクAによる減速が急激な減速による衝撃を緩和している。
【0077】
図2(d)はドアD が全閉するときの状態図で、連結軸PPjjが長穴Haaの端部Haa1から離れて、連結軸Pjjが長穴Haの端部Ha1に当接する。ドアDは内蔵バネVsの力も加わって全閉する。この効果は後述するように非常に小さい。
【0078】
内蔵バネVsはドアDを全閉するに十分すぎる力があっても、「回転軸Jwと連結軸Pjとの間の距離」を短く、「回転軸JJwと連結軸Pjjとの間の距離」を長くすると、ドアDを開いて内蔵バネVsを伸縮させる力を小さくすることができる。
それでも大きすぎる場合、図1に記載する引きバネVVを図2の減速器DSに採用してさらに小さくすることができる。図1に記載する押しバネUを図2の減速器DSに採用して内蔵バネVsの力を小さくしても、ドアを開くときの力は大きくならない。
【0079】
「回転軸Jwと連結軸Pjとの間の距離」を短く、「回転軸JJwと連結軸Pjjとの間の距離」を長くして内蔵バネVsを伸縮させる力を小さくすると、減速器DCだけでドアD が全閉する力はないどころか、ドアを回転させる力もない。
このことは図2のドアクローザにおいては「ドアを回転させる付勢バネの力の大きさに比べて、ドアDを減速する内蔵バネVsの大きさは無視できるほど小さい。」ということを物語っている。
【0080】
図2(c)においてドアDが全閉するとき、付勢バネVの復元力は最小であって、内蔵バネVsが本来強力なバネであっても、全閉に関与しない。図3の実施例は内蔵バネVsが全閉に関与するようにするものである。
特許文献5は減速装置が強力である必要がないことが特徴であるが、「特許文献5の減速装置を採用した図1図2の実施例」は強力な市販のドアクローザを使用し、ドアDを開くとき「、強力な内蔵バネVsを伸縮させる力」をテコの原理での力を小さくして、力が弱い減速装置を使用したのと同じようにしている。
強力な内蔵バネVsをテコの原理でドアDを開くときの力を小さくして伸縮させると、ドアDを弱く減速する。図3の実施例は全閉時に減速時とは別のリンク装置が動作して、内蔵バネVsの本来の力を発揮させている。
【0081】
図3は、図2のドアクローザの回転体JJに接続軸Cjjを設けて、接続軸CjjがリンクAAに設けられる長穴Hc内を揺動するようにした実施例を示す。
接続軸Cjjは図3(d)において連結軸PPjjが長穴Haの端部Haa1から離れた以後にだけ長穴Hcの片方の端部Ha1に当接して回転体JJが回転体Jの回転を加速する。他方の端部Ha2には当接しない。
このようにして減速装置はドアDを減速した後に、減速せずに全閉する
【0082】
結軸Pjと回転軸JJwと接続軸Cjjとが略一直線上に配せられるとき、回転体JJが回転体Jを強く回転させる。また、「回転軸Jwと支軸Pjとの間の距離」に対して、「回転軸JJwと接続軸Cjjとの間の距離」が短いほど回転体JJが回転体Jを強く回転させる。
このように内蔵バネVsが本来の力を発揮することで、全閉範囲では内蔵バネVsだけでも全閉することが可能である。
【0083】
図1~3のドアクローザは減速器DCと回り対偶で連結するリンク装置で、図4のドアクローザは滑り対偶で連結するリンク装置である。図4(a)はドアを開いて全開範囲の状態図で、図4(b)はドアが閉まって全閉範囲の状態である。図中矢印方向は回転軸Jw周りの回転体Jの回転方向とピストンPSの移動方向を示す。
【0084】
回転体J,JJ,AAはそれぞれ固定部Wに設けられる回転軸Jw,JJw,AAwの周りに回転自在に軸支される。
回転体Jと図示しないドアDは連結され、固定部Wはドア或いはドアに取り付けられるドアクローザの容器であって、図4はドアクローザの動作説明図である。
【0085】
リンクAJ,Aは回転体J,JJに設けられる支軸Pj,Pjjの周りに回転自在に軸支される。リンクAJJは回転体JJに設けられる支軸IjjとリンクAAに設けられる支軸Iaaとを連結する。
付勢バネVは図4(a)において伸縮し、図4(b)において復元して、回転体Jを図中矢印方向に付勢する。付勢バネVは片方の取付軸をリンクAJの先端部に可動支持し、他方の取付軸を固定部Wに固定支持する。
リンクAJは当たりGj1とGj2との間を揺動し、付勢バネVが支軸Pj横切る時を境にして、全開範囲で当たりGj1に当接したまま回転体Jを小さな力で付勢し、全閉範囲で当たりGj2に当接して回転体Jを大きな力で付勢する。(特許文献1図8参照)
【0086】
回転体Jに回転軸Jwから半径方向に遠ざかる長穴Hjが設けられ、長穴Hjに摺動面Kとそれに対面して摺動面KKとが設けられる。
図4(a)に示すように、ドアDを開くとき回転体Jが図中矢印方向に回転し、「回転体JJに設けられる支軸Pbに装着される車輪B」は、摺動面KKに沿って回転軸Jwに近づく方向に移動し、回転体JJが回転軸JJwの周りを図中矢印方向に回転し、ピストンPSを引き上げる。図4(b)に示すよう、にドアDが閉まるとき、回転体Jが図中矢印方向に回転し、車輪Bは摺動面Kに沿って回転軸Jwから遠ざかる方向に移動し、ピストンPSを押し下げる。
【0087】
ピストンPSに設けられる連結軸PPはリンクAに設けられる長穴Ha内に収容され、図4(a)に示すように連結軸PPが長穴Haの片方の端部Ha1と当接したままピストンPSを引き上げる。
図4(b)に示すように連結軸Ijjは回転体JJの回転軸JJwから遠い位置に設けられ、弱い力で回転体AAを回転させ、回転体AAの先端部に近い部分が連結部PPを押圧してピストンPSを押し下げる。回転体AAの先端部に近い部分は図4(a)において連結部PPから離れて、連結軸PPと接触するのはドアDが閉まるときの全閉範囲に限られる。
【0088】
摺動面Kの形状は回転軸Jwから半径方向に、また回転軸JJwから円周方向に遠ざかる渦線で(特許文献1図1参照)、ドアDが閉まるとき図4(a)に示すように全開範囲で、車輪Bは摺動面K上の回転軸Jwの近傍に停留し、図4(b)に示すように全閉範囲で突如として回転軸Jwの近傍から離れる。
ドアが閉まるときの全開範囲で回転体J(ドアD)が大きく回転しても車輪Bが回転軸Jw近傍で動かず回転体JJの回転は小さい。全閉範囲では回転体J(ドアD)が僅かに回転する間に、車輪Bが大きく移動して回転軸Jwから遠くに離れ、回転体JJは大きく回転する。
【0089】
車輪Bが回転軸Jwから遠くに離れ、摺動面Kが車輪Bを押圧する力の作用線Fk(すなわち車輪Bと摺動面Kとの接点bkと支軸Pbとを通る直線)は全閉範囲に至るに従い回転軸JJwとの間の距離を小さくして、図示しないドアDの大きな慣性力によって、回転体Jが回転体JJに強く作用しても、回転体JJは回され難い。
ドアDがピストンPSを押し下げる力が弱くなり、「ピストンPSの移動に伴う抵抗」が小さくてもドアDに大きく抵抗する。
【0090】
摺動面Kの形状はドアDの大きな慣性力によっても、回転体Jは回され難い。ドアを開くときにも同じことが言えて、ドアを大きな力によって開いても回転体Jは回され難い。ドアを開くときに付勢バネVはドアを大きな力によっても伸縮し難い。
図4(a)に示すように、ドアを開くときに車輪Bは摺動面Kに対面する摺動面KKに沿って移動する。
【0091】
摺動面KKの形状は回転軸Jwから円周方向に、また回転軸JJwから半径方向に近づく渦線で、全閉したドアDを開くとき、車輪Bは摺動面Kから摺動面KKに移動し、摺動面Kが車輪Bを押圧する状態から摺動面KKが車輪Bを押圧する状態に切り替わる。
摺動面KKの形状は摺動面Kの形状と異なり、回転軸Jwから半径方向の傾斜ではなく円周方向に傾く、摺動面KKのどの部分についても回転体JJの回転を等量にし、押圧力の作用線Fkkは回転軸Jwwとの間の距離を大きくして略一定に保たれる。
【0092】
摺動面KKが車輪Bを押圧する力の作用線Fkkは回転軸JJwとの間の距離が大きく、回転体Jの力が小さくても回転体JJは回される。回転体JJは小さな力で初期状態に復帰する。
ドアDを開くときピストンPSは上昇するが、全閉範囲に限らず、全開範囲を含めて全体にわたって上昇する。ドアを開き始めるときだけ特に大きな力を必要としない。
【0093】
テコの原理に従えば、ドアを開くとき、ドアDの大きな回転によって内蔵バネVsを小さく伸縮させると、強い内蔵バネVsを小さな力で伸縮させることができる。しかし、ドアが閉まるとき、内蔵バネVsを小さく復元してドアDを大きく回転させる。内蔵バネVsが強くてもドアを閉める力は弱く伝わる。
ドアを開くときと閉まるときにリンク装置の運動方向が替わるだけでは、軽く開くドアは軽く閉まり、ドアクローザがドアを減速する力は弱い。
【0094】
特許文献1の回転機構もテコの原理と同じで、強い力が働く作用点は小さく動き、弱い力は大きく動いて強い力と釣り合う。特許文献1の回転機構に従う特許文献5のドアクローザはドアが軽く開き、ドアクローザがドアを減速する力が弱くても、強くドアを減速するドアクローザである。
【0095】
図1~4のドアクローザはいずれも特許文献1の回転機構に従って動作し、内蔵バネVsが強すぎる市販のドアクローザを使用しても、全閉したドアDを開くときドアDが軽く感じるようにするものであるが、ドアDが開くときに働くリンクAと閉まるときに働くリンクAAとを備え、開くときと閉まるときでは別々のリンク装置が異なる運動をするようにして、閉まるときは本来の大きな力を発揮して、ドアを強く減速し、強く全閉する。「開くときと別の閉まるときのリンク装置」はテコの原理に従い、ドアクローザを大きく動かし、ドアDを小さく動くようにして、本来の大きな力をさらに強くドアDに伝える。
【0096】
図1~4のドアクローザは、ドアDが閉まるとき、ドアDが全開範囲で内蔵バネVsの復元は僅かで、全閉範囲に至って抵抗し始めるとき、内蔵バネVsは殆ど伸縮したままの状態である。
全開して大きく動作したドアDは内蔵バネVsを小さく伸縮させる。伸縮した内蔵バネVsの殆どはドアDが全閉範囲で復元し、減速は全閉範囲だけに限られる。
【0097】
図1~4のドアクローザは全閉範囲で、「回転軸JJwと連結軸PPjjとの間の距離」が長く、リンクAAの軸芯線Zaaと回転体JJの軸芯線Zjj2との交差角度を全閉範囲の大きな回転中に小さく保たれる。
内蔵バネVsの小さな伸縮量でもドアクローザが大きく動作して、ドアDの大きな衝撃を緩和する。内蔵バネVsを大きく伸縮する必要がないだけでも、ドアDを開く力は小さくなる。
【0098】
図5特許文献1に記載するリンク装置の動作説明図で、図1図4のそれぞれに記載する回転体Jは図5に記載する回転体Jと同じである。図2図4の減速器DCと後述の減速器を回転体Jに取り付けることによって、回転体Jはゆっくりと回転し、ドアDは減速しながら全閉する。
回転体Jは図示しない付勢手段Vによって付勢され、回転軸Jwの周りに回転自在に軸支され、「ドア枠(固定部W)に設けられる支軸Wwの周りに回転自在に軸支されるリンクA」と連結軸Pで連結される。
【0099】
図中矢印方向はドアDが閉まるときの各リンクの回転方向を示し、図5(a)において、回転体Jは回転軸Jwの周りに図中矢印方向に図示しない付勢バネVによって付勢され、ドアDが閉まる方向に枢軸Oの周りを図中矢印方向に公転する。D1は全閉して戸当たりG1に当接したドアDを示し、D4は全開して戸当たりG4に当接したドアDを示す。またJw1、Jw2、Jw4はそれぞれ全開時、全閉直前、全閉時の回転軸Jwの位置を示す。
【0100】
図5(b)はドアDから見て固定部W(ドア枠)が枢軸Oの周りを公転する動作説明図で、転体Jは回転軸Jwの周りに図中矢印方向に回転し、支軸Wwは枢軸Oの周りを図中矢印方向に公転する。
Ww1、Ww2、Ww3、Ww4、のそれぞれは全閉時、全閉寸前、全開時の支軸Wwの位置を示す。
【0101】
回転軸JwがJw3の位置にあるとき、リンクA3の軸芯線ZA3が枢軸Oを通る。軸芯線ZA3はドアを回転させる力の作用線Za3であって、枢軸Oを通るときドアDを回転させない。
この時を境にして「ドアクローザDCがドアDを付勢する方向」が逆転し、回転軸JwがJw3の位置を通り過ぎて戸当たりG4に近づくときドアDは開く方向に回転し、戸当たりG1に近づくとき閉まる方向に回転する。
【0102】
図5(a)、図5(b)に示すように、回転体Jは全閉範囲で大きく回転し、回転体Jの回転殆どが全閉範囲に集中する。ドアD全開まで開いて蓄えられた図示しない付勢バネVの復元力」の略全部がドアDを全閉範囲だけで回転させるためのものになる。図5に記載されるドアクローザDCは図1図4の何れかに記載するドアクローザであって、「ドアクローザDCを付勢する図示しない減速バネ」の復元も全閉範囲に限られる。「ドアDが全開まで開いて蓄えられる図示しない減速バネの復元力」も略全部がドアDを全閉範囲だけで回転させるためのものになる。
【0103】
図5のようなリンク装置は、ドアDが全閉範囲で僅かに回転する間に大きな慣性力をドアクローザDCに作用させるが、ドアクローザDCは大きな慣性力を支持しながらでも小さな力で大きく回転する。しかしドアクローザDCを取付けないときで、回転体Jの回転に全く抵抗を負荷しないとき、回転体Jの大きな回転は一瞬にして終了し、ドアDは全く減速されない。
【0104】
アクローザDCは小さな力で大きく回転できても、ある程小さな力が作用して回されるようではいけない。
「内蔵バネVsが抵抗によってゆっくりと伸縮するようにしたドアクローザDC」はドアDを減速するためにある程度の大きさの力が必要である。ドアDを開くときに「ドアを回転させるための力」に加えて、ある程度の大きさの「ドアを減速するための力」が余分に必要となる。
【0105】
図6図7図8のドアクローザはドアDの運動エネルギを減速バネの歪エネルギに変換するドアクローザであって、ドア慣性力が減速バネUを伸縮させるもので、減速バネUはドア慣性力が大きければ大きくし伸縮し、小さければ小さく伸縮してドアを必要に応じて減速する。減速バネUが加速したドアを受け止めて伸縮すると、ドアは次第に速度を落として停止する。
摩擦抵抗を減速手段に採用するドアクローザでは、ドアを閉めるには摩擦抵抗に打ち勝ってドアをも閉める力が必要であるが、図6図7図8のドアクローザは、ドアが閉まるときドア慣性力が減速バネUを伸縮させるので、「ドアDを開くときに必要な力」に「ドアDを減速するために使われる力」は含まれない。
【0106】
ドアが停止した後に減速バネUが復元すれば、ドアは開く方向に回転する。図6図7図8のドアクローザはドアが停止した後に減速バネUの復元を阻止して、ドアが開く方向に回転しないようにするが、減速バネUは伸縮したまま待機し、減速バネUを更に伸縮しない限り、ドアが閉まる方向に動き出せない。
図6図7、のドアクローザは、減速後に減速バネUの復元力がドアに作用しないように減速バネUとドアとの間の力の伝達を切断するものである。
【0107】
図6図7のドアクローザは、減速バネUの復元力によって停止したドアを開く方向に回転させて、減速バネUとドアとの間の力の伝達を切断する。
空気抵抗などのその他の抵抗を受けながら、減速バネUが伸縮しきって止まったときに減速バネUの復元力にドアの最大静止摩擦力以上の力が蓄えられなければ、停止したドアを開く方向に回転させることはできない。減速バネUとドアとの間の力の伝達を切断することはできない。
【0108】
減速バネUにドアの最大静止摩擦力以上の復元力が初めから蓄えられていて、減速バネUが伸縮した状態で待機していて、減速に伴ってさらに伸縮するようにすると、ドアが空気抵抗などのその他の抵抗を受けながら減速し、減速バネUが伸縮しきって止まったままになる場合でも、減速バネUの復元力にドアの最大静止摩擦力以上の力が蓄えられていて、減速装置は確実に解除される。
【0109】
このように、減速バネUに予め最大静止摩擦力以上の力を蓄えて待機するドアクローザは、減速バネUがさらに伸縮せずに復元する場合に、ドアDが衝突時の衝撃と同じ衝撃を受けることになる。
図8のドアクローザは、「減速バネUの復元力に停止したドアを開く方向に回転させる力がなく、減速バネUとドアとの間の力の伝達を切断することはできない。」という問題を解決するもので、ドアが停止した後に、減速バネUとドアとの間の力の伝達を切断せずに、「ドアを全閉するバネ」の力で減速バネUさらに伸縮させながらドアを全閉させるものである。
【0110】
図6において枢軸Oの周りに回転体J、JJ、ドアD、リンクAが回転自在に軸支され、図中矢印方向はドアDが閉まる方向を示す。
回転体Jは付勢バネVに付勢され、ドアDは回転体JとドアDに設けられる当接体Gdjとが当接して相対的に一体となって回転する。
図6(a)は回転体Jが固定部Wに設けられる当たりGjwに当接するまでの状態図で、図6(b)は当接したときの状態図である。ドアDは回転体Jを介して付勢バネVに付勢されるが、回転体Jが当たりGjwに当接した以後は付勢されない。
【0111】
図6(a)において、回転体JJは減速バネUに図中矢印と反対方向に付勢され、回転体JJに設けられる当接部Gjjが車輪BBに当接して静止している。車輪BBはリンクAGに装着され、リンクAGは「固定部Wに設けられる支軸Sag」の周りに回転自在に軸支され、「固定部Wに設けられる当たりGag」に当接して静止している。
引きバネVAは片方の取付軸を「固定部Wに設けられる支軸Sva」に固定支持され、他方の取付軸を「リンクAに設けられる支軸Pva」に可動支軸される。図6(a)においてリンクAは支軸Svaと支軸Pvaと枢軸Oとが一直線上に配せられる状態で静止している。
リンクAAは車輪Bを装着し、「リンクAに設けられる支軸Pa」の周りに回転自在に軸支される。「バネUaに付勢されるラチェット爪R」は「固定部Wに設けられる支軸Sr」の周りに回転自在に軸支され、バネUrに付勢されて、図6(a)において「リンクAAに設けられる爪Ga」と噛み合って静止している。
【0112】
図6(b)において回転体Jが当たりGjwに当接したときは、回転体Jに設けられる接触部Gjが回転体AGに設けられる摺動面Kagに沿って移動し、車輪BBが当接部Gjjから離れて回転体JJは図中矢印と反対方向に回転する。同時に当接体Gdjは固定部に設けられる当たりGdwに当接して回転し回転体Jから離れる。
ドアDが回転体Jから離れて付勢バネVの力の伝達を切断し、また当接体Gdjが回転してドアDと回転体Jとの間を大きく引き離す。
【0113】
図6(c)は回転体JJの当接体GjjaがリンクAに当接し、車輪BがドアDに当接してドアDとリンクAとリンクAAと回転体JJとが相対的に一体となる状態を示す。
車輪BがドアDを押圧する力の作用線Fbは回転体AAを図中矢印方向に回転させようとし、回転体AAはラチェット歯Rに回転を阻止されて静止している。
【0114】
ドアDが回り続けようとする力(以後ドア慣性力と言う。)が減速バネUの押圧力より強ければ、爪Gaは図中矢印方向にラチェット歯Rの上を滑って移動し、リンクAAは自転せずに枢軸Oの周りを公転する。
リンクAは図中矢印方向に回転し減速バネUが伸縮してドアDが減速される。ドアDの運動エネルギを減速バネUの歪エネルギに変換され、爪Gaは歯Rと噛み合って静止するところでは、ドア慣性力がゼロになって減速バネUの復元力は最大になっている。
【0115】
図6(c)はドア慣性力が小さいとき、ドアDが図中矢印方向に僅かに回転した状態を示す。図6(e)はドア慣性力が大きく、回転体JJとリンクA とリンクAAとドアDとが相対的に一体となって大きく図中矢印方向に回転し、減速バネUが大きく伸縮してドアが大きく減速した状態を示す。
減速バネUが復元すると、図6(d)に示すように、爪Gaは図中矢印と反対方向に移動し、ラチェット歯Rと噛み合って回転体AAを図中矢印方向に回転させる。車輪BがドアDから離れて減速バネUの復元力はドアDに伝達されない。
【0116】
ここで、ドア慣性力がないときを考える。
図6(b)において回転体Jが当たりGjwに当接したときにドアが止まってしまって、回転体JJが全く回転せずに図中矢印と反対方向に戻されて、回転体JJとリンクA とが相対的に一体になって、爪Gaが図中矢印方向にラチェット歯Rの上を滑って移動することはない。ラチェット歯Rと噛み合って回転体AAが図中矢印方向に回転するとき、車輪BとドアDとが離れた状態であるなら、ドアDが車輪Bによって戻されずに、減速手段は解除される。
【0117】
車輪BとドアDとの間のスペースが十分あって、車輪BがドアDに当接する以前に、車輪BBによって回転体JJが回転し始めるようにすると、リンクAAが回転して車輪Bが退避する。ドア慣性力がないときドアDは車輪Bに衝突することなく、また最大静止摩擦力以上の減速バネUの復元力を受けることもなく、図6(f)に示す全閉バネによって全閉する。
図6のドアDが図2に示した図示しないドアDと連動する回転体Jであって、全閉範囲で図示しないドアDが小さく回転する間に大きく回転するなら、車輪BとドアDとの間を大きく引き離すことが可能である。
【0118】
図6(c)に示すように、回転体JJとリンクA とリンクAAとドアDとが相対的に一体になって、ドアDと回転体Jとの間が狭ければ、或いはドアDと回転体Jとが当接状態であればリンクAAの回転途中で車輪Bが退避することなく、ドアDが回転体Jに当接して付勢バネVを伸縮させる。
回転体JJとリンクA とリンクAAとドアDとが相対的に一体になって、当接体Gdjが回転しなければ、ドアDと回転体Jが図中矢印と反対方向に移動して付勢バネVを伸縮させる。
【0119】
付勢バネVを伸縮させながら減速手段の解除が完了すれば、ドアDと車輪Bの衝突の衝撃を緩和するが、リンクAAの回転途中で止まってしまう場合は減速手段の解除が完了しない。
当接体Gdjが回転して回転体Jから離れて、ドアDが回転体Jに当接せずにリンクAAの回転するスペースができる。付勢バネVを伸縮させない。
ドアDと回転体Jとの間を大きく引き離すことによって、ドアDが回転体Jに当接して付勢バネVを伸縮するまでにリンクAAが回転して、減速手段の解除が完了する。
【0120】
図6(f)は減速バネUの大きな復元力でリンクAAが回転し、減速バネUによる減速が解除された状態図である。
図6(f)に示しその他に図示しない回転体JZ」は「図6(f)に示しその他に図示しない全閉手段VV」に付勢されて枢軸Oの周りに回転自在に軸支される。
回転体JZは「回転体AAの回転と連動して、回転体JZを始動させる図示しない装置」によって動き始め、ドアDは回転体JZと相対的に一体となって減速バネUの抵抗を受けずに図中矢印方向に回転し、全閉する。
【0121】
図6のドアクローザは「ドアを回し続ける装置」に加えて、「減速装置とそれを解除する解除装置」とを備え、減速装置の始動は解除装置の始動に後れる。しかも、「ドアが閉まるときにドアのみならず減速装置までを動かす力」を予めドアを開くときに蓄える必要がない。「ドアを回し続けるための力」を蓄えるだけでよい。
しかし、ドアDが減速されて停止した後、減速バネUにドアDを押し戻す力がなければ、図6(d)に示すように、回転体AAを回転させて減速装置を解除することができない。
【0122】
そのため、減速バネUに予め「止まったドアD」を動かせる「ドアDの最大静止摩擦力以上の復元力」を蓄えて、ドアDが減速されて静止したとき、ドアDを押し戻すようにする。
ドアDを押し戻すとき、ドアDが付勢バネVに付勢されたままであれば、減速バネUに「ドアDの最大静止摩擦力の2倍以上の復元力」を蓄えておかねばならない。そのため、ドアDの減速時には、ドアDが付勢バネVに付勢されない状態を保っている。
【0123】
減速バネUが十分に伸縮して減速装置を解除する場合は、ドアDはゆっくりと減速して全閉するが、減速バネUが十分に伸縮せずに減速装置が解除される場合は、減速されて速度がゼロになる前に、減速バネUの復元力が作用し、ドア慣性力が減速バネUの押圧力と釣り合ってドアDは急激に静止する。ドアDは減速されずに押し返される。
【0124】
減速バネUに予めプレストレスされない特許文献3のドアクローザは、ドアが止まった時に復元力が最大静止摩擦力以下になるときがあって、ドアは止まったままになる欠陥があった。図6のドアクローザはこの欠陥を除去するものであるが、突然回転方向が逆転し、強い衝撃を受ける欠点がある。
回転方向が逆転する位置では速度がゼロになり、運動途中で逆戻りするようにするドアクローザはドアDを停止するまで減速したことになるが、瞬間的に回転方向が逆転するのは衝突の衝撃と同じである。
【0125】
図6において回転体JJとドアDがリンクAとリンクAAを介して互いに押し合うとき、ドア慣性力は時間経過とともに消失しいずれゼロになる。
どんなにドア慣性力が強くても付勢バネの力が作用せず減速バネUが伸縮するだけならば、必ず減速バネUの力がドア慣性力を上回る。減速バネUが初めに最大静止摩擦力以上の復元力をもって待機すれば、減速すれば伸縮して減速バネUの復元力はそれ以上になる。ドアは押し戻され、リンクAAは回転して、減速装置は解除される。
【0126】
閉まるドアDを開く方向に押し戻すには、方向を逆転する前に停止するドアDを動かすのであるから、停止するドアDを最大静止摩擦力以上の力をもって押し戻さなければならない。
図7においてのように、「最大静止摩擦力以上の力に付勢されて閉まるドアD」を押し戻すには、減速バネUの復元力が少なくとも最大静止摩擦力の2倍以上でなければ停止するドアDを動かすことはできない。
減速の途中にリンクAが回転してドアを押し戻すときでも、付勢バネVの力が作用したままであるとき、ドアDが最大静止摩擦力の大きさの力に付勢されているとすれば、減速バネUの復元力が最大静止摩擦力の2倍以上の大きさであれば、減速装置は解除される。
【0127】
図6において減速バネUは最大静止摩擦力以上のプレストレスが与えられ待機するのが、図7において最大静止摩擦力の2倍以上のプレストレスが与えられて待機する。図6において当たりGjwとリンクAを省略できる。
図7(a)は減速前、図7(b)は減速が始まるとき、図7(c)は減速後に減速手段が解除されてドアDが自由に運動できるときの状態図である。
【0128】
ドアDと回転体JJとは枢軸Oの周りに回転自在に軸支される。
付勢バネVの片方の取付軸は固定部Wに固定支持され、他方の取付軸はドアDに可動支持される。ドアDを開いて手を放すと、ドアDは図中矢印と反対方向に回転する。
減速バネUの片方の取付軸は固定部Wに固定支持され、他方の取付軸は回転体JJに可動支持される。
減加速度バネUUの片方の取付軸は回転体JJに固定支持され、他方の可動支持端はドアDと当接離反する。
【0129】
回転体AAは回転体JJに設けられる支軸Pjjの周りに自転自在に軸支され、片方の先端部に設けられる支軸Pbに車輪Bが装着される。他方の先端部の爪Gaはラチェット歯Rと噛み合い、回転体JJの図中矢印方向の回転は許されても反対方向の回転は制動され、減速バネUの復元を阻止する。
【0130】
図7(a)から図7(b)に至るドアDの閉止途中で、ドアDは減加速度バネUUの可動支持端に当接し、減加速度バネUUは伸縮し始める。当接当初はドアDにドア慣性力と付勢バネVの付勢力が作用し、付勢バネVはドアDをドアDの最大静止摩擦力以上の力で付勢している。
【0131】
減加速度バネUUが伸縮するに従い、「減加速度バネUUがドアDを図中矢印と反対方向に押し戻す力」は増加し、ドアDを付勢するドア慣性力と付勢バネVの力は共に減少する。
ドアDは減速しなくても加速度は減少する。減加速度バネUUを備えない図6においては、ドアDに減速バネUが作用するまでドアDは略等加速度運動をしていて、加速度の減少はない。ドアDが車輪Bに当接するとき減加速度バネUUがドアDを押し戻すほどではないように設定される。即ち減加速度バネUUの力の最大値をドアDの最大静止摩擦力以下に設定する。ドアDを閉まる方向に付勢する力はゼロ以下ではなく、ドアが止まってしまうと動かすことはできない力である。
ドアが止まってしまうことはないとして、ドアの加速度は減少し、ドアDは僅かに加速し続けて車輪Bに当接する。
【0132】
減加速度バネUUの力だけでなくドア面が受ける風圧や枢軸Oの周りの回転抵抗が、ドアDを押し戻す方向に働く。このドアDを押し戻す力はドアDを閉めるように働くドア慣性力と付勢バネの力との和以上になることもあってドアDは減速されることもある。
ドアDが車輪Bに当接する以前にドアDが減速されて止まってしまうと、ドアDに最大静止摩擦力以上の力が働かないとドアDは止まったままになる。
【0133】
ドアDが車輪Bに当接した以後に減速バネUが伸縮しながら減速するとき、ドア面が受ける風圧や枢軸Oの周りの回転抵抗が働いてドアDを押し戻す方向に働くと、ドアDが減速されて止まってしまうとき、減速バネUにドアDの最大静止摩擦力以上の力が蓄えられずに、ドアDは止まったままになることがある。
このため、図7(a)において、減速バネUにはドアDの最大静止摩擦力以上の力が蓄えられていて回転体JJを図中矢印方向に付勢している。
【0134】
回転体JJの図中矢印と反対方向の回転は「回転体JJに設けられる当接部Gjj」が「リンクAGに装着される車輪BB」に押圧されて静止される。
ドアDに「車輪BBの制止を解除する摺動面KD」が設けられ、図7(b)に示すように、ドアDの回転の所定の開度から車輪BBが摺動面KDに沿って移動し始め、同時に当接部Gjjに沿って移動して当接部Gjjから離れる。車輪BBが当接部Gjjから離れると、回転体JJが図中矢印と反対方向に回転する。
【0135】
減速バネUにはドアDの最大静止摩擦力以上のプレストレスがかけられているので、図7(b)に示すようにドアDが車輪Bに当接するとき、ドア慣性力が小さければ回転体JJがドアDと共に図中矢印方向に回転せずに図中矢印方向と反対方向に回転する。
ドアDが車輪Bに当接するとき、回転体JJが図中矢印方向に回転しないで静止する場合、ドアDを押し戻す減速バネUの力が働かないとしても、加速して閉まるドアDは回転体JJに衝突して衝撃を受ける。
回転体JJが図中矢印方向に回転せず図中矢印と反対方向に回転して減速バネUの大きな力が働いたとしても、ドアDは回転体JJに衝突してもっと強い衝撃を受ける。
【0136】
図7(b)において図6で説明したように、回転体AAが回転して減速バネUの力がドアDに作用するようになるが、減速バネUが伸縮せずに回転体AAが回転する場合は、閉止方向に加速して回転するドアDに突如として減速バネUの大きな力がドアDの回転方向と反対方向に作用する。
ドアDの減速は急ブレーキの衝突で終わる。これが図6図7のドアクローザの欠点である。
【0137】
図7(c)に示すように、回転体JJが図中矢印と反対方向に回転することによって、リンクAAが静止された爪Gaの周りを回転する。
減速バネUが加速して衝突するドアDを減速せずに減速手段が解除され、ドアDは付勢バネVの力だけで回転する。
ドアDが車輪Bに当接したとき、ドア慣性力が大きく残っていてドアが大きく加速している場合は、ドアDが回転体JJと相対的に一体となって図中矢印方向に回転する。減速バネUが伸縮してドアDはドアDが停止するまで減速される。減速バネUの復元力はプレストレスのドアDの最大静止摩擦力より増加するので、停止したドア0Dを押し戻す力を十分に持っている。
【0138】
ここで、プレストレスがドアDの最大静止摩擦力以下であるとするなら、ドア面が受ける風圧や枢軸Oの周りの回転抵抗が減速して仕事をした分だけ、減速バネU に蓄えられる歪エネルギが減って、ドアDが減速されて停止したとき、減速バネUの復元力に「ドアDを押し戻してリンクAAを回転させる力」がない場合もある。
このような理由で、プレストレスがドアDの最大静止摩擦力以上でなければいけないことになる。これがドアDの減速が急ブレーキの衝突で終わる要因となる。
減速バネUの復元力が次第に増加して、付勢バネVの力が次第に減少して、両者が釣り合ったところでドアDは静止する。
しかしドアDが減速されて停止するとき、ドアDの運動エネルギが減速バネUの歪エネルギに変換されて、減速バネUの復元力はドアDの最大静止摩擦力を上回ってドアDを押し戻すことができる。
【0139】
ドアDの運動エネルギが小さく減速バネに蓄えられる歪エネルギが小さい場合は、減速バネUの復元力の大きさがドアDを押し戻す大きさに達しないことがある。ドアDを押し戻すときいったん止まったドアを動かすのであるから、ドアDの運動エネルギが殆どなくても、減速バネUの初めの力がドアDの最大静止摩擦力以上であれば、その後増加することがなくてもドアDを押し戻すことができる。
【0140】
図7(d1)は摩擦面Kを図中矢印方向に移動する運動体Dの動作説明図で、図7(d2)は運動体Dが押しバネUを伸縮しながら図中矢印方向に移動して静止した状態を示す。運動体Dが低速でしかも摩擦損失が大きい摩擦面K を移動するとき、押しバネUに蓄えられる復元力は「摩擦面Kに沿って運動体Dを図中矢印と反対方向に押し戻す力」に達しない。
【0141】
図7(d)の運動体Dをドア面に風圧を受けながらゆっくりと閉止するドアとすると、押しバネで跳ね返されることなく止まったままになる。
図6図7は減速バネUの復元力が減速当初からドアDの最大静止摩擦力以上の大きさであることを特徴とし、ドアDを押し戻すことによってドアDを停止するまで減速するドアクローザを説明している。
【0142】
図6図7のドアクローザは、図7(d)において押しバネUを縮ませた後で押しバネUが大きく復元する前に押しバネUとドアDとを切り離すもので、切り離す動作に押しバネUの復元力でドアDを押し戻す動作が伴うものであるが、図8は切り離さずに押しバネUが縮み切ったところで復元力を阻止した後に暫くして新たに大きな力を追加して、押しバネUをさらに縮めながら前進させるものである。ドアDを押し戻す動作が伴わない。
図8は所定の開度で動き始めて、予め設定した時間が経過したあとに減速バネUの復元を阻止したままドアを全閉させる減速器DCの説明図である。
【0143】
図8は伸縮した減速バネUの復元を阻止したまま全閉するドアクローザの説明図で、全閉時にドアDを全閉させる力と減速バネをさらに伸縮させる力が必要となるが、全閉したドアDを開くときに減速バネUの復元力がドアDを開く方向に働くので、ドアDを全閉する全閉バネV2にドアDと全閉する力以上の力を蓄える必要はない。また減速バネUは最初にドアDの慣性力によって伸縮するので、付勢バネV1に減速バネUを伸縮させる力は必要ではなく、ドアDを開くときにドアを回転させる力だけを蓄えればよい。
【0144】
固定部Wはドアクローザ容器であって、回転体Jと回転体JJは固定部Wに設けられる回転軸Jwの周りに回転自在に軸支され、回転体Jは付勢バネV1によって図中矢印方向に回転し、回転体JJに設けられる当接部Gjjは回転体Jと当接したまま回転体Jと回転体JJは相対的に一体になって回転する。回転体JJは図示しないドアDと連結される。
図8に示す状態から回転体Jが更に回転して固定部Wに設けられる当たりGwに当接すると、回転体Jの回転は停止し、回転体JJが回転体Jから離れてドアの慣性力によって回転を続け減速バネUを伸縮させる。
【0145】
摺動面KKは固定部Wに設けられる支軸KKwの周りに回転自在に軸支され、押しバネUkkに付勢されて回転体JJに装着される車輪BBを押圧する。車輪BBは摺動面KKに沿って移動するが「摺動面KKが車輪BBを押圧する力の作用線Fbb」は回転軸Jwの近傍を通り、車輪BBを図中矢印方向に移動するようにする。
押しバネUkkの力は車輪BBが減速バネUの力は復元力で戻らないようにする力で、且つドアDの慣性力が消滅したとき、車輪BBを図中矢印と反対方向に回転させない力である。ドアDの慣性力が消滅すると、減速バネUは伸縮したままの状態で回転体JJは静止する。
【0146】
回転体Kは固定部Wに設けられる支軸Kwの周りに回転自在に軸支され、全閉バネV2に図中矢印と反対方向に付勢されて、固定部Wに設けられる当たりGkに当接して静止している。回転体JJが減速されて静止した以後に、シリンダSL内を落下するピストンPSによって摺動面Kは図中矢印方向に回転する。
全閉バネV2はトグルバネであって、回転軸Kwを横切って車輪Bを押圧し、回転体JJを図中矢印方向に回転させる。回転体JJと連結するドアDは全閉する。
【0147】
回転体AAは固定部Wに設けられる支軸AAwの周りに回転自在に軸支され、押しバネUaaに図中矢印と反対方向に付勢され、当たりGAAに当接して静止している。
回転体Jが当りGwに当接して静止する以前に、回転体Jに連結されるリンクA長穴HAの端部HA1が、回転体AAに設けられる支軸Paに当接して回転体AAを矢印方向に回転させる。
「回転体AAの矢印方向の回転」は回転体Jが当たりGwに当接する以前であって、減速が始まる以前に付勢バネV1によって回転体AAは回転する。
【0148】
回転体AAが摺動面Kと接触する接点bは、摺動面Kを車輪Bから離れた位置に待機させるとともにピストンPSの落下を止めるもので、接点bの移動によって摺動面Kの回転阻止とピストンPSの落下阻止は解除される。
ピストンPSはゆっくりと落下し摺動面Kが車輪Bを押圧し始めるときは、減速バネUsが伸縮を終えて復元が阻止される以後になる。
このようにピストンPSはドアの慣性力を減速するようなものではなく、回転体JJ再び回転し始めるようにするオンタイマーである。図6のドアクローザに認められた衝突の衝撃は起きない。
回転体JJは再び回転し始めると、減速バネUを更に伸縮させながらドアDを全閉する
【0149】
ドアDが全閉しても、回転体JJは減速バネUを伸縮させたままで回転を続ける。摺動面KKは車輪BBを押圧したままであって、減速バネUの復元阻止も働いたまま、減速装置の解除もしない。
図8は「図6図7においての減速バネUの復元阻止手段」を解除しないようにしたドアクローザで、全閉力が減速後に作用するようにするタイマーを必要とする。
【0150】
ドアを開くとき回転体JJを図中矢印と反対方向に回転させて、回転体Jを図中矢印と反対方向に回転させる。回転体Jの回転に伴って付勢バネV1が伸縮するが、全閉バネV2は車輪Bを図4に示す長穴Hjに収容することによって、伸縮するようにできる。図4に示す長穴Hj内の摺動面KKのように、図示しない摺動面KKが図8の摺動面Kと対面して車輪Bを間に挟んでいる。
ドアが閉まる過程では減速バネUの復元阻止は働いたまま解除されないが、ドアを開くときに、回転体JJの図中矢印と反対方向の回転によって減速バネUの復元阻止を解除するようにする。
【0151】
ドアDが全閉したとき、減速バネUの復元力より全閉バネの復元力が大きく、図示しない戸当たりがドアDを支持する。ドアDが全閉するには全閉バネV2の力が「ドア慣性力によって減速バネUに蓄えられるであろう最大の復元力」以上であって、「減速バネUに蓄えられるであろう最大の復元力」に加えて余分の力が付け加えられる必要がある。
【0152】
ドアを開くときに全閉バネV2を伸縮させてこの大きな力を全閉バネV2に蓄える必要があるが、ドア慣性力が小さい場合でも大きい場合でも、減速バネUは最大に伸縮して、上記最大の復元力を蓄えている。
ドアを開くときに上記最大の復元力はドアを開く方向に働き、上記「全閉バネV2に蓄える必要がある力」を減じることになる。
【0153】
上術の「余分付け加える必要がある力」だけで、上記最大の復元力をいくら大きく見積もってもドアを開くときに必要な力は上記「余分付け加える必要がある力」だけである。
結局、ドアを開くときに必要な力は「ドアを回転させて全閉させる力」だけでよく、「ドアを減速するための力」は必要でない。
【0154】
図8図9(b)に示す減速器DCは上が開口部で下が底面のシリンダSLに油OLを充填し、ピストンPSが油OLの中を自重でゆっくりと落下するもので、ピストンPSを境にして底側の高圧室SL1の油が、ピストンPSとシリンダSL内壁戸の隙間を通り抜けて開口部側の低圧室SL2に移動する。
【0155】
図9(a)においてシリンダSL内に砂SA(砂などの粉粒体を総称して以後砂SAという。)を充填する。砂SAが排出口HSから自重で流出し、それに伴ってピストンPSも自重で降下するが、シリンダSLが固定されてピストンPSを押し下げる場合もピストンPSが固定されてシリンダSLを引き上げる場合も引き上がる力によって砂の流出速度に変化はない。
【0156】
図9(c)に示すシリンダSLには油OLを充填する。シリンダを横にして水平にすると油がこぼれ出るので、図9(c)に示すようにシリンダSLは密閉容器で、高圧室SL1と低圧室SL2との間を流路SL3でつないでいる。
ピストンPSを付勢する内蔵バネVsの力は、図9(b)に示すピストンPSの自重に相当する。
図9(c)において内蔵バネVsの伸縮は、図8においてピストンPSを引き上げることに相当する。図8において「ドアDを開くときに必要な力」に含まれる「ドアDを減速するために使われる力」はピストンPSを引き上げる力であって、図9(c)において内蔵バネVsを伸縮させる力は図8においてピストンPSを引き上げる力に相当する。
【0157】
大きな力を支持しながらでも自力でゆっくりと動き続ける減速器は図9(a)に示すような「落下する砂SAを用いた減速器」である。「ドアDを開くときに必要な力」に「ドアDを減速するために使われる力」は含まれない。
図9(a1)においてシリンダSLの上部は円筒状で下部はロート状である。シリンダSLの管の内径は排出口Hsに近づくほど内径を小さくしている。排出口Hs直径が砂粒子の6倍以上で砂の流出が止まらないとされている。
【0158】
図9(a1)においてシリンダSLが鉛直であり、図9(a3)は水平であり、図9(a5)では逆さになる。
図9(a1)のとき砂SAの流出量は最大でピストンPSの降下速度も最大となる。図9(a2)に示すようにシリンダSLが少し傾くと流出量も降下速度も減少し、図9(a3)に示すように水平になると流出量も降下速度もゼロになる。図9(a4)図9(a5)では砂SAの流れは逆になる。
【0159】
シリンダSL内の砂SAが液体の場合、自重で流出し残量が減少するとともにピストンPSも降下する。シリンダSLの傾きの効果は砂SAの場合ほどない。ピストンPSに流出方向に力を加えると、シリンダ内の液圧は至る所均一で、流出量も多くなり降下速度も速くなる。シリンダSL内が砂SAの場合、ピストンPSが排出口HSから離れた位置にあるとき、シリンダSL内の砂SAがピストンPSの力を大きくしてもそれほど流出量も降下速度も大きくならない。
【0160】
ドアDは鉛直の枢軸の周りを回転し、ドアクローザは水平面上で運動をするが、図8図9(b)に示す減速器DCのピストンPSは鉛直のシリンダSLを上下する。
図10は水平面内の回転を鉛直面内の運動に変換する機構説明図である。
一般に鉛直の回転軸体Oの回転は傘歯車によって水平の回転軸体OOに伝えることができるが、図10(a)に示すように、鉛直の回転軸体Oの回転を水平の回転軸体OOに伝えるとき、鉛直の回転軸体Oと水平の回転軸体OOとを2つのリンクC,CCで連結すれば、すべての連結軸Po,Pcc,Pooを自在継手にする必要がある。自在継手は大きすぎる欠点がある。
【0161】
図10(b)において、鉛直の回転軸体Oは軸受Poに軸支され、長ナットNを固着する。リンクCは長ナットNにねじ込まれるボルトであって、回転軸Zoの周りに回転自在にして、しかも長ナットNの周りに捩り回転自在に軸支されるクランクである。
回転軸体OとリンクCとをボルトとナットで連結するのは簡単便利な方法である。鉛直の回転軸体Oの回転は回転軸Zoの周りのリンクCの公転となり、回転軸体Oに取り付ける長ナットNはリンクCの軸芯Zcを中心とする回転を支持する軸受となる。
【0162】
同様に回転軸体OOは軸受Pooに軸支され、長ナットNNを固着する。リンクCCは長ナットNNにねじ込まれるボルトであって、回転軸Zooの周りに回転自在にして、しかも長ナットNの周りに捩り回転自在に軸支されるクランクである。
リンクAの両端にボルト穴が設けられ、リンクC,CCのそれぞれも長ナットN,NNの反対側の端部にボルト穴が設けられる。ボルト穴にピンを挿通して、リンクAはリンクCとリンクCCとを連結する。リンクAを捩る力は発生しない。
【0163】
図10(b)において、リンクCCは鉛直面内で運動しているが、リンクCCが自転しながら運動すると、鉛直面内に限らない空間を自由に運動可能である。
図10(c) において、ピストンPSは鉛直のシリンダSL内を上下する。シリンダSLがピストンPSの鉛直の軸芯Zpの周りに回転自在に軸支すれば、リンクAは捩られずに、リンクCの水平面内の回転をピストンPSの鉛直方向の往復運動に伝える。
【0164】
図10(c) において、ピストンPSが鉛直の溝に沿って自転せずに移動するスライダであるとき、ピストンPS頭部に鉛直方向に長ナットを固着し、長ナットにねじ込まれるボルトが図10(b)においてのリンクCCに相当するようにすると、リンクCCは鉛直の軸芯Zpの周りに回転自在に軸支され、リンクAは捩られずに、リンクCの水平面内の回転をピストンPSの鉛直方向の往復運動に伝える。
【0165】
図11図4図8の減速器DCを図9に説明した砂SA(粉粒体)を流体とする減速器Dcに取り換えたドアクローザである。タイマーによって全閉力が減速に遅れて作用するドアクローザである。
図8図11においてドアDが所定の開度を過ぎてから設定される時間経過後に「ドアDを全閉する力」がドアDに作用する。
図4においてドアDが所定の開度を過ぎてからドアを減速し設定される時間経過後に減速解除する。
図4においても、図8においても、全閉時にドアDがドアのラッチを凹まさず停止したとき、粉粒体の流出は継続しているからピストンPSと粉粒体表層面SASとの間に隙間ができて、ピストンPSが粉粒体表層面SASを押圧せずに自由に移動できる。すなわち、減速装置は解除される。
【0166】
図4においても、図8においても、ピストンPSが粉粒体表層面SASを押圧する力はドアDを全閉する大きな力であって、粉粒体表層面SASがこれを支持し、粉粒体SAが排出口HSから自重によって流出することによって粉粒体表層面SASが降下し、ピストンの移動もこれに従う。
粉粒体SAは排出口HSから粉粒体SAの自重によって流出し、粉粒体表層面SASを押圧する力の大きさによってほとんど影響されない。
粉粒体SAを流体とする減速器DcはピストンPSによってではなく、自重によって動き続け、ピストンPSに如何に大きな力を加えようとも、大きく加速されない。
【0167】
図11(a)はドアクローザの説明平面図で、図11(b)は減速器DCの鉛直断面図である。
図11(b)において図9に記載する砂SAに代わってSL内にピストンPSとシリンダSL内壁との間の隙間に割り込まない大きさのベアリングの鋼球SAを採用する。シリンダ内に充満する鋼球SAの数が多いほど、鋼球SAの全てを排出するための所要時間を長くすることができるので、鋼球SAの大きさはできるだけ小さい方が望ましい。
【0168】
シリンダSLの底に設けられる排出口HSの大きさは、排出口HS付近のシリンダSLの形状によっても異なるが、砂粒子の直径の6倍程度であれば鋼球の排出が止まるとされ、鋼球の場合直径の約3倍程度であれば鋼球の排出が止まるようである。
【0169】
ピストンPSに押圧される鋼球SAの表層面SAS(0167)と排出口HSまでの距離が一定値を超えると、シリンダSL内壁の受圧は最高値に達してそれ以上あがらないとされる。これらの特性に基づいて図11の減速器DCは、ピストンPSに如何に大きな力を加えようともピストンPSの移動速度を一定にする。ピストンPSは全閉バネVVの大きな押圧力を支持してゆっくりと移動する。
【0170】
図11(a)に示す回転体JJの水面上の運動は、図10に説明したリンク装置によって図11(b)に示すピストンPSの鉛直線Zsに沿う上下方向の運動に変換される。
車輪Bの水平面上の運動を図9に示した長ナットNとリンクCとリンクCCによって「ピストンPSの鉛直線Zsに沿って移動する上下運動」に伝達している。ピストンPS自体が自転しながらSL内壁に沿って移動するので、ピストンPSに設けられる連結軸NNは図9(c)に示す長ナットNNリンクCCの役割を果たしている。
【0171】
図11(a)は回転体Jと回転体JJとは回転軸Jwの周りに回転自在に軸支され、付勢バネV1に付勢されて相対的に一体となって図中矢印方向に回転し、回転体Jが固定部に設けられる当たりGwに当接して回転体JJに設けられる当接部GJJが回転体Jから離れて減速バネUを押圧する状態を示している。
回転体JJは図示しないドアDと連動し、回転体JJに装着される車輪BBが「固定部Wに設けられる支軸KWの周りに回転自在に軸支され、押しバネUkkに付勢される摺動面K」に押圧されて、回転体JJが減速バネUの復元力で図中矢印方向と反対方向に回転しないようにしている。
【0172】
回転体OはドアDを全閉する手段であって、軸受Poの周りに回転自在に軸支され、回転体Oに装着される車輪Bが全閉バネVVに付勢されて「回転体JJに設けられる摺動面KJJ」を押圧しながら移動する。これによって、回転体JJは図中矢印方向に回転し、図示しないドアDが全閉する。
図11(a)において破線で囲まれた部分に図示される減速器DCは、回転体JJが減速されて停止した後に、車輪Bが摺動面KJJを押圧するように全閉バネVVをゆっくりと復元させる遅延装置であって、当接部GJJが回転体Jから離れるまで車輪Bは「回転体JJに設けられ回転軸Jwを中心とする円周に沿った摺動面Kb」を押圧しながら移動しながら待機する。
【0173】
「車輪Bが摺動面Kbを押圧する図示しない力の作用線」は回転軸Jwを通り、「車輪Bが摺動面Kbを押圧する力」で回転体JJは回転しない。
当接部GJJが回転体Jから離れると同時に車輪Bは摺動面Kbを離れるが、回転体Oが減速器DCによってゆっくりと回転するから、設定された時間後に車輪Bが摺動面KJJを押圧するようになる。この設定された時間内にドアDは減速されて停止する。
【0174】
図示しないドアDは減速バネUを伸縮させながら閉止するが、減速バネはドアDに発生するドア慣性力で伸縮するので、ドアを開くときに必要な力は、減速バネを伸縮しながらドアDを回転させる力ではなく、ドアDを回転させる力だけでよい。
また、全閉バネVVをゆっくりと復元させる遅延装置も自重で落下するピストンPSと自重で落下する鋼球SAで動作し、全閉バネVVの復元速度はピストンPS落下速度に従う。ドアを開くときに必要な力は落下したピストンPSと鋼球を引き上げて元へ戻す力である。
【0175】
全閉バネVVはドアを回転させる力以外に押しバネUをさらに伸縮させる力が必要であるが、ドアが開くとき摺動面KJJが回転軸Poの周りを図中矢印と反対方向に回転し、上記のさらに伸縮させる力は必要としない。全閉したドアを開くとき図8と同様にドアDを減速するための力は必要でなく、ドアを回転させる力だけよい。
【0176】
図8で落下した砂を含めた粉粒体は持ち上げて落とす動作を繰り返さなければ何回も使用できない。砂時計のように砂が全部落下した後に容器を逆さにして砂を戻すような面倒な操作が必要となる。
図12図13図11で落下した鋼球を持ち上げて再び落とす装置の動作説明図で、減速装置は落下と持ち上げることを繰り返して何回も動作する。
【0177】
固定部Wに設けられる回転軸Jwを軸に回転する回転体Jは「回転軸Jwを中心とする外縁部の円」Rに沿って配されるラチェット歯Rと2つのシリンダSL1とSL2と4つの車輪B1,B2,B3,B4と2つの摺動面K1,K2とを装着し、180°回転して90°毎に水平で静止する状態と鉛直で静止する状態とを交互に繰り返す。
【0178】
車輪B1,B2,B3,B4はそれぞれ回転軸Jwを中心とする円周上に等分に配される。鉛直摺動面KK」は押しバネUに付勢されて回転せずに平行移動する。
図12(a)は車輪B1と車輪B2とが同時に鉛直摺動面KKに押圧されて静止する状態を示し、2つのシリンダSL1とSL2のそれぞれは上下に配されて静止している。
【0179】
上下2つのシリンダSL1とSL2のそれぞれは流路SL3でつながっていて、シリンダSL1の流体SAが流路SL3を通って下のシリンダSL2にたまるが、図12(a)は流路SL3に設けられる図示しない弁Gslが流路Sl3を塞いで、上のシリンダSL2にたまった流体SAが下のシリンダSL2内に落下しない状態を示している。
【0180】
シリンダSL1とSL2と流路SL3のそれぞれは中心軸ZSLを共有し、図12(a)に示すようにそれぞれが鉛直で静止する状態は、中心軸ZSLと鉛直線Zとが一致する。
リンクAとリンクAAとはともに鉛直線Zに沿って移動し、リンクAに設けられる連結軸PaはリンクAAに設けられる長穴H内に収容され、長穴の上端H1と下端H2との間を揺動する。
リンクAは図示しないドアDと連結されていて、ドアDが開くとき図中矢印方向に上昇し、連結軸Paが上端H1に当接してリンクAAを上に引き上げる。
【0181】
ピストンPS1、PS2のそれぞれは、シリンダSL1とSL2の内壁に沿って自重で落下する。ドアDが閉まるときリンクAとリンクAAは相対的に一体となって下降し、リンクAAの下端に設けられる当接部Gaaが上のピストンPs1に当接する。
リンクAがさらに下降し続けて連結軸Paは長穴H内を下降し下端H2に当接したとき、リンクAがリンクAAを介して上のピストンPS1を押圧する。
上述の図示しない弁GSLは、リンクAが間接的にピストンPS1を押圧したときピストンPS1、PS2のいずれでも押圧したときに開くようにしている。
【0182】
上のシリンダSL1内の流体SAは、流路SL3を通って下のシリンダSL2内に収容される。上のシリンダSL1内の流体SAの量が減少するにしたがってピストンPS1は下降する。
ドアDの回転速度とピストンPSの下降速度は、シリンダSL1内に残留する粉粒体の減少速度に従い、流体SAが粉粒体である場合は流体SAが下へ落下し始める当初はドアDを閉める力がいくら強くても一定の大きさ以上にはならない。
【0183】
ドアDは閉まり始めてから時間が経過すると、ドアDの回転速度と残留する粉粒体の減少速度とに大きな差ができて、ドアDは減速されると同時に大きな衝撃を受ける。
ドアが閉まり始めて、リンクAが間接的にピストンPS1を押圧するまでの時間を出来るだけ小さくして、ドアが閉まり始めてすぐにリンクAが間接的にピストンPS1を押圧するようにすれば、ドアDは閉まり始めから粉粒体の減少速度に従い、ドアDが減速されると同時に大きな衝撃を受けることはない。
【0184】
砂SAの全部が下のシリンダSL2に収容されるとき、ドアDは全閉直前の位置にあって、図12(b)に示される上下のシリンダSL1、シリンダSL2のそれぞれに収容される押しバネU1,U2は、上位にあるシリンダSL内の砂が全部なくなる前に上位にあるピストンPSの下降を止めるようにしている。
【0185】
ドアDが全閉直前に近づくに従い、上位のシリンダSL1内の砂SAの自重による流出速度は増加し、上位のピストンPS1の押圧力によっても流出速度が増大するようになる。押しバネUによって下降を止められたピストンPSは、砂SAが上のシリンダSL1から全部なくなってもまだ下降できる高さにあって、リンクAAが装備する下降体AAGの先端部が摺動面K1を押圧して図12(b)に示すように回転体Jを図中矢印方向に回転させる。
【0186】
車輪Bが回転軸Jwを通る水平線Zhを横切った後は、摺動面KKが車輪B1を押圧して回転体Jの回転が継続する。中心軸ZSLが水平線Zhに一致するとき、摺動面KKが車輪B1と車輪B4とを同時に押圧して回転体Jは図示しない「水平で静止する状態」になる。
当接部Gaaは上位のピストンPS1から離れて流路SL3は上述の図示しない弁GSLによって塞がれ、下のシリンダSL2内に移動した砂SAが上のシリンダSL1に戻れないようにしている。またドアDは砂SAの抵抗を受けることなく回転できる。
【0187】
図12(b)に示すようにリンクAAが備える当接部GaがリンクAを押圧してリンクAが装備するラチェット爪RAをラチェット歯Rから引き離しているが、図12(c)に示すように、ドアが全閉するに至る過程においてはリンクAAが自重によって下降した当接部GAがリンクAから離れる。
リンクAはさらに下降し続けると、ラチェット爪RAがラチェット歯Rと噛み合って回転体Jを図中矢印方向に回転させ、摺動面KKが車輪4と車輪B3とを同時に押すようになって中心軸ZSLが鉛直線Zと重なるとき、回転体は鉛直に静止する状態になる。
【0188】
ドアが全閉したとき砂SAを貯めたシリンダSL2は図12(a)に示した上のシリンダSL1の位置に静止し待機する。摺動面K2は回転体Jの回転と共に下降体AAGを跳ね除けながら、下降体AAGの下端より下に移動する。摺動面K2は図12(a)に示した摺動面K1の位置で待機する。即ちドアの全閉時に図12の減速装置は、図12(a)に示す初めの状態に復帰している。
全閉したドアDが開くとき、ラチェット爪RAはラチェット歯R上で滑って上昇し、回転体Jを図中矢印と反対方向に回転させない。図12の減速装置はドアDが開く動作には初期状態を維持して、ドアDが閉まるときだけに動作してドアDを減速する。
【0189】
図12において、砂SAは「ピストンPSの下降を阻止しながら後退する当たり」であって、砂容器SL内の砂SAが自重によって排出口HSから排出され、それに伴って砂表面に置かれたピストンPSは砂表面が下降する。ことによって減速される。
リンクAが図示しない「ドアDを付勢する付勢バネVs」に付勢されて移動するリンクであって、ピストンPSが砂表面に当接した以後は、移動速度は略「ピストンPSが砂表面を下降する速度」に従う。
【0190】
付勢バネVsに付勢されて「高速で移動するリンクA」が「付勢バネVsとは別の付勢手段である地球の引力」を付勢手段として「低速に移動する砂SA」によって減速されるので、あたかも2つの付勢手段を持たずに内蔵バネVsだけでドアDを回転させる市販のドアクローザと同じに見える。
市販のドアクローザの油を砂に取り替えて砂が自重で漏れ出すようにすれば、内蔵バネVsがドアDを強く回転させる強力なバネでも高速に回転することなく、またいくら弱いバネでも途中で止まったままにならない。
【0191】
図1図2に説明したように、市販のドアクローザの強力な内蔵バネはテコの原理で弱い力でも伸縮でき、ドアDを開くときに大きな力が必要とはならない。しかし小さなドア慣性力でも容易に動くようになり、図1図2では「大きなドア慣性力を軸芯方向で支持しながら軸芯を直角方向に移動する連結軸」によって解決している。
砂SAは大きな力を支持しながら止まってしまうことがない抵抗なので、市販のドアクローザの油を砂SAに代えたドアクローザには、図1図2のように、ドアが閉まるときのリンク装置と開くときのリンク装置を別々に用意して補う必要がない。
【0192】
付勢バネVsだけで回転するドアDは加速の一途をたどり、全閉時に回転速度は最高値に達する。全閉寸前にブレーキシューでブレーキをかけた場合、止まってしまったドアDは止まったままである。
図8図11のドアクローザはドアが止まってしまった後に上記ブレーキシューのブレーキを解除するもので、タイマーは止まってから長時間の経過後にブレーキを解除する。
図12のドアクローザはドアDの閉止途中でピストンPSが砂表面に当接し、ドアDにブレーキがかかり、ドアDが略停止するまで減速される。ブレーキは自ら解除してドアDの速度を砂SAの流出速度に従わせる。リンクAは図示しない「ドアDを付勢する付勢バネVs」に付勢されて移動し、ドアDも止まったままにならない。
【0193】
図12のドアクローザにブレーキがかかる瞬間は、シリンダSL内に内蔵される砂SAの量が略最高値で、砂SAがピストンPSに抵抗する力も略最高値である。砂SAが排出口HSから多く排出されないときでもあって、ドアDは砂SAに強い衝撃を受けて、砂SAはドアDの衝撃を緩和しない。
図13は、ピストンPSが砂SAに衝突するときの衝撃を緩和するドアクローザである。
【0194】
図13において、砂SAはピストンPSとシリンダ内壁との間に入り込まない大きさの鋼球を使う代わりに、ピストンPSとシリンダ内壁との間を通り抜ける大きさの微細な砂SAを採用する。またピストンPSの形は砂の中を通抜けやすい球形を採用する。
【0195】
図13(a)、図13(c)において、シリンダSLとラチェット歯Rは固定部Wに設けられる回転軸SLwの周りに回転自在に軸支される。球BはシリンダSLの内壁に沿って移動し、「球Bを先端部に装着するリンクA」は固定部Wに設けられる回転軸Awの周りに回転自在に軸支される。シリンダSLの上面にはリンクAが挿通するスリットが設けられ、砂SAがシリンダSLからこぼれ出ないようにしている。
【0196】
B(1)はドアの全開時に回転軸SLwより最も遠い位置にある球を示す。ドアDが全開から閉まるに従い球Bは回転軸SLwに近づき、全閉寸前の球をB(2)に移動する。全閉直前から全閉にかけて球Bは回転軸SLwから遠ざかり、全閉時の球をB(3)に示し、B(3)はシリンダSLの回転軸SLwから最も遠い位置には到達しなくてよい。
シリンダSLは球Bの移動によって回転し、SL(1)、SL(2) 、SL(3)はそれぞれ全開時、全閉直前、全閉時のシリンダSLを示す。
【0197】
図13(a)はリンクAとシリンダSLの回転方向が同じリンク装置を示し、図13(b)は互いに反対であるリンク装置を示している。実線で示す図13(a1)、図13(c1)は全開時、図13(a2)、図13(c2)は全閉直前、図13(a3)、図13(c3)は全閉時の状態を示す。
図13(a)、図13(c) において、砂SAは全開時にシリンダSLの室SL1に収容され、ラチェット歯Rは通路SL3を塞いで砂SAの室SL2への流入を阻止している。
【0198】
図13(b)に示すように、爪GaはリンクAに設けられる支軸Paの周りに回転自在に軸支され、リンクAが図中矢印方向に回転するときラチェット歯Rと噛み合い、ラチェット歯RをシリンダSLと反対方向に回転させて、ドアDが閉まるまで塞がれていた通路SL3をドアDが閉まりはじめると同時に開いて、砂SAが通路SL3を通り抜けて室SL1から室SL2へ排出される。
ドアDを開くときリンクAが図中矢印と反対方向に回転し、ラチェット歯Rと噛み合わずシリンダSLを回転させない。ラチェット歯RはドアDを開くときだけ流路SL3を閉じる弁である。
【0199】
図13(a1)、図13(c1)が示すドアDの全開時には、球B(1)が最上層の砂面SAS(1)から離れた位置にあって、全閉直前まで砂SAの抵抗を受けることなく移動する。
砂面SASは常に略水平を保ち、全閉直前に近づくにつれてシリンダSLが傾くに従い、シリンダSL内面と平行に近づく。球Bが砂面SASと当接する面積は徐々に増えて、球Bの前面の全部が砂SAの抵抗を一瞬にして受けるのではなく、徐々に大きく受けるようになり、ドアDは急激な減速ではなく徐々に減速される。
【0200】
全閉直前には砂SAのほとんどが略水平になった室SL2に移動し、全閉に至る過程で球Bは砂SAのない室SL1内を戻る方向に移動する。全閉時には室SL2内の砂SAが室SL1に戻され、ドアDを開くときリンクAとシリンダSLは図中矢印方向と反対方向に回転し、シリンダSLが水平であるときからラチェット歯が流路SL3を塞いでいる。ドアDを開いても閉まり始めて全閉直前に至るまで、ラチェット歯は流路SL3を開かず塞いだまま待機する。
【0201】
図14においてシリンダSLは距形断面の箱SLで上面が開いていて、箱SL内の鋼球SAは箱SL外にこぼれ出ない。箱SLと「図示しないドアDと連動する回転体J」は、それぞれ固定部Wに設けられる回転体Jwの周りに回転自在に軸支される。
図14(a)は全開時、図14(b)は全閉直前、図14(c)は全閉時の状態図で、図14(a)、 (b)、 (c)において図中矢印方向はドアDが閉まるときの各リンクの運動方向を示す。
図14(d)は全閉時からドアDを少し開いたときの状態図で、図14(d)の図中矢印方向はドアDを開くときの方向である。
【0202】
ピストンPSは直方体で、ピストンPSの下面と箱SLの底面との間は鋼球SAが通り抜ける流路SL3であって、ピストンPSに設けられる支軸Paは箱SLに設けられる溝Mに沿って移動する。
箱SLを水平状態から少し傾けて、鋼球SAが箱SLの底に沿って下り降りるようにしている。
【0203】
流路SL3は長方形で高さは鋼球SAの直径の2倍程度で、長さは5倍程度であって、流路の面積は鋼球SAの流れが止まることなく継続する大きさ以上である。
鋼球は箱SLを水平状態から少し傾けると、鋼球SAが箱SLの底に沿って勢いよく下り降りて流路を通り抜けるが、ドアDが勢いよく閉まるときピストンPSが勢いよく鋼球SAの落下方向とは逆方向に移動し、鋼球SAとピストンPSは互いに減速しあう。
【0204】
図11図12図13のドアクローザのようにピストンPSの移動方向は砂SAの落下方向と同方向でないので、市販のドアクローザと同じく鋼球SAの抵抗を押しのけて移動する力必要となる。回転体Jを図中矢印方向に図示しない付勢バネVが付勢する。
【0205】
図14(a)に示す状態からドアが閉まりだすと、ピストンPSが前方の鋼球SAを押し上げながら図中矢印方向に移動し、ピストンPS後方に室SL2を作って室SL1内の鋼球SAを室SL2に送り込む。ドアDは僅かに減速される。
図14(b)は支軸Paが全閉直前で溝の端部M1に到達した状態を示すが、溝Mの端部M1に近づく途中では、ピストンPsの移動によって、鋼球SAは箱SL上面に設けられる天井部分SL4に押し付けられる。鋼球SAは密閉状態になった室SL1に閉じ込められ、鋼球SAが流路SL3を通って室SL2に送り込まれる分だけ、ピストンPsは前進する。
【0206】
鋼球SAが室SL1に充満されて、ピストンPsの前進で流路SL3を通って排出される状態は、市販のドアクローザのシリンダSLに充填される油が鋼球SAに変わった状態であるが、ピストンPsが鋼球SAを押圧する力が強くても、ピストンPSの前進速度は鋼球SAが流路SL3を通って排出される速度に従う。「ドアDの慣性力がいくら強くても、或いはドアを全閉する力がいくら強くても、ピストンPsが急激に加速するということにならない。」というところと「、ピストンPsの押圧力がゼロになって止まっても、鋼球SAは流れ続ける。」というところが、市販のドアクローザと異なる点である。
【0207】
図14(c)は、支軸Paが端部M1を押して、箱SLが回転軸SLwの周りを図中矢印方向に回転し、室SL2内の鋼球SAが室SL1に戻された全閉時の状態を示すが、「鋼球SAがピストンPSに抵抗する力」が大きくなり、「支軸Paと回転軸SLwとの間の距離」が大きくなると、支軸Paが溝Mの端部M1に近づく途中であっても、力学的にピストンPSが溝Mの端部M1に到達したと認められる状態であって、箱SLが回転軸SLwの周りを図中矢印方向に回転する。
箱SLが回転するとき、ピストンの移動に鋼球SA は抵抗しない。すなわち抵抗消失範囲でドアDは全閉する。
【0208】
図14(d)は全閉したドアDを開き始めたときの状態図で、回転体Jが図中矢印方向に回転し続けて、鋼球SAを室SL1に残したまま支軸Paが「端部M1と反対側の端部M2」に到達する。回転体Jが端部M2を押しながら、箱SLは回転軸SLwを軸に図中矢印方向に回転し始める。
さらに回転体Jを回し続けると、鋼球SAが室SL1内を下降し、図14(a)に示す全開状態に復帰する。
【0209】
図15(a)は図14に示した流路SL3の出口(排出口Hs)の断面図を表し、高さは鋼球SAの直径の1倍程度で1倍以上2倍以下とし、長さは図15(b)、(d)、(e)において4倍、図15(c)において5倍にしている。図15(b)~(e)はピストンPSの底を下から見た平面図で流路SL3の出口付近の状態図である。ピストンPSの底に設けられる流路SL3はどの断面も高さが鋼球SAの直径の上記1倍程度で一定している。図15(b)~(e)に示す流路SL3に収容される鋼球SAは1層で、上下に2個以上重ならなることなく、箱SL下面と流路側面壁PSWに挟まれている。
図15(b)~(e)は、鋼球SAが「図14においての傾いた箱SL」の底に沿って下降し、出口HS付近で「破線で示すアーチ」を形成する状態を示す。図中矢印方向は鋼球SAの移動方向である。
【0210】
形成されたアーチが崩れて鋼球SAは流れ、崩れないとき流れは停止する。
図15(b)、(d)、(e)において4個の鋼球SAが、図15(c)において5個の鋼球SAが出口HSを通過できる。図15(b)、(d)、(e)において5個の鋼球SAが出口HSに先頭のアーチAR1を形成し、図15(c)において6個の鋼球SAが出口HSに先頭のアーチAR1を形成する。図15(b)、(d)、(e)において、5個の鋼球SAが作る先頭のアーチAR1は、図15(c)において6個の鋼球SAが作る先頭のアーチAR1より勾配が大きく、崩れ難いアーチである。
【0211】
先頭のアーチAR1を作る鋼球SAの数が多い程、崩れやすいアーチである。6個の鋼球SAが先頭のアーチAR1を形成できない場合は、出口HSから5個の鋼球が通過できれば鋼球SAは流れ続ける。4個の鋼球SAが先頭のアーチAR1を形成できない場合は、出口HSから4個の鋼球が通過できても鋼球SAの流れは停止する。
鋼球の場合、砂と違って重く、大きさも形も均一で、「鋼球SAの流れが停止しない出口HSの面積は砂の場合より小さく、図15のように1層の鋼球SAが流れ続ける出口HSの長さは鋼球SAの直径の5倍である。
【0212】
流路側面壁PSWに沿って移動する鋼球SAは流路側面壁PSWを押圧し、或いは流路側面壁PSWに支持される。「流路側面壁PSWを押圧する力、或いは流路側面壁PSWに支持される力Fw」は流路側面壁PSWと直角方向に働き、流路側面壁PSWが中心線ZSLより傾く図15(b)の場合は、鋼球SAの下降に抵抗する。
流路側面壁PSWが中心線ZSLと平行な図15(d)の場合は、鋼球SAの下降に抵抗しない、
【0213】
図15(b)の場合はアーチAR1の後ろに何層もアーチAR2,AR3~が形成され、それぞれが流路側面壁PSWに支持される。支持されない図15(d)の場合より、鋼球SAの流速は遅い。
図15(e)において、流路側面壁PSWが中心線ZSLと平行であるが、図中1点鎖線と流路側面壁PSWとに囲まれる鋼球は動かないので、図15(b)の場合と同様に、鋼球SAの下降に抵抗する。
図15(e)に示すピストンPPSは流路SL3に挿通され鋼球SAを押圧して出口HSから排出させる。図15(e)に示す減速器DCはピストンPPSと、直方体の箱SLと、箱SL内に収容され箱SLの底面に設けられる排出口HSから排出される鋼球SAとを備える。鋼球SAの流れが止まらない減速器DCの長方形の底面は、長さを鋼球の直径の5倍とし、高さを1倍以上とする。
【0214】
図16図14と同じ仕組みのドアクローザの動作説明図で、回転体Jと箱SLとが回転軸Jwを共有し、装置は小型化する。
図14に断面図で示される箱SLは「回転軸Jwを中心とする円弧を箱SLの内面とし、円形のトユの形をした半割りした円筒の両端は、箱SL内部に収容される鋼球SAがこぼれ出ないように図示しない蓋で塞がれている。
【0215】
ピストンPSは回転体Jに設けられる支軸Pjの周りに回転自在に軸支され、前面に距形の押板Pssを設ける。図16(a)に示すドアDの全開時から図16(e)に示すドアDの全閉時に至る過程において、支軸Pjの回りの図中矢印方向の回転は回転体Jに設けられる当たりGjと当接して阻止され、前方の鋼球を巻き上げながら図中矢印方向に回転する。
【0216】
箱SLに設けられる当たりGSLは「固定部Wに設けられる当たりG1に当接する位置」と「固定部Wに設けられる当たりG2に当接する位置」との間を揺動する。
図16(a)において当たりGSLは箱SLの自重で当たりG1に当接して静止している。図16(a)に示すようにドアDが閉まるとき、ピストンPSの先端部が「固定部Wに設けられる摺動面K」に沿って移動し、図16(b)に示すように押板Psが前方の鋼球SAの全部を押し上げながら移動する。ピストンPSの先端部と摺動面Kとの間の隙間は鋼球SAが通り抜けられないように塞がっている。
【0217】
押板Psが鋼球SAを持ち上げると、鋼球SAと箱SLとの間に摩擦があるので、箱SLを持ち上げて、当たりGSLが当たりG1から離れる。
押板Pssが摺動面Kで離れると、押板Pssと箱SL底面との間を前方の鋼球SAが通り抜けて、押板Pssの後ろは移動できる隙間ができる。
図16(c)は押板Pssの前方の鋼球SAが多く、押板Pssの後方に移動した鋼球が少ないときの状態図で、当たりGSLが当たりG2に当接して静止する状態を示す。
図16(d)は押板Pssの前方の鋼球SAが少なく、押板Pssの後方に移動した鋼球が多いとき当たりGSLが当たりG2から離れる状態を示す。
【0218】
押板Pssの前方の鋼球SAが少なくなると、前方の鋼球SAの集まりが固まりになったり固まりを崩したりしながら押板Pssの後方へ移動する。前方の鋼球SAの集まりが固まって、押板Pssと箱SLの底面との隙で詰まった状態になると、箱SLも持ち上げられて当たりGSLが当たりG2に当接する。当たりGSLが当たりG2に当接すると、回転体Jを付勢する図示しない付勢バネVの力で固まった鋼球SAの集まりを崩して一部を押板Pssの後方に送り出す。同時に当たりGSLが当たりG2から離れる。
ドアDが全開直前から全閉にかけて、当たりGSLは当たりG1或いは当たりG2と当接離反を繰り返す。
【0219】
当たりGSLは図14においての天井部分SL4に相当し、図14において鋼球SAが室SL1を埋め尽くしたように、図16の押板Pssの前方の鋼球SA当たりGSLに到達しなくても、十分多い間は、押板Pssが前方の鋼球SAを強く押圧しても、鋼球SAが、押板Pssと箱SLの底面との隙を通って押板Pssの後方へ移動する速度に変化はなく、ドアDが十分に減速されている状態である。
【0220】
ドアDの回転速度は全閉直前に大きく減速し、図16(e)に示すように押板Pssの前方の鋼球SAがなくなると、回転体Jは鋼球SAの抵抗を受けずに全閉する。
図16(f)は全閉したドアDを開く途中の状態図で、ピストンPSは当たりGjから離れて鋼球SAの上層表面上を滑走し、図15のドアクローザは図16(a)に示す初めの状態に復帰する。
【0221】
ピストンPSの下面と箱SLの底との間の隙間を大きくすると、ピストンPSに負荷される抵抗が小さく、回転体Jを付勢する付勢バネVの力を大きくする必要はない。
この場合の付勢バネVは、ドアDを回転させる或いはドアDを減速するほど強くない。しかし、図11に使用されるタイマーの役目は果たすことはできる。
ピストンPSの下面と箱SLの底との間の隙間を小さくすると、ピストンPSに負荷される抵抗が大きく、「回転体Jを付勢する付勢バネV」がドアDを回転させる力、或いはドアDを減速する力が如何に大きくても、鋼球SAの抵抗は全閉寸前の回転体Jをゆっくりと回転させる。
【0222】
全閉直前に、ドアDを回転させる力を急激に大きくするにしても、ドアDを回転させる力を小から大に切り替える間の時間を長くすれば、ドアDは長くした時間内に減速して止まってしまう。タイマーが動き続けているので、大きい力が 設定された時間後にドアDに作用し、ドアDは再び動き出し、止まってしまうという問題はない。
ドアDを回転させる力を小からいったんゼロにして大に切り替えるにしても、減速して減速装置を解除するにしても、タイマーはドアDを再び動くようにするもので、何をしてもドアが止まってしまうという問題はない。
【0223】
図17は動作始めてしばらくしてスイッチが入り或いは切りするタイマーの動作説明図で、図8に記載するタイマーのように、図示しないドアDが減速し始める前に、動作を始めてしばらくしてドアDに強力な全閉力が作用するオンタイマーでもあり、全閉したドアDを開くと同時に戻り方向の動作を始めて、急速に開くドアDの回転を阻止する手段をしばらくして解除するオフタイマーでもある。
【0224】
回転体JとリンクAvは回転軸Jwの周りに回転自在に軸支され、トグルバネV2の片方の取付軸はリンクAvに固定支持され他方の取付軸は回転体Jに可動支持される。
リンクAvは「固定部Wに設けられる当たりG1に当接して、トグルバネV2が回転体Jを図中矢印と反対方向に付勢する位置」と「固定部Wに設けられる当たりG2に当接して、トグルバネV2が回転体Jを図中矢印方向に付勢する位置」との間を揺動する。
【0225】
リンクAとリンクA1とリンクA2のそれぞれの片方の連結軸Pは共通で、それぞれの他方に設けられる支軸は回転体Jに設けられる連結軸Pjであり、箱SLの側面に設けられる溝Mに沿って移動する支軸Pa1であり支軸Pa2である。
【0226】
箱SLは摩擦面KKに沿って移動し、右側に鋼球SA1を収容する室SL1と、左側に鋼球SA2を収容する室SL2と、室SL1と室SL2との間に鋼球SAを収容しない室SL3とを備える。
リンクAは上側面に押板K1を装着し、押板K1は鋼球SA1が押板K1を乗り越えて左の室SL3内に移動しないようにする。同様にリンクA2の前面に押板K2が装着され押板K2は室SL2と室SL3とを仕切っている。「鋼球SAは室と室との間を行き来しない。」ところが図14図16の場合と異なる。
【0227】
図17(a)はドアDが全開して静止する状態図で、図17(b)に示すようにトグルバネV2が回転軸Jwを横切ると回転体Jは図中矢印方向に回転し、押板K1は鋼球をすくい上げながら図中矢印方向に移動する。
支軸Pa1近傍の鋼球だけがせり上がり、せりあがった鋼球は小さな位置エネルギを得るが、下にある鋼球SAが下にもぐり込んで図17(a)のように鋼球SAが整然と配されて水平面を形成するほどではない。
支軸Pa1近傍に崩れにくい鋼球SAの山ができ、回転体Jが速く回転するほど山は崩れず高く成長する。山が高くなるほど抵抗が大きくなり、押板K1の立ち上がり角度Θが大きくなり、鋼球SAの山は押板K1とシリンダSLの側面SLW1との間に挟まれて強く押圧される。
【0228】
図17(c)に示すように、「押板K1とシリンダSLの側面SLW1との間に挟まれた鋼球SAの山」が動かないようになり、リンクA1とリンクA2と室SL1内の鋼球は静止したまま回転体Jが回り続ける。箱SLが摩擦面KKに沿って図中矢印方向に移動し、「ドアDに連結するリンクDD1」を押しバネUを介してゆっくりと回転させる。このようにしてトグルバネVの全閉力が遅れてドアDに伝えられる。
円形のピストンは管の中を移動するが、押板K1は立ち上がり角度Θを増加しながら移動するので、押板K1と押板K1の通路は距形で箱断面は距形でなければならない。
【0229】
支軸Pa1は溝Mに沿って溝終点Meまで距離L1を移動するが、溝Mも摩擦面終点KKeまで距離LL1を移動する。箱SLが短い距離LL1を移動する間に、押板K1は長い距離L1+LL1を移動し、トグルバネV2の歪エネルギの減少分は、箱SLと摩擦面KKの摩擦熱損失と各鋼球の上昇による位置エネルギの増加分と、鋼球同士が押し合い擦れ合って移動するときの摩擦熱損失とに変換される。
【0230】
箱SLが短い距離LL1を移動する所要時間は、箱SLの移動速度が小さいほど大きくなり、箱SLが大きく減速するほど大きくなる。箱SLの移動に伴うエネルギの消費が大きいほど大きくなり、箱SLの移動に大きな抵抗が負荷されるほど大きくなる。
【0231】
求められる遅延装置は、短い距離を長時間要して移動ししかも小さな力で移動し続ける装置である。
「油性タンクを備える市販のドアクローザ」は油圧タンクの排出口から油が流出し、油圧タンクの圧力を上げることによって排出口を出る油の粘性抵抗を大きくする装置である。「油性タンク内を移動するピストンPS」が、短い距離を長時間要して移動するように、排出口を出来るだけ小さくして油の流出量を小さくし、且つ油圧を大きくして油の流出速度を大きくし、大きな抵抗を得る。大きな力による大きなエネルギが大きな抵抗による摩擦損失に変換され、ゆっくり動くようにする。
【0232】
これに対して流体を「砂に代表される粉粒体」にする減速装置は、力を大きくしても装置の動作速度は最大値以上にならない。抵抗を大きく設定しても、最小の動作速度と装置を動作し続ける力の最小値を設定しやすい。
図17(b)に示すように、押板K1が鋼球SAの大きな抵抗を受けて止まってしまっても箱SLは前進し、装置を動かす力がいかに小さくても遅延装置が止まってしまうことはない。このように粉粒体の抵抗を採用する減速装置は「小さな力で小さな距離を長時間かけて移動する遅延装置」になる。
【0233】
図17(b)はドアDが全開したときの状態図で、箱SLは摩擦面KKの終点近くに設けられた登坂KKeに乗り上げて箱SL全体に装置エネルギを与える。箱SLはリンクA 1、A2鋼球SAの全部を一つにした一つの剛体となる。全閉時には回転体JがリンクAと箱SLを介してリンクDD1に連結され、付勢バネVの力がリンクDD1に作用する。
【0234】
図17(b)において、当たりG2に当接して静止するリンクAVが図17(c)に示すように当たりG1に当接して静止すると、押板K2の移動方向が右から左に逆転する。図17(c)の図中矢印方向は 図17(a)、図17(b)の図中矢印方向と逆方向で、各リンクの動作は戻りの動作となる。
押板K2が室SL2内の鋼球SA2を左側面SLw2に向かって押し込む。室SL1内の鋼球SA1が右の側面SLw1に向かって押し込まれるときと同じ動作特性を呈するがそれほど顕著ではない。左の鋼球SA2の量は右の鋼球の量と比べて少なく、押板K2が受ける抵抗も減速も小さい。右方向の動作に比べれば左方向の動作は一瞬にして終了する。
【0235】
リンクDD2もリンクDD1と同様に図示しないドアDに連結され、ドアDが開くときリンクDD2は図中矢印方向に回転し、「リンクDD2に設けられる当接部Gdd2」は、「左の側面SLw2に設けられる当接面SLk2」に近づく。
リンクDD2の回転が速く当接面SLk2の左方向の移動が遅れると、リンクDD2の当接部Gdd2が当接面SLk2に当接し、箱SLを持ち上げてドアDを減速転する。リンクDD2の回転が止まると、ドアD の回転も止まる。ドアDが開くとき突風を受けるなどして急激に開く回転は阻止される。
【0236】
取手から手を放してドアが突然急激に開くのはドアDをある程度開いた位置からである。当接部Gdd2が当接面SLk2に当接する以前から当接面SLk2が当接部Gdd2の進路を塞いでいるから、全閉したドアを開いてすぐにではなくしばらくしてリンクAVを当たりG1に当接するようにすると、開くと同時に急加速したドアDを含めてあらゆる場合の開く危険なドアを止めることになる。
【0237】
ドアDがゆっくりと開かれるときリンクDD2もゆっくり回転し、左の側面SLw2に設けられる窪みH2当接部Gdd2が嵌まり込む位置に待機できる。当接部Gdd2が窪みH2に嵌まり込むリンクDD2は自由に回転でき、ドアD自由に回転でき、ドアDは全閉する。
減速装置が一秒程度のタイマーとして使われるとき大きな抵抗を用いる必要はなく、鋼球SAの代わりに蒸発しない液体でもよい。その場合室SL1或いは室SL2から室SL3へ流体が流れ込んでも十分すぎる大きさの抵抗が働いている。
【0238】
市販のドアクローザは抵抗がついたドアを閉めるもので、開くとき抵抗のあるドアを開ける力がいる。図17のドアクローザも同じで、鋼球や摩擦面の抵抗で動き難いドアを開ける力がいる。
市販のドアクローザは、開くときはドアを閉めるための力をバネに蓄えて蓄えた力をドアが閉まるときだけに使うが、図1のドアクローザはドアを開くときにも使い、リンクAVを当たりG2に当接させて、ドアDの閉まり回転に用意して待機する必要があり、リンクAVを当たりG1に当接させる必要がある。
【0239】
図18のドアクローザは、閉止するドアDの所定の開度で減速装置が動き始めてドアDを止めるまで減速し、その後減速装置を解除してドアDが再び動いて全閉するようにするもので、減速装置を解除する装置は上記所定の開度以前にスタートするタイマーによって制御され、タイマーは予め設定した時間経過の後で「減速装置とドアD或いはそれと連動するドアクローザとの間の力の伝達」を切断する。
【0240】
予め設定した時間経過とは、減速装置が動き始めてドアDを停止させるまでに要する時間以上であって、ドアDが停止してから減速装置の解除が始まるまでいくら長時間であっても構わない。
通常、ドアDが減速されて停止するまで1秒もあれば十分なので、タイマーは1秒間ほど動き続けて最後に減速装置を解除する力を発揮すればよい。
【0241】
図18のドアクローザは、図示しないドアDと連動する回転体Jが固定部Wに設けられる回転軸Jwの周りに回転自在に軸支され、リンクAを介して回転体Jの回転は移動体Iの溝Mに沿往復運動に変換される。溝Mは固定部Wに設けられ、固定部Wはドア或いはドア枠に取り付けられるドアクローザである。
図18(a)に示す矢印方向は、ドアDが全閉に至る閉止過程の各リンクの運動方向を示し、図1(a)は、歯車Bが図示しない捩りバネVVの復元によって回転して減速装置を解除する状態を示している。
図18(b)はドアDを開いて図示しない捩りバネを伸縮させる過程を示し、図中矢印方向は図18(a)と反対方向である。
【0242】
車輪Bと車輪BBはそれぞれ移動体Iに設けられる支軸Biと支軸BBiの周りに回転自在に軸支され、複数の歯車を介して車輪Bの低速回転は車輪BBの高速回転に伝達される。車輪Bは捩りバネの復元時に一瞬にではなくゆっくりと回転することになる。
【0243】
車輪Bはラチェット歯車B1と平歯車B2とを備える。
図18(b)に示すように、ドアを開くときラチェット歯車B1は「ラチェット爪を直線状に配するラックR」と噛み合い、図示しない捩りバネを伸縮させる。同時に平歯車B2はラックRRと噛み合い、ラックRR「移動体Iに設けられる軌道Zi」に沿って、移動体Iと方向に移動る。
ラックRRは鋸歯状のラチェット歯RRRを備え「移動体Iに装着されるラチェット爪Ri」と噛み合って、図示しない捩りバネの復元を阻止している。
ラックRは固定部Wに設けられる支軸Pwの周りに回転自在に軸支され、押しバネUrに付勢されてラチェット歯車B1を押圧している。
ラチェット爪Riは移動体Iに設けられる支軸Piの周りに回転自在に軸支され、押しバネUiに付勢されてラックRRを押圧している。
【0244】
図18(a)に示すように、ドアDが閉まり始めた当初は、車輪Bは回転しないまま移動体Iは移動する。ラックRはラチェット歯車B1の上を滑走し、ラチェット歯車B1と移動体Iの移動に抵抗しない。
ブレーキシューKと解除面KKとは固定部Wに設けられる。ブレーキBKは移動体Iに装置され、図18(b)において、ブレーキシューKから離れる方向に移動し、図18(a)において近づく方向に移動する。
ラチェット歯Riは図18(b)において解除面KKから離れる方向に移動し、図18(a)において近づく方向に移動する。
【0245】
ドアDが閉まり始めて全閉前に至ると、図18(a)に示すように、ブレーキBKがブレーキシューKと接触しながら移動し、ドアDと移動体Iを減速する。ラチェット歯Riが解除面KKと接触しながら移動して、鋸歯状のラチェット歯RRRから離れて図示しない捩りバネがゆっくりと復元し、歯車B2が回転して ラックRRがゆっくりと歯車B2に沿って移動体Iの移動方向に移動する。
【0246】
ブレーキシューKがブレーキBKと接触して減速装置が始動するようにブレーキシューKを設ける位置は、ラチェット爪Riが解除面KKと接触して車輪B2が回転し始めた以後であるように設定される。ブレーキが効いて移動体Iが止まってしまったときは、すでにラックRRは移動し続けている。
図18(a)に示すように、ラックRRの先端部がブレーキBKに当接して、ブレーキBKがブレーキシューから離れ、減速装置は加除される。以後移動体Iは再び動き出し、ドアDは全閉に至る。
【0247】
市販のドアクローザはピストンPSがシリンダSL内の流体を排出口Hsから押し出して粘性抵抗を作り出してピストンPSを減速し、ピストンPSが減速して止まると抵抗もなくなる。
図19のドアクローザはピストンPSがシリンダSL内の流体を排出口Hsから押し出して、押し出した流体の圧力で排出口Hsを塞いで抵抗を作り出してピストンPSを減速する。ピストンPSが減速して止まると抵抗もなくなり、減速装置は自動的に解除される。
【0248】
図19は減圧器の仕組みを取り入れた減速器の断面図で、減速器の構造と仕組みは減圧器の構造と仕組みと略同じであるが、ピストンPSがシリンダSL内を移動するところが減圧器と異なっている。
図19(a),(b)において、高速回転したドアDがピストンPSを急激に押圧し、通常の減圧器と同じく「急激に上昇した高圧室内の気圧或いは液圧」がステムバネSPを伸縮させながら移動させ、ステムとシールが接触して「高圧室から低圧室の空気の流れ」を遮断する。ドアDが減速されて押圧力が減少するとステムバネSPが復元し、ステムとシールを離れて空気の流れが復活する。
【0249】
図19(a)において、流体が気体の場合、気体は排出口から大気に放出され図19(b)に図示する低圧室SL2は不要である。液体の場合、液体は排出口HSを境とする高圧室と低圧室との間を出入りし、密閉された容器の中で液体が大気中に漏れ出さないようにする。
ドアDが開きピストンPS戻るとき、低圧室の液体は自重によって高圧室に戻るが容器を鉛直に保つ必要がある。容器を水平にするときは自重に相当する戻しバネSPPの力が必要であるが、自重に相当する戻しバネSPPの力は小さい。
【0250】
ステムがシールに近づくときステムバネSPと戻しバネSPPとを伸縮させることになるが、これらのバネを伸縮させる力は、市販のドアクローザのように全閉したドアを開くときにドアを回転させる力以外に必要とされる力ではなく、ドアが高速回転したときに自然に発生するドアの慣性力である。したがって図19のドアクローザは、ドアを開くときに「ドアを減速するため力」は要らない。
【0251】
図19においてピストンPSはリンクAを介して図示しないドアDと連結され、ドアDが閉まるとき高圧室SL1内の気圧を上げながら図中矢印方向に移動する。ピストンリングPRはピストンPSとシリンダSL内との間の隙間をなくし、高圧室SL1内の高圧ガスが大気中SLwに抜けないようにしている。
ピストンPSとステムSTとに挟まれる空気は、ステムSTとシリンダSL内壁の隙間を通ってステムSTと排出口HSとの間に入り、排出口HSから排出される。ピストンPSとステムSTに挟まれる空気が減少し、ピストンPSがステムに近づくことによってドアが閉まっていく。
【0252】
図19(a)においてステムSTは概ね円錐形で、高圧室SL1と大気中SLwの圧力差によって図中矢印方向に移動し、円錐の先端部が排気口Hsに取り付けるシートSHを押圧し、排出口Hsを塞いで高圧ガスの排気が止められる。
ドアDが高速に回転すると、強くピストンPSを押圧する。排出口Hsが塞がりドアDは減速される。
ステムバネSpはステムSTを図中矢印と反対方向に付勢し、シートSHから引き離す方向に移動させる。ドアDが高速に回転しなくなると、ドアDがピストンPSを押圧する力が弱くなる。ステムバネSPの復元力でステムSTをシートSHから引き離し、排出口Hsから高圧ガスが排出され、高圧室SL1内は減圧する。
【0253】
ピストンPSがステムSTを押圧する力が、ステムバネSPの復元力より強くなるとステムSTがシートSHに近づき高圧ガスの流出量が減少する。
ドアDの慣性力はピストンPSがステムSTを押圧する力であって、ドアの慣性力が増加すると高圧ガスの排気が減少し排出口HSの排出面積が小さくなる。
ドアDが減速されて慣性力が減少すると、排出面積が大きくなって高圧室SL1内は減圧する。
【0254】
全閉時にはドアDの慣性力がなくなってもドアDに付勢バネVの力だけで、排出口HSが塞がれたままになることがある。戻しバネSPPは排出口HSが塞がれたままにならないようにするバネで、排出口HSの排出面積が減少し、まさに排出口HSが塞がれようとするとき、ステムSTを図中矢印と反対方向に押し上げる。
【0255】
ドアを開くときピストンPSが図中矢印と反対方向に移動し、ステムSTから離れていく。ステムSTもステムバネSPによって図中矢印と反対方向に移動し、排出口HSが大きく開いて初期状態に戻る。初期状態ではステムSTは「低速で移動するドアD」に対しては移動しない状態である。
【0256】
ピストンリングPRが吸気口Hssを通り過ぎると一気に高圧室SL1に空気が流入する。
図5に示した「付勢バネVの付勢がドアDを閉める方向から開く方向に逆転する位置(全開寸前の位置)」付近では、付勢バネVによってドアの回転する力が不足し新たに付勢するバネを追加する必要があるが、全開位置からドアが閉まりだして、ピストンリングPRが吸気口Hssを横切るまでは高圧室SL1の圧力は上昇しないので、減速器はドアDに抵抗しない。
【0257】
図19(b)はシリンダSL内に充填される流体が液体であって油とする。高圧室SL1内の油と低圧室SL2の油は流路SL3に出入りし、油はシリンダSL内を循環する。
図19(a)と同じく、ドアDすなわちピストンPSの加速によってステムSTが押圧されて、排出口HSの排出面積が減少しピストンPSを減速するが、ドアDが閉まるに従いピストンPSが図中矢印方向に移動し、高圧室SL1内の油は低圧室SL2内に移動する。
低圧室SL2の液面を押圧するピストンPSSはピストンリングPRRを備え、スプリングSSPPに付勢される。スプリングSSPPは図19(a)の戻しバネSPPに相当し、ピストンPSSを介して低圧室SL2の液面を押圧する力を略一定に保つようにする。戻しバネSPPの長さを長くし、或いは低圧室SL2の容量を大きくして液面の上昇を小さくする。
【0258】
図20(a)、図20(b)、図20(c)に記載するピストンPSは図19に記載したピストンPSと同じで、図示しないドアDと連結されている。図中矢印はドアDが閉まるときのピストンPSの移動方向を示す。
ステムSTの内部に高圧室SL1から低圧室SL2へつながる流路HSTが設けられる。
ステムSTは高圧室SL1の圧力によって伸縮する弾性体であって、伸縮によって流路HSTが塞がるようにして、流路HST内を流れる流体の流量を調整する。
【0259】
ドアDが加速すると、ステムSTが伸縮してドアDを減速する。ドアDが減速するとピストンPSの移動速度が減速し、流体の流量も減少して高圧室SL1は減圧される。弾性体のステムSTは復元し、流路HSTの穴の直径が大きくなる。ドアDが停止するまで減速されても再び加速できる。
【0260】
図20(a)に示すシリンダSLはホッパー形状で、上部の円筒部はピストンPSが往復する通路で下部のロート部に円錐形状のステムSTが密着剥離する。
ドアDが加速すると、ステムSTがシリンダSLロート部に密着して伸縮し流路は塞がる。減速するとロート部から離れて流路が開く。ステムSTを伸縮させる高圧室SL1の圧力とステムSTの復元力とが釣り合いを保つと、高圧室SL1の圧力は一定し流体の流量が一定しドアDは等速運動する。
【0261】
図20(b)に示すステムSTはドーム形状で半円球状の膜の頂部に排出口HSTが設けられ、排出口HSTの近傍の膜は、シリンダSL底部に設けられる半円球状の当接部GSLとドアDの加速時に密着しドアDの減速時に離反する。加速したドアDは減速され、減速したドアDは加速する。こうしてドアは所定の速度で等速運動をする。
【0262】
図20(c)、図20(d)はドアDが閉まるときだけでなく、開くときにも加速したドアを減速する。
図20(c)において上下2つに図示するピストンPSは一体で、一つのピストンPSの上端と下端である。ピストンPSの上下端部のそれぞれに、図20(b)に示した減速器が互いに向かい合って取り付けられる。ドアDが閉まるときピストンPSが図中矢印方向に移動する。ドアDを開くとき図中矢印と反対方向に移動する
【0263】
ピストンPSが図中矢印方向に移動するとき、下の高圧室SL1は加圧され閉まるドアDを減速し、上の高圧室SL内へ気口HSSから大気が流入し上の高圧室SLの気圧は大気圧になる。全閉したドアDを開いてピストンPSが図中矢印と反対方向に移動するとき、上のピストンPSのピストンリングPRが、上の高圧室SL1に設けられる吸気口HSSを横切ってから上の高圧室SL1が加圧されドアDを減速する。
【0264】
ドアDを開いた当初はドアDに全く抵抗はなく、ドアが急激に開いて全開寸前からドアDの減速が始まる。また上のステムSTと上の当接部GLSとの間の距離lccは、下のステムSTと下の当接部GSLとの間の距離lcより大きく、ドアDを開くときは閉まるときより急激な加速に対して減速する。
【0265】
図20(d)において、ピストンPSは円筒であって、中央に平板状の弾性体のステムSTを設ける。シリンダSLはステムSTを境にして、上部が低圧室SL2で下部が高圧室SL1である。
低圧室SL2の流体はピストンリングPR2によって、また高圧室SL1の流体はピストンリングPR1によってシリンダSL外部に漏れ出さない。ステムSTの中央に排出口HSTが設けられ、流体が排出口HSを通り抜けて高圧室SL1と低圧室SL2の間を出入りする。流体はシリンダSL内で循環する。
【0266】
ドアDが閉まるときピストンPSが下降し、ステムSTが破線で示すようにドーム状に変形し、ピストンPSが装着する当接部GSL1と当接して排出口HSTが塞がれる。高圧室SL1から低圧室SL2への流体の流量が減少して高圧室SL1内の圧力は上昇して、ピストンPSおよびドアDを制動する。高速で閉止するドアDにブレーキがかかるが、低速で閉止するドアには大きく減速しない。
【0267】
ドアを開くときは閉まるときと同様に、ステムSTが破線で示す反対方向に膨れ上がってピストンPSが装着する当接部GSL2に当接する。図示される距離lddは距離ldより大きく、ドアDが開くときはドアDが閉まるときより加速が大きくなければ減速せず、低速で回転するドアDに対しては全く抵抗しないようにしている。また開き始めてブレーキが効き始めるまでの時間を長くして、全開付近でしかブレーキが効かないようにしている。
【符号の説明】
【0268】
J 回転体
B 車輪
D ドア
G 当たり
K 摺動面
O 枢軸
V バネ
W 固定部
M 溝
図1
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図5
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