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特許7175842電動機、電動ポンプ、及びコネクタ製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】電動機、電動ポンプ、及びコネクタ製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20221114BHJP
   H01R 13/405 20060101ALI20221114BHJP
   H01R 13/74 20060101ALI20221114BHJP
   H01R 43/24 20060101ALI20221114BHJP
   H02K 5/22 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
H01R13/52 301H
H01R13/405
H01R13/74 Z
H01R43/24
H02K5/22
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019091967
(22)【出願日】2019-05-15
(65)【公開番号】P2020187927
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2021-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 啓樹
(72)【発明者】
【氏名】会田 聡士
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 傑
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-296147(JP,A)
【文献】特開2006-85960(JP,A)
【文献】特開平7-106045(JP,A)
【文献】特開2014-39381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52
H01R 13/405
H01R 13/74
H01R 43/24
H02K 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部、及び前記ベース部から突出された筒状のハウジング接続口を有するコネクタと、
前記ハウジング接続口が嵌合される筒状のコネクタ接続口を有するハウジングと、
前記ハウジング接続口と前記コネクタ接続口との間をシールするシール部材と、を備え、
前記ハウジング接続口は、
コネクタ側インロー部と、
前記コネクタ側インロー部と同軸上で、かつ同一面上に形成されたコネクタ側シール部と、
を有し、
前記コネクタ接続口は、
前記コネクタ側インロー部と当接するように嵌合されるハウジング側インロー部と、
前記ハウジング側インロー部と同軸上で、かつ前記ハウジング側インロー部と段差部を介して形成され、前記コネクタ側シール部と所定の隙間を開けて径方向で対向するハウジング側シール部と、
を有し、
前記コネクタ側シール部と前記ハウジング側シール部との間に、前記シール部材が配置されており、
前記コネクタ接続口の径方向内側に前記ハウジング接続口が嵌合されており、
前記ハウジング側シール部は、前記ハウジング側インロー部に対して前記段差部を介して拡径形成されており、
前記コネクタ側シール部の外側面と前記ハウジング側シール部の内側面との間に前記シール部材が配置されており、
前記コネクタは、前記ベース部における前記ハウジング接続口の外側面よりも外側から延出形成され、前記ハウジングに前記コネクタを固定するための脚部を少なくとも1つ有し、
前記脚部は、
前記ハウジングに当接する脚部側当接面と、
前記脚部側当接面を貫通するように形成され、固定部材が挿通される貫通孔と、
を有し、
前記ハウジングは、
前記脚部側当接面が当接されるハウジング側当接面と、
前記ハウジング側当接面に形成され、前記固定部材が固定される固定穴と、
を有し、
前記コネクタ接続口は、前記ハウジング側当接面から突出されており、前記ハウジング側インロー部を挟んで前記ハウジング側当接面とは反対側に前記ハウジング側シール部が配置されている
ことを特徴とする電動機。
【請求項2】
前記脚部側当接面と、前記コネクタ側インロー部における前記コネクタ側シール部とは反対側の端部と、の間の距離をLaとし、
前記ハウジング側当接面と、前記コネクタ接続口の先端と、の間の距離をLbとしたとき、
前記距離La,Lbは、
La<Lb
を満たしている
ことを特徴とする請求項に記載の電動機。
【請求項3】
前記脚部は、前記コネクタ接続口の軸方向と直交する径方向で前記コネクタ接続口と対向する内側面に突出された少なくとも1つの位置決めリブを有し、
前記コネクタ接続口は、前記脚部の前記内側面と前記径方向で対向する外側面に平坦面を有し、
前記平坦面に前記位置決めリブが当接されている
ことを特徴とする請求項又は請求項に記載の電動機。
【請求項4】
前記コネクタは、外部コネクタが接続される外部コネクタ接続部を有し、
前記外部コネクタ接続部は、
前記ベース部から前記ハウジング接続口と同軸上に延びる首部と、
前記首部から前記ハウジング接続口の軸方向と交差する方向に延出され前記外部コネクタが接続される外部コネクタ接続口と、
前記首部と前記ベース部とに跨るように形成された補強リブと、
を備えている
ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の電動機。
【請求項5】
前記ハウジング接続口は、前記ハウジング接続口及び前記コネクタ接続口の軸方向と交差するコネクタ側接続面を有するコネクタ側端子を備え、
前記コネクタ接続口は、前記軸方向と交差し、かつ前記コネクタ側接続面と当接されるハウジング側接続面を有するハウジング側端子を備え、
前記コネクタ側端子及び前記ハウジング側端子の少なくともいずれか一方は、
前記軸方向に沿う端子本体と、
前記端子本体の先端から屈曲延出され、かつ先端に向かうに従って前記端子本体から離間する方向に傾倒する舌片部と、
を有し、
前記舌片部は、前記コネクタ側接続面及び前記ハウジング側接続面のいずれかを有し、
前記コネクタ側接続面及び前記ハウジング側接続面は、前記端子本体側が開口するように前記コネクタ側接続面及び前記ハウジング側接続面との間に角度を有して配置されている
ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の電動機。
【請求項6】
前記コネクタは樹脂により形成されており、
前記コネクタは、
コネクタ側端子と、
前記コネクタ側端子の少なくとも一部が埋設されたプリモールド体と、
前記プリモールド体が埋設され、前記コネクタ側端子が露出された前記ベース部と、
を備えた
ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の電動機。
【請求項7】
前記プリモールド体は、
前記コネクタ側端子が埋設された板状の本体部と、
前記本体部の一面に突出され、前記一面の法線方向からみてT字状の乱流発生凸部と、
を有する
ことを特徴とする請求項に記載の電動機。
【請求項8】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の電動機と、
前記電動機に連結され、前記電動機によって駆動されるポンプ部と、を備え、
前記電動機は、前記ハウジング内に収納され前記ハウジング接続口を介して給電を行うための給電端子が設けられたモータ部を有し、
前記モータ部と前記ポンプ部とが連結されている
ことを特徴とする電動ポンプ。
【請求項9】
ハウジングの第1面と対向する第2面を有するベース部と、
前記ベース部の前記第2面から突出された筒状のハウジング接続口と、
前記ベース部に埋設されるプリモールド体と、
前記プリモールド体に埋設され、前記ハウジング接続口に一部が露出されるコネクタ側端子と、
を備え、
前記ハウジングの前記第1面に形成された筒状のコネクタ接続口の内側面に前記ハウジング接続口の外側面が嵌合されるコネクタのコネクタ製造方法であって、
金型に前記コネクタ側端子が埋設された前記プリモールド体をセットし、前記ベース部の前記第2面が前記金型のパーティングラインとなるように前記ベース部を成形することを特徴とするコネクタ製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機、電動ポンプ、及びコネクタ製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電動モータ等の電動機に給電を行うために、電動機に端子を設け、この端子と外部電源から延びるコネクタとを接続させる場合がある。この接続させる構造として、電動機が収納されているハウジングに電源側コネクタ差込用孔を設け、この電源側コネクタ差込用孔に端子を露出させる場合がある。外部電源から延びるコネクタの端子は、電源側コネクタ差込用孔にコネクタを差し込むことにより、電動機の端子と接続される。
【0003】
ここで、電源側コネクタ差込用孔に露出している端子、この端子に接続されるコネクタの端子の接続箇所は、コネクタの抜き差し方向と平行に延びている。このため、電源側コネクタ差込用孔にコネクタを差し込むことができ、電動機の端子とコネクタの端子とを接続できる。つまり、電動機の端子とコネクタの端子とを接続させる方向とコネクタの抜き差し方向とが一致している。また、このような場合、電源側コネクタ差込用孔の内側面とコネクタの外側面との間にOリング等のシール部材を設けるなど、簡素な構造で電源側コネクタ差込用孔とコネクタとの間のシール性を確保できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭63-155276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、レイアウトの制約上、電動機の端子とコネクタの端子との接続方向と、コネクタの抜き差し方向とを交差させたい場合がある。このような場合、ハウジングの設計変更が必要になりコストがかかる可能性があった。
【0006】
また、例えば、外部電源から延びるコネクタとは別に、このコネクタが装着可能なアダプタ用コネクタを設け、このアダプタ用コネクタをハウジングに取り付けることも考えられる。この場合、ハウジングとアダプタ用コネクタとの間のシール性を確保するために、ハウジング及びアダプタ用コネクタが大型化してしまう可能性があった。つまり、電動機の端子とコネクタの端子との接続方向と、コネクタの抜き差し方向とが交差しているので、コネクタの抜き差しの際にかかる荷重によってハウジングとアダプタ用コネクタとの間のシール性が損なわれてしまう可能性がある。このシール性を損なわないためにハウジング及びアダプタ用コネクタの接合強度を高めようとすると、ハウジング及びアダプタ用コネクタが大型化してしまう可能性があった。
【0007】
そこで、本発明は、外部電源から延びるコネクタの抜き差し方向の自由度を高めつつ、安価でかつ小型化できる電動機、電動ポンプ、及びコネクタ製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係る電動機は、ベース部、及び前記ベース部から突出された筒状のハウジング接続口を有するコネクタと、前記ハウジング接続口が嵌合される筒状のコネクタ接続口を有するハウジングと、前記ハウジング接続口と前記コネクタ接続口との間をシールするシール部材と、を備え、前記ハウジング接続口は、コネクタ側インロー部と、前記コネクタ側インロー部と同軸上で、かつ同一面上に形成されたコネクタ側シール部と、を有し、前記コネクタ接続口は、前記コネクタ側インロー部と当接するように嵌合されるハウジング側インロー部と、前記ハウジング側インロー部と同軸上で、かつ前記ハウジング側インロー部と段差部を介して形成され、前記コネクタ側シール部と所定の隙間を開けて径方向で対向するハウジング側シール部と、を有し、前記コネクタ側シール部と前記ハウジング側シール部との間に、前記シール部材が配置されており、前記コネクタ接続口の径方向内側に前記ハウジング接続口が嵌合されており、前記ハウジング側シール部は、前記ハウジング側インロー部に対して前記段差部を介して拡径形成されており、前記コネクタ側シール部の外側面と前記ハウジング側シール部の内側面との間に前記シール部材が配置されており、前記コネクタは、前記ベース部における前記ハウジング接続口の外側面よりも外側から延出形成され、前記ハウジングに前記コネクタを固定するための脚部を少なくとも1つ有し、前記脚部は、前記ハウジングに当接する脚部側当接面と、前記脚部側当接面を貫通するように形成され、固定部材が挿通される貫通孔と、を有し、前記ハウジングは、前記脚部側当接面が当接されるハウジング側当接面と、前記ハウジング側当接面に形成され、前記固定部材が固定される固定穴と、を有し、前記コネクタ接続口は、前記ハウジング側当接面から突出されており、前記ハウジング側インロー部を挟んで前記ハウジング側当接面とは反対側に前記ハウジング側シール部が配置されていることを特徴とする。
【0011】
上記構成において、前記脚部側当接面と、前記コネクタ側インロー部における前記コネクタ側シール部とは反対側の端部と、の間の距離をLaとし、前記ハウジング側当接面と、前記コネクタ接続口の先端と、の間の距離をLbとしたとき、前記距離La,Lbは、La<Lbを満たしてもよい。
【0012】
上記構成において、前記脚部は、前記コネクタ接続口の軸方向と直交する径方向で前記コネクタ接続口と対向する内側面に突出された少なくとも1つの位置決めリブを有し、前記コネクタ接続口は、前記脚部の前記内側面と前記径方向で対向する外側面に平坦面を有し、前記平坦面に前記位置決めリブが当接されてもよい。
【0013】
上記構成において、前記コネクタは、外部コネクタが接続される外部コネクタ接続部を有し、前記外部コネクタ接続部は、前記ベース部から前記ハウジング接続口と同軸上に延びる首部と、前記首部から前記ハウジング接続口の軸方向と交差する方向に延出され前記外部コネクタが接続される外部コネクタ接続口と、前記首部と前記ベース部とに跨るように形成された補強リブと、を備えてもよい。
【0014】
上記構成において、前記ハウジング接続口は、前記ハウジング接続口及び前記コネクタ接続口の軸方向と交差するコネクタ側接続面を有するコネクタ側端子を備え、前記コネクタ接続口は、前記軸方向と交差し、かつ前記コネクタ側接続面と当接されるハウジング側接続面を有するハウジング側端子を備え、前記コネクタ側端子及び前記ハウジング側端子の少なくともいずれか一方は、前記軸方向に沿う端子本体と、前記端子本体の先端から屈曲延出され、かつ先端に向かうに従って前記端子本体から離間する方向に傾倒する舌片部と、を有し、前記舌片部は、前記コネクタ側接続面及び前記ハウジング側接続面のいずれかを有し、前記コネクタ側接続面及び前記ハウジング側接続面は、前記端子本体側が開口するように前記コネクタ側接続面及び前記ハウジング側接続面との間に角度を有して配置されてもよい。
【0015】
上記構成において、前記コネクタは樹脂により形成されており、前記コネクタは、コネクタ側端子と、前記コネクタ側端子の少なくとも一部が埋設されたプリモールド体と、前記プリモールド体が埋設され、前記コネクタ側端子が露出された前記ベース部と、を備えてもよい。
【0016】
上記構成において、前記プリモールド体は、前記コネクタ側端子が埋設された板状の本体部と、前記本体部の一面に突出され、前記一面の法線方向からみてT字状の乱流発生凸部と、を有してもよい。
【0017】
本発明に係る電動ポンプは、上記に記載の電動機と、前記電動機に連結され、前記電動機によって駆動されるポンプ部と、を備え、前記電動機は、前記ハウジング内に収納され前記ハウジング接続口を介して給電を行うための給電端子が設けられたモータ部を有し、前記モータ部と前記ポンプ部とが連結されていることを特徴とする。
【0018】
本発明に係るコネクタ製造方法は、ハウジングの第1面と対向する第2面を有するベース部と、前記ベース部の前記第2面から突出された筒状のハウジング接続口と、前記ベース部に埋設されるプリモールド体と、前記プリモールド体に埋設され、前記ハウジング接続口に一部が露出されるコネクタ側端子と、を備え、前記ハウジングの前記第1面に形成された筒状のコネクタ接続口の内側面に前記ハウジング接続口の外側面が嵌合されるコネクタのコネクタ製造方法であって、金型に前記コネクタ側端子が埋設された前記プリモールド体をセットし、前記ベース部の前記第2面が前記金型のパーティングラインとなるように前記ベース部を成形することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、簡素な構造でハウジング接続口とコネクタ接続口との嵌合強度を確保しつつ、省スペースでハウジング接続口とコネクタ接続口とのシール性を確保できる。このため、例えば、コネクタのハウジング接続口とは反対側に外部のコネクタを装着する場合、この外部のコネクタの抜き差し方向と、ハウジング接続口とコネクタ接続口との嵌合方向が交差している場合であっても、電動機や電動ポンプを小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態における電動ポンプのポンプ部と制御装置とを断面とした側面図。
図2】本発明の実施形態におけるブラケットをポンプケース側からみた斜視図。
図3】本発明の実施形態におけるハウジングを開口部側からみた斜視図。
図4】本発明の実施形態における下方からみたコネクタ部の斜視図。
図5】本発明の実施形態における上方からみたコネクタ部の斜視図。
図6】本発明の実施形態におけるコネクタ側端子ユニットの斜視図。
図7図1のA-A線に沿う断面図。
図8】本発明の実施形態におけるコネクタ部の成形方法の説明図。
図9】本発明の実施形態におけるハウジング側端子とコネクタ側端子とが接続されるまでの経過を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
(電動ポンプ)
図1は、電動ポンプ1のポンプ部3と制御装置5とを断面とした側面図である。
電動ポンプ1は、例えば図示しない自動車に搭載されているミッション等の油圧装置にオイルを供給するためのものである。
図1に示すように、電動ポンプ1は、オイルOが貯留されているオイルタンクTの内部に配置されている。電動ポンプ1は、モータ装置(請求項における電動機に相当)2と、モータ装置2と一体化され、モータ装置2によって駆動されるポンプ部3と、を備えている。
【0023】
(モータ装置)
モータ装置2は、モータ部4と、モータ部4と一体的に設けられモータ部4を駆動させるための制御装置5と、を備えている。モータ部4は、いわゆるブラシレスモータである。モータ部4は、有底筒状のモータケース6と、モータケース6の内部に収納された図示しないステータと、ステータに対して回転自在に支持されたロータ110と、を備えている。ロータ110の回転軸111は、ポンプ部3と制御装置5とに回転自在に支持されている。回転軸111における制御装置5側の一端111aには、センサマグネット41が設けられている。センサマグネット41は、制御装置5に設けられた後述の回転位置検出センサ43の一方を構成している。
【0024】
モータケース6は、例えばアルミダイキャストで成形されている。モータケース6の軸方向は、回転軸111の回転軸線Cと一致している。電動ポンプ1は、回転軸111の回転軸線Cが水平方向に沿う向きでオイルタンクTの内部に配置されている。そして、モータ装置2の一部(図1では回転軸線Cを中心に略下半分)が、オイルOに浸漬されている。
なお、以下の説明では、回転軸線C方向を単に軸方向と称し、ロータ110(回転軸111)の回転方向を周方向と称し、軸方向及び周方向に直交する方向を径方向と称する。また、以下の説明では、オイルタンクTに電動ポンプ1を配置した向きで水平方向と平行で、かつ軸方向と直交する方向をX方向、上下方向と一致する方向をY方向などと表現する場合がある。
【0025】
(ポンプ部)
ポンプ部3は、モータケース6の底部6aに一体成形されたブラケット21と、ブラケット21のモータケース6とは反対側に取り付けられている略円筒状のポンプケース22と、ポンプケース22内に収納されているポンプロータ部23と、ポンプケース22をブラケット21とは反対側から覆うポンプカバー24と、を備えている。
【0026】
図2は、ブラケット21をポンプケース22側からみた斜視図である。
図1図2に示すように、ブラケット21の径方向中央には、軸方向に貫通する貫通孔25が形成されている。この貫通孔25に回転軸111が挿通されている。回転軸111の他端111bは、ブラケット21の貫通孔25を介してポンプケース22側に突出されている。
ブラケット21のモータケース6側には、貫通孔25の周囲を取り囲み、かつ貫通孔25に連通されたシール収納凹部26が形成されている。このシール収納凹部26には、オイルシール27が設けられている。オイルシール27は、貫通孔25と回転軸17との隙間を介してモータ装置2側にオイルが侵入してしまうことを防止するためのものである。
【0027】
ブラケット21には、貫通孔25よりも径方向外側に吸入ポート28及び吐出ポート29が形成されている。吸入ポート28及び吐出ポート29は、貫通孔25を中心に径方向で振り分け配置されている。吸入ポート28には、オイルOが貯留されているオイルタンクTのオイルOが吸入される。吐出ポート29は、吸入ポート28から吸入されたオイルOがポンプ部3を介して吐出される。吐出ポート29は、図示しない配管を介してミッション等の油圧装置に接続されている。
【0028】
ブラケット21のポンプケース22側の端面21aは、ポンプケース22及びポンプロータ部23と協働して、ポンプケース22及びポンプロータ部23とブラケット21との間からオイルが漏出されるのを抑制するシール面となる。ポンプケース22側の端面21aには、周方向に沿う略半円状の吸入油路31及び吐出油路32が形成されている。吸入油路31と吐出油路32とは、貫通孔25を中心に振り分け配置されている。吸入油路31は、吸入ポート28に連通されている。吐出油路32は、吐出ポート29に連通されている。
【0029】
また、ブラケット21の端面21aには、貫通孔25と吸入油路31とを連通するバイパス溝33が形成されている。バイパス溝33により、貫通孔25と回転軸17との間のオイルOが吸入油路31へと導かれる。
また、ブラケット21の端面21aには、この端面21aとポンプケース22との間のシール性を高めるためのOリング溝34が形成されている。このOリング溝34に図示しないOリングを装着することにより、ブラケット21とポンプケース22との間のシール性が確実に確保される。
【0030】
この他、ブラケット21には、外周面に、3つのボルト座35が周方向に等間隔で形成されている。各ボルト座35には、雌ネジ部35aが刻設されている。ボルト座35は、ブラケット21にポンプケース22とポンプカバー24とを締結固定するためのものである。
【0031】
図1に示すように、ポンプケース22は、例えばアルミダイキャストにより形成されている。ポンプケース22の径方向内側は、ポンプ室36とされている。
ポンプケース22内に収納されているポンプロータ部23は、ポンプケース22の内周面に回転自在に嵌合されているポンプアウタロータ37と、ポンプアウタロータ37の径方向内側に設けられたポンプインナロータ38と、を備えている。ポンプインナロータ38は、ポンプアウタロータ37に対して偏心した状態で回転自在に配置されている。このようなポンプインナロータ38に、回転軸111の他端111bが固定されている。
【0032】
このような構成のもと、ポンプアウタロータ37とポンプインナロータ38とにより、いわゆるトロコイド式ポンプが構成されている。すなわち、ポンプアウタロータ37の図示しない内歯と、ポンプインナロータ38の図示しない外歯とにより形成される空間の容積を変化させることで、オイルOを吸引して吸引したオイルOを吐出する作動室39が形成されている。作動室39において、ブラケット21、ポンプアウタロータ37、ポンプインナロータ38、及びポンプカバー24により囲まれた空間は、容積変化室39a,39bとして構成されている。
【0033】
容積変化室39a,39bのうち、吸入油路31に対応する容積変化室39aは、吸入油路31に連通されている。容積変化室39a,39bのうち、吐出油路32に対応する容積変化室39bは、吐出油路32に連通されている。これにより、吸入ポート28から吸入されたオイルOが、吸入油路31、容積変化室39a、容積変化室39b、及び吐出油路32を経て吐出ポート29から圧送される。
【0034】
ポンプケース22の外周面及びポンプカバー24には、図示しないボルト挿通孔が形成されている。これらボルト挿通孔にポンプカバー24のポンプケース22とは反対側から図示しないボルトが挿通され、このボルトがブラケット21の雌ネジ部35aに螺入される。これにより、ブラケット21にポンプケース22及びポンプカバー24が共締めされる。
【0035】
(制御装置)
制御装置5は、制御部40と、制御部40の一側に設けられたコネクタ部(請求項におけるコネクタに相当)60と、を備えている。
制御部40は、モータケース6の開口部6bに一体成形された制御ケース7と、制御ケース7内に収納されたホルダ8と、ホルダ8とモータ部4との間に配置され、ホルダ8に支持された回路基板9と、を備えている。ポンプ部3、モータ部4、及び制御装置5は、軸方向に並んで配置されている。
【0036】
回路基板9には、FET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)等のスイッチング素子、チョークコイル(いずれも図示しない)、及びコンデンサ18が実装されている。スイッチング素子は、モータ部4の図示しないコイルに供給する電流を制御する。チョークコイルやコンデンサ18は、雑防素子として機能する。
また、回路基板9には、回転軸111の一端111aと軸方向で対向する位置に、磁気検出素子42が実装されている。磁気検出素子42は、回転軸111の一端111aに設けられたセンサマグネット41の磁気の変化を検出する。これらセンサマグネット41と磁気検出素子42とによって、回転軸111(ロータ)の回転位置を検出する回転位置検出センサ43が構成される。
【0037】
また、回路基板9には、ハウジング側端子ユニット44が設けられている。ハウジング側端子ユニット44は、複数のハウジング側端子45と、これらハウジング側端子45を一体化させる樹脂モールド体46と、を備えている。樹脂モールド体46に各ハウジング側端子45が埋設されることにより、複数のハウジング側端子45が互いに絶縁された状態で一体化される。
各ハウジング側端子45は、軸方向からみて径方向に長くなるように屈曲延出されている。ハウジング側端子45の長手方向両端は、樹脂モールド体46から露出されている。各ハウジング側端子45の一端45aは、回路基板9と軸方向で対向する位置に配置されている。各ハウジング側端子45の他端45bは、コネクタ部60側に突出されている。
【0038】
各ハウジング側端子45の回路基板9側の一端45aは、モータ部4から延びる給電端子4aに接続されている。これにより、回路基板9とモータ部4の図示しないコイルとが電気的に接続される。
各ハウジング側端子45のコネクタ部60側の他端45bには、樹脂モールド体46から軸方向に沿って突出するハウジング側舌片部47が形成されている。ハウジング側舌片部47のコネクタ部60側の面は、コネクタ部60の後述するコネクタ側端子83のコネクタ側接続面92aと当接するハウジング側接続面47aとされている。
【0039】
制御ケース7は、樹脂により形成されている。制御ケース7は、モータ部4とは反対側に開口部11aを有する箱状のハウジング11と、ハウジング11の開口部11aを閉塞する板状のカバー12と、を備えている。ハウジング11は、軸方向からみて略四角形状に形成されている。ハウジング11に、ホルダ8及び回路基板9が収納される。ハウジング11の底部11bは、モータケース6の開口部6bに対応する大部分が開口されている。これによりハウジング11の内部とモータケース6の内部とが連通される。カバー12は、ボルト13によってハウジング11に締結固定されている。
【0040】
図3は、ハウジング11を開口部11a側からみた斜視図である。
図1図3に示すように、ハウジング11の周壁11cのうち、コネクタ部60側を向く側面(Y方向の上面、請求項における第1面に相当)11dには、コネクタ部60側に、コネクタ接続口48が一体成形されている。コネクタ接続口48は、ハウジング11の側面11dからコネクタ部60に向かって(Y方向に沿って)突出するベース部51と、ベース部51から突出する円筒部52と、が一体成形されたものである。ベース部51はY方向からみてX方向に長い略長方形状に形成されている。ベース部51の長手方向(X方向)の両端は、ハウジング11の側面11dから滑らかに隆起する曲線状に形成されている。この曲線状に形成されているうちの大部分に、X方向が法線方向となる平坦面51aが形成されている。
【0041】
また、コネクタ接続口48には、円筒部52の形状に対応するように、この円筒部52とベース部51との全体に渡ってY方向を軸方向とする段付き円筒内周面53が形成されている。段付き円筒内周面53は、ベース部51に対応する箇所に形成されたハウジング側インロー部54と、ベース部51と円筒部52との境界に形成された段差部56と、円筒部52に対応する箇所に形成され、ハウジング側インロー部54よりも段差部56を介して拡径形成されたハウジング側シール部55と、により構成されている。段差部56には、Oリング57(図1参照)が装着される。Oリング57は、コネクタ接続口48とコネクタ部60との間のシール性を確保するためのものである。
【0042】
(コネクタ部)
図4は、下方からみたコネクタ部60の斜視図である。図5は、上方からみたコネクタ部60の斜視図である。
図1図4図5に示すように、コネクタ部60は、樹脂により形成されている。コネクタ部60は、略円板状のベース部61と、ベース部61の制御部40側に突出形成されたハウジング接続口62と、ベース部61の制御部40とは反対側に突出形成された外部コネクタ接続部63と、ベース部61、ハウジング接続口62、及び外部コネクタ接続部63の一部に埋設されたコネクタ側端子ユニット80と、を備えている。
【0043】
ベース部61の外周面で、かつ制御部40とは反対側には、段差部61aを介して縮径された縮径部65が形成されている。この縮径部65の段差部61aとは反対側の端面65aに、外部コネクタ接続部63が突出されている。
また、ベース部61は、Y方向でハウジング11の側面11dと対向する端面(請求項における第2面に相当)61bを有している。この端面61bの径方向中央からハウジング接続口62が突出されている。ベース部61の端面61bには、ハウジング接続口62の周囲を取り囲むように、複数の凹部64が形成されている。凹部64は、コネクタ部60の軽量化を図る役割を有するとともに、コネクタ部60に肉厚を全体的に均一にしてコネクタ部60の成形性を向上させる役割を有する。
【0044】
ハウジング接続口62は、Y方向に沿う円筒状に形成されている。ハウジング接続口62は、ベース部61の端面61bから立ち上がるコネクタ側シール部66と、コネクタ側シール部66の先端に一体成形されたコネクタ側インロー部67と、からなる。これらコネクタ側シール部66とコネクタ側インロー部67とは、同軸上で、かつ同一面上に形成されている。つまり、コネクタ側シール部66の外径とコネクタ側インロー部67の外径とは同一径である。ハウジング接続口62の外径(コネクタ側シール部66の外径及びコネクタ側インロー部67の外径)は、ハウジング11のコネクタ接続口48におけるハウジング側インロー部54の内径と同一か又は若干小さい程度である。
【0045】
ベース部61の端面61bには、ハウジング接続口62を挟んで両側に脚部68a,68bが一体成形されている。2つの脚部68a,68bはハウジング接続口62を中心に対称に形成されたものであり、基本的構成は同一である。このため、以下の説明では、2つの脚部68a,68bのうちの一方の脚部68aのみについて説明し、他方の脚部68bについては一方の脚部68aと同一符号を付して説明を省略する。その他、他方の脚部68bについては、必要に応じて説明する。
【0046】
脚部68aは、ベース部61の端面61bから制御部40側に向かって突出する脚部本体71と、脚部本体71の制御部40側の先端からハウジング接続口62とは反対側に突出する固定部72と、が一体成形されたものである。脚部本体71は、Y方向からみて軸方向に長い長方形状に形成されている。また、脚部本体71は、短手方向における側面の法線方向がX方向に沿うように配置されている。脚部本体71のハウジング接続口62側を向く内側面71aには、Y方向に沿う2つの位置決めリブ73が突出形成されている。
【0047】
ここで、2つの脚部68a,68bに形成されている位置決めリブ73の間の長さL1は、ハウジング11のベース部51に形成されている2つの平坦面51aの間の長さL2(図7参照)と同一か又は若干大きい程度である。
また、脚部本体71の先端には、肉盗み部71cが凹設されている。肉盗み部71cは、コネクタ部60の軽量化を図る役割を有するとともに、コネクタ部60に肉厚を全体的に均一にしてコネクタ部60の成形性を向上させる役割を有する。
【0048】
脚部本体71の先端に一体成形された固定部72は、軸方向及びX方向に沿う平板状に形成されている。固定部72の制御部40側の平坦面72aは、脚部本体71の先端面71bと同一平面状に形成されている。固定部72のハウジング接続口62とは反対側の先端には、略半円形状の丸面取り部72bが形成されている。固定部72には、厚さ方向(Y方向)に貫通する貫通孔72cが形成されている。この貫通孔72cに、フランジ付きカラー74が嵌合されている。
【0049】
フランジ付きカラー74のフランジ部75は、固定部72の平坦面72aに当接されている。これにより、固定部72に対するフランジ付きカラー74の位置決めが行われる。フランジ付きカラー74には、ボルト(請求項における固定部材に相当)70(図7参照)が挿通される。このボルト70によって、制御部40のハウジング11にコネクタ部60が締結固定される。フランジ付きカラー74のフランジ部75における制御部40側に露出された平坦面は、ハウジング11にコネクタ部60を締結固定する際、ハウジング11の側面11dに当接される脚部側当接面75aとされる。
【0050】
外部コネクタ接続部63には、図示しない外部電源から延びる外部コネクタが接続される。外部コネクタ接続部63は、断面略L字状であり、ベース部51における縮径部65の端面65aからY方向に沿って突出された首部76と、首部76のベース部51とは反対側端から軸方向に沿って屈曲延出された外部コネクタ接続口77と、が一体成形されたものである。
【0051】
首部76は、X方向及びY方向に沿う平板状に形成されている。首部76のモータ装置2側の平坦面76aには、3本の補強リブ78が一体成形されている。各補強リブ78は、首部76における平坦面76aの全体に渡ってY方向に沿って形成されている。また、各補強リブ78は、首部76と縮径部65の端面65aとに跨るように形成されている。補強リブ78は、X方向からみて外部コネクタ接続口77に向かうに従って先細りとなるように略三角形状に形成されている。
【0052】
外部コネクタ接続口77は、四角筒状に形成されている。また、外部コネクタ接続口77は、軸方向からみてX方向に長い長方形状に形成されている。外部コネクタ接続口77内には、コネクタ側端子ユニット80の外部接続用舌片部93が露出されている。
【0053】
図6は、コネクタ側端子ユニット80の斜視図である。
図1図5図6に示すように、コネクタ側端子ユニット80は、コネクタ部60を成形する際に、ベース部61、ハウジング接続口62、及び外部コネクタ接続部63の一部に埋設される。コネクタ側端子ユニット80は、X方向及びY方向に沿う平板状で、かつY方向に長い樹脂製のプリモールド体82と、プリモールド体82に埋設された複数(本実施形態では4本)のコネクタ側端子83と、を備えている。
【0054】
プリモールド体82は、X方向及びY方向に沿う平板状で、かつY方向に長い本体部84と、本体部84における長手方向のハウジング接続口62側の端部に一体成形された円柱状のハウジング接続口嵌合部85と、本体部84における長手方向の外部コネクタ接続部63側の端部に一体成形された外部コネクタ接続口嵌合部86と、を備えている。
【0055】
本体部84の長手方向(Y方向)中央よりも外部コネクタ接続口嵌合部86側には、2の開口部89が形成されている。2つの開口部89は、軸方向(本体部84の厚さ方向)からみてY方向に長い長方形状に形成されている。2つの開口部89は、X方向に並んで配置されている。2つの開口部89を介してコネクタ側端子83の一部が露出されている。開口部89は、プリモールド体82に複数のコネクタ側端子83をインサート成形した後、各コネクタ側端子83を分断するために用いられる(詳細は後述する)。
【0056】
本体部84における軸方向でモータ装置2とは反対側の平坦面(請求項における一面に相当)84aには、ハウジング接続口嵌合部85側の端部に、立ち上がり壁87が一体成形されている。この立ち上がり壁87と平坦面84aとに跨るように、乱流発生凸部88が突出形成されている。
乱流発生凸部88は、ベース部61、ハウジング接続口62、及び外部コネクタ接続部63を成形する際、意図的に樹脂の流れを乱すことによってベース部61、ハウジング接続口62、及び外部コネクタ接続部63にウェルドが発生してしまうことを抑制する役割を有する。なお、ウェルドとは、樹脂の流れの合流部分に発生する線状の模様のことをいう。
【0057】
乱流発生凸部88は、本体部84の長手方向略中央から立ち上がり壁87に至る間に形成されている。乱流発生凸部88は、軸方向からみて(平坦面84aの法線方向からみて)略T字状に形成されている。すなわち、乱流発生凸部88は、立ち上がり壁87から外部コネクタ接続口嵌合部86側にY方向に沿って延出するY方向延出部88aと、Y方向延出部88aの外部コネクタ接続口嵌合部86側の端部からX方向に沿って延出するX方向延出部88bと、が一体成形されたものである。
【0058】
ハウジング接続口嵌合部85は、立ち上がり壁87の乱流発生凸部88とは反対側の面87aに一体成形されている。ハウジング接続口嵌合部85は、軸方向がY方向に沿うように略円柱状に形成されている。ハウジング接続口嵌合部85の外径は、ハウジング接続口62の内径と同一である。
【0059】
外部コネクタ接続口嵌合部86は、外部コネクタ接続口77の形状に対応するように形成されている。外部コネクタ接続口嵌合部86は、本体部84の平坦面84aから若干突出するように形成されている。外部コネクタ接続口嵌合部86は、外部コネクタ接続口77の根本に埋設されている。
【0060】
ここで、プリモールド体82には、ハウジング接続口嵌合部85から本体部84を経て外部コネクタ接続口嵌合部86に至る間に呼吸路90が形成されている。呼吸路90は、ハウジング接続口嵌合部85の端面85aに開口されているとともに、外部コネクタ接続口嵌合部86の端面86aに開口されている。呼吸路90は、コネクタ部60を介して制御部40の内部(モータ装置2の内部)と外部とを連通する。これにより、電動ポンプ1内の圧力が高まってしまうことを防止できる。
【0061】
コネクタ側端子83は、プリモールド体82の長手方向(Y方向)全体に渡って屈曲延出された端子本体91と、端子本体91のハウジング接続口嵌合部85側の端部に設けられたコネクタ側舌片部(請求項における舌片部に相当)92と、端子本体91の外部コネクタ接続口嵌合部86側の端部に設けられた外部接続用舌片部93と、が一体成形されたものである。
各端子本体91は、本体部84の開口部89から一部が露出されるように配置されている。各端子本体91は、本体部84の開口部89から露出する箇所に、切断部94aが形成されている。切断部94aは、各端子本体91が連結された連結部94を切断することにより、形成される。切断部94aは、プリモールド体82に複数のコネクタ側端子83をインサート成形した後に形成される(詳細は後述する)。
【0062】
端子本体91のハウジング接続口嵌合部85側の端部は、ハウジング接続口嵌合部85の端面85aからY方向に沿って突出されている。この突出された端子本体91の端部に、コネクタ側舌片部(請求項における舌片部に相当)92が屈曲延出されている。コネクタ側舌片部92は、端子本体91の端部から軸方向に沿うように屈曲延出されつつ、先端に向かうに従って端子本体91から離間する方向に向かって若干傾倒されている。コネクタ側舌片部92の制御部40側の面は、ハウジング側舌片部47のハウジング側接続面47aと当接するコネクタ側接続面92aとされている。
【0063】
端子本体91の外部コネクタ接続口嵌合部86側の端部は、外部コネクタ接続口嵌合部86の根本に位置されている。この端子本体91の外部コネクタ接続口嵌合部86側の端部に、外部接続用舌片部93が軸方向に沿って屈曲延出されている。外部接続用舌片部93の先端が、外部コネクタ接続口77内に突出され、露出されている。外部接続用舌片部93と図示しない外部コネクタの端子とが接続されることにより、コネクタ部60に外部電源が供給される。
【0064】
図7は、図1のA-A線に沿う断面図である。
図1図7に示すように、コネクタ部60は、脚部68a,68bに設けられたフランジ付きカラー74の脚部側当接面75aがハウジング11の側面11dに当接され、ボルト70によってハウジング11に締結固定される。具体的には、固定部72のハウジング11とは反対側からフランジ付きカラー74にボルト70が挿入され、このボルト70がハウジング11の側面11dに形成された雌ネジ部(請求項における固定穴に相当)11e(図3参照)に螺合される。これにより、ハウジング11にコネクタ部60が締結固定される。ハウジング11の側面11dのうち、雌ネジ部11eが形成され、コネクタ部60の脚部側当接面75aが当接される箇所は、ハウジング側当接面11fとされる。
【0065】
ハウジング11にコネクタ部60が締結固定された状態では、ハウジング11に形成されているベース部51のX方向両側にコネクタ部60の2つの脚部68a,68bが配置される。2つの脚部68a,68bに形成されている位置決めリブ73の間の長さL1は、ハウジング11のベース部51に形成されている2つの平坦面51aの間の長さL2(図7参照)と同一か又は若干大きい程度であるので、ハウジング11のベース部51に形成されている平坦面51aに、脚部68a,68bの位置決めリブ73が当接される。これにより、ハウジング11に対するコネクタ部60の位置決めが行われる。
【0066】
ハウジング11にコネクタ部60が締結固定された状態では、ハウジング11のハウジング側端子45に設けられたハウジング側接続面47aと、コネクタ部60のコネクタ側端子83に設けられたコネクタ側接続面92aとが当接される。
ここで、ハウジング側接続面47aを有するハウジング側舌片部47は、樹脂モールド体46から軸方向に沿って突出している。一方、コネクタ側接続面92aを有するコネクタ側舌片部92は、先端に向かうに従って端子本体91から離間する方向に向かって若干傾倒されている。
【0067】
また、ハウジング11にコネクタ部60が締結固定された状態では、ハウジング11のコネクタ接続口48に形成されている段付き円筒内周面53のうち、ハウジング側インロー部54に、コネクタ部60のハウジング接続口62のうち、コネクタ側インロー部67が嵌合される。同時に、ハウジング側シール部55に対応する位置に、コネクタ側シール部66が位置される。
【0068】
ここで、ハウジング接続口62を構成するコネクタ側シール部66とコネクタ側インロー部67とは、同軸上で、かつ同一面上に形成されている。また、ハウジング接続口62の外径は、ハウジング側インロー部54の内径と同一か又は若干小さい程度である。このため、ハウジング側インロー部54にコネクタ側インロー部67が嵌合される一方、ハウジング側シール部55とコネクタ側シール部66との間には、コネクタ接続口48の段差部56の分だけ隙間が形成される。この隙間は、Oリング57を取り付けるスペースとして機能している。これにより、ハウジング側シール部55とコネクタ側シール部66との間にOリング57を取り付けることができ、コネクタ接続口48とハウジング接続口62との間のシール性が確保される。
【0069】
また、ハウジング11にコネクタ部60が締結固定された状態において、コネクタ部60における脚部68a,68bの脚部側当接面75aとコネクタ側インロー部67の先端(コネクタ側インロー部67におけるコネクタ側シール部66とは反対側の端部)との間の距離をLaとし、ハウジング11におけるハウジング側当接面11fとコネクタ接続口48の先端(ハウジング側シール部55の先端)との間の距離をLbとしたとき、距離La,Lbは、
La<Lb ・・・(1)
を満たしている。
【0070】
(コネクタ部の成形方法)
次に、図8に基づいて、コネクタ部60の成形方法について説明する。
図8は、コネクタ部60の成形方法の説明図である。
コネクタ部60を成形するにあたり、まず、コネクタ側端子ユニット80を成形する。この際、コネクタ側端子ユニット80の成形用の図示しない金型を使用する。この金型に複数のコネクタ側端子83をセットし、金型に樹脂を流し込むことによりプリモールド体82を成形する。
【0071】
ここで、図示しない金型に複数のコネクタ側端子83をセットする段階では、複数のコネクタ側端子83は連結部94(図6参照)によって連結されている。このため、図示しない金型内で各コネクタ側端子83がばらつくことがなく、金型内に容易に複数のコネクタ側端子83をセットできる。
プリモールド体82を成形した後、プリモールド体82の開口部89を介して露出する連結部94を、図示しない工具を用いて切断する。これにより、連結部94に切断部94aが形成される。切断部94aを形成することにより、各コネクタ側端子83が分断される。このため、各コネクタ側端子83が互いに絶縁された状態でプリモールド体82に保持される。
【0072】
コネクタ側端子ユニット80を成形した後、図8に示すように、金型120にコネクタ側端子ユニット80をセットする。
ここで、金型120は、上型121と、下型122と、上型121と下型122との間に設けられたスライドコア123と、を備えている。上型121及び下型122には、それぞれ入れ子121a,122aが設けられている。これら入れ子121a,122aにより、コネクタ部60のベース部61の外周面を成形する。また、上型121及び下型122により、外部コネクタ接続部63を成形する。
【0073】
スライドコア123は、ハウジング接続口62を成形する。つまり、ハウジング接続口62の外周面(コネクタ側シール部66及びコネクタ側インロー部67)には、金型120のパーティングラインが設定されない。スライドコア123と上型121及び下型122とのパーティングラインPLは、ベース部61の端面61bに設定される。金型120に樹脂を流し込むことにより、ベース部61、ハウジング接続口62、及び外部コネクタ接続部63が成形される。これにより、コネクタ部60の成形が完了する。
【0074】
ここで、コネクタ部60を成形するにあたり、金型120にはコネクタ側端子ユニット80がセットされるので、金型120によって複数のコネクタ側端子83を位置決め、支持する必要がない。このため、ハウジング接続口62の外周面に金型120のパーティングラインを設定することなく、ベース部61の端面61bにパーティングラインPLを設定することが可能となる。
また、コネクタ側端子ユニット80には、乱流発生凸部88が形成されている。金型120に樹脂が流れ込む際、乱流発生凸部88に到達した樹脂は流れる方向が乱れる。このため、コネクタ部60にウェルドが形成されにくい。
【0075】
また、コネクタ部60には、首部76と縮径部65の端面65aとに跨るように補強リブ78が形成されている。補強リブ78は、X方向からみて外部コネクタ接続口77に向かうに従って先細りとなるように略三角形状に形成されている。このため、外部コネクタ接続部63が断面略L字状であっても、樹脂流れが悪くなることがない。コネクタ部60全体に樹脂がスムーズに満遍なく行き渡る。なお、金型120のゲート位置P(図4参照)は、首部76と外部コネクタ接続口77と接続部であって、首部76の平坦面76a側である。
【0076】
(コネクタ部の組み付け)
次に、ハウジング11へのコネクタ部60の組み付けについて説明する。
まず、ハウジング11のコネクタ接続口48にコネクタ部60の脚部68a,68bを向ける。そして、脚部68a,68bの間に、ハウジング11のベース部51を嵌め込むように、ハウジング11へとコネクタ部60を接近させる。この際、脚部68a,68bの脚部側当接面75aとコネクタ側インロー部67の先端との間の距離La、及びハウジング11のハウジング側当接面11fとコネクタ接続口48の先端との間の距離Lbは、上記式(1)を満たしている。このため、ハウジング11の円筒部52(段付き円筒内周面53)にコネクタ部60のハウジング接続口62が嵌合されるよりも先に、コネクタ部60の脚部68a,68b間にハウジング11のベース部51が嵌り込む。
【0077】
すると、ベース部51の平坦面51aに脚部68a,68bの位置決めリブ73が当接され、ハウジング11に対するコネクタ部60の向きが決定される。この状態でハウジング11の側面11dにコネクタ部60を押し込んでいくと、ハウジング11の円筒部52にコネクタ部60のハウジング接続口62がスムーズに嵌合される。さらに、ハウジング11の側面11dにコネクタ部60を押し込んでいくと、ハウジング11のハウジング側当接面11fに脚部68a,68bの脚部側当接面75aが当接される。そして、ハウジング側端子45のハウジング側接続面47aとコネクタ側端子83のコネクタ側接続面92aとが当接され、これらハウジング側端子45とコネクタ側端子83とが接続される。
【0078】
図9は、ハウジング側端子45とコネクタ側端子83とが接続されるまでの経過を示す説明図である。
ここで、ハウジング側接続面47aを有するハウジング側舌片部47は、樹脂モールド体46から軸方向に沿って突出している。一方、コネクタ側接続面92aを有するコネクタ側舌片部92は、先端に向かうに従って端子本体91から離間する方向に向かって若干傾倒されている。
【0079】
このため、図9に示すように、コネクタ側端子83に向かってハウジング側端子45が接近していく過程では(矢印Y1参照)、ハウジング側接続面47a及びコネクタ側接続面92aは、ハウジング側端子45及び端子本体91側が開口するようにハウジング側接続面47aとコネクタ側接続面92aとの間に角度を有する。ハウジング側接続面47aとコネクタ側接続面92aとが当接する際は、まず、各舌片部47,92の先端同士が最初に当接される。そして、ハウジング側端子ユニット44とコネクタ側端子ユニット80との製造誤差により、各舌片部47,92の接近度合いが変化する。この接近度合いによってハウジング側接続面47aとコネクタ側接続面92aとが当接される面積が変化する。つまり、ハウジング側端子45とコネクタ側端子83とを接続するにあたり、コネクタ側舌片部92の傾倒分だけハウジング側端子ユニット44とコネクタ側端子ユニット80との製造誤差が許容される。
【0080】
ハウジング11のハウジング側当接面11fに脚部68a,68bの脚部側当接面75aが当接された後、固定部72のハウジング11とは反対側からフランジ付きカラー74にボルト70を挿入する。そして、このボルト70をハウジング11の側面11dに形成された雌ネジ部11e(図3参照)に螺合させる。これにより、ハウジング11にコネクタ部60が締結固定され、ハウジング11へのコネクタ部60の組み付けが完了する。
【0081】
このように組付けられたコネクタ部60の外部コネクタ接続口77に、図示しない外部コネクタが嵌着される。
ここで、外部コネクタ接続口77を有する外部コネクタ接続部63は、断面略L字状に形成されている。つまり、外部コネクタ接続部63の首部76は、Y方向に沿って延出されている一方、外部コネクタ接続口77はY方向に沿って延出されている。このため、外部コネクタ接続口77に、図示しない外部コネクタを嵌着させる際、首部76に大きな応力がかかる可能性がある。しかしながら、コネクタ部60には、首部76と縮径部65の端面65aとに跨るように補強リブ78が形成されている。補強リブ78は、X方向からみて外部コネクタ接続口77に向かうに従って先細りとなるように略三角形状に形成されている。このため、補強リブ78によって、首部76にかかる応力を受け、首部76が変形してしまうことが防止される。
【0082】
(電動ポンプの動作)
次に、電動ポンプ1の動作について説明する。
コネクタ部60の外部コネクタ接続部63(外部コネクタ接続口77)に図示しない外部コネクタを嵌着させることにより、コネクタ部60、制御部40を介してモータ装置2に電力が供給される。すると、モータ装置2が駆動され、ポンプ部3が駆動される。ポンプ部3が駆動されると、吸入ポート28、作動室39を経て吐出ポート29からオイルOが吐出される。
【0083】
この際、ポンプ部3を構成するブラケット21の端面21aには、貫通孔25と吸入油路31とを連通するバイパス溝33が形成されている。このバイパス溝33により、貫通孔25と回転軸17との間のオイルOが昇圧される前にこのオイルOが吸入油路31へと導かれる。このため、貫通孔25と回転軸17との間のオイルOが昇圧されることにより、オイルシール27を介してモータ装置2側へとオイルOが侵入してしまうことを防止される。
また、コネクタ部60には、呼吸路90が形成されている。この呼吸路90は、コネクタ部60を介して制御部40の内部(モータ装置2の内部)と外部とを連通するので、電動ポンプ1内の圧力が高まってしまうことが防止される。
【0084】
このように、上述の実施形態では、ハウジング接続口62を構成するコネクタ側シール部66とコネクタ側インロー部67とは、同軸上で、かつ同一面上に形成されている。また、ハウジング接続口62の外径は、ハウジング側インロー部54の内径と同一か又は若干小さい程度である。このため、ハウジング側インロー部54にコネクタ側インロー部67が嵌合される一方、ハウジング側シール部55とコネクタ側シール部66との間には、コネクタ接続口48の段差部56の分だけ隙間が形成される。この隙間は、Oリング57を取り付けるスペースとして機能している。これにより、ハウジング側シール部55とコネクタ側シール部66との間にOリング57を取り付けることができ、コネクタ接続口48とハウジング接続口62との間のシール性が確保される。また、コネクタ側シール部66とコネクタ側インロー部67とが同軸上で、かつ同一面上に形成されるので、シール性を確保しつつ、コネクタ接続口48やハウジング接続口62を省スペースに配置できる。
【0085】
また、コネクタ接続口48の段付き円筒内周面53に、ハウジング接続口62の外周面を嵌合させている。このように構成することで、コネクタ接続口48の外周面にハウジング接続口62を嵌合させる場合と比較してハウジング接続口62の構成を簡素化できる。
また、コネクタ部60は、ハウジング接続口62を挟んで両側からハウジング11側に突出する脚部68a,68bを有している。この脚部68a,68bの脚部側当接面75aとハウジング11のハウジング側当接面11fとを当接させ、ハウジング11の雌ネジ部11eにボルト70を螺合させることにより、ハウジング11にコネクタ部60を締結固定させている。このため、ハウジング11にコネクタ部60が安定して配置され、ハウジング11にコネクタ部60が強固に固定される。
【0086】
この際、コネクタ接続口48にハウジング接続口62が嵌合される。Oリング57によってコネクタ接続口48とハウジング接続口62との間がシールされるハウジング側シール部55は、コネクタ接続口48の先端側に配置されている。このため、コネクタ接続口48の先端側からOリング57を容易に組み付けることができ、コネクタ部60の組み付け性も向上できる。また、コネクタ接続口48の先端側にOリング57が配置されるので、コネクタ接続口48の根本側にOリング57を配置する場合と比較して、ハウジング11とコネクタ部60との間に塵埃等が溜まってしまうことをできる限り防止できる。
【0087】
また、脚部68a,68bの脚部側当接面75aとコネクタ側インロー部67の先端との間の距離La、及びハウジング11のハウジング側当接面11fとコネクタ接続口48の先端との間の距離Lbは、上記式(1)を満たしている。このため、ハウジング11の円筒部52(段付き円筒内周面53)にコネクタ部60のハウジング接続口62が嵌合されるよりも先に、コネクタ部60の脚部68a,68b間にハウジング11のベース部51を嵌め込むことができる。つまり、ハウジング11の円筒部52にハウジング接続口62が嵌合される直前で、円筒部52とハウジング接続口62との心出しが完了される。このため、円筒部52にハウジング接続口62をスムーズに嵌合させることができ、コネクタ部60の組つけ時にOリング57が損傷してしまうことも防止できる。よって、信頼性の高い電動ポンプ1を提供できる。
【0088】
また、コネクタ接続口48のベース部51には、平坦面51aが形成されている。コネクタ部60の脚部68a,68bには、平坦面51aに当接される位置決めリブ73が形成されている。これら平坦面51aと位置決めリブ73とにより、ハウジング11に対するコネクタ部60の向きを確実に決定でき、コネクタ部60の組み付け性をより確実に向上できる。
【0089】
また、コネクタ部60の外部コネクタ接続部63は、X方向及びY方向に沿う平板状の首部76と、首部76から軸方向に沿って屈曲延出された外部コネクタ接続口77と、を備えている。このように、ハウジング11のハウジング側端子ユニット44の延出方向に対して直交する方向に外部コネクタ接続口77を有しているので、図示しない外部コネクタの接続方向をハウジング側端子ユニット44の延出方向とは異なる方向に設定できる。つまり、外部コネクタの接続方向の設定自由度を高めることができる。
【0090】
また、首部76と縮径部65の端面65aとに跨るように補強リブ78が形成されている。補強リブ78は、X方向からみて外部コネクタ接続口77に向かうに従って先細りとなるように略三角形状に形成されている。このため、外部コネクタ接続部63が断面略L字状であっても、樹脂流れが悪くなることがなく、コネクタ部60の成形性を向上できる。
外部コネクタ接続口77に、図示しない外部コネクタを嵌着させる際、首部76に大きな応力がかかる可能性がある。しかしながら、補強リブ78によって、首部76にかかる応力を受け、首部76が変形してしまうことを確実に防止できる。
【0091】
また、コネクタ部60のコネクタ側舌片部92は、端子本体91の端部から軸方向に沿うように屈曲延出されつつ、先端に向かうに従って端子本体91から離間する方向に向かって若干傾倒されている。つまり、ハウジング側接続面47a及びコネクタ側接続面92aは、ハウジング側端子45及び端子本体91側が開口するようにハウジング側接続面47aとコネクタ側接続面92aとの間に角度を有する。このため、ハウジング側端子45とコネクタ側端子83とを接続するにあたり、コネクタ側舌片部92の傾倒分だけハウジング側端子ユニット44とコネクタ側端子ユニット80との製造誤差を許容できる。よって、ハウジング側端子ユニット44とコネクタ側端子ユニット80とを確実に接続させることができる。
【0092】
また、コネクタ部60は、コネクタ側端子ユニット80を備えている。このため、プリモールド体82によって、複数のコネクタ側端子83を予め一体化できる。この結果、ベース部61、ハウジング接続口62、及び外部コネクタ接続部63を成形する際、金型120内で複数のコネクタ側端子83を位置決めさせる必要がなく、コネクタ部60の成形性を向上できる。
また、金型120内で複数のコネクタ側端子83を位置決めさせる必要がないので、ハウジング接続口62の外周面に金型120のパーティングラインを設定することなく、ベース部61の端面61bにパーティングラインPLを設定することが可能になる。このため、ハウジング接続口62の外周面を高精度に成形することができ、Oリング57の機能を十分に発揮させることができる。
【0093】
また、プリモールド体82には、乱流発生凸部88が形成されている。乱流発生凸部88は、軸方向からみて(平坦面84aの法線方向からみて)略T字状に形成されている。乱流発生凸部88によって、金型120に樹脂を流し込んだ際、乱流発生凸部88に到達した樹脂の流れが乱れ、ベース部61、ハウジング接続口62、及び外部コネクタ接続部63にウェルドが形成されてしまうことを防止できる。このため、コネクタ部60の品質を向上できる。
【0094】
また、コネクタ部60には、呼吸路90が形成されている。この呼吸路90は、コネクタ部60を介して制御部40の内部(モータ装置2の内部)と外部とを連通するので、電動ポンプ1内の圧力が高まってしまうことを防止できる。
【0095】
また、ポンプ部3を構成するブラケット21の端面21aには、貫通孔25と吸入油路31とを連通するバイパス溝33が形成されている。バイパス溝33により、貫通孔25と回転軸17との間のオイルOが吸入油路31へと導かれる。つまり、貫通孔25と回転軸17との間のオイルOが昇圧される前にこのオイルOが吸入油路31へと導かれる。このため、貫通孔25と回転軸17との間のオイルOが昇圧されることにより、オイルシール27を介してモータ装置2側へとオイルOが侵入してしまうことを防止できる。
【0096】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、電動ポンプ1は、図示しない自動車に搭載されているミッション等の油圧装置にオイルを供給するためのものである場合について説明した。しかしながら、電動ポンプ1は自動車用に限られるものではなく、さまざまな油圧装置にオイルを供給するためのものとして使用することが可能である。
【0097】
また、上述の実施形態では、電動ポンプ1にハウジング11やコネクタ部60を有する制御装置5が設けられている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、さまざまな電動機の駆動制御を行うものに、ハウジング11やコネクタ部60の構成を採用することができる。
また、上述の実施形態では、コネクタ部60には、首部76と縮径部65の端面65aとに跨るように3本の補強リブ78が一体成形されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、コネクタ部60に少なくとも1本の補強リブ78が形成されていればよい。
【0098】
また、上述の実施形態では、コネクタ部60には、2つの脚部68a,68bが一体成形されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなくコネクタ部60に、少なくとも1つ脚部が設けられていればよい。また、2つ以上の脚部を設けてもよい。ハウジング11のベース部51は、脚部の個数に応じて平坦面51aを形成すればよい。
また、上述の実施形態では、脚部68a,68bには、Y方向に沿う2つの位置決めリブ73が突出形成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、脚部68a,68bに、少なくとも1つの位置決めリブ73が突出形成されていればよく、2つ以上の位置決めリブ73が突出形成されてもよい。
【0099】
また、上述の実施形態では、コネクタ接続口48の内周面(段付き円筒内周面53)にハウジング接続口62の外周面を嵌合させる場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、コネクタ接続口48の外周面に、ハウジング接続口62の内周面を嵌合させるように構成してもよい。この場合、コネクタ接続口48の段付き円筒内周面53の構成を、コネクタ接続口48の外周面に形成する。つまり、ハウジング側シール部55を、ハウジング側インロー部54よりも段差部56を介して縮径形成する。
【0100】
また、上述の実施形態では、コネクタ側端子ユニット80のコネクタ側舌片部92は、端子本体91の端部から軸方向に沿うように屈曲延出されつつ、先端に向かうに従って端子本体91から離間する方向に向かって若干傾倒されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ハウジング側舌片部47を、先端に向かうに従ってハウジング側端子45から離間する方向に向かって傾倒させてもよい。また、コネクタ側舌片部92及びハウジング側舌片部47の両者92,47を傾倒させてもよい。換言すれば、ハウジング側接続面47a及びコネクタ側接続面92aは、ハウジング側端子45及び端子本体91側が開口するようにハウジング側接続面47aとコネクタ側接続面92aとの間に角度を有していればよい。
【0101】
また、上述の実施形態では、金型120の上型121及び下型122には、それぞれ入れ子121a,122aが設けられている場合について説明した。これら入れ子121a,122aにより、コネクタ部60のベース部61の外周面を成形する場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、上型121及び下型122により、直接ベース部61の外周面を成形してもよい。
【0102】
また、上述の実施形態では、コネクタ接続口48とコネクタ部60との間のシール性を確保するために、Oリング57を用いた場合について説明した。しかしながら、コネクタ接続口48とコネクタ部60との間のシール性を確保できればよい。例えば、Oリング57に代わってオイルシールを設けてもよい。
また、上述の実施形態では、ボルト70によって、制御部40のハウジング11にコネクタ部60が締結固定される場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、制御部40のハウジング11にコネクタ部60が固定できる部材であればよい。例えば、ボルト70に代わってリベット等を用いてもよい。この場合、ハウジング11に、雌ネジ部11eに代わってリベット固定用の穴(凹部)を形成する。
【符号の説明】
【0103】
1…電動ポンプ、2…モータ装置(電動機)、3…ポンプ部、4…モータ部、4a…給電端子、11…ハウジング、11e…雌ネジ部(固定穴)、11f…ハウジング側当接面(第1面)、45…ハウジング側端子、47a…ハウジング側接続面、48…コネクタ接続口、51…ベース部、51a…平坦面、52…円筒部、53…段付き円筒内周面、54…ハウジング側インロー部、55…ハウジング側シール部、56…段差部、57…Oリング(シール部材)、60…コネクタ部(コネクタ)、61…ベース部、61b…端面(第2面)、62…ハウジング接続口、63…外部コネクタ接続部、66…コネクタ側シール部、67…コネクタ側インロー部、68a,68b…脚部、70…ボルト(固定部材)、72c…貫通孔、73…位置決めリブ、76…首部、77…外部コネクタ接続口、78…補強リブ、82…プリモールド体、83…コネクタ側端子、84…本体部、84a…平坦面(一面)、88…乱流発生凸部、91…端子本体、92…コネクタ側舌片部(舌片部)、92a…コネクタ側接続面、PL…パーティングライン
図1
図2
図3
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図7
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図9