(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】樹脂成形装置および樹脂成形方法
(51)【国際特許分類】
B29C 45/42 20060101AFI20221114BHJP
B29C 33/44 20060101ALI20221114BHJP
B29C 33/72 20060101ALI20221114BHJP
B29C 45/38 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
B29C45/42
B29C33/44
B29C33/72
B29C45/38 H
(21)【出願番号】P 2019183038
(22)【出願日】2019-10-03
【審査請求日】2021-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 慎
(72)【発明者】
【氏名】村川 純一
(72)【発明者】
【氏名】原 彰良
(72)【発明者】
【氏名】杉本 陽滉
【審査官】今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-145550(JP,A)
【文献】特開2009-147188(JP,A)
【文献】特開2011-023650(JP,A)
【文献】特開平07-135232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/42
B29C 33/44
B29C 33/72
B29C 45/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形対象物を樹脂成形する樹脂成形装置であって、
成形型を含み、前記成形型によって樹脂成形を行なう成形部と、
直交する3軸方向の各々に沿って直線状に往復移動する搬送機構と、
前記搬送機構に着脱可能に装着されるローダーキットと、
前記搬送機構に着脱可能に装着されるアンローダーキットと、を備え、
前記搬送機構に前記アンローダーキットが装着されておらず且つ前記搬送機構に前記ローダーキットが装着されている状態で、成形前の前記成形対象物は前記搬送機構および前記ローダーキットによって前記成形部に搬入され、
前記搬送機構に前記ローダーキットが装着されておらず且つ前記搬送機構に前記アンローダーキットが装着されている状態で、成形後の前記成形対象物は前記搬送機構および前記アンローダーキットによって前記成形部から搬出され
、
前記搬送機構から外された前記ローダーキットおよび前記アンローダーキットが配置されるキット配置部と、
前記成形部に搬入される成形前の前記成形対象物が配置される供給部と、
前記成形部から搬出された成形後の前記成形対象物が配置される排出部と、をさらに備え、
前記成形部と前記キット配置部とを平面視した場合、前記成形部と前記キット配置部とは第1軸方向に沿って並んで配置されており、前記供給部と前記排出部とは、前記第1軸方向に直交する第2軸方向において、前記キット配置部に対して互いに反対側に配置されている、
樹脂成形装置。
【請求項2】
成形前の前記成形対象物は、電子部品が実装された基板を含み、
前記供給部は、前記基板が収容されるインマガジン部と、前記基板が位置決めされて配置されるアライメント部と、を有し、
前記インマガジン部と前記アライメント部とは、前記第1軸方向に沿って並んで配置されており、
前記インマガジン部と前記成形部とは、前記第2軸方向に沿って並んで配置されており、
前記アライメント部と前記キット配置部とは、前記第2軸方向に沿って並んで配置されている、
請求項
1に記載の樹脂成形装置。
【請求項3】
搬送経路をさらに備え、
前記搬送経路は、前記インマガジン部と前記アライメント部との間に設けられ、前記インマガジン部からの前記基板が前記搬送経路上で前記第1軸方向に沿って搬送され、
前記搬送機構は、
前記第1軸方向に往復移動する第1本体部と、
前記第1本体部の下方側に設けられ、前記ローダーキットと前記アンローダーキットとが着脱可能に装着される接続部と、
前記第1本体部を支持する第2本体部と、
前記第2本体部を下方側から支持し、前記第2本体部を前記第2軸方向に沿って往復移動させる駆動部と、を含み、
前記駆動部は、前記第1軸方向において前記キット配置部に対して前記成形部とは反対側に位置する第1位置と、前記第1軸方向において前記アライメント部に対して前記インマガジン部とは反対側に位置する第2位置との間で、少なくとも前記第2軸方向に沿って延在しており、
前記第2本体部のうち、前記第2軸方向において前記供給部側に位置する部分は、前記第2本体部が前記搬送経路の上方に位置することが可能なように、前記駆動部によって片持ち梁状に支持されている、
請求項
2に記載の樹脂成形装置。
【請求項4】
成形対象物を樹脂成形する樹脂成形装置であって、
成形型を含み、前記成形型によって樹脂成形を行なう成形部と、
直交する3軸方向の各々に沿って直線状に往復移動する搬送機構と、
前記搬送機構に着脱可能に装着されるローダーキットと、
前記搬送機構に着脱可能に装着されるアンローダーキットと、を備え、
前記搬送機構に前記アンローダーキットが装着されておらず且つ前記搬送機構に前記ローダーキットが装着されている状態で、成形前の前記成形対象物は前記搬送機構および前記ローダーキットによって前記成形部に搬入され、
前記搬送機構に前記ローダーキットが装着されておらず且つ前記搬送機構に前記アンローダーキットが装着されている状態で、成形後の前記成形対象物は前記搬送機構および前記アンローダーキットによって前記成形部から搬出され、
吸引ダクトをさらに備え、
前記搬送機構は、前記成形型を清掃するためのクリーナー部を有し、
前記搬送機構が前記成形部に対して進入および退出する方向に移動する場合に、前記吸引ダクトが前記クリーナー部に対して接続状態にでき、
前記搬送機構が前記成形部に対する進入および退出の前後において、前記成形部に対して進入および退出する方向と交差する方向に前記搬送機構が移動する場合に、前記吸引ダクトが前記クリーナー部に対して非接続状態とされている
、
樹脂成形装置。
【請求項5】
樹脂成形装置を使用して成形対象物を樹脂成形する樹脂成形方法であって、
前記樹脂成形装置は、
成形型を含み、前記成形型によって樹脂成形を行なう成形部と、
直交する3軸方向の各々に沿って直線状に往復移動する搬送機構と、
前記搬送機構に着脱可能に装着されるローダーキットと、
前記搬送機構に着脱可能に装着されるアンローダーキットと、を備え、
前記搬送機構に前記アンローダーキットが装着されておらず且つ前記搬送機構に前記ローダーキットが装着されている状態で、成形前の前記成形対象物は前記搬送機構および前記ローダーキットによって前記成形部に搬入され、
前記搬送機構に前記ローダーキットが装着されておらず且つ前記搬送機構に前記アンローダーキットが装着されている状態で、成形後の前記成形対象物は前記搬送機構および前記アンローダーキットによって前記成形部から搬出され、
前記樹脂成形方法は、
成形前の前記成形対象物を前記搬送機構および前記ローダーキットによって前記成形部に搬入する工程と、
前記搬送機構から前記ローダーキットを外し、前記搬送機構に前記アンローダーキットを装着する工程と、
成形後の前記成形対象物を前記搬送機構および前記アンローダーキットによって前記成形部から搬出する工程と、を備える、
樹脂成形方法。
【請求項6】
成形後の前記成形対象物を前記アンローダーキットによって前記成形部からディゲート部に搬出する第1工程と、
ゲート部分が除去された前記成形対象物を前記ディゲート部からアウトマガジン部に搬送する第2工程と、
前記第1工程と前記第2工程との間に、前記搬送機構から前記アンローダーキットを外して前記搬送機構に前記ローダーキットを装着し、新たな成形前の前記成形対象物を前記成形部に搬入して樹脂成形を行なう工程と、を備える、
請求項
5に記載の樹脂成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、樹脂成形装置および樹脂成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂成形装置においては、IC(Integrated Circuit)、トランジスタ、コンデンサ等の電子部品が実装された基板が成形対象物として準備される。トランスファモールド法、圧縮成形法(コンプレッションモールド法)および射出成形法(インジェクションモールド法)等を使用して樹脂成形を行なうことにより、基板上の電子部品が樹脂封止される。樹脂成形装置の中では、樹脂成形に伴う数多くの処理(前処理および後処理など)が実施される。
【0003】
成形対象物を成形部の成形型に搬入および搬出するために、搬入専用の機構と搬出専用の機構とが別々に設けられることがある。この場合、少なくとも2つの機構が存在することになり、部品点数や駆動機構を減らすこと、装置の小型化、装置重量の軽減、および消費エネルギーの低減等を図ることが難しくなる。下記の特許文献1に開示された装置は、六軸多関節ロボットの作動アームと、複数のツールとを備える。各ツールはモールド加工の各工程に対応している。作動アームに対し、工程に応じたツールを順次交換および装着し、モールド加工が行なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された装置においては、六軸多関節ロボットの作動アームに、搬入用のツールおよび搬出用のツールを装着することで、成形部への成形対象物の搬入と成形部からの成形対象物の搬出とをそれぞれ行なうことができる。しかしながら、六軸多関節の構造を採用する場合には、作動アームの可動範囲として十分なスペースを確保する必要があるため、装置の小型化をすることは容易ではない。
【0006】
本明細書は、上述したような従来技術に比べて装置の小型化を図りやすい構成を備えた樹脂成形装置、およびそのような樹脂成形装置を用いて樹脂成形を行なう樹脂成形方法を開示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に基づく樹脂成形装置は、成形対象物を樹脂成形する樹脂成形装置であって、成形型を含み、前記成形型によって樹脂成形を行なう成形部と、直交する3軸方向の各々に沿って直線状に往復移動する搬送機構と、前記搬送機構に着脱可能に装着されるローダーキットと、前記搬送機構に着脱可能に装着されるアンローダーキットと、を備え、前記搬送機構に前記アンローダーキットが装着されておらず且つ前記搬送機構に前記ローダーキットが装着されている状態で、成形前の前記成形対象物は前記搬送機構および前記ローダーキットによって前記成形部に搬入され、前記搬送機構に前記ローダーキットが装着されておらず且つ前記搬送機構に前記アンローダーキットが装着されている状態で、成形後の前記成形対象物は前記搬送機構および前記アンローダーキットによって前記成形部から搬出される。
【0008】
本明細書に基づく樹脂成形方法は、上記樹脂成形装置を使用して成形対象物を樹脂成形する樹脂成形方法であって、成形前の前記成形対象物を前記搬送機構および前記ローダーキットによって前記成形部に搬入する工程と、前記搬送機構から前記ローダーキットを外し、前記搬送機構に前記アンローダーキットを装着する工程と、成形後の前記成形対象物を前記搬送機構および前記アンローダーキットによって前記成形部から搬出する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
上記構成を備えた樹脂成形装置によれば、装置の小型化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態における樹脂成形装置の内部構造を模式的に示す平面図である。
【
図2】
図1に示す樹脂成形装置において、説明上の便宜のため搬送機構の図示を省略した状態を示す平面図である。
【
図3】実施の形態における樹脂成形装置に備えられる搬送機構、ローダーキットおよびアンローダーキットを模式的に示す断面図である。
【
図4】実施の形態における樹脂成形装置に備えられる搬送機構および搬送経路等を示す斜視図である。
【
図5】実施の形態における樹脂成形方法を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態における樹脂成形装置について、以下、図面を参照しながら説明する。以下の説明において同一の部品および相当部品には同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0012】
(樹脂成形装置100)
図1は、樹脂成形装置100の内部構造を模式的に示す平面図である。
図2は、
図1に示す樹脂成形装置100において、説明上の便宜のため搬送機構20の図示を省略した状態を示す平面図である。
図1及び
図2に示すように、樹脂成形装置100は、供給部10、搬送機構20(
図1)、キット配置部30、ローダーキット31、アンローダーキット36、成形部40、および排出部50を備える。
【0013】
後述するように、搬送機構20は直交する3軸方向の各々に沿って直線状に往復移動することが可能である。ここでは3軸方向は、第1軸方向A1、第2軸方向A2および第3軸方向A3から構成される。第1軸方向A1は、
図1,
図2紙面内では上下方向に延びる方向であり、たとえば樹脂成形装置100の奥行方向に相当する。第2軸方向A2は、
図1,
図2紙面内では左右方向に延びる方向であり、たとえば樹脂成形装置100の幅方向に相当する。第3軸方向A3は、
図1,
図2紙面に対して垂直に延びる方向であり、たとえば樹脂成形装置100の高さ方向に相当する。搬送機構20は、たとえば、第1軸方向A1に移動可能な第1直動機構と、第2軸方向A2に移動可能な第2直動機構と、第3軸方向A3に移動可能な第3直動機構とを用いて3軸方向に往復移動可能とすることができる。
【0014】
(成形部40、排出部50)
成形部40は成形型41を含む。
図1,
図2には成形型41として下型が図示されているが、成形型には下型に対向して配置される上型も含まれる。成形部40において、これらの成形型により成形対象物が樹脂成形される。
【0015】
排出部50には、成形部40から排出された成形後の成形対象物(樹脂成形品ともいう)が配置される。排出部50は、ディゲート部51と、アウトマガジン部52とを含む。成形後の成形対象物は、成形部40から、キット配置部30(後述)の位置およびディゲート部51を経由してアウトマガジン部52に搬送される。ディゲート部51とアウトマガジン部52とは、第1軸方向A1に沿って並んで配置されている。アウトマガジン部52と成形部40とは、第2軸方向A2に沿って並んで配置されている。
【0016】
(供給部10)
供給部10には、成形部40に搬入される成形前の成形対象物(換言すると、成形部40に搬入されることが予定されている成形前の成形対象物)が配置される。成形前の成形対象物は、電子部品が実装された基板である。ここで、基板としては、たとえばリードフレーム、プリント配線板を用いることができ、これら以外にも、金属製基板、樹脂製基板、セラミック製基板等を用いることができる。
【0017】
本実施の形態の供給部10内には、インマガジン部11、駆動機構12、グリップフィーダー13、搬送ガイド15a,15b、搬送経路16、基板配置部17、樹脂リフト部18およびアライメント部19が設けられている。
【0018】
インマガジン部11と成形部40とは、第2軸方向A2に沿って並んで配置されている。インマガジン部11には複数の基板が収容されている。駆動機構12は、装置(樹脂成形装置100)の第2軸方向A2における端部位置(ここでは左端位置)の近傍で、第1軸方向A1に沿って延在している。駆動機構12により、グリップフィーダー13は第1軸方向A1に往復移動する。
【0019】
搬送ガイド15a,15bは、第1軸方向A1に沿って平行に延びており、搬送ガイド15a,15bの間に搬送経路16が形成される。プッシャーと、グリップフィーダー13の先端把持部14とによって、基板がインマガジン部11から搬送経路16上に取り出される。
【0020】
本実施の形態においては、インマガジン部11とアライメント部19とが、第1軸方向A1に沿って並んで配置されている。アライメント部19は、基板配置部17および樹脂リフト部18を含む。搬送経路16は、インマガジン部11とアライメント部19(より具体的には基板配置部17)との間に設けられ、インマガジン部11から取り出された基板は、第1軸方向A1に沿って搬送経路16上でアライメント部19内の基板配置部17に搬送される。
【0021】
樹脂リフト部18は、第2軸方向A2において基板配置部17に隣り合う位置に設けられる。樹脂リフト部18では、基板配置部17内の基板と略同じ高さに位置するように、樹脂材料が所定のストッカから第3軸方向A3に沿って持ち上げられる。アライメント部19内の基板配置部17および樹脂リフト部18においては、基板および樹脂材料が位置決めされて配置される。樹脂材料としては、たとえば、粉末状の熱硬化性樹脂を押し固めることで形成されたタブレット状樹脂を用いることができる。
【0022】
(キット配置部30、ローダーキット31およびアンローダーキット36)
ローダーキット31は搬送機構20に着脱可能に装着され、アンローダーキット36も搬送機構20に着脱可能に装着される。非接触式で電気信号を送受信可能な装置が、ローダーキット31および搬送機構20にそれぞれ設けられているとよい。さらに、電気信号の送受信可能な装置として、ローダーキット31と搬送機構20との間で、圧縮空気の接続を可能とする機能も有する装置を用いることもできる。アンローダーキット36および搬送機構20についても同様である。
【0023】
キット配置部30は、搬送機構20から外されたローダーキット31および搬送機構20から外されたアンローダーキット36を配置するために、装置内に設けられたスペースである。本実施の形態では、アライメント部19とキット配置部30とが第2軸方向A2に沿って並んで配置されている。
【0024】
供給部10、キット配置部30および排出部50を平面視した場合、ローダーキット31がキット配置部30内で供給部10の側に配置され、アンローダーキット36がキット配置部30内で排出部50の側に配置される。成形部40とキット配置部30とを平面視した場合、成形部40とキット配置部30とは第1軸方向A1に沿って並んで配置されており、供給部10と排出部50とは、第2軸方向A2において、キット配置部30に対して互いに反対側に配置されている。
【0025】
図3は、樹脂成形装置100に備えられる搬送機構20、ローダーキット31およびアンローダーキット36を模式的に示す断面図である。
図2および
図3に示すように、ローダーキット31は、接続部32、基板保持部33、および樹脂材料保持部34を有する。接続部32を介してローダーキット31は搬送機構20側の接続部29に着脱可能に装着される。ローダーキット31がアライメント部19の上方に配置された状態で、基板保持部33および樹脂材料保持部34によって、成形前の成形対象物である基板および樹脂材料がアライメント部19から取り上げられて保持される。
【0026】
アンローダーキット36は、接続部37および保持部38を有する。接続部37を介してアンローダーキット36は搬送機構20側の接続部29に着脱可能に装着される。型開きの後、アンローダーキット36が成形型41の下型の上方に配置された状態で、保持部38によって、成形後の成形対象物(樹脂成形品)が成形型41の下型から取り上げられて保持される。
【0027】
(搬送機構20)
図4は、樹脂成形装置100に備えられる搬送機構20および搬送経路16等を示す斜視図である。
図1、
図3および
図4に示すように、搬送機構20は、第1本体部21、第2本体部22、駆動部23、モータ24(駆動源)、ガイド部材25、クリーナー部26、昇降機構27,28、および接続部29を含む。搬送機構20においては、第1本体部21および第2本体部22ならびに昇降機構27,28の動作によって、接続部29が、直交する3軸方向の各々に沿って直線状に往復移動することができる。
【0028】
具体的には、第1本体部21および第2本体部22は、第1軸方向A1において相対移動可能なように互いに組み付けられる。第1本体部21は不図示の駆動機構によって駆動されることで、第2本体部22に対して第1軸方向A1に相対的に往復移動する。駆動機構としては、たとえばサーボモータおよびラックアンドピニオンギア機構を採用できる。ここでの駆動機構は、上述の第1直動機構、第2直動機構および第3直動機構のうち、第1軸方向A1に移動可能な第1直動機構に相当すると表現することができる。
【0029】
第2本体部22は第1本体部21を支持する。接続部29は、昇降機構27,28を介して第1本体部21の下方側に設けられる(
図3)。接続部29は、いわゆるツールチェンジャーとして機能する。昇降機構27,28としてはエアシリンダーを採用できる。ローダーキット31とアンローダーキット36とが接続部29に着脱可能に装着される。また、昇降機構27,28は、搬送機構20にローダーキット31が装着された状態で成形前の成形対象物を成形型41の下型に載置する際と、搬送機構20にアンローダーキット36が装着された状態で成形後の成形対象物を成形型41の下型から取り上げる際とにおいて、第3軸方向A3での移動に利用することができる。
【0030】
なお、昇降機構27,28は、
図3に示す構成において、第1本体部21を挟む両側方に配置されているが、数量も位置も
図3に図示された数量および位置に限定されない。たとえば、昇降機構は、1つとすることもできるし、第1本体部21に対して
図3紙面の奥側の位置に配置してもよい。昇降機構は、第2本体部22に対して第1本体部21を昇降させることができれば任意の数量および任意の位置を採用できる。ここでの昇降機構は、上述の第1直動機構、第2直動機構および第3直動機構のうち、第3軸方向A3に移動可能な第3直動機構に相当すると表現することができる。
【0031】
駆動部23は、たとえばタイミングベルトから構成され、ガイド部材25とともに第2本体部22を下方側から支持する。駆動部23およびガイド部材25は、いずれも第2軸方向A2に沿って平行に延在している。駆動部23がモータ24(サーボモータ)によって駆動されることで、第2本体部22は第1本体部21と一体的に、第2軸方向A2に沿って往復移動する。したがって、上述の第1直動機構、第2直動機構および第3直動機構のうち、第2軸方向A2に移動可能な第2直動機構は、駆動部23およびガイド部材25から構成されると表現することができる。
【0032】
搬送機構20にアンローダーキット36が装着されておらず且つ搬送機構20にローダーキット31が装着されている状態で、成形前の成形対象物は搬送機構20およびローダーキット31によって成形部40に搬入される。搬送機構20にローダーキット31が装着されておらず且つ搬送機構20にアンローダーキット36が装着されている状態で、成形後の成形対象物は搬送機構20およびアンローダーキット36によって成形部40から搬出される。
【0033】
本実施の形態においては、第1位置P1、第2位置P2および第3位置P3が規定される。第1位置P1は、第1軸方向A1において、キット配置部30に対して成形部40とは反対側に位置する。換言すると、第1軸方向A1において第1位置P1と成形部40との間にキット配置部30が位置している。第2位置P2は、同方向において、アライメント部19に対してインマガジン部11とは反対側に位置する。第3位置P3は、同方向において、ディゲート部51に対してアウトマガジン部52とは反対側に位置する。
【0034】
駆動部23は、第1位置P1と第2位置P2との間で、少なくとも第2軸方向A2に沿って延在している。本実施の形態における駆動部23は、第2位置P2と第3位置P3との間で第2軸方向A2に沿って延在している。
図4に示すように、第2本体部22は部分22aを有している。部分22aは、第2本体部22のうち、第2軸方向A2において供給部10側に位置する。第2本体部22の部分22aは、側面視でL字形状の形状を有しており、第2本体部22が搬送経路16の上方に位置することが可能なように駆動部23によって片持ち梁状に支持されている。
【0035】
換言すると、第2本体部22の上記部分22a(
図4)においては、部分22aのうちの成形部40とは反対側に位置する領域22bは、駆動部23に接続されており、駆動部23によって下方から支持されている。一方で、部分22aのうちの成形部40側に位置する領域22cは、ガイド部材25から上方側に離れており、領域22cの下方には空間SP(
図4)が形成されている。第2本体部22が第2位置P2に対応する位置に配置された状態では、第2本体部22およびその部分22aは、搬送経路16の上方に位置している。この状態では、上記空間SP内に搬送経路16が配置されており、搬送経路16と第2本体部22とが相互に干渉することはない。当該構成によってスペースの有効利用が図られている。
【0036】
(クリーナー部26)
クリーナー部26は、第1軸方向A1に沿って延びる内部ダクト、ブラシおよび吸込口などから構成される。ブラシおよび吸込口は、第1本体部21のうちの成形部40の側の端部に設けられる。樹脂成形装置100は吸引ダクト55(
図4)をさらに備えている。内部ダクトに吸引ダクト55が接続されている状態で、ブラシおよび吸込口の近傍に負圧が発生する。この状態で、クリーナー部26は成形部40に配置されている成形型を清掃する。
【0037】
搬送機構20が成形部40に対して進入および退出する方向に移動する場合に、吸引ダクト55はクリーナー部26に対して接続された状態である接続状態とすることができる。また、搬送機構20が成形部40に対する進入および退出の前後において(すなわち、搬送機構20が成形部40に対して進入する前の状態および搬送機構20が成形部40から退出した後の状態において)、搬送機構20が成形部40に対して進入および退出する方向と交差する方向である第2軸方向A2に搬送機構20が移動する場合に、吸引ダクト55はクリーナー部26に対して接続されない状態である非接続状態とする。
【0038】
一例として、成形前の成形対象物を成形部40に搬入するために搬送機構20およびローダーキット31が成形部40に対して進入および退出する場合には、吸引ダクト55は、クリーナー部26の内部ダクトに接続されていない。成形後の成形対象物を成形部40から搬出するために搬送機構20およびアンローダーキット36が成形部40に向かって進入および退出する場合には、吸引ダクト55はクリーナー部26の内部ダクトに接続されている。したがって、搬送機構20およびアンローダーキット36が成形部40に向かって進入する場合に成形型のクリーニングを行い、搬送機構20およびローダーキット31が成形部40に向かって進入する場合に成形型のクリーニングを行わないことになる。
【0039】
これ以外に、搬送機構20およびローダーキット31が成形部40に対して進入および退出する場合にクリーナー部26に対して吸引ダクト55を接続状態とし、搬送機構20およびアンローダーキット36が成形部40に対して進入および退出する場合にクリーナー部26に対して吸引ダクト55を非接続状態としてもよい。この例では、搬送機構20およびローダーキット31が成形部40に向かって進入する場合に成形型のクリーニングを行い、搬送機構20およびアンローダーキット36が成形部40に向かって進入する場合に成形型のクリーニングを行わないことになる。また、搬送機構20およびローダーキット31が成形部40に向かって進入する場合と、搬送機構20およびアンローダーキット36が成形部40に向かって進入する場合との両方で、クリーナー部26に対して吸引ダクト55を接続状態とし、成形型のクリーニングを行うように設定することもできる。
【0040】
例示されたこれらのいずれの構成においても、搬送機構20が成形部40に対する進入および退出の前後に第2軸方向A2に移動する場合には(すなわち、搬送機構20が成形部40に対して進入する前に搬送機構20が第2軸方向A2に移動する場合および搬送機構20が成形部40に対して退出した後に搬送機構20が第2軸方向A2に移動する場合には)、吸引ダクト55はクリーナー部26に対して非接続状態とされる。
【0041】
[作用及び効果]
上述のとおり樹脂成形装置100においては、3軸方向の各々に沿って直線状に往復移動する搬送機構20が用いられる。ここでは搬送機構20は、第1軸方向A1、第2軸方向A2および第3軸方向A3からなる3軸方向のみに沿って直線状に往復移動する。搬送機構20にローダーキット31およびアンローダーキット36が択一的に装着されながら、成形部40への成形対象物の搬入および搬出が行なわれる。
【0042】
1つの搬送機構20で成形部40への成形対象物の搬入および搬出を実現可能であり、搬入専用の機構と搬出専用の機構との2つが別々に設けられる場合に比べて装置の小型化を図りやすい。また、六軸多関節の作動アームを採用する場合と比較して、3軸方向の各々に沿って直線状に往復移動する搬送機構20によれば、搬送機構20の可動範囲として設けるべきスペースを容易に小さく設定することが可能であり、装置の簡素化および装置の小型化を図ることが可能である。
【0043】
上述のとおり、樹脂成形装置100においては、成形部40とキット配置部30とが、第1軸方向A1に沿って並んで配置されており、供給部10と排出部50とが、第2軸方向A2方向においてキット配置部30に対して互いに反対側に配置されている。供給部10と排出部50との間にキット配置部30および成形部40が配置されている。これらのレイアウト構成によれば、樹脂成形に必要な搬送機構20の移動距離(樹脂成形に必要となる導線の長さ)ならびに基板の移動距離を、より短くすることが可能となっており、生産効率の向上を図ることができる。
【0044】
上述のとおり、樹脂成形装置100においては、インマガジン部11とアライメント部19とが第1軸方向A1に沿って並んでおり、インマガジン部11と成形部40とが第2軸方向A2に沿って並んでおり、アライメント部19とキット配置部30とが第2軸方向A2に沿って並んでいる。当該構成によっても、樹脂成形に必要な搬送機構20の移動距離(導線の長さ)ならびに基板の移動距離をより短くすることが可能となっており、生産効率の向上を図ることができる。
【0045】
上述のとおり、樹脂成形装置100においては、搬送機構20の第2本体部22のうち、第2軸方向A2において供給部10の側に位置する部分22aは、第2本体部22が搬送経路16の上方に位置することが可能なように、駆動部23によって片持ち梁状に支持されている。第2本体部22が搬送経路16をよけるようにして搬送経路16の直上にまで移動および到達することができるため、当該構成によってスペースの有効利用が図られており、第2本体部22の可動範囲をレイアウト上の効率よく確保することができ、装置のより一層の小型化を図ることができる。
【0046】
上述のとおり、樹脂成形装置100においては、搬送機構20が成形部40に対して進入および退出する方向に移動する場合に、吸引ダクト55がクリーナー部26(内部ダクト)に対して接続状態とすることができる。さらに、搬送機構20が成形部40に対する進入および退出の前後において、成形部40に対して進入および退出する方向と交差する方向(第2軸方向A2)に移動する場合に、吸引ダクト55がクリーナー部26に対して非接続状態とされる。したがって、吸引ダクト55がクリーナー部26に対して非接続状態とされ、吸引ダクト55を搬送機構20から遠ざけた位置に配置した状態では(たとえば吸引ダクト55を上方に退避された状態では)、搬送機構20の周囲に、搬送機構20が移動可能なスペースが形成される。吸引ダクト55が搬送機構20に常に接続されている場合に比べて、搬送機構20の周囲に有用なスペースを作りやすく、スペースの有効利用によって装置のより一層の小型化を図ることができる。
【0047】
また、成形前の成形対象物を成形部40に搬入する際又は成形後の成形対象物を成形部40から搬出する際の一方において、クリーナー部26によって成形型の清掃が行なわれず、吸引ダクト55をクリーナー部26に接続しておかなくてもよい。吸引ダクト55がクリーナー部26に接続されていないことで、搬入動作時に必要な消費エネルギーを小さくすることができる。搬入動作時に限られず、搬送機構20が第2軸方向A2に沿って移動する際にも、移動に必要な消費エネルギーを小さくすることができる。
【0048】
(樹脂成形方法)
図5は、実施の形態における樹脂成形方法を説明するためのフロー図である。まず工程S1において、搬送機構20はキット配置部30に移動し、ローダーキット31を装着する。この際にはたとえば接続部29,32(
図3参照)同士を対向させ、第1本体部21を下降させるとともに、リフタ35(
図3)を使用してローダーキット31を上昇させる。
【0049】
プッシャーによってインマガジン部11から基板が押し出され、駆動機構12およびグリップフィーダー13によって基板は基板配置部17(アライメント部19)に搬送される。樹脂リフト部18によって樹脂材料もアライメント部19に搬送される。成形前の成形対象物である基板は、予熱機構によって加熱される。
【0050】
その後、ローダーキット31がアライメント部19の上方に配置された状態で、基板保持部33および樹脂材料保持部34によって、成形前の成形対象物である基板および樹脂材料がアライメント部19から取り上げられて保持される。
【0051】
基板および樹脂材料は、搬送機構20およびローダーキット31によってアライメント部19からキット配置部30の位置を経由して、成形部40に搬入される。説明の便宜上、この時点で成形部40に搬入された基板を、成形対象物E1と定義する。ローダーキット31によって成形対象物E1および樹脂材料がキット配置部30の位置から成形部40に搬入される際には、吸引ダクト55は搬送機構20のクリーナー部26から外されているとよい。
【0052】
工程S2において、成形部40において成形対象物E1に対して樹脂成形が行なわれる。樹脂成形が行なわれている間に、搬送機構20からローダーキット31が外され、搬送機構20にアンローダーキット36が装着される。成形処理の完了後、成形部40の成形型が開かれ、アンローダーキット36が成形部40に進入する。この際、吸引ダクト55は搬送機構20のクリーナー部26に接続されており、クリーナー部26の吸引口およびブラシ等と吸引ダクト55とは連通している。
【0053】
工程S3において、アンローダーキット36が成形型41の下型の上方に配置された状態で、保持部38によって、成形後の成形対象物E1(樹脂成形品)が成形型41の下型から取り上げられて保持される。成形後の成形対象物E1が、搬送機構20およびアンローダーキット36によって成形部40からキット配置部30の位置を経由してディゲート部51に搬出される。搬出の際に、クリーナー部26によって上下型に対する清掃も行なわれる。
【0054】
次に、成形対象物E1に続いてさらに、別の新たな成形対象物(E2)に対して樹脂成形を行なう場合には工程S4においてYESのフローに進行し、樹脂成形を行なうべきさらなる成形対象物がもうない場合には工程S4においてNOのフローに進む。
【0055】
工程S4においてNOの場合、ディゲート部51において成形後の成形対象物E1に対してディゲート処理が行なわれる(工程S5)。ゲート部分が除去された成形対象物E1は、アンローダーキット36によってさらにディゲート部51からアウトマガジン部52に搬送される(工程S6)。搬送機構20から適宜、アンローダーキット36が外されるとともにローダーキット31が搬送機構20に再び装着され、フローは終了となる。
【0056】
工程S4においてYESの場合、搬送機構20は成形対象物E1を成形部40からディゲート部51に搬送した後、成形対象物E1に対してディゲート処理を行なうことなく、すぐさま搬送機構20はキット配置部30に移動する。搬送機構20からアンローダーキット36が外され、搬送機構20にローダーキット31が装着される(工程S7)。
【0057】
工程S1と同様なフローを経て、成形対象物E1に続く成形前の成形対象物E2が、成形部40に搬入される(工程S8)。成形部40において成形対象物E2に対して樹脂成形が行なわれる(工程S9)。成形対象物E2に対して樹脂成形が行なわれている間に、搬送機構20はキット配置部30に移動する。搬送機構20からローダーキット31が外され、搬送機構20にアンローダーキット36が装着される。
【0058】
先程の工程S3においてディゲート部51へ搬送された成形対象物E1に対して、ディゲート処理が行なわれる(工程S10)。ゲート部分が除去された成形対象物E1は、アンローダーキット36によってさらにディゲート部51からアウトマガジン部52に搬送される(工程S11)。工程S11の後、フローは工程S3に再び戻り、同様な処理が成形対象物E2およびその後に続く成形対象物に対して繰り返される。
【0059】
上述のとおり、本実施の形態の樹脂成形方法は、成形後の成形対象物(E1)をアンローダーキット36によって成形部40からディゲート部51に搬出する第1工程(工程S3)と、ゲート部分が除去された成形対象物(E1)をディゲート部51からアウトマガジン部52に搬送する第2工程(工程S11)と、を備えており、さらに、これらの第1工程と第2工程との間に、搬送機構20からアンローダーキット36を外して搬送機構20にローダーキット31を装着し、新たな成形前の成形対象物(E2)および樹脂材料を成形部40に搬入して樹脂成形を行なう工程(工程S9)を備えている。当該構成によれば、成形部40による樹脂成形が行なわれている間に、他の必要作業(ここでは、前回に樹脂成形が行なわれた成形対象物(E1)に対するディゲート処理など)を行なうことができるため、各要素の稼働率を高め、生産性を向上させることが可能となる。
【0060】
以上、実施の形態について説明したが、上記の開示内容はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0061】
10 供給部、11 インマガジン部、12 駆動機構、13 グリップフィーダー、14 先端把持部、15a,15b 搬送ガイド、16 搬送経路、17 基板配置部、18 樹脂リフト部、19 アライメント部、20 搬送機構、21 第1本体部、22 第2本体部、22a 部分、22b,22c 領域、23 駆動部、24 モータ、25 ガイド部材、26 クリーナー部、27,28 昇降機構、29,32,37 接続部、30 キット配置部、31 ローダーキット、33 基板保持部、34 樹脂材料保持部、35 リフタ、36 アンローダーキット、38 保持部、40 成形部、41 成形型、50 排出部、51 ディゲート部、52 アウトマガジン部、55 吸引ダクト、100 樹脂成形装置、A1 第1軸方向、A2 第2軸方向、A3 第3軸方向、E1,E2 成形対象物、P1 第1位置、P2 第2位置、P3 第3位置、S1,S2,S3,S4,S5,S6,S7,S8,S9,S10,S11 工程、SP 空間。