(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】新規ベンズイミダゾロン化合物およびその医薬用途
(51)【国際特許分類】
C07D 235/26 20060101AFI20221114BHJP
A61K 31/4184 20060101ALI20221114BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20221114BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20221114BHJP
A61P 13/10 20060101ALI20221114BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20221114BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20221114BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20221114BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221114BHJP
C07D 401/04 20060101ALI20221114BHJP
C07D 401/12 20060101ALI20221114BHJP
C07D 405/06 20060101ALI20221114BHJP
C07D 405/14 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
C07D235/26 C CSP
A61K31/4184
A61K31/4439
A61K45/00
A61P13/10
A61P25/00
A61P25/04
A61P29/00
A61P43/00 111
A61P43/00 121
C07D401/04
C07D401/12
C07D405/06
C07D405/14
(21)【出願番号】P 2019506068
(86)(22)【出願日】2018-03-14
(86)【国際出願番号】 JP2018009881
(87)【国際公開番号】W WO2018168898
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2021-02-26
(31)【優先権主張番号】P 2017050341
(32)【優先日】2017-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002912
【氏名又は名称】住友ファーマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【氏名又は名称】品川 永敏
(72)【発明者】
【氏名】水嶋 真吾
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 将規
(72)【発明者】
【氏名】岩本 浩平
(72)【発明者】
【氏名】浦島 久仁子
【審査官】谷尾 忍
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/021382(WO,A1)
【文献】特開2016-132649(JP,A)
【文献】特表2010-527974(JP,A)
【文献】特表2012-521428(JP,A)
【文献】国際公開第2001/057019(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/168899(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 235/26
A61K 31/4184
A61K 31/4439
A61K 45/00
C07D 401/04
C07D 401/12
C07D 405/06
C07D 405/14
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
[式中、
R
1a、R
1b、R
1cおよびR
1dは、各々独立して、水素、ハロゲン、C
1-4アルキル、C
1-4アルコキシ(該アルキルおよび該アルコキシにおけるアルキル部分は、各々独立して、ハロゲン、水酸基、置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルコキシ、置換基群Bから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-7シクロアルキル、置換基群Bから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-7シクロアルコキシおよび置換基群Bから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい3~7員の非芳香族複素環からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で置換されていてもよい)、C
3-7シクロアルキル、C
3-7シクロアルコキシ(該シクロアルキルおよび該シクロアルコキシにおけるシクロアルキル部分は、各々独立して、ハロゲン、水酸基、置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルキル、置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルコキシ、置換基群Bから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-7シクロアルキルおよび置換基群Bから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-7シクロアルコキシからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で置換されていてもよい)、C
6-10アリール、C
6-10アリールオキシ、5~12員のヘテロアリールまたは5~12員のヘテロアリールオキシ(該アリールおよび該アリールオキシにおけるアリール部分ならびに該ヘテロアリールおよび該ヘテロアリールオキシにおけるヘテロアリール部分は、各々独立して、ハロゲン、シアノ、置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルキル、置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルコキシ、置換基群Bから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-7シクロアルキル、置換基群Bから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-7シクロアルコキシおよび置換基群Bから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい3~7員の非芳香族複素環からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で置換されていてもよい)を表し、但し、R
1a、R
1b、R
1cまたはR
1dの少なくとも1つはC
6-10アリール、C
6-10アリールオキシ、5~12員のヘテロアリールまたは5~12員のヘテロアリールオキシを表し、
R
2およびR
3は、各々独立して、水素、C
1-6アルキル(該アルキルは、シアノ、ハロゲン、水酸基、置換基群Aから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルコキシ、置換基群Bから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-7シクロアルキルおよび置換基群Bから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-7シクロアルコキシからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で置換されていてもよい)またはC
3-10シクロアルキルを表し、
R
4は、水
素を表し、
mは、1、2または3を表し、
Lは、CR
7R
8を表し(ただし、Lが複数存在する場合、それぞれのCR
7R
8は、各々独立し、同一でも異なってもよい)、
R
7およびR
8は、各々独立して、水素、水酸基、C
1-4アルキル、C
1-4アルコキシ(該アルキルおよび該アルコキシにおけるアルキル部分は、各々独立して、ハロゲン、水酸基、置換基群Aから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルコキシ、置換基群Bから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-7シクロアルキル、置換基群Bから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-7シクロアルコキシおよび置換基群Bから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい3~7員の非芳香族複素環からなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、C
3-7シクロアルキルまたはC
3-7シクロアルコキシ(該シクロアルキルおよび該シクロアルコキシにおけるシクロアルキル部分は、各々独立して、ハロゲン、水酸基、置換基群Aから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルキル、置換基群Aから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルコキシ、置換基群Bから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-7シクロアルキルおよび置換基群Bから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-7シクロアルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を表し、あるいは、
R
2、R
3、およびそれらと同一炭素原子に結合する水酸基において、
R
2とR
3が、それぞれが結合する炭素原子と一緒になって環を形成し、水酸基と共に下記式(II):
【化2】
[式(II)中、
eおよびfは、各々独立して、1、2または3を表し、
Vは、単結合または酸素原子を表し、
R
5a、R
5b、R
5cおよびR
5dは、各々独立して、水素、ハロゲン、水酸基、C
1-4アルキル、またはC
1-4アルコキシ(該アルキルおよび該アルコキシにおけるアルキル部分は、各々独立して、ハロゲン、水酸基、置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルコキシ、置換基群Bから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-7シクロアルキル、置換基群Bから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-7シクロアルコキシおよび置換基群Bから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい3~7員の非芳香族複素環からなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を表す]で表される基を形成してもよく、あるいは、
R
2、R
3、それらと同一炭素原子に結合する水酸基、およびLにおけるCR
7R
8において、
R
2とR
7が、それぞれが結合する炭素原子と一緒になって環を形成し、R
3、水酸基およびR
8と共に下記式(III):
【化3】
[式(III)中、
m
1は、0または1を表し、
m
1が1のとき、m
2は、0または1を表し、jは、1、2、3または4を表し、
m
1が0のとき、m
2は、0、1または2を表し、jは、1、2、3または4を表し、
R
8およびLは、上記と同義であり、
R
6a、R
6b、R
6cおよびR
6dは、各々独立して、水素、ハロゲン、水酸基、C
1-4アルキルまたはC
1-4アルコキシ(該アルキルおよび該アルコキシにおけるアルキル部分は、各々独立して、ハロゲン、水酸基、置換基群Aから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルコキシ、置換基群Bから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-7シクロアルキル、置換基群Bから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-7シクロアルコキシおよび置換基群Bから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい3~7員の非芳香族複素環からなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を表す]で表される基を形成してもよく、
置換基群Aは、ハロゲン、水酸基、C
1-4アルコキシ、C
3-7シクロアルキルおよびC
3-7シクロアルコキシを表し、
置換基群Bは、ハロゲン、水酸基、C
1-4アルキル、C
1-4アルコキシ、C
3-7シクロアルキルおよびC
3-7シクロアルコキシを表す]
で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩、ただし、以下の化合物は除く、
5-(2-ブチル-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-6-イル)-1-(2-ヒドロキシエチル)-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン、
3-[3-メチル-2-オキソ-1-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロピル)-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-5-イル]ピリジン-4-カルボニトリル、および
3-[3-メチル-2-オキソ-1-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-5-イル]ピリジン-4-カルボニトリル。
【請求項2】
R
1a、R
1b、R
1cおよびR
1dが、各々独立して、水素、ハロゲン、C
1-4アルキル、C
1-4アルコキシ(該アルキルおよび該アルコキシにおけるアルキル部分は、各々独立して、1~3個のハロゲンで置換されていてもよい)、C
6-10アリール、C
6-10アリールオキシ、5~12員のヘテロアリールまたは5~12員のヘテロアリールオキシ(該アリールおよび該アリールオキシにおけるアリール部分ならびに該ヘテロアリールおよび該ヘテロアリールオキシにおけるヘテロアリール部分は、各々独立して、ハロゲン、シアノ、置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルキルおよび置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)である、請求項1に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【請求項3】
R
1a、R
1b、R
1cおよびR
1dが、各々独立して、水素、C
6-10アリール、C
6-10アリールオキシ、5~12員のヘテロアリールまたは5~12員のヘテロアリールオキシ(該アリールおよびアリールオキシにおけるアリール部分ならびに該ヘテロアリールおよびヘテロアリールオキシにおけるヘテロアリール部分は、各々独立して、ハロゲン、シアノ、置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルキルおよび置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)である、請求項1または2に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【請求項4】
R
1aおよびR
1dが、水素である、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【請求項5】
R
1bまたはR
1cが、C
6-10アリール、C
6-10アリールオキシ、5~12員のヘテロアリールまたは5~12員のヘテロアリールオキシ(該アリールおよび該アリールオキシにおけるアリール部分ならびに該ヘテロアリールおよび該ヘテロアリールオキシにおけるヘテロアリール部分は、各々独立して、ハロゲン、置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルキルおよび置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)である、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【請求項6】
R
2およびR
3が、各々独立して、水素またはC
1-6アルキル(該アルキルは、ハロゲン、水酸基および置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルコキシからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で置換されていてもよい)であり、あるいは、
R
2、R
3、およびそれらと同一炭素原子に結合する水酸基において、
R
2とR
3が、それぞれが結合する炭素原子と一緒になって環を形成し、水酸基と共に下記式(IIa):
【化4】
[式(IIa)中、
eおよびfが、各々独立して、1または2であり、
Vは、請求項1と同義であり、
R
5a、R
5b、R
5cおよびR
5dが、各々独立して、水素またはハロゲンである]
で表される基を形成してもよい、あるいは、
R
2、R
3、それらと同一炭素原子に結合する水酸基、およびLにおけるCR
7R
8において、
R
2とR
7が、それぞれが結合する炭素原子と一緒になって環を形成し、R
3、水酸基およびR
8と共に下記式(IIIa):
【化5】
[式(IIIa)中、
m
1が、0であり、
m
2が、1または2であり、jが、1または2であり、
R
8が、水素であり、
Lが、請求項1と同義であり、
R
6a、R
6b、R
6cおよびR
6dが、各々独立して、水素またはハロゲンである]
で表される基を形成してもよい、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【請求項7】
R
7およびR
8が、各々独立して、水素またはC
1-4アルキル(該アルキルは、ハロゲン、水酸基、置換基群Aから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルコキシ、置換基群Bから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-7シクロアルキル、置換基群Bから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-7シクロアルコキシおよび置換基群Bから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい3~7員の非芳香族複素環からなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)であり、
mが、1または2である、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【請求項8】
R
7およびR
8が、水素であり、
mが、1である、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【請求項9】
R
1bが、C
6-10アリール、C
6-10アリールオキシ、5~12員のヘテロアリールまたは5~12員のヘテロアリールオキシ、(該アリールおよび該アリールオキシにおけるアリール部分ならびに該ヘテロアリールおよび該ヘテロアリールオキシにおけるヘテロアリール部分は、各々独立して、ハロゲン、シアノ、置換基群Aから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルキルおよび置換基群Aから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)である、請求項1~
8のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【請求項10】
R
1cが、C
6-10アリール、C
6-10アリールオキシ、5~12員のヘテロアリールまたは5~12員のヘテロアリールオキシ、(該アリールおよび該アリールオキシにおけるアリール部分ならびに該ヘテロアリールおよび該ヘテロアリールオキシにおけるヘテロアリール部分は、各々独立して、ハロゲン、シアノ、置換基群Aから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルキルおよび置換基群Aから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)である、請求項1~
8のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【請求項11】
以下の化合物群から選択される、請求項1に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩:
1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-6-{[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
、
1-[(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)メチル]-6-{[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
、
1-[(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)メチル]-6-{[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]オキシ}-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
、
1-(cis-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-6-{[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
、
1-[(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)メチル]-6-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
、
6-(4-フルオロフェノキシ)-1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
、
6-(4-フルオロフェノキシ)-1-[(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)メチル]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
、
6-(4-クロロフェノキシ)-1-[(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)メチル]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
、
1-[(2S)-3-ヒドロキシ-3-メチルブタン-2-イル]-6-{[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
、
6-(4-フルオロフェノキシ)-1-[(2S)-3-ヒドロキシ-3-メチルブタン-2-イル]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
、
6-(4-フルオロフェノキシ)-1-(cis-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
、
1-エチル-3-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-5-{[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
、
3-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-1-メチル-5-{[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
、
3-[(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)メチル]-1-メチル-5-{[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
、
3-[(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)メチル]-1-メチル-5-{[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]オキシ}-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
、
5-(4-フルオロフェノキシ)-3-[(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)メチル]-1-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
、
3-[(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)メチル]-1-メチル-5-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
、
5-(4-クロロフェノキシ)-3-[(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)メチル]-1-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
、
1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-6-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
、
1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-6-[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
、
1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-6-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
、
6-(4-フルオロフェニル)-1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
、
1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-5-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
、
5-(4-フルオロフェニル)-1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
、
1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-5-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
、
1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-5-{[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
、
1-[(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)メチル]-5-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
、
1-[(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)メチル]-3-メチル-5-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン。
【請求項12】
以下の化合物群から選択される、請求項1に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩:
1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-6-{[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
、
1-[(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)メチル]-6-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
、
6-(4-クロロフェノキシ)-1-[(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)メチル]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
、
6-(4-フルオロフェノキシ)-1-[(2S)-3-ヒドロキシ-3-メチルブタン-2-イル]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
、
6-(4-フルオロフェノキシ)-1-(cis-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
、
3-[(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)メチル]-1-メチル-5-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
、
1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-6-[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
、
1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-6-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
、
1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-5-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
、
5-(4-フルオロフェニル)-1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
、
1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-5-{[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
、
1-[(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)メチル]-3-メチル-5-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン。
【請求項13】
請求項1~
12のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物。
【請求項14】
請求項1~
12のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する、神経障害性疼痛、侵害受容性疼痛、炎症性疼痛、小径線維ニューロパチー、肢端紅痛症、発作性激痛症、排尿障害または多発性硬化症の治療薬。
【請求項15】
請求項1~
12のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩と、抗てんかん薬、抗うつ薬、麻薬性鎮痛薬、抗炎症薬、還元酵素阻害剤およびプロスタグランジン誘導体製剤から選択される少なくとも1種以上の薬剤とを組み合わせてなる医薬。
【請求項16】
神経障害性疼痛、侵害受容性疼痛、炎症性疼痛、小径線維ニューロパチー、肢端紅痛症、発作性激痛症、排尿障害または多発性硬化症の治療剤を製造するための、請求項1~
12のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンズイミダゾロン骨格を有する新規な化合物またはそれらの製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する、Naチャネル、特にSCN9A(Nav1.7)が関与する疾患に対する治療薬または予防薬に関する。具体的には、神経障害性疼痛、侵害受容性疼痛、炎症性疼痛、小径線維ニューロパチー、肢端紅痛症、発作性激痛症、排尿障害または多発性硬化症等の疾患の治療薬または予防薬に関する。
【背景技術】
【0002】
電位依存性Naチャネルのポアを形成するαサブユニットは現在9種類存在することが知られている。近年、かかるサブユニットの内、特にNav1.7が急性ならびに慢性疼痛の情報伝達に幅広く関与するエビデンスが得られている。
【0003】
SCN9A(Nav1.7)は、末梢の感覚神経ないしは交感神経に局在するテトロドトキシン(TTX)感受性Naチャネルで、NENAまたはPN1とも呼ばれる。生理的にはNav1.7チャネルは感覚神経終末で疼痛シグナルを増幅する(起動電位を発生する)機能を果たしており、遺伝学的研究から、SCN9A遺伝子に機能喪失変異を有するヒトは先天性無痛症を呈することが明らかとなっている。反対に、肢端紅痛症あるいは発作性激痛症といった重篤な希少疾患患者には、SCN9Aの機能獲得変異が認められている。更に、小径繊維ニューロパチー患者の実に3割にNav1.7機能が亢進する遺伝子多型が存在するという報告が寄せられている(非特許文献1)。また、慢性疼痛モデル動物のDRGニューロンにおいて発現レベルおよび活性が上昇することや、ノックアウト実験で神経障害性疼痛および炎症性疼痛が減弱することから、Nav1.7チャネル機能が疼痛病態におけるDRGニューロンの過剰興奮に直接関与することが示唆されている(非特許文献2)。
【0004】
特許文献1には、下記式(A)で表されるようなベンズイミダゾロン誘導体が開示されているが、特許文献1に記載の内容は、活性化第X因子阻害剤に関するものであり、本発明に記載の内容については、一切開示されていない。
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【文献】Nat Rev Neurosci. 14: 49, 2013
【文献】Nat Commun. 3: 791, 2012
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、Nav1.7が関与する疾患、具体的には神経障害性疼痛、侵害受容性疼痛、炎症性疼痛、小径線維ニューロパチー、肢端紅痛症、発作性激痛症、排尿障害または多発性硬化症等の疾患に対する治療薬または予防薬を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を達成するために、鋭意検討した結果、後述するベンズイミダゾロン環を有する化合物またはその製薬学的に許容される塩が、Nav1.7遺伝子発現細胞において、Naチャネルを介した膜電位変化ないしはNaイオン電流そのものを阻害すること、すなわちNav1.7に対して阻害活性を持つブロッカーであることを見出した。更に、該誘導体はまた、神経障害性疼痛、侵害受容性疼痛、炎症性疼痛、小径線維ニューロパチー、肢端紅痛症または発作性激痛症等の疾患に対する治療薬または予防薬として有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明によれば、下記式(I)で表されるベンズイミダゾロン化合物(以下、「式(I)で表される化合物」または「式(I)の化合物」と称することもある)またはその製薬学的に許容される塩(以下、「本発明の化合物」と称することもある)が提供される。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
【0009】
[項1]
式(I):
【化2】
[式中、
R
1a、R
1b、R
1cおよびR
1dは、各々独立して、水素、ハロゲン、C
1-4アルキル、C
1-4アルコキシ(該アルキルおよび該アルコキシにおけるアルキル部分は、各々独立して、ハロゲン、水酸基、置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルコキシ、置換基群Bから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-7シクロアルキル、置換基群Bから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-7シクロアルコキシおよび置換基群Bから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい3~7員の非芳香族複素環からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で置換されていてもよい)、C
3-7シクロアルキル、C
3-7シクロアルコキシ(該シクロアルキルおよび該シクロアルコキシにおけるシクロアルキル部分は、各々独立して、ハロゲン、水酸基、置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルキル、置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルコキシ、置換基群Bから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-7シクロアルキルおよび置換基群Bから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-7シクロアルコキシからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で置換されていてもよい)、C
6-10アリール、C
6-10アリールオキシ、5~12員のヘテロアリールまたは5~12員のヘテロアリールオキシ(該アリールおよび該アリールオキシにおけるアリール部分ならびに該ヘテロアリールおよび該ヘテロアリールオキシにおけるヘテロアリール部分は、各々独立して、ハロゲン、シアノ、置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルキル、置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルコキシ、置換基群Bから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-7シクロアルキル、置換基群Bから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-7シクロアルコキシおよび置換基群Bから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい3~7員の非芳香族複素環からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で置換されていてもよい)を表し、但し、R
1a、R
1b、R
1cまたはR
1dの少なくとも1つはC
6-10アリール、C
6-10アリールオキシ、5~12員のヘテロアリールまたは5~12員のヘテロアリールオキシを表し、
R
2およびR
3は、各々独立して、水素、C
1-6アルキル(該アルキルは、シアノ、ハロゲン、水酸基、置換基群Aから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルコキシ、置換基群Bから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-7シクロアルキルおよび置換基群Bから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-7シクロアルコキシからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で置換されていてもよい)またはC
3-10シクロアルキルを表し、
R
4は、水素、C
1-4アルキルまたはC
3-4シクロアルキル(該C
1-4アルキルおよびC
3-4シクロアルキルは、1~5個のハロゲンで置換されてもよい)を表し、
mは、1、2または3を表し、
Lは、CR
7R
8を表し(ただし、Lが複数存在する場合、それぞれのCR
7R
8は、各々独立し、同一でも異なってもよい)、
R
7およびR
8は、各々独立して、水素、水酸基、C
1-4アルキル、C
1-4アルコキシ(該アルキルおよび該アルコキシにおけるアルキル部分は、各々独立して、ハロゲン、水酸基、置換基群Aから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルコキシ、置換基群Bから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-7シクロアルキル、置換基群Bから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-7シクロアルコキシおよび置換基群Bから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい3~7員の非芳香族複素環からなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、C
3-7シクロアルキルまたはC
3-7シクロアルコキシ(該シクロアルキルおよび該シクロアルコキシにおけるシクロアルキル部分は、各々独立して、ハロゲン、水酸基、置換基群Aから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルキル、置換基群Aから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルコキシ、置換基群Bから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-7シクロアルキルおよび置換基群Bから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-7シクロアルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を表し、あるいは、
R
2、R
3、およびそれらと同一炭素原子に結合する水酸基において、
R
2とR
3が、それぞれが結合する炭素原子と一緒になって環を形成し、水酸基と共に下記式(II):
【化3】
[式(II)中、
eおよびfは、各々独立して、1、2または3を表し、
Vは、単結合または酸素原子を表し、
R
5a、R
5b、R
5cおよびR
5dは、各々独立して、水素、ハロゲン、水酸基、C
1-4アルキル、またはC
1-4アルコキシ(該アルキルおよび該アルコキシにおけるアルキル部分は、各々独立して、ハロゲン、水酸基、置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルコキシ、置換基群Bから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-7シクロアルキル、置換基群Bから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-7シクロアルコキシおよび置換基群Bから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい3~7員の非芳香族複素環からなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を表す]で表される基を形成してもよく、あるいは、
R
2、R
3、それらと同一炭素原子に結合する水酸基、およびLにおけるCR
7R
8において、
R
2とR
7が、それぞれが結合する炭素原子と一緒になって環を形成し、R
3、水酸基およびR
8と共に下記式(III):
【化4】
[式(III)中、
m
1は、0または1を表し、
m
1が1のとき、m
2は、0または1を表し、jは、1、2、3または4を表し、
m
1が0のとき、m
2は、0、1または2を表し、jは、1、2、3または4を表し、
R
8およびLは、上記と同義であり、
R
6a、R
6b、R
6cおよびR
6dは、各々独立して、水素、ハロゲン、水酸基、C
1-4アルキルまたはC
1-4アルコキシ(該アルキルおよび該アルコキシにおけるアルキル部分は、各々独立して、ハロゲン、水酸基、置換基群Aから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルコキシ、置換基群Bから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-7シクロアルキル、置換基群Bから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-7シクロアルコキシおよび置換基群Bから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい3~7員の非芳香族複素環からなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)を表す]で表される基を形成してもよく、
置換基群Aは、ハロゲン、水酸基、C
1-4アルコキシ、C
3-7シクロアルキルおよびC
3-7シクロアルコキシを表し、
置換基群Bは、ハロゲン、水酸基、C
1-4アルキル、C
1-4アルコキシ、C
3-7シクロアルキルおよびC
3-7シクロアルコキシを表す]
で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩、ただし、以下の化合物は除く、
5-(2-ブチル-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-6-イル)-1-(2-ヒドロキシエチル)-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン、
3-[3-メチル-2-オキソ-1-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロピル)-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-5-イル]ピリジン-4-カルボニトリル、および
3-[3-メチル-2-オキソ-1-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-5-イル]ピリジン-4-カルボニトリル。
【0010】
[項2]
R1a、R1b、R1cおよびR1dが、各々独立して、水素、ハロゲン、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ(該アルキルおよび該アルコキシにおけるアルキル部分は、各々独立して、1~3個のハロゲンで置換されていてもよい)、C6-10アリール、C6-10アリールオキシ、5~12員のヘテロアリールまたは5~12員のヘテロアリールオキシ(該アリールおよび該アリールオキシにおけるアリール部分ならびに該ヘテロアリールおよび該ヘテロアリールオキシにおけるヘテロアリール部分は、各々独立して、ハロゲン、シアノ、置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-4アルキルおよび置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-4アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)である、項1に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【0011】
[項3]
R1a、R1b、R1cおよびR1dが、各々独立して、水素、C6-10アリール、C6-10アリールオキシ、5~12員のヘテロアリールまたは5~12員のヘテロアリールオキシ(該アリールおよびアリールオキシにおけるアリール部分ならびに該ヘテロアリールおよびヘテロアリールオキシにおけるヘテロアリール部分は、各々独立して、ハロゲン、シアノ、置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-4アルキルおよび置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-4アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)である、項1または2に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【0012】
[項4]
R1aおよびR1dが、水素である、項1~3のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【0013】
[項5]
R1bまたはR1cが、C6-10アリール、C6-10アリールオキシ、5~12員のヘテロアリールまたは5~12員のヘテロアリールオキシ(該アリールおよび該アリールオキシにおけるアリール部分ならびに該ヘテロアリールおよび該ヘテロアリールオキシにおけるヘテロアリール部分は、各々独立して、ハロゲン、置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-4アルキルおよび置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-4アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)である、項1~4のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【0014】
[項6]
R
2およびR
3が、各々独立して、水素またはC
1-6アルキル(該アルキルは、ハロゲン、水酸基および置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルコキシからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で置換されていてもよい)であり、あるいは、
R
2、R
3、およびそれらと同一炭素原子に結合する水酸基において、
R
2とR
3が、それぞれが結合する炭素原子と一緒になって環を形成し、水酸基と共に下記式(IIa):
【化5】
[式(IIa)中、
eおよびfが、各々独立して、1または2であり、
Vは、項1と同義であり、
R
5a、R
5b、R
5cおよびR
5dが、各々独立して、水素またはハロゲンである]
で表される基を形成してもよい、あるいは、
R
2、R
3、それらと同一炭素原子に結合する水酸基、およびLにおけるCR
7R
8において、
R
2とR
7が、それぞれが結合する炭素原子と一緒になって環を形成し、R
3、水酸基およびR
8と共に下記式(IIIa):
【化6】
[式(IIIa)中、
m
1が、0であり、
m
2が、1または2であり、jが、1または2であり、
R
8が、水素であり、
Lが、項1と同義であり、
R
6a、R
6b、R
6cおよびR
6dが、各々独立して、水素またはハロゲンである]
で表される基を形成してもよい、項1~5のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【0015】
[項7]
R7およびR8が、各々独立して、水素またはC1-4アルキル(該アルキルは、ハロゲン、水酸基、置換基群Aから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-4アルコキシ、置換基群Bから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC3-7シクロアルキル、置換基群Bから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC3-7シクロアルコキシおよび置換基群Bから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい3~7員の非芳香族複素環からなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)であり、
mが、1または2である、項1~6のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【0016】
[項8]
R7およびR8が、水素であり、
mが、1である、項1~7のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【0017】
[項9]
R4が、水素または1~5個のハロゲンで置換されてもよいC1-4アルキルである、項1~8のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【0018】
[項10]
R1bが、C6-10アリール、C6-10アリールオキシ、5~12員のヘテロアリールまたは5~12員のヘテロアリールオキシ(該アリールおよび該アリールオキシにおけるアリール部分ならびに該ヘテロアリールおよび該ヘテロアリールオキシにおけるヘテロアリール部分は、各々独立して、ハロゲン、シアノ、置換基群Aから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-4アルキルおよび置換基群Aから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-4アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)である、項1~9のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【0019】
[項11]
R1cが、C6-10アリール、C6-10アリールオキシ、5~12員のヘテロアリールまたは5~12員のヘテロアリールオキシ(該アリールおよび該アリールオキシにおけるアリール部分ならびに該ヘテロアリールおよび該ヘテロアリールオキシにおけるヘテロアリール部分は、各々独立して、ハロゲン、シアノ、置換基群Aから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-4アルキルおよび置換基群Aから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-4アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)である、項1~9のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【0020】
[項12]
以下の化合物群から選択される、項1に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩:
実施例1:1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-6-{[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
実施例2:1-[(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)メチル]-6-{[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
実施例3:1-[(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)メチル]-6-{[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]オキシ}-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
実施例4:1-(cis-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-6-{[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
実施例5:1-[(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)メチル]-6-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
実施例6:6-(4-フルオロフェノキシ)-1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
実施例7:6-(4-フルオロフェノキシ)-1-[(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)メチル]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
実施例8:6-(4-クロロフェノキシ)-1-[(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)メチル]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
実施例9:1-[(2S)-3-ヒドロキシ-3-メチルブタン-2-イル]-6-{[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
実施例10:6-(4-フルオロフェノキシ)-1-[(2S)-3-ヒドロキシ-3-メチルブタン-2-イル]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
実施例11:6-(4-フルオロフェノキシ)-1-(cis-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
実施例12:1-エチル-3-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-5-{[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
実施例13:3-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-1-メチル-5-{[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
実施例14:3-[(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)メチル]-1-メチル-5-{[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
実施例15:3-[(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)メチル]-1-メチル-5-{[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]オキシ}-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
実施例16:5-(4-フルオロフェノキシ)-3-[(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)メチル]-1-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
実施例17:3-[(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)メチル]-1-メチル-5-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
実施例18:5-(4-クロロフェノキシ)-3-[(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)メチル]-1-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
実施例19:1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-6-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
実施例20:1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-6-[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
実施例21:1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-6-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
実施例22:6-(4-フルオロフェニル)-1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
実施例23:1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-5-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
実施例24:5-(4-フルオロフェニル)-1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
実施例25:1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-5-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
実施例26:1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-5-{[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
実施例27:1-[(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)メチル]-5-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
実施例28:1-[(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)メチル]-3-メチル-5-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン。
【0021】
[項13]
以下の化合物群から選択される、項1に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩:
実施例1:1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-6-{[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
実施例5:1-[(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)メチル]-6-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
実施例8:6-(4-クロロフェノキシ)-1-[(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)メチル]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
実施例10:6-(4-フルオロフェノキシ)-1-[(2S)-3-ヒドロキシ-3-メチルブタン-2-イル]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
実施例11:6-(4-フルオロフェノキシ)-1-(cis-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
実施例17:3-[(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)メチル]-1-メチル-5-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
実施例20:1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-6-[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
実施例21:1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-6-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
実施例23:1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-5-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
実施例24:5-(4-フルオロフェニル)-1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
実施例26:1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-5-{[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
実施例28:1-[(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)メチル]-3-メチル-5-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン。
【0022】
[項14]
項1~13のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物。
【0023】
[項15]
項1~13のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する、Nav1.7(SCN9A)が関与する疾患の治療薬。
【0024】
[項16]
項1~13のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する、神経障害性疼痛、侵害受容性疼痛、炎症性疼痛、小径線維ニューロパチー、肢端紅痛症、発作性激痛症、排尿障害または多発性硬化症の治療薬。
【0025】
[項17]
項1~13のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩と、抗てんかん薬、抗うつ薬、麻薬性鎮痛薬、抗炎症薬、還元酵素阻害剤およびプロスタグランジン誘導体製剤から選択される少なくとも1種以上の薬剤とを組み合わせてなる医薬。
【0026】
[項18]
神経障害性疼痛、侵害受容性疼痛、炎症性疼痛、小径線維ニューロパチー、肢端紅痛症、発作性激痛症、排尿障害または多発性硬化症の治療剤を製造するための、項1~13のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩の使用。
【0027】
[項19]
項1~13のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩の有効量を哺乳動物に投与することを含む、当該哺乳動物における神経障害性疼痛、侵害受容性疼痛、炎症性疼痛、小径線維ニューロパチー、肢端紅痛症、発作性激痛症、排尿障害または多発性硬化症の治療方法。
【発明の効果】
【0028】
本発明により、新規ベンズイミダゾロン化合物またはそれらの製薬学的に許容される塩を含むNav1.7のブロッカーが提供される。本発明の化合物は、Nav1.7(SCN9A)が関与する疾患に対する治療薬または予防薬として有用であり、具体的には、神経障害性疼痛、侵害受容性疼痛、炎症性疼痛、小径線維ニューロパチー、肢端紅痛症、発作性激痛症等の患者に適用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。本明細書において「置換基」の定義における炭素の数を、例えば、「C1-6」などと表記する場合もある。具体的には、「C1-6アルキル」なる表記は、炭素数1から6のアルキルと同義である。また、本明細書において、「置換されていてもよい」または「置換されている」なる用語を特に明示していない置換基については、「非置換」の置換基を意味する。例えば、「C1-6アルキル」とは、「非置換C1-6アルキル」であることを意味する。
【0030】
また、本明細書における置換基の説明において、「基」なる用語を省略する場合もある。尚、「置換されていてもよい」で定義される場合において、置換基が存在するときの置換基の数は、置換可能であれば特に制限はなく、1または複数である。すなわち、該当する基における置換可能な炭素原子、または炭素原子および窒素原子上における置換可能な数の置換基によって置換されていてもよい事を示す。また、特に指示した場合を除き、各々の基の説明はその基が他の基の一部分または置換基である場合にも該当する。
【0031】
置換基の結合位置は、本明細書において特に明示していない場合は化学的に可能な任意の位置である。
【0032】
「ハロゲン」としては、例えばフッ素、塩素、臭素またはヨウ素等が挙げられる。好ましくは、フッ素または塩素である。
【0033】
「C1-2アルキル」とは、炭素数が1~2個の飽和炭化水素基を意味し、「C1-3アルキル」とは、炭素数が1~3個の直鎖状または分枝鎖状の飽和炭化水素基を意味し、「C1-4アルキル」とは、炭素数が1~4個の直鎖状または分枝鎖状の飽和炭化水素基を意味し、「C1-6アルキル」とは、炭素数が1~6個の直鎖状または分枝鎖状の飽和炭化水素基を意味する。「C1-2アルキル」の具体例としては、メチル、エチルが挙げられ、「C1-3アルキル」の具体例としては、上記に加え、プロピル、イソプロピルが挙げられ、「C1-4アルキル」の具体例としては、上記に加え、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルが挙げられ、「C1-6アルキル」の具体例としては、上記に加え、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1-エチルプロピル、ヘキシル、ならびにそれらの構造異性体が挙げられる。当該「C1-6アルキル」または「C1-4アルキル」としては、「C1-3アルキル」が好ましく、メチルおよびエチルがより好ましい。
【0034】
「C3-7シクロアルキル」とは、炭素数3~7個を有する、環状の非芳香族性炭化水素基(飽和炭化水素基)を意味し、「C3-10シクロアルキル」とは、炭素数3~10個を有する、環状の非芳香族性炭化水素基(飽和炭化水素基)を意味する。
【0035】
「C3-7シクロアルキル」および「C3-10シクロアルキル」には、架橋したものも含まれる。「C3-7シクロアルキル」の具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等が挙げられる。「C3-10シクロアルキル」の具体例としては、上記に加えて、シクロオクチル、アダマンチル等が挙げられ、好ましくは、「C3-7シクロアルキル」である。
【0036】
「C6-10アリール」とは、炭素数6~10個を有する芳香族炭化水素基を意味する。好ましくはフェニルである。「C6-10アリール」の具体例としては、例えば、フェニル、1-ナフチルまたは2-ナフチル等が挙げられる。
【0037】
前記「C
6-10アリール」には、「フェニル」と、窒素、硫黄または酸素から選ばれるヘテロ原子を1個、または同一または異なって2個以上(例えば2~4個)含有する5もしくは6員の環(例えば、下記で説明する「5または6員の単環式ヘテロアリール」、下記で説明する「3~7員の非芳香族複素環」のうち5または6員の環)、または5~7員のシクロアルキル環(例えばシクロペンタン、シクロヘキサンまたはシクロヘプタン)とが縮環した基も包含される。該基の具体例としては、例えば、下記式で表される基等が挙げられる。
【化8】
【0038】
「5~12員のヘテロアリール」とは、環を構成する原子として炭素に加えて、窒素、硫黄または酸素から選ばれるヘテロ原子を1個、または同一または異なって2個以上(例えば2~4個)含有する単環式もしくは多環式の5~12員の芳香族基を意味し、好ましくは、「5または6員の単環式ヘテロアリール」である。「5または6員の単環式ヘテロアリール」とは、「5~12員のヘテロアリール」のうち単環式の5または6員の芳香族基を意味する。
【0039】
前記「5~12員のヘテロアリール」における多環式ヘテロアリールとしては、具体的には同一または異なる二つの単環式へテロアリールが縮環したもの、あるいは単環式へテロアリールと芳香環(例えばベンゼンなど)または非芳香族環(例えばシクロヘキサンなど)とが縮環したものが挙げられる。
「5~12員のヘテロアリール」の具体例としては、下記式で表される基が挙げられる。好ましい「5~12員のヘテロアリール」としては、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニルが挙げられる。別の実施態様では、好ましくは、ベンゾフラニル(結合位置は、ヘテロアリール(フラン)環上)、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニルが挙げられる。なお「5または6員の単環式ヘテロアリール」の具体例は、下記式で表される基のうち単環のものである。
【化9】
【0040】
「3~7員の非芳香族複素環」とは、環を構成する原子として炭素に加えて、窒素、酸素および硫黄から選択されるヘテロ原子を1個、または同一または異なって2個以上(例えば、2~4個、好ましくは、2~3個)有する、3~7員の環状の基を意味する。該複素環は、非芳香族性であり、飽和または部分不飽和のいずれであってもよい。好ましくは飽和複素環であり、より好ましくは5員もしくは6員の飽和複素環である。「3~7員の非芳香族複素環」の具体例としては、オキセタニル、アゼチジニル、ピラニル、テトラヒドロフリル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジオキソチオモルホリニル、ヘキサメチレンイミニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イミダゾリジニル、オキソイミダゾリジニル、ジオキソイミダゾリジニル、オキソオキサゾリジニル、ジオキソオキサゾリジニル、ジオキソチアゾリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル等が挙げられる。好ましくは、ピラニル、テトラヒドロフリル、ピロリジニル、ピぺリジニル、モルホリニルである。
【0041】
前記「3~7員の非芳香族複素環」は、該3~7員の非芳香族複素環がベンゼンまたは6員のヘテロアリール(例えばピリジン、ピリミジンまたはピリダジンなど)と縮合し環を形成した場合も包含する。具体例としては、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロプリニル、ジヒドロチアゾロピリミジニル、ジヒドロベンゾジオキサニル、イソインドリニル、インダゾリル、ピロロピリジニル、テトラヒドロキノリニル、デカヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロイソキノリニル、テトラヒドロナフチリジニル、テトラヒドロピリドアゼピニル等が挙げられる。
【0042】
「C1-2アルコキシ」とは、前記「C1-2アルキル」で置換されたオキシ基を意味し、「C1-4アルコキシ」とは、前記「C1-4アルキル」で置換されたオキシ基を意味する。「C1-2アルコキシ」の具体例としては、メトキシ、エトキシが挙げられ、「C1-4アルコキシ」の具体例としては、上記に加え、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ等が挙げられる。「C1-4アルコキシ」として好ましくは、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシが挙げられる。
【0043】
「C3-7シクロアルコキシ」とは、前記「C3-7シクロアルキル」で置換されたオキシ基を意味する。「C3-7シクロアルコキシ」の具体例としては、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ等が挙げられる。好ましくは、シクロヘキシルオキシである。「C5-6シクロアルコキシ」とは、「C3-7シクロアルコキシ」における炭素数が5または6のシクロアルコキシである。
【0044】
「C6-10アリールオキシ」とは、前記「C6-10アリール」で置換されたオキシ基を意味する。「C6-10アリールオキシ」の具体例としては、例えばフェニルオキシ、ナフチルオキシ等が挙げられ、好ましくはフェニルオキシである。
【0045】
「5~12員のヘテロアリールオキシ」とは、前記「5~12員のヘテロアリール」で置換されたオキシ基を意味する。「5~12員のヘテロアリールオキシ」の具体例としては、例えばピリジルオキシ、イミダゾリルオキシまたはフリルオキシ等が挙げられ、好ましくはピリジルオキシである。
【0046】
前記式(I)で表される本発明の化合物を更に具体的に開示するため、式(I)において用いられる各種記号につき、その好適な具体例を挙げて更に詳細に説明する。
【0047】
好ましいR1a、R1b、R1cおよびR1dとしては、各々独立して、水素、ハロゲン、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ(該アルキルおよび該アルコキシにおけるアルキル部分は、各々独立して、ハロゲン、水酸基および置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-4アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、C3-7シクロアルキル、C3-7シクロアルコキシ(該シクロアルキルおよび該シクロアルコキシにおけるシクロアルキル部分は、各々独立して、ハロゲン、水酸基、置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-4アルキルおよび置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-4アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、C6-10アリール、C6-10アリールオキシ、5~12員のヘテロアリールまたは5~12員のヘテロアリールオキシ(該アリールおよび該アリールオキシにおけるアリール部分ならびに該ヘテロアリールおよび該ヘテロアリールオキシにおけるヘテロアリール部分は、各々独立して、ハロゲン、シアノ、置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-4アルキルおよび置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-4アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)が挙げられる。但し、R1a、R1b、R1cまたはR1dの少なくとも1つは上記のC6-10アリール、C6-10アリールオキシ、5~12員のヘテロアリールまたは5~12員のヘテロアリールオキシである。
【0048】
より好ましいR1a、R1b、R1cおよびR1dとしては、各々独立して、水素、ハロゲン、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ(該アルキルおよび該アルコキシにおけるアルキル部分は、各々独立して、ハロゲン、水酸基および置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-4アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、C6-10アリール、C6-10アリールオキシ、5~12員のヘテロアリールまたは5~12員のヘテロアリールオキシ(該アリールおよび該アリールオキシにおけるアリール部分ならびに該ヘテロアリールおよび該ヘテロアリールオキシにおけるヘテロアリール部分は、各々独立して、ハロゲン、シアノ、置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-4アルキルおよび置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-4アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)が挙げられる。但し、R1a、R1b、R1cまたはR1dの少なくとも1つは上記のC6-10アリール、C6-10アリールオキシ、5~12員のヘテロアリールまたは5~12員のヘテロアリールオキシである。
【0049】
さらにより好ましいR1a、R1b、R1cおよびR1dとしては、水素、ハロゲン、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ(該アルキルおよびアルコキシにおけるアルキル部分は、各々独立して、1~3個の同一もしくは異なるハロゲンで置換されていてもよい)、C6-10アリール、C6-10アリールオキシ、5~12員のヘテロアリールまたは5~12員のヘテロアリールオキシ(該アリールおよびアリールオキシにおけるアリール部分ならびに該ヘテロアリールおよびヘテロアリールオキシにおけるヘテロアリール部分は、各々独立して、ハロゲン、シアノ、置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-4アルキルおよび置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-4アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)が挙げられる。但し、R1a、R1b、R1cまたはR1dの少なくとも1つは上記のC6-10アリール、C6-10アリールオキシ、5~12員のヘテロアリールまたは5~12員のヘテロアリールオキシである。
【0050】
R1a、R1b、R1cおよびR1dの別の態様として、R1aおよびR1dが、水素であり、R1bおよびR1cが、各々独立して、水素、C6-10アリール、C6-10アリールオキシ、5~12員のヘテロアリールまたは5~12員のヘテロアリールオキシ(該アリールおよびアリールオキシにおけるアリール部分ならびに該ヘテロアリールおよびヘテロアリールオキシにおけるヘテロアリール部分は、各々独立して、ハロゲンおよび置換されていてもよいC1-4アルキルからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)である場合が挙げられる。但し、R1bおよびR1cが同時に水素ではない。
【0051】
R1a、R1b、R1cおよびR1dの好ましい具体例としては、水素、フッ素、塩素、メチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メトキシ、エトキシ、フェニル、2-フルオロフェニル、3-フルオロフェニル、4-フルオロフェニル、4-(トリフルオロメチル)フェニル、5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル、6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル、3-クロロフェニル、4-クロロフェニル、フェノキシ、3-フルオロフェノキシ、4-フルオロフェノキシ、3,4-ジフルオロフェノキシ、3,5-ジフルオロフェノキシ、4-クロロフェノキシ、4-メチルフェノキシ、4-(トリフルオロメチル)フェノキシ、4-メトキシフェノキシ、4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ、4-シアノフェノキシ、(5-メチルピリジン-2-イル)オキシ、(5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ、(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)オキシ、(5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ、2-メトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル、2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル、2-クロロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル、4-(トリフルオロメトキシ)フェニル、(5-クロロピリジン-2-イル)オキシ、2,4-ジクロロフェニル、2-クロロ-4-フルオロフェノキシ、4-クロロ-2-フルオロフェノキシ、2,4-ジクロロフェノキシが挙げられる。
【0052】
R1a、R1b、R1cおよびR1dのより好ましい具体例としては、水素、フッ素、4-(トリフルオロメチル)フェニル、5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル、6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル、3-フルオロフェニル、4-フルオロフェニル、4-クロロフェニル、3-フルオロフェノキシ、4-フルオロフェノキシ、4-クロロフェノキシ、4-メチルフェノキシ、4-(トリフルオロメチル)フェノキシ、4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ、(5-メチルピリジン-2-イル)オキシ、(5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ、(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)オキシ、2-メトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル、4-(トリフルオロメトキシ)フェニル、(5-クロロピリジン-2-イル)オキシが挙げられる。
【0053】
好ましいR2およびR3としては、水素またはC1-6アルキル(該アルキルは、シアノ、ハロゲン、水酸基および置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-4アルコキシからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で置換されていてもよい)が挙げられ、より好ましくは、水素または1~5個のハロゲンで置換されていてもよいC1-6アルキルが挙げられる。
【0054】
R2およびR3の好ましい具体例としては、水素、メチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、トリフルオロメチル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルが挙げられ、より好ましくは、水素、メチル、エチルが挙げられる。
【0055】
また、R
2およびR
3の別の好ましい態様として、R
2およびR
3が、それらと同一炭素原子に結合する炭素原子と一緒になって環を形成し、それらと同一炭素原子に結合する水酸基と共に下記式(II):
【化10】
で表される基を形成してもよい。
【0056】
上記式(II)中、
eおよびfとして好ましくは、各々独立して、1または2であり、R5a、R5b、R5cおよびR5dとして好ましくは、各々独立して、水素またはハロゲンであり、
R4として好ましくは、水素であり、
Vとして好ましくは、酸素原子である。
【0057】
また、R
2およびR
3の別の好ましい態様として、R
2、R
3、それらと同一炭素原子に結合する水酸基、およびLにおけるCR
7R
8において、
R
2とR
7が、それぞれが結合する炭素原子と一緒になって環を形成し、R
3、水酸基およびR
8と共に下記式(III):
【化11】
で表される基を形成してもよい。
【0058】
上記式(III)中、
m1として好ましくは、0であり、
m2として好ましくは、1または2であり、
jとして好ましくは、1または2であり、
Lは、CR7R8であり、
R8として好ましくは、水素であり、
R6a、R6b、R6cおよびR6dとして好ましくは、各々独立して、水素またはハロゲンである。
【0059】
好ましいmとしては、1または2が挙げられ、
より好ましくは、1が挙げられる。
【0060】
Lは、CR7R8である(mが2または3を表す場合、それぞれのCR7R8は、各々独立し、同一でも異なってもよい)。
【0061】
好ましいR4としては、水素または1~5個のハロゲンで置換されていてもよいC1-4アルキルが挙げられ、より好ましくは、水素またはメチルが挙げられる。
【0062】
好ましいR7およびR8としては、水素またはC1-4アルキル(該アルキルは、各々独立して、ハロゲン、水酸基、置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-4アルコキシ、置換基群Bから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC3-7シクロアルキル、置換基群Bから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC3-7シクロアルコキシおよび置換基群Bから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい3~7員の非芳香族複素環からなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)が挙げられ、より好ましくは、水素が挙げられる。
【0063】
R7およびR8の好ましい具体例としては、水素、メチル、エチルが挙げられ、より好ましくは、水素が挙げられる。
【0064】
好ましい置換基群Aとしては、フッ素、塩素、水酸基、C1-2アルコキシおよびC5-6シクロアルコキシが挙げられ、より好ましくは、フッ素、水酸基およびC1-2アルコキシが挙げられる。
【0065】
好ましい置換基群Bとしては、フッ素、塩素、水酸基、C1-2アルキル、C1-2アルコキシおよびC5-6シクロアルコキシが挙げられ、より好ましくは、フッ素、水酸基、C1-2アルキルおよびC1-2アルコキシが挙げられる。
【0066】
式(I)の化合物の一つの態様として、以下が挙げられる。
R
1a、R
1b、R
1cおよびR
1dが、各々独立して、水素、ハロゲン、C
1-4アルキル、C
1-4アルコキシ(該アルキルおよび該アルコキシにおけるアルキル部分は、各々独立して、ハロゲン、水酸基および置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、C
3-7シクロアルキル、C
3-7シクロアルコキシ(該シクロアルキルおよび該シクロアルコキシにおけるシクロアルキル部分は、各々独立して、ハロゲン、水酸基、置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルキルおよび置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)、C
6-10アリール、C
6-10アリールオキシ、5~12員のヘテロアリールまたは5~12員のヘテロアリールオキシ(該アリールおよび該アリールオキシにおけるアリール部分ならびに該ヘテロアリールおよび該ヘテロアリールオキシにおけるヘテロアリール部分は、各々独立して、ハロゲン、シアノ、置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルキルおよび置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルコキシからなる群から独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)であり、
R
2およびR
3が、各々独立して、水素またはC
1-6アルキル(該アルキルは、ハロゲン、水酸基および置換基群Aから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルコキシからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で置換されていてもよい)であり、あるいは、
R
2とR
3が、それらと同一炭素原子に結合する炭素原子と一緒になって環を形成し、それらと同一炭素原子に結合する水酸基と共に下記式(IIa):
【化12】
[式(IIa)中、
eおよびfは、各々独立して、1または2であり、
Vは単結合または酸素原子であり、
R
5a、R
5b、R
5cおよびR
5dは、各々独立して、水素またはハロゲンである]で表される基を形成してもよく、
あるいは、R
2、R
3、それらと同一炭素原子に結合する水酸基、およびLにおけるCR
7R
8において、
R
2とR
7が、それぞれが結合する炭素原子と一緒になって環を形成し、R
3、水酸基およびR
8と共に下記式(IIIa);
【化13】
[式(IIIa)中、
m
1は0であり、
m
2は1または2であり、jは1または2であり、
R
3は、水素または1~3個のハロゲンで置換されていてもよいC
1-6アルキルであり、
R
8は、水素であり、
LはCR
7R
8(m
2が2を表す場合、それぞれのCR
7R
8は、各々独立し、同一でも異なってもよい)であり、
R
6a、R
6b、R
6cおよびR
6dは、各々独立して、水素またはハロゲンである]
で表される基を形成してもよく、
R
4が、水素または1~5個のハロゲンで置換されていてもよいC
1-4アルキルであり、
mが、1または2であり、
Lが、CR
7R
8を表し(mが2を表す場合、それぞれのCR
7R
8は、各々独立し、同一でも異なってもよい)、
R
7およびR
8が、各々独立して、水素または1~3個の同一もしくは異なるハロゲンで置換されていてもよいC
1-4アルキルである化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【0067】
式(I)の化合物の別の態様として、以下が挙げられる。
R
1a、R
1b、R
1cおよびR
1dが、各々独立して、水素、フッ素、塩素、メチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メトキシ、エトキシ、フェニル、2-フルオロフェニル、3-フルオロフェニル、4-フルオロフェニル、4-(トリフルオロメチル)フェニル、5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル、6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル、3-クロロフェニル、4-クロロフェニル、フェノキシ、3-フルオロフェノキシ、4-フルオロフェノキシ、3,4-ジフルオロフェノキシ、3,5-ジフルオロフェノキシ、4-クロロフェノキシ、4-メチルフェノキシ、4-(トリフルオロメチル)フェノキシ、4-メトキシフェノキシ、4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ、4-シアノフェノキシ、(5-メチルピリジン-2-イル)オキシ、(5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ、(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)オキシ、(5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ、2-メトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル、2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル、2-クロロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル、4-(トリフルオロメトキシ)フェニル、(5-クロロピリジン-2-イル)オキシ、2,4-ジクロロフェニル、2-クロロ-4-フルオロフェノキシ、4-クロロ-2-フルオロフェノキシ、2,4-ジクロロフェノキシであり、
R
2およびR
3が、各々独立して、水素または1~5個のハロゲンで置換されていてもよいC
1-6アルキルであり、あるいは、
R
2とR
3が、それらと同一炭素原子に結合する炭素原子と一緒になって環を形成し、それらと同一炭素原子に結合する水酸基と共に下記式(IIa):
【化14】
[式(IIa)中、
eおよびfは、各々独立して、1または2であり、
Vは酸素原子であり、
R
5a、R
5b、R
5cおよびR
5dは、水素である]で表される基を形成してもよく、
あるいは、R
2、R
3、それらと同一炭素原子に結合する水酸基、およびLにおけるCR
7R
8において、
R
2とR
7が、それぞれが結合する炭素原子と一緒になって環を形成し、R
3、水酸基およびR
8と共に下記式(IIIa);
【化15】
[式(IIIa)中、
m
1は0であり、
m
2は1または2であり、jは1または2であり、
R
3は、水素またはC
1-6アルキルであり、
R
8は、水素であり、
LはCR
7R
8(m
2が2を表す場合、それぞれのCR
7R
8は、各々独立し、同一でも異なってもよい)であり、
R
6a、R
6b、R
6cおよびR
6dは、水素である]
で表される基を形成してもよく、
R
4が、水素またはC
1-4アルキルであり、
mが、1または2であり、
Lが、CR
7R
8を表し(mが2を表す場合、それぞれのCR
7R
8は、各々独立し、同一でも異なってもよい)、
R
7およびR
8が、各々独立して、水素またはC
1-4アルキルである化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【0068】
式(I)の化合物の別の態様として、以下が挙げられる。
R
1a、R
1b、R
1cおよびR
1dが、各々独立して、水素、フッ素、4-(トリフルオロメチル)フェニル、5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル、6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル、3-フルオロフェニル、4-フルオロフェニル、4-クロロフェニル、3-フルオロフェノキシ、4-フルオロフェノキシ、4-クロロフェノキシ、4-メチルフェノキシ、4-(トリフルオロメチル)フェノキシ、4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ、(5-メチルピリジン-2-イル)オキシ、(5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ、(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)オキシ、2-メトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル、4-(トリフルオロメトキシ)フェニル、(5-クロロピリジン-2-イル)オキシであり、
R
2およびR
3が、各々独立して、水素、またはメチルであり、あるいは、
R
2とR
3が、それらと同一炭素原子に結合する炭素原子と一緒になって環を形成し、それらと同一炭素原子に結合する水酸基と共に下記式(IIa):
【化16】
[式(IIa)中、
eおよびfは、1であり、
Vは酸素原子であり、
R
5a、R
5b、R
5cおよびR
5dは、水素である]で表される基を形成してもよく、
あるいは、R
2、R
3、それらと同一炭素原子に結合する水酸基、およびLにおけるCR
7R
8において、
R
2とR
7が、それぞれが結合する炭素原子と一緒になって環を形成し、R
3、水酸基およびR
8と共に下記式(IIIa);
【化17】
[式(IIIa)中、
m
1は0であり、
m
2は2であり、jは2であり、
R
3は、水素であり、
R
8は、水素であり、
LはCH
2であり、
R
6a、R
6b、R
6cおよびR
6dは、水素である]
で表される基を形成してもよく、
R
4が、水素またはC
1-4アルキルであり、
mが、1であり、
Lが、CR
7R
8を表し、
R
7およびR
8が、各々独立して、水素またはメチルである化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【0069】
本発明の化合物の製造方法について以下に述べる。式(I)で表される本発明の化合物は、例えば下記の製造法1~5により製造することができる。
【0070】
製造法1:
式(I)で表される化合物のうち、R
1bがOR
aである式(7)または(9)で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩は、例えば下記の製法により製造することができる。
【化18】
(式中、R
1a、R
1c、R
1d、R
2、R
3、Lおよびmは項1に記載の定義と同じであり、R
aは、R
1bにおける置換基群Aから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルキル、置換基群Bから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-7シクロアルキル、置換基群Bから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
6-10アリールまたは置換基群Bから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい5~12員のヘテロアリールを表し、X
1、X
2およびX
3は、各々独立して、ハロゲン、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、メタンスルホニルオキシ等の脱離基を表し、R
4aは、R
4におけるC
1-4アルキルまたはC
3-4シクロアルキル(該C
1-4アルキルおよびC
3-4シクロアルキルは、1~5個のハロゲンで置換されてもよい)を表す。)
【0071】
工程1-1:
ニトロアニリン化合物(3)は、適切な不活性溶媒中でニトロベンゼン化合物(1)とアミン化合物(2)とを塩基存在下にて反応に付すことにより製造することができる。本反応で使用する塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の無機塩基やトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、DABCO等の有機塩基が挙げられる。また、アミン化合物を過剰に使用する場合は塩基を用いなくてもよい。溶媒としては、THF、1,2-ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒、DMF、NMP、アセトニトリル等が挙げられる。反応時間は通常、約10分から10時間であり、反応温度は0℃から溶媒の沸点までである。
【0072】
工程1-2:
化合物(5)は、適切な不活性溶媒中で化合物(3)と化合物(4)とを塩基存在下にて反応に付すことにより製造することができる。本反応で使用する塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水素化ナトリウム等が挙げられる。溶媒としては、THF、1,2-ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒、DMF、NMP、アセトニトリル等が挙げられる。反応時間は通常、約10分から10時間であり、反応温度は0℃から溶媒の沸点までである。
【0073】
工程1-3:
化合物(6)は、適切な不活性溶媒中で通常用いられるニトロ基の還元条件により化合物(5)を還元して製造することができる。本反応の条件は、例えばパラジウム-炭素等による水素添加条件下での接触還元や、亜鉛、鉄等による金属還元、水素化アルミニウムリチウム等によるヒドリド還元等が挙げられる。溶媒はそれぞれの還元条件で通常用いられる溶媒が挙げられ、接触還元の場合は、メタノール、エタノール、THF、酢酸エチル等、金属還元の場合はTHF、酢酸、メタノール、エタノール等、ヒドリド還元の場合はジエチルエーテル、THF等が挙げられる。反応時間は通常、約10分から24時間であり、反応温度としては0℃から溶媒の沸点までである。
【0074】
工程1-4:
化合物(7)は、適切な不活性溶媒中で通常用いられるイミダゾロン環形成条件で化合物(6)を反応に付すことにより製造することができる。本反応の条件は、例えば1,1’-カルボニルジイミダゾール、トリホスゲンまたは尿素を用いた環化条件が挙げられる。必要に応じて、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン等の塩基を添加してもよい。溶媒としては、THF、1,2-ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒、DMF、NMP、アセトニトリル等の非プロトン性極性溶媒、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。反応時間は通常、約10分から10時間であり、反応温度は0℃から溶媒の沸点までである。
【0075】
工程1-5:
化合物(9)は、適切な不活性溶媒中で化合物(7)と化合物(8)とを塩基存在下にて反応に付すことにより製造することができる。本反応で使用する塩基としては、水素化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。溶媒としては、THF、1,2-ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒、DMF、NMP、アセトニトリル等が挙げられる。反応時間は通常、約10分から10時間であり、反応温度は0℃から溶媒の沸点までである。
【0076】
工程1-4’:
化合物(7’)は、適切な不活性溶媒中で化合物(6)と、対応するアルデヒドまたはケトンを還元剤存在下にて反応に付すことにより製造することができる。本反応で使用する還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウムまたはシアノトリヒドロホウ酸ナトリウム等が挙げられる。溶媒としてはクロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭素、ジエチルエーテル、THF、1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトニトリル、メタノール、エタノール等のアルコールが挙げられる。反応時間は通常、約10分から10時間であり、反応温度は0℃から溶媒の沸点までである。
化合物(7’)は、化合物(6)を用い、工程(1-5)と同様の方法で製造することもできる。
【0077】
工程1-5’:
化合物(9)は、化合物(7’)を用い、工程(1-4)と同様の方法で製造することもできる。
【0078】
上述の工程(1-1)と、続く工程(1-2)は、連続して進行させることが可能であり、1ステップで化合物(1)から化合物(5)を製造する事ができる。その際の反応時間は10分から12時間であり、反応温度は室温から溶媒の沸点までである。
【0079】
製造法2:
式(I)で表される化合物のうち、R
1bがOR
aである式(7)で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩は、例えば下記の製法によっても製造することができる。
【化19】
(式中、R
1a、R
1c、R
1d、R
2、R
3、Lおよびmは項1に記載の定義と同じであり、R
aおよびX
1は前記と同じであり、X
4は、ハロゲン、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、メタンスルホニルオキシ等の脱離基である。Bnはベンジル基を意味するが、ベンジル基と同様に脱保護反応可能な、例えばProtective Groups in Organic Synthesisに記載の置換されたベンジル基でもよい。)
【0080】
工程2-1:
化合物(12)は、適切な不活性溶媒中で化合物(10)と化合物(11)を、例えば塩基の存在下にて反応に付すことにより製造することができる。塩基としては炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水素化ナトリウム等が挙げられる。化合物(11)としては、ベンジルクロリド、ベンジルブロミド等を挙げることができる。また、必要に応じて、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、硫酸水素テトラブチルアンモニウム等を添加してもよい。溶媒としてはアセトン、アセトニトリル、THF、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、DMF、NMP等が挙げられる。反応時間は通常30分から24時間であり、反応温度は0℃から溶媒の沸点までである。他にもProtective Groups in Organic Synthesis等に記載の方法(条件)で、化合物(10)から化合物(12)を製造することができる。
【0081】
工程2-2:
化合物(13)は、化合物(12)を用い、工程(1-1)と同様の方法で製造することができる。
【0082】
工程2-3:
化合物(14)は、化合物(13)のニトロ基の選択的還元反応により、製造することができる。本反応の条件としては、硫黄で被毒した白金炭素等による水素添加条件下での接触還元、亜鉛、鉄、スズ等による金属還元、水素化アルミニウムリチウム等によるヒドリド還元等が挙げられる。溶媒としてはそれぞれの反応条件で通常用いられる溶媒が挙げられ、接触還元の場合はメタノール、エタノール、THF、酢酸エチル等、金属還元の場合はTHF、酢酸、メタノール、エタノール等、ヒドリド還元の場合はジエチルエーテル、THF等が挙げられる。反応時間は通常、約10分から24時間であり、反応温度としては0℃から溶媒の沸点までである。
【0083】
工程2-4:
化合物(15)は、化合物(14)を用い、工程(1-4)と同様の方法で製造することができる。
【0084】
工程2-5:
化合物(16)は、化合物(15)を、例えば水素添加条件下で接触還元反応に付すことで、製造することができる。触媒としてはパラジウム-炭素等の不均一触媒が用いられる。水素添加条件下とは、水素雰囲気下、或いはギ酸、ギ酸アンモニウム等の存在下を意味する。溶媒としては、メタノール、エタノール、THF、酢酸エチル等が挙げられる。反応時間は30分から24時間であり、反応温度は0℃から溶媒の沸点までである。他にもProtective Groups in Organic Synthesis等に記載の方法(条件)で、化合物(15)から化合物(16)を製造することができる。
【0085】
工程2-6:
化合物(7)は、化合物(16)を用いて、以下の2つの反応条件により製造することができるが、これらの方法に限定されない。
1)塩基を使用する条件として、化合物(7)を化合物(16)およびRa-X5(Raは、前記と同じであり、X5は、ハロゲン、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、メタンスルホニルオキシ等の脱離基である。)を用い工程(2-1)と同様の方法で製造する工程が挙げられる。
2)触媒および塩基を使用する条件として、Ra基を持つボロン酸化合物またはハロゲン化合物を反応させる工程が挙げられる。触媒としては酢酸銅(II)、ヨウ化銅(I)、酸化銅(II)等が挙げられる。塩基としては炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン等が挙げられる。溶媒としてはクロロホルム、1,4-ジオキサン、DMF、ジメチルスルホキシド、NMP等が挙げられる。反応時間は通常30分から24時間であり、反応温度は室温から溶媒の沸点までである。
【0086】
なお、R1a、R1b、R1cおよびR1dのいずれか1つ、または2つ以上がORaである式(I)で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩も上記と同様の方法で製造することができる。
【0087】
製造法3:
式(I)で表される化合物のうち、R
1bがOR
aである式(7)で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩は、例えば下記の製法によっても製造することができる。
【化20】
(式中、R
1a、R
1c、R
1d、R
2、R
3、Lおよびmは項1に記載の定義と同じであり、R
aおよびX
1は前記と同じである。)
【0088】
工程3-1:
化合物(17)は、化合物(10)を用い、工程(1-1)と同様の方法で製造することができる。
【0089】
工程3-2:
化合物(18)は、化合物(17)を用い、工程(2-6)と同様の方法で製造することができる。
【0090】
工程3-3:
化合物(19)は、化合物(18)を用い、工程(1-3)と同様の方法で製造することができる。
【0091】
工程3-4:
化合物(7)は、化合物(19)を用い、工程(1-4)と同様の方法で製造することができる。
【0092】
上述の工程(3-1)と、続く工程(3-2)は、連続して進行させることが可能であり、1ステップで化合物(10)から化合物(18)を製造する事ができる。その際の反応時間は10分から12時間であり、反応温度は室温から溶媒の沸点までである。
【0093】
製造法4:
式(I)で表される化合物のうち、R
1bがR
bである式(22)または(23)で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩は、例えば下記の製法により製造することができる。
【化21】
(式中、R
1a、R
1c、R
1d、R
2、R
3、R
4、Lおよびmは項1に記載の定義と同じであり、X
2およびX
3は前記と同じであり、R
bはC
6-10アリールまたは5~12員のヘテロアリール(該アリールおよび該ヘテロアリールは、各々独立して、ハロゲン、シアノ、置換基群Aから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルキル、置換基群Aから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルコキシ、置換基群Bから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-7シクロアルキル、置換基群Bから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-7シクロアルコキシおよび置換基群Bから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい3~7員の非芳香族複素環からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で置換されていてもよい)を表す。)
【0094】
工程4-1:
化合物(20)は、化合物(3)を用い、工程(2-3)と同様の方法(選択的にニトロ基を還元する方法)で製造することができる。
【0095】
工程4-2:
化合物(21)は、化合物(20)を用い、工程(1-4)と同様の方法で製造することができる。
【0096】
工程4-3:
化合物(22)は、化合物(21)と、Rb基を持つボロン酸またはボロン酸エステル化合物を塩基および触媒の存在下で反応に付すことで製造することができる。具体的には鈴木カップリング反応を用いる工程である。塩基としては炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸三カリウム等が挙げられる。触媒としては酢酸パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム等が挙げられる。溶媒としては1,4-ジオキサン、トルエン、1,2-ジメトキシエタン等が挙げられる。反応時間は約30分から24時間であり、反応温度は室温から溶媒の沸点までである。
【0097】
工程4-4:
化合物(23)は、化合物(22)と化合物(8)を用い、工程(1-5)と同様の方法で製造することができる。
【0098】
なお、R1a、R1b、R1cおよびR1dのいずれか1つ、または2つ以上がRbである式(I)で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩も上記と同様の方法で製造することができる。
【0099】
製造法5:
式(I)で表される化合物のうち、R
1bがR
bである式(22)で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩は、例えば下記の製法によっても製造することができる。
【化22】
(式中、R
1a、R
1c、R
1d、R
2、R
3、Lおよびmは項1に記載の定義と同じであり、R
bおよびX
2は前記と同じであり、R
10およびR
11は、各々独立して、置換されていてもよいC
1-4アルキル、置換されていてもよいC
1-4アルコキシ、置換されていてもよいC
1-4ジアルキルアミノ、置換されていてもよいC
6-10アリール、置換されていてもよいC
6-10アリールオキシ、置換されていてもよい5~12員のヘテロアリール、置換されていてもよい5~12員のヘテロアリールオキシまたは水酸基を表す。R
10R
11B-として好ましくは以下に示す構造が挙げられるが、それらによって限定されるものではない。)
【化23】
【0100】
工程5-1:
化合物(24)は、化合物(21)とビスピナコールジボロン等のジボロン類を、触媒および塩基の存在下で反応に付すことで製造することができる。触媒としては、ジクロロ[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等が挙げられる。塩基としては酢酸カリウム、リン酸三カリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。溶媒としては、1,4-ジオキサン、トルエン、1,2-ジメトキシエタン等が挙げられる。反応時間は約1時間から48時間、反応温度は室温から溶媒の沸点である。
【0101】
工程5-2:
化合物(22)は、化合物(24)と、Rb基を持つハライド化合物またはトリフラート化合物(Rb-X(X:ハロゲン原子)またはCF3SO2O-Rb等)を、触媒および塩基の存在下で反応に付すことにより製造することができる。具体的には鈴木カップリング反応を用いる工程である。塩基としては炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸三カリウム等が挙げられる。触媒としては酢酸パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム等が挙げられる。溶媒としては1,4-ジオキサン、トルエン、1,2-ジメトキシエタン等が挙げられる。反応時間は約30分から48時間であり、反応温度は室温から溶媒の沸点までである。
【0102】
なお、R1a、R1b、R1cおよびR1dのいずれか1つ、または2つ以上がRbである式(I)で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩も上記と同様の方法で製造することができる。
【0103】
上記製造法における室温とは、具体的には10℃~30℃を意味する。
【0104】
上記製造法における出発原料および中間体は、公知化合物であるか、公知化合物から公知の方法により合成することができる。また、上記製造法において、反応点以外の何れかの官能基が、説明した反応条件下で変化するか、または説明した方法を実施するのに不適切な場合は、反応点以外を保護し、反応させた後、脱保護することにより目的化合物を得ることができる。保護基としては、例えば前述のProtective Groups in Organic Synthesis等に記載されているような通常の保護基を用いることができる。具体的には、アミンの保護基としては、例えば、エトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、アセチル、ベンジル等を、また水酸基の保護基としては、例えば、トリ低級アルキルシリル、アセチル、ベンジル等を挙げることができる。
【0105】
保護基の導入および脱離は、有機合成化学で常用される方法(例えば、上記のProtective Groups in Organic Synthesis参照)、あるいはそれらに準じた方法により行うことができる。
【0106】
また、上記製造方法における、中間体、または最終生成物は、その官能基を適宜変換することにより、本発明に含まれる別の化合物へ導く事もできる。官能基の変換は、通常行われる一般的方法(例えば、Comprehensive Organic Transformations, R. C. Larock著(1989年)等参照)により行うことができる。
【0107】
上記各製造法における中間体および目的化合物は、有機合成化学で常用される精製法、例えば中和、濾過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再結晶、各種クロマトグラフィー等によって単離精製することができる。また、中間体については、特に精製することなく次の反応に用いることも可能である。
また、光学異性体は前記製造法の適切な工程で、光学活性カラムを用いた方法、分別結晶化法等の公知の分離工程を実施することで分離することができる。また、出発原料として光学活性体を使用することもできる。
本発明の化合物は、光学異性体、立体異性体、ケトエノール体のような互変異性体、および/または幾何異性体を有する場合もあるが、本発明の化合物は、これらを含め全ての可能な異性体およびそれらの混合物を包含する。
【0108】
本発明の化合物は、上記の異性体に加え、式(I)で表される化合物もしくはそのプロドラッグ、またはその製薬学的に許容される塩を包含する。また、本発明の化合物またはその製薬学的に許容される塩は、水あるいは各種溶媒との付加物の形で存在することもあるが、これら付加物も包含する。さらに、本発明の化合物は、あらゆる態様の結晶形のものおよび化合物を構成する原子の一部または全部を同位体に変換した化合物(例えば、水素を重水素化した化合物や、12Cを14Cに変換した化合物)も包含する。
【0109】
本明細書における「式(I)の化合物のプロドラッグ」なる用語は、生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応により式(I)の化合物に変換される化合物、すなわち酵素的に酸化、還元、加水分解等を起こして式(I)の化合物に変化する化合物、胃酸等により加水分解を起こして式(I)の化合物に変化する化合物を意味する。
【0110】
「製薬学的に許容される塩」としては、例えば、塩基付加塩または酸付加塩が挙げられる。塩基付加塩としては、例えば、カリウム塩、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、N-メチルグルカミン(メグルミン)等の水溶性アミン付加塩、または有機アミンの低級アルカノールアンモニウム塩が挙げられる。酸付加塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、酒石酸水素塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、サッカラート、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩、パモエート[1,1’-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエート)]等の塩が挙げられる。
【0111】
本発明の化合物の塩は以下の方法等により取得することができる。例えば、本発明の化合物が塩の形で得られる場合には、そのまま精製すればよい。また、本発明の化合物が遊離の形で得られる場合には、適当な有機溶媒に溶解または懸濁させ、上記の塩を形成しうる酸または塩基を加えて、通常の方法により塩を形成させればよい。
【0112】
上記で示す製造方法で得られた式(I)の化合物は、抽出、カラムクロマトグラフィー、再結晶、再沈殿のような常法に従って単離・精製される。抽出溶媒としては、例えばジエチルエーテル、酢酸エチル、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン等が挙げられる。カラムクロマトグラフィーによる精製は、例えば、酸性、塩基性もしくは各種化学処理をしたシリカゲルまたはアルミナ等を用いて行われる。溶出溶媒としては、例えば、ヘキサン/酢酸エチル、ヘキサン/クロロホルム、酢酸エチル/メタノール、クロロホルム/メタノール、アセトニトリル/水、メタノール/水等が用いられる。
【0113】
本発明のベンズイミダゾロン環を有する新規化合物またはその製薬学的に許容される塩は、Nav1.7を阻害する特性を有し、C繊維やAδ繊維等の末梢神経が関与する痛み、しびれ感、灼熱感、鈍痛、刺痛、電撃痛等の自発痛、機械刺激や冷熱刺激に対する痛覚過敏あるいはアロディニアを伴う神経障害性疼痛、侵害受容性疼痛、炎症性疼痛、小径線維ニューロパチー、肢端紅痛症、発作性激痛症等に対する治療剤または予防剤として使用できる。ここでいう神経障害性疼痛としては、例えば糖尿病性ニューロパチー、帯状疱疹後神経痛、化学療法による神経障害、癌性疼痛、ヒト免疫不全症候群ウイルス感染性感覚神経障害、三叉神経痛、複合性局所疼痛症候群、反射性交感神経性ジストロフィー、腰部術後神経痛、幻肢痛、脊髄損傷後疼痛、遷延性術後疼痛、炎症性の脱髄性多発神経根障害、アルコール性神経障害、絞扼性末梢神経障害、医原性神経障害、突発性感覚神経障害、栄養障害による神経障害、放射線照射後神経障害、神経根障害、有毒性末梢神経障害、外傷性末梢性神経障害、腕神経叢引き抜き損傷、舌因神経痛、自己免疫性神経障害、慢性馬尾障害等が挙げられる。侵害受容性疼痛ないしは炎症性疼痛としては、腰痛、腹痛、慢性関節リウマチ、変形性関節症による疼痛、筋肉痛、急性術後痛、骨折痛、熱傷性疼痛等が挙げられる。また、本発明の化合物またはその製薬学的に許容される塩は、排尿障害に対する治療剤または予防剤としても使用できる。ここでいう排尿障害としては、頻尿、前立腺肥大による膀胱痛等が挙げられる。さらに、多発性硬化症における小脳の異常神経発火を抑える運動失調に対する治療剤または予防剤としても使用できる。さらに、本発明の化合物またはその製薬学的に許容される塩は、Nav1.7の選択的阻害活性を有することから、既存薬で問題となっている心臓や中枢神経由来の副作用を示さない薬剤になり得ると考えられる。
【0114】
本発明の化合物の投与経路としては、経口投与、非経口投与または直腸内投与のいずれでもよく、その一日投与量は、化合物の種類、投与方法、患者の症状・年齢等により異なる。例えば、経口投与の場合は、通常、ヒトまたは哺乳動物1kg体重当たり約0.01~1000mg、更に好ましくは約0.1~500mgを1~数回に分けて投与することができる。静注等の非経口投与の場合は、通常、例えば、ヒトまたは哺乳動物1kg体重当たり約0.01mg~300mg、更に好ましくは約1mg~100mgを投与することができる。
【0115】
本発明化合物は、経口投与または非経口投与により、直接または適当な剤形を用いて製剤にし、投与することができる。剤形は、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤、懸濁剤、注射剤、貼付剤、パップ剤等が挙げられるがこれに限らない。製剤は、製薬学的に許容される添加剤を用いて、公知の方法で製造される。添加剤は、目的に応じて、賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、コーティング剤、溶解剤、溶解補助剤、増粘剤、分散剤、安定化剤、甘味剤、香料等を用いることができる。具体的には、例えば、乳糖、マンニトール、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、部分α化デンプン、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、酸化チタン、タルク等が挙げられる。
【0116】
本発明の化合物およびその製薬学的に許容される塩は、その作用の増強を目的として、例えば、セレコキシブ、ボルタレン、イブプロフェン、ロキソプロフェン、アセトアミノフェン、ジクロフェナク、デキサメサゾン等の非ステロイド系抗炎症薬や、トラマドール、モルヒネ、オキシコドン等のオピオイド系鎮痛薬とも組み合わせて用いることができる。また、プレガバリン、カルバマゼピン等の抗てんかん薬、エパルレスタット等のアルドース還元酵素阻害剤、リマプロスト アルファデクス等のプロスタグランジン誘導体製剤、アミトリプチリン、デュロキセチン等の抗うつ薬、抗痙攣薬、抗不安薬、ドーパミン受容体作動薬、パーキンソン病治療薬、ホルモン製剤、偏頭痛治療薬、アドレナリンβ受容体拮抗薬、認知症治療薬、気分障害治療薬等の薬剤とも組み合わせて用いることができる。本発明の化合物およびその製薬学的に許容される塩と組み合わせて用いる薬剤として好ましくは、プレガバリン、カルバマゼピン等の抗てんかん薬、アミトリプチリン、デュロキセチン等の抗うつ薬、モルヒネ、オキシコドン、トラマドール等の麻薬性鎮痛薬、アセトアミノフェン、ジクロフェナク、デキサメサゾン等の抗炎症薬、エパルレスタット等のアルドース還元酵素阻害剤、リマプロスト アルファデクス等のプロスタグランジン誘導体が挙げられる。また、その副作用抑制を目的として、制吐剤、睡眠導入剤等の薬剤と組み合わせて用いることができる。本発明の化合物および併用薬剤の投与時期は限定されず、これらを投与対象に対し、同時に投与してもよいし、適当な間隔をおいて投与してもよい。また、本発明の化合物と併用薬剤の合剤としても良い。併用薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明化合物と併用薬剤との配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組み合わせ等により適宜選択することができる。例えば投与対象がヒトである場合、本発明の化合物1重量部に対し、併用薬剤を0.01~1000重量部用いればよい。
【実施例】
【0117】
以下に参考例、実施例および薬理試験例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本願発明の技術的範囲はこれら実施例等に限定されるものではない。実施例におけるシリカゲルクロマトグラフィーは、山善株式会社製のシリカゲルカラムクロマトグラフィーまたはアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いた。化合物の同定はプロトン核磁気共鳴吸収スペクトル(1H-NMR)、高速液体クロマト質量分析計;LCMS等を用いて行った。1H-NMRは、JNM-ECS400(日本電子)を用いて測定した。
【0118】
高速液体クロマト質量分析計;LCMSの測定条件は、以下の通りであり、観察された質量分析の値[MS(m/z)]をM+Hで示す。
MS detector:ACQITY SQD
HPLC:ACQITY UPLC
カラム:ACQITY BEH C18 1.7μm 2.1×50mm
流速:0.75mL/min
測定波長:254nm
移動層:A液;0.05%ギ酸水溶液
B液;アセトニトリル
タイムプログラム:
ステップ時間(分)
1 0.0-1.3 A液:B液=90:10→1:99
2 1.3-1.5 A液:B液=1:99
3 1.5-2.0 A液:B液=90:10
【0119】
原料化合物、反応試薬および溶媒は、特に断りのない限り、市販のものを用いるか、または公知の方法に準じて製造したものを使用した。
【0120】
参考例、実施例および薬理試験例において、本明細書の記載を簡略化するために次に示すような略号を用いることもある。Me:メチル、Et:エチル、THF:テトラヒドロフラン、DMF:N,N-ジメチルホルムアミド、NMP:N-メチル-2-ピロリジノン、DMSO:ジメチルスルホキシド、HEPES:2-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]エタンスルホン酸、EGTA:O,O’-ビス(2-アミノエチル)エチレングリコール-N,N,N’,N’-四酢酸、J:結合定数、s:一重線、d:二重線、t:三重線、q:四重線、dd:二重の二重線、m:多重線、br:幅広い。
【0121】
参考例1:2-メチル-1-[(2-ニトロ-5-{[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}フェニル)アミノ]プロパン-2-オール
【化24】
3-フルオロ-4-ニトロフェノール(1.0g)のNMP(15.9mL)溶液に1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール(0.74g)、ジイソプロピルエチルアミン(2.78mL)を加え110℃で3時間攪拌した。室温まで冷却後、反応液に2-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン(1.37g)と炭酸セシウム(3.11g)を加え110℃で2時間攪拌した。室温まで冷却後、反応液に水および酢酸エチル/ヘキサン(3/1)を加え、目的物を有機層に抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣に酢酸エチル(10mL)を加えた後、ヘキサン(100mL)を加え超音波処理を行うことで固体が析出した。ろ取により得られた固体をヘキサンで洗浄し、減圧下乾燥させることで表題化合物(1.53g)を得た。
LC-MS,m/z;372[M+H]
+
【0122】
参考例2:1-[(2-アミノー5-{[5-(トリフルオロメチル)ピリジンー2-イル]オキシ}フェニル)アミノ]-2-メチルプロパンー2-オール
【化25】
参考例1の化合物(500mg)のメタノール溶液(6.7mL)に、ギ酸(0.52mL)を加えた後、亜鉛(440mg)を0℃で徐々に添加した。室温にて1時間撹拌後、反応液をセライトを用いてろ過し、減圧濃縮した。得られた残渣にロッシェル塩飽和水溶液および酢酸エチルを加え、目的物を有機層に抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)で精製し、表題化合物(146mg)を得た。
LC-MS,m/z;342[M+H]
+
【0123】
参考例3、4、5:
対応する出発原料を用いて、参考例1と同様の方法で、下記表に示す参考例3~5の化合物を製造した。
【表1】
【0124】
参考例6:3-{[(5-フルオロ-2-ニトロフェニル)アミノ]メチル}オキセタン-3-オール
【化26】
3-(アミノメチル)オキセタン-3-オール(960mg)のNMP(20mL)溶液に2,4-ジフルオロニトロベンゼン(1.48g)、ジイソプロピルエチルアミン(1.95mL)を加え室温で9時間攪拌した。反応液に水および酢酸エチルを加え、目的物を有機層に抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、表題化合物(1.44g)を得た。
LC-MS,m/z;243[M+H]
+
【0125】
参考例7:3-[({2-ニトロ-5-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]フェニル}アミノ)メチル]オキセタン-3-オール
【化27】
参考例6の化合物(529mg)のNMP(10mL)溶液に4-(トリフルオロメトキシ)フェノール(324mg)、炭酸セシウム(771mg)を加え100℃で4時間攪拌した。反応液に水および酢酸エチルを加え、目的物を有機層に抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、表題化合物(1.44g)を得た。
LC-MS,m/z;401[M+H]
+
【0126】
参考例8:1-[(5-フルオロ-2-ニトロフェニル)アミノ]-2-メチルプロパン-2-オール
【化28】
1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール(500mg)を用い、参考例6と同様の手法により、表題化合物(1.1g)を得た。
LC-MS,m/z;229[M+H]
+
【0127】
参考例9:1-{[5-(4-フルオロフェノキシ)-2-ニトロフェニル]アミノ}-2-メチルプロパン-2-オール
【化29】
参考例8の化合物(1.1g)と4-フルオロフェノール(450mg)を用い、参考例7と同様の手法により、表題化合物(1.33g)を得た。
LC-MS,m/z;321[M+H]
+
【0128】
参考例10:3-({[5-(4-フルオロフェノキシ)-2-ニトロフェニル]アミノ}メチル)オキセタン-3-オール
【化30】
4-フルオロフェノール(116mg)を用い、参考例7と同様の手法により、表題化合物(354mg)を得た。
LC-MS,m/z;335[M+H]
+
【0129】
参考例11:3-({[5-(4-クロロフェノキシ)-2-ニトロフェニル]アミノ}メチル)オキセタン-3-オール
【化31】
4-クロロフェノール(150mg)を用い、参考例7と同様の手法により、表題化合物(416mg)を得た。
LC-MS,m/z;351[M+H]
+
【0130】
参考例12、13、14、15、16、17、18:
対応する出発原料を用いて、参考例2と同様の方法で、下記表に示す参考例12、13、14、15、16、17、18の化合物を製造した。
【表2】
【0131】
参考例19:1-[(5-ブロモ-2-ニトロフェニル)アミノ]-2-メチルプロパン-2-オール
【化32】
4-ブロモ-2-フルオロニトロベンセン(5.0g)のNMP(40mL)溶液に1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール(2.43g)、ジイソプロピルエチルアミン(5.95mL)を加え100℃で3時間攪拌した。反応液に水および酢酸エチルを加え、目的物を有機層に抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣に、ヘキサンと酢酸エチルを用いてトリチレーションすることにより精製し、表題化合物(5.18g)を得た。
LC-MS,m/z;289[M]
+、291 [M+2]
+
【0132】
参考例20:1-[(2-アミノ-5-ブロモフェニル)アミノ]-2-メチルプロパン-2-オール
【化33】
参考例19の化合物(2.65g)のTHF溶液(30mL)に、3%Ptサルファイテッドカーボン(1.3g)を加え、室温水素雰囲気下にて10時間攪拌した。反応液をセライトを用いてろ過し、減圧濃縮した。得られた残渣に、ヘキサンと酢酸エチルを用いてトリチレーションすることにより精製し、表題化合物(2.09g)を得た。
LC-MS,m/z;259[M]
+, 261[M+2]
+
【0133】
参考例21:6-ブロモ-1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
【化34】
参考例20の化合物(1.51g)のTHF溶液(60mL)に、氷浴下にてN,N’-カルボニルジイミダゾール(1.13g)を加え、室温まで徐々に加温しつつ8時間攪拌した。反応液を減圧濃縮した後、得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)で精製し、表題化合物(1.16g)を得た。
LC-MS,m/z;285[M]
+, 287[M+2]
+
【0134】
参考例22:1-[(4-ブロモ-2-ニトロフェニル)アミノ]-2-メチルプロパン-2-オール
【化35】
5-ブロモ-2-フルオロニトロバンゼン(2.06g)を用い、参考例19と同様の手法により、表題化合物(1.8g)を得た。
LC-MS,m/z;289[M]
+, 291[M+2]
+
【0135】
参考例23:1-[(2-アミノ-4-ブロモフェニル)アミノ]-2-メチルプロパン-2-オール
【化36】
参考例22の化合物(416mg)を用い、参考例20と同様の手法により、表題化合物(930mg)を得た。
LC-MS,m/z;259[M]
+, 261[M+2]
+
【0136】
参考例24:1-{[4-(ベンジルオキシ)-2-ニトロフェニル]アミノ}-2-メチルプロパン-2-オール
【化37】
4-(ベンジロキシ)-1-フルオロ-2-ニトロベンゼン(1.1g)のNMP(9mL)溶液に1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール(476mg)、ジイソプロピルエチルアミン(2.72mL)を加え110℃で2時間攪拌した。反応液に水および酢酸エチルを加え、目的物を有機層に抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、表題化合物(1.4g)を得た。
LC-MS,m/z;317[M+H]
+
【0137】
参考例25:1-{[2-アミノ-4-(ベンジルオキシ)フェニル]アミノ}-2-メチルプロパン-2-オール
【化38】
参考例24の化合物(1.4g)を用い、参考例2と同様の手法により、表題化合物(0.92g)を得た。
LC-MS,m/z;287[M+H]
+
【0138】
参考例26:3-({[4-(ベンジルオキシ)-2-ニトロフェニル]アミノ}メチル)オキセタン-3-オール
【化39】
3-(アミノメチル)オキセタン-3-オール(1.25g)を用い、参考例24と同様の手法により、表題化合物(2.95g)を得た。
LC-MS,m/z;331[M+H]
+
【0139】
参考例27:3-({[2-アミノ-4-(ベンジルオキシ)フェニル]アミノ}メチル)オキセタン-3-オール
【化40】
参考例26の化合物(2.92g)を用い、参考例2と同様の手法により、表題化合物(1.2g)を得た。
LC-MS,m/z;301[M+H]
+
【0140】
参考例28、29、30:
対応する出発原料を用いて、参考例21と同様の方法で、下記表に示す参考例28、29、30の化合物を製造した。
【表3】
【0141】
参考例31:5-ヒドロキシ-1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
【化41】
参考例29の化合物(750mg)のメタノール(6mL)溶液に、10%パラジウム-カーボン(375mg)を加え、水素雰囲気下で6時間撹拌した。反応液をセライトでろ過し、減圧濃縮することにより表題化合物(521mg)を得た。
LC-MS,m/z;223[M+H]
+
【0142】
参考例32:5-ヒドロキシ-1-[(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)メチル]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
【化42】
参考例30の化合物(1.1g)を用い、参考例31と同様の手法により、表題化合物(0.43g)を得た。
LC-MS,m/z;237[M+H]
+
【0143】
参考例33:1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
【化43】
参考例21の化合物(124mg)のジオキサン(2mL)溶液にビス(ピナコレート)ジボロン(166mg)、炭酸カリウム(85mg)および1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)クロライド(35.5mg)を加え110℃で3時間攪拌した。反応液に水および酢酸エチルを加え、目的物を有機層に抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)で精製し、表題化合物(123mg)を得た。
LC-MS,m/z;333[M+H]
+
【0144】
参考例34:(3S)-3-アミノ-2-メチルブタン-2-オール 塩酸塩
【化44】
N-α-t-ブトキシカルボニル-L-アラニンメチルエステル(5.0g)のジエチルエーテル(80mL)溶液にメチルマグネシウムブロミド(29.5mL、ジエチルエーテル溶液(3mol/L))を氷浴下で加え30分間攪拌した。さらにその後、室温まで加温し3時間撹拌した。反応液に酢酸エチルおよび塩化アンモニウム水溶液を加え、目的物を有機層に抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。
得られた化合物(5.4g)を酢酸エチル(40mL)に溶解させた後、4mol/L塩酸/1,4-ジオキサン溶液(7.5mL)を加え、室温で2時間撹拌した。反応液を減圧濃縮後、残渣にトルエンを加え減圧濃縮を3回繰り返した。得られた残渣を、ヘキサンと酢酸エチルを用いてトリチレーションすることにより精製し、表題化合物(3.08g)を得た。
1H-NMR (400MHz, DMSO-D6) δ: 1.07 (3H, s), 1.11 (3H, d, J = 6.8 Hz), 1.15 (3H, s), 2.98 (1H, q, J = 6.8, 14 Hz), 5.11 (1H, s), 7.76 (3H, br).
【0145】
参考例35:(3S)-2-メチル-3-[(2-ニトロ-5-{[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}フェニル)アミノ]ブタン-2-オール
【化45】
参考例34の化合物(300mg)と2-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン(0.337mL)を用い、参考例1と同様の手法により、表題化合物(500mg)を得た。
LC-MS,m/z;386[M+H]
+
【0146】
参考例36:(3S)-3-[(2-アミノ-5-{[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}フェニル)アミノ]-2-メチルブタン-2-オール
【化46】
参考例35の化合物(26.1g)のメタノール溶液(250mL)に、塩酸(67.7mL、5M)を加えた後、亜鉛(440mg)を0℃で徐々に添加した。室温にて2時間撹拌後、反応液をセライトを用いてろ過し、減圧濃縮した。得られた残渣にロッシェル塩飽和水溶液および酢酸エチルを加え、目的物を有機層に抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣を、アミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)で精製し、表題化合物(22.4g)を得た。
LC-MS,m/z;356[M+H]
+
【0147】
参考例37:(3S)-3-{[5-(4-フルオロフェノキシ)-2-ニトロフェニル]アミノ}-2-メチルブタン-2-オール
【化47】
2,4-ジフルオロニトロベンゼン(316mg)のNMP(4mL)溶液に参考例34の化合物(305mg)、ジイソプロピルエチルアミン(1.04mL)を加え室温にて3時間攪拌した。反応液に4-フルオロフェノール(334mg)と炭酸セシウム(971mg)を加え100℃で8時間攪拌した。室温まで冷却後、反応液に水および酢酸エチルを加え、目的物を有機層に抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、表題化合物(545mg)を得た。
LC-MS,m/z;335[M+H]
+
【0148】
参考例38:(3S)-3-{[2-アミノ-5-(4-フルオロフェノキシ)フェニル]アミノ}-2-メチルブタン-2-オール
【化48】
参考例37の化合物(545mg)のメタノール(8mL)溶液に、10%パラジウム-カーボン(100mg)を加え、水素雰囲気下で6時間撹拌した。反応液をセライトでろ過し、減圧濃縮することにより表題化合物(485mg)を得た。
LC-MS,m/z;305[M+H]
+
【0149】
参考例39:cis-4-{[5-(4-フルオロフェノキシ)-2-ニトロフェニル]アミノ}シクロヘキサノール
【化49】
シス-4-アミノシクロヘキサノール塩酸塩(415mg)を用い、参考例37と同様の手法により、表題化合物(755mg)を得た。
LC-MS,m/z;347[M+H]
+
【0150】
参考例40:cis-4-{[2-アミノ-5-(4-フルオロフェノキシ)フェニル]アミノ}シクロヘキサノール
【化50】
参考例39の化合物(755mg)を用い、参考例38と同様の手法により、表題化合物(625mg)を得た。
LC-MS,m/z;317[M+H]
+
【0151】
実施例1~11:
対応する出発原料を用いて、参考例21と同様の方法で、下記表に示す実施例1~11の化合物を製造した。
【化51】
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【0152】
実施例12:1-エチル-3-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-5-{[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
【化52】
実施例1の化合物(100mg)のDMSO溶液(1mL)に水素化ナトリウム(13.1mg)を加え1時間攪拌した。さらにヨウ化エチル(37μL)を加え60℃で4時間攪拌した。反応液に水および酢酸エチルを加え、目的物を有機層に抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、表題化合物(93mg)を得た。
LC-MS,m/z;396[M+H]
+ (RT 0.934 min)
1H-NMR (400MHz, DMSO-D6) δ: 1.10 (6H, s), 1.22 (3H, t, J = 7.0 Hz), 3.68 (2H, s), 3.89 (2H, q, J = 14.0, 6.8 Hz), 4.57 (1H, s), 6.86 (1H, dd, J = 8.4, 2.4 Hz), 7.15-7.22 (3H, m), 8.19 (1H, dd, J = 8.4, 2.4 Hz), 8.53-8.55 (1H, m).
【0153】
実施例13:3-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-1-メチル-5-{[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
【化53】
実施例1の化合物(180mg)とヨウ化メチル(61μL)を用い、実施例12と同様の手法により、表題化合物(133mg)を得た。
LC-MS,m/z;382[M+H]
+ (RT 0.803 min)
1H-NMR (400MHz, DMSO-D6) δ: 1.23 (6H, s), 3.44 (3H, s), 3.84 (2H, s), 6.88-6.91 (1H, m), 6.95 (1H, d, J = 2.4 Hz), 6.99 (1H, d, J = 2.8 Hz), 7.01 (1H, d, J = 2.8 Hz), 7.88 (1H, dd, J = 8.8, 2.8 Hz), 8.38-8.39 (1H, m).
【0154】
実施例14~18:
対応する出発原料を用いて、実施例13と同様の方法で、下記表に示す実施例14~18の化合物を製造した。
【化54】
【表5-1】
【表5-2】
【0155】
実施例19:1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-6-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
【化55】
参考例21の化合物(100mg)を蒸留水(0.5mL)と1,4-ジオキサン(1.5mL)の混合溶媒に溶解させた後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(40.5mg)、2-(トリフルオロメチル)ピリジン-5-イルボロン酸(100mg)および炭酸カリウム(145mg)を加え100℃にて6時間攪拌した。反応液に水および酢酸エチルを加え、目的物を有機層に抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣を、アミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)で精製し、さらに、ヘキサンと酢酸エチルを用いてトリチレーションすることにより精製し、表題化合物(48mg)を得た。
LC-MS,m/z;352[M+H]
+ (RT 0.802 min)
1H-NMR (400MHz, DMSO-D6) δ: 1.15 (6H, s), 3.77 (2H, s), 4.67 (1H, s), 7.10 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.42 (1H, dd, J = 7.9, 1.8 Hz), 7.71 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.95 (1H, d, J = 8.5 Hz), 8.29 (1H, dd, J = 8.5, 2.4 Hz), 9.05 (1H, d, J = 2.4 Hz), 11.05 (1H, s).
【0156】
実施例20:1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-6-[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
【化56】
参考例33の化合物(123mg)を用い、蒸留水(1mL)と1,4-ジオキサン(3mL)の混合溶媒に溶解させた後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(42.8mg)、2-ブロモ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン(126mg)および炭酸カリウム(154mg)を加え100℃にて6時間攪拌した。反応液に水および酢酸エチルを加え、目的物を有機層に抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣を、アミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)で精製し、さらに、ヘキサンと酢酸エチルを用いてトリチレーションすることにより精製し、表題化合物(64mg)を得た。
LC-MS,m/z;352[M+H]
+ (RT 0.848 min)
1H-NMR (400MHz, DMSO-D6) δ: 1.16 (6H, s), 3.76 (2H, s), 4.70 (1H, s), 7.08 (1H, d, J = 8.2 Hz), 7.84 (1H, dd, J = 8.2, 1.8 Hz), 8.05 (1H, d, J = 1.8 Hz), 8.12 (1H, d, J = 8.5 Hz), 8.22 (1H, dd, J = 8.5, 1.8 Hz), 8.97 (1H, s), 11.09 (1H, s).
【0157】
実施例21~24:
対応する出発原料を用いて、実施例19と同様の方法で、下記表に示す実施例21~24の化合物を製造した。
【表6】
【0158】
実施例25:1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-5-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
【化57】
参考例31の化合物(50mg)をDMF(1mL)に溶解させた後、(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ボロン酸(139mg)、トリエチルアミン(94μL)および酢酸銅(12.3mg)を加え、開放系80℃にて9時間攪拌した。反応液に水および酢酸エチルを加え、目的物を有機層に抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、表題化合物(8mg)を得た。
LC-MS,m/z;383[M+H]
+ (RT 0.866 min)
1H-NMR (400MHz, DMSO-D6) δ: 1.16 (6H, s), 3.71 (2H, s), 4.65 (1H, s), 6.48 (1H, d, J = 2.4 Hz), 6.52 (1H, dd, J = 8.8, 2.4 Hz), 7.16 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.29-7.31 (1H, m), 7.55-7.58 (2H, m), 7.66-7.68 (1H, m), 9.10 (1H, s).
【0159】
実施例26:1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-5-{[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
【化58】
参考例31の化合物(50mg)のNMP(1mL)溶液に2-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン(45mg)、炭酸セシウム(110mg)を加え110℃で4時間攪拌した。反応液に水および酢酸エチルを加え、目的物を有機層に抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、表題化合物(9.0mg)を得た。
LC-MS,m/z;368[M+H]
+ (RT 0.734 min)
1H-NMR (400MHz, DMSO-D6) δ: 1.14 (6H, s), 3.68 (2H, s), 4.66 (1H, s), 6.79-6.80 (2H, m), 7.16 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.24-7.26 (1H, m), 8.18 (1H, dd, J = 8.8, 2.4 Hz), 8.54-8.55 (1H, m), 10.93 (1H, s).
【0160】
実施例27:1-[(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)メチル]-5-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
【化59】
参考例32の化合物(150mg)を用い、実施例25と同様の手法により、表題化合物(31mg)を得た。
LC-MS,m/z;397[M+H]
+ (RT 0.893 min)
1H-NMR (400MHz, DMSO-D6) δ: 4.11 (2H, s), 4.43 (2H, d, J = 6.8 Hz), 4.60 (2H, d, J = 6.8 Hz), 6.07 (1H, s), 6.48 (1H, d, J = 2.4 Hz), 6.52-6.55 (1H, m), 7.13 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.56-7.59 (2H, m), 7.67-7.69 (2H, m), 9.13 (1H, s).
【0161】
実施例28:1-[(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)メチル]-3-メチル-5-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1,3-ジヒドロ-2H-ベンズイミダゾール-2-オン
【化60】
実施例27の化合物(50mg)を用い、実施例13と同様の手法により、表題化合物(12mg)を得た。
LC-MS,m/z;411[M+H]
+ (RT 1.068 min)
1H-NMR (400MHz, DMSO-D6) δ: 3.70 (3H, s), 4.15 (2H, s), 4.44 (2H, d, J = 6.8 Hz), 4.601 (2H, d, J = 6.8 Hz), 6.09 (1H, s), 6.63 (1H, d, J = 2.4 Hz), 6.73 (1H, dd, J = 8.8, 2.4 Hz), 7.26 (1H, d, J = 8.8 Hz), 7.56 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.70-7.72 (2H, m).
【0162】
薬理試験例
電位依存性Naチャネル遺伝子発現細胞を用いたNaイオン電流の測定
Nav1.7由来電流は、ヒトSCN9A安定発現細胞を用いて、マニュアルパッチクランプ法により測定した。
【0163】
ヒトSCN9A安定発現細胞
テトラサイクリン誘導型SCN9A安定発現細胞はChanTest社より入手した。細胞は、10%ウシ胎児血清、100units/mL Penicillin-Streptomycin、10μg/mL Blasticidin、400μg/mL Zeocinを含むHam’s F-12培地で継代維持した。スライドグラスに播種した細胞を1μg/mL テトラサイクリン、1μg/mL Sodium butyrate、10%ウシ胎児血清、100units/mL Penicillin-Streptomycinを含むHam’s F-12培地で培養し、翌日マニュアルパッチクランプ法にてNaイオン電流を測定した。
【0164】
Naイオン電流の電気生理学的測定
Naイオン電流は、マニュアルパッチクランプ法により、以下の細胞外液、細胞内液を用いて測定した。
【0165】
細胞外液(mmol/L):NaCl 130、MgCl2 2、CaCl2 2、CdCl2 0.1、NiCl2 0.1、Tetraethylammonium-Cl 18、4-aminopyridine 1、HEPES(4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazineethanesulfonic acid) 10、(NaOHでpH7.4に調整)
【0166】
細胞内液(mmol/L):CsF 120、EGTA(ethylene glycol tetraacetic acid) 10、NaCl 15、HEPES 10、(CsOHでpH7.2に調整)
【0167】
刺激パルスの制御およびデータ取得は、EPC10およびPatch Masterソフトウエア(HEKA社製)を用いて実施した。データのサンプリングは20kHzで実施し、2.9kHzのローパスフィルタでノイズ除去した。測定はすべて室温で行った。保持電位はNav1.7チャネルの50%不活性化電位(-60mV付近)とし、20ミリ秒の脱分極パルス(0mV付近)を10Hzの頻度で30回与えた。被験化合物の阻害率は、上記刺激パルス1回目のピーク電流が500pA以上の細胞で、かつ、データ取得の終了までホールセルパラメーターの大きな変化がなかった細胞の結果から算出した。被験化合物のNaイオン電流に対する阻害率は、30回目の脱分極パルスによって生じた電流ピーク値をもとに、以下の計算式によって求めた。
Naイオン電流阻害率(%)=100×[(評価化合物非存在下での電流ピーク値)-(評価化合物存在下での電流ピーク値)]/(評価化合物非存在下での電流ピーク値)
【0168】
試験結果:
実施例で得られた化合物について、Naイオン電流に対する阻害作用を評価した結果、本発明化合物がNav1.7に対して阻害作用を示すことが観察された。化合物濃度が10μmol/Lのときの阻害率(%)を下記表に示す。
【表7】
【産業上の利用可能性】
【0169】
本発明の化合物は、Nav1.7の関与する疾患、具体的には、神経障害性疼痛、侵害受容性疼痛、炎症性疼痛、小径線維ニューロパチー、肢端紅痛症、発作性激痛症、排尿障害、多発性硬化症等の疾患に対して優れた治療剤として使用しうる。従って、本発明の化合物は、非常に有用な医薬となり得る。