(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】サンプル分析装置における動作条件を光学的に監視するためのシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20221114BHJP
G01N 35/02 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
G01N35/00 F
G01N35/02 C
(21)【出願番号】P 2019522722
(86)(22)【出願日】2017-11-03
(86)【国際出願番号】 IB2017056889
(87)【国際公開番号】W WO2018083658
(87)【国際公開日】2018-05-11
【審査請求日】2020-08-13
(32)【優先日】2016-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519091306
【氏名又は名称】モレキュラー デバイシーズ (オーストリア) ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】カッツリンガ, ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】クローンベルガ, ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】シンヴァルト, ベルンハルト
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第1998/047006(WO,A1)
【文献】特開2005-283125(JP,A)
【文献】特開2010-133925(JP,A)
【文献】米国特許第5671086(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第0646784(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルに対して光学ベースの測定を実施するためのサンプル分析装置であって、前記サンプル分析装置は、
筐体と、
前記筐体内に配置され、励起光を発生させるために構成された第1の光源と、
前記筐体内に配置され、前記励起光を前記第1の光源から前記サンプルに向かわせるために構成された励起光学系であって、前記サンプルは、前記励起光によって照射されていることに応答して、放出光を放出する、励起光学系と、
前記筐体内に配置され、前記放出光を測定するために構成された第1の光検出器と、
前記筐体内に配置され、前記放出光を前記サンプルから前記第1の光検出器に向かわせるために構成された放出光学系と、
液体を前記サンプルに送達するように構成された1つ以上の液体ハンドリング構成要素と、
1つ以上の移動可能構成要素が位置する前記筐体のエリアを監視するために構成された監視システムであって、前記エリアは、前記1つ以上の液体ハンドリング構成要素が前記サンプルと周期的に相互作用するように構成された空間に対応する、監視システムと
を備え、
前記監視システムは、
前記筐体内に配置され、前記1つ以上の移動可能構成要素を照明するために構成された第2の光源と、
前記筐体内に配置され、照明されていることに応答して前記1つ以上の移動可能構成要素から反射された光を検出するために構成された第2の光検出器と
を備えて
おり、
前記第2の光検出器は、前記1つ以上の液体ハンドリング構成要素の適切なポジショニングを確認するために前記1つ以上の液体ハンドリング構成要素の動作条件を決定するようにさらに構成されている、サンプル分析装置。
【請求項2】
前記監視システムは、前記1つ以上の移動可能構成要素の動作条件を検出するために構成されている、請求項1に記載のサンプル分析装置。
【請求項3】
前記動作条件は、
前記筐体内の前記1つ以上の移動可能構成要素の存在と、
前記筐体内の前記1つ以上の移動可能構成要素の位置と、
前記1つ以上の移動可能構成要素と前記筐体内に配置された追加の構成要素との間の距離と、
前記1つ以上の移動可能構成要素上の液滴または気泡の存在と、
前記1つ以上の移動可能構成要素が前記筐体内で移動している経路と、
前述のうちの2つ以上のものの組み合わせと
から成る群から選択される、請求項2に記載のサンプル分析装置。
【請求項4】
前記監視システムは、前記動作条件を検出することに応答して、前記サンプル分析装置の動作をシャットダウンするために構成されている、請求項2に記載のサンプル分析装置。
【請求項5】
前記監視システムは、前記筐体内に配置されたバーコード標識上のバーコードを読み取るために構成されている、請求項1に記載のサンプル分析装置。
【請求項6】
前記バーコード標識は、前記筐体内に配置されたサンプル支持体上に配置されている、請求項5に記載のサンプル分析装置。
【請求項7】
前記1つ以上の移動可能構成要素は、前記サンプルを支持するために構成されたサンプル支持体を備え、前記監視システムは、前記筐体内の前記サンプル支持体の存在を検出するために構成されている、請求項1に記載のサンプル分析装置。
【請求項8】
前記サンプル支持体は、マルチウェルマイクロプレートである、請求項7に記載のサンプル分析装置。
【請求項9】
前記1つ以上の移動可能構成要素は、前記サンプルを支持するために構成されたサンプル支持体を備え、前記監視システムは、前記筐体内の基準点に対する前記サンプル支持体の位置を測定するために構成されている、請求項1に記載のサンプル分析装置。
【請求項10】
前記1つ以上の移動可能構成要素は、前記サンプルを支持するために構成されたサンプル支持体を備え、前記監視システムは、前記サンプル支持体の上面上に搭載された蓋の存在を検出するために構成されている、請求項1に記載のサンプル分析装置。
【請求項11】
前記1つ以上の移動可能構成要素は、前記サンプルを支持するために構成されたサンプル支持体を備え、前記サンプル分析装置は、前記筐体内に配置された追加の構成要素をさらに備え、前記監視システムは、前記サンプル支持体と前記追加の構成要素との間の距離を測定するために構成されている、請求項1に記載のサンプル分析装置。
【請求項12】
前記追加の構成要素は、注入器ノズル、ピペット先端、および光学レンズから成る群から選択される、請求項11に記載のサンプル分析装置。
【請求項13】
前記1つ以上の移動可能構成要素は、前記サンプルを支持するために構成されたサンプル支持体を備え、前記監視システムは、前記サンプル支持体上の液滴の存在を検出するために構成されている、請求項1に記載のサンプル分析装置。
【請求項14】
前記1つ以上の移動可能構成要素は、液体を前記サンプルに分注するために構成された流体構成要素を備え、前記監視システムは、前記筐体内の基準点に対する前記流体構成要素の位置を測定するために構成されている、請求項1に記載のサンプル分析装置。
【請求項15】
前記流体構成要素は、注入器ノズルおよびピペット先端から成る群から選択される、請求項14に記載のサンプル分析装置。
【請求項16】
前記1つ以上の移動可能構成要素は、液体を前記サンプルに分注するために構成された流体構成要素を備え、前記監視システムは、前記流体構成要素上の液滴または気泡の存在を検出するために構成されている、請求項1に記載のサンプル分析装置。
【請求項17】
前記筐体内に配置された液体ピペットシステムを備え、前記1つ以上の移動可能構成要素は、前記液体ピペットシステムに結合され、前記液体ピペットシステムによって移動可能であるために構成されたピペット先端であり、前記監視システムは、前記ピペット先端が前記液体ピペットシステムから結合解除されているかどうかを検出するために構成されている、請求項1に記載のサンプル分析装置。
【請求項18】
前記第2の光検出器は、前記1つ以上の移動可能構成要素の画像を取得するために構成されたカメラである、請求項1に記載のサンプル分析装置。
【請求項19】
前記カメラと通信するシステムコントローラを備え、前記システムコントローラは、前記筐体の外部にあり、ユーザによって閲覧可能な表示画面上での前記カメラによって取得された画像の提示を制御するために構成されている、請求項18に記載のサンプル分析装置。
【請求項20】
前記カメラと通信するシステムコントローラを備え、前記システムコントローラは、前記筐体の外部にあり、ユーザによって閲覧可能な表示画面上での前記カメラによって取得されたビデオ画像の再生を制御するために構成されている、請求項18に記載のサンプル分析装置。
【請求項21】
サンプル分析装置の移動可能構成要素を監視する方法であって、前記サンプル分析装置は、前記移動可能構成要素が配置された筐体と、前記筐体内に配置され、励起光を発生させるために構成された第1の光源と、前記筐体内に配置され、前記励起光を前記第1の光源から前記筐体内に配置されたサンプルに向かわせるために構成された励起光学系と、液体を前記サンプルに送達するように構成された1つ以上の液体ハンドリング構成要素と、前記筐体内に配置され、前記励起光によって照射されていることに応答して前記サンプルから放出された放出光を測定するために構成された第1の光検出器と、前記筐体内に配置され、前記放出光を前記サンプルから前記第1の光検出器に向かわせるために構成された放出光学系とを備え、
前記方法は、
前記移動可能構成要素を照明するように前記筐体内に配置された第2の光源を動作させることと、
照明されていることに応答して前記移動可能構成要素から反射された光を検出するように前記筐体内に配置された第2の光検出器を動作させることと
によって、前記移動可能構成要素が位置する前記筐体のエリアを監視するように監視システムを動作させることを含み、前記エリアは、前記1つ以上の液体ハンドリング構成要素が前記サンプルと周期的に相互作用するように構成された空間に対応
し、
前記第2の光検出器は、前記1つ以上の液体ハンドリング構成要素の適切なポジショニングを確認するために前記1つ以上の液体ハンドリング構成要素の動作条件を決定するようにさらに構成されている、方法。
【請求項22】
前記監視システムを動作させることは、
前記筐体内の前記移動可能構成要素の存在を検出するように前記第2の光源および前記第2の光検出器を動作させることと、
前記筐体内の前記移動可能構成要素の位置を検出するように前記第2の光源および前記第2の光検出器を動作させることと、
前記移動可能構成要素と前記筐体内に配置された追加の構成要素との間の距離を算出するように前記第2の光源および前記第2の光検出器を動作させることと、
前記移動可能構成要素上の液滴または気泡の存在を検出するように前記第2の光源および前記第2の光検出器を動作させることと、
前記移動可能構成要素が前記筐体内を移動している経路を監視するように前記第2の光源および前記第2の光検出器を動作させることと、
前記筐体内に配置されたバーコード標識上のバーコードを読み取るように前記第2の光源および前記第2の光検出器を動作させることと
から成る群から選択される動作を実施することを含む、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国仮出願第15/344,680号(2016年11月7日出願)に対する優先権を主張し、上記出願の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本発明は、概して、サンプル分析装置の内部の種々の動作条件の光学ベースの監視のためのシステム、装置、および方法に関する。サンプル分析装置は、蛍光ベース、吸光ベース、および/またはルミネッセンスベースの測定、および/または顕微鏡撮像等、サンプルの1つ以上のタイプの光学ベースの測定もしくは分析を実行するものであり得る。
【背景技術】
【0003】
種々の分析器具が、生命科学産業において有用なアッセイの一部として、サンプル(例えば、化学化合物、生物学的材料等)に対して光学ベースの測定(例えば、蛍光、ルミネッセンス、および吸光、顕微鏡検査等)を行うために開発されている。多くの分析器具は、1つのみまたはいくつかの専用タイプの測定を実行するために設計される。一方、マルチモードリーダとも称されるマルチモード分析器具は、単一の器具内で複数の分析アッセイを実施するために設計される。マルチモード分析器具は、ユーザが実施される異なるタイプの測定を選択することを可能にするように再構成可能であるように設計され得る。いくつかのマルチモード分析器具は、用途に特有のカートリッジを利用し、再構成を可能にする。分析器具によって分析または測定されるサンプルは、典型的には、マルチウェルマイクロタイタプレート(マイクロプレートまたは光学プレートとしても公知である)内に支持されるが、他のタイプのサンプル保持器または容器も、利用され得る。サンプルを含むマイクロプレートは、典型的には、分析器具の内部の中に装填され、内部は、光学ベースの測定または撮像が実施されることを可能にするために、周囲から隔離される。
【0004】
分析器具がサンプルに実施することが可能である分析のタイプに応じて、分析器具は、分析器具の閉鎖された内部で動作する流体構成要素(例えば、ノズル、ピペット等)、光学構成要素(例えば、レンズ等)、および機械的構成要素(例えば、モータ駆動ステージ、マイクロタイタプレート輸送装置等)等の種々のタイプの移動可能構成要素を含み得る。そのような構成要素の存在および位置を決定することを含むこれらの移動可能構成要素を監視することが可能であることが、望ましいであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
全体的もしくは部分的に前述の問題、および/または当業者によって観察されていることもある他の問題に対処するために、本開示は、下に記載される実装において例として説明されるような方法、プロセス、システム、装置、器具、および/またはデバイスを提供する。
【0006】
ある実施形態によると、サンプルに対して光学ベースの測定を実施するためのサンプル分析装置は、筐体と、筐体内に配置され、励起光を発生させるために構成された第1の光源と、筐体内に配置され、励起光を第1の光源からサンプルに向かわせるために構成された励起光学系であって、サンプルは、励起光によって照射されていることに応答して、放出光を放出する、励起光学系と、筐体内に配置され、放出光を測定するために構成された第1の光検出器と、筐体内に配置され、放出光をサンプルから第1の光検出器に向かわせるために構成された放出光学系と、筐体内に配置された移動可能構成要素を監視するために構成された監視システム系とを含み、監視システムは、筐体内に配置され、移動可能構成要素を照明するために構成された第2の光源と、筐体内に配置され、照明されていることに応答して移動可能構成要素から反射された光を検出するために構成された第2の光検出器とを含む。
【0007】
別の実施形態によると、サンプル分析装置の移動可能構成要素を監視する方法が、提供される。サンプル分析装置は、移動可能構成要素が配置された筐体と、筐体内に配置され、励起光を発生させるために構成された第1の光源と、筐体内に配置され、励起光を第1の光源から筐体内に配置されたサンプルに向かわせるために構成された励起光学系と、筐体内に配置され、励起光によって照射されていることに応答してサンプルから放出された放出光を測定するために構成された第1の光検出器と、筐体内に配置され、放出光をサンプルから第1の光検出器に向かわせるために構成された放出光学系とを含む。方法は、移動可能構成要素を照明するように筐体内に配置された第2の光源を動作させることと、照明されていることに応答して移動可能構成要素から反射された光を検出するように筐体内に配置された第2の光検出器を動作させることとによって、移動可能構成要素を監視するように監視システムを動作させることを含む。
【0008】
本発明の他のデバイス、装置、システム、方法、特徴、および利点が、以下の図および発明を実施するための形態の検討に応じて、当業者に明白であるか、または明白となるであろう。全てのそのような追加のシステム、方法、特徴、および利点は、本説明の中に含まれ、本発明の範囲内であり、付随の請求項によって保護されることが意図される。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
サンプルに対して光学ベースの測定を実施するためのサンプル分析装置であって、前記サンプル分析装置は、
筐体と、
前記筐体内に配置され、励起光を発生させるために構成された第1の光源と、
前記筐体内に配置され、前記励起光を前記第1の光源から前記サンプルに向かわせるために構成された励起光学系であって、前記サンプルは、前記励起光によって照射されていることに応答して、放出光を放出する、励起光学系と、
前記筐体内に配置され、前記放出光を測定するために構成された第1の光検出器と、
前記筐体内に配置され、前記放出光を前記サンプルから前記第1の光検出器に向かわせるために構成された放出光学系と、
前記筐体内に配置された移動可能構成要素を監視するために構成された監視システム系と
を備え、
前記監視システムは、
前記筐体内に配置され、前記移動可能構成要素を照明するために構成された第2の光源と、
前記筐体内に配置され、照明されていることに応答して前記移動可能構成要素から反射された光を検出するために構成された第2の光検出器と
を備えている、サンプル分析装置。
(項目2)
前記監視システムは、前記移動可能構成要素の動作条件を検出するために構成されている、項目1に記載のサンプル分析装置。
(項目3)
前記動作条件は、
前記筐体内の前記移動可能構成要素の存在と、
前記筐体内の前記移動可能構成要素の位置と、
前記移動可能構成要素と前記筐体内に配置された追加の構成要素との間の距離と、
前記移動可能構成要素上の液滴または気泡の存在と、
前記移動可能構成要素が前記筐体内で移動している経路と、
前述のうちの2つ以上のものの組み合わせと
から成る群から選択される、項目2に記載のサンプル分析装置。
(項目4)
前記監視システムは、前記動作条件を検出することに応答して、前記サンプル分析装置の動作をシャットダウンするために構成されている、項目2に記載のサンプル分析装置。
(項目5)
前記監視システムは、前記筐体内に配置されたバーコード標識上のバーコードを読み取るために構成されている、項目1に記載のサンプル分析装置。
(項目6)
前記バーコード標識は、前記筐体内に配置されたサンプル支持体上に配置されている、項目5に記載のサンプル分析装置。
(項目7)
前記移動可能構成要素は、前記サンプルを支持するために構成されたサンプル支持体を備え、前記監視システムは、前記筐体内の前記サンプル支持体の存在を検出するために構成されている、項目1に記載のサンプル分析装置。
(項目8)
前記サンプル支持体は、マルチウェルマイクロプレートである、項目7に記載のサンプル分析装置。
(項目9)
前記移動可能構成要素は、前記サンプルを支持するために構成されたサンプル支持体を備え、前記監視システムは、前記筐体内の基準点に対する前記サンプル支持体の位置を測定するために構成されている、項目1に記載のサンプル分析装置。
(項目10)
前記移動可能構成要素は、前記サンプルを支持するために構成されたサンプル支持体を備え、前記監視システムは、前記サンプル支持体の上面上に搭載された蓋の存在を検出するために構成されている、項目1に記載のサンプル分析装置。
(項目11)
前記移動可能構成要素は、前記サンプルを支持するために構成されたサンプル支持体を備え、前記サンプル分析装置は、前記筐体内に配置された追加の構成要素をさらに備え、前記監視システムは、前記サンプル支持体と前記追加の構成要素との間の距離を測定するために構成されている、項目1に記載のサンプル分析装置。
(項目12)
前記追加の構成要素は、注入器ノズル、ピペット先端、および光学レンズから成る群から選択される、項目11に記載のサンプル分析装置。
(項目13)
前記移動可能構成要素は、前記サンプルを支持するために構成されたサンプル支持体を備え、前記監視システムは、前記サンプル支持体上の液滴の存在を検出するために構成されている、項目1に記載のサンプル分析装置。
(項目14)
前記移動可能構成要素は、液体を前記サンプルに分注するために構成された流体構成要素を備え、前記監視システムは、前記筐体内の基準点に対する前記流体構成要素の位置を測定するために構成されている、項目1に記載のサンプル分析装置。
(項目15)
前記流体構成要素は、注入器ノズルおよびピペット先端から成る群から選択される、項目14に記載のサンプル分析装置。
(項目16)
前記移動可能構成要素は、液体を前記サンプルに分注するために構成された流体構成要素を備え、前記監視システムは、前記流体構成要素上の液滴または気泡の存在を検出するために構成されている、項目1に記載のサンプル分析装置。
(項目17)
前記筐体内に配置された液体ピペットシステムを備え、前記移動可能構成要素は、前記液体ピペットシステムに結合され、それによって移動可能であるために構成されたピペット先端であり、前記監視システムは、前記ピペット先端が前記液体ピペットシステムから結合解除されているかどうかを検出するために構成されている、項目1に記載のサンプル分析装置。
(項目18)
前記第2の光検出器は、前記移動可能構成要素の画像を取得するために構成されたカメラである、項目1に記載のサンプル分析装置。
(項目19)
前記カメラと通信するシステムコントローラを備え、前記システムコントローラは、前記筐体の外部にあり、ユーザによって閲覧可能な表示画面上での前記カメラによって取得された画像の提示を制御するために構成されている、項目18に記載のサンプル分析装置。
(項目20)
前記カメラと通信するシステムコントローラを備え、前記システムコントローラは、前記筐体の外部にあり、ユーザによって閲覧可能な表示画面上での前記カメラによって取得されたビデオ画像の再生を制御するために構成されている、項目18に記載のサンプル分析装置。
(項目21)
サンプル分析装置の移動可能構成要素を監視する方法であって、前記サンプル分析装置は、前記移動可能構成要素が配置された筐体と、前記筐体内に配置され、励起光を発生させるために構成された第1の光源と、前記筐体内に配置され、前記励起光を前記第1の光源から前記筐体内に配置されたサンプルに向かわせるために構成された励起光学系と、前記筐体内に配置され、前記励起光によって照射されていることに応答して前記サンプルから放出された放出光を測定するために構成された第1の光検出器と、前記筐体内に配置され、前記放出光を前記サンプルから前記第1の光検出器に向かわせるために構成された放出光学系とを備え、
前記方法は、
前記移動可能構成要素を照明するように前記筐体内に配置された第2の光源を動作させることと、
照明されていることに応答して前記移動可能構成要素から反射された光を検出するように前記筐体内に配置された第2の光検出器を動作させることと
によって、前記移動可能構成要素を監視するように監視システムを動作させることを含む、方法。
(項目22)
前記監視システムを動作させることは、
前記筐体内の前記移動可能構成要素の存在を検出するように前記第2の光源および前記第2の光検出器を動作させることと、
前記筐体内の前記移動可能構成要素の位置を検出するように前記第2の光源および前記第2の光検出器を動作させることと、
前記移動可能構成要素と前記筐体内に配置された追加の構成要素との間の距離を算出するように前記第2の光源および前記第2の光検出器を動作させることと、
前記移動可能構成要素上の液滴または気泡の存在を検出するように前記第2の光源および前記第2の光検出器を動作させることと、
前記移動可能構成要素が前記筐体内を移動している経路を監視するように前記第2の光源および前記第2の光検出器を動作させることと、
前記筐体内に配置されたバーコード標識上のバーコードを読み取るように前記第2の光源および前記第2の光検出器を動作させることと
から成る群から選択される動作を実施することを含む、項目21に記載の方法。
(項目23)
前述のうちの2つ以上のものの組み合わせ。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明は、以下の図を参照することによって、より深く理解されることができる。図の構成要素は、必ずしも、縮尺通りではなく、代わりに、本発明の原理を例証することに重点が置かれている。図では、同様の参照番号は、異なる図全体を通して対応する部分を指定する。
【
図1】
図1は、ある実施形態による、サンプル分析装置の例の概略図である。
【
図2】
図2は、サンプル分析装置の別の概略図である。
【
図3】
図3は、ある実施形態による、
図1および2に図示されるもの等のサンプル分析装置において利用され得るマイクロプレートおよびプレート蓋の例の斜視図である。
【
図4】
図4は、ある実施形態による、
図1および2に図示されるもの等のサンプル分析装置とともに含まれ得る監視システムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書で使用されるように、用語「被分析物」は、概して、光学ベースの技法によって検出または測定される物質を指す。被分析物の例は、限定ではないが、タンパク質(膜結合タンパク質を含む)、抗原物質、ハプテン、抗体、毒素、有機化合物、ペプチド、微生物、アミノ酸、核酸、ホルモン、ステロイド、ビタミン、薬物(治療目的のために投与されるものおよび違法目的のために投与されるものを含む)、薬物中間体または副産物、細菌、ウイルス粒子、および前述のうちのいずれかの代謝物または抗体(該当する場合)、および前述のうちのいずれかのうちの2つ以上のものの組み合わせを含む。
【0011】
本明細書で使用されるように、用語「サンプル」は、概して、被分析物を含むことが既知であるか、または疑われる物質を指す。本明細書に開示される主題を実装することにおいて、サンプルは、源から取得されたまま直接、またはサンプルの性質を修正する前処理後に利用され得る。サンプルは、例えば、血液、間質液、唾液、水晶体液、脳脊髄液、汗、尿、乳、腹水、粘液、滑液、腹腔液、膣液、羊水等を含む、生理液等の任意の生物学的源に由来し得る。サンプルは、血液から血漿を調製すること、粘液を希釈すること等、使用に先立って前処理され得る。前処理の方法は、濾過、沈殿、希釈、蒸留、濃縮、干渉成分の不活性化、クロマトグラフィ、分離ステップ、および試薬の添加を伴うことができる。生理液以外に、水、食品等の他の液体サンプルが、環境または食料生成アッセイの実施のために使用され得る。加えて、被分析物を含むことが既知であるか、または疑われる固体物質が、サンプルとして使用され得る。いくつかの事例では、液体媒体を形成するように、または固体サンプルから被分析物を放出するように、固体サンプルを修正することが、有益であり得る。
【0012】
本明細書で使用されるように、用語「光」は、概して、光子として量子化可能である電磁放射を指す。本開示に関するように、光は、紫外線(UV)から赤外線(IR)に及ぶ波長において伝搬し得る。本開示では、用語「光」は、可視範囲内の電磁放射に限定されることは意図されない。本開示では、用語「光」、「光子」、および「放射」は、同義的に使用される。
【0013】
本明細書で使用されるように、サンプルから発生する光学信号の検出または測定に関連して、「放出光」または「放出される光」等の用語は、蛍光またはルミネッセンスの結果としてサンプルから放出される光を指す。加えて、便宜上、「放出光」または「放出される光」等の用語は、サンプルを通して伝送され、吸光を測定する目的のために収集される光も指す。
【0014】
図1は、いくつかの実施形態による、サンプル分析装置100の例の概略図である。
図1では、サンプル分析装置100の種々の構成要素は、概して、1つの構成要素から別の構成要素への光透過の全体的方向において図式的に配列される。
図2は、サンプル分析装置100の別の概略図である。
図2は、概して、構成要素が概して恣意的様式で配列されているという理解の下で、立面図であるように検討され得る。実際の実施形態では、互いに対する構成要素の相対的位置は、
図1および2において図式的に描写または示唆されるものと有意に異なり得る。
【0015】
サンプル分析装置100は、1つ以上のタイプの光学ベースの測定をサンプルに対して(または複数のサンプルに対して)実施し、着目被分析物を検出または測定するために構成される。いくつかの実施形態では、サンプル分析装置100は、ユーザが、蛍光、吸光、ルミネッセンス、細胞撮像等に基づく測定等の実施されるべき所望のタイプの光学測定を選択することを可能にするように構成される。例えば、ユーザは、所望のタイプの光学測定を実施するようにサンプル分析装置100の光学系を再構成することが可能であり得る。したがって、いくつかの実施形態では、サンプル分析装置100は、マルチモードリーダであり得る。例えば、マルチモードリーダとして、サンプル分析装置100は、ユーザが、いくつかの利用可能な異なるカートリッジの間で用途に特有のカートリッジを選択し、所望の用途に特有の光学および電気回路を確立するためにサンプル分析装置100の中に選択されたカートリッジを装填することを可能にすることによって、再構成可能であり得る。このように、選択されたカートリッジは、サンプル分析装置100に動作可能に結合され得、それによって、サンプル分析装置100は、選択された実験を実行するために適切に構成される。各カートリッジは、特定のタイプの実験(例えば、蛍光、吸光、ルミネッセンス等)に特有であるか、またはそのために最適化された内部光学系を含み得る。カートリッジ内に格納される内部光学系は、カートリッジの筐体の光学ポートを通して、サンプル分析装置100の筐体内に格納される外部光学系と連通し得る。いくつかのカートリッジは、加えて、1つ以上の内部光源および/または1つ以上の内部光検出器を含み得る。サンプル分析装置100は、2つ以上のカートリッジを同時に受け取り、支持するように構成され得、特定のカートリッジが、その後、選択されたカートリッジをサンプル分析装置100の内部の動作位置に移動させること等によって、サンプル分析装置100によって画定された光学経路の中に結合するために選択され得る。カートリッジベースのマルチモードリーダの例が、米国特許第9,188,527号および第8,119,066号(その内容が、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に説明されている。
【0016】
概して、光学ベースのサンプル分析器具内に提供される種々の構成要素の構造および動作は、当業者によって理解され、したがって、本開示される主題の理解を促進するように、簡潔にのみ本明細書に説明される。図示される実施形態では、サンプル分析装置100は、分析下の1つ以上のサンプルを支持するために構成される、サンプルキャリア104と、励起光を発生させるための光源108と、(例えば、蛍光またはルミネッセンスによって)サンプルから伝搬する放出光を受け取り、測定するための光検出器112と、励起光を励起光経路に沿って光源108からサンプルに向かわせ、1つ以上の方法において励起光を処理または修正するために構成される励起光学系116と、(例えば、蛍光またはルミネッセンスによってサンプルによって放出される)放出光を放出光経路に沿ってサンプルから光検出器112に向かわせ、励起光を1つ以上の方法において処理または修正するために構成される放出光学系120とを含む。マルチモードリーダとして構成されると、サンプル分析装置100は、上で説明されるように、特定の光学ベースの測定(例えば、蛍光、吸光、ルミネッセンス等)を実装するために構成される複数の用途に特有のカートリッジを取り外し可能に受け取り、支持するように構成されるカートリッジモジュール124と、選択されたカートリッジと励起光学系116および放出光学系120との間の光学インターフェースを提供するために構成される中間またはインターフェース光学系126とをさらに含み得る。サンプル分析装置100は、装置筐体128さらに含み、装置筐体128は、サンプルキャリア104およびカートリッジモジュール124(サンプル上で光学測定を実行するための動作位置にあるとき)、および光源108、光検出器112、励起光学系116、および放出光学系120等のサンプル分析装置100の他の構成要素を封入する。装置筐体128は、サンプルをサンプルキャリア104上に、およびカートリッジをカートリッジモジュール124の中に装填することを含む、サンプル分析装置100の内部領域にアクセスすることを可能にするための1つ以上のパネル、扉、引き出し等を含み得る。サンプル分析装置100は、サンプル(サンプルキャリア104上に支持される)が動作可能に位置し得るインキュベーションチャンバ130(
図2)を装置筐体128内にさらに含み得る。
【0017】
概して、サンプルキャリア104は、1つ以上のサンプルを1つ以上の軸に沿って移動させるために構成される。例えば、サンプルキャリア104は、水平平面に2次元で移動可能なX-Yステージであり得るが、他の実施形態ではまた、第3の垂直(Z)次元においても移動可能であり得る。サンプルキャリア104は、手動で作動されるか、半自動化されるか、または完全に自動化される(モータ式)ステージもしくはプラットフォームであり得る。典型的な実施形態では、1つ以上のサンプルは、好適なサンプル支持体106(
図2)によって支持または保持され、それは、次に、サンプルキャリア104によって支持される。概して、サンプル支持体106は、分析中に1つ以上のサンプルを保持するために構成される、1つ以上の容器であり得る。非限定的例として、サンプル支持体106は、マルチウェルプレート(マイクロタイタプレート、マイクロプレート、または光学プレートとしても公知である)、1つ以上のキュベットもしくはバイアル、それぞれのサンプルを含むスポットもしくはブロットを支持する基板等であり得る。サンプルキャリア104は、装置筐体128の中に移動可能であり得、かつそこから外へ移動可能であり得る。したがって、サンプルまたは1つ以上のサンプルを支持するサンプル支持体106は、サンプルキャリア104上に搭載され得る一方、サンプルキャリア104は、外側位置にあり、例えば、サンプルキャリア104は、少なくとも部分的に装置筐体128の外側に位置付けられる。サンプルキャリア104は、次いで、サンプルをサンプル分析装置100の1つ以上の光学構成要素と整列させる(もしくは複数のサンプルを逐次的に整列させる)ように、(
図1に図示されるように)サンプルキャリア104が装置筐体128内に完全に位置付けられる内側位置まで移動させられ得る。
【0018】
光源108は、蛍光および吸光検出技法等のサンプルの励起(照射)を要求する実施形態で利用される。いくつかの実施形態では、光源108は、パルス光ビームを生成するように構成され得る閃光灯(例えば、キセノン閃光灯、重水素閃光灯、ハロゲン閃光灯、ハロゲン化金属閃光灯等)等の広帯域光源である。他の実施形態では、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード(LD)、レーザ等の他の光源が、提供され得、サンプル分析装置100は、当業者によって理解されるように、異なるタイプの光源間の切り替えを可能にするように構成され得る。
【0019】
概して、励起光学系116は、例えば、1つ以上のレンズ、開口、フィルタ、光導波路(例えば、光ファイバ)、鏡、ビームスプリッタ、モノクロメータ、回折格子、プリズム、光学経路スイッチ等を含み得る。本実施形態では、励起光学系116は、励起モノクロメータ132および/または励起フィルタ保持器136を含み得る。当業者によって理解されるように、励起モノクロメータ132および/または励起フィルタ保持器136の両方は、光学システムにさらに通されるべき励起光の特定の波長(または狭帯域の波長)を制御するための波長選択器として機能する。すなわち、励起モノクロメータ132および励起フィルタ保持器136の両方は、励起光を光源108から受け取り、所望の波長または狭帯域の波長(色)において励起光を前方に伝送するように機能するが、異なる原理で動作する。
【0020】
励起モノクロメータ132は、異なる波長の励起光を空間的に分離する、1つ以上の回折格子を備えている。励起モノクロメータ132は、選択された波長を有する励起光を出射スリットと整列させる位置に回折格子を回転させることによって、選択された波長を有する励起光の成分を伝送する。非選択波長を有する励起光の全ての成分は、出射スリットと整列させられず、したがって、励起モノクロメータ132を越えて光学経路内を伝搬することを遮断される。
【0021】
一方、励起フィルタ保持器136は、異なる光学透過特性を有する材料から成る複数の光学フィルタを支持する。すなわち、光学フィルタは、異なる波長の励起光を通すように調製される。励起フィルタ保持器136は、回転または(図示される実施形態では)線形平行移動(すなわち、スライド)のいずれかによって移動可能であるように構成される。したがって、励起フィルタ保持器136は、選択されたフィルタを光学経路の中に移動させるように作動され得、それによって、選択されたフィルタは、選択された波長(または狭帯域の波長)のみの励起フィルタ保持器136を越えた光学経路内での前方への通過を可能にする一方、全ての他の波長を遮断する。一実施形態では、励起フィルタ保持器136は、8つの位置を備え、最大6つの位置が、光学フィルタ(例えば、ロングパス、ショートパス、バンドパス等)によって占有され、別の位置は、励起光がいずれの干渉も伴わずに通過し得る開放開口であり、別の位置は、励起光を完全に遮断する材料を提供する。
【0022】
励起モノクロメータ132および励起フィルタ保持器136の両方を含む実施形態では、励起光が光源108から励起フィルタ保持器136に伝送されるために提供される光学経路は、第1の励起光経路140および第2の励起光経路144に分割され得る。
図1に図式的に図示されるように、励起モノクロメータ132は、第1の励起光経路140内にのみある(すなわち、それと光学的に連通する、またはその中で動作する)。したがって、第1の励起光経路140は、励起光を、光源108から、励起モノクロメータ132を通して、励起フィルタ保持器136の選択された励起フィルタを通して、サンプル(サンプルキャリア104に適切に位置付けられる)へと前方に向かわせる。第2の励起光経路144は、励起光を、励起モノクロメータ132を迂回しながら、光源108から、励起フィルタ保持器136の選択された励起フィルタを通して、サンプルに向かわせる。図示される実施形態では、サンプル分析装置100は、光学経路を第1の励起光経路140と第2の励起光経路144との間で切り替えるために構成される。言い換えると、サンプル分析装置100は、光源108によって発生させられた励起光が、第1の励起光経路140を通して向かわせられるか、または第2の励起光経路144を通して向かわせられるかを選択し、それによって、励起モノクロメータ132が迂回されるかどうかを選択するために構成される。この目的のために、励起光学系116は、励起経路選択デバイス148を含む。下記にさらに説明されるように、励起経路選択デバイス148は、励起光を光源108から第1の励起光経路140または第2の励起光経路144のいずれかの中に向かわせるように移動可能である(移動するように作動されることができる)。明白となるであろうように、励起経路選択デバイス148は、単一の移動可能構成要素のみを備え得、すなわち、単一の移動可能構成要素のみが、励起光を選択された(第1または第2の)励起光経路140または144の中に誘導するために必要とされる。
【0023】
図1に図示されるように、いくつかの実施形態では、励起光学系116は、複数の異なる光学構成要素を保持する追加の光学保持器152をさらに含み得る。追加の光学保持器152は、選択された光学構成要素を、励起モノクロメータ132と励起フィルタ保持器136との間の第1の励起光経路140の中に、および光源108と励起フィルタ保持器136との間の第2の励起光経路144の中に挿入するように(回転またはスライドによって)移動可能である。追加の光学保持器152は、異なる減衰係数(例えば、無減衰、10D、20D、30D等)を提供し、光検出器112を飽和させるであろう高応答を伴うサンプルが測定される場合、励起光のエネルギーを低減させる1つ以上の減衰フィルタを含み得る。追加の光学保持器152に続く、基準ビームスプリッタ(図示せず)は、基準フォトダイオード(図示せず)に向かわせられる基準ビームとして励起光ビームの一部を分割し得る。基準フォトダイオードは、励起光のエネルギーを追跡するために利用され得る。基準フォトダイオードによって測定された励起光の強度に基づいて、サンプル分析装置100のシステムコントローラ(コンピューティングデバイス)190(
図2)は、選択された減衰係数の減衰フィルタを活性励起光経路140または144の中に挿入するように、追加の光学保持器152を作動させ、移動させることによって、励起光を減衰させ得る。ダイナミックレンジ拡張のそのような技法は、米国特許出願公開第2013/0119277号(その全内容が、参照することによって本明細書に組み込まれる)に説明されるように実装され得る。減衰フィルタに加えて、またはその代替として、追加の光学保持器152に位置付けられ得る光学構成要素の他の例は、限定ではないが、ビーム成形開口、開放開口(すなわち、それを通過する光ビームを減衰させない、または修正しない開口)、および特殊機能を伴うフィルタ(例えば、ロングパス、ショートパス、バンドパス等)を含む。
【0024】
概して、放出光学系120は、例えば、1つ以上のレンズ、開口、フィルタ、光導波路(例えば、光ファイバ)、鏡、ビームスプリッタ、モノクロメータ、回折格子、プリズム、光学経路スイッチ等を含み得る。本実施形態では、放出光学系120は、放出モノクロメータ156および/または放出フィルタ保持器160を含み得る。放出フィルタ保持器160は、異なる光透過特性を有する、複数の放出フィルタを支持し得る。放出モノクロメータ156および放出フィルタ保持器160は、概して、本明細書に説明される励起モノクロメータ132および励起フィルタ保持器136に類似し得、必要に応じて、放出光経路において使用するために最適化され得る。
【0025】
放出モノクロメータ156および放出フィルタ保持器160の両方を含む実施形態では、放出光がサンプルから光検出器112に伝送れるために提供される光学経路(または実装されている測定技法に応じて、介在カートリッジおよび/またはインターフェース光学系126)は、第1の放出光経路164および第2の放出光経路168に分割され得る。
図1に図式的に図示されるように、放出モノクロメータ156は、第1の放出光経路164内にのみある(すなわち、それと光学的に連通する、またはその中で動作する)。したがって、第1の放出光経路164は、放出光を、放出モノクロメータ156を通して、放出フィルタ保持器160の選択された放出フィルタを通して、光検出器112へと前方に向かわせる。第2の放出光経路168は、放出光を、放出モノクロメータ156を迂回しながら、放出フィルタ保持器160の選択された放出フィルタを通して、光検出器112に向かわせる。図示される実施形態では、サンプル分析装置100は、放出光経路を第1の放出光経路164と第2の放出光経路168との間で切り替えるために構成される。言い換えると、サンプル分析装置100は、放出モノクロメータ156が迂回されるかどうかを選択するために構成される。本実施形態では、インターフェース光学系126は、第1の放出光経路164と第2の放出光経路168との間で切り替えるために構成される主要光学経路選択デバイス172を含む。
【0026】
概して、光検出器112は、放出光信号を放出光学系120から受信することに応答して、電気測定信号を発生させ、測定信号を、サンプル分析装置100とともに提供されるか、またはその外部に提供される信号処理回路(例えば、データ取得回路)に伝送するように構成される(例えば、概して、下記に説明される、システムコントローラ190によって表されるように)。実施形態に応じて、光検出器112は、必要に応じて、検出される放出波長に対する感度を最適化するために、光電子増倍管(PMT)、フォトダイオード、電荷結合素子(CCD)、相補的金属酸化物半導体(CMOS)デバイス等の能動ピクセルセンサ(APS)等であり得る。典型的な実施形態では、図示される光検出器112は、蛍光および/またはルミネッセンス放出光信号を処理するために最適化された1つ以上のPMTを備えている。フォトダイオード等の吸光放出光信号を処理するために最適化された別個の光検出器(
図1および2には図示せず)も、提供され得る。
【0027】
上で説明されるように、カートリッジモジュール124は、特定の光学ベースの測定(例えば、蛍光、吸光、ルミネッセンス、細胞撮像等)を実装するために構成される複数の用途に特有のカートリッジを取り外し可能に受け取り、支持するように構成される。この目的のために、カートリッジモジュール124は、その中に個々のカートリッジが、据え付けられ(装填され)、その後、据え付け解除(除去)され得る複数のレセプタクルまたはスロットを含み得る。カートリッジモジュール124は、自動化、半自動化、または手動様式で移動可能であり得る。例えば、カートリッジモジュール124は、カートリッジの配設および据え付け解除を促進する、装置筐体128の扉を通して、少なくとも部分的に外側の位置に移動可能であり得る。別の例として、カートリッジモジュール124は、装置筐体128の内部で移動可能であり、選択されたカートリッジが、サンプル分析装置100の光学システムと光学的に整列させられる(すなわち、励起光学系116および放出光学系120と光学連通して設置される)ことを可能にし得る。所与のカートリッジが利用される実験のタイプに応じて、カートリッジのカートリッジ筐体によって封入される内部光学系は、例えば、鏡、フィルタ、プリズム、回折格子、内部光源、および/または内部光検出器等の種々の構成要素を含み得る。
【0028】
概して、インターフェース光学系126は、例えば、1つ以上のレンズ、光学読み取りヘッド、開口、フィルタ、光導波路(例えば、光ファイバ)、鏡、ビームスプリッタ、光学経路スイッチ等を含み得る。本実施形態では、インターフェース光学系126は、主要光学経路選択デバイス172を含む。第1の放出光経路164と第2の放出光経路168との間で切り替えるように構成されることに加えて、主要光学経路選択デバイス172は、励起光学系116とサンプルとの間およびサンプルと放出光学系120との間の適切な光学経路を選択することによって、測定方法を選択するように構成され得る。主要光学経路選択デバイス172はまた、カートリッジモジュール124(すなわち、カートリッジモジュール124内に据え付けられた特定のカートリッジ)が、光学経路(励起光経路および/または放出光経路)と光学連通して設置される(その中に挿入される)かどうかを選択するように構成され得る。これらの目的のために、主要光学経路選択デバイス172、例えば、1つ以上のレンズ、開口、光導波路(例えば、光ファイバ)、鏡、ビームスプリッタ等、種々の光学構成要素が搭載、取り付け、または形成された構造本体を含み得る。主要光学経路選択デバイス172の構造本体は、複数の選択可能位置を提供し得、どの位置が光学経路内の動作可能または活性位置であるかを選択するように移動可能(例えば、スライド可能)であり得る。
【0029】
図2に図示されるように、インターフェース光学系126は、サンプルキャリア104の上方に位置付けられる(サンプルキャリア104上に支持される選択されたサンプルと整列する)上部吸光レンズ176(吸光測定のために利用されるレンズ)と、サンプルキャリア104の上方に位置付けられる(サンプルキャリア104上に支持される選択されたサンプルと整列する)上部蛍光/ルミネッセンスレンズ180(蛍光およびルミネッセンス測定のために利用されるレンズ)と、サンプルキャリア104の下方に位置付けられる(サンプルキャリア104上に支持される選択されたサンプルと整列する)底部吸光読み取りヘッド184と、サンプルキャリア104の下方に位置付けられる(サンプルキャリア104上に支持される選択されたサンプルと整列する)底部蛍光読み取りヘッド188とをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、上部蛍光/ルミネッセンスレンズ180は、サンプルに向かって、かつそれから離れるように移動可能であり、異なるマルチウェルプレートサイズ、充填容積、サンプル高さ等に適応し、マルチウェルプレートの近隣ウェル間のクロストークを回避し得る。
【0030】
測定方法の選択は、本明細書に説明されるように、励起経路選択デバイス148を動作させ、第1の励起光経路140または第2の励起光経路144を選択することと併せて、主要光学経路選択デバイス172を動作させ、位置を選択することを伴い得る。主要光学経路選択デバイス172はまた、放出光が放出モノクロメータ164を通して、または放出フィルタ保持器160を通して伝送されるかどうかを選択するように構成され得る。1つの非限定的例として、主要光学経路選択デバイス172は、以下の選択可能位置を提供し得る。
【0031】
1つ以上の位置が、カートリッジモジュール124の用途に特有のカートリッジを光学経路の中に結合し、時間分解蛍光、多重化された時間分解蛍光、蛍光偏光、ALPHASCREEN(登録商標)アッセイ、NANO-TRF(登録商標)アッセイ等、拡張システム能力を提供するために利用される。
【0032】
1つ以上の位置が、励起および/または放出波長選択器(例えば、励起モノクロメータ132、励起フィルタ保持器136、放出モノクロメータ164、および/または放出フィルタ保持器160)の選択された組み合わせと関連して、吸光測定のために利用される。励起光ビームは、上部吸光レンズ176に向かわせられる。上部吸光レンズ176は、ビームの焦点がサンプルの中心にあるように励起光ビームをコリメートする、集束レンズである。放出光(この場合、サンプルを通して伝送される光)は、底部吸光読み取りヘッド184によって収集される。伝送される光は、次いで、吸光に特有の光検出器(例えば、フォトダイオード、
図1に図示せず)に向かわせられ得る。
【0033】
1つ以上の位置が、放出モノクロメータ164および/または放出フィルタ保持器160と関連して、ルミネッセンス測定のために利用される。当業者によって理解されるであろうように、ルミネッセンス測定は、励起光を利用せず、むしろ、ルミネッセンスは、適切な試薬をサンプルに添加することによって開始される。サンプルからのルミネッセンス放出光は、上部蛍光/ルミネッセンスレンズ180によって収集され、放出光学系120を通して光検出器112に向かわせられる。
【0034】
1つ以上の位置が、励起および/または放出波長選択器(例えば、励起モノクロメータ132、励起フィルタ保持器136、放出モノクロメータ164、および/または放出フィルタ保持器160)の選択された組み合わせと関連して、底部読み取り蛍光測定のために利用される。励起光は、励起光ファイバ(図示せず)を介して、底部蛍光読み取りヘッド188に向かわせられ、それは、励起光ビームをサンプル上に集束させる(それによって、サンプルをマルチウェルプレートの底部から照射する)。放出光(この場合、サンプルから放出される蛍光の光)は、底部蛍光読み取りヘッド188によって収集される。放出光は、次いで、放出光ファイバ(図示せず)を介して、主要光学経路選択デバイス172に、次いで、放出光学系120を通して、光検出器112に前方に向かわせられ得る。
【0035】
1つ以上の位置が、励起モノクロメータ132および放出モノクロメータ164と関連して、または励起フィルタ保持器136および放出モノクロメータ164と関連して、上部読み取り蛍光測定のために利用される。この位置では、放出光は、上部蛍光/ルミネッセンスレンズ180に向かわせられ、それは、励起光ビームをサンプル上に集束させる(それによって、サンプルをマルチウェルプレートの上部から照射する)。放出光は、次いで、同一の上部蛍光/ルミネッセンスレンズ180によって収集され、次いで、放出光学系120を通して、光検出器112に前進し得る。
【0036】
1つ以上の位置が、蛍光ベースの顕微鏡検査であり得る顕微鏡検査(例えば、細胞撮像)のために利用される。この位置では、顕微鏡検査のために利用される光経路を画定する光学要素が、必要に応じて、サンプルおよびサンプルから取得された画像を照明/励起するために、サンプル分析装置100の光学システムの中に結合される。
【0037】
図2を参照すると、いくつかの実施形態では、サンプル分析装置100は、液体注入システムをさらに含み得る。液体注入システムは、1つ以上の注入器ノズル(または針)210と、関連付けられる流体導管(管類)、ポンプ、リザーバ等(図示せず)とを含み得、それらは、サンプルがサンプル分析装置100内に動作可能に位置付けられる前またはその後、液体をサンプルに(例えば、サンプルキャリア104上に配置されるサンプル支持体106の選択されたウェルの中に、またはサンプル支持体106の選択されたブロット上に)添加するために構成される。例えば、標識剤が、当業者によって理解されるように、蛍光、ルミネッセンス、または他のタイプの測定のために、サンプルに添加され得る。いくつかの実施形態では、2つ以上の異なるタイプの試薬が、添加され得る。
図2の矢印によって描写されるように、注入器ノズル210は、サンプル支持体106上に支持されるサンプルに向かって、およびそれから離れるように垂直方向に(z軸に沿って)移動可能であり得る。この目的のために、注入器ノズル210は、モータ式ステージに搭載され得る。モータ式ステージは、注入器ノズル210を水平方向に(x軸およびy軸に沿って)移動させ、注入器ノズル210をサンプル支持体106の選択されたサンプル容器(例えば、マイクロプレートウェルまたはブロット)の上方に精密に配置するようにも構成され得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、サンプル分析装置100は、液体ピペットシステムを含み得る。液体ピペットシステムは、1つ以上のピペット先端214と、関連付けられる流体導管(管類)、ポンプ、リザーバ等(図示せず)とをさらに含み得、それらは、サンプル支持体106がサンプルキャリア104上に搭載される前またはその後、サンプルキャリア104に、およびそれから、特に、サンプルキャリア104上に配置されるサンプル支持体106に、およびそれから液体(例えば、溶液)を輸送するために構成される。液体ピペットシステムは、精密な量の液体をサンプル支持体106の選択されたウェルの中に(またはサンプルキャリア104上に配置されるサンプル支持体106の選択されたブロット上に)分注するために、および/または、精密な量の液体をそれから吸引するためにさらに構成され、それらは、サンプルがサンプル分析装置100内に動作可能に位置付けられる前またはその後に行われ得る。
図2の矢印によって描写されるように、ピペット先端214は、サンプル支持体106上に支持されるサンプルに向かって、およびそれから離れるように垂直方向に(z軸に沿って)移動可能であり得る。この目的のために、ピペット先端214は、モータ式ステージ(例えば、ピペッタヘッド)に搭載され得る。モータ式ステージは、ピペット先端214を水平方向に(x軸およびy軸に沿って)移動させ、ピペット先端214をサンプル支持体106の選択されたサンプル容器(例えば、マイクロプレートウェルまたはブロット)の上方に精密に配置するようにも構成され得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、サンプル分析装置100は、顕微鏡検査(例えば、細胞撮像)システムをさらに含み得る。顕微鏡検査システムは、対物レンズ218(または他のタイプの移動可能光学レンズ)と、関連付けられる光学系(例えば、他のタイプのレンズ、ダイヤフラム、開口、鏡、ビームスプリッタ、励起フィルタ、放出フィルタ等(図示せず))とを含み、光源および光検出器も含み得る。顕微鏡検査システムは、サンプルを照明するために(または蛍光顕微鏡検査の場合、サンプルの蛍光体を励起するために)光源からサンプルキャリア104上に支持される選択されたサンプルまでの励起経路を確立し、サンプルから放出された放出光を搬送するためにサンプルから光検出器までの放出経路を確立し(これは、蛍光顕微鏡検査の場合、蛍光励起に応答し得る)、光検出器によって受け取られた放出光に基づいて、サンプルから画像を取得するために構成される。顕微鏡検査システムのために利用される光源は、蛍光または吸光測定のために利用される例証される光源108と異なり得る。代替として、インターフェース光学系126(
図1)は、光源108によって生成される光ビームを顕微鏡検査システムの中に結合するために(例えば、主要光学経路選択デバイス172の別の位置に)調節可能であり得る。顕微鏡検査システムのために利用される光検出器は、蛍光測定のために利用される例証される光検出器112と異なり得る。顕微鏡検査システムのために利用される光検出器は、典型的には、カメラ等のマルチピクセル光検出器である。加えて、または代替として、顕微鏡検査システムの構成要素のうちのいくつかまたは全てを含むカートリッジモジュール124(
図1、提供される場合)の中に装填される顕微鏡検査特定のカートリッジが、利用され得る。
【0040】
図2の矢印によって描写されるように、対物レンズ218は、画像の焦点を合わせ、z軸に沿ってその厚さを通してサンプルを走査するために、サンプル支持体106上に支持されるサンプルに向かって、およびそれから離れるように垂直方向に(z軸に沿って)移動可能であり得る。この目的のために、対物レンズ218は、モータ式ステージに搭載され得る。モータ式ステージは、対物レンズ218を水平方向に(x軸およびy軸に沿って)移動させ、対物レンズ218をサンプル支持体106の選択されたサンプル容器(例えば、マイクロプレートウェルまたはブロット)の上方に精密に配置するようにも構成され得る。
【0041】
図2を参照すると、サンプル分析装置100は、システムコントローラ(例えば、コンピューティングデバイス)190をさらに含み得る。当業者によって理解されるであろうように、システムコントローラ190は、サンプル分析装置100の種々の機能側面を制御すること、監視すること、および/またはタイミングを図ることを行うために、および/または、光検出器112からの測定信号等のデータまたは他の信号をサンプル分析装置100から受信し、制御信号を光検出器112および/または他の構成要素に伝送するために構成される1つ以上のモジュールを含み得る。例えば、システムコントローラ190は、サンプルキャリア104、カートリッジモジュール124(提供される場合)、励起モノクロメータ132、励起フィルタ保持器136、励起経路選択デバイス148、放出モノクロメータ156、放出フィルタ保持器160、主要光学経路選択デバイス172、注入器ノズル210、ピペット先端214、および対物レンズ218の動作(例えば、移動および位置)を調整するために構成され得る。全てのそのような目的のために、システムコントローラ190は、有線または無線通信リンクを介してサンプル分析装置100の種々の構成要素と通信し得る。典型的な実施形態では、システムコントローラ190は、全体的制御を提供する主要電子プロセッサを含み、専用制御動作もしくは特定の信号処理タスクのために構成される1つ以上の電子プロセッサを含み得る。システムコントローラ190はまた、データおよび/またはソフトウェアを記憶するための1つ以上のメモリおよび/またはデータベースも含み得る。システムコントローラ190は、本明細書に開示される方法のうちのいずれかを実施するための命令を含むコンピュータ読み取り可能な媒体も含み得る。システムコントローラ190の機能モジュールは、回路または他のタイプのハードウェア(もしくはファームウェア)、ソフトウェア、または両方を備え得る。例えば、モジュールは、光検出器112から測定信号を受信するための信号処理(またはデータ取得)回路と、グラフィカルデータを生成するため等の測定信号を処理するためのソフトウェアとを含み得る。システムコントローラ190は、ユーザ入力デバイス(例えば、キーパッド、タッチスクリーン、マウス等)、ユーザ出力デバイス(例えば、表示画面、プリンタ、視覚インジケータまたはアラート、可聴インジケータまたはアラート等)、ソフトウェアによって制御されるグラフィカルユーザインターフェース(GUI)、および電子プロセッサによって読み取り可能なである媒体(例えば、ソフトウェア、データ等で具現化される論理命令)をロードするためのデバイス等の1つ以上のタイプのユーザインターフェースデバイスも含むか、もしくはそれらと通信し得る。システムコントローラ190は、システムコントローラ190の種々の機能を制御および管理するためのオペレーティングシステム(例えば、MicrosoftWindows(登録商標)ソフトウェア)を含み得る。
【0042】
図3は、
図1および2に図示されるサンプル分析装置100において利用され得るマイクロプレート306の斜視図である。マイクロプレート306は、
図2に図示されるサンプル支持体106に対応し得、したがって、サンプルキャリア104上に搭載され得る。マイクロプレート306は、分析されるそれぞれのサンプルを含むために利用されるウェル322の2次元アレイを含む。典型的な実施形態では、2次元アレイは、2:3長方形マトリクスである。典型的な例は、96個、384個、または1,536個のウェル322を含むが、ウェル322の合計数は、96個を下回ることも、1,536個を上回ることもある。ウェル322は、多角形(図示されるような)または円筒形であり得る。実施される分析に応じて、ウェル322は、種々の溶液および試薬を含み得る。ウェル322は、本明細書に説明される、種々の光学関連構成要素(例えば、上部吸光レンズ176、上部蛍光/ルミネッセンスレンズ180、底部吸光読み取りヘッド184、底部蛍光読み取りヘッド188、および対物レンズ218)および流体構成要素(例えば、注入器ノズル210およびピペット先端214)によって個々にアドレス可能である。マイクロプレート306の底部からの光学読み取りのために、ウェル322は、光学的に透明である。実施される分析に応じて、プレート蓋326が、ウェル322を被覆するためにマイクロプレート306の上部に搭載され得る。蓋326は、光がマイクロプレート306の上部の中に、またはそれから伝搬することを遮断するために、不透明であり得る。蓋326は、例えば、マイクロプレート306の底部からの光学読み取りと関連して利用され得る。
【0043】
図3に図示されるように、マイクロプレート306は、バーコード(例えば、1次元(1D)バーコード、QRバーコード等の2次元(2D)バーコード)が印刷される1つ以上のバーコード標識354を含み得る。バーコード標識354は、マイクロプレート306の1つ以上の側面上に提供され得る。バーコードは、例えば、マイクロプレート306および/またはマイクロプレート306内に含まれるサンプルの識別等の種々のタイプの情報を含み得る。バーコードは、当業者によって理解されるように、適切な読み取りデバイスによって読み取られ得る。
【0044】
いくつかの実施形態によると、サンプル分析装置100を利用する光学測定を伴う実験が、以下のように実装され得る。1つまたは複数のサンプルが、サンプル分析装置100の中に導入され、サンプル分析装置100の光学系および他の構成要素に対して適切な動作位置に設置される。概して、サンプルの「動作」位置は、「光学的に整列させられた」位置、すなわち、サンプルからの光学データ取得のために十分な光学経路を確立する位置である。実験に応じて、動作位置は、サンプル分析装置100と「流体的に整列させられた」サンプルにも対応し得、すなわち、上で説明されるように液体注入システムを動作させることによって、および/または、サンプル支持体106のサンプル容器もしくはブロットの中に流体を分注すること、および/またはそれから流体を吸引することを行うように液体ピペットシステムを動作させること等によって、サンプル上に流体を分注することが可能であるように位置付けられる。サンプル導入は、マイクロプレートの1つ以上のウェルもしくは他のタイプのサンプル支持体106内に1つ以上のサンプルを装填すること(例えば、当業者によって理解されるように、ウェスタンブロット等のブロッティング技法に従ってサンプルを調製すること)と、上で説明されるサンプルキャリア104の使用等によって、サンプル分析装置100内にサンプル支持体106を装填または搭載することとを伴い得る。サンプルおよび行われる測定のタイプに応じて、サンプルは、当業者によって理解されるように、サンプル分析装置100内に位置付けられることに先立って、調製または処理(培養、混合、均質化、遠心分離、緩衝、試薬添加、固相抽出等の分析分離、クロマトグラフィ、電気泳動等)を受け得る。
【0045】
サンプル導入に加えて、サンプル分析装置100またはそのある構成要素(光学系、電子機器等)は、行われるべき特定のタイプの測定を実装するために構成される必要があり得る。例えば、カートリッジベースである場合、適切なカートリッジ(または複数のカートリッジ)が、サンプル分析装置100のカートリッジモジュール124内に据え付けられ得る。カートリッジを据え付けた後、カートリッジ内に提供される光学系は、サンプル分析装置100の装置筐体128内の光学回路の一部になる。例えば、カートリッジ光学系は、励起光学系116、放出光学系120、および/またはインターフェース光学126と整列させられ(光学連通し)得る。カートリッジを据え付けることは、カートリッジに、および/またはそれから、電力、データ、および制御信号を伝送するための電気経路を確立することをもたらす。
【0046】
そして、サンプルは、必要に応じて、測定のために、サンプルから光子の放出を誘発するように処理される。ルミネッセンス測定の場合、上で説明されるように、液体注入システムを動作させること等によって、試薬が、ルミネッセンス応答を誘発するために添加され得る。蛍光測定の場合、光源108および関連付けられる励起光学系116(および場合によっては、上で説明されるようなカートリッジおよび/またはインターフェース光学系126)が、蛍光性応答を誘発するようにサンプルを照射または励起するために利用される。蛍光測定は、加えて、蛍光性応答を誘発するための試薬の添加を伴い得る。ルミネッセンスまたは蛍光測定のいずれかの場合、放出光学系120(および場合によっては、上で説明されるようなカートリッジおよび/またはインターフェース光学系126)が、放出光をサンプルから収集し、放出光を光検出器112に向かわせるために利用される。光検出器112は、これらの光学信号を電気信号(検出器信号または測定信号)に変換し、上で説明されるようなサンプル分析装置100のシステムコントローラ190によって提供され得るような信号処理回路に電気信号を伝送する。
【0047】
吸光測定の場合、光源108および関連付けられる励起光学系116(および場合によっては、上で説明されるようなカートリッジおよび/またはインターフェース光学系126)が、サンプルを照射するために利用される。この場合、「放出」光は、サンプルを通して伝送される光であり、それは、光の一部のサンプルによる吸光に起因して、サンプル上に入射する励起光と比較して減衰させられる。透過される(「放出」)光は、上で説明されるように、図示される光検出器112とは別であり得る吸光検出器に向かわせられ得る。
【0048】
実施形態に応じて、方法は、全てが本明細書の別の場所に説明されるような、カートリッジモジュール124の1つ以上のカートリッジ、インターフェース光学系126、励起経路選択デバイス148、励起モノクロメータ132、励起フィルタ保持器136、主要光学経路選択デバイス172、放出モノクロメータ164、放出フィルタ保持器160等のサンプル分析装置100の他の構成要素の動作および/または使用を含み得る。
【0049】
実装される光学測定技法のうちのいずれかのために、複数のサンプルが、処理され得る。例えば、その上またはその中に複数のサンプルが提供されるサンプル支持体106は、各サンプルを実験のために利用されている光学系と連続的に整列させるように移動され得(サンプルキャリア104を使用すること等によって)、それによって、測定が、全てのサンプルから連続的に得られる。
【0050】
図2を参照すると、いくつかの実施形態では、サンプル分析装置100は、サンプル分析装置100の装置筐体128によって封入される内部に存在する1つ以上の動作条件(もしくは状態)を監視するように構成される光学ベースの監視システム350をさらに含み得る。監視システム350は、1つ以上の光源と、1つ以上の光検出器とを含む。光源は、監視が光検出器によって所望されるサンプル分析装置100の内部の領域または表面を照明するように位置付けられる。監視されている特定の動作条件または状態に応じて、所与の光検出器は、光学ベースの測定を行うように、またはユーザによってリアルタイムで閲覧可能な画像を取得するように構成され得る。監視システム350において利用される光源は、典型的には、LEDであるが、より一般的に、本明細書に記述される他の例等の任意の適切なタイプの光源であり得る。監視システム350において利用される光検出器は、典型的には、画像(静止画像または静止画像およびビデオの両方)の捕捉を可能にするためのカメラである。しかしながら、マルチピクセル撮像を要求しない検出または測定を伴う監視機能のために、本明細書に記述される他の例等の別のタイプの光検出器が、利用され得る。
【0051】
図示される実施形態では、サンプル分析装置100は、監視のために利用される、2つの光源330および334と、カメラ338とを含む。他の実施形態では、3つ以上の光源330、334および2つ以上のカメラ338が、含まれ得る。光源330および334は、互いに対して異なる方向または角度にそれぞれの光ビーム342および346を放出するように位置付けられ、向けられ得る。図示される実施形態では、光ビーム342は、水平に向けられ、光ビーム346は、垂直に向けられるが、より一般的に、光ビーム342および346は、監視機能を実行するために有用な任意の角度に向けられ得る。カメラ338は、光源330および/または334によって照明された表面もしくは領域から反射または放出された光を受け取るように位置付けられ、向けられ、それによって、光学ベースの測定を行い、ユーザが、システムコントローラ190と通信する表示画面上等で照明された表面または領域を閲覧することを可能にし得る。
【0052】
図4は、監視システム350の斜視図である。
図4は、互いに対する、かつサンプルキャリア104および対物レンズ218等の他の内部構成要素に対する、光源330、334およびカメラ338の位置の例を図示する。光源330、334およびカメラ338は、サンプル分析装置100の筐体128内の適切な内面に搭載され得る。光源330、334およびカメラ338は、必要に応じて、監視システム350の監視機能を実装するために、システムコントローラ190(
図2)と通信し得る。例えば、必要に応じて、光学ベースの測定または撮像のための信号処理のために、システムコントローラ190は、制御信号を光源330、334およびカメラ338に伝送し得、カメラ338は、出力信号(測定信号)をシステムコントローラ190に伝送し得る。光源330、334およびカメラ338は、サンプル分析装置100の筐体128内の適切な内面に搭載され得る。光源330、334およびカメラ338は、電子機器を含むそれぞれのプリント回路基板(PCB)に搭載され得る。いくつかの実施形態では、そのようなPCBは、システムコントローラ190の一部と考えられ得る。
【0053】
実装される監視機能に応じて、監視システム350は、本明細書に説明されるようなサンプル分析が実施される前、その間、またはその後に動作し得、1つ以上の異なる監視機能を実施するためにそのような期間中に1回以上の反復において動作し得る。とりわけ、監視システム350によって実装される照明および検出/撮像機能は、完全に内部にあり、すなわち、装置筐体128の内側にある。したがって、監視システム350の動作は、装置筐体128を開放すること、および敏感な光学構成要素(例えば、光検出器112)を周囲にさらすことを要求しない。監視機能および監視システム350によって監視され得る動作条件の例は、限定ではないが、以下を含む。
【0054】
プレート存在検出:ある実施形態では、監視システム350は、サンプルキャリア104上のマイクロプレート306(または他のタイプのサンプル支持体)の存在を検出するように構成される。監視システム350が、マイクロプレート306が存在していないと決定する場合、監視システム350は、サンプル分析装置100(またはマイクロプレート306がないことによって影響を受けるであろうサンプル分析装置100のある構成要素)が動作することを防止し得る。監視システム350は、例えば、ユーザにマイクロプレート306がないことを通知するオーディオおよび/または視覚指示を出力する等、他のアクションをとり得る。これらの機能のために、カメラ338は、上で説明されるように、システムコントローラ190と通信し得る。一実施形態では、光源334(
図3および4)が、利用される。光源334は、マイクロプレート306が搭載されることを意図されるサンプルキャリア104の領域の上方に位置付けられる。光源334は、この領域に向かって光ビーム346を放出するように活性にされる。光ビーム346は、垂直に、または垂直に対してある角度に向けられ得る。カメラ338(または装置筐体128内の異なる位置に位置する別のカメラ、
図3に図示せず)は、マイクロプレート306の表面から反射された光を検出するように活性にされる。カメラ338が反射光を検出する場合、監視システム350は、マイクロプレート306が存在すると決定する。一方、カメラ338が反射光を検出しない(すなわち、反射信号がないことを検出する)場合、監視システム350は、マイクロプレート306が存在しないと決定し、上で説明されるようなさらなるアクションを開始し得る。
【0055】
加えて、カメラ338は、光源334によって照明される領域の画像を提供し得る。ユーザは、表示画面上でこれらの画像をリアルタイムで、または非リアルタイムで閲覧し、マイクロプレート306が存在するか、もしくは不在であるかに関する手動決定を行い得る。
【0056】
加えて、または代替として、監視システム350は、マイクロプレート306の高さを検出(測定)することによって、マイクロプレート306の存在を検出するように構成され得る。この文脈では、マイクロプレート306の「高さ」は、垂直軸に沿ったマイクロプレート306の一部(典型的には、マイクロプレート306の上面または上縁)の位置である。値としての高さは、装置筐体128内の点等の任意の基準データに対して計算され得る。検出された高さが最小閾値よりも低い場合、監視システム350は、マイクロプレート306が存在しないと決定し得、上で説明されるようなさらなるアクションを開始し得る。例えば、マイクロプレート306が存在しない場合、測定された高さは、サンプルキャリア104の高さ(例えば、その上面、または存在するときにマイクロプレート306が支持される表面)であり得、それは、最小閾値よりも低いであろう。サンプルキャリア104の表面上の基準点は、ゼロのプレート高に対応するように定義され得る。サンプルキャリア104は、必要に応じて、ゼロ基準点と光源334との間の見通し線およびゼロ基準点とカメラ338との間の見通し線を提供するように構成され得る。
【0057】
マイクロプレート306の存在に関する監視は、例えば、ユーザが、サンプル測定/分析動作を開始する前、サンプルキャリア104上にマイクロプレート306を搭載し忘れる状況において有用である。この監視機能は、注入器ノズル210またはピペット先端214が使用中であるときに特に重要である。注入器ノズル210またはピペット先端214は、液体をサンプル分析装置100の光学構成要素上に直接分注し、そのような光学構成要素を損傷させ得る。
【0058】
プレート高検出:ある実施形態では、監視システム350は、マイクロプレート306の高さを測定し、高さがサンプル分析装置100の動作のために規定された所定の高さに従って正しいことを決定するように構成される。一実施形態では、光源334(
図3および4)が、利用される。光源334は、マイクロプレート306の上縁に向かって光ビーム346を放出し、それによって、カメラ338によって検出可能な光パターンまたはプロファイルを生成するように位置付けられる。検出された光パターンは、マイクロプレート306の高さを計算するために利用され得る。例えば、システムコントローラ190は、カメラ338から受信された出力信号を処理し、適切なアルゴリズムを実行し、マイクロプレート306の高さを計算し得る。監視システム350はまた、マイクロプレート306の上面と、例えば、注入器ノズル210、ピペット先端214、および対物レンズ218等のマイクロプレート306の上面に近接して動作する構成要素との間の距離を測定するようにも構成され得る。検出された高さまたはマイクロプレート306と別の構成要素との間の距離が最小値よりも小さい場合、監視システム350は、サンプル分析装置100(またはこの動作条件によって影響を受けるであろうサンプル分析装置100のある構成要素)が動作することを防止し得る。監視システム350のこの監視機能は、例えば、マイクロプレート306と注入器ノズル210、ピペット先端214、対物レンズ218、または他の構成要素との間の衝突を回避し、それによって、そのような構成要素への損傷を防止するために有用である。
【0059】
プレート蓋存在検出:ある実施形態では、監視システム350は、マイクロプレート306上のプレート蓋326(
図3および4)の存在を検出するように構成される。プレート蓋326の使用が特定のサンプル分析手順のために規定されておらず、監視システム350がプレート蓋326の存在を検出する場合、監視システム350は、サンプル分析装置100(またはこの動作条件によって影響を受けるであろうサンプル分析装置100のある構成要素)が動作することを防止すること、および/または他の適切なアクションを開始することを行い得る。この監視機能は、例えば、ユーザがサンプルに規定された測定を開始する前にプレート蓋326を除去し忘れる状況において有用である。この監視機能は、注入器ノズル210またはピペット先端が使用中であるとき、特に重要である。注入器ノズル210またはピペット先端214は、液体をプレート蓋326上に分注し得、液体は、次いで、サンプル分析装置100の光学構成要素と接触するように流動し、そのような光学構成要素を損傷させ得る。同様に、プレート蓋326の使用が特定のサンプル分析手順のために規定され、監視システム350がプレート蓋326が存在しないと決定する場合、監視システム350は、そのような動作条件に応答して、適切なアクションを開始し得る。
【0060】
バーコード読み取り:ある実施形態では、監視システム350は、サンプルキャリア104上に搭載されるマイクロプレート306の1つ以上の側面上に位置付けられる1つ以上のバーコード標識354(
図3)上に印刷される1つ以上のバーコードを読み取るためのバーコード読み取りデバイスとして動作するように構成される。サンプルキャリア104は、マイクロプレート306がサンプルキャリア104上に搭載されるとき、所与のバーコード標識354が光源によって適正に照明され得、バーコード標識354から反射された光がカメラによって完全かつ正確に捕捉され得、バーコードが適切に読み取られ得るように構成される。例えば、マイクロプレート306は、サンプルキャリア104の上面の上方に十分に上昇させられ得、潜在的にバーコード標識354を含むマイクロプレート306の側面の大きい部分は、バーコード読み取りのために利用される光源およびカメラの見通し線内にある。別の例として、サンプルキャリア104の本体は、光源およびカメラとの見通し線を提供または改良する特徴(例えば、陥凹、開口部等)を伴って構築され得る。光源およびカメラは、バーコード標識354上に入射する光ビームおよびバーコード標識354から反射された光ビームが一致しないように、互いに対して位置付けられ得る。一実施形態では、光源330およびカメラ338(
図3および4)は、バーコード読み取りのために利用され得る。加えて、所与のマイクロプレート306は、マイクロプレート306の2つ以上の側面上にバーコード標識354を有し得る。そのような追加のバーコード標識354を読み取ることが所望される場合、監視システム350は、必要に応じて、追加の光源およびカメラを含み得る。
【0061】
注入器監視:ある実施形態では、監視システム350は、液体注入システムのそそぎ中、および事前注入動作中、液体注入システム、特に、注入器ノズル210(
図2)の動作を監視するように構成される。当業者によって理解されるように、注入器ノズル210および関連付けられる管類を含む液体注入システムの流体回路は、典型的には、サンプル上への、またはマイクロプレート306のウェル等のサンプル容器の中への試薬もしくは他の液体の注入等の注入動作のための準備において、そそがれ、事前注入される。注入器ノズル210および近傍の管類上の液滴および液気泡の形成を回避することが、望ましい。液滴および気泡は、マイクロプレート306の1つ以上のウェルを汚染し得、マイクロプレート306上にこぼれ、サンプル分析装置100の光学構成要素と接触するように流動し、そのような光学構成要素を損傷させ得る。液滴および気泡は、所定の量の液体を精密に注入する液体注入システムの能力も損ない得る。監視システム350の1つ以上の光源330、334およびカメラ338(
図3および4)は、液滴および気泡の存在に対して、注入器ノズル210および近傍の管類を監視するために利用され得る。一実施形態では、注入器ノズル210およびその周辺領域の画像が、カメラ338によって取得され、表示画面上に表示され、それによって、ユーザが、注入器ノズル210および近傍の管類を監視することを可能にする。ユーザが、液滴および/または気泡が存在すると決定する場合、ユーザは、適切な努力が問題に対処するためになされ得るように、サンプル分析装置100のさらなる動作をシャットダウンし得る。
【0062】
ピペッタ監視:ある実施形態では、監視システム350は、液体ピペットシステム、特に、ピペット先端214(
図2)の動作を監視するように構成される。ピペット先端214は、典型的には、それらが交換され得るように、液体ピペットシステムのピペッタヘッドから取り外し可能である。装置筐体128内のピペット先端214の移動および/または使用中、ピペット先端214が、固定解除された状態になり、ピペッタヘッドからマイクロプレート306またはサンプル分析装置100の他の構成要素上に落下し、それによって、そのような構成要素を汚染もしくは損傷させ、および/または他の移動する構成要素が衝突し得る障害物を作成することが、可能である。監視システム350の1つ以上の光源330、334およびカメラ338(
図3および4)は、ピペット先端214を監視し、それがピペッタヘッドに確実に結合されていることを確実にし、ピペット先端214がピペッタヘッドから分離された状態になるイベントを検出するために利用され得る。一実施形態では、ピペット先端214およびその周辺領域の画像が、カメラ338によって取得され、表示画面上に表示され、それによって、ユーザがピペット先端214を監視することを可能にする。ユーザが、ピペット先端214が確実に結合されていない、またはピペッタヘッドから離れるように落下していると決定する場合、ユーザは、適切な努力が問題に対処するためになされ得るように、サンプル分析装置100のさらなる動作をシャットダウンし得る。
【0063】
液滴に対するマイクロプレート監視:ある実施形態では、監視システム350は、マイクロプレート306を監視するように構成される。特に、監視システム350は、マイクロプレート306の1つ以上の表面上の液滴の存在に対して監視するために利用され得る。注入器ノズル210またはピペット先端214の動作からもたらされていることもあるそのような液滴は、サンプル分析装置100のサンプルまたは光学構成要素を汚染し得る。監視システム350の1つ以上の光源330、334およびカメラ338(
図3および4)は、液滴の存在に対してマイクロプレート306を監視するために利用され得る。一実施形態では、マイクロプレート306の画像が、カメラ338によって取得され、表示画面上に表示され、それによって、ユーザがマイクロプレート306を監視することを可能にする。ユーザが、液滴がマイクロプレート306上に存在すると決定する場合、ユーザは、適切な努力が問題に対処するためになされ得るように、サンプル分析装置100のさらなる動作をシャットダウンし得る。
【0064】
デバッグのためのマイクロプレート監視:ある実施形態では、監視システム350は、装置筐体128内に配置される移動可能構成要素のそれぞれの位置および運動を監視し、移動可能構成要素の動作を評価し、それらの位置および運動において見出された任意のエラーをデバッグすることにおいてユーザを補助するように構成される。本明細書に説明されるように、サンプル分析装置100は、マイクロプレート306に向かって、およびそれから離れるように装置筐体128内で移動可能である種々の流体構成要素、光学構成要素、および機械的構成要素を含む。これらの構成要素は、例えば、注入器ノズル210、ピペット先端214、対物レンズ218、およびマイクロプレート306が搭載されるサンプルキャリア104を含む。典型的には、所与のサンプル分析のために、これらの構成要素が移動する位置およびそれぞれの進行の経路(およびそのような移動のタイミング)は、流体/光学/機械的構成要素中、および流体/光学/機械的構成要素とマイクロプレート306との間の衝突が回避されるように、システムコントローラ190(
図2)によって実行および制御され得るように、プログラミングによって注意深く事前決定される。(例えば、駆動機構、機械的結合等における)機械的誤動作、(例えば、電気信号経路における)電子機器誤動作、および/または(例えば、ソフトウェア命令における)プログラミングエラーに起因して、構成要素が、その意図される進行経路から、もしくはそれが移動する意図される時間から逸れ、それによって、別の構成要素と衝突する危険にさらされることが、可能である。監視システム350の1つ以上の光源330、334およびカメラ338(
図3および4)は、1つ以上のそのような構成要素を監視し、位置もしくは運動におけるエラーが存在する(または起こっている)かどうかを決定し、エラーをデバッグし(例えば、そのような構成要素またはそのような構成要素を制御する電子機器を修理もしくは交換すること、プログラミングにおけるエラーを修正すること等)、続いて、そのような構成要素が規定されるように動作していることを検証するために利用され得る。一実施形態では、そのような構成要素の画像が、カメラ338によって取得され、表示画面上に表示され、それによって、ユーザが構成要素を監視することを可能にする。監視のこの側面の一部として、光源330、334およびカメラ338は、例えば、上で説明されるように、注入器ノズル210、ピペット先端214、対物レンズ218、およびマイクロプレート306の高さ(位置)等の監視されている構成要素の位置を決定するために利用され得る。
【0065】
他の実施形態では、監視システム350は、前述の監視機能のうちの2つ以上のものの任意の組み合わせを実施するように構成される。1つまたはいくつかの光源330、334およびカメラ338を提供することによって、監視システム350は、異なる監視機能の組み合わせを実施し、それによって、そのような監視機能を個々に実施するための専用デバイスを提供することに関連付けられるであろう増加した費用、複雑性、および空間要件を回避することが可能である。
【0066】
本明細書に説明されるプロセス、サブプロセス、およびプロセスステップのうちの1つ以上のものが、1つ以上の電子もしくはデジタル制御型デバイス上で、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、もしくは前述のうちの2つ以上のものの組み合わせによって実施され得ることを理解されたい。ソフトウェアは、例えば、
図2で図式的に描写されるシステムコントローラ(コンピューティングデバイス)190等の好適な電子処理構成要素またはシステム内のソフトウェアメモリ(図示せず)内に常駐し得る。ソフトウェアメモリは、論理機能(すなわち、デジタル回路またはソースコード等のデジタル形態で、もしくはアナログ電気、音声、またはビデオ信号等のアナログソース等のアナログ形態で実装され得る「論理」)を実装するための実行可能命令の順序付けられたリストを含み得る。命令は、例えば、1つ以上のマイクロプロセッサ、汎用プロセッサ、プロセッサの組み合わせ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、もしくはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含む、処理モジュール内で実行され得る。さらに、概略図は、アーキテクチャまたは機能の物理的レイアウトによって限定されない物理的(ハードウェアおよび/またはソフトウェア)実装を有する、機能の論理的分割を説明する。本明細書に説明されるシステムの例は、種々の構成で実装され、単一のハードウェア/ソフトウェアユニット内または別個のハードウェア/ソフトウェアユニット内のハードウェア/ソフトウェア構成要素として動作し得る。
【0067】
実行可能命令は、電子システムの処理モジュール(例えば、
図2に示されるシステムコントローラ190)によって実行されると、命令を実行するように電子システムに指図するその中に記憶された命令を有するコンピュータプログラム製品として実装され得る。コンピュータプログラム製品は、命令実行システム、装置、またはデバイスから命令を選択的にフェッチし、命令を実行し得る、電子コンピュータベースのシステム、プロセッサを含むシステム、もしくは他のシステム等の命令実行システム、装置、またはデバイスによって使用するための、もしくはそれらと関連する任意の非一過性コンピュータ読み取り可能な記憶媒体において選択的に具現化され得る。本開示の文脈では、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、命令実行システム、装置、またはデバイスによって使用するための、もしくはそれらと関連するプログラムを記憶し得る任意の非一過性手段である。非一過性コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、選択的に、例えば、電子、磁気、光学、電磁、赤外線、または半導体システム、装置、もしくはデバイスであり得る。非一過性コンピュータ読み取り可能な媒体のより具体的な例の非包括的リストは、1つ以上のワイヤ(電子)を有する電気接続、ポータブルコンピュータディスケット(磁気)、ランダムアクセスメモリ(電子)、読み取り専用メモリ(電子)、例えば、フラッシュメモリ(電子)等の消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ、例えば、CD-ROM、CD-R、CD-RW(光学)等のコンパクトディスクメモリ、およびデジタル多用途ディスクメモリ、すなわち、DVD(光学)を含む。プログラムが、例えば、紙または他の媒体の光学走査を介して電子的に捕捉され、次いで、必要に応じて、好適な様式でコンパイル、解釈、もしくは別様に処理され、次いで、コンピュータメモリまたはマシンメモリに記憶されることができるため、非一過性コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、プログラムが印刷される紙または別の好適な媒体でさえあり得ることに留意されたい。
【0068】
本明細書で使用されるような用語「信号通信する」が、2つ以上のシステム、デバイス、構成要素、モジュール、もしくはサブモジュールが、あるタイプの信号経路を経由して進行する信号を介して相互と通信することが可能であることを意味することも理解されたい。信号は、第1および第2のシステム、デバイス、構成要素、モジュール、またはサブモジュールの間の信号経路に沿って、第1のシステム、デバイス、構成要素、モジュール、またはサブモジュールから、第2のシステム、デバイス、構成要素、モジュール、またはサブモジュールに情報、電力、もしくはエネルギーを通信し得る通信、電力、データ、またはエネルギー信号であり得る。信号経路は、物理、電気、磁気、電磁、電気化学、光学、有線、または無線接続を含み得る。信号経路は、第1および第2のシステム、デバイス、構成要素、モジュール、またはサブモジュール間に、追加のシステム、デバイス、構成要素、モジュール、またはサブモジュールも含み得る。
【0069】
より一般的に、用語「通信する」および「と・・・通信する」(例えば、第1の構成要素が、第2の構成要素と「通信する」または「通信する」)は、2つ以上の構成要素もしくは要素の間の構造、機能、機械、電気、信号、光学、磁気、電磁、イオン、または流体関係を示すために、本明細書で使用される。したがって、1つの構成要素が第2の構成要素と通信すると言われる事実は、追加の構成要素が、第1および第2の構成要素の間に存在し得ること、および/またはそれらと動作可能に関連付けられ得ること、もしくは係合され得る可能性を除外することを意図していない。
【0070】
本発明の種々の側面または詳細は、本発明の範囲から逸脱することなく変更され得ることを理解されたい。さらに、前述の説明は、限定の目的ではなく、例証の目的のためにすぎず、本発明は、請求項によって定義される。