IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トラスティーズ オブ ボストン ユニバーシティの特許一覧 ▶ ベータ バイオニクス,インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】注入システム及びその構成要素
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/145 20060101AFI20221114BHJP
   A61M 5/142 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
A61M5/145 508
A61M5/142
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019537218
(86)(22)【出願日】2018-01-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-20
(86)【国際出願番号】 US2018012636
(87)【国際公開番号】W WO2018129354
(87)【国際公開日】2018-07-12
【審査請求日】2020-12-18
【審判番号】
【審判請求日】2022-03-23
(31)【優先権主張番号】62/443,616
(32)【優先日】2017-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/444,244
(32)【優先日】2017-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】301069856
【氏名又は名称】トラスティーズ オブ ボストン ユニバーシティ
(73)【特許権者】
【識別番号】519243732
【氏名又は名称】ベータ バイオニクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダミアーノ エドワード アール.
(72)【発明者】
【氏名】セラガムセッティー ラジェンドラナス
(72)【発明者】
【氏名】エル‐カティーブ フィラス エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】クノーデル ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】カール レイ
【合議体】
【審判長】佐々木 正章
【審判官】佐々木 一浩
【審判官】村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-527038(JP,A)
【文献】特表2016-538098(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M5/142
A61M5/145
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の薬剤を患者に送出するための薬剤注入システムであって、
第1タンクセットであって、
流体管を有する第1流体路を経由して第1注入コネクタと流体連通し、第1薬剤タンクポートと第1薬剤とを備える第1薬剤タンクと係合し、前記第1薬剤タンクポートの少なくとも一部にはまる第1注入口コネクタであって、
前記第1薬剤を受け取る第1針と、
前記第1薬剤タンクの一部と係合して前記第1注入口コネクタを前記第1薬剤タンクに取り付ける第1係合部材と、
第1逆止弁であって、前記第1逆止弁に加わる前記第1薬剤の圧力が第1閾流体圧力を超えることで前記第1薬剤が前記第1薬剤タンクから流れることを可能に、前記第1閾流体圧力は、前記第1タンクセットを前記流体管の長さによって決まる前記患者の注入部位を越える高さにすることで生じる、重力によって引き起こされる静水圧よりも大きい、第1逆止弁と、
を備える第1注入口コネクタ
を備える第1タンクセットと、
第2タンクセットであって、
第2流体路を経由して第2注入コネクタと流体連通し、第2薬剤タンクポートと第2薬剤とを備える第2薬剤タンクと係合し、前記第2薬剤タンクポートの少なくとも一部にはまる第2注入口コネクタであって、
前記第2薬剤を受け取る第2針と、
前記第2薬剤タンクの一部と係合して前記第2注入口コネクタを前記第2薬剤タンクに取り付ける第2係合部材と、
を備える第2注入口コネクタ
を備える第2タンクセットと、
を備え、
前記第1注入口コネクタは、前記第2薬剤タンクへの係合を防止する構成要素を備える薬剤注入システム。
【請求項2】
前記第2注入口コネクタは、前記第1薬剤タンクへの係合を防止する構成要素を備える請求項1に記載の薬剤注入システム。
【請求項3】
前記第1逆止弁は、前記第1薬剤タンクからの前記第1薬剤の意図しない漏洩を実質的に防止するように構成されている
請求項1または2に記載の薬剤注入システム。
【請求項4】
前記第1針が前記第1注入口コネクタ内の引っ込んだところに置かれていることで、前記第1注入口コネクタが操作されるときに使用者が前記第1針に接触する可能性を抑えるように前記第1注入口コネクタが構成されている
請求項1から3のいずれか1項に記載の薬剤注入システム。
【請求項5】
前記第2針が前記第2注入口コネクタ内の引っ込んだところに置かれていることで、前記第2注入口コネクタが操作されるときに使用者が前記第2針に接触する可能性を抑えるように前記第2注入口コネクタが構成されている
請求項1から4のいずれか1項に記載の薬剤注入システム。
【請求項6】
前記第1薬剤タンクをさらに備える
請求項1から5のいずれか1項に記載の薬剤注入システム。
【請求項7】
前記第2薬剤タンクをさらに備える
請求項6に記載の薬剤注入システム。
【請求項8】
前記薬剤注入システムは、
ベースセットであって、
第1ポートと第1付着部とを有し、前記第1薬剤を前記患者に送出するように構成された第1穿刺素子を備える第1ベースユニットであって、前記第1付着部が前記第1ベースユニットを前記患者に付着させるように構成された、第1ベースユニットと、
第2ポートを有する第2ベースユニットであって、前記第2ベースユニットを前記患者に付着させるように構成された第2付着部を備える、第2ベースユニットと
を備えるベースセットと、
注入コネクタセットであって、
前記第1注入コネクタであって、前記第1注入コネクタは前記第1ポートを経由して前記第1ベースユニットに可逆的に結合し、前記第1薬剤タンクから前記第1ベースユニットの前記第1ポートへの第1流体路を提供するように構成されている、前記第1注入コネクタと、
前記第2注入コネクタであって、前記第2注入コネクタは前記第2ベースユニットに可逆的に結合するように構成されている、前記第2注入コネクタと
を備える注入コネクタセットと、
をさらに備え、
前記第1ベースユニットは、前記第2注入コネクタの前記第1ベースユニットへの係合を防止する第1ガイド素子を備え、
前記第2ベースユニットは、前記第1注入コネクタの前記第2ベースユニットへの係合を防止する第2ガイド素子を備える
請求項1から7のいずれか1項に記載の薬剤注入システム。
【請求項9】
前記第1注入コネクタは、使用者が前記第1注入コネクタをつかむことができるように
、人間工学による指用つかみを提供する張り出しのあるエッジを備える
請求項8に記載の薬剤注入システム。
【請求項10】
前記第2タンクセットは、前記第2薬剤タンクから前記第2注入口コネクタを経由する連続的な流体路を提供する
請求項1から9のいずれか1項に記載の薬剤注入システム。
【請求項11】
薬剤注入セットであって、
第1タンクセットであって、
流体管を有する第1流体路を経由して第1注入コネクタと流体連通し、第1薬剤タンクポートと第1薬剤とを備える第1薬剤タンクと係合する第1注入口コネクタであって、
前記第1薬剤へのアクセスを可能にするよう構成された第1針と、
前記第1薬剤タンクの一部と係合して前記第1注入口コネクタを前記第1薬剤タンクに取り付ける第1係合部材と、
第1逆止弁であって、前記第1逆止弁に加わる前記第1薬剤の圧力が第1閾流体圧力を超えることで前記第1薬剤が前記第1薬剤タンクから流れることを可能に、前記第1閾流体圧力は、前記第1タンクセットを前記流体管の長さによって決まる前記患者の注入部位を越える高さにすることで生じる、重力によって引き起こされる静水圧よりも大きい、第1逆止弁と、
ポンプのポンプハウジングの第1薬剤タンクレセプタクルの、一致する第1ガイド開口にはまる第1ガイド素子と、
を備える第1注入口コネクタ
を備える第1タンクセットと、
第2タンクセットであって、
第2流体路を経由して第2注入コネクタと流体連通し、第2薬剤タンクポートと第2薬剤とを備える第2薬剤タンクと係合する第2注入口コネクタであって、
前記第2薬剤へのアクセスを可能にするよう構成された第2針と、
前記第2薬剤タンクの一部と係合して前記第2注入口コネクタを前記第2薬剤タンクに取り付ける第2係合部材と、
前記ポンプの前記ポンプハウジングの第2薬剤タンクレセプタクルの、一致する第2ガイド開口にはまる第2ガイド素子と、
を備える第2注入口コネクタ
を備える第2タンクセットと、
を備え、
前記第1注入口コネクタは、前記第2薬剤タンクへの係合を防止する構成要素を備える薬剤注入セット。
【請求項12】
前記薬剤注入セットは、前記第2薬剤タンクを備える
請求項11に記載の薬剤注入セット。
【請求項13】
前記第2タンクセットは、前記第2薬剤タンクから前記第2注入口コネクタを経由する連続的な流体路を提供する
請求項11または12に記載の薬剤注入セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に薬剤の注入システム及びその構成要素の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ポンプ駆動による徐放用の薬剤注入装置は、一般に、注入場所で患者の皮膚を通って皮下に取り付けられる送出カニューレを有する。ポンプは、タンクから薬剤を吸引し、薬剤をカニューレを経由して患者に送出する。この注入装置は、典型的には薬剤を注入口ポートから送出カニューレに送る流路を有し、送出カニューレは、結果として、それが終端する皮下の組織層への送出を行う。単一薬剤を患者に送出するように構成された注入装置もあれば、多薬剤を患者に送出するように構成された注入装置もある。
【発明の概要】
【0003】
関連出願の相互参照
この特許出願は、2017年1月9日に出願された米国仮特許出願第62/444,244号、2017年1月6日に出願された米国仮特許出願第62/443,616号の優先権の利益を主張する。上記出願は、その全体が全ての目的のために参照により本明細書に援用される。
【0004】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発に関する記載
本発明は、米国国立衛生研究所により助成を受けた契約番号第DK097657号及び第DK108612号の下、米国政府の支援を受けてなされたものである。米国政府は本発明に対し一定の権利を有する。
【0005】
本明細書で開示されるいくつかの実施形態は、薬剤注入システム、その構成要素、及び注入システムを使用する及び/又は製造する方法に関する。
【0006】
いくつかの実施形態において、単一又は複数の薬剤を患者に送出するための薬剤注入セットが開示される。いくつかの実施形態において、薬剤注入セットは、第1タンクセットを備える。いくつかの実施形態において、第1タンクセットは、第1薬剤を含む第1タンクポートを備える第1タンクを備える。いくつかの実施形態において、第1タンクセットは、前記第1タンクの少なくとも一部と前記第1タンクポートの少なくとも一部とにはまる第1注入口コネクタを備える。いくつかの実施形態において、第1注入口コネクタは、前記第1薬剤へのアクセスを可能にするように構成された第1針を備える。いくつかの実施形態において、第1注入口コネクタは、前記第1タンクの一部と係合し前記第1注入口コネクタを前記第1タンクに取り付ける第1係合部材を備える。
【0007】
上述の、又は本明細書の他の箇所で説明される実施形態のいずれも、1つ以上の以下の特徴を含み得る。
【0008】
いくつかの実施形態において、第1注入口コネクタは、第1逆止弁を備える。第1逆止弁は、第1閾流体圧力に応じて流体が前記第1タンクから流れることを可能にするように構成される。
【0009】
いくつかの実施形態において、第1注入口コネクタは、第1注入口コネクタと係合するように構成されたカバーを有する。
【0010】
いくつかの実施形態において、薬剤注入セットは、第2タンクセットを更に備える。いくつかの実施形態において、第2タンクセットは、第2薬剤へのアクセスを可能にする第2タンクポートを備える。
【0011】
いくつかの実施形態において、第2タンクセットは、前記第2タンクの少なくとも一部と前記第2ポートの少なくとも一部とにはまる第2注入口コネクタを備える。いくつかの実施形態において、第2注入口コネクタは、第2薬剤へのアクセスを可能にするように構成された第2針を備える。いくつかの実施形態において、第2注入口コネクタは、前記第2タンクの一部と係合し前記第2注入口コネクタを前記第2タンクに取り付ける第2係合部材を備える。
【0012】
いくつかの実施形態において、第2タンクセットは、前記第2注入口コネクタに係合するように構成された第2注入口コネクタカバーを備える。
【0013】
いくつかの実施形態において、第1逆止弁は、前記第1タンクからの前記第1薬剤の意図しない漏洩を実質的に防止するように構成される。
【0014】
いくつかの実施形態において、第2注入口コネクタは、到達された第2閾圧力に応じて前記第2タンクから流体が流れることを可能にするように構成された第2逆止弁を備える。
【0015】
いくつかの実施形態は、単一又は複数の薬剤を患者に送出するための薬剤注入セットに関する。いくつかの実施形態において、薬剤注入セットは第1タンクセットを備える。
【0016】
いくつかの実施形態において、第1タンクセットは、第1タンクポートと第1プランジャとを備える第1タンクを備える。いくつかの実施形態において、第1タンクは第1薬剤を含む。いくつかの実施形態において、第1プランジャは第1インサートを備える。いくつかの実施形態において、第1インサートは、前記第1薬剤を送出するように構成されたポンプ内のドライブナットに磁気的に結合するように構成される。
【0017】
いくつかの実施形態において、第1タンクセットは、第1注入口コネクタを備える。いくつかの実施形態において、第1注入口コネクタは、前記第1タンクの少なくとも一部と前記第1タンクポートの少なくとも一部とにはまる。いくつかの実施形態において、第1注入口コネクタは、前記第1薬剤へのアクセスを可能にするように構成された第1針を備える。いくつかの実施形態において、第1注入口コネクタは、前記第1タンクの一部と係合し前記第1注入口コネクタを前記第1タンクに取り付ける第1係合部材を備える。
【0018】
いくつかの実施形態において、第1タンクセットは、前記第1注入口コネクタと係合するように構成された第1注入口コネクタカバーを備える。
【0019】
いくつかの実施形態において、第1インサートは、ゴム、プラスチック、重合体、エラストマー、又はこれらの組み合わせである。
【0020】
いくつかの実施形態において、薬剤注入セットは、第2薬剤へのアクセスを可能にするように構成された第2タンクポートを備える第2タンクを備える第2タンクセットを更に備える。
【0021】
いくつかの実施形態において、第2タンクセットは、前記第2タンクの少なくとも一部と前記第2タンクポートの少なくとも一部とにはまる第2注入口コネクタを備える。いくつかの実施形態において、第2注入口コネクタは、第2薬剤へのアクセスを可能にするように構成された第2針を備える。いくつかの実施形態において、第2注入口コネクタは、前記第2タンクの一部と係合し前記第2注入口コネクタを前記第2タンクに取り付ける第2係合部材を備える。
【0022】
いくつかの実施形態において、薬剤注入セットは、前記第2注入口コネクタに係合するように構成された第2注入口コネクタカバーを備える。
【0023】
いくつかの実施形態において、磁気材料は、鉄を含む材料、金属削りくず、金属ビーズ、及び/又は金属粉を含むグループから選択された材料である。
【0024】
いくつかの実施形態において、磁気材料は、前記第1プランジャとポンプのドライブナットの終端の磁石とを、前記プランジャの前記ドライブナットからの不注意による離昇を防止するように、磁気的に結合させるように構成される。
【0025】
いくつかの実施形態において、第2タンクは、第2インサートを備える第2プランジャを備え、前記第2インサートは、前記第2インサート全体に分布する第2磁気材料を備え、前記第2インサートは、前記ポンプの第1ドライブナットに磁気的に反発し、第2ドライブナットを磁気的に引きつけるように構成される。
【0026】
いくつかの実施形態において、注入セットは前記ポンプを備える。
【0027】
いくつかの実施形態は、ポンプと第1薬剤タンクとを備える薬剤注入システムに関する。いくつかの実施形態において、ポンプは、1つ以上の第1タンクレセプタクルと、モータと、前記第1タンクレセプタクル内に配置され、前記モータに与えられた第1電流に応じてプランジャを動かして薬剤を送出するように構成されたドライブナットとを備える。いくつかの実施形態において、ポンプはコントローラを備える。いくつかの実施形態において、コントローラは、前記ドライブナットを前記第1電流で前進させるように構成される。いくつかの実施形態において、第1電流は、プランジャと接触しているときに前記ドライブナットを前進させるのには不十分である。いくつかの実施形態において、コントローラ(及び/又は前記ポンプの検出器)は、前記プランジャが前記第1プランジャに対応するか否かを検出するように構成される。いくつかの実施形態において、前記プランジャが前記第1プランジャに対応することを検出したことに応じて、前記コントローラは、前記モータに与えられる電流を、前記ドライブナットを前記第1プランジャに抗して前進させ、前記第1プランジャを動かして前記第1薬剤を送出するのに十分な送出モード電流に増加させるように構成される。いくつかの実施形態において、前記プランジャが前記第1プランジャに対応しないことを検出したことに応じて、前記コントローラは、前記モータに与えられる電流を減少させ、又は前記ドライブナットを後退させる第2電流を与えるように構成される。
【0028】
いくつかの実施形態は、ポンプとコントローラとを備える薬剤注入システムに関する。いくつかの実施形態において、薬剤注入システムは、第1プランジャと第1薬剤とを有する第1薬剤タンクを更に備える。いくつかの実施形態において、第1薬剤タンクは、第1プランジャと第1薬剤とを備える。いくつかの実施形態において、ポンプは、薬剤タンクを保持するように構成された第1薬剤タンクレセプタクルを備える。いくつかの実施形態において、ポンプはモータを備える。いくつかの実施形態において、ポンプは、前記第1タンクレセプタクル内に配置され前記モータに与えられる第1電流に応じて動くように構成されたドライブナットを備える。いくつかの実施形態において、ポンプは前記コントローラを備える。
【0029】
いくつかの実施形態において、前記コントローラは、前記第1電流を前記ドライブナットに与えるように構成される。いくつかの実施形態において、前記コントローラは、前記ドライブナットを前記第1電流で前進させる。いくつかの実施形態において、前記第1電流は、薬剤タンクのプランジャと接触しているときに前記ドライブナットを前進させるのには不十分である。いくつかの実施形態において、前記第1プランジャの検出に応じて、前記コントローラは、前記モータに与えられる電流を、前記ドライブナットを前記第1プランジャに抗して前進させ、前記第1プランジャを動かして前記第1薬剤を送出するのに十分な送出モード電流に増加させる。
【0030】
いくつかの実施形態において、前記コントローラは、前記プランジャが前記第1プランジャに対応するか否かを検出するように構成され、前記プランジャが前記第1プランジャに対応しないことを検出したことに応じて、前記コントローラは、前記モータに与えられる電流を減少させ、及び/又は前記第1プランジャではないプランジャが検出された場合に前記ドライブナットを後退させる第2電流を与える。いくつかの実施形態において、前記コントローラは、軽くたたくことによって、及び/又は前記電流を、前記第1電流から、力が前記プランジャを動かして前記第1プランジャの存在を示すのに十分になるまで漸増的に増加させることによって、連続して増加する前記力でプランジャを押すことによって、前記プランジャが前記第1プランジャに対応するか否かを検査するように構成される(例えば、前記プランジャを動かすのに必要な力は、前記第1プランジャを動かすのに必要な力に対応するので)。
【0031】
いくつかの実施形態は、薬剤注入システムの動作を制御するためのコントローラに関する。いくつかの実施形態において、前記コントローラは、ドライブナットを前進させるように構成された第1電流を適用するように構成される。いくつかの実施形態において、前記第1電流は、前記ドライブナットがプランジャと接触しているときに前記ドライブナットを前進させるのに必要な閾電流より小さい。いくつかの実施形態において、前記プランジャが前記第1タイプのプランジャに対応することが検出器によって検出されたのに応じて、前記コントローラは、前記第1電流を、前記ドライブナットを前記プランジャに抗して前進させるのに十分な送出モード電流に増加させ、前記プランジャを動かして第1薬剤を送出する。いくつかの実施形態において、前記コントローラは、検出器と相互作用するように更に構成される。いくつかの実施形態において、前記検出器は、前記プランジャが前記第1タイプのプランジャに対応するか否かを検出する。いくつかの実施形態において、前記プランジャが前記第1タイプのプランジャに対応しないことが検出されたのに応じて、前記コントローラは、前記ドライブナットを後退させる第2電流を前記ドライブナットに与え、又は前記電流を減少させて前記ドライブナットを完全に停止させる。いくつかの実施形態において、前記コントローラは、軽くたたくことによって、及び/又は前記電流を、前記第1電流から、力が前記プランジャを動かして前記第1プランジャの存在を示すのに十分になるまで漸増的に増加させることによって、連続して増加する前記力でプランジャを押すことによって、前記プランジャが前記第1プランジャに対応するか否かを検査するように構成される。
【0032】
いくつかの実施形態は、単一又は複数の薬剤を患者に送出するための薬剤注入セットであって、第1タンクセットを備えるものに関する。いくつかの実施形態において、前記第1タンクセットは、第1タンクポートと第1プランジャとを備える第1タンクを備える。いくつかの実施形態において、前記第1タンクは第1薬剤を備える。
【0033】
いくつかの実施形態において、前記第1プランジャは、前記第1タンクが注入ポンプ内に正しく配置されるときに前記第1プランジャが前記注入ポンプと電子的に通信するように、前記注入ポンプと相互作用するように構成された導電性素子を備えるように構成される。
【0034】
いくつかの実施形態において、第1注入口コネクタは、前記第1タンクの少なくとも一部と前記第1タンクポートの少なくとも一部とにはまる。
【0035】
いくつかの実施形態において、前記第1注入口コネクタは、前記第1薬剤へのアクセスを可能にするように構成された第1針を備える。
【0036】
いくつかの実施形態において、前記第1注入口コネクタは、前記第1タンクの一部と係合し前記第1注入口コネクタを前記第1タンクに取り付ける第1係合部材を備える。
【0037】
いくつかの実施形態において、前記第1タンクセットは、前記第1注入口コネクタと係合するように構成された第1注入口コネクタカバーを備える。
【0038】
いくつかの実施形態において、前記薬剤注入セットは、前記タンク内の第2薬剤へのアクセスを可能にするように構成された第2タンクポートを備える第2タンクを備える第2タンクセットを更に備える。
【0039】
いくつかの実施形態において、前記第2タンクセットは、前記第2タンクの少なくとも一部と前記第2タンクポートの少なくとも一部とにはまる第2注入口コネクタを備える。
【0040】
いくつかの実施形態において、前記第2注入口コネクタは、第2薬剤へのアクセスを可能にするように構成された第2針を備える。
【0041】
いくつかの実施形態において、前記第2注入口コネクタは、前記第2タンクの一部と係合し前記第2注入口コネクタを前記第2タンクに取り付ける第2係合部材を備える。
【0042】
いくつかの実施形態において、前記第2タンクセットは、前記第2注入口コネクタに係合するように構成された第2注入口コネクタカバーを備える。
【0043】
いくつかの実施形態において、前記第2タンクは、第2プランジャを備え、前記第2プランジャは、前記第2タンクが前記注入ポンプ内に正しく配置されるときに前記第2プランジャが前記注入ポンプと電子的に通信するように、前記注入ポンプと相互作用するように構成された導電性素子を備える。
【0044】
いくつかの実施形態において、前記第1プランジャは、全体に分布する磁気材料を備える第1インサートを備え、前記第1インサートは、前記ポンプ内の前記第1ドライブナットに磁気的に結合するように構成される。
【0045】
いくつかの実施形態において、前記第1注入口コネクタは、第1閾圧力に達した後に前記第1タンクから流体が流れることを可能にする第1逆止弁を備える。
【0046】
いくつかの実施形態において、前記第1プランジャは第1濃度の導電性素子を有し、前記第2プランジャは第2濃度の導電性素子を備える。
【0047】
いくつかの実施形態において、前記第1プランジャは第1電気インピーダンスを有し、前記第2プランジャは、第2電気インピーダンスを有する。
【0048】
いくつかの実施形態において、前記第1電気インピーダンスは第1薬を示し、前記第2電気インピーダンスは第2薬を示し、前記第2薬は前記第1薬とは異なる。
【0049】
いくつかの実施形態は、ベースセットを備えて単一又は複数の薬剤を患者に送出するための薬剤注入セットに関する。いくつかの実施形態において、前記ベースセットは、第1ポートと第1付着部とを有する1つ以上の第1ベースユニットを備える。いくつかの実施形態において、前記第1ベースユニットは、第1薬剤を前記患者に送出するように構成された第1穿刺素子を備える。いくつかの実施形態において、前記第1付着部は、前記第1ベースユニットを前記患者に付着させるように構成される。
【0050】
いくつかの実施形態において、前記注入セットは、第2ポートを有する第2ベースユニットを備える。いくつかの実施形態において、前記第2ベースユニットは、前記第2ベースユニットを前記患者に付着させるように構成された第2付着部を備える。
【0051】
いくつかの実施形態において、前記注入セットは、コネクタセットを備える。いくつかの実施形態において、前記コネクタセットは、前記第1ポートを経由して前記第1ベースユニットに可逆的に結合し、第1薬剤注入から前記第1ベースの第1ポートへの第1流体路を提供するように構成された第1コネクタを備える。いくつかの実施形態において、前記コネクタセットは、前記第2ベースユニットに可逆的に結合するように構成された第2コネクタを備える。
【0052】
いくつかの実施形態において、前記第1ベースユニットは、前記第2コネクタの前記第1ベースユニットへの係合を防止する第1ガイド素子を備える。いくつかの実施形態において、前記第2ベースユニットは、前記第1コネクタの前記第2ベースユニットへの係合を防止する第2ガイド素子を備える。いくつかの実施形態において、前記第1ベースユニット及び前記第2ベースユニットは、互いに独立して動くことが可能であり、前記患者による動きの間に、前記患者の体の外形に合うように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
さまざまな実施形態が説明のために添付の図面に図示されており、決して実施形態の範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。いかなる実施形態のいかなる特徴、構造、構成要素、材料、及び/又はステップも、いかなる他の実施形態のいかなる特徴、構造、構成要素、材料、及び/又はステップと、組み合わされ又は置き換えられることができて、更なる実施形態を形成し、それらはこの開示の一部である。
図1A図1Aは、注入口コネクタ、注入口コネクタカバー、及びそれらの構成要素の実施形態を示す。
図1B図1Bは、注入口コネクタ、注入口コネクタカバー、及びそれらの構成要素の実施形態を示す。
図1C図1Cは、注入口コネクタ、注入口コネクタカバー、及びそれらの構成要素の実施形態を示す。
図2A図2Aは、タンク、注入口コネクタ、注入口コネクタカバー、及びそれらの構成要素の実施形態の分解組立図及び部分組立図を示す。
図2B図2Bは、タンク、注入口コネクタ、注入口コネクタカバー、及びそれらの構成要素の実施形態の分解組立図及び部分組立図を示す。
図2C図2Cは、タンク、注入口コネクタ、注入口コネクタカバー、及びそれらの構成要素の実施形態の分解組立図及び部分組立図を示す。
図3A図3Aは、薬剤タンクと係合し、図1A~1Bの注入口コネクタ及びカバーが装着されたポンプアセンブリを示す。
図3B図3Bは、薬剤タンクと係合し、図1A~1Bの注入口コネクタ及びカバーが装着されたポンプアセンブリを示す。
図4A図4Aは、注入口コネクタ、注入口コネクタカバー、薬剤タンク、及びそれらの構成要素の実施形態を示す。
図4B図4Bは、注入口コネクタ、注入口コネクタカバー、薬剤タンク、及びそれらの構成要素の実施形態を示す。
図5A図5Aは、薬剤タンクを満たすためのシステムを示す。
図5B図5Bは、薬剤タンクを満たすためのシステムを示す。
図5C図5Cは、薬剤タンクを満たすためのシステムを示す。
図6A図6Aは、薬剤タンクピストン、プランジャ、ドライブナット、及び/又はプッシュロッドに係合するためのさまざまなインサートを示す。
図6B図6Bは、薬剤タンクピストン、プランジャ、ドライブナット、及び/又はプッシュロッドに係合するためのさまざまなインサートを示す。
図6C図6Cは、薬剤タンクピストン、プランジャ、ドライブナット、及び/又はプッシュロッドに係合するためのさまざまなインサートを示す。
図6D図6Dは、薬剤タンクピストン、プランジャ、ドライブナット、及び/又はプッシュロッドに係合するためのさまざまなインサートを示す。
図6E図6Eは、薬剤タンクピストン、プランジャ、ドライブナット、及び/又はプッシュロッドに係合するためのさまざまなインサートを示す。
図6F図6Fは、薬剤タンクピストン、プランジャ、ドライブナット、及び/又はプッシュロッドに係合するためのさまざまなインサートを示す。
図6G図6Gは、コネクタセットに結合された薬剤タンクと相互に作用するドライブナット、流体管、及び注入部位コネクタの実施形態を示す。
図6H図6Hは、図6Gに図示されたドライブナット、薬剤タンク、及びコネクタの拡大図である。
図6I図6Iは、図6Hのアセンブリの二等分図を示す。
図6J図6Jは、図6Hのアセンブリの二等分図を示す。
図6K図6Kは、ドライブナットの先端部及びタンクのインサートが2等分されていない図6Hのアセンブリの二等分図を示す。
図6L図6Lは、ドライブナット及びその先端部の拡大図を示す。
図6M図6Mは、タンクのプランジャ及びインサートが2等分されていない薬剤タンクの実施形態の二等分図を示す。
図6N図6Nは、ドライブナットの先端部及びインサートの実施形態の図を示す。
図6O図6Oは、薬剤送出システムの構成を示す図である。
図6P図6Pは、薬剤送出システムの構成を示す図である。
図6Q図6Qは、針コネクタ内に取り付けられた抵抗特徴を示す。
図6R図6Rは、針コネクタ内に取り付けられた抵抗特徴を示す。
図6S図6Sは、針コネクタ内に取り付けられた抵抗特徴を示す。
図6T図6Tは、針コネクタ内に取り付けられた抵抗特徴を示す。
図6U図6Uは、抵抗特徴を有する薬剤送出システムの構成を示す図である。
図6V図6Vは、抵抗特徴を有する薬剤送出システムの構成を示す図である。
図6W図6Wは、抵抗特徴を有する薬剤送出システムの構成を示す図である。
図6X図6Xは、抵抗特徴を有する薬剤送出システムの構成を示す図である。
図6Y図6Yは、抵抗特徴を有する薬剤送出システムの構成を示す図である。
図6Z図6Zは、抵抗特徴を有する薬剤送出システムの構成を示す図である。
図7A図7Aは、2薬剤注入セットベースの透視図を示し、挿入手段も示す。
図7B図7Bは、2薬剤注入セットベースの透視図を示す。
図8A図8Aは、2薬剤配送コネクタの透視図を示し、分配コネクタ用のカバーも示す。
図8B図8Bは、2薬剤配送コネクタの透視図を示す。
図9A図9Aは、2薬剤注入セットの図を示す。
図9B図9Bは、2薬剤注入セットの図を示し、上からの断面図である。
図10A図10Aは、単一薬剤注入ハウジングセットベースを示し、挿入手段が取り付けられている。
図10B図10Bは、単一薬剤注入ハウジングセットベースを示し、挿入手段が取り外されている。
図11A図11Aは、単一薬剤配送コネクタの透視図を示し、配送コネクタ用のカバーも示されている。
図11B図11Bは、単一薬剤配送コネクタの透視図を示す。
図12A図12Aは、単一薬剤注入ベースセットの図を示す。
図12B図12Bは、単一薬剤注入ベースセットの図を示し、上からの断面図である。
図13A図13Aは、2薬剤注入セットベースのさまざまな構成を示す。
図13B図13Bは、2薬剤注入セットベースのさまざまな構成を示す。
図13C図13Cは、2薬剤注入セットベースのさまざまな構成を示す。
図13D図13Dは、2薬剤注入セットベースのさまざまな構成を示す。
図13E図13Eは、2薬剤注入セットベースのさまざまな構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
ここに説明されるいくつかの実施形態は、輸液システム、薬剤装填システム、並びに、薬剤を導入又は注入する方法、及び患者への薬剤の適切な流路形成(channeling)を行う方法に関する。
【0055】
複数の薬剤(例えば医薬、ホルモン等)及びある特定の単一の薬剤による療法の不利な点は、患者又は医師が正しくない薬剤を誤って装填、移動、及び/又は投与するかもしれないということである。例えば、ユーザは、異なる薬剤を誤って与えているときでも、自分が特定の薬剤を与えている、と誤って信じ得る。患者への正しくない薬剤の過失による投与は、重大な、場合によっては致命的な結果を招き得る。例えば、糖尿病患者において血糖を調節する標準治療であるインスリン療法は、インスリンポンプによるインスリンの皮下注入を含み得る。もし投与されるインスリンの量が過剰であるなら、低血糖症又は低血糖症を妨げる状況につながる。そのような不都合な状況を抑制及び/又は反転させるために、患者は典型的には更なる炭水化物(甘いジュース又はブドウ糖錠)を摂取する。いくつかの状況においては、患者は、代替として及び/又は付加的に、グルカゴンのような対抗制御的薬剤(counter-regulatory agent)のいわゆる「救援投与(rescue dose)」を行う。対抗制御的薬剤は、過剰な薬物投与(例えば過剰なインスリン)の効果の抑制に努め、過剰投与に関係する悪影響を緩和又は実質的に防止する。グルカゴンは、応急キットから溶液に還元され、手動で筋肉内に投与され得る。もし患者が、グルカゴンの救援投与ではなく更なるインスリンを与えられると、その結果は破局的なものになり得、場合によっては死に至り得る。同様に、糖尿病の発症時に、もし、患者がインスリンを要求しているのにその代わりにグルカゴンが誤って与えられると、その投与は症状を悪化させ得るし、ひどい効果及び場合によっては死に至り得る。
【0056】
上述のように、1つの薬剤が1つの効果を得るために使用され、他の薬剤が異なる及び/又は反対の効果(例えば、インスリンとグルカゴンとの場合)を得るために使用される場合には、薬剤投与の際に正しく流路形成することが重要である。多薬剤自動化システムにおいては、もし薬剤が正しくないタンク又はポンプの正しくないチャンバに誤って装填されると、自動化システムは効果のない(かつ、場合によっては有害な)薬剤を患者に送出し得る。自動化システムにおいて正しくない薬剤を投与することは、クロスチャネリング(cross-channeling)と呼ばれる。間違った薬剤は、意図された効果の反対の効果、又は予期しない副作用をもたらし得るので、クロスチャネリングは危険である。この不適切な流路形成は、患者の症状を緩和しないのみではなく、患者の症状を悪化させ、又は患者に新たな問題状態を引き起こし得る。例えば、この不適切な流路形成は、負帰還ループを生じさせ得る。このループにおいて、制御システムは患者の病状を調節しようとするが、正しくない薬剤の送出が病状を悪化させ又は病状に効果をもたらさない。これを検出して、制御システムは患者の状態を制御しようとして間違った薬剤の更なる投与を引き起こし得るが、実際には患者の状態を更に悪化させる(又は、正しくない薬剤の過剰投与を引き起こす)。
【0057】
糖尿病薬が上述及び本明細書中の他の場所において例として使用されるが、正しくない流路形成(channeling)は、薬剤が患者に必要な時に投与されない、又は正しくない薬剤が危険なレベルで投与されるので、多くの多薬剤療法において(例えば膵臓の酵素を調節する薬等において)有害な結果を生じ得る。よって、本明細書において提供される実施形態及び検討は、いかなる薬のそれぞれにも、及び/又はいかなる薬の組合せにも適用され得る。更に、クロスチャネリングは、2つの薬剤が配送システムの正しくない薬室に入れられたシステムを指すが、本明細書で使用されるクロスチャネリングは、2つより多くの薬剤が使用される、及び/又は単一の薬剤が使用される(例えば、単一の薬剤が配送システムにおいて誤って配置されるとき)システムをも指し得る。
【0058】
本明細書で説明されるのは、多数の薬剤(又は単一薬剤)、並びに、患者への各薬剤の正しい流路形成を提供するのを確実にする、確実にする助けとなる、及び/又は実質的に支援するさまざまなコネクタ、チューブ及びカートリッジのための注入システムである。注入システム及び構成要素の特定の実施形態が、1つ以上の期待された改良を成し遂げるために採用され得るさまざまな例を説明するために、以下で説明されるが、これらの例は説明に役立つものに過ぎず、提示される発明の全体、並びにこれらの発明のさまざまな局面及び特徴を限定することは決して意図されない。本明細書で使用される語法及び用語は、説明のためのものであり、限定をするものとして見なされるべきではない。本明細書で開示される特徴、構成又はステップは、不可欠なものでも必須のものでもない。
【0059】
本明細書で説明される注入システム及び構成要素のある実施形態は、薬剤のクロスチャネリングを最小化し、減少させ、及び/又は回避するのを助けるように構成される。言い換えると、多数の薬剤が本明細書で開示される注入システムによって供給される場合に、本明細書で開示される特徴及び/又は構成要素は、ユーザが薬剤を正しくないタンクに不注意により入れる機会の発生を防ぎ、最小化し、又はそのような機会を抑制するように構成される。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される注入システム及び構成要素は、このシステムにおいて単一の薬剤が使用されるときに実現され得る。更に、本明細書で説明される方策は、単一の薬剤を有するシステムにも適用可能である。言い換えると、いくつかの実施形態において、本明細書の他の所で述べられているように、「クロスチャネリング」を防止するシステムへの言及は、単一の薬剤を使用するシステムをも含み得る。いくつかの実施形態において、例えば、本明細書において開示される注入システムは、本明細書において開示される方策及び/又は設計特徴を使用して、確実に、その単一の適切な薬剤のみが使用され得て、かつ不適切及び/又は正しくない薬剤が使用され得ないようにする単一薬剤の注入システムを提供する。よって、いくつかの実施形態において、クロスチャネリングを回避する本明細書において開示されるシステムは、単一の薬剤の正しい配置(及び/又は流路形成)を確実にする単一薬剤システムを含むことが意図される。
【0060】
本明細書において説明されるいくつかの実施形態は、クロスチャネリングなしに多数の薬剤(又は単一の薬剤)を投薬するための注入システムに関する。いくつかの実施形態においては、設計特徴を与えることによって、及び/又はコネクタ若しくはアダプタを注入システムの特定の構成要素において噛み合わせることによって、クロスチャネリングが回避される。例えば、いくつかの実施形態において、注入システムは、1つ、2つ、又はそれ以上の数の注入チャンバ(又はポンプチャンバ)及びドライブシャフトを有する注入ポンプを備える。いくつかの実施形態において、システムは、別々の薬剤で満たされたカートリッジ、並びに、薬剤の誤った流路形成及びクロスチャネリングを防ぐようにカートリッジを注入ポンプに接続するコネクタ及びチューブを備える。ある変形例では、各タイプの薬剤用の各タイプのカートリッジは、1つ以上の一意の区別がつく特徴(カートリッジの不可欠な部分として、又はカートリッジに取り付け又は貼付された構成要素として)、例えば、ポンプハウジング内の対応する特徴に係合する一意の区別がつく特徴をそれ自身が有するタイプのコネクタと一意に結合することを可能にし、正しいカートリッジを注入ポンプ内の正しい注入チャンバ、ドライブシャフト、又はポンプチャンバに挿入することを可能にする幾何学的又は形に基づく特徴、を有する。
【0061】
ある変形例において、システムは注入セットを備える。いくつかの実施形態において、注入セットは、システムから患者への薬剤の送出を可能にする1つ以上の器具(例えば送出部材、針等)を有するハウジングを有するベースを備える。いくつかの変形例において、ハウジングは、1つ以上の薬剤タンクから(例えば導管等を経由して)薬剤を受け取るように構成された1つ以上の配送コネクタを備える配送セットに接続される。システムのいくつかの実施形態において、1つ以上の流体管が、タンクと配送コネクタセットとの間の流体の連絡をもたらす。さまざまな実装において、コネクタセットは、流体管を薬剤タンクに結合する1つ以上のカートリッジコネクタを備える。システムのいくつかの変形例において、タンクは、薬剤をタンクから導管に配送するように構成されたポンプ装置内に位置し(及び/又は配置され得)、それによってシステムに薬剤を供給する。いくつかの実施形態において、流体管は、ベース内の指定された送出部材(例えば針、カニューレ等)で終端する独立した通路をもたらし、それによって薬剤の独立した送出(例えば皮下又はその他の)を別々に可能にする。
【0062】
いくつかの実施形態において、一意に噛み合うコネクタ及び設計要素は、システムの各部分がシステム内において一意のやり方又は構成でのみ接続され得るようにすることを確実にし、したがってクロスチャネリングを防止する。ある実施形態において、設計特徴は以下の有利な点をもたらす。すなわち、(1)注入システムは、ユーザが、注入ポート又はサイトからと同様に両薬剤源から流路(channel)を独立して容易に接続及び切り離しすることを可能にする。(2)注入システムは、誤ったチューブを誤った薬剤源又は注入サイトに偶然接続することによって、間違って流路形成する可能性を低減する(例えば、1つの薬剤システムの1つのチューブと1つのタンクとの間に配置されたコネクタを、他のチューブとタンクとのコネクタとは異なるものにすることによって)。(3)注入システムは、デュアルカニューレの注入サイト又はポートへの単一又は多数のステップの挿入を考慮に入れる。いくつかの実施形態において、本明細書で説明される構成要素(コネクタ、ベース、ポート、流路等)は、本明細書において開示されるさまざまな対になった物理的特徴に加えて又はそれらの代わりに、視覚的又は点字のコールアウトを更に含み得る。例えば、いくつかの実装において、構成要素は正しい薬剤を示す文言を有するコールアウトを含み得る。いくつかの変形例において、適切な構成要素のための適切な薬剤に関して視覚的なフィードバックを提供するために、別々の色(赤、青、黄、緑、橙、青紫等)又は長さ(又は他の変数)が用いられる。
【0063】
上述のように、いくつかの実施形態において、注入システムは、さまざまな液体キャリア(及び/又は液状の薬)に溶解したさまざまな薬剤(例えば、薬、ホルモン、タンパク質、薬物、生物製剤等)のための分離した流体経路を提供するために使用され得る。ある実施形態においては、特定のキャリア内の薬剤の溶解度、安定性、又は感受性に基づいて、別々の液状の媒体が好まれ得る。いくつかの実施形態において、水溶液(緩衝液等)が薬剤の送出媒体として使用される。ある変形例において、DMSOのような溶媒が薬剤を溶かすために使用される。いくつかの実施形態において、溶媒/水の混合物が使用される。
【0064】
本明細書において開示されるいくつかの実施形態は、薬剤の誤った流路形成及び/又は薬剤の不注意による投与を防止するための注入システムに関する。いくつかの実施形態において、注入システムは、多数の薬剤又は単一の薬剤のために使用され得る。いくつかの実施形態において、注入システムは、さまざまな針のための場所、コネクタ、チューブ、及び/又はカートリッジを備える。いくつかの実施形態において、注入システム及び/又はその構成要素は、患者への各薬剤の正しい流路形成を確実にする。いくつかの実施形態において、注入システムは注入ポンプを備える。いくつかの実施形態において、注入ポンプは、1つ又は2つ以上のポンプチャンバを備える。いくつかの実施形態において、注入ポンプは、ポンプカートリッジとともに使用されるように構成される。いくつかの実施形態において、カートリッジは治療の時点で別々の薬剤で満たされ得る(又は、例えば製薬会社で別々の薬剤で予め満たされる)。
【0065】
いくつかの実施形態において、薬剤注入システムは注入口システムを備える。いくつかの実施形態において、注入口システムはコネクタセットを備える。いくつかの実施形態において、コネクタセットは、薬剤の誤った流路形成を防止するように構成されている(例えば対を形成する特徴を有する)。図1A~1Bは、誤った流路形成を防ぐように構成された第1注入口コネクタ2010(針コネクタ)と、第2注入口コネクタ2110(第2針コネクタ)とを備えるコネクタセット2000の等角投影図を示す。図1A~1Bは、異なる針コネクタ2010,2110(例えば注入口コネクタ)が180度(図1A)及び120度(図1B)離れた一意の区別がつくガイド素子2018,2118(例えばタブ、特徴、又は突起)を有する2つの実施形態を示す。いくつかの実施形態において、隣り合ったガイド素子は、約180度、約160度、約140度、約120度、約100度、約90度、約80度、約70度、約60度、約50度、約40度、約30度、約20度、約10度、上述の値の間の値又はそうでない値、のうちから独立して選択された値以上離れている。
【0066】
いくつかの実施形態において、これらの一意の区別がつくガイド素子2018,2118(例えば、タブ、特徴、又は突起)は、注入口コネクタ2010の誤ったポンプレセプタクル670(例えばチャンバ)への挿入が防止されるように、ポンプ651(図3A~3Bに示されているような)のポンプハウジング680にある対応するガイド素子開口681,682(例えば、キャビティ、溝、キー溝、又はスロット)と一意に噛み合う。針コネクタアセンブリの断面図である図1Cに示されているように、いくつかの実施形態において、注入口コネクタ2210は一意の区別がつくタブ、特徴、又は突起を有しない。
【0067】
いくつかの実施形態において、図1A~1Bに示されているように、注入口コネクタ2010,2110は注入口コネクタスペーサ2036,2136(例えば逃がしスリット(relief slit))を有し得る。いくつかの実施形態において、コネクタスペーサは注入口コネクタが広がる(例えば、バイアル又はバイアルキャップ、例えばアルミニウムクリンプ、のまわりでバイアルを覆ってしっかりパチンとはまる)及び/又は縮まる(例えばポンプレセプタクルにパチンとはまる)ことを可能にする。いくつかの実施形態において、注入口コネクタ2010,2110は、薬剤カートリッジ(図2A~2Cに示されている)との相互作用を容易にするために突出部の相手方(projection mate)2066,2166(例えばキャプチャ-ロッキング特徴)を備える。いくつかの実施形態において、キャプチャ-ロッキング特徴は、例えばアルミニウムクリンプシールの底面に係合すること、並びに同時に針コネクタをカートリッジ(例えばバイアル)のヘッド(又は冠部)のまわりでアルミニウムクリンプシールに噛み合わせ及びしっかりと固定することによって、パチンとはまる。いくつかの実施形態において、いったん固定されると、カートリッジと針コネクタとのサブアセンブリは、次にポンプハウジングに挿入され固定され得る。
【0068】
いくつかの変形例において、複数の逃がしスリットが存在し、逃がしスリットは、いくつかの突出部がより近く、いくつかの突出部がより離れるように、鍔部(collar)に関して不均一に間隔をおいて配置され得る。いくつかの実施形態において、隣接する逃がしスリットは、約180度、約160度、約140度、約120度、約100度、約90度、約80度、約70度、約60度、約50度、約40度、約30度、約20度、約10度、上述の値の間の値又はそうでない値、のうちから独立して選択された値以上離れている。いくつかの実施形態において、この注入口コネクタスペーサは、注入口コネクタが、ポンプハウジングに挿入されるときに圧縮され、又は鍔部/タンクアセンブリ上を滑るときに広がることを可能にする。これは、噛み合う特徴を構成する、ポンプハウジングへの、又は鍔部/タンクアセンブリとのパチンとする締まり嵌め(snap tight fitting)を可能にする。例えば、いくつかの実施形態において、いったんハウジングに完全に挿入されると、注入口コネクタスペーサは、再び広がることができ、注入口コネクタの幾何学的特徴がポンプハウジングの噛み合う開口又は特徴と相互作用することを可能にする。本明細書において記載される他のものの中で、この特徴は、ほとんど及び/又は実質的にほとんど動くことなく、ポンプハウジング内で、タンクが適切な位置に保たれることを可能にし得る。いくつかの実施形態において、逃がしスリットは、注入口コネクタがカートリッジのヘッド(又は冠部)に押しつけられることを可能にする。いくつかの実施形態において、ロッキング機構は、注入口コネクタを、カートリッジのヘッド(又は冠部)の下側と係合するときにパチンとはめる。
【0069】
いくつかの実施形態において、図1~4のように、針コネクタは、いかなる数の一意の区別がつくタブ、特徴、突起、及び/又はこれらの組み合わせをも有し、それらは、針コネクタ上の一意の区別がつくタブ、特徴、又は突起と対をなす対応するキャビティ、溝、キー溝、又はスロットを含むポンプハウジングのポンプチャンバへの挿入を可能にする。このように、ただ1つのタイプの針コネクタが、1つの特定のポンプチャンバへ一意に挿入され得る。代替として、針コネクタは、ポンプハウジングのポンプチャンバ内のタブ、特徴、又は突起に一意に噛み合ういかなる数のキャビティ、溝、キー溝、又はスロット(図示せず)をも含み得る。
【0070】
いくつかの実施形態において、図1A~1Cに示されているように、チューブ301は、個々の注入口コネクタ2010,2110,2210(例えば針コネクタ)に別々に固定される(例えば、オーバーモールド、接合、圧入、接着剤による接着、溶剤接着、インサート成形、又は他の取り付けがされる)。いくつかの実施形態において、チューブ301(例えば、流路、又は他の流体導管)は、分離した穴あけ要素316,326,336(例えば、まっすぐな、傾斜のついた、中空の、及び/又はステンレス鋼の針又はカテーテル等)に、薬剤バイアルから、穴あけ要素316,326,336、注入口コネクタ2010,2110,2210、及び/又はチューブ301を通って注入セットまで、閉鎖型の、独立した、解放された、かつ連続的な流体路を可能にするように、接続する。いくつかの実施形態において、穴あけ要素316,326,336は、タッチプルーフ(touch-proof)(例えば、注入口コネクタを手で扱うときに、穴あけ要素がユーザを刺すことを防止する)となるように、注入口コネクタ2010,2110,2210内で引っ込んだところに置かれ得る。いくつかの実施形態において、図1A~1Cに示されているように、注入口システムは注入口コネクタカバー2030,2130,2230を備える。いくつかの実施形態において、注入口コネクタカバー2030,2130,2230は、対形成突出部(pairing projection)2012,2112,2212によって注入口コネクタ2010,2110,2210に係合する。いくつかの実施形態において、対形成突出部は、1つ以上の特徴(例えばタブ、スリット、突出部等)を備え、及び/又は、カバーが対になっている注入口コネクタ(図示せず)のみと係合することを可能にするような大きさになっている。いくつかの実施形態において、図1A~1Cに示されているように、注入口コネクタカバー2030,2130,2230(例えばキャップ)は、それらがポンプレセプタクルへ固定されることを可能にする締め付け特徴2031,2131,2231(例えば、ネジ山、摩擦組み付け等)を備え得る。いくつかの実施形態において、コネクタキャップ/カバー2030,2130,2230は、チューブ301のまわりを自由に回転可能である。いくつかの実施形態において、図3A及び3Bのように、チューブは、キャップが自由に、チューブを滑って上下し、ポンプハウジング内に通り抜けるように、ネジが切られた同軸キャップを通り抜ける。いくつかの実施形態において、キャップ2030,2130,2230は、チューブ301を滑って上下することができ、カートリッジ(例えば、バイアル、薬剤タンク)と針コネクタ(例えば注入口コネクタ)とのサブアセンブリをポンプハウジング(図3A及び3Bに示されている)に固定するために使用され得る。いくつかの実施形態において、カバーは対形成突出部に係合する(特徴によって、又は摩擦によって)。いくつかの実施形態において、カバーは、係合しているが、それでも注入口コネクタに関して自由に回転可能である。例えば、対形成突出部は円周方向のトラックを備え得るし、カバーは管にはまる円周方向の突起を備え得る。いくつかの実施形態において、トラックは、カバーを対形成突出部に保持するが、自由な動きを可能にする(例えば、カバーがポンプレセプタクルにねじ込まれるのを可能にする)。
【0071】
いくつかの実施形態において、図1A~5Cに示されているもののような注入口コネクタは、側面に逃がしスリットを有し、それによって注入口コネクタが、薬剤が満たされたカートリッジのヘッド(又は冠部)のまわりのアルミニウムクリンプシール、及びキャプチャ-ロッキング特徴に押しつけられるときに、わずかに広がることが可能になり、キャプチャ-ロッキング特徴は、アルミニウムクリンプシールの底面に係合すること、並びに同時に針コネクタをカートリッジのヘッド(又は冠部)のまわりのアルミニウムクリンプシールに噛み合わせ及びしっかりと固定することによって、パチンとはまる。いくつかの実施形態において、いったん固定されると、カートリッジと針コネクタとのサブアセンブリは、ポンプハウジング680に挿入され固定され得る(図3A~3Bのように)。
【0072】
いくつかの実施形態において、図1A~1Bに示されているように、注入口コネクタシステム2001,2002は、注入口コネクタカバー2030,2130又は他の注入口コネクタシステム特徴のまわりに(例えば周辺部、外周部のまわりに)位置するガスケット特徴2038,2138(例えばOリング又は圧縮性特徴)を備え得る。いくつかの実施形態において、レセプタクル660,670を経由してポンプ651に挿入され、そこに締め付け特徴2131,2231を使用して締め付けられるときに、薬剤バイアルがほとんど又は全く動かないように、コネクタキャップ2030,2130がポンプ651にしっかりと固定されることが、Oリングによって可能になる。薬剤レセプタクルはポンプハウジングの残りのものから隔離され得るが、Oリングも、結果として起きるポンプの損傷が最小化されるように、薬剤レセプタクルへの流体の侵入を減少(例えば最小化、低下等)させる。
【0073】
図2A~2Cは、さまざまな構成要素、並びに(A)カートリッジ及び針コネクタのアセンブリにおいて使用され得る個々の構成要素、(B)そのような実施形態において使用されるサブアセンブリ、及び(C)十分に接続されたカートリッジ及び針コネクタのアセンブリの等角投影図を示す。カートリッジサブアセンブリを形成するために、シール536(例えば、アルミニウムクリンプシール等)が、カートリッジ隔壁534及びカートリッジ本体531のヘッド532(又は冠部)を包む。いくつかの実施形態において、シール536及び隔壁534は、薬剤タンク530の一方の端部に無菌バリアおよび流体シールを作るために使用され得る。
【0074】
いくつかの実施形態において、エラストマープランジャ550は、カートリッジ530の他方の端部に無菌バリア及び流体シールを作る。いくつかの実施形態において、エラストマープランジャ550は、インサート560(例えば磁気インサート)を捕捉する(例えば、ネジ山、摩擦等によって)レセプタクル552’を有する。いくつかの実施形態において、図示の通り、インサート560(例えば鉄のインサート)は、プランジャ550上の対になるネジ山に対応し係合するようにネジ山が切られている。いくつかの実施形態において、インサート560は、ピストンがエラストマープランジャ550から不注意により離れることによって引き起こされる偶発的な薬剤送出を防止するために、結合されたピストン(例えば磁気的に結合された)とともに使用され得る。いくつかの実施形態において、磁気材料(例えば、鉄を含む材料及び/又は金属削りくず、金属ビーズ、金属粉等)を備え得るこの鉄製インサートは、重力により誘起された患者と注入システムとの間の静水圧の変化、又は患者と注入システムとの間に生じ得る静水圧の任意の他の変化に起因する意図的でない薬剤送出である場合において、ドライブナットからのエラストマープランジャの不注意による離脱又は離昇(lift-off)を防止するように、ポンプチャンバ内のドライブナットの端部にある磁石とエラストマープランジャとの間の磁気結合を促進し得る。いくつかの実施形態において、鉄インサートは、滑り嵌めまたはスナップ嵌めによってエラストマープランジャに接続され得る。いくつかの実施形態において、鉄を含む材料は、削りくず、ビーズ、粉等の形態の鉄を備え、及び/又はそのような形態の鉄である。
【0075】
いくつかの実施形態において、注入口コネクタ2110(すなわち、針コネクタ)は、その逃がしスリット2136のため、クリンプシール536が取り付けられたカートリッジのヘッド532(又は冠部)の周りで広がることができ、アルミニウムクリンプシール536の底面に係合しかつ同時に注入口コネクタ2010をアルミニウムクリンプシール536と噛み合わせて確実に固定することにより、そのキャプチャ-ロッキング特徴/突出部の相手方2066がパチンとはまるようにする。カートリッジ及び針コネクタのサブアセンブリは、ポンプハウジング内に挿入されることが可能であり、図2Cに示された、チューブ301に沿って自由に摺動できるネジが切られた同軸キャップ2030が、サブアセンブリをポンプハウジングに固定するために使用され、Oリング2038がポンプチャンバを外部流体から保護する(図3A~3Bに示される)。
【0076】
上述のように、図3A~3Bは、薬剤カートリッジ及び針コネクタのアセンブリ(図1A~2Cに示される)と一緒に使用され得る1つのタイプのポンプハウジング680の図であって、ポンプハウジング680内に部分的に載荷され、ネジが切られた同軸キャップ2030,2130がポンプハウジング580に完全に螺合された状態でポンプハウジング580内に完全に載荷されたタンク及び注入口コネクタのサブアセンブリ(図3Aにおける)を示す。いくつかの実施形態において、ポンプ651は、例えば、血糖値、薬剤の残量、バッテリー寿命等に関してデジタルフィードバックをユーザに提供し得るディスプレイ652を有する。
【0077】
いくつかの実施形態において、完全に組み立てられたカートリッジアセンブリ、針コネクタ、及びチューブシステム(まっすぐな、傾斜のついた、中空の、及び/又はステンレス鋼の針、キャプチャ-ロッキング特徴で針コネクタに固定されたカートリッジ、チューブ、及びネジが切られた同軸キャップを備える)は、針コネクタ上の一意の区別がつくタブ、特徴、又は突起に適合する対応するキャビティ、溝、キー溝、又はスロットを含むポンプハウジングのポンプチャンバ内に挿入される(図3A~3Bに示されているように)。いくつかの実施形態において、その後、ネジが切られた同軸キャップは、図3A及び3Bに示されているように、ポンプハウジングのネジ山に螺合される。
【0078】
いくつかの実施形態において、タンクはステッカー、彫刻、又は読み取り可能なコード(例えば、クイックレスポンスコード、マトリックス型バーコード、在庫商品識別番号(sku)、バーコード、画像、他のコンピュータ読み取り可能なコード等)を備え得る。いくつかの実施形態において、ポンプ651は、タンクがポンプチャンバ(例えばポンプレセプタクル660,670)に挿入されるときに読み取り可能なコードを読み取る読み取り装置(例えば、光学式読み取り装置、スキャナ等、図示せず)を備える。いくつかの実施形態において、コードがポンプの特定のチャンバ又は設定に対して正しくないと認識される場合、ポンプは作動せず、又は動作を停止する(例えば、誤ったコードが存在するなら)。他の実施形態おいて、コードが現在のポンプのパラメータ(例えば、単位時間当たりの注入量等)に対して正しくないと認識される場合、ポンプは、挿入された実際の薬剤(例えばカートリッジ)に適応するためにポンプパラメータを変更するように自動的に再構成するように構成される。いくつかの実施形態において、ポンプは、正しくない薬剤が挿入されたとユーザに警告する表示(indication)(例えば、音響、視覚、触覚、振動等に基づく)を提供する。いくつかの実施形態において、次にユーザは、新たな薬剤を受け入れるためのポンプの新たな設定を選択するように促され、及び/又はそのような選択が可能である(例えば、ポンプの液晶ディスプレイ上のドロップダウン表示等から)。いくつかの実施形態において、ソフトウェア及び/又はコンピュータアプリケーションは、挿入された薬剤に適応するためのポンプパラメータを調整する。説明のためであるが、いくつかの実施形態において、ポンプはU100インスリンを注入するように構成されているが、U200のカートリッジが挿入されたことを読み取った場合、ポンプは、U200インスリンのそのタンクからの適切な送出に適応するために送出パラメータを変更し得る。他の説明として、いくつかの実施形態において、ポンプは急速作用インスリンを注入するように構成されているが、超急速作用インスリンのカートリッジが挿入されたことを読み取った場合、ポンプは、超急速作用インスリンのそのタンクからの適切な送出に適応するために送出パラメータを変更し得る。
【0079】
図4A~4Bは、2つのカートリッジ及び針コネクタセンブリを備える実施形態を示す等角投影図を提供する。いくつかの実施形態において、図4A~4Bに示すように、第1薬剤タンク530は、第2薬剤タンク570の外径(OD”)及び内径(ID”)よりそれぞれ大きい外径(OD’)及び内径(ID’)を有する。いくつかの実施形態において、注入口コネクタ2310はスカート特徴を有する。直径が小さい方のカートリッジ570と一緒に使用されるとき、注入口コネクタ2310は、カートリッジの肩を越えて延在しかつ直径が小さい方のカートリッジの壁/本体571を密接に抱え込むスカート特徴2320を有する。いくつかの実施形態において、そのようなスカート特徴2320を備える注入口コネクタ2310を、意図したカートリッジのものより大きな外径のカートリッジに誤って接続しようとすることは、次のようにスカート特徴2320によって止められる。つまり、注入口コネクタ2310のキャプチャ-ロッキング特徴(例えば、突出部の相手方2366)が適所にスナップ嵌めできないか、又は第1薬剤タンク530(図2A~2Bに示される)のアルミニウムクリンプシール536の底面に係合できず、注入口コネクタ2310のまっすぐな、傾斜のついた、中空のステンレス鋼の針(図示せず)が、より大きな直径のカートリッジ530のカートリッジ隔壁534(図2Aに示す)を突き刺さないようにする。このようにして、意図したカートリッジよりも大きな直径のカートリッジへの針コネクタ2310の誤接続が防止される(図示せず)。更に、ポンプハウジングは、より大きな直径のカートリッジ530が、より小さな直径のカートリッジ用のポンプチャンバ/レセプタクルにはまることができないように設計され得る。いくつかの実施形態において、より大きな直径のカートリッジ用のポンプチャンバの内側にある主ネジ上のドライブナットは、内径ID”がドライブナットよりも小さいためより小さい直径のカートリッジ570の内腔にはまらない(図示せず)。このようにして、カートリッジが間違ったポンプチャンバに装填されたときの流体の送出が防止される。
【0080】
2つの薬剤を伴ういくつかの実施形態において、一方の薬剤(薬剤A)を入れているカートリッジ(カートリッジA)は、他方の薬剤(薬剤B)を入れている他方のカートリッジ(カートリッジB)の対応する直径よりも大きい内径及び外径を有しており(図4A~4Bに示すように)、薬剤Aを入れているカートリッジAが、薬剤Bを入れているカートリッジBを用のポンプチャンバにはまらず、薬剤A用のポンプチャンバ内の主ネジ2701(図6F~6Gに示すように)の端部にあるドライブナットが、薬剤Bを入れているカートリッジBにはまるには大き過ぎるようなものである。
【0081】
2つの薬剤を伴ういくつかの実施形態において、カートリッジB用の針コネクタは、カートリッジB用の針コネクタが誤ってカートリッジAに配置されても、カートリッジB用の針コネクタがカートリッジAを突き刺す及び/又は捕捉するのを防止するスカート特徴2320を有する(図4Bに示すように)。
【0082】
2つの薬剤を伴ういくつかの実施形態において、一方のカートリッジの冠部の周りのアルミニウムクリンプシールの直径は、他方のカートリッジのものと同一であるが、カートリッジBの冠部の周りのアルミニウムクリンプシールの高さは、カートリッジAのものよりも高く、カートリッジA用の針コネクタが誤ってカートリッジBに配置されても、カートリッジA用の針コネクタ2310内のキャプチャ-ロッキング特徴2366が係合されないようにする(図示せず)。
【0083】
いくつかの実施形態において、図1A~4Bに示すように、針コネクタ2010、2110、2210、2310は、実施形態に示すように、任意の数の一意の区別がつくタブ、特徴、又は突起を有し、これらは、針コネクタ上の一意の区別がつくタブ、特徴、又は突起と適合するための対応するキャビティ、溝、キー溝、又はスロットを含むポンプハウジングのポンプチャンバ内への挿入を可能にする。このようにして、1つのタイプの針コネクタのみが1つの特定のポンプチャンバ内に一意に挿入され得る。代替として、針コネクタは、ポンプハウジングのポンプチャンバ内のタブ、特徴、又は突起と一意に噛み合う任意の数のキャビティ、溝、キー溝、又はスロット(図示せず)を含み得る。
【0084】
本開示全体において、装置の構成要素(例えば、注入口コネクタ、注入口コネクタカバー等)の別個の実施形態の同様の特徴は、100の倍数だけ参照番号がオフセットしているが参照番号の10の位が同じである1つ以上の一致する特徴を備え得る。例えば、他のコネクタ2130の同様の特徴と一致する注入口コネクタ2030の特徴は、それぞれ100だけオフセットする(例えば、特徴2012は2112に対応する等)。
【0085】
いくつかの実施形態において(図1A~4Bに示すように)、まっすぐな、傾斜のついた、中空のステンレス鋼の針、針コネクタ、及びチューブを通る、閉鎖型の、独立した、解放された、及び連続的な流路を可能にするようなやり方で、まっすぐな、傾斜のついた、中空のステンレス鋼の針が針コネクタ2010、2110、2210、2310の内側にオーバーモールド、結合、圧入、接着、溶媒接着、インサート成形、又は他の方法で取り付けられ、チューブ301は、針コネクタ2010、2110、2210、2310及びまっすぐな、傾斜のついた、中空のステンレス鋼の針に、オーバーモールド、結合、圧入、接着、溶媒接着、インサート成形、又は他の方法で取り付けられる。いくつかの実施形態において、まっすぐな、傾斜のついた、中空のステンレス鋼の針は、タッチプルーフとなるように、針コネクタ2010、2110、2210、2310内の奥まった箇所に置かれる。
【0086】
いくつかの実施形態において、チューブ301は、ネジが切られた同軸キャップ2030、2130、2230、2330を通過し、ネジが切られた同軸キャップを上下に自由に摺動でき、かつポンプハウジングに螺合される。
【0087】
いくつかの実施形態において、カートリッジ、針コネクタ、及びチューブシステム(2A~4Bに示すように、まっすぐな、傾斜のついた、中空のステンレス鋼の針、キャプチャ-ロッキング特徴で針コネクタに締結されたカートリッジ、チューブ、及びネジが切られた同軸キャップからなる)を含む、完全に組み立てられたカートリッジアセンブリは、針コネクタ上の一意の区別がつくタブ、特徴、又は突起に適合するための対応するキャビティ、溝、キー溝、又はスロットを含むポンプハウジングのポンプチャンバ内に挿入される。その後、図3A~3Bに示すように、ネジが切られた同軸キャップは、ポンプハウジングのネジ山に螺合される。
【0088】
いくつかの実施形態において、図5A~5Bに示すように、薬剤タンク充填システム及びこれを使用する方法が提供される。図5Aは、ケアする時点で薬剤カートリッジを充填するために使用されるカートリッジ充填装置サブアセンブリの回転された等角投影図を示す。図5Bは、充填装置が接続された後の充填可能なカートリッジアセンブリを示す。図5Cは、充填装置が除去された後の充填可能なカートリッジを示す。いくつかの実施形態において、図示の通り、充填可能なカートリッジ本体530は、カートリッジ隔壁534(図2Aに示す)、アルミニウムクリンプシール536及びエラストマープランジャ550が供給され、かつ予め組み立てられており、鉄インサート552用のエラストマープランジャのネジが切られたレセプタクルが露出している。いくつかの実施形態において、単一の針595(2つの傾斜付き先端を備えるか、又は単一の傾斜付き先端をそれぞれ備える2本の針を備える)を含む針移送ハブ596がその針ガード594に取り付けられ、かつ充填可能なカートリッジ530と一緒に提供される。いくつかの実施形態において、プッシュロッド590が破壊可能な継手又はネジ山によってネジ付き鉄インサート561に取り付けられ、かつ充填可能なカートリッジ530と一緒に提供される。いくつかの実施形態において、ケアする時点で(又は充填が適切である場所で)、プッシュロッド590が使用され、ネジ付き鉄インサート561を、エラストマープランジャ550内に存在する鉄インサート552用のネジ付きレセプタクルに螺合する(取り付け特徴561’により)。いくつかの実施形態において、その後、針移送ハブ596がカートリッジ530に接続され、針移送ハブ596内のタッチプルーフ針又は針先端(図示せず)がカートリッジ隔壁(図2Aに示す)を穿刺し、その後、針ガード594は、バイアルの隔壁を穿刺するように設計された針又は針先端595の姿を現させるために取り外される。その後、バイアルの隔壁を穿刺するように設計された針又は針先端は、薬剤バイアル(図示せず)内に挿入され、及びプッシュロッド590がカートリッジ本体530に薬剤を充填するために使用される(例えば、針595をバルク薬剤に挿入し、及びプランジャ550を薬剤タンク530内で押し下げ、かつそこから戻すようにすることにより)。カートリッジ530の充填後、針移送ハブ596及びプッシュロッド590は取り外され、プッシュロッドのためのネジ付きレセプタクル又は破壊可能な継手の残部が姿を現すようにし、及びそのネジ-ロックかえし561のため、ネジ付き鉄インサート561をエラストマープランジャ550内に埋め込まれたままにする。ケアする時点で充填されるそのようなカートリッジは、次に、針コネクタセンブリ(図2A~2Cのような)に取り付けられ、かつポンプハウジング(図3A~Bのような)に装填され得る。
【0089】
バイアルからカートリッジへ薬剤を移送するために針移送ハブを利用するいくつかの実施形態において、図5のように、まっすぐな、傾斜のついた、中空のステンレス鋼の針は、針移送ハブにオーバーモールド、結合、圧入、接着、溶媒接着、インサート成形、又は他の方法で取り付けられて、まっすぐな、傾斜のついた、中空のステンレス鋼の針を通る、閉鎖型の、独立した、解放された、及び連続的な流路を可能にする。
いくつかの実施形態において、まっすぐな、傾斜のついた、中空のステンレス鋼の針は、両方の先端において傾斜付きにされ、一方の先端は、カートリッジの隔壁を穿刺するように設計され、及び他方の先端は、バイアルの隔壁を穿刺するように設計される。いくつかの実施形態において、カートリッジの隔壁を穿刺するように設計される先端は、針移送ハブ内の奥まった箇所に置かれて、タッチプルーフとなるようにし、及びバイアルの隔壁を穿刺するように設計される先端は、ケアする時点でバイアルの隔壁を穿刺する前に取り外され得る針ガードによって隠されて保護され得る。
【0090】
バイアルからカートリッジへ薬剤を移送するために針移送ハブを利用するいくつかの実施形態において、2つの別個のまっすぐな、傾斜のついた、中空のステンレス鋼の針が針移送ハブにオーバーモールド、結合、圧入、接着、溶媒接着、インサート成形、又は他の方法で取り付けられて、まっすぐな、傾斜のついた、中空のステンレス鋼の針を通る、閉鎖型の、独立した、解放された、及び連続的な流路流路を可能にする。いくつかの実施形態において、まっすぐな、傾斜のついた、中空のステンレス鋼の針のそれぞれは、一方の先端のみが傾斜付きにされ、一つの針の傾斜付き先端は、カートリッジの隔壁を穿刺するように設計され、及び他の針の傾斜付き先端は、バイアルの隔壁を穿刺するように設計される。いくつかの実施形態において、カートリッジの隔壁を穿刺するように設計される先端は、針移送ハブ内の奥まった箇所に置かれて、タッチプルーフとなるようにし、バイアルの隔壁を穿刺するように設計される先端は、ケアする時点でバイアルの隔壁を穿刺する前に取り除かれるべき針ガードによって隠されて保護され得る。代替として、いくつかの実施形態において、バイアルの隔壁を穿刺するように設計される先端はまた、奥まった箇所に置かれ得て、タッチプルーフとなるようにでき、及び針ガードは供給されなくてもよい。
【0091】
2つの薬剤を伴ういくつかの実施形態において、カートリッジBが一方の薬剤で事前充填され、かつ、カートリッジAがケアする時点で異なる薬剤で充填される場合でも(図5A~5Cで説明する実施形態を使用して)、依然として薬剤の誤った流路形成が回避され得る。いくつかの実施形態において、ケアする時点で一方のカートリッジのみが一方の薬剤で充填される必要があり、かつ、他方のカートリッジに別の薬剤が事前充填されている限り、ここで説明する設計は、薬剤の誤った流路形成を防止し得る。2つの薬剤を伴ういくつかの実施形態において、カートリッジA及びカートリッジBは両方とも、薬剤A及び薬剤Bがそれぞれ事前充填されている。2つの薬剤を伴ういくつかの実施形態において、カートリッジAは、ケアする時点で薬剤Aで充填され、及びカートリッジBは、薬剤Bで事前充填されている。
【0092】
いくつかの実施形態において、カートリッジAはケアする時点で薬剤Aで充填され及びカートリッジBは薬剤Bを事前充填される構成(又はその逆も同様)のように、両方ともカートリッジAが薬剤Aを事前充填され及びカートリッジBが薬剤Bを事前充填される構成では、同じ2薬剤注入システムが同一の針の部位、コネクタ、チューブ、及びカートリッジを使用し得る。
【0093】
1つのカートリッジがケアする時点で充填される必要があるいくつかの実施形態において(図5A~5Cのような)、薬剤は、針移送ハブ及びプッシュロッドにより、薬剤を入れているバイアルからカートリッジ内へ移送され、このプッシュロッドは、破壊可能な継手又はネジ山により、カートリッジ内に存在するエラストマープランジャに接続されて、充填手順が完了すると、プッシュロッドが接続を切られて廃棄(又は再使用)され得るようにする。
【0094】
鉄インサートを含むカートリッジを伴ういくつかの実施形態において(図5A~5Cのような)、プッシュロッドは、破壊可能な継手又はネジ山により、鉄インサートに直接接続され得る。充填手順が完了すると、プッシュロッドは、接続を切られて廃棄(又は再使用)され得、鉄インサートをエラストマープランジャ内に埋め込まれたままにする。いくつかの実施形態において、鉄インサートとプッシュロッドとの間がネジ接続の場合、鉄インサート上のネジ山は、一方向性の凸凹面( b u r r e d s u r f a c e )(図6A~6Fにおけるような)を有し得、これは、エラストマープランジャに簡単に螺合できるようにするが、エラストマープランジャから外れることに抵抗する。プッシュロッド上のネジ山は滑らかであり、及びそのような一方向性の凸凹面(又は他の粘着摩擦又は摩擦要素)を含まないが、鉄インサートに簡単に螺合できかつそこから外れることができ、及び鉄インサートが完全にエラストマープランジャに螺合されると、鉄インサートは、エラストマープランジャから外れない。
【0095】
いくつかの実施形態において、ネジ付き鉄インサート561の正面図である図6Aに示すように、インサート561(例えば鉄インサート)は、ネジ-ロックかえし561’を有する。ネジ付き鉄製インサート561の等角投影図をプッシュロッド用のネジ付きレセプタクル561”とともに図6Bに示し、及び図6Cは、プッシュロッド用のネジ付きレセプタクルを備えていない実施形態560を示す。図6Dは、ネジ-ロックかえし563”を示す滑り嵌め金属製インサート563の正面図である。図6Eは、滑り嵌め金属製インサート563の等角投影図である。図6Eは、プッシュロッド用のネジ付きレセプタクル563を示す。図6Fは、プッシュロッド用のネジ付きレセプタクルを備えていない滑り嵌めインサート562の実施形態を示す。
いくつかの実施形態において、ポンプチャンバ内のドライブナットの端部にある磁石とエラストマープランジャとの間の磁気結合を容易にするために使用される鉄インサートは、ネジ山により(A、B、及びCに示すように)、又は滑り嵌め又はスナップ嵌めにより(D、E、及びFに示すように)エラストマープランジャに取り付けられ得る。エラストマープランジャへの取り付け方法に関わらず、鉄インサートは、プッシュロッド用のネジ付きレセプタクルを有し得る(B及びEに示すように)。いくつかの実施形態において、プッシュロッド用のネジ付きレセプタクルが存在する場合、プッシュロッドは、鉄インサートと一緒に予め組み立てられ得る。その後、このサブアセンブリは、ネジ山、滑り嵌め、又はスナップ嵌めのいずれかによってエラストマープランジャに取り付けられ得、及びプッシュロッドは空の薬剤カートリッジを充填するために使用され得る。薬剤カートリッジを充填すると、プッシュロッドは、鉄インサートから引き離され得る一方、鉄インサートをエラストマープランジャ内に埋め込まれたままにする(図5Cに示すように)。金属製インサートは、ネジ-ロックかえしを有して、プッシュロッドが取り除かれるときに金属製インサートが後退して出たり又はプッシュロッドによって回転したりすることを防止し得る。
【0096】
いくつかの実施形態において、本明細書の他の所で述べられているように、ドライブナット2700(ポンプのポンプチャンバ内に位置する)の端部における磁石(又は磁気部)とエラストマープランジャ550との間の磁気結合が発生して、ドライブナット2700からのエラストマープランジャ550の不注意による離脱(又は離昇)を防止する。この結合は、プランジャが動いて制御されていない及び/又は望まれていないやり方で薬剤を配送することを、有利なことに防止する。例えば、プランジャを有する薬剤バイアルは、プランジャとタンク壁との間の抵抗及び/又は摩擦をほとんど又は全く有しないように、典型的には設計されている。よって、プランジャは、それに与えられる非常に小さな力で(例えばカートリッジを動かすことによってさえ)動いて薬剤を配送し得る。いくつかの実施形態において、本明細書で説明される構成は、低摩擦プランジャの問題を、プランジャをドライブナットに結合させる(例えば磁気的に)することによって回避する。いくつかの実施形態において、本明細書の他の所で述べられているように、鉄インサート565がカートリッジ530のプランジャ565にねじ込まれ得る。いくつかの実施形態において、ドライブナットの磁気先端部と磁気インサートが接触するときに、知覚できるクリック(触覚、音等、本明細書の他の所で述べられているような表示)が生じる。このクリック及び/又ははめ合わせは、バイアルがポンプに正しく配置されたことをユーザに示し得る。
【0097】
図6G~6Hは、ドライブナットの磁気先端部2702によって薬剤タンク530と係合するドライブナット2700を示す。ドライブナット2700は、プランジャをタンク530に向かって推進させ、ドライブナットを前進させるために、ポンプ内のドライバ(図示せず)と相互に作用する主ネジ2701を備える。いくつかの実施形態において、本明細書の他の所で述べられているように、磁気インサートは、タンクのプランジャ内に配置され得る(例えばねじ込まれる)。いくつかの実施形態において、摩擦要素(例えばかえしなど)は、インサートをプランジャに固定する(例えば、インサートがプランジャの外に後退しないように)。いくつかの実施形態において、上述のように、磁気インサート565は、滑り嵌め、スナップ嵌めによって、及び/又はかえしを用いて、エラストマープランジャ550に接続され得る。いくつかの実施形態において、ドライブナットの先端部は、磁気材料(例えばフェラスメタル)を備え、インサートは磁石を備える。プランジャ550に挿入され、ドライブボルト2700の磁気先端部2702と磁気的に連絡している磁気インサート565の構成が、図6H~6Iに示されている。
【0098】
いくつかの実施形態において、磁気インサート565(例えば鉄インサート)は、射出成形され得、及び/又は製造中に硬化する硬化性材料を部分的に備え得る。いくつかの実施形態において、磁気インサート565の製造中に、硬化性の材料(例えば、未硬化のプラスチック、ゴム、エラストマー、ポリマー、エポキシ樹脂、複合材料等)は磁気材料(例えば、鉄を含む材料、金属削りくず、金属ビーズ、金属粉等)と混合される。混合中に、磁気材料は、硬化性材料の全体にわたって、均一に及び/又は勾配を持って分布させられ得る。いくつかの実施形態において、硬化性材料は、硬化され得て、硬化した材料中に分布した磁気材料を磁気インサート565に提供する。
【0099】
いくつかの実施形態において、磁気材料(例えば、鉄を含む材料、金属削りくず、金属ビーズ、金属粉等)が混合されたポリマーのインサート(例えば、プラスチック、ゴム、エラストマー、複合材料等)を使用することによって、磁気先端部2702と磁気インサート565との間の結合の所望の強さが達成され得る。いくつかの実施形態において、インサート565とドライブナット2700の磁気先端部2702における磁石2703との間の調整された磁気結合(図6G~6Kに示されているような)は、インサート565中の磁気材料の濃度を調節することによって、及び/又は、磁石2703のサイズ及び/又は強さを調整することによって、達成され得る。いくつかの実施形態において、磁気相互作用は、磁気結合がドライブナット2700からのプランジャ550の不注意による離脱、分離又は離昇を回避して意図しない薬剤送出の恐れを減少させるのに、十分な強さのものであり得る。いくつかの実施形態において、先端部及びプランジャ(又はインサート)の磁気材料の磁気特性は、互いに結合するのに十分強いが、磁気材料がポンプの外側の物体(例えば、磁気先端部2702及びドライブナット2700以外の物体)と相互に作用するほど強くないように調整され得る。
【0100】
いくつかの実施形態において、磁気材料は、プランジャの製造中に、プランジャ550内で直接分散し得る。例えば、プランジャの製造中において、成形の前及び/又は成形中に、磁気特性がプランジャ材料に加えられ得る。いくつかの実施形態において、これは、磁気特性を有するインサート565の必要性をなくす。いくつかの実施形態において、有利なことに、これは、システムを簡素化し、インサートをプランジャに結合させるために必要な更なるステップを防止する。
【0101】
いくつかの実施形態において、磁気特性を有しプランジャ内に配置されるインサートを使用することは、有利なことに、タンク内の薬剤と磁気材料との接触を防止する。いくつかの実施形態において、プランジャ550内の磁気特性を有するインサート565を(プランジャ内に分布する磁気材料の代わりに)使用することは、磁気材料と薬剤との接触を防止することによって、磁気材料の薬剤への浸出を有利なことに防止する。いくつかの実施形態において、インサート構成を使用することは、タンクの完全性(integrity)をも向上させる。いくつかの実施形態において、タンクが患者によって、又はケアの時点で充填されるとき、プランジャは複数回押し下げられ、後退する。いくつかの実施形態において、プランジャ内に直接分布させられるとき、複数回の使用後、磁気材料は、バイアルの内部チャンバをすり減らす。この摩耗は、バイアルの初期破損及び/又はタンクアセンブリの漏洩につながる。いくつかの実施形態において、磁気特性を有するインサートをプランジャ内で使用することは、この摩耗を防止する。いくつかの実施形態において、磁気特性を有するインサートは、ケアの時点でプランジャに手で挿入する必要のない(すなわち、プランジャは、プランジャ/インサートアセンブリの製造中に製造業者によって既に組み付けられたインサート付きで届く)、エラストマープランジャ内に組み込まれた一体式であるが独立した構成要素であり得る。
【0102】
図6I~6Jは、ドライブナット2700の先端部2702を介して磁気特性を有するインサート565に係合するドライブナット2700の二等分図を示す。示されているように、先端部2702は、タンク530内のプランジャ550の磁気特性を有するインサート565と相互作用する、及び/又はインサート565に接続する磁石2703を備え得る。図6Kは、ドライブナット2700の先端部2702を介して磁気特性を有するインサート565に係合するドライブナット2700の部分二等分図を示す。図6Kにおいて、先端部2702は2等分されておらず、磁気特性を有するインサート565も2等分されていない。示されているように、先端部2702は、先端部2702を所定の位置に保持するためにドライブナット2700に挿入される突起2702’(例えば、柄、スパイク、突出部等)を含み得る。図6Lは、ドライブナット2700及び主ネジ2701、並びにポンプハウジングから取り外された先端部2702を含むドライブナットアセンブリを示す。
【0103】
図6Mは、他の部分二等分図を示す。図6Mにおいて、プランジャ550内の磁気特性を有するインサート565が、タンク530内に示されている。示されているように、図6Bに示されたインサートと同様に、いくつかの実施形態において、インサート565は、プッシュロッド(図示せず)の係合を可能にする開口566(例えば、コネクタ、穴、固定点、ロッキング機構等)を備え得る。本明細書の他の所で説明されるように、いくつかの実施形態において、ケアの時点で(又は充填に適切な場所で)、プッシュロッド590は、ネジが切られた磁気特性を有するインサート565を、エラストマープランジャ550内にあるインサートのためのネジが切られたレセプタクルに進ませる(プッシュロッドのためのレセプタクル566を介して)ために使用される。図6Nは、磁気特性を有するインサート565と磁気的に接触している磁気先端部2702の図である。
【0104】
いくつかの実施形態において、エラストマープランジャ又はインサート565と各ポンプチャンバ内のドライブナット2700との間の接触を検出かつ連続して監視する方法が提供される。いくつかの実施形態において、例えば、インサート565(又はプランジャ)は導電性プラスチック(例えば、カーボンファイバ、金属より線、削りくず、銅の削り粉等を含むプラスチック)でできており、受動電気回路を作り上げ得る導電性要素として働く。いくつかの実施形態において、受動回路の接続構成要素は、各ポンプチャンバ内のドライブナット2700の先端部2702に取り付けられる。いくつかの実施形態において、ドライブナット2700の先端部2702上の受動電気回路には、ポンプハウジング内のどこかに取り付けられた能動回路によって離れたところから電源供給され得る(例えば、近傍場通信プロトコルのような無線周波数による識別又は「RFID」の形式を使用して)。いくつかの実施形態において、導電性のあるインサート565(又はプランジャ)がなければ、ドライブナット2700の先端部2702上の受動電気回路には電流が流れない。いくつかの実施形態において、導電性のあるインサート565(又はプランジャ)とドライブナット2700の先端部2702上の受動電気回路との間の接触は、受動回路を閉じ、受動回路を通って、及び導電性のあるインサート565(又はプランジャ)を通って、電流が流れるようにする。
【0105】
いくつかの実施形態において、電流なしの状態から電流ありの状態へのステータスの変更は、導電性のあるインサート565(又はプランジャ)とドライブナット2700の先端部2702との間の、非接触構成から接触構成へのステータスの変更に対応する。いくつかの実施形態において、薬のカートリッジがポンプチャンバ内に置かれてインサート565が存在しない場合には、この検出機構はポンプを障害状態にする。いくつかの実施形態において、障害状態は、ポンプが動作するのを防止し得る(薬剤流を防止する)。いくつかの実施形態において、障害状態は、ユーザにエラーを通知し得るアラーム特徴を作動させる(例えば、振動、音響式のアラーム、視覚的なアラーム等)。いくつかの実施形態において、動作中にエラストマープランジャ565がドライブナット2700から離れると、この検出機構はまた、ポンプを障害状態にし得、アラームはユーザにエラーを通知し得る。
【0106】
いくつかの実施形態において、エラストマープランジャインサート550(図6I~6Jに示す)は、磁気特性を有する導電性材料(鉄を含む材料が加えられた導電性プラスチックのような)で作られ得る。いくつかの実施形態において、もしドライブナット2700の先端部に位置する磁石2702の最上部に受動電気回路が取り付けられていれば、能動回路(ポンプハウジング内のどこかに取り付けられる)は、受動回路に離れて給電してエラストマープランジャ550(及び/又はインサート565)とドライブナット2700の先端部2702との間に接触が存在するか否かを検出するために、通信をし得る(例えばRFIDを通して)。いくつかの実施形態において、同時に、磁石がインサート及びエラストマープランジャアセンブリを捕捉するために使用され得る(以前に説明したように)。このようにして、同じインサートが、以前に説明されたエラストマープランジャ捕捉機構及びエラストマープランジャ検出機構の一部分をなす構成要素として同時に働き得る。この実施形態は図6Oに図示されている。注入システムは、タンク2810のプランジャ2806と相互作用する先端部2805を有するドライブナットを備える1つ以上のポンプを備え得る。いくつかの実施形態において、ドライブナット2805の先端部がプランジャ2806と係合しそれを押すので、ドライブナット2805は、薬剤を、針コネクタ2815を経由して流体管2820に配送し、注入ベース2830につながる注入コネクタ2825に配送するタンク2810に、プランジャ2806を進める。注入ベース2830は、本明細書の他の箇所で論じられるように、薬剤を患者に配送し得る(例えば、針又はカテーテルを通して)。図6Oの図面に示されているように、いくつかの実施形態において、電気回路2807の構成要素は、プランジャ2806内の磁気インサート2808から分離し得る。
【0107】
いくつかの実施形態において、代替の構成として及び図6Pに示されているように、受動電気回路がインサート内に組み込まれ得る(ドライブナット2700の先端部にではなく)。いくつかの実施形態において、受動電気回路は磁気特性も有し、ドライブナット2700の先端部2702の磁石は導電性を有し得る。このように、インサートに組み込まれた受動電気回路とドライブナット2700の先端部2702上の導電性磁石との間の接触は、受動回路を閉じて、電流が受動回路及び導電性磁石を通って流れることを可能にし、それによって、インサートに組み込まれた受動電気回路とドライブナット2700の先端部2702に位置する導電性磁石のヘッドとの間のステータスを非接触構成から接触構成に変更する。
【0108】
更に、電気回路構成は、ポンプに正しくないカートリッジ(例えば薬剤バイアル)を挿入すること、及びそれらを注入システムで使用することを、ユーザが回避することを可能にする。例えば、もしユーザが正しくないプランジャを有する薬剤タンクを有するバイアルをポンプに挿入しようとすると(例えば、磁気及び/又は導電性インサートを欠くタンク)、ポンプは非接触モードに留まり、薬剤を配送しない。いくつかの実施形態において、この特徴は、正しいバイアルのみがポンプの適切なポートにおいて使用されることを保証する(誤った流路形成等を回避する)安全装置としても働き得る。この特徴は、正しくない薬剤を患者に配送することを回避する助けとなり得る。
【0109】
いくつかの実施形態において、カートリッジのプランジャの存在(及び/又はカートリッジ自体の存在)を検出する、代替の及び/又は更なる方法は、投薬を試みる前に検出シーケンスを開始することである。例えば、いくつかの実施形態において、検出シーケンスは、制限された駆動電流を適用することを含み得る。いくつかの実施形態において、制限された駆動電流は、カートリッジプランジャと接触していないときにドライブナットを前進させるのにちょうど十分な電流であり得る。言い換えると、制限された駆動電流は、カートリッジプランジャと接触しているときにドライブナットを前進させるのには不十分な電流であり得る。いくつかの実施形態において、例えば、プランジャが存在する場合に、プランジャは、十分な静止摩擦及び/又は下流への流れ抵抗(カートリッジ本体、ネック、コネクタ、又は接続されたチューブ内の摩擦、及び/又は、これらの構成要素内に加えられた逆止弁等のような特徴からの摩擦に起因するのであろうとなかろうと)を有し、ドライブナットの前進に抵抗する、及び/又は前進を実質的に防止する。いくつかの実施形態において、いったんプランジャが検出されると、電流は検出可能に増加し、及び/又は送出モードに入る(ポンプが薬剤を患者に配送するように構成されている場合)。いくつかの実施形態において、この検出プロセスは、各投薬を試みる前に繰り返され得て、プランジャ(及び/又は適切なプランジャ)及び/又はインサートが、存在するか否か、及び/又はドライブナットと接触しているか否かを確かめる。その後、プランジャ及び/又はインサートが検出されたか否かに応じて、ポンプは応答し得る(例えば、プランジャが検出されたなら投薬することによって、又はプランジャが存在するということが検出されないなら、投薬を中止する、及び/又は警告を知らせることによって)。いくつかの実施形態において、検出シーケンス及び上述の電流の制御は、コントローラを使用して実装され得る。コントローラは、本明細書の他の箇所でより詳細に説明される。
【0110】
いくつかの実施形態において、検出シーケンスは検査(probing)シーケンスを含む。いくつかの実施形態において、検査シーケンスは、本明細書の他の箇所で説明されるように、最初にプランジャを検出するためにドライブナットを前進させることを含む。いくつかの実施形態において、いったんプランジャが検出されると、プランジャをちょうど動かすのに十分な力及び/又は電流に達するまで、ドライブナットを漸増的に後退及び前進させることによって、プランジャのタイプが決定され得る。例えば、いくつかの実施形態において、異なる薬剤用のさまざまなタンクのためのプランジャは、ドライブナットによる動きに対して異なる抵抗力(例えば、摩擦による、及び/又はその特定のタンク及び薬剤に対応する他のタンク及び/又はコネクタ部材によって与えられる抵抗力に起因する)を有し得る。抵抗力のレベルに基づいて、プランジャを前進させるのに必要とされる電流の量によって、薬剤のタイプが検出され得る。説明のため、いくつかの実施形態において、ドライブナットはプランジャを検出するまで前進させられる。いったんプランジャが検出されると、プランジャを動かすのに十分な力又は電流が生成又は与えられるまで、ドライブナットは短距離を引っ込まされ及び/又は前進させられ得る(例えば、プランジャを軽くたたく)、又は、プランジャを動かすのに十分な力又は電流が生成又は与えられるまで、プランジャに対する押しは徐々に増加し得る(すなわち、最初にプランジャを後退させることなく、駆動電流が増加する)。プランジャを動かすのに必要とされる力(同様に対応する必要とされる電流消費)に基づいて、ポンプレセプタクル内の薬剤のタイプが検出され得る。例示として、4つの異なる薬剤が、プランジャに与えられる4つの異なるレベルの力(及び/又はドライブナットに与えられる電流)に応じて動くプランジャを有する4つの異なるタンクに供給され得る。第1薬剤タンクプランジャは、最も小さな与えられた力及び/又は電流に応じて動き得、第2薬剤タンクプランジャは、第2のよりわずかに大きな与えられる力及び/又は電流に応じて動き得、第3薬剤タンクプランジャは、第3のよりわずかに大きな与えられる力及び/又は電流に応じて動き得、第4薬剤タンクプランジャは、第4の最も大きな与えられる力及び/又は電流に応じて動き得る。もし第3薬剤タンクプランジャがポンプに配置されるなら、ドライブナットは、軽くたたくことによって(例えば、ドライブナットの連続的な前進及び後退)又はドライブナットがプランジャと接触したままであるときに力及び/又は電流を徐々に増加させること(後退なしに)によって、プランジャを動かすのに必要とされる力及び/又は電流の量を検査し得る。第3薬剤タンクのプランジャを動かすのに必要とされる力/電流に対応する力/電流に応じてプランジャが動くおかげで、第1,第2、及び第4薬剤は、ポンプ内に存在する可能性がある薬剤としては排除され得る。言い換えると、コントローラ及びドライブナットは、与えられる力/電流の正しい量が求められるまで、最も小さな力でたたく/押す、異なる力/電流に増加させる、及び次の力/電流に移るように構成され得る。
【0111】
他の実施形態において、本明細書の他の箇所で説明される1つ以上の薬剤タンク検出方法は、ポンプのタンクレセプタクル内の薬剤のタイプを求めるためにここに説明される検出シーケンス及び/又は検査シーケンスと組み合わせて使用され得る(例えば、光学コードリーダ、RFID等)。他の実施形態において、本明細書の他の箇所で説明される1つ以上の薬剤タンク区別方法(例えば、光学コードリーダ、RFID等)は、ポンプのタンクレセプタクル内の薬剤のタイプを求めるためにここに説明される検出方法と組み合わせて使用され得る。
【0112】
いくつかの実施形態において、本明細書の他の箇所で説明されるプランジャインサートの1つ以上の特徴に加えて、又はそれらの代わりに、プランジャインサートは、特定可能な電気インピーダンス(又は電子的な特性)をそれ自身に与える特徴も含み得る。いくつかの実施形態において、インサートの電気インピーダンス(例えば製造プロセス中にインサートに入れられる導電性材料の量によって制御される)は、そのプランジャインサートを含むカートリッジ内に含まれる特定の薬の、及び/又は特定の薬の特定の特性の一意の識別子として設定され使用され得る。例えば、いくつかの実施形態において、さまざまなプランジャインサートが異なるインピーダンスレベルで製造され得、各インピーダンスレベルは、異なる薬又は同じ薬(例えば異なる濃度、pH、賦形剤、又は他の特性等の)の特性(又は特性の組)に適合し得る。説明のため、第1薬は、第1電気インピーダンスを持ったプランジャを有する第1カートリッジ内に供給され得る。第2薬は、代替として、第2電気インピーダンスを持ったプランジャを有する第2カートリッジ内に供給され得る(第2電気インピーダンスは第1電気インピーダンスとは異なる)。更に、第3薬剤カートリッジは、第2カートリッジとは異なる濃度の第2薬を含んで提供され得る。第3カートリッジは、第1及び第2インピーダンスとは異なる第3電気インピーダンスを有し、各カートリッジをすぐ隣のものから区別できるようにする。いくつかの実施形態において、インサートに与えられる所定の電圧により、特定のプランジャインサートのインピーダンスに一意の電流が生じる。特定の電流は、次に、カートリッジ内に含まれる特定の薬及び/又は特定の薬の特性(又は特性の組)に関連付けられる。これらの特定のインピーダンスは、本明細書で開示される他の特徴と混合又は調和され得、クロスチャネリングを防止するさまざまな異なるレセプタクルを提供する。
【0113】
いくつかの実施形態において、電気インピーダンスが特定の薬又は薬の特性のための識別子として使用される場合に、各プランジャインサートの結果として流れる電流を対応する薬と関連付けるマッチングキーセットが、注入ポンプのソフトウェアにロードされ得、注入ポンプは、注入ポンプに一度装填されたカートリッジ内にある特定の薬を自動的に識別することができる。いくつかの実施形態において、この方法で、ポンプは、ユーザの入力を必要とせず、又はユーザの入力に対して脆弱にならずに、薬又はそれらの特性を自立的に区別し得、及び/又はそれに応じて投薬の設定を自分で初期化し得る。この電気インピーダンス特性からは独立して、さまざまなプランジャインサートが付加的に又は代替として異なる区別がつく特徴を有し得(本明細書の他の箇所で説明されているように)、その結果、異なるプランジャとは異なるインピーダンスレベルを有する異なるインサートと適合するように、それぞれは対応するプランジャのキャビティ内の適合する特徴と一意に噛み合う。
【0114】
いくつかの実施形態において、磁気インサートがプランジャに取り付けられ得る。いくつかの実施形態において、磁気インサート及びドライブナット内の磁石の極性は、互いに引き合う向き(例えば北と南)、又は互いに反発する向き(例えば、極性は反発するものであり、例えば、南/南又は北/北)であり得る。いくつかの実施形態において、薬剤バイアルの磁気インサートは、正しい薬剤ポンプ開口内のドライブナットの磁石のみと引き合う又は結合するような向きである。代替として、正しくない薬剤ポンプチャンバに挿入されると、磁気インサートはドライブナットの磁石と反発する。よって、正しくない薬剤バイアルは、間違ったチャンバに配置され得ない。更に、電気回路(存在する場合)は完結され得ず、それによって、薬剤の注入を防止する。いくつかの実施形態において、これらの構成は、薬剤を誤って配置することを防止し、正しくない薬剤の注入を防止する。
【0115】
いくつかの実施形態において、注入システムを使用して2つの薬剤が供給されるべき場合、正しくない薬剤タンクに反発し、正しい薬剤タンクのみを引きつけるような向きに磁気インサート向けることによって、誤った流路形成が回避され得る。例えば、第1薬剤タンクの磁気インサートは、第2薬剤ポンプカートリッジ開口(例えばチャンバ)内のドライブナットの磁気先端部に反発する向きに向けられ得る。更に、いくつかの実施形態において、第2薬剤タンクの磁気インサートは、第1薬剤ポンプカートリッジ開口(例えばチャンバ)内のドライブナットの磁気先端部に反発する向きに向けられ得る。いくつかの実施形態において、ポンプの誤ったチャンバへの挿入を回避することによって、患者は、正しくない薬剤を注入する危険を減少させる。
【0116】
いくつかの実施形態において、本明細書の他の箇所で説明されているように、磁気インサート565の製造中に、硬化性材料(例えば未硬化のプラスチック、ゴム、エラストマー、ポリマー、エポキシ、複合材料等)が磁気充填剤と混合される。混合中に、磁気充填剤は、磁極が硬化性材料中に形成されるように、外部の磁気双極子を使用して磁気の向きが整列させられる。いくつかの実施形態において、硬化性材料は、次に硬化されて、硬化された材料中に分布する磁気N極及びS極を有する磁気インサート565を提供する。いくつかの実施形態において、この硬化されたインサートは、正しくないポンプチャンバ内の磁気ドライブナットに反発し、正しいポンプチャンバ内のドライブナットを引きつける。
【0117】
いくつかの実施形態において、磁気インサートは、適切な、予め選択されたカートリッジプランジャ(例えば、一致する、対となる特徴を有する)のみと相互作用するように構成され得る。例えば、2つのカートリッジ(A及びB)の両方がケアの時点で充填される場合、A用の磁気インサート及びB用の磁気インサートの磁石は、それぞれ、薬剤A用のプランジャカートリッジ及び薬剤B用のプランジャカートリッジのみに挿入されるように構成され得る。いくつかの実施形態において、カートリッジAのプランジャ及びカートリッジBのプランジャは、正しくない磁気インサートに係合することを防止する1つ以上の区別のつく特徴を有し得る。説明のため、磁気インサートAは、プランジャBではなくプランジャA上の噛み合う特徴に合致する特徴(例えば、ネジ山、クリップ、クランプ等)を有し得る。磁気インサートBは、プランジャAではなくプランジャB上の噛み合う特徴に合致する特徴(例えば、ネジ山、クリップ、クランプ等)を有し得る。いくつかの実施形態において、1つの対(プランジャとインサート)は、前向きにネジ山が付けられ得、他の対は反対の向きにネジ山が付けられ得る。いくつかの実施形態において、これらの区別がつけられた磁気インサートは、ドライブナット(正しいポンプチャンバ内の)の正しい磁気先端部を引きつけ、ドライブナット(正しくないポンプチャンバ内の)の正しくない磁気先端部に反発するように、磁石が正しく挿入されることを確実にする。
【0118】
いくつかの実施形態において、エラストマープランジャ550のドライブナット2700からの不注意による分離又は離昇を防止するための他の方策として、逆止弁2800がカートリッジ内又はカートリッジの下流の流体路に加えられ得る。いくつかの実施形態において、逆止弁2800は、十分に高圧の傾斜が存在する(例えば、ポンプによって供給される圧力が、主ネジを回転させ、プランジャを前進させる)場合にのみ流体流に逆止弁2800を通過させる。いくつかの実施形態において、図6Q~6Tに示されているように、逆止弁2800は、圧力下で変形して流体を通過させる膜2801(例えば、隔壁、ダイヤフラム等)を備える。いくつかの実施形態において、他のタイプの逆止弁が使用され得る(例えば、玉入り逆止弁、スイング逆止弁、傾斜逆止弁(tilting check valve)、クラッパ弁(clapper valve)、ストップ逆止弁(stop-check valve)、リフト逆止弁(lift-check valve)、ダックビル弁(duckbill valve)等)。
【0119】
いくつかの実施形態において、膜2801は可撓性がある。いくつかの実施形態において、膜2801は弾性も有する。いくつかの実施形態において、膜2801は、ゴム、プラスチック、重合体、エラストマー、又はこれらの組み合わせ等である。いくつかの実施形態において、プランジャが前に押されていない場合には、膜2801は、その本来の形に戻り、流体が針316を通ってチューブ301に移動するのを防止する。
【0120】
いくつかの実施形態において、逆止弁は、タンク530から押し出された流体からの圧力がダイヤフラム2801にかかる場合にダイヤフラム2801を押すオープナー特徴2802を備える。いくつかの実施形態において、圧力が十分な場合には、ダイヤフラム2801はオープナー特徴2802(例えば、ペグ、スパイク、円錐形部材、三角錐部材(triangular member)等)によって変形し、流体(例えば薬剤)がダイヤフラムを通過しチューブ301を経由して流出できるようにする。いくつかの実施形態において、図6Tに示されているように、オープナー特徴2802は、対形成突出部2804の一部である。いくつかの実施形態において、オープナー特徴2802は、ステム2803(例えばアーム等)を経由して対形成突出部2804に接続される。いくつかの実施形態において、注入口コネクタ、オープナー特徴、及びステムは、1つの連続したものである(例えば一緒に射出成形されている)。いくつかの実施形態において、1つ以上の注入口コネクタ、オープナー特徴、及びステムは、それぞれの部品が製造された後に接続又は接合される異なる断片であり得る。
【0121】
いくつかの実施形態において、逆止弁は、閾圧力(例えばクラック圧力)に達した後にのみ、流体が通過することを可能にする。いくつかの実施形態において、流体流が逆止弁を通過可能にするのに必要な閾圧力は、重力によって引き起こされ患者と注入システムとの間に生じるいかなる静水差圧よりも大きい。例えば、静水圧は、注入システムが注入ベースを経由して患者に接続され、装填されたポンプ(1つ以上のバイアルを含んでいる)を患者(又はユーザ)が注入ベースを越える高さに持ち上げる場合に生じ得る。重力によって、バイアルの高さは、バイアルから導管を通って患者へ注入ベースを経由して、流体を押し進める。与えられる静水力の大きさは、注入システムより上にある薬剤バイアルの高さによって決まる。したがって、静水力の大きさは、流体管の長さによって通常は制限される(流体管は最終的には薬剤バイアルを注入セットに接続する)。いくつかの実施形態において、流体管の標準長さは約110cm又は約60cmである。いくつかの実施形態において、逆止弁は、注入システム内の薬剤のバイアルが少なくとも約220cm、約110cm、約60cm、前述の値の間の値、又はそれらの値の範囲、という距離だけ注入セットの上に持ち上げられる場合に、閉鎖状態を保てるように、十分に弾性を有する。いくつかの実施形態において、流体流が逆止弁を通過可能にするのに必要な閾圧力勾配が、患者と注入システムとの間の静水圧の他のいかなる変化(例えば、飛行機が高度を変えること、カーニバルライド、バンジージャンプ、肉体的な活動等によって生じる力)によって生じ得るいかなる静水差圧よりも大きいように、逆止弁は設計される。
【0122】
いくつかの実施形態において、図6Q~6Tに示されているように、逆止弁は、薬剤を含んでいるカートリッジに結合しそれを捕捉する針コネクタ(例えば注入口コネクタ)に一体化されている。代替として、逆止弁は、チューブ301の全長にわたって、注入部位ベースに、注入部位コネクタに、又は注入システムの他の場所、のいかなる場所にも一体化され得る。例えば、図6Uに示されているように、抵抗特徴2835(例えば、逆止弁又は類似の逆流制止装置)は、タンク2810と針コネクタ2815(例えば針内の)との間に配置され得る。図6Vに示されているように、抵抗特徴2835は針コネクタ2815内に配置され得る。図6Wに示されているように、抵抗特徴2835は流体管2820に沿って配置され得る。図6Xに示されているように、抵抗特徴2835は注入コネクタ2825内に配置され得る。図6Yに示されているように、抵抗特徴2835は注入ベース2835内に配置され得る。図6Zに示されているように、抵抗特徴2835は、患者2840とタンク2810との間で注入システムのいかなる所にも配置され得る。
【0123】
いくつかの実施形態において、プランジャとドライブナットとの間の一時的な接続が提供される。いくつかの実施形態において、プランジャとドライブナットとの間の接続は、磁石及び/又は鉄インサートを、必要としない及び/又は備えない。いくつかの実施形態において、プランジャとドライブナットとの間の接続は、プランジャに接続する(例えば、結合する、内側にはまる、覆う、係合する、固定される等)及び/又はプランジャを保持するドライブナットの先端部上の1つ以上の特徴を使用する。いくつかの実施形態において、プランジャとドライブナットとの間の接続は、物理的な接続(例えば、ネジを切ることによって成し遂げられる、滑り嵌め接続、スナップ嵌め接続、及び/又はかえしによる接続)であり、磁気的なものではない。
【0124】
いくつかの実施形態において、光学センサは薬剤タンクの存在を検出する。いくつかの実施形態において、光学センサは、例えば、ドライブナットへのプランジャの接近を検出する。いくつかの実施形態において、光学センサは、プランジャの特徴(例えば、インサート又はプランジャの形、色等)を検出する。いくつかの実施形態において、光学センサは、いつプランジャと接触するか/プランジャと接触しているか、及び/又は正しいプランジャが使用されていること(例えばタンク内の正しいプランジャ)を確定するソフトウェアモジュールと電子的に通信する。いくつかの実施形態において、いったん光学センサからの入力を受信して正しいタンクが挿入されているか否かを確定すると、ポンプは起動(正しい薬剤が挿入されているとき)又は停止(正しくない薬剤が挿入されているとき)する。いくつかの実施形態において、本明細書の他の箇所で開示されているように、いったん正しくない薬剤が検出されると、ポンプは、挿入された薬物の正しい投薬療法を提供するように自動的に再構成し得る。いくつかの実施形態において、いったん正しくない薬剤が検出されると、ポンプ又はポンプのディスプレイは、正しくない薬剤がポンプに配置されたことをユーザに知らせる。いくつかの実施形態において、ユーザは、挿入された薬物の正しい投薬療法を提供するようにポンプを手動で再構成し得る。
【0125】
いくつかの実施形態において、ドライブナットは、プランジャに接触するときに作動(例えば、押し下げられる、移動させられる、動かされる)し得る機械式のスイッチを備える。いくつかの実施形態において、機械式のスイッチは、適切な薬剤タンクによってのみ作動するように構成される(例えば、正しくないタンクはスイッチを押し下げるような適切な形を有さないので)。例えば、いくつかの実施形態において、スイッチはドライブナットの中心に配置されており、適合しない(例えば正しくない)薬剤タンクは、ドライブナットがタンクに接触するときにスイッチが押し下げられないように、スイッチの上に薬剤タンクのプランジャを持ち上げるフード又は枠を備える。いくつかの実施形態において、スイッチはプランジャに配置され得、ドライブナットによって作動する。いくつかの実施形態において、ポンプ(例えば、ポンプ内の光学センサ、受光器等)は、いつプランジャのスイッチが作動するのかを検出するように構成される。
【0126】
いくつかの実施形態において、ドライブナットは、静電容量式の近接センサを備える。いくつかの実施形態において、静電容量式の近接センサは、ドライブナットの先端部に配置される。いくつかの実施形態において、静電容量式の近接センサは、いつプランジャがドライブナットに近接する及び/又はドライブナットに接触されるかを検出する。いくつかの実施形態において、静電容量式の近接センサは、いつドライブナットとプランジャとが近接するか及び/又は実質的に互いに接触するかを、通知及び/又は検出する。いくつかの実施形態において、静電容量式の近接センサは、いつプランジャとドライブナットとが、およそ、2mm、1mm、0.5mm、0.1mm、又は前述の値を含む及び/又は前述の値にわたる範囲以下の距離、離れた状態になるのかを検出する。いくつかの実施形態において、カートリッジが挿入され、近接センサがプランジャを検出しないとき(例えば、近接センサがプランジャに、それを検出するのに十分に近づくのを、カートリッジ、プランジャ、及び/又はドライブナット上の1つ以上の特徴が妨げるので)、ユーザに表示がされる(例えば、音響、視覚、触覚、振動等による警告)。いくつかの実施形態において、カートリッジが挿入され、近接センサがプランジャを検出しないとき(例えば、近接センサがプランジャに、それを検出するのに十分に近づくのを、カートリッジ、プランジャ、及び/又はドライブナット上の1つ以上の特徴が妨げるので)、ポンプは自動的にドライブナットをカートリッジから後退させる。いくつかの実施形態において、いったnドライブナットが後退させられると、ポンプは、ポンプチャンバに新たなカートリッジが配置されるまで、ドライブナットが前進することを許可しない。いくつかの実施形態において、近接センサがプランジャを検出するとき、ユーザに表示がされる(例えば、音響、視覚、触覚、振動等による警告)。
【0127】
いくつかの実施形態において、タンク又はコネクタセットは、微少流体弁、電子駆動弁、電磁弁、油圧機械式作動弁、及び/又は空気圧弁を備える。いくつかの実施形態において、微少流体弁(又は他の弁)は、ポンプによって駆動され、駆動モータが作動しているときに流れを可能にする。いくつかの実施形態において、微少流体弁(又は他の弁)は、駆動モータが作動していないときに閉じる。いくつかの実施形態において、駆動弁が能動的に開閉することは、駆動モータが作動していないときの不注意による投薬を防止する。
【0128】
他の実施形態において、ドライブナットからのエラストマープランジャの不注意による分離又は離昇を防止するために、冗長な機構が配置され得る。そのような実施形態において、エラストマープランジャインサートは、磁気特性を有する導電性材料(鉄を含む材料が加えられた導電性プラスチックのような)で作られ得、逆止弁は針コネクタに一体化され得る。各ポンプチャンバ内のドライブナット2700の先端部2702に配置された磁石と結合し、受動電気回路が磁石の最上部に取り付けられており、それはポンプハウジング内のどこかに取り付けられた能動回路からRFIDによって離れて給電され、これらのシステムは、エラストマープランジャのドライブナットからの不注意による分離又は離昇を防止し、エラストマープランジャをドライブナットによって捕捉し、かつ、エラストマープランジャがドライブナットによって捕捉されたことを検出する(及び連続して監視する)のに同時に役立ち得る。
【0129】
バイアルからカートリッジへ薬剤を移送するために針移送ハブを利用するいくつかの実施形態において、針移送ハブの本体は、キャプチャ-ロッキング特徴を備えないことを除いて、針コネクタと同じ型から製造され得る。これは、針移送ハブが、充填手順が完了するとカートリッジから取り除かれる必要がある一方、針コネクタがカートリッジを永久的に捕捉し、かつカートリッジがその送出可能な内容物を空にされると、カートリッジと一緒に廃棄されるためである。
【0130】
単一薬剤又は多薬剤を伴ういくつかの実施形態において、各チューブの注入口端部は、針コネクタ(例えば、注入口コネクタ)にオーバーモールド、結合、圧入、接着、溶媒接着、インサート成形、又は他の方法で取り付けられ、及び各チューブの送出口端部は、注入部位及び単一薬剤又は多薬剤を送出領域に送出する(例えば、経皮的、皮内に、皮下に、筋肉内に、静脈内等に送出する)カニューレと一緒にオーバーモールド、結合、圧入、接着、溶媒接着、インサート成形、又は他の方法で取り付けられる。
【0131】
単一薬剤又は多薬剤を伴ういくつかの実施形態において、各チューブの注入口端部は、針コネクタにオーバーモールド、結合、圧入、接着、溶媒接着、インサート成形、又は他の方法で取り付けられ(図1A~4Bに示すように)、各チューブの送出口端部は、まっすぐな、傾斜のついた、中空のステンレス鋼の針に、及び皮下又は皮内の注入部位ベースに接続するように設計された構成部品に(図8図9、及び図13の2薬剤注入部位コネクタ、及び図11及び図12の単一薬剤注入部位コネクタにおけるように)オーバーモールド、結合、圧入、接着、溶媒接着、インサート成形、又は他の方法で取り付けられる。各薬剤に対し、この配置構成は、部位コネクタにおいて、薬剤タンクから、まっすぐな、傾斜のついた、中空のステンレス鋼の針の端部への閉鎖型の、独立した、解放された、及び連続的な流路を生じる。いくつかの実施形態において、各部位コネクタは、物理的に独立することができ、かつ繰り返し注入部位ベースに対して接続する又は接続を切ることができる。
【0132】
図7A~7Bは、2薬剤注入セットの一部分を示す等角投影図である。図7Aは、2薬剤部位ベースインサータ2426が取り付けられている実施形態を示す。図7Bにおいて、2薬剤部位ベースインサータ2426は取り除かれている。2つの薬剤を伴ういくつかの実施形態において、2薬剤部位ベースインサータ2426は、2つの個別の半体:右部位ベース2424(例えば、第1ベース、グルカゴンベース等)及び左部位ベース2525(例えば、第2ベース、インスリンベース等)を結合する。いくつかの実施形態において、インサータ2426は、2薬剤注入部位ベース2401を適用するためのハンドルを提供する。いくつかの実施形態において、ベース2401は、1つ以上の針ガード2429、2529を含む。いくつかの実施形態において、注入セットベース2401は、1つ以上の剥離ライナー2428、2528を含む。いくつかの実施形態において、注入セットベース2401は接着剤2427、2527(例えば、テープ、ゲル、ゴム接着剤等)を含む。いくつかの実施形態において、2つの針ガード2429、2529及び2つの剥離ライナー2428、2528が除去されて廃棄されると、2薬剤部位ベースインサータ2426を使用して2薬剤注入セットベース2401を適用し得る。いくつかの実施形態において、接着テープ2427、2527を使用して2薬剤注入セット2401を皮膚の表面に付着させ得る。いくつかの実施形態において、挿入後、2薬剤部位ベースインサータ2426は、使い捨てにでき、2つの一体型の丁番2436、2536を作動させて2薬剤部位ベースインサータ2426を保持スロット2430、2530(図9Bに示す)から出るように摺動させることによって除去され、この時点で、部位コネクタを収容する準備が整っている2つのポスト2431、2531を見せるようにする(図8A~8B参照)。いくつかの実施形態において、図7Bに示すように、ポスト2431、2531は非対称的である。いくつかの実施形態において、注入セットインサータ2426は再使用可能であり、及び部位ベース2424、2525に再び取り付けられ得る。
【0133】
いくつかの実施形態において、注入セットはコネクタカバー2434を含む。図8Aは、2薬剤部位コネクタカバー2434が取り付けられている2薬剤注入部位コネクタ2432、2533を示す等角投影図である。
【0134】
図8Bは、2薬剤部位コネクタカバー2434が取り除かれた後の2薬剤注入部位コネクタを示す。いくつかの実施形態において、2薬剤部位コネクタカバー2434は、2つの個別の半体:第1の部位コネクタ2432及び第2の部位コネクタ2533を結合する。いくつかの実施形態において、部位コネクタカバー2434は、部位コネクタ2432、2533を、それらが2薬剤注入部位ベース2401(図7Bに示す)に接続されていないときに(例えば、ダスト、ダート、摩耗、物理的な損傷等への)曝露から保護する。いくつかの実施形態において、一体型の丁番2536を作動させて保持クリップ2535を解放し、その後、保持スロット2530(図9Bに示す)から出るように第2部位コネクタ2533を摺動させることにより、第2部位コネクタ2533は、2薬剤部位コネクタカバー2434からの接続を切られ得る。2薬剤部位コネクタカバー2434から第2の部位コネクタ2533の接続を切ることにより、アライメント用ポスト2539、及び左部位ベース2525(図7Bに示す)上の対応する特徴と嵌合する非対称的なポスト用レセプタクル2538を見えるようにする。同じ手順を使用して、対応する特徴、及びそれらの下2桁が同様に列挙された特徴(例えば、2436は2536に対応する)を使用して、2薬剤部位コネクタカバー2434から第1部位コネクタ2432の接続を切り得る。2薬剤部位コネクタカバー2434から接続を切ることと、2薬剤注入部位セットベース2401に再接続することとの順序は任意である。
【0135】
いくつかの実施形態において、図6Gに示されているように、注入部位コネクタ2632は、人間工学による特徴(張り出しのあるエッジ、指用つかみ、球根状の端部等)を備える。いくつかの実施形態において、人間工学による特徴は、注入部位コネクタが容易につかまれ、注入ベースから容易に引っ張られることを可能にする。いくつかの実施形態において、図6Fに示されているように、注入部位コネクタ2632は、薄い部分と厚い部分とを有し得、厚い部分はチューブ301に近いところ(チューブ301に向かって)位置し、薄い部分はベース接続点に近い。いくつかの実施形態において、人間工学による特徴に類似する設計特徴は、注入部位コネクタが指の先端部によって容易につかまれ、注入ベースから摺動して離れることを可能にする。
【0136】
図9Aは、2薬剤注入部位コネクタと一緒に組み立てられた2薬剤注入部位ベース2401を含む完成品の2薬剤注入セット2400の等角投影図を示す。いくつかの実施形態において、図示の通り、注入セットは、第1のベース及び第1のコネクタを含む第1の注入アセンブリと、第2のベース及び第2のコネクタを含む第2の注入アセンブリとを含む。いくつかの実施形態において、別個のベースを有することにより、両方の針が単一のベースに固定されているシステムに針が引き入れられるのを防止する。いくつかの実施形態において、この特徴は、動き、引張り、及び不快感が発生し得る領域に注入セットが配置されるときに快適さを高める。図9Bは、2薬剤注入セット2400の内部部品を明らかにする断面図を示す。いくつかの実施形態において、第1の部位コネクタ2432及び第2の部位コネクタ2533を第1の部位ベース2424及び左部位ベース2525にそれぞれ接続した後、2つの閉鎖型の、独立した、解放された、及び連続的な流路が生じる。いくつかの実施形態において、流路は、90度の傾斜付きの中空の穿刺部材2442、2542(ステンレス鋼針)で終端する。いくつかの実施形態において、各流路は、流体タンクへの多くのタイプの接続部、例えばルアーロック又は特注のカートリッジコネクタにおいて始まることができ、最終的には、まっすぐな、傾斜のついた、中空のステンレス鋼の針2440、2540及び注入部位コネクタ2432、2533とそれぞれ一緒に接合されるチューブ301の内腔と連通する。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の注入部位コネクタを1つ又は複数の注入部位ベースに接続すると、まっすぐな、傾斜のついた、中空のステンレス鋼の針2440、2540は、それぞれ部位ベース隔壁2441、2541を穿刺し、流体を、90度の傾斜付きの中空のステンレス鋼の針2442、2542を通して押し出して、患者に送出できるようにする。いくつかの実施形態において、文字(又は他の視覚的インジケータ)2450、2550が注入セット2400上に存在する。いくつかの実施形態において、例えば図9Aに示すように、インジケータ2442、2542は、使用者にとって使いやすいものであるが、いくつかの実施形態において、構成要素の誤接続は、依然として機械的に防止される。いくつかの実施形態において、90度の傾斜付きの中空のステンレス鋼の針2442、2542は、それ自体、ソフトなデュロメータのチューブ2451、2551及び部位ベース隔壁2441、2541からなるサブアセンブリを使用して配置され、その後、これは、プラグを用いて固定される。
【0137】
図10Aは、単一の薬剤の構成において使用されるような、第1の部位ベース2424(図7Bに示す)を示す等角図である。いくつかの実施形態において、第1の部位ベースインサータ2443は、図示の通り取り付けられ得る。図10Bは、第1の部位ベースインサータ2443が除去された後の第1のベース2424を示す。いくつかの実施形態において、第1の部位ベースインサータ2443は、単一薬剤注入部位ベース2424を適用するためのハンドルを提供する。いくつかの実施形態において、挿入後、第1の部位ベースインサータ2443は、一体型の丁番2436を作動させて保持スロット2430から出るように右部位ベースインサータ2443を摺動させることによって除去されて、この時点で、部位コネクタ2432を収容する準備が整っている非対称的なポスト2431を見せるようにする。2薬剤注入部位ベース2401(図7Bに示す)の第1の半体のみを示すが、第2の半体2433も単一の薬剤の構成において使用され得る。いくつかの実施形態において、第2の半体2433は、第1の半体2432に対するものと同じ戦略を使用して取り付けられ得るが、一意に対となる特徴、ヒンジ等を有している構成部品を有する。
【0138】
図11Aは、第1の部位コネクタカバー2446を備える、単一の薬剤の構成において使用されるような第1の部位コネクタ2432(図8に示す)の等角投影図を示す。図11Bは、第1の部位コネクタカバー2446が除去された後の第1の部位コネクタ2432を示す。いくつかの実施形態において、第1の部位コネクタカバー2446は、第1の部位コネクタ2432を(例えば、ダート、汚れ、デブリ、衝突からの物理的な損傷等への)曝露から保護し、かつ一体型の丁番2436を作動させて保持クリップ2435を解放し、その後、保持スロット2430(図12Bに示す)から出るように第1の部位コネクタ2432を摺動させることによって除去され得る。いくつかの実施形態において、第1の部位コネクタカバー2446から第1の部位コネクタ2432の接続を切ることにより、アライメント用ポスト2439及び非対称的なポストレセプタクル2438を見せるようにし、これらは、第1の部位ベース2424(図10に示す)上の対応する特徴と嵌合する。この説明では2薬剤注入部位コネクタの第1の半体のみを説明するが(図8に示す)、第2の半体も同様の符号の特徴とともに単一の薬剤の構成において使用され得る。
【0139】
図12Aは、単一薬剤注入部位コネクタ2432と一緒に組み立てられた単一薬剤注入部位ベース2424を含む、完成品の単一薬剤注入セット2400’の等角投影図を示す。図12Bは、単一薬剤注入セット2400’の内部構成要素を明らかにする断面図を示す。いくつかの実施形態において、第1の部位ベース2424への第1の部位コネクタ2432の接続後、閉鎖型の、独立した、解放された、及び連続的な流路が生じる。いくつかの実施形態において、閉鎖型の流路は、90度の穿刺部材2442(例えば、傾斜付きの中空のステンレス鋼の針)で終端する。いくつかの実施形態において、流路は、流体タンクへの多くのタイプの接続部、例えばルアーロック又は特注のカートリッジコネクタにおいて開始し、最終的にチューブ301の内腔と連通し得る。いくつかの実施形態において、チューブ301は、まっすぐな穿刺要素2440(例えば、傾斜付きの中空のステンレス鋼の針)、及びこの図では第1の部位コネクタ2432と一緒に結合される。いくつかの実施形態において、第1の部位コネクタ2432を右部位ベース2424に接続すると、まっすぐな、傾斜のついた、中空のステンレス鋼の針2440は、部位ベース隔壁2441を穿刺し、90度の傾斜付きの中空のステンレス鋼の針2442を通って流体が押し出されて、患者に送出できるようにする。いくつかの実施形態において、この説明は、2薬剤注入セットの第1の半体のみと類似するが(図9A~9Bに示す)、注入セットの第2の半体(例えば、左半体)も単一の薬剤の構成において使用され得る。いくつかの実施形態において、文字又は他の視覚的なインジケータ2450、2550が存在し、かつ使用者にとって使いやすいものにする。いくつかの実施形態において、視覚的なインジケータと並んで、構成要素の誤接続が依然として機械的に防止される。いくつかの実施形態において、90度の傾斜付きの中空のステンレス鋼の針2442は、それ自体、ソフトなデュロメータのチューブ2451及び部位ベース隔壁2441からなるサブアセンブリを使用して配置され、その後、これはプラグを用いて固定される(図示せず)。
【0140】
図13A~13Eは、2薬剤注入セットの実施形態の等角投影図を示す。図13Aでは、右部位ベース2424は右部位ベースカバー2444に接続されている。図13Bは、第2の部位ベースカバー2545に接続された第2の部位ベース2525を示す。図13Cは、第1の部位コネクタカバー2446に接続された第1の部位コネクタ2432を示す。図13Dは、第2の(左)部位コネクタカバー2547に接続された第2の(左)部位コネクタ2533を示す。図13Eは、2薬剤部位ベースカバー2448に接続された2薬剤注入部位ベース2401を示す。いくつかの実施形態において、個々の部位コネクタを交換する必要があるとき、それはその部位ベースから接続を切られ、かつ部位ベースカバーが部位ベースに一時的に接続され、それにより、部位コネクタが交換され得るまでそれを曝露から保護し得る(A及びBに示すように)。いくつかの実施形態において、両方の部位コネクタが一緒に除去される場合、2薬剤部位ベースカバー2448が両方の部位ベースに一時的に接続されて、部位コネクタが交換され得るまでそれらを曝露から保護し得る(Eに示すように)。いくつかの実施形態において、任意の個々の部位ベースを交換する必要があるとき、部位ベースはその部位コネクタとの接続を切られることができ、及び部位コネクタカバーが部位コネクタに一時的に接続され、それにより、部位ベースが交換され得るまでそれを曝露から保護する(C及びDに示すように)。いくつかの実施形態において、両方の部位ベースが一緒に除去される場合、2薬剤部位コネクタカバーが両方の部位コネクタに一時的に接続されて、部位ベースが交換され得るまで、それらを曝露から保護し得る(図8Aに示すように)。単一の薬剤の実施形態は、A及びCの右側の半体又はB及びDの左側の半体と同じ方法で動作し得る。
【0141】
いくつかの実施形態において、薬剤Aのみを注入する注入システムの単一の薬剤の実装形態は、2薬剤注入部位コネクタの2つの単一薬剤注入部位コネクタのうちの一方を使用し得る。同様に、薬剤A用の単一薬剤注入部位コネクタとは別個の他方の単一薬剤注入部位コネクタは、薬剤Bのみを注入する注入システムの単一の薬剤の実装形態に使用され得る。いくつかの実施形態において、2薬剤注入部位コネクタの非対称的な特徴、例えば非対称的なポスト、非対称的なポストレセプタクル、保持クリップ、アライメント用ポスト、及び/又はキー及びキー溝の任意の組み合わせを使用して、薬剤A用の単一薬剤注入部位コネクタを薬剤B用のものから区別し得る。いくつかの実施形態において、そのような特徴はまた、薬剤Aのみを注入する注入システムの単一の薬剤の実装形態がポンプハウジングの薬剤Aチャンバのみを使用し、及び薬剤Bのみを注入する注入システムの単一の薬剤の実装形態がポンプハウジングの薬剤Bチャンバのみを使用することを保証するために使用され得る。いくつかの実施形態において、このようにして、2薬剤注入部位コネクタを製造するために使用される同じ型は、薬剤Aのみ又は薬剤Bのみを注入する注入システムの単一の薬剤の実装形態のための単一薬剤注入部位コネクタに役立つ。従って、注入システムの2薬剤実装形態に役立つ2薬剤注入部位ベース、2薬剤注入部位コネクタ、チューブ、及び針コネクタの構成要素は、注入システムの、一方は薬剤A用及び一方は薬剤B用の2つの別個の単一の薬剤の実装形態のうちの一方に役立つために使用され得る。
【0142】
いくつかの実施形態において、ソフトウェア(注入システムに組み込まれるか又はスマートフォン又はタブレット等の補助装置で実行されるかのいずれか)を使用して、2薬剤注入システム、ポンプハウジングの薬剤Aチャンバのみを使用する単一薬剤注入システム、又はポンプハウジングの薬剤Bチャンバのみを使用する単一薬剤注入システムのいずれかとして構成されるように注入システムを構成し得る(自動的に及び/又は手動で)。いくつかの実施形態において、これらの3つの構成のうちのいずれかが実装されると、2薬剤注入部位コネクタ又は適切な単一薬剤注入部位コネクタ(薬剤A又は薬剤Bのいずれかに関連する)が特定の構成に適合するように選択され得る。
【0143】
1つ又は複数の部位コネクタを伴ういくつかの実施形態において、各部位コネクタは、少なくとも1つの保持クリップの作用によって部位ベースに接続するように設計され得る。部位ベースへ部位コネクタを接続することにより、まっすぐな、傾斜のついた、中空のステンレス鋼の針が部位ベースの隔壁を穿刺できるようにする(図9及び図12に示すように)。いくつかの実施形態において、部位コネクタ内のまっすぐな、傾斜のついた、中空のステンレス鋼の針が部位ベースの部位ベース隔壁を穿刺すると、それは90度の傾斜付きの中空のステンレス鋼の針との流体の連続性をもたらし、針は送出空間に薬剤を送出し得る。いくつかの実施形態において、この配置構成は、各薬剤に対し、薬剤タンクから患者への閉鎖型の、独立した、解放された、及び連続的な流路を生じ得る(例えば、経皮的、皮内に、皮下に、筋肉内に、静脈内に等への送出)。いくつかの実施形態において、各部位ベースは、物理的に独立し得、及び繰り返し部位コネクタに対して接続するか又は接続を切ることができる。
【0144】
部位ベースの使用を伴ういくつかの実施形態において、90度の傾斜付きの中空のステンレス鋼の針は、部位ベースにオーバーモールド、結合、圧入、接着、溶媒接着、インサート成形、又は他の方法で取り付けられ得る。いくつかの実施形態において、インサート成形以外の例として、そのような90度の傾斜付きの中空のステンレス鋼の針は、ソフトなデュロメータのチューブで覆われ得、これは、部位ベース隔壁に圧入されて、部位ベースの外部にサブアセンブリを生じ得る。いくつかの実施形態において、その後、このサブアセンブリは、部位ベースのキャビティ内に配置され得(図9及び図12に示すように)、及びプラグ(図示せず)を使用して、サブアセンブリを確実に適所に保持するのと同時に流体の密閉を保証し得る。
【0145】
部位ベース、90度の傾斜付きの中空のステンレス鋼の針の使用を伴ういくつかの実施形態において、針は、部位ベースの中心又は中心近くから突出するように設計され得る。いくつかの実施形態において、この配置構成により、その意図した使用の全てにおいて部位ベースが皮膚の表面に付着したままになる可能性を増加させる。
【0146】
部位コネクタが部位ベースに接続され得る又はそこから接続を切られ得る多薬剤を伴ういくつかの実施形態において、部位コネクタ及び部位ベースは、文字又は他の視覚的なインジケータ等の特徴を含んで、間違った部位コネクタ又は部位ベースへの部位ベース又は部位コネクタの誤接続を防止するのを支援し得る。いくつかの実施形態において、そのような文字又は他の視覚的なインジケータ(色等)は、誤接続を機械的に防止する物理的特徴に加えて使用され得る。いくつかの実施形態において、文字又は他の視覚的なインジケータは、隆起されかつベース材料と異なって色付けされて可視性を高め得る。
【0147】
部位コネクタが部位ベースに接続され得る又はそこから接続を切られ得る、多薬剤を伴ういくつかの実施形態において、部位コネクタ及び部位ベースは、誤った部位コネクタ又は部位ベースへの部位ベース又は部位コネクタの誤接続を防止する非対称的なポスト用レセプタクル、保持クリップ、アライメント用ポスト、及び/又はキー及びキー溝等の特徴を含み得る。
【0148】
1つ又は複数の部位コネクタを伴ういくつかの実施形態において、各部位コネクタは、少なくとも1つの保持スロットに収まる少なくとも1つの保持クリップの作用により、部位ベースに接続するように設計され得る。1つの保持クリップ及び保持スロットの対のみが各部位コネクタ及び部位ベースの対で使用され得る、2つの薬剤を伴ういくつかの実施形態において、保持クリップ及び保持スロットは、部位コネクタ及び部位ベースの内側面又は外側面(図7~9に示すように)に存在し得る。保持クリップ及び保持スロットが一方の部位コネクタ及び部位ベースの対の外側面、及び他方の部位コネクタ及び部位ベースの対の内側部位に存在する場合、一体型の丁番を作動するために同じ指を使用できるようにすることによってユーザに使いやすさをもたらす。この場合、誤った部位ベースへの部位コネクタの誤接続は、非対称的なポスト及び非対称的なポスト用レセプタクルが存在することによって依然として防止される。
【0149】
2つの薬剤を伴ういくつかの実施形態において、右部位コネクタ及び左部位コネクタ(図8図9、及び図13に示すように)は、2薬剤注入部位コネクタを含み、物理的に独立され得、及び2薬剤注入部位ベースへの2薬剤注入部位コネクタの誤接続を防止する非対称的なポスト用レセプタクル、保持クリップ、アライメント用ポスト、及び/又はキー及びキー溝等の特徴を含み得る。
【0150】
2つの薬剤を伴ういくつかの実施形態において、右(第1の)部位ベース及び左(第2の)部位ベース(図7図9、及び図13に示すように)は、2薬剤注入部位ベースを含み、物理的に独立され得、及び2薬剤注入部位ベースへの2薬剤注入部位コネクタの誤接続を防止する保持スロット(図9に示す)、非対称的なポスト、及びアライメント用ポスト用レセプタクル等の特徴を含み得る。
【0151】
いくつかの実施形態において、部位コネクタ及び部位ベースは、多薬剤構成からの任意の部位コネクタ及び部位ベースの対を単一の薬剤構成(図10~12に示すような)において個別に使用して、単一の薬剤部位コネクタ及び部位ベースが多薬剤部位コネクタ及び部位ベースと同じ器具から製造され得るように設計される。
【0152】
多薬剤を伴ういくつかの実施形態において、部位コネクタには、部位コネクタの全て、若しくは部位コネクタのいくつかの群を結合し得るか、又は部位コネクタを全く結合しないことができる1つ以上の部位コネクタカバーが供給され得、各部位コネクタには、それ自体の部位コネクタカバーが供給され得るようにする。部位コネクタカバーは、繰り返し部位コネクタに対して接続されかつ接続を切られ得、及びそれらを曝露から保護する(図8Aに示すように)。同様に、部位ベースには、部位ベースの全て、若しくは部位ベースのいくつかの群を結合し得るか、又は部位ベースを全く結合しないことができる1つ以上の部位ベースカバーが供給され得、各部位ベースには、それ自体の部位ベースカバーを供給され得るようにする。部位ベースカバーは、部位ベースに対して繰り返し接続されかつ接続を切られ得、及びそれらを曝露から保護する(図13に示すように)。
【0153】
各部位ベースがそれ自体の部位ベースカバーを供給され、かつ各部位コネクタがそれ自体の部位コネクタカバーを供給される、単一薬剤又は多薬剤を伴ういくつかの実施形態において、部位ベースカバー及び部位コネクタカバーは、それぞれ部位ベース及び部位コネクタと同じ器具から製造され得る。いくつかの実施形態において、各部位ベースカバーは、まっすぐな、傾斜のついた、中空のステンレス鋼の針及びチューブを含まなくてもよく、各部位コネクタカバーは、90度の傾斜付きの中空のステンレス鋼の針及び部位ベース隔壁を含まなくてもよい。
【0154】
単一薬剤又は多薬剤を伴ういくつかの実施形態において、1つ又は複数の部位ベースには、部位コネクタと同じ方法で1つ又は複数の部位ベースに接続し、かつ1つ又は複数の部位ベースを適用するためのハンドルを提供する部位ベースインサータが供給され得る(図7及び図10に示すように)。いくつかの実施形態において、部位ベースインサータによって提供されたハンドルは、部位ベースを手動で適用するか、又は1つ又は複数の部位ベースをバネ装填インサータ等の自動挿入装置に装填するために使用され得る。いくつかの実施形態において、複数の部位ベースの場合、1つ以上の部位ベースインサータは、部位ベースの全て、若しくは部位ベースのいくつかの群を結合し得るか、又は部位ベースを全く結合しないことができ、各部位ベースには、それ自体の部位ベースインサータが供給され得る。いくつかの実施形態において、部位ベースインサータの除去は、いずれの結合済みの部位ベースをも切り離す。
【0155】
いくつかの実施形態において、注入ポンプは、各カートリッジがその対応するポンプチャンバ完全に装填されて固定されたときは常に別々に検出する、カートリッジ検出ハードウェア-ソフトウェアシステムを備え得る。いくつかの実施形態において、本明細書で説明される設計は、正しい薬剤カートリッジのみがその対応するポンプチャンバに完全に装填されかつ固定されることを保証し得るので、カートリッジ検出システムは、本明細書で説明される設計と一緒に機能するとき、注入ポンプシステムに、いずれの特定の薬剤が潜在的な注入に利用可能であるかを効果的かつ確証的に知らせ得る。いくつかの実施形態において、任意の時点での潜在的な注入に関する各薬剤の利用可能性ステータスはまた、それに応じて注入ポンプシステムがその動作モードを設定できるようにする。いくつかの実施形態において、例えば、デュアルチャンバポンプの場合、適所にある両方のカートリッジの検出は、注入ポンプシステムがデュアル注入モードで動作できるようにする一方、適所にある一方のカートリッジを検出するが他方のカートリッジを検出しないと、注入ポンプシステムを、適所にあると検出されるカートリッジに対応する薬剤に固有の単一注入モードで動作させる。いくつかの実施形態において、この検出能力は、カートリッジが適所にあるとき又は過渡的に又は一時的に適所にないときを含め、リアルタイムで自律的に決定される。
【0156】
いくつかの実施形態において、注入ポンプはまた、カートリッジから、対応するチューブ全体を通って、対応する部位ベースの遠位端部を出るまでのいずれの箇所でも、各カートリッジに関連する流体送出経路が妨害されたり又は塞がれたりするときは常に、別々に検出する、送出閉塞ハードウェア-ソフトウェア検出システムをも備え得る。いくつかの実施形態において、本明細書で説明される設計は、正しいチューブアセンブリ及び部位ベースのみがそれらの対応するカートリッジに接続され得ることを保証し得るので、閉塞検出システムは、本明細書で説明される設計と一緒に機能するとき、注入ポンプシステムに、いずれの特定の薬剤が解放され流体送出経路を有するかを効果的かつ確証的に知らせる。
【0157】
いくつかの実施形態において、両方のカートリッジ及び閉塞検出システムが同時に存在する場合、注入ポンプは、任意の時点で、いずれの薬剤がユーザに送出可能であるかを確証的に決定し得る。いくつかの実施形態において、その後、注入ポンプは、いずれのカートリッジが適所にあるかを、それらの対応する流体送出経路の開存性と併せて検出した通りに、その動作モードを自律的に設定し得る。いくつかの実施形態において、インスリン又はインスリン類似体、ならびに対抗制御的薬剤(例えば、グルカゴン、グルカゴン類似体、又はデキストロース)を送出することにより、自律的に血糖値を制御するデュアルチャンバポンプの特殊な例において、そのようなカートリッジ及び閉塞検出システムは、本明細書で説明される設計と一緒に機能するとき、実際に、注入ポンプシステムを、インスリンのみ、又は対抗制御的薬剤のみ、又はそれらの両方を送出する特定の構成通りにできる。更に、いくつかの実施形態において、そのような実装形態はまた、流路の利用可能性がリアルタイムで変化し得る場合を含め、いずれかの送出流路が送出に利用不能になるときは常に(カートリッジ検出、閉塞検出、又はそれらの両方によって知らされるかに関わらず)、デュアルチャンバ注入ポンプシステムがその動作モードをリアルタイムで自律的に切り替えることができるようにする。いくつかの実施形態において、カートリッジ及び閉塞検出方法は、数例を挙げると、カートリッジ検出の場合には磁場若しくは電気信号フィードバックに依拠する技術、又は閉塞検出の場合には背圧検出若しくは流量センサ技術に依拠する技術を含み、これらには限定されない、様々なハードウェア及びソフトウェアの実装形態を通して実現され得る。
【0158】
いくつかの実施形態において、1つのベース、コネクタ、ハウジング、注入口コネクタ、注入口コネクタカバー、鍔部、薬剤タンク、又はポンプアセンブリの文脈で説明された特徴は、混合及び適合され、かつ他のベース、コネクタ、ハウジング、注入口コネクタ、注入口コネクタカバー、鍔部、薬剤タンク、又はポンプアセンブリで異なる組み合わせで使用され得る。例えば、誤チャネル配置を防止する上述のいずれの特徴も、他の実施形態から省略され得るか又はそれに追加され得る。冗長特徴は、薬剤送出システムの構成要素に追加され得るか又はそれから省略され得る。
【0159】
ここに示された例は、多薬剤用の注入システム、並びに患者への各薬剤の適切な流路形成を保証するための様々なコネクタ、チューブ、及びカートリッジの設計に対する一般的方法の代表であることを意味する。タブ、突起、及び特徴、並びに対応するキャビティ、溝、キー溝、又はスロットの幾何学的形状、サイズ、向き、位置、及び数は、単にここで示す特定の例の非常に豊富な種類の例を意味するに過ぎない。
【0160】
例えば、本明細書の他の箇所で説明するように、ここに示されるキャップコネクタ上のタブ、隆起、及び特徴と、ポンプハウジング内にある対応するキャビティ、溝、キー溝、又はスロットとの間の分離度、又は先付け鍔部アセンブリ上のタブ、突起、及び特徴と、キャップコネクタ上の対応するキャビティ、溝、キー溝、又はスロットとの間の分離度は、ここに示す例より近くに又はより遠くに配置されるように一般化され得る。更に、ここに示されるキャップコネクタ上及びポンプハウジング内の対応するキャビティ、溝、キー溝、又はスロット上のタブ、突起、及び特徴の数、又は先付け鍔部アセンブリ上のタブ、突起、及び特徴の数、及びキャップコネクタ設計上の対応するキャビティ、溝、キー溝、又はスロットの数は、1つ、2つ、又は3つ以上のそのような特徴に一般化され得、これらは、ここに示す例と異なるサイズ、形状、向き、及び位置を有してもよい。更に、上述の通り、ここに示す先付け鍔部アセンブリ上のタブ、突起、及び特徴の位置、及びキャップコネクタ設計上の対応するキャビティ、溝、キー溝、又はスロットの位置は、カートリッジのネック又はヘッド(又は冠部)領域に限定される必要はない。例えば、先付け鍔部アセンブリとキャップコネクタとの間の係合点は、代替として、カートリッジの本体上のいずれか他の箇所に発生し得るか、又はカートリッジの全長にわたって延在し得る。いくつかの実施形態において、ここで説明する先付け鍔部アセンブリ上のタブ、突起、及び特徴は、その代わりに、カートリッジの表面上に直接現れ得(射出成形カートリッジの場合等)、これは、薬剤が事前充填されるか又は薬剤が事前充填されていないかのいずれかである。
【0161】
いくつかの実施形態において、ここで説明するカートリッジは、ここで説明する先付け鍔部アセンブリがカートリッジに設置される前又は後に、薬剤が事前充填されるか又は薬剤が事前充填されていないかのいずれかであり得る。後者の場合、そのようなカートリッジは、ケアする時点を含めて、製造プロセス後しばらくして、薬剤が充填され得る。
【0162】
いくつかの実施形態において、例えばケアする時点で薬剤が充填されるカートリッジの場合、キャップコネクタは、奥まった箇所に置かれた針を含まなくてもよく、むしろ、図50示すように、標準的なルアーロック又は他の機構を使用して前記カートリッジと結合し得、ここで、薬剤は、初めに針を通過することなくカートリッジからチューブ内へ直接流れる。この場合、ここで説明する先付け鍔部アセンブリ上のタブ、突起、及び特徴は、依然としてキャップコネクタの表面上に現れる。
【0163】
いくつかの実施形態において、薬剤の誤った流路形成は、1つのカートリッジが1つの薬剤で事前充填され、及び第2のカートリッジがケアする時点で異なる薬剤を充填される場合(図5A~5Cで説明される実施形態を使用して)、依然として回避される。1つのカートリッジのみがケアする時点で薬剤充填される必要があり、及び他の全てのカートリッジは薬剤が事前充填されている限り、ここで説明する設計は薬剤の誤った流路形成を防止し得る。
【0164】
いくつかの実施形態において、上述の特徴及び構成要素は、再使用可能なペン型注射器(例えば、インスリンペン等)に適用可能である。いくつかの実施形態において、各鍔部、キャップ、入力コネクタ等が、ペン型注射器によって送出される間違った投薬を防止するために適用され得る。例えば、上述のような一意の特徴の第1の組を有する
1つの一意のカートリッジが、嵌合型ペン型注射器を介して患者に長時間作用型インスリンを送出するために使用され得る。上述のような一意の特徴の第2の組を備える別の一意のカートリッジは、異なる嵌合型ペン型注射器を介して患者に即効型又は超即効型インスリン類似体を送出するために使用され得る。さらなる例として、これらの特徴を使用して、より濃度の濃いインスリン類似体とより濃度の薄いインスリン類似体とを差別化し得る(例えば、U100、U200、又はU500インスリン類似体)。
【0165】
いずれの実施形態に対する上述の薬剤も、患者の1つ以上の状態を治療、調節、制御又は対処するための任意の好適な化合物又は薬物を含み得る。糖尿病が標的であるが、他の状態(例えば、膵機能障害)も対処され得る。薬剤は、例えば患者の血糖値を調節するインスリン等の調節剤、及び/又は特定の状況では、より効果的に血糖を調節するためのグルコース又はグルカゴン等の対抗制御的薬剤を含み得る。他のタイプの作用物質も使用され得る。
【0166】
いくつかの実施形態において、患者への各薬剤の適切な流路形成を保証する、様々な針部位、コネクタ、チューブ、及びカートリッジを伴う多薬剤用の注入システムが提供される。いくつかの実施形態において、注入システムは注入ポンプを含む。いくつかの実施形態において、注入システムは、2つ以上のポンプチャンバを備える注入ポンプを含む。いくつかの実施形態において、注入システムは、ケアする時点で異なる薬剤を充填され得る(又は異なる薬剤が事前充填され得る)カートリッジを含む。いくつかの実施形態において、注入システムは、薬剤の誤った流路形成又はクロスチャネリングを防止するように、カートリッジを注入ポンプに接続するコネクタ及びチューブを含む。いくつかの実施形態において、各タイプの薬剤のための各タイプのカートリッジは、一意の区別がつくサイズ、形状、及び/又は幾何学的特徴(カートリッジの一体部分として、又はカートリッジに取り付けられた若しくは付着された構成要素としてのいずれか)を有し、これらは、それ自体がポンプハウジング内の対応する特徴に係合する一意の区別がつく特徴を有するタイプのコネクタと一意に結合できるようにし、かつ注入ポンプ内の適切なポンプチャンバへの適切なカートリッジの挿入のみを可能にする。
【0167】
いくつかの実施形態において、上述のシステムは、単一の薬剤の又は薬剤の組み合わせの送出に使用され得る。例えば、いくつかの実施形態において、注入セットは、作用物質A(例えば、インスリン)を送出するために使用され得るが、その注入セットの特徴は、作用物質B(例えば、グルカゴン)用の薬剤タンクと互換性がない。代替として、いくつかの実施形態において、注入セットは、作用物質Bを送出するために使用され得るが、その注入セットの特徴は、作用物質A用の薬剤タンクと互換性がない。さらに、いくつかの実施形態において、上述の通り、2薬剤が、誤った流路形成(例えば、2つのホルモン送出、2薬剤送出等)なしに送出され得る。上述の開示から明らかなように、誤った流路形成をすることなしに、複数の薬剤(例えば、2つ、3つ、又は4つ以上)を送出するための構成が提供され得る。
【0168】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示された注入システムを製造する方法が提供される。いくつかの実施形態において、患者への各薬剤の正しい流路形成を確実にするさまざまな針部位、コネクタ、チューブ、及びカートリッジが組み立てられる。いくつかの実施形態において、この方法は、注入システムと注入ポンプとを組み立てることを含む。いくつかの実施形態において、この方法は、注入システムと、2つ以上のポンプチャンバを有するポンプとを組み立てることを含む。いくつかの実施形態において、この方法は、注入システムと、薬剤の誤った流路形成及びクロスチャネリングを防ぐようなやり方でカートリッジを注入ポンプに接続するコネクタ及びチューブとを組み立てることを含む。いくつかの実施形態において、各タイプの薬剤のための各タイプのカートリッジが、一意の区別がつくサイズ、形状、及び/又は幾何学的特徴(カートリッジの一体部分として、又はカートリッジに取り付けられた若しくは付着された構成要素としてのいずれか)を有するように組み立てられ、これらは、それ自体がポンプハウジング内の対応する特徴に係合する一意の区別がつく特徴を有するタイプのコネクタと一意に結合できるようにし、かつ注入ポンプ内の適切なポンプチャンバへの適切なカートリッジの挿入のみを可能にする。
【0169】
いくつかの実施形態において、ポンプはコントローラを含み得る。いくつかの実施形態において、コントローラはメモリ及び1つ以上のハードウェアプロセッサを有する。メモリは、ポンプ又は注入システムのためのコンピュータ実行可能な命令を記憶する非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体を含み得る。実行可能な命令は、上述のプロセス及び機能に対応し得る。例えば、実行可能な命令は、上述の検出シーケンス、及び/又は、光学コードの読み取り、値の操作、及び/又は本明細書の他の箇所で説明されているような表示の提供のような他のプロセスに対応し得る。いくつかの実施形態において、実行可能な命令は、ポンプのハードウェア構成要素、例えばモータ、スキャナ等を制御するための命令をも含む。実行可能な命令は、C、C++、JAVA、又は他のいかなる適したプログラミング言語でも実装され得る。いくつかの実施形態において、コントローラは電子回路、例えばASICのような特定用途向け回路及びFPGAを含み得、実行可能な命令の一部又は全部は電子回路を用いて実装され得る。
【0170】
ある実施形態において、コンピュータ実行可能な命令を記憶するコンピュータ読み取り可能な媒体は、1つ以上のハードウェアプロセッサで実行されるときに、1つ以上のハードウェアプロセッサに以下の1つ以上を実行させる。すなわち、薬剤タンクのプランジャを動かすのに十分ではない力でドライブナットを進ませる、ドライブナットがプランジャに接触したときに検出する、プランジャが適切又は不適切に配置された薬剤のものであるかどうかを決定する、薬剤タンクが薬剤を送出するのに適切である場合にドライブナットに与えられる力を増加させて薬剤を送出する、又は薬剤タンクがポンプに不適切に配置されている場合にドライブナットに与えられる力を減少及び/又は停止させる、及び/又はドライブナットを引っ込める。
【0171】
ある実施形態において、コンピュータ実行可能な命令を記憶するコンピュータ読み取り可能な媒体は、1つ以上のハードウェアプロセッサで実行されるときに、1つ以上のハードウェアプロセッサに以下の1つ以上を実行させる。すなわち、ポンプに存在する薬剤タンクに関する情報を受け取る、薬剤タンクをポンプアセンブリ上の薬剤設定と比較する、薬剤タンクに必要な設定のポンプ上の設定との比較の少なくとも一部に基づいて薬剤設定からの逸脱、又は薬剤設定に近いことを表示する、及び/又は、存在する薬剤タンクに基づいてポンプの設定を適切な薬剤設定に一致するように調節する。
【0172】
注入アセンブリの1つ以上の設定、又は本明細書の他の箇所で説明されている他の情報は、1つ以上の実行可能なプログラムモジュールとして、コントローラのメモリ内及び/又は非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体上に記憶され得、システムは、ネットワーク又は他の通信リンクを介して計算資産と相互作用し得る。いくつかの実施形態において、システムは、上述に比べて、更なる構成要素又はより少ない構成要素を有し得る。例えば、ポンプのコントローラは、ネットワークを介してサーバ又は他の計算デバイスと通信し得る。
【0173】
実施形態によっては、本明細書で説明されるいかなるプロセッサ又はアルゴリズムの特定の行動、イベント、又は機能も、異なるシーケンスで実行され得、加えられ、マージされ、又は全く省略され得る(例えば、説明された動作又はイベントの全てがアルゴリズムの実行に必要なわけではない)。更にある実施形態において、動作又はイベントは、例えば、マルチスレッド処理、割り込み処理、又は複数のプロセッサ若しくはプロセッサコアを通して、又は他のパラレルアーキテクチャ上で、シーケンシャルにではなく、同時に実行され得る。
【0174】
本明細書で開示された実施形態に関連して説明されたさまざまな図示された論理ブロック、モジュール、ルーチン、及びアルゴリズムステップは、コントローラに関して上述されたように、電子ハードウェアとして、又は電子ハードウェアと実行可能なソフトウェアとの組合せとして実装され得る。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図6I
図6J
図6K
図6L
図6M
図6N
図6O
図6P
図6Q
図6R
図6S
図6T
図6U
図6V
図6W
図6X
図6Y
図6Z
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E