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特許7175933本底部を有するバッグおよびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】本底部を有するバッグおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A45C 13/36 20060101AFI20221114BHJP
   A45C 3/04 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
A45C13/36 E
A45C3/04 D
A45C3/04 F
A45C13/36 G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020059638
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021154043
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2021-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】300085381
【氏名又は名称】株式会社 リフト
(74)【代理人】
【識別番号】100074169
【弁理士】
【氏名又は名称】広瀬 文彦
(72)【発明者】
【氏名】藤木 修一
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3098019(JP,U)
【文献】特開2018-008477(JP,A)
【文献】実公昭43-001154(JP,Y1)
【文献】実公昭10-018042(JP,Y1)
【文献】特開平11-000216(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0190601(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 1/00~15/08
A45F 3/00~ 5/14
A43B 1/00~23/30
A43C 1/00~19/00
A43D 1/00~999/00
B29D 35/00~35/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッグの底を形成する本底部(10)と、本底部に重装される中底部(20)と、前記本底部と前記中底部とに挟装縫合される筒体からなる胴部(30)と、前記胴部上端部に連接される持ち手(40)と、からなる本底部を有するバッグにおいて、
前記本底部を有するバッグは、前記本底部(10)と前記中底部(20)と前記胴部(30)とをマッケイ縫いによって下端部側において挟装縫合することでバッグの強度・耐久性を高めるとともに高いデザイン性を確保するため、前記胴部(30)は、前記中底部(20)の外周に沿って下端部を内側に折り曲げて接合する接合部(32)を有しており、
前記接合部(32)は、前記中底部(20)の外周に沿って前記胴部(30)の下端部を延設した上で内側に折り曲げて形成した部材であり、前記接合部(32)が前記中底部(20)を包むように釣り込まれて中底部(20)に密着した上で、接合部(32)と中底部(20)とが釘または接着剤によって固着され、前記胴部(30)が固着された前記中底部(20)の下面に前記本底部(10)を接合させた上で、各々の周縁部分を縫糸(50)によって貫通縫合してなることを特徴とする本底部を有するバッグ。
【請求項2】
前記本底部(10)と中底部(20)と胴部(30)は、革もしくは人工合成革材からなることを特徴とする請求項1に記載の本底部を有するバッグ。
【請求項3】
前記本底部(10)は、革、人工合成革材、合成ゴム又は天然ゴムのうちの何れか一の材質からなるとともに、前記中底部(20)と胴部(30)は、革、人工合成革材、生地、合成ゴム、天然ゴム又はビニールのうちの何れか一またはこれら複数の材質からなることを特徴とする請求項1に記載の本底部を有するバッグ。
【請求項4】
バッグの底を形成する本底部(10)と、本底部に重装される中底部(20)と、前記本底部と前記中底部とに挟装縫合される筒体からなる胴部(30)と、前記胴部上端部に連接される持ち手(40)と、からなる本底部を有するバッグの製造方法において、
前記製造方法は、
前記胴部(30)を中空の筒状に形成する胴部形成工程(100)と、
前記中底部(20)の外周に沿って前記胴部(30)の下端部を延設した上で内側に折り曲げて接合部(32)を形成するとともに、前記接合部(32)を前記中底部(20)の下面に巻き付けて密着させた上で、釘または接着剤によって固着する釣込工程(200)と、
前記本底部(10)を、前記胴部(30)が固定された前記中底部(20)の下面に接合させた上で、縫糸によって貫通縫合する本底部形成工程(300)と、
前記胴部(30)の上端部に持ち手(40)を連接する持手形成工程(400)と、
からなり、
前記本底部形成工程(300)は、バッグの強度・耐久性を高めるとともに高いデザイン性を確保するため、前記本底部(10)と前記中底部(20)と前記胴部(30)とを、太糸ミシンによりマッケイ縫いによって貫通縫合する構成からなることを特徴とする本底部を有するバッグの製造方法。
【請求項5】
前記本底部(10)と中底部(20)と胴部(30)は、革もしくは人工合成革材からなることを特徴とする請求項4に記載の本底部を有するバッグの製造方法。
【請求項6】
前記本底部(10)は、革、人工合成革材、合成ゴム又は天然ゴムのうちの何れか一の材質からなるとともに、前記中底部(20)と胴部(30)は、革、人工合成革材、生地、合成ゴム、天然ゴム又はビニールのうちの何れか一またはこれら複数の材質からなることを特徴とする請求項4に記載の本底部を有するバッグの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッグおよびその製造方法に関し、特に、バックの底部分に堅強な本底部を設けることにより、バッグの耐久性やデザイン性を高めることを可能とした本底部を有するバッグおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、様々な、バッグやその製法が考案され、幅広く用いられている。バッグは、様々な形状のものが存在するが、その中でもトートバッグやショルダーバッグは、数多くのデザインがある。トートバッグやショルダーバッグは、多くは略円筒状からなる構造のもの、または前面・背面を備える胴部を有しており、上部には開口が設けられるとともに、平らな底部が無いか、底側が平らになるように胴部同士を縫合されていたり、或いは底部材を別途用意して縫合する構成であったりするが、何れにしても、基本的にはバッグ全体として全て同じ材質のものを用いるのが一般的である。
【0003】
バッグの強度を高めるための技術としては、例えば、特開2018-33495号公報が存在する。ここでは、鞄の底部強度を確保するための技術であって、鞄を構成する前胴、後胴、一対の横マチ部、および底部が、1枚の略長方形のシートにより構成されており、シートの長手方向略中央部に、左右方向の両端縁から略ハの字の切込を左右対称にそれぞれ形成することで、切込に挟まれた中央舌片と、中央舌片と挟んで位置する2つの側部舌片との3片の舌片が構成され、2つの側部舌片をそれぞれ中央舌片と重ねるとともに、切込の左右方向内側で中央舌片とそれぞれ縫合して、底部強度材を構成する技術が開示されている。
【0004】
確かにこの技術によれば、鞄の底部の強度を高めることが可能になるが、構造が繁雑になるとともに、デザイン性に劣ることになるという問題点があった。
【0005】
また、特開2002-363838号公報では、盗難防止用に耐切創性と柔軟性の特性を同時に有する鞄に関する技術であって、少なくとも複数本の金属素線からなる金属ロープと合成繊維糸条とで構成されたシート状物からなる鞄地を側地で縫合して構成する鞄が開示されている。
【0006】
この技術によれば、確かにバッグの強度を確保することが可能となるが、バッグ全体としてのデザイン性に欠けるという問題点があった。特に、材質が特殊であるため、製造コストがかかるうえ、デザインの柔軟性に欠けるという致命的な問題点が内在するものであった。
【0007】
一方、強度を重視する靴の製造に用いられる方法として、グットイヤー・ウェルト製法やマッケイ製法などの製造方法が存在することが知られている。これらの製法は、使用時に高負荷の掛かる靴の強度を確保するための靴の縫合方法に係るものであるが、このような製法をバッグの製造に取り入れると、十分な強度を有するとともにデザイン性にも優れたバッグを提供することが可能となる。
【0008】
そこで、十分な強度と実用性を有するとともにデザイン性にも優れたバッグを提供するために靴の製造方法を応用したバッグの製造方法や、この方法によって製造したバッグの開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2018-33495号公報
【文献】特開2002-363838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記問題を解決するために、バッグおよびその製造方法であって、特に、バッグの底となる部分に強度を有する材質からなる堅強な本底部を設けることにより、バッグの強度・耐久性・実用性を高めると同時に、高いデザイン性ならびに特異性(個性)を創造することを可能とした本底部を有するバッグおよびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために本発明に係る本底部を有するバッグは、バッグの底を形成する本底部と、本底部に重装される中底部と、前記本底部と前記中底部とに挟装縫合される筒体からなる胴部と、前記胴部上端部に連接される持ち手と、からなる本底部を有するバッグであって、前記本底部を有するバッグは、前記本底部と前記中底部と前記胴部とをマッケイ縫いによって下端部側において挟装縫合することでバッグの強度・耐久性を高めるとともに高いデザイン性を確保するため、前記胴部は、前記中底部の外周に沿って下端部を内側に折り曲げて接合する接合部を有しており、前記接合部は、前記中底部の外周に沿って前記胴部の下端部を延設した上で内側に折り曲げて形成した部材であり、前記接合部が前記中底部を包むように釣り込まれて中底部に密着した上で、接合部と中底部とが釘または接着剤によって固着され、前記胴部が固着された前記中底部の下面に前記本底部を接合させた上で、各々の周縁部分を縫糸によって貫通縫合してなる構成である。
【0012】
また、前記本底部と中底部と胴部は、革もしくは人工合成革材からなる構成である。
また、前記本底部は、革、人工合成革材、合成ゴム又は天然ゴムのうちの何れか一の材質からなるとともに、前記中底部と胴部は、革、人工合成革材、生地、合成ゴム、天然ゴム又はビニールのうちの何れか一またはこれら複数の材質からなる構成である。
【0013】
また、本発明に係る本底部を有するバッグの製造方法は、バッグの底を形成する本底部と、本底部に重装される中底部と、前記本底部と前記中底部とに挟装縫合される筒体からなる胴部と、前記胴部上端部に連接される持ち手と、からなる本底部を有するバッグの製造方法であって、前記製造方法は、前記胴部を中空の筒状に形成する胴部形成工程と、前記中底部の外周に沿って前記胴部の下端部を延設した上で内側に折り曲げて接合部を形成するとともに、前記接合部を前記中底部の下面に巻き付けて密着させた上で、釘または接着剤によって固着する釣込工程と、前記本底部を、前記胴部が固定された前記中底部の下面に接合させた上で、縫糸によって貫通縫合する本底部形成工程と、前記胴部の上端部に持ち手を連接する持手形成工程と、からなり、前記本底部形成工程は、バッグの強度・耐久性を高めるとともに高いデザイン性を確保するため、前記本底部と前記中底部と前記胴部とを、太糸ミシンによりマッケイ縫いによって貫通縫合する構成からなる構成である。
【0014】
また、前記本底部と中底部と胴部は、革もしくは人工合成革材からなる構成である。
また、前記本底部は、革、人工合成革材、合成ゴム又は天然ゴムのうちの何れか一の材質からなるとともに、前記中底部と胴部は、革、人工合成革材、生地、合成ゴム、天然ゴム又はビニールのうちの何れか一またはこれら複数の材質からなる構成でもある。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、上記詳述した通りの構成であるので、以下のような効果がある。
1.バッグの底を構成する部分に靴と同様の構造からなる本底部を設ける構成としたため、バッグの強度・耐久性・実用性を高めるとともに、高いデザイン性・個性を確保することが可能となる。
2.本底部と中底部と胴部を革もしくは人工合成革材で構成したため、バッグの底部分の強度が高まり、バックを置いた際の自立・安定性が確保できるとともに、重いものを入れた際の型崩れを防止することが可能となる。
【0017】
3.本底部を革、人工合成革材、合成ゴム若しくは天然ゴムで構成した上で、中底部と胴部を革、人工合成革材、生地、合成ゴム、天然ゴム、ビニール等で構成したため、本底部の強度を確保するとともに、あらゆる材質で中底部と胴部を形成して様々な質感・デザインからなるバッグを構成することが可能となる。
4.バッグの製造方法として、胴部の下端部を中底部の下面に固着する釣込工程と、本底部と中底部とを縫糸によって貫通縫合する本底部形成工程とを含む構成としたため、本底部を靴底のように強固に固定することが可能となり、バッグの強度・耐久性を高めることが可能となるとともに、デザイン性の高いバッグを提供することが可能となる。
【0018】
5.本底部と中底部と胴部を革もしくは人工合成革材で構成する製造方法としたため、バッグの底部分の強度を高めるとともに、重いものを入れた際の型崩れを防止したバッグを製造することが可能となる。
6.本底部を革、人工合成革材、合成ゴム若しくは天然ゴムで構成した上で、中底部と胴部を革、人工合成革材、生地、合成ゴム、天然ゴム、ビニール等で構成する製造方法としたため、本底部の強度が確保され、更に、様々な質感・デザインからなるバッグを製造することが可能となる。
【0019】
7.本底部形成工程をマッケイ縫いによって縫合する構成としたため、本底部と中底部との縫合を強固とすることが可能になるとともに、靴を製造する要領で靴を作るための機器を用いてバッグを製造することが可能となる。
8.本底部形成工程を太糸ミシンにより縫合する構成としたため、より強固な本底部を有するバッグを製造することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る本底部を有するバッグおよびその製造方法を、図面に示す実施例に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る本底部を有するバッグの断面図であり、図2は、本底部を有するバッグの製造方法の工程を示すフロー図である。
【0021】
本発明の本底部を有するバッグ1は、本底部10と、中底部20と、胴部30と、持ち手40と、からなり、強度・耐久性・実用性を高めると同時に、高いデザイン性・個性を確保したバッグである。
【0022】
本底部10は、本発明に係るバッグの底部分を形成する部材である。本底部10は、本実施例では、図1に示すように、厚みを有する堅固な材質からなる構成である。なお、本実施例におけるバッグの底部分とは、バッグの底側の土台部分を形成する独立したパーツのことであり、バックの種類や形状に応じて、例えば、円形、楕円形、四角形などあらゆる形状をとることができる平らな板状部材からなる。また、バッグの底を形成してバッグの型崩れを防止するとともに、バックの強度を高めるための役割を果たすため、胴部や持ち手などの他のパーツより厚みを増したり頑丈な材質を用いている。
【0023】
中底部20は、本発明に係るバッグの中底を形成する部材である。中底部20は、本実施例では、図1に示すように、バッグの内側で本底部10に重装される部材であり、バッグに入れる物を支持可能な程度の厚みを有する材質からなる構成である。また、本底部10と胴部30の縫合部分を覆うバッグ内側底面を形成する構成でもある。
【0024】
胴部30は、本発明に係るバッグの胴体部分を形成する部材である。胴部30は、本実施例では、図1に示すように、筒体からなり、本底部10と中底部20とに挟装縫合される構成である。胴部30は、上部に開口34が設けられる構成であり、ラッパ状に開口34を広げたり、開口34を本底部10より小さくして開口を狭めたり、あらゆる形状を選択することが可能である。また、開口34部分に絞りを設けたり、ファスナーを設けて開閉可能にする構成としたり、あらゆる構成を選択することが可能である。
【0025】
持ち手40は、胴部30に連接される部材であり、ユーザがバッグを持ったり肩から下げたりする際に用いられるひも状部材である。本実施例では、持ち手40は、胴部30と同じ材質を用いて一対に形成されているが、これに限定されることはなく、異なる材質を用いたり、太帯状・チェーン・組紐などあらゆる形状を選択することが可能である。
【0026】
本発明に係る本底部を有するバッグ1は、本底部10と中底部20と胴部30とをマッケイ縫い(革靴の基本製法で、中底に張り付けられたテープのリブに甲革、裏革と細革と呼ばれる細い帯状の革(ウェルト)を縫い付け(掬い縫い)、その後革とソールを縫合する(出し縫い)工法。)によって縫合する構成である。この縫合を可能とするため、胴部30は、接合部32を延設する構成である。接合部32は、中底部20の外周に沿って胴部30の下端部を内側に折り曲げて形成したものであり、接合部32が中底部30を包む(挟む)ような形で釣り込まれて中底部20に接合する。本実施例では、中底部20の外周に沿って接合部32を釣り込んだ上で、接合部32と中底部20を密着させ、釘または接着剤によって固着する構成であるが、固着方法はこれに限定されるものではない。
【0027】
胴部30が接合された中底部20と本底部10とは、縫合によって挟持接合される。すなわち、本底部10と中底部20と接合部32とが、各々の周縁部分を、縫糸50によって貫通することによって縫合される構成である。本実施例では、胴部30が固着された中底部20の下面に本底部10を接合させた上で、縫糸50によって貫通縫合する。この構成とすることにより、バッグの強度・耐久性や実用性を飛躍的に高めるとともに、高いデザイン性と個性を確保することを可能とした、本底部を有するバッグを提供することが可能となった。
【0028】
本発明に係るバッグの本底部10と中底部20と胴部30とは、バッグの十分な剛性を確保するとともに、デザイン性のあるバッグとするため、その材質が革もしくは人工合成革材からなる構成とすることが可能である。
【0029】
より詳細には、本底部10は、革、人工合成革材、合成ゴム又は天然ゴムのうちの何れか一の材質からなる構成とすることが可能である。更に、中底部20と胴部30は、革、人工合成革材、生地、合成ゴム、天然ゴム又はビニール等を1つまたは組み合わせて使用する構成とすることが可能である。この構成とすることにより、本底部10の強度を確保しながら、あらゆる材質で中底部と胴部を形成することが可能となり、十分な強度を有するとともに、様々な質感・デザインからなるバッグを構成することが可能となった。
【0030】
次に、本発明に係る本底部を有するバッグの製造方法について説明する。本発明に係る本底部を有するバッグの製造方法2は、図2に示すように、胴部形成工程100と、釣込工程200と、本底部形成工程300と、持手形成工程400と、からなり、強度・耐久性を高めると同時に、高いデザイン性を確保したバッグの製造を可能とする構成である。
【0031】
胴部形成工程100は、本底部を有するバッグ1の胴部30を中空の筒状に形成する工程である。胴部30上部に物を入れるための開口34を設け、下部に本底部10を装着して底を塞いでバッグの本体を形成する。
【0032】
胴部形成工程100では、胴部30を中空の筒状に形成する際に、上部に設ける開口34をラッパ状に広げたり、本底部10より小さくしたり、あらゆる形状で形成することが可能である。また、開口34部分に絞りを設けたり、ファスナーを設けて開閉可能にするなど、あらゆる構成を選択することが可能である。
【0033】
釣込工程200は、胴部30を釣り込む工程である。釣込工程200は、本実施例では、胴部30の下端部を中底部20の下面に巻き付けて密着させ、密着した部分を釘または接着剤によって固着する。この工程は、靴を製造する際にも同様の加工処理が行われているものであり、このような工程をバッグの製造方法にそのまま取り入れたものである。
【0034】
本底部形成工程300は、本底部10を中底部20と胴部30に接合する工程である。本底部形成工程300は、釣込工程200によって胴部30が固定された中底部20の下面に本底部10を接合させた上で、縫糸50によって貫通縫合する。これにより、靴を製造するのと同様な工程で本底部10を中底部20と胴部30に確実に接合固着することが可能となる。
【0035】
持手形成工程400は、バッグ本体に持ち手40を取り付ける工程である。持手形成工程400は、本底部形成工程300で本底部10や中底部20が取り付けられた胴部30の上端部に持ち手40を連接する工程である。連接方法は、本実施例では、縫い糸によって胴部30の上端部に持ち手40を縫合しているが、これに限定されることはなく、胴部上端部に複数の孔を穿設して該孔にひも状の持ち手を通した上で、外れないように固定する方法など、あらゆる連接方法を採る事が可能である。
【0036】
以上のように、各工程において、バッグを製造する手法に靴を製造するための方法を取り入れることにより、靴を製造するための道具や、技術・ノウハウをそのままバッグの製造に利用することが可能となり、より強固かつデザイン性の高いバッグを提供することが可能となった。
【0037】
本底部形成工程300は、マッケイ縫いによって本底部10を中底部20と胴部30に挟装縫合する構成とすることが可能である。靴の製法には、グッドイヤー・ウェルト製法やマッケイ製法やラバー製法など、様々な製法が存在しており、靴の形状や用途に応じて様々な製造方法が選択され使用されているが、特に、マッケイ製法は、靴のアッパーと本底を専用ミシン(マッケイミシン)で直接縫い付ける製法である。
【0038】
この縫合方法をバッグの本底部10の縫合に用いることにより、靴を製造する道具や技術をバッグの製造機器として利用・応用することが可能となり、本底部と中底部との縫合を強固とすることが可能になるとともに、靴を製造する要領でバッグを製造することが可能となった。
【0039】
また、本底部形成工程300は、太糸ミシンにより本底部10を中底部20と胴部30に縫合する構成とすることが可能である。この構成とすることにより、より強固な本底部10を有するバッグを製造することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明に係る本底部を有するバッグの断面図
図2】本底部を有するバッグの製造方法の工程
【符号の説明】
【0041】
1 本底部を有するバッグ
2 本底部を有するバッグの製造方法
10 本底部
20 中底部
30 胴部
32 接合部
34 開口
40 持ち手
50 縫糸
100 胴部形成工程
200 釣込工程
300 本底部形成工程
400 持手形成工程
図1
図2