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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】地熱ループエネルギー生産システム
(51)【国際特許分類】
   E21B 43/00 20060101AFI20221114BHJP
【FI】
E21B43/00 C
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020082130
(22)【出願日】2020-05-07
(62)【分割の表示】P 2016572742の分割
【原出願日】2015-06-12
(65)【公開番号】P2020128694
(43)【公開日】2020-08-27
【審査請求日】2020-06-05
(31)【優先権主張番号】61/997,904
(32)【優先日】2014-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516268312
【氏名又は名称】グリーンファイア・エナジー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】GREENFIRE ENERGY INC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミューア,マーク・ピィ
(72)【発明者】
【氏名】イーストマン,アラン・ディ
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0223999(US,A1)
【文献】特開平08-210076(JP,A)
【文献】特開2006-226932(JP,A)
【文献】国際公開第2014/075071(WO,A2)
【文献】特表2014-500420(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層ループエネルギーシステムを形成するために、地層内の異なる熱流特性を有する複数の目標場所に、2つ以上の閉ループパイプシステムを配置するステップを備え、前記複数の目標場所のうち1つの目標場所の熱流特性は、前記複数の目標場所の他の少なくとも1つの目標場所の熱流特性と異なり、さらに、
前記2つ以上の閉ループパイプシステムを介して前記地層からエネルギーを得るステップと、
前記2つ以上の閉ループパイプシステムを利用するように構成された変換システムを介して、得られた前記エネルギーを変換するステップとを含み、
前記配置するステップは、
熱生成地層の対流ゾーン内に第1の閉ループパイプシステムを据え付けるステップと、
前記熱生成地層の前記対流ゾーン内の断層内、または前記対流ゾーンの近傍の帽岩ゾーン内の断層内に第2の閉ループパイプシステムを据え付けるステップとを含む、地熱エネルギーを生産する方法。
【請求項2】
記変換システムは、CO2タービンと、ランキンサイクルシステムとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記配置するステップは、さらに、
前記地層の対流ゾーン内に第3の閉ループパイプシステム、および/または、第4の閉ループパイプシステムを据え付けるステップを含む、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記第3の閉ループパイプシステムは、前記対流ゾーン内の深部の断層内に据え付けられる、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記配置するステップは、前記地層の自然対流エリアを目標とすることを含み、
前記方法は、坑井の掘削後に前記地層を刺激するステップを含まない、請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
目標とされる前記地層の前記自然対流エリアは、少なくとも100ダルシーの浸透性を有するゾーンを含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記配置することは、坑井を掘削している間に収集されたデータに基づいて、または、前記第1の閉ループパイプシステムのための坑井を掘削している間に収集されたデータに基づいて、または、それら収集されたデータの組み合わせに基づいて、前記閉ループパイプシステムのための位置を目標とすることを含む、請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記収集されたデータは、微小振動データを含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記変換システムは、単一のエネルギー変換システムを含み、
前記単一のエネルギー変換システムを用いて前記得られた前記エネルギーを変換するステップは、最小エネルギー生産から最大エネルギー生産までの順序で前記2つ以上の閉ループパイプシステムからのエネルギーを利用するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
積層地熱ループエネルギー生産システムを備え、前記積層地熱ループエネルギー生産システムは、
熱生成地層の対流ゾーン内に据え付けられた第1の閉ループパイプシステムを含み、前記第1の閉ループパイプシステムは、第1のエネルギー生産を行い、
前記積層地熱ループエネルギー生産システムは、さらに、熱生成地層内の前記対流ゾーン内の断層内、または前記対流ゾーンの近傍の帽岩ゾーン内の断層内に据え付けられた第2の閉ループパイプシステムを含み、前記第2の閉ループパイプシステムは、前記第1のエネルギー生産よりも大きい第2のエネルギー生産を行い、前記第1の閉ループパイプシステムが据え付けられた前記熱生成地層における熱流特性と、前記第2の閉ループパイプシステムが据え付けられた前記熱生成地層における熱流特性とが異なり、さらに、
前記積層地熱ループエネルギー生産システムは、任意に、熱生成地層内に据え付けられた第3の閉ループパイプシステムをさらに含み、前記第3の閉ループパイプシステムは、第3のエネルギー生産を行い、
エネルギー変換システムをさらに備え、前記エネルギー変換システムは、前記積層地熱ループエネルギー生産システムからのエネルギーを他の形態のエネルギーに変換する、地熱エネルギーを生産するためのシステム。
【請求項11】
前記エネルギー変換システムは、CO2タービンと、ランキンサイクルシステムとを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記エネルギー変換システムは、単一のエネルギー変換システムを含み、
前記単一のエネルギー変換システムは、最小エネルギー生産から最大エネルギー生産までの順序で2つ以上の前記閉ループパイプシステムからのエネルギーを利用するように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記積層地熱ループエネルギー生産システムの各々によって生産された活性化流が組合わされて、共通のエネルギー変換システムに供給される、組合わされた活性化流を形成する、請求項10に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
米国では、地熱で加熱された岩石層における地下水の加熱からのエネルギー生産が、大量の電力を担っている。2014年には、米国の地熱電気容量の推定値は約3442MWであり、さらに1000MWが何らかの開発段階にあった。これらのプロジェクトの多くにおける電力生産は、大量の水を層を通して地表まで移動させた後に再注入することを伴う。その電力生成方法の1つの結果は、通常、所与の場所に1つの電力生産設備しか可能ではない、ということである。これは、必要とされる蒸気を生成するために、その場所の熱水の非常に多くが冷却されるためである。
【背景技術】
【0002】
熱伝導流体として水ではなく超臨界二酸化炭素を使用する閉ループ地熱システムが、現在開発中である。そのようなプロセスの概略図を図1に示す。一般に、超臨界CO(sCO2)は、注入井10を下降し、十分な熱を含む地下ゾーン12内で活性化される。上昇した温度および増加した圧力を有し得る活性化されたCOは、生産井14を介して回収される。活性化されたCOは次に、sCO2タービン16および発電機18を介して、電気などのエネルギーに変換される。このシステムはまた、概して19で示された圧力調整および注入制御機器を含んでいてもよい。
【0003】
図1に示されたものなどの地熱システムは一般に、地熱貯留層の「ホットゾーン」内のどこかに到達するという一般的な目的で掘削された坑井(wellbore)を介して、地熱貯留層内に配置される。その結果、現在の地熱エネルギー生産システムは一般に、所与の地熱エリアからの利用可能エネルギーを効果的に利用していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
請求された実施形態の概要
ここに開示された実施形態は、エネルギーを生産するためにsCO2地熱システムをより効果的に利用するための方法およびシステムに関する。より特定的には、ここに開示された実施形態は、所与の層で利用可能な地熱をより効果的に利用するための方法およびシステムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一局面では、ここに開示された実施形態は、地熱エネルギーを効率的に得る(harvest
)方法に関する。この方法は、地下地層内に第1の坑井を掘削するステップを含んでいてもよい。第1の坑井を掘削している間に、データが地下地層から収集されてもよい。収集されたデータは次に、目標ゾーンを識別するために分析されてもよい。いったん識別されると、第2の坑井が識別された目標ゾーンまで掘削され、目標ゾーンからエネルギーを得るために、閉ループパイプシステムが第2の坑井内に据え付けられてもよい。
【0006】
別の局面では、ここに開示された実施形態は、地熱エネルギーを生産するためのシステムに関する。このシステムは、熱生成地層の対流ゾーン内に据え付けられた第1の閉ループパイプシステムを含んでいてもよい。このシステムはまた、熱生成地層の対流ゾーン内の断層内、または対流ゾーンの近傍の帽岩ゾーン内の断層内に据え付けられた第2の閉ループパイプシステムを含んでいてもよい。
【0007】
別の局面では、ここに開示された実施形態は、地熱エネルギーを生産する方法に関する
。この方法は、ドリルビットで地下地層内に坑井を掘削するステップを含んでいてもよい。坑井を掘削している間に、地下地層の特性が計測される。地下地層の計測された特性は目標ゾーンを識別するために分析され、識別された目標ゾーン内に、または当該目標ゾーンを貫通するように坑井を通すように、ドリルビットの軌道が調節される。目標ゾーンからエネルギーを得るために、閉ループパイプシステムが次に坑井内に据え付けられてもよい。
【0008】
別の局面では、ここに開示された実施形態は、地熱エネルギーを生産する方法に関する。この方法は、対流地熱目標ゾーンを識別するために、地層の掘削同時計測(measurement while drilling:MWD)データまたは掘削同時検層(logging while drilling:LWD)データを分析するステップを含んでいてもよい。坑井が次に、識別された対流地熱目標ゾーンまで掘削されてもよく、対流地熱目標ゾーンからエネルギーを得るために、閉ループパイプシステムが坑井内に据え付けられてもよい。
【0009】
別の局面では、ここに開示された実施形態は、地熱エネルギーを生産する方法に関する。この方法は、地層内の異なる対流熱流特性を有する目標場所に、2つ以上の閉ループパイプシステムを配置するステップを含んでいてもよい。地層からのエネルギーが次に、2つ以上の閉ループパイプシステムを介して得られ、2つ以上の閉ループパイプシステムを層状の態様で利用するように構成された変換システムを介して変換されてもよい。
【0010】
別の局面では、ここに開示された実施形態は、地熱エネルギーを生産する方法に関する。この方法は、異なる対流熱流特性を有する2つ以上の目標場所を判断するために、層のデータを分析するステップを含んでいてもよい。第1の坑井が第1の目標場所まで掘削されてもよく、層からエネルギーを得るために、第1の閉ループパイプシステムが第1の坑井内に配置されてもよい。第2の坑井が第2の目標場所まで掘削されてもよく、層からエネルギーを得るために、第2の閉ループパイプシステムが第2の坑井内に配置されてもよい。
【0011】
他の局面および利点は、以下の説明および添付された請求項から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一般的な地熱ループエネルギー生産システムの簡略化されたフローチャートである。
図2】ここに開示された実施形態に従った層状または積層地熱ループエネルギー生産システムが据え付けられ得る地層の断面図である。
図3】ここでの実施形態に従った層状または積層地熱ループエネルギー生産システムを設置するための方法ステップを示すフローチャートである。
図4】ここでの実施形態に従った層状または積層地熱ループエネルギー生産システムを設置するための方法ステップを示すフローチャートである。
図5】ここでの実施形態に従った層状または積層地熱ループエネルギー生産システムを設置するための方法ステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
詳細な説明
上述のように、図1に示されたものなどの地熱システムは一般に、地熱貯留層の「ホットゾーン」内のどこかに到達するという一般的な目的で掘削された坑井を介して、地熱貯留層内に配置される。場合によっては、坑井の掘削後、層は、対流を向上させるために刺激される。ホットゾーンに到達して坑井の周囲のエリアを刺激することは一般に、地熱ループエネルギー生産システムに何らかの熱を提供するのに十分である。しかしながら、層
熱利用の効率は一般に、刺激しても低い。
【0014】
ここに開示された実施形態は、エネルギーを生産するためにsCO2地熱システムをより効果的に利用するための方法およびシステムに関する。より特定的には、ここに開示された実施形態は、所与の層で利用可能な地熱をより効果的に利用するための方法およびシステムに関する。また、ここに開示された実施形態は、坑井の近傍での対流を強化するための刺激プロセスをそれほど必要とすることなく、または使用することなく、エネルギー回収の強化を提供し得る。
【0015】
地下層の一般的概念は、それらが1つの大きいセルであるということであった。しかしながら、これは全体の過度の単純化であり(gross oversimplification)、おそらく現在の地熱プロジェクトにおける低エネルギー利用をもたらす。この一般的概念とは対照的に、地熱層エリアは、層内の岩石の非常に局所的な多孔性に依存して、高い対流の個別ゾーンと低い対流の個別ゾーンとを含み得る。十分な地熱を有する、ある特定の体積の岩石は、より高いおよびより低い一次および二次多孔性、より高いおよびより低い局所温度、対流または移流によって循環するより多いおよびより少ない量の水、ならびに他のさまざまな特性を有する岩石のゾーンを含み得る。
【0016】
何らかの水流を含み得る広いエリアを目的とするのではなく、ここに開示された実施形態は、自然対流をすでに含む地熱地帯の部分内への閉ループパイプシステムの配置を目標とする。目標とされた配置はこのため、地帯の十分な開発を提供してもよく、最も多いエネルギーを効果的に引き出し得る場所にパイプシステムを配置する。また、自然対流ゾーン内への目標とされた配置は、エネルギー生産システムに関連付けられた刺激(すなわち浸透性強化)動作の減少または排除を可能にし得る。世間一般がすべての刺激を水圧破砕(fracking)であると考えるようであること、および、水圧破砕の認識は世間一般のかなりの反対を引き起こすことを考慮すると、これは付加価値である。刺激は対流または流れを局所的に強化するために使用され得るものの、むやみやたらに配置された坑井の刺激は局所的な強化をもたらすに過ぎず、地帯の他のエリアに自然に存在する循環のほんの一部しか提供しないかもしれない。ここに開示された実施形態は、1つまたは複数の坑井の配置を目標とし、地熱地帯の対流エリアの近傍に坑井を有利に配置する。ここでの実施形態に従って据え付けられたパイプシステムを含む、結果として生じる層状または積層地熱ループエネルギー生産システムはこのため、地帯からエネルギーを効果的に引き出し得る。
【0017】
ここで図2を参照して、ここでの実施形態に従った積層ループシステムの断面図を示す。図示されたような地下環境は、帽岩ゾーン20の区分または地層を含む。帽岩ゾーン20は、大部分が、sCO2または他の流体を活性化するために閉ループパイプシステムで使用するのに通常適さない。たとえば、帽岩20は不浸透性かもしれず、または、それはずっと下から湧き出る熱水の領域を有していないかもしれない。
【0018】
帽岩ゾーン20より下には、ここに対流ゾーン22と呼ばれる、浸透性の岩石を含む地層があり得る。帽岩ゾーン20と対流ゾーン22との間には境界24があり、そこに、対流ゾーン22のより深いホットゾーン26から熱水または他の熱い流体が対流によって移動され得る。1つ以上の断層線28もあってもよく、それは、地熱塩水がより深いホットゾーン26から対流ゾーン22内に、および/または帽岩ゾーン20内に急上昇するための導管として機能してもよい。
【0019】
ここに開示された実施形態は、地熱塩水からsCO2などのパイプシステムの伝達流体への効率的な伝達を提供するように、地層の特定の目標エリア内への閉ループパイプシステムの配置を目標とする。地下目標エリアは、以下の位置のうちのいずれかまたはそれらの組合せを含み得る:
(A) 目標エリア30といった、断層28内の浅い深さでの位置。この位置は、地表に近いため、適温のみを有しており、水平配管が実際に断層ゾーンにあることを確実にするように慎重に掘削されなければならない。しかしながら、深さが比較的浅いため、掘削がより容易であり、費用もより安価である;
(B) 目標エリア32といった、帽岩ゾーン20と対流ゾーン22との間の境界24の近傍の位置。境界はかなり大きい場合があるため、この位置は精密な掘削を必要としない。それはまた、高い水温を特徴とする。一方、掘削はより深く、より費用がかかるかもしれない;
(C) 目標エリア34といった、断層28内のより深い深さでの位置。この位置は、最も熱い層水へのアクセスを可能にする。なぜなら、断層線を通って地熱塩水が層内へと急上昇するためである。この利点は、断層28と交差するために深くかつ非常に精密に掘削するための要件によって相殺される。
【0020】
総合すると、図1に示すエネルギー生産システム用の閉ループシステムの水平配管といったパイプシステムを据え付けるためのこれら3つの可能な目標エリアまたは位置は、1つまたはいくつかの水平レベルでの熱だけではなく、地熱エネルギー生産に使用される特性の地下部分全体の活用を可能にする。さらに、大抵の地熱エネルギープロセスは断層線でのまたはその近くでの生産を避けるものの、ここでの実施形態は、断層線の独特の特性を有利に利用する。断層線および帽岩境界は、地熱塩水または他の地下流体の流れが層内に自然に存在する自然対流を提供し、ここでの実施形態は、この備わった自然対流を有利に利用して、それと関連付けられたエネルギー生産システムの有効性を高める。
【0021】
ここに開示された実施形態に従った地熱エネルギーを生産するためのシステムはこのため、熱生成地層内に配置された1つ以上のパイプシステムを含んでいてもよい。たとえば、ここでの実施形態に従った地熱エネルギーを生産するためのシステムは、(A)帽岩ゾーンと対流ゾーンとの間の境界の近傍など、熱生成地層の対流ゾーン内に据え付けられた第1の閉ループパイプシステム、(B)対流ゾーン内の断層内に据え付けられた第2の閉ループパイプシステム、(C)対流ゾーン内の深部の断層内に据え付けられた第3の閉ループパイプシステム、および/または(D)対流ゾーンの近傍の断層内など、帽岩ゾーン内の断層内に据え付けた第4の閉ループパイプシステム、のうちの1つ以上を含んでいてもよい。(A)~(D)のうちの2つ以上の組合せは、ある特定の地熱エリアの十分な活用を可能にし得る。
【0022】
ここでの実施形態に従ったパイプシステムの据え付けは、偶然ベースでは行なわれない。むしろ、パイプシステムの据え付けは、坑井の掘削中に収集されたデータに少なくとも部分的に基づいて行なわれる。
【0023】
たとえば、いくつかの実施形態では、坑井がドリルビットで地下地層内に掘削されてもよい。掘削している間に、層、掘削する流体、または掘削された固体のサンプリング、掘削同時計測(MWD)ツール、または掘削同時検層(LWD)ツールを介して得られ得る計測値の中でも、温度、圧力、ドリルビットおよび/または計測ツールの位置、ドリルストリングの近傍の層または層流体の伝導性または組成、層の浸透性(岩石タイプなど)、および微小振動データといった、地下地層の特性が計測されてもよい。
【0024】
掘削プロセス中に収集された、計測された特性および他のデータは、目標ゾーンを識別するために、リアルタイムまたはほぼリアルタイムなどで分析されてもよい。たとえば、分析は、帽岩ゾーンと対流ゾーンとの間の境界を示してもよい。いったん識別されると、識別された目標ゾーン内に、または当該目標ゾーンを貫通するように坑井を通すように、および/または、目標ゾーンに沿って、または目標ゾーンの近傍に、たとえば帽岩ゾーンと対流ゾーンとの間の境界の近傍に坑井の経路を維持するように、ドリルビットの軌道が
調節されてもよい。坑井の少なくとも一部が目標ゾーン内にある、または目標ゾーンを貫通する状態で坑井が完成された後に、閉ループパイプシステムが、目標ゾーンから熱を得るために坑井内に据え付けられてもよい。
【0025】
地表振動データといった、地層に関する基本データが、1つ以上の方法を介して取得されてもよい。しかしながら、このデータは、掘削プロセス中に遭遇すると予想され得ることの一般的概要を提供するに過ぎないかもしれず、大部分が、上述の基本的な「ホットゾーン」目標設定に伝統的に使用される。そのようなデータおよびモデル化の精度は向上しているが、掘削プロセス中に計測して分析し、掘削プロセス中にドリルビットの経路を調節して、著しい自然対流を有する目標ゾーンに到達する能力は、当業者であれば確実に理解するであろうような有意な利点を提供する。
【0026】
ある特定の地層またはエリアに関する追加のまたは代替的なデータも、対象エリアの近傍に掘削された以前の井などから入手可能かもしれない。たとえば、坑井は、深い油含有層まで掘削されたものかもしれない。油坑井の掘削中、収集されたデータは、閉ループsCO2エネルギー生産のための十分な熱を有する1つ以上の水含有層を示したかもしれない。このデータは、地熱エネルギー生産のための閉ループパイプシステムの据え付けのための目標エリアを判断するために、単独でまたは他の振動データとともに分析されてもよい。
【0027】
また、目標ゾーンまでの第1の坑井の掘削が、層に関するさらなる情報を提供してもよい。第1の坑井の掘削中に収集された計測値またはデータの分析はこのため、第2の目標ゾーンの判断を可能にしてもよい。たとえば、第1の坑井は、帽岩ゾーンと対流ゾーンとの間の境界の近傍に閉ループパイプシステムを据え付けるために掘削されてもよい。振動データといった、第1の坑井の掘削中に集められたデータの分析が、断層線の存在を示してもよい。第2の坑井が次に、断層線、識別された第2の目標ゾーンまで掘削されてもよく、第2の閉ループパイプシステムが、第2の目標ゾーンの近傍の層からエネルギーを得るために第2の坑井内に据え付けられてもよい。
【0028】
第1の目標が境界であることに関して上述されたが、第1の目標は、帽岩ゾーンにおける断層線、対流ゾーン内の深部の断層線、さらには一般的な「ホットスポット」タイプの掘削であってもよい。その目的は、(図2に示すような目標35といった)対流ゾーン内のどこかに到達し、情報を集めて、層の自然対流エリアを有利に目標とするように第1の坑井の掘削に基づいてエリアにループシステムを積層することである。
【0029】
同様に、第2の目標ゾーンまでの第2の坑井の掘削が、地質エリアに関するさらなる情報を提供してもよい。付近のさまざまな以前の動作からの蓄積したデータが、層の極めて正確な描写を提供してもよく、層の非常に精密なモデルが生成されることを可能にしてもよい。より多くのことがわかり、モデルが改良されるにつれて、非常に高い層温度と良好な循環とを有する、対流ゾーン内の深部の断層線といった、層の自然対流エリアを精密に目標とする能力が向上し、そのような層構造を目標とすることに関連する掘削リスクとコストとを減少させる。
【0030】
上述のように層状または積層閉ループパイプシステムを据え付ける態様はこのため、当初に利用可能な情報およびプロセス全体にわたって生成された情報の量に依存し得る。にもかかわらず、ここに開示された実施形態は、エネルギーを有利に得るために、層の特定の自然対流エリアを目標とする。
【0031】
ここでの実施形態に従った地熱エネルギーを生産する方法は、図3に示すようなステップを含んでいてもよい。この方法は、地下地層内に第1の坑井を掘削する第1のステップ
100を含んでいてもよい。第1の坑井は、たとえば、油井、水井、地熱エネルギー生産システム用の閉ループパイプシステムの据え付けのための第1の坑井、または試掘井であってもよい。
【0032】
ステップ105は、第1の坑井を掘削している間に地下地層からデータを収集するステップを含んでいてもよい。第1の坑井の掘削中にデータを収集するステップは、地下地層の温度を記録するステップ、地下地層の圧力を記録するステップ、掘削中の微小振動データを記録するステップ、掘削中の坑井内でのドリルビットの位置を記録するステップ、のうちの1つ以上を含んでいてもよく、実際の掘削プロセス中の方向データ、掘削穴傾斜、および方位角を含む。データを収集するステップはまた、計測ツールを使用して、地下層の特性を計測するステップを含んでいてもよい。とりわけ、伝導性、組成、硬度、岩石のタイプ、密度、抵抗率、および多孔性または浸透性のうちの1つ以上といった、層のさまざまな特性を計測するために、たとえば測定ツールまたはMWDツールが使用されてもよい。
【0033】
ステップ110で、収集されたデータが分析され、ステップ112で、目標ゾーンが識別される。収集されたデータを分析するステップは、対流ゾーンと帽岩ゾーンとの間の境界の場所を判断するステップ、帽岩ゾーンにおける断層の場所を判断するステップ、対流ゾーン(移流ゾーン)における断層の場所を判断するステップ、層水の移動にとって好適な浸透性を有する岩石を含むゾーンを判断するステップ、のうちの1つ以上を含んでいてもよい。分析はまた、地層のモデルを生成するステップと、地層のモデルを表示するステップと、目標ゾーンを判断するためにモデルを分析するステップとを含んでいてもよい。
【0034】
上述のように、対流ゾーン内でさえ、水平および垂直双方において短距離にわたって変わり得る、岩石の局所的な浸透性に基づいた、非常に局所的な対流経路があるかもしれない。分析は、層水の有意の移動にとって好適な浸透性を有する岩石を有するゾーンを判断するために使用されてもよく、少なくとも75ダルシー、少なくとも90ダルシー、または少なくとも100ダルシーといった、少なくとも50ダルシーの浸透性を有する1つ以上のゾーンを識別するステップを含んでいてもよい。十分な浸透性のエリアは、地熱塩水または他の層流体の良好な流れを提供してもよく、据え付けられる閉ループパイプシステムを介してはるかにより良好なエネルギー除去効率を提供する。
【0035】
ステップ115で、第2の坑井が、識別された目標ゾーンまで掘削される。上述のように、第2の坑井の掘削は、第1の坑井を掘削する前に生成された地表振動データまたは他のデータ、および第1の坑井の掘削中に収集されたデータに基づいていてもよい。また、データは第2の坑井の掘削中に収集され分析されてもよく、必要であれば、掘削中のリアルタイムまたはほぼリアルタイムのデータを使用する改良された分析に基づいて、ドリルビット軌道修正が行なわれてもよい。坑井配置のモデルおよび精度の改良は、当初の目標と比べてより高い浸透性および対流を有するゾーンに到達することなどによって、据え付けられる閉ループパイプシステムを介した熱伝達効率をさらに高め得る。
【0036】
ステップ120で、目標ゾーンからエネルギーを得るために、閉ループパイプシステムが第2の坑井内に据え付けられてもよい。閉ループパイプシステムを据え付けるステップは、識別された目標ゾーンを少なくとも部分的に通過する、水平の、垂直の、または傾斜した配管を配置するステップを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、第2の坑井は、2インチ~24インチの範囲の直径を有していてもよく、閉ループパイプシステムは、第2の坑井の直径よりも小さい外径を有する1つ以上のパイプを含んでいてもよい。他の実施形態では、第2の坑井は、4インチ~14インチ、または6インチ~12インチといった、3インチ~16インチの範囲の直径を有していてもよく、閉ループパイプシステムは、第2の坑井の直径よりも少なくとも2インチ小さい外径を有する1つ以上のパイプ
を含んでいてもよい。
【0037】
閉ループパイプシステムの据え付けの後、ステップ125で、活性化された流れを生成するために、sCO2などの伝達流体が閉ループパイプシステムに通されてもよい。sCO2を使用する場合、たとえば、活性化された流れは、注入井を通して導入されたsCO2に比べて増加した温度および圧力双方を有し得る。ステップ130で、活性化された流れは次に、別の形のエネルギーに変換されてもよい。エネルギー変換プロセスは、たとえば、線形または非線形運動から電力または機械力を導き出すものを含む、タービン、タービンおよび発電機、CO2タービン、擬タービン、ランキンサイクル発電システムにおける熱交換器、ブレイトンサイクルタービン、もしくは熱から有用な作業または電力を生成する他の機構、のうちの1つ以上といった、電力生産ユニットを含んでいてもよい。伝達流体に含まれるエネルギーの変換後、伝達流体は、サイクルを再開するために、電力生産ユニットから注入井に送られてもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、所望の層状または積層ループシステムをもたらすために、1つ以上の追加の目標ゾーンまで掘削することが望ましいかもしれない。そのような場合、追加の目標ゾーンまでの掘削の前、最中、または後に、ステップ120、125および130が行なわれてもよい。
【0039】
1つ以上の追加の目標ゾーンまで掘削することが望ましい場合、据え付けられる追加のループについての目標設定および掘削の精度は、第2の坑井を掘削している間に地下地層からデータを収集するステップ150と、第2の坑井を掘削している間に収集されたデータを分析するステップ155と、第2の目標ゾーンを識別するステップ160とによって強化されてもよい。いったん識別されると、ステップ165で、第3の坑井が、識別された第2の目標ゾーンまで掘削されてもよく、それは、第2の坑井に関して上述したようなリアルタイムまたはほぼリアルタイムの分析によって強化されてもよい。ステップ170で、第2の目標ゾーンからエネルギーを得ることを容易にするために、第2の閉ループパイプシステムが次に第3の坑井内に据え付けられてもよい。いったん据え付けられると、ステップ175で、SCO2または別の伝達流体が次に第2の閉ループパイプシステムに通されてもよく、ステップ180で、活性化されたSCO2または伝達流体は、1つ以上のエネルギー変換プロセスを介して変換されてもよい。
【0040】
上述のように、第1の坑井はまた、いくつかの実施形態では、地熱エネルギー生産システム用の閉ループパイプシステムの据え付けに使用されてもよい。この坑井は、概して「ホットゾーン」に向けられた試掘井であってもよい。他の実施形態では、対流ゾーンと帽岩ゾーンとの間の境界の場所を識別するなどのために、第1の坑井の掘削前に、地層についてのデータが分析されてもよい。第1の坑井は、第1の坑井が、対流ゾーンと帽岩ゾーンとの間の識別された境界の場所の近傍に配置されるように掘削されてもよく、その間、層に関する追加のデータが上述のように取得され、使用される。閉ループパイプシステムはまた、層からエネルギーを得るために、第1の坑井内に据え付けられてもよい。
【0041】
上述のように、掘削プロセス中のデータ収集を介して達成可能なモデル改良に基づいて目標ゾーンを調節することが望ましいかもしれない。地熱エネルギーを生産する方法はまた、図4に示すようなステップを含んでいてもよい。ステップ200は、ドリルビットで地下地層内に坑井を掘削するステップを含んでいてもよい。掘削プロセス中、ステップ210は、坑井を掘削している間に地下地層の特性を計測するステップを含んでいてもよい。ステップ215で、地下地層の計測された特性が分析されてもよく、ステップ220で、目標ゾーンが識別されてもよい。
【0042】
分析および識別に基づいて、ステップ225は、識別された目標ゾーン内に、または当
該目標ゾーンを貫通するように結果として生じる坑井を通すように、ドリルビットの軌道を調節するステップを含んでいてもよい。次に、ステップ230で、目標ゾーンからエネルギーを得るために、閉ループパイプシステムが坑井内に据え付けられてもよい。ステップ235で、活性化されたsCO2流をもたらすために、sCO2が次にパイプシステムに通されてもよく、それは次にステップ240で変換されてもよく、たとえば電気を生成するために、または上述の他の変換プロセスで使用される。
【0043】
図4に概説された方法から生じる層状または積層ループシステムはまた、追加の閉ループパイプシステムを含んでいてもよい。上述のように、坑井の掘削中に集められた地下地層の計測された特性が、第2の目標ゾーンを識別するために分析されてもよい。第2の坑井が次に、識別された第2の目標ゾーンまで掘削されてもよく、第2の閉ループパイプシステムが、第2の目標ゾーンからエネルギーを得るために第2の坑井内に据え付けられてもよい。ここでの実施形態に従った地熱エネルギーを生産するための方法はこのため、対流地熱目標ゾーンを識別するために、地層の掘削同時計測(MWD)データまたは掘削同時検層(LWD)データを分析するステップと、識別された対流地熱目標ゾーンまで坑井を掘削するステップと、対流地熱目標ゾーンからエネルギーを得るために、坑井内に閉ループパイプシステムを据え付けるステップとを含んでいてもよい。
【0044】
さらに別の実施形態では、地熱エネルギーを生産する方法は、図5に示すようなステップを含んでいてもよい。図5に概説されるように、この方法は、異なる対流熱流特性を有する2つ以上の目標場所を判断するために、層のデータを分析するステップ300を含んでいてもよい。第1の目標場所が識別された後、ステップ310で、第1の坑井が第1の目標場所まで掘削されてもよい。ステップ315で、層からエネルギーを得るために、第1の閉ループパイプシステムが次に第1の坑井内に配置されてもよい。第2の目標場所が識別された後、ステップ320で、第2の坑井が第2の目標場所まで掘削されてもよい。ステップ325で、層からエネルギーを得るために、第2の閉ループパイプシステムが次に第2の坑井内に配置されてもよい。この方法はさらに、第1および第2の閉ループパイプシステムを介して得られたエネルギーを変換するステップ330を含んでいてもよい。
【0045】
上述のように、ここでの実施形態に従った地熱エネルギーを生産するためのシステムは、異なる層からのさまざまな熱を利用するように構成されており、こうして積層または層状エネルギーシステムを提供する。たとえば、ここに開示された実施形態に従った層状または積層ループシステムは、適度な温度で浅い深さの断層ゾーン目標30(図2)までの第1の閉ループパイプシステムと、高温で適度な深さの境界ゾーン目標32までの第2の閉ループパイプシステムと、非常に高温で比較的深い断層ゾーン目標34までの第3の閉ループパイプシステムとを含んでいてもよい。ここでの実施形態に従った地熱エネルギーを生産する方法はまた、地層内の異なる対流熱流特性を有する目標場所に、2つ以上の閉ループパイプシステムを配置するステップを含んでいてもよい。次に、地層からのエネルギーが、2つ以上の閉ループパイプシステムを介して得られてもよく、得られたエネルギーは、変換システムを介して、電気などに変換されてもよい。
【0046】
sCO2といった循環する伝達流体によって得られたエネルギーを変換するために地表に位置するエネルギー変換システムも、得られたエネルギーを効率的に利用するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、3つのループを含む層状または積層ループエネルギー生産システムは、得られたエネルギーを電気に変換するための3つの別個のトレーンを含んでいてもよく、sCO2タービンおよび関連付けられた発電機は、それぞれの目標ゾーンから予想されるエネルギー生産に対してサイズ決めされる。他の実施形態では、活性化されたsCO2流は、共通のエネルギー変換システムに供給する組合わせた活性化流を形成するために、組合わされてもよい。このように、非常に高温のループがより低温のループを補償し、許容してもよく、地帯からのエネルギー獲得の有効性を高め、全体
的なシステム効率を高める。
【0047】
これに代えて、変換システムは、2つ以上の閉ループパイプシステムを層状の態様で利用するように構成されてもよい。地熱ループエネルギー生産システムは、それぞれの目標ゾーンの各々からの予想される獲得に基づいて、最小エネルギー生産から最大エネルギー生産までといった順序で積層されたループを漸進的に利用する、単一のエネルギー変換システムを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、層状または積層ループシステムは、2つ以上の異なるタイプのエネルギー変換システムを含み得るエネルギー変換システムと関連付けられてもよく、全体的なエネルギー変換効率が最適化されることを可能にする。たとえば、システムが非常に高温のループと1つ以上の適温ループおよび/または高温ループとを含む場合、エネルギー変換システムはsCO2流のエネルギーに整合されてもよく、この例では、より高温で優れた効率を有する1つ以上のCO2タービンを含んでいてもよく、また、有機ランキンサイクル(organic Rankine cycle:ORC)システムに
供給する1つ以上のループを含んでいてもよい。
【0048】
上述のように、ここに開示された実施形態は、層状または積層地熱ループエネルギー生産システムを提供する。これらのシステムは、対流または移流を自然に提供する層内の目標場所に閉ループパイプシステムを有利に据え付け、こうして層流体から閉ループパイプシステムを通る伝達流体への間接的な熱伝導を強化する。自然対流および移流ゾーンを目標とすることにより、エネルギー伝達能力が強化されるだけでなく、その強化は、熱伝導を向上させるための刺激プロセスの必要性を減少させて達成されてもよく、または、刺激プロセスの必要性を完全に排除してもよい。ここに開示された実施形態はさらに、強化されたエネルギー伝達を提供し得る地質エリアの部分を正確に目標とするように層のモデルを改良して強化するために、MWDまたはLWDデータを有利に利用する。そのような目標設定は、掘削プロセス自体の最中だけでなく、掘削に先立って行なわれてもよい。全体として、ここでの実施形態は、層エネルギーの向上した使用を、高価な刺激プロセスの必要性の減少という追加の副産物とともに提供し得る。
【0049】
この開示は限られた数の実施形態を含むものの、この開示の利点を有する当業者であれば、本開示の範囲から逸脱しない他の実施形態が考案され得ることを理解するであろう。したがって、範囲は添付された請求項によってのみ限定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5