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特許7175954粘着フィルム及びこれを含む積層フィルム
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  • 特許-粘着フィルム及びこれを含む積層フィルム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】粘着フィルム及びこれを含む積層フィルム
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20221114BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20221114BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20221114BHJP
   C09J 133/00 20060101ALI20221114BHJP
   C09J 175/04 20060101ALI20221114BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20221114BHJP
   C09J 183/04 20060101ALI20221114BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J11/04
C09J201/00
C09J133/00
C09J175/04
C09J163/00
C09J183/04
B32B27/00 M
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020211686
(22)【出願日】2020-12-21
(65)【公開番号】P2021098855
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】10-2019-0171708
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519204054
【氏名又は名称】イノックス・アドバンスト・マテリアルズ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】INNOX Advanced Materials Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】171,Asanvalley-ro,Dunpo-myeon,Asan-si,Chungcheongnam-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チョン・クォル・イ
(72)【発明者】
【氏名】チョン・フン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ミョン・ソプ・チョン
(72)【発明者】
【氏名】チェ・ヒョン・チョ
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/158604(WO,A1)
【文献】特開2008-074097(JP,A)
【文献】特開2009-191224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00- 201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着フィルムであって、
前記粘着フィルムは、400~700nmの波長帯の可視光透過率の平均値が80~95%であり、800~1,500nmの波長帯の近赤外線透過率の平均値が10~70%であり
前記粘着フィルムは、粘着樹脂及び近赤外線遮断剤を含む樹脂組成物より形成され、
前記近赤外線遮断剤は、前記粘着樹脂100重量部に対して、タングステン酸化物0.5~8重量部を含み、
前記近赤外線遮断剤は、前記粘着樹脂100重量部に対して、有機近赤外線遮断添加剤及び無機近赤外線遮断添加剤からなる群から選択される近赤外線遮断添加剤0.1~0.5重量部をさらに含む、粘着フィルム。
【請求項2】
1,000nm超及び1,500nm未満の波長帯の近赤外線透過率が5~69%である、
請求項1に記載の粘着フィルム。
【請求項3】
800~1,000nmの波長帯の近赤外線透過率が15~75%である、
請求項1に記載の粘着フィルム。
【請求項4】
前記粘着樹脂は、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、又はこれらの組み合わせを含む、
請求項1に記載の粘着フィルム。
【請求項5】
前記近赤外線遮断剤の平均粒径は、10~100nmである、
請求項1に記載の粘着フィルム。
【請求項6】
前記タングステン酸化物は、CWO(セシウムドープされたWO3)、WO3、又はこれらの組み合わせを含む、
請求項に記載の粘着フィルム。
【請求項7】
請求項1~請求項のうちいずれか一項による粘着フィルムを含む積層フィルム。
【請求項8】
前記粘着フィルム、及びこれの一面及び他面に一つずつ配置された一対の離型フィルムを含む、
請求項に記載の積層フィルム。
【請求項9】
前記離型フィルムは、ポリエチレンテレフタラート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリプロピレン(PP)、アクリル、又はこれらの組み合わせを含む、
請求項に記載の積層フィルム。
【請求項10】
前記粘着フィルムと前記離型フィルム間の剥離力は、1~20gf/inchである、
請求項に記載の積層フィルム。
【請求項11】
前記粘着フィルム、及びこれの一面及び他面にそれぞれ一つずつ配置された離型フィルム、及び透明基材フィルムとを含む、
請求項に記載の積層フィルム。
【請求項12】
前記透明基材フィルムは、ポリエチレンテレフタラート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリプロピレン(PP)、アクリル、又はこれらの組み合わせを含む、
請求項11に記載の積層フィルム。
【請求項13】
前記透明基材フィルムは、アンチフォグ(Anti-Fog)コーティングを含む、
請求項11に記載の積層フィルム。
【請求項14】
屋外用ディスプレイ又は車両に適用可能である、
請求項に記載の積層フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
粘着フィルム及びこれを含む積層フィルムが開示される。より詳細には、可視光透過率及び近赤外線透過率がいずれも特定の用途に好適な水準である粘着フィルム及びこれを含む積層フィルムが開示される。
【背景技術】
【0002】
最近、ディスプレイ産業における可視光透過率及び近赤外線透過率にいずれも優れる積層フィルムが求められている。
【0003】
しかしながら、既存に可視光透過率及び低波長帯(800~1,000nm)の近赤外線透過率にいずれも優れる積層フィルムが開発されたことはあるが、可視光透過率及び全体近赤外線透過率にいずれも優れるだけでなく、高波長帯(1,000nm超及び1,500nm未満)の近赤外線透過率にも優れる積層フィルムは、既存に存在しておらず、このような積層フィルムに対する要求は、今まで顕著に表れていない実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一具現例は、可視光透過率及び近赤外線透過率にいずれも優れる粘着フィルムを提供する。
【0005】
本発明の他の具現例は、前記粘着フィルムを含む積層フィルムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面は、
400~700nmの波長帯の可視光透過率が80~95%であり、800~1,500nmの波長帯の近赤外線透過率が10~70%で、
粘着樹脂及び近赤外線遮断剤を含む粘着フィルムを提供する。
【0007】
前記粘着フィルムは、1,000nm超及び1,500nm未満の波長帯の近赤外線透過率が5~69%であってもよい。
【0008】
前記粘着フィルムは、800~1,000nmの波長帯の近赤外線透過率が15~75%であってもよい。
【0009】
前記粘着樹脂は、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0010】
前記近赤外線遮断剤の平均粒径は、10~100nmであってもよい。
【0011】
前記近赤外線遮断剤は、前記粘着樹脂100重量部に対して、タングステン酸化物0.5~8重量部を含んでいてもよい。
【0012】
前記タングステン酸化物は、CWO(セシウムドープされたWO3)、WO3、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0013】
前記近赤外線遮断剤は、前記粘着樹脂100重量部に対して、有機近赤外線遮断添加剤及び無機近赤外線遮断添加剤からなる群から選択される近赤外線遮断添加剤0.1~0.5重量部をさらに含んでいてもよい。
【0014】
本発明の他の側面は、
前記粘着フィルムを含む積層フィルムを提供する。
【0015】
前記積層フィルムは、前記粘着フィルム、及びこれの一面及び他面に一つずつ配置された一対の離型フィルムを含んでいてもよい。
【0016】
前記離型フィルムは、ポリエチレンテレフタラート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリプロピレン(PP)、アクリル、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0017】
前記粘着フィルムと前記離型フィルム間の剥離力は、1~20gf/inchであってもよい。
【0018】
前記積層フィルムは、前記粘着フィルム、及びこれの一面及び他面にそれぞれ一つずつ配置された離型フィルム、及び透明基材フィルムを含んでいてもよい。
【0019】
前記透明基材フィルムは、ポリエチレンテレフタラート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリプロピレン(PP)、アクリル、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0020】
前記透明基材フィルムは、アンチフォグ(Anti-Fog)コーティングを含んでいてもよい。
【0021】
前記積層フィルムは、屋外用ディスプレイ及び車両に適用可能である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一具現例による粘着フィルムは、可視光透過率及び全体近赤外線透過率にいずれも優れるだけでなく、高波長帯(1,000nm超及び1,500nm未満)の近赤外線透過率にも優れるため、特定の用途のディスプレイに効果よく適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1具現例による積層フィルムの断面図。
図2】本発明の第2具現例による積層フィルムの断面図。
図3】実施例2及び5でそれぞれ製造された粘着フィルムの光透過率を示したグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、本発明の一具現例による粘着フィルムを詳説する。
【0025】
本明細書において、「可視光透過率」とは、UV-Vis-NIRスペクトロメータ(Jasco、V670)を利用して、400~700nmの波長帯で各波長別透過率を測定した後、これらを平均して得た値である。
【0026】
また、本明細書において、「近赤外線透過率」とは、UV-Vis-NIRスペクトロメータ(Jasco、V670)を利用して、800~1,500nmのうち特定の波長帯で各波長別透過率を測定した後、これらを平均して得た値である。
【0027】
また、本明細書において、「A物質の親水性基置換物」とは、A物質中の水素原子が親水性基に置換して得られた物質を意味する。
【0028】
また、本明細書において、「親水性基」とは、-OH、-COOH、-NH2、-NH4、-SO3H、-SO3、-OSO3H、-OPO32、又はこれらの組み合わせを意味する。
【0029】
本発明の一具現例による粘着フィルムは、400~700nmの波長帯の可視光透過率が80~95%であり、800~1,500nmの波長帯の近赤外線透過率が10~70%である。よって、前記粘着フィルムは、400~700nmの波長帯の可視光透過率が80~95%であり、800~1,500nmの波長帯の近赤外線透過率が10~70%水準に要求される技術分野に効果よく適用することができる。
【0030】
前記粘着フィルムは、1,000nm超及び1,500nm未満の波長帯の近赤外線透過率が5~69%であってもよい。よって、前記粘着フィルムは、400~700nmの波長帯の可視光透過率が80~95%であり、800~1,500nmの波長帯の近赤外線透過率が10~70%で、1,000nm超及び1,500nm未満の波長帯の近赤外線透過率が5~69%水準に要求される技術分野に効果よく適用することができる。
【0031】
また、前記粘着フィルムは、800~1,000nmの波長帯の近赤外線透過率が15~75%であってもよい。よって、前記粘着フィルムは、400~700nmの波長帯の可視光透過率が80~95%であり、800~1,500nmの波長帯の近赤外線透過率が10~70%で、800~1,000nmの波長帯の近赤外線透過率が15~75%水準に要求される技術分野に効果よく適用することができる。
【0032】
また、前記粘着フィルムは、粘着樹脂及び近赤外線遮断剤を含んでいてもよい。
【0033】
前記粘着樹脂は、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0034】
前記ウレタン樹脂は、ウレタン(メタ)アクリレート、1,2-ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレート、1,4-ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレート、これら各々の親水性基置換物、これら各々の水素添加物、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0035】
前記ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリイソシアネート、ポリオール、及び(メタ)アクリル酸を反応させて製造されたものであってもよい。
【0036】
前記ポリイソシアネートは、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネートエステル、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3'-ジメチル-4,4'-ビフェニレンジイソシアネート、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0037】
前記ポリオールは、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリカーボネートジオール、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0038】
前記アクリル樹脂は、単官能性(メタ)アクリレート、多官能性(メタ)アクリレート、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0039】
前記単官能性(メタ)アクリレートは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリール(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロデカトリエン(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エトキシカルボニルメチル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキシド変性アクリレート、フェノール(エチレンオキシド2モル変性)アクリレート、フェノール(エチレンオキシド4モル変性)アクリレート、パラクミルフェノールエチレンオキシド変性アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキシド変性アクリレート、ノニルフェノール(エチレンオキシド4モル変性)アクリレート、ノニルフェノール(エチレンオキシド8モル変性)アクリレート、ノニルフェノール(プロピレンオキシド2.5モル変性)アクリレート、2-エチルヘキシルカルビトールアクリレート、エチレンオキシド変性フタル酸(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性コハク酸(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ダイマー、β-(メタ)アクロイルオキシエチルハイドロジェンスクシネート、n-(メタ)アクリロイルオキシアルキルヘキサヒドロフタルイミド、これら各々の親水性基置換物、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0040】
前記多官能性(メタ)アクリレートは、2官能性(メタ)アクリレート、3官能性(メタ)アクリレート、4官能性、又はそれ以上の(メタ)アクリレート、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0041】
前記2官能性(メタ)アクリレートは、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、2-エチル-2-ブチル-プロパンジオール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリトリトルジアクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス(4-(メタ)アクリルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリルオキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、これら各々の親水性基置換物、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0042】
前記3官能性(メタ)アクリレートは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリルオキシエチル]イソシアヌレート、これら各々の親水性基置換物、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0043】
前記4官能性又はそれ以上の(メタ)アクリレートは、ジメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトルテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトルエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトルペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトルヘキサ(メタ)アクリレート、これら各々の親水性基置換物、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0044】
前記エポキシ樹脂は、ビスフェノール系エポキシ樹脂、ビフェニル系エポキシ樹脂、ナフタレン系エポキシ樹脂、フルオレン系エポキシ樹脂、フェノールノボラック系エポキシ樹脂、クレゾールノボラック系エポキシ樹脂、トリスヒドロキシルフェニルメタン系エポキシ樹脂、テトラフェニルメタン系エポキシ樹脂、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。このとき、前記ビスフェノール系エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂などがある。エポキシ系樹脂として、現在、市販中の製品としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、kukdo化学のYD-020、YD-020L、YD-019K、YD-019、YD-017H、YD-017R、YD-017、YD-014、YD-014ER、YD-013K、YD-012、YD-011H、YD-011S、YD-011などがある。そして、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、kukdo化学のYDCN-500-80PCA60、YDCN-500-80PBC60、YDCN-500-90PA75、YDCN-500-90P、YDCN-500-80P、YDCN-500-10P、YDCN-500-8P、YDCN-500-7P、YDCN-500-5P、YDCN-500-4P、YDCN-500-1Pがあり、日本化薬株式会社のEOCN-102S、EOCN-103S、EOCN-104S、EOCN-1012、EOCN-1025、EOCN-1027、dongdo化成のYDCN-701、YDCN-702、YDCN-703、YDCN-704、YDCN-701P、YDCN-702P、YDCN-703P、YDCN-704P、YDCN-701S、YDCN-702S、YDCN-703Sなどがある。また、フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、YDPN-638A80、YDPN-644、YDPN-637、YDPN-636、YDPN-638、YDPN-631などがある。
【0045】
前記シリコーン樹脂は、溶媒付加型樹脂、溶媒縮合型樹脂、溶媒紫外線硬化型樹脂、無溶媒付加型樹脂、無溶媒縮合型樹脂、無溶媒紫外線硬化型樹脂、無溶媒電子線硬化型樹脂、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0046】
前記近赤外線遮断剤の平均粒径は、10~100nmであってもよい。
【0047】
前記近赤外線遮断剤は、前記粘着樹脂100重量部に対して、タングステン酸化物0.5~8重量部を含んでいてもよい。前記タングステン酸化物の含量が前記範囲以内であれば、400~700nmの波長帯の可視光透過率が80~95%であり、800~1,500nmの波長帯の近赤外線透過率が10~70%で、800~1,000nmの波長帯の近赤外線透過率が15~75%で、1,000nm超及び1,500nm未満の波長帯の近赤外線透過率が5~69%である粘着フィルムを得ることができる。
【0048】
前記タングステン酸化物は、CWO(セシウムドープされたWO3)、WO3、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0049】
しかし、前記近赤外線遮断剤は、アンチモン含有酸化スズ微粒子(ATO)、インジウム含有酸化スズ微粒子(ITO)、又はこれらの組み合わせを含んでいなくてもよい。前記近赤外線遮断剤がATO、ITO又はこれらの組み合わせを含む場合は、近赤外線透過率が低下し得る。
【0050】
前記近赤外線遮断剤は、前記粘着樹脂100重量部に対して、有機近赤外線遮断添加剤及び無機近赤外線遮断添加剤からなる群から選択される近赤外線遮断添加剤0.1~0.5重量部をさらに含んでいてもよい。前記近赤外線遮断添加剤の含量が前記範囲以内であれば、400~700nmの波長帯の可視光透過率が80~95%であり、800~1,500nmの波長帯の近赤外線透過率が10~70%で、800~1,000nmの波長帯の近赤外線透過率が15~75%で、1,000nm超及び1,500nm未満の波長帯の近赤外線透過率が5~69%である粘着フィルムを得ることができる。
【0051】
前記有機近赤外線遮断添加剤は、QCR社のNIR 949C、American Dye Source社のADSシリーズ(https://adsdyes.com/product-category/nir_dyes/参照)、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0052】
前記無機近赤外線遮断添加剤は、LaB6、CusSO4、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0053】
前記粘着フィルムは、必要に応じてメチルヒドロキノン、ヒドロキノン、2,2-メチレン-ビス(4-メチル-6-tertブチルフェノール)、カテコール、ヒドロ-8-キノンモノメチルエーテル、モノ-tertブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tertブチルヒドロキノン、p-ベンゾキノン、2,5-ジフェニル-p-ベンゾキノン、2,5-ジ-tertブチル-p-ベンゾキノン、ピクリン酸、クエン酸、フェノチアジン、tertブチルカテコール、2-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、及び2,6-ジ-tertブチル-p-クレゾールなどの重合禁止剤;アクリルゴム、ウレタンゴム、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンゴムなどの各種エラストマー;無機フィラー;溶剤;増量材;補強材;可塑剤;増粘剤;追加染料;顔料;難燃剤;シランカップリング剤;界面活性剤、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0054】
前記粘着フィルムは、前記粘着樹脂、前記近赤外線遮断剤、硬化剤及び選択的にその他添加剤を含む硬化性粘着剤組成物を硬化して製造されたものであってもよい。
【0055】
前記硬化剤は、前記硬化性接着剤組成物の硬化を促進する役割を果たす。
【0056】
前記硬化剤は、熱硬化剤、光重合開始剤、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0057】
前記熱硬化剤は、ジフェニルヨードニウム・ヘキサフルオロホスファート、ジフェニルヨードニウム・ヘキサフルオロアンチモナート、ジフェニルヨードニウム・テトラフルオロボラート、ジフェニルヨードニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスファート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロアンチモナート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム・テトラフルオロボラート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、4-メチルフェニル-4-(1-メチルエチル)フェニルヨードニウム・ヘキサフルオロホスファート、4-メチルフェニル-4-(1-メチルエチル)フェニルヨードニウム・ヘキサフルオロアンチモナート、4-メチルフェニル-4-(1-メチルエチル)フェニルヨードニウム・テトラフルオロボラート、4-メチルフェニル-4-(1-メチルエチル)フェニルヨードニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、4-メトキシジフェニルヨードニウム・ヘキサフルオロホスファート、ビス(4-メチルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスファート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスファート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム・トリルクミルヨードニウムヘキサフルオロホスファートなどのヨードニウム塩;トリアリルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナートなどのスルホニウム塩;トリフェニルピレニルメチルホスホニウム塩などのホスホニウム塩;(η6-ベンゼン)(η5-シクロペンタジエニル)鉄(II)ヘキサフルオロアンチモナート;o-ニトロベンジルシリルエーテルとアルミニウムアセチルアセトナートの組み合わせ;シルセスキオキサンとアルミニウムアセチルアセトナートの組み合わせ;メラミン系樹脂;有機過酸化物(例えば、ケトンペルオキシド、ペルオキシケタル、ジアシルペルオキシド、ペルオキシエステル、ペルオキシジカーボネートなど)、ルイス酸(三フッ化ホウ素、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化スズなど)、アゾ化合物(アゾビスイソブチロニトリル、1,1'-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)など)、酸(有機酸又は低温加熱により酸を発生させるスルホニウム塩系の酸発生剤など)、塩基(脂肪族ポリアミンなどのポリアミン、イミダゾール、ヒドラジッド及びケチミンなどのアミン化合物、低温加熱によりアミン化合物を発生させる化合物など)、ポリアミド樹脂、ポリメルカプタン、白金族系金属化合物又はその錯体(塩化白金(IV)、塩化白金酸六水化物、ビス(アルキニル)ビス(トリフェニルホスフィン)白金錯体など)、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。このような熱硬化剤は、市販品として、45S(burimケミカル)、DS-HF 10929TKI CATALYST(帝国インキ製造社製、メラミン樹脂)が挙げられる。
【0058】
前記光重合開始剤は、ベンゾフェノン又はその誘導体、ベンジル又はその誘導体、アントラキノン又はその誘導体、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタルなどのベンゾイン誘導体、ジエトキシアセトフェノン、4-t-ブチルトリクロロアセトフェノンなどのアセトフェノン誘導体、2-ジメチルアミノエチルベンゾエート、p-ジメチルアミノエチルベンゾエート、ジフェニルジスルフィド、チオキサントン及びその誘導体、カンファーキノン、7,7-ジメチル-2,3-ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボキシル酸、7,7-ジメチル-2,3-ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボキシ-2-ブロモエチルエステル、7,7-ジメチル-2,3-ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボキシ-2-メチルエステル、7,7-ジメチル-2,3-ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボキシル酸クロライドなどのカンファーキノン誘導体;2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1などのα-アミノアルキルフェノン誘導体、ベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾイルジエトキシホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジメトキシフェニルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジエトキシフェニルホスフィンオキシドなどのアシルホスフィンオキシド誘導体;又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0059】
本発明の他の側面は、前記粘着フィルムを含む積層フィルムを提供する。
【0060】
図1は、本発明の第1具現例による積層フィルム10の断面図である。
【0061】
図1を参照すれば、積層フィルム10は、粘着フィルム11、これの一面に配置された第1の離型フィルム12、及びこれの他面に配置された第2の離型フィルム13を含んでいてもよい。
【0062】
積層フィルム10の場合、粘着フィルム11から第1の離型フィルム12及び第2の離型フィルム13がいずれも分離された後、粘着フィルム11のみを使用することができる。
【0063】
図2は、本発明の第2具現例による積層フィルム20の断面図である。
【0064】
図2を参照すれば、積層フィルム20は、粘着フィルム21、これの一面に配置された透明基材フィルム22、及びこれの他面に配置された離型フィルム23とを含んでいてもよい。
【0065】
積層フィルム20の場合、粘着フィルム21から離型フィルム23が分離され、粘着フィルム21と透明基材フィルム22が互いに付着した状態で使用されうる。
【0066】
以下では、実施例を挙げて本発明についてさらに詳説するが、本発明がかかる実施例に限定されるものではない。
【0067】
実施例1~8及び比較例1~6
(熱硬化性粘着剤組成物の製造)
粘着樹脂(AR)、1種以上の近赤外線遮断剤(NIR-A)及び硬化剤(PI)を混合して、熱硬化性粘着剤組成物を製造した。各成分の種類及び含量を整理して下記の表1に示した。
【0068】
【表1】
【0069】
-AR(粘着樹脂):burimケミカル、BA8900
-NIR-A1(CWO):住友金属鉱山、YMF-02A(固形分28.5%、CWO含量18.5%)
-NIR-A2(WO3):NST、N2B9(固形分23%、WO3含量15%)
-NIR-A3(有機近赤外線吸収染料):American dye source、NIR949C
-PI(熱硬化剤):burimケミカル、45S
【0070】
(粘着フィルムの製造)
上記実施例1~8及び比較例1~6で製造された各々の熱硬化性粘着剤組成物をポリエチレンテレフタラート(PET)フィルムに25μm厚さに塗布した後、120℃で5分間の熱加熱及び60℃で3日間の熟成過程を経て硬化して粘着フィルムを製造した。
【0071】
評価例
上記実施例1~8及び比較例1~6で製造された各々の粘着フィルムの接着力、可視光透過率及び近赤外線透過率を下記のような方法により評価して、その結果を下記の表2に示した。
【0072】
<接着力測定>
前記各粘着フィルムを、Non Alkali Glassに2kgハンドローラーを利用して付着した。付着後、24時間常温放置した後、分当たり300mmの速度で180゜に剥離して粘着力を測定した。
【0073】
<光透過率測定>
UV-Vis-NIRスペクトロメータ(Jasco、V670)を利用して、400~1,500nmの波長帯で各波長別透過率を測定した。また、実施例2及び5でそれぞれ製造された粘着体層に対する各波長別光透過率の測定結果を図3にグラフで示した。
【0074】
<可視光透過率測定>
UV-Vis-NIRスペクトロメータ(Jasco、V670)を利用して、400~700nmの波長帯で各波長別透過率を測定した後、これらの平均値を可視光透過率と記録した。
【0075】
<近赤外線透過率測定>
UV-Vis-NIRスペクトロメータ(Jasco、V670)を利用して、800~1,500nmのうち特定の波長帯で各波長別透過率を測定した後、これらの平均値を求めて近赤外線透過率(%)と記録し、この近赤外線透過率(%)を100(%)から差し引きして得た値を近赤外線透過率と記録した。
【0076】
【表2】
【0077】
上記表2を参照すれば、実施例1~8で製造された粘着フィルムは、接着力に優れるだけでなく、可視光透過率、800~1,500nmの波長帯の近赤外線透過率、800~1,000nmの波長帯の近赤外線透過率、及び1,000nm超及び1,500nm未満の波長帯の近赤外線透過率が、いずれも目標数値範囲に属するものと表れた。
【0078】
他方、比較例1~3及び比較例5~6で製造された粘着フィルムは、接着力には優れるものの、可視光透過率、800~1,500nmの波長帯の近赤外線透過率、800~1,000nmの波長帯の近赤外線透過率、及び1,000nm超及び1,500nm未満の波長帯の近赤外線透過率のうち少なくとも3つが目標数値範囲に属さないものと表れた。
【0079】
また、比較例4で製造された粘着フィルムは、接着力が低いだけでなく、可視光透過率、800~1,500nmの波長帯の近赤外線透過率、800~1,000nmの波長帯の近赤外線透過率、及び1,000nm超及び1,500nm未満の波長帯の近赤外線透過率が、いずれも目標数値範囲に属さないものと表れた。
【0080】
本発明は、図面及び実施例を参考にして説明したが、これは例示的なものに過ぎないし、本技術分野における通常の知識を有する者であれば、これから様々な変形及び均等な他の具現例が可能である点を理解することができる。よって、本発明の真の技術的保護の範囲は、添付の特許請求の範囲の技術的思想によって定めるべきである。
【符号の説明】
【0081】
10、20 積層フィルム
11、21 粘着フィルム
12、13、23 離型フィルム
22 透明基材フィルム
図1
図2
図3