(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】少なくとも1つの染色基材と、1種又は複数の保存剤を含む少なくとも1つの保護基材とを含む集合体、分割供給手段及び染色方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/41 20060101AFI20221114BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20221114BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20221114BHJP
A61Q 5/10 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
A61K8/41
A61K8/19
A61K8/46
A61Q5/10
(21)【出願番号】P 2020536212
(86)(22)【出願日】2018-12-21
(86)【国際出願番号】 EP2018086543
(87)【国際公開番号】W WO2019129698
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-06-26
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】アンリ・サマン
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-502035(JP,A)
【文献】米国特許第05860431(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0230546(US,A1)
【文献】特表2005-519658(JP,A)
【文献】特表2015-503959(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合体(2)であって、
- ケラチン繊維を染色するための少なくとも1つの基材(3)であって、1種又は複数の酸化染料、及び染色剤組成物の総質量に対して2質量%以下の
保存剤を含む染色剤組成物から構成される少なくとも1つの層で被覆された表面を含む、少なくとも1つの基材(3)と、
- 硫黄含有還元剤、硫黄非含有還元剤、酸化縮合反応の速度を遅らせることができる化合物、及びそれらの混合物から選択される1種又は複数の保存剤を含む組成物から構成される少なくとも1つの層で被覆された表面を含む、少なくとも1つの保護基材(4a、4b)と
を含み、
- 前記染色基材(3)は、前記保護基材(4a、4b)と異なり、かつ
- 前記染色基材(3)
の表面の染色剤組成物は、少なくとも1つの保護基材(4a、4b)
で覆われている及び/又は保護基材(4a、4b)は、前記染色基材(3)を部分的又は全体的に覆っていることが理解される、集合体(2)。
【請求項2】
前記染色基材(3)は、2つの保護基材(4a、4b)間に含まれていることを特徴とする、請求項1に記載の集合体(2)。
【請求項3】
前記染色基材(3)は、シート形態の構成要素であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の集合体(2)。
【請求項4】
前記シート形態の構成要素は、プラスチック;紙;金属;織物;非吸収性繊維の不織物からなることを特徴とする、請求項3に記載の集合体(2)。
【請求項5】
前記シート形態の構成要素は、接着剤層であって、その上に前記酸化染料が堆積される接着剤層を含むことを特徴とする、請求項3又は4に記載の集合体(2)。
【請求項6】
前記酸化染料は、酸化性塩基及び酸化性塩基とカプラーとの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の集合体(2)。
【請求項7】
前記酸化性塩基は、パラ-フェニレンジアミン、ビス(フェニル)アルキレンジアミン、パラ-アミノフェノール、オルト-アミノフェノール及び複素環式塩基並びにそれらの付加塩、並びにそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項6に記載の集合体(2)。
【請求項8】
前記カプラーは、メタ-フェニレンジアミン、メタ-アミノフェノール、メタ-ジフェノール、ナフタレンをベースとするカプラー及び複素環式カプラー並びにそれらの付加塩及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項6に記載の集合体(2)。
【請求項9】
前記保存剤は、サルファイト、バイサルファイト、スルフィネート、硫黄非含有還元性糖、水素化物、チオール化硫黄含有還元剤、レダクトン型有機還元剤、酸化縮合反応の速度を遅らせることができる剤及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の集合体(2)。
【請求項10】
前記保存剤は、亜硫酸及び亜硫酸水素アンモニウム、アルカリ金属又はアルカリ土類金属亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩、レダクチン酸、アスコルビン酸、エリソルビン酸又はイソアスコルビン酸、チオグリコール酸、チオ乳酸、システイン、システアミン、エチレンジアミノ四酢酸(EDTA)、クエン酸及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の集合体(2)。
【請求項11】
前記保存剤は、前記保存剤を含み且つ前記保護基材を被覆している前記組成物の総質量に対して0.1質量%~60質量%の範囲の総量で存在することを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の集合体(2)。
【請求項12】
繰出用回転ドラム(5)を含み、前記集合体(2)が上記繰出用回転ドラム(5)の回転面上に巻回されているか、又は前記集合体(2)の一端が前記ドラム(5)の放射状の溝に保持されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の集合体(2)を分割供給するための手段(1)。
【請求項13】
前記集合体(2)を切断するための手段(7)を含むことを特徴とする、請求項12に記載の分割供給手段(1)。
【請求項14】
前記2つの保護基材(4a、4b)を前記染色基材(3)から分離するための手段(6)と、前記染色基材(3)を切断するための手段(7)とを含むことを特徴とする、請求項1又は2に規定の集合体(2)を分割供給するための、請求項12に記載の手段(1)。
【請求項15】
ケラチン繊維を酸化染色するための方法であって、
i)請求項1~2又は8~11のいずれか一項に規定する保護基材(4a、4b)を、請求項1~11のいずれか一項に記載の集合体(2)から取り除くことを含むステップと、
ii)請求項1~8のいずれか一項に規定する染色基材(3)を前記繊維に適用するステップと、
iii)1種又は複数の化学的酸化剤を含み、かつ1種又は複数のアルカリ剤を含むか又は含まない水性酸化組成物を前記繊維に適用するステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン繊維を染色する分野、より詳細には染毛分野に関する。
【0002】
本発明は、少なくとも1つの染色基材と、1種又は複数の保存剤を含む少なくとも1つの保護基材とを含む集合体に関し、染色基材は、保護基材と異なることが理解される。
【0003】
本発明は、この集合体を分割供給するための手段及びまた前記集合体を用いてケラチン繊維を染色するための方法にも関する。
【背景技術】
【0004】
ケラチン繊維、特に毛髪等のヒトのケラチン繊維を染色することにより、一般に酸化性塩基として知られる酸化染料プレカーサー、例えばオルト-若しくはパラ-フェニレンジアミン、オルト-若しくはパラ-アミノフェノール又は複素環式化合物、例えばピラゾール、ピラゾリノン若しくはピラゾロピリジンを含む染色剤組成物を用いて「永久的な」カラーリングを達成することは、公知の手法である。この酸化性塩基は、無色又は薄い色の化合物であり、酸化剤と結合することにより、酸化縮合過程を経て有色の化合物を生成することができる。
【0005】
このような酸化性塩基を用いて得られる色調は、それらをカプラー又は調色剤と組み合わせることによって変化させることが可能であることも公知であり、後者は、特に芳香族メタ-ジアミン、メタ-アミノフェノール、メタ-ジフェノール及び特定の複素環式化合物、例えばインドール又はピリジン化合物から選択される。酸化性塩基及びカプラーとして使用される分子は、多様性に富むため、幅広い色を得ることが可能である。
【0006】
したがって、標準的な酸化染色方法は、一般に、酸化性塩基又は酸化性塩基及びカプラーの混合物を含む染色剤組成物を酸化剤としての過酸化水素(H2O2又は過酸化水素水溶液)と一緒にケラチン繊維に適用することと、これを拡散させるために放置することと、次いで上記繊維を濯ぐこととを含む。その結果として達成されるカラーリングは、一般に永久的であり、強力であり、且つ外的要因、特に光、悪天候、洗浄、汗及び摩擦に耐性を示す。
【0007】
残念ながら、酸化性プレカーサーは、酸素、特に大気中酸素との反応性が比較的高い化合物である。したがって、酸化性プレカーサーは、従来の酸化性染色剤では、長期間にわたる保管及び保存性の問題を引き起こす可能性がある。
【0008】
そのため、酸化性プレカーサーの酸化を遅らせることを目的として、染色剤組成物に保存剤化合物を添加することは、よく知られた手法である。
【0009】
しかしながら、「化学物質を減らした」及び「より環境に優しい」と称される染色剤組成物を求める使用者が増えており、実際、一部の使用者は、保存剤化合物を悪い意味で特に使用者の健康及び環境に有害な化合物と捉えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、保存剤をほとんど又は全く含まない一方、同時に長期間にわたって特に大気中酸素に対する保存が十分であり、ケラチン繊維を良好に濃色化して濃い有色で染色することを可能にし、光に対して安定であり、且つ/又は繊維が曝露され得る悪天候、洗浄(シャンプー洗浄)及び汗等の様々な攻撃に耐性を示すカラーリングをもたらすことを可能にする、ケラチン繊維を酸化染色するための利用可能な薬剤が実際に求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これらの目的は、本発明により達成可能であり、その主題は、特に、集合体であって、
- ケラチン繊維、特に毛髪等のヒトのケラチン繊維を染色するための少なくとも1つの基材であって、1種又は複数の酸化染料を含む染色剤組成物から構成される少なくとも1つの層で被覆された表面を含む、少なくとも1つの基材と、
- 1種又は複数の保存剤を含む組成物から構成される少なくとも1つの層で被覆された表面を含む、少なくとも1つの保護基材と
を含み、上記染色基材は、上記保護基材と異なることが理解される、集合体である。
【0012】
本発明による集合体は、特に、長期間にわたり、特に大気中酸素に対して容易且つ有効に保存することができるという利点を有する。この集合体は、周囲温度又は0℃未満の温度の両方で保存することができる。
【0013】
特に、この集合体により、染色基材を使用者が使用する直前に提供することが可能になる。
【0014】
本発明による集合体はまた、良好に濃色化することにより強力な有色のカラーリングをもたらすことを可能にし、選択性が低く、外的作用物質(シャンプー、光、汗又は悪天候等)に対する耐性を示す。
【0015】
換言すれば、本発明は、染色基材及び保護基材の集合体に関する。
【0016】
本発明の目的のための「基材」という語は、支持体であって、その上に染色剤組成物(染色基材)又は1種若しくは複数の保存剤を含む組成物が堆積される支持体を意味する。
【0017】
本発明の主題は、集合体を分割供給するための手段でもある。
【0018】
本発明の主題は、ケラチン繊維、特に毛髪等のヒトのケラチン繊維を酸化染色するための方法であって、
i)上記保護基材を集合体から取り除くことを含むステップと、
ii)染色基材を上記繊維に適用するステップと、
iii)1種又は複数の化学的酸化剤及び任意選択的に1種又は複数のアルカリ剤を含む水性酸化剤組成物を上記繊維に適用するステップと
を含む方法でもある。
【0019】
有利には、本発明によるケラチン繊維を染色するための方法は、ケラチン繊維に保存剤をほとんど堆積させないか又は更に全く堆積させないことを可能にする。
【0020】
本発明の他の主題、特徴、態様及び利点は、以下の説明及び実施例から一層明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の特定の一実施形態による分割供給手段の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の目的のために、別段の指示がない限り、
・「ヘテロアリール基」は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子及びセレン原子から選択される1~6つのヘテロ原子と、芳香族である少なくとも1つの環とを含む、縮合又は非縮合の、任意選択的にカチオン性である5~22員の単環式又は多環式基を表し、優先的には、ヘテロアリール基は、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾビストリアゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾピリダジニル、ベンゾキノリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンズオキサゾリル、ピリジル、テトラゾリル、ジヒドロチアゾリル、イミダゾピリジル、イミダゾリル、インドリル、イソキノリル、ナフトイミダゾリル、ナフトオキサゾリル、ナフトピラゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾロピリジル、フェナジニル、フェノキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリリル、ピラゾイルトリアジル、ピリジル、ピリジノイミダゾリル、ピロリル、キノリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チアゾロピリジル、チアゾイルイミダゾリル、チオピリリル、トリアゾリル、キサンチニル又はチオキサンチニルから選択され、
・「アリール」基は、6~22の炭素原子を含み、芳香族である少なくとも1つの環を含む単環式又は縮合若しくは非縮合多環式炭素系基を表し、優先的には、アリール基は、フェニル、ビフェニル、ナフチル、インデニル、アントラセニル又はテトラヒドロナフチルであり、
・「アリール」若しくは「ヘテロアリール」基又は任意の基のアリール若しくはヘテロアリール部分は、次に示す基から選択される、炭素原子に結合している少なくとも1つの置換基で置換され得、
- ヒドロキシル基、C1~C2アルコキシ基、C2~C4(ポリ)ヒドロキシアルコキシ基、アシルアミノ基、同一であるか又は異なり得る2つのC1~C4アルキル基で置換されており、任意選択的に少なくとも1つのヒドロキシル基を有するか、又はこの2つの基が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、飽和又は不飽和の、任意選択的に置換された、任意選択的に他の窒素又は窒素以外のヘテロ原子を含む、5~7員、好ましくは5又は6員の複素環を形成し得る、アミノ基から選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換されたC1~C6、好ましくはC1~C4アルキル基、
- ハロゲン原子、
- ヒドロキシル基又はチオール基、
- C1~C6アルコキシ基又はC1~C6アルキルチオ基、
- (ポリ)ヒドロキシ(C2~C6)アルコキシ基、
- アミノ基、
- (C1~C4)アルキル基、優先的にはメチルで任意選択的に置換された5又は6員のヘテロシクロアルキル基、優先的にはモルホリノ、ピペラジノ、ピペリジノ又はピロリジノ、
- (C1~C4)アルキル基、優先的にはメチルで任意選択的に置換された5又は6員のヘテロアリール基、優先的にはイミダゾリル、
- 1又は2つの同一又は異なるC1~C6アルキル基で置換されており、少なくとも次に示す基を任意選択的に有するアミノ基:
□ヒドロキシル基、
□1又は2つの任意選択的に置換されたC1~C3アルキル基で任意選択的に置換されたアミノ基(上記アルキル基は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、飽和又は不飽和の、少なくとも1つの他の窒素又は窒素以外のヘテロ原子を任意選択的に含む、任意選択的に置換された5~7員の複素環を形成し得る)、
□第4級アンモニウム基-N+R’R’’R’’’,M-(ここで、R’、R’’及びR’’’は、同一であるか又は異なり得、水素原子又はC1~C4アルキル基を表し、M-は、アニオン性対イオンを表す)、又は
□(C1~C4)アルキル基、優先的にはメチルで任意選択的に置換された、任意選択的にカチオン性である5又は6員のヘテロアリール基、優先的にはイミダゾリウム、
- アシルアミノ基(-N(R)-C(O)-R’)(ここで、R基は、水素原子であるか又は少なくとも1つのヒドロキシル基を任意選択的に有するC1~C4アルキル基であり、R’基は、C1~C2アルキル基である)、
- カルバモイル基((R)2N-C(O)-)(ここで、R基は、同一であるか又は異なり得、水素原子を表すか又は少なくとも1つのヒドロキシル基を任意選択的に有するC1~C4アルキル基を表す)、
- アルキルスルホニルアミノ基(R’-S(O)2-N(R)-)(ここで、R基は、水素原子を表すか又は少なくとも1つのヒドロキシル基を任意選択的に有するC1~C4アルキル基を表し、R’基は、C1~C4アルキル基又はフェニル基を表す)、
- アミノスルホニル基((R)2N-S(O)2-)(ここで、R基は、同一であるか又は異なり得、水素原子を表すか又は少なくとも1つのヒドロキシル基を任意選択的に有するC1~C4アルキル基を表す)、
- 酸形態又は塩形態のカルボキシル基(好ましくは、アルカリ金属又は置換若しくは無置換のアンモニウムと塩を形成している)、
- シアノ基、
- ニトロ又はニトロソ基、
- ポリハロアルキル基、好ましくはトリフルオロメチル、
・環式若しくは複素環式基又はアリール若しくはヘテロアリール基の非芳香族部分は、1つ又は複数のオキソ基で更に置換され得、
・「アルキル基」は、直鎖又は分岐のC1~C10、特にC1~C8、より詳細にはC1~C6、好ましくはC1~C4炭化水素系基であり、
・本発明の趣旨の範囲内における「ポリマー」は、1種又は複数の単位(これらの単位は、モノマーとして知られる化合物に由来する)の繰り返しに相当する化合物と理解すべきであり、この又はこれらの単位は、少なくとも2回、好ましくは少なくとも3回繰り返され、
・「皮膜形成ポリマー」という語は、支持体上において、それ自体で又は皮膜形成助剤の存在下で巨視的に連続的な堆積物を形成し、好ましくは凝集性を有する堆積物を形成し、より良好には、例えば堆積物を非粘着性表面、例えばTeflonコーティング又はシリコーンコーティングが施された表面上に注ぐことにより作製した場合、上記堆積物が分離可能であり、分離時の取扱いが容易になるような凝集性及び機械特性を備えた上記堆積物を形成することができるポリマーを意味し、
・値の範囲の端点は、特に「~の間」及び「~の範囲である」という表現でその範囲に包含され、
・「少なくとも1つ」という表現は、「1つ又は複数」という表現と均等であり、それと交換可能である。
【0023】
I.集合体
本発明によれば、集合体は、1種又は複数の酸化染料を含む染色剤組成物から構成される少なくとも1つの層で被覆された表面を含む、ケラチン繊維を染色するための少なくとも1つの基材を含む。
【0024】
本発明の染色基材は、シート形態の構成要素の形態又は他の実施形態であり得る。
【0025】
好ましい一実施形態によれば、染色基材は、シート形態の構成要素である。
【0026】
染色基材は、プラスチック(特に熱可塑性物質)、紙、金属(特にアルミニウム)、織物、非吸収性繊維(特にセルロース若しくはその誘導体又はポリアミド6,6)の不織物から製造することができる。
【0027】
好ましくは、染色基材は、プラスチック、特に熱可塑性物質のシートであるか又は非吸収性繊維の不織材料、特にセルロース若しくはその誘導体をベースとする不織物のシートである。
【0028】
優先的には、染色基材は、プラスチック、特に熱可塑性物質のシートである。
【0029】
染色基材は、水溶性材料から構成され得、こうすることにより、例えば洗髪によって除去することが可能になる。
【0030】
染色基材は、好ましくは、水溶性材料の層と非水溶性材料の層(例えば、アルミシート)との重ね合わせを含む。
【0031】
毛束の周囲を囲むことができるような染色基材を設計することができる。その場合、この種の染色基材は、例えば、このような状態を維持するための固定手段、例えば一方の端部付近に配置された接着剤又は機械的に開閉可能な留め具が備えられている。
【0032】
好ましくは、染色基材は、20~300g/m2の範囲、更に好ましくは30~200g/m2の範囲の目付けを有する。
【0033】
染色基材は、特に40~1000マイクロメートルの範囲、好ましくは40~400マイクロメートル、更に好ましくは60~200マイクロメートルの範囲の厚さを有する。
【0034】
染色基材は、不透明又は透明であり得る。好ましくは、染色基材は、透明であり、こうすることにより、特に1種以上のパターンを毛束上又は頭髪上の正確な位置に作成したい場合に毛髪上での位置決めが容易になる。換言すれば、染色基材が透明であることにより、染色方法の実施は、特にカラーリングパターンを作成する場合に容易になり、正確性が向上する。
【0035】
本発明による染色基材は、好ましくは、可撓性を有すると共に高強度である。好ましくは、染色基材の強度は、300kPaを超える(TAPPI-T403標準)。
【0036】
好ましくは、染色基材は、耐水性である。詳細には、上記構成要素の吸水度は、COBB 60試験により測定され、これは、上記構成要素に水を60秒間接触させた際の吸水度に相当する(手順はISO 535標準、TAPPI-T411測定に定められている)。
【0037】
このようにして測定されたシート形態にある染色基材の吸水度は、100g/m2未満であり、好ましくは40g/m2未満である。
【0038】
好ましくは、染色基材は、油性化合物に耐性を示す。したがって、「食品用」ペーパー、即ち水及び油に対するバリア機能を示すことができる、紙とポリエチレン型の高分子化合物との複合体又は紙とパラフィンとの複合体から作製されたものを使用することができる。
【0039】
本発明の好ましい一実施形態によれば、集合体は、接着剤組成物の層で覆われている。この接着剤層は、集合体の表面内の酸化染料の接着性を向上させることができる。したがって、集合体は、紙のワニス処理技法(オイルニス、アクリルワニス等)に用いられる方法を実施することにより保護される。好ましくは、集合体は、1種又は複数の酸化染料を含み、水系又は有機系アクリルワニス組成物の層で覆われている。換言すれば、集合体は、1種又は複数の酸化染料を含む層及びアクリルワニスの層を含み、2つの層は、上下に近接している。
【0040】
アクリルワニス層の単位面積当たりの質量は1~10g/m2の範囲にあり、より詳細には2~5g/m2の範囲にある。
【0041】
本発明の一変形形態によれば、染色基材は、1種又は複数の酸化染料を含む染色剤組成物から構成される少なくとも1つの層で被覆された表面が、水性又は水性-アルコール性媒体中に可溶であるか又は水分散性である、次に示すものから選択される1種又は複数の皮膜形成ポリマーを含む水性組成物で処理されている:
・(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリル系ホモポリマー、例えば、
○アクリル系ポリマー、特にProtex社から販売されているAcrymul AM 123 R、
○ポリアクリル酸、特にSEPC Coatex社から販売されているCarbomer、
○ポリメタクリル酸、特にBASF社から販売されているSalcare SC130、
○ポリメタクリル酸ナトリウム、特にVanderbildt社から販売されているDarvan 7-N、
・少なくとも1種の(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリル系モノマー、例えば、
○水溶液中のジメチルジアリルアンモニウムクロリド/アクリル酸(95/5)コポリマー、特にMerquat 295の商品記号でNalco(Lubrizol)社から販売されているもの、
○メタクリル酸/アクリル酸エチルコポリマー、特にLuviflex Softの商品記号でAromat社から販売されているもの
を含むコポリマー、
・酢酸ビニルをベースとする(コ)ポリマー、例えば、
○酢酸ビニル/p-(tert-ブチル)安息香酸ビニル/クロトン酸65/25/10)ターポリマー、特にMexomer PW社から販売されているChimex、
○酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニルターポリマー、特にAkzo Nobelから販売されているResyn 28-2930、
・多糖類、例えばセルロース、デンプン、スクロースから誘導されたポリマー、
・ガム類、例えばグアーガム、
・タンパク質重合体、例えば大豆タンパク質加水分解物(特にMGP Ingredientsから販売されているAqua Pro SP 1)、コムギ又はメイズタンパク質加水分解物、及び
・それらの混合物。
【0042】
好ましくは、この変形形態によれば、染色基材は、乾燥され、こうすることにより、1種又は複数の酸化染料を含む層に近接しており、任意選択的に接着剤層にも近接している、皮膜形成ポリマーを含む層が残留する。この皮膜形成ポリマーを含む層は、乾燥物約2g/m2の薄肉であるか、又は乾燥物約200g/m2の厚肉であり得、より優先的には、上記層は、皮膜形成ポリマーを、乾燥物が5~100g/m2となるように含む。
【0043】
上に示したように、本発明による集合体は、1種又は複数の酸化染料を含む染色剤組成物から構成される少なくとも1つの層で被覆された表面を含む、ケラチン繊維を染色するための少なくとも1種の基材を含む。
【0044】
酸化染料は、1種以上の酸化性塩基から選択することができ、場合により1種以上のカプラーと併用される。好ましくは、酸化染料は、少なくとも1種の酸化性塩基及び少なくとも1種のカプラーを含む。
【0045】
一例として、酸化性塩基は、パラフェニレンジアミン、ビス(フェニル)アルキレンジアミン、パラアミノフェノール、オルトアミノフェノール及び複素環式塩基並びにそれらの付加塩から選択される。
【0046】
パラフェニレンジアミンの中でも、例えば、パラフェニレンジアミン、パラトリレンジアミン、2-クロロ-パラフェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラフェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラフェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラフェニレンジアミン、2,5-ジメチル-パラフェニレンジアミン、N,N-ジメチル-パラフェニレンジアミン、N,N-ジエチル-パラフェニレンジアミン、N,N-ジプロピル-パラフェニレンジアミン、4-アミノ-N,N-ジエチル-3-メチルアニリン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラフェニレンジアミン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルアニリン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-クロロアニリン、2-β-ヒドロキシエチル-パラフェニレンジアミン、2-フルオロ-パラフェニレンジアミン、2-イソプロピル-パラフェニレンジアミン、N-(β-ヒドロキシプロピル)-パラフェニレンジアミン、2-ヒドロキシメチル-パラフェニレンジアミン、N,N-ジメチル-3-メチル-パラフェニレンジアミン、N-エチル-N-(β-ヒドロキシエチル)-パラフェニレンジアミン、N-(β,γ-ジヒドロキシプロピル)-パラフェニレンジアミン、N-(4’-アミノフェニル)-パラフェニレンジアミン、N-フェニル-パラフェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-パラフェニレンジアミン、2-β-アセチルアミノエチルオキシ-パラフェニレンジアミン、N-(β-メトキシエチル)-パラフェニレンジアミン、4-アミノフェニルピロリジン、2-チエニル-パラフェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-アミノトルエン、3-ヒドロキシ-1-(4’-アミノフェニル)ピロリジン及びそれらの酸付加塩を挙げることができる。
【0047】
上述のパラフェニレンジアミンの中でも、特に、パラフェニレンジアミン、パラトリレンジアミン、2-イソプロピル-パラフェニレンジアミン、2-(β-ヒドロキシエチル)-パラフェニレンジアミン、2-(β-ヒドロキシエチルオキシ)-パラフェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラフェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラフェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラフェニレンジアミン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラフェニレンジアミン、2-クロロ-パラフェニレンジアミン、2-(β-アセチルアミノエチルオキシ)-パラフェニレンジアミン及びそれらの酸付加塩が好ましい。
【0048】
ビス(フェニル)アルキレンジアミンの中でも、例えば、N,N’-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N’-ビス(4’-アミノフェニル)-1,3-ジアミノプロパノール、N,N’-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N’-ビス(4’-アミノフェニル)エチレンジアミン、N,N’-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N’-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N’-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N’-ビス(4-メチルアミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N’-ビス(エチル)-N,N’-ビス(4’-アミノ-3’-メチルフェニル)エチレンジアミン、1,8-ビス(2,5-ジアミノフェノキシ)-3,6-ジオキサオクタン及びその付加塩を挙げることができる。
【0049】
パラ-アミノフェノールの中でも、例えば、パラ-アミノフェノール、4-アミノ-3-メチルフェノール、4-アミノ-3-フルオロフェノール、4-アミノ-3-クロロフェノール、4-アミノ-3-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メチルフェノール、4-アミノ-2-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メトキシメチルフェノール、4-アミノ-2-アミノメチルフェノール、4-アミノ-2-(β-ヒドロキシエチルアミノメチル)フェノール及び4-アミノ-2-フルオロフェノール並びにそれらの酸付加塩を挙げることができる。
【0050】
オルトアミノフェノールの中でも、例えば、2-アミノフェノール、2-アミノ-5-メチルフェノール、2-アミノ-6-メチルフェノール、5-アセトアミド-2-アミノフェノール及びその付加塩を挙げることができる。
【0051】
複素環式塩基の中でも、例えば、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体及びピラゾール誘導体を挙げることができる。
【0052】
ピリジン誘導体の中でも、例えば、英国特許出願公開第1026978号明細書及び英国特許出願公開第1153196号明細書に記載されている化合物、例えば2,5-ジアミノピリジン、2-(4-メトキシフェニル)アミノ-3-アミノピリジン及び3,4-ジアミノピリジン並びにそれらの付加塩を挙げることができる。
【0053】
本発明において有用な他のピリジン酸化性塩基は、例えば、仏国特許出願公開第2801308号明細書に記載されている3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン酸化性塩基又はその付加塩である。例えば、ピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、2-(アセチルアミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、2-(モルホリン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-2-カルボン酸、2-メトキシピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-7-イル)メタノール、2-(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-5-イル)エタノール、2-(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-7-イル)エタノール、(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-2-イル)メタノール、3,6-ジアミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン、3,4-ジアミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3,7-ジアミン、7-(モルホリン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3,5-ジアミン、5-(モルホリン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、2-[(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-5-イル)(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール、2-[(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-7-イル)(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-5-オール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-4-オール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-オール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-7-オール並びにそれらの付加塩を挙げることができる。
【0054】
ピリミジン誘導体の中でも、例えば、独国特許出願公開第2359399号明細書、特開平2-19576号明細書(JP88-169571)、JP05-63124及び欧州特許出願公開第0770375号明細書又は国際公開第96/15765号パンフレットに記載されている化合物、例えば2,4,5,6-テトラアミノピリミジン、4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン、2-ヒドロキシ-4,5,6-トリアミノピリミジン、2,4-ジヒドロキシ-5,6-ジアミノピリミジン、2,5,6-トリアミノピリミジン及びその互変異性体形態(互変異性平衡が存在する場合)並びにその付加塩を挙げることができる。
【0055】
ピラゾール誘導体の中でも、独国特許出願公開第3843892号明細書、独国特許出願公開第4133957号明細書及び国際公開第94/08969号パンフレット、国際公開第94/08970号パンフレット、仏国特許出願公開第2733749A号明細書及び独国特許出願公開第19543988号明細書に記載されている化合物、例えば4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール、3,4-ジアミノピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(4’-クロロベンジル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1,3-ジメチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-フェニルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-メチル-3-フェニルピラゾール、4-アミノ-1,3-ジメチル-5-ヒドラジノピラゾール、1-ベンジル-4,5-ジアミノ-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-tert-ブチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-tert-ブチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-(4’-メトキシフェニル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-ヒドロキシメチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-イソプロピルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-イソプロピルピラゾール、4-アミノ-5-(2’-アミノエチル)アミノ-1,3-ジメチルピラゾール、3,4,5-トリアミノピラゾール、1-メチル-3,4,5-トリアミノピラゾール、3,5-ジアミノ-1-メチル-4-メチルアミノピラゾール、3,5-ジアミノ-4-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-1-メチルピラゾール及びそれらの付加塩について言及することができる。4,5-ジアミノ-1-(β-メトキシエチル)ピラゾールを使用することもできる。
【0056】
好ましくは、4,5-ジアミノピラゾールが使用され、より好ましくは4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール及び/又はその塩が使用される。
【0057】
ピラゾール誘導体としては、ジアミノ-N,N-ジヒドロピラゾロピラゾロン、特に仏国特許出願公開第2886136A号明細書に記載されているもの、例えば、以下に示す化合物及びそれらの付加塩:2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-エチルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-イソプロピルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-(ピロリジン-1-イル)-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ジメチル-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ジエチル-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ジ(2-ヒドロキシエチル)-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、2-アミノ-3-(2-ヒドロキシエチル)アミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-ジメチルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2,3-ジアミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H,6H-ピリダジノ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、4-アミノ-1,2-ジエチル-5-(ピロリジン-1-イル)-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、4-アミノ-5-(3-ジメチルアミノピロリジン-1-イル)-1,2-ジエチル-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン又は2,3-ジアミノ-6-ヒドロキシ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オンを挙げることができる。
【0058】
好ましくは、2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン及び/又はその塩が使用されるであろう。
【0059】
好ましく使用される複素環式塩基としては、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール及び/又は2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン及び/又はそれらの塩が挙げられる。
【0060】
好ましくは、酸化性塩基は、パラフェニレンジアミン、1-メチル-2,5-ジアミノベンゼン、パラアミノフェノール、1-ヒドロキシエチル-4,5-ジアミノピラゾールスルフェート及び2,3-ジアミノジヒドロキシピラゾロンジメトスルホネート、それらの酸付加塩並びにそれらの混合物から選択される。
【0061】
カプラーは、有利には、ケラチン繊維の染色に従来使用されているものから選択される。
【0062】
これらのカプラーの中でも、特に、メタフェニレンジアミン、メタアミノフェノール、メタジフェノール、ナフタレン系カプラー及び複素環式カプラーに加えてそれらの付加塩を挙げることができる。
【0063】
例えば、2-メチル-5-アミノフェノール、5-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルフェノール、3-アミノフェノール、1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-2-メチルベンゼン、4-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、2,4-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、2-アミノ-4-(β-ヒドロキシエチルアミノ)-1-メトキシベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、1,3-ビス(2,4-ジアミノフェノキシ)プロパン、3-ウレイドアニリン、3-ウレイド-1-ジメチルアミノベンゼン、セサモール、1-β-ヒドロキシエチルアミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、α-ナフトール、2-メチル-1-ナフトール、6-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシ-N-メチルインドール、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、6-ヒドロキシベンゾモルホリン、3,5-ジアミノ-2,6-ジメトキシピリジン、1-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、2,6-ビス(β-ヒドロキシエチルアミノ)トルエン、6-ヒドロキシインドリン、2,6-ジヒドロキシ-4-メチルピリジン、1-H-3-メチルピラゾール-5-オン、1-フェニル-3-メチルピラゾール-5-オン、2,6-ジメチルピラゾロ[1,5-b]-1,2,4-トリアゾール、2,6-ジメチル[3,2-c]-1,2,4-トリアゾール及び6-メチルピラゾロ[1,5-a]ベンズイミダゾール、それらの酸付加塩及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0064】
一般に、本発明において使用することができる酸化性塩基の付加塩及びカプラーの付加塩は、特に、塩酸塩、臭化水素酸塩、スルフェート、シトラート、スクシナート、タータラート、ラクテート、トシレート、ベンゼンスルホナート、ホスフェート、アセテート等の酸付加塩から選択される。
【0065】
好ましくは、カプラーは、レゾルシノール、2-メチルレゾルシノール、5-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルフェノール、2-メチル-5-アミノフェノール、1-β-ヒドロキシエチルオキシ-2,4-ジアミノベンゼン二塩酸塩、3-アミノフェノール、それらの付加塩及びそれらの混合物から選択される。
【0066】
酸化染料は、染色基材表面の全部又は一部に存在することができる。即ち、基材表面は、染色剤組成物を含む層で全体的又は部分的に覆うことができる。
【0067】
本発明の特定の一実施形態によれば、後に定義する染色剤調製組成物は、染色基材表面の一部の上に堆積されてパターンを表し、これは、ケラチン繊維及び水性酸化剤組成物と接触すると、上記繊維上にカラーリングされたパターンを生成することを可能にするであろう。換言すれば、酸化染料は、染色基材表面にパターン形状に堆積される。したがって、染色基材表面は、パターンとして知られる1種又は複数の特定の幾何学形状をなすように配置された染色剤組成物から構成される1つ又は複数の層を含み、これを水性酸化剤組成物と反応させることにより、上記繊維上にカラーリングされたパターンが生成する。
【0068】
このパターンは、任意の形状とすることができ、特に幾何学形状である。
【0069】
したがって、染料は、染色基材表面の一部に存在し、所望の形状のパターンを表す。
【0070】
染色剤組成物は、任意選択的に、1種又は複数のアルカリ剤も含むことができる。
【0071】
アルカリ剤は、カーボネート、アルカノールアミン、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及びそれらの誘導体、オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化エチレンジアミン、無機又は有機水酸化物、アルカリ金属ケイ酸塩、例えばメタケイ酸ナトリウム、アミノ酸、好ましくは塩基性アミノ酸、例えばアルギニン、リジン、オルニチン、シトルリン及びヒスチジン並びに次に示す式(I):
【化1】
(式中、
- Wは、特に、ヒドロキシル基又はC
1~C
4アルキル基で任意選択的に置換された2価の(C
1~C
8)アルキレン基、好ましくはプロピレン基であり、
- R
a、R
b、R
c及びR
dは、同一であるか又は異なり得、水素原子又はC
1~C
4アルキル若しくはC
1~C
4ヒドロキシアルキル基を表す)
で表される化合物から選択することができる。
【0072】
無機又は有機水酸化物、特に無機又は有機水酸化物は、好ましくは、i)アルカリ金属の水酸化物、ii)アルカリ土類金属の水酸化物、例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、iii)遷移金属の水酸化物、例えば第III、IV、V及びVI族の金属の水酸化物、iv)ランタニド又はアクチニドの水酸化物、4級アンモニウム水酸化物及び水酸化グアニジニウムから選択される。
【0073】
水酸化物は、その場で形成されるもの、例えば水酸化カルシウムを炭酸グアニジンと反応させることにより形成される水酸化グアニジンとすることもできる。
【0074】
特に、使用されるアルカリ剤は、乾燥状態の固体である。
【0075】
本発明の第1の変形形態において、アルカリ剤は、後に定義する染色剤調製組成物中に使用される前に固体であり、好ましくは、カーボネート、無機水酸化物、例えば可溶性水酸化ナトリウム若しくはカリウム又はシリケートから選択される。
【0076】
本発明の他の変形形態において、アルカリ剤は、アルカノールアミン、特にモノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミンから選択される。
【0077】
上記染色剤組成物は、任意選択的に、1種又は複数の有機溶媒も含む。
【0078】
有機溶媒としては、2~6つの炭素原子を含む直鎖又は分岐の、好ましくは飽和のモノアルコール又はジオール、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、ヘキシレングリコール(2-メチル-2,4-ペンタンジオール)、ネオペンチルグリコール及び3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール及びプロピレングリコール;芳香族アルコール、例えばベンジルアルコール又はフェニルエチルアルコール;3つ以上のヒドロキシル基を含むポリオール、例えばグリセロール;ポリオールエーテル、例えばエチレングリコール又はプロピレングリコールモノメチル、モノエチル又はモノブチルエーテルに加えて、ジエチレングリコールアルキルエーテル、特にC1~C4アルキルエーテル、例えばジエチレングリコールモノエチルエーテル又はモノブチルエーテルを挙げることができる。
【0079】
集合体は、染色基材の表面に1種又は複数の活性化剤又は触媒の層も含むことができる。特に、基材は、好ましくは、1種又は複数の金属塩の層を、染色基材の表面に堆積させる前の染色剤調製組成物中に存在する酸化染料の質量に対して1%~20質量%の範囲の含有量で含む。
【0080】
染色基材を作製するための方法は、1種又は複数の酸化染料を含む少なくとも1種の染色剤調製組成物でその表面を処理する少なくとも1つのステップと、任意選択的に、上記染色基材を乾燥させる少なくとも1つのステップとを含む。
【0081】
本発明の目的のために、染色基材を作製するための方法に使用される染色剤組成物は、染色剤調製組成物に関して上に記載した1種又は複数の酸化染料を含むことが理解される。
【0082】
本発明の目的のために、染色剤調製組成物は、染色剤組成物中に任意選択的に存在する化合物に関し上に記載した1種又は複数のアルカリ剤及び/又は1種又は複数の有機溶媒を任意選択的に含むことができることも理解される。
【0083】
好ましくは、染色剤調製組成物は、1種又は複数の酸化染料及び1種又は複数のアルカリ剤を含む。
【0084】
染色剤調製組成物が水性であり、1種又は複数のアルカリ剤を含む場合、pHは、好ましくは7.5~13、より良好には8~12、一層良好には8~11の範囲にある。
【0085】
染色基材の表面に堆積させることが意図された染色剤調製組成物は、周囲温度で液体又は粉末形態とすることができ、好ましくは周囲温度で液体である。
【0086】
染色基材表面に存在する染色剤組成物は、任意選択的に、基材を一方では1種又は複数の酸化染料で処理し、他方では任意選択的に1種又は複数のアルカリ剤及び任意選択的に上に記載した1種又は複数の活性剤で処理する、連続的な処理を行った結果として得られるものとすることができる。
【0087】
酸化性塩基及び任意選択的にカプラーは、有利には、染色基材の表面に堆積させる前の染色剤調製組成物の総質量に対して0.01質量%~100質量%、好ましくは1質量%~50質量%、より良好には5質量%~40質量%を占めることができる。
【0088】
アルカリ剤は、染色基材の表面に堆積させる前の染色剤調製組成物の総質量に対して好ましくは0.01質量%~20質量%の範囲の総含有量で存在することができる。
【0089】
上記染色剤調製組成物は、任意選択的に、1種又は複数の保存剤も、好ましくは染色基材の表面に堆積させる前の染色剤調製組成物の総質量に対して2質量%以下、より優先的には1質量%以下、一層優先的には0.1質量%~0.9質量%、一層良好には0.2質量%~0.8質量%の総含有量で含むことができる。
【0090】
好ましくは、染色基材の表面を処理する少なくとも1つのステップは、上に定義した少なくとも1種の染色剤調製組成物を印刷方法により堆積させるステップを含む。換言すれば、染色剤調製組成物は、染色基材表面に印刷される、即ち上に定義した染色基材を得ることが可能な印刷方法が用いられる。
【0091】
染色剤組成物は、基材表面に印刷された後、乾燥される。
【0092】
染色剤調製組成物を染色基材の表面に堆積させる役割を果たす印刷方法は、スクリーン印刷方法、フレキソ印刷方法、オフセット印刷方法又はインクジェットプリンタ若しくはレーザープリンタを用いる印刷方法とすることができる。
【0093】
したがって、好ましくは、染色基材を作製するための方法は、上に定義した少なくとも1種の染料調製組成物が、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷又はインクジェットプリンタを用いる印刷により染色基材に適用される、染色基材に印刷するための方法に相当する。
【0094】
優先的には、上に定義した少なくとも1種の染色剤調製組成物は、染色基材に、スクリーン印刷によるか又はインクジェットプリンタを用いることにより適用される。
【0095】
より優先的には、上に定義した染色剤調製組成物は、染色基材表面にインクジェットプリンタを用いて印刷される。
【0096】
有利には、この印刷による実施形態において、染色基材は、シート形態の構成要素である。
【0097】
作製方法がレーザープリンタを使用する印刷方法を用いることを含む場合、染色剤調製組成物は、酸化染料を粉末形態で含む。
【0098】
本発明の好ましい一実施形態によれば、染色基材を作製するための方法は、少なくとも1種の染色剤調製組成物を、接着剤組成物の層で覆われた染色基材の表面に堆積させることを含む少なくとも1つの堆積ステップを含む。この接着剤層は、染色基材の全部又は一部を覆うことができる。特に、接着剤層は、パターンを表すことができる。
【0099】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、上に記載した染色基材を作製するための方法は、印刷方法を介して、1種又は複数の酸化染料を含む少なくとも1種の染色剤調製組成物を染色基材の表面に部分的に堆積させることを含む少なくとも1つの堆積ステップを含む。
【0100】
この他の好ましい実施形態によれば、酸化染料は、染色基材の表面に1種又は複数のパターン形状に堆積される。特に、パターンは、正方形、円形、卵形、楕円形又は三角形の塗り潰されたパターン又はこれらのパターンの枠線の形態とすることができる。これらはまた、太くても細くても、直線又は曲線であっても、交差した線であっても、文字を表しても、定型化された図であっても、幾何学パターンであってもよい。これらは、点線又は斑点でもあり得る。
【0101】
染色剤調製組成物を基材表面に堆積させたら、基材を乾燥させる。
【0102】
こうして本作製方法に従って前処理された染色基材は、好ましくは、5分間~120分間、優先的には5分間~90分間、より優先的には1分間~60分間、より良好には5分間~60分間の範囲の時間内に乾燥する。
【0103】
好ましくは、上記染色基材を乾燥させるステップは、上記基材を外気中で自然乾燥させることを含む。
【0104】
作製された染色基材は、1種又は複数の酸化染料を含む染色剤組成物から構成される少なくとも1つの層で被覆された表面を含む。
【0105】
本発明の目的のための、染色剤組成物全体の水含有量は、染色剤組成物の総質量に対して20質量%未満、好ましくは15質量%以下、より優先的には10質量%以下である。
【0106】
酸化性塩基及び任意選択的にカプラーは、有利には、染色剤組成物の総質量に対して0.01質量%~100質量%、好ましくは1質量%~50質量%、より良好には4質量%~40質量%を占めることができる。
【0107】
アルカリ剤は、染色剤組成物中において、好ましくは、染色剤組成物の総質量に対して0.01質量%~20質量%の範囲の総含有量で存在することができる。
【0108】
保存剤は、染色剤組成物中において、好ましくは染色剤組成物の総質量に対して2質量%以下、より優先的には1質量%以下、一層優先的には0.1%~0.9質量%、一層良好には0.2%~0.8質量%の含有量で存在することができる。
【0109】
本発明によれば、集合体は、1種又は複数の保存剤を含む組成物から構成される少なくとも1つの層で被覆された表面を含む少なくとも1種の保護基材を含む。
【0110】
本発明の特定の一実施形態によれば、保存剤は、
・シート形態の保護基材中に含まれ得(この場合、シートは、任意の材料、例えば上に記載した水溶性物質の重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロイド、可塑化PVC、セロハンから作製することができる)(好ましくは、保護基材は、ポリエチレン材料のシートである)、又は
・保護表面に含まれ得る(即ちシート形態の保護基材に「結合」している)(この場合、これは、上述の材料のシート上に堆積された、上に述べた水溶性又は水分散性ポリマーシート上に(又はこの場合には保護基材を形成する2つの層の上に)フィルムを形成している)。
【0111】
保護基材の厚みは、特に10~500マイクロメートルの範囲にあり、好ましくは、厚みは、40~250マイクロメートル、より良好には80~150マイクロメートルの範囲にある。
【0112】
保護基材は、不透明又は透明であり得る。
【0113】
好ましくは、保護基材は、不透明であり、特により良好に保護を行うために紫外放射に対して不透明である。
【0114】
好ましくは、集合体は、1又は2つの保護基材を含み、それぞれ1種又は複数の保存剤を含む組成物から構成される少なくとも1つの層で被覆された表面を含む。
【0115】
上に述べたように、保護基材は、1種又は複数の保存剤を含む組成物から構成される少なくとも1つの層で被覆された表面を含む。換言すれば、保護基材は、1種又は複数の保存剤を含む組成物で前処理されている。
【0116】
保存剤は、硫黄含有還元剤、例えばチオール化還元剤、非チオール化還元剤;硫黄非含有還元剤;酸化縮合反応の速度を遅らせることができる化合物;及びそれらの混合物から選択することができる。
【0117】
有利には、チオール化硫黄含有還元剤は、1つ又は複数のメルカプト(-SH)基と、好ましくはカルボン酸基、アミン基、アミド基、エステル基及びアルコール基並びにそれらの混合物から選択される少なくとも1種の他の官能基とを含む有機化合物から選択することができる。
【0118】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明に従って使用されるチオール化還元剤は、式i~l:
R-SH
i~l
(式i~l中、
・Rは、
- 好ましくは、カルボキシC(O)OH、(ジ)(C1~C4)(アルキル)アミノ、ヒドロキシル-OH、チオール-SHから選択される1つ若しくは複数の基で任意選択的に置換され、且つ/若しくは1つ若しくは複数のヘテロ原子若しくは-O-、-S-、-N(R’’’)-、C(O)若しくはそれらの組合せ(-O-C(O)-、-C(O)-O-、-N(R’’’)-C(O)-又は-C(O)-N(R’’’)-等)から選択される基が任意選択的に挿入された直鎖又は分岐の(C1~C8)アルキル基、好ましくは(C1~C6)アルキル基(ここで、R’’’は、水素原子又は(C1~C6)アルキル基、好ましくは(C1~C4)アルキル基を表す);又は
- 特に1つ若しくは複数のヒドロキシル基、チオール基若しくはカルボキシ基で任意選択的に置換された(ヘテロ)アリール基
を表す)で表されるものに加えて、それらの有機若しくは無機酸若しくは塩基との塩、それらの光学異性体及びそれらの互変異性体並びに水和物等の溶媒和物;並びに/又はそれらの混合物から選択される。
【0119】
本発明の特定の実施形態によれば、チオール化還元剤は、上に定義した式i~lで表されるものに加えて、それらの有機若しくは無機酸若しくは塩基との塩、それらの光学異性体及びそれらの互変異性体並びに水和物等の溶媒和物;並びに/又はそれらの混合物から選択され、ここで、Rは、
- カルボキシC(O)OH、アミノ、ヒドロキシル-OH及びチオール-SHから選択される1つ若しくは複数の基で置換されており;並びに/又は
- 1つ若しくは複数のヘテロ原子若しくは-O-基、-N(R’’’)-基、C(O)基若しくはそれらの組合せ(-O-C(O)-、-C(O)-O、-N(R’’’)-C(O)-又は-C(O)-N(R’’’)-等)(ここで、R’’’は、水素原子又は(C1~C6)アルキル基、優先的には(C1~C4)アルキル基を表す)から選択される基が任意選択的に挿入されている;
直鎖又は分岐の(C1~C8)アルキル基、優先的には(C1~C6)アルキル基を表す。
【0120】
より優先的には、Rは、直鎖又は分岐の、他の原子や基が挿入されていない(C1~C8)アルキル基、より良好には(C1~C6)アルキル基を表す。
【0121】
本発明の他の特定の実施形態によれば、チオール化還元剤は、上に定義した式i~lで表されるものに加えて、それらの有機若しくは無機酸若しくは塩基との塩、それらの光学異性体及びそれらの互変異性体並びに水和物等の溶媒和物;並びに/又はそれらの混合物から選択され、ここでRは:
- 1つ若しくは複数のヒドロキシル基、チオール基若しくはカルボキシ基で任意選択的に置換されたフェニル基;又は
- O、S若しくはNから選択される、好ましくはNである、1~4つのヘテロ原子を含み、1つ若しくは複数のヒドロキシル基若しくはチオール基で任意選択的に置換された5~10員、好ましくは9若しくは10員の二環式ヘテロアリール
を表す。
【0122】
好ましくは、チオール化還元剤は、チオグリコール酸、チオ乳酸、システイン、システアミン、ホモシステイン、グルタチオン、チオグリセロール、チオリンゴ酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、チオジグリコール、2-メルカプトエタノール、ジチオトレイトール、N-アセチルシステイン、チオグリコール酸又はチオ乳酸のエステル及びアミド、特にグリセリルモノチオグリコレートに加えて、それらの有機又は無機酸又は塩基との塩、それらの光学異性体、それらの互変異性体及び水和物等の溶媒和物;並びにそれらの化合物の混合物から選択される。
【0123】
優先的には、チオール化還元剤は、チオグリコール酸、チオ乳酸、システアミンに加えて、それらの有機又は無機酸又は塩基との塩、それらの光学異性体及びそれらの互変異性体、並びに水和物等の溶媒和物、並びにそれらの混合物から選択される。より優先的には、チオール化還元剤は、チオグリコール酸、チオ乳酸及びそれらの混合物から選択される。
【0124】
上に述べたように、チオール化還元剤は、特に、塩形態、特にアルカリ金属塩、例えばナトリウム及びカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えばマグネシウム及びカルシウム塩、アンモニウム塩、アミン塩並びにアミノアルコール塩の形態で使用することができる。したがって、チオグリコール酸アンモニウムをチオールとして使用することができる。
【0125】
有利には、非チオール化硫黄含有還元剤は、サルファイト、バイサルファイト、スルフィネート及びそれらの混合物から選択される。
【0126】
サルファイトとして、亜硫酸及び亜硫酸水素アンモニウム並びにまた金属亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩、特にアルカリ金属又はアルカリ土類金属亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩、一層良好にはナトリウム亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩を挙げることができる。
【0127】
スルフィネートとしては、スルフィン酸塩及びベンゼンスルフィン酸塩、例えばそのナトリウム塩を挙げることができる。仏国特許出願公開第2814948A号明細書に記載されているスルフィン酸誘導体も使用することができる。好ましいスルフィネート化合物は、2-ヒドロキシ-2-スルフィナト酢酸の二ナトリウム塩である。
【0128】
有利には、硫黄非含有還元剤は、糖、レダクトン、水素化物及びそれらの混合物から選択することができる。
【0129】
糖又は「単糖類」としては、リボース、グリセルアルデヒド、グルコース、マルトース、ガラクトース、ラクトース及びキシロースを挙げることができる。
【0130】
レダクトンとしては、アスコルビン酸及びエリソルビン酸を挙げることができる。
【0131】
水素化物としては、水素化ホウ素、例えば水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウム及び水素化リンを挙げることができる。水素化物前駆体及び特に水素化ホウ素、例えばジボラン、テトラボラン、ペンタボラン、デカボラン及びドデカボランを使用することができる。
【0132】
「レダクトン」という語は、それ自体知られており、カルボニル基-C(O)-に隣接するエンジオール構造-(HO)C=C(OH)-を含む化合物を指す。
【0133】
したがって、本発明に従うレダクトン型有機還元剤は、好ましくは、一般式(IX):
【化2】
(式中、
R
1及びR
2は、それぞれ互いに独立に、少なくとも1つの炭素原子及び/又は酸素原子を含む基を表し、R
1及びR
2は、式(IX)の化合物の3つの炭素原子と一緒に、好ましくは5又は6員の環を形成し得、その追加の構成原子は、炭素原子及び/又は酸素原子から構成される)で表されるものに加えて、その塩;及び/又はそれらの混合物である。
【0134】
好ましくは、R1及びR2は、式(IX)の化合物の3つの炭素原子と一緒になって5員環を形成し、その追加の構成原子は、炭素原子及び/又は酸素原子から構成される。
【0135】
上に述べたように、式(IX)のレダクトン型有機還元剤は、酸形態又は塩の形態、特にアルカリ金属、例えばナトリウム及びカリウムの塩又はアルカリ土類金属、例えばカルシウム及びマグネシウムの塩の形態又はエステル、特にC8~C30脂肪酸のエステルの形態とすることができる。
【0136】
優先的には、式(IX)のレダクトン型有機還元剤は、ラクトンである。
【0137】
本発明の好ましい実施形態によれば、レダクトン型有機還元剤は、レダクチン酸、アスコルビン酸、エリソルビン酸又はイソアスコルビン酸に加えてそれらの塩、例えばナトリウム若しくはカリウム塩、アスコルビルパルミテート及び/又はそれらの混合物から選択される。
【0138】
より優先的には、レダクトン型有機還元剤は、アスコルビン酸、エリソルビン酸及びそれらの化合物の塩、特にナトリウム又はカリウム塩から選択される。
【0139】
有利には、酸化縮合反応の速度を遅らせることができる化合物は、δ-グルコノラクトン;グルコン酸ナトリウム;グルコン酸カリウム;グルコン酸カルシウム;酒石酸水素カリウム;酢酸ナトリウム;ソルビトール;酸、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸、リン酸及び酒石酸から選択することができる。
【0140】
本発明の好ましい一実施形態によれば、保存剤は、サルファイト、バイサルファイト、スルフィネート、糖、水素化物、チオール化硫黄含有還元剤、レダクトン型有機還元剤、酸化縮合反応の速度を遅らせることができる剤及びそれらの混合物から選択され、好ましくは、保存剤は、サルファイト、バイサルファイト、チオール化還元剤、レダクトン型有機還元剤、酸化縮合反応の速度を遅らせることができる剤及びそれらの混合物から選択される。
【0141】
本発明の非常に好ましい一実施形態によれば、保存剤は、亜硫酸及び亜硫酸水素アンモニウム、アルカリ金属又はアルカリ土類金属亜硫酸及び亜硫酸水素塩、レダクチン酸、アスコルビン酸、エリソルビン又はイソアスコルビン酸、チオグリコール酸、チオ乳酸、システイン、システアミン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸及びそれらの混合物から選択される。
【0142】
上に定義した保護基材は、保護基材の表面において、上に記載した1種又は複数の保存剤を含む、保存剤調製組成物と称される少なくとも1種の水性製剤調製組成物を堆積させる少なくとも1つのステップを含む作製方法に従って作製することができる。
【0143】
チオール化還元剤は、好ましくは、保護基材の表面に堆積させる前の保存剤調製組成物の総質量に対して0.5質量%~60質量%、優先的には1質量%~50質量%、より詳細には4質量%~45質量%、一層良好には10質量%~40質量%の範囲の総含有量で存在することができる。
【0144】
好ましくは、非チオール化還元剤は、保護基材の表面に堆積させる前の保存剤調製組成物の総質量に対して0.5質量%~60質量%、優先的には1質量%~50質量%、より詳細には4質量%~45質量%、一層良好には10質量%~40質量%の範囲の総量で存在することができる。
【0145】
好ましくは、サルファイト及び/又はバイサルファイトの含有量は、保護基材の表面に堆積させる前の保存剤調製組成物の総質量に対して0.1質量%~20質量%、優先的には0.5質量%~15質量%、より詳細には1質量%~12質量%、一層良好には2質量%~10質量%である。
【0146】
好ましくは、硫黄非含有還元剤は、保護基材の表面に堆積させる前の保存剤調製組成物の総質量に対して0.5質量%~60質量%、優先的には1質量%~50質量%、より詳細には4質量%~45質量%、一層良好には10質量%~40質量%の範囲の総量で存在することができる。
【0147】
好ましくは、酸化縮合反応の速度を遅らせることができる化合物は、保護基材の表面に堆積させる前の保存剤調製組成物の総質量に対して2質量%以下、優先的には1質量%以下、一層良好には0.05質量%~0.2質量%の範囲の含有量で存在することができる。
【0148】
保護基材の表面に1種又は複数の保存剤を含む保存剤調製組成物を堆積させたら、乾燥させる。
【0149】
こうして本作製方法に従って前処理された保護基材は、好ましくは、5分間~120分間、優先的には5分間~90分間、より優先的には1分間~60分間、より良好には5分間~60分間の範囲の時間内で乾燥する。
【0150】
好ましくは、上記保護基材を乾燥させるステップは、上記基材を外気中で自然乾燥させることを含む。
【0151】
作製された保護基材は、1種又は複数の保存剤を含む保存剤組成物から構成される少なくとも1つの層で被覆された表面を含む。
【0152】
本発明の目的のために、作製された保護基材の表面の保存剤組成物は、水を上記組成物の総質量に対して20質量%未満、好ましくは15質量%以下、より優先的には10質量%以下の総含有量で含む。
【0153】
好ましくは、チオール化還元剤は、保存剤組成物中において、保存剤組成物の総質量に対して0.5質量%~60質量%、優先的には1質量%~50質量%、より詳細には4質量%~45質量%、一層良好には10質量%~40質量%の範囲の総量で存在する。
【0154】
好ましくは、非チオール化還元剤は、保存剤組成物中において、保存剤組成物の総質量に対して0.5質量%~60質量%、優先的には1質量%~50質量%、より詳細には4質量%~45質量%、一層良好には10質量%~40質量%の範囲の総量で存在する。
【0155】
好ましくは、保存剤組成物中のサルファイト及び/又はバイサルファイトは、全体で保存剤組成物の総質量に対して0.1質量%~20質量%、優先的には0.5質量%~15質量%、より詳細には1質量%~12質量%、一層良好には2質量%~10質量%の含有量で存在する。
【0156】
好ましくは、硫黄非含有還元剤は、保存剤組成物中において、保存剤組成物の総質量に対して0.5質量%~60質量%、優先的には1質量%~50質量%、より詳細には4質量%~45質量%、一層良好には10質量%~40質量%の範囲の総量で存在する。
【0157】
好ましくは、酸化縮合反応の速度を遅らせることができる化合物は、保存剤組成物中において、保存剤組成物の総質量に対して2質量%以下、優先的には1質量%以下、一層良好には0.05質量%~0.2質量%の範囲の総含有量で存在することができる。
【0158】
好ましくは、保存剤は、保存剤組成物中において、保存剤を含む保存剤組成物の総質量に対して0.1質量%~60質量%、優先的には4質量%~40質量%、より詳細には5質量%~30質量%、一層良好には8質量%~20質量%の範囲の総量で存在する。
【0159】
本発明の好ましい一実施形態によれば、保護基材は、シート形態の構成要素であり、その表面の1つ又は幾つかの表面に、上に記載した1種又は保存剤を含む少なくとも1種の保存剤調製組成物を堆積させることにより作製される。
【0160】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、保護基材は、その表面の1つ又は幾つかの表面に、上に記載した1種又は複数の保存剤を含む保存剤調製組成物を堆積させることにより作製され、保存剤の総量は、保護基材の表面に堆積させる前の保存剤調製組成物の総質量に対して1質量%~60質量%、より優先的には2質量%~40質量%の範囲にある。
【0161】
本発明によれば、染色基材は、保護基材と接しており、好ましくは直接接しているか、又は染色基材及び保護基材は、互いに分離されている。
【0162】
本発明の第1の好ましい実施形態によれば、染色基材は、保護基材に直接接しており、保護基材で全体的に覆われており、上記保護基材は、取り外し可能である。この目的のために、染色基材及び保護基材の縁部は、固定手段、特に接着により結合され、これは、任意の種類の方法、特にヒートシールを介して生じさせることができる。このようにして、保護基材及び染色基材間に良好な結合性が確保される。
【0163】
本発明の第2の好ましい実施形態によれば、染色基材は、2つの保護基材間にそれらと接触するように組み込まれ、上記保護基材は、取り外し可能であり、染色基材の両面に配置される。換言すれば、染色基材は、2つの保護基材間に挟まれている。この目的のために、染色基材の縁部及び保護基材の縁部を固定手段、特に接着により結合させ、これは、任意の種類の方法、特にヒートシールを介して生じさせることができる。このようにして、保護基材及び染色基材間に良好な結合性が確保される。
【0164】
本発明の第3の好ましい実施形態によれば、保護基材は、上記染色基材を、好ましくは保護基材が染色基材の上に無酸素空間(真空中又は不活性雰囲気中)を画定する密閉包装を形成するように部分的又は全体的、好ましくは全体的に覆う。この実施形態によれば、任意選択的に、染色基材に第2の保護基材を直接接触させることができ、且つ染色基材を全体的覆わせることができ、上記第2保護基材は、取り外し可能である。
【0165】
本発明の第4の好ましい実施形態によれば、染色基材及び保護基材は、次に示すものから選択される、水性又は水性-アルコール性媒体中で可溶性又は水分散性を示す1種又は複数の皮膜形成ポリマーを含む、ポリマー層と呼ばれる層により互いに分離されている:
・(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリル系ホモポリマー、例えば、
○アクリル系ポリマー、特にProtex社から販売されているAcrymul AM 123 R、
○ポリアクリル酸、特にSEPC Coatex社から販売されているCarbomer、
○ポリメタクリル酸、特にBASF社から販売されているSalcare SC130、
○ポリメタクリル酸ナトリウム、特にVanderbildt社から販売されているDarvan 7-N、
・少なくとも1種の(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリル系モノマーを含むコポリマー、例えば、
○水溶液中のジメチルジアリルアンモニウムクロリド/アクリル酸(95/5)コポリマー、特にMerquat 295の商品記号でNalco(Lubrizol)社から販売されているもの、
○メタクリル酸/アクリル酸エチルコポリマー、特にLuviflex Softの商品記号でAromat社から販売されているもの、
・酢酸ビニルをベースとする(コ)ポリマー、例えば、
○酢酸ビニル/p-(tert-ブチル)安息香酸ビニル/クロトン酸(65/25/10)ターポリマー、特にChimex社から販売されているMexomer PW、
○酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニルターポリマー、特にAkzo Nobelから販売されているResyn 28-2930、
・多糖類、例えばセルロース、デンプン、スクロースから誘導されたポリマー、
・ガム類、例えばグアーガム、
・タンパク質重合体、例えば大豆タンパク質加水分解物(特にMGP Ingredientsから販売されているAqua Pro SP 1)、コムギ又はメイズタンパク質加水分解物、及び
・それらの混合物。
【0166】
好ましくは、本発明のこの第4の好ましい実施形態によれば、染色基材表面の皮膜形成ポリマーを含む乾燥物の層は、1種又は複数の酸化染料を含む層と、任意選択的に接着剤層とも近接している。この皮膜形成ポリマーを含む層は、乾燥物約2g/m2の薄肉とすることも、乾燥物約200g/m2の厚肉とすることもでき、より優先的には、皮膜形成ポリマーを含む上記層は、乾燥物を5~100g/m2で有する。
【0167】
本発明の第5の好ましい実施形態によれば、染色基材及び保護基材は、透かしのあるシート形態の構成要素(即ちこの透かしのあるシート形態の構成要素の両面からの光が通過する穴であって、プラスチックにより互いに離間されている穴が空けられているシート形態の構成要素)で互いに分離されている。
【0168】
これらの実施形態によれば、染色基材は、好ましくは、保存剤を含まない。
【0169】
換言すれば、染色基材表面に堆積させることが意図された染色剤組成物は、保存剤を含まないか又は保存剤を上記染色剤組成物の総質量に対して2質量%未満、好ましくは1質量%未満、より優先的には0.5質量%未満で含む。
【0170】
有利には、本発明による集合体は、0℃以下、好ましくは-80℃~0℃の温度において、且つ/又は容器、例えば袋内において、大気中酸素から隔離して、即ち真空中若しくは不活性雰囲気中、好ましくは窒素若しくはアルゴン中に保存される。
【0171】
II.分割供給手段
本発明の主題は、上に定義した集合体を分割供給するための手段にも関する。
【0172】
集合体分割供給手段は、繰出用回転ドラムも含むことができ、上に記載した集合体が上記繰出用回転ドラムの回転面上に巻回されているか、又は集合体の一端が上記ドラムの放射状の溝に保持されている。
【0173】
この繰出用回転ドラムは、プラスチック、金属又は木材、好ましくはプラスチックから作製することができる。
【0174】
上記繰出用回転ドラムは、使用者により手動で又は電動モーターを用いて回転させることができる。
【0175】
したがって、上記集合体の一部を上記ドラムから巻き解くように上記ドラムを回転させたら、使用者は集合体を掴み、それを所望の長さに、好ましくは上記ドラムの回転軸と平行な軸に沿って切断することができる。
【0176】
こうして使用者は、使用者が所望する適切なサイズの集合体を得るため、上記集合体が無駄にならない。
【0177】
使用者は、特に、集合体を破くことにより、引き裂くことにより、ハサミを使用して、ナイフを使用して又は切断手段を用いて切断することができる。
【0178】
有利には、分割供給手段は、上記集合体を切断するための手段を含む。
【0179】
より優先的には、上記集合体を切断するための手段は、裁断機又は鋸歯状の刃から選択される。
【0180】
III.ケラチン繊維を染色するための方法
本発明の主題は、ケラチン繊維、特に毛髪等のヒトのケラチン繊維を酸化染色するための方法であって、
i)上記保護基材を、本発明による集合体から取り除くことを含むステップと、
ii)上に定義した染色基材を上記繊維に適用するステップと、
iii)1種又は複数の化学的酸化剤及び任意選択的に1種又は複数のアルカリ剤を含む水性酸化剤組成物を上記繊維に適用するステップと
を含む方法にも関する。
【0181】
上に示したように、この方法は、保護基材を本発明による集合体から取り除くステップを含む。
【0182】
換言すれば、保護基材は、ケラチン繊維上で上記基材を使用するために染色基材から分離される。
【0183】
上に示したように、酸化染色方法は、1種以上の化学的酸化剤を含む水性酸化剤組成物を使用する。
【0184】
「化学的酸化剤」という言葉は、大気中酸素以外の酸化剤を意味することが意図される。
【0185】
好ましくは、化学的酸化剤は、過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属ブロメート又はアルカリ金属フェリシアン化物、過酸化塩(例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属過スルフェート、過ボラート及び過カーボネート)並びに過酸及びその前駆体から選択される。
【0186】
一層優先的には、化学的酸化剤は、過酸化水素、過酸化塩、過酸化尿素又はアルカリ金属ブロメート若しくはフェリシアン化物から選択される。
【0187】
この酸化剤は、有利には、特に水溶液としての過酸化水素(過酸化水素水溶液)から構成され、その濃度は、より詳細には、酸化剤組成物の総質量の0.1%~50質量%、より好ましくは0.5%~20質量%、更に好ましくは1%~15質量%の範囲とすることができる。
【0188】
好ましくは、化学的酸化剤は、過酸化水素及び/又は過酸化塩から選択される。
【0189】
好ましくは、水性酸化剤組成物は、1種以上のアルカリ剤、特に上述のアルカリ剤も含む。
【0190】
本発明による染色方法において1種以上のアルカリ剤を含む水性酸化剤組成物を使用することは、特に処理されたケラチン繊維に明色化効果をもたらし得る。
【0191】
この使用は、濃褐色又は栗色の毛髪を染色する場合に特に有利である。
【0192】
水性酸化剤組成物は、1種又は複数の増粘剤又は粘度調節剤、例えばヒドロキシアルキルセルロース、例えばヒドロキシエチルセルロース、特にNatrosol Plus 330の商品記号で販売されているAshland(登録商標)も含むことができる。
【0193】
水性酸化剤組成物は、1種以上の酸化染色カプラーも含むことができる。
【0194】
酸化剤組成物中に存在するカプラーが、染色基材上に存在する酸化性塩基と反応することができるとすれば、このようにしてケラチン繊維と、上記の染色基材と、1種以上のカプラーを含む水性酸化剤組成物とを接触させることにより、様々な色を得ることが可能になるであろう。
【0195】
1種以上の酸化染色カプラーを含む水性酸化剤組成物を使用する場合、酸化剤組成物の性質を変えることにより、使用される集合体の数が抑えられると同時に、得られる色の可能性を広げることができるため、有利である。
【0196】
このように、1種以上のカプラーを含む水性酸化剤組成物を使用することにより、幅広い色を得ることが可能になる。
【0197】
本発明の好ましい実施形態によれば、水性酸化剤組成物は、1種又は複数のアルカリ剤及び/又は1種又は複数の酸化染色カプラーを更に含む。
【0198】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、保護基材は、前記集合体から取り除かれ、その後、ケラチン繊維は、酸化染料を有する染色基材の表面、即ち染色基材の表面が、酸化染料を含む層で覆われている位置に配置され;次いで、水性酸化剤組成物が上記ケラチン繊維に適用される。こうすることによって酸化染料が溶解し、酸化剤と反応し、ケラチン繊維を染色する。
【0199】
水性酸化剤組成物は、塗布具、特にブラシを用いて又は手で適用することができる。
【0200】
この実施形態によれば、酸化剤組成物を適用した後、こうして処理された毛束を、処理されていない他の毛束を保護するために紙で保護することができる。
【0201】
本発明の一変形形態によれば、酸化染色方法は、上に述べた1種又は複数の化学的酸化剤を含む水性酸化剤組成物をケラチン繊維に適用し、その後、前記集合体から保護基材を取り除き、続いて上に定義した染色基材を前記ケラチン繊維に適用するステップを含む。
【0202】
したがって、この実施形態では、基材及び水性酸化剤組成物の適用順は、先の実施形態と逆になる。
【0203】
1種又は複数の酸化染料を含む染色基材は、ケラチン繊維に5~60分間の範囲、好ましくは10~30分間の範囲の時間適用することができる。
【0204】
水性酸化剤組成物は、ケラチン繊維に5~60分間の範囲、好ましくは10~30分間の範囲の時間適用することができる。
【0205】
染色基材及び水性酸化剤組成物は、室温(25℃)において、任意選択的に温度を上昇させながら(これは、60℃までとすることができる)適用することができる。
【0206】
処理後、ヒトのケラチン繊維を場合により水で濯ぎ、場合によりシャンプーで洗浄し、次いで水で濯いだ後、乾燥させるか又は自然乾燥させる。
【実施例】
【0207】
本発明による染色基材の表面を処理するための染色剤組成物C1及びC2を、次に示す表の成分から調製する。その量を活性物質(AM)の質量百分率で示す。
【0208】
【0209】
本発明による保護基材の表面を処理するための保存剤の組成物P1も、次の表に示す成分から調製する。その量を活性物質(AM)の質量百分率で示す。
【0210】
【0211】
染色基材SC1の作製:
組成物C1(840mg)を、HandCoater(RK PrintCoat Instruments Ltd.から販売されているK-HandCoaterセット(range)、識別色(reference)「黄」)を使用して、20×10cmの羊皮紙タイプの染色基材に均一に塗布する。即ち、染色剤組成物C1の乾燥前の堆積量は、4.2mg/cm2である。
【0212】
次いで、染色基材SC1を乾燥させる。
【0213】
染色基材SC2の調製:
組成物C1を840mgに替えて840mgの組成物C2を用いたことを除いて、SC1と同様にして染色基材SC2を調製する。
【0214】
本発明による保護基材SPiの作製:
組成物P1(840mg)を、HandCoater(RK PrintCoat Instruments Ltd.から販売されているK-HandCoaterセット、識別色「黄」)を使用して、20×10cmの白色の便せん(stationery paper)タイプの保護基材に均一に塗布する。即ち、乾燥前の組成物の堆積量は、4.2mg/cm2である。
【0215】
次いで、保護基材SPiを乾燥させ、組成物P1(840mg)を再び保護基材の裏面にHandCoaterを用いて均一に塗布する。
【0216】
酸化剤組成物の調製:
酸化剤組成物は、L’Oreal“2”30 V Oxidizing Cremeとする。これは、過酸化水素9%に相当する。
【0217】
実施例1:
染色基材SC1及び2つの保護基材SPiを含む集合体A1(発明品)を作製し、2つの保護基材SPiをSC1と直接接触させ、SC1の両面に配置する。換言すれば、集合体A1は、染色基材SC1及び2つの保護基材SPiを重ね合わせたものであり、染色基材SC1は、2つの保護層に挟まれている。
【0218】
染色基材SC1及び保護基材SPiを含む集合体A2(発明品)を作製し、保護基材SPiをSC1と直接接触させ、組成物C1で表面処理されたSC1を覆う。
【0219】
保護基材を有しない染色基材SC1を含む集合体A3(発明外)を作製する。
【0220】
次いで、3種の集合体A1、A2及びA3を、互いに独立に袋に装入する。次いで、3つの袋を真空中に置き、最後にアルゴンを充填することにより不活性雰囲気中に保持する。
【0221】
次いで、袋を大気圧及び周囲温度で4週間保存する。
【0222】
次いで、3つの袋を開封し、集合体A1、A2及びA3を次の染色方法に従って使用する:
1)A1及びA2の場合、保護基材SPiを集合体から取り除き、次いで、
2)白髪を90%含むグレイヘアー1.5gを染色基材SC1に載せ、次いで、
3)SC1に載せた毛束の上に酸化剤組成物を適用し、次いで、
4)毛束を30分間放置し、最後に、
5)毛束を濯ぎ、シャンプー洗浄し、水で濯ぐ。
【0223】
毛束を乾燥させると、集合体A1又は集合体A2で処理された毛束には、申し分ないと判定される濃い青色が認められる。
【0224】
集合体A3で処理された毛束にも、不十分であると判定される淡い青色が認められる。
【0225】
実施例2
染色基材SC2及び2つの保護基材SPiを含む集合体A4(発明品)を作製し、2つの保護基材SPiをSC2と直接接触させ、SC2の両側に配置する。換言すれば、集合体A4は、染色基材SC2及び2つの保護基材SPiを重ね合わせたものであり、染色基材SC2は、2つの保護層に挟まれている。
【0226】
染色基材SC2及び保護基材SPiを含む集合体A5(発明品)を作製し、保護基材SPiをSC2と直接接触させ、SC2の組成物C2で処理した表面を覆う。
【0227】
保護基材を有しない染色基材SC2を含む集合体A6(発明外)を作製する。
【0228】
次いで、10の集合体A4を一緒に袋に入れ、10の集合体A5及び10の集合体A6も同様にする。次いで、この3つの袋を真空中に置き、最後に、アルゴンを充填することにより不活性雰囲気中に保持し、熱融着により封止する。
【0229】
袋を大気圧及び周囲温度で4週間保存する。
【0230】
次いで3つの袋を開封し、各袋から5つの集合体を、次に示す染色方法に従って使用する:
1)A4及びA5の場合、保護基材SPiを集合体から取り除き、次いで、
2)白髪を90%含むグレイヘアー1.5gを染色基材SC2に載せ、次いで、
3)SC2に載せた毛束に酸化剤組成物を適用し、次いで、
4)毛束を30分間放置し、最後に、
5)毛束を濯ぎ、シャンプー洗浄し、水で濯ぐ。
【0231】
毛束を乾燥させると、集合体A4又は集合体A5で処理した毛束には、申し分ないと判定される濃い青色が認められる。
【0232】
集合体A6で処理した毛束にも、不十分と判定される薄い青色が認められる。
【0233】
袋を開封した3日後、各袋の残りの5つの集合体を同一の染色方法に従って使用する。
【0234】
毛束を乾燥させると、集合体A4又は集合体A5で処理した毛束には、申し分ないと判定される濃い青色が認められる。
【0235】
集合体A6で処理した毛束にも、不十分と判定される薄い青色が認められる。
【0236】
実施例3
上の実施例1で作製したように集合体A5(発明品)を作製する。
【0237】
染色基材SC2及び比較用保護基材SPcを含む集合体A7(発明外)を作製し、比較用保護基材SPcをSC2と直接接触させ、SC2の組成物C2で処理した面を覆う。
【0238】
比較用保護基材SPcは、20×10cmの単なる白色の便せんタイプのシートに相当する。換言すれば、比較用保護基材SPcは、その表面に組成物P1を堆積させていない、上述の本発明による保護基材SPiに相当する。
【0239】
次いで、集合体A5及びA7をそれぞれその作製直後に互いに独立に袋に入れる。
【0240】
次いで、2つの袋を真空中に置き、最後にアルゴンを充填することにより不活性雰囲気に保持するようにし、熱融着により封止する。
【0241】
次いで、2つの袋を大気圧及び周囲温度で4週間保存する。
【0242】
4週間後、2つの袋を開封し、各集合体を次に示す染色方法に従って使用する:
1)保護基材SPiを集合体A5から取り除き、保護基材SPcを集合体A7から取り除き、次いで、
2)白髪を90%含むグレイヘアー1.5gを染色基材SC2に載せ、次いで、
3)SC2に載せた毛束に酸化剤組成物を適用し、次いで、
4)毛束を30分間放置し、最後に、
5)毛束を濯ぎ、シャンプー洗浄し、水で濯ぐ。
【0243】
毛束を乾燥させると、本発明による集合体A5で処理した毛束には、申し分ないと判定される濃い青色が認められる。
【0244】
比較集合体A7(発明外)で処理した毛束にも、不十分と判定される薄い青色が認められる。
【0245】
実施例4
紙シート形態の染色基材を、Anilox GTT28 cm3/cm2を用いてフレキソ印刷により作製する。
【0246】
次いで、染色基材を印刷機排出口で赤外線により乾燥させる。インクの堆積量は1回の通過で基材1cm2当たりインク約1mgとなる。使用したインクは、酸化染料を約12%含み、即ち1回の通過で基材1cm2当たり酸化染料0.12mgが堆積される。
【0247】
基材の流速を10メートル毎分とする。
【0248】
実施例5:
本発明による分割供給手段の特定の一実施形態を添付の
図1により示す。
【0249】
図1は、本発明の特定の一実施形態による分割供給手段の断面図を表す。
【0250】
図1は、染色基材3を含み、上記基材が2つの保護基材4a及び4b間に接触するように配置された集合体2を分割供給するための手段1を表す。換言すれば、染色基材3は、2つの保護基材4a及び4bに挟まれている。
【0251】
分割供給手段1は、実質的に円形の断面を有する繰出用回転ドラム5を含み、その上に集合体2が巻回されている。集合体2は、繰出用回転ドラム5に直接接触させることができる。特に、集合体2は、ドラム5の溝5aに保持されている。
【0252】
分割供給手段1は、保護基材4a及び4bを染色基材3から分離することを目的とする分離手段6及び切断手段7、好ましくは鋸歯状の刃も含む。
【0253】
分割供給手段1は、支持体8に取り付けられている。
【0254】
図1によれば、2つの保護基材を染色基材から分離するための手段は、垂直軸に沿って上下に配置された2つの補助回転ドラム6a及び6bから構成され、集合体2を繰出用回転ドラム5から巻き解くと、集合体2が2つの補助ドラム6a及び6b間を通過するようになっており、その回転軸は、繰出用回転ドラムの回転軸と平行である。
【0255】
図1によれば、使用者が、上に定義した2つの保護基材をドラム6a及び6bに取り付け、こうすることにより、繰出用回転ドラム5が、集合体2の一部を繰出用ドラム5から巻き解くように回転すると、使用者が、上に記載した「ポリマー」層と称される層で任意選択的に覆われた染色基材3を掴むことができ、上記基材を、切断手段7、好ましくは鋸歯状の刃を使用して、供給用回転ドラム5の回転軸に平行な軸に沿って所望の長さに切断することができる。
【0256】
即ち、
図1は、特に、2つの保護基材4a、4bを染色基材3から分離するための手段6及び上記染色基材3を切断するための手段7を含む、上に記載した集合体2を分割供給するための手段1を表す。
【0257】
次いで、染色基材をケラチン繊維に、染色に必要な時間適用することができる。
【0258】
次いで、今度は、使用者が所望する毛髪のカラーリングを達成するように、上に記載した水性酸化剤組成物をケラチン繊維に適用することができる。