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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】コイル装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/12 20160101AFI20221114BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20221114BHJP
   H01F 38/14 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
H02J50/12
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
H01F38/14
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020539912
(86)(22)【出願日】2018-08-29
(86)【国際出願番号】 JP2018031891
(87)【国際公開番号】W WO2020044450
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-02-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(72)【発明者】
【氏名】高橋 豊英
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-029096(JP,A)
【文献】特開2016-076645(JP,A)
【文献】特開2017-184440(JP,A)
【文献】特開2012-223027(JP,A)
【文献】特開2017-201706(JP,A)
【文献】特開2014-222707(JP,A)
【文献】特開2018-037608(JP,A)
【文献】特開2016-189405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/12
H02J 7/00
H01F 38/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上に配置された送電側のコイル装置と電気自動車に配置された受電側のコイル装置との間で電力を伝送し、前記電気自動車に搭載されたバッテリを充電する非接触充電システムにおける地上又は電気自動車に配置されるコイル装置であって、
平板状のコイルケースと、
前記コイルケースの表面に渦巻き状に形成されたコイル収納溝内に収納され、前記コイルケースの表面上に渦巻き状に配置されるコイルと、
前記コイルケース及び前記コイルを内部に収容する装置ケースと、を備え、
前記コイルは、前記コイルの最も外側の周も前記コイル収納溝内に収納されており、
前記コイルケースは、前記コイルケースの表面における前記コイル収納溝の外側の位置の四箇所に形成され、前記コイル収納溝内に入りきらずに前記コイル収納溝からはみ出る前記コイルの余長部分を収容するコイル余長収容部を有するコイル装置。
【請求項2】
前記装置ケースは、平板状のベース部材と、前記ベース部材に取り付けられるインナーケースと、前記インナーケースを覆うように取り付けられるカバー部材とを有し、
前記装置ケースは、前記インナーケースと前記カバー部材との間に形成される内部空間に前記コイルケース及び前記コイルを収容する請求項1に記載のコイル装置。
【請求項3】
前記ベース部材と前記インナーケースの間の位置に配置され、前記コイルが接続される制御基板を備える請求項2に記載のコイル装置。
【請求項4】
前記コイルと前記装置ケースの間の位置に絶縁シートを介して配置される平板状のフェライトコアを備える請求項1~3のいずれかに記載のコイル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触充電システムにおける地上又は電気自動車に配置されるコイル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車の非接触充電に用いるために車両側に搭載された受電側のアンテナとして、VA(Vehicle Assembly)レゾネータ装置が知られている(例えば、特開2018-29096参照)。
【0003】
このような従来のレゾネータ装置は、例えば、コイルと、電磁界を遮蔽するシールド部材と、コイルとシールド部材との間に位置するフェライト板と、シールド部材及びコイルを収容する筐体とを備える。
【0004】
しかしながら、この従来のレゾネータ装置においては、コイルを巻き付ける際の余長処理にともなうレゾネータの性能の低下を軽減するための有効な提案はなされていなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、コイルケースにおいてコイルを巻き付ける際の余長処理にともなうレゾネータの性能の低下を軽減することが可能なコイル装置(レゾネータ装置)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、地上に配置された送電側のコイル装置と電気自動車に配置された受電側のコイル装置との間で電力を伝送し、前記電気自動車に搭載されたバッテリを充電する非接触充電システムにおける地上又は電気自動車に配置されるコイル装置である。その上で、コイル装置は、平板状のコイルケースと、前記コイルケースの表面に渦巻き状に形成されたコイル収納溝内に収納され、前記コイルケースの表面上に渦巻き状に配置されるコイルと、前記コイルケース及び前記コイルを内部に収容する装置ケースと、を備える。そして、前記コイルケースは、前記コイルケースの表面における前記コイル収納溝の外側の位置に形成され、前記コイル収納溝内に入りきらずに前記コイル収納溝からはみ出る前記コイルの余長部分を収容するコイル余長収容部を有する
【0007】
上記構成のコイル装置において、前記コイル余長収容部は、前記コイルケースの表面における前記コイル収納溝の外側の位置の四箇所に形成されている構成としてもよい。
【0008】
上記構成のコイル装置において、前記装置ケースは、平板状のベース部材と、前記ベース部材に取り付けられるインナーケースと、前記インナーケースを覆うように取り付けられるカバー部材とを有し、前記装置ケースは、前記インナーケースと前記カバー部材との間に形成される内部空間に前記コイルケース及び前記コイルを収容する構成としてもよい。
【0009】
上記構成のコイル装置において、前記ベース部材と前記インナーケースの間の位置に配置され、前記コイルが接続される制御基板を備える構成としてもよい。
【0010】
上記構成のコイル装置において、前記コイルと前記装置ケースの間の位置に絶縁シートを介して配置される平板状のフェライトコアを備える構成としてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、コイルケースが、コイルケースの表面におけるコイル収納溝の外側の位置に形成され、コイル収納溝内に入りきらずにコイル収納溝からはみ出るコイルの余長部分を収容するコイル余長収容部を有する構成になっている。そのため、例えば、コイルの全長が、収納溝の全長よりも長い場合には、収納溝の最も外側の部分からコイル余長収容部にコイルの一部がはみ出ることで、コイルの余長が調整されるようになっている。
【0028】
本発明に係るコイル装置では、コイルケースの外側においてコイルの余長処理をする構成を有するため、当該余長処理によるコイル間の間隔の変化が少ないものとなる。
【0029】
すなわち、本発明に係るコイル装置によれば、コイルケースにおいてコイルを巻き付ける際の余長処理にともなうレゾネータの性能の低下を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、本発明に係るレゾネータ装置100を含む充電システムの1000の構成の一例を示す図である。
図2図2は、図1に示す受電用のレゾネータ装置(車両側レゾネータ装置)100の構成の一例を示す展開図である。
図3図3は、図2に示すインナーケースIXの上面に放熱パッドHPとフェライトコアFCを収納した状態の一例を示す上面図である。
図4図4は、図2に示すインナーケースIXの下面側に制御基板SKを配置した状態の一例を示す下面図である。
図5図5は、図2に示すコイルケースLXの下面の収納溝LXMにコイルLを収納した状態の一例を示す下面図である。
図6図6は、放熱パッドHPとフェライトコアFCを収納したインナーケースIXと、絶縁シートと、コイルLを収納したコイルケースLXとを組み合わせる状態の展開図である。
図7図7は、図6に示す放熱パッドHPとフェライトコアFCを収納したインナーケースIXと、絶縁シートと、コイルLを収納したコイルケースLXとを組み合わせた状態の一例を示す上面図である。
図8図8は、図7のA-A線に沿った断面の一例を示す断面図である。
図9図9は、図7のB-B線に沿った断面の一例を示す断面図である。
図10図10は、図7のC-C線に沿った断面の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る実施形態について図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0032】
本実施例1では、電気自動車に積載され且つ当該電気自動車を駆動するためのバッテリのワイヤレス充電に用いられ、当該電気自動車に積載される受電用のレゾネータ装置の例を説明する。
【0033】
図1は、本発明に係るレゾネータ装置100を含む充電システムの1000の構成の一例を示す図である。
【0034】
本発明に係る充電システム1000は、例えば、図1に示すように、分電盤Dと、地上側充電装置GCと、送電用のレゾネータ装置(地上側レゾネータ装置)200と、車両側充電装置VCと、受電用のレゾネータ装置(車両側レゾネータ装置)100と、電気自動車Vと、を備える。
【0035】
そして、電気自動車Vは、例えば、図1に示すように、当該電気自動車Vを駆動するため電力を充電するバッテリXと、車両側充電装置VCと、受電用のレゾネータ装置100と、を積載している。
【0036】
また、分電盤Dは、例えば、図1に示すように、外部の電力系統から供給された電力を、地上側充電装置GCに供給するようになっている。
【0037】
そして、地上側充電装置GCは、例えば、図1に示すように、地上側に配置され、分電盤Dから必要な電力が供給されるようになっている。
【0038】
この地上側充電装置GCは、例えば、図1に示すように、車両側充電装置VCと通信して、バッテリXのワイヤレス充電を実行するようになっている。
【0039】
この地上側充電装置GCは、例えば、図示しない、車両側充電装置VCと通信するための無線モジュールと、分電盤Dから電力が供給され電源を生成する電源回路と、電力を変換するインバータと、これらの無線モジュール、電源回路、及びインバータを制御するコントローラと、を備える。
【0040】
また、送電用のレゾネータ装置200は、例えば、図1に示すように、地上に設置されている。この送電用のレゾネータ装置200は、バッテリXのワイヤレス充電に用いられるようになっている。
【0041】
この送電用のレゾネータ装置200は、地上側充電装置GCにより制御されるようになっており、例えば、送電用のコイルと、当該コイルを用いた磁気共鳴伝達を制御する制御部(制御基板)と、を備える。
【0042】
また、受電用のレゾネータ装置100は、当該電気自動車Vに積載(電気自動車Vの下部の固定部材100Aに固定)されている。
【0043】
そして、この受電用のレゾネータ装置100は、電気自動車Vに積載され且つ当該電気自動車Vを駆動するためのバッテリXのワイヤレス充電に用いられるようになっている。
【0044】
さらに、この受電用のレゾネータ装置100は、車両側充電装置VCにより制御されるようになっており、例えば、受用のコイルと、当該コイルを用いた磁気共鳴伝達を制御する制御部(制御基板)と、を備える。
【0045】
ここで、図2は、図1に示す受電用のレゾネータ装置(車両側レゾネータ装置)100の構成の一例を示す展開図である。また、図3は、図2に示すインナーケースIXの上面に放熱パッドHPとフェライトコアFCを収納した状態の一例を示す上面図である。また、図4は、図2に示すインナーケースIXの下面側に制御基板SKを配置した状態の一例を示す下面図である。また、図5は、図2に示すコイルケースLXの下面の収納溝LXMにコイルLを収納した状態の一例を示す下面図である。また、図6は、放熱パッドHPとフェライトコアFCを収納したインナーケースIXと、絶縁シートと、コイルLを収納したコイルケースLXとを組み合わせる状態の展開図である。また、図7は、図6に示す放熱パッドHPとフェライトコアFCを収納したインナーケースIXと、絶縁シートと、コイルLを収納したコイルケースLXとを組み合わせた状態の一例を示す上面図である。また、図8は、図7のA-A線に沿った断面の一例を示す断面図である。また、図9は、図7のB-B線に沿った断面の一例を示す断面図である。また、図10は、図7のC-C線に沿った断面の一例を示す断面図である。
【0046】
なお、図2において、当該レゾネータ装置100が電気自動車Vに積載される場合には、上下方向が逆になっている。さらに、図2において、各部品を係止するためのネジ等は省略されている。
【0047】
既述のように、電気自動車Vに積載される受電用のレゾネータ装置100は、当該電気自動車に積載され且つ当該電気自動車を駆動するためのバッテリのワイヤレス充電に用いられるようになっている。
【0048】
そして、このレゾネータ装置100は、例えば、図2に示すように、カバーケースCXと、金属ベース板ABと、送電用のコイルLと、コイルケースLXと、フェライトコアFCと、インナーケースIXと、制御基板SKと、絶縁シートISと、放熱パッドHPと、を備える。
【0049】
そして、金属ベース板ABは、下面側が電気自動車Vの固定部材100A(図1)に固定されるようになっている非磁性の金属板である。
【0050】
例えば、この金属ベース板ABは、アルミで構成されている。
【0051】
ここで、既述の金属ベース板ABは、例えば、図1図6図7に示すように、周辺に沿って延在する封止用溝ABM1が形成されている。
【0052】
また、カバーケースCXは、例えば、図2に示すように、金属ベース板ABの上面を覆うように配置されている。
【0053】
このカバーケースCXは、例えば、図2に示すように、金属ベース板ABとの間に収納空間Zを構成するようになっている。すなわち、当該収納空間Zは、カバーケースCXと金属ベース板ABにより囲まれた空間である。
【0054】
そして、カバーケースCXのうちの金属ベース板ABと接する部分には、金属ベース板の上面を覆うように配置された状態で、金属ベース板ABに形成された封止用溝ABM1に嵌め込まれる突起部が形成されている。そして、当該突起部が、液体パッキンが塗布された封止用溝ABM1に嵌め込まれる。
【0055】
なお、このカバーケースCXは、例えば、熱硬化性樹脂(例えば、不飽和ポリエステル樹脂)で構成されている。
【0056】
また、コイルLは、例えば、図2に示すように、カバーケースCXと金属ベース板ABとのより構成される収納空間Zに配置されている。
【0057】
このコイルLは、一端部L1に第1コイル端子TL1が接続され、他端部L2に第2コイル端子TL2が接続されている。
【0058】
また、コイルケースLXは、例えば、図2に示すように、カバーケースCXと金属ベース板ABとのより構成される収納空間Z内に配置され、下面にコイルLを収納するようになっている。
【0059】
このコイルケースLXは、下面の中心部を取り囲んで巻回するように収納溝LXMが形成されている。
【0060】
そして、このコイルケースLXは、巻回された収納溝LXMの最も中心部側に位置する一端部に、第1コイル端子TL1を収納する第1端子配置領域LXH1が形成されている。
【0061】
なお、この第1端子配置領域LXH1は、例えば、コイルケースLXの上方から第1コイル端子TL1を、コイルケースLXの下方に位置する制御基板SKの第1制御端子TS1にネジ止めできるように、コイルケースLXを上下方向に貫通している。
【0062】
さらに、このコイルケースLXは、券回された収納溝LXMの最も外側に位置する他端部に、第2コイル端子TL2を収納する第2端子配置領域LXH2が形成されている。
【0063】
なお、この第2端子配置領域LXH2は、例えば、コイルケースLXの上方から第2コイル端子TL2を、コイルケースLXの下方に位置する制御基板SKの第2制御端子TS2にネジ止めできるように、コイルケースLXを上下方向に貫通している。
【0064】
なお、例えば、図5に示すように、第1端子配置領域LXH1と第2端子配置領域LXH2とは、コイルケースLXの第1辺H1側において近接して配置されている。
【0065】
また、例えば、図5に示すように、第1端子配置領域LXH1及び第2端子配置領域LXH2の幅HY1、HY2は、収納溝LXMの幅MYよりも大きくなるように設定されている。
【0066】
また、例えば、図5に示すように、収納溝LXMは、コイルLの他端部L2がコイルケースLXの第1辺H1に沿って延在するように、コイルLを収納するとともに、コイルケースLXの下面上で第1辺H1に直交する直線Pが、コイルLの一端部L1およびコイルLの他端部L2を通過するように、コイルLを収納するようになっている。
【0067】
そして、このコイルケースLXは、コイルLを渦巻き状に収納溝LXMに収納するようになっている。
【0068】
このコイルケースLXは、例えば、図5に示すように、矩形の形状を有する。特に、このコイルケースLXは、例えば、図5に示すように、その上面及び下面が正方形の形状を有する。
【0069】
そして、このコイルケースLXは、矩形の形状のコイルケースLXの下面の隅(第1角部~第4角部G1~G4)に、券回された収納溝LXMの最も外側に位置する側部と連通し且つ収納溝LXMの全長よりも長いコイルLの余長を調整するためのコイルケースLXの下面から凹んだ余長処理領域LXG1、LXG2、LXG3、LXG4を有する。
【0070】
より詳しくは、この図5に示す例では、コイルケースLXは、当該矩形の形状のコイルケースLXの下面の四隅(第1角部~第4角部G1~G4)にそれぞれ近接し且つ収納溝LXMの最も外側に位置する4つの側部とそれぞれ連通する4つの第1、第2、第3及び第4余長処理領域LXG1、LXG2、LXG3、LXG4を有する。
【0071】
ここで、例えば、コイルLの全長が、収納溝LXMの全長よりも長い場合には、第1コイル端子TL1を第1端子配置領域LXH1に収納し且つ第2コイル端子TL2を第2端子配置領域LXH2に配置した状態で、収納溝LXMの最も外側の部分から余長処理領域LXG1、LXG2、LXG3、LXG4にコイルLの一部がはみ出ることで、コイルLの余長が調整されるようになっている。
【0072】
また、例えば、図5に示すように、コイルケースLXの下面上の中心からコイルケースLXの第1ないし第4辺H1~H4及び四隅(第1角部~第4角部G1~G4)に向かう方向において、渦巻き状に形成された収納溝LXMの隣接する間隔は、一定になるように設定されている。
【0073】
特に、図5に示すように、四隅(第1角部~第4角部G1~G4)の4個の余長処理領域LXG1、LXG2、LXG3、LXG4において、コイルLの余長を調整するためのコイルの長さ(当該余長処理領域LXG1、LXG2、LXG3、LXG4にはみ出すコイルLの長さ)が均等になるように設定されている。なお、例えば、当該レゾネータ装置100を組上げる作業者が、四隅(第1角部~第4角部G1~G4)の4個の余長処理領域LXG1、LXG2、LXG3、LXG4において、コイルLの余長を調整するためのコイルの長さ(当該余長処理領域LXG1、LXG2、LXG3、LXG4にはみ出すコイルLの長さ)が均等になるように、設定する。
【0074】
これにより、当該余長処理による隣接するコイルL間(特に券回されたコイルLの最外周近傍)の間隔の変化が少ないものとなり、コイルケースLXにおいてコイルLを巻き付ける際の余長処理にともなうレゾネータの性能の低下を軽減することができる。
【0075】
なお、コイルケースLXは、例えば、ガラス繊維を含有する樹脂で構成されている。
【0076】
そして、このコイルケースLXを構成する樹脂は、ガラス繊維を含有する熱硬化性樹脂、又は、ガラス繊維を含有する熱可塑性樹脂である。
【0077】
特に、当該熱硬化性樹脂は、例えば、不飽和ポリエステル樹脂である。また、熱可塑性樹脂は、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、又はポリカボネート樹脂である。
【0078】
また、フェライトコアFCは、例えば、図2に示すように、カバーケースCXと金属ベース板ABとのより構成される収納空間Zに配置され、放熱パッドHPを介して、インナーケースIXの上面に配置されている。
【0079】
そして、このフェライトコアFCは、収納空間Zにおいて、当該フェライトコアFCの上面がコイルケースLXの下面と隣接するように配置されている。
【0080】
すなわち、このフェライトコアFCは、例えば、図2に示すように、カバーケースCXと金属ベース板ABとのより構成される収納空間Z内に、コイルLと対向するように配置されている。
【0081】
また、フェライトコアFCは、例えば、図3に示すように、インナーケースIXの上面上に隣接して配置された複数のフェライト板FCBにより構成されている。
【0082】
この複数のフェライト板FCBは、それぞれの周囲(それぞれが互いに隣接する端部)が絶縁性のテープ(例えば、ポリイミドテープ)で被覆されている。
【0083】
また、放熱パッドHPは、例えば、図2に示すように、収納空間Z内に配置され、フェライトコアFCとインナーケースIXとの間に位置するようになっている。
【0084】
この放熱パッドHPは、シリコンで構成されている。
【0085】
また、インナーケースIXは、例えば、図2に示すように、カバーケースCXと金属ベース板ABとのより構成される収納空間Z内で、金属ベース板ABとコイルケースLXとの間に配置されている。
【0086】
そして、このインナーケースIXは、上面にフェライトコアを収納し、下面に制御基板SKが配置されている。
【0087】
このインナーケースIXは、例えば、熱硬化性樹脂(例えば、不飽和ポリエステル樹脂)、又は、熱可塑性樹脂(例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂)で構成されている。
【0088】
このインナーケースIXは、例えば、図3図6に示すように、上面の周囲に設けられた壁部IXK、IXKaを有する。そして、インナーケースIXは、コイルLと対向するように上面の壁部IXK、IXKaで囲まれる領域にフェライトコアFCを収納し且つ固定するようになっている。
【0089】
さらに、インナーケースIXは、その下面に制御基板SKが配置されるようになっている。
【0090】
また、このインナーケースIXの壁部IXKの上部には、当該壁部IXKの上面から下方に凹んだ絶縁用溝部IXKMが、壁部IXKが延在する方向に沿って形成されている(図6図8)。
【0091】
このインナーケースIXの壁部IXKの上面の高さは、例えば、図8に示すように、フェライトコアFCの上面の高さよりも高くなっている。
【0092】
また、例えば、図8に示すように、コイルケースLXは、絶縁シートISを介してフェライトコアFCとコイルLとが対向するように、インナーケースIXの上面の壁部で囲まれる領域に配置されている。
【0093】
また、制御基板SKの第1制御端子TS1及び第2制御端子TS2は、例えば、図3に示すように、インナーケースIXを上下方向に貫通する第1貫通口IXR1及び第2貫通口IXR2を介して、インナーケースIXの上面にそれぞれ露出している。
【0094】
そして、インナーケースIXの上面の近傍において、フェライトコアFCの第1貫通口FCR1及び第2貫通口FCR2(放熱パッドHPの第1貫通口HPR1及び第2貫通口HPR2、インナーケースIXの第1貫通口IXR1及び第2貫通口IXR2)を介して、第1コイル端子TL1と第1制御端子TS1とが電気的に接続され、第2コイル端子TL2と第2制御端子TS2とが電気的に接続されている。
【0095】
また、絶縁シートISは、例えば、図2に示すように、カバーケースCXと金属ベース板ABとにより構成される収納空間Z内で、コイルケースLXの下面とフェライトコアFCとの間に位置している。
【0096】
そして、この絶縁シートISは、コイルケースLXの下面においてコイルLを被覆するとともに、絶縁性を有する。
【0097】
また、制御基板SKは、例えば、図4に示すように、インナーケースIXの下面側に配置されている。
【0098】
そして、制御基板SKは、例えば、図3に示すように、その上面に、第1コイル端子TL1が電気的に接続される第1制御端子TS1、及び第2コイル端子TL2が電気的に接続される第2制御端子TS2が設けられている。
【0099】
なお、図4では、制御基板SKの第1コイル端子TL1及び第2コイル端子TL2の下面側に露出した部分が示されている。
【0100】
そして、第1コイル端子TL1と第1制御端子TS1との間、及び、第2コイル端子TL2と第2制御端子TS2との間は、絶縁シートIS、フェライトコアFC、及びインナーケースIXを貫通する各貫通口ISR1、ISR2、FCR1、FCR2、HPR1、HPR2、IXR1、IXR2を介して、ネジ止めにより接続されている(図7)。
【0101】
なお、第1コイル端子TL1と第1制御端子TS1との間、及び、第2コイル端子TL2と第2制御端子TS2との間は、絶縁シートIS、フェライトコアFC、及びインナーケースIXを貫通する各貫通口ISR1、ISR2、FCR1、FCR2、HPR1、HPR2、IXR1、IXR2を介して、はんだ付け、又は溶接により接続されていてもよい。
【0102】
また、例えば、図4に示すように、インナーケースIXの下面には、制御基板SKの端部SKaの近傍において、段差Jが形成されている。これにより、制御基板SKと金属ベース基板ABとの間の沿面距離を長くできるようになっている。
【0103】
ここで、インナーケースIX及びコイルケースLXは、それぞれ矩形(四角形)の形状を有する(図2図7)。
【0104】
そして、例えば、図3に示すように、インナーケースIXの四隅(第1~第4の角部F1~F4)には、4つの台座部IF1、IF2、IF3、IF4が設けられている。
【0105】
さらに、例えば、図3に示すように、インナーケースIXの上面の中心部には、インナーケースIXの上面の中心部から上方に突出した中央台座部IXCが設けられている。
【0106】
そして、例えば、図5に示すように、コイルケースLXの四隅(第1~第4の角部G1~G4)には、4つの支持部NG1、NG2、NG3、NG4が設けられている。
【0107】
さらに、例えば、図5に示すように、コイルケースLXの下面の中心部には、コイルケースLXの下面から下方に突出した中央支持部LXCが設けられている。
【0108】
当該4つの支持部NG1、NG2、NG3、NG4が、一対一に対応して、4つの台座部IF1、IF2、IF3、IF4に固定(例えば、ネジ止め等により固定)されるとともに、中央支持部LXCが中央台座部IXCに固定(例えば、接着等により固定)されることで、コイルケースLXがインナーケースIXに支持されるようになっている(図6)。
【0109】
特に、コイルケースLXの中央支持部LXCがインナーケースIXの中央台座部IXCに固定されることにより、インナーケースIXの上面とコイルケースLXの下面との間隔が予め設定された距離に固定されることとなる。
【0110】
また、例えば、図3に示すように、インナーケースIXの中央台座部IXCの上面には、内面に段差を有する凹部IXCaが形成されている。
【0111】
そして、このインナーケースIXの中央台座部IXCの上面の凹部IXCaと、コイルケースLXの下面から下方に突出した中央支持部LXCとが嵌合することで、より確実に所定の位置関係で固定できるようになっている(図9)。
【0112】
そして、例えば、図3に示すように、複数のフェライト板FCBは、インナーケースIXの上面において、インナーケースIXの当該中央台座部IXCとインナーケースIXの上面の周囲に設けられた壁部IXKとの間に並んで配置されている。
【0113】
また、例えば、図6に示すように、このインナーケースIXの四隅における壁部IXKaの高さIXKah(図10の金属ベース基板ABの上面から壁部IXKaの上面までの高さ)は、インナーケースIXの四隅の間の辺における壁部IXKの高さIXKh(図8の金属ベース基板ABの上面から壁部IXKの上面までの高さ)よりも低くなっている。
【0114】
さらに、例えば、図10に示すように、コイルケースLXの四隅(第1~第4の角部G1~G4)の4つの支持部NG1~NG4は、それぞれ、インナーケースIXの四隅(第1~第4の角部F1~F4)における壁部IXKa上を跨いで、インナーケースIXの4つの台座部IF1~IF4に固定されるようになっている。
【0115】
特に、コイルケースLXの4つの支持部NG1~NG4の近傍には、それぞれ下方に突出する突出部LXaが設けられており、インナーケースIXの四隅における壁部IXKaの上部には、当該壁部IXKaの上面から下方に凹んだ絶縁用溝部IXKaMが、インナーケースIXの四隅における壁部IXKaが延在する方向に沿って形成されている(図6図10)。
【0116】
当該コイルケースLXの4つの支持部NG1~NG4の突出部LXaがインナーケースIXの四隅(第1~第4の角部F1~F4)における壁部IXKaの絶縁用溝部IXKaMに挿入されることにより、インナーケースIXの上面とコイルケースLXの下面との間隔が予め設定された距離に固定されることとなる。
【0117】
なお、コイルケースLXの中央支持部LXCは、絶縁シートISの中央に設けられた貫通口ISQ、フェライトコアFCの中央に設けられた貫通口FCQ、及び、放熱パッドHPの中央に設けられた貫通口HPQを介して(図2)、インナーケースIXの中央台座部IXCに固定されるようになっている。
【0118】
以上のように、実施例1に係るレゾネータ装置100によれば、コイルケースCXは、矩形の形状のコイルケースCXの下面の隅G1~G4に、券回された収納溝LXMの最も外側に位置する側部と連通し且つ収納溝LXMの全長よりも長いコイルの余長を調整するためのコイルケースCXの下面から凹んだ余長処理領域LXG1~LXG4を有する。
【0119】
そして、例えば、コイルLの全長が、収納溝LXMの全長よりも長い場合には、第1コイル端子TL1を第1端子配置領域LXH1に収納し且つ第2コイル端子TL2を第2端子配置領域LXH2に収納した状態で、収納溝LXMの最も外側の部分から余長処理領域LXG1~LXG4にコイルの一部がはみ出ることで、コイルの余長が調整されるようになっている。
【0120】
そして、レゾネータ装置100では、コイルケースの外側において券回されたコイルの余長処理をする構成を有するため、当該余長処理によるコイル間の間隔の変化が少ないものとなる。
【0121】
すなわち、実施例1に係るレゾネータ装置100によれば、コイルケースにおいてコイルを巻き付ける際の余長処理にともなうレゾネータの性能の低下を軽減することができる。
【実施例2】
【0122】
既述の実施例1では、電気自動車に積載され且つ当該電気自動車を駆動するためのバッテリのワイヤレス充電に用いられ、当該電気自動車に積載される受電用のレゾネータ装置100の例を説明した。
【0123】
しかし、本発明は、電気自動車に積載され且つ当該電気自動車を駆動するためのバッテリのワイヤレス充電に用いられ、地上に設置される送電用のレゾネータ装置200にも、適用されることができる。この場合、受電用のレゾネータ装置100のコイルが、送電用のレゾネータ装置200のコイルに対応することとなる。
【0124】
なお、この実施例2におけるその他のレゾネータ装置の構成は、実施例1と同様である。
【0125】
以上のように、本発明の一態様に係るレゾネータ装置は、電気自動車に積載され且つ当該電気自動車を駆動するためのバッテリのワイヤレス充電に用いられ、当該電気自動車に積載される受電用又は地上に設置される送電用の、レゾネータ装置であって、一端部L1に第1コイル端子TL1が接続され、他端部L2に第2コイル端子TL2が接続されたコイルLと、下面の中心部を取り囲んで巻回するように収納溝LXMが形成され、巻回された収納溝LXMの最も中心部側に位置する一端部に、第1コイル端子TL1を収納する第1端子配置領域が形成され、券回された収納溝LXMの最も外側に位置する他端部に、第2コイル端子TL2を収納する第2端子配置領域が形成され、コイルを渦巻き状に収納溝LXMに収納するコイルケースLXと、コイルケースの下面と隣接するように配置されるフェライトコアFCと、第1コイル端子が電気的に接続される第1制御端子及び第2コイル端子が電気的に接続される第2制御端子が設けられた制御基板と、を備える。
【0126】
コイルケースは、矩形の形状のコイルケースの下面の隅(第1角部)に、券回された収納溝LXMの最も外側に位置する側部と連通し且つ収納溝LXMの全長よりも長いコイルの余長を調整するためのコイルケースの下面から凹んだ余長処理領域Zを有する。
【0127】
そして、例えば、コイルLの全長が、収納溝LXMの全長よりも長い場合には、第1コイル端子TL1を第1端子配置領域に収納し且つ第2コイル端子TL2を第2端子配置領域に収納した状態で、収納溝LXMの最も外側の部分から余長処理領域にコイルの一部がはみ出ることで、コイルの余長が調整されるようになっている。
【0128】
本発明のレゾネータ装置では、コイルケースの外側において券回されたコイルの余長処理をする構成を有するため、当該余長処理によるコイル間の間隔の変化が少ないものとなる。
【0129】
すなわち、本発明のレゾネータ装置によれば、コイルケースにおいてコイルを巻き付ける際の余長処理にともなうレゾネータの性能の低下を軽減することができる。
【0130】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0131】
充電システム1000
D 分電盤
GC 地上側充電装置
200 送電用のレゾネータ装置(地上側レゾネータ装置)
VC 車両側充電装置
100 受電用のレゾネータ装置(車両側レゾネータ装置)
V 電気自動車
CX カバーケース
AB 金属ベース板
L 送電用のコイル
LX コイルケース
FC フェライトコア
IX インナーケース
SK 制御基板
IS 絶縁シート
HP 放熱パッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10