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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】骨固定インプラント及び移植方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/68 20060101AFI20221114BHJP
【FI】
A61B17/68
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020551362
(86)(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-09
(86)【国際出願番号】 US2019024227
(87)【国際公開番号】W WO2019231531
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】62/678,530
(32)【優先日】2018-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504154126
【氏名又は名称】ライト メディカル テクノロジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Wright Medical Technology, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,エリン
(72)【発明者】
【氏名】トーレン,ブライアン・ロバート
【審査官】羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0196602(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0283154(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0020569(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0125551(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の骨を第2の骨に取り付けるように構成されたインプラントにおいて、
前記インプラントは、
前記第1の骨に挿入するように構成された髄内部分であって、
長手方向軸と、
前記髄内部分を通って延び、髄内ファスナー孔軸を有する髄内ファスナー孔とを有する髄内部分と、
前記第2の骨と接触するように構成された髄外部分であって、
前記第2の骨の表面に隣接するように構成され、前記長手方向軸から離間した骨対向面と、
前記髄外部分を通って延び、髄外ファスナー孔軸を有する髄外ファスナー孔とを有する髄外部分と、
前記髄内部分と前記髄外部分との間に延び、それを通って延びる圧縮ファスナー孔軸を有する圧縮ファスナー孔を有する中間部分と、を含み、
前記髄内ファスナー孔軸と前記髄外ファスナー孔軸とは平行であり、
前記圧縮ファスナー孔軸は、長手方向軸に対して斜めの角度で配置されており、
前記第1の骨が中足骨であり、前記第2の骨が足根骨である、インプラント。
【請求項2】
肩部が前記圧縮ファスナー孔内に延び、前記肩部は、前記圧縮ファスナー孔に挿入されたねじのヘッドに接触するように構成される、請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記髄内ファスナー孔は、前記髄内部分を前記第1の骨に固定するためのファスナーを受け入れるように構成され、前記髄外ファスナー孔は、前記髄外部分を前記第2の骨に固定するためのファスナーを受け入れるように構成される、請求項1に記載のインプラント。
【請求項4】
肩部が前記縮ファスナー孔内に延び、前記圧縮ファスナー孔は、ヘッドが肩部に接触するようにヘッド及びねじ付きシャフトを有するファスナーを受け入れるように構成され、前記ねじ付きシャフトは、前記第2の骨内に延びて係合するように構成される、請求項3に記載のインプラント。
【請求項5】
前記髄外ファスナー孔にはねじ山が形成されている、請求項1に記載のインプラント。
【請求項6】
前記髄内部分は幅を有し、また、前記長手方向軸から前記髄外部分の骨対向面までの距離は、前記幅の半分より大きい、請求項1に記載のインプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年5月31日に出願された米国仮特許出願第62/678,530号に対する優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、医療機器に関し、より具体的には骨変形を矯正するためのインプラントに関する。
【背景技術】
【0003】
人の足の外反母趾の変形は、第1趾(母趾)が第2趾に向かって湾曲した、偏位した位置にある状態と関連がある。第1中足骨は正中矢状面に向かって偏位し、母趾は正中矢状面から離れて偏位している。これは、膨れた粘液嚢又は中足指節関節の骨の異常による隆起を伴う場合がある。
【0004】
外反母趾を治療するために様々な非手術的な方法が用いられるが、継続的な痛みや可視的な変形がある場合に、患者はその状態の外科的矯正を求めるかもしれない。手術方法には、第1中足骨の骨肥大部を取り除くステップと、隣接する中足骨に対して第1中足骨を再整列するステップと、及び/又は第1中足骨に隣接する足指に対して母趾のひずみを取るステップと、を含む。
【0005】
外反母趾の変形を治療する方法の1つが、ラピダス法(Lapidus procedure)として知られている。ラピダス法で、第1足根骨-中足骨関節は関節の動きを少なくするために融合される。これは、第1中足骨と足指とのひずみを取って、外反母趾の変形を軽減又は解消する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態において、インプラントは、第1の骨を第2の骨に取り付けるように構成される。インプラントは、髄内部分と、髄外部分と、中間部分とを含む。髄内部分は、第1の骨に挿入するように構成され、長手方向軸と、髄内部分を通って延びる髄内ファスナー孔とを有する。髄外部分は、第2の骨と接触するように構成され、骨対向面と、髄外部分を通って延びる髄外ファスナー孔とを有する。骨対向面は、第2の骨の表面に隣接するように構成され、長手方向軸から離間する。中間部分は、髄内部分と髄外部分との間に延び、それを通って延びる圧縮ファスナー孔軸を有する圧縮ファスナー孔を有する。圧縮ファスナー孔軸は、長手方向軸に対して斜めの角度で配置される。
【0007】
別の態様において、インプラントシステムは、第1の骨を第2の骨に取り付けるように構成される。インプラントシステムは、第1のファスナーと、第2のファスナーと、圧縮ネジと、インプラントとを含む。インプラントは、髄内部分と、髄外部分と、中間部分とを含む。髄内部分は、第1の骨に挿入するように構成され、長手方向軸と、髄内部分を通って延びる髄内ファスナー孔とを有する。髄外部分は、第2の骨と接触するように構成され、骨対向面と、髄外部分を通って延びる髄外ファスナー孔とを有する。骨対向面は、第2の骨の表面に隣接するように構成され、長手方向軸から離間している。中間部分は、髄内部分と髄外部分との間に延び、それを通って延びる圧縮ファスナー孔軸を有する圧縮ファスナー孔を有する。圧縮ファスナー孔軸は、長手方向軸に対して鋭角に配置される。
【0008】
別の態様において、中足骨を足根骨に固定する方法が提供される。前記方法は、足根骨-中足骨関節にアクセスするための切開を生成するステップを含む。前記方法は、中足骨に長手方向の孔を形成するステップをさらに含む。前記方法は、長手方向の孔にインプラントの髄内部分を挿入するステップをさらに含む。髄内部分は、長手方向軸と髄内ファスナー孔とを有する。インプラントは、髄外ファスナー孔を有する髄外部分をさらに有する。髄外部分は、長手方向軸から離間した骨対向面を有する。インプラントは、髄内部分と髄外部分との間に延びる中間部分をさらに有する。髄内部分は、圧縮ファスナー孔を有する。前記方法は、中足骨に第1のドリル孔を形成するステップをさらに含む。前記方法は、髄内部分を中足骨に取り付けるために、第1のドリル孔及び髄内ファスナー孔に第1のファスナーを挿入するステップをさらに含む。前記方法は、中足骨を通って足根骨に圧縮ドリル孔を形成するステップをさらに含む。前記方法は、圧縮ファスナー孔及び圧縮ドリル孔に圧縮ねじを挿入するステップをさらに含む。前記方法は、中足骨と足根骨との間の距離を減少させるステップをさらにを含む。前記方法は、足根骨に第2のドリル孔を形成するステップをさらに含む。前記方法は、髄外部分を足根骨に取り付けるために、髄外ファスナー孔及び第2のドリル孔を通って第2のファスナーを挿入するステップをさらに含む。
【0009】
本明細書に記載の骨固定インプラント及び移植方法のこれらの特徴及び利点並びに他の特徴及び利点は、好ましい実施形態の以下の詳細な説明でより完全に開示されるか、又は明らかになるはずであり、同様の番号が同様の部分を指す添付図面と一緒に考慮される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係るインプラントの上面図である。
図2図1のインプラントの側面図である。
図3図1のインプラントの側面断面図である。
図4】一実施形態に係るターゲットガイドの上面図である。
図5図4のターゲットガイドの側面図である。
図6図4のターゲットガイドの側面断面図である。
図7図1のインプラントと係合した図4のターゲットガイドの上面図である。
図8図1のインプラントと係合した図4のターゲットガイドの側面図である。
図9図1のインプラントと係合した図4のターゲットガイドの側面断面図である。
図10図4のターゲットガイドと共に使用するように構成されたドリルガイドの側面図である。
図11図10のドリルガイドの断面図である。
図12】中足骨に移植された図1のインプラントの側面図である。
図13】中足骨に移植された図1のインプラントの斜視図である。
図14】中足骨に移植された図1のインプラントの別の斜視図である。
図15図1のインプラント及び図4のターゲットガイドを使用する治療方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
好ましい実施形態の本発明は、本発明の記載説明全体の一部と見なされる添付図面と関連して読まれるように意図されている。図面は縮尺通りである必要はなく、本発明の特定の特徴は、明確さと簡潔さのため縮尺で誇張され得る、又はほぼ概略的な形で示され得る。本明細書において、「水平」、「垂直」、「上向き」、「下向き」、「上部」、及び「下部」等の相対的な用語だけではなく、それらの派生語(例えば、「水平に」、「下向きに」、「上向きに」)等)は、後に説明されるか、又は議論される図に示されるように、配向を指すと解釈すべきである。これらの相対的な用語は説明の便宜上のものであり、通常、特定の配向を要求することを意図したものではない。「内向きに」と「外向きに」、及び「長手方向に」と「横方向に」等を含む用語は、互いに対して、又は、延長軸、又は軸若しくは回転中心に対して適切に解釈すべきである。「接続された」及び「相互接続された」等の取り付け、カップリング等に関する用語は、特に明記されない限り、可動又は剛性の両方の取り付けだけでなく、介在する構造物を介して直接的又は間接的に固定されるか、又は取り付けられている関係を意味する。
【0012】
本発明は、第1足根骨-中足骨関節の外科的固定のためのインプラント及びターゲットガイドだけではなく、インプラントの移植及びインプラントの固定方法を提供する。インプラントは、第1中足骨の外反母趾変形の矯正に適しており、他の関節の同様の変形の矯正にも使用することができる。図面は、外反母趾の矯正のために、第1中足骨を治療するためのインプラント及びターゲットガイドの適用を示しているが、前記インプラント及びターゲットガイドは、他の骨を治療するためにサイズ変更及び構成することが可能であり、また、様々な施術への使用も可能である。
【0013】
一実施形態において、図1図3に示すように、インプラント100は、髄内部分102と、髄外部分104と、中間部分106とを含む。示された実施形態において、髄内部分102、髄外部分104、及び中間部分106は、モノリシック構成要素から一体に形成される。別の実施形態において、髄内部分102、髄外部分104、及び中間部分106のうちの1つ以上は、ファスナー、接着、溶接、又は任意の他の適切な技術を使用して結合される個別の構成要素である。図12図14に示すように、また本明細書に記載されているように、インプラント100は、第1の骨400を第2の骨402に結合するように構成される。インプラント100は、左足又は右足のいずれにも使用できることに留意されたい。
【0014】
髄内部分102は、第1中足骨等の第1の骨400に挿入するように構成される。髄内部分102は、中心軸となり得る長手方向軸107を有する。一実施形態において、髄内部分102は、円筒形部分を含む。髄内部分102の遠位端部は、第1の骨への挿入を支援するための面取り面104aを含むことができる。代替の実施形態において、髄内部分102全体が先細になっている(すなわち、髄内部分が円錐形状の一部を形成する)。あるいは、髄内部分102の遠位端部は、縁まで先細になり得る(すなわち、三角柱を形成する)。テーパーは、両側(すなわち、髄内部分102の上部及び下部の両方から先細になる)又は片側(すなわち、髄内部分102の上部又は下部のみから先細になる)であり得る。他の実施形態において、髄内部分102の遠位端部はピラミッド状である。
【0015】
髄内部分102の断面形状は、円筒状として示されているが、他の実施形態において、髄内部分102の断面形状は、多角形(例えば、三角形、長方形、五角形等)であり、及び/又は第1の骨セグメント又は断片に対するインプラント100の回転に抵抗するように、その上に形成された1つ以上の突出部又は平坦な表面を含み得る。いくつかの実施形態において、髄内部分102は、全体又は一部がねじ山の形状であり得る。いくつかの実施形態において、髄内部分102は、骨セグメント、セクション、又は断片に対するインプラント100の回転に抵抗するために、そこから外側に延びる1つ以上のフィン又は突出部を含み得る。
【0016】
髄内ファスナー孔108は、髄内部分102を通って延びる。様々な実施形態において、髄内ファスナー孔108は、円筒形又はスロット付きであり得る。髄内ファスナー孔108は、図3に示すように、髄内ファスナー孔軸110を有する。一実施形態において、髄内ファスナー孔軸110は、長手方向軸107に実質的に直交し、インプラント100が移植される際に、髄内ファスナー孔軸110が実質的に上下方向に延びるように配向される。別の実施形態において、髄内ファスナー孔軸110は、長手方向軸107と斜めの角度を形成する。例えば、髄内ファスナー孔軸110は、長手方向軸107に対して上近位方向から下遠位方向に配向することができる。一実施形態において、髄内ファスナー孔108にはねじ山が形成されている。ねじ山が形成された髄内ファスナー孔108を提供することにより、インプラント100に対して髄内ファスナー孔108と係合するファスナーの動きが最小限に抑えられる。これはファスナー及び/又はインプラントのフレッティングを減少又は除去することができる。別の実施形態において、髄内ファスナー孔108にはねじ山が形成されていない。また、ファスナーと髄内ファスナー孔108との間にプレス又はスリップフィットを提供することにより、相対的な動きを最小限に抑えることができる。少なくとも1つの実施形態において、髄内部分102は、複数のファスナー孔を含んでいる。
【0017】
髄外部分104は、足根骨などの第2の骨402(図12図14)と接触するように構成される。髄外部分104は、図2及び図3に示すように、長手方向軸107からオフセットしている骨対向面112を含む。骨対向面112は、図12図14に示すように、インプラント100が移植される際に、第2の骨の表面に接するように構成される。一実施形態において、骨対向面112は、髄内部分102が第1中足骨に挿入されるときに、骨対向面112が足根骨の上に位置するように、髄内部分102からオフセットする。骨対向面112は、髄内部分102の幅の半分よりも大きい距離113(すなわち、髄内部分102の半径よりも大きい)で長手方向軸107から離間される。距離113は、変形の重症度に基づいて所望のオフセットを提供するように構成され得る。いくつかの実施形態において、複数のインプラントを含むキットが提供され、前記インプラントは、様々なオフセット距離113を有する。例えば、インプラントは、2mm、4mm、6mm、8mm、又は他の適切な値のオフセット距離113を有することができる。インプラント間のオフセット距離の増加量は、任意の適切又は所望の増加量であり得る。骨対向面112は、足根骨と接触し得るか、あるいは、骨対向面112と足根骨との間に間隙が存在し得る。一実施形態において、骨対向面112は実質的に平坦である。別の実施形態において、骨対向面112は、足根骨に適合するように輪郭をなす。例えば、骨対向面112は、少なくとも部分的に凹面であり得る。
【0018】
髄外ファスナー孔114は、髄外部分104を通って延びる。髄外ファスナー孔114は、髄外ファスナー孔軸116を有する。一実施形態において、髄外ファスナー孔軸116は、実質的に上下方向に延びる。一実施形態において、髄内ファスナー孔軸110と髄外ファスナー孔軸116とは、実質的に平行である。少なくとも1つの実施形態において、髄外部分104は、複数のファスナー孔を含む。
【0019】
中間部分106は、髄内部分102と髄外部分104との間に延びる。図2に示すように、中間部分106は、中間部分106の上部面126が長手方向軸107と角度118を形成するように、長手方向軸107に対して傾斜している。一実施形態において、角度118は約60°である。別の実施形態において、角度118は、約55°~約65°である。別の実施形態において、角度118は、約45°~約75°である。長手方向軸107と髄外部分104との間の距離113に関して上述したように、角度118は、変形の重症度に基づいて選択することができる。より深刻な変形に対応するために距離113が増加するにつれて、角度118もまた増加し得る。様々な角度を有する複数のインプラントを有するキットを提供することができる。一実施形態において、インプラント100は、足根骨との接触のための滑らかな輪郭を提供するために、髄外部分104と中間部分106との交差点でフィレット120を含む。
【0020】
圧縮ファスナー孔122は、中間部分106を通って延びる。圧縮ファスナー孔122は、圧縮ファスナー孔軸124を有する。一実施形態において、圧縮ファスナー孔軸124は、中間部分106の上部面126に直交する。別の実施形態において、圧縮ファスナー孔軸124は、上部面126と非垂直角度を形成する。圧縮ファスナー孔122は、その中に圧縮ねじを受け入れて、圧縮ねじのシャフトが足根骨内に延びるように構成される。圧縮ファスナー孔軸124は、長手方向軸107と斜めの角度132を形成する。例えば、一実施形態において、角度132は約35°である。別の実施形態において、角度132は、約30°~約40°である。別の実施形態において、角度132は、約25°~約45°である。一実施形態において、圧縮ファスナー孔軸124はまた、髄内ファスナー孔軸110及び髄外ねじ孔軸に対して斜めの角度を形成する。
【0021】
圧縮ファスナー孔122は、その中にザグリが形成されるように、孔内に延びる肩部128を含む。一実施形態において、後述するように、圧縮ねじが足根骨に設置されるので、圧縮ねじのヘッドが肩部128に接触し、それによって中足骨と足根骨とが互いに引き寄せられる。
【0022】
図14に示すように、髄内ファスナー孔108は、第1中足骨の一部を通って延びるファスナー150を受け入れるように構成される。ファスナー150は、ねじ、ピン、釘、k-ワイヤ、ロッド、又は任意の他の適切なファスナーであり得る。示されているように、一実施形態において、ファスナー150はねじであり、ねじのシャフト150aは、髄内ファスナー孔108を通って延びる。ファスナー150は、インプラント100を中足骨に固定して、中足骨に対するインプラント100の移動を制限する。上述のように、髄内ファスナー孔108には、ファスナー150のねじ付きシャフト150aと係合するようにねじ山が形成され得る。あるいは、ファスナー150は、挿入時に髄内ファスナー孔108にねじ山を形成するようにセルフタッピングすることができる。
【0023】
さらに、髄外ファスナー孔114は、足根骨内に延びるファスナー152を受け入れるように構成される。これにより、インプラント100が足根骨に固定される。一実施形態において、髄外ファスナー孔114は、可変角度の整列を可能にする。いくつかの実施形態において、米国テネシー州メンフィスのライトメディカルテクノロジー社によって販売されている3Di固定ねじ又は非固定ねじ等の多軸ねじを使用することができる。例えば、一実施形態において、ファスナー152は固定ねじであり、ねじのシャフトは、髄外ファスナー孔軸116に対して任意の方向に最大約15°の角度を形成することができる。
【0024】
圧縮ファスナー孔122は、図14に示すように、圧縮ファスナー154を受け入れるように構成される。圧縮ファスナー154は、圧縮ファスナー孔122を貫通して足根骨と係合するように構成される。一実施形態において、圧縮ファスナー154はねじである。一実施形態において、圧縮ファスナー154のヘッド154aは、圧縮ファスナー154が挿入される際に、肩部128と接触する。圧縮ファスナー154が締められるほど、中足骨が足根骨側に引き寄せられる。言い換えれば、中足骨と足根骨との間のスペースが減少し、骨が共に圧縮される。圧縮の量は、外科医が圧縮ファスナー孔122(つまり、中足骨)内での圧縮ファスナー154の回転量を制御することによって調節することができる。
【0025】
いくつかの実施形態において、圧縮ファスナー154は骨片間のファスナーである。そのような実施形態において、圧縮ファスナー154のねじ山が形成された部分は、中足骨及び足根骨の両方に係合し得る。他の実施形態において、圧縮ファスナー154のねじ山が形成された部分は、足根骨のみに係合する。
【0026】
一実施形態において、以下でより詳細に説明するように、圧縮ファスナー154は、ファスナー152より前に髄外部分104に設置される。その結果、ファスナー152が足根骨に挿入されるとき、中足骨と足根骨の相対的な位置は固定されている。
【0027】
インプラント100は、チタン、ステンレス鋼、又はCoCr等の金属を含むことができる。いくつかの実施形態において、インプラント100は、再吸収性ブラスト媒体(RBM)、生体活性ガラス、抗菌剤若しくは抗生剤、又はストロンチウムの粗面を、ヒドロキシアパタイト(HA)、チタンプラズマスプレー(TPS)/真空プラズマスプレー(VPS)の追加層でコーティングするか、又はこれを有する金属基材を含むことができる。あるいは、インプラント100は、プラズマ上のHA、ビーズ、不規則な焼結コーティング、又はRBM-製造用基材上のTPSを含む複合層若しくは複合コーティングを含む金属基材を含むことができる。他の実施形態において、金属基材は、球状ビーズ、非対称パウダー又は不規則な粒子コーティング等の多孔性コーティングを有することができる。
【0028】
いくつかの実施形態において、インプラント100の金属基材は、リチウム、アルミニウム、希土類金属(例えば、ネオジム又はセリウム)、マンガン、亜鉛又は他の金属を含み得るマグネシウム合金等の分解性(再吸収性)材料を含む。他の実施形態において、再吸収性材料は、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリカーボネート、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリウレタン、ポリ無水物、並びにそれらの組み合わせ及びコポリマーを含むポリマー材料を含むことができるが、これらに限定されない。
【0029】
いくつかの実施形態において、インプラント100は、生体材料を含む。生体材料は、米国テネシー州メンフィスのライトメディカルテクノロジー社から販売されているAUGMENT(商標)骨移植材料等の医療グレードのβ-TCP顆粒とrhPDGF-BB溶液との組み合わせ物であり得る。生体材料は、骨の成長のために創傷部位に適用、噴霧若しくは挿入されるか、又はインプラント若しくはインプラントシステムのいずれか又はすべての部分にコーティングとして提供することができる。いくつかの実施形態において、生体材料は、骨誘導性又は骨伝導性の生体成分を含むコーティングである。いくつかの実施形態において、生体材料は、骨形成因子、すなわち、脱灰骨基質(DBM)、骨タンパク質(BP)、骨形成タンパク質(BMP)、並びにそれらの混合物及び組み合わせ物を含むが、これらに限定されない骨組織に特異的な活性を有する成長因子を含み得る。さらに、内因性骨の付着を促進するための製形には、骨髄吸引物、骨髄濃縮物、並びにそれらの混合物及び組み合わせ物が含まれ得る。
【0030】
図4図6は、カップルリング部202及びアーム204を含むターゲットガイド200を示している。ターゲットガイド200は、モノリシック構成要素から一体に構成することができる。あるいは、ターゲットガイド200は、ファスナー、接着剤、又は任意の他の適切な手段を使用して結合される2つ以上の個別の構成要素から構成することができる。ターゲットガイド200は、ドリルをガイドして骨にファスナー孔を形成し、髄内部分102を第1の骨400に挿入するのに適している。また、ターゲットガイド200は、本明細書でより詳細に説明されるように、中足骨及び足根骨の所望の整列を達成するためにインプラント100及び中足骨を回転させるのに使用できる。ドリルをガイドする共に所望の回転を提供するためにターゲットガイドを使用すると、変形の矯正を簡単にして追加の固定装置やツールが不要になる。
【0031】
カップルリング部202は、髄外部分104に結合するように構成される。一実施形態において、カップルリング部202は、髄外ファスナー孔114に結合するためのねじ山が形成された端部206aを有する挿入部206を含む。また、カップルリング部202は、そこから延び、インプラント100をターゲットガイド200に整列するために髄外部分104の外側及び内側に接触するように構成されたフランジ207を含む。また、インプラント100は、1つ以上のピンを使用する等の任意の適切な手段を介してターゲットガイド200に整列することができる。ターゲットガイド200は、移植前にインプラント100に結合され、中足骨へのインプラント100の挿入をガイドするために使用される。
【0032】
一実施形態において、挿入部206は、第1のフランジ214及び第2のフランジ216を含む。また、カップルリング部202は、ピン孔218を含む。図6に示すように、挿入部206をカップルリング部202に挿入した後、ピン220をピン孔218に挿入して、挿入部206をカップルリング部202内に保持する。第1のフランジ210と第2のフランジ216との間の距離は、ねじ山が形成された端部206aが髄外ファスナー孔114に係合及び髄外ファスナー孔114から解放されることを可能にする。さらに、挿入部206は、カップルリング部202内で自由に回転可能であり、骨髄外ファスナー孔114との回転係合を可能にする。ピン220は、ピン孔218内に圧入することができる。
【0033】
上述のターゲットガイドは単なる例示であり、限定するものではない。例えば、ターゲットガイド(図示せず)の変形において、挿入部206は、カップルリング部202内で事前に取り付けられず、ピン220は省略されている。外科医又は技術者は、使用前に、カップリング部202の内側に挿入部206(又は挿入部206と同じ外径を有するドリルガイド)を取り付けることができる。取り外し可能な挿入部206又はドリルガイドを用いて、外科医は、まずターゲットガイド200を取り外すことなく、挿入部206又はドリルガイドを取り外し、ターゲットガイド200のカップルリング部202を介してファスナー152(図13及び14)を移植することができる。これは外科的技術と施術において、より高い柔軟性を提供する。
【0034】
図7図9は、インプラント100に結合されたターゲットガイド200を示している。アーム204は、髄内ガイド開口208及び圧縮ガイド開口210を含む。図9に示すように、ターゲットガイド200がインプラント100に接続される際に、髄内ガイド開口208は、インプラント100の髄内ファスナー孔108と整列するように構成される。圧縮ガイド開口210は、インプラント100の圧縮ファスナー孔122と整列するように構成される。以下でさらに説明するように、髄内ガイド開口208及び圧縮ガイド開口210は、ドリルビットが中足骨又は足根骨を通る孔を形成する際に、ドリルビットをガイドすることができる。
【0035】
図10及び図11は、ターゲットガイド200と共に使用するのに適したドリルガイド300の例を示している。図10は、ドリルガイド300の平面図であり、図11は、図10の11~11線に沿って取られたドリルガイド300の断面図である。
【0036】
図10及び図11において、ドリルガイド300は、ターゲットガイド200の髄内ガイド開口208及び/又は圧縮ガイド開口210にスライド可能に受け入れられるサイズの外径302を有する外面310を有する。ドリルガイド300は、第1の内径318を有するボア312を備えた第1の部分を有する。ドリルガイド300は、第1の内径318よりも小さい第2の内径320を有するボア314を備えた第2の部分を有する。第2の内径320は、ドリルガイド300と、第1の骨400及び/又は第2の骨402とを貫通するドリルをスライド可能に受け入れて整列させるようなサイズに調整される。ドリルガイド300のボア312の第1の内径318は、ドリルとボア312の側壁との間の摩擦を回避するために、第2の内径320よりも大きいサイズに調整される。ドリルガイド300は、ドリル350をボア314にガイドするために、ボア312とボア314との間に(また、接続する)テーパーセクション316を有する。ドリルガイド300は、外面310よりも大きい直径を有するノブ322をさらに有し得る。ノブ322は、ドリルガイド300がアーム204を介して落下するのを防止するための停止部として機能する。ノブ322は、隆起、溝、スプライン、又は、ローレット、パターン若しくはテクスチャーされた表面等の把持面を有することができる。
【0037】
いくつかの実施形態において、外科医は、中足骨400に長手方向のk-ワイヤ(図示せず)を挿入し、カニューレ状リーマ(図示せず)を使用して、長手方向のk-ワイヤと同心円上の中足骨400に長手方向の髄内開口部を形成する。外科医は、長手方向の髄内開口部から長手方向のk-ワイヤを取り外し、インプラント100の髄内部分102を長手方向の髄内開口部に挿入する。
【0038】
いくつかの実施形態において、外科医は、ターゲットガイド200又はターゲットガイド200に挿入されたドリル又はk-ワイヤに力を加え、インプラント100の髄内部分102の長手方向軸107周りにインプラント100及び中足骨を回転させるためのモーメントを加える。外科医は、ターゲットガイド200に直接力を加えることができるが、場合によっては、外科医は、回転中にドリル又はk-ワイヤを握ってジョイスティックとして使用したいと思うかもしれない。外科医は、中足骨が所望の角度で回転するまで、インプラント100を回転させる力を加える。回転後、インプラント100の骨外部分104と足根骨402は、中足骨400に対して適切に整列される。
【0039】
図15に示される別の実施形態において、第1の骨を第2の骨に固定する方法1200が提供される。ステップ1202で、外科医は、足根骨-中足骨関節へのアクセスを提供する切開を生成する。切開は、メス等の適切な手術器具で形成することができる。次に、ステップ1203で、第1及び第2の骨へのアクセスを提供するために、軟骨、組織、及び/又は他の材料を除去することによって関節を準備する。関節を準備するためにさまざまな器具を使用することができる。
【0040】
ステップ1204で、外科医は、(インプラントの髄内部分を受け入れるために)中足骨に長手方向の孔を形成する。必要に応じて、長手方向の孔を形成する前に、k-ワイヤを中足骨に挿入して長手方向の孔の配向を規定することができる。k-ワイヤによってガイドされるカニューレ状リーマーを使用して、長手方向の孔を形成することができる。長手方向の孔を形成した後、k-ワイヤを取り外す。
【0041】
ステップ1206で、外科医は、インプラントの髄外部分における骨外ファスナー孔にターゲットガイドを(ターゲットガイドの挿入部のねじ山が形成された端部を髄外ファスナー孔のねじ山と係合させることによって)取り付ける。あるいは、外科医は、ターゲットガイドの挿入部のねじ山が形成された端部に取り付けられたインプラントを含む、事前に包装された、又は事前に組み立てられた構造物を得ることができる。
【0042】
ステップ1208で、外科医は、インプラントの髄内部分を、第1中足骨の近位セクションにおける長手方向の髄内開口部に挿入する。挿入中に、外科医はターゲットガイドをつかんでインプラントを開口部に押し込むことができる。挿入が完了すると、インプラントの髄外部分は、第1の長手方向軸に向かって半径方向内側に対向する骨対向面を有する。
【0043】
ステップ1210で、外科医は、第1中足骨に第1のドリル孔を形成する。いくつかの実施形態において、外科医は、ドリルが第1のファスナー孔を形成する際にドリルをガイドするための第1のドリル孔を形成する前に、ターゲットガイドの本体を介してk-ワイヤを挿入する。
【0044】
ステップ1212で、第1のファスナーが第1のドリル孔に挿入され、インプラントの髄内部分を通ってインプラントを中足骨に固定する。一実施形態において、第1のファスナーはねじである。
【0045】
ステップ1214で、第1のファスナーを挿入した後、外科医は、ターゲットガイドに力を加えて第1の長手方向軸周りにインプラント及び第1中足骨をその場で回転させ、外反母趾の変形を矯正する。インプラントが第1のファスナーによって中足骨に固定されているため、インプラントの回転は、対応する中足骨の回転を引き起こす。したがって、所望の回転を与えるために、追加の器具や固定装置を必要としない。
【0046】
他の実施形態において、インプラント及び中足骨は、第1のファスナーを挿入する前に回転する。例えば、第1のドリル孔を形成した後、外科医は、第1のドリル孔にドリルを保持し、ジョイスティックのようにドリルを使用してインプラントを操作及び回転させ、第1中足骨を所望の回転角度で達成することができる。
【0047】
ステップ1216で、外科医は、ターゲットガイド及びドリルガイドを使用して、中足骨及び足根骨を通る圧縮ドリル孔を形成する。必要に応じて、圧縮ドリル孔を形成する前に、圧縮ドリル孔の配向をガイドするためにk-ワイヤが挿入される。そのような実施形態において、ドリルがカニューレ状になっており、ドリルがk-ワイヤを通過し得る。圧縮ドリル孔を形成した後、k-ワイヤを取り外すことができる。
【0048】
ステップ1218で、圧縮ドリル孔を形成した後、外科医は、インプラントの圧縮ファスナー孔を介して足根骨の圧縮ドリル孔にファスナーを挿入する。いくつかの実施形態において、圧縮ねじはカニューレを有し、挿入ステップは、圧縮ねじのカニューレを通って延びるk-ワイヤを用いて圧縮ファスナー孔に圧縮ねじを挿入するステップを含む。
【0049】
ステップ1220で、外科医は、足根骨にドリル孔を形成する。ドリル孔は、ターゲットガイドの挿入部によってガイドされるドリルを使用して形成することができる。あるいは、専用のドリルガイドを使用してドリルをガイドすることもできる。いくつかの実施形態において、ドリルをガイドするためにドリル孔を形成する前に、k-ワイヤが髄外ファスナー孔を通って足根骨に挿入される。
【0050】
ステップ1222で、ファスナーが髄外ファスナー孔を通ってドリル孔に挿入される。いくつかの実施形態において、ターゲットガイドは、第2のファスナーを挿入する前に、インプラントから取り外される。
【0051】
必要に応じて、上記方法は、圧縮ねじを挿入するためのクリアランスを提供するために第2の切開を生成するステップと、第1のファスナーを挿入するためのクリアランスを提供するために第3の切開を生成するステップとをさらに含み得る。
【0052】
装置、キット、システム、及び方法は、例示的な実施形態の観点から説明されているが、それに限定されない。むしろ、添付の特許請求の範囲は、請求された装置、キット、システム、及び方法の同等物の範囲(scope and range)から逸脱することなく、当業者によって作成され得る、装置、キット、システム、及び方法の他の変形及び実施形態を含むように広く解釈されるべきである。
図1
図2
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図10
図11
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図15