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特許7176001位置選択的N-アルキルトリアゾールを調製する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】位置選択的N-アルキルトリアゾールを調製する方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 249/04 20060101AFI20221114BHJP
【FI】
C07D249/04 505
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020558613
(86)(22)【出願日】2019-04-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 US2019028473
(87)【国際公開番号】W WO2019209693
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-12-07
(31)【優先権主張番号】62/661,446
(32)【優先日】2018-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/746,904
(32)【優先日】2018-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503345477
【氏名又は名称】コーセプト セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100170852
【弁理士】
【氏名又は名称】白樫 依子
(72)【発明者】
【氏名】ハーゼル フント
(72)【発明者】
【氏名】アリエン クリスティアーン ブレーマン
(72)【発明者】
【氏名】バス ビルヘルムス テオドルス フラウテルス
【審査官】神野 将志
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-510207(JP,A)
【文献】国際公開第2015/077537(WO,A1)
【文献】特表2016-537394(JP,A)
【文献】特表2015-517580(JP,A)
【文献】特表2007-516171(JP,A)
【文献】Journal of Medicinal Chemistry,2017年,60 (8),3405-3421
【文献】Mendeleev Communications,2014年,24 (5),280-282
【文献】Journal of the American Chemical Society,2011年,133 (47),19024-19027
【文献】Acta Chemica Scandinavica,1971年,25 (6),2087-2098
【文献】Acta Chemica Scandinavica,1969年,23 (8),2733-2740
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 249/04
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式I:
【化1】
の化合物であって、以下の式Iaおよび式Ib:
【化2】
の化合物を実質的に含まない化合物を製造する方法であって、
a)以下の式II:
【化3】
の化合物、非求核性塩基、第一の溶媒、および以下の式IIIa:
R1a-LG1a (IIIa)
の化合物を含む第一の反応混合物を形成し、
ここで、式IIの化合物に対する式IIIaの化合物のモル比は1より大きく、式Iの化合物および式IaとIbの少なくとも一方の化合物を含む中間体混合物を形成
a1)中間体混合物および以下の式IIIb:
R1b-LG1b (IIIb)
の化合物を含む第二の反応混合物を形成し、
ここで、中間体混合物の化合物に対する式IIIbの化合物のモル比が1より大きく、かつ、ここで、第二の反応混合物が、以下の式IVaまたは式IVb:
【化4】
の少なくとも一方の化合物を形成するよう混合され;
b)水層と有機層を形成するよう、第二の反応混合物、水および有機溶媒を含む分配混合物を形成し;そして、
c)有機層と水層を分離して、式Ia、式Ib、式IVaおよび式IVbの化合物を実質的に含まない式Iの化合物を単離すること、
{式中、
R1aおよびR1bは独立に、R 1b がR 1a と異なるような、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチルまたはシクロプロピルメチルであり;
R2は、ハロゲン、SCH2ArまたはSCHAr2であって、式中、各Arは、それぞれ独立に、ハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6アルコキシ、またはC1-C6ハロアルコキシである、1~3個のR2a基で場合により置換されたフェニルであり;
LG1aとLG1bはそれぞれ独立に、LG 1a とLG 1b の一方がOSO 2 R 3 であるように、Br、IまたはOSO2R3であり;および
R3は、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、またはC6-C12アリールであって、式中、アリール基は、それぞれ独立に、水素、C1-C6アルキル、ハロゲン、またはNO2である、1~3個のR3a基で置換される}
を含む方法。
【請求項2】
式IIIaとIIIbの化合物が異なる、請求項1に記載の方法であって、
前記方法が、
a)以下の式II:
【化5】
の化合物、非求核性塩基、第一の溶媒、および以下の式IIIa:
R1a-LG1a (IIIa)
の化合物を含む第一の反応混合物を形成し、
ここで、式IIの化合物に対する式IIIaの化合物のモル比が1より大きく、かつ、ここで、該反応混合物が、式Iの化合物および式IaとIbの少なくとも一方の化合物を含む中間体混合物を形成するよう、室温以上にて少なくとも2時間混合され;
a1)中間体混合物および以下の式IIIb:
R1b-LG1b (IIIb)
の化合物を含む第二の反応混合物を形成し、
ここで、中間体混合物の化合物に対する式IIIの化合物のモル比が1より大きく、かつ、ここで、第二の反応混合物が、以下の式IVaまたは式IVb:
【化6】
の少なくとも一方の化合物を形成するよう、室温以上にて少なくとも2時間混合され;
b)水層と有機層を形成するよう、第二の反応混合物、水および有機溶媒を含む分配混合物を形成し;そして、
c)有機層と水層を分離して、式Ia、式Ib、式IVaおよび式IVbの化合物を実質的に含まない式Iの化合物を単離すること、
{式中、
R1aは、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチルまたはシクロプロピルメチルであり;
R1bは、R1bがR1aと異なるような、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチルまたはシクロプロピルメチルであり;
LG1aとLG1bはそれぞれ独立に、LG 1a とLG 1b の一方がOSO 2 R 3 であるように、Br、IまたはOSO2R3であり;および
R3は、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、またはC6-C12アリールであって、式中、アリール基は、それぞれ独立に、水素、C1-C6アルキル、ハロゲン、またはNO2である、1~3個のR3a基で置換される}
を含む、方法。
【請求項3】
前記式中、
R1aが、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチルまたはシクロプロピルメチルであり;かつ
R1bがメチルである、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
以下の式I:
【化7】
の化合物であって、以下の式Iaおよび式Ib:
【化8】
の化合物を実質的に含まない化合物を製造する方法であって、
a)以下の式II:
【化9】
の化合物、非求核性塩基、第一の溶媒、および以下の式IIIa:
R 1a -LG 1a (IIIa)
の化合物を含む第一の反応混合物を形成し、式Iの化合物および式IaとIbの少なくとも一方の化合物を含む中間体混合物を形成し;
a1)中間体混合物および以下の式IIIb:
R 1b -LG 1b (IIIb)
の化合物を含む第二の反応混合物を形成し、
ここで、式IIIaとIIIbの化合物が同一であり、式IIの化合物に対する式IIIaと式IIIbの化合物のモル比は4より大きく、かつ、ここで、第二の反応混合物は、以下の式IVaまたは式IVb:
【化10】
の少なくとも一方の化合物を形成するよう混合され;
b)水層と有機層を形成するよう、第の反応混合物、水および有機溶媒を含む分配混合物を形成し;そして、
c)有機層と水層を分離して、式Ia、式Ib、式IVaおよび式IVbの化合物を実質的に含まない式Iの化合物を単離すること、
{式中、
R1aおよびR1bは、同一であり、かつ、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチルまたはシクロプロピルメチルであり;
R2は、ハロゲン、SCH2ArまたはSCHAr2であって、式中、各Arは、それぞれ独立に、ハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6アルコキシ、またはC1-C6ハロアルコキシである、1~3個のR2a基で場合により置換されたフェニルであり;
LG 1a LG1bは、同一であり、かつ、OSO2R3であり;および
R3は、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、またはC6-C12アリールであって、式中、アリール基は、それぞれ独立に、水素、C1-C6アルキル、ハロゲン、またはNO2である、1~3個のR3a基で置換される}
を含む、方法。
【請求項5】
式IIIaとIIIbの化合物が同一である、請求項4に記載の方法であって、
前記方法が、
a)式IIの化合物、非求核性塩基、第一の溶媒、および式IIIaとIIIbの化合物を含む第一の反応混合物を形成し、ここで、式IIの化合物に対する式IIIaとIIIbの化合物のモル比が4より大きく、かつ、ここで、該反応混合物が、式Iの化合物および以下の式IVaまたは式IVb:
【化11】
の少なくとも一方の化合物を形成するよう、室温以上にて少なくとも2時間混合され;
b)水層と有機層を形成するよう、第一の反応混合物、水および有機溶媒を含む分配混合物を形成し;そして、
c)有機層と水層を分離して、式Ia、式Ib、式IVaおよび式IVbの化合物を実質的に含まない式Iの化合物を単離すること、
{式中、
R1aおよびR1bは、同一であり、かつ、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチルまたはシクロプロピルメチルであり;
R2は、ハロゲン、SCH2ArまたはSCHAr2であって、式中、各Arは、それぞれ独立に、ハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6アルコキシ、またはC1-C6ハロアルコキシである、1~3個のR2a基で場合により置換されたフェニルであり;
LG 1a LG1b同一であって、OSO2R3であり;および
R3は、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、またはC6-C12アリールであって、式中、アリール基は、それぞれ独立に、水素、C1-C6アルキル、ハロゲン、またはNO2である、1~3個のR3a基で置換される}
を含む、方法。
【請求項6】
前記非求核性塩基が、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、カリウムtert-ブトキシド、およびナトリウムtert-ブトキシドから成る群から選択される、請求項1または4に記載の方法。
【請求項7】
前記非求核性塩基が炭酸カリウムである、請求項1または4に記載の方法。
【請求項8】
前記第一の溶媒が、アセトン、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、トルエン、メチルtert-ブチルエーテル、エタノール、およびジメチルホルムアミド、またはその組み合わせから成る群から選択される、請求項1または4に記載の方法。
【請求項9】
前記第一の溶媒が、ジメチルアセトアミド、メチルtert-ブチルエーテル、およびエタノール、またはその組み合わせから成る群から選択される、請求項1または4に記載の方法。
【請求項10】
前記第一の溶媒がジメチルアセトアミドである、請求項1または4に記載の方法。
【請求項11】
前記第一の反応混合物が、室~40℃の温度にて維持される、請求項1または4に記載の方法。
【請求項12】
前記第一の反応混合物が、少なくとも8時間混合される、請求項1または4に記載の方法。
【請求項13】
前記分配混合物中の有機溶媒がジクロロメタンである、請求項1または4に記載の方法。
【請求項14】
R1aおよびR1bがメチルである、請求項4に記載の方法。
【請求項15】
R2がSCH2Arであって、式中、Arがフェニルである、請求項1または4に記載の方法。
【請求項16】
R2がハロゲンである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記式中、
LG1bがOSO2R3であり;かつ、
R3が、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、またはC6-C12アリールであって、式中、アリール基が、それぞれ独立に、水素、C1-C6アルキル、ハロゲン、またはNO2である、1~3個のR3a基で置換される、
請求項4に記載の方法。
【請求項18】
前記式中、
LG1bがOSO2R3であり;かつ
R3が、それぞれ独立に、水素、C1-C6アルキル、ハロゲン、またはNO2である、1~3個のR3a基で置換されたC6-C12アリールである、
請求項4に記載の方法。
【請求項19】
前記式中、
LG1bがOSO2R3であり;かつ
R3が、それぞれ独立にC1-C6アルキルである、1~3個のR3a基で置換されたC6-C12アリールである、
請求項4に記載の方法。
【請求項20】
前記式中、
LG1bがOSO2R3であり;かつ
R3がp-トリルである、
請求項4に記載の方法。
【請求項21】
前記式中、LG1bがIである、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
式Iの化合物が、以下の構造:
【化12】
を有し、式Iaおよび式Ibの化合物が、以下の構造:
【化13】
を有し、かつ、前記方法が、
a)以下の構造:
【化14】
を有する式IIの化合物、炭酸カリウム、ジメチルアセトアミド、および以下の構造:
Me-OTs
をそれぞれ有する式IIIaおよび式IIIbの化合物を含む第一の反応混合物を形成し、
ここで、式IIの化合物に対する式IIIaおよびIIIbの化合物のモル比は4より大きく、かつ、ここで、該反応混合物が、式Iの化合物および以下の構造:
【化15】
を有する式IVaまたは式IVbの少なくとも一方の化合物を形成するよう、室温以上にて少なくとも2時間混合され;
b)水層と有機層を形成するよう、第一の反応混合物、水、およびジクロロメタンを含む分配混合物を形成し;そして
c)有機層と水層を分離して、式Ia、式Ib、式IVa、および式IVbの化合物を実質的に含まない式Iの化合物を単離すること、
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項23】
式Iの化合物が、以下の構造:
【化16】
を有し、式Iaおよび式Ibの化合物が、以下の構造:
【化17】
を有し、かつ、前記方法が、
a)以下の構造:
【化18】
を有する式IIの化合物、炭酸カリウム、ジメチルアセトアミド、および以下の構造:
iPr-Br
を有する式IIIaの化合物を含む第一の反応混合物を形成し、
ここで、式IIの化合物に対する式IIIaの化合物のモル比は少なくとも1であり、かつ、ここで、該反応混合物は、式Iの化合物および式Iaまたは式Ibの少なくとも一方の化合物を含む中間体混合物を形成するよう、室温以上にて少なくとも2時間混合され;
a1)中間体混合物、ジメチルアセトアミド、および以下の式IIIb:
Me-OTs
の化合物を含む第二の反応混合物を形成し、
ここで、中間体混合物の化合物に対する式IIIbの化合物のモル比は2より大きく、かつ、ここで、第二の反応混合物は、以下の式IVaまたは式IVb:
【化19】
の少なくとも一方の化合物を形成するよう、室温以上にて少なくとも2時間混合され;
b)水層と有機層を形成するよう、第二の反応混合物、水、およびジクロロメタンを含む分配混合物を形成し;そして
c)有機層と水層を分離して、式Ia、式Ib、式IVa、および式IVbの化合物を実質的に含まない式Iの化合物を単離すること、
を含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年4月23日に出願された米国特許出願第62/661,446号および2018年10月17日に出願された米国特許出願第62/746,904号の利益、およびそれらに対する優先権を主張するものであり、そしてそれらの両方の内容をそれらの全体として参照により本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
背景
トリアゾールは、生物活性化合物に普及している、3つの窒素と2つの炭素原子を有する複素環式有機五員環である(Dheer, D. et al., Bioorganic Chemistry 2017, 71, 30-54; Haider, S. et al., Inflammation & Cell Signalling 2014, 1, 1-10 (http://dx.doi.org/10.14800/ics.95))。トリアゾールは、その強力な双極子モーメントのため効果的なアミド代用薬としての役割を果たし、そして、例えば、水素結合形成、双極子-双極子およびπ積層相互作用、および改善された溶解性などの追加の重要特性(Dheer, D.)を処理する。N-1/N-3置換1,2,3-トリアゾールは、主としてアジド親双極子環付加方法論(すなわち、Huisgen反応のシャープレスのクリックバリエーション(Wang, X-j. et al. Organic Letters 2010, 12, 4632-4635))における進歩のため、効果的に利用された。効果的な一般的合成方法がいくつかの無差別または専門化合成を超えていないので、N-2置換1,2,3-トリアゾールはそれほど十分には試験されていない。よって、N-2置換1,2,3-トリアゾール(Wang, X-j.)の位置選択的調製に対する必要性が存在している。
【発明の概要】
【0003】
簡単な概要
一実施形態において、本発明は、以下の式I:
【化1】
の化合物であって、以下の式Iaおよび式Ib:
【化2】
の化合物を実質的に含まない化合物を製造する方法を提供する。
式Iの化合物を製造する方法は、以下の式II:
【化3】
の化合物、非求核性塩基、第一の溶媒、および以下の式IIIa:
R1a-LG1a (IIIa)
の化合物を含む第一の反応混合物を形成することを含み、
ここで、式Iの化合物および式IaとIbの少なくとも一方の化合物を含む中間体混合物を形成するのに好適な条件下、式IIの化合物に対する式IIIaの化合物のモル比が1より大きい。その方法はまた、中間体混合物および以下の式IIIb:
R1b-LG1b (IIIb)
の化合物を含む第二の反応混合物を形成することを含み、
ここで、中間体混合物の化合物に対する式IIIbの化合物のモル比が1より大きく、かつ、ここで、第二の反応混合物が、以下の式IVaまたは式IVb:
【化4】
の少なくとも一方の化合物を形成するのに好適な条件下で混合される。
その方法はまた、水層と有機層を形成するよう、第二の反応混合物、水および有機溶媒を含む分配混合物を形成し、そして、有機層と水層を分離して、式Ia、式Ib、式IVaおよび式IVbの化合物を実質的に含まない式Iの化合物を単離することを含む。式I、Ia、Ib、II、IIIa、IIIb、IVa、IVbの化合物について、R1aおよびR1bは独立に、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチルまたはシクロプロピルメチルであり;R2は、ハロゲン、SCH2ArまたはSCHAr2であって、式中、各Arは、それぞれ独立に、ハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6アルコキシ、またはC1-C6ハロアルコキシである、1~3個のR2a基で場合により置換されたフェニルであり;LG1aとLG1bはそれぞれ独立に、Br、IまたはOSO2R3であり;およびR3は、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、またはC6-C12アリールであって、式中、該アリール基は、それぞれ独立に、水素、C1-C6アルキル、ハロゲン、またはNO2である、1~3個のR3a基で置換される。
【0004】
いくつかの実施形態において、本発明は、以下の式I:
【化5】
の化合物であって、以下の式Iaおよび式Ib:
【化6】
の化合物を実質的に含まない化合物を製造する方法を提供する。
本発明の方法は、以下の式II:
【化7】
の化合物、非求核性塩基、第一の溶媒、および以下の式IIIa:
R1a-LG1a (IIIa)
の化合物を含む第一の反応混合物を形成することを含み、
ここで、式IIの化合物に対する式IIIaの化合物のモル比が1より大きく、かつ、ここで、該反応混合物が、式Iの化合物および式IaとIbの少なくとも一方の化合物を含む中間体混合物を形成するのに好適な条件下、室温以上にて少なくとも2時間混合される。その方法はまた、中間体混合物および以下の式IIIb:
R1b-LG1b (IIIb)
の化合物を含む第二の反応混合物を形成することを含み、
ここで、中間体混合物の化合物に対する式IIIの化合物のモル比が1より大きく、かつ、ここで、第二の反応混合物が、以下の式IVaまたは式IVb:
【化8】
の少なくとも一方の化合物を形成するのに好適な条件下、室温以上にて少なくとも2時間混合される。
その方法はまた、水層と有機層を形成するよう、第二の反応混合物、水および有機溶媒を含む分配混合物を形成し、そして、有機層と水層を分離して、式Ia、式Ib、式IVaおよび式IVbの化合物を実質的に含まない式Iの化合物を単離することを含む。式I、Ia、Ib、II、IIIa、IIIb、IVa、IVbの化合物について、R1aは、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチルまたはシクロプロピルメチルであり;R1bは、R1bがR1aと異なるような、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチルまたはシクロプロピルメチルであり;LG1aとLG1bはそれぞれ独立に、Br、IまたはOSO2R3であり;およびR3は、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、またはC6-C12アリールであって、式中、アリール基は、それぞれ独立に、水素、C1-C6アルキル、ハロゲン、またはNO2である、1~3個のR3a基で置換される。
【0005】
いくつかの実施形態において、本発明は、以下の式I:
【化9】
の化合物であって、以下の式Iaおよび式Ib:
【化10】
の化合物を実質的に含まない化合物を製造する方法を提供する。
本発明の方法は、以下の式II:
【化11】
の化合物、非求核性塩基、第一の溶媒、以下の式IIIa:
R1a-LG1a (IIIa)
の化合物、および以下の式IIIb:
R1b-LG1b (IIIb)
の化合物を含む第一の反応混合物を形成することを含み、
ここで、式IIの化合物に対する式IIIaとIIIbの化合物のモル比が2より大きく、かつ、ここで、該反応混合物が、式Iの化合物および以下の式IVaまたは式IVb:
【化12】
の少なくとも一方の化合物を形成するのに好適な条件下、室温以上にて少なくとも2時間混合される。
その方法はまた、水層と有機層を形成するよう、第一の反応混合物、水および有機溶媒を含む分配混合物を形成し、そして、有機層と水層を分離して、式Ia、式Ib、式IVaおよび式IVbの化合物を実質的に含まない式Iの化合物を単離することを含む。式I、Ia、Ib、II、IIIa、IIIb、IVa、IVbの化合物について、R1aおよびR1bは、同一であり、かつ、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチルまたはシクロプロピルメチルであり;R2は、ハロゲン、SCH2ArまたはSCHAr2であって、式中、各Arは、それぞれ独立に、ハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6アルコキシ、またはC1-C6ハロアルコキシである、1~3個のR2a基で場合により置換されたフェニルであり;LG1bは、Br、IまたはOSO2R3であり;およびR3は、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、またはC6-C12アリールであって、式中、アリール基は、それぞれ独立に、水素、C1-C6アルキル、ハロゲン、またはNO2である、1~3個のR3a基で置換される。
【0006】
いくつかの実施形態において、本発明は、以下の式I:
【化13】
の化合物であって、以下の式Iaおよび式Ib:
【化14】
の化合物を実質的に含まない化合物を製造する方法であって、以下の式II:
【化15】
の化合物、非求核性塩基、第一の溶媒、および以下の式III:
R1-LG (III)
の化合物の第一の反応混合物を形成するステップを含む方法を提供し、
ここで、式IIの化合物に対する式IIIの化合物のモル比が2より大きく、かつ、ここで、該反応混合物が、式Iの化合物および以下の式IVaまたは式IVb:
【化16】
の少なくとも一方の化合物を形成するのに好適な条件下、室温以上にて少なくとも2時間混合される。
本発明の方法はまた、水層と有機層を形成するよう、第一の反応混合物、水および有機溶媒を含む分配混合物を形成し、そして、有機層と水層を分離して、式Ia、式Ib、式IVaおよび式IVbの化合物を実質的に含まない式Iの化合物を単離するステップを含む。式I、Ia、Ib、II、III、IVa、IVbの化合物について、R1は、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチルまたはシクロプロピルメチルであり;R2は、ハロゲン、SCH2ArまたはSCHAr2であって、式中、各Arは、それぞれ独立に、ハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6アルコキシ、またはC1-C6ハロアルコキシである、1~3個のR2a基で場合により置換されたフェニルであり;LGは、IまたはOSO2R3であり;およびR3は、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、またはC6-C12アリールであって、式中、アリール基は、それぞれ独立に、水素、C1-C6アルキル、ハロゲン、またはNO2である、1~3個のR3a基で置換される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、市販の2H-1,2,3-トリアゾール-4-チオール酸ナトリウムのベンジル化を介した、構造4-(ベンジルチオ)-2H-1,2,3-トリアゾールを有する式IIの化合物の調製を示す。
【0008】
図2図2は、構造4-(ベンジルチオ)-2H-1,2,3-トリアゾールを有する式IIの化合物のN-アルキル化を介した、構造4-(ベンジルチオ)-2-メチル-2H-1,2,3-トリアゾールを有する式Iの化合物の調製を示す。
【0009】
図3図3は、ツーステップアルキル化プロセスを介した、式Iの化合物の調製のための一般的スキームを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明
I.概要
本発明は、N-1およびN-3アルキル化トリアゾールを実質的に含まない、4-(ベンジルチオ)-2-メチル-2H-1,2,3-トリアゾールなどのN-2アルキル化トリアゾールを調製する方法を提供する。本発明の鍵は、形成されるN-1およびN-3アルキル化トリアゾールのその後のアルキル化であり、続く水性洗浄ステップによって取り除かれる二倍アルキル化塩をもたらす。
II.定義
【0011】
「反応混合物を形成すること」とは、一緒に混合し、反応させることができるように、少なくとも2個の別個の種を接触させるプロセスを指す。しかし、得られる反応生成物は、添加試薬の間の反応から、または反応混合物において生成され得る、添加試薬のうちの1つもしくは複数に由来する中間体から、直接的に生成され得ると理解されたい。
【0012】
「実質的に含まない」とは、位置異性体の組成物を指し、ここで、望ましくない位置異性体の含有量は、5%未満、好ましくは1%未満、より好ましくは0.5%未満またはさらに0.1重量%未満である。
【0013】
「非求核性塩基」は、中程度~強塩基であるが、同時に、弱い求核試薬である塩基を指す。代表的な非求核性塩基としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、カリウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、ならびに窒素塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N,N-ジエチルアニリン、ピリジン、2,6-ルチジン、2,4,6-コリジン、4-ジメチルアミノピリジン、およびキヌクリジンなど)などの塩基が挙げられる。
【0014】
「溶媒」は、溶質を溶解させることができる液体などの物質を指す。溶媒は、極性または非極性、プロトン性または非プロトン性であってよい。極性溶媒は、典型的に、約5より大きい比誘電率または約1.0より大きい双極子モーメントを有し、非極性溶媒は、約5未満の比誘電率または約1.0未満の双極子モーメントを有する。プロトン性溶媒は、除去のために利用可能なプロトンを有することによって、例えばヒドロキシまたはカルボキシ基を有することによって特徴付けられる。非プロトン性溶媒は、このような基を欠く。代表的な極性プロトン性溶媒には、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなど)、酸(ギ酸、酢酸など)および水が含まれる。代表的な極性非プロトン性溶媒には、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、アセトン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリルおよびジメチルスルホキシドが含まれる。代表的な非極性溶媒には、アルカン(ペンタン、ヘキサンなど)、シクロアルカン(シクロペンタン、シクロヘキサンなど)、ベンゼン、トルエン、および1,4-ジオキサンが含まれる。他の溶媒は、本発明において有用である。
【0015】
「分配混合物」は、希望する物質を単離するための溶媒-溶媒抽出法で使用される有機溶媒層と水性水層の非混和性混合物を指す。好適な有機溶媒としては、これだけに限定されるものではないが、ヘキサン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、およびジクロロメタンが挙げられる。好適な水性水層としては、これだけに限定されるものではないが、水、および様々な水溶性塩溶液、例えば、20%の塩化ナトリウム溶液が挙げられる。
【0016】
「脱離基」は、異方性結合の開裂中に結合電子対を維持する基を指す。例えば、脱離基は、求核置換反応中に容易に置き換えられる。適切な脱離基としては、これだけに限定されるものではないが、クロリド、ブロミド、ヨージド、メシレート、トシレート、トリフレート、4-ニトロベンゼンスルホネート、4-クロロベンゼンスルホネート、スルファートなどが挙げられる。当業者は、本発明において有用な他の脱離基を認識するであろう。
【0017】
「アルキル」は、ノルマル、第二級、または第三級の炭素原子を含有する直鎖または分岐の非環式炭化水素を指す。例えば、アルキル基は、1~20個の炭素原子(すなわち、C1-C20アルキル)、1~10個の炭素原子(すなわち、C1-C10アルキル)、または1~6個の炭素原子(すなわち、C1-C6アルキル)を有することができる。アルキルは、任意の数の炭素、例えばC1~2、C1~3、C1~4、C1~5、C1~6、C1~7、C1~8、C1~9、C1~10、C2~3、C2~4、C2~5、C2~6、C3~4、C3~5、C3~6、C4~5、C4~6およびC5~6を含むことができる。適切なアルキル基の例としては、これだけに限定されるものではないが、メチル(Me、-CH3)、エチル(Et、-CH2CH3)、1-プロピル(n-Pr、n-プロピル、-CH2CH2CH3)、2-プロピル(i-Pr、i-プロピル、-CH(CH32)、1-ブチル(n-Bu、n-ブチル、-CH2CH2CH2CH3)、2-メチル-1-プロピル(i-Bu、i-ブチル、-CH2CH(CH32)、2-ブチル(s-Bu、s-ブチル、-CH(CH3)CH2CH3)、2-メチル-2-プロピル(t-Bu、t-ブチル、-C(CH33)、1-ペンチル(n-ペンチル、-CH2CH2CH2CH2CH3)、2-ペンチル(s-Pn、s-ペンチル、-CH(CH3)CH2CH2CH3)、3-ペンチル(-CH(CH2CH32)、2-メチル-2-ブチル(t-Pn、t-ペンチル、-C(CH32CH2CH3)、3-メチル-2-ブチル(ネオ-Pn、ネオ-ペンチル、-CH(CH3)CH(CH32)、3-メチル-1-ブチル(-CH2CH2CH(CH32)、2-メチル-1-ブチル(-CH2CH(CH3)CH2CH3)、1-ヘキシル(-CH2CH2CH2CH2CH2CH3)、2-ヘキシル(-CH(CH3)CH2CH2CH2CH3)、3-ヘキシル(-CH(CH2CH3)(CH2CH2CH3))、2-メチル-2-ペンチル(-C(CH32CH2CH2CH3)、3-メチル-2-ペンチル(-CH(CH3)CH(CH3)CH2CH3)、4-メチル-2-ペンチル(-CH(CH3)CH2CH(CH32)、3-メチル-3-ペンチル(-C(CH3)(CH2CH32)、2-メチル-3-ペンチル(-CH(CH2CH3)CH(CH32)、2,3-ジメチル-2-ブチル(-C(CH32CH(CH32)、3,3-ジメチル-2-ブチル(-CH(CH3)C(CH33、およびオクチル(-(CH27CH3)が挙げられる。
【0018】
「ハロゲン」は、F、Cl、Br、およびIを指す。
【0019】
「ハロアルキル」は、アルキル基の1個または複数の水素原子が、ハロゲン原子で置き換えられている、先に定義のアルキル基を指す。ハロアルキル基のアルキル部分は、1~20個の炭素原子(すなわち、C1-C20ハロアルキル)、1~12個の炭素原子(すなわち、C1-C12ハロアルキル)、または1~6個の炭素原子(すなわち、C1-C6ハロアルキル)を有することができる。適切なハロアルキル基の例としては、これだけに限定されるものではないが、-CF3、-CHF2、-CFH2、-CH2CF3などが挙げられる。
【0020】
「アルコキシ」は、先に定義のアルキル基が、酸素原子を介して親分子に結合している、式-O-アルキルを有する基を指す。アルコキシ基のアルキル部分は、1~20個の炭素原子(すなわち、C1-C20アルコキシ)、1~12個の炭素原子(すなわち、C1-C12アルコキシ)、または1~6個の炭素原子(すなわち、C1-C6アルコキシ)を有することができる。適切なアルコキシ基の例としては、これだけに限定されるものではないが、メトキシ(-O-CH3または-OMe)、エトキシ(-OCH2CH3または-OEt)、t-ブトキシ(-O-C(CH33または-OtBu)などが挙げられる。
【0021】
「ハロアルコキシ」は、式-O-ハロアルキルを有する基を指し、そしてそこでは、先に定義されたハロアルキル基が、酸素原子を介して親分子に取り付けられる。ハロアルキル基のアルキル部分は、1~20個の炭素原子(すなわち、C1-C20ハロアルコキシ)、1~12個の炭素原子(すなわち、C1-C12ハロアルコキシ)、または1~6個の炭素原子(すなわち、C1-C6ハロアルコキシ)を有することができる。好適なハロアルコキシ基の例としては、これだけに限定されるものではないが、-OCH2F、-OCHF2、および-OCF3が挙げられる。
【0022】
「アリール」は、任意の適切な数の環原子および任意の適切な数の環を有する芳香族環系を指す。アリール基は、任意の適切な数の環原子、例えば6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16個の環原子、ならびに6~10、6~12、または6~14個の環員を含むことができる。アリール基は、単環式であってもよく、または縮合して二環式もしくは三環式基を形成することもでき、または結合によって連結してビアリール基を形成することもできる。代表的なアリール基には、フェニル、ナフチルおよびビフェニルが含まれる。他のアリール基には、メチレン連結基を有するベンジルが含まれる。いくつかのアリール基、例えばフェニル、ナフチルまたはビフェニルは、6~12個の環員を有する。他のアリール基、例えばフェニルまたはナフチルは、6~10個の環員を有する。いくつかの他のアリール基、例えばフェニルは、6個の環員を有する。
【0023】
「室温」は、ヒトの居住に好適であると一般的に考えられている気温の範囲、または摂氏約15度(華氏59度)~摂氏25度(華氏77度)の気温の範囲である。
【0024】
「ニトロ」は、-NO2を指す。
【0025】
「ヨージド」は、-Iを指す。
【0026】
「ベンジル」は、-CH2-Phを指し、その場合、「Ph」はフェニルを指す。
【0027】
「トシル」(Ts)は、トルエン-4-スルホニルラジカル、-SO2C6H4CH3を指す。
【0028】
「トシレート」(OTs)は、p-トルエンスルホン酸、-OSO2C6H4CH3の陰イオンを指す。
【0029】
「互変異性体」は、平衡状態で存在する2つ以上の構造異性体のうちの1つを指し、かつ、それは、ある異性体型から他の異性体型に容易に変換される。例えば、水性溶液中の1,2,3-トリアゾールの互変異性が記載されている(Albert, A. et al., J. Chem. Soc. Perkin Trans. II 1989, 1903-05)。
【0030】
本願発明の特定の化合物が互変異性型で存在する可能性があり、その化合物の斯かる互変異性型がすべて本発明の範囲内にあることは、当業者にとって明白になる。例えば、以下の式II:
【化17】
の化合物は、以下の式IIaおよび式IIb:
【化18】
の化合物のような互変異性型で存在し得る。
化合物の斯かる互変異性型のすべてが本発明の範囲内にある。
III.式Iのトリアゾールを調製する方法
【0031】
式Iの化合物はさまざまな手段によって調製できる。例えば、式Iの化合物は、以下で記載するように、式IIIの化合物、すなわち、p-トルエンスルホン酸メチル、またはヨウ化メチルを用いた式IIの化合物のN-アルキル化によって調製できる。
【0032】
一実施形態において、本発明は、以下の式I:
【化19】
の化合物であって、以下の式Iaおよび式Ib:
【化20】
の化合物を実質的に含まない化合物を製造する方法を提供する。
式Iの化合物を製造する方法は、以下の式II:
【化21】
の化合物、非求核性塩基、第一の溶媒、および以下の式IIIa:
R1a-LG1a (IIIa)
の化合物を含む第一の反応混合物を形成することを含み、
ここで、式Iの化合物および式IaとIbの少なくとも一方の化合物を含む中間体混合物を形成するのに好適な条件下、式IIの化合物に対する式IIIaの化合物のモル比が1より大きい。その方法はまた、中間体混合物および以下の式IIIb:
R1b-LG1b (IIIb)
の化合物を含む第二の反応混合物を形成することを含み、
ここで、中間体混合物の化合物に対する式IIIbの化合物のモル比が1より大きく、かつ、ここで、第二の反応混合物が、以下の式IVaまたは式IVb:
【化22】
の少なくとも一方の化合物を形成するのに好適な条件下で混合される。
その方法はまた、水層と有機層を形成するよう、第二の反応混合物、水および有機溶媒を含む分配混合物を形成し、そして、有機層と水層を分離して、式Ia、式Ib、式IVaおよび式IVbの化合物を実質的に含まない式Iの化合物を単離することを含む。式I、Ia、Ib、II、IIIa、IIIb、IVa、IVbの化合物について、R1aおよびR1bは独立に、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチルまたはシクロプロピルメチルであり;R2は、ハロゲン、SCH2ArまたはSCHAr2であって、式中、各Arは、それぞれ独立に、ハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6アルコキシ、またはC1-C6ハロアルコキシである、1~3個のR2a基で場合により置換されたフェニルであり;LG1aとLG1bはそれぞれ独立に、Br、IまたはOSO2R3であり;およびR3は、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、またはC6-C12アリールであって、式中、アリール基は、それぞれ独立に、水素、C1-C6アルキル、ハロゲン、またはNO2である、1~3個のR3a基で置換される。
【0033】
任意の好適な非求核性塩基が、本発明の方法で使用できる。代表的な非求核性塩基としては、これだけに限定されるものではないが、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、カリウムtert-ブトキシド、およびナトリウムtert-ブトキシドが挙げられる。いくつかの実施形態において、非求核性塩基は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、カリウムtert-ブトキシド、またはナトリウムtert-ブトキシドであり得る。いくつかの実施形態において、非求核性塩基は、炭酸カリウム、または炭酸ナトリウムであり得る。いくつかの実施形態において、非求核性塩基は炭酸カリウムであり得る。いくつかの実施形態において、非求核性塩基はナトリウムtert-ブトキシドであり得る。
【0034】
第一の溶媒は、任意の好適な溶剤であり得る。代表的な溶媒としては、これだけに限定されるものではないが、アセトン、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、トルエン、メチルtert-ブチルエーテル、エタノール、ジメチルホルムアミド、またはその組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態において、第一の溶媒は、ジメチルアセトアミド、メチルtert-ブチルエーテル、エタノール、またはその組み合わせであり得る。いくつかの実施形態において、第一の溶媒はジメチルアセトアミドであり得る。いくつかの実施形態において、第一の溶媒はジメチルホルムアミドであり得る。
【0035】
非求核性塩基と溶媒の任意の好適な組み合わせが、本明細書中に開示された方法で使用できる。いくつかの実施形態において、非求核性塩基は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、カリウムtert-ブトキシド、またはナトリウムtert-ブトキシドであり得、かつ、溶媒は、アセトン、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、トルエン、メチルtert-ブチルエーテル、エタノール、ジメチルホルムアミド、またはその組み合わせであり得る。いくつかの実施形態において、非求核性塩基は、炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウムであり得、かつ、溶媒は、ジメチルアセトアミド、メチルtert-ブチルエーテル、エタノール、またはその組み合わせであり得る。いくつかの実施形態において、非求核性塩基は、カリウムtert-ブトキシドまたはナトリウムtert-ブトキシドであり得、かつ、溶媒は、ジメチルアセトアミド、メチルtert-ブチルエーテル、エタノール、またはその組み合わせから選択され得る。いくつかの実施形態において、非求核性塩基はナトリウムtert-ブトキシドであり得、かつ、溶媒は、ジメチルアセトアミド、メチルtert-ブチルエーテル、エタノール、またはその組み合わせであり得る。いくつかの実施形態において、非求核性塩基は炭酸カリウムであり得、かつ、溶媒は、ジメチルアセトアミド、メチルtert-ブチルエーテル、エタノール、またはその組み合わせから選択され得る。いくつかの実施形態において、非求核性塩基は炭酸カリウムであり得、かつ、溶媒はジメチルアセトアミドであり得る。
【0036】
式IIの化合物のN-アルキル化は、1つのステップまたは2つのステップで実施され得る。N-アルキル化が2つのステップを使用して実施されるとき、第一のN-アルキル化ステップは、式IIの化合物に対する式IIIaの化合物の任意の好適なモル比を含み得る。代表的なモル比としては、これだけに限定されるものではないが、少なくとも1か、または2、3、4、5、6、7、8、9か、もしくは10より大きいモル比が挙げられる。式IIの化合物に対する式IIIaの化合物のモル比は、1~10、または2~5であり得る。いくつかの実施形態において、式IIの化合物に対する式IIIaの化合物のモル比は、少なくとも1であり得る。いくつかの実施形態において、式IIの化合物に対する式IIIaの化合物のモル比は、1~4であり得る。いくつかの実施形態において、式IIの化合物に対する式IIIaの化合物のモル比は、少なくとも1であり得る。いくつかの実施形態において、式IIの化合物に対する式IIIaの化合物のモル比は、1より大きくあり得る。
【0037】
第二のN-アルキル化ステップは、中間体混合物の化合物に対する式IIIbの化合物の任意の好適なモル比を含み得る。代表的なモル比としては、これだけに限定されるものではないが、少なくとも1か、または2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10より大きいモル比が挙げられる。中間体混合物の化合物に対する式IIIbの化合物のモル比は、1~10、または2~5であり得る。いくつかの実施形態において、中間体混合物の化合物に対する式IIIbの化合物のモル比は、少なくとも1であり得る。いくつかの実施形態において、中間体混合物の化合物に対する式IIIbの化合物のモル比は、1~4であり得る。いくつかの実施形態において、中間体混合物の化合物に対する式IIIbの化合物のモル比は、少なくとも2であり得る。いくつかの実施形態において、中間体混合物の化合物に対する式IIIbの化合物のモル比は、2より大きくあり得る。
【0038】
N-アルキル化がシングルステップを使用して実施されるとき、N-アルキル化ステップは、式IIの化合物に対する式IIIaおよび式IIIbの化合物の任意の好適なモル比を含み得る。代表的なモル比としては、これだけに限定されるものではないが、少なくとも2か、または3、4、5、6、7、8、9、もしくは10より大きいモル比が挙げられる。式IIの化合物に対する式IIIaおよび式IIIbの化合物のモル比は、2~10、または2~5、または3~5であり得る。いくつかの実施形態において、式IIの化合物に対する式IIIaおよび式IIIbの化合物のモル比は、少なくとも2であり得る。いくつかの実施形態において、式IIの化合物に対する式IIIaおよび式IIIbの化合物のモル比は、2~4であり得る。いくつかの実施形態において、式IIの化合物に対する式IIIaおよび式IIIbの化合物のモル比は、約4であり得る。
【0039】
式Iの化合物を形成するN-アルキル化ステップは、任意の好適な反応時間にわたり実施され得る。例えば、反応時間は、数分間、数時間、または数日間であり得る。いくつかの実施形態において、反応時間は、数時間、例えば、少なくとも8時間などであり得る。いくつかの実施形態において、反応時間は、数時間、例えば、少なくとも一晩であり得る。いくつかの実施形態において、反応時間は数日間であり得る。いくつかの実施形態において、反応時間は少なくとも2時間であり得る。いくつかの実施形態において、反応時間は、少なくとも8時間であり得る。いくつかの実施形態において、反応時間は、少なくとも数日間であり得る。いくつかの実施形態において、反応時間は、約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約14時間、約16時間、約18時間、約20時間、約22時間、または約24時間であり得る。いくつかの実施形態において、反応時間は、約1日、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約1週間、または1週間より長くあり得る。
【0040】
式Iの化合物を形成するN-アルキル化ステップの反応混合物は、任意の好適な反応温度にて実施され得る。代表的な温度としては、これだけに限定されるものではないが、室温を下回るか、室温であるか、または室温を上回ることが挙げられる。本明細書の開示方法で有用な他の温度としては、約-40℃~約65℃、室温~約40℃、約40℃~約65℃、または約40℃~約60℃が挙げられる。第一の反応混合物は、ほぼ室温の温度であり得るか、あるいは、約15℃、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、または約65℃の温度であり得る。いくつかの実施形態において、第一の反応混合物は、室温または室温を上回る温度であり得る。いくつかの実施形態において、第一の反応混合物は、温度を上回る~約40℃であり得る。いくつかの実施形態において、第一の反応混合物は、約40℃~約60℃の温度であり得る。
【0041】
式Iの化合物を調製する方法はまた、第一または第二の反応混合物、水および有機溶媒の分配混合物を形成して、水層と有機層を形成することも含む。いくつかの実施形態において、有機溶媒は、ジエチルエーテル、酢酸エチル、またはジクロロメタンから形成され得る。いくつかの実施形態において、有機溶媒はジクロロメタンであり得る。いくつかの実施形態において、有機溶媒は酢酸エチルであり得る。いくつかの実施形態において、分配混合物は、第一の反応混合物、水、およびジクロロメタンを組み合わせることによって形成され得る。いくつかの実施形態において、分配混合物は、第一の反応混合物、水、および酢酸エチルを組み合わせることによって形成され得る。
【0042】
式I、Ia、Ib、IIIa、IIIb、IVa、IVbのR1aおよびR1bは、先に定義したとおりである。いくつかの実施形態において、R1aおよびR1bは独立に、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、またはシクロプロピルメチルであり得る。いくつかの実施形態において、R1aおよびR1bは独立に、メチル、エチル、またはシクロプロピルメチルであり得る。いくつかの実施形態において、R1aは、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチルまたはシクロプロピルメチルであ得、かつ、R1bはメチルであり得る。いくつかの実施形態において、R1aはイソ-プロピルであり得、かつ、R1bはメチルであり得る。いくつかの実施形態において、R1aおよびR1bはメチルであり得る。
【0043】
式I、Ia、Ib、II、IVa、IVbのR2は、先に定義したとおりである。いくつかの実施形態において、R2はハロゲン、SCH2ArまたはSCHAr2であり得、式中、各Arは、それぞれ独立に、ハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6アルコキシ、またはC1-C6ハロアルコキシである、1~3個のR2a基で場合により置換されたフェニルである。いくつかの実施形態において、R2はSCH2Arであり得、式中、Arは、それぞれ独立に、ハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6アルコキシ、またはC1-C6ハロアルコキシである、1~3個のR2a基で場合により置換されたフェニルである。いくつかの実施形態において、R2はSCH2Arであり得、式中、Arは、それぞれ独立に、ハロゲン、C1-C6アルキル、またはC1-C6ハロアルキルである、1~3個のR2a基で場合により置換されたフェニルである。いくつかの実施形態において、R2はSCH2Arであり得、式中、Arは、フェニルまたはp-トリルである。いくつかの実施形態において、R2はSCH2Arであり得、式中、Arはフェニルである。いくつかの実施形態において、R2はハロゲンであり得る。
【0044】
いくつかの実施形態において、式IIIaのLG1aおよび式IIIbのLG1bは独立に、任意の好適な脱離基であり得る。いくつかの実施形態において、LG1aおよびLG1bは独立に、Br、IまたはOSO2R3であり得、式中、R3は、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、またはC6-C12アリールであり、式中、アリール基は、それぞれ独立に、水素、C1-C6アルキル、ハロゲン、またはNO2である、1~3個のR3a基で置換される。いくつかの実施形態において、LG1aおよびLG1bは独立に、IまたはOSO2R3であり得、式中、R3は、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、またはC6-C12アリールであり、式中、アリール基は、それぞれ独立に、水素、C1-C6アルキル、ハロゲン、またはNO2である、1~3個のR3a基で置換される。いくつかの実施形態において、LG1aは、BrまたはIであり得る。いくつかの実施形態において、LG1aはBrであり得る。
【0045】
いくつかの実施形態において、LG1bはOSO2R3であり得、式中、R3は、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、またはC6-C12アリールであり、式中、アリール基は、それぞれ独立に、水素、C1-C6アルキル、ハロゲン、またはNO2である、1~3個のR3a基で置換される。いくつかの実施形態において、LG1bはOSO2R3であり得、式中、R3はC6-C12アリールであり、式中、アリール基は、それぞれ独立に、水素、C1-C6アルキル、ハロゲン、またはNO2である、1~3個のR3a基で置換される。いくつかの実施形態において、LG1bはOSO2R3であり得、式中、R3はC6-C12アリールであり、式中、アリール基は、それぞれ独立に、C1-C6アルキルである、1~3個のR3a基で置換される。いくつかの実施形態において、LG1bはOSO2R3であり得、式中、R3は、Me、CF3またはフェニルであり、式中、フェニルは、それぞれ独立に、水素、C1-C6アルキル、ハロゲン、またはNO2である、1~3個のR3a基で置換される。いくつかの実施形態において、LG1bはOSO2R3であり得、式中、R3は、Me、CF3またはフェニルであり、式中、フェニルは、それぞれ独立に、水素、Me、F、Cl、Br、またはNO2である、1~3個のR3a基で置換される。いくつかの実施形態において、LG1bはOSO2R3であり得、式中、R3が、それぞれ独立に、水素、Me、F、Cl、Br、またはNO2である、1~3個のR3a基で置換されたフェニルである。いくつかの実施形態において、LG1bはOSO2R3であり得、式中、R3はp-トリルである。いくつかの実施形態において、LG1bはIであり得る。
【0046】
いくつかの実施形態において、LG1aおよびLG1bはOSO2R3であり得、式中、R3は、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、またはC6-C12アリールであり、式中、アリール基は、それぞれ独立に、水素、C1-C6アルキル、ハロゲン、またはNO2である、1~3個のR3a基で置換される。いくつかの実施形態において、LG1aおよびLG1bはOSO2R3であり得、式中、R3はC6-C12アリールであり、式中、アリール基は、それぞれ独立に、水素、C1-C6アルキル、ハロゲン、またはNO2である、1~3個のR3a基で置換される。いくつかの実施形態において、LG1aおよびLG1bはOSO2R3であり得、R3はC6-C12アリールであり、式中、アリール基は、それぞれ独立にC1-C6アルキルである、1~3個のR3a基で置換される。いくつかの実施形態において、LG1aおよびLG1bはOSO2R3であり得、式中、R3は、Me、CF3またはフェニルであり、式中、フェニルは、それぞれ独立に、水素、C1-C6アルキル、ハロゲン、またはNO2である、1~3個のR3a基で置換される。いくつかの実施形態において、LG1aおよびLG1bはOSO2R3であり得、式中、R3は、Me、CF3またはフェニルであり、式中、フェニルは、それぞれ独立に、水素、Me、F、Cl、Br、またはNO2である、1~3個のR3a基で置換される。いくつかの実施形態において、LG1aおよびLG1bはOSO2R3であり得、式中、R3は、それぞれ独立に、水素、Me、F、Cl、Br、またはNO2である、1~3個のR3a基で置換されたフェニルである。いくつかの実施形態において、LG1aおよびLG1bはOSO2R3であり得、式中、R3はp-トリルである。
【0047】
R1a、R1b、LG1aおよびLG1bの任意の好適な組み合わせが、本明細書の開示方法で使用され得る。いくつかの実施形態において、R1aおよびR1bは独立に、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、またはシクロプロピルメチルであり得、それと同時に、LG1aおよびLG1bは独立に、Br、IまたはOSO2R3であり、式中、R3は、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、またはC6-C12アリールであり、式中、アリール基は、それぞれ独立に、水素、C1-C6アルキル、ハロゲン、またはNO2である、1~3個のR3a基で置換される。いくつかの実施形態において、R1aおよびR1bは独立に、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、またはシクロプロピルメチルであり得、それと同時に、LG1aおよびLG1bは独立に、IまたはOSO2R3であり得、式中、R3は、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、またはC6-C12アリールであり、式中、アリール基は、それぞれ独立に、水素、C1-C6アルキル、ハロゲン、またはNO2である、1~3個のR3a基で置換される。
【0048】
いくつかの実施形態において、R1aおよびR1bが独立に、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、またはシクロプロピルメチルであるように、R1aおよびR1bは異なり、それと同時に、LG1aおよびLG1bは独立に、Br、IまたはOSO2R3であり得、式中、R3は、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、またはC6-C12アリールであり、式中、アリール基は、それぞれ独立に、水素、C1-C6アルキル、ハロゲン、またはNO2である、1~3個のR3a基で置換される。いくつかの実施形態において、R1aは、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、またはシクロプロピルメチルであり得、R1bは、メチルまたはエチルであり得、それと同時に、LG1aは、BrまたはIであり得、かつ、LG1bはOSO2R3であり得、式中、R3は、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、またはC6-C12アリールであり、式中、アリール基は、それぞれ独立に、水素、C1-C6アルキル、ハロゲン、またはNO2である、1~3個のR3a基で置換される。いくつかの実施形態において、R1aはイソ-プロピルであり得、R1bはメチルであり得、それと同時に、LG1aはBrであり得、かつ、LG1bはOSO2R3であり得、式中、R3は、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、またはC6-C12アリールであり、式中、アリール基は、それぞれ独立に、水素、C1-C6アルキル、ハロゲン、またはNO2である、1~3個のR3a基で置換される。
【0049】
いくつかの実施形態において、R1aは、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、またはシクロプロピルメチルであり得、かつ、LG1aは、BrまたはIであり得る。いくつかの実施形態において、R1aはイソ-プロピルであり得、かつ、LG1aはBrであり得る。いくつかの実施形態において、R1a-LG1aはイソプロピルブロミドであり得る。
【0050】
いくつかの実施形態において、R1bはメチルまたはエチルであり得、かつ、LG1bはOSO2R3であり得、式中、R3は、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、またはC6-C12アリールであり、式中、アリール基は、それぞれ独立に、水素、C1-C6アルキル、ハロゲン、またはNO2である、1~3個のR3a基で置換される。いくつかの実施形態において、R1bは、メチルまたはエチルであり得、かつ、LG1bはOSO2R3であり得、式中、R3は、メチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、またはフェニルであり、式中、フェニルは、メチル、ブロモまたはNO2で置換される。いくつかの実施形態において、R1bはメチルであり得、かつ、LG1bはOSO2R3であり得、式中、R3は、メチルで置換されたフェニルである。いくつかの実施形態において、LG1bは、トルエンスルホニル、p-ブロモベンゼンスルホニル、ニトロベンゼンスルホニル、メタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル、または2,2,2-トリフルオロエチル-1-スルホニルであり得る。いくつかの実施形態において、R1b-LG1bはメチルトシレートであり得る。
【0051】
いくつかの実施形態において、R1aおよびR1bは同一であり、かつ、メチル、エチル、またはシクロプロピルメチルであり得、それと同時に、LG1aおよびLG1bはOSO2R3であり得、式中、R3は、Me、CF3またはフェニルであり、式中、フェニルは、それぞれ独立に、水素、Me、F、Cl、Br、またはNO2である、1~3個のR3a基で置換される。いくつかの実施形態において、R1aおよびR1bは、メチル、エチル、またはシクロプロピルメチルであり得、それと同時に、LG1aおよびLG1bはOSO2R3であり得、式中、R3はp-トリルである。いくつかの実施形態において、R1aおよびR1bは、メチル、エチル、またはシクロプロピルメチルであり得、それと同時に、LG1aおよびLG1bはIであり得る。いくつかの実施形態において、R1aおよびR1bはメチルであり得、それと同時に、LG1aおよびLG1bはOSO2R3であり得、式中、R3はp-トリルである。いくつかの実施形態において、R1aおよびR1bはメチルであり得、それと同時に、LG1aおよびLG1bはIであり得る。いくつかの実施形態において、R1a-LG1aおよびR1b-LG1bはp-トルエンスルホン酸メチルであり得る。いくつかの実施形態において、R1a-LG1aおよびR1b-LG1bはヨウ化メチルであり得る。
【0052】
非求核性塩基と式IIIaのR1a-LG1aの任意の好適な組み合わせが、本明細書の開示方法で使用され得る。いくつかの実施形態において、非求核性塩基は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、カリウムtert-ブトキシド、およびナトリウムtert-ブトキシドから選択され得、それと同時に、R1a-LG1aは、イソ-プロピルブロミド、p-トルエンスルホン酸メチル、およびヨウ化メチルから選択され得る。いくつかの実施形態において、非求核性塩基は、炭酸カリウム、および炭酸ナトリウムから選択され得、それと同時に、R1a-LG1aは、イソ-プロピルブロミド、p-トルエンスルホン酸メチル、およびヨウ化メチルから選択され得る。いくつかの実施形態において、非求核性塩基は炭酸カリウムであり得、それと同時に、R1a-LG1aは、イソ-プロピルブロミド、p-トルエンスルホン酸メチル、およびヨウ化メチルから選択され得る。いくつかの実施形態において、非求核性塩基は炭酸カリウムであり得、それと同時に、R1a-LG1aはp-トルエンスルホン酸メチルであり得る。いくつかの実施形態において、非求核性塩基は炭酸カリウムであり得、それと同時に、R1a-LG1aはヨウ化メチルであり得る。いくつかの実施形態において、非求核性塩基は炭酸カリウムであり得、それと同時に、R1a-LG1aはイソプロピルブロミドであり得る。いくつかの実施形態において、非求核性塩基は、カリウムtert-ブトキシドおよびナトリウムtert-ブトキシドから選択され得、それと同時に、R1a-LG1aは、p-トルエンスルホン酸メチルおよびヨウ化メチルから選択され得る。いくつかの実施形態において、非求核性塩基はナトリウムtert-ブトキシドであり得、それと同時に、R1a-LG1aはp-トルエンスルホン酸メチルであり得る。
【0053】
R1a-LG1aおよびR1b-LG1bが同一であるとき、非求核性塩基とR1a-LG1aおよびR1b-LG1bの任意の好適な組み合わせが本発明の方法で使用され得る。いくつかの実施形態において、非求核性塩基は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、カリウムtert-ブトキシド、およびナトリウムtert-ブトキシドから選択され得、それと同時に、R1a-LG1aおよびR1b-LG1bは、イソ-プロピルブロミド、p-トルエンスルホン酸メチル、およびヨウ化メチルから選択され得る。いくつかの実施形態において、非求核性塩基は、炭酸カリウムおよび炭酸ナトリウムから選択され得、それと同時に、R1a-LG1aおよびR1b-LG1bは、イソ-プロピルブロミド、p-トルエンスルホン酸メチル、およびヨウ化メチルから選択され得る。いくつかの実施形態において、非求核性塩基は炭酸カリウムであり得、それと同時に、R1a-LG1aおよびR1b-LG1bは、イソ-プロピルブロミド、p-トルエンスルホン酸メチル、およびヨウ化メチルから選択され得る。いくつかの実施形態において、非求核性塩基は炭酸カリウムであり得、それと同時に、R1a-LG1aおよびR1b-LG1bはp-トルエンスルホン酸メチルであり得る。いくつかの実施形態において、非求核性塩基は炭酸カリウムであり得、それと同時に、R1a-LG1aおよびR1b-LG1bはヨウ化メチルであり得る。いくつかの実施形態において、非求核性塩基は炭酸カリウムであり得、それと同時に、R1a-LG1aおよびR1b-LG1bはイソプロピルブロミドであり得る。いくつかの実施形態において、非求核性塩基は、カリウムtert-ブトキシドおよびナトリウムtert-ブトキシドから選択され得、それと同時に、R1a-LG1aおよびR1b-LG1bは、p-トルエンスルホン酸メチルおよびヨウ化メチルから選択され得る。いくつかの実施形態において、非求核性塩基はナトリウムtert-ブトキシドであり得、それと同時に、R1a-LG1aおよびR1b-LG1bはp-トルエンスルホン酸メチルであり得る。
A.ツーステップ法
【0054】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示方法は、式IIIaおよび式IIIbの化合物が異なる二つのアルキル化ステップを含む。いくつかの実施形態において、本発明は、以下の式I:
【化23】
の化合物であって、以下の式Iaおよび式Ib:
【化24】
の化合物を実質的に含まない化合物を製造する方法を提供する。
本発明の方法は、以下の式II:
【化25】
の化合物、非求核性塩基、第一の溶媒、および以下の式IIIa:
R1a-LG1a (IIIa)
の化合物を含む第一の反応混合物を形成することを含み、
ここで、式IIの化合物に対する式IIIaの化合物のモル比が1より大きく、かつ、ここで、該反応混合物が、式Iの化合物および式IaとIbの少なくとも一方の化合物を含む中間体混合物を形成するのに好適な条件下、室温以上にて少なくとも2時間混合される。その方法はまた、中間体混合物および以下の式IIIb:
R1b-LG1b (IIIb)
の化合物を含む第二の反応混合物を形成することを含み、
ここで、中間体混合物の化合物に対する式IIIの化合物のモル比が1より大きく、かつ、ここで、第二の反応混合物が、以下の式IVaまたは式IVb:
【化26】
の少なくとも一方の化合物を形成するのに好適な条件下、室温以上にて少なくとも2時間混合される。
その方法はまた、水層と有機層を形成するよう、第二の反応混合物、水および有機溶媒を含む分配混合物を形成し、そして、有機層と水層を分離して、式Ia、式Ib、式IVaおよび式IVbの化合物を実質的に含まない式Iの化合物を単離することを含む。式I、Ia、Ib、II、IIIa、IIIb、IVa、IVbの化合物について、R1aは、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチルまたはシクロプロピルメチルであり;R1bは、R1bがR1aと異なるような、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチルまたはシクロプロピルメチルであり;LG1aとLG1bはそれぞれ独立に、Br、IまたはOSO2R3であり;およびR3は、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、またはC6-C12アリールであって、式中、該アリール基は、それぞれ独立に、水素、C1-C6アルキル、ハロゲン、またはNO2である、1~3個のR3a基で置換される。
【0055】
いくつかの実施形態において、R1aは、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチルまたはシクロプロピルメチルであり;かつ、R1bはメチルである。
【0056】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物は、以下の構造:
【化27】
を有し、式Iaおよび式Ibの化合物は、以下の構造:
【化28】
を有し、かつ、方法は、以下の構造:
【化29】
を有する式IIの化合物、炭酸カリウム、ジメチルアセトアミド、および以下の構造:
iPr-Br
を有する式IIIaの化合物から成る第一の反応混合物を形成することを含み、
ここで、式IIの化合物に対する式IIIaの化合物のモル比は1より大きく、かつ、ここで、反応混合物は、式Iの化合物および式Iaまたは式Ibの少なくとも一方の化合物を含む中間体混合物を形成するのに好適な条件下、室温以上にて少なくとも2時間混合される。該方法はまた、中間体混合物、ジメチルアセトアミド、および以下の式IIIb:
Me-OTs
の化合物から成る第二の反応混合物を形成することを含み、
ここで、中間体混合物の化合物に対する式IIIbの化合物のモル比は2より大きく、かつ、ここで、第二の反応混合物は、以下の式IVaまたは式IVb:
【化30】
の少なくとも一方の化合物を形成するのに好適な条件下、室温以上にて少なくとも2時間混合される。
該方法はまた、水層と有機層を形成するよう、第二の反応混合物、水、およびジクロロメタンから成る分配混合物を形成し、そして、有機層と水層を分離して、式Ia、式Ib、式IVa、および式IVbの化合物を実質的に含まない式Iの化合物を単離することも含む。
B.ワンステップ法
【0057】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示方法は、式IIIaと式IIIbの化合物が同一であるシングルアルキル化ステップを含む。いくつかの実施形態において、本発明は、以下の式I:
【化31】
の化合物であって、以下の式Iaおよび式Ib:
【化32】
の化合物を実質的に含まない化合物を製造する方法を提供する。
本発明の方法は、以下の式II:
【化33】
の化合物、非求核性塩基、第一の溶媒、以下の式IIIa:
R1a-LG1a (IIIa)
の化合物、および以下の式IIIb:
R1b-LG1b (IIIb)
の化合物を含む第一の反応混合物を形成することを含み、
ここで、式IIの化合物に対する式IIIaとIIIbの化合物のモル比が2より大きく、かつ、ここで、該反応混合物が、式Iの化合物および以下の式IVaまたは式IVb:
【化34】
の少なくとも一方の化合物を形成するのに好適な条件下、室温以上にて少なくとも2時間混合される。
その方法はまた、水層と有機層を形成するよう、第一の反応混合物、水および有機溶媒を含む分配混合物を形成し、そして、有機層と水層を分離して、式Ia、式Ib、式IVaおよび式IVbの化合物を実質的に含まない式Iの化合物を単離することを含む。式I、Ia、Ib、II、IIIa、IIIb、IVa、IVbの化合物について、R1aおよびR1bは、同一であり、かつ、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチルまたはシクロプロピルメチルであり;R2は、ハロゲン、SCH2ArまたはSCHAr2であって、式中、各Arは、それぞれ独立に、ハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6アルコキシ、またはC1-C6ハロアルコキシである、1~3個のR2a基で場合により置換されたフェニルであり;LG1bは、Br、IまたはOSO2R3であり;およびR3は、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、またはC6-C12アリールであって、式中、該アリール基は、それぞれ独立に、水素、C1-C6アルキル、ハロゲン、またはNO2である、1~3個のR3a基で置換される。
【0058】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物は、以下の構造:
【化35】
を有し、式Iaおよび式Ibの化合物は、以下の構造:
【化36】
を有し、かつ、方法は、以下の構造:
【化37】
を有する式IIの化合物、炭酸カリウム、ジメチルアセトアミド、および以下の構造:
Me-OTs
をそれぞれ有する式IIIaおよび式IIIbの化合物から成る第一の反応混合物を形成することを含み、
ここで、式IIの化合物に対する式IIIaおよび式IIIbの化合物のモル比は4より大きく、かつ、ここで、該反応混合物は、式Iの化合物および以下の構造:
【化38】
を有する式IVaまたは式IVbの少なくとも一方の化合物を形成するのに好適な条件下、室温以上にて少なくとも2時間混合される。
該方法はまた、水層と有機層を形成するよう、第二の反応混合物、水、およびジクロロメタンから成る分配混合物を形成し、そして、有機層と水層を分離して、式Ia、式Ib、式IVa、および式IVbの化合物を実質的に含まない式Iの化合物を単離することも含む。
【0059】
式IIIaとIIIbの化合物が同一であるいくつかの実施形態において、本発明は、以下の式I:
【化39】
の化合物であって、以下の式Iaおよび式Ib:
【化40】
の化合物を実質的に含まない化合物を製造する方法であって、以下の式II:
【化41】
の化合物、非求核性塩基、第一の溶媒、および以下の式III:
R1-LG (III)
の化合物の第一の反応混合物を形成するステップを含む方法を提供し、
ここで、式IIの化合物に対する式IIIの化合物のモル比が2より大きく、かつ、ここで、該反応混合物が、式Iの化合物および以下の式IVaまたは式IVb:
【化42】
の少なくとも一方の化合物を形成するのに好適な条件下、室温以上にて少なくとも2時間混合される。
本明細書で開示方法はまた、水層と有機層を形成するよう、第一の反応混合物、水および有機溶媒を含む分配混合物を形成し、そして、有機層と水層を分離して、式Ia、式Ib、式IVaおよび式IVbの化合物を実質的に含まない式Iの化合物を単離するステップを含む。式I、Ia、Ib、II、III、IVa、IVbの化合物について、R1は、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチルまたはシクロプロピルメチルであり;R2は、ハロゲン、SCH2ArまたはSCHAr2であって、式中、各Arは、それぞれ独立に、ハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6アルコキシ、またはC1-C6ハロアルコキシである、1~3個のR2a基で場合により置換されたフェニルであり;LGは、IまたはOSO2R3であり;およびR3は、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、またはC6-C12アリールであって、式中、該アリール基は、それぞれ独立に、水素、C1-C6アルキル、ハロゲン、またはNO2である、1~3個のR3a基で置換される。
【0060】
式Iの化合物を形成するN-アルキル化ステップは、式IIの化合物に対する式IIIの化合物の任意の好適なモル比を使用して実施され得る。代表的なモル比としては、これだけに限定されるものではないが、2より大きいか、または3、4、5、6、7、8、9か、もしくは10より大きい比が挙げられる。式IIの化合物に対する式IIIの化合物のモル比は、2より大きい~約10、または2より大きい~約5、または約3~約5であり得る。いくつかの実施形態において、式IIの化合物に対する式IIIの化合物のモル比は2より大きくあり得る。いくつかの実施形態において、式IIの化合物に対する式IIIの化合物のモル比は2超~約4であり得る。いくつかの実施形態において、式IIの化合物に対する式IIIの化合物のモル比は約4であり得る。
【0061】
非求核性塩基と式IIIのR1-LGの任意の好適な組み合わせが、本明細書の開示方法で使用され得る。いくつかの実施形態において、非求核性塩基は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、カリウムtert-ブトキシド、およびナトリウムtert-ブトキシドから選択され得、それと同時に、R1-LGは、p-トルエンスルホン酸メチルおよびヨウ化メチルから選択され得る。いくつかの実施形態において、非求核性塩基は、炭酸カリウムおよび炭酸ナトリウムから選択され得、それと同時に、R1-LGは、p-トルエンスルホン酸メチルおよびヨウ化メチルから選択され得る。いくつかの実施形態において、非求核性塩基は炭酸カリウムであり得、それと同時に、R1-LGは、p-トルエンスルホン酸メチルおよびヨウ化メチルから選択され得る。いくつかの実施形態において、非求核性塩基は炭酸カリウムであり得、それと同時に、R1-LGはp-トルエンスルホン酸メチルであり得る。いくつかの実施形態において、非求核性塩基は炭酸カリウムであり得、それと同時に、R1-LGはヨウ化メチルであり得る。いくつかの実施形態において、非求核性塩基は、カリウムtert-ブトキシドおよびナトリウムtert-ブトキシドから選択され得、それと同時に、R1-LGは、p-トルエンスルホン酸メチルおよびヨウ化メチルから選択され得る。いくつかの実施形態において、非求核性塩基はナトリウムtert-ブトキシドであり得、それと同時に、R1-LGはp-トルエンスルホン酸メチルであり得る。
【0062】
式IIIaとIIIbの化合物が同一であるいくつかの実施形態において、本明細書で開示した方法は、以下の構造:
【化43】
を有する式Iの化合物であって、以下の構造:
【化44】
を有する式Iaおよび式Ibの化合物を実質的に含まない式Iの化合物を調製する方法であって、以下の構造:
【化45】
を有する式IIの化合物、炭酸カリウム、ジメチルアセトアミド、および以下の構造:
Me-OTs
を有する式IIIaおよび式IIIbの化合物から成る第一の反応混合物を形成するステップ、
ここで、式IIの化合物に対する式IIIaおよびIIIbの化合物のモル比は4より大きく、かつ、ここで、該反応混合物は、式Iの化合物および以下の構造:
【化46】
を有する式IVaまたは式IVbの少なくとも一方の化合物を形成するのに好適な条件下、室温以上にて少なくとも2時間混合される;
水層と有機層を形成するよう、第一の反応混合物、水およびジクロロメタンを含む分配混合物を形成するステップ;そして、有機層と水層を分離して、式Ia、式Ib、式IVaおよび式IVbの化合物を実質的に含まない式Iの化合物を単離するステップを含む方法を提供する。
【0063】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示方法は、以下の構造:
【化47】
を有する式Iの化合物であって、以下の構造:
【化48】
を有する式Iaおよび式Ibの化合物を実質的に含まない式Iの化合物を調製する方法であって、以下の構造:
【化49】
を有する式IIの化合物、炭酸カリウム、ジメチルアセトアミド、および以下の構造:
Me-OTs
を有する式IIIの化合物から成る第一の反応混合物を形成するステップ、
ここで、式IIの化合物に対する式IIIの化合物のモル比は約4であり、かつ、ここで、該反応混合物は、以下の構造:
【化50】
を有する化合物および以下の構造:
【化51】
を有する式IVaまたは式IVbの少なくとも一方の化合物を形成するのに好適な条件下、室温以上にて少なくとも2時間混合される;
水層と有機層を形成するよう、第一の反応混合物、水およびジクロロメタンを含む分配混合物を形成するステップ;そして、有機層と水層を分離して、以下の構造:
【化52】
を有する化合物であって、以下の構造:
【化53】
を有する化合物を実質的に含まない化合物を単離するステップを含む方法を提供する。
IV.式IIのトリアゾールを調製する方法
【0064】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示方法は、以下の式II:
【化54】
{式中、R2は、ハロゲン、SCH2ArまたはSCHAr2であり、式中、各Arは、それぞれ独立に、ハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6アルコキシ、またはC1-C6ハロアルコキシである、1~3個のR2a基で場合により置換されたフェニルである}の化合物を調製する方法を提供する。
【0065】
いくつかの実施形態において、本発明は、以下の構造:
【化55】
を有する化合物を調製する方法であって、ベンジルチオ化合物を形成するのに好適な条件下、2H-1,2,3-トリアゾール-4-チオール酸ナトリウム、エタノール、および臭化ベンジルから成る第一の反応混合物を形成するステップを含む方法を提供する。
【実施例
【0066】
V.実施例
実施例1.4-(ベンジルチオ)-2-メチル-2H-1,2,3-トリアゾールの調製のためのワンステップアルキル化法
4-(ベンジルチオ)-2-メチル-2H-1,2,3-トリアゾールの調製を説明する。
【化56】
4-(ベンジルチオ)-2H-1,2,3-トリアゾールの調製
【化57】
【0067】
臭化ベンジル(11.79mL、99mmol)を、0℃にてエタノール(100mL)中の2H-1,2,3-トリアゾール-4-チオール酸ナトリウム(12.2g、99mmol)の溶液に滴下して加えた。反応混合物を室温まで温め、そして、20分間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、水(100mL)、塩水(100mL)で洗浄し、次に、乾燥させた(硫酸ナトリウム)。溶媒を除去して、白色固体として4-(ベンジルチオ)-2H-1,2,3-トリアゾール(16.9g)を得た、LCMS:RT 1.66分、m+H=191;1H NMR(400MHz、CDCl3):δ 9.72 (1H, v br s), 7.47 (1H, s), 7.30-7.21 (5H, m), 4.12 (2H, s)。
4-(ベンジルチオ)-2H-1,2,3-トリアゾールの代替調製法
【化58】
【0068】
1H-1,2,3-トリアゾール-4-チオール酸ナトリウム(250.0g、1929mmol、1当量)を1250mLのエタノール中に懸濁した。臭化ベンジル(320g、224mL、1871mmol、0.97当量)を20℃にて1時間かけて滴下して加えた。投薬バルブを250mLのエタノールですすいだ。得られた懸濁液を1時間撹拌した。分析は臭化ベンジルの完全な消費を示した。反応混合物を減圧下で蒸留することによって500mLまで濃縮した。次に、500mLのMTBE、500mLの20%塩化ナトリウム溶液および250mLの水を加え、そして、透明な溶液を得るまで、その混合物を撹拌した。層を分離し、そして、水層を250mLのMTBEで1回抽出した。有機層を合わせ、そして、混合物を大気圧下、還流温度にて蒸留することによって、約700mLまで部分濃縮した。溶液の重量 705g、52wt%の4-(ベンジルチオ)-2H-1,2,3-トリアゾール、(358g、1871mmol、97%)。未精製の溶液を、精製の必要がない次のステップにそのまま使用した。
4-(ベンジルチオ)-2-メチル-2H-1,2,3-トリアゾールの調製
【化59】
【0069】
約50mLのMTBE/エタノール混合物中の炭酸カリウム(188g、1358mmol、2当量)と4-(ベンジルチオ)-2H-1,2,3-トリアゾール(130g、680mmol、1当量)を、700mLのジメチルアセトアミド中に懸濁した。p-トルエンスルホン酸メチル(506g、2710mmol、4当量)を、45分間かけて滴下して加えた。その後、投薬バルブを100mLのジメチルアセトアミドですすいだ。得られた反応混合物を、40℃まで加熱し、そして、65時間撹拌した。分析は、所望の位置異性体と代替の位置異性体との間の比が>95:5面積%であったこと示した。得られた混合物を、60℃まで加熱し、そして、24時間撹拌した。比は、96.9:3.1面積%までさらに増大し、かつ、p-トルエンスルホン酸メチルの量は、<2.0面積%まで減少した。混合物を20℃まで冷やし、そして、1040mLの水を滴下して加えた。透明な溶液を得るまで、その混合物を撹拌した。次に、500mLのジクロロメタン(4相対体積)を加え、そして、層を分離した。水層を、250mLのジクロロメタンによってさらに2回抽出した。有機層を合わせ、そして、500mLの水で2回洗浄した。混合物を、大気圧下、還流温度にて蒸留することによって265mLまで濃縮した。溶液の重量 364g、16.2wt%の4-(ベンジルチオ)-2-メチル-2H-1,2,3-トリアゾール(59.0、286mmol、42%)。未精製の溶液を、精製の必要がないその後のステップにそのまま使用し得る。
実施例2.4-(ベンジルチオ)-2-メチル-2H-1,2,3-トリアゾールの調製のためのツーステップアルキル化法
【化60】
【0070】
ジメチルアセトアミド中の4-(ベンジルチオ)-2H-1,2,3-トリアゾール(実施例1で調製されたとおり)および炭酸カリウム(2当量)の未精製の溶液を、40℃まで加熱し、次に、2-ブロモプロパン(1.5当量)を6分間かけて加えた。得られた混合物を、22時間撹拌し(所望の位置異性体対望ましくない異性体の比 67:13:20)、次に、ジメチルアセトアミド中のp-トルエンスルホン酸メチル(2.5当量)を6分間かけて加えた。得られた混合物を、40℃にて2日間撹拌し(所望の位置異性体対望ましくない異性体の比 96.8:2.4:0.8)、次に、60℃まで加熱して、すべての余分なp-トルエンスルホン酸メチルを破壊した。60℃にて23時間撹拌した後に、反応混合物を、水の添加によってクエンチし、そして、その混合物をジクロロメタンによって3回抽出した。有機相を合わせ、水で数回洗浄し、次に、大気圧にて濃縮した。得られた溶液を、精製の必要がない次の合成ステップにそのまま使用した。
【0071】
先の発明は、理解の明確化のために例示および実施例によってある程度詳細に説明されたが、当業者は、添付の特許請求の範囲内で、特定の変更および改変が実施され得ることを理解するであろう。さらに、本明細書中に提供した各特許、特許出願、公開特許、および参考文献は、その各参考文献が参照によって個別に援用されたのと同程度にその全体が参照によって援用される。本出願と本明細書で提供した参考文献との間に矛盾がある場合、本出願を優先するものとする。
図1
図2
図3